JPH0899256A - 優れたリン酸亜鉛処理性を与えるAl−Mg系合金材の研削方法 - Google Patents
優れたリン酸亜鉛処理性を与えるAl−Mg系合金材の研削方法Info
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- JPH0899256A JPH0899256A JP25924794A JP25924794A JPH0899256A JP H0899256 A JPH0899256 A JP H0899256A JP 25924794 A JP25924794 A JP 25924794A JP 25924794 A JP25924794 A JP 25924794A JP H0899256 A JPH0899256 A JP H0899256A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 主要合金成分としてMgを含有し、且つCu
0.02%以上を含むAl−Mg系合金材を全面研削または
部分的に研削したのちリン酸亜鉛処理する場合、研削を
アルミニウムより貴な金属およびそれら金属の酸化物の
うちの1種以上の存在下で行う。銅、酸化銅、酸化亜鉛
の使用がとくに好ましい。 【効果】 研削部におけるリン酸亜鉛処理性の低下が抑
制され、研削部と非研削部との間でリン酸亜鉛皮膜の生
成量に大きな差が生じない。
0.02%以上を含むAl−Mg系合金材を全面研削または
部分的に研削したのちリン酸亜鉛処理する場合、研削を
アルミニウムより貴な金属およびそれら金属の酸化物の
うちの1種以上の存在下で行う。銅、酸化銅、酸化亜鉛
の使用がとくに好ましい。 【効果】 研削部におけるリン酸亜鉛処理性の低下が抑
制され、研削部と非研削部との間でリン酸亜鉛皮膜の生
成量に大きな差が生じない。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れたリン酸亜鉛処理
性を与えるAl−Mg系合金材の研削方法、とくに自動
車車体用パネルに適用され塗装下地としてリン酸亜鉛皮
膜を形成するAl−Mg系合金材の研削方法に関する。
性を与えるAl−Mg系合金材の研削方法、とくに自動
車車体用パネルに適用され塗装下地としてリン酸亜鉛皮
膜を形成するAl−Mg系合金材の研削方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の軽量化を目的として、ア
ルミニウム合金板が自動車車体用パネル材に使用され始
めている。自動車車体パネル用アルミニウム合金板につ
いては、通常、プレス成形などの加工を行って所定形状
に成形したのち、塗装工程の前処理としてリン酸亜鉛処
理液による塗装下地処理が行われ、塗装後の耐食性や鮮
映性を優れたものとするために十分な量のリン酸亜鉛皮
膜を形成することが要求される。
ルミニウム合金板が自動車車体用パネル材に使用され始
めている。自動車車体パネル用アルミニウム合金板につ
いては、通常、プレス成形などの加工を行って所定形状
に成形したのち、塗装工程の前処理としてリン酸亜鉛処
理液による塗装下地処理が行われ、塗装後の耐食性や鮮
映性を優れたものとするために十分な量のリン酸亜鉛皮
膜を形成することが要求される。
【0003】自動車車体パネル用アルミニウム合金とし
ては、強度、耐食性などの観点から、例えば、0.3〜
6%のMgを主要合金成分として含有するAl−Mg系
合金(5000系アルミニウム合金)が多く使用されて
いるが、アルミニウム合金のリン酸亜鉛処理性は合金成
分によって変動し、5000系アルミニウム合金の場合
にはCu量による影響がとくに大きく、Cu含有量が少
ないほどリン酸亜鉛処理性が低下し、Cu0.10%以下の
Al−Mg系合金ではリン酸亜鉛皮膜生成量が不足にな
り易い。
ては、強度、耐食性などの観点から、例えば、0.3〜
6%のMgを主要合金成分として含有するAl−Mg系
合金(5000系アルミニウム合金)が多く使用されて
いるが、アルミニウム合金のリン酸亜鉛処理性は合金成
分によって変動し、5000系アルミニウム合金の場合
にはCu量による影響がとくに大きく、Cu含有量が少
ないほどリン酸亜鉛処理性が低下し、Cu0.10%以下の
Al−Mg系合金ではリン酸亜鉛皮膜生成量が不足にな
り易い。
【0004】またAl−Mg系合金においては、成形加
工後に引張り歪模様(SSマーク)が生じ易く、SSマ
ークを除去するため、あるいは成形加工時に発生した傷
を除去するために部分的な研削が行われる。この場合、
Al−Mg系合金に0.02%以上のCuが含まれると、研
削部のリン酸亜鉛処理性が劣化して皮膜生成量が少なく
なり、非研削部(健全部)におけるリン酸亜鉛皮膜生成
量との差が大きくなって、塗装後の塗装ムラの発生およ
び研削部の耐食性の低下が問題となる。
工後に引張り歪模様(SSマーク)が生じ易く、SSマ
ークを除去するため、あるいは成形加工時に発生した傷
を除去するために部分的な研削が行われる。この場合、
Al−Mg系合金に0.02%以上のCuが含まれると、研
削部のリン酸亜鉛処理性が劣化して皮膜生成量が少なく
なり、非研削部(健全部)におけるリン酸亜鉛皮膜生成
量との差が大きくなって、塗装後の塗装ムラの発生およ
び研削部の耐食性の低下が問題となる。
【0005】図1は、Mg4.5 %を含有するAl−Mg
合金のCu含有量を変えたアルミニウム合金板材を作製
し、脱脂、洗浄したのち、研磨剤としてアルミナを使用
した研磨紙で全面研磨を行った板材と研磨しない板材と
を市販のリン酸亜鉛処理剤を用いてリン酸亜鉛処理し、
皮膜の生成量を比較したものである。図1に示されるよ
うに、Cu含有量が0.02%以上のAl−Mg合金におい
て、研削材と非研削材とのリン酸亜鉛皮膜生成量の差が
大きくなっている。
合金のCu含有量を変えたアルミニウム合金板材を作製
し、脱脂、洗浄したのち、研磨剤としてアルミナを使用
した研磨紙で全面研磨を行った板材と研磨しない板材と
を市販のリン酸亜鉛処理剤を用いてリン酸亜鉛処理し、
皮膜の生成量を比較したものである。図1に示されるよ
うに、Cu含有量が0.02%以上のAl−Mg合金におい
て、研削材と非研削材とのリン酸亜鉛皮膜生成量の差が
大きくなっている。
【0006】発明者らは、Al−Mg系合金の研削部に
おいてリン酸亜鉛処理性が低下し、非研削部との間にリ
ン酸亜鉛皮膜生成量の差が生じることについて、その原
因と対策を究明するために、上記Al−Mg合金のう
ち、Mg4.5 %、Cu0.30%を含有するアルミニウム合
金の板材を試験材として基礎的検討を行った。
おいてリン酸亜鉛処理性が低下し、非研削部との間にリ
ン酸亜鉛皮膜生成量の差が生じることについて、その原
因と対策を究明するために、上記Al−Mg合金のう
ち、Mg4.5 %、Cu0.30%を含有するアルミニウム合
金の板材を試験材として基礎的検討を行った。
【0007】図2は、研削しない試験材(健全材)をリ
ン酸亜鉛処理した場合における処理時間による化成電位
の変化を示したものであるが、リン酸亜鉛化成電位は化
成処理開始後tc,o 時間( 臨界時間) で界面のpHが臨
界pHに達し、リン酸亜鉛皮膜が生成し始めるとともに
電位は貴となる。これに対して、研削した試験材におい
ては、図3に示すように、臨界時間が健全材より長くな
るのが認められる。これは研削により化成処理面からカ
ソード的因子が減少するためであり、その結果、健全材
と研削材とを別個にリン酸亜鉛処理した場合(単板処
理)における両者のリン酸亜鉛皮膜生成量を比べると、
図3に示すように、研削材では欠乏したカソード因子の
分だけ皮膜生成量が減少する。
ン酸亜鉛処理した場合における処理時間による化成電位
の変化を示したものであるが、リン酸亜鉛化成電位は化
成処理開始後tc,o 時間( 臨界時間) で界面のpHが臨
界pHに達し、リン酸亜鉛皮膜が生成し始めるとともに
電位は貴となる。これに対して、研削した試験材におい
ては、図3に示すように、臨界時間が健全材より長くな
るのが認められる。これは研削により化成処理面からカ
ソード的因子が減少するためであり、その結果、健全材
と研削材とを別個にリン酸亜鉛処理した場合(単板処
理)における両者のリン酸亜鉛皮膜生成量を比べると、
図3に示すように、研削材では欠乏したカソード因子の
分だけ皮膜生成量が減少する。
【0008】一方、健全材と研削材とを電気的に接続し
てリン酸亜鉛処理した場合(カップリング処理)、図4
および図5に示すように、化成処理の初期段階において
は健全材と研削材との間の電位差が小さく、僅かな電流
が流れるのみであるが、健全材の臨界時間(tc,o ) に
達すると両材料間に大きな電位差が生じ、健全材がカソ
ード、研削材がアノードとなって、アノード(研削材)
からカソード(健全材)へ大きなカップリング電流(I
ac) が流れるため、研削材のリン酸亜鉛皮膜の生成量が
単板処理の場合よりもさらに減少し、健全材のリン酸亜
鉛皮膜生成量は単板処理の場合より大きく増加して、図
6に示すように、両者のリン酸亜鉛皮膜生成量の差がき
わめて大きくなるのが認められる。
てリン酸亜鉛処理した場合(カップリング処理)、図4
および図5に示すように、化成処理の初期段階において
は健全材と研削材との間の電位差が小さく、僅かな電流
が流れるのみであるが、健全材の臨界時間(tc,o ) に
達すると両材料間に大きな電位差が生じ、健全材がカソ
ード、研削材がアノードとなって、アノード(研削材)
からカソード(健全材)へ大きなカップリング電流(I
ac) が流れるため、研削材のリン酸亜鉛皮膜の生成量が
単板処理の場合よりもさらに減少し、健全材のリン酸亜
鉛皮膜生成量は単板処理の場合より大きく増加して、図
6に示すように、両者のリン酸亜鉛皮膜生成量の差がき
わめて大きくなるのが認められる。
【0009】Al−Mg系合金材について、成形加工時
に生じるSSマークを除去するあるいは成形加工時に発
生した傷を除去するために部分的な研削を行った場合、
研削部が上記単板処理における研削材に相当し、また非
研削部が単板処理における健全材に相当することとなっ
て同様な現象が生じ、非研削部(健全部)の化成反応が
促進される一方、研削部の化成反応が抑制されて、図6
に示すように、両部分におけるリン酸亜鉛皮膜の生成量
の差がきわめて大きくなり、その結果、塗装ムラが生じ
易く、研削部では塗装後の耐食性が低下することとな
る。
に生じるSSマークを除去するあるいは成形加工時に発
生した傷を除去するために部分的な研削を行った場合、
研削部が上記単板処理における研削材に相当し、また非
研削部が単板処理における健全材に相当することとなっ
て同様な現象が生じ、非研削部(健全部)の化成反応が
促進される一方、研削部の化成反応が抑制されて、図6
に示すように、両部分におけるリン酸亜鉛皮膜の生成量
の差がきわめて大きくなり、その結果、塗装ムラが生じ
易く、研削部では塗装後の耐食性が低下することとな
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、Mgを主要
合金成分として含有し、これにCuを含むAl−Mg系
合金材、とくにCu0.02%以上を含むAl−Mg系合金
材の研削部におけるリン酸亜鉛皮膜の生成に関する上記
の基礎的検討から得られた結果に基づいてなされたもの
であり、その目的は、研削部におけるリン酸亜鉛処理性
の劣化を抑制し、研削部と健全部との間に流れるカップ
リング電流を低減して、研削部と非研削部とのリン酸亜
鉛皮膜の生成量の差を少なくした、優れたリン酸亜鉛処
理性を与えるAl−Mg系合金材の研削方法を提供する
ことにある。
合金成分として含有し、これにCuを含むAl−Mg系
合金材、とくにCu0.02%以上を含むAl−Mg系合金
材の研削部におけるリン酸亜鉛皮膜の生成に関する上記
の基礎的検討から得られた結果に基づいてなされたもの
であり、その目的は、研削部におけるリン酸亜鉛処理性
の劣化を抑制し、研削部と健全部との間に流れるカップ
リング電流を低減して、研削部と非研削部とのリン酸亜
鉛皮膜の生成量の差を少なくした、優れたリン酸亜鉛処
理性を与えるAl−Mg系合金材の研削方法を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による優れたリン酸亜鉛処理性を与えるAl
−Mg系合金材の研削方法は、主要合金成分としてMg
を含有し、且つCu0.02%以上を含むAl−Mg系合金
材を全面研削または部分的に研削したのちリン酸亜鉛処
理する場合、研削をアルミニウムより貴な金属およびそ
れらの金属の酸化物のうちの1種以上の存在下で行うこ
とを構成上の特徴とする。
めの本発明による優れたリン酸亜鉛処理性を与えるAl
−Mg系合金材の研削方法は、主要合金成分としてMg
を含有し、且つCu0.02%以上を含むAl−Mg系合金
材を全面研削または部分的に研削したのちリン酸亜鉛処
理する場合、研削をアルミニウムより貴な金属およびそ
れらの金属の酸化物のうちの1種以上の存在下で行うこ
とを構成上の特徴とする。
【0012】また、主要合金成分としてMgを含有し、
且つCu0.02%以上を含むAl−Mg系合金材を全面研
削または部分的に研削したのちリン酸亜鉛処理する場
合、研削を銅、酸化銅および酸化亜鉛のうちの1種以上
の存在下で行うことを構成上の第2の特徴とする。
且つCu0.02%以上を含むAl−Mg系合金材を全面研
削または部分的に研削したのちリン酸亜鉛処理する場
合、研削を銅、酸化銅および酸化亜鉛のうちの1種以上
の存在下で行うことを構成上の第2の特徴とする。
【0013】本発明において、対象となるアルミニウム
合金材は、Mgを主要合金成分として含有し、且つリン
酸亜鉛皮膜の生成量が不足しないためにCu0.02%以上
を含むAl−Mg系合金材であるが、Mgの含有量が2
〜8 %の範囲でCu0.10%以上を含むAl−Mg系合金
材がとくに好適に使用される。Mg、Cu以外の合金成
分として、Al−Mg系合金(5000系アルミニウム
合金)に通常添加される、例えば0.5 %以下のMn、0.
5 %以下のCr、0.2 %以下のTi、0.2 %以下のZ
r、0.3 %以下のV、0.5 %以下のZn、0.01%以下の
Be、0.7 %以下のFe、0.4 %以下のSiなどが含ま
れてもよい。
合金材は、Mgを主要合金成分として含有し、且つリン
酸亜鉛皮膜の生成量が不足しないためにCu0.02%以上
を含むAl−Mg系合金材であるが、Mgの含有量が2
〜8 %の範囲でCu0.10%以上を含むAl−Mg系合金
材がとくに好適に使用される。Mg、Cu以外の合金成
分として、Al−Mg系合金(5000系アルミニウム
合金)に通常添加される、例えば0.5 %以下のMn、0.
5 %以下のCr、0.2 %以下のTi、0.2 %以下のZ
r、0.3 %以下のV、0.5 %以下のZn、0.01%以下の
Be、0.7 %以下のFe、0.4 %以下のSiなどが含ま
れてもよい。
【0014】0.02%以上のCuを含むAL−Mg系合金
における研削によるリン酸亜鉛処理性の低下を改善し、
Al−Mg合金材を部分的に研削する場合、研削部と健
全部との間に発生するカップリング電流を低減すること
により研削部におけるリン酸亜鉛処理性の低下を抑制し
て、非研削部(健全部)と同等のリン酸亜鉛処理性を与
えるためには、研削した個所にカソード的因子を付与す
ることが前記基礎的検討より考えられる。
における研削によるリン酸亜鉛処理性の低下を改善し、
Al−Mg合金材を部分的に研削する場合、研削部と健
全部との間に発生するカップリング電流を低減すること
により研削部におけるリン酸亜鉛処理性の低下を抑制し
て、非研削部(健全部)と同等のリン酸亜鉛処理性を与
えるためには、研削した個所にカソード的因子を付与す
ることが前記基礎的検討より考えられる。
【0015】発明者らは、研削部にカソード的因子を付
与して、研削部のリン酸亜鉛処理性を改善する方法につ
いて種々の実験検討を行った結果、Al−Mg系合金材
の研削時にアルミニウムよりも貴な金属またはそれらの
金属の酸化物を添加し、あるいは例えばこれを研磨剤に
混合し、研磨紙に塗布するなど、アルミニウムよりも貴
な金属またはそれらの酸化物の存在下で研削を行うのが
効果的であることを見出した。
与して、研削部のリン酸亜鉛処理性を改善する方法につ
いて種々の実験検討を行った結果、Al−Mg系合金材
の研削時にアルミニウムよりも貴な金属またはそれらの
金属の酸化物を添加し、あるいは例えばこれを研磨剤に
混合し、研磨紙に塗布するなど、アルミニウムよりも貴
な金属またはそれらの酸化物の存在下で研削を行うのが
効果的であることを見出した。
【0016】有効な金属、金属酸化物としては、銅、酸
化銅(CuO、Cu2 O)、酸化亜鉛(ZnO)があ
り、これらの1種以上を粉末で適用するのが好ましい。
これらのうち酸化銅、酸化亜鉛がより好ましく、Cu2
OおよびZnOを適用することにより最大の効果が達成
できる。
化銅(CuO、Cu2 O)、酸化亜鉛(ZnO)があ
り、これらの1種以上を粉末で適用するのが好ましい。
これらのうち酸化銅、酸化亜鉛がより好ましく、Cu2
OおよびZnOを適用することにより最大の効果が達成
できる。
【0017】Cuを含むAl−Mg系合金材において
は、製造時の加熱酸化により生成した酸化皮膜を除去す
るために、硫酸系洗浄剤などで酸洗処理を行うが、その
際Cu成分が合金材表面に濃化する現象が生じる。研削
を行った場合、表面に濃化したCuが除去され、Cu分
が濃化している非研削部との間に電気化学的な差が生
じ、研削部がアノード、非研削部がカソードとなって両
者の間にカップリング電流が流れる結果、リン酸亜鉛処
理性に顕著な相違ができることが考えられる。
は、製造時の加熱酸化により生成した酸化皮膜を除去す
るために、硫酸系洗浄剤などで酸洗処理を行うが、その
際Cu成分が合金材表面に濃化する現象が生じる。研削
を行った場合、表面に濃化したCuが除去され、Cu分
が濃化している非研削部との間に電気化学的な差が生
じ、研削部がアノード、非研削部がカソードとなって両
者の間にカップリング電流が流れる結果、リン酸亜鉛処
理性に顕著な相違ができることが考えられる。
【0018】研削時にアルミニウムより貴な金属または
それらの酸化物を添加して研削部に付着させ、電気化学
的にCuが濃化している非研削部と同じ表面状態とする
ことにより研削部のリン酸亜鉛処理性が回復するものと
考察される。また、Cuの効果がCuO、ZnOより小
さいのは、材料表面への付着性の違いによるもので、銅
の付着性よりもCuOやZnOの付着性のほうが大きい
ことが考えられる。
それらの酸化物を添加して研削部に付着させ、電気化学
的にCuが濃化している非研削部と同じ表面状態とする
ことにより研削部のリン酸亜鉛処理性が回復するものと
考察される。また、Cuの効果がCuO、ZnOより小
さいのは、材料表面への付着性の違いによるもので、銅
の付着性よりもCuOやZnOの付着性のほうが大きい
ことが考えられる。
【0019】
【作用】本発明においては、Al−Mg系合金材の研削
を、アルミニウムよりも貴な金属またはこれら金属の酸
化物の存在下で行うから、研削部にカソード的因子が付
与されて、非研削部との間に同等の電気化学的表面状態
が形成され、0.02%以上のCuを含有するAl−Mg系
合金における研削部のリン酸亜鉛処理性の低下が抑制さ
れ、部分研削を行った場合にも、研削部と健全部との間
に流れるカップリング電流が低減されてリン酸亜鉛処理
皮膜生成量に大きな差が生じなくなる。
を、アルミニウムよりも貴な金属またはこれら金属の酸
化物の存在下で行うから、研削部にカソード的因子が付
与されて、非研削部との間に同等の電気化学的表面状態
が形成され、0.02%以上のCuを含有するAl−Mg系
合金における研削部のリン酸亜鉛処理性の低下が抑制さ
れ、部分研削を行った場合にも、研削部と健全部との間
に流れるカップリング電流が低減されてリン酸亜鉛処理
皮膜生成量に大きな差が生じなくなる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 Mg4.5 %、Cu0.3 %を含有し、残部Alと不可避的
不純物からなるAl−Mg系合金の焼鈍処理板(厚さ1
mm) を、2%硫酸水溶液を使用し、70℃、1 分間浸漬の
条件で前処理したのち、研磨紙により全面研削を行っ
た。研磨紙としては、研磨剤にアルミナを使用した研磨
紙に、100 〜200 メッシュの金属銅粉、CuO粉、Cu
2 O粉、ZnO粉を塗布したものを使用した。研削後の
材料は1日放置し、十分に水洗して表面に付着した粉末
を除去した。
不純物からなるAl−Mg系合金の焼鈍処理板(厚さ1
mm) を、2%硫酸水溶液を使用し、70℃、1 分間浸漬の
条件で前処理したのち、研磨紙により全面研削を行っ
た。研磨紙としては、研磨剤にアルミナを使用した研磨
紙に、100 〜200 メッシュの金属銅粉、CuO粉、Cu
2 O粉、ZnO粉を塗布したものを使用した。研削後の
材料は1日放置し、十分に水洗して表面に付着した粉末
を除去した。
【0021】研削後、市販のリン酸亜鉛処理剤(日本パ
ーカライジング株式会社製PB-L3020) を使用し、以下の
条件でリン酸亜鉛処理を行い、生成したリン酸亜鉛皮膜
の生成量を、蛍光X線分析法でP付着量を定量すること
により測定した。 脱脂処理:日本パーカライジング(株)製FC-L4460の溶
液に43℃で2 分間浸漬。 表面調整:日本パーカライジング(株)製PL-4040 の溶
液を使用して室温で30秒間浸漬。 化成処理:PB-L3020を使用し、43℃で、120 秒間浸漬。
ーカライジング株式会社製PB-L3020) を使用し、以下の
条件でリン酸亜鉛処理を行い、生成したリン酸亜鉛皮膜
の生成量を、蛍光X線分析法でP付着量を定量すること
により測定した。 脱脂処理:日本パーカライジング(株)製FC-L4460の溶
液に43℃で2 分間浸漬。 表面調整:日本パーカライジング(株)製PL-4040 の溶
液を使用して室温で30秒間浸漬。 化成処理:PB-L3020を使用し、43℃で、120 秒間浸漬。
【0022】リン酸亜鉛皮膜生成量の測定結果を、非研
削材(健全材)および各種粉末を塗布しない通常の研磨
紙で研削した材料と比較して図7に示す。図7に示され
るように、Cu粉、CuO粉、Cu2 O粉、ZnO粉を
塗布した研磨紙で研削した材料のリン酸亜鉛処理性は、
通常の研磨紙で研削したものに比べて向上しており、と
くにCu2 O粉およびZnO粉を塗布したものでは、健
全材とほとんど変わらないリン酸亜鉛処理性を示した。
削材(健全材)および各種粉末を塗布しない通常の研磨
紙で研削した材料と比較して図7に示す。図7に示され
るように、Cu粉、CuO粉、Cu2 O粉、ZnO粉を
塗布した研磨紙で研削した材料のリン酸亜鉛処理性は、
通常の研磨紙で研削したものに比べて向上しており、と
くにCu2 O粉およびZnO粉を塗布したものでは、健
全材とほとんど変わらないリン酸亜鉛処理性を示した。
【0023】実施例2 実施例1と同一組成のAl−Mg系合金板について、実
施例1と同一の酸洗浄を行ったのち、実施例1と同様の
方法で全面研削した。ついで、研削後にリン酸亜鉛皮膜
を形成した材料と研削せずにリン酸亜鉛皮膜を形成した
材料とを2枚1組とし、距離20cmで向かい合わせ、両
材料をリード線で電気的に導通させて、実施例1と同一
の処理剤および処理条件でリン酸亜鉛処理を行った。
施例1と同一の酸洗浄を行ったのち、実施例1と同様の
方法で全面研削した。ついで、研削後にリン酸亜鉛皮膜
を形成した材料と研削せずにリン酸亜鉛皮膜を形成した
材料とを2枚1組とし、距離20cmで向かい合わせ、両
材料をリード線で電気的に導通させて、実施例1と同一
の処理剤および処理条件でリン酸亜鉛処理を行った。
【0024】リン酸亜鉛処理後、両材料の表面に生成し
たリン酸亜鉛皮膜の生成量を実施例1と同様の方法で測
定した。組み合わせた健全材と研削材のリン酸亜鉛皮膜
生成量を図8に示す。図8にみられるように、各種粉末
を塗布しない研磨紙を使用して研削を行った通常の研削
材に比べ、Cu粉、CuO粉、Cu2 O粉、ZnO粉を
塗布した研磨紙で研削した材料のリン酸亜鉛処理性は改
善されており、とくにCu2 O粉およびZnO粉を塗布
したものでは、健全材とほとんど変わらないリン酸亜鉛
処理性を示した。
たリン酸亜鉛皮膜の生成量を実施例1と同様の方法で測
定した。組み合わせた健全材と研削材のリン酸亜鉛皮膜
生成量を図8に示す。図8にみられるように、各種粉末
を塗布しない研磨紙を使用して研削を行った通常の研削
材に比べ、Cu粉、CuO粉、Cu2 O粉、ZnO粉を
塗布した研磨紙で研削した材料のリン酸亜鉛処理性は改
善されており、とくにCu2 O粉およびZnO粉を塗布
したものでは、健全材とほとんど変わらないリン酸亜鉛
処理性を示した。
【0025】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、Cuを
含むAl−Mg合金材の研削部におけるリン酸亜鉛処理
性の劣化が効果的に抑制され、部分的に研削した合金材
においても、研削部と非研削部とのリン酸亜鉛処理性に
大きな差が生じることがなく、同等の皮膜生成量が得ら
れ、成形加工後SSマークを除去するためあるいは成形
加工時に発生した傷を除去するために全面または部分的
に研削し、ついでリン酸亜鉛処理する自動車車体用材料
として問題なく使用することが可能となる。
含むAl−Mg合金材の研削部におけるリン酸亜鉛処理
性の劣化が効果的に抑制され、部分的に研削した合金材
においても、研削部と非研削部とのリン酸亜鉛処理性に
大きな差が生じることがなく、同等の皮膜生成量が得ら
れ、成形加工後SSマークを除去するためあるいは成形
加工時に発生した傷を除去するために全面または部分的
に研削し、ついでリン酸亜鉛処理する自動車車体用材料
として問題なく使用することが可能となる。
【図1】研削したAl−Mg系合金材と研削しないAl
−Mg系合金材のリン酸亜鉛皮膜生成量とCu含有量と
の関係を示すグラフである。
−Mg系合金材のリン酸亜鉛皮膜生成量とCu含有量と
の関係を示すグラフである。
【図2】Al−Mg系合金の非研削材における化成電圧
の化成時間による変化を示す図である。
の化成時間による変化を示す図である。
【図3】Al−Mg系合金の研削材における化成電圧の
化成時間による変化を示す図である。
化成時間による変化を示す図である。
【図4】Al−Mg系合金の研削材とひ研削材(健全
材)を電気的に導通した場合における電流の流れを示す
図である。
材)を電気的に導通した場合における電流の流れを示す
図である。
【図5】Al−Mg系合金の研削材と非研削材(健全
材)を組み合わせた場合における化成電位およびカップ
リング電流の化成時間による変化を示す図である。
材)を組み合わせた場合における化成電位およびカップ
リング電流の化成時間による変化を示す図である。
【図6】Al−Mg系合金の健全材と研削材のリン酸亜
鉛皮膜生成量を、単板処理した場合およびカップリング
処理した場合について示すグラフである。
鉛皮膜生成量を、単板処理した場合およびカップリング
処理した場合について示すグラフである。
【図7】本発明により処理されたAl−Mg系合金材の
リン酸亜鉛皮膜生成量を、単板処理した場合について健
全材と比較して示すグラフである。
リン酸亜鉛皮膜生成量を、単板処理した場合について健
全材と比較して示すグラフである。
【図8】本発明により処理されたAl−Mg系合金材の
健全材と研削材を、カップリング処理した場合について
示すグラフである。
健全材と研削材を、カップリング処理した場合について
示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 主要合金成分としてMgを含有し、且つ
Cu0.02%(質量%。以下同じ)以上を含むAl−Mg
系合金材を全面研削または部分的に研削したのちリン酸
亜鉛処理する場合、研削をアルミニウムより貴な金属お
よびそれらの金属の酸化物のうちの1種以上の存在下で
行うことを特徴とする優れたリン酸亜鉛処理性を与える
Al−Mg系合金材の研削方法。 - 【請求項2】 主要合金成分としてMgを含有し、且つ
Cu0.02%以上を含むAl−Mg系合金材を全面研削ま
たは部分的に研削したのちリン酸亜鉛処理する場合、研
削を銅、酸化銅および酸化亜鉛のうちの1種以上の存在
下で行うことを特徴とする優れたリン酸亜鉛処理性を与
えるAl−Mg系合金材の研削方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25924794A JPH0899256A (ja) | 1994-09-29 | 1994-09-29 | 優れたリン酸亜鉛処理性を与えるAl−Mg系合金材の研削方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25924794A JPH0899256A (ja) | 1994-09-29 | 1994-09-29 | 優れたリン酸亜鉛処理性を与えるAl−Mg系合金材の研削方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0899256A true JPH0899256A (ja) | 1996-04-16 |
Family
ID=17331456
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP25924794A Pending JPH0899256A (ja) | 1994-09-29 | 1994-09-29 | 優れたリン酸亜鉛処理性を与えるAl−Mg系合金材の研削方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0899256A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2013015110A1 (ja) | 2011-07-25 | 2013-01-31 | 日本軽金属株式会社 | アルミニウム合金板及びアルミニウム合金板の製造方法 |
| JP2021101042A (ja) * | 2015-05-07 | 2021-07-08 | フォスファン エルティーディー | 超微細リン酸塩化成結晶質コーティングを適用する方法 |
-
1994
- 1994-09-29 JP JP25924794A patent/JPH0899256A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2013015110A1 (ja) | 2011-07-25 | 2013-01-31 | 日本軽金属株式会社 | アルミニウム合金板及びアルミニウム合金板の製造方法 |
| JPWO2013015110A1 (ja) * | 2011-07-25 | 2015-02-23 | 日本軽金属株式会社 | アルミニウム合金板及びアルミニウム合金板の製造方法 |
| US10041154B2 (en) | 2011-07-25 | 2018-08-07 | Nippon Light Metal Company, Ltd. | Aluminum alloy sheet and method for manufacturing same |
| JP2021101042A (ja) * | 2015-05-07 | 2021-07-08 | フォスファン エルティーディー | 超微細リン酸塩化成結晶質コーティングを適用する方法 |
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