JPH09159252A - 水蒸気分圧変換式湿度制御装置 - Google Patents

水蒸気分圧変換式湿度制御装置

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JPH09159252A
JPH09159252A JP7347415A JP34741595A JPH09159252A JP H09159252 A JPH09159252 A JP H09159252A JP 7347415 A JP7347415 A JP 7347415A JP 34741595 A JP34741595 A JP 34741595A JP H09159252 A JPH09159252 A JP H09159252A
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勝政 須山
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杲 姜
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構成で広い温湿度範囲にわたって安定
した湿度制御を行う。 【構成】 乾球温度と湿球温度の実測値PVtとPVt
´及び乾球温度と相対湿度の設定値SVtとSVφから
水蒸気分圧の実測値PVh及び設定値SVhを計算する
計算部12及び13を設け、制御出力演算部14で水蒸
気分圧の実測値PVhが設定値SVhになるように加湿
器6の出力を制御する。 【効果】 加湿時の温度の持ち上がりによる相対湿度低
下の影響が排除され、温度の実測値を用いても制御の暴
走が起こらない。可変ゲイン方式等を用いることなく、
一定の制御定数で広い温湿度範囲を制御できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、出力制御の可能な
加湿器を備え空調装置で試験室に空調された空気を循環
させる環境試験装置の湿度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】環境試験装置においては、通常、試験す
べき試料の環境条件として温度及び相対湿度が与えられ
る。従って、環境試験装置の試験室は、温度及び相対湿
度が目的とする値になるように制御される。この制御に
は、従来から次のような種々の方法を用いた装置が採用
されいて、それぞれ問題点を残しつつ実用に供されてい
る。
【0003】まず、乾球及び湿球温度の実測値に基づい
て算出した実測相対湿度と、温湿度設定器で設定した設
定相対湿度とを比較し、その偏差等に対応してPID制
御等によって加湿器の出力を定める方法を用いた装置が
ある。この制御では、特に高湿域等において、例えば加
湿する場合に加湿水蒸気の持ち込む顕熱の影響で循環空
気の温度が上昇し、その結果相対湿度が十分上昇しない
ため、依然として加湿出力を大きくする制御が行われ、
制御が暴走するおそれがある。従来技術では、これを防
止するため、温度が設定値より上昇した場合には、元の
設定温度を用いて実測相対湿度を計算する方法が用いら
れることがある。しかしながら、このように実測温度を
用いない制御では、十分精度の良い制御にはならない。
そして、このように温度を変換するため、制御ロジック
もそれだけ複雑化する。
【0004】又、制御パラメーターとして相対湿度を用
いる場合には、温度と絶対湿度とを座標とする湿り空気
線図において相対湿度一定線が右上がりに開いた扇状を
なしているため、低温−高湿条件と高温低湿条件では、
一定量の水分変化に対応する一定量の絶対湿度変化に対
して、相対湿度の変化量が大幅に異なってくる。極端な
場合には、低温−高湿条件では高温−低湿条件に較べて
40倍以上にもなる。従って、1つの制御定数では、広
範囲の温湿度領域に対応できなくなる。即ち、低温条件
では非常に過敏な制御になり、湿度制御に細かいハンチ
ングが発生し、一方高温条件では、鈍感な制御になって
大きなハンチングが発生する。従って、使用する温湿度
範囲の広い環境試験装置では、安定した良好な制御が得
られない。これを防止するために、制御定数を変化させ
る可変ゲイン方式を用いる場合もあるが、最適な制御定
数を短時間に得ることができないと共に、制御の安定性
が悪くなる傾向は避け難い。又、制御内容も複雑化す
る。
【0005】次に、相対湿度センサを使用し、実測した
相対湿度が設定した相対湿度になるように制御する装置
がある。この場合にも、制御パラメーターとして相対湿
度を用いるので、上記と同様の問題がある。更に、制御
の暴走を防止する方法として上記のように設定温度を用
いることができないので、例えば、温度が持ち上がって
加熱出力0の状態が一定時間続くと加湿器を遮断する暴
走防止回路を設ける等、他の処置を必要とする。このよ
うな制御では、上記回路作動時に著しい制御乱れが発生
する。又、制御や装置が複雑化することにもなる。
【0006】更に、ユーザーの要請によって湿球温度セ
ンサを用いるかもしくは相対湿度センサを用いるかによ
って制御ロジックを変更する必要があり、その共用化が
阻害されることになる。
【0007】又、空調空間内の温度と相対湿度とを測定
し、これらから絶対湿度を計算し、絶対湿度が一定にな
るように制御される加湿器が提案されている(特開平4
−130905号公報参照).この加湿器は、従来の空
調制御における相対湿度一定の制御を改善し、且つ、高
価な絶対湿度計を用いることなく、気温が変化しても人
が常に快適に感じられるように考案したものである。し
かしながら、過酷な温湿度条件を含め広範囲な種々の環
境条件を実現しなければならない環境試験装置では、こ
のような制御を用いることはできない。又、絶対湿度
は、温度100°C、相対湿度100%において無限大
になり、その近傍の温湿度ではその値が急上昇するの
で、高温高湿条件を制御範囲に含む環境試験装置に対す
る制御要素としては適当でない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術に於
ける上記問題を解決し、簡単で安価な構成により、温度
及び湿度から成る環境条件の広い範囲にわたって、精度
よく安定した良好な制御性の得られる湿度制御装置を提
供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、出力制御の可能な加湿器を備え空調装置で
試験室に空調された空気を循環させる環境試験装置の湿
度制御装置において、前記空気の温度を検出する乾球温
度検出手段と、前記空気の湿球温度を検出する湿球温度
検出手段又は相対湿度を検出する相対湿度検出手段の何
れかと、前記空気の温度を目標とする温度に設定できる
温度設定手段と、前記空気の相対湿度を目標とする相対
湿度に設定できる湿度設定手段と、前記乾球温度検出手
段に加えて前記湿球温度検出手段又は前記相対湿度検出
手段の何れかによって検出した検出値から第1水蒸気分
圧を計算する第1計算手段と、前記温度設定手段及び前
記湿度設定手段で設定した設定値から第2水蒸気分圧を
計算する第2計算手段と、前記第1水蒸気分圧が前記第
2水蒸気分圧になるように前記加湿器の出力を制御する
制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の湿度制御装置が
適用される環境試験装置の一例を示す。環境試験装置
は、断熱壁1で囲まれた空調室2及び試験室3を備え、
空調室2には、冷凍機4の冷媒で冷却される蒸発器4
a、加熱器5、加湿器6及びその蒸気発散部6a、空調
された空気を循環させる送風機7等が設けられ、試験室
3には、循環空気の乾球温度及び湿球温度を検出できる
それぞれ乾球温度検出手段及び湿球温度検出手段として
の乾球温度(以下では単に「温度」という)センサ8及
び湿球温度センサ9等が設けられている。センサ8,9
の設置場所は、図示の位置に限られず、空調室内を含め
空気循環系の適当な所でよい。
【0011】環境試験装置は更に、図2にその内容の一
部分を示す制御盤100及び図示しない機械室を備え、
冷凍機4及び加湿器6の本体部分は機械室に設けられて
いる。又、必要に応じて補助加湿器や除湿機等が設けら
れる。加熱器5及び加湿器6は、電気ヒータ等の出力制
御可能な加熱部分を備えている。これらの出力制御の方
法としては、電気ヒータ等の出力(KW値)を直接制御
する方法や、制御された周期でヒータをオン/オフさせ
ることにより時間平均の出力を制御する方法等、どのよ
うな制御方法であってもよい。加湿器6は、通常、ほぼ
大気圧で循環される空気に水蒸気を付加するため、大気
圧式の蒸気発生装置になっている。従って、加湿水蒸気
は100°Cに近い温度で循環空気に加えられる。
【0012】図2は、本発明の湿度制御装置を含む環境
試験装置の温湿度制御系を示す。湿度制御装置は、上記
温度センサ8と、上記湿球温度センサ9と、循環空気の
温度を目標とする温度に設定できる温度設定手段として
の温度設定器10と、循環空気の相対湿度を目標とする
相対湿度に設定できる湿度設定手段としての湿度設定器
11と、温度センサ8及び湿球温度センサ9の検出値か
ら第1水蒸気分圧を計算する第1計算手段としての水蒸
気分圧実測値計算部12と、温度設定器10及び湿度設
定器11で設定した温度及び相対湿度の設定値から第2
水蒸気分圧を計算する第2計算手段としの水蒸気分圧設
定値計算部13と、第1水蒸気分圧が第2水蒸気分圧に
なるように加湿器6に出力を制御する制御手段としての
制御出力演算部14と、を有する。符号15は、乾球温
度センサ8の実測値と温度設定器10の設定値等から加
熱器5の出力を決定する加熱器制御出力演算部である。
これらの温度制御部分及び湿度制御部分は、例えばマイ
クロコンピュータ等で構成され、環境試験装置として本
体部分と一体的に形成される制御盤100内に組み込ま
れる。
【0013】水蒸気分圧実測値計算部12では、次に示
すスプルングの式によって実測した温度PVt(PVは
現在値を意味する)及び湿球温度PVt´で定まる湿り
空気の水蒸気分圧PVhが計算される。 PVh=PVs´−K(PVt−PVt´)−−−−−−−式(1) ここで、PVs´は実測湿球温度PVt´における飽和
水蒸気圧であり、計算部12内に予め記憶されている温
度と飽和水蒸気圧との関係表や関係式等によって与えら
れる。Kは定数である。
【0014】水蒸気分圧設定値計算部13では、次に示
す周知の式によって設定した温度SVt(SVは設定値
を意味する)及び相対湿度SVφ(%)で定まる湿り空
気の水蒸気分圧SVhが計算される。 SVh=SVs×SVφ/100−−−−−−−−−−−−−式(2) ここで、SVsは設定温度SVtにおける飽和水蒸気圧
であり、前記の温度と飽和水蒸気圧との関係表等によっ
て与えられる。
【0015】以上のような計算はマイコン等によって極
めて容易且つ迅速に行われるので、湿度制御装置にこの
ような計算が追加されても、これが制御の迅速性に影響
を与えることはない。又、これによって制御系が複雑化
することもない。
【0016】制御出力演算部14では、上記計算で得ら
れた実測水蒸気分圧PVhと設定水蒸気分圧SVhとを
比較して、その差や比率等を計算し、PID制御等によ
ってこれらに対応して加湿器6を駆動する制御出力MV
Wを算出する。この出力は、例えば加湿器の定格出力に
対するパーセントとして発信される。なお、温度制御部
分の制御出力演算部15も、同様の方法で加熱器5を駆
動する制御出力MVDを発信する。
【0017】図3は、温度t及び絶対湿度xをX−Y座
標軸にした湿り空気線図の一部分であり、本発明の湿度
制御装置の作用効果の1つを説明するための図である。
この図では、湿球温度t´及び相対湿度φが一定である
状態変化は、それぞれ図示のような斜線で表される。一
方、絶対湿度xは、次式 x=Ch/(Pa−h)−−−−−−−−−−−−−−−(3) (Cは定数、Paは大気圧)に示すように、一定の大気
圧下では水蒸気分圧hのみの関数であるから、水蒸気分
圧hも絶対湿度と同様にY軸になる。従って、相対湿度
が一定であっても、温度が変われば水蒸気分圧は変化す
る。
【0018】図において、環境試験装置を循環する湿り
空気の状態がA点(t1 、t´1 、φ1 )にあり、例え
ば温度一定で相対湿度の設定値をB点(t1 、t´2
φ2)まで上げたとすると、水蒸気分圧設定値計算部1
3は、式(2)によってt1及びφ2 からSVh2 を計
算し、制御出力演算部14は、これと現在値との差Δh
を計算し、これに対応した新たな加湿器制御出力MVW
2 を発信する。これにより、加湿器6の出力が増加し、
循環空気中に水蒸気が発散される。その結果、これに対
応して絶対湿度x、湿球温度t´及び水蒸気分圧hが上
昇する。
【0019】ところが、加湿する水蒸気は100°C程
度の温度になっていて通常の温湿度条件では循環空気よ
り高温であるため、循環空気中には水蒸気による熱負荷
が持ち込まれ、循環空気の温度がt3 まで上昇する。従
って、加湿出力が増加して循環空気に水蒸気が加えられ
た段階では、実際には循環空気はC点の状態になる(B
点の状態からC点の状態にはほぼエンタルピi一定で仮
想的に変化する)。即ち、加湿出力が更新されても、そ
の段階では、最終制御目的である相対湿度はφ1 に近い
φ3 に止まり、余り上昇しない。この傾向は、加湿器の
出力のみで温度を維持する高湿度状態や、試験室内に発
熱負荷が入って冷却能力に余裕がなくなった場合に増長
される。この場合、従来技術のように相対湿度を直接の
制御目標にすると、実際の相対湿度が設定値に到達しな
い度合いが大きいため、偏差が縮まらず、更に加湿出力
が大きくなり、従来技術で説明したようないわゆる制御
の暴走が発生する。
【0020】しかしながら、本発明の制御では、水蒸気
分圧実測値計算部12は、PVt3及びPVt3 ´(こ
の段階では、t3 ´はt2 ´とほぼ同じ値である)から
水蒸気分圧実測値PVh3 を計算するから、その値は設
定値SVh2 に十分近い値になり、設定値と実測値との
偏差Δh´が十分小さくなる。従って、直ちに制御効果
が現れたことになって制御は安定に向かう。そして、温
度の持ち上がりに伴って温度制御がはたらき、更にそれ
に対応して二次的な湿度制御がはたらき、温度が復帰し
て相対湿度が上昇し、C点から目標とする設定点Bに到
達する。この間でも、常に制御に対してその効果が即応
するので、制御は拡散することなく急速に安定の方向に
向かう。従って、従来技術のように、温度の現在値とし
て測定した乾球温度(図ではt3 )に換えて仮想的な温
度である設定温度(図ではt1 )を用いる必要がない。
その結果、常に適正な制御が行われ、仮想値を用いるこ
とによる制御の歪曲や精度低下等のおそれがなくなる。
又、特定の条件でt3 をt1 に置換するような複雑な制
御がなくなり、制御ロジックが簡素化される。
【0021】以上の如く、本発明では、実測値でもなけ
れば設定値でもない第3のパラメータである水蒸気分圧
の特性を利用した制御を、空調装置として特殊な用途と
温湿度特性とを持つ環境試験装置に適用することによ
り、広範囲において精度が高く安定性のある湿度制御を
行うことができる。なお、図3では、設定湿度を上げる
例を示したが、設定湿度を下げたり、発熱負荷の変化に
より相対湿度が変化するような場合でも、本発明の湿度
制御によれば、温度変化が過渡的に相対湿度に及ぼす影
響が排除され、安定性が高く且つ安定に到達するまでの
時間の短い良好な制御が得られる。
【0022】次に、表1は、湿り空気の極端な2状態
(低温高湿状態A及び高温低湿状態B)における絶対湿
度の一定の変化量Δx(1g/1kg乾燥空気)に対す
る湿球温度t´、相対湿度φ及び水蒸気分圧hの変化量
の比較結果を示す。
【表1】
【0023】大気圧に対する水蒸気分圧の比率は、湿り
空気(全体)中における水蒸気の占める体積比率に相当
するから、本来的に空気の湿り度合いを示すのに適当な
物理量であるが、空気循環系に水分(水蒸気)負荷が持
ち込まれると、これが直ちに絶対湿度(水蒸気 kg /乾
き空気 kg )の変化となって現れるので、分母が小さく
なる高温高湿の条件を除けば、絶対湿度は湿度制御のパ
ラメーターとして最適である。そのため、表1におい
て、湿球温度、相対湿度及び水蒸気分圧の状態変数とし
ての性質を絶対湿度と比較している。、この表によれ
ば、Bの状態に対してAの状態では、同じ絶対湿度の変
化量に対して、湿球温度の変化量Δt´は3.41倍、
相対湿度の変化量Δφは41.5倍、そして水蒸気分圧
の変化量Δhは1.07倍である。従って、水蒸気分圧
と絶対湿度とは広い温湿度範囲において極めて近い性質
の物理量である。
【0024】これから明らかなように、試料等から持ち
込まれたり加湿器の制御出力に対応して持ち込まれる同
じ量の水分負荷に対して、相対湿度では、湿り空気の状
態によってはその効果が40倍にもなって現れる。従っ
て、設定目標である相対湿度を直接制御対象とする場合
には、どのような温湿度条件に対しても偏差に対して同
じ制御定数を用いると、状態Aでは制御量が制御効果に
大きく反映して極めて過敏な制御になり、一方状態Bで
は、極めて鈍感な制御になるため、従来技術でも説明し
たようにハンチングが発生したり、これを防止するため
に制御定数を変動させる可変ゲイン方式を採用する必要
がある。ところが、本発明のように、乾球及び湿球温度
又は乾球温度と相対湿度とから計算できる第3のパラメ
ーターである水蒸気分圧を制御対象として用いると、湿
り空気のどのような温湿度状態でも、同じ制御量に対し
て殆ど変化しない制御効果が得られる。その結果、本発
明によれば、制御定数を変動させるような複雑且つ安定
性を失い易い制御系を用いることなく、極めて広い温湿
度範囲において、安定性の高く良好な制御性を得ること
ができる。又、変動する制御定数を決定するための長期
間にわたる調整運転等を必要としないため、製造費の低
減や使用可能状態に至るまでの工期の短縮等が図られ
る。
【0025】ところで、同表から明らかなように、湿り
空気の状態の相違による湿球温度の変化量は比較的小さ
いので、湿球温度を制御パラメーターにすることも考え
られる。しかしながら、式(1)、(2)から分かるよ
うに、温度と相対湿度とを設定値にする場合には、これ
らから設定湿球温度SVt´を単純計算によって得るこ
とができない。即ち、式(1)を現在値PVから設定値
SVに置き換えて計算する場合に、設定温度SVtを用
い、設定湿度SVφから式(2)によってSVhが得ら
れても、SVh´がSVt´と関数の関係になっている
ため、式(1)が方程式になり、SVt´の解は容易に
得られない。コンピュータによればトライアンドエラー
方式で解を得られるが、その計算に時間がかかり、又、
計算時間も低温低湿条件になる程長くなり、温湿度条件
によっては制御プログラムの設定時期が予定した時期か
らずれ込み、制御が乱される場合も生ずる。本発明のよ
うに水蒸気分圧を制御パラメータに用いれば、湿球温度
を用いるよりも、設定水蒸気分圧を単純計算で極めて容
易に算出できるので、温湿度条件の変化に伴う制御出力
効果の変動がより少ないことは当然として、温湿度設定
から制御開始までの時間が極めて短く、制御の迅速性が
確保され、制御の乱れも発生しない。
【0026】又、絶対湿度を制御パラメーターとして用
いることも考えられる。しかしながら、乾球及び湿球温
度の測定値や乾球及び相対湿度の設定値から絶対温度を
計算するためには、前式(1)及び(2)を用いて水蒸
気分圧を計算し、それから前式(3)を用いて絶対湿度
を計算しなければならないため、水蒸気分圧を用いるよ
りも式(3)による余分な計算が必要になる。更に、絶
対湿度は、湿り空気中の水蒸気量がそれ程多くない条件
では、水分負荷の増減に対して極めて近い直線性を有す
るので最適の制御パラメーターになるが、温度100°
C、相対湿度100%においては無限大になり、水蒸気
分圧が大きくなる高温高湿条件では、水分負荷の増減が
極めて大きな絶対湿度の変化となって現れる。これは、
式(3)の微分 dx/dh=C/(Pa−h) + Ch/(Pa−
h)2 から明らかである。即ち、hが大気圧であるPaに接近
すると、上式の分母に二次微小項を持つ部分が生ずるの
で、微分値である勾配が極めて大きな値になる。従っ
て、絶対湿度は、通常高温高湿条件を制御範囲に含む環
境試験装置の制御要素としては適当でない。
【0027】図4は湿度制御装置の他の構成例を示す。
以上では、温度センサ8及び湿球温度センサ9によって
乾球及び湿球温度を測定し、これらから相対湿度を求め
る例について説明したが、湿球温度センサに代えて直接
相対湿度を測定できる湿度センサ16を設けるようにし
てもよい。この場合には、計算部12及び13では、水
蒸気分圧の実測値PVh及び設定値SVh共に前式
(2)で求めることになる。その他の構成及び作用効果
は図2の装置と全く同様である。
【0028】
【実施例】図5乃至図10は、発明者等が環境試験装置
を用いて温湿度制御実験を行った結果の一部分を示す。
この実験は、環境試験装置に本発明の湿度制御装置を適
用した場合と、これと比較するために、同じ環境試験装
置に従来の湿度制御装置を適用した場合とについて行わ
れている。以下では、本発明を適用した場合を「実験
例」といい、従来技術を適用した場合を「比較例」とい
う。なお、本比較実験のための従来例では、温度が持ち
上がった場合には設定温度によって湿度制御を行う暴走
防止方法を組み込んでいる。但し、制御定数(PID定
数)は一定にしている。
【0029】図5及び図6は、それぞれ、比較的低温−
高湿状態における実験例及び比較例である。図示の如
く、実験例では、乾球温度t及び湿球温度t´から計算
した相対湿度A及び湿度モニタで測定した相対湿度Bの
何れも、温湿度制御中における変動幅が小さく、安定し
た湿度制御が行われている。これに対して比較例では、
相対湿度A、Bの何れもが実験例の数倍という大きな幅
で変動している。即ち、ピッチの細かいハンチングが現
れている。従って、本発明を適用した湿度制御では、従
来技術のそれよりも、制御の安定性が大幅に改善されて
いるということができる。なお、相対湿度の計算値Aと
モニタ値Bとが一致していないのは、測定点が相違して
いることや、モニタ用の相対湿度計の調整が完全でなか
ったこと等の理由による。
【0030】図7及び図8は、それぞれ、比較的高温−
低湿状態における実験例及び比較例である。図示の如
く、実験例では、設定値が60°C、10%RH及び8
0°C、10%RHである図における両端部分でも、湿
球温度PVt´並びに相対湿度A及びBに殆どハンチン
グが出ていないが、比較例では、これらの何れにおいて
も大幅なハンチングが発生している。従って、本発明を
適用した湿度制御装置では、制御定数を一定にしてもハ
ンチングが発生せず、精度の良い安定した制御を行える
ことが実証された。
【0031】図9は、図7に対応する実験例である。図
5及び図7では、図2に示す湿度制御装置を用いていた
が、図9では、図4に示す湿度制御装置、即ち、相対湿
度センサを用いて水蒸気分圧を計算するようにした装置
を用いている。この実験例でも、湿球温度t´は極めて
安定していて、図8の従来技術に見られるようなハンチ
ングは全くない。なお図において、設定値が80°C、
10%RHのときに相対湿度Aが下方にオーバースケー
ルしているのは、相対湿度の計算においてレンジ調整が
されていなかったためである。
【0032】図10は、制御の暴走を起こし易い設定条
件である低温−高湿条件にした実験例(太い実線)及び
従来例を示す。図において、Xt及びYt並びにXt´
及びYt´はそれぞれ、実験例及び従来例における乾球
温度並びに湿球温度を示し、従来例の場合には、これま
でと同様に温度が持ち上がったときには設定温度SVt
でPVφを計算する湿度制御方法を用いている。しかし
ながら、従来例では、温度がUtだけ持ち上がって制御
の暴走傾向が現れている。これに対して実験例では、僅
かに温度が持ち上がっているが、すぐに設定値に到達
し、暴走傾向が全く見られず制御が安定している。
【0033】
【発明の効果】以上の如く本発明によれば、乾球及び湿
球温度(又は相対湿度)検出手段と、温度及び相対湿度
設定手段と、これらの測定値及び設定値から水蒸気分圧
を計算する第1及び第2計算手段とを設け、水蒸気分圧
を制御パラメーターして、制御手段で実測水蒸気分圧が
設定水蒸気分圧になるように加湿器を制御することによ
り、加湿量の増減による温度変化の影響を排除し、制御
量に対応した制御効果を得ることができる。従って、従
来の湿度制御のように、実測値の計算に当たって実測温
度でない仮想的な設定温度を用いることなく、制御の暴
走を防止し、精度の良い安定した湿度制御をすることが
できる。
【0034】又、水蒸気分圧は高温高湿領域を除いて絶
対湿度と同様の特性を持つ状態変数であるため、温湿度
条件の広い範囲で水分負荷の増減や加湿量の増減の効果
がほぼ一定している。そのため、従来の相対湿度制御で
行われていたような制御定数を変動させる可変ゲイン方
式を用いる必要がない。従って、簡単な制御により広範
囲の温湿度条件において良好な制御性を得ることができ
る。そして、制御定数を一定にすることができるため、
初期調整が極めて容易で、そのための運転期間や運転費
用が不要になり、工期の短縮と製造コストの低減も図ら
れる。
【0035】更に、湿球温度を制御パラメーターにする
よりも、制御効果がより安定していると共に、設定水蒸
気分圧の計算が設定湿球温度の計算よりも極めて容易且
つ迅速にできるため、計算時間が長くかかることに伴う
問題が発生しない。又、絶対湿度を制御パラメーターに
するよりも、高温高湿条件における制御性が良い。又、
直接相対湿度を測定する方法を用いる場合には、相対湿
度を設定値とするときのように暴走防止回路を設ける必
要がなくなる。そして、相対湿度を制御パラメーターに
する場合のように、相対湿度の実測値を求める場合に、
従来技術では、直接相対湿度を測定するかもしくは乾球
温度及び湿球温度を測定してこれから算出するかによっ
て、可変ゲイン方式にするか暴走防止手段にするかで制
御ロジックを変更する必要があったが、本発明ではその
必要がなくなり、制御ロジックの共用化が可能になる。
そして更に、従来のように可変ゲイン方式や暴走防止回
路を設ける必要がないため、制御及び装置が簡素化され
る。
【0036】以上の如く、本発明は、環境試験装置の用
途上の特質(温湿度の制御範囲が広いこと)及び温湿度
の変動特性(加湿時にまず温度が持ち上がること)と、
水蒸気分圧の状態変数としての特性に着目して、環境試
験装置の湿度制御に、実測値でもなければ設定値でもな
い第3のパラメーターとして水蒸気分圧を用いることに
より、極めて多くの顕著な作用効果の得られるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用できる環境試験装置の構成例を示
す説明図である。
【図2】本発明を適用した湿度制御装置関連部分の一例
を示すブロック図である。
【図3】湿り空気線図の一部分を示す説明図である。
【図4】本発明を適用した湿度制御装置関連部分の他の
例を示すブロック図である。
【図5】本発明の湿度制御装置を用いた環境試験装置に
よる温湿度制御の実験例を示す曲線図である。
【図6】従来の湿度制御装置を用いた環境試験装置によ
る温湿度制御の比較実験例を示す曲線図である。
【図7】本発明の湿度制御装置を用いた環境試験装置に
よる温湿度制御の実験例を示す曲線図である。
【図8】従来の湿度制御装置を用いた環境試験装置によ
る温湿度制御の比較実験例を示す曲線図である。
【図9】本発明の湿度制御装置であって相対湿度センサ
を用いて水蒸気分圧を計算する方式のものを用いた環境
試験装置による温湿度制御の実験例を示す曲線図であ
る。
【図10】本発明及び従来例の湿度制御装置を用いた環
境試験装置により、低温−高湿条件に設定した温湿度制
御の実験例を示す曲線図である。
【符号の説明】
3 試験室 6 加湿器 8 温度(乾球温度)センサ(乾球温度検出
手段) 9 湿球温度センサ(湿球温度検出手段) 10 温度設定器(温度設定手段) 11 湿度設定器(湿度設定手段) 12 水蒸気分圧実測値計算部(第1計算手
段) 13 水蒸気分圧設定値計算部(第2計算手
段) 14 制御出力演算部(制御手段) 16 相対湿度センサ(相対湿度検出手段)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 出力制御の可能な加湿器を備え空調装置
    で試験室に空調された空気を循環させる環境試験装置の
    湿度制御装置において、 前記空気の温度を検出する乾球温度検出手段と、前記空
    気の湿球温度を検出する湿球温度検出手段又は相対湿度
    を検出する相対湿度検出手段の何れかと、前記空気の温
    度を目標とする温度に設定できる温度設定手段と、前記
    空気の相対湿度を目標とする相対湿度に設定できる湿度
    設定手段と、前記乾球温度検出手段に加えて前記湿球温
    度検出手段又は前記相対湿度検出手段の何れかによって
    検出した検出値から第1水蒸気分圧を計算する第1計算
    手段と、前記温度設定手段及び前記湿度設定手段で設定
    した設定値から第2水蒸気分圧を計算する第2計算手段
    と、前記第1水蒸気分圧が前記第2水蒸気分圧になるよ
    うに前記加湿器の出力を制御する制御手段と、を有する
    ことを特徴とする湿度制御装置。
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