JPH0881833A - 酸化スズファイバーの製造方法 - Google Patents

酸化スズファイバーの製造方法

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JPH0881833A
JPH0881833A JP21348094A JP21348094A JPH0881833A JP H0881833 A JPH0881833 A JP H0881833A JP 21348094 A JP21348094 A JP 21348094A JP 21348094 A JP21348094 A JP 21348094A JP H0881833 A JPH0881833 A JP H0881833A
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fiber
tin oxide
group
spinning
atmosphere
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JP21348094A
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Hiroya Yamashita
博也 山下
Yoshiko Seki
佳子 関
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 塩化第一スズなどのハロゲン化スズ化合物と
テトラメトキシシランなどのシリコンアルコキシド、お
よび必要に応じて三塩化アンチモンなどの第V族化合物
をメタノールなどのアルコールに溶解した紡糸液をアン
モニア雰囲気で紡糸し、あるいは紡糸した後アンモニア
雰囲気に接触させ次いで加熱処理をして(導電性)酸化
スズファイバーを製造する。 【効果】 ゲルファイバーを加熱処理前に湿度の高い雰
囲気に接触させても、ファイバーの切断や軟化によるフ
ァイバー形状の崩れが防止でき、加熱処理工程にスムー
ズに移行できる。従って、工業的に所定形状の紡糸並び
にファイバーの製造が安定して行なえ生産性が向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化スズファイバーの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化スズは、耐薬品性、耐熱性に優れ、
しかも導電性を広範囲において制御できる優れた材料で
あり種々の用途に用いられている。最近では、3次の非
線形光学材料としても研究が進められている。
【0003】ガスセンサにおいては感度及び応答速度の
改善の観点から酸化スズのファイバ−形状での提供が強
く望まれてきた。また、高分子材料に導電性を付与する
目的でカ−ボンファイバ−等の添加が行われているが、
カ−ボンを用いた場合、それ自体黒色のため材料の明彩
色化が図れない、また非常に軽いため飛散し易い等の問
題点があった。このため、金属繊維や金属酸化物の粉末
を添加することが行なわれている。金属繊維は高い導電
性を有するものの長時間経過すると表面が酸化あるいは
腐食して導電性が低下するという欠点がある。また従来
の金属酸化物粉末は導電性が金属繊維ほど高くないので
高分子材料に導電性を付与するためにはどうしても比較
的多量に添加せざるを得ず、高分子材料が本来有する物
性を低下させる欠点があった。耐薬品性、耐熱性に優れ
る酸化スズにおいても導電性を付与した粉末形状での添
加が試みられている。
【0004】ところで、導電性付与の効果は導電性付与
材料のアスペクト比が大きいほど、高くなることが知ら
れている。このため、導電性を有する酸化スズのファイ
バ−化が求められていた。しかしながら、従来の固相反
応法ではファイバ−を製造することは困難であった。こ
のため、特開昭60−5997号、特開昭60−161
337号、特開昭60ー158199号において、溶融
析出法によって酸化スズを製造する方法が提案されてい
る。しかし、これらの方法では1000℃以上の高温且
つ何日にもわたる反応時間を必要とするため、実験室規
模で極少量作製することは可能ではあるが、工業的に製
造できるまでには至っていない。しかも得られる酸化ス
ズファイバーの形状は直径1μm以下、長さが3mm以
下でアスペクト比も小さく、更に断面も矩形であること
が多いため複合材料として用いる場合、その機能を充分
に発揮させることができずその用途が限られてしまうと
いう問題があった。更に、長径が小さすぎるためペーパ
状物等を作製することが困難であった。また、得られる
複合材料の導電性等の物性値の再現性を高めようとすれ
ば、添加する酸化スズウィスカーの形状および大きさを
再現性よく制御すること重要である。ところが、酸化ス
ズウィスカーの形状を制御することは実際困難であるの
で、添加する酸化スズの繊維径および長さを揃えようと
すれば、偶然できたものを分級するしかなかった。それ
故、このような非効率的な方法で作製したウィスカーは
コストが極めて高く、実際に使用できなかった。
【0005】本発明者らは、高価で且つ反応速度が速い
ため不安定で取り扱いが難しいスズアルコキシドを原料
として用いることなく、スズ化合物及びアルコ−ルを主
成分とする溶液を用いると驚くべき事に曳糸性が現れ、
これを紡糸、加熱することにより、容易にしかもきわめ
て安価に酸化スズファイバ−が得られることを見い出
し、既に提案した(特開平4ー35287、特開平5ー
117906、特開平5ー179512)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記紡
糸液を用いて紡糸した場合、紡糸してから加熱処理する
までの間にゲルファイバーが高い湿度雰囲気に接すると
糸形状が保持されず軟化して崩れるという現象が生じる
場合が出てきた。そこで、紡糸時および/または紡糸後
の雰囲気中の湿度によって糸形状が崩れないファイバー
の製造方法について鋭意研究を重ねた。
【0007】
【課題を解決するための手段】その結果、紡糸後のゲル
ファイバーをアンモニア雰囲気に接触させるとゲルファ
イバーの耐湿性が増すことを見い出し、ここに本発明を
完成させるに至った。
【0008】即ち、本発明は、アルコールにハロゲン化
スズ化合物を溶解させてなる紡糸液から紡糸したゲルフ
ァイバーをアンモニア雰囲気に接触させた後、加熱処理
することを特徴とする酸化スズファイバーの製造方法で
ある。
【0009】他の発明は、アルコールにハロゲン化スズ
化合物、および周期律表第V族元素化合物を溶解させて
なる紡糸液から紡糸したゲルファイバーをアンモニア雰
囲気に接触させた後、加熱処理することを特徴とする酸
化スズファイバーの製造方法である。
【0010】更に他の発明は、アルコールにハロゲン化
スズ化合物とシリコンアルコキシドを溶解させてなる紡
糸液から紡糸したゲルファイバーをアンモニア雰囲気に
接触させた後、加熱処理することを特徴とする酸化スズ
ファイバーの製造方法である。 更に他の発明は、アル
コールにハロゲン化スズ化合物とシリコンアルコキシ
ド、および周期律表第V族元素化合物を溶解させてなる
紡糸液から紡糸したゲルファイバーをアンモニア雰囲気
に接触させた後、加熱処理することを特徴とする酸化ス
ズファイバーの製造方法である。
【0011】本発明に用いるアルコールは後述のハロゲ
ン化スズ化合物を溶解するものであれば何ら制限されな
い。これらアルコールを一般式ROHで表わすと、Rは
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル
基等の非置換アルキル基、2ーメトキシエチル基、2ー
エトキシエチル基、2ーヒドロキシエチル基、1ーメト
キシー2ープロピル基、メトキシエトキシエチル基、2
ーフェニルエチル基、フェニルメチル基等の置換アルキ
ル基、アリル基等の非置換アルケニル基、2ーメチルー
2ープロペニル基、3ーメチルー3ーブテニル基等の置
換アルケニル基等が挙げられる。
【0012】上記の置換アルキル基、置換アルケニル基
または置換アリール基における置換基の具体例として
は、上記したRの具体例に見られるメトキシ基、エトキ
シ基等のアルコキシル基、ヒドロキシル基、フェニル基
等のアリール基、メチル基、エチル基等のアルキル基の
他に、アミノ基、シアノ基、Cl原子、Br原子、I原
子、F原子等のハロゲン等が挙げられる。
【0013】これらアルコ−ルを具体例に例示すると、
メチルアルコ−ル、エチルアルコ−ル、プロピルアルコ
−ル、ブチルアルコ−ル、オクチルアルコール、2ーメ
トキシエタノール、2ーエトキシエタノール、エチレン
グリコール、1ーメトキシー2ープロピルアルコール、
メトキシエトキシエタノール、2ーフェニルエチルアル
コール、ベンジルアルコ−ル、アリルアルコール、2ー
メチルー2ープロペンー1ーオール、3ーメチルー3ー
ブテンー1ーオール等を挙げることができる。特に、メ
チルアルコール、エチルアルコールはハロゲン化スズ化
合物の溶解度が高く好ましい。上記アルコールは通常単
独で用いられるが、ハロゲン化スズ化合物との反応性、
あるいはハロゲン化スズ化合物の溶解性等を制御するた
めに2種類以上のアルコールの混合物を用いることもで
きる。
【0014】本発明に用いるハロゲン化スズ化合物のハ
ロゲンは、Cl、Br、I、F原子である。このハロゲ
ン化スズ化合物のなかでも、塩化スズ、臭化スズが価
格、安定性の点から好ましい。具体的には、SnC
2、SnCl2・2H20、SnBr2、SnI2、Sn
2等が挙げられ、特に、SnBr2、SnCl2・2H2
O、SnCl2が好ましく用いられる。また該ハロゲン
化スズ化合物において有機化合物で修飾したもの、例え
ばSn(CH32Cl2等も使用できる。
【0015】上記ハロゲン化スズ化合物とアルコールの
配合割合は、ハロゲン化スズ化合物がアルコ−ルに均一
に溶解する範囲であれば、特に制限されない。ただし、
あまりにハロゲン化スズ化合物の割合が低い場合は曳糸
性を示さないのでかなり濃縮する必要があり、アルコ−
ルが無駄になる。また、ハロゲン化スズ化合物の濃度が
あまりにも高いと沈澱が生じ均一な紡糸液が得られな
い。従って、使用するハロゲン化スズ化合物とアルコ−
ルの種類によってその配合割合は異なるが、一般的には
アルコ−ルに対するハロゲン化スズ化合物の使用割合は
モル比で0.02〜0.5が好ましい。この割合で配合
して透明で均一な溶液とした後、更にアルコールを蒸発
させて濃縮し所望の粘度を有する紡糸液とする。
【0016】本発明において、得られる酸化スズファイ
バーの導電性を高めるために、周期律表第V族元素化合
物(以下第V族化合物という)を必要に応じて含有させ
ることができる。この第V族化合物は、後述する加熱処
理によって最終的には酸化物となって酸化スズ中に固溶
する。
【0017】第V族化合物としては、バナジウム化合
物、ニオブ化合物、タンタル化合物、アンチモン化合
物、あるいはビスマス化合物等の第V族元素の化合物が
挙げられる。
【0018】具体的には、バナジウム化合物として、V
Br3、VCl2、VCl3、VCl4、VOBr2、VO
Br3、VOCl3、VF3、VF4、VF5、VI36H2
O、バナジウムのアルコキシドが挙げられ、ニオブ化合
物として、NbCl5、NbBr5、NbF5、NbOC
3、ニオブのアルコキシドが挙げられ、タンタル化合
物として、TaBr5、TaCl5、タンタルのアルコキ
シドが、アンチモン化合物として、SbCl3、SbC
5、SbBr3、オキシ塩化アンチモン、あるいはアン
チモンのアルコキシドが、また、ビスマス化合物として
は、BiCl3、BiI3、ビスマスのアルコキシド等が
挙げられる。
【0019】上記第V族化合物の配合割合は、酸化スズ
ファイバーに導電性を付与したい場合、酸化物換算で酸
化スズに対して0.1〜25mol%が好ましい。上記
割合があまりにも低いと得られる酸化スズファイバ−の
導電性が小さく、またあまりに高くしても導電性付与の
効果は小さくなる。
【0020】本発明において、紡糸を安定的に行うため
に、且つ得られるファイバーの機械的強度を高めるため
にシリコンアルコキシドを紡糸液中に添加することが好
ましい。このようなシリコンアルコキシドとしては、一
般式Si(ORA4、RBSi(ORA3、RBCSi
(ORA2で表されるシリコンアルコキシドが用いられ
る。ここで、RA、RB、RCは、各々、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の直鎖状ま
たは分岐状アルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブ
テニル基、ペンテニル基等の直鎖状または分岐状アルケ
ニル基;フェニル基等のアリール基を示す。
【0021】該シリコンアルコキシドを具体的に例示す
ると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、
テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチ
ルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フ
ェニルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラ
ン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメ
トキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−
オクタデシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、エチルトリエトキシシラン、アミルトリエトキ
シシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−オクチル
トリエトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシ
ラン、n−ドデシルトリエトキシシラン、メチルトリブ
トキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチルトリ
プロポキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリル
トリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラ
ン、ジエチルジメトキシシラン、エチルメチルジエトキ
シシラン等が挙げられる。
【0022】これらのシリコンアルコキシドを添加する
ことにより、高い湿度雰囲気下においても比較的安定的
にしかも長径の大きなファイバーを紡糸することができ
る。又、紡糸直後のゲルファイバーが軟化して崩れやす
くなることが減少するため取扱いが非常に容易になる。
更に最終的に得られるファイバーの機械的強度が向上す
る。これらのシリコンアルコキシドの添加量は、上記ハ
ロゲン化スズ化合物に対して、0.01〜30重量%が
好ましい。上記添加量が0.01重量%よりも少ない
と、充分な効果が得られない。30重量%を超えると、
ファイバー中のシリカ成分が増加して導電性が低下する
ので好ましくない。但し、高い導電性を必要としないと
きは、更にシリコンアルコキシドを添加してもよい。
【0023】ハロゲン化スズ化合物、第V族化合物、お
よびシリコンアルコキシドとアルコールの溶解方法は、
特に限定されない。攪拌下、ハロゲン化スズ化合物、シ
リコンアルコキシド、必要に応じて加える第V族化合物
の混合物にアルコ−ルを滴下する方法、あるいは攪拌
下、アルコールにハロゲン化スズ化合物、シリコンアル
コキシド、並びに必要に応じて第V族化合物を同時に、
又は順次溶解させる方法等を用いることができる。
【0024】本発明の紡糸液の安定性を向上させるため
に、更にアセチルアセトン、アセト酢酸エチル、マロン
酸ジエチル等のカルボキシル基を2個以上有する化合物
をスズの錯化剤として適宜含有させることができる。
【0025】紡糸方法は特に制限はなく、従来公知の紡
糸方法を用いることができる。例えば、紡糸ノズルから
紡糸液を押し出す方法等が挙げられる。得られるファイ
バーの長径、及び直径等は前記紡糸液の粘度、ノズル径
あるいは紡糸ノズルから紡糸液を押し出す速度等を調整
することによって任意に制御することができる。尚、紡
糸液から紡糸した加熱未処理のファイバーをゲルファイ
バーと称する。
【0026】本発明においては、紡糸後のゲルファイバ
ーの湿度に対する安定性を高めるために、該ゲルファイ
バーをアンモニア雰囲気に接触させることが重要であ
る。シリコンアルコキシドを紡糸液に添加することによ
って、紡糸後のゲルファイバーの湿度に対する安定性は
改善されるが、アンモニア雰囲気に接触させると更に湿
度に対する安定性が増す。即ち、このアンモニア雰囲気
でゲルファイバーを処理することによって、後述する加
熱処理までにゲルファイバーを高い湿度雰囲気に接触さ
せてもファイバー形状が安定に保持されるので取り扱い
が極めて容易になり、紡糸工程から加熱処理工程にスム
ーズに移行できるようになる。
【0027】アンモニア雰囲気に接触させる方法は特に
限定されない。例えば、アンモニア雰囲気中で紡糸する
ことにより紡糸直後にアンモニア雰囲気に接触させる方
法、あるいは湿度の低い空気中で紡糸した後にアンモニ
ア雰囲気に接触させる方法等アンモニア雰囲気に接触さ
せる前に高い湿度に接触させない方法であれば何等制限
なく用いることができる。
【0028】アンモニア雰囲気としては、純アンモニア
ガス、あるいは該アンモニアガスを空気、窒素、酸素ガ
ス等で希釈した希釈アンモニアガス、あるいはアンモニ
ア水から蒸発させたアンモニアガス等が適宜採用され
る。アンモニア雰囲気中のアンモニア濃度は、特に制限
されない。アンモニア濃度が低い場合には、長時間接触
させればよいし、濃度が高い場合には、短時間の接触で
よい。一般的には、0.02%〜5%の濃度のアンモニ
ア雰囲気が用いられる。
【0029】アンモニア雰囲気に接触させることによっ
て何故ゲルファイバーの耐湿性が向上するのか、本発明
者らも充分には説明し得ないが、ゲルファイバー中に含
まれるハロゲンがアンモニアとの反応によって捕らえら
れたり、除去されることにより吸湿性が低下するためで
はないかと推定される。
【0030】アンモニア雰囲気処理して得られるゲルフ
ァイバーの加熱処理は、ゲルファイバーからアルコール
などの有機溶媒、あるいは水などを除去してファイバー
の骨格を強くし、場合によっては、更に結晶化させる温
度で行われる。紡糸液から紡糸したままのゲルファイバ
ーはそのままでは十分な機械的強度を示さない。機械的
強度はゲルファイバーを加熱処理することで発現する。
該加熱処理温度は得られるファイバーに機械的強度を付
与できる温度範囲内であれば特に限定されない。加熱処
理温度が低い場合にはファイバー中にアルコール、水な
どが残存するために十分な機械的強度が生じない。ま
た、加熱処理温度が高すぎると酸化スズの分解が進行し
たり、あるいはファイバー中の結晶粒が成長し過ぎ強度
が低下するなどの問題が生じる。上記理由により、加熱
処理温度は250〜1550℃の範囲が好ましい。更に
好適には300〜1500℃の温度で加熱処理すること
が好ましい。
【0031】第V族化合物を添加して、得られるファイ
バーの導電性を向上させたい場合もまた加熱処理が必要
である。紡糸液から紡糸したままのゲルファイバーはそ
のままでは絶縁体であり、導電性はゲルファイバーを加
熱処理することで発現する。該加熱処理温度は得られる
ファイバーに導電性を付与できる温度範囲内であれば特
に限定されない。一般に、加熱処理温度が低い場合には
ファイバー中にアルコールなどの有機物、水等が残存す
るため、また第V族化合物が酸化物の形態にならず酸化
スズと充分に固溶しないため導電性が生じない。また加
熱処理温度が高すぎると、ファイバー中の第V族化合物
が揮散し導電性が低下する、酸化スズの分解が進行す
る、ファイバー中の結晶粒が成長し過ぎ強度が低下する
などの問題を生じる。このため、加熱処理温度として2
50℃〜1550℃の温度範囲が好ましい。さらに好適
には、300℃〜1500℃の温度で加熱処理すること
が好ましい。
【0032】また、加熱処理は通常空気中で行われる
が、特に導電性の高いファイバーを得たいときには、窒
素、アルゴン、水素、アルゴンと水素の混合ガスなどの
還元性雰囲気下や真空中で加熱処理を行うことができ
る。
【0033】更に、該加熱処理に際し、ゲルファイバー
中に存在する水、アルコール等の揮発成分を、乾燥によ
って除去することが良好な酸化スズファイバーを得るた
めに望ましい。かかる乾燥は、加熱処理と同時に行って
も良いが、加熱処理前に予め行う方が良好なファイバー
を得るためには好ましい。これらの場合、乾燥温度は得
られるファイバーにクラックが発生することを防止する
ために、出来るだけ低い温度で行うことが好ましいが、
溶媒に沸点の高いアルコールを用いた場合には、余り低
すぎると乾燥に長時間を要し、効果的でない。一般的な
乾燥温度は室温〜300℃の範囲とすることが好まし
い。
【0034】本発明の、第V族化合物を含有する紡糸液
から得られる導電性酸化スズファイバーの比抵抗値は、
第V族化合物の種類、添加量、焼成雰囲気及び焼成温度
等によって大きく変わるが、通常、103〜10ー1Ω・
cmの値をとることができる。
【0035】また、本発明によって得られる(導電性)
酸化スズファイバーは、結晶質、非晶質のいずれでも取
りうるが、導電性の観点からは結晶質の方が好ましい。
【0036】
【発明の効果】本発明の方法により、加熱処理前にゲル
ファイバーを高い湿度雰囲気に接触させても軟化して形
状が崩れることがなくなり、次の加熱工程へ極めてスム
ーズに移行することができるようになった。この結果、
工業的に安定した操業が可能となり生産性が向上した。
【0037】
【実施例】本発明を以下実施例によって具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。
【0038】実施例1 塩化第一スズ(SnCl2)10g(0.05モル)を
メタノール100ml(2.47モル)に溶解させ均一
で透明な溶液にした。この溶液を濃縮し高粘性の紡糸液
とした。この紡糸液を圧力を加えてノズルから押し出し
アンモニア濃度5000ppmの雰囲気下でドラムに連
続的に巻き取った。得られたファイバ−を大気中室温で
1日放置後、2℃/minの速度で120℃まで昇温し
その温度で30分間保持した。その後10℃/minの
速度で500℃まで昇温しその温度で30分間保持して
加熱処理をおこなった。得られたファイバーは平均15
μmの直径を有し、またX線回折の結果、多結晶性の酸
化スズからなることが確認された。得られたファイバ−
の比抵抗は平均 8×104 Ω・cmであった。またフ
ァイバーの引っ張り強度は平均11MPaであった。紡
糸後のゲルファイバーを相対湿度85%の雰囲気下に1
時間放置したが軟化することなくファイバー形状を保持
した。
【0039】実施例2 塩化第一スズ(SnCl2)10g(0.05モル)お
よび三塩化アンチモン(SbCl3)1g(0.004
モル)をメタノール100ml(2.47モル)に溶解
させ均一で透明な溶液にした。この溶液を濃縮し高粘性
の紡糸液とした。この紡糸液を圧力を加えてノズルから
押し出しアンモニア濃度5000ppmの雰囲気下でド
ラムに連続的に巻き取った。得られたファイバ−を大気
中室温で1日放置後、2℃/minの速度で120℃ま
で昇温しその温度で30分間保持した。その後10℃/
minの速度で500℃まで昇温しその温度で30分間
保持して加熱処理をおこなった。得られたファイバーは
平均15μmの直径を有し、ケイ光X線分析により、ア
ンチモンが仕込組成通りファイバー中に存在しているこ
とが確認された。また、X線回折の結果、酸化スズの複
数の結晶面に対応するピークを有すること、アンチモン
はその酸化物などのピークはみられず酸化スズ中に固溶
していることが確認された。得られたファイバ−の比抵
抗は平均8×10-1Ω・cmであった。また、ファイバ
ーの引っ張り強度は平均6MPaであった。紡糸後のゲ
ルファイバーを相対湿度85%の雰囲気下に1時間放置
したが軟化することなくファイバー形状を保持した。
【0040】実施例3 塩化第一スズ(SnCl2)10g(0.05モル)お
よび三塩化アンチモン(SbCl3)1g(0.004
モル)をメタノール100ml(2.47モル)に溶解
させ均一で透明な溶液にした。その後テトラメトキシシ
ラン1.14g(0.0075モル)を添加溶解させ均
一な溶液を得た。この溶液を濃縮し高粘性の紡糸液とし
た。この紡糸液を圧力を加えてノズルから押し出しアン
モニア濃度5000ppmの雰囲気下でドラムに連続的
に巻き取った。得られたファイバ−を大気中室温で1日
放置後、2℃/minの速度で120℃まで昇温しその
温度で30分間保持した。その後10℃/minの速度
で500℃まで昇温しその温度で30分間保持して加熱
処理をおこなった。得られたファイバーは平均15μm
の直径を有し、ケイ光X線分析により、アンチモン、シ
リカが仕込組成通りファイバー中に存在していることが
確認された。また、X線回折の結果、酸化スズのピーク
を有すること、アンチモンはその酸化物などのピークは
みられず酸化スズ中に固溶していることが確認された。
得られたファイバ−の比抵抗は平均1Ω・cmであっ
た。また、ファイバーの引っ張り強度は平均40MPa
であった。紡糸後のゲルファイバーを相対湿度85%の
雰囲気下に2時間放置したが軟化することなくファイバ
ー形状を保持した。
【0041】実施例4 臭化第一スズ(SnBr2)13.9g(0.05モ
ル)、三塩化アンチモン(SbCl3)1g(0.00
4モル)をメタノ−ル100ml(2.47モル)に溶
解させ均一で透明な溶液にした後、テトラメトキシシラ
ン1.14g(0.0075モル)を添加して溶解させ
均一な溶液を得た。この溶液を濃縮し、高粘性の紡糸液
とした。この紡糸液を圧力を加えてノズルから押し出し
アンモニア濃度が1%である雰囲気下でドラムに連続的
に巻き取った。得られたファイバ−を室温で1日放置
後、2℃/minの速度で120℃まで昇温しその温度
で30分間保持した。その後10℃/minの速度で5
00℃まで昇温しその温度で30分間保持して加熱処理
をおこなった。得られたファイバーは平均15μmの直
径を有し、ケイ光X線分析により、アンチモン、シリカ
が仕込組成通りファイバー中に存在していることが確認
された。また、X線回折の結果、酸化スズのピークを有
すること、アンチモンはその酸化物などのピークはみら
れず酸化スズ中に固溶していることが確認された。得ら
れたファイバ−の比抵抗は平均1Ω・cmであった。ま
た、ファイバーの引っ張り強度は平均40MPaであっ
た。紡糸後のゲルファイバーを相対湿度85%の雰囲気
下に2時間放置したが軟化することなくファイバー形状
を保持した。
【0042】実施例5 塩化第一スズ二水和物(SnCl2・2H20)11.3
g(0.05モル)と三塩化アンチモン(SbCl3
1g(0.004モル)をメタノ−ル100ml(2.
47モル)に溶解させ均一で透明な溶液にした。その後
エチルトリメトキシシラン1.127g(0.0075
モル)を添加して溶解させ均一な溶液を得た。この溶液
を濃縮して、高粘性の紡糸液とした。この紡糸液を圧力
を加えてノズルから押しだしアンモニア濃度5%の雰囲
気下ドラムに連続的に巻き取った。得られたファイバ−
を室温で1日放置後、2℃/minの速度で120℃ま
で昇温しその温度で30分間保持した。その後10℃/
minの速度で500℃まで昇温しその温度で30分間
保持して加熱処理をおこなった。得られたファイバーは
ー平均15μmの直径を有し、ケイ光X線分析により、
アンチモン、シリカが仕込組成通りファイバー中に存在
していることが確認された。また、X線回折の結果、酸
化スズのピークを有すること、アンチモンはその酸化物
などのピークはみられず酸化スズ中に固溶していること
が確認された。得られたファイバ−の比抵抗は平均1
Ω・cmであった。また、ファイバーの引っ張り強度は
平均40MPaであった。紡糸後のゲルファイバーを相
対湿度85%の雰囲気下に2時間放置したが軟化するこ
となくファイバー形状を保持した。
【0043】実施例6 メタノールの代わりにエタノールを100ml、SbC
3 1gの代わりにSb(OC25)31.13gを、テ
トラメトキシシランの代わりにジメチルジエトキシシラ
ン2.22g(0.015モルを)用いること以外は実
施例3と同様に行なった。得られたファイバ−のケイ光
X線分析により、アンチモン、シリカが仕込組成通りフ
ァイバー中に存在していることが確認された。また、X
線回折により、アンチモンが固溶した結晶質の酸化スズ
であることが確認された。得られたファイバ−の比抵抗
は平均8×101Ω・cmであった。また、ファイバー
の引っ張り強度は平均90MPaであった。紡糸後のゲ
ルファイバーを相対湿度85%の雰囲気下に2時間放置
したがファイバー形状を保持した。
【0044】実施例7 テトラメトキシシランの代わりに、ビニルトリメトキシ
シラン0.741g(0.005モル)を用いること以
外は実施例3と同様に行なった。得られたファイバ−の
ケイ光X線分析により、アンチモン、シリカが仕込組成
通りファイバー中に存在していることが確認された。ま
た、X線回折により分析した結果、アンチモンが固溶し
た結晶質の酸化スズであることが確認された。得られた
ファイバ−の比抵抗は平均1Ω・cmであった。また、
ファイバーの引っ張り強度は平均30MPaであった。
紡糸後のゲルファイバーを相対湿度85%の雰囲気下に
2時間放置したがファイバー形状を保持した。
【0045】実施例8 メタノールの代わりに2ーエトキシエタノールを用いる
ことおよび紡糸雰囲気中のアンモニア濃度を200pp
mにすること以外は実施例3と同様に行なった。得られ
たファイバ−のケイ光X線分析により、アンチモン、シ
リカが仕込組成通りファイバー中に存在していることが
確認された。また、X線回折により分析した結果、アン
チモンが固溶した結晶質の酸化スズであることが確認さ
れた。得られたファイバ−の比抵抗は平均1Ω・cmで
あった。また、ファイバーの引っ張り強度は平均40M
Paであった。紡糸後のゲルファイバーを相対湿度85
%の雰囲気下に2時間放置したがファイバー形状を保持
した。
【0046】実施例9 三塩化アンチモン(SbCl3)1g(0.004モ
ル)の代わりに、TaCl5 0.945g(0.00
26モル)を用いること以外は実施例3と同様に行なっ
た。得られたファイバ−のケイ光X線分析により、タン
タル、シリカが仕込組成通りファイバー中に存在してい
ることが確認された。また、X線回折により分析した結
果、タンタルが固溶した結晶質の酸化スズであることが
確認された。得られたファイバ−の比抵抗は平均3×1
3Ω・cmであった。また、ファイバーの引っ張り強
度は平均40MPaであった。紡糸後のゲルファイバー
を相対湿度85%の雰囲気下に2時間放置したがファイ
バー形状を保持した。
【0047】実施例10 三塩化アンチモン(SbCl3)1g(0.004モ
ル)の代わりに、NbCl5 0.712g(0.00
26モル)を用いること以外は実施例3と同様に行なっ
た。得られたファイバ−のケイ光X線分析により、ニオ
ブ、シリカが仕込組成通りファイバー中に存在している
ことが確認された。また、X線回折により分析した結
果、ニオブが固溶した結晶質の酸化スズであることが確
認された。得られたファイバ−の比抵抗は、平均3×1
3Ω・cmであった。また、ファイバーの引っ張り強
度は平均40MPaであった。紡糸後のゲルファイバー
を相対湿度85%の雰囲気下に2時間放置したがファイ
バー形状を保持した。
【0048】実施例11 実施例3において、三塩化アンチモンを加えないこと以
外同様に行った。得られたファイバ−のケイ光X線分析
により、シリカが仕込組成通りファイバー中に存在して
いることが確認された。また、X線回折の結果、結晶質
の酸化スズであることが確認された。得られたファイバ
−の比抵抗は平均8×105Ω・cmであった。また、
ファイバーの引っ張り強度は平均40MPaであった。
紡糸後のゲルファイバーを相対湿度85%の雰囲気下に
2時間放置したがファイバー形状を保持した。 実施例12 相対湿度55%の大気中で紡糸した後、得られたゲルフ
ァイバーをアンモニア濃度200ppmの雰囲気に接触
させて放置させた後、加熱処理すること以外は実施例3
と同様に行った。得られたファイバーは平均15μmの
直径を有し、ケイ光X線分析により、アンチモン、シリ
カが仕込組成通りファイバー中に存在していることが確
認された。また、X線回折の結果、酸化スズのピークを
有すること、アンチモンはその酸化物などのピークはみ
られず酸化スズ中に固溶していることが確認された。得
られたファイバ−の比抵抗は平均1Ω・cmであった。
また、ファイバーの引っ張り強度は平均40MPaであ
った。アンモニア雰囲気に接触させた後のゲルファイバ
ーを相対湿度85%の雰囲気下に2時間放置したが軟化
することなくファイバー形状を保持した。
【0049】比較例1 大気中で紡糸してアンモニア雰囲気に接触させないこと
以外は実施例1と同様に行なった。得られたファイバー
は平均15μmの直径を有し、X線回折の結果、酸化ス
ズであることが確認された。得られたファイバ−の比抵
抗は平均 8×104 Ω・cmであった。また、ファイ
バーの引っ張り強度は平均11MPaであった。紡糸直
後のゲルファイバーを相対湿度75%の雰囲気下に放置
したところ5分後に軟化してファイバー形状が崩れた。
【0050】比較例2 大気中で紡糸してアンモニア雰囲気に接触させないこと
以外は実施例2と同様に行った。得られたファイバーは
平均15μmの直径を有し、ケイ光X線分析により、ア
ンチモンが仕込組成通りファイバー中に存在しているこ
とが確認された。また、X線回折の結果、アンチモンは
その酸化物などのピークはみられず酸化スズ中に固溶し
ていることが確認された。得られたファイバ−の比抵抗
は平均8×10-1Ω・cmであった。また、ファイバー
の引っ張り強度は平均6MPaであった。紡糸後のゲル
ファイバーを相対湿度75%の雰囲気下に5分間放置し
たところ軟化してファイバー形状が崩れた。
【0051】比較例3 大気中で紡糸してアンモニア雰囲気に接触させないこと
以外は実施例3と同様に行なった。得られたファイバー
は平均15μmの直径を有し、ケイ光X線分析により、
アンチモン、シリカが仕込組成通りファイバー中に存在
していることが確認された。また、X線回折の結果、酸
化スズのピークを有すること、アンチモンはその酸化物
などのピークはみられず酸化スズ中に固溶していること
が確認された。得られたファイバ−の比抵抗は平均1Ω
・cmであった。また、ファイバーの引っ張り強度は平
均40MPaであった。紡糸直後のゲルファイバーを相
対湿度85%の雰囲気下に放置したところ1.5時間後
に軟化してファイバー形状が崩れた。
【0052】比較例4 実施例11において、アンモニア雰囲気に接触させない
こと以外は同様に行った。得られたファイバ−のケイ光
X線分析により、シリカが仕込組成通りファイバー中に
存在していることが確認された。また、X線回折の結
果、結晶質の酸化スズであることが確認された。得られ
たファイバ−の比抵抗は平均8×105Ω・cmであっ
た。また、ファイバーの引っ張り強度は平均40MPa
であった。紡糸後のゲルファイバーを相対湿度85%の
雰囲気下に放置したところ1.5時間後に軟化してファ
イバー形状が崩れた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコールにハロゲン化スズ化合物を溶
    解させてなる紡糸液から紡糸したゲルファイバーをアン
    モニア雰囲気に接触させた後、加熱処理することを特徴
    とする酸化スズファイバーの製造方法。
  2. 【請求項2】 アルコールにハロゲン化スズ化合物、お
    よび周期律表第V族元素化合物を溶解させてなる紡糸液
    から紡糸したゲルファイバーをアンモニア雰囲気に接触
    させた後、加熱処理することを特徴とする酸化スズファ
    イバーの製造方法。
  3. 【請求項3】 アルコールにハロゲン化スズ化合物とシ
    リコンアルコキシドを溶解させてなる紡糸液から紡糸し
    たゲルファイバーをアンモニア雰囲気に接触させた後、
    加熱処理することを特徴とする酸化スズファイバーの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 アルコールにハロゲン化スズ化合物とシ
    リコンアルコキシド、および周期律表第V族元素化合物
    を溶解させてなる紡糸液から紡糸したゲルファイバーを
    アンモニア雰囲気に接触させた後、加熱処理することを
    特徴とする酸化スズファイバーの製造方法。
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