JPH09150114A - 樹脂被膜の低温焼付けが可能で、潤滑性、プレス成形性および耐食性に優れた亜鉛系めっき鋼板 - Google Patents

樹脂被膜の低温焼付けが可能で、潤滑性、プレス成形性および耐食性に優れた亜鉛系めっき鋼板

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JPH09150114A
JPH09150114A JP30890395A JP30890395A JPH09150114A JP H09150114 A JPH09150114 A JP H09150114A JP 30890395 A JP30890395 A JP 30890395A JP 30890395 A JP30890395 A JP 30890395A JP H09150114 A JPH09150114 A JP H09150114A
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JP
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steel sheet
resin
solvent
zinc
coating
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JP30890395A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Miyoshi
達也 三好
Yoshiharu Sugimoto
芳春 杉本
Masaaki Yamashita
正明 山下
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C28/00Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリオールとイソシアネート化合物と2価の
アルコールとからなる水酸基含有ウレタンプレポリマー
と、そして、硬化剤としての、官能基を4以上有するブ
ロックポリイソシアネートプレポリマーとからなる溶剤
系熱硬化性樹脂と、前記溶剤系熱硬化性樹脂に対し特定
割合で配合された、固形潤滑剤としてのポリエチレン樹
脂と防錆顔料とからる樹脂被膜が、亜鉛系めっき層の上
のクロメート被膜の表面上に形成されている亜鉛系めっ
き鋼板。 【効果】 樹脂被膜の低温焼付けが可能で、常温および
高温時において優れた潤滑性およびプレス成形性が発揮
され、厳しい条件でプレス成形が施されても、樹脂被膜
に損傷や黒化の生ずることがなく、且つ、優れた耐食性
を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、その表面上に潤
滑油等を塗布しなくても、優れた潤滑性およびプレス成
形性を有し、且つ、プレス成形後の外観および耐食性が
良好であって、樹脂被膜の低温焼付けが可能な、亜鉛め
っき鋼板または亜鉛系合金めっき鋼板(以下、「亜鉛系
めっき鋼板」と略称する)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛系めっき鋼板は、耐食性に優れてい
るので、各種の産業分野において広く使用されている。
このような亜鉛系めっき鋼板を、自動車や家庭電気製品
等の部品、また、建材用途の材料として使用する場合に
は、亜鉛系めっき鋼板に対し、プレスによる曲げ、絞
り、張り出しおよびロールフォーミング等の加工が施さ
れる。
【0003】亜鉛系めっき鋼板のプレス成形性は、冷延
鋼板に比べて劣る。その原因は、プレス成形時における
亜鉛系めっき鋼板の、成形用金型に対する摩擦抵抗が、
冷延鋼板の、成形用金型に対する摩擦抵抗よりも大きい
ためである。そこで、亜鉛系めっき鋼板のプレス成形性
を向上させ、成形された後の亜鉛系めっき鋼板の外観を
良好にならしめるために、一般に、亜鉛系めっき鋼板の
表面上に、潤滑油や防錆油を塗布することが行われてい
る。
【0004】しかしながら、亜鉛系めっき鋼板の表面上
に、潤滑油等を塗布することは、製造工程を煩雑にし、
且つ、作業環境を悪化させる。のみならず、潤滑油等を
塗布してプレス成形した場合でも、プレス成形条件が厳
しい場合には、プレス成形時にかじりが発生することが
あり、プレス成形された亜鉛系めっき鋼板の耐食性が劣
化することがある。
【0005】一方、亜鉛系めっき鋼板の耐食性を、より
向上させるために、亜鉛系めっき層の表面上に、クロメ
ート被膜、または、クロメート被膜および樹脂被膜が形
成されたクロメート処理亜鉛系めっき鋼板が知られてい
る。このようなクロメート処理亜鉛系めっき鋼板の、平
板状での耐食性は良好である。
【0006】しかしながら、クロメート処理亜鉛系めっ
き鋼板に対して、潤滑油等を塗布しないでプレス成形を
施すと、成形不良や割れが発生し、更に、連続・高速プ
レス成形時においては、成形用金型および亜鉛系めっき
鋼板の温度上昇により、クロメート被膜および樹脂被膜
に剥離や黒化現象が発生する結果、クロメート処理亜鉛
系めっき鋼板の耐食性および表面性状が劣化する。
【0007】従って、クロメート処理亜鉛系めっき鋼板
の場合においても、プレス成形を施す場合には、その表
面上に、潤滑油等を塗布することが必要とされており、
更には、金型および亜鉛系めっき鋼板を冷却する意味に
おいても、潤滑油の塗布は重要な役割を果たしている。
【0008】上述した問題を解決し、その表面上に潤滑
油等を塗布しなくても、常温および高温時において優れ
た潤滑性およびプレス成形性を有し、且つ、耐食性の良
好な表面処理鋼板の開発が従来から要求されており、例
えば、次のような表面処理鋼板が提案されている。
【0009】 特開平6-254486 公報にに開示されて
いる、亜鉛系めっき鋼板の表面上にクロメート被膜が形
成され、前記クロメート被膜の上に、ガラス転移温度の
異なる特定のウレタン系樹脂の2種以上と融点130℃
以下のポリエチレン樹脂およびシリカからなる樹脂被膜
が形成された、常温および高温時の潤滑性、プレス成形
性および耐食性の優れた亜鉛系めっき鋼板(以下、先行
技術1という)。
【0010】 特開平6-173037 号公報に開示されて
いる、化成処理が施されためっき鋼板の表面上に、エー
テルエステル型ウレタン樹脂とエポキシ樹脂にポリオレ
フィンワックスおよびシリカを含有する樹脂被膜が形成
された、プレス油の塗布を省略することが可能な非脱膜
型潤滑めっき鋼板(以下、先行技術2という)。
【0011】 特開平7-40502号公報に開示されてい
る、亜鉛系またはアルミニウム系めっき鋼板あるいは冷
延鋼板の表面上に、クロメート被膜が形成され、前記ク
ロメート被膜の上に、ガラス転移温度が30〜70℃の水酸
基および/またはカルボキシル基を有する樹脂、硬化
剤、融点が70℃以上のポリオレフィンワックス、シリ
カからなる熱硬化性樹脂被膜が形成された、プレス成形
性、耐食性および耐溶剤性の優れた潤滑樹脂処理鋼板
(以下、先行技術3という)。
【0012】 特開平6-155655 号公報に開示されて
いる、亜鉛または亜鉛系めっき鋼板の表面上に、クロメ
ート被膜が形成され、前記クロメート被膜被膜の上に、
ガラス転移温度が40℃以上、融点が100℃以上の固
形潤滑剤、シリカからなる樹脂被膜が形成された、耐食
性の優れた潤滑性鋼板(以下、先行技術4という)。
【0013】 特開平5-39458号公報に開示されてい
る、鋼板の表面上に、ポリエステル系樹脂を主体とし、
架橋剤、平均分子量2000〜8000のポリエチレン系ワック
スを含有する樹脂被膜が形成された、プレス成形性、塗
装性および耐食性に優れた樹脂塗装鋼板(以下、先行技
術5という)。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述した先行技術に
は、次のような問題がある。即ち、先行技術1の場合に
は、潤滑性、プレス成形性、プレス成形後の外観性およ
び耐食性の向上が認められる。しかしながら、これらの
性能を維持するためには、樹脂被膜を150 〜250 ℃とい
う高い温度で焼き付けることを必要とするので、エネル
ギーコストがかかり、且つ、冷却が必要になる等の製造
上の制約が生ずる。
【0015】先行技術2〜5の場合には、樹脂被膜を15
0 ℃未満の低い温度で焼付けることができるが、焼付け
温度が低いために、優れた品質性能特に高温時の潤滑性
を満足するものではない。
【0016】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、樹脂被膜の低温焼付けが可能で、常温および
高温時において優れた潤滑性およびプレス成形性が発揮
され、且つ、耐食性の良好な亜鉛系めっき鋼板を提供す
ることにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
問題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、特定成
分の2種以上の水酸基含有ウレタンプレポリマーと、官
能基を4以上有するポリイソシアネート化合物とからな
る複合架橋構造体が、ベース樹脂である溶剤系熱硬化性
樹脂として優れた性能を有しており、ガラス転移温度の
異なる2種以上の上記溶剤系熱硬化型樹脂と、固形潤滑
剤とそして防錆顔料とが所定の割合で配合された塗料
を、亜鉛系めっき鋼板の亜鉛系めっき層の表面上に形成
されたクロメート被膜の上に塗布し、これを加熱し硬化
させて、前記クロメート被膜の上に樹脂被膜を形成すれ
ば、常温および高温時において優れたプレス成形性を有
し、且つ、耐食性の良好な亜鉛系めっき鋼板が得られる
ことを知見した。
【0018】この発明は、上記知見に基づいてなされた
ものであって、下記を特徴とするものである。鋼板と、
前記鋼板の少なくとも1つの表面上に形成された、亜鉛
または亜鉛合金めっき層と、前記亜鉛または亜鉛合金め
っき層の上に形成されたクロメート被膜と、そして、前
記クロメート被膜の上に形成された、樹脂を塗布しそし
てこれを加熱硬化させることによって前記クロメート被
膜の上に形成された樹脂被膜とからなる亜鉛系めっき鋼
板において、前記クロメート被膜の量は、金属クロム換
算で、鋼板の片面当たり5〜200mg/m2の範囲内であり、
前記樹脂被膜の厚さは、鋼板の片面当たり、0.3 〜3.0
μmの範囲内であり、前記樹脂被膜は、固形分換算で、 (1) 溶剤系熱硬化型樹脂: 100重量部 (2) 固形潤滑剤としての130 ℃以下の融点を有しそして
平均分子量が5000以下のポリエチレン樹脂:1〜30重量
部、および、 (3) 防錆顔料 :3〜30重量部、からなってお
り、そして、前記溶剤系熱硬化型樹脂は、 (A) 下記化学成分を有する水酸基含有ウレタンプレポリ
マー、(a) ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリ
オールおよびポリエーテルポリエステルポリオールから
なる群から選ばれた少なくとも1種のポリオール、(b)
イソシアネート化合物、および、(c) 2価のアルコー
ル、および、 (B) 硬化剤としての官能基を4以上有するブロックポリ
イソシアネートプレポリマー。からなっている。
【0019】
【発明の実施の形態】この発明において、亜鉛系めっき
層の表面上に形成される樹脂被膜のベース樹脂として溶
剤系熱硬化性樹脂を使用する理由は、次の通りである。 溶剤系樹脂は、水系樹脂に比較して、樹脂中に添加
される潤滑剤および防錆剤等の添加剤との相溶性、およ
び、塗料としての長期安定性に優れている。 熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂と異なり、融点が存
在しないので、高温時の機械的強度に優れている。従っ
て、このような樹脂からなる塗料によって樹脂被膜を形
成すれば、プレス成形時の摩擦熱によって鋼板の表面温
度が上昇しても、樹脂被膜に剥離や変形が生じにくい。
【0020】樹脂被膜のベース樹脂として、ガラス転移
温度の異なる2種以上の溶剤系熱硬化性樹脂を使用する
理由は、次の通りである。ガラス転移温度の低い溶剤系
熱硬化性樹脂は、低温時における柔軟性に優れている。
従って、このような樹脂をベース樹脂とした樹脂被膜が
形成された亜鉛系めっき鋼板をプレス成形するに際し、
プレス成形条件が、緩やかな場合または緩やかな部分で
は、プレス成形性およびプレス成形後の外観が良好であ
る。しかしながら、プレス成形条件が、表面が高温にな
るような酷しい場合または酷しい部分では、樹脂被膜が
軟化してめっき鋼板から剥離し、剥離した樹脂被膜が成
形用金型に付着する結果、プレス成形性およびプレス成
形後の外観の劣化を招く。
【0021】一方、ガラス転移温度の高い溶剤系熱硬化
性樹脂は、高温強度に優れている。従って、このような
樹脂をベース樹脂とした樹脂被膜が形成された亜鉛系め
っき鋼板をプレス成形するに際し、プレス成形条件が、
表面が高温になるような酷しい場合または酷しい部分で
も、樹脂被膜が軟化してめっき鋼板から剥離するような
ことは生じない。しかしながら、ガラス転移温度の高い
溶剤系熱硬化性樹脂は、低温時における柔軟性が悪いた
めに、プレス成形条件が、緩やかな場合または緩やかな
部分では、樹脂被膜が粉化してめっき鋼板から剥離し、
剥離した樹脂被膜が成形用金型に付着する結果、プレス
成形性およびプレス成形後の外観の劣化を招く。
【0022】そこで、この発明においては、樹脂被膜
に、上述したプレス成形の際の、低温時における柔軟
性、および、高温時における強度を共に付与するため
に、樹脂被膜のベース樹脂を、ガラス転移温度の異なる
2種以上の溶剤系熱硬化性樹脂によって構成した。
【0023】好ましい溶剤系熱硬化性樹脂は、硬化後の
ガラス転移温度が50℃以下の低ガラス転移温度の溶剤系
熱硬化性樹脂と、硬化後のガラス転移温度が50℃超の高
ガラス転移温度の溶剤系熱硬化性樹脂とによって構成さ
れた樹脂である。上述した低ガラス転移温度の溶剤系熱
硬化性樹脂の、より好ましいガラス転移温度は、10〜50
℃の範囲内であり、そして、上述した高ガラス転移温度
の溶剤系熱硬化性樹脂の、より好ましいガラス転移温度
は、50℃超〜100 ℃の範囲内である。
【0024】低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化性樹脂
と、高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化性樹脂との好まし
い配合比は、9:1〜1:9の範囲内である。上記配合
比が9超:1未満では、このような樹脂をベース樹脂と
する樹脂被膜が形成された亜鉛系めっき鋼板のプレス成
形時に、その成形条件が、鋼板表面が高温になるような
酷しい場合に、樹脂被膜が軟化してめっき鋼板から剥離
する問題が生ずる。
【0025】一方、上記配合比が1未満:9超では、上
記成形条件が、鋼板表面がそれほど高温にならないよう
な緩やかな場合に、樹脂被膜が粉化してめっき鋼板から
剥離する問題が生ずる。低ガラス転移温度の溶剤系熱硬
化性樹脂と、高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化性樹脂と
のより好ましい配合比は、9:1〜5:5の範囲内であ
る。
【0026】上述したこの発明の溶剤系熱硬化型樹脂の
各々は、 (A) 下記化学成分を有する、ガラス転移温度の異なる2
種以上の水酸基含有ウレタンプレポリマー、(a) ポリエ
ーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリ
エーテルポリエステルポリオールからなる群から選ばれ
た少なくとも1種のポリオール、(b) イソシアネート化
合物、および、(c) 2価のアルコール、および、 (B) 硬化剤としての、官能基を4以上有するブロックポ
リイソシアネートプレポリマー、からなっていることが
必要である。
【0027】硬化後のガラス転移温度は、(A) ウレタン
プレポリマーと、(B) 硬化剤(架橋剤)との反応によっ
て得られるものであるが、ガラス転移温度の異なる2種
以上の (A)ウレタンプレポリマーを使用することによ
り、同一の硬化剤を用いて、硬化後のガラス転移温度を
変えることができる。
【0028】以下に樹脂被膜の具体的な組成について説
明する。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポ
リエチレングリコール、グリセリンのエチレンオキサイ
ドまたはプロピレンオキサイドの如き直鎖状ポリアルキ
レンポリオール等が使用される。
【0029】ポリエステルポリオールとしては、例え
ば、二塩基酸と低分子ポリオールとを反応させて得られ
る分子鎖中に水酸基を有する線状ポリエステルが使用さ
れる。前記二塩基酸としては、例えば、アジピン酸、ア
ゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、イソフタル
酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、ジメチ
ルテレフタレート、イタコン酸、フマル酸、無水マレイ
ン酸の如き二塩基酸またはそのエステル類が使用され
る。
【0030】ポリエーテルポリエステルポリオールとし
ては、例えば、前記二塩基酸と前記ポリエーテルポリオ
ールとの混合物、または、前記二塩基酸と前記低分子ポ
リオールとの混合物をエステル化反応させて得られる、
分子鎖中に水酸基を有する線状ポリエステル、または、
末端にカルボキシル基、および/または、水酸基を有す
るポリエステルに、アルキレンオキサイド(例えば、エ
チレンオキサイド、プロピレンオキサイド等)を付加反
応させて得られたポリエーテルが使用される。
【0031】イソシアネート化合物としては、例えば、
ヘキサメチレンジイソシアネート、o-,m-,またはp-フェ
ニレンジイソシアネート、2,4-または2,6-トリレンジイ
ソシアネート、それぞれ、芳香族環が水素添加された、
2,4-または2,6-トリレンジイソシアネート、ジフェニル
メタン-4,4- ビフェニレンジイソシアネート、ジシクロ
ヘキシルメタン-4,4- ジイソシアネート、ω,ω’- ジ
イソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’- ジ
イソシアネート-1,3- ジメチルベンゼン等のような、芳
香族環を有するイソシアネート化合物、または、イソホ
ロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート化合物
を、各々単独または混合して使用する。
【0032】2価のアルコールとしては、例えば、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、水添ビスフェ
ノールAの如きジオール類が使用される。硬化剤とし
て、官能基を4以上有するブロックポリイソシアネート
プレポリマーを使用する理由は、以下に述べる通りであ
る。熱硬化性樹脂の架橋硬化は、エネルギー主として熱
エネルギーによって促進される。そのため、低温焼付け
を行う場合は、架橋レベルの低下が余儀なくされる。こ
のような架橋レベルの低下を補うために、架橋する部分
を増加させる。即ち、官能基を増やすことが有効であ
る。これにより、低温焼付け時においても、樹脂被膜の
架橋レベルが維持され、必要とする性能を発揮させるこ
とができる。
【0033】このような、官能基を4以上有するブロッ
クポリイソシアネートプレポリマーの代表的なものを挙
げれば、官能基を4以上有するポリイソシアネートを公
知のブロック剤を使用してブロック化せしめたブロック
ポリイソシアネートプレポリマーであって、例えば、
「バーノックB3-868」(大日本インキ化学工業株式会社
製)、「デュラネートMF-B60X 」、「デュラネートMF-B
80M 」( 以上、旭化成工業株式会社製) 等である。
【0034】塗料中に添加される固形潤滑剤として、ポ
リエチレン樹脂を使用する理由は、ポリエチレン樹脂
が、連続プレス成形等によって生ずる、かじり、鋼板の
破断等を防止して、鋼板に対し、摺動、変形および摩耗
に対する抵抗を付与し、これによって、鋼板および成形
用金型の損傷を防止する作用を有しているからである。
【0035】ポリエチレン樹脂は、一般に、平均分子量
が数百から数百万である結晶性熱可塑性樹脂であり、そ
のガラス転移点は約−100 ℃であって常温よりも低く、
その融点は90〜140 ℃であって、常温では柔軟な性質を
有している。更に、その臨界表面張力は約30dyne/cm で
あり、表面エネルギーが低いので、濡れ性および付着性
が低いことから、優れた潤滑作用を有している。
【0036】しかしながら、本発明のように、亜鉛系め
っき層の表面上に形成される樹脂被膜のための塗料中
に、潤滑剤として含有させる場合には、塗料の分散性お
よび薄膜形成性の観点から、その粒径が、20μm 以下好
ましくは10μm 以下、より好ましくは約5μm の微粉末
であることが必要であり、このような微粉末でないポリ
エチレンでは、所期の効果が得られない。
【0037】ポリエチレン樹脂の融点は、潤滑性に影響
を与える。即ち、その融点が高いほど、常温近傍におけ
る力学的強度即ち変形抵抗が高くなるので、ポリエチレ
ン樹脂を含有する樹脂被膜の潤滑性(摺動性)が低下す
る。従って、この発明において使用する、潤滑剤として
のポリエチレン樹脂の融点は、130 ℃以下、好ましく
は、90〜120 ℃の範囲内であることが必要である。ま
た、成膜性の観点から、ポリエチレン樹脂の平均分子量
は、5000以下であることが必要である。なお、上述した
範囲内の融点、平均分子量および粒径を有する2種以上
のポリエチレン微粉末を使用してもよい。
【0038】潤滑剤としてのポリエチレン樹脂の含有量
は、溶剤系熱硬化性樹脂の固形分100 重量部に対して、
1〜30重量部の範囲内とすべきである。ポリエチレン樹
脂の含有量が、溶剤系熱硬化性樹脂の固形分100 重量部
に対して1重量部未満では、潤滑性の向上効果が得られ
ない。一方、その含有量が30重量部を超えると、樹脂被
膜自体の凝集力および強度が低下する結果、プレス成形
時に樹脂被膜の剥離が増加する問題が生ずる。ポリエチ
レン樹脂のより好ましい含有量は、溶剤系熱硬化性樹脂
の固形分100 重量部に対して、5〜20重量部の範囲内で
ある。
【0039】塗料中に潤滑剤と共に添加される防錆顔料
としては、クロム酸塩系化合物およびシリカの少なくと
も1種を使用することが好ましい。クロム酸塩系化合物
およびシリカは、防錆顔料として、亜鉛系めっき鋼板の
耐食性を、より向上させる作用を有している。
【0040】このように、樹脂被膜中にクロム酸塩系化
合物およびシリカの少なくとも1種からなる防錆顔料が
含有されていることにより、プレス成形が施されていな
い平板状での耐食性が向上することは勿論、プレス成形
によって、樹脂被膜に変形等のダメージが発生した場合
でも、耐食性の劣化を防止することができる。特に、こ
の発明においては、プレス成形時に、樹脂被膜に疵等の
損傷が生じにくいので、樹脂被膜中に含有されている防
錆顔料の効果は極めて大きい。
【0041】クロム酸塩系化合物としては、例えば、ク
ロム酸カルシウム、クロム酸ストロンチウム、クロム酸
バリウム、クロム酸鉛、クロム酸亜鉛、クロム酸亜鉛カ
リウム、クロム酸銀等が使用される。
【0042】また、シリカとしては、疎水性シリカ例え
ば「AEROSIL R972, AEROSIL 130, AEROSIL 200, AEROSI
L 30」(以上、日本アエロジル株式会社製)、「サイロ
イド266, サイロイド72」(以上、富士デビィソン化学
株式会社製)、「ファインシールX-37, ファインシール
T-32」(以上、徳山曹達株式会社製)等が使用される。
【0043】防錆顔料の含有量は、溶剤系熱硬化性樹脂
の固形分100 重量部に対して、3〜30重量部の範囲内と
すべきである。防錆顔料の含有量が、溶剤系熱硬化性樹
脂の固形分100 重量部に対して3重量部未満では、耐食
性の向上効果が得られない。一方、30重量部を超えて
も、より以上の耐食性向上効果が得られないのみなら
ず、樹脂被膜の凝集力が低下して、プレス成形時に樹脂
被膜が剥離しやすくなる問題が生ずる。防錆顔料のより
好ましい含有量は、溶剤系熱硬化性樹脂の固形分100 重
量部に対して、5〜20重量部の範囲内である。
【0044】塗料中には、上述した溶剤系熱硬化性樹
脂、固形潤滑剤および防錆顔料のほかに、必要に応じ
て、他の成分、例えば、顔料、染料などの着色剤、溶
剤、界面活性剤、安定剤等を含有させてもよい。
【0045】上述した溶剤系熱硬化性樹脂、固形潤滑剤
および防錆顔料からなる、所定の溶剤によって希釈した
塗料を、亜鉛系めっき鋼板の表面上に塗布しそして加熱
して架橋硬化させることにより、樹脂被膜が形成され
る。
【0046】上述のようにして形成される樹脂被膜は、
亜鉛系めっき鋼板の亜鉛系めっき層の上に形成されたク
ロメート被膜の上に形成することが必要である。このよ
うに、クロメート被膜の上に樹脂被膜を形成することに
より、クロメート被膜中に含まれるCr6+のクロム酸イオ
ンによる自己補修効果が生じ、且つ、クロム酸イオンの
還元生成物であるCr3+のクロム水和酸化物被膜が表面を
被覆することにより、不動態化効果によるアノード面積
の減少等によって、優れた耐食性が得られ、且つ、樹脂
被膜の形成も良好になる。なお、クロメート被膜の形成
は、塗布処理、電解処理、反応処理等、既知のどのよう
な手段で行ってもよい。
【0047】クロメート被膜の付着量は、金属クロム換
算で、鋼板片面当たり5〜200mg/m2の範囲内とすること
が必要である。クロメート被膜の量が、金属クロム換算
で、鋼板片面当たり5mg/m2 未満では、亜鉛系めっき鋼
板の耐食性向上効果が得られない。一方、クロメート被
膜の量が、金属クロム換算で、鋼板片面当たり200mg/m2
を超えると、その量に見合った耐食性向上効果が得られ
ないのみならず、鋼板の変形を伴う曲げ加工やプレス成
形が施された場合に、クロメート被膜の凝集破壊が発生
する。クロメート被膜の、より好ましい量は、金属クロ
ム換算で、鋼板片面当たり10〜150mg/m2の範囲内であ
る。
【0048】亜鉛系めっき層の上のクロメート被膜と、
潤滑のための最上層の樹脂被膜との間には、潤滑剤を含
まない他の樹脂被膜が存在していてもよい。他の樹脂被
膜が形成されている場合の、最上層の樹脂被膜との合計
量は5μm 以内とすることが必要である。最上層の樹脂
被膜との合計量が5μm を超えると、溶接性が劣化する
問題が生ずる。
【0049】この発明において、潤滑のための樹脂被膜
が形成されるべき鋼板は、その少なくとも1つの表面上
に亜鉛めっき層を有する亜鉛めっき鋼板でも、亜鉛のほ
かに、ニッケル、鉄、マンガン、モリブデン、コバル
ト、アルミニウム、クロム、シリコン等のうちの少なく
とも1つの成分を含有する亜鉛合金めっき層を有する亜
鉛合金めっき鋼板でも、または、上述した亜鉛めっき層
または亜鉛合金めっき層の複数層を有する複層亜鉛系め
っき鋼板でもよい。また、鋼板としては、冷延鋼板、熱
延鋼板、ステンレス系鋼板等が使用されるほか、鋼以外
の例えばアルミニウム等の金属板を使用することもでき
る。
【0050】亜鉛系めっき鋼板の少なくとも1つの表面
に対する樹脂被膜の形成は、次のようにして行われる。
即ち、亜鉛系めっき層の上に形成されたクロメート被膜
の表面上に、ロールコーター、カーテンフローコーター
またはスプレー塗装等の既知の方法によって上述した組
成の塗料を塗布し、または、上述した組成の塗料中に、
その表面上にクロメート被膜が形成された亜鉛系めっき
鋼板を浸漬した後、付着した塗料を、ロールや空気の吹
きつけにより絞って、所定量の塗膜を形成する。次い
で、クロメート被膜の表面上に塗料が塗布された亜鉛系
めっき鋼板を、熱風炉や誘導加熱装置により、80〜150
℃未満の温度に加熱し焼き付けることによって、塗料中
の溶剤を蒸発させ、樹脂を架橋硬化させる。かくして、
亜鉛系めっき鋼板の表面上に形成されたクロメート被膜
の上に、樹脂被膜が形成される。
【0051】上述した樹脂被膜の焼付け温度は、80〜15
0 ℃未満の範囲内とすべきである。焼付け温度が80℃未
満では、樹脂被膜の架橋硬化が十分に進行しないので、
高温時の潤滑性およびプレス成形時の剥離や疵の発生を
防止することができない。一方、焼付け温度が 150℃以
上になると、樹脂被膜の架橋硬化が進み過ぎて樹脂被膜
が硬く且つ脆くなる結果、プレス成形時に樹脂被膜のパ
ウダリングが発生しやすくなり、金型への付着などの問
題が生ずる。
【0052】上述のようにして形成された樹脂被膜の厚
さは、鋼板片面当たり、0.3 〜3.0μm の範囲内とすべ
きである。樹脂被膜の厚さが、鋼板片面当たり0.3 μm
未満では、プレス成形時に、亜鉛系めっき層が受ける損
傷を防止することができない。一方、樹脂被膜の厚さ
が、鋼板片面当たり3.0 μm を超えると、溶接性が劣化
し、且つ、プレス成形条件が特に厳しい場合には、樹脂
被膜の剥離量が増加して、金型への付着や、焼き付け等
の問題が発生する。
【0053】次ぎに、この発明を、実施例により、比較
例と対比しながら説明する。
【0054】
【実施例】
〔実施例1〕この発明の範囲内の亜鉛系めっき鋼板およ
びこの発明の範囲外の亜鉛系めっき鋼板を製造するため
の樹脂被膜を構成する溶剤系熱硬化型樹脂中の水酸基含
有ウレタンプレポリマーの材料として、表1に示した成
分組成のNo. 1〜8のポリオールを準備した。
【0055】
【表1】
【0056】以下に、表1のNo. 1ポリオールを使用し
た水酸基含有ウレタンプレポリマーの製造例について述
べる。
【0057】加熱装置、攪拌機、水分離器および温度計
を備えた反応装置に、ポリエステルポリオールとしての
芳香族ポリエステルポリオール(AR):915 重量部および
脂肪族ポリエステルポリオール(AL):915 重量部を供給
し、これらを、不活性ガスの雰囲気下において加熱しそ
して融解した。このようにして融解したポリエステルポ
リオールを、攪拌しながら 100℃の温度に加熱しそして
100℃の温度で30〜60分間保持し次いで脱水した。次い
で、融解したポリエステルポリオールを70℃の温度まで
冷却した。
【0058】次いで、上記70℃の温度のポリエステルポ
リオール中に、2価のアルコールとしての1,4-ブタンジ
オール:28重量部、イソシアネート化合物としてのジフ
ェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート:313 重量部、反
応触媒としてのジブチルチンラウリレート:0.55重量部
および溶剤としてのシクロヘキサノン:940重量部をそれ
ぞれ添加しそして混合し、5〜10時間反応させた。
【0059】上記混合物が所定の粘度になった後、2価
のアルコールとしての1,3-ブタンジオール:10 重量部を
上記混合物に添加した。次いで、溶剤としてのシクロヘ
キサノン:4,150重量部を添加し、かくして、不揮発分:
30% 、粘度:1,400cps を有する水酸基含有ウレタンプレ
ポリマーを調製した。
【0060】更に、表1に示すように各種の異なる成分
組成、不揮発分および粘度を有するNo. 2〜8のポリオ
ールを使用し、上記と同じ方法によって、水酸基含有ウ
レタンプレポリマーを調製した。
【0061】このようにて調製された水酸基含有ウレタ
ンプレポリマーの各々に、硬化剤としてのブロックポリ
イソシアネートプレポリマーとして、「デュラネート M
F-B60X」(旭化成工業株式会社製)を、NCO/OH=1/1 の
当量比で添加し架橋硬化させて、No. 1〜8の8種類の
熱硬化性樹脂を調製した。このようにして得られた熱硬
化性樹脂の各々のガラス転移温度を、表1に併せて示
す。
【0062】次いで、No. 1〜8のポリオールの各々を
使用して調製された溶剤系熱硬化型樹脂のうちの、ガラ
ス転移温度が異なる2種を表2に示したように組み合わ
せ、硬化剤として官能基を4以上有するブロックポリイ
ソシアネートプレポリマーを添加し、この発明において
使用される11種類の溶剤系熱硬化性樹脂A〜Kを調製
した。
【0063】比較のために、表2に併せて示すように、
この発明の範囲外の樹脂および硬化剤を使用した3種類
の樹脂L〜Nを調製した。一方、表3に示した成分組成
の6種類の固形潤滑剤a〜fを準備した。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】 板厚0.8mm 、めっき量20g/m2の電気亜鉛めっき鋼板の亜
鉛めっき層の両表面をアルカリで脱脂し、次いで、亜鉛
めっき層の上に、クロメート処理液をロールコーティン
グ法により塗布した後、これを加熱、乾燥して、亜鉛め
っき層の表面上に、鋼板の片面当り、金属クロム換算で
50mg/m2 の量のクロメート被膜を形成した。
【0066】表2に示した溶剤系熱硬化型樹脂A〜Kの
うちの何れか1つと、表3に示した潤滑剤aと、そし
て、防錆顔料としてのシリカとからなる塗料を、上記電
気亜鉛めっき鋼板の両面に形成されたクロメート被膜の
上に、ロールコーティング法により塗布した。次いで、
このように塗料が塗布された電気亜鉛めっき鋼板を、誘
導加熱装置により 130℃の温度まで加熱して、クロメー
ト被膜の上に、約 1.5μm の厚さの樹脂被膜を形成し
た。このようにして、表4に示す、この発明の範囲内の
亜鉛系めっき鋼板(以下、「本発明鋼板」という)No.
1〜11を調製した。
【0067】また、板厚 0.8mm、めっき量90g/m2の溶融
亜鉛めっき鋼板、めっき量20g/m2の亜鉛−ニッケル合金
めっき鋼板、めっき量45g/m2の合金化溶融亜鉛めっき鋼
板、めっき量60g/m2の亜鉛− 55%アルミニウム合金めっ
き鋼板の各々の亜鉛系めっき層の両表面をアルカリで脱
脂し、次いで、亜鉛系めっき層の上に、クロメート処理
液をロールコーティング法により塗布した後、加熱、乾
燥して、亜鉛系めっき層の表面上に、鋼板の片面当り、
金属クロム換算で50mg/m2 の量のクロメート被膜を形成
した。
【0068】表2に示した溶剤系熱硬化性樹脂Aと、表
3に示した潤滑剤aと、そして、防錆顔料としての親水
性シリカとからなる塗料を、上記めっき鋼板の両面に形
成されたクロメート被膜の上に、ロールコーティング法
により塗布した。次いで、このように塗料が塗布された
めっき鋼板を、誘導加熱装置により 130℃の温度まで加
熱して、クロメート被膜の上に、約 1.5μm の厚さの樹
脂被膜を形成した。このようにして、表4に併せて示す
本発明鋼板No.12 〜15を調製した。
【0069】
【表4】 比較のために、表2に併せて示した、この発明の範囲外
の樹脂L〜Nを使用した塗料により、上記と同じよう
に、クロメート被膜の上に約 1.5μm の厚さの樹脂被膜
を形成し、表4に併せて示すこの発明の範囲外の亜鉛系
めっき鋼板(以下「比較用鋼板」という)No. 1〜3を
調製した。
【0070】上述した本発明鋼板および比較用鋼板の各
々について、潤滑性、プレス成形性、成形後の外観性、
平板耐食性および成形後の耐食性を、以下に述べる性能
試験によって評価した。評価結果を表5に示す。
【0071】
【表5】 (1) 潤滑性 図1に概略正面図で示す試験機を使用した。試験機は、
図1に示すように、箱状の枠2の一側2aに固定されたフ
ラット面を有する雌ダイス1と、雌ダイス1と向き合っ
た、所定高さの実質的に水平な突条3を有する雄ダイス
4と、雄ダイス4を支持し、そして、雄ダイス4を雌ダ
イス1に向けて水平移動させるための、枠2の他側2bに
固定された油圧シリンダ5とからなっている。雄ダイス
4は、油圧シリンダ5のロッド5aに、ロードセル6を介
して固定されている。なお、雄ダイス4の突条3の幅は
10mmであり、その先端の長さは1mm である。
【0072】本発明鋼板および比較用鋼板から切り出さ
れた試験片を、雌ダイス1と雄ダイス4との間の間隙に
垂直に挿入し、油圧シリンダ5を作動させて、雌ダイス
1と雄ダイス4とにより試験片7を50Kgf(500 Kgf/cm2)
の圧力で押しつけた。次いで、試験片7を矢印に示すよ
うに、100mm/分の速度で上方に引き抜き、そのときの動
摩擦係数を調べ、これによって潤滑性を評価した。な
お、試験は、常温(20℃) の試験片のほか、実際のプレ
ス作業時の板温上昇を考慮して、150 ℃の温度の高温試
験片についても行った。
【0073】(2) プレス成形性 円板状の試験片を、ポンチ径:50mm 、ダイス径:51.91m
m、しわ押さえ力: 1トンの条件で、カップ状に成形し
たときの限界絞り比を調べ、これによって、プレス成形
性を評価した。
【0074】(3) 成形後の外観性 図2に概略正面図で示す試験機を使用した。試験機は、
図1に示すように、箱状の枠2の一側2aに固定された、
所定高さの実質的に水平な突条8を有する雄ダイス9
と、雄ダイス9の突条8と向き合った所定深さの溝10を
有する雌ダイス11と、雌ダイス11を支持し、そして、雌
ダイス11を雄ダイス9の突条8に向けて水平に移動させ
るための、枠2の他側2bに固定された油圧シリンダ5と
からなっている。雌ダイス11は、油圧シリンダ5のロッ
ド5aに、ロードセル6を介して固定されている。なお、
雄ダイス9の突条8の幅は30mmであり、突条8の先端の
半径は0.25mmである。
【0075】本発明鋼板および比較用鋼板から切り出さ
れた試験片を、雄ダイス9と雌ダイス11との間の間隙に
垂直に挿入し、油圧シリンダ5を作動させて、雄ダイス
9と雌ダイス11とにより試験片7を50Kgf(500 Kgf/cm2)
の圧力で押しつけた。次いで、試験片7を矢印に示すよ
うに、100mm/分の速度で上方に引き抜き、そのときの試
験片の外観を目視によって調べ、傷つき程度および黒化
程度を評価した。評価基準は、次ぎの通りである。 ◎:傷つきおよび黒化が全く発生せず、外観が極めて均
一である、 ○:傷つきおよび黒化の発生が極めて僅かで、外観がほ
ぼ均一である、 △:局部的に傷つきおよび黒化が発生し、外観が不均一
である、 ×:全面に傷つきおよび黒化が著しく発生し、外観が極
めて不均一である。
【0076】(4) 平板耐食性 試験片に対し、JIS Z 2371に基づく塩水噴霧試験を施
し、白錆の発生するまでの時間を調べ、これによって評
価した。
【0077】(5) 成形後の耐食性 図2に概略正面図で示した試験機を使用し、本発明鋼板
および比較用鋼板から切り出された試験片を、前述した
と同様の方法によって、雄ダイス9と雌ダイス11とによ
り押しつけ次いで上方に引き抜いた。このようにして引
き抜かれた試験片の端縁部を、タールエポキシ塗料によ
ってシールした後、JIS Z 2371に基づく塩水噴霧試験を
120時間施して白錆の発生率を調べ、これによって成形
後の耐食性を評価した。評価基準は、次ぎの通りであ
る。 ◎:白錆発生率 5%未満、 ○:白錆発生率 5 〜20% 未満、 △:白錆発生率 20 〜40% 未満、 ×:白錆発生率 40%以上。表4および表5から明らかな
ように、本発明の範囲外の樹脂からなる被膜が形成され
た比較用鋼板No. 1〜3は、何れも、高温での潤滑性、
成形後の外観性および成形後の耐食性が悪かった。これ
に対して、本発明鋼板No.1〜15は、潤滑性、プレス成形
性、成形後の外観性、平板耐食性および成形後の耐食性
のすべてにおいて優れていた。
【0078】〔実施例2〕実施例1と同様のクロメート
被膜がその両表面に形成された鋼板の、前記クロメート
被膜の上に、前述した樹脂Aの固形分100 重量部に対し
て、潤滑剤aまたはbおよび防錆顔料としてのシリカを
この発明の範囲の割合で含有する塗料を、実施例1と同
様の方法により塗布し次いで加熱して、クロメート被膜
の上に樹脂被膜を形成した。このようにして、表6に示
す本発明鋼板No. 16〜28を調製した。
【0079】
【表6】 比較のために、本発明の範囲外の潤滑剤を使用した比較
用鋼板No. 4〜7、潤滑剤の含有量が本発明の範囲を外
れて少ない塗料を使用した比較用鋼板No. 8、潤滑剤の
含有量が本発明の範囲を外れて多い塗料を使用した比較
用鋼板No. 9、防錆顔料の含有量が本発明の範囲を外れ
て少ない塗料を使用した比較用鋼板No.10、防錆顔料の
含有量が本発明の範囲を外れて多い塗料を使用した比較
用鋼板No.11 、クロメート被膜の量が本発明の範囲を外
れて多い比較用鋼板No.12 、および、樹脂被膜の量が本
発明の範囲を外れて少ない比較用鋼板No.13 を調製し
た。
【0080】上述した本発明鋼板No.16 〜28および比較
用鋼板No. 4〜13の各々について、潤滑性、プレス成形
性、成形後の外観性、平板耐食性および成形後の耐食性
を、前述した性能試験によって評価した。評価結果を表
7に示す。
【0081】
【表7】 表6および表7から明らかなように、本発明の範囲外の
潤滑剤を使用した比較用鋼板No. 4〜7は、潤滑性、プ
レス成形性、成形後の外観性、平板耐食性および成形後
の耐食性のうちの何れかまたはその全部が悪かった。潤
滑剤の含有量が本発明の範囲を外れて少ない塗料を使用
した比較用鋼板No. 8は、潤滑性、プレス成形性、成形
後の外観性および成形後の耐食性が悪かった。潤滑剤の
含有量が本発明の範囲を外れて多い塗料を使用した比較
用鋼板No. 9は、被膜の凝集力の低下に基づく剥離量の
増加のために、成形後の外観性および耐食性が悪かっ
た。
【0082】防錆顔料の含有量が本発明の範囲を外れて
少ない塗料を使用した比較用鋼板No.10 は、平板耐食性
および成形後の耐食性が悪かった。防錆顔料の含有量が
本発明の範囲を外れて多い塗料を使用した比較用鋼板N
o.11 は、潤滑性、プレス成形性、成形後の外観性およ
び成形後の耐食性が悪かった。クロメート被膜の量が本
発明の範囲を外れて多い比較用鋼板No.12 は、プレス成
形性および成形後の外観性が悪かった。そして、樹脂被
膜の量が本発明の範囲を外れて少ない比較用鋼板No.13
は、潤滑性、プレス成形性、成形後の外観性、平板耐食
性および成形後の耐食性のすべてが悪かった。
【0083】これに対して、本発明鋼板No. 16〜28は、
潤滑性、プレス成形性、成形後の外観性、平板耐食性お
よび成形後の耐食性のすべてについて優れていた。
【0084】
【発明の効果】以上述べたように、この発明の亜鉛系め
っき鋼板によれば、表面に潤滑油等を塗布することな
く、常温および高温時において優れた潤滑性およびプレ
ス成形性が発揮され、摩擦熱が発生し、鋼板が高温にな
るようなする厳しい条件でプレス成形が施されても、樹
脂被膜に損傷や黒化が生ぜず、且つ、優れた耐食性が得
られ、しかも、樹脂被膜の低温焼付けが可能である等、
工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験片の潤滑性を評価するための試験機の概略
正面図である。
【図2】試験片の成形後の外観性および成形後の耐食性
を評価するための試験機の概略正面図である。
【符号の説明】
1 雌ダイス 2 枠 3 突条 4 雄ダイス 5 油圧シリンダ 6 ロードセル 7 試験片 8 突条 9 雄ダイス 10 溝 11 雌ダイス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 28/00 C23C 28/00 C

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板と、前記鋼板の少なくとも1つの表
    面上に形成された、亜鉛または亜鉛合金めっき層と、前
    記亜鉛または亜鉛合金めっき層の上に形成されたクロメ
    ート被膜と、そして、前記クロメート被膜の上に樹脂を
    塗布しそしてこれを加熱硬化させることによって前記ク
    ロメート被膜の上に形成された樹脂被膜とからなる亜鉛
    系めっき鋼板において、 前記クロメート被膜の量は、金属クロム換算で、鋼板の
    片面当たり5〜200mg/m2の範囲内であり、 前記樹脂被膜の厚さは、鋼板の片面当たり、0.3 〜3.0
    μm の範囲内であり、 前記樹脂被膜は、固形分換算で、 (1) 溶剤系熱硬化性樹脂: 100重量部 (2) 固形潤滑剤としての130 ℃以下の融点を有しそして
    平均分子量が5000以下のポリエチレン樹脂:1〜30重量
    部、および、 (3) 防錆顔料 :3〜30重量部、からなってお
    り、そして、 前記溶剤系熱硬化性樹脂は、 (A) 下記化学成分を有する水酸基含有ウレタンプレポリ
    マー、(a) ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリ
    オールおよびポリエーテルポリエステルポリオールから
    なる群から選ばれた少なくとも1種のポリオール、(b)
    イソシアネート化合物、および、(c) 2価のアルコー
    ル、および、 (B) 硬化剤としての、官能基を4以上有するブロックポ
    リイソシアネートプレポリマー、からなっていることを
    特徴とする、樹脂被膜の低温焼付けが可能で、潤滑性、
    プレス成形性および耐食性に優れた亜鉛系めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 前記溶剤系熱硬化性樹脂は、ガラス転移
    温度の異なる2種以上の樹脂からなっている、請求項1
    記載の亜鉛系めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 前記ガラス転移温度の異なる2種以上の
    溶剤系熱硬化性樹脂は、硬化後のガラス転移温度が50
    ℃以下である低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化性樹脂
    と、硬化後のガラス転移温度が50℃超である高ガラス
    転移温度の溶剤系熱硬化性樹脂とからなっている、請求
    項2記載の亜鉛系めっき鋼板。
  4. 【請求項4】 前記低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化性
    樹脂と、前記高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化性樹脂と
    の配合比が、9:1〜1:9の範囲内である、請求項2
    または3記載の亜鉛系めっき鋼板。
  5. 【請求項5】 前記固形潤滑剤としてのポリエチレン樹
    脂の融点は、90〜130 ℃の範囲内であり、そして、その
    粒径は20μm 以下である、請求項1から4の何れか1つ
    に記載の亜鉛系めっき鋼板。
  6. 【請求項6】 前記防錆顔料は、クロム酸塩化合物およ
    びシリカのうちの少なくとも1種からなっている、請求
    項1から4の何れか1つに記載の亜鉛系めっき鋼板。
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