JPH09194538A - フッ素樹脂水性分散液 - Google Patents

フッ素樹脂水性分散液

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JPH09194538A
JPH09194538A JP30163096A JP30163096A JPH09194538A JP H09194538 A JPH09194538 A JP H09194538A JP 30163096 A JP30163096 A JP 30163096A JP 30163096 A JP30163096 A JP 30163096A JP H09194538 A JPH09194538 A JP H09194538A
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佳 平島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 作業性のよい1液硬化型塗料でありながら優
れた保存安定性および機械的安定性有し、しかも得られ
た塗膜は初期における耐水性並びに耐汚染性、耐候性に
優れるというフッ素樹脂水性分散液を提供する。 【解決手段】 フルオロオレフィン(A)、オレフィン
性不飽和結合とアルコキシシリル基を共に有する有機珪
素化合物(B)、一般式 CH2=CH−(CH2)n−
COOH (nは3〜15の整数である。)で表される
不飽和カルボン酸(C)、およびその他の共重合可能な
化合物(D)を乳化重合して得られたフッ素樹脂水性分
散液である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗料用のフッ素樹脂水
性分散液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、フルオロオレフィンを含む重合体
は耐候性に優れるため広く塗料分野に応用されてきた。
例えばフルオロオレフィンと酢酸ビニル等脂肪酸ビニル
エステル、およびその他のモノマーから製造される共重
合体(特公平4−40365号)は各種溶剤に可溶であ
り、建築分野向けを中心とした常温硬化型塗料として使
用されている。しかしながらこれらの塗料は有機溶剤を
多量に含むために火災の危険性、人体への有害性、大気
汚染等が懸念されており、非有機溶剤型塗料、特に水系
溶媒の塗料が要望されている。
【0003】この要望に対応すべく、常温成膜が可能な
フッ素樹脂水性分散液が種々検討されている。一般にそ
れら分散液の製造は乳化重合法によって行われるが、そ
の際多量の乳化剤が使用される。この乳化剤は最終的に
形成された塗膜にまで残存して吸水率を増加させるた
め、従来の溶剤系の塗膜に比べて耐水性、耐汚染性に劣
るといった問題点がある。
【0004】一方、塗膜に架橋構造を導入して塗膜の耐
水性、耐汚染性等の改良を図る試みとして、自己架橋基
であるアルコキシシリル基を含有するモノマーを使用し
たフッ素樹脂水性分散液が検討されている(特開平4−
202484号、特開平5−25421号)。しかし、
それらは、架橋部位であるアルコキシシリル基のエマル
ジョン中での安定性と塗膜形成後の架橋性という相反す
る特性を満足することが困難であり、架橋性の良いもの
は実用上のエマルジョンの保存安定性に問題があり、保
存安定性の良いものは架橋速度が遅いために初期耐水性
に劣るという傾向にある。また架橋速度が遅いものに対
して架橋反応促進のための触媒を塗装直前に添加する使
用形態があるが、これは実際上2液型塗料と変わるとこ
ろがなく作業性が悪いといった問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
の有する問題点を解決しようとするものである。すなわ
ち一液架橋型であって、エマルジョンの保存安定性、使
用に際しての作業性を実用上満足し、塗膜の初期耐水
性、耐汚染性、耐候性に優れる水性塗料用のフッ素樹脂
水性分散液を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するためにフルオロオレフィンおよびそれに共重
合させるモノマー、さらにその重合方法について検討し
たところ、オレフィン性不飽和結合とアルコキシシリル
基を共に有する有機珪素化合物と、不飽和カルボン酸を
同時に含むように共重合モノマーを選択することで別途
乳化剤を添加しないかまたは通常より少量の添加量で乳
化重合させて製造されるフッ素樹脂水性分散液が、実用
上の保存安定性に優れ、またその分散液から得られる塗
膜が1液型でありながら従来の水系塗料に比べて作業性
や塗膜の初期耐水性、耐汚染性に優れるということを見
い出し本発明に至った。
【0007】すなわち本発明は、フッ素樹脂が水性媒体
に分散されたフッ素樹脂水性分散液であって、該フッ素
樹脂がフルオロオレフィン(A)に基づく構造単位10
〜70モル%、オレフィン性不飽和結合とアルコキシシ
リル基を共に有する有機珪素化合物(B)に基づく構造
単位0.1〜20モル%、一般式 CH2=CH−(C
H2)n−COOH (nは3〜15の整数である。)で
表される不飽和カルボン酸(C)に基づく構造単位0.
1〜20モル%、およびその他の共重合可能な化合物
(D)に基づく構造単位30〜85モル%からなり、
(A)、(B)、(C)および(D)の合計が100モ
ル%であるフッ素樹脂水性分散液であり、また、(A)
10〜70モル%、(B)0.1〜20モル%、(C)
0.1〜20モル%および(D)30〜85モル%であ
って、(A)、(B)、(C)および(D)の合計が1
00モル%である単量体組成物を水性媒体中で乳化重合
させることからなるフッ素樹脂分散液の製造方法であ
る。
【0008】本発明における(A)のフルオロオレフィ
ンは重合体に耐候性を付与するために必要な成分であ
り、分子中に少なくとも1つ以上のフッ素原子が含まれ
ている重合性二重結合を有する化合物である。それらを
例示するならばクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビ
ニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テト
ラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキ
サフルオロイソブテン等炭素原子数が2〜6程度のフル
オロオレフィンが挙げられるが、クロロトリフルオロエ
チレンが最も好ましいものとして挙げられる。またフル
オロオレフィンは単独または2種以上を併用することが
できるが、その際にもクロロトリフルオロエチレンを含
むことが好ましい。
【0009】(A)のフルオロオレフィンの比率は全モ
ノマー中に10〜70モル%含むことが好ましく、30
〜60モル%がより好ましい。比率が10モル%より少
ない場合には耐候性が不十分であり、また70モル%よ
り多い場合には造膜性が悪くなるために好ましくない。
【0010】本発明における(B)のオレフィン性不飽
和結合とアルコキシシリル基を共に有する有機珪素化合
物は重合体中で架橋部位となる成分である。すなわちエ
マルジョン中ではアルコキシシリル基の状態は安定であ
るが、塗膜形成時にはアルコキシシリル基が加水分解反
応してシラノール基に変化し、架橋反応に寄与するもの
と推測され、例えばシラノール基同志が縮合反応してシ
ロキサン結合による分子間架橋を形成するものと考えら
れる。そして架橋構造に起因して得られる塗膜の耐水
性、耐汚染性、耐溶剤性が向上するものと推測される。
【0011】成分(B)はオレフィン性不飽和結合とア
ルコキシシリル基を共に有する有機珪素化合物であり、
オレフィン性不飽和結合を有する基としては特に限定さ
れないがビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタク
リロイル基などが例示できる。アルコキシシリル基とし
ては特に限定されないがシリル基またはアルキルシリル
基のSi原子に結合する少なくとも1個の水素がメトキ
シ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ
基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−
ブトキシ基で置換されたものが挙げられる。これらの化
合物を非制限的に例示すると、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(n−プ
ロポキシ)シラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、
ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエ
トキシ)シラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニ
ルメチルジイソプロポキシシラン、ビニルメチルジ−n
−プロポキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、
ビニルジメチルイソプロポキシシラン、ビニルジメチル
−n−プロポキシシラン、ビニルメトキシジエトキシシ
ラン、ビニルメトキシジイソプロポキシシラン、ビニル
メトキシジ−n−プロポキシシラン、ビニルエトキシジ
メトキシシラン、ビニルエトキシジイソプロポキシシラ
ン、ビニルエトキシジ−n−プロポキシシラン、ビニル
−n−プロポキシジメトキシシラン、ビニル−n−プロ
ポキシジエトキシシラン、ビニル−n−プロポキシジイ
ソプロポキシシラン、3−(N−アリル−N−グリシジ
ル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−ア
リル−N−メタクロイル)アミノプロピルトリメトキシ
シラン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プ
ロピル]メタクリルアミド、N,N−ビス[3−(メチ
ルジメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、3
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メ
タクロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラ
ン等が挙げられる。これらは1種または2種以上を組合
わせて使用してもよい。また上記の中の炭素数1〜4の
アルコキシ基から選ばれるそれぞれ同じかまたは異なる
3個のアルコキシ基を有するビニルトリアルコキシシラ
ンが他のモノマーとの共重合性に優れることから特に好
ましいものとして挙げられ、2種以上を複合する際にも
これらを含有することが望ましい。
【0012】(B)のオレフィン性不飽和結合とアルコ
キシシリル基を共に有する有機珪素化合物の全モノマー
中の比率は0.1〜20モル%であり、0.1〜5モル
%が好ましく、0.1〜3モル%がより好ましい。比率
が0.1モル%より少ない場合には架橋が十分でなく塗
膜の耐水性と耐汚染性に劣り、20モル%より多い場合
には分散液の保存安定性に劣るので好ましくない。
【0013】本発明にかかる一般式、 CH2=CH−(CH2)n−COOH (nは3〜15の整数である。)で表される不飽和カル
ボン酸またはそれにより導入されたカルボキシル基は、
本発明のフッ素樹脂水性分散液の安定化作用とアル
コキシシリル基の架橋反応に対する触媒作用を担う成分
である。の安定化作用とは(C)の不飽和カルボン酸
が乳化剤と同様の作用、すなわち反応性乳化剤として作
用するために非反応性乳化剤の使用量を減らすことが可
能となることをいうものである。一般に非反応性の乳化
剤は、樹脂との相溶性が悪い場合には塗膜からブリード
して表面に析出して水や汚染物質を吸収してしまうとい
う不具合を生じたり、またそれらとの相溶性が良くて
も、樹脂自身に吸水性を付与してしまうために塗膜の耐
水性を悪化させてしまうことがある。従って本発明の
(C)成分の使用は塗膜の耐水性と耐汚染性を向上させ
る効果をもたらす結果となるものと推測される。
【0014】一方、の架橋反応に対する触媒作用に関
しては、(C)の不飽和カルボン酸により導入されるカ
ルボキシル基がアルコキシシリル基に対する酸触媒とし
ての機能を発揮する。一般にアルコキシシリル基を架橋
部位とする分散液に対しては、十分な架橋速度を得るた
めにジラウリン酸ジ−n−ジブチルすず(IV)や有機
酸等の架橋触媒を使用直前に添加することが必要であ
る。しかし、本発明のフッ素樹脂水性分散液ではこの様
な触媒の添加が必ずしも必要ではなく、しかも十分な架
橋速度を示す1液架橋型塗料を調製することができる。
従って従来のフッ素樹脂水性架橋型塗料は2液型塗料と
して使用する必要があったのに対して、本発明の分散液
は1液型架橋塗料とすることができるため作業性に優れ
るとともに、フッ素樹脂自体が触媒機能を有するため塗
膜の架橋構造がすみやかに形成され、その結果塗膜の初
期耐水性、耐汚染性が向上するといった効果をもたらす
ものである。
【0015】本発明において(C)により導入されたカ
ルボキシル基は水分散液の状態ではエマルジョン粒子の
表面に存在するために内部に存在するアルコキシシリル
基に対して何等作用しないが、水揮発による塗膜形成時
には均一に拡散してアルコキシシリル基に対して触媒作
用するものと考えられる。従って分散液の長期保存安定
性は十分に確保され、しかも塗膜形成に伴う水の揮発に
よってすみやかに架橋反応に対し触媒作用するために塗
膜の初期耐水性、耐汚染性に優れるものと推測される。
【0016】本発明にかかる(C)の不飽和カルボン酸
を例示するならば、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、
7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−
ウンデシレン酸、11−ドデシレン酸、17−オクタデ
シレン酸等が挙げられる。これらは2種以上を併用する
こともできる。ここでnが3未満であるとモノマーの水
溶解性が高いために分散液製造時に分散液の安定性の向
上に寄与せず、また15を超える場合には重合反応性に
劣るといった不具合を生じる。ここでこれらのうち10
−ウンデシレン酸が、分散液製造時の重合性、製造され
た分散液の保存安定性が特に良いことから好ましいもの
として挙げられる。
【0017】(C)は全モノマー中に0.1〜20モル
%含み、0.1〜5モル%であることが好ましく、0.
1〜2モル%がより好ましい。0.1モル%より少ない
場合には分散液の安定化作用が不十分であり、それを補
うために非反応性の乳化剤の使用量が多くなって塗膜の
耐水性を低下させるので好ましくない。また20モル%
より多い場合には塗膜の耐アルカリ性が低下するので好
ましくない。
【0018】本発明における(D)のその他の共重合可
能な化合物としては特に制限はされないが、それらを例
示するなら酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸
ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、シクロ
ヘキサンカルボン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサ
チック酸ビニル(ベオバ9、ベオバ10)等の炭素数1
〜8の分岐を有することもある脂肪酸から誘導される脂
肪酸ビニルエステル類、エチルビニルエーテル、プロピ
ルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等の
炭素数1〜6の分岐を有するかまたは環状のアルキル基
を有するアルキルビニルエーテル類、酢酸アリル、プロ
ピオン酸アリル、酪酸アリル、イソ酪酸アリル、カプロ
ン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、シ
クロヘキサンカルボン酸アリル等のカルボン酸アリルエ
ステル類、メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテ
ル、ブチルアリルエーテル等のアリルエーテル類、ヒド
ロキシブチルアリルエーテル、エチレングリコールモノ
アリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエー
テル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、グ
リセリンモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエー
テル類、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシ
ブチルビニルエーテル、ヒドロキシメチルビニルエーテ
ル等の水酸基含有ビニルエーテル類、エチレン、プロピ
レン、1−ブテン、1−オクテン等のα−オレフィン
類、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド
鎖などの親水性側鎖を持つ不飽和エステル類あるいは不
飽和エーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロ
ゲン化オレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、
ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、(メタ)アク
リル酸エチル等の(メタ)アクリロイル化合物、無水マ
レイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水テ
トラハイドロフタル酸等の不飽和カルボン酸無水物もし
くはその誘導体、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ビ
ニル酢酸、マレイン酸等の(C)以外の不飽和カルボン
酸、およびジカルボン酸、さらには10−ウンデシレン
酸ナトリウム等の不飽和カルボン酸をアルカリ物質で中
和したもの、スルホン酸含有モノマーなどがある。これ
らのなかで脂肪酸ビニルエステルおよびアルキルビニル
エーテル類は、重合性および分散液から塗膜を形成する
際の造膜性に特に優れることから好ましいものとして挙
げることができる。
【0019】(D)の比率は全モノマー中に30〜85
モル%含むことが好ましく、35〜70モル%であるこ
とがより好ましい。比率が30モル%より少ない場合は
造膜性に劣り、85モル%より多い場合には耐候性に劣
るので好ましくない。
【0020】本発明のフッ素樹脂水性分散液はフルオロ
オレフィン、オレフィン性不飽和結合とアルコキシシリ
ル基を共に有する有機珪素化合物、一般式、 CH2=CH−(CH2)n−COOH (nは3〜15の整数である。)で表される不飽和カル
ボン酸、およびその他の共重合可能な化合物を乳化重合
することにより得られる。この際の媒体としては、水性
媒体すなわち水または水と有機溶媒の混合液を用いるこ
とができる。ここで有機溶媒としては、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブ
タノール、tert−ブタノール、sec−ブタノール
等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレング
リコール等の二価アルコール類、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ等のエーテル
アルコール類、キシレン等の芳香族または脂肪族炭化水
素類、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類などが例
示される。これら有機溶媒は単独または2種以上の混合
液として使用できる。このとき使用する有機溶媒は、全
溶媒の20重量%以下で、均一な媒体となることが好ま
しい。
【0021】本発明における(C)の不飽和カルボン酸
の反応性乳化剤としての作用を確実なものとし、さらに
はアルコキシシリル基の分散液中での保存安定性を向上
させる目的から、製造時の媒体および得られた分散液の
pHを5〜9とすることが好ましく、さらに6〜9であ
ることがより好ましい。従ってここではpH調節を目的
として各種のpH調整剤を用いることが好ましく採用さ
れる。使用されるpH調整剤としては、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、オルトリン酸水素ナトリウム、チオ
硫酸ナトリウム、テトラホウ酸ナトリウム等の無機塩
類、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、アンモ
ニア、ジメチルエタノールアミン等の有機塩基類が例示
される。pH調整剤の添加量は、通常乳化重合媒体10
0重量部当り0.05〜5重量部程度である。これらは
重合時の添加または重合後の添加およびその併用が可能
である。
【0022】乳化重合の開始は重合開始剤の添加により
行われる。かかる重合開始剤としては水溶性開始剤が重
合安定性、作業性上好ましく採用される。重合開始剤の
例としては、過硫酸カリウム塩、過硫酸アンモニウム塩
等の過硫酸塩、過酸化水素、あるいはこれらと亜硫酸ナ
トリウム等の還元剤との組合せからなるレドックス開始
剤があげられる。重合開始剤の添加量は、総モノマー量
100重量部に対して0.0001〜5重量部であり、
0.001〜3重量部が好ましい。
【0023】また乳化重合開始温度は、主に重合開始剤
の種類に応じて最適温度が選定されるが、作業性、重合
反応安定性から0〜100℃、好ましくは30〜70℃
が採用される。
【0024】本発明において、重合時の乳化状態の安定
性の向上を目的として、各種分散安定剤を使用すること
もできる。ここで分散安定剤としては、アニオン系界面
活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性
剤、両性界面活性剤等の周知の界面活性剤や、ポリビニ
ルアルコール、メチルセルロース等の水溶性ポリマーが
使用できるが、ノニオン系界面活性剤が重合体との相溶
性に優れることから好ましいものとして挙げられる。よ
り好ましくは親水性と疎水性のバランスを表すHLB値
が10〜18のノニオン系界面活性剤である。これら分
散安定剤は単独または2種以上の組合せで使用してもよ
い。またこれら分散安定剤は、添加量が多いと塗膜の耐
水性、耐候性が劣るため総モノマー量100重量部に対
して10重量部以下の添加が好ましい。さらに好ましく
は5重量部以下である。
【0025】本発明のフッ素樹脂水性分散液は、そのま
までも塗料としての使用が可能であるが、塗料化に際し
ては従来より塗料の分野で常用されている各種添加剤、
すなわち可塑剤、有機溶媒、造膜助剤、分散剤、湿潤
剤、顔料、粘度調節剤、レベリング剤、凍結防止剤、防
腐剤、消泡剤、紫外線吸収剤や酸化防止剤等の安定剤な
どを1種または2種以上配合してもよい。
【0026】さらには本発明のフッ素樹脂水性分散液に
下記一般式で示されるアルキルシリケートを配合するこ
とも可能である。
【0027】
【化1】
【0028】(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基、
nは0もしくは11以下の整数である。) ここでアルキルシリケートとはテトラアルコキシシラン
またはその縮合物であり、具体的に例示すれば、テトラ
メトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプ
ロポキシシラン、テトラnープロポキシシラン、テトラ
n−ブトキシシラン、テトラ2−メトキシエトキシシラ
ン、テトラ2−エチルヘキシロキシシラン、またはこれ
らの部分加水分解物を挙げることができる。
【0029】これらのアルキルシリケートは水または各
種有機溶剤、および2種以上の混合溶媒に溶解または分
散した形態での添加が可能であるが、エマルジョン塗料
に対して一般的に使用される造膜助剤に溶解して添加す
る方法が好ましく採用される。
【0030】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの例に限定されるものではな
い。なお、以下の実施例中の部数は、特に断りのない限
り重量部を示すものである。
【0031】〔合成例1〕内容積2リットルのステンレ
ス製攪拌機付きオートクレーブに、酪酸ビニル125.
7部、ベオバ9(シェル化学製ビニルエステル)81.
2部、ピバリン酸ビニル39.5部、ビニルトリエトキ
シシラン25.1部、ウンデシレン酸40.6部、イオ
ン交換水570部、過硫酸アンモニウム2.58部、炭
酸ナトリウム10水和物1.14部、Newcol50
4(日本乳化剤製ノニオン系乳化剤)11.4部を仕込
だ。そしてオートクレーブを氷水にて冷却し、窒素ガス
で5kg/cm2になるようにオートクレーブを加圧し
た後に脱気する操作を3回繰返した後、約10mmHg
まで脱気して溶存空気を除去した。さらにオートクレー
ブ内にクロロトリフルオロエチレンを257.0部導入
した後に50℃で24時間反応を行い、固形分48.6
%のフッ素樹脂水性分散液を得た。
【0032】〔合成例2〜9〕合成例1と同様の方法
で、表1または表2に示したモノマー組成にて重合し、
表1または表2に示すフッ素樹脂水性分散液を得た。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】表1および表2の略号の説明 CTFE :クロロトリフルオロエチレン TFE :テトラフルオロエチレン VBu :酪酸ビニル V−9 :ベオバ9(シェル化学製ビニルエステ
ル) VAc :酢酸ビニル VPv :ピバリン酸ビニル V−10 :ベオバ10(シェル化学製ビニルエステ
ル) VTES :ビニルトリエトキシシラン ECAE :ε−カプロラクタム変成アリルエーテル Pr :プロピレン PKA :PKA−5003(日本油脂製アリル化
ポリエーテル) UA :10−ウンデシレン酸 APS :過硫酸アンモニウム KPS :過硫酸カリウム Na2CO3・10H2O:炭酸ナトリウム10水和物 Newcol 504:ノニオン系乳化剤(日本乳化剤
製、HLB=16.0) Newcol 566:ノニオン系乳化剤(日本乳化剤
製、HLB=14.0) 〔実施例および比較例〕合成例1〜9で得られたフッ素
樹脂水性分散液を、エバポレータによる濃縮および/ま
たは水による希釈操作により固形分が45%となるよう
に調整した。さらに造膜助剤としてブチルカルビトール
アセテートをフッ素樹脂水性分散液の固形分100部に
対して10部、および28%アンモニア溶液を分散液の
pHが7となるようにそれぞれ添加してフッ素樹脂水性
塗料(塗料1〜9)を調製した。得られた水性塗料、お
よび各水性塗料をアプリケータでアルミ板に塗布して室
温で3日間乾燥させて得た約0.2mmの塗膜に対して
表3または表4に示した項目の試験を実施し、その結果
を示した。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】・塗料の保存安定性評価 水性塗料の分散状態を、50℃にて4週間保存後に目視
観察した。 ・塗料の機械的安定性評価 水性塗料を、ディスパー(特殊機化工業(株)製、TK
−ホモディスパー)にて、3000rpmで5分間攪拌
処理を行って塗料中の凝集物発生の有無を目視観察し
た。
【0039】○;凝集なし ×;凝集物発生 ・塗膜の初期耐水性評価 塗膜を常温にて水に96時間浸漬した後に、外観変化を
観察して膨れの有無等外観変化を目視にて判定した。
【0040】○;膨れ等の外観変化なし △;一部に膨
れ等の外観変化あり ×;膨れ等の外観変化あり ・塗膜の耐汚染性評価 カーボン/水の10%分散液を塗膜上に滴下し、20℃
飽和蒸気圧下で1日、40℃で2日間乾燥し、ガーゼを
用いて滴下部を拭き取った後のカーボンの残存度合いを
目視にて観察した。
【0041】○;カーボンの痕跡が殆どなし〜薄く残存
×;カーボンの痕跡が濃く残存〜拭き取れない ・塗膜の耐候性評価 塗膜の光沢を未処理状態と、サンシャインウェザオメー
ターにて4000時間処理した後に測定し、次式にて光
沢保持率を求めて耐候性を評価した。
【0042】
【0043】
【発明の効果】本発明のフッ素樹脂水性分散液から調製
される塗料は、作業性のよい1液硬化型塗料でありなが
ら優れた保存安定性および機械的安定性を有し、しかも
得られた塗膜は初期における耐水性並びに耐汚染性、耐
候性に優れるという顕著な効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 127/12 PFG C09D 127/12 PFG 131/02 PFR 131/02 PFR 133/02 PFW 133/02 PFW 143/04 143/04 (72)発明者 長谷川 政治 埼玉県川越市今福中台2805番地 セントラ ル硝子株式会社化学研究所内 (72)発明者 堤 憲太郎 埼玉県川越市今福中台2805番地 セントラ ル硝子株式会社化学研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素樹脂が水性媒体に分散されたフッ
    素樹脂水性分散液であって、該フッ素樹脂がフルオロオ
    レフィン(A)に基づく構造単位10〜70モル%、オ
    レフィン性不飽和結合とアルコキシシリル基を共に有す
    る有機珪素化合物(B)に基づく構造単位0.1〜20
    モル%、一般式 CH2=CH−(CH2) n−COOH
    (nは3〜15の整数である。)で表される不飽和カ
    ルボン酸(C)に基づく構造単位0.1〜20モル%、
    およびその他の共重合可能な化合物(D)に基づく構造
    単位30〜85モル%からなり、(A)、(B)、
    (C)および(D)の合計が100モル%であるフッ素
    樹脂水性分散液。
  2. 【請求項2】 フルオロオレフィン(A)が、クロロト
    リフルオロエチレンおよび/またはテトラフルオロエチ
    レンである請求項1記載のフッ素樹脂水性分散液。
  3. 【請求項3】 オレフィン性不飽和結合とアルコキシシ
    リル基を共に有する有機珪素化合物(B)が、炭素数1
    〜4のアルコキシ基から選ばれるそれぞれ同じかまたは
    異なる3個のアルコキシ基を有するビニルトリアルコキ
    シシランである請求項1〜2記載のフッ素樹脂水性分散
    液。
  4. 【請求項4】 一般式 CH2=CH−(CH2)n−C
    OOH (nは3〜15の整数である。)で表される不
    飽和カルボン酸(C)が、10−ウンデシレン酸である
    請求項1〜3記載のフッ素樹脂水性分散液。
  5. 【請求項5】 その他の共重合可能な化合物(D)が、
    炭素数1〜8の分岐を有することもある脂肪酸から誘導
    される脂肪酸ビニルエステルおよび/または炭素数1〜
    6の分岐を有するかまたは脂環式のアルキル基を有する
    アルキルビニルエーテルである請求項1〜4記載のフッ
    素樹脂水性分散液。
  6. 【請求項6】 pHが5〜9であることを特徴とする請
    求項1〜5記載のフッ素樹脂水性分散液。
  7. 【請求項7】 (A)10〜70モル%、(B)0.1
    〜20モル%、(C)0.1〜20モル%および(D)
    30〜85モル%であって、(A)、(B)、(C)お
    よび(D)の合計が100モル%である単量体組成物を
    水性媒体中で乳化重合させることを特徴とする請求項1
    〜5記載のフッ素樹脂分散液の製造方法。
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