JPH09132711A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物

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JPH09132711A
JPH09132711A JP31470095A JP31470095A JPH09132711A JP H09132711 A JPH09132711 A JP H09132711A JP 31470095 A JP31470095 A JP 31470095A JP 31470095 A JP31470095 A JP 31470095A JP H09132711 A JPH09132711 A JP H09132711A
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Naohiro Mikawa
直浩 三川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形・加工時の変色が著しく抑制されると共
に、ウェルド部の靭性等の機械的強度が高い成形品を与
えることができるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
を提供する。 【解決手段】 (A)ラジカル発生量が2.5×1016
spin/g以下であり、溶融粘度V6 が500〜48
00ポイズであり、かつ非ニュートン指数Nが1.35
以上であるポリアリーレンスルフィド100重量部、
(B)ゼオライト0.01〜20重量部(C)有機シラ
ン化合物0.01〜10重量部、及び(D)無機充填剤
0〜300重量部を含む樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアリーレンス
ルフィド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気・電子機器部品、自動車機器
部品、あるいは化学機器部品用等の材料として、高い耐
熱性を有し、かつ耐化学薬品性を有する熱可塑性樹脂が
要求されてきている。ポリフェニレンスルフィド(以下
ではPPSと略すことがある)に代表されるポリアリー
レンスルフィド(以下ではPASと略すことがある)が
この要求に応える樹脂の一つとして、近年注目されてき
ている。しかし、PASは通常淡黄色である場合が多
く、白度の高いPASを得ても溶融成形時に着色が起り
やすい。従って、白度の高いPAS成形品を得るために
は、特別の手段が必要であり、変色を低減するために種
々の手段が採られてきた。
【0003】例えば、特開昭62‐97821号公報に
は、ポリハロ芳香族化合物等のハロ置換有機化合物を重
合後期に重合系に添加して、ポリマー鎖末端を安定化す
る方法が開示されている。しかし、溶融粘度が小さくな
りがちであるという欠点が判明している。特開昭60‐
8359号公報には、白色顔料をPPS樹脂に混入して
白色化し、かつ白色顔料添加に起因する機械的強度の低
下をエポキシ樹脂の添加により補償することが提案され
ている。しかし、これはコスト高を招く。白色顔料とし
て酸化チタンと硫化亜鉛が記載されている。また、特開
平3‐229760号公報には、PASと無機充填剤よ
り成る組成物において、無機充填剤に起因する変色を防
止するために、これの表面に予め有機系安定剤を付着さ
せる方法、及び該方法により得られた組成物が開示さ
れ、また特開平3‐28267号及び同3‐28268
号公報には、PASに有機リン化合物を添加した組成物
が開示されている。しかし、溶融成形中に溶融粘度が小
さくなると共に、分解ガスが発生するという欠点があっ
た。
【0004】また、PASは成形時に、金型キャビティ
ー内で二つ以上の樹脂流の流動先端界面が合流して融着
する部分、即ちウェルド部の靭性等の機械的強度が極端
に低くなるという欠点を有している。このため、熱応力
や機械的応力を受けたとき、ウェルド部から破壊すると
いう問題があった。
【0005】上記の問題に鑑み、特開昭57‐7015
7号公報には、所定のメルトフローレート及び架橋速度
を持つPASに対し、特定寸法のガラス繊維を添加した
樹脂組成物が開示されている。しかし、該樹脂組成物で
はウェルド部の靭性等の機械的強度の向上は十分なもの
ではなく、また、機械的強度が不十分なために適用でき
る用途が限定されるという欠点があった。
【0006】更に、特開昭64‐38211号公報、特
開昭64‐63115号公報及び特開昭64‐8920
8号公報には、カップリング剤としてアミノアルコキシ
シラン、エポキシアルコキシシラン、メルカプトアルコ
キシシラン及びビニルアルコキシシランからなる群より
選ばれる少なくとも一種のシラン化合物をPASに添加
する方法が開示されている。しかし、該方法において
は、ウェルド部の靭性等の機械的強度の向上が十分では
ない。
【0007】特公平6‐11864号公報には、PPS
を主成分とし、これにゼオライトが添加されてなる樹脂
組成物が開示されている。該樹脂組成物は、金属部の腐
食を低減することを目的としている。また、特公平6‐
57137号公報には、PAS及びゼオライトから成る
樹脂組成物が開示されている。しかし、該樹脂組成物
は、結晶化速度を速め成形サイクルを短縮化することを
目的とするものである。上記いずれにおいても、任意的
共重合成分として特殊な分岐構造のモノマーが記載され
てはいるが、そのようなPASを用いた具体的な開示は
なく、また、本発明で規定されるPASを用いた開示も
ない。
【0008】特開平3‐146556号公報には、硬化
前に事実上線状であるPASを硬化したPAS、ガラス
繊維、結晶性ゼオライト及びオルガノシロキサンを夫々
所定量含む成形材料が開示されている。しかし、該成形
材料は、熱酸化処理により硬化した酸化架橋PASの成
形サイクル時間を短縮するためのものである。本発明で
使用するいわゆる分岐型PAS(熱酸化処理を施してい
ない)を用いるものではない。また、このような酸化架
橋PASでは、色相の改善は不十分であり、更には溶融
粘度が高くなり溶融流動性の低下を生じて成形加工性が
悪化すると共に、ウェルド部の強度低下をも招くという
欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、成形・加工
時の変色が著しく抑制されると共に、ウェルド部の靭性
等の機械的強度が高い成形品を与えることができるポリ
アリーレンスルフィド樹脂組成物を提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく種々の検討を行った。その結果、下記所定
の特性を有する、いわゆる分岐型PASを用いると、予
期されざることに有機シラン化合物及びゼオライトと組
み合って成形・加工時に著しく変色が抑制されることを
見出した。また、同時にウェルド部の靭性等の機械的強
度の向上が達成された。上記効果は、下記の特性を有す
るPASだけを用いても、あるいは(B)及び(C)成
分のいずれかが欠如しても満足することはできない。
【0011】即ち、本発明は、 (1)(A)ESRにより測定したラジカル発生量が
2.5×1016spin/g以下であり、溶融粘度V6
が500〜4800ポイズであり、かつ非ニュートン指
数Nが1.35以上であるポリアリーレンスルフィド
100重量部、(B)ゼオライト 0.01〜20重量
部(C)有機シラン化合物 0.01〜10重量部、及
び(D)無機充填剤0〜300重量部を含む樹脂組成物
である。
【0012】好ましい態様として、 (2)(A)ポリアリーレンスルフィドにおいて、非ニ
ュートン指数Nが1.45〜2.0である上記(1)記
載の樹脂組成物、 (3)(A)ポリアリーレンスルフィドにおいて、溶融
粘度V6 が600〜4000ポイズである上記(1)又
は(2)記載の樹脂組成物、 (4)(C)有機シラン化合物が、アミノアルコキシシ
ラン、エポキシアルコキシシラン及びメルカプトアルコ
キシシランから選択されるシラン化合物である上記
(1)〜(3)のいずれか一に記載の樹脂組成物、 (5)(A)ポリアリーレンスルフィドが、有機アミド
系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物と
ポリハロ芳香族化合物を反応させ、ここでアルカリ金属
硫化物とジハロ芳香族化合物とのモル比を0.940〜
1.000とし、ポリハロ芳香族化合物とアルカリ金属
硫化物とのモル比を0.0035〜0.010として反
応系に仕込み、かつ反応中に反応缶の気相部分を冷却す
ることにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを
液相に還流せしめて製造したものである上記(1)〜
(3)のいずれか一つに記載の樹脂組成物、 (6)(A)ポリアリーレンスルフィドが、極性溶媒中
で(a)アルカリ金属硫化物と(b)ジハロ芳香族化合
物と(c)官能基を3個以上有する芳香族化合物を反応
させ、ここで(a)/(b)のモル比が0.970〜
1.020であり、(c)/(a)のモル比が0.00
2〜0.015であるように上記(a)、(b)及び
(c)を反応系に仕込み、かつ反応系内の(b)の反応
率が50〜95%の時点で、仕込み(a)アルカリ金属
硫化物に対してモル比で0.001〜0.02の(d)
分子量調節剤を反応系に添加し、かつ反応中に反応缶の
気相部分を冷却することにより反応缶内の気相の一部を
凝縮させ、これを液相に還流せしめて製造したものであ
る上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の樹脂組成
物を挙げることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の樹脂組成物において使用
する成分(A)PASは、アリーレンスルフィド繰り返
し単位を有する公知のポリマーであり、特に好ましくは
PPSである。本発明においては、成分(A)PAS
は、ESRにより測定したラジカル発生量の上限が2.
5×1016spin/g、好ましくは2.0×1016
pin/g、特に好ましくは1.5×1016spin/
gである。上記上限を超えると、成形・加工時の変色の
抑制が不十分になると共に、流動性が低下してウェルド
部の強度低下を招く。下限値は特に限定されないが、好
ましくは1.0×1012spin/gである。ここで、
上記ラジカル発生量は、Mn 2+を標準物質として、30
から300℃まで5℃/分で昇温し、次いで300℃で
30分間保持した後に得られるESRスペクトルから求
めた値(spin/g)である。
【0014】上記のようなラジカル発生量を有する本発
明のPASは、いわゆる分岐型のPASである。下記に
示すような方法で製造されるPASが好ましく、例え
ば、アリーレンスルフィド繰り返し単位中に下記式
(I)で示されるような分岐構造を好ましく0.2モル
%以上含むものである。
【0015】
【化1】 酸素含有雰囲気下でPASを熱酸化処理して得られる酸
化架橋PASは、ESRにより測定したラジカル発生量
が本発明の範囲を超えるものであり、本発明のPASと
は異なる。
【0016】本発明の成分(A)PASの溶融粘度V6
は、その上限が4800ポイズ、好ましくは4000ポ
イズ、特に好ましくは3500ポイズであり、下限が5
00ポイズ、好ましくは600ポイズ、特に好ましくは
650ポイズである。溶融粘度V6 が上記下限未満で
は、成形・加工時の変色の抑制が不十分であると共に、
ウェルド部における靭性等の機械的強度の低下を招く。
上記範囲を超えては成形加工性が低下するため好ましく
ない。ここで、溶融粘度V6 は、フローテスターを用い
て300℃、荷重20kgf/cm2 、L/D=10で
6分間保持した後に測定した粘度(ポイズ)である。
【0017】また、本発明で使用する(A)PASは、
非ニュートン指数Nが1.35以上であることが必要で
あり、好ましくは1.45以上、特に好ましくは1.5
以上である。上記値未満では、成形・加工時の変色の抑
制が不十分であると共に、ウェルド部における靭性等の
機械的強度の低下を招くため好ましくない。なお上限値
は特に限定されないが、好ましくは2.0以下である。
ここで、上記非ニュートン指数Nは、キャピログラフを
用いて300℃、L/D=40の条件下で、剪断速度及
び剪断応力を測定し、下記式(II)を用いて算出した値
である。N値が1に近いほどPASは線状に近い構造で
あり、N値が高いほど分岐が進んだ構造であることを示
す。
【0018】
【数1】SR=K・SSN (II) [ここで、SRは剪断速度(秒-1)、SSは剪断応力
(ダイン/cm2 )、そしてKは定数を示す。] 本発明のPASは、白色度(ホットプレスL値)が好ま
しくは65以上、特に好ましくは70以上である。上記
値未満では、成形品の白色度が低くなり好ましくない。
ここで、白色度(ホットプレスL値)とは、PASを3
20℃で1.5分間予熱後、320℃で1.5分間、続
けて130℃で1.5分間、30kg/cm2 の圧力で
ホットプレスにより加圧成形して円盤状プレートを作
り、これについて、色彩色差計を用いて測定したもので
ある。
【0019】上記の(A)PASは、好ましくは下記の
方法により製造することができる。即ち、有機アミド系
溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを
反応させてPASを製造する方法において、アルカリ金
属硫化物とジハロ芳香族化合物とのモル比を0.940
〜1.000とし、更に仕込アルカリ金属硫化物に対し
て0.35〜1.0モル%のポリハロ芳香族化合物を重
合反応系内に添加し、かつ反応中に反応缶の気相部分を
冷却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、
これを液相に還流せしめる方法である。
【0020】上記製造方法において、アルカリ金属硫化
物とジハロ芳香族化合物とのモル比は、上限が1.00
0、好ましくは0.980であり、下限が0.940、
好ましくは0.950である。上記下限未満では、PA
Sの溶融粘度V6 が低くなり成形性が悪化する。上記上
限を超えては、成形時の加工性が劣るため好ましくな
い。
【0021】また、上記製造方法において、重合反応系
内に添加するポリハロ芳香族化合物は、仕込アルカリ金
属硫化物に対して、上限が1.00モル%、好ましくは
0.80モル%であり、下限が0.35モル%、好まし
くは0.40モル%である。上記下限未満では、生成し
たPASにおいて、上記非ニュートン指数Nが小さく、
上記上限を超えては、成形時の加工性が劣るため好まし
くない。
【0022】ポリハロ芳香族化合物の重合反応系内への
添加方法は、特に限定されるものではない。例えばアル
カリ金属硫化物及びジハロ芳香族化合物と同時に添加し
てもよいし、あるいは反応途中の任意の時点で、ポリハ
ロ芳香族化合物を有機溶媒例えばN‐メチルピロリドン
に溶解させて、高圧ポンプで反応缶内に圧入してもよ
い。
【0023】上記の反応缶の気相部分を冷却することに
より反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還
流せしめてPASを製造する方法としては、特開平5‐
222196号公報に記載の方法を使用することができ
る。反応缶の気相部分の冷却により、(A)PASの溶
融粘度V6 を本発明の範囲内にすることができる。
【0024】還流される液体は、水とアミド系溶媒の蒸
気圧差の故に、液相バルクに比較して水含有率が高い。
この水含有率の高い還流液は、反応溶液上部に水含有率
の高い層を形成する。その結果、残存のアルカリ金属硫
化物(例えばNa2 S)、ハロゲン化アルカリ金属(例
えばNaCl)、オリゴマー等が、その層に多く含有さ
れるようになる。従来法においては230℃以上の高温
下で、生成したPASとNa2 S等の原料及び副生成物
とが均一に混じりあった状態では、高分子量のPASが
得られないばかりでなく、せっかく生成したPASの解
重合も生じ、チオフェノールの副生成が認められる。し
かし、本発明では、反応缶の気相部分を積極的に冷却し
て、水分に富む還流液を多量に液相上部に戻してやるこ
とによって上記の不都合な現象が回避でき、反応を阻害
するような因子を真に効率良く除外でき、高分子量PA
Sを得ることができるものと思われる。但し、本発明は
上記現象による効果のみにより限定されるものではな
く、気相部分を冷却することによって生じる種々の影響
によって、高分子量のPASが得られるのである。
【0025】この方法においては、反応の途中で水を添
加することを要しない。しかし、水を添加することを全
く排除するものではない。但し、水を添加する操作を行
えば、この方法の利点のいくつかは失われる。従って、
好ましくは、重合反応系内の全水分量は反応の間中一定
である。
【0026】反応缶の気相部分の冷却は、外部冷却でも
内部冷却でも可能であり、自体公知の冷却手段により行
える。たとえば、反応缶内の上部に設置した内部コイル
に冷媒体を流す方法、反応缶外部の上部に巻きつけた外
部コイルまたはジャケットに冷媒体を流す方法、反応缶
上部に設置したリフラックスコンデンサーを用いる方
法、反応缶外部の上部に水をかける又は気体(空気、窒
素等)を吹き付ける等の方法が考えられるが、結果的に
缶内の還流量を増大させる効果があるものならば、いず
れの方法を用いても良い。外気温度が比較的低いなら
(たとえば常温)、反応缶上部に従来備えられている保
温材を取外すことによって、適切な冷却を行うことも可
能である。外部冷却の場合、反応缶壁面で凝縮した水/
アミド系溶媒混合物は反応缶壁を伝わって液相中に入
る。従って、該水分に富む混合物は、液相上部に溜り、
そこの水分量を比較的高く保つ。内部冷却の場合には、
冷却面で凝縮した混合物が同様に冷却装置表面又は反応
缶壁を伝わって液相中に入る。
【0027】一方、液相バルクの温度は、所定の一定温
度に保たれ、あるいは所定の温度プロフィールに従って
コントロールされる。一定温度とする場合、 230〜275
℃の温度で 0.1〜20時間反応を行うことが好ましい。よ
り好ましくは、 240〜265 ℃の温度で1〜6時間であ
る。より高い分子量のPASを得るには、2段階以上の
反応温度プロフィールを用いることが好ましい。この2
段階操作を行う場合、第1段階は 195〜240 ℃の温度で
行うことが好ましい。温度が低いと反応速度が小さす
ぎ、実用的ではない。 240℃より高いと反応速度が速す
ぎて、十分に高分子量なPASが得られないのみなら
ず、副反応速度が著しく増大する。第1段階の終了は、
重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率が1モル%〜40
モル%、且つ分子量が 3,000〜20,000の範囲内の時点で
行うことが好ましい。より好ましくは、重合反応系内ジ
ハロ芳香族化合物残存率が2モル%〜15モル%、且つ分
子量が 5,000〜15,000の範囲である。残存率が40モル%
を越えると、第2段階の反応で解重合など副反応が生じ
やすく、一方、1モル%未満では、最終的に高分子量P
ASを得難い。その後昇温して、最終段階の反応は、反
応温度 240〜270 ℃の範囲で、1時間〜10時間行うこと
が好ましい。温度が低いと十分に高分子量化したPAS
を得ることができず、また 270℃より高い温度では解重
合等の副反応が生じやすくなり、安定的に高分子量物を
得難くなる。
【0028】実際の操作としては、先ず不活性ガス雰囲
気下で、アミド系溶媒中のアルカリ金属硫化物中の水分
量が所定の量となるよう、必要に応じて脱水または水添
加する。水分量は、好ましくは、アルカリ金属硫化物1
モル当り0.5 〜2.5 モル、特に0.8 〜1.2 モルとする。
2.5 モルを超えては、反応速度が小さくなり、しかも反
応終了後の濾液中にフェノール等の副生成物量が増大
し、重合度も上がらない。0.5 モル未満では、反応速度
が速すぎ、十分な高分子量の物を得ることができない。
【0029】反応時の気相部分の冷却は、一定温度での
1段反応の場合では、反応開始時から行うことが望まし
いが、少なくとも 250℃以下の昇温途中から行わなけれ
ばならない。多段階反応では、第1段階の反応から冷却
を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了
後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合
いは、通常反応缶内圧力が最も適した指標である。圧力
の絶対値については、反応缶の特性、攪拌状態、系内水
分量、ジハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とのモ
ル比等によって異なる。しかし、同一反応条件下で冷却
しない場合に比べて、反応缶圧力が低下すれば、還流液
量が増加して、反応溶液気液界面における温度が低下し
ていることを意味しており、その相対的な低下の度合い
が水分含有量の多い層と、そうでない層との分離の度合
いを示していると考えられる。そこで、冷却は反応缶内
圧が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度に行う
のが好ましい。冷却の程度は、都度の使用する装置、運
転条件などに応じて、当業者が適宜設定できる。
【0030】ここで使用する有機アミド系溶媒は、PA
S重合のために知られており、たとえばN‐メチルピロ
リドン、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメ
チルアセトアミド、N‐メチルカプロラクタム等、及び
これらの混合物を使用でき、N‐メチルピロリドンが好
ましい。これらは全て、水よりも低い蒸気圧を持つ。ア
ルカリ金属硫化物も公知であり、たとえば、硫化リチウ
ム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、
硫化セシウム及びこれらの混合物である。これらの水和
物及び水溶液であっても良い。又、これらにそれぞれ対
応する水硫化物及び水和物を、それぞれに対応する水酸
化物で中和して用いることができる。安価な硫化ナトリ
ウムが好ましい。
【0031】ジハロ芳香族化合物は、たとえば特公昭4
5‐3368号公報記載のものから選ぶことができる
が、好ましくはp‐ジクロロベンゼンである。又、少量
(20モル%以下)のジフェニルエーテル、ジフェニル
スルホン又はビフェニルのパラ、メタ又はオルトジハロ
物を1種類以上用いて共重合体を得ることができる。例
えば、m‐ジクロロベンゼン、o‐ジクロロベンゼン、
p,p´‐ジクロロジフェニルエーテル、m,p´‐ジ
クロロジフェニルエーテル、m,m´‐ジクロロジフェ
ニルエーテル、p,p´‐ジクロロジフェニルスルホ
ン、m,p´‐ジクロロジフェニルスルホン、m,m´
‐ジクロロジフェニルスルホン、p,p´‐ジクロロビ
フェニル、m,p´‐ジクロロビフェニル、m,m´‐
ジクロロビフェニルである。
【0032】ポリハロ芳香族化合物は、1分子に3個以
上のハロゲン置換基を有する化合物であり、例えば1,
2,3‐トリクロロベンゼン、1,2,4‐トリクロロ
ベンゼン、1,3,5‐トリクロロベンゼン、1,3‐
ジクロロ‐5‐ブロモベンゼン、2,4,6‐トリクロ
ロトルエン、1,2,3,5‐テトラブロモベンゼン、
ヘキサクロロベンゼン、1,3,5‐トリクロロ‐2,
4,6‐トリメチルベンゼン、2,2´,4,4´‐テ
トラクロロビフェニル、2,2´,6,6´‐テトラブ
ロモ‐3,3´,5,5´‐テトラメチルビフェニル、
1,4,6‐トリクロロナフタレン、1,2,3,4‐
テトラクロロナフタレン、1,2,4‐トリブロモ‐6
‐メチルナフタレン等及びそれらの混合物が挙げられ、
1,2,4‐トリクロロベンゼン、1,3,5‐トリク
ロロベンゼンが好ましい。
【0033】また、他の少量添加物として、末端停止
剤、修飾剤としてのモノハロ化物を併用することもでき
る。
【0034】また、本発明の(A)PASは、好ましく
は下記の方法によっても製造することができる。
【0035】即ち、極性溶媒中で(a)アルカリ金属硫
化物と(b)ジハロ芳香族化合物と(c)官能基を3個
以上有する芳香族化合物を反応させてポリアリーレンス
ルフィドを製造する方法において、(a)/(b)のモ
ル比が0.970〜1.020であり、(c)/(a)
のモル比が0.002〜0.015であるように上記
(a)、(b)及び(c)を反応系に仕込み、更に反応
系内の(b)の反応率が50〜95%の時点で、仕込み
(a)アルカリ金属硫化物に対してモル比で0.001
〜0.02の(d)分子量調節剤を反応系に添加し、か
つ反応中に反応缶の気相部分を冷却することにより反応
缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還流せしめ
る方法である。
【0036】上記のPAS製造法において、(a)アル
カリ金属硫化物/(b)ジハロ芳香族化合物のモル比
は、下限が0.970、好ましくは0.980であり、
上限が1.020、好ましくは1.000である。上記
下限未満では、PASの非ニュートン指数Nが低く、ま
た、PASの溶融粘度V6 が著しく低くなり成形性が悪
化する。上記上限を超えては、PASが解重合を起こす
ので好ましくない。(c)官能基を3個以上有する芳香
族化合物/(a)アルカリ金属硫化物のモル比は、下限
が0.002、好ましくは0.003であり、上限が
0.015、好ましくは0.01である。上記下限未満
では、PASの非ニュートン指数Nが低く、また、PA
Sの溶融粘度V6 が著しく低くなり成形性が悪化する。
上記上限を超えては、PASの分岐、架橋が進行し過ぎ
て成形時においてPASのゲル化が生じ成形性が悪化す
るため好ましくない。
【0037】該方法において、(d)分子量調節剤は、
反応系内の(b)ジハロ芳香族化合物の反応率の上限が
95%、好ましくは90%、下限が50%、好ましくは
70%、特に好ましくは80%の時点で添加される。添
加時の(b)ジハロ芳香族化合物の反応率が上記下限未
満では、分岐構造の導入が不十分であり、非ニュートン
指数Nが低くなる。上記上限を超えると、極度に溶融粘
度V6 が高くなりゲル化して成形不能となる。重合反応
系に添加する(d)分子量調節剤は、(a)アルカリ金
属硫化物に対してモル比で、下限が0.001、好まし
くは0.002、特に好ましくは0.004であり、上
限が0.02、好ましくは0.01、特に好ましくは
0.008である。上記範囲外では、非ニュートン指数
Nが低くなると共に、成形性も悪化する。(d)の添加
は、上記の反応率の範囲内であれば、1回で全量をまと
めて添加してもよいし、あるいは数回に分けて添加して
もよい。該添加は、(d)をそのまま、あるいは使用す
る極性溶媒(例えば、N‐メチル‐2‐ピロリドン)に
溶解して、加圧注入機を用いて反応缶内に圧入すること
により行うことができる。
【0038】本発明の(d)分子量調節剤としては、以
下に掲げるものを使用することができる。例えば、モノ
又はジハロ芳香族化合物例えばモノクロロベンゼン、モ
ノブロモベンゼン、m‐ジクロロベンゼン等;メルカプ
ト基を1又は2個有する芳香族化合物例えばチオフェノ
ール、1,4‐ジチオフェノール、モノクロロチオフェ
ノール等;ジスルフィド化合物例えばジフェニルジスル
フィド、p,p´‐ジトリルジスルフィド、ジベンジル
ジスルフィド、ジベンゾイルジスルフィド、ジチオベン
ゾイルジスルフィド等;電子吸引基(例えばカルボキシ
ル基、ニトロ基、スルホニル基、カルボニル基等)を有
するハロ置換芳香族化合物例えばニトロクロロベンゼ
ン、ジクロロジフェニルスルホン、4,4´‐ジクロロ
ベンゾフェノン等が挙げられる。好ましくは、(d)分
子量調節剤として、チオフェノール、ジフェニルジスル
フィド又はm‐ジクロロベンゼンから成る群から選ばれ
た少なくとも一つのものを使用し得る。
【0039】(a)アルカリ金属硫化物及び(b)ジハ
ロ芳香族化合物はいずれも上記記載のものを使用するこ
とができる。
【0040】(c)官能基を3個以上有する芳香族化合
物は、例えば特公平6‐45693号公報に記載されて
いるものを使用することができる。(c)官能基を3個
以上有する芳香族化合物とは、芳香族環に結合した反応
性官能基を3個以上、好ましくは3〜4個、特に好まし
くは3個有する芳香族化合物である。該反応性官能基と
しては、例えばアミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト
基、カルボキシル基、スルホニル基、スルフィノ基、ス
ルファモイル基、ヒドラジノ基及びカルバモイル基等の
活性水素含有基、ハロゲン原子、並びにニトロ基等を挙
げることができる。上記反応性官能基中、アミノ基、ハ
ロゲン原子、ニトロ基が好ましい。ハロゲン原子として
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等の各原子が挙げら
れ、塩素原子が好ましい。芳香族環に結合する上記反応
性官能基は夫々同一であっても異なっていてもよい。ま
た、上記(c)の芳香族化合物としては、ベンゼン類、
ビフェニル類、ジフェニルエーテル類、ジフェニルスル
フィド類、ナフタレン類等を挙げることができ、ベンゼ
ン類が好ましい。
【0041】(c)官能基を3個以上有する芳香族化合
物としては、好ましくは活性水素含有ハロゲン芳香族化
合物、ポリハロ芳香族化合物及びハロゲン芳香族ニトロ
化合物等を使用することができる。
【0042】活性水素含有ハロゲン芳香族化合物として
は、例えば、2,6‐ジクロロアニリン、2,5‐ジク
ロロアニリン、2,4‐ジクロロアニリン、2,3‐ジ
クロロアニリン等のジハロアニリン類;2,3,4‐ト
リクロロアニリン、2,4,6‐トリクロロアニリン、
3,4,5‐トリクロロアニリン等のトリハロアニリン
類;2,2´‐ジアミノ‐4,4´‐ジクロロジフェニ
ルエーテル、2,4´‐ジアミノ‐2´,4‐ジクロロ
ジフェニルエーテル等のジハロアミノジフェニルエーテ
ル類等のアミノ基含有ハロゲン芳香族化合物、及びこれ
ら化合物中のアミノ基がメルカプト基やヒドロキシル基
に置き換えられた化合物等が挙げられる。また、これら
の活性水素含有ハロゲン芳香族化合物中の芳香族環を形
成する炭素原子に結合した水素原子が、他の不活性基例
えばアルキル基等の炭化水素基に置換しているアミノ基
含有ハロゲン芳香族化合物も使用することができる。上
記の活性水素含有ハロゲン芳香族化合物中、活性水素含
有ジハロ芳香族化合物を好適に使用することができ、な
かでもアミノ基含有ジハロ芳香族化合物が好ましく、特
に好ましいのはジクロロアニリンである。
【0043】ポリハロ芳香族化合物としては、上記に記
載したと同じものを使用し得る。
【0044】ハロゲン芳香族ニトロ化合物としては、例
えば2,4‐ジニトロクロロベンゼン、2,5‐ジクロ
ロニトロベンゼン等のモノ又はジハロニトロベンゼン
類;2‐ニトロ‐4,4´‐ジクロロジフェニルエーテ
ル等のジハロニトロジフェニルエーテル類;3,3´‐
ジニトロ‐4,4´‐ジクロロジフェニルスルホン等の
ジハロニトロジフェニルスルホン類;2,5‐ジクロロ
‐3‐ニトロピリジン、2‐クロロ‐3,5‐ジニトロ
ピリジン等のモノ又はジハロニトロピリジン類、あるい
は各種ジハロニトロナフタレン類等が挙げられる。
【0045】本発明の方法において、上記(c)官能基
を3個以上有する芳香族化合物は、一種単独で使用して
もよく、また二種以上を併用してもよい。
【0046】本発明の方法で使用する極性溶媒は、PA
S重合のために知られており、例えば特公平6‐456
93号公報に記載されているもの、例えば有機アミド化
合物、ラクタム化合物、尿素化合物、環式有機リン化合
物等を使用することができる。該極性溶媒としては、例
えば、上記に掲げた有機アミド系溶媒、N,N‐ジエチ
ルアセトアミド、N,N‐ジプロピルアセトアミド、
N,N‐ジメチル安息香酸アミド、カプロラクタム、N
‐エチルカプロラクタム、N‐イソプロピルカプロラク
タム、N‐イソブチルカプロラクタム、N‐ノルマルプ
ロピルカプロラクタム、N‐ノルマルブチルカプロラク
タム、N‐シクロヘキシルカプロラクタム、N‐エチル
‐2‐ピロリドン、N‐イソプロピル‐2‐ピロリド
ン、N‐イソブチル‐2‐ピロリドン、N‐ノルマルプ
ロピル‐2‐ピロリドン、N‐ノルマルブチル‐2‐ピ
ロリドン、N‐シクロヘキシル‐2‐ピロリドン、N‐
メチル‐3‐メチル‐2‐ピロリドン、N‐エチル‐3
‐メチル‐2‐ピロリドン、N‐メチル‐3,4,5‐
トリメチル‐2‐ピロリドン、N‐メチル‐2‐ピペリ
ドン、N‐イソプロピル‐2‐ピペリドン、N‐エチル
‐2‐ピペリドン、N‐メチル‐6‐メチル‐2‐ピペ
リドン、N‐メチル‐3‐エチル‐2‐ピペリドン、テ
トラメチル尿素、N,N´‐ジメチルエチレン尿素、
N,N´‐ジメチルプロピレン尿素、1‐メチル‐1‐
オキソスルホラン、1‐エチル‐1‐オキソスルホラ
ン、1‐フェニル‐1‐オキソスルホラン、1‐メチル
‐1‐オキソホスホラン、1‐ノルマルプロピル‐1‐
オキソホスホラン及び1‐フェニル‐1‐オキソホスホ
ラン等が挙げられる。これらの溶媒は、夫々単独でもよ
いし、2種以上を混合して用いてもよい。上記極性溶媒
中、非プロトン性の有機アミド若しくはラクタム類が好
ましく、そのなかでもN‐アルキルラクタム及びN‐ア
ルキルピロリドンが好ましく、N‐メチルピロリドンが
特に好ましい。
【0047】該極性溶媒中で(a)アルカリ金属硫化物
と(b)ジハロ芳香族化合物と(c)官能基を3個以上
有する芳香族化合物を反応させてPASを製造する方法
において、反応中、反応缶の気相部分を冷却することに
より反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還
流せしめる方法としては、上記と同じく特開平5‐22
2196号公報記載の方法を用いることができ、これに
より(A)PASの溶融粘度V6 を本発明の範囲内にす
ることができる。
【0048】上記いずれの方法においても得られたPA
Sは、当業者にとって公知の後処理法によって副生物か
ら分離することができる。
【0049】また、本発明においては、上記のようにし
て得られたPASに、好ましくは更に酸処理を施すこと
もできる。該酸処理は、100℃以下の温度、好ましく
は40〜80℃の温度で実施される。該温度が上記上限
を超えると、酸処理後のPAS分子量が低下するため好
ましくない。また、40℃未満では、残存している無機
塩が析出してスラリーの流動性を低下させ、連続処理の
プロセスを阻害するため好ましくない。該酸処理に使用
する酸溶液の濃度は、好ましくは0.01〜5.0重量
%である。また、該酸溶液のpHは、酸処理後におい
て、好ましくは4.0〜5.0である。上記の濃度及び
pHを採用することにより、被処理物であるPAS中の
−SX(Xはアルカリ金属を示す)及び‐COOX末端
の大部分を−SH及び‐COOH末端に転化することが
できると共に、プラント設備等の腐食を防止し得るため
好ましい。該酸処理に要する時間は、上記酸処理温度及
び酸溶液の濃度に依存するが、好ましくは5分間以上、
特に好ましくは10分間以上である。上記未満では、P
AS中の−SX及び‐COOX末端を−SH及び‐CO
OH末端に十分に転化できず好ましくない。上記酸処理
には、例えば酢酸、ギ酸、シュウ酸、フタル酸、塩酸、
リン酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、ホウ酸、炭酸等が使用さ
れ、酢酸が特に好ましい。該処理を施すことにより、P
AS中の不純物であるアルカリ金属、例えばナトリウム
を低減でき、PASの色相を向上することができる。
【0050】(B)ゼオライトは、結晶性のアルミノケ
イ酸塩であり、下記の一般式で示される公知の物質であ
る。
【0051】x(MI 2 ,MII)O・Al2 3 ・ nS
iO2 ・ mH2 O ここで、MI は1価の金属、例えばLi、Na、K等の
アルカリ金属、あるいはアンモニウム、アルキルアンモ
ニウム、ピリジニウム、アニリニウム、水素イオン等を
示し、MIIは2価の金属、例えばCa、Mg、Ba、S
r等のアルカリ土類金属を示す。好ましくはMIIがCa
であり、MI が実質上存在しない。
【0052】本発明で使用する(B)ゼオライトとして
は天然または合成品の何れのゼオライトも使用可能であ
る。天然ゼオライトとしては、例えば、ホウふっ石、ワ
イラカイト、ソーダふっ石、メソふっ石、トムソンふっ
石、ゴナルドふっ石、スコレふっ石、エジングトふっ
石、ギスモンふっ石、ダクふっ石、モルデンふっ石、ニ
ガワラふっ石、エリオナイト、アシュクロフティン、キ
ふっ石、クリノプチロライト、タバふっ石、ハクふっ
石、ダキアルドふっ石、カイジュウジふっ石、ジュウジ
ふっ石、グメリンふっ石、リョウふっ石、フォージャサ
イト等を挙げることができる。合成ゼオライトとして
は、例えば、A型、X型、Y型、L型、モルデナイト、
チャバサイト等を挙げることができる。上記ゼオライト
中、好ましくは合成ゼオライトが用いられる。合成ゼオ
ライトとしては、市販のものを使用することができ、例
えば、CS‐100、CS‐100S(いずれも商標、
株式会社耕正製)、AMT‐25(商標、水澤化学工業
株式会社製)、ミズカライザーES(商標、水澤化学工
業株式会社製)等が挙げられる。
【0053】(B)ゼオライトの形状は粉末粒子状が好
ましく、平均粒径の上限が好ましくは3μm、特に好ま
しくは2μmである。上記上限を超えると樹脂組成物の
流動性の低下や成形品のウェルド部強度の低下等をもた
らすため好ましくない。ここで、平均粒径はコールター
カウンター法により求めた値(D50)である。
【0054】本発明において成分(A)PASと成分
(B)ゼオライトの配合比は、(A)100重量部に対
して、(B)の上限が20重量部、好ましくは15重量
部、特に好ましくは10重量部であり、下限が0.01
重量部、好ましくは0.1重量部、特に好ましくは0.
2重量部である。上記上限を超えると樹脂組成物の流動
性の低下が生じ、上記下限未満では成形品の白色度及び
ウェルド部の靭性等を高めることができない。
【0055】次に、本発明で使用する(C)有機シラン
化合物としては、シランカップリング剤として使用され
ている化合物が挙げられる。例えばアルコキシシラン類
が好ましく、更に好ましくは、アミノアルコキシシラ
ン、エポキシアルコキシシラン及びメルカプトアルコキ
シシランから選択される。アミノアルコキシシランとし
ては、例えばγ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、γ‐アミノプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ‐アミノプロピルメ
チルジエトキシシラン、N-β(アミノエチル)‐γ‐ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチ
ル)‐γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β
(アミノエチル)‐γ‐アミノプロピルメチルジメトキ
シシラン、N-β(アミノエチル)‐γ‐アミノプロピル
メチルジエトキシシラン、N-フェニル‐γ‐アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N-フェニル‐γ‐アミノプロ
ピルトリエトキシシラン等が挙げられる。エポキシアル
コキシシランとしては、例えばγ‐グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリ
エトキシシラン、β‐(3,4-エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。メルカプト
アルコキシシランとしては、例えばγ‐メルカプトプロ
ピルトリメトキシシラン、γ‐メルカプトプロピルトリ
エトキシシラン等が挙げられる。また、この他に、ハロ
アルコキシシラン、例えばγ‐クロロプロピルトリメト
キシシラン、γ‐クロロプロピルトリエトキシシラン
等;イソシアネートアルコキシシラン、例えばγ‐イソ
シアネートプロピルトリメトキシシラン、γ‐イソシア
ネートプロピルトリエトキシシラン等;ビニルアルコキ
シシラン、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルトリス(β‐メトキシエトキ
シ)シラン等を使用することもできる。上記した有機シ
ラン化合物は、1種単独で又は2種以上組合わせて使用
することができる。
【0056】(C)有機シラン化合物は、(A)100
重量部に対して、0.01重量部以上、好ましくは0.
1重量部以上、かつ10重量部以下、好ましくは5重量
部以下の量で使用する。有機シラン化合物の配合量が多
すぎると粘度変化が大きく、成形しにくくなり、また配
合量が少なすぎると成形・加工時の変色抑制効果が得ら
れないと共に、ウェルド強度の向上を図ることもできな
い。
【0057】本発明の樹脂組成物には更に、任意成分と
して(D)無機充填剤を配合することができる。無機充
填剤としては特に限定されないが、例えば粉末状/リン
片状の充填剤、繊維状充填剤等が使用できる。粉末状/
リン片状の充填剤としては、例えばシリカ、アルミナ、
タルク、マイカ、カオリン、クレー、シリカアルミナ、
酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン
酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、リ
ン酸マグネシウム、窒化ケイ素、ガラス、ハイドロタル
サイト、酸化ジルコニウム、ガラスビーズ、カーボンブ
ラック等が挙げられる。また、繊維状充填剤としては、
例えばガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ
繊維、シリカ/アルミナ繊維、チタン酸カリ繊維、ポリ
アラミド繊維等が挙げられる。また、この他にZnOテ
トラポット、金属塩(例えば塩化亜鉛、硫酸鉛など)、
酸化物(例えば酸化鉄、二酸化モリブデンなど)、金属
(例えばアルミニウム、ステンレスなど)等の充填剤を
使用することもできる。これらを1種単独で又は2種以
上組合わせて使用できる。また、無機充填剤は、その表
面が、シランカップリング剤やチタネートカップリング
剤で処理してあってもよい。
【0058】(D)無機充填剤は、(A)100重量部
に対して300重量部以下の量で、好ましくは200重
量部以下の量で使用される。無機充填剤の量が上記値を
超えると粘度変化が大きくなって成形不能となることが
ある。また機械的強度を高めるためには、10重量部以
上配合するのが好ましい。
【0059】本発明の樹脂組成物には、上記の成分の他
に、必要に応じて公知の添加剤及び充填剤、例えば酸化
防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、熱安定剤、滑剤、着色
剤、帯電防止剤等を配合することができる。
【0060】本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定
されず、例えば各成分を機械的に混合し、押出機等の慣
用の装置にて溶融混練し(例えば320 ℃程度)、押出
し、ペレット化することができる。また、マスターバッ
チとして混合/成形することもできる。また、組成物各
成分を別々に押出機に投入して溶融混合してもよい。好
ましくは(A)PASと(C)有機シラン化合物とを予
め混合した後、他の成分と共に押出機に投入して溶融混
練する。これにより、(C)有機シラン化合物の(B)
ゼオライトへの吸着を防止することができる。
【0061】本発明の樹脂組成物は、例えば射出成形し
て所望の形状に成形され、特に外観の美しさが要求され
る成形品、例えば電子部品、家電部品、あるいはカメ
ラ、時計等の精密機械部品等に使用される。また、ウェ
ルド部を有する成形品、例えば、コネクター等の電気・
電子機器部品等にも好適である。
【0062】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。
【0063】
【実施例】実施例において、PPSの溶融粘度V6 測定
の際に用いたフローテスターは、島津製作所製フローテ
スターCFT‐500Cである。
【0064】非ニュートン指数Nの測定に用いたキャピ
ログラフは、東洋精機製作所製キャピログラフ1B P
‐Cである。
【0065】ラジカル発生量の測定に用いたESRは、
日本電子製JES‐FE2XGである。
【0066】合成例1 150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソー
ダ(60.3重量%Na2 S)19.413kgとN‐
メチル‐2‐ピロリドン(以下ではNMPと略すことが
ある)45.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しなが
ら液温204℃まで昇温して、水4.872kgを留出
させた。その後、オートクレーブを密閉して180℃ま
で冷却し、p‐ジクロロベンゼン(以下ではp‐DCB
と略すことがある)22.850kg、1,2,4‐ト
リクロロベンゼン(以下では1,2,4‐TCBと略す
ことがある)122.48g(仕込硫化ソーダに対し
て、約0.55モル%)及びNMP18.0kgを仕込
んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて1kg/cm2
Gまで加圧して昇温を開始した。液温220℃で3時間
攪拌しつつ、オートクレーブ上部の外側に取り付けた散
水装置により散水し、オートクレーブ上部を冷却した。
その後、昇温して液温を255℃とし、次いで該温度で
3時間攪拌し反応を進めた。次に、降温させると共にオ
ートクレーブ上部の冷却を止めた。オートクレーブ上部
を冷却中、液温が下がらないように一定に保持した。
【0067】得られたスラリーに対し常法により濾過、
温水洗を繰り返し、120℃で約5時間熱風循環乾燥機
中で乾燥し、白色粉末状のPPSを得た。得られたPP
S(R‐1)の溶融粘度V6 は1850ポイズであり、
非ニュートン指数Nは1.49であり、ラジカル発生量
は7.1×1015spin/gであった。
【0068】合成例2(比較成分) オートクレーブ上部の冷却を行わなかった以外は、合成
例1と同一にして実施し、灰白色粉末状のPPSを得
た。得られたPPS(R‐2)の溶融粘度V6 は450
ポイズであり、非ニュートン指数Nは1.15であり、
ラジカル発生量は1.5×1016spin/gであっ
た。
【0069】合成例3(比較成分) 合成例1で得られた白色粉末状のPPS(R‐1)を、
240℃で5時間熱酸化処理して、灰白色粉末状PPS
を得た。得られたPPS(R‐3)の溶融粘度V6 は4
530ポイズであり、非ニュートン指数Nは1.51で
あり、ラジカル発生量は3.0×1016spin/gで
あった。
【0070】
【実施例1〜4及び比較例1〜9】実施例及び比較例で
使用したゼオライト、有機シラン化合物及び無機充填剤
は下記の通りである。 <ゼオライト>・CS‐100、商標、株式会社耕正製
(A型ゼオライトのNaをCaで置換したもの) <有機シラン化合物> ・γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン ・γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン ・γ‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン <無機充填剤> ・ガラス繊維:CS 3PE945S、商標、日東紡績
株式会社製 上記の各PPS、ゼオライト、有機シラン化合物及び任
意的にガラス繊維を表1に示す割合で配合し、ヘンシェ
ルミキサーで5分間予備混合した後、30mmφ二軸押
出機を使用して、シリンダー温度320℃、回転数25
0rpmで溶融押出し、ペレットを作成した。更に出来
上がったペレットをシリンダー温度320℃、金型温度
130℃に設定した射出成形機[両側にサイドゲートを
有する金型(ASTM D638 タイプ4に準拠)を
使用]により成形して、試験片を作成した。次いで、該
試験片についてASTM D638に準拠してウェルド
強度を測定した。
【0071】変色の評価は、上記の試験片について、色
差計(型式SM‐4、スガ試験機株式会社製)を用いて
白色度(L値)を測定した。L値が大きい方が、変色の
度合いが少ない。
【0072】以上の結果を表1に示す。
【0073】
【表1】 実施例1〜4は、いずれも高い白色度Lとウェルド強度
を示した。実施例2は、実施例1と同一配合のもと、更
にガラス繊維を本発明の範囲内で配合したものである。
実施例1と比べて、白色度は多少低下したが本発明の効
果を十分満足するものであった。また、ウェルド強度は
向上した。実施例3及び4は、実施例2と同一配合のも
と、(C)有機シラン化合物の種類を変えたものであ
る。白色度とウェルド強度共に実施例2とほぼ同じであ
り良好であった。
【0074】一方、比較例1は、実施例1において
(C)有機シラン化合物を配合しなかったものである。
白色度及びウェルド強度は共に低かった。比較例2は、
実施例1において(B)ゼオライトを配合しなかったも
のである。白色度とウェルド強度共に著しく低くかっ
た。比較例3及び4は、実施例2と同一配合のもと、夫
々(B)ゼオライトの配合量が本発明の範囲未満及び範
囲を超えたものである。ゼオライト配合量が少な過ぎる
と(比較例3)、白色度とウェルド強度が共に著しく低
くなり、一方、ゼオライト配合量が多過ぎると(比較例
4)、組成物の溶融粘度が著しく高くなり成形ができな
くなった。比較例5及び6は、実施例2と同一配合のも
と、(C)有機シラン化合物を配合しなかったもの及び
配合量が本発明の範囲を超えたものである。(C)有機
シラン化合物を配合しないと(比較例5)、白色度とウ
ェルド強度が共に低く、一方、配合量が多過ぎると(比
較例6)、組成物の溶融粘度が著しく高くなり成形がで
きなくなった。比較例7は、溶融粘度V6 及び非ニュー
トン指数Nが本発明の範囲未満のPPS、即ち反応中、
反応缶の気相部分の冷却を実施せずして製造したPPS
を使用したものである。本発明のPPSを使用した実施
例1に比べて、白色度とウェルド強度共に低く、変色が
確認された。比較例8は、ESRにより測定したラジカ
ル発生量が本発明の範囲を超えるもの、即ち、熱酸化架
橋したPPSについてのものである。実施例1と比べ
て、白色度とウェルド強度共に著しく低く、熱酸化架橋
したPPSでは、本発明の効果が得られないことが分か
った。比較例9は、PPS(R‐1)のみを用いたもの
である。白色度とウェルド強度共に著しく低かった。比
較例9と比較例1とを比べれば、本発明のPPSにゼオ
ライトを添加すると、白色度を多少高めることができる
が、ウェルド強度を高めることはできないことが分か
る。比較例9と比較例2とを比べると、本発明のPPS
に有機シラン化合物を添加すると、ウェルド強度は多少
高めることができるが、白色度はむしろ低くなることが
分かる。ところが、本発明の樹脂組成物のようにゼオラ
イト及び有機シラン化合物の両者を添加すれば(実施例
1)、ゼオライト又は有機シラン化合物の単独使用では
得ることができず、かつ単独使用の夫々の結果からは考
え及ばない著しく優れた改善効果が得られることが分か
った。
【0075】
【発明の効果】本発明は、成形・加工時の変色が著しく
抑制されると共に、ウェルド部の靭性等の機械的強度が
高い成形品を与えることができるポリアリーレンスルフ
ィド樹脂組成物を提供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沢田 修一 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−1 東燃 化学株式会社技術開発センター内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ESRにより測定したラジカル発生
    量が2.5×1016spin/g以下であり、溶融粘度
    6 が500〜4800ポイズであり、かつ非ニュート
    ン指数Nが1.35以上であるポリアリーレンスルフィ
    ド 100重量部、(B)ゼオライト 0.01〜20
    重量部、(C)有機シラン化合物 0.01〜10重量
    部、及び(D)無機充填剤0〜300重量部を含む樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 (C)有機シラン化合物が、アミノアル
    コキシシラン、エポキシアルコキシシラン及びメルカプ
    トアルコキシシランから選択されるシラン化合物である
    請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)ポリアリーレンスルフィドが、有
    機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族
    化合物とポリハロ芳香族化合物を反応させ、ここでアル
    カリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とのモル比を0.
    940〜1.000とし、ポリハロ芳香族化合物とアル
    カリ金属硫化物とのモル比を0.0035〜0.010
    として反応系に仕込み、かつ反応中に反応缶の気相部分
    を冷却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮さ
    せ、これを液相に還流せしめて製造したものである請求
    項1又は2記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (A)ポリアリーレンスルフィドが、極
    性溶媒中で(a)アルカリ金属硫化物と(b)ジハロ芳
    香族化合物と(c)官能基を3個以上有する芳香族化合
    物を反応させ、ここで(a)/(b)のモル比が0.9
    70〜1.020であり、(c)/(a)のモル比が
    0.002〜0.015であるように上記(a)、
    (b)及び(c)を反応系に仕込み、かつ反応系内の
    (b)の反応率が50〜95%の時点で、仕込み(a)
    アルカリ金属硫化物に対してモル比で0.001〜0.
    02の(d)分子量調節剤を反応系に添加し、かつ反応
    中に反応缶の気相部分を冷却することにより反応缶内の
    気相の一部を凝縮させ、これを液相に還流せしめて製造
    したものである請求項1又は2記載の樹脂組成物。
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WO2018180591A1 (ja) * 2017-03-30 2018-10-04 東レ株式会社 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、その製造方法および成形品
WO2023089962A1 (ja) * 2021-11-18 2023-05-25 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂混合物、樹脂組成物及び成形品ならびにそれらの製造方法

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