JPH09137253A - 耐応力腐食割れ性および低温靱性に優れた超高張力鋼およびその製造方法 - Google Patents

耐応力腐食割れ性および低温靱性に優れた超高張力鋼およびその製造方法

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JPH09137253A
JPH09137253A JP29304995A JP29304995A JPH09137253A JP H09137253 A JPH09137253 A JP H09137253A JP 29304995 A JP29304995 A JP 29304995A JP 29304995 A JP29304995 A JP 29304995A JP H09137253 A JPH09137253 A JP H09137253A
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temperature
stress corrosion
corrosion cracking
cracking resistance
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Yoshihiro Okamura
義弘 岡村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、耐応力腐食割れ性および低温靱性
に優れた降伏強さ1270MPa 以上の超高張力鋼および
その製造方法を提供する。 【解決手段】 C:0.06〜0.12%,Si:0.
02〜0.25%,Mn:0.05〜0.50%,N
i:11.0超〜13.0%,Mo:0.8〜2.5
%,Cr:1.0超〜3.0%,V:0.05〜0.2
0%,Al:0.01〜0.10%を含有し、必要に応
じてCu,Nb,Ti,Ca,REMの一種又は二種以
上を含有する鋼片を1000〜1250℃に加熱し、断
面減少50%以上の熱間加工を施し、700℃以上で加
工を終了し、150℃以下まで冷却し、その後、Ac3
−40℃〜Ac3点未満の温度域に加熱後、焼入れを行な
い、その後、Ac1点以下の温度で焼戻しを行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭素量が低いにも拘
らず高強度を有し、海水あるいは塩水などの応力腐食環
境中における耐応力腐食割れ性および低温靱性に優れた
高張力鋼、特に、降伏強さ1270MPa 以上の超高張力
鋼の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、エネルギー需要が年々増加し、そ
の安定供給確保のため、海底資源開発や海底地殻地質調
査など海洋開発に対する関心が高まり、この海底開発に
つながる海洋構造物および海底調査作業船の建造あるい
は海底石油生産基地などの建造構想が活発化している。
【0003】上述の目的に使用される材料には、構造上
非常に高い強度において高靱性で、且つ海水などの使用
環境条件においても、耐応力腐食割れ性を具備すること
が望まれている。このような安全で信頼性のある高強度
で高靱性材料の要求に応えるため、Ni含有低合金鋼の
開発およびその品質改善が行なわれている。深海中での
高い信頼性を有した超高張力鋼材としては、例えば、特
公昭64−11105号公報に開示されているように、
Ni含有鋼でNとOを低減し、Al(%)×N(%)×
104 <1.5となる関係を満足するNi−Cr−Mo
−V系の高靱性超高張力鋼が提案されており、大きな効
果が見られる。
【0004】また、特公平1−51526号公報に開示
されているように、Ni5〜8%含有したNi−Mo−
Nb系鋼を直接焼入れ−焼戻し処理し、優れた耐応力腐
食割れ性を有する超高張力鋼の製造方法が提案されてい
る。しかし、いずれの提案も前述の目的を満足するに至
っていない。一方、米国で開発された10Ni−8Co
系鋼の超高張力鋼は、強度は確保されているものの低温
靱性および耐応力腐食割れ性が十分とは言えず、また、
Coを8%も含むため非常にコストが高いのが難点であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来技術
では、超高張力鋼、特に降伏強さ1270MPa 以上の高
張力鋼においては、耐応力腐食割れ性及び低温靱性を十
分に両立することが困難であり、前述した目的に合致す
る鋼材は未だ開発されていないのが現状である。本発明
は、上記課題を解決した、耐応力腐食割れ性および低温
靱性に優れた降伏強さ1270MPa 以上の超高張力鋼及
びその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、海水中あ
るいは塩水中における耐応力腐食割れ性を具備し、より
高強度で高靱性を有するNi含有低合金鋼を開発するこ
とを目的に、鋼成分およびその製造方法、特に、熱間加
工−再加熱焼入れ・焼戻し処理について種々検討した結
果、C,SiおよびMnを低減したNi含有鋼にMo,
V,Crなどを添加し、熱間加工工程でこれら元素を十
分に固溶化し加工した後、再加熱焼入れ工程において、
固溶化したMo,V,Crなどが炭化物として加熱中に
析出し、Ac3点−40℃〜Ac3点未満の温度範囲におい
ても、なお析出しており、これにより旧オーステナイト
粒界および粒内から高転位密度を持つ無拡散型の針状オ
ーステナイト群が緻密に形成され、そして一般的な塊状
の拡散型オーステナイト粒(無拡散型オーステナイトに
比べ転位密度が低い)の生成が抑制され、高強度化およ
び高靱性化が達成でき、更に、この加熱温度では旧オー
ステナイト粒界が消失し、応力腐食による粒界割れ感受
性が著しく軽減され耐応力腐食割れ性が向上し、目的の
鋼が得られることを見い出した。
【0007】本発明はこのような知見に基づいて構成し
たもので、その要旨は、(1)重量%で、C:0.06
〜0.12%,Si:0.02〜0.25%,Mn:
0.05〜0.50%,Ni:11.0超〜13.0%
を含有する無拡散型逆変態オーステナイトから生成した
針状マルテンサイトと拡散型逆変態オーステナイトから
生成した塊状マルテンサイトの混合焼戻し組織が主体で
あり、かつCr,Mo,Vの少なくとも1種からなる炭
化物を有することを特徴とする耐応力腐食割れ性および
低温靱性に優れた超高張力鋼。(2)重量%で、C:
0.06〜0.12%,Si:0.02〜0.25%,
Mn:0.05〜0.50%,Ni:11.0超〜1
3.0%,Mo:0.8〜2.5%,Cr:1.0超〜
3.0%,V:0.05〜0.20%,Al:0.01
〜0.10%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純
物元素からなることを特徴とする耐応力腐食割れ性およ
び低温靱性に優れた超高張力鋼。(3)重量%で、C:
0.06〜0.12%,Si:0.02〜0.25%,
Mn:0.05〜0.50%,Ni:11.0超〜1
3.0%,Mo:0.8〜2.5%,Cr:1.0超〜
3.0%,V:0.05〜0.20%,Al:0.01
〜0.10%を含有し、更にCu:0.2〜2.0%,
Nb:0.005〜0.10%,Ti:0.005〜
0.05%からなる強度改善元素群、及び/又は介在物
形態制御作用のあるCa:0.0005〜0.0050
%,REM:0.0005〜0.0050%の一種又は
二種以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物元素
からなることを特徴とする耐応力腐食割れ性および低温
靱性に優れた超高張力鋼。(4)重量%でC:0.06
〜0.12%,Si:0.02〜0.25%,Mn:
0.05〜0.50%,Ni:11.0超〜13.0
%,Mo:0.8〜2.5%,Cr:1.0超〜3.0
%,V:0.05〜0.20%,Al:0.01〜0.
10%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からな
る鋼片を、1000〜1250℃の間に加熱し、断面積
減少が50%以上の熱間加工を施し、700℃以上で加
工を終了し、150℃以下の温度まで冷却し、その後、
更にAc3点−40℃〜Ac3点未満の温度域に再加熱後、
焼入れ処理を行ない、その後、Ac1点以下の温度で焼戻
し処理を行なうことを特徴とする耐応力腐食割れ性およ
び低温靱性に優れた超高張力鋼の製造方法。(5)重量
%でC:0.06〜0.12%,Si:0.02〜0.
25%,Mn:0.05〜0.50%,Ni:11.0
超〜13.0%,Mo:0.8〜2.5%,Cr:1.
0超〜3.0%,V:0.05〜0.20%,Al:
0.01〜0.10%を含有し、更にCu:0.2〜
2.0%,Nb:0.005〜0.10%,Ti:0.
005〜0.05%からなる強度改善元素群、及び/又
は介在物形態制御作用のあるCa:0.0005〜0.
0050%,REM:0.0005〜0.0050%の
一種又は二種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的
不純物からなる鋼片を、1000〜1250℃の間に加
熱し、断面積減少が50%以上の熱間加工を施し、70
0℃以上で加工を終了し、150℃以下の温度まで冷却
し、その後、更にAc3点−40℃〜Ac3点未満の温度域
に再加熱後、焼入れ処理を行ない、その後、Ac1点以下
の温度で焼戻し処理を行なうことを特徴とする耐応力腐
食割れ性および低温靱性に優れた超高張力鋼の製造方
法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、本発明の鋼成分の限定理由を述べる。 C:Cは焼入れ性を向上させ強度を容易に上昇させるの
に有効な元素であるが、0.06未満では本発明鋼の強
度の確保ができない。0.12%を超えると溶接熱影響
部が著しく硬化し耐応力腐食割れ性が低下する。従っ
て、C含有量を0.06〜0.12%とした。
【0009】Si:Siは強度向上に有効である。ま
た、製鋼上の必要な脱酸元素でもあり、0.02%未満
では、非金属介在物の増加により母材の耐応力腐食割れ
性が低下する。0.25%超になると、Ni含有鋼の場
合、焼戻し脆性が大きくなり低温靱性が低下する。従っ
て、Si含有量を0.02〜0.25%とした。 Mn:Mnは焼入れ性を向上させ、強度、靱性確保に有
効であるが、0.05%未満ではその効果がない。一
方、本発明のNi含有鋼の場合は、Mnが高いとSiと
同様に焼戻し脆性が大きくなり、また、母材および溶接
熱影響部の耐応力腐食割れ性を低下させるため0.50
%以下にする必要がある。従って、Mnの含有量を0.
05〜0.50%とした。
【0010】Ni:Niは積層欠陥エネルギーを上げ、
交叉すべりを増し、応力緩和を生じやすくし、衝撃吸収
エネルギーを増し低温靱性の向上に有効である。更にN
iは本発明に含まれるCr,MoおよびVなどとの共存
で最も効果を発揮するが、再加熱焼入れ処理する際の再
加熱温度において、炭化物の溶解によって生成する塊状
のオーステナイトからなる拡散型逆変態オーステナイト
と、炭化物の溶解を伴わない針状のオーステナイトが緻
密に生成した無拡散型逆変態オーステナイトとの混合オ
ーステナイトが生成するが、この無拡散型逆変態オース
テナイトは拡散型逆変態オーステナイトに比べ高転位密
度を持ち強度上昇に極めて有効に作用する。すなわち、
NiはCr,MoおよびVなどの炭化物の溶解を遅らせ
る作用があり、針状オーステナイトを高温まで安定に保
持することができる。従って、無拡散型オーステナイト
の高温安定による本発明の強度確保のため11.0%超
の添加が必要である。また、13.0%を超えて添加す
ると焼戻し時に残留オーステナイトが析出して強度・靱
性を低下させる。従って、Niの含有量を11.0超〜
13.0%とした。
【0011】Mo:Moは焼戻しによる析出強化と焼戻
し脆性の抑制に有効な元素であると同時に、Niと同様
に本発明の重要な元素である。すなわち、再加熱焼入れ
処理の再加熱温度において、加熱過程で析出したMo炭
化物が一部高温まで残存するために、高転位密度を持つ
針状オーステナイトの形成を助長する。0.8%未満で
は再加熱焼入れ温度でMo炭化物が溶解し、塊状のオー
ステナイトからなる拡散型逆変態オーステナイトの生成
が促進され、強度が著しく低下する。2.5%を超える
強度向上効果が認められず、かえって粗大な合金炭化物
が増加し靱性を低下させる。従って、Moの含有量を
0.8〜2.5%とした。
【0012】Cr:Crは焼入れ性を向上させ強度確保
に有効である。また、更にMoと同様に再加熱焼入れ処
理の再加熱温度において、加熱過程で析出したCr炭化
物が一部高温まで残存するために、高転位密度を持つ針
状のオーステナイトの形成を助長し高温まで保持でき、
靱性を損なわず強度確保が容易である。1.0%以下で
は本鋼の強度が得られず、3.0%を超えると強度上昇
が飽和し靱性が低下する。従って、Crの含有量を1.
0〜3.0%とした。
【0013】V:Vは焼戻し処理のとき、炭窒化物を形
成して強度確保のために必要である。また、Mo,Cr
と同様に再加熱焼入れ処理時において、Vが加熱中に析
出し、残存するために高転位密度を持つ針状オーステナ
イトの形成が助長され、強度確保に有効である。0.0
5%未満では目標の強度が得られず、また、0.20%
を超えると靱性が低下する。従って、Vの含有量を0.
05〜0.20%とした。
【0014】Al:Alは脱酸のために必要な元素であ
ると同時に、鋼片加熱時に窒化物を形成し、オーステナ
イト粒の細粒化に有効である。しかし、0.01%未満
ではその効果が小さく、また、0.08%を超えるとア
ルミナ系介在物が増加し靱性を阻害する。従って、Al
の含有量を0.01〜0.10%とした。以上は本発明
における鋼の基本成分であるが、更に本発明では上記成
分の他に、Cu,Nb,TiおよびCaの一種又は二種
以上添加することができる。Cu,Nb,Ti成分は鋼
の強度を向上させるという均等的作用を持ち、更にNb
およびTi成分はオーステナイト粒の細粒化にも有効で
あり、所望の効果を確保するためには、それぞれ含有下
限量をCu:0.2%、Nb:0.005%、Ti:
0.005%とする必要がある。しかし、それぞれC
u:2.0%、Nb:0.10%、Ti:0.05%を
超えて含有させると低温靱性が低下し、また、耐応力腐
食割れ性を高めたりするため、上記の通り限定する。
【0015】Ca:Caは非金属介在物の球状化に極め
て有効であり、低温靱性の向上や靱性の異方性を小さく
する効果がある。それには、0.0005%必要である
が、0.005%を超えると介在物増加により靱性およ
び耐応力腐食割れ性を低下させる。従って、Caの含有
量を0.0005〜0.0050%とした。 REM:REMもCaと同様に非金属介在物の形状改善
効果があり、低温靱性の向上や靱性の異方性を小さくす
る。それには、0.0005%必要であるが、0.00
5%を超えると介在物増加により靱性および耐応力腐食
割れ性を低下させる。従って、REMの含有量を0.0
005〜0.0050%とした。
【0016】上記の成分の他に不可避的不純物として
P,S,N,O等は本発明の特性である低温靱性および
耐応力腐食割れ性を低下させる有害な元素であるから、
その量少ない方がよい。好ましくはP:0.005%以
下、S:0.003%以下、N:0.0050%以下、
O:0.0030%以下に調整する。次に本発明のもう
一つの骨子である製造法について述べる。
【0017】すなわち、上記成分系であれば、降伏強さ
1270MPa 以上の超高張力鋼で十分な耐応力腐食割れ
性と低温靱性が得られるが、更に、後述の図1(b)に
示すように組織分布にすると、強度・耐応力腐食割れ性
と低温靱性が十分に満足される。この組織分布を得るに
は、製造方法を下記の条件にすることが好ましい。鋼の
加工と熱処理について、厚板の加熱、圧延、熱処理を例
にとって説明する。
【0018】まず、上記の鋼成分組成の鋼片を1000
〜1250℃に加熱する。この加熱においては、加熱オ
ーステナイト粒の細粒化の他に、熱間圧延後の再加熱焼
入れ処理における上述の針状オーステナイトの無拡散型
逆変態オーステナイト生成および焼戻し処理での微細析
出による強化を利用するために、1000℃以上に鋼片
を加熱し、Mo,Cr,Vなどを十分に固溶しておく必
要がある。1000℃未満の低い加熱温度では、この固
溶化作用が不十分となり、未溶解合金炭化物が粗大化
し、かえって、焼戻しの際に十分な析出強化が期待でき
ないと共に靱性低下の原因ともなる。一方、1250℃
を超える加熱温度では、Mo,Cr,Vなどの合金炭化
物は十分固溶するものの、本発明のNi含有鋼において
は、鋼片表面に酸化物が増加し、最終的に圧延後の表面
きずを生じる。また、加熱オーステナイト粒が粗大化
し、その後の圧延においてはオーステナイト粒が細粒化
しにくく、靱性低下の原因ともなる。従って、これらの
問題を考慮して鋼片の加熱温度を1000〜1250℃
とした。
【0019】次にこのように加熱された鋼片を、断面積
減少が50%以上で熱間圧延を行ない、700℃以上の
温度で圧延を終了し、150℃以下の温度まで冷却す
る。これは、圧延後のミクロ組織を細粒のオーステナイ
ト粒からなるマルテンサイト組織とするためである。熱
間圧延で形成されたオーステナイト粒は、次の再加熱焼
入れ処理でも圧延ままのオーステナイト粒を継承するた
め、より高レベルの低温靱性の確保には、圧延−再結晶
によるオーステナイト粒の細粒化が重要であり、そのた
め断面積減少50%以上の圧下率が必要である。また、
仕上げ温度700℃以下では、未再結晶域圧延により強
度および靱性の異方性が増大する。また、圧延終了後の
冷却を150℃以下と規定したのは、150℃を超えた
温度から、次の再加熱焼入れ処理温度域に加熱すると、
本発明鋼では、マルテンサイト変態が終了してない場合
があり、強度、靱性に大きく影響するからである。尚、
本発明鋼は、焼入れ性が十分に高い成分のため、圧延後
の冷却は空冷でもマルテンサイト組織となるため、冷却
方法(空冷および水冷)については特に限定しない。
【0020】次に熱間圧延・冷却された鋼は、Ac3点−
40℃〜Ac3点未満の温度域に再加熱した後、焼入れ処
理される。焼入れ温度の上昇に伴うオーステナイトの形
成過程の概念を模式的に図1に示す。図1において、
(a)はAc3点−40℃未満の温度で焼入れた場合、
(b)はAc3点−40℃〜Ac3点未満の温度で焼入れた
場合、また(c)はAc3点以上で焼入れた場合の再加熱
温度でのオーステナイト形成形態をそれぞれ模式的示し
ている。前組織のマルテンサイトをAc1点〜Ac3点に加
熱して行く過程で、旧オーステナイト粒界および粒内の
マルテンサイトラス境界から針状オーステナイトが生成
し、また、一部粒界からは塊状オーステナイト(拡散型
逆変態オーステナイト)も生成し、炭化物とフェライト
と共に共存する。針状オーステナイトは無拡散(マルテ
ンサイト型)逆変態によって生成するため、拡散型逆変
態オーステナイトに比べ著しく転位を多量に持ち、高強
度化に寄与する。そして、(b)の如くAc3点−40℃
〜Ac3点未満に加熱されるとフェライトが減少し針状オ
ーステナイト群は面積が増加し、また一部塊状オーステ
ナイトもその面積を増す。この温度域から焼入れると、
特に針状オーステナイトはより一層多くの転位が導入さ
れたマルテンサイト組織となり、高強度化が達成でき
る。また、この加熱温度では旧オーステナイト粒界が消
失し、応力腐食割れ感受性が著しく軽減され耐応力腐食
割れ性が向上する。一方、(c)の如くAc3点以上に加
熱されるとMo,Cr,Vの炭化物の固溶と凝集粗大化
に伴い、焼入れ後の強化に寄与する無拡散型逆変態オー
ステナイトが一般的な拡散型逆変態オーステナイトに変
化し転位密度が急速に低下し、この温度域から焼入れる
とマルテンサイト組織の硬度も低下する。その結果、強
度が低下し、また、拡散型オーステナイト粒界が明瞭に
形成されるため、耐応力腐食割れ性が低下する。また、
(a)の如くAc3点−40℃未満の温度では、針状オー
ステナイト間のフェライト面積が多く強度が低下する。
【0021】次に再加熱焼入れ処理された鋼は、その後
Ac1点以下の温度で焼戻し処理する。Ac1点を超えた温
度では不安定オーステナイトの生成により靱性が低下す
る。従って、Mo,Cr,Vなどの炭化物形成元素を十
分に析出強化させ、強度および靱性を得るため焼戻し温
度をAc1点以下に限定した。このような製造工程で得ら
れた鋼は、高強度、高靱性が得られ、且つ耐応力腐食割
れ性が改善される。
【0022】
【実施例】表1に示す組成を有する鋼を溶製して得られ
た鋼片を、表2に示す本発明法と比較法の各々の製造条
件に基づいて板厚25〜60mm鋼板に製造した。これら
について母材の機械的性質と母材部および溶接熱影響部
のKIscc値(耐応力腐食割れ性に対する限界破壊靱
性値)を調査した。溶接は入熱2.5kJ/mmでTIG溶
接で溶接を行なった。
【0023】これら表1の化学組成を有する鋼と、表2
で示す製造条件とによって得られた母材の機械的性質お
よび3.5%NaClの人工海水でのASTM E 3
99に示される試験片(1TCT)を使った母材部およ
び溶接熱影響部のKIscc試験結果を表3に示す。表
中、下線を付した数値は、本発明範囲外の成分値、温度
条件および特性が不十分なものを示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】本発明例(本発明鋼と本発明法との組合わ
せた1−A〜16−P)においては、母材の機械的性質
は高強度、高靱性であり、且つ本発明の意図する耐応力
腐食割れ性も母材および熱影響部共に高いKIscc値
である。これに対し、本発明法であっても本発明により
限定された化学組成範囲を逸脱した比較鋼(Q,R,
S,T)と組み合わせた比較例においては、例17−Q
ではC量が高く、溶接熱影響部のKIscc値が低い。
例18−RはMnが高いため母材および溶接熱影響部の
KIscc値が低い。例19−SではNi量が低いため
高転位密度を持つ針状オーステナイトの生成が少なくγ
mが少ないので強度不足である。例20−TはMoおよ
びCr添加量が低いために高転位密度を持つ針状オース
テナイトの生成が少なくγmが少ないので強度不足であ
る。
【0028】次に、本発明鋼であっても本発明法の範囲
を逸脱した比較法(21〜26)と組合わせた比較例に
おいては、例21−Dは鋼片の加熱温度が低いため未溶
解合金炭化物が粗大化し、焼戻し処理時の析出強化が減
少し強度および靱性が低下している。例22−Dは圧延
時の累積圧下率が小さく、圧延−再結晶によるオーステ
ナイト粒の細粒化が不十分となりかつγd主体であるの
で靱性が低下している。例23−Dは圧延終了後の冷却
停止温度が150℃以上から、次の再加熱焼入れ処理温
度に加熱したため、針状オーステナイトの生成が減少
し、且つ残留オーステナイトが増加し、強度および靱性
が低下している。例24−Eは再加熱焼入れ温度が低く
針状オーステナイト間のフェライトが多量に混合し、強
度が低下している。例25−Eは再加熱焼入れ温度がA
c3点以上に高く、針状オーステナイトに比べて転位密度
が低い塊状オーステナイト(拡散型オーステナイト)の
みとなり強度不足で、且つオーステナイト粒界が明瞭と
なり水素による割れ感受性が高かまり限界KIscc値
が低下している。例26−Eは焼戻し温度がAc1点を超
えており、不安定オーステナイトおよびαの生成により
強度および靱性が低下している。
【0029】
【発明の効果】本発明の成分範囲および製造法により、
耐応力腐食割れ性および低温靱性の優れた超高張力鋼
(例えば、降伏強さ1270MPa 以上の鋼)の製造が可
能となった。その結果、更に厳しい使用環境においても
適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】再加熱焼入れ温度の上昇に伴うオーステナイト
の形成過程の概念を示す模式図であり、(a)はAc3
−40℃未満の温度での焼入れ、(b)は本発明による
Ac3点−40℃〜Ac3点の温度での焼入れ、(c)はA
c3点以上で焼入れた場合の再加熱温度でのオーステナイ
ト形成形態をそれぞれ模式的に示した図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.06〜0.12% Si:0.02〜0.25% Mn:0.05〜0.50% Ni:11.0超〜13.0% を含有する無拡散型逆変態オーステナイトから生成した
    針状マルテンサイトと拡散型逆変態オーステナイトから
    生成した塊状マルテンサイトの混合焼戻し組織が主体で
    あり、かつCr,Mo,Vの少なくとも1種からなる炭
    化物を有することを特徴とする耐応力腐食割れ性および
    低温靱性に優れた超高張力鋼。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C :0.06〜0.12% Si:0.02〜0.25% Mn:0.05〜0.50% Ni:11.0超〜13.0% Mo:0.8〜2.5% Cr:1.0超〜3.0% V :0.05〜0.20% Al:0.01〜0.10% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物元素からな
    ることを特徴とする耐応力腐食割れ性および低温靱性に
    優れた超高張力鋼。
  3. 【請求項3】 重量%で、 C :0.06〜0.12% Si:0.02〜0.25% Mn:0.05〜0.50% Ni:11.0超〜13.0% Mo:0.8〜2.5% Cr:1.0超〜3.0% V :0.05〜0.20% Al:0.01〜0.10% を含有し、更に Cu:0.2〜2.0% Nb:0.005〜0.10% Ti:0.005〜0.05% からなる強度改善元素群、及び/又は介在物形態制御作
    用のある Ca:0.0005〜0.0050% REM:0.0005〜0.0050% の一種又は二種以上を含有し、残部がFe及び不可避的
    不純物元素からなることを特徴とする耐応力腐食割れ性
    および低温靱性に優れた超高張力鋼。
  4. 【請求項4】 重量%で C :0.06〜0.12% Si:0.02〜0.25% Mn:0.05〜0.50% Ni:11.0超〜13.0% Mo:0.8〜2.5% Cr:1.0超〜3.0% V :0.05〜0.20% Al:0.01〜0.10% を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼片
    を、1000〜1250℃の間に加熱し、断面積減少が
    50%以上の熱間加工を施し、700℃以上で加工を終
    了し、150℃以下の温度まで冷却し、その後、更にA
    c3点−40℃〜Ac3点未満の温度域に再加熱後、焼入れ
    処理を行ない、その後、Ac1点以下の温度で焼戻し処理
    を行なうことを特徴とする耐応力腐食割れ性および低温
    靱性に優れた超高張力鋼の製造方法。
  5. 【請求項5】 重量%で C :0.06〜0.12% Si:0.02〜0.25% Mn:0.05〜0.50% Ni:11.0超〜13.0% Mo:0.8〜2.5% Cr:1.0超〜3.0% V :0.05〜0.20% Al:0.01〜0.10% を含有し、更に Cu:0.2〜2.0% Nb:0.005〜0.10% Ti:0.005〜0.03% からなる強度改善元素群、及び/又は介在物形態制御作
    用のある Ca:0.0005〜0.0050% REM:0.0005〜0.0050% の一種又は二種以上を含有し、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなる鋼片を、1000〜1250℃の間に
    加熱し、断面積減少が50%以上の熱間加工を施し、7
    00℃以上で加工を終了し、150℃以下の温度まで冷
    却し、その後、更にAc3点−40℃〜Ac3点未満の温度
    域に再加熱後、焼入れ処理を行ない、その後、Ac1点以
    下の温度で焼戻し処理を行なうことを特徴とする耐応力
    腐食割れ性および低温靱性に優れた超高張力鋼の製造方
    法。
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