JPH09176773A - サーメット合金製ベーン - Google Patents

サーメット合金製ベーン

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JPH09176773A
JPH09176773A JP7350843A JP35084395A JPH09176773A JP H09176773 A JPH09176773 A JP H09176773A JP 7350843 A JP7350843 A JP 7350843A JP 35084395 A JP35084395 A JP 35084395A JP H09176773 A JPH09176773 A JP H09176773A
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vane
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cermet alloy
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cermet
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JP7350843A
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Yasushi Hara
恭 原
Takashi Yoshimoto
隆志 吉本
Masao Koshi
正夫 越
Hideo Hirano
秀夫 平野
Hiroyuki Kono
博之 河野
Hiroshi Fukuoka
弘嗣 福岡
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Nachi Fujikoshi Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Nachi Fujikoshi Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01CROTARY-PISTON OR OSCILLATING-PISTON MACHINES OR ENGINES
    • F01C21/00Component parts, details or accessories not provided for in groups F01C1/00 - F01C20/00
    • F01C21/08Rotary pistons
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 代替冷媒のHFC系フロンに対して十分実用
可能で好適な、自己耐摩耗性を有し、ベーンの相手材攻
撃性が低く、摩擦係数が低く、自己潤滑性が高く、かつ
エステル系潤滑油が分解して生じるカルボン酸などの酸
による腐食作用に十分耐える耐食性を有するサーメット
合金製ベーンを提供。 【構成】Ni単独又はNi及びCoを主成分(ただしN
iの割合が重量%で50%以上)とする重量%で5〜20%
の結合相と、残部がTiの炭化物または窒化物もしくは
これらの相互固容体化合物を主成分とする芯部粒子(コ
アー)及びその周辺組織よりなる2重有芯構造を有する
硬質相と、不可避不純物と、からなり、該硬質相が重量
%で、Ti:30〜60%と、W:10〜30%と、Mo:0.5
〜10%と、Ta,Nb,Cr,V,Zr,Alの中の少
なくとも1種又は複数種を合わせて:1〜25%と、N:
2〜6%と、C:4〜12%と、の組成からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フロン代替冷媒を
用いる冷凍冷蔵装置や空気調和装置に使用される回転式
圧縮機のベーンに適したサーメット合金製ベーンに関す
る。
【0002】
【従来の技術】本発明のサーメット合金製ベーンが使用
できる従来の冷凍冷蔵装置や空気調和装置に搭載されて
いる回転式圧縮機の横断概略図面を図1に示す。1は回
転式圧縮機、2は凝縮器、3は減圧装置であるキャピラ
リーチューブ、4は蒸発器であり、順次連結して冷凍サ
イクルを構成する。回転圧縮機1の密閉容器5にはシリ
ンダ6が溶接固定されている。7はベーンで、シリンダ
6のベーン溝8に挿入されている。9はピストンであ
り、軸10の偏心部21に嵌合され、軸10の回転中心20の回
りに回転するとき、ピストン9はシリンダ6の内壁に沿
って偏心回転運動する。ベーン7はピストン9に当接し
てシリンダ6の内部を吸入室11と圧縮室12に分離すると
ともに、ピストン9の動きに従いベーン溝8内を往復運
動する。密閉容器の内部は高圧であり、ベーン7の先
端は、ベーンバネ13のバネ力によって、シリンダ6の
内外の差圧に抗してピストン9の外周に押し付けられて
いる。
【0003】従来、冷媒としての気体は、フロンガスが
用いられていた。前記圧縮機が良好な運転を持続的に行
うための要件を考えてみる。ベーンの先端は常にピスト
ン9の外周及びベーンの側面はシリンダ6と密接して摺
動しているので、ベーンに要求される特性は、ベーン自
身が摩耗しない即ち自己摩耗が小さいと同時に、相手の
ピストンやシリンダーも摩耗させないこと即ち相手材攻
撃性が低いことである。また圧縮機内には潤滑性を高め
るために、従来はフロンガスに相溶性のある例えばアル
キルベンゼン系の潤滑油が充填されている。こうした潤
滑環境で持続的に良好な作動状態を確保するには、ベー
ンとピストンが互いになじみ性があり潤滑性が高いこと
が必要である。このためベーンとピストン相互間の摩擦
係数が低いことが重要である。この摩擦係数が高いと自
己潤滑性が悪いだけでなく、フロン代替冷媒と共に用い
られるエステル系の潤滑油では潤滑油の温度が上昇して
カルボン酸が生じ、ベーン材に腐食摩耗が発生するなど
の問題も考えられる。
【0004】従来より、こうしたベーンにはSKH51
種相当の溶製高速度工具鋼またはFe系焼結材が主とし
て用いられてきた。また一部には相手材攻撃性を重視し
てカーボンを用いたり、高出力型で耐摩耗性を重視する
必要がある場合には、Al23 ,SiC等のセラミッ
クを用いられることもあった。そして、ベーンの耐摩耗
性や自己潤滑性を向上する目的で、ベーンの材質面に関
して、特開昭56−47550号、特開昭61−485
56号、特開昭64−35091号、特開平2−102
392号の各公報に記載されているものが提案されてい
る。更に最近ではAlや高速度工具鋼を母材として、そ
の表面にNi−Pメッキ層あるいはフッソ樹脂粒子の分
散したNi−Pメッキ層といった硬質被覆層を形成した
ベーンも提案されている。この中でAlを母材としたも
のは特開昭64−32087号公報、特開平3−186
82号公報に、また高速度工具鋼を母材としたものは特
開平06−033256号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記圧縮機に使用され
ている冷媒は、クロロフルオロカーボン(以下CFCと
記す)系の所謂特定フロンとりわけ化1の化学構造式に
示すように、Cl原子を2個有するCFC−12と呼ば
れる特定フロンが主に用いられる。このCFC系フロン
は成層圈にまで達すると紫外線に当たって分解し、塩素
(Cl)を放出するのでオゾン層が破壊される。このた
めにCFC系フロンは国際的に、モントリオール議定書
により西暦2004年までに全廃することが決められて
おり、これに代替する冷媒の開発が進められている。こ
うした中で代替冷媒としては塩素を含まないハイドロフ
ルオロカーボン(以下HFCと記す)系のフロン、例え
ば化2の化学構造式に示すHFC−134a等の他に、
2〜3種類のHFC混合冷媒が開発されている。混合冷
媒としては、R407C(HFC−32,125,13
4aの3種混合)およびR410A(HFC−32,1
25の2種混合)などが最も有望視されている。これら
の冷媒のオゾン破壊係数は0である。
【0006】
【化1】
【化2】
【0007】然るにベーンポンプやロータリーコンプレ
ッサーにHFC系フロンを用いると従来のCFC系フロ
ンを用いた場合に比べて、次のような問題点がある。1)
塩素を含まないため、冷媒の潤滑性が劣る。2)冷媒の吸
湿性が大きい。3)CFC系フロン用に用いられるアルキ
ルベンゼン系潤滑油は、HFC系フロンに対して相溶性
がないため使用できない。従って相溶性のあるエステル
系潤滑油が主として用いられるが、然るにエステル系油
は潤滑性が悪く、吸湿性が大で、従って加水分解を起こ
してカルボン酸を生じ、腐食摩耗などの悪作用をする場
合がある。そして、4)圧縮比を高くする必要があるた
め、ベーンに加わる負荷が大となること。
【0008】以上のような問題点を考慮して、代替フロ
ンとしてHFC系フロンを用いた場合に、ベーンが具備
すべき要件を再度整理してみる。まず高負荷のため従来
より耐摩耗性の高い材質であること(自己耐摩耗性)、
次に低潤滑性環境下で焼付,カジリを起こさず持久的に
作動するためにはベーンとピストン相互間のなじみ性が
高く(ベーンの相手材攻撃性が低いこと)、従って摩擦
係数が低く、自己潤滑性が高いこと、またエステル系潤
滑油が分解して生じるカルボン酸などの酸による腐食作
用に十分耐える材料であること(耐食性)などが挙げら
れる。こうした点に関して、HFC系フロン使用下で
は、従来の高速度工具鋼やFe系焼結材からなるベーン
では、ピストンとの摺動で自己摩耗が過大となり、つい
には異常摩耗を起こすことが実証されており、実用に供
し得ない。またセラミックは相手材攻撃性が過大のた
め、問題がある。カーボンは自己摩耗が大きく強度的に
脆い点が弱点である。更に前記したNi−Pメッキ層と
いった硬質層被覆したものは、耐剥離性において信頼性
の問題が解決されていない。
【0009】最近こうした従来のベーン材に対して、H
FC系フロン用に高速度工具鋼を母材として、Ti、又
はCrの窒化物などを物理的あるいは化学的に蒸着する
ことにより、硬質層被覆をしたベーンが試験されてい
る。この種のベーンは比較的良好な特性を示すが、被覆
であるが故に、最終的に耐剥離性の点で信頼性が問題と
なり、実用面で採用となっていない。このように、従来
のCFC系フロンの場合に実用されているベーンあるい
はHFC系フロン用に研究されているベーンで、現在ま
でに分かっているものはHFC系フロンに対しては表1
に示すように、本発明サーメットべーン以外は、全て一
長一短があり、実用上満足すべきものは見出されていな
い。
【0010】
【表1】
【0011】本発明の課題は代替冷媒のHFC系フロン
に対して十分実用可能で好適な、高負荷に耐える耐摩耗
性の高い材質即ち自己耐摩耗性を有し、低潤滑性環境下
で焼付、カジリを起こさず持久的に作動するように、ベ
ーンとピストン相互間のなじみ性が高いのでベーンの相
手材攻撃性が低く、従って摩擦係数が低く、自己潤滑性
が高く、かつエステル系潤滑油が分解して生じるカルボ
ン酸などの酸による腐食作用に十分耐える耐食性を有す
る材料であるサーメット合金製ベーンを提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、HFC系
フロンを使用した場合に要求される諸特性のうち相手材
となるピストンを摩耗させずにベーン自身の摩耗も少な
いという相反する特性を同時に満たすこと、耐食性が良
好なこと、長時間運転においても表層部が突然剥離する
といった危険性がなく、信頼性が確保されること、など
といった事柄を全て満足するベーン部材としては、窒化
物を含有し、均一微細な特定の粒子径をもった硬質相
と、Niに富んだ結合相を有するサーメット合金が好適
であるという知見を得た。サーメット合金の組織図は図
2に示すようにTiの炭窒化物でなる芯部粒子(コア
ー)とその周辺組織よりなる2重有芯構造を有する硬質
相とNiやCoを主体とする結合相によって構成されて
おり、耐摩耗性と靱性を微妙にバランスさせている。そ
して切削工具用材料として、特に高速切削領域における
耐摩耗性および靱性(特に耐熱衝撃性)の要求される分
野でも使用できる。
【0013】即ち本発明は、Ni単独又はNi及びCo
を主成分としかつNi及びCoのうちNiの割合が重量
%で50%以上とする重量%で5〜20%の結合相と、
残部がTiの炭化物または窒化物もしくはこれらの相互
固容体化合物を主成分とする芯部粒子(コアー)及びそ
の周辺組織よりなる2重有芯構造を有する硬質相と、不
可避不純物と、からなるサーメット合金であって、該硬
質相が、それぞれ重量%で、Ti:30〜60%と、
W:10〜30%と、Mo:0.5〜10%と、Ta,
Nb,Cr,V,Zr,Alの中の少なくとも1種又は
複数種を合わせて:1〜25%と、N(窒素):2〜6
%と、C(炭素):4〜12%と、の組成からなると共
に、基地中に均一分散し、2重有芯構造を有する硬質相
において、芯部粒子の平均粒子径が1.5μm以下、最
大粒子径が5μm以下であることを特徴とするサーメッ
ト合金製ベーンとしたものである。
【0014】作用:HFC系フロンを用いたコンプレッ
ーにおいては、前記したように低潤滑性,高負荷運転,
カルボン酸の生成による腐食摩耗の危険性等の悪条件が
存在する。そのため本発明においては、ベーン部材とし
て耐摩耗性、耐食性がセラミック並、相手材攻撃性がカ
ーボン並で自己潤滑性が高く、セラミックやカーボンの
ように脆くなく、高速度工具鋼に次いで十分な強度を有
するものとして、窒化物含有型のサーメット合金を用い
た。そして本発明では、硬質相芯部にTiの炭化物を用
いることによりセラミック並の耐摩耗性を得ている。又
硬質相にTiの窒化物または炭窒化物を含有させること
により摩擦係数を低減して自己潤滑性を高め相手材攻撃
性の緩和を図り、更に硬質相粒子が脱落して相手材を損
傷させたり、ベーン自身の摩耗を促進したりすることを
防止するため、粒子径を均一微細な特定範囲に規定し、
耐食性については、Niに富んだ結合相を用いることで
対応した。
【0015】好ましくは、前記Ta,Nb,Cr,V,
Zr及びAlの中のAlが0.5〜3%、Ta,Nb,
Cr,V,Zrの中の少なくとも1種又は複数種を合わ
せて0.5〜22%とすることにより、相手材攻撃性の
緩和を特に重視してAlの量を規定した。そして、Ni
単独又はNi及びCoを主成分とする前記結合相中に、
Ni−Al系二元系平衡状態図上に生成する金属間化合
物が存在し、前記2重有芯構造を有する硬質相に付随し
てTi−Al系二元系平衡状態図上に生成する金属間化
合物が存在してなるサーメット合金製ベーンとすること
により、相手材攻撃性の緩和効果をより確実にした。又
前記サーメット合金中に遊離炭素を晶出または析出して
なることにより、摩擦係数を格段に低減して自己潤滑性
の向上を図ると共に潤滑油の昇温を防止して、カルボン
酸の生成を抑制するサーメット合金製ベーンとした。
【0016】かかる耐摩耗特性を有するサーメット合金
をベーン部材に応用するための知見を以下に示す。前記
したように代替フロン環境下で、ベーン部材としての基
本特性(耐摩耗性、相手材攻撃性が少ないこと、摩擦係
数、耐食性、耐剥離性)を全て満足する材料は現在のと
ころ見出されていない。表1からわかるように CrNをPV
Dコートしたベーン部材は耐剥離性における信頼性の点
を除けば一応のレベルに達している。しかし耐剥離性は
被覆であるが故に生じる課題であることからすると、窒
化物だけのバルク材が良いのではないかと考えられた
が、このようなメタルを含まないセラミック系材料では
相手材攻撃性が過大となるため問題であった。そこで本
発明者らはこうした事柄を総合的に判断して、自己潤滑
性の高いTiの炭窒化物を硬質相として、耐食性の高い
Niを主体としたメタルを適当量含有したサーメット合
金がベーン部材として好適であるとの発想をするに至っ
た。
【0017】更に、本件のような低摩擦速度域での摩擦
−摩耗特性においては機械的破壊摩耗と凝着摩耗が主体
となっており、これらに対し従来の切削用サーメット合
金は中・高速切削に適した合金構成となっているため、
このようなベーン部材に用いると硬質相脱落や結合金属
の凝着が生じたりして必ずしも十分な耐摩耗性が得られ
ないことが判明した。そこで本発明者らはサーメット合
金をベーン部材に適用することについて鋭意研究した結
果、Tiの炭窒化物を含有し、均一微細な特定の粒子径
を持った硬質相と、Niに富んだ結合相を有するサーメ
ット合金にAlを適当量添加することにより、硬質相粒
子の脱落防止と結合相金属の耐凝着性改善に対し、画期
的な効果が得られるという驚くべき知見を得た。更に種
々の実験を行った結果、上記した本発明の代替フロンを
冷媒としたロータリー型圧縮機に好適なベーン部材を見
出した。
【0018】以下に本発明における各元素の作用及び数
値の限定理由について述べる。 1). 結合相量: 結合相量は硬質相量に逆対応する量で
あって、合金の耐摩耗性と靱性のバランスを設定する。
結合相量が5%未満の場合は、未焼結になりやすく、仮
に焼結したとしても、硬さが高過ぎとなり、ベーン部材
として、相手材攻撃性が過大となり、不適である。また
結合相量が20%を越えると、硬さが低くなるため耐摩
耗性が低下し、場合によっては結合相金属の凝着が生
じ、焼付けに発展することがある。このような理由から
結合相量を5〜20%とした。 2). 結合相組成: サーメット合金の強度、耐食性は結
合相に大きく左右される。W,Mo,Ta,Nb,Cr
といったものの炭化物はCo中に固溶し、歪硬化を起こ
す。そして、結合相の塑性変形能に影響を及ぼし、強度
向上に寄与する。Coは酸により腐食されるが、Niは
ほとんど腐食されないので、結合相はNi及びCoのう
ち結合相中に占めるNiの割合が50%未満の場合はカ
ルボン酸による腐食の影響が大きく、実用上問題が出る
ため、Niの割合の下限値を50%と規定した。
【0019】3). Ti: 硬質相中にCやNと共に主と
して炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタンとして存在
し、この内炭化チタン、炭窒化チタンが耐摩耗性を高め
る作用を行い、窒化チタン,炭窒化チタンが自己潤滑性
を高める作用と合金組織中の硬質相の微細化作用をして
いるものである。Tiが30%未満の場合は耐摩耗性が
不足し、60%を越える場合は、合金が脆くなると共に
相手材攻撃性が大となる。従ってTiの成分範囲を30
〜60%とした。 4). W: Wは硬質相の微細化と共に結合相強化作用を
し、合金の強度を確保する成分である。Wが10%未満
の場合は合金が脆くなる。また30%を越える場合も低
次炭化物として中間化合物が析出するなどの現象が起
き、合金強度が低下する。このためWを10〜30%と
した。 5). Mo: 硬質相中に存在するMoが硬質相の均一微
細化作用をし、合金の強度を高める作用をしていると共
に焼結性を改善して硬質相粒子と結合相の接合力を高
め、摺動摩擦に際して粒子の脱落を防止する役目をなし
ている。Moが0.5%未満の場合では上記効果が得ら
れず、10%を越えると周辺組織が厚くなり過ぎ却って
硬質相が脆くなり粒子脱落を招くのでMoを0.5〜1
0%とした。
【0020】5). Ta,Nb,Cr,V,Zr,Al:
これらの金属元素はTi,Mo,Wと共に複合炭窒化
物を形成したり、金属間化合物を生成して合金の強度,
耐塑性変形性、及び耐熱性を向上する作用をしている。
この内Ta,Nbは耐熱性及び耐酸化性に、Crは耐食
性及び耐塑性変形性の向上に、主として寄与する。これ
らの元素が1%未満では上記の効果がなく、25%を越
えると却って脆くなる。従って1〜25%とした。 6). Al: Alは、硬質相および結合相中に固溶し、
合金の焼結性を高めて硬質相と結合相の接合強度を向上
せしめて、摺動面における硬質相粒子脱落を防止する効
果がある。また図3および図4に示すように硬質相およ
び結合相における固溶限度を越えると、硬質相において
はTi−Al相図上の金属間化合物(例えばTiA
3 ,TiAl等)を形成して耐摩耗性の改善に寄与
し、結合相においてはNi−Al相図上の金属間化合物
(例えばNiAl3 ,NiAl等)を形成して析出強化
因子として作用し、本件のような低摩擦速度域で生じや
すい凝着摩耗に大して抵抗性を付与する効果がある。A
lの量が0.5%未満では前記効果が得られるだけの金
属間化合物が十分生成せず、又、3%を越えると生成す
る金属間化合物が多すぎて結合相が脆化するので、Al
の成分範囲を0.5から3%とした。
【0021】9). C(炭素): Cは前記硬質相形成元
素(Ti,Mo,W,Ta,Nb,Cr,V,Zr,A
l)と硬い炭化物または炭窒化物を形成して耐摩耗性を
高めカジリを少なくする効果がある。従って、硬質相形
成元素の含有量との兼ね合いでC含有量も決まってくる
が、過剰に存在した場合遊離炭素として晶出、または析
出して摩擦係数の低減に寄与する。Cが4%未満の場合
低次炭化物として脆弱な金属間化合物が生成し合金が劣
化する。また12%越えると析出した遊離炭素が摩耗粉
となり却って相手材を損傷させたりする。上記よりCの
成分範囲を4〜12%とした。 10).N(窒素): Nは主としてTiの窒化物または炭
窒化物の形で存在し、硬質相粒子の微細化作用を有す
る。また窒化物としての靱さから靱性を高めると同時
に、自己潤滑性を改善する効果がある。Nが2%未満の
場合硬質相粒子の微細化作用が不十分で、自己潤滑性も
悪いため、摺動中に粒子の脱落が生じ、ピストンに摩耗
痕を生ぜしめる。Nが6%を越える場合は、硬質相の硬
さが低くなるため耐摩耗性が悪くなる。上記よりNの成
分範囲を2〜6%とした。 11).硬質相における芯部粒子の粒子径: 本件のような
ロータリーコンプレッサーにおけるベーンの摺動状態
は、いわゆる低摩擦速度域における摩擦−摩耗特性と考
えられる。従って摩耗形態は機械的破壊摩耗であって、
凝着摩耗、アブレッシブ摩耗、すきとり摩耗が考えられ
る。今回の場合は、硬質相粒子の脱落によるアブレッシ
ブ摩耗が主である。これは硬質相−結合相両者の結合力
および硬質相そのものの脆さに起因したものである。こ
れについては前記Al添加による効果とともに粒子径を
抑制することで解決可能となった。上記より硬質相の芯
部粒子の平均粒子径を1.5μm以下、最大粒子径を5
μm以下と規定した。
【0022】
【発明の実施例】以下に本発明の実施例を示す。表2に
示す20種類のベーン用母材を用意した。この中、本発
明のベーンであるNo. A〜No. Iのサーメット合金およ
び比較用ベーンとなるNo. J〜No. Nのサーメット合金
については炭化物,窒化物,炭窒化物,金属成分等の原
料粉末をボールミルで湿式混合粉砕し、スプレードライ
ヤーで造粒した後、プレスでベーンに近似した形(ニア
ネットシェイプ)に成形し、真空炉にて1400℃で焼
結して得られたものをダイヤモンド砥石で研削して完成
ベーンとして用いた。No. Oは従来の溶製高速度工具鋼
SKH51であり、大気溶解,造塊した鋼塊を熱間鍛造
と熱間圧延および冷間引抜で平角鋼とし、熱処理後研削
したものを用いた。No. P及びNo. Qは各々市販のAl
2 3 系セラミック,Al含浸カーボンを研削してベー
ンとして用いた。No. RはNo. Oの高速度工具鋼SKH
51に対し、CrNを5〜10μm、PVDコーティン
グにより被覆したものを用いた。又No. Sも同様に上記
SKH51に対し、Ni−Pメッキを施したものを用い
た。No. TはFe−Cr系原料粉末をプレスでニアネッ
トシェイプ成形後真空炉で焼結し、その後焼鈍,熱処理
を経たものを研削して用いた。
【0023】
【表2】
【0024】なお、摩耗試験は以下の要領で実施した。
ピストン材に相当するミーハーナイト鋳鉄(ニッケル,
クロム,モリブデン添加材)をディスクとして回転さ
せ、これに対し、完成ベーンを一定の荷重で押し付け互
いに摺動させ、その摩耗量および摩擦係数を測定した。
この際、HFC系フロンの代表であるHFC134aを
溶解したポリオールエステル油を液槽に満たし、表2に
示す20種類の上記ベーンとディスクの摺動部がこの油
中に完全に浸漬した状態で試験を実施した。摺動条件と
しては、押付荷重150 kgf,油温110°C,回転速
度1m/sで行った。結果を表3に示す。
【0025】
【表3】
【0026】本発明のベーン材はNo. A〜No. Iのサー
メット合金であり、この中のNo. A〜No. Gは健全相合
金、No. H、No. Iは遊離炭素の晶出または析出したも
のである。HFC系フロン存在下での摺動特性として
は、No. A〜No. Gのベーン材は、CFC系フロン存在
下で主として使用されているNo. O(高速度工具鋼)、
No. T(Fe系焼結材)に比べて耐摩耗性が格段に良
く、摩擦係数の点でも優れていることが分かる。またN
o. H、No. Iはフリーカーボンによる効果で、摩擦係
数がNo. Rのコーティング品より低く、相手材攻撃性の
点で優位であることが分かる。然るに、結合相量が限界
値を越えたベーン材No. Jは、耐摩耗性が著しく悪く、
C%が限界値を越えたベーン材Kは、摩耗粉により相手
材攻撃性が著しく悪化していることが分かる。更に、硬
質相粒子径が限界値を越えたベーン材No. No. Lは、粒
子脱落により過大摩耗となっている。またAlを含有し
ていないベーン材No. Mは自己摩耗、相手材攻撃性とも
に本発明ベーンより悪くなっており、Al添加量が限界
値を越えたベーン材No. Nは、これらの特性が更に悪化
していることがわかる。以上の作用はリン量を多く添加
しステダイトを晶出させた鋳鉄および硼素を添加した鋳
鉄ならびに連続鋳造による鋳鉄などを用いても同様に得
られる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明ベーンは、
チタンの炭化物または窒化物もしくは炭窒化物を硬質相
として均一微細に分散させると共に、結合相組成をバラ
ンスさせることにより、自己潤滑性を高めピストンやシ
リンダとのカジリを抑制するだけてなく、HFC系フロ
ンの潤滑油が分解して生成するカルボン酸による摩食摩
耗に対しても十分な耐食性を有し、更には硬質相被覆品
などと比べて耐剥離性の点で信頼性が高く、総合評価で
抜群の優位性を持ち、代替冷媒のHFC系フロンに対し
て十分実用可能で好適な、高負荷に耐える耐摩耗性の高
い材質即ち自己耐摩耗性を有し、低潤滑性環境下で焼
付、カジリを起こさず持久的に作動するように、ベーン
とピストン相互間のなじみ性が高いのでベーンの相手材
攻撃性が低く、従って摩擦係数が低く、自己潤滑性が高
く、かつエステル系潤滑油が分解して生じるカルボン酸
などの酸による腐食作用に十分耐える耐食性を有する材
料であるサーメット合金製ベーンを提供するものとなっ
た。代替冷媒のHFC系フロン用として現在実用可能な
唯一のベーン材である。従って本発明のサーメット合金
製ベーンを用いれば、環境規制に対応した代替フロンを
冷媒とした圧縮機の実用化が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサーメット合金製ベーンが使用できる
従来の冷凍冷蔵装置や空気調和装置に搭載されている回
転式圧縮機の横断概略図面。
【図2】本発明のサーメット合金製ベーンの合金組織を
示す模式図。
【図3】Ti−Al系二元系平衡状態図。
【図4】Ni−Al系二元系平衡状態図。
【符号の説明】
1...回転式圧縮機 7...ベーン(サーメット合金製ベーン) 9...ストン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 越 正夫 富山県富山市不二越本町一丁目1番1号株 式会社不二越内 (72)発明者 平野 秀夫 大阪府門真市大字門真1006番地松下電器産 業株式会社内 (72)発明者 河野 博之 大阪府門真市大字門真1006番地松下電器産 業株式会社内 (72)発明者 福岡 弘嗣 大阪府門真市大字門真1006番地松下電器産 業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ni単独又はNi及びCoを主成分としか
    つNi及びCoのうちNiの割合が重量%で50%以上
    とする重量%で5〜20%の結合相と、残部がTiの炭
    化物または窒化物もしくはこれらの相互固容体化合物を
    主成分とする芯部粒子(コアー)及びその周辺組織より
    なる2重有芯構造を有する硬質相と、不可避不純物と、
    からなるサーメット合金であって、該硬質相が、それぞ
    れ重量%で、Ti:30〜60%と、W:10〜30%
    と、Mo:0.5〜10%と、Ta,Nb,Cr,V,
    Zr,Alの中の少なくとも1種又は複数種を合わせ
    て:1〜25%と、N(窒素):2〜6%と、C(炭
    素):4〜12%と、の組成からなると共に、基地中に
    均一分散し、2重有芯構造を有する硬質相において、芯
    部粒子の平均粒子径が1.5μm以下、最大粒子径が5
    μm以下であることを特徴とするサーメット合金製ベー
    ン。
  2. 【請求項2】前記Ta,Nb,Cr,V,Zr及びAl
    の中のAlが0.5〜3%、Ta,Nb,Cr,V,Z
    rの中の少なくとも1種又は複数種を合わせて0.5〜
    22%である請求項1記載のサーメット合金製ベーン。
  3. 【請求項3】Ni単独又はNi及びCoを主成分とする
    前記結合相中に、Ni−Al系二元系平衡状態図上に生
    成する金属間化合物が存在し、前記2重有芯構造を有す
    る硬質相に付随してTi−Al系二元系平衡状態図上に
    生成する金属間化合物が存在してなる請求項1又は2項
    記載のサーメット合金製ベーン。
  4. 【請求項4】前記サーメット合金中に遊離炭素を晶出ま
    たは析出してなる請求項1又は2項記載のサーメット合
    金製ベーン。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100855553B1 (ko) * 2006-12-22 2008-09-02 삼성전자주식회사 회전압축기용 베인
CN100419105C (zh) * 2005-02-04 2008-09-17 李北 一种金属陶瓷材料及其成型工艺
CN107099723A (zh) * 2017-05-02 2017-08-29 四川大学 基于金属氢化物的表面自润滑Ti(C,N)基金属陶瓷制备方法
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CN121159279A (zh) * 2025-11-20 2025-12-19 西北工业大学 一种max相高温自润滑陶瓷材料及其制备方法

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