JPH0890665A - 複合型光学素子の製造方法 - Google Patents

複合型光学素子の製造方法

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JPH0890665A
JPH0890665A JP6258900A JP25890094A JPH0890665A JP H0890665 A JPH0890665 A JP H0890665A JP 6258900 A JP6258900 A JP 6258900A JP 25890094 A JP25890094 A JP 25890094A JP H0890665 A JPH0890665 A JP H0890665A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複合型光学素子の樹脂表面に、成膜材料に特
に限定されず、耐久性が高い光学薄膜を生産性良く形成
する。 【構成】 所望の樹脂19表面を形成するための光学面
を有した金型1の表面に、光学薄膜2を形成する。光学
素子基材18の表面に樹脂19を供給し、金型1により
樹脂19を押し広げた後、樹脂19を硬化させる。その
後、樹脂を金型1から離型することにより、所望形状の
樹脂を形成するとともに、金型1表面に形成した光学薄
膜2を樹脂19表面に転写する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学素子基材表面に樹
脂を載置した複合型光学素子、より詳しくは該樹脂表面
に光学薄膜が形成されている複合型光学素子の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カメラ等の光学機器において、光
学性能の向上、レンズ枚数の削減等を目的として、非球
面等の特殊な形状を有する光学素子が搭載されるように
なってきている。中でも非球面を有する光学素子として
は、例えば、特開昭59−12412号公報に開示され
るように、ガラス製光学素子基材面上に樹脂を形成した
複合型光学素子が提案されている。一方、複合型光学素
子の表面には、ガラスやプラスチック等からなる単独の
光学素子と同様に、光学的な機能を付加させる目的で、
反射防止膜や反射増加膜等の光学薄膜を形成することが
しばしば行われる。複合型光学素子の場合、一般にガラ
ス側の面と樹脂側の面が存在しているので、各々の面に
各々の基材材料に適した光学被膜が形成されることが多
い。例えば、ガラスの場合、真空蒸着等の手法により基
板を300℃程度に加熱しながら光学薄膜を形成できる
ので、光学薄膜の密着性、擦傷性等の耐久性が高く、光
学薄膜を構成する成膜材料も選択の幅が広いが、樹脂の
場合には、熱変形温度が低く、基板を高温に加熱できな
いため、光学薄膜の耐久性を得ることが難しく、特別な
成膜材料や成膜手法を用いたりしているが現状である。
特に樹脂側の表面に光学薄膜を形成する場合は、例えば
特開平4−42201号公報に開示されるようなプラス
チック製光学部品の反射防止膜とその形成方法等が適用
できる。この反射防止膜は、二酸化ケイ素(SiO2
と酸化ハフニウム(HfO2 )からなる3層構造を有し
ており、真空蒸着法により、50〜60℃以下の低温で
基材の表面上に直接成膜して形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術、特開平
4−42201号公報記載の発明を用いて複合型光学素
子の樹脂に光学薄膜を形成する場合、ガラス等の光学素
子基材の表面に金型を用いて所望の形状を有した樹脂を
形成し、複合型光学素子を得た後、真空蒸着等により光
学薄膜を樹脂表面に形成することになるので、工程が多
く、生産性が悪いという欠点があった。
【0004】また、前述したように従来技術では、50
〜60℃以下の低温で光学薄膜を形成するため、光学薄
膜の密着性や擦傷性等の耐久性が充分ではなかった。さ
らに、従来技術では、光学被膜を構成する成膜材料がS
iO2 やHfO2 等の酸化物に限られ、屈折率的に光学
薄膜に適しているフッ化マグネシウム(MgF2 )等の
フッ化物を適用することは困難であった。
【0005】本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので、請求項1に係る発明は、複合型光学素子
の樹脂表面に、成膜材料に特に限定されず、耐久性が高
い光学薄膜を生産性良く形成する複合型光学素子の製造
方法を提供することを目的とする。
【0006】請求項2に係る発明は、上記目的に加え
て、特に擦傷性高い光学薄膜を形成する複合型光学素子
の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】請求項3に係る発明は、上記目的に加え
て、特に歩留まりよく光学薄膜を形成する複合型光学素
子の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に係る発明は、光学素子基材とエネルギー
硬化性樹脂とが接合され、該エネルギー硬化性樹脂の表
面に光学薄膜が形成されている複合型光学素子を製造す
るにあたり、所望の樹脂表面を形成するための光学面を
有した金型の表面に、光学薄膜を、前記樹脂表面に転写
した後に所望の光学性能を有するように形成する工程
と、光学素子基材の表面にエネルギー硬化性樹脂を供給
し、金型と光学素子基材とを相対的に接近させることに
より樹脂を押圧して広げた後、エネルギーの照射により
樹脂を硬化させ、硬化した樹脂を金型から離型すること
により、所望の形状を有した樹脂を形成するとともに、
金型表面に形成した光学薄膜を樹脂表面に転写する工程
とを有することを特徴とする。
【0009】ここで、本発明の光学薄膜には、反射防止
膜、反射増加膜、半透膜、偏向膜、吸収膜、位相膜、干
渉フィルター等が挙げられるが、光学的に機能を付加さ
せるものであれば、特に限定されものではない。
【0010】また、本発明の光学薄膜は、金型表面に対
し、樹脂表面に転写した後に所望の光学性能を有するよ
うに形成するが、これの意味する所は、特に光学薄膜は
2層以上で構成されている場合に、金型表面から樹脂表
面に光学薄膜を転写する際、膜構成の順序が逆転するの
で、最終的に樹脂表面に転写した後に必要とする光学特
性を有する膜構成と順序が逆であるような膜構成で金型
表面に形成することである。
【0011】また、本発明の光学薄膜は一般に真空蒸着
法により形成するが、この他イオンプレーティング法、
スパッタリング法等の物理的成膜法(PVD)や化学的
成膜法(CVD)でも良く、真空を用いないスピンコー
ト法やディピング法、スプレー法等でもなんら構わな
い。
【0012】また、本発明の光学素子基材は、一般に光
学ガラスを用いるが、その代わりとして熱可塑性樹脂等
を用いても良く、特に限定されるものではない。
【0013】また、本発明のエネルギー硬化性樹脂と
は、紫外線硬化性樹脂、可視光硬化性樹脂、電子線硬化
性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられ、照射するエネルギ
ーも、各々紫外線、可視光、電子線、熱等が挙げられる
が、エネルギーの照射により硬化する樹脂であれば特に
限定されものではない。
【0014】請求項2に係る発明は、請求項1に係る発
明においては、金型を加熱しながら光学薄膜を形成する
ことを特徴としている。
【0015】ここで、本発明の金型を加熱させる温度
は、150〜450℃程度が好ましいが、さらに好まし
くは250〜350℃程度である。
【0016】請求項3に係る発明は、請求項1,2に係
る発明において、金型の表面に予め光学薄膜の密着性が
低い離型層を形成することを特徴としている。
【0017】ここで、本発明の離型層とは、テフロン等
のフッ素化合物やシリコーン等のケイ素化合物等からな
る薄膜層、またはそれらの化合物を分散させた金属メッ
キ層、フッ化処理等による表面改質層等が挙げられる
が、光学薄膜の密着性が低い材質であれば特に限定され
ものではない。
【0018】
【作用】請求項1に係る発明では、まず、所望の樹脂表
面を形成するための光学面を有した金型の表面に、光学
薄膜を、樹脂表面に転写した後に所望の光学性能を有す
るように形成する。このように本発明では、光学薄膜を
直接形成する基板が複合型光学素子の樹脂そのものでは
なく、金型表面である。
【0019】次に、光学素子基材の表面にエネルギー硬
化性樹脂を供給し、金型と光学素子基材とを相対的に接
近させることにより樹脂を押圧して広げた後、エネルギ
ーの照射を硬化させ、硬化した樹脂を金型から離型す
る。ここで、樹脂が硬化する際、金型表面に形成された
光学薄膜と接着し、光学薄膜と樹脂とが強力に密着す
る。このため、樹脂を硬化させた後、金型から離型する
と、光学薄膜は樹脂と密着したまま、樹脂表面に転写さ
れる。このように、本発明では所望の形状を有した樹脂
を形成すると同時に、金型表面に形成した光学薄膜を樹
脂表面に転写するので、複合型光学素子を成形すると同
時に樹脂に光学薄膜を形成できる。このため、従来必要
であった複合型光学素子の成形後に、樹脂表面に光学薄
膜を形成する工程を省略することができるので、生産性
を向上させることができる。
【0020】また、前述したように光学薄膜と樹脂と
は、強力に密着しているので光学薄膜の密着性が非常に
高くなる。
【0021】請求項2に係る発明では、請求項1に係る
発明において、金型を加熱しながら光学薄膜を形成す
る。本発明では、光学薄膜を直接形成する基板が複合型
光学素子の樹脂そのものではなく、金型表面であるの
で、450℃程度以下の加熱を行うことが可能である。
特に真空蒸着法等で光学薄膜を形成する場合、250〜
350℃程度の加熱を行うことにより、光学薄膜が、成
膜材料によらず、バルクに近い緻密で硬い膜となるの
で、擦傷性が飛躍的に向上する。また、このように擦傷
性が向上することにより、光学薄膜を構成する成膜材料
を特に限定する必要がなくなり、従来適用が困難であっ
たMgF2 等のフッ化物も適用が可能となる。
【0022】請求項3に係る発明では、請求項1,2に
係る発明において、金型の表面に予め光学薄膜の密着性
が低い離型層を形成する。このようにしておくと、光学
薄膜の樹脂に対する密着力が、金型との密着力よりも格
段に上回るので、樹脂を金型から離型する際、光学薄膜
が金型に取られることなく、よりスムーズに光学薄膜を
金型から樹脂に転写することができ、生産時の歩留まり
が向上する。また、従来では粘着性の高いエネルギー硬
化性樹脂が金型表面を密着していたので、上記のような
離型層を金型表面に施しただけでは、離型性が不充分で
あることが多かったが、本発明では、金型表面と密着す
るのが光学薄膜であり、離型性も著しく向上し、安定し
た生産が可能となる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の複合型光学素子の製造方法を
実施例により具体的に説明する。
【0024】[実施例1]図1は、本実施例で用いる所
望の樹脂表面を形成するための光学面(本実施例では非
球面)を有した成形用の金型1(材質:商品名PD55
5、大同特殊鋼(株)製)の縦断面図である。まず、こ
の金型1の表面に、最終的に樹脂表面に転写した後に所
望の光学性能(本実施例では反射防止)を有するような
光学薄膜2(本実施例では反射防止膜)を形成する。
【0025】図2は、金型1の表面に光学薄膜2を形成
するための真空蒸着装置4の縦断面図であり、以下、図
2を用いて本実施例の光学薄膜2の形成方法について説
明する。まず、金型1を成形する側の面を下に真空蒸着
装置4にセットした後、真空蒸着チャンバー5内に1×
10-3Pa以下の真空に排気する。金型1の加熱は行わ
なかった。その後、蒸着材料6としてSiO2 (屈折率
n=1.46)を用い、電子銃7から放出される電子線
を用いて加熱する、電子線加熱蒸着法により、光学的膜
厚にして180nm蒸着して第1層を形成する。つづい
て、同様に二酸化チタン(TiO2 )(屈折率n=1.
95)を電子線加熱蒸着法により、光学的膜厚にして2
5nm蒸着して第2層を形成する。このように本実施例
の光学薄膜2を金型1表面に形成する。
【0026】次に、光学薄膜2が形成された金型1を用
いて複合型光学素子を成形する。図3〜5は、各々本実
施例の複合型光学素子の成形工程を示す縦断面図であ
り、以下、図3〜5を用いて本実施例の複合型光学素子
の成形方法について説明する。
【0027】まず、図3に示すように、光学ガラス(材
質;商品名BSL7、(株)オハラ製)を用いて球面研
磨された光学素子基材18の上面に、ウレタンアクリレ
ート系エネルギー(本実施例では紫外線)硬化性の樹脂
19(屈折率n=1.52)をディスペンサー20から
必要量吐出して供給する。光学素子基材18の上面は、
予め樹脂19との密着性を向上させるためにシランカッ
プリング剤(材質;商品名KBM−503、信越化学工
業(株)製)をエタノールにて1重量%に希釈した液で
表面処理し、100℃で5分間乾燥されている。
【0028】次に、図4に示すように、表面に光学薄膜
2が形成され、光学素子基材18と同軸線上に配設した
金型1と、光学素子基材18とを相対的に接近させるこ
とにより、樹脂19を押圧して広げ、樹脂19が所望の
厚さになった位置で停止させる。この状態で、光学素子
基材18の下方よりエネルギー21(本実施例では紫外
線)を照射して、樹脂19を硬化させる。この時、光学
薄膜2と樹脂19とが接着させ、光学薄膜2と樹脂19
とが強力に密着する。
【0029】その後、図5に示すように、金型1を光学
素子基材18と相対的に遠ざけることにより、硬化した
樹脂19を金型1から離型する。この時、光学薄膜2の
樹脂19に対する密着力が、金型1との密着力を上回っ
ているので、光学薄膜2は樹脂19と密着したまま、樹
脂19の表面に転写される。
【0030】以上のような工程により樹脂19の表面に
光学薄膜2が形成された複合型光学素子22が製造され
る。本実施例の製造方法により製造された複合型光学素
子22の縦断面図を図6に示す。
【0031】次に、本実施例の製造方法により製造され
た複合型光学素子22の樹脂19の表面の表面に形成さ
れた光学薄膜2の分光反射率特性を評価しところ、図7
に示すような良好な光学性能(本実施例では反射防止)
を有していた。また、複合型光学素子22の樹脂19の
表面に形成された光学薄膜2の密着性を、以下のような
テープ剥離試験により評価したところ、光学薄膜2の剥
離は皆無であった。
【0032】テープ剥離試験;幅10mmの粘着テープ
(セロハン粘着テープ)を光学薄膜の表面に貼りつけ、
粘着テープの一端を90°の角度から瞬時に引き剥がす
テストを10回繰り返した後、膜の剥離の有無を調べ
る。
【0033】[作用]本実施例において、樹脂19が硬
化する際、金型1表面に形成された光学薄膜2と樹脂1
9とが接着し、光学薄膜2と樹脂19とが強力に密着す
る。このため、樹脂19を硬化させた後、金型1から離
型すると、光学薄膜2の樹脂19に対する密着力が、金
型1との密着力を上回っているので、光学薄膜2は樹脂
19と密着したまま、樹脂19表面に転写される。この
ように、本実施例では所望の形状を有した樹脂19を形
成すると同時に、金型1表面に形成した光学素子薄膜2
を樹脂19表面に転写するので、複合型光学素子22を
成形すると同時に樹脂19表面に光学薄膜2を形成でき
る。このため、従来必要であった複合型光学素子の成形
後に、樹脂表面に光学薄膜を形成する工程を省略するこ
とができるので、生産性を向上させることができる。
【0034】また、光学薄膜2と樹脂19とは、強力に
密着しているので光学薄膜2の密着性が非常に高くな
る。
【0035】[効果]以上のように本実施例の複合型光
学素子の製造方法によれば、複合型光学素子の樹脂表面
に密着性が高い光学薄膜を生産性良く形成することがで
きる。
【0036】[実施例2] [構成]本実施例では、図1に示した実施例1と同様の
金型1を用い、この金型1の表面に、最終的に樹脂表面
に転写した後に所望の光学性能(本実施例では反射防
止)を有するような光学薄膜2(本実施例では反射防
止)を形成する。
【0037】本実施例では、図2に示した実施例1と同
様の真空蒸着装置4を用いて、金型1の表面に光学薄膜
2を形成する。以下、図2を用いて本実施例の光学薄膜
2の形成方法について説明する。まず、金型1を成形す
る側の面を下にして真空蒸着装置4にセットした後、真
空蒸着チャンバー5内を3×10-3Pa以下の真空に排
気する。金型1は電熱ヒータ8を用いて300℃程度に
加熱した。その後、蒸着材料6としてMgF2 (屈折率
n=1.38)を用い、電子銃7から放出される電子線
を用いて加熱する、電子線加熱蒸着法により、光学的膜
厚にして130nm蒸着して第1層を形成する。このよ
うにして本実施例の光学薄膜2を金型1表面に形成す
る。
【0038】次に、図3〜5に示した実施例1と同様の
工程で光学薄膜2が形成された金型1を用いて複合型光
学素子を成形する。
【0039】以上のような工程により樹脂19の表面に
光学薄膜2が形成された複合型光学素子22が製造され
る。
【0040】次に、図6に示すような、本実施例の製造
方法により製造された複合型光学素子22の樹脂19の
表面に形成された光学薄膜2の分光反射率特性を評価し
たところ、図8に示すような良好な光学性能(本実施例
では反射防止特性)を有していた。また、複合型光学素
子22の樹脂19の表面に形成された光学薄膜2の密着
性を、実施例1と同様のテープ剥離試験により評価した
ところ、光学薄膜2の剥離は皆無であった。さらに、光
学薄膜2の擦傷性を、以下のような擦傷性試験により評
価したところ、なんら問題はなかった。
【0041】擦傷性試験 ; スチールウール(#00
0)をおよそ500gf/cm2 の圧力で100往復擦
りつけた後、膜表面の傷の有無を調べる。
【0042】[作用]本実施例においては、金型1を3
00℃程度に加熱しながら光学薄膜2を形成するため、
光学薄膜2が、成膜材料によらず、バルクに近い緻密で
硬い膜となる。従って、擦傷性が飛躍的に向上し、従来
適用が困難であったMgF2 等のフッ化物も適用が可能
となる。なお、MgF2 が屈折率が他の誘電体と比べて
低く(n=1.38)、単層でも充分に反射防止の効果
を有する。
【0043】また、実施例1と同様に樹脂19が硬化す
る際、金型1表面に形成された光学薄膜2と樹脂19と
が接着し、光学薄膜2と樹脂19とが強力に密着する。
このため、樹脂19を硬化させた後、金型1から離型す
ると、光学薄膜2の樹脂19に対する密着力が金型1と
の密着力とを上回っているので、光学薄膜2は樹脂19
と密着したまま、樹脂19表面に転写される。このよう
に、本実施例では所望の形状を有した樹脂19を形成す
ると同時に、金型1表面に形成した光学薄膜2を樹脂1
9表面に転写するので、複合型光学素子22を成形する
と同時に樹脂19表面に光学薄膜2を形成できる。この
ため、従来必要であった複合型光学素子の成形後に、樹
脂表面に光学薄膜を形成する工程を省略することができ
るので、生産性を向上させることができる。
【0044】また、光学薄膜2と樹脂19とは、強力に
密着しているので光学薄膜2の密着性が非常に高くな
る。
【0045】[効果]以上のように本実施例の複合型光
学素子の製造方法によれば、複合型光学素子の樹脂表面
に、MgF2 のように加熱して形成しなければ適用が困
難であった成膜材料を用いて、密着性と擦傷性が高い光
学薄膜を生産性良く形成することができる。
【0046】[実施例3] [構成]図9は、本実施例で用いる所望の樹脂表面を形
成するための光学面(本実施例では非球面)を有した成
形用の金型1(材質;商品名PD555、大同特殊鋼
(株)製)の縦断面図である。この金型1の表面には予
め、光学薄膜の密着性が低い離型層3を形成しておく。
本実施例の離型層3は溶融型のテフロン(材質;商品名
バイタックス、(株)デュポン製)で、フロンで希釈し
た液体をスピンコート法により塗布した後、300℃、
1時間程度加熱して形成する。
【0047】次に、この金型1の離型層3の表面に、最
終的に樹脂表面に転写した後に所望の光学性能(本実施
例では反射増加)を有するような光学薄膜2(本実施例
では反射増加膜)を形成する。
【0048】図10は、金型1の離型層3の表面に光学
薄膜2を形成するためのスパッタリング装置9の縦断面
図であり、以下、図10を本実施例の光学薄膜2の形成
方法ついて説明する。
【0049】まず、金型1を成形する側の面を下にして
スパッタリング装置9にセットした後、チャンバー10
内を2×10-3Pa以下の真空に排気する。金型1の加
熱は行わなかった。その後、導入ガス11としてアルゴ
ン(Ar)を導入して、0.2Paの圧力にした後、R
F電源12により、700W印加してプラズマ13を起
こし、SiO2 (屈折率n=1.46)からなるターゲ
ット材料14をRFスパッタ法により、光学的膜厚にし
て30nmスパッタして第1層を形成する。つづいて、
同様のAr圧力で、DC電源15により2KW印加して
プラズマ16を起こし、アルミニウム(Al)(屈折率
n=0.8+6.0i)からなるターゲット材料17を
DCスパッタ法により、物理的膜厚にして70nmスパ
ッタして第2層を形成する。このようにして本実施例の
光学薄膜2を金型1の離型層3を表面に形成する。
【0050】次に、図3〜5に示した実施例1と同様の
工程で光学薄膜2が形成された金型1を用いて複合型光
学素子を成形する。その中で図5に示すように樹脂19
の金型1から離型する際、金型1の表面に離型層3が形
成されているので、光学薄膜2の樹脂19に対する密着
力が、金型1との密着力よりも格段に上回るので、光学
薄膜2が金型1に取られることなく、非常にスムーズに
光学薄膜2を金型1から樹脂19に転写することができ
る。
【0051】以上のような工程により樹脂19の表面に
光学薄膜2が形成された複合型光学素子が製造される。
【0052】次に、図6に示すような、本実施例の製造
方法により製造された複合型光学素子22の樹脂19の
表面に形成された光学薄膜2の分光反射率特性を評価し
たところ、図11に示すような良好な光学性能(本実施
例では反対増加特性)を有していた。また、複合型光学
素子22の樹脂19の表面に形成された光学薄膜2の密
着性を、実施例1と同様のテープ剥離試験により評価し
たところ、光学薄膜2の剥離は皆無であった。
【0053】[作用]本実施例にいおいては、金型1の
表面に予め光学薄膜2の密着性が低い離型層3が形成し
ているので、光学薄膜2の樹脂19に対する密着力が、
金型1との密着力よりも格段に上回り、樹脂19を金型
1から離型する際、光学薄膜2が金型1に取られること
なく、非常にスムーズに光学薄膜2を金型1から樹脂1
9に転写することができる。また、金型1表面と密着す
るのが光学薄膜2であるため、離型性も著しく向上し、
安定した生産が可能となる。
【0054】また、複合型光学素子22を成形すると同
時に樹脂19表面に光学薄膜2を形成できる。このた
め、従来必要であった複合型光学素子の成形後に、樹脂
表面に光学薄膜を形成する工程を省略することができる
ので、生産性を向上させることができる。また、光学薄
膜2と樹脂19とは、強力に密着しているので光学薄膜
2の密着性が非常に高い。
【0055】[効果]以上にように本実施例の複合型光
学素子の製造方法によれば、複合型光学素子の樹脂表面
に、密着性が高い光学薄膜を、生産性良く、且つ歩留ま
り良く形成することができる。
【0056】[実施例4]本実施例では、図9に示した
実施例3と同様の金型1を用い、この金型1の表面には
予め、光学薄膜2の密着性が低い離型層3を形成してお
く。本実施例の離型層3はテフロンの微粒子を分散させ
た燐ニッケル(P−Ni)(材質;商品名カニフロン、
日本カニゼン(株)製)で、メッキにより形成されてい
る。
【0057】次に、この金型1の離型層3の表面に、最
終的に樹脂表面に転写した後に所望の光学性能(本実施
例では半透過)を有するような光学薄膜2(本実施例で
は半透膜)を形成する。
【0058】本実施例では、図2に示した実施例1と同
様の真空蒸着装置4を用いて、金型1の表面に光学薄膜
2を形成する。以下、図2を用いて本実施例の光学薄膜
2の形成方法について説明する。
【0059】まず、金型1を成形する側の面を下にして
真空蒸着装置4にセットした後、真空チャンバー5内を
3×10-3Pa以下の真空に排気する。金型1は電熱ヒ
ータ8を用いて300℃程度に加熱した。その後、蒸着
材料6として酸化タンタル(Ta2 5 )(屈折率n=
2.1)を用い、電子銃7から放出される電子線を用い
て加熱する、電子線加熱蒸着法により、光学的膜厚にし
て130nm蒸着して第1層を形成する。次に、同様に
MgF2 (屈折率n=1.38)を電子加熱蒸着法によ
り、光学的膜厚にして130nm蒸着して第2層を形成
する。つづいて、同様にTa2 5 を電子線加熱蒸着法
により、光学的膜厚にして130nm蒸着して第3層を
形成する。さらに、同様にMgF2 を電子線加熱蒸着法
により、光学的膜厚にして130nm蒸着して第4層を
形成する。最後に、同様にTa25 を電子線加熱蒸着
法により、光学的膜厚にして260nm蒸着して第5層
を形成する。このようにして本実施例の光学薄膜2を金
型1の離型層3の表面に形成する。
【0060】次に図3〜5に示した実施例1と同様の固
定で光学薄膜2が形成された金型1を町鋳て複合型光学
素子を成形する。その中で図5に示すように樹脂19を
金型1から離型する際、金型1の表面に離型層3が形成
されているので、光学薄膜2の樹脂19に対する密着力
が、金型1との密着力よりも格段に上回るので、光学薄
膜2が金型1に取られることなく、非常にスムーズに光
学薄膜2を金型1から樹脂19に転写することができ
る。
【0061】以上にような工程により樹脂19の表面に
光学薄膜2が形成された複合型光学素子が製造される。
【0062】次に、図6に示すような、本実施例の製造
方法により製造された複合型光学素子22の樹脂19の
表面に形成された光学薄膜2の分光反射率特性を評価し
たところ、図12に示すような良好な光学性能(本実施
例では半透過特性)を有していた。また、複合型光学素
子22の樹脂19の表面に形成された光学薄膜2の密着
性を、実施例1と同様のテープ剥離試験により評価した
ところ、光学薄膜2の剥離は皆無であった。さらに、光
学薄膜2の擦傷性を、実施例2と同様の擦傷性試験によ
り評価したところ、なんら問題はなかった。
【0063】[作用]本実施例においては、金型1を3
00℃程度に加熱しながら光学薄膜2を形成するため、
光学薄膜2が、成膜材料によらず、バルクに近い緻密で
硬い膜となる。従って、擦傷性が飛躍的に向上し、従来
適用が困難であったMgF2 等のフッ化物も適用が可能
となる。なお、MgF2 は屈折率が他の誘電体と比べて
低く(n=1.38)、半透膜の構成する上で有利であ
る。
【0064】また、実施例においては、金型1の表面に
予め光学薄膜2の密着性が低い離型層3を形成している
ので、光学薄膜2の樹脂19に対する密着力が、金型1
との密着力よりも格段に上回り、樹脂19を金型1から
離型する際、光学薄膜2が金型1に取られることなく、
非常にスムーズに光学薄膜2を金型1から樹脂19に転
写することができる。また、金型1表面と密着するのが
光学薄膜2であるため、離型性も著しく向上し、安定し
た生産が可能となる。
【0065】また、複合型光学素子22を成形すると同
時に樹脂19表面に光学薄膜2を形成できる。このた
め、従来必要であった複合型光学素子の成形後、樹脂表
面に光学薄膜を形成する工程を省略することができるの
で、生産性を向上させることができる。
【0066】また、光学薄膜2と樹脂19とは、強力に
密着しているので光学薄膜2の密着性が非常に高い。
【0067】[効果]以上にように、本実施例の複合型
光学素子の製造方法によれば、複合型光学素子の樹脂表
面に、MgF2 のように加熱して形成しなければ適用が
困難であった成膜材料を用いて、密着性と擦傷性が高い
光学薄膜を生産性良く、且つ歩留まり良く形成すること
ができる。
【0068】
【発明の効果】以上のように請求項1の複合型光学素子
の製造方法によれば、複合型光学素子の樹脂表面に、密
着性が高い光学薄膜を生産性良く形成することができ
る。請求項2の複合型光学素子の製造方法によれば、請
求項1の効果に加えて、複合型光学素子の樹脂表面に、
成膜材料に特に限定されず、擦傷性が高い光学薄膜を形
成することができる。請求項3の複合型光学素子の製造
方法によれば、請求の範囲第1項の効果に加えて、複合
型光学素子の樹脂表面に、歩留まり良く光学薄膜を形成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いた金型を示す縦断面図である。
【図2】実施例1で用いた真空蒸着装置を示す縦断面図
である。
【図3】実施例1の成形工程を示す縦断面図である。
【図4】実施例1の成形工程を示す縦断面図である。
【図5】実施例1の成形工程を示す縦断面図である。
【図6】実施例1で得た複合型光学素子を示す縦断面図
である。
【図7】実施例1で得た複合型光学素子の光学薄膜の分
光反射率特性を示すグラフである。
【図8】実施例2で得た複合型光学素子の光学薄膜の分
光反射率特性を示すグラフである。
【図9】実施例3で用いた金型を示す縦断面図である。
【図10】実施例3で用いたスパッタリング装置を示す
縦断面図である。
【図11】実施例3で得た複合型光学素子の光学薄膜の
分光反射率特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 金型 2 光学薄膜 4 真空蒸着装置 6 蒸着材料 9 スパッタリング装置 14,17 ターゲット材料 18 光学素子基材 19 樹脂 22 複合型光学素子
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年2月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図12
【補正方法】追加
【補正内容】
【図12】実施例4で得た複合型光学素子の光学薄膜の
分光反射率特性を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学素子基材とエネルギー硬化性樹脂と
    が接合され、該エネルギー硬化性樹脂の表面に光学薄膜
    が形成されている複合型光学素子を製造する方法におい
    て、所望の樹脂表面を形成するための光学面を有した金
    型の表面に、光学薄膜を、前記樹脂表面に転写した後に
    所望の光学性能を有するように形成する工程と、光学素
    子基材の表面にエネルギー硬化性樹脂を供給し、金型と
    光学素子基材とを相対的に接近させることにより樹脂を
    押圧して広げた後、エネルギーの照射により樹脂を硬化
    させ、硬化した樹脂を金型から離型することにより、所
    望の形状を有した樹脂を形成するとともに、金型表面に
    形成した光学薄膜を樹脂表面に転写する工程とを有する
    ことを特徴とする複合型光学素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 金型を加熱しながら光学薄膜を形成する
    ことを特徴とする請求項1記載の複合型光学素子の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 金型の表面に予め光学薄膜の密着性が低
    い離型層を形成することを特徴とする請求項1または2
    記載の複合型光学素子の製造方法。
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