JPH09111000A - 球形樹脂微粒子の製造法 - Google Patents

球形樹脂微粒子の製造法

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JPH09111000A
JPH09111000A JP7266948A JP26694895A JPH09111000A JP H09111000 A JPH09111000 A JP H09111000A JP 7266948 A JP7266948 A JP 7266948A JP 26694895 A JP26694895 A JP 26694895A JP H09111000 A JPH09111000 A JP H09111000A
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stirring
water
stirring blade
fine particles
aqueous medium
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JP7266948A
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English (en)
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Keni Mou
堅偉 毛
Fumihiko Inaba
文彦 稲葉
Minoru Nomura
実 野村
Hiroyuki Ominato
弘之 大湊
Hiroko Sakurai
宏子 桜井
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】微粒子の粒度分布がシャープで且つ平均粒子径
のロット再現性に優れた球形樹脂微粒子の製造法を提供
する。 【解決手段】攪拌槽内に主攪拌翼と補助攪拌翼とが取り
付けられた回転軸を有する攪拌装置において、主攪拌翼
が、攪拌時に上昇液流を生ぜしめる様にその末端と攪拌
槽内壁側面との間が離れ、かつ、中心軸の最下段に位置
するものであって、一方、補助攪拌翼が、垂直或いはそ
の回転に伴って掻き上げる方向に傾斜したスクレ−パを
攪拌槽内壁側に有し、かつ、該スクレーパに連結して垂
直或いは回転に伴って押し下げる方向に傾斜したパドル
を有するものであり、更に、上下に隣接する攪拌翼にお
いて下段の攪拌翼の上端が上段の攪拌翼の下端に対して
回転軸の回転方向と反対方向に向かって位相のずれを生
じるように設置されていることを特徴とする攪拌装置を
用いて、それ自体で水に分散しうる非水溶性樹脂の有機
溶媒溶液に水性媒体を添加混合して転相乳化させるか、
又は非水溶性樹脂の有機溶媒溶液に、乳化剤及び/又は
分散安定剤を含む水性媒体を添加混合して転相乳化させ
た後、該分散液中の溶媒を除去し、樹脂微粒子を取り出
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転相乳化現象を利
用した粒度分布がシャープな球形樹脂微粒子の製造法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】非水溶性樹脂を有機溶媒に溶解して得ら
れた樹脂液に、水性媒体を添加混合し、転相乳化させた
後、該分散液中の溶媒を除去し、樹脂粒子を取り出すこ
とによる球形樹脂微粒子の形成方法としては、乳化剤を
使用する特公平7−47643記載の方法や、非水溶性
樹脂として自己水分散性樹脂を用いる乳化剤を使用しな
い方法が知られている。
【0003】このような乳化現象を利用した樹脂微粒子
の形成に於いては、樹脂組成や有機溶媒組成が同じなら
ば、有機溶媒溶液(A)と水性媒体(B)との攪拌・混
合方法が、微粒子の粒度分布や粒子径のロット再現性な
どに大きな影響を与える。
【0004】これら乳化による球形樹脂微粒子製造方法
に供しうる攪拌装置としては、従来は一般的に知られた
攪拌混合装置が使用されている。それらに用いられてい
る攪拌翼の例を挙げれば、アンカー翼、タービン翼、フ
アウドラー翼、マックスブレンド翼(住友重機械工業株
式会社)、フルゾーン翼(神鋼パンテック株式会社)な
どがあり、また攪拌・混合装置としてはホモミクサー
(特殊機化工業株式会社)などがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような攪拌混合装置を乳化工程に用いた球形樹脂微粒子
製造方法においては、得られる微粒子の粒度分布がブロ
ードであり、微粒子の平均粒子径のロットによる振れが
大きく、そのために、用途によっては、得られた球形樹
脂微粒子を分級して粒度分布をシャープにすることが不
可欠となっており、そのために収率が低下し、結果とし
て製造コストが高くなっていた。このことは、特に1〜
100ミクロンの範囲の粒径を有する球形樹脂微粒子を
形成する際の問題点となっていた。
【0006】本発明では、非水溶性樹脂を有機溶媒に溶
解して得られた樹脂液に、水性媒体を添加混合し、転相
乳化現象を利用しての球形樹脂微粒子形成方法に於い
て、乳化工程に乳化剤を使用する場合でも、乳化剤を使
用しない場合でも、特別な攪拌装置を使用することによ
り、微粒子の粒度分布がシャープで且つ平均粒子径のロ
ット再現性に優れた方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、攪拌翼各
部の役割および流れに付いて詳細に検討した結果、攪拌
槽内に特定の構造を有する多段攪拌翼を設けることによ
り、粒度分布がシャープな球形樹脂微粒子を効率良く且
つ再現性良く製造できることを見いだし本発明を完成す
るに至った。
【0008】即ち本発明は、攪拌槽内に主攪拌翼と補助
攪拌翼とが取り付けられた回転軸を有する攪拌装置にお
いて、主攪拌翼が、攪拌時に上昇液流を生ぜしめる様に
その末端と攪拌槽内壁側面との間が離れ、かつ、中心軸
の最下段に位置するものであって、一方、補助攪拌翼
が、垂直或いはその回転に伴って掻き上げる方向に傾斜
したスクレ−パを攪拌槽内壁側に有し、かつ、該スクレ
ーパに連結して垂直或いは回転に伴って押し下げる方向
に傾斜したパドルを有するものであり、更に、上下に隣
接する攪拌翼において下段の攪拌翼の上端が上段の攪拌
翼の下端に対して回転軸の回転方向と反対方向に向かっ
て位相のずれを生じるように設置されている攪拌装置を
使用し、それ自体で水に分散しうる非水溶性樹脂の有機
溶媒溶液に水性媒体を添加混合して転相乳化させるか、
又は非水溶性樹脂の有機溶媒溶液に、乳化剤及び/又は
分散安定剤を含む水性媒体を添加混合して転相乳化させ
る球形樹脂微粒子水性分散液の製造法、及びそれで得ら
れた球形樹脂微粒子水性分散液中の水性媒体を除去して
乾燥させる球形樹脂微粒子の製造法を提供するものであ
る。
【0009】以下、「それ自体で水に分散しうる非水溶
性樹脂の有機溶媒溶液」及び「非水溶性樹脂の有機溶媒
溶液」を併せて、単に有機溶媒溶液(A)と称し、「水
性媒体」及び「乳化剤及び/又は分散安定剤を含む水性
媒体」を併せて、単に水性媒体(B)と称する。また、
水性媒体とは、水または水を主成分とした液媒体であ
る。
【0010】本攪拌装置では、剪断混合性と全体循環混
合性の両者を同時に向上させるための創意が根幹をな
す。即ち、本攪拌装置における攪拌は、攪拌槽内の液体
が主攪拌翼によって発生させられる槽底からの吐出流と
なって槽壁面を沿って上昇し、次いで中心軸付近で下降
するフロ−パタンを形成すると同時に、該循環を相殺す
ることなく補助攪拌翼の有するスクレーパによって剪断
混合を行なうものである。
【0011】先ず、本攪拌装置に於ける主攪拌翼は、攪
拌時に上昇液流を生ぜしめる様にその末端と攪拌槽内壁
側面との間が離れているものであって、全体循環流発生
の起点となる強力な吐出力を生ぜしめるものである。
【0012】ここで主攪拌翼末端と攪拌槽内壁側面との
間隔は、攪拌時において上昇液流を生ぜしめる程度に離
れていればよいが、なかでも強力な槽内の循環流が得ら
れる点から、攪拌槽内径と攪拌翼の中心軸を経由する長
さとの比が0.5〜0.9であることが好ましい。
【0013】また、その形状は特に限定されるものでは
ないが、やはり吐出力に優れる点から広幅パドルである
ことが好ましい。また、設置場所は中心軸の最下段であ
るが、槽底壁面に沿うように設けられていることが、上
昇液流発生への貢献が大きい点から好ましい。
【0014】本攪拌装置における補助攪拌翼は、主攪拌
翼によって生じた上昇液流を相殺することなく、むしろ
槽内の全体循環混合性へ寄与するのと同時に、翼の外端
と槽との間隔を小さくして、掻き取り、剪断混合を行っ
て、槽壁への付着防止等を行なうものであり、垂直或い
はその回転に伴って掻き上げる方向に傾斜したスクレ−
パを攪拌槽内壁側に有し、かつ、該スクレーパに連結し
て垂直或いは回転に伴って押し下げる方向に傾斜したパ
ドルを有するものである。
【0015】また、該補助攪拌翼は1段であってもよい
が、剪断混合性および循環混合性に優れる点から複数で
あることが好ましく、例えばその数は2〜5段であるこ
とが好ましい。
【0016】補助攪拌翼の形状に関しては、外端のスク
レ−パ部およびこれを内側にて支持するパドル部ともに
垂直でもよいが、その回転に伴ってスクレ−パ部が掻き
上げる方向に、そしてパドル部は回転に伴って掻き下げ
る方向に傾斜している方がより好ましい。特に液粘度が
低く、慣性流れが支配的な領域では傾斜している形状の
方がより優れた混合性を示す。
【0017】また、主攪拌翼および補助攪拌翼からなる
複数の攪拌翼において、上下に隣接する攪拌翼が、下段
の攪拌翼の上端が上段の攪拌翼の下端に対して回転軸の
回転方向と反対方向に向かって位相のずれを生じるよう
に設置されているので、攪拌槽内の全体循環混合性が著
しく優れたものとなる。とりわけ、液粘度が高く、慣性
力の伝播が困難な領域に於いて全体循環混合性に極めて
大きな寄与を示す。
【0018】即ち、例えば攪拌翼間の位相差を0度とし
た場合には、槽内の液全体が一つの固体的回転をしてし
まい混合性が著しく低下してしまう現象が起こり易くな
る。
【0019】本攪拌装置に於ける攪拌翼間の位相差によ
ってもたらされる循環混合性の作用を詳述すると、即ち
回転している攪拌翼は、常にその前面には正圧が、そし
て後面には負圧が生じている。この際、隣接する下段の
攪拌翼の上端が回転方向と逆方向に位相をずらして、即
ち後追いになるように存在していれば、下段の攪拌翼の
前面と上段の攪拌翼の後面との間に圧力勾配が生じ、攪
拌槽壁面近辺ではより効率的に液を上部に運ぶことがで
きるのである。
【0020】勿論、中心軸付近において下降する流れに
対してはこの位相差は相殺する作用を持つことが予想さ
れるが、中心軸付近のパドル〜パドル間の間隔は、スク
レ−パ同士のそれに比べてはるかに広く、問題とはなら
ない。
【0021】ここで特筆すべきことは、高粘度液体の攪
拌を行なう場合には、高液粘度下で慣性力の伝播は困難
でも圧力の伝播は容易に起こり得ることである。その結
果、本攪拌装置においては、低粘度領域から高粘度領域
にかけて優れた全体循環混合性を有することができる。
【0022】また、位相差に関しては特に限定されるも
のではなく、隣接する上下の攪拌翼が上段攪拌翼下端先
行・下段攪拌翼後上端行の関係を有する位置にあればよ
いが、具体的には10度から70度、より好ましくは、
30度から60度の範囲であることが好ましい。
【0023】特にスクレ−パ部で上段翼と下段翼は近接
していることが、全体循環混合性の効果は大きいことか
ら好ましい。
【0024】また、本攪拌装置は攪拌槽内壁に、スクレ
ーパに近接して邪魔板が設けられていることが好まし
い。この邪魔板は、低粘度領域では円周方向の流れを軸
方向の流れに転じさせる為、又、高粘度領域ではスクレ
−パとの間での部分的剪断混合とか、槽内液の供廻り防
止の目的上重要な役割を果たすものである。この効果を
高めるためには円筒状の内壁の円周方向に沿った複数箇
所にこの邪魔板が設けられていることが好ましい。
【0025】また、その形状は、特に限定されるもので
はないが、主攪拌翼および補助攪拌翼に接触しないよう
に設計されている必要があり、例えば第1図に示すよう
なT型板状のものが挙げられる。特に、この邪魔板がT
型板状である場合、該邪魔板は更に回転液流を押し上げ
る方向に傾斜しているものが好ましい。
【0026】尚、攪拌槽は円筒状を有しており、かつ、
上述のようにその内壁の円周方向に沿った複数箇所に邪
魔板が設けられていることが好ましい。
【0027】転相乳化の原理を利用した球形樹脂微粒子
の形成工程に於いては、前記有機溶媒溶液(A)に水性
媒体(B)を添加してゆくに従い、転相点(W/Oから
O/Wに変わる点)に至るまでは粘度が増大してゆき、
転相点を過ぎた直後に急激に粘度の低下が起こるので、
このような低粘度領域から高粘度領域にかけて優れた全
体混合性を有する本攪拌装置が格別に適している訳であ
る。
【0028】本発明者らの知見によれば、乳化現象を利
用した球形樹脂微粒子の形成における粒径制御に関して
は、サブミクロンオーダー粒子の場合には粒径制御が比
較的容易で粒度分布シャープなものが得られ易いが、ミ
クロンオーダー、例えば2〜50μm程度の粒子の場合
には粒度分布がブロードになり、かつ粒径のロット再現
性が乏しいことがわかっており、このミクロンオーダー
では、本発明の効果が特に顕著に発現する。
【0029】本発明で規定する攪拌装置を使用すれば、
必要に応じて水性媒体の添加方法を制御することによ
り、サブミクロンから50μm程度の範囲の任意の平均
粒子径で、粒度分布がシャープな球形樹脂微粒子をロッ
ト再現性良く製造することができる。
【0030】転相乳化は、有機溶媒溶液(A)と水性媒
体(B)とを混合することにより行うことができるが、
本発明においては、本発明の効果の点でより好ましい結
果が得られる、有機溶媒溶液(A)に水性媒体(B)を
添加するという方法により転相乳化を行う。
【0031】有機溶媒溶液(A)への水性媒体(B)の
添加方法については、例えば「転相乳化に必要な水性媒
体量」の全てを、攪拌しながら一定速度で加えることで
も、任意の速度で加えることでも(添加速度を途中で変
えることも含む)樹脂微粒子は得られるが、望ましく
は、「転相乳化に必要な水性媒体量」全量を分割して添
加する、例えば、予め「転相乳化に必要な水性媒体量」
の50重量%以上を一時に仕込み、残りの水性媒体を
0.5時間以上かけて一定速度で加え、慎重に転相点を
通過させた方が、より生産性が向上するだけでなく、得
られる球形樹脂微粒子の粒度分布もシャープになり、ま
たそのロット再現性も向上する。
【0032】この場合、「転相乳化に必要な水性媒体
量」の内の、前記一度に仕込まれる水性媒体量は、転相
乳化に必要な水性媒体量の50〜95重量%、好ましく
は55〜80重量%程度で、残りの20〜45重量%の
水性媒体を毎時10〜40重量%前後の一定速度で加え
ることが好適である。この水添加時間は、実用的には
0.5時間〜4時間程度以内で選択するのがよく、その
様にすれば、全水性媒体量を一定速度で長時間かけて加
えるよりも効率的である。
【0033】前記「転相乳化に必要な水性媒体量」と
は、W/OからO/Wへの転相が起こって、ボイド(空
隙)がなく機械的強度に優れた球形樹脂微粒子の分散体
液ができるまでに必要な最小量の水性媒体量であり、こ
れは樹脂組成、有機溶媒組成および乳化剤(後述する非
水溶性樹脂として、中和により自己水分散性となりうる
樹脂を用いる場合は中和剤)などによって決まってくる
ものである。尚、「転相乳化に必要な水性媒体量」を加
え終わった後で、後工程に於ける微粒子の凝集発生防止
などのために、さらに過剰の水性媒体を追加して加える
ことが好ましい。
【0034】転相乳化により球形樹脂微粒子を形成する
際の溶液の温度については、生成した微粒子が溶液中で
凝集することを防止するために、該樹脂のガラス転移温
度(Tg)よりも10℃程度以上低くするのが好適であ
る。また温度の下限については、溶液の氷結温度以上の
範囲であれば、乳化による球形微粒子の形成は可能であ
るが、5℃程度以上から温度を選択するのが実用上好ま
しい。
【0035】本発明で用いられる非水溶性樹脂として
は、有機溶媒溶液(A)を調製する際に用いる有機溶媒
に可溶であればよく、特に限定はないが、例えばそれ自
体で水性媒体に分散しうる、「自己水分散性」を有する
非水溶性樹脂と、それ自体では水性媒体に分散せず乳化
剤または分散安定剤を用いて初めて水性媒体に分散しう
る非水溶性樹脂とがある。
【0036】この様な非水溶性樹脂としては、例えばス
チレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系
樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポ
キシ系樹脂、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリ
カーボネートおよびポリフエニレンオキサイドなどが挙
げられる。
【0037】前記樹脂としては、充分な機械的強度を発
現するに必要なレベルの分子量、通常重量平均分子量と
して3000〜300000、アクリル系樹脂の場合に
は、10000〜300000を有するもので、かつ、
DSC測定において、ガラス転移温度(Tg)が50〜
100℃であるものが好適である。
【0038】前記非水溶性樹脂の内で、本発明で好適に
用いられる自己水分散性樹脂とは、中和によりアニオン
型あるいはカチオン型の親水性基となりうる官能基を含
有した樹脂で、それら親水性となりうる官能基の一部ま
たは全部が塩基あるいは酸で中和された、水性媒体の作
用下で、乳化剤または分散安定剤を用いることなく安定
した水性分散体を形成できる樹脂をいう。
【0039】中和により親水性基となりうる官能基とし
ては、アニオン型樹脂の場合には、例えば、カルボキシ
ル基、燐酸基、スルホン酸基などのいわゆる酸性基が挙
げられ、一方、カチオン型樹脂の場合には、例えば、ジ
メチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのいわゆる塩基
性基が挙げられる。これら官能基を含有する樹脂として
は、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリ
ル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、
エポキシ系樹脂などが挙げられる。
【0040】中和により親水性基となりうる、カルボキ
シ基含有アニオン型樹脂を例にとると、当該樹脂の、中
和によりアニオン性の親水性基となりうるカルボキシル
基の含有量は、特に制限されるものではないが、酸価4
0程度以上が、上記転相乳化法による粒子形成が容易で
あるので好ましい。特に好ましくは酸価50〜150で
ある。
【0041】これらに用いられる塩基性の中和剤として
は、特に限定はないが、例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭
酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリや、ジエ
チルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンな
どの有機塩基が挙げられる。
【0042】また、酸性の中和剤としては、特に限定は
なく、例えば、塩酸、硫酸、燐酸などの無機酸や、蟻
酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸が挙げられる。
【0043】本発明において、非水溶性樹脂として、前
記した様なそれ自体で水に分散しない、即ち自己水分散
性を有しない非水溶性樹脂を用いる場合には、樹脂溶液
及び/又はそれと混合する水性媒体に、乳化剤及び/又
は分散安定剤を添加することが必要である。
【0044】その分散安定剤としては、水溶性高分子化
合物が好ましく、例えばポリビニルアルコール、ポリビ
ニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロースなどが挙げられる。また乳化剤と
しては、例えばポリオキエチレンアルキルフェノールエ
ーテル等のノニオン系、アルキルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム等のアニオン系、或いはカチオン系の各種界面
活性剤が挙げられる。勿論、乳化剤の2種以上を併用し
てもよいし、分散安定剤の2種以上を併用してもよい
し、乳化剤と分散安定剤とを併用してもよいが、分散安
定剤を主体にして乳化剤を併用するのが一般的である。
【0045】この場合、乳化剤や分散安定剤を用いる場
合には、その水性媒体中における濃度は、0.5〜3重
量%程度となる様にするのが適当である。
【0046】それ自体で水に分散しない非水溶性樹脂に
乳化剤及び/又は分散安定剤を組み合わせて本発明を実
施するのに比べて、中和により水に分散しうる樹脂を中
和してそれ自体で水に分散しうる様にした、自己水分散
性樹脂を用いるほうが、最終的に乳化剤や分散安定剤に
よる、吸湿やブリード等の不都合がより少なく、その不
都合を回避するための後述する様な洗浄工程も省略で
き、生産性もより良好になるので、より好ましい。
【0047】本発明に於ける非水溶性樹脂の溶解に用い
られる有機溶媒は、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、
石油エーテルなどの炭化水素類;塩化メチレン、クロロ
ホルム、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロ
ロエタン、トリクロロエチレン、四塩化炭素などのハロ
ゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン
類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、などが
挙げられ、これらの二種以上を混合して用いてもよい。
【0048】尚、本発明において使用する樹脂には、樹
脂に対し0.1〜30重量%程度の範囲内で、疎水性を
有する有機あるいは/および無機化合物(これらは液状
でも固体でもよい)を加えても、それらを含有した球形
樹脂微粒子が形成できる。
【0049】この様にして転相乳化により得られた球形
樹脂微粒子の水性分散液は、そのままで用いることが出
来るが、通常、水性媒体を除去してから、濾過等の手段
で当該微粒子を濾別してから、それを乾燥することによ
り、粉体として使用することが出来る。乳化剤や分散安
定剤を用いて得た球形微粒子は、より充分に洗浄して用
いることが好ましい。
【0050】尚、球形微粒子の水性分散液中の水性媒体
を除去するに当たっては、有機溶剤を予め除去してか
ら、水を除去する様にするのが、球形樹脂微粒子の凝集
もより少ないので好ましい。
【0051】勿論、非水溶性樹脂として、中和によりア
ニオン性の親水性基となる、酸性基を有する非水溶性樹
脂を塩基性の中和剤で中和して得た自己水分散性樹脂を
用いて球形樹脂微粒子を本発明で得る場合においては、
有機溶剤を予め除去した後、前記酸性の中和剤で、微粒
子表面の、中和されて得られた親水性基をもとの官能基
に戻す逆中和処理を行い、微粒子そのものの親水性をよ
り低下させてから、水を除去して濾別乾燥するという方
法を採用することが好ましい。
【0052】尚、本発明で得られる微粒子を粉体として
用いる場合の前記乾燥条件は、それら微粒子が融着した
り凝集したりしない温度で行うことが好ましい。
【0053】この様にして得られた球形樹脂微粒子は、
公知慣用の各種用途に使用することができるが、用いる
微粒子の粒子径分布がシャープであることが要求される
技術分野での使用が好適であり、例えば4〜8μm程度
のものが液晶スペーサとして、0.1〜10μm程度の
ものが診断薬担体として、10〜100μm程度のもの
が酵素固定化担体として、0.1〜2μm程度のものが
トナー添加剤として使用できる。
【0054】
【発明の実施形態】次に本発明の実施形態を好ましい実
施態様を例に説明する。スチレンと(メタ)アクリル酸
を必須成分として酸価50〜150、重量平均分子量1
0000〜300000、ガラス転移温度50〜100
℃の、塩基性の中和剤により、自己水分散性となりうる
スチレン系樹脂を得、これを、それを溶解するより疎水
性の有機溶媒と、それを溶解するより親水性の有機溶媒
と、塩基性中和剤と混合し、非水溶性樹脂が自己水分散
性樹脂の、有機溶媒溶液を得る。
【0055】この有機溶媒溶液を、攪拌槽内に主攪拌翼
と補助攪拌翼とが取り付けられた回転軸を有する攪拌装
置において、主攪拌翼が、攪拌時に上昇液流を生ぜしめ
る様にその末端と攪拌槽内壁側面との間が離れ、かつ、
中心軸の最下段に位置するものであって、一方、補助攪
拌翼が、垂直或いはその回転に伴って掻き上げる方向に
傾斜したスクレ−パを攪拌槽内壁側に有し、かつ、該ス
クレーパに連結して垂直或いは回転に伴って押し下げる
方向に傾斜したパドルを有するものであり、更に、上下
に隣接する攪拌翼において下段の攪拌翼の上端が上段の
攪拌翼の下端に対して回転軸の回転方向と反対方向に向
かって位相のずれを生じるように設置されていることを
特徴とする攪拌装置に仕込み、槽内液温をTgより10
℃以上低く5℃以上の温度となる様に設定し、攪拌状態
とする。
【0056】そして、予め転相乳化に必要な水性媒体の
全量を求めておき、攪拌装置の槽内液温と同一となる様
にして、その全量の50重量%以上を一時に一括に、攪
拌状態のこの槽内に添加して混合する。50重量%未満
の、槽内液温に保った、残った水性媒体を0.5時間以
上かけて滴下して転相乳化を行い、球形樹脂微粒子の水
性分散液を得、さらに水を加える。
【0057】この分散液から、有機溶媒を除去し、球形
樹脂微粒子の表面に存在する、無機アルカリで中和され
たカルボキシル基を、元のカルボキシル基に戻すために
無機酸水溶液で逆中和を行い、微粒子を濾別し水洗して
から、それを微粒子同志が融着しない条件で乾燥させ
て、平均粒径が2〜50μmの球形樹脂微粒子粉体を得
る。
【0058】
【実施例】以下、本発明の実施例を示し、本発明を更に
具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実
施例に限定されるものではない。なお、「部」は、全て
重量基準であるものとする。
【0059】(実施例1)メチルエチルケトンの700
部を反応容器に入れ、加熱して80℃とした。次いで、
アクリル酸77部、スチレン600部、アクリル酸2−
エチルヘキシル143部、メタクリル酸メチル180
部、「パーブチル O」〔(株)日本油脂製品〕7部の
混合物を、約2時間に亘って滴下した。上記混合物を滴
下終了後、4時間毎に、「パーブチル O」の2部を反
応液に加え、24時間に亘って、80℃で反応を続け
た。反応は窒素雰囲気下にて行った。反応終了後、重量
平均分子量が約48000、酸価が約60なる、塩基性
の中和剤で中和することにより、自己水分散性となりう
るアニオン型合成樹脂の溶液を得た。
【0060】この樹脂溶液600部、メチルエチルケト
ン75部、イソプロピルアルコール115部および1規
定水酸化ナトリウム水溶液33部を、第1図に示したよ
うな攪拌装置を有する内容積2リットルの円筒形攪拌装
置に仕込む。
【0061】本攪拌装置では槽中心部には中心軸1が設
置されており、該軸の下端部には2枚広幅パドル2が槽
底壁面に沿うように装着されている。3はその先端にス
クレ−パ4を有したパドルで、パドル、スクレ−パとも
に垂直で、且つ、上段スクレ−パの下端と下段スクレ−
パの上端の位相差が45度で、しかも回転方向に対して
上段先行に装着された例を示してある。5は邪魔板で、
各多段翼間、円周方向に沿った複数箇所に設置される。
【0062】樹脂溶液、溶剤、塩基を仕込んだ本反応装
置の攪拌翼を280rpmの回転数で攪拌しながら、水
220部を一時に加える。反応容器内の液温を35℃と
してから、同じく35℃とした水175部を毎時58部
の一定速度で3時間かけて加えて転相乳化を行った。次
いで、水430部を一時に加え、十分に混合してから、
減圧蒸留により有機溶剤を除去し、樹脂微粒子の水分散
体に1規定塩酸水溶液を加えてPHを約3としてから、
濾過、水洗後、ウエットケーキを乾燥して、中和により
自己水分散しうる非水溶性樹脂からなる微粒子粉末を得
た。
【0063】この樹脂微粒子は、コールターカウンター
による測定で、重量平均粒子径が7.8μm、Dp/D
n(体積平均粒径/個数平均粒径)が1.13という非
常にシャープな粒度分布を有していた。さらに、4μm
以下の粒子比率は1.7%で、16μm以上の粒子比率
は0%と非常に良好であった。またこの微粒子をSEM
(走査型電子顕微鏡)で観察すると真球形であった。
【0064】(比較例1〜4)実施例1と同様な2リッ
トル円筒形反応装置の攪拌羽根を、マックスブレンド翼
(比較例1)、フルゾーン翼(比較例2)、フアウドラ
ー翼(比較例3)、タービン翼(比較例4)に替え、ほ
ぼ8μmの平均粒径を得るために攪拌羽根の回転数をそ
れぞれ260、280、450、620rpmに変える
以外は実施例1と同様な操作を行い、いずれの場合でも
真球形の樹脂微粒子を得た。
【0065】しかしながら、表1に示したように、4例
ともDp/Dnが1.3〜1.7程度と、実施例1に比
べ粒度分布がブロードであった。さらに、4μm以下の
粒子比率は2.8〜7%程度と高く、また16μm以上
の粒子比率も0.7〜2.9%程度と高かった。
【0066】
【表1】
【0067】(実施例2)実施例1で行った樹脂微粒子
製造実験を5回繰り返した時の平均粒子径は、それぞれ
7.8、8.0、8.1、8.0、7.8μmであっ
た。
【0068】(比較例5〜8)比較例1〜4で行ったと
同じ装置および実験条件で、比較例5〜8をそれぞれ各
5回繰り返した時の平均粒子径は、表2のようになり、
実施例2に比べてロット間の振れが大きかった。
【0069】
【表2】
【0070】
【発明の効果】非水溶性樹脂を有機溶媒に溶解して得ら
れた樹脂液に、水性媒体を添加・混合し、転相乳化現象
を利用しての球形樹脂微粒子形成方法に於いて、円筒形
状を有する攪拌槽内に特定の構造を有する多段攪拌翼を
設けることと、水性媒体の添加方法を制御することによ
り、微粒子の粒度分布がシャープで且つ粒子径のロット
再現性が良好となった。
【0071】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる攪拌装置の一例の断面図であ
る。
【符号の説明】
1 中心軸 2 広幅パドル 3 パドル 4 スクレ−パ 5 T型板状邪魔板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08L 101:00 (72)発明者 桜井 宏子 千葉県千葉市稲毛区小仲台6−3−17− 203

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】攪拌槽内に主攪拌翼と補助攪拌翼とが取り
    付けられた回転軸を有する攪拌装置において、主攪拌翼
    が、攪拌時に上昇液流を生ぜしめる様にその末端と攪拌
    槽内壁側面との間が離れ、かつ、中心軸の最下段に位置
    するものであって、一方、補助攪拌翼が、垂直或いはそ
    の回転に伴って掻き上げる方向に傾斜したスクレ−パを
    攪拌槽内壁側に有し、かつ、該スクレーパに連結して垂
    直或いは回転に伴って押し下げる方向に傾斜したパドル
    を有するものであり、更に、上下に隣接する攪拌翼にお
    いて下段の攪拌翼の上端が上段の攪拌翼の下端に対して
    回転軸の回転方向と反対方向に向かって位相のずれを生
    じるように設置されていることを特徴とする攪拌装置を
    用いて、それ自体で水に分散しうる非水溶性樹脂の有機
    溶媒溶液に水性媒体を添加混合して転相乳化させるか、
    又は非水溶性樹脂の有機溶媒溶液に、乳化剤及び/又は
    分散安定剤を含む水性媒体を添加混合して転相乳化させ
    る球形樹脂微粒子水性分散液の製造法。
  2. 【請求項2】それ自体で水に分散しうる、自己水分散性
    の非水溶性樹脂の有機溶媒溶液に水性媒体を添加混合し
    て転相乳化させる請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】転相乳化に必要な水性媒体量の50重量%
    以上を、有機溶媒溶液の仕込まれた前記攪拌槽に攪拌し
    ながら一時に加えた後、残りの水性媒体を0.5時間以
    上かけて一定速度で加えて転相乳化する請求項1又2記
    載の製造法。
  4. 【請求項4】球形樹脂微粒子の平均粒径が2〜50μm
    となるように乳化する請求項1、2又は3記載の製造
    法。
  5. 【請求項5】請求項1、2、3又は4で得られた球形樹
    脂微粒子水性分散液中の水性媒体を除去して乾燥させる
    球形樹脂微粒子の製造法。
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