JPH09183182A - コンクリート構造物の補強構造 - Google Patents

コンクリート構造物の補強構造

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JPH09183182A
JPH09183182A JP35216595A JP35216595A JPH09183182A JP H09183182 A JPH09183182 A JP H09183182A JP 35216595 A JP35216595 A JP 35216595A JP 35216595 A JP35216595 A JP 35216595A JP H09183182 A JPH09183182 A JP H09183182A
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reinforced plastic
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暢芳 佐藤
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信治 楠
Toshio Hayashi
敏夫 林
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卓雄 森谷
Masaharu Saito
雅春 斎藤
Shigeru Matsuoka
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリート構造物の形状に左右されること
なく、コンクリート構造物を簡便かつ効果的に補強する
ことができない。 【解決手段】 コンクリート構造物1aの表面に、強化
材4aを含有させた状態で溶融樹脂5を吹き付けて密着
接合させ、強化プラスチック層2を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート構造
物の補強構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】近時、地震による被害の軽
減のため、鉄道、道路等に敷設されている既設のコンク
リート柱に対して補強を行うことが提案されている。こ
の種の補強構造としては、例えば鋼板補強構造、繊維強
化プラスチック(FRP)板補強構造が知られている。
鋼板補強構造は、コンクリート柱の外周を鋼板によつて
筒状に覆うもので、既設のコンクリート柱の降伏荷重、
曲げじん性及びせん断耐力の向上を図ることができると
されている。
【0003】一方、FRP板補強構造は、図9,図10
に示すFRP板を使用する。FRP板50は、矩形状を
なすように予め成形され、内面に格子状をなすようにリ
ブ51が突設されている。このFRP板50の複数枚を
コンクリート柱の外周にリブ51を内側として密着さ
せ、隣接するFRP板50同士を接合させる。隣接する
FRP板50同士は、例えばFRP板50の接合面を加
熱して溶融させ、この状態で押し出し成形機からの溶融
樹脂を供給し、溶着接合させる。その後、FRP板50
に形成した貫通孔からモルタルを注入し、FRP板50
とコンクリート柱との間の間隙を埋めると共にFRP板
50とコンクリート柱とをリブ51を介して接着する。
このようなFRP板補強構造によれば、既設のコンクリ
ート柱のせん断耐力及び曲げじん性の向上を図ることが
できるとされている。
【0004】しかしながら、このような従来のコンクリ
ート構造物の補強構造の内、鋼板補強構造にあつては、
重量物である鋼板を扱う関係で、クレーン等による機械
作業を伴うため、所要の作業空間を確保する必要があ
る。また、FRP板補強構造にあつては、軽量な複数枚
のFRP板50を接合させる。このため、狭隘な場所で
の作業も比較的容易であるが、FRP板50同士の継ぎ
目部分に応力が集中し、破断し易い。このFRP板補強
構造によるコンクリート柱に対して曲げ試験を実施した
ところ、コンクリート柱のせん断破壊に近い形状で破断
し、複数枚のFRP板50の継ぎ目部分で斜め引張破断
を生じていた。このFRP板50の継ぎ目部分で斜め引
張破断を生じた後の耐力は、急激に減少した。従つて、
コンクリート柱のせん断耐力及び曲げじん性の向上が十
分とは言えない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような従
来の技術的課題に鑑みてなされたものであり、その構成
は次の通りである。請求項1の発明の構成は、コンクリ
ート構造物1aの表面に、強化材4aを含有させた状態
で溶融樹脂5を吹き付けて密着接合させ、強化プラスチ
ック層2を形成することを特徴とするコンクリート構造
物の補強構造である。請求項2の構成は、強化プラスチ
ック層2が、コンクリート構造物1aの上に密着接合す
る樹脂のみからなる接着層21と、接着層21の上に密
着接合する樹脂及び強化材4aからなる強化層20と、
強化層20の上に密着接合する樹脂のみからなる仕上層
22とを有することを特徴とする請求項1のコンクリー
ト構造物の補強構造である。請求項3の構成は、コンク
リート構造物1aの応力集中箇所の表面に織物7を配置
し、コンクリート構造物1a及び織物7の表面に、強化
プラスチック層2を形成することを特徴とする請求項1
又は2のコンクリート構造物の補強構造である。請求項
4の構成は、強化プラスチック層2の端部をバンド6
a,6bによつて締め付けることを特徴とする請求項
1,2又は3のコンクリート構造物の補強構造である。
【0006】
【作用】請求項1の発明によれば、強化プラスチック層
2がコンクリート構造物1aの曲げじん性を向上させ、
せん断破壊を防止する。すなわち、強化プラスチック層
2を形成したコンクリート構造物1aによれば、強化プ
ラスチック層2が被覆部材及び強度部材としての機能を
良好に発揮し、コンクリート構造物1aの破壊が抑制さ
れ、かつ、コンクリート構造物1aの主成分であるコン
クリートによつて圧縮力が良好に支持される。しかも、
強化プラスチック層2が継ぎ目なしに形成されるので、
不連続箇所が形成されず、強化プラスチック層2自体に
応力集中箇所が形成され難い。その結果として、強化プ
ラスチック層2の局部的な破断による補強層の劣化、ひ
いてはコンクリート構造物1aの耐震性の劣化が防止で
きる。
【0007】そして、コンクリート構造物1aがコンク
リート柱の場合、コンクリート柱に対する補強による耐
震性の向上のためには、曲げじん性の向上が有効であ
り、降伏荷重の増加では非補強箇所との境界部分で早期
に破壊を生ずるため、望ましくない。これに対し、強化
プラスチック層2を形成したコンクリート柱によれば、
コンクリートのひび割れ発生荷重となる降伏荷重をほと
んど増加することなく、曲げじん性の向上が図られる。
すなわち、強化プラスチック層2を形成したコンクリー
ト柱の初期剛性は無補強のコンクリート柱とほぼ等価で
あり、強化プラスチック層2によつて耐震に対する補強
を行つても地震時に強化プラスチック層2に過大な断面
力を生じ難い。これは、強化プラスチック層2が、コン
クリート柱からなる構造物1aと比較して適度かつ良好
な伸び特性を備える結果であると推定される。
【0008】請求項2によれば、強化プラスチック層2
が、接着層21によつてコンクリート構造物1aの上に
良好に密着接合すると共に、主として強化層20が被覆
部材及び強度部材としての機能を良好に発揮し、また、
仕上層22によつて表面が仕上げされる。
【0009】請求項3の発明によれば、強化プラスチッ
ク層2による補強機能が、織物7によつて増強される。
織物7を配置するコンクリート構造物1aの応力集中箇
所としては、肉厚が薄い箇所、曲げ変形を大きく受ける
箇所等である。従つて、コンクリート構造物1aが四角
柱をなすコンクリート柱の場合には、コンクリート柱の
角部、長手方向の中央部等である。
【0010】請求項4によれば、強化プラスチック層2
の端部とコンクリート構造物1aとの間に、経時変化に
よつて隙間を生ずることが抑制される。これにより、隙
間から雨水等が侵入して、強化プラスチック層2のはく
離が次第に進行し、広範囲の強化プラスチック層2のは
く離に至ることが良好に防止される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1〜図8は、本発明に係
るコンクリート構造物の補強構造の1実施の形態を示
す。図中において符号1はコンクリート構造物であるコ
ンクリート柱を示し、高速道路、地下鉄を含む鉄道軌道
等に垂直に敷設されている既設のコンクリート柱本体1
aを主体とする。すなわち、コンクリート柱1は、基礎
10に立設されて床版11を支持する既設のコンクリー
ト柱本体1aと、コンクリート柱本体1aの表面に形成
した強化プラスチック層2とからなる。既設のコンクリ
ート柱本体1aは、通常、鉄筋コンクリート(RC)に
よつて製作され、図2に示すように主鉄筋1bの周囲に
帯鉄筋1cを巻き付けた構造を有する。図上ではコンク
リート柱本体1aは四角柱をなしているが、円柱等の形
状をなすものでもよい。
【0012】強化プラスチック層2は、コンクリート柱
本体1aの補強を目的として、図3に示すようにスプレ
ーアップ法によつて形成した強化層20を主体とする。
すなわち、強化プラスチック層2は、コンクリート柱本
体1aの上に密着接合する樹脂のみからなる接着層21
と、接着層21の上に密着接合し、チョップトストラン
ド強化材4aを含有する樹脂からなる強化層20と、強
化層20の上に密着接合する樹脂のみからなる仕上層2
2とを積層状態に有する。
【0013】接着層21は、強化層20をコンクリート
柱本体1aに強固に接着させる機能を有し、図1に示す
スプレーアップ装置のスプレーガン3からロービング4
を供給することなく、溶融樹脂5のみを所定厚さとなる
ように吹き付けて形成する。コンクリート柱本体1aの
表面は、接合を強固とするために機械的又は化学的な表
面処理を施す。この機械的な表面処理は、コンクリート
柱本体1aの表面をワイヤブラシによつて粗し、100
μm以下、好ましくは数十μmの無数の凹部を予め形成
して行う。
【0014】強化層20は、コンクリート柱本体1aを
補強する機能を主として有し、スプレーアップ装置のス
プレーガン3により、ロービング4をチョップトストラ
ンド強化材4aに切断しながら溶融樹脂5と共に吹き付
けて形成する。チョップトストランド強化材4aは、グ
ラスファイバーからなるロービング4をチョッパーによ
つて20〜30mm程度(好ましくは25mm程度)に
切断したものとし、含有率は容積で20〜30%とす
る。強化層20の厚さは、コンクリート柱本体1aの形
状、寸法の如何によるが、既設のコンクリート柱本体1
aの耐震性の向上を目的とする場合には、平均で3〜8
mm程度が必要であり、平均で5mm程度が望ましい。
強化層20が平均で5mm程度を越えて厚過ぎる場合に
は、補強機能は増加するがコストが嵩む。仕上層22
は、外観の美観を高める機能を主として有し、スプレー
ガン3からロービング4を供給することなく、溶融樹脂
5のみを所定厚さとなるように吹き付けて形成する。
【0015】強化プラスチック層2の接着層21、強化
層20及び仕上層22に使用する樹脂としては、いわゆ
るだれの現象を生じ難く、硬化に要する時間が比較的短
く、常温硬化性を有することが望ましく、作業箇所の温
度環境を考慮して適宜の樹脂材料を配合する。だれの現
象は、垂直面に溶融樹脂を吹き付けた際、樹脂が自重に
よつて一部に集合して液滴状をなす欠陥であり、樹脂が
自重によつて下方に流れた欠陥を含む。接着層21,強
化層20,仕上層22を形成する溶融樹脂5の種類は、
それぞれ異ならせることもできる。なお、少なくとも仕
上層22を形成する溶融樹脂5として難燃材を添加する
などした樹脂を使用すれば、耐火性を向上させることが
できる。
【0016】次に、作用について説明する。既設のコン
クリート柱本体1aに強化プラスチック層2を形成した
コンクリート柱1によれば、強化プラスチック層2が既
設のコンクリート柱本体1aの曲げじん性を向上させ、
せん断破壊を防止する。図4に示す曲げ試験を行つた。
すなわち、コンクリート柱1の両端下部をそれぞれ支点
30,31によつて支持し、中央上部に配置した載荷ビ
ーム34を介して荷重Wを2箇所の荷重点32,33か
ら作用させた。
【0017】コンクリート柱1に対する曲げ試験を実施
したところ、強化プラスチック層2を形成したコンクリ
ート柱1によれば、強化プラスチック層2の作用によつ
て主鉄筋1bに引張力が良好に作用するようになると共
に、凹形をなす逆曲げ区間で発生するコンクリートの圧
縮が良好に支持される。これは、強化プラスチック層2
の内の主として強化層20が被覆部材及び強度部材とし
ての機能を良好に発揮し、コンクリート柱本体1aのひ
び割れ破壊が抑制され、かつ、コンクリート柱本体1a
の主成分であるコンクリートによつて圧縮力が良好に支
持される結果であると推定される。
【0018】しかも、強化プラスチック層2をスプレー
アップ法によつて継ぎ目なしに均質に形成するので、不
連続箇所が形成されず、強化プラスチック層2自体に応
力集中箇所が形成され難い。その結果として、強化プラ
スチック層2の局部的な斜め引張破断を生じ難く、ひい
てはコンクリート柱本体1aの耐震性の早期劣化が防止
できる。
【0019】試験結果を図5に示す。実線Iは、強化プ
ラスチック層2を形成したコンクリート柱1の特性を示
し、二点鎖線II は、強化プラスチック層2を形成しな
い既設のコンクリート柱本体1aのみの特性を示す。強
化プラスチック層2を形成したコンクリート柱1では、
帯鉄筋1cが降伏した後に主鉄筋1bが点(a)におい
て降伏したが、その後も荷重Wが増加した。その後、点
(b)で強化プラスチック層2の凸形をなす純曲げ区間
における破断が開始し、強化プラスチック層2に図4に
示す破断部Aを生じた。点(c)で凸形をなす純曲げ区
間での強化プラスチック層2の破断が終了し、次第に荷
重Wが減少した。続いて、(d)で示す区域では荷重W
がほとんど変化することなくコンクリート柱1の中央た
わみが増大する耐力が得られ、点(e)で純曲げ区間の
コンクリートが破壊したため荷重Wを除荷した。
【0020】このように、既設のコンクリート柱本体1
aに強化プラスチック層2を形成したコンクリート柱1
によれば、図5に示す純曲げ区間での強化プラスチック
層2の破断が終了する点(c)までの間の荷重Wの増
大、及び(d)で示す区域でのコンクリート柱本体1a
が耐力を保持した状態での中央たわみの増大が著しい。
これは、前述したように強化プラスチック層2の内の主
として強化層20が被覆部材及び強度部材としての機能
を発揮し、帯鉄筋1c及び主鉄筋1bのせん断を伴う早
期降伏並びにコンクリート柱本体1aのひび割れ破壊を
生ずるせん断を伴う早期降伏を阻止し、その結果とし
て、コンクリート柱本体1aの主成分であるコンクリー
トによつて圧縮力が良好に支持されるためであると推定
される。詳述すれば、コンクリートのひび割れが強化プ
ラスチック層2によつて拘束され、帯鉄筋1c及び主鉄
筋1b並びにコンクリートに図4に示す破線Nに沿つた
せん断を生じ難くなり、帯鉄筋1c及び主鉄筋1bの引
張強度が見掛け上高まるためであると推定される。この
ように、強化プラスチック層2によれば、コンクリート
柱1の曲げじん性の向上を図ることができる。
【0021】ちなみに、強化プラスチック層2を形成し
ない既設のコンクリート柱本体1aのみの特性では、強
化プラスチック層2による被覆部材及び強度部材として
の補強作用が期待されず、コンクリート柱本体1aに図
4に破線Nで示すように各荷重点32,33と対応する
支点30,31とを結ぶ線に沿つてせん断力が作用し、
帯鉄筋1cが降伏した後に主鉄筋1bがコンクリートと
共にせん断破壊され、耐力が失われた。かくして、強化
プラスチック層2を形成しない既設のコンクリート柱の
場合には、帯鉄筋1c及び主鉄筋1bが破断を生じ、早
期に引張強度が低下し、コンクリート柱本体1aの中央
たわみが増大することなくコンクリートが破壊する。図
5の点(f)は、強化プラスチック層2を形成しない既
設のコンクリート柱本体1aにせん断破壊を生ずる時点
を示し、せん断破壊を生じた後に除荷した。
【0022】このようにして、強化プラスチック層2を
形成したコンクリート柱1によれば、コンクリート柱本
体1a及び強化プラスチック層2の地震に伴う破断が曲
げ破壊状態として得られるようになり、コンクリート柱
1の最終的な破壊が純曲げ区間のコンクリートのひび割
れ破壊により決定されることになる。そして、既設のコ
ンクリート柱本体1aに対する補強による耐震性の向上
のためには、曲げじん性の向上が有効であり、図4に示
す破線Nに沿つたせん断破壊の抑制のために、例えばコ
ンクリート柱1の外周を鋼板によつて筒状に覆つて降伏
荷重を増加させるのでは、非補強箇所との境界部分で早
期に破壊を生ずるため、望ましくない。これに対し、強
化プラスチック層2を形成したコンクリート柱1によれ
ば、このような降伏荷重を増加することなく、曲げじん
性の向上が図られる。
【0023】また、強化プラスチック層2を形成したコ
ンクリート柱1の初期剛性は、無補強の既設のコンクリ
ート柱本体1aとほぼ等価であり、強化プラスチック層
2によつて耐震に対する補強を行つても地震時に強化プ
ラスチック層2に早期に過大な断面力が作用し、破断す
ることはない。これは、強化プラスチック層2、つまり
樹脂からなる接着層21及び仕上層22は勿論、グラス
ファイバーを材料とするチョップトストランド強化材4
aを含有する樹脂からなる強化層20も、弾性率がコン
クリートよりも小であるため、コンクリート柱本体1a
と比較して適度かつ良好な伸び特性を備える結果であ
る。
【0024】なお、図6に示すように接着層21及び仕
上層22を省略し、強化プラスチック層2を強化層20
のみによつて形成しても、耐震性の向上に関してほぼ同
様の作用を得ることができる。また、溶融樹脂5として
熱硬化性樹脂を使用して耐火性を向上させる場合、強化
プラスチック層2がスプレーアップ法によつて継ぎ目な
しに形成され、FRP板補強構造のようなFRP板同士
の別途の接合作業が不要であるので、困難な溶融接着作
業を必要としない。
【0025】図7には強化プラスチック層2の上下の両
端部をバンド6a,6bによつて締め付けた構造例を示
す。強化プラスチック層2の端部は、経時変化によつて
コンクリート柱本体1aとの間に隙間を生ずる傾向を呈
する。バンド6a,6bは、強化プラスチック層2とコ
ンクリート柱本体1aとの間に隙間が形成されることを
抑制し、この隙間から雨水等が侵入して、強化プラスチ
ック層2のはく離が次第に進行し、広範囲の強化プラス
チック層2のはく離に至ることを良好に防止する。
【0026】更に、図8に示すように既設のコンクリー
ト柱本体1aの応力集中箇所の表面に、チョップトスト
ランド強化材4aと同様の材質(グラスファイバー)か
らなる織物7を配置し、コンクリート柱本体1a及び織
物7の表面に、強化プラスチック層2を形成することも
できる。織物7を配置する既設のコンクリート柱1の応
力集中箇所としては、コンクリート柱本体1aの肉厚が
薄い箇所、曲げ変形を大きく受ける箇所等がある。従つ
て、四角柱をなすコンクリート柱本体1aの場合には、
コンクリート柱本体1aの角部、長手方向の中央部等で
ある。これにより、強化プラスチック層2の強化層20
による補強機能が、織物7によつて増強される。なお、
織物7は、接着層21と強化層20との間に介在させる
こともできる。
【0027】ところで、上記の実施の形態にあつてはコ
ンクリート構造物として既設のコンクリート柱本体1a
について説明したが、一般の建築物の壁、ガケ、トンネ
ル、梁等のコンクリートの表面に強化プラスチック層2
を施し、コンクリートを補強することも可能である。更
に、ガケの崩落を防止するために、コンクリートを敷設
することなく、ガケの土石の表面に直接に強化プラスチ
ック層2を形成することも可能である。更に、強化プラ
スチック層2の耐候性及び耐火性を向上させるために、
表面にインシュレーションを巻き、或いは吹き付けるこ
とも可能である。
【0028】また、コンクリート構造物1aの表面に強
化プラスチック層2を形成する方法としては、ハンドレ
イアップ法を適用することも可能である。特に、既設の
コンクリート柱本体1aの表面長手方向に、強化材のみ
又は樹脂を予備含浸させた強化材を長尺のままで配置
し、この強化材4aの上から溶融樹脂5を吹き付けて密
着接合させることにより、強化材の延在方向を揃えて既
設のコンクリート柱本体1a等の構造物の曲げじん性を
向上させ、せん断破壊を効果的に防止することも可能で
ある。
【0029】
【発明の効果】以上の説明によつて理解されるように、
本発明に係るコンクリート構造物の補強構造によれば、
コンクリート構造物の形状に制限を受けることなく、強
化プラスチック層を均質に形成することが可能であり、
コンクリート構造物を簡便、安定的かつ効果的に補強す
ることができる。これにより、力学的には、コンクリー
ト構造物の耐破損性を向上させて耐震性、耐衝撃性を向
上できると共に、表面の被覆作用によつてコンクリート
構造物の劣化を防止し、耐久性を向上させることができ
る。加えて、強化プラスチック層は補修が容易であり、
一部に生じた破損箇所を容易に修復することができる。
また、請求項2によれば、仕上層を有する強化プラスチ
ック層により、コンクリート構造物の美観及び触感を向
上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施の形態に係るコンクリート柱
の補強構造を一部省略して示す図。
【図2】 同じくコンクリート柱を示す断面図。
【図3】 同じくコンクリート柱の要部を示す断面図。
【図4】 同じくコンクリート柱の曲げ試験を示す説明
図。
【図5】 同じくコンクリート柱の曲げ試験の結果であ
るコンクリート柱の中央たわみ−荷重特性を示す線図。
【図6】 同じく強化プラスチック層を強化層のみによ
つて形成したコンクリート柱の要部を示す断面図。
【図7】 同じく強化プラスチック層の上下の両端部を
バンドによつて締め付けたコンクリート柱の補強構造の
構造例を一部省略して示す図。
【図8】 同じくコンクリート柱本体の応力集中箇所の
表面に織物を配置した構造例を一部省略して示す図。
【図9】 従来のFRP板を一部省略して示す正面図。
【図10】 同じくFRP板を一部省略して示す側面
図。
【符号の説明】
1:コンクリート柱、1a:コンクリート柱本体(コン
クリート構造物)、2:強化プラスチック層、4a:チ
ョップトストランド強化材(強化材)、5:溶融樹脂、
6a,6b:バンド、7:織物、20:強化層、21:
接着層、22:仕上層。
フロントページの続き (72)発明者 楠 信治 東京都府中市日鋼町1番地1 株式会社日 本製鋼所内 (72)発明者 林 敏夫 東京都千代田区三崎町2丁目5番3号 鉄 建建設株式会社内 (72)発明者 森谷 卓雄 東京都千代田区三崎町2丁目5番3号 鉄 建建設株式会社内 (72)発明者 斎藤 雅春 東京都千代田区三崎町2丁目5番3号 鉄 建建設株式会社内 (72)発明者 松岡 茂 東京都千代田区三崎町2丁目5番3号 鉄 建建設株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート構造物(1a)の表面に、
    強化材(4a)を含有させた状態で溶融樹脂(5)を吹
    き付けて密着接合させ、強化プラスチック層(2)を形
    成することを特徴とするコンクリート構造物の補強構
    造。
  2. 【請求項2】 強化プラスチック層(2)が、コンクリ
    ート構造物(1a)の上に密着接合する樹脂のみからな
    る接着層(21)と、接着層(21)の上に密着接合す
    る樹脂及び強化材(4a)からなる強化層(20)と、
    強化層(20)の上に密着接合する樹脂のみからなる仕
    上層(22)とを有することを特徴とする請求項1のコ
    ンクリート構造物の補強構造。
  3. 【請求項3】 コンクリート構造物(1a)の応力集中
    箇所の表面に織物(7)を配置し、コンクリート構造物
    (1a)及び織物(7)の表面に、強化プラスチック層
    (2)を形成することを特徴とする請求項1又は2のコ
    ンクリート構造物の補強構造。
  4. 【請求項4】 強化プラスチック層(2)の端部をバン
    ド(6a,6b)によつて締め付けることを特徴とする
    請求項1,2又は3のコンクリート構造物の補強構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20030023901A (ko) * 2001-09-14 2003-03-26 주식회사 제트화이버코리아 콘크리트 구조물의 보수보강방법
KR20040076026A (ko) * 2003-02-24 2004-08-31 정영수 섬유보강 합성수지 스프레이 장치 및 이를 이용한 철근콘크리트 구조물의 보강공법
KR100742824B1 (ko) * 2006-10-19 2007-07-25 (주)노루페인트 속경성 도막방수재와 유리섬유 동시 분사장치를 사용한복합 도막방수층과 그 시공방법

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