JPH09180624A - 含浸形陰極およびそれを用いた電子管 - Google Patents
含浸形陰極およびそれを用いた電子管Info
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- JPH09180624A JPH09180624A JP34036595A JP34036595A JPH09180624A JP H09180624 A JPH09180624 A JP H09180624A JP 34036595 A JP34036595 A JP 34036595A JP 34036595 A JP34036595 A JP 34036595A JP H09180624 A JPH09180624 A JP H09180624A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】被覆膜にスカンジウムを含む含浸形陰極の耐イ
オン衝撃性能を高める。 【解決手段】多孔質タングステン基体にバリウムを含浸
した陰極において、その被覆膜構成を、高融点金属とス
カンジウム酸化物を含む被覆膜を形成した上部被覆膜
と、スカンジウムからなる下部被覆膜の2層膜、または
スカンジウム酸化物からなる下部被覆膜とその上面に形
成した高融点金属とスカンジウムを含む上部被覆膜の2
層膜、またはスカンジウムの層と、スカンジウム酸化物
の層で構成される下部被覆膜と、その上面に形成した高
融点金属の上部被覆膜からなる構造とする。
オン衝撃性能を高める。 【解決手段】多孔質タングステン基体にバリウムを含浸
した陰極において、その被覆膜構成を、高融点金属とス
カンジウム酸化物を含む被覆膜を形成した上部被覆膜
と、スカンジウムからなる下部被覆膜の2層膜、または
スカンジウム酸化物からなる下部被覆膜とその上面に形
成した高融点金属とスカンジウムを含む上部被覆膜の2
層膜、またはスカンジウムの層と、スカンジウム酸化物
の層で構成される下部被覆膜と、その上面に形成した高
融点金属の上部被覆膜からなる構造とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は含浸形陰極およびそ
れを用いた電子管に関する。
れを用いた電子管に関する。
【0002】
【従来の技術】含浸形陰極は高電流密度動作が可能な陰
極であり、電子管の高出力化、特にブラウン管では高輝
度化,高精細化のために欠くことができない。
極であり、電子管の高出力化、特にブラウン管では高輝
度化,高精細化のために欠くことができない。
【0003】含浸形陰極は、タングステンからなる耐熱
多孔質基体に、BaOを主体に、他にAl2O3やCaO
を水素雰囲気中または真空中で加熱溶融して、含浸させ
た陰極構成をしている。この陰極は基本型含浸形陰極と
呼ばれている。また溶融含浸した物質を一般に含浸剤と
称する。含浸形陰極は動作時に、常に1000℃程度に
加熱されており、耐熱多孔質基体と含浸剤は反応し、バ
リウムを遊離する。バリウムは拡散により陰極表面に供
給され、陰極内部または電子管内部雰囲気中から供給さ
れた酸素と共に、タングステン基体上に吸着する。この
ように、金属表面にバリウムと酸素から成る吸着層(単
分子層)が形成されると、金属表面の仕事関数が実質的
に引き下げられ、電子放出が容易となる。これが、含浸
形陰極の動作原理であり、これに対する詳細な考察は、
例えば、ジャーナル・オブ・フィジックス D:アプラ
イド・フィジックス,第15巻(1982年)第1519
頁から第1529頁(J. Phys. D: Appl. Phys.,15
(1982)pp1519−1529)に記載されてい
る。含浸形陰極は電子放出部分が基本的に金属であるた
め電気的な抵抗が小さく、酸化物陰極に見られるジュー
ル発熱による陰極材料自体の分解が生じることはない。
従って、含浸形陰極は、酸化物陰極と比較して高電流密
度動作が可能である。
多孔質基体に、BaOを主体に、他にAl2O3やCaO
を水素雰囲気中または真空中で加熱溶融して、含浸させ
た陰極構成をしている。この陰極は基本型含浸形陰極と
呼ばれている。また溶融含浸した物質を一般に含浸剤と
称する。含浸形陰極は動作時に、常に1000℃程度に
加熱されており、耐熱多孔質基体と含浸剤は反応し、バ
リウムを遊離する。バリウムは拡散により陰極表面に供
給され、陰極内部または電子管内部雰囲気中から供給さ
れた酸素と共に、タングステン基体上に吸着する。この
ように、金属表面にバリウムと酸素から成る吸着層(単
分子層)が形成されると、金属表面の仕事関数が実質的
に引き下げられ、電子放出が容易となる。これが、含浸
形陰極の動作原理であり、これに対する詳細な考察は、
例えば、ジャーナル・オブ・フィジックス D:アプラ
イド・フィジックス,第15巻(1982年)第1519
頁から第1529頁(J. Phys. D: Appl. Phys.,15
(1982)pp1519−1529)に記載されてい
る。含浸形陰極は電子放出部分が基本的に金属であるた
め電気的な抵抗が小さく、酸化物陰極に見られるジュー
ル発熱による陰極材料自体の分解が生じることはない。
従って、含浸形陰極は、酸化物陰極と比較して高電流密
度動作が可能である。
【0004】しかし、含浸形陰極は、高電流密度動作が
可能な反面、動作温度が約750℃である酸化物陰極と
比較して、より高い温度で動作させる必要がある。前述
の基本型含浸形陰極の場合、10A/cm2 の電流密度を
得るためにはおよそ1100℃に加熱する必要がある。
このため、含浸形陰極の改良は、この動作温度を低下さ
せることを目的に行われている。
可能な反面、動作温度が約750℃である酸化物陰極と
比較して、より高い温度で動作させる必要がある。前述
の基本型含浸形陰極の場合、10A/cm2 の電流密度を
得るためにはおよそ1100℃に加熱する必要がある。
このため、含浸形陰極の改良は、この動作温度を低下さ
せることを目的に行われている。
【0005】タングステンやモリブデン等の高融点金属
と共に、スカンジウムを含む薄膜を被覆した含浸形陰極
は、900℃で前述の電流密度動作が可能である。本文
中においては以後、これらをSc被覆型含浸形陰極と記
述するが、これらに関しては、米国特許第4,626,470
号、ならびにジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプラ
イド・フィジックス,第27巻,ナンバー8(1988
年)第1411頁から第1414頁(Jpn. J. Appl. Phy
s.27,No.8(1988)pp1411−1414)に記載
されている。
と共に、スカンジウムを含む薄膜を被覆した含浸形陰極
は、900℃で前述の電流密度動作が可能である。本文
中においては以後、これらをSc被覆型含浸形陰極と記
述するが、これらに関しては、米国特許第4,626,470
号、ならびにジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプラ
イド・フィジックス,第27巻,ナンバー8(1988
年)第1411頁から第1414頁(Jpn. J. Appl. Phy
s.27,No.8(1988)pp1411−1414)に記載
されている。
【0006】Sc被覆型含浸形陰極では、1150℃程
度に陰極を加熱して活性化すると、被覆膜表面に、タン
グステン多孔質部よりバリウムが供給され、被覆膜中よ
りスカンジウムが供給され、これらと酸素から単分子層
が形成される。その結果として仕事関数が低下し、良好
な電子放出を可能とすると考えられる。これらに関して
はジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィ
ジックス,第28巻,ナンバー3(1989年)第49
0頁から第494頁(Jpn. J. Appl. Phys.28,No.
3(1989)pp490−494)に記載されている。つ
まり、Sc被覆型含浸形陰極の良好な電子放出特性を発
現させるためには、バリウムと共に、被覆膜中より表面
にスカンジウムを供給する必要がある。
度に陰極を加熱して活性化すると、被覆膜表面に、タン
グステン多孔質部よりバリウムが供給され、被覆膜中よ
りスカンジウムが供給され、これらと酸素から単分子層
が形成される。その結果として仕事関数が低下し、良好
な電子放出を可能とすると考えられる。これらに関して
はジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィ
ジックス,第28巻,ナンバー3(1989年)第49
0頁から第494頁(Jpn. J. Appl. Phys.28,No.
3(1989)pp490−494)に記載されている。つ
まり、Sc被覆型含浸形陰極の良好な電子放出特性を発
現させるためには、バリウムと共に、被覆膜中より表面
にスカンジウムを供給する必要がある。
【0007】図4に従来陰極の構成例を示す。この陰極
は、基本型含浸形陰極2の上面に、200nmのスカン
ジウム被覆膜10を電子ビーム加熱による蒸着法によ
り、金属スカンジウムを蒸着源として成膜し、その上面
に、タングステン金属をターゲットとして500nmの
タングステン被覆膜14を成膜したものである。
は、基本型含浸形陰極2の上面に、200nmのスカン
ジウム被覆膜10を電子ビーム加熱による蒸着法によ
り、金属スカンジウムを蒸着源として成膜し、その上面
に、タングステン金属をターゲットとして500nmの
タングステン被覆膜14を成膜したものである。
【0008】ところで、陰極表面に形成された単分子層
は、ブラウン管での動作中にイオン衝撃により失われ、
その結果として電子放出特性が劣化することがある。こ
のとき、動作温度において、失われた単分子層を再構成
できる程のバリウム,酸素,スカンジウムの供給が行わ
れるならば、イオン衝撃による電子放出特性の劣化はお
こらない。オスミウム被覆の含浸形陰極は、ブラウン管
内でのイオン衝撃による電子放出特性の劣化は現われな
い。この陰極における単分子層は、バリウムと酸素であ
り、これらは十分な速度で供給されていると言える。と
ころが、Sc被覆含浸形陰極においては、しばしばイオ
ン衝撃による電子放出特性の劣化が起こる。これは、単
分子層構成要素であるスカンジウムの供給力が不十分な
ためと推定される。以上より、Sc系含浸形陰極におい
ては、スカンジウムの表面への供給力が耐イオン衝撃特
性を決定する。
は、ブラウン管での動作中にイオン衝撃により失われ、
その結果として電子放出特性が劣化することがある。こ
のとき、動作温度において、失われた単分子層を再構成
できる程のバリウム,酸素,スカンジウムの供給が行わ
れるならば、イオン衝撃による電子放出特性の劣化はお
こらない。オスミウム被覆の含浸形陰極は、ブラウン管
内でのイオン衝撃による電子放出特性の劣化は現われな
い。この陰極における単分子層は、バリウムと酸素であ
り、これらは十分な速度で供給されていると言える。と
ころが、Sc被覆含浸形陰極においては、しばしばイオ
ン衝撃による電子放出特性の劣化が起こる。これは、単
分子層構成要素であるスカンジウムの供給力が不十分な
ためと推定される。以上より、Sc系含浸形陰極におい
ては、スカンジウムの表面への供給力が耐イオン衝撃特
性を決定する。
【0009】スカンジウム酸化物を含む被覆膜から、陰
極表面にスカンジウムを供給するためには、スカンジウ
ム酸化物を還元し、遊離スカンジウムを生成しなければ
ならない。酸化物の還元は、タングステンやバリウムと
の反応によって行われる。ここで、スカンジウムを酸化
物ではなく、金属として成膜すれば、還元反応が必要で
なくなり、陰極の特性の向上、また、耐イオン衝撃特性
の向上が期待できる。この例としては、基本型含浸形陰
極の表面に、スカンジウムを主体とする下部被覆膜と、
モリブデンを主体とする上部被覆膜を形成した陰極があ
り、この陰極をMo/Sc被覆含浸形陰極と称する。し
かし、Mo/Sc被覆含浸形陰極は、活性化の後、1回
目のイオン衝撃においては100%電子放出特性が回復
するが、2回目以降のイオン衝撃においては回復率が良
好ではない。これは、1回目のイオン衝撃でスカンジウ
ムが涸渇してしまうからと考えられる。
極表面にスカンジウムを供給するためには、スカンジウ
ム酸化物を還元し、遊離スカンジウムを生成しなければ
ならない。酸化物の還元は、タングステンやバリウムと
の反応によって行われる。ここで、スカンジウムを酸化
物ではなく、金属として成膜すれば、還元反応が必要で
なくなり、陰極の特性の向上、また、耐イオン衝撃特性
の向上が期待できる。この例としては、基本型含浸形陰
極の表面に、スカンジウムを主体とする下部被覆膜と、
モリブデンを主体とする上部被覆膜を形成した陰極があ
り、この陰極をMo/Sc被覆含浸形陰極と称する。し
かし、Mo/Sc被覆含浸形陰極は、活性化の後、1回
目のイオン衝撃においては100%電子放出特性が回復
するが、2回目以降のイオン衝撃においては回復率が良
好ではない。これは、1回目のイオン衝撃でスカンジウ
ムが涸渇してしまうからと考えられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、含浸
形陰極の低温動作化を可能とするSc被覆型含浸形陰極
は、表面へのスカンジウムの供給力が不十分でイオン衝
撃による電子放出特性が劣化する問題があった。
形陰極の低温動作化を可能とするSc被覆型含浸形陰極
は、表面へのスカンジウムの供給力が不十分でイオン衝
撃による電子放出特性が劣化する問題があった。
【0011】本発明の目的は、Sc被覆型含浸形陰極に
おいて、これを解決することにあり、そのための製造方
法ならびにその被覆膜構成を提供することにある。
おいて、これを解決することにあり、そのための製造方
法ならびにその被覆膜構成を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題を達成す
るため、本発明は基本型含浸形陰極の表面に、スカンジ
ウムを主体とする下部被覆膜と、タングステンやモリブ
デン等の高融点金属と、酸化スカンジウム,タングステ
ン酸スカンジウム,モリブデン酸スカンジウムのいずれ
か一つまたは複数を含む上部被覆膜の2層膜を形成す
る。また、基本型含浸形陰極の表面に、酸化スカンジウ
ム,タングステン酸スカンジウム,モリブデン酸スカン
ジウムのいずれか一つ、または複数を含む下部被覆膜を
被覆し、その上面に、タングステンまたはモリブデンの
高融点金属とスカンジウムを含む上部被覆膜の2層膜を
形成する。さらに、基本型含浸形陰極の表面に、スカン
ジウムの層と、酸化スカンジウム,タングステン酸スカ
ンジウム,モリブデン酸スカンジウムのいずれか一つま
たは複数を含む層で構成される下部被覆膜を形成し、そ
の上面に、タングステンまたはスカンジウムの高融点金
属の上部被覆膜を形成する。
るため、本発明は基本型含浸形陰極の表面に、スカンジ
ウムを主体とする下部被覆膜と、タングステンやモリブ
デン等の高融点金属と、酸化スカンジウム,タングステ
ン酸スカンジウム,モリブデン酸スカンジウムのいずれ
か一つまたは複数を含む上部被覆膜の2層膜を形成す
る。また、基本型含浸形陰極の表面に、酸化スカンジウ
ム,タングステン酸スカンジウム,モリブデン酸スカン
ジウムのいずれか一つ、または複数を含む下部被覆膜を
被覆し、その上面に、タングステンまたはモリブデンの
高融点金属とスカンジウムを含む上部被覆膜の2層膜を
形成する。さらに、基本型含浸形陰極の表面に、スカン
ジウムの層と、酸化スカンジウム,タングステン酸スカ
ンジウム,モリブデン酸スカンジウムのいずれか一つま
たは複数を含む層で構成される下部被覆膜を形成し、そ
の上面に、タングステンまたはスカンジウムの高融点金
属の上部被覆膜を形成する。
【0013】本発明では、初期のイオン衝撃にはスカン
ジウム金属を、その後のイオン衝撃には酸化スカンジウ
ム,タングステン酸スカンジウム,モリブデン酸スカン
ジウム等のスカンジウム酸化物をスカンジウム供給源と
する。本発明によれば、陰極表面へのスカンジウムの供
給手段を2重に具備することができるので、イオン衝撃
により放出電流の劣化した陰極を再度回復させることが
できる。
ジウム金属を、その後のイオン衝撃には酸化スカンジウ
ム,タングステン酸スカンジウム,モリブデン酸スカン
ジウム等のスカンジウム酸化物をスカンジウム供給源と
する。本発明によれば、陰極表面へのスカンジウムの供
給手段を2重に具備することができるので、イオン衝撃
により放出電流の劣化した陰極を再度回復させることが
できる。
【0014】
(実施例1)図1に、基本型含浸形陰極表面に、スカン
ジウムを主体とする下部被覆膜を被覆し、その上面に高
融点金属とスカンジウム酸化物を含む上部被覆膜を形成
したSc被覆型含浸形陰極の実施例を示す。基本型含浸
形陰極は、タングステン粉末をプレス,焼結したのち、
BaOを主体とする酸化物つまり含浸剤22を含浸して
作製した。本実施例では、含浸剤としてBaO,Ca
O,Al2O3を4:1:1に混合したものを用い、この
含浸剤22を、水素雰囲気中で1900℃に加熱溶融し
て、タングステンの焼結体つまり多孔質体21に含浸し
た。本実施例で用いた基本型含浸形陰極2の大きさ及び
形状は、直径1.2mm,厚さ0.4mmの円筒状のペレット
である。
ジウムを主体とする下部被覆膜を被覆し、その上面に高
融点金属とスカンジウム酸化物を含む上部被覆膜を形成
したSc被覆型含浸形陰極の実施例を示す。基本型含浸
形陰極は、タングステン粉末をプレス,焼結したのち、
BaOを主体とする酸化物つまり含浸剤22を含浸して
作製した。本実施例では、含浸剤としてBaO,Ca
O,Al2O3を4:1:1に混合したものを用い、この
含浸剤22を、水素雰囲気中で1900℃に加熱溶融し
て、タングステンの焼結体つまり多孔質体21に含浸し
た。本実施例で用いた基本型含浸形陰極2の大きさ及び
形状は、直径1.2mm,厚さ0.4mmの円筒状のペレット
である。
【0015】本実施例では、この基本型含浸形陰極2の
上面に、200nmのスカンジウム下部被覆膜10を電
子ビーム加熱による蒸着法により、金属スカンジウムを
蒸着源として成膜した。そして、その上面に500nm
のタングステンおよびタングステン酸スカンジウムから
なる上部被覆膜11を、スパッタ成膜法で、放電ガスを
アルゴンとして、タングステンおよびタングステン酸ス
カンジウムをスパッタターゲットとして用いて成膜し
た。この陰極を、1000℃で2時間の活性化加熱を行
うと、従来のMo/Sc被覆含浸形陰極と同等の電子放
出特性を得た。
上面に、200nmのスカンジウム下部被覆膜10を電
子ビーム加熱による蒸着法により、金属スカンジウムを
蒸着源として成膜した。そして、その上面に500nm
のタングステンおよびタングステン酸スカンジウムから
なる上部被覆膜11を、スパッタ成膜法で、放電ガスを
アルゴンとして、タングステンおよびタングステン酸ス
カンジウムをスパッタターゲットとして用いて成膜し
た。この陰極を、1000℃で2時間の活性化加熱を行
うと、従来のMo/Sc被覆含浸形陰極と同等の電子放
出特性を得た。
【0016】(実施例2)図2に、基本型含浸形陰極表
面に、スカンジウム酸化物の下部被覆膜を被覆し、その
上面に、高融点金属とスカンジウムを含む上部被覆膜を
形成したSc被覆型含浸形陰極の実施例を示す。基本型
含浸形陰極は、実施例1と同様の陰極を使用した。本実
施例では、この基本型含浸形陰極2の上面に、200n
mのタングステン酸スカンジウムの下部被覆膜12を、
スパッタ成膜法でタングステン酸スカンジウムをスパッ
タターゲットとして用いて成膜した。そして、その上面
に500nmのタングステンおよびスカンジウムを含む
上部被覆膜13を、スパッタ成膜法で、タングステンお
よび金属スカンジウムのスパッタターゲットを用いて成
膜した。この陰極を、1000℃で2時間の活性化加熱
を行うと、従来のMo/Sc被覆含浸形陰極と同等の電
子放出特性を得た。
面に、スカンジウム酸化物の下部被覆膜を被覆し、その
上面に、高融点金属とスカンジウムを含む上部被覆膜を
形成したSc被覆型含浸形陰極の実施例を示す。基本型
含浸形陰極は、実施例1と同様の陰極を使用した。本実
施例では、この基本型含浸形陰極2の上面に、200n
mのタングステン酸スカンジウムの下部被覆膜12を、
スパッタ成膜法でタングステン酸スカンジウムをスパッ
タターゲットとして用いて成膜した。そして、その上面
に500nmのタングステンおよびスカンジウムを含む
上部被覆膜13を、スパッタ成膜法で、タングステンお
よび金属スカンジウムのスパッタターゲットを用いて成
膜した。この陰極を、1000℃で2時間の活性化加熱
を行うと、従来のMo/Sc被覆含浸形陰極と同等の電
子放出特性を得た。
【0017】(実施例3)図3に、基本型含浸形陰極表
面に、スカンジウムの層と、スカンジウム酸化物の層で
構成される下部被覆膜を形成し、その上面に、高融点金
属の上部被覆膜を形成したSc被覆型含浸形陰極の実施
例を示す。基本型含浸形陰極は、実施例1と同様の陰極
を使用した。本実施例では、この基本型含浸形陰極2の
上面に、200nmのスカンジウム被覆膜10を電子ビ
ーム加熱による蒸着法により、金属スカンジウムを蒸着
源として成膜した。そして、その上面に200nmのタ
ングステン酸スカンジウム被覆膜12を、スパッタ成膜
法で、タングステン酸スカンジウムのスパッタターゲッ
トを用いて成膜した。そして、さらにその上面に、50
0nmのタングステン被覆膜14を、スパッタ成膜法
で、タングステン金属をスパッタターゲットとして用い
て成膜した。この陰極を、1000℃で2時間の活性化
加熱を行うと、従来のMo/Sc被覆含浸形陰極と同等
の電子放出特性を得た。
面に、スカンジウムの層と、スカンジウム酸化物の層で
構成される下部被覆膜を形成し、その上面に、高融点金
属の上部被覆膜を形成したSc被覆型含浸形陰極の実施
例を示す。基本型含浸形陰極は、実施例1と同様の陰極
を使用した。本実施例では、この基本型含浸形陰極2の
上面に、200nmのスカンジウム被覆膜10を電子ビ
ーム加熱による蒸着法により、金属スカンジウムを蒸着
源として成膜した。そして、その上面に200nmのタ
ングステン酸スカンジウム被覆膜12を、スパッタ成膜
法で、タングステン酸スカンジウムのスパッタターゲッ
トを用いて成膜した。そして、さらにその上面に、50
0nmのタングステン被覆膜14を、スパッタ成膜法
で、タングステン金属をスパッタターゲットとして用い
て成膜した。この陰極を、1000℃で2時間の活性化
加熱を行うと、従来のMo/Sc被覆含浸形陰極と同等
の電子放出特性を得た。
【0018】従来陰極と本実施例1,2,3の含浸形陰
極の耐イオン衝撃特性を評価した。イオン衝撃実験は、
実球試験の代わりに、イオンガンを用いてアルゴンガス
で陰極表面を1時間スパッタする方法でシミュレートし
た。この方法では、陰極表面の単分子層を完全に取り去
ることができることが確認されている。1回目のイオン
衝撃では、従来の陰極,本発明の陰極とも電子放出特性
が100%回復した。2回目のイオン衝撃では従来陰極
は20%回復したのに対して、本発明の陰極では115
0℃で再活性化を行うことにより100%回復した。こ
れは、本発明の陰極が、1回目のイオン衝撃後では、被
覆膜中の金属スカンジウムを使用して陰極表面にスカン
ジウムを供給し、2回目以降のイオン衝撃後では、陰極
を1150℃に加熱し、スカンジウム酸化物を還元して遊離
スカンジウムを生成させることにより、スカンジウムを
陰極表面に供給しているからである。
極の耐イオン衝撃特性を評価した。イオン衝撃実験は、
実球試験の代わりに、イオンガンを用いてアルゴンガス
で陰極表面を1時間スパッタする方法でシミュレートし
た。この方法では、陰極表面の単分子層を完全に取り去
ることができることが確認されている。1回目のイオン
衝撃では、従来の陰極,本発明の陰極とも電子放出特性
が100%回復した。2回目のイオン衝撃では従来陰極
は20%回復したのに対して、本発明の陰極では115
0℃で再活性化を行うことにより100%回復した。こ
れは、本発明の陰極が、1回目のイオン衝撃後では、被
覆膜中の金属スカンジウムを使用して陰極表面にスカン
ジウムを供給し、2回目以降のイオン衝撃後では、陰極
を1150℃に加熱し、スカンジウム酸化物を還元して遊離
スカンジウムを生成させることにより、スカンジウムを
陰極表面に供給しているからである。
【0019】本実施例では、スカンジウム酸化物とし
て、タングステン酸スカンジウムを用いたが、これは、
酸化スカンジウム,モリブデン酸スカンジウム、また
は、それらの混合物でも同様の効果を示す。
て、タングステン酸スカンジウムを用いたが、これは、
酸化スカンジウム,モリブデン酸スカンジウム、また
は、それらの混合物でも同様の効果を示す。
【0020】図5は本発明のSc被覆型含浸形陰極を電
子銃111に組み込み、ブラウン管113に真空封止し
た状態を示すものである。ブラウン管で陰極を用いる場
合、活性化はブラウン管内でヒータを用いて加熱するこ
とにより実行される。
子銃111に組み込み、ブラウン管113に真空封止し
た状態を示すものである。ブラウン管で陰極を用いる場
合、活性化はブラウン管内でヒータを用いて加熱するこ
とにより実行される。
【0021】本実施例では、含浸剤として、BaO,C
aO,Al2O3を4:1:1に混合したものを用いた。
しかし、含浸剤組成は本発明の効果とは本質的に無関係
である。これは5:3:2や他の組成のものにおいても
同様の効果を示すことは明らかである。さらに、本実施
例の被覆膜の構成要素としてスカンジウム以外には、タ
ングステンを用いて説明した。しかし、モリブデンもタ
ングステンと同様に用いることができ、モリブデンとタ
ングステンの両方を含んでいても、さらに他の高融点金
属を含んでいても問題ない。スカンジウムの被覆膜10
は、蒸着法により成膜したが、これはCVD法など他の
成膜手段を用いても良い。また、タングステンおよびス
カンジウム酸化物からなる被覆膜11,スカンジウム酸
化物を主体とする被覆膜12,タングステンとスカンジ
ウムを含む被覆膜13,タングステンを主体とする被覆
膜14は、スパッタ成膜法を用いたが、同様に他の成膜
手段を用いても良い。
aO,Al2O3を4:1:1に混合したものを用いた。
しかし、含浸剤組成は本発明の効果とは本質的に無関係
である。これは5:3:2や他の組成のものにおいても
同様の効果を示すことは明らかである。さらに、本実施
例の被覆膜の構成要素としてスカンジウム以外には、タ
ングステンを用いて説明した。しかし、モリブデンもタ
ングステンと同様に用いることができ、モリブデンとタ
ングステンの両方を含んでいても、さらに他の高融点金
属を含んでいても問題ない。スカンジウムの被覆膜10
は、蒸着法により成膜したが、これはCVD法など他の
成膜手段を用いても良い。また、タングステンおよびス
カンジウム酸化物からなる被覆膜11,スカンジウム酸
化物を主体とする被覆膜12,タングステンとスカンジ
ウムを含む被覆膜13,タングステンを主体とする被覆
膜14は、スパッタ成膜法を用いたが、同様に他の成膜
手段を用いても良い。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、陰極表面へのスカンジ
ウムの供給力および総供給量を向上できる。その結果、
イオン衝撃により失われる単分子層の回復性を向上で
き、耐イオン衝撃特性の改善を図ることができる。
ウムの供給力および総供給量を向上できる。その結果、
イオン衝撃により失われる単分子層の回復性を向上で
き、耐イオン衝撃特性の改善を図ることができる。
【図1】本発明の一実施例のSc被覆型含浸形陰極の要
部断面図。
部断面図。
【図2】本発明の一実施例のSc被覆型含浸形陰極の要
部断面図。
部断面図。
【図3】本発明の一実施例のSc被覆型含浸形陰極の要
部断面図。
部断面図。
【図4】従来の被覆含浸形陰極の要部断面図。
【図5】ブラウン管の断面図。
2…含浸形陰極、10…被覆膜、11…被覆膜、21…
多孔質体、22…含浸剤。
多孔質体、22…含浸剤。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 天野 勇人 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日立 製作所電子デバイス事業部内 (72)発明者 山田 絵実子 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日立 製作所電子デバイス事業部内
Claims (7)
- 【請求項1】多孔質タングステン基体にバリウムを含む
酸化物を含浸した構造の含浸形陰極において、スカンジ
ウムを主体とする下部被覆膜を形成し、その上面に、高
融点金属とスカンジウム酸化物からなる上部被覆膜を形
成したことを特徴とする含浸形陰極。 - 【請求項2】多孔質タングステン基体にバリウムを含む
酸化物を含浸した構造の含浸形陰極において、スカンジ
ウム酸化物の下部被覆膜を形成し、その上面に、高融点
金属とスカンジウムからなる上部被覆膜を形成したこと
を特徴とする含浸形陰極。 - 【請求項3】多孔質タングステン基体にバリウムを含む
酸化物を含浸した構造の含浸形陰極において、スカンジ
ウムの層と、スカンジウム酸化物の層で構成される下部
被覆膜を形成し、その上面に、高融点金属の上部被覆膜
を形成したことを特徴とする含浸形陰極。 - 【請求項4】請求項1,2または3に記載の前記高融点
金属が、タングステンまたはモリブデンである含浸形陰
極。 - 【請求項5】請求項1,2または3に記載の前記スカン
ジウム酸化物が、酸化スカンジウム,タングステン酸ス
カンジウム,モリブデン酸スカンジウムのいずれか一
つ、または複数を含む含浸形陰極。 - 【請求項6】請求項1,2,3,4または5に記載の前
記含浸形陰極を、電子ビームを放出する陰極として有す
る電子管。 - 【請求項7】前記電子管はブラウン管であり、さらに前
記含浸形陰極で構成される電子銃から放射される電子ビ
ームが到達する蛍光面を有している請求項6に記載の電
子管。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP34036595A JPH09180624A (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 含浸形陰極およびそれを用いた電子管 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP34036595A JPH09180624A (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 含浸形陰極およびそれを用いた電子管 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09180624A true JPH09180624A (ja) | 1997-07-11 |
Family
ID=18336251
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP34036595A Pending JPH09180624A (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 含浸形陰極およびそれを用いた電子管 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH09180624A (ja) |
-
1995
- 1995-12-27 JP JP34036595A patent/JPH09180624A/ja active Pending
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