JPH09123355A - 防食構造及びその製造方法 - Google Patents

防食構造及びその製造方法

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JPH09123355A
JPH09123355A JP7282910A JP28291095A JPH09123355A JP H09123355 A JPH09123355 A JP H09123355A JP 7282910 A JP7282910 A JP 7282910A JP 28291095 A JP28291095 A JP 28291095A JP H09123355 A JPH09123355 A JP H09123355A
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重夫 板野
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貞人 重村
Toyoaki Yasui
豊明 安井
Shizuaki Ueno
静昭 上野
Yasuhiro Yamamoto
康博 山本
Takeshi Hattori
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Junichi Uchida
淳一 内田
Yoshio Harada
良夫 原田
Kazumi Tani
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C28/00Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融塩処理設備において耐食性,耐摩耗性に
優れた防食構造及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明防食構造は、基材11の表面に、
下地層としてアルミナ皮膜12を必要に応じて形成し、
次いで該アルミナ皮膜12の表面に第一層として顔料
(Al2 3 )を分散させたイミド系樹脂層としてのポ
リイミド樹脂皮膜13と、該ポリイミド系樹脂皮膜13
の表面に第二層としてセラミックス層としてのアルミナ
皮膜14とを、形成して多層皮膜15を構成してなるも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば溶融塩処理
設備において耐食性,耐摩耗性に優れた防食構造及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車,土木,建築用構造部材あ
るいは家電製品において、耐食性,溶接性及び塗装性に
優れた表面処理鋼板の需要が急速に伸びてきている。こ
の表面処理鋼板には溶融亜鉛めっき,電気亜鉛めっき,
溶融アルミニウムめっき等が主流を成している。
【0003】また、これら亜鉛やアルミニウムめっきに
比較して、更に耐食性を有する溶融塩による合金めっき
が開発されつつある。上記溶融めっきは、一般的にはハ
ロゲン化物を含む電解質を用いて行われている。
【0004】このような設備に対して、現在、めっき
槽,電極部等ではハロゲン化物に対する耐食性及び耐熱
性のあるポリイミド樹脂の塗装やシート状の成形品を貼
付ける方法が採用されている。また、鋼板搬送用部材、
例えば、ロール等は耐摩耗性を考慮してアルミナ溶射を
実施し、更に防食目的でガラス系の封孔処理等を実施し
ている。
【0005】図3は従来の構成部材の代表的な防食対策
の一例を示すものである。図3(a)は、溶融塩容器内
面へのポリイミド樹脂シートを貼付けた状況を示すもの
である。同図に示すように、溶融塩容器01の本体の内
側には、ポリイミド樹脂シート02が貼付けられてお
り、防食構造としている。
【0006】また、図3(b)は、鋼板搬送用ロールの
一例を示すものである。同図に示すように、ロール03
の外周面に耐摩耗性を考慮したアルミナのプラズマ溶射
皮膜04が設けられていると共に、更に、このアルミナ
皮膜04中には、気孔ガラス系のシーリング材05が含
浸されており、耐食性の改善を図っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来、構成機器の防食
対策として実施されている手法の内、ポリイミド樹脂を
塗装する方法がある。この方法の工程としては、一般に
基材表面をサンドブラスト等により表面を粗面化すると
ともに清浄化した後、スプレー或いは刷毛塗り等により
ポリイミド樹脂を塗装し、加熱により熱硬化処理を実施
している。この方法では以下の欠点を有している。 (1)基材部品が溶接構造物等の場合、均一な塗装がで
きず、塗膜の厚さに大きなバラツキを生じる。 (2)基材表面に充分な塗料密着のためのアンカー効果
がなく、運転中の温度変化により剥離現象が生じやす
い。 (3)塗膜は比較的薄膜であり疵の発生により容易に破
壊され、防食性が低下する。
【0008】また、構成部材表面にポリイミド樹脂シー
トを貼付ける方法では、シートとシートの継ぎ目部にお
いて、溶融塩の差し込みが生じて基材材料の防食効果が
なくなると共に、複雑形状品に対してはシートの適用が
困難であり、更に施工上にも多くの課題を有している。
【0009】さらに、耐摩耗性を考慮したセラミックス
溶射、例えば、アルミナ溶射後ガラス系のシーリング材
を浸透シーリングする方法が採用されているが、この方
法では以下の欠点を有している。 (1)熱プラズマ溶射をはじめ、如何なる溶射法におい
てもセラミックス溶射皮膜には微細な気孔を有してお
り、完全な防食被覆とはならない。そのため、極力表面
から基材まで達する気孔を少なくする目的で厚膜の溶射
が施工されているが、完全な防食は計れないのが現状で
ある。また、セラミックスを厚くすることにより、基材
と熱膨張係数の違いによる両者の接触界面における剪断
応力の発生によって皮膜に割れが発生するなどの不具合
が生じている。 (2)防食対策として各種のシーリング材が大気中シー
リング或いは真空シーリング法により実施されている
が、このシーリングはあくまでも表面に存在する気孔の
みであり、内部に存在する気孔(クローズドポア)には
浸透しない。また、シーリング材には溶媒が使用されて
おり、乾燥時にこの溶媒が蒸発し、ミクロ的には気孔内
で隙間を生じている。この様な状況で使用すると、セラ
ミックス表面が僅かでも摩擦されるとこのシーリング材
がなくなりその効果は消滅する。その結果、防食特性は
失われ短時間の内に操業不能となる欠点を有している。
【0010】本発明は、上記問題に鑑み、腐食性雰囲気
において構成部材の防食を図り、長時間にわたって安定
した操業を維持できる防食構造及びその製造方法を提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する第1
の発明に係る防食構造は、基材表面に、第一層として顔
料を分散させたイミド系樹脂層と、該イミド系樹脂層の
表面に第二層としてセラミックス層とを、形成したこと
を特徴とする。
【0012】また、第1の発明に係る防食構造の製造方
法は、基材表面に顔料を分散させたイミド系樹脂をコー
ティングした後、加熱反応硬化処理を行い第一層の顔料
を分散させたイミド系樹脂層を形成し、次いで該第一層
のイミド系樹脂層の表面に、熱プラズマ溶射法によりセ
ラミックスを溶射して第二層のセラミックス層を形成す
ることを特徴とする。
【0013】前記目的を達成する第2の発明に係る防食
構造は、基材表面に、顔料を分散させたイミド系樹脂層
と、該イミド系樹脂層の表面にフッ素樹脂粉末又はセラ
ミックス粉末からなる被覆層とを、形成したことを特徴
とする。
【0014】前記目的を達成する第2の発明に係る防食
構造の製造方法は、基材表面に顔料を分散させたイミド
系樹脂をコーティングした後、加熱反応硬化処理を行い
第一層の顔料を分散させたイミド系樹脂層を形成し、次
いで、該第一層のイミド系樹脂層の表面に、フッ素樹脂
粉末又はセラミックス粉末をコーティングして被覆層を
形成し、次いで加熱反応硬化処理を行うことを特徴とす
る。
【0015】上記第1及び第2の防食構造において、上
記基材表面と第一層の顔料を分散させたイミド系樹脂層
との間に、下地層としてセラミックス層を形成したこと
を特徴とする。
【0016】上記第1及び第2の防食構造において、上
記第二層及び下地層を形成するセラミックスが、酸化ア
ルミニウム(Al23 )であることを特徴とする。
【0017】上記第1及び第2の防食構造において、上
記第一層を形成するイミド系樹脂が、ポリイミド樹脂で
あることを特徴とする。
【0018】上記第1及び第2の防食構造において、上
記第一層を形成するイミド系樹脂の顔料が、酸化アルミ
ニウム(Al2 3)であることを特徴とする。
【0019】上記第1及び第2の防食構造の製造方法に
おいて、上記第一層の顔料を分散させたイミド系樹脂の
コーティングの前に、基材表面に熱プラズマ溶射法によ
り下地層としてのセラミックスを溶射することを特徴と
する。
【0020】上記構成において、基材の表面をショット
ブラスト処理を施すことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照にして詳細に説明する。
【0022】図1は本発明の第1の発明によって得た防
食構造の皮膜の構成図である。図1に示すとおり、基材
11の表面には、下地層として密着性に優れたセラミッ
クスとしてのアルミナの熱プラズマ溶射によるアルミナ
皮膜12が形成されている。また、該アルミナ皮膜12
上には、イミド系樹脂として防食性に優れた顔料を分散
させた反応硬化性ポリイミド樹脂をコーティングしてな
るポリイミド皮膜13が形成されている。更に、該第一
層のポリイミド皮膜13の表面には、前記下地層のアル
ミナ皮膜12と同様の熱プラズマ溶射によるアルミナ皮
膜14が形成されており、耐食性及び耐摩耗性を有する
多層皮膜15の防食構造を構成してなるものである。
【0023】この第1の防食構造の製造の一例として
は、先ず、基材11である例えば鉄鋼表面の清浄化及び
溶射皮膜の密着性を向上する目的で予めショットブラス
トを行い、次いで下地層として、熱プラズマ溶射法によ
りアルミナ皮膜12を溶射形成する。 その後、上記ア
ルミナ皮膜12の表面に、該アルミナ皮膜12のシーリ
ングを兼ねて防食を主目的とする第一層のポリイミド樹
脂皮膜13を塗装し、熱硬化処理を行う。更に、耐摩耗
性を付与する目的で、第二層としてセラミックスとして
例えばアルミナを熱プラズマで溶射被覆してアルミナ皮
膜14を形成し、多層皮膜15の構成としている。
【0024】上記下地層のアルミナ溶射皮膜12は、化
学的に非常に安定で溶融塩の主成分であるハロゲン化物
に対しても十分耐食性を示すと共に、第一層のイミド樹
脂コーティングの密着性改善に有効である。尚、この下
地層のアルミナ皮膜12については、運転中における温
度変化サイクルが少ない場合等、特に密着性を要求され
ない場合は、省略してもよいので、目的に応じて適宜設
けるようにすればよい。
【0025】ここで、本発明において防食構造として
は、例えば溶融塩処理設備等において適用することがで
きるが、本発明の構造はこれに限定されるものではな
い。上記溶融塩処理設備等としては、溶融塩の接触する
全ての構成部材であり、その主なものは例えば各種ロー
ル,処理容器あるいは溶融塩循環用配管,ポンプ等であ
る。これらの基材は殆どが鉄鋼系材料で作られ、その表
面に下地層にセラミックス層12としてのアルミナ(A
2 3 )皮膜、第一層にイミド系樹脂層としのポリイ
ミド樹脂皮膜13、第二層に上記下地層と同様なセラミ
ックス層12としてのアルミナ皮膜14とし、耐食性及
び耐摩耗性材料を積層した構成とする。
【0026】第二層のアルミナ皮膜14は、溶融塩,ハ
ロゲン化物及びこれらの塩の加水分解によって生成する
強酸による耐食性,耐摩耗性に優れているものとなる。
また、第一層のポリイミド樹脂皮膜13は下地層のアル
ミナ皮膜12に存在する極く微小,微量の気孔から浸透
する腐食媒体の浸入を防止し、かつ、耐食性を有してい
るものとなる。
【0027】構成部材の腐食は通常の操業時には溶融塩
中に水分を含んでいないため腐食性は殆どないが、運転
後の洗浄、主として水による洗浄が行われる。この時の
水と付着凝固している溶融塩が反応して多量の水素酸、
例えばHCl,HF,HBr,HI等が発生して腐食が
進行する。本発明はこのような環境においても水素酸が
基材まで浸透することなく長時間にわたって安定してお
り操業上非常に有利である。
【0028】ここで、本発明で下地層及び第二層のセラ
ミックスとしては、酸化アルミニウム(アルミナ;Al
2 3 )を例示することができる。このアルミナは、性
能上高純度が好ましく通常溶射用として多く使用されて
いる中で最も高い純度のものを使用する必要があるが、
実用的には98%以上が好ましい。また、運転中の溶融
塩の浸透や洗浄時の洗浄液の浸透防止のためには緻密性
が重要であるので、溶射用粉末は平均粒径を小さくし、
かつ粒度分布範囲も狭いものとしたものが好ましいが、
溶射条件によっては特にその制限は受けない。
【0029】セラミックスの溶射法としては、一般的に
は大気中で実施されるが、より緻密性を向上させるため
には減圧(低圧)溶射による方法が優れている。
【0030】第二層のアルミナ溶射皮膜は下地層と同様
の溶射材料及び溶射プロセスで成形できるが、膜厚につ
いては耐摩耗性を考慮して任意に設定できるが、一般的
には50μm〜数百μmが適している。これは50μm
以下では皮膜の安定性に欠け好ましくなく、一方上限の
数百μmを超える場合、アルミナ皮膜があまり厚いと金
属上への直接溶射であるため熱膨張差により割れ,剥離
の問題があり好ましくない。よって、溶射の関係から上
限は200μm程度とするのが好ましい。
【0031】また、上記第一層のイミド系樹脂としての
ポリイミド樹脂皮膜13は、樹脂の中でも最も耐熱性に
優れ、また、耐食性にも優れた特性を有する反応硬化性
ポリイミドを用いる。
【0032】ここで、上記第一層の腐食性物質の浸透防
止を計るものとして高温にも使用できるものとしてイミ
ド系樹脂としては、適宜汎用の防食用ものを用いればよ
いが、イミド系樹脂としてはポリイミド樹脂、ビスマレ
イミド樹脂を例示するこができるが、耐酸性・耐加水分
解性の点からポリイミド樹脂を用いるのが好ましい。
【0033】ここで本発明で第一層のイミド系樹脂とし
ては、多くの製造法の中から選定できるが、本目的には
樹脂に顔料を添加して樹脂皮膜自体の強度と熱による基
材の変形に追従できるよう、すなわち、応力緩和性を持
たすものが適している。このイミド系樹脂に応力緩和の
ために添加する顔料としては、本環境に十分耐食性のあ
るアルミナ(Al2 3 ),シリカ,チタニア等から適
宜選定すればよい。また、上記顔料の配合量としては、
体積濃度で20%〜60%の範囲が実用的である。これ
は、20%以下では、粒子の数が少なくて、その効果が
期待されず、また、あまり多く配合すると樹脂膜自体の
靱性が不足すると共に層内に気孔が生じて防食の役割を
果たさないので、共に好ましくないからである。
【0034】第一層のイミド系樹脂層の成形方法として
は、刷毛塗り又はスプレー法等何れの方法によって行わ
れる。更に、樹脂の厚さとしては防食性,樹脂膜の安定
性,経済性の観点から20μm〜100μmが実用的で
ある。
【0035】第二層のアルミナ溶射皮膜14は、前述し
た下地層のアルミナ皮膜12と同様の溶射材料を使用
し、膜厚については耐摩耗性を考慮すると厚い方が良い
が熱応力による割れ,剥離の観点より50μm〜200
μmが適している。
【0036】図2は本発明の第2の発明によって得た防
食構造の皮膜の構成図である。図2に示すとおり、基材
11の表面には、下地層として密着性に優れたセラミッ
クスとしてのアルミナの熱プラズマ溶射によるアルミナ
皮膜12を形成されている。また、該アルミナ皮膜12
上には、イミド系樹脂として防食性に優れた顔料を分散
させた反応硬化性ポリイミド樹脂をコーティングしてポ
リイミド皮膜13が形成されている。更に、該第一層の
ポリイミド皮膜13の表面には、フッ素樹脂粉末又はセ
ラミックス粉末を吹付けて被覆層16が形成されてお
り、耐食性及び耐摩耗性を有する多層皮膜17の防食構
造を構成してなるものである。
【0037】ここで、上記被覆層16としてフッ素樹脂
粉末を吹付けた場合は、被めっき体、例えば基材11の
鋼板との接触摩擦係数を下げることと、防食性を狙った
ものである。また、セラミックス粉末を吹付けた場合
は、絶縁性と耐摩耗性を狙ったものである。
【0038】この第2の防食構造の製造例としては、先
ず、基材11である例えば鉄鋼表面の清浄化及び溶射皮
膜の密着性を向上する目的で予めショットブラストを行
い、次いで下地層として、熱プラズマ溶射法によりアル
ミナ皮膜12を溶射形成する。その後、上記アルミナ皮
膜12の表面に該アルミナ皮膜12のシーリングを兼ね
て防食を主目的とする第一層のポリイミド樹脂皮膜13
を塗装し、熱硬化処理を行う。更に、上記第一層のポリ
イミド樹脂皮膜13を形成したその直後に、フッ素樹脂
粉末又はセラミックス粉末を吹き付けて被覆層16を形
成し、多層皮膜17の構成としている。
【0039】なお、下地層のアルミナ皮膜12及び第一
層のポリイミド皮膜13は、前述した第1の発明の防食
構造と同様であるので、その説明は省略する。
【0040】また、本発明の第2の防食構造の多層皮膜
17を構成する被覆層16を形成するために吹き付ける
粒子としてのフッ素樹脂としては、この種の環境に耐え
るものが好ましく、例えば四フッ化エチレン等が適して
いるがこれに限定されるものではない。
【0041】また、フッ素樹脂としての粒子サイズは特
に制限を受けないが、一般的には数μm〜数十μmが好
ましい。これは、数μm以下の場合は粒子の二次凝集が
生じて安定した輸送ができず、また、余り大きすぎる
と、均一にコーティングができないなどの欠点を有し、
共に好ましくないからである。
【0042】次にセラミックス粒子は、耐食性,耐摩耗
性の観点からアルミナが好ましく、粒子径もフッ素樹脂
と同様な理由から数μm〜数十μmが適している。
【0043】これら粒子のによる被覆層16の厚さは、
通板材との摩擦係数を低減すること、摺動による耐摩耗
性向上が目的であり、余り厚くする必要はなく、一般的
には10〜50μmが適している。これら粒子のコーテ
ィング方法としては、一般的には静電塗装装置が使用さ
れるが、特にその塗装方法については制限を受けない。
【0044】上記第一層のポリイミド樹脂皮膜13の表
層部にコーティングする粉末の内、フッ素樹脂の場合は
鋼板との摩擦係数を下げてポリイミド樹脂の摩耗を防止
すること及び水に対する濡れ性が悪く、水洗時の水がは
じき易いことによる腐食性物質の浸透防止を兼ねてい
る。また、アルミナ粒子の場合は硬質の粒子であり鋼板
との摺動による耐摩耗性に優れ、寿命延長が計られる。
更に、微粒子の積層であり、熱による損傷例えばヒビ割
れ等が生じない特徴を有している。
【0045】以上のように本発明の第1の防食構造によ
れば、必要に応じて下地層として耐食性に優れたセラミ
ックスによるセラミックス皮膜12を形成し、該セラミ
ックス皮膜12の表面に第一層の被覆層として緻密で耐
食性のあるイミド系樹脂をコーティングしたイミド系樹
脂層13を形成し、第二層として該イミド系樹脂層13
の最表層に耐食性及び耐摩耗性を有するセラミックス皮
膜14を形成してなる多層皮膜15の構成としたことに
より、防食性に極めて優れたものとなる。尚、下地層の
セラミックス皮膜12を省略しても特に差し支えない。
【0046】また、本発明の第2の防食構造よれば、必
要に応じて下地層として耐食性に優れたセラミックスに
よるセラミックス皮膜12を形成し、該セラミックス皮
膜12の表面に第一層の被覆層として緻密で耐食性のあ
るイミド系樹脂をコーティングしたイミド系樹脂層13
を形成し、被覆層としてフッ素樹脂粉末又はセラミック
ス粉末を吹き付けて被覆層16を形成し、多層皮膜17
の構成としたことにより、防食性に極めて優れたものと
なる。尚、同様に下地層のセラミックス皮膜12を省略
しても特に差し支えない。
【0047】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例をあげ、本発
明の効果を明らかにする。
【0048】先ず、本発明の第1の発明にかかる実施例
をあげ、本発明の効果を明らかにする。
【0049】実施例1 本発明の多層コーティング皮膜の性能を調査するため、
本発明の皮膜を2種類、比較用皮膜を2種類作製し、A
lCl3 を主成分とする溶融塩を使用し、[200℃×
16時間浸漬+沸騰水8時間浸漬]の繰り返しを行い皮
膜表面を観察した。
【0050】本発明のコーティング皮膜: 試験例 基材SS400に、第一層としてポリイミド樹脂40μ
mコーティングし、2段階(80℃×2時間、230℃
×2時間)で反応硬化処理を実施、第二層に純度99.
8%、平均粒径20μmのホワイトアルミナを大気プラ
ズマ溶射法により200μm厚さ溶射被覆したもの。
尚、ポリイミド樹脂への顔料は平均粒径1.0μmのア
ルミナ粒子を体積比で40%添加したものを使用した。
【0051】試験例 基材SS400に、下地層として純度99.8%、平均
粒径20μmのホワイトアルミナを大気プラズマ溶射法
により200μm厚さ溶射被覆し、次いで、第一層に上
記試験例と同様の顔料を配合したポリイミド樹脂をス
プレーによりコーティングし80℃×2時間、230℃
×2時間の反応硬化処理を実施し膜厚100μmとし
た。更に第二層に下地層と同様のホワイトアルミナを溶
射被覆したもの。
【0052】比較用コーティング皮膜: 比較例 基材SS400にビスマレイミド樹脂100μmコーテ
ィングしたもの。 比較例 基材SS400にビスマレイミド樹脂100μm、第二
層に純度98%、平均粒径25μmのホワイトアルミナ
を大気プラズマ溶射法により200μm厚さ溶射被覆し
たもの。
【0053】なお、試験用供試体の形状は直径20m
m,長さ200mm、先端は半径10mmの球面状とし
た。AlCl3 を主成分とする溶融塩200℃×16時
間浸漬後、沸騰水に8時間浸漬による試験を実施した。
この試験の結果の供試体表面の外観状況を観察した結果
を、下記「表1」に示した。
【0054】この結果、比較皮膜は、1サイクル後で
皮膜表面の面積比で約70%にわたり剥離を生じてい
た。また、比較皮膜は、2サイクル後で約30%赤錆
を発生し、一部皮膜に膨れ現象が認められた。一方、試
験例及びの皮膜は、10サイクル後においても皮膜
の損傷は全く認められなかった。
【0055】
【表1】
【0056】実施例2 第1の発明の多層コーティング皮膜の実機性能を評価す
るため、実機溶融塩処理設備のシールロールに実施して
実際の使用環境下での評価を実施した。このシールロー
ル基材はSS400であり、この表面に本発明の一つで
ある多層コーティングを実施した。すなわち、下地層に
99.8%純度ホワイトアルミナをプラズマ溶射で20
0μm溶射後第一層にアルミナ顔料を体積比で40%と
したポリイミド樹脂を40μmコーティング、第二層に
99.8%純度ホワイトアルミナをプラズマ溶射で20
0μm溶射した。このロールを実機に取付け、約1ケ月
の運転を行った(途中5回の水による洗浄を実施)結
果、ロール表面は全く損傷なく鋼板の接触によっても擦
り傷等の不具合も認められなかった。
【0057】次に、本発明の第2の発明にかかる実施例
をあげ、本発明の効果を明らかにする。
【0058】実施例3 本発明の多層コーティング皮膜の性能を調査するため、
本発明の皮膜を2種類、比較用皮膜を2種類作製し、A
lCl3 を主成分とする溶融塩を使用し、[200℃×
16時間浸漬+室温8時間浸漬]の繰り返しを行い皮膜
表面を観察した。
【0059】本発明のコーティング皮膜: 試験例 基材SS400に、下地層として平均粒径20μmのホ
ワイトアルミナを大気プラズマ溶射法により200μm
厚さ溶射被覆した後、第一層にポリイミド樹脂40μm
コーティングし、その直後に被覆層として平均粒径2μ
mの四フッ化エチレン粉末を静電塗装装置によりポリイ
ミド樹脂表面が全面四フッ化エチレンで覆われるまで吹
き付けた後、2段階(80℃×2時間,230℃×2時
間)で反応硬化処理を実施した。 試験例 基材SS400に、下地層として平均粒径20μmのホ
ワイトアルミナを大気プラズマ溶射法により200μm
厚さ溶射被覆した後、第一層にポリイミド樹脂40μm
コーティングし、その直後に被覆層として平均粒径5μ
mのアルミナ粉末を静電塗装装置によりポリイミド樹脂
表面が全面アルミナで覆われるまで吹き付けた後、試験
例と同様な条件で反応硬化処理を実施した。
【0060】比較用コーティング皮膜: 比較例 基材SS400に第一層に純度98%、平均粒径25μ
mのホワイトアルミナを200μm厚さ溶射被覆した。 比較例 基材SS400に第一層に純度98%、平均粒径25μ
mのホワイトアルミナを200μm厚さ溶射被覆した
後、第二層にポリイミド樹脂を40μmコーティング
後、2段階(80℃×2時間,230℃×2時間)で反
応硬化処理を実施した。 比較例 比較例の二層構造の皮膜の表面に更に第三層として第
一層と同様のホワイトアルミナを100μm厚さ溶射被
覆した。
【0061】なお、試験用供試体の形状は直径20m
m,長さ200mm、先端は半径10mmの球面状とし
た。AlCl3 を主成分とする溶融塩200℃×16時
間後、沸騰水に8時間浸漬による試験を実施した。この
試験の結果の供試体表面の外観状況を観察した結果を、
下記「表2」に示した。
【0062】この結果、比較皮膜は、2サイクル後で
皮膜表面の面積比で約70%にわたり剥離を生じてい
た。比較皮膜では、2サイクル後で約30%赤錆を発
生した。比較皮膜では、2サイクル後で約30%赤
錆、一部膨れ現象が認められた。一方の本試験例及び
の皮膜は、10サイクル後においても皮膜の損傷は全
く認められなかった。
【表2】
【0063】実施例4 本第2の発明の多層コーティング皮膜の実機性能を評価
するため、実機溶融塩処理設備のシールロールに実施し
て実際の使用環境下での評価を実施した。このシールロ
ール基材はSS400であり、この表面に本発明の一つ
である多層コーティングを実施した。すなわち、下地層
に99.8%純度ホワイトアルミナをプラズマ溶射で2
00μm溶射後第一層にアルミナ顔料を体積比で40%
としたポリイミド樹脂を40μmコーティングした後、
被覆層として静電塗装装置により平均粒径2μmの四フ
ッ化エチレン粉末をポリイミド樹脂が全面覆われるまで
吹き付けを実施した。このロールを実機に取付け、約1
ケ月の運転を行った(途中5回の水による洗浄を実施)
結果、ロール表面は全く損傷なく鋼板との接触は四フッ
化エチレン粉末で覆われており鋼板との摩擦係数が非常
に小さいため、めっき表面及びロール共に損傷は全く認
められなかった。
【0064】実施例5 第2の発明の多層コーティング皮膜の実機性能を評価す
るため、実機溶融塩処理設備のシールロールに実施して
実際の使用環境下での評価を実施した。このシールロー
ル基材はSS400であり、この表面に本発明の一つで
ある多層コーティングを実施した。すなわち、下地層に
99.8%純度ホワイトアルミナをプラズマ溶射で20
0μm溶射後第一層にアルミナ顔料を体積比で40%と
したポリイミド樹脂を40μmコーティングした後、被
覆層として静電塗装装置により平均粒径5μmのアルミ
ナ粉末をポリイミド樹脂が全面覆われるまで吹き付けを
実施した。このロールを実機に取付け、約2ケ月の運転
を行った(途中10回の水による洗浄を実施)結果、ロ
ール表面のアルミナ層にはヒビ割れ,剥離等の損傷は全
くなく、鋼板との接触によるロール表面の摩耗及びめっ
き鋼板の表面損傷等以上は全く認められなかった。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、第1の発明によれ
ば、多層コーティング、すなわち、耐食性及び緻密性に
優れたイミド系樹脂としてのポリイミドと、耐摩耗性に
優れたセラミックスとしてのアルミナを多層にコーティ
ングすることにより、腐食性の厳しい溶融塩処理設備及
び洗浄時に生成される腐食性物質に対して腐食もなく耐
摩耗性に優れた特性を有しており長時間安定した操業が
できることは勿論、製品の品質、生産性の向上、設備の
保守点検作業の低減をはじめ、コスト低減に大きく寄与
でき工業上価値のあるものである。
【0066】また、第2の発明によれば、密着性,耐摩
耗性の優れたセラミックスとしてのアルミナをコーティ
ングし、その上に耐食性のあるイミド系樹脂としてのポ
リイミド皮膜を塗装した直後に、被覆層として四フッ化
エチレン又はアルミナ粉末を吹き付けることにより、鋼
板との摩擦係数の低減及び硬質粒子が表面に覆われてい
ることによる耐摩耗性の向上、強いてはめっき鋼板への
損傷防止に有効である。
【0067】以上のとおり、本発明は腐食性の厳しい例
えば溶融塩処理設備及び洗浄時に生成される腐食性物質
に対して適用して、腐食もなく耐摩耗性に優れた特性を
有しており長時間安定した操業ができることは勿論、製
品の品質,生産性の向上,設備の保守点検作業の低減を
はじめ、コスト低減に大きく寄与でき工業上価値のある
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の多層コーティング膜構造を示す
皮膜断面構成図。
【図2】本発明の第2の多層コーティング膜構造を示す
皮膜断面構成図。
【図3】従来の防食対策の一例を示す図。
【符号の説明】
11 基材 12,14 アルミな皮膜 13 ポリイミド樹脂皮膜 15,17 多層皮膜 16 被覆層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 7/06 CFG C08J 7/06 CFGZ C23C 4/10 C23C 4/10 // C23C 28/04 28/04 (72)発明者 板野 重夫 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 重村 貞人 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 安井 豊明 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 上野 静昭 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島製作所内 (72)発明者 山本 康博 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 服部 武 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 内田 淳一 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 原田 良夫 兵庫県神戸市東灘区深江北町四丁目13番4 号 トーカロ株式会社内 (72)発明者 谷 和美 兵庫県神戸市東灘区深江北町四丁目13番4 号 トーカロ株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に、第一層として顔料を分散さ
    せたイミド系樹脂層と、該イミド系樹脂層の表面に第二
    層としてセラミックス層とを、形成したことを特徴とす
    る防食構造。
  2. 【請求項2】 基材表面に、顔料を分散させたイミド系
    樹脂層と、該イミド系樹脂層の表面にフッ素樹脂粉末又
    はセラミックス粉末からなる被覆層とを、形成したこと
    を特徴とする防食構造。
  3. 【請求項3】 請求項1及び2記載の防食構造におい
    て、 上記基材表面と第一層の顔料を分散させたイミド系樹脂
    層との間に、下地層としてセラミックス層を形成したこ
    とを特徴とする防食構造。
  4. 【請求項4】 基材表面に顔料を分散させたイミド系樹
    脂をコーティングした後、加熱反応硬化処理を行い第一
    層の顔料を分散させたイミド系樹脂層を形成し、次い
    で、該第一層のイミド系樹脂層の表面に、熱プラズマ溶
    射法によりセラミックスを溶射して第二層のセラミック
    ス層を形成することを特徴とする防食構造の製造方法。
  5. 【請求項5】 基材表面に顔料を分散させたイミド系樹
    脂をコーティングした後、加熱反応硬化処理を行い第一
    層の顔料を分散させたイミド系樹脂層を形成し、次い
    で、該第一層のイミド系樹脂層の表面に、フッ素樹脂粉
    末又はセラミックス粉末をコーティングして被覆層を形
    成し、次いで加熱反応硬化処理を行うことを特徴とする
    防食構造の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4及び5記載の防食構造の製造方
    法において、 上記第一層の顔料を分散させたイミド系樹脂のコーティ
    ングの前に、基材表面に熱プラズマ溶射法によりセラミ
    ックスを溶射して下地層を形成することを特徴とする防
    食構造の製造方法。
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