JPH09196928A - 走査型顕微鏡装置 - Google Patents

走査型顕微鏡装置

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JPH09196928A
JPH09196928A JP2469696A JP2469696A JPH09196928A JP H09196928 A JPH09196928 A JP H09196928A JP 2469696 A JP2469696 A JP 2469696A JP 2469696 A JP2469696 A JP 2469696A JP H09196928 A JPH09196928 A JP H09196928A
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probe
observed
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scanning microscope
microscope apparatus
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JP2469696A
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English (en)
Inventor
Akiyoshi Ito
彰義 伊藤
Katsuji Nakagawa
活二 中川
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Maxell Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被観測面の磁化状態を変化させることなく被
観測面の磁化特性を原子レベルで正確に観測することが
でき、被観側面のモフォロジーに依存せずに磁性のみを
独立して観測することができる走査型顕微鏡装置を提供
する。 【解決手段】 探針40を被観測面5上で走査しなが
ら、探針40と被観測面5との間の磁力を観測すること
によって被観測面の磁性を観測する走査型顕微鏡であ
る。探針40に漏洩磁界が発生しない反強磁性的結合状
態の磁性人工格子材料を用いる。また、探針40中に光
導波路を設け且つ先端に磁性層を形成することもでき
る。光源48からの光を光導波路を通じて磁性層に集光
させキュリー温度以上に加熱しながら観測することでモ
フォロジーに起因する力だけを観測し、光を照射しない
場合の観測値から差し引いて磁性に起因する力を求め
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、探針と被観測面と
の間を流れるトンネル電流あるいは探針と被観測面との
間に働く磁気的相互作用や原子間力等の相互作用による
力を検出することにより被観測面を構成する個々の原子
の物性を観測する走査型顕微鏡装置に関し、さらに詳細
には、被観測面の磁化及びその分布を変化させず被観測
面の磁気的性質を観測することができる走査型顕微鏡装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】走査型顕微鏡の中で走査型トンネル顕微
鏡は、単原子的な先端を有する探針を被観測面に接近さ
せた状態で被観測面上で走査しながら、探針と被観測面
との間を流れるトンネル電流を観測することにより被観
測面の物性を2次元的に観測することができる装置であ
る。探針は被観測面に対してX,Y及びZ方向に移動で
きるようにピエゾ素子等の圧電素子に支持されている。
圧電素子は、探針の走査時には探針をXY方向に駆動
し、探針と被観測面との間隔調節の際に探針をZ方駆動
させる。走査型トンネル顕微鏡の使用方法は大きく分け
て2種類ある。第一の方法は、図4に示すように、探針
10と被観測面5との距離を常に一定に保った状態で被
観測面5の凹凸を2次元的に探針でなぞる(図中、破線
に沿ってX方向に走査する)ことによって被観測面5の
モフォロジーを観測する方法である。この方法ではトン
ネル電流が探針を駆動する圧電素子(図示せず)にフィ
ードバックされ、トンネル電流が常に一定になるように
圧電素子が制御される。第二の方法は、図5に示すよう
に、探針のZ方向位置を一定にしたまま被観測面5上で
探針をX方向(またはY方向)に走査しながら、トンネ
ル電流を観測することによって2次元的に観測面の物性
を観測する方法である。この方法では探針と被観測面と
の距離を制御する圧電素子に印加する電圧は一定に維持
される。
【0003】上記第1及び第2の方法において、トンネ
ル電流は探針先端の原子と被観測物の表面原子との間に
流れるため、原子一個一個を判別できる分解能で観測が
可能である。また、いずれの方法においても、探針と被
観測物との間に加える電圧により観測されるトンネル電
流は異なり、被観測面の物性によっても観測されるトン
ネル電流は異なるので、走査型トンネル顕微鏡は被観測
面のモフォロジーだけでなく被観測面の物性を分析する
手段として注目されている。特に、被観測面を構成する
原子一個一個についてその電子構造の分析を行う研究が
盛んに行われている。
【0004】また、探針と被観測面との間を流れるトン
ネル電流を使わずに、探針と被観測面との間に働く磁気
力、電気力、原子間力あるいは摩擦力等の力として検出
される相互作用を測定する走査型顕微鏡が知られてい
る。この走査型顕微鏡は、探針が板バネの先端に取り付
けられ、探針が板バネを介して圧電素子に連結された構
造を有し、走査型トンネル顕微鏡と同様に圧電素子を制
御して被観測面上で探針を走査することによって観測が
行われる。走査時に、探針に被観測面との相互作用によ
り力が働くと板バネが微小変位する。この変位を光学変
位計で観測することにより探針と被観測面との相互作用
により働いた力を測定することができる。このため、走
査型顕微鏡は被観測面のモフォロジーや物性を分析する
手段として使用されている。
【0005】しかしながら、上記の走査型トンネル顕微
鏡では被観測面の電気的性質は観測できるが、磁気的性
質を観測することができない。そこで、Wiesendangerら
は、強磁性材料を走査型トンネル顕微鏡の探針に用い
て、被観測面を構成する磁性体の磁化の配置を原子レベ
ルで観測し、原子レベルの2次元分解能にて磁気特性の
観測が可能なことを示した(Wiesendanger, R., Gunthe
rodt, H. J., Guntherodt, G., Gambino, R.J. and Ru
f, R. (1990c). Phys. Rev. Lett. 65, 247)。Wiesend
angerらの実験によると、強磁性材料の探針から流れ出
る電流は被観測面の磁性体の磁化の向きにより電子のス
ピンの偏極度が異なる。図6に示すように、この電子ス
ピン偏極度の相違により、被観測面5を構成する原子3
0の磁化方向31が探針9の磁化方向(図中、探針9内
の矢印)と同方向か反対方向かでトンネル電流の流れる
性質が異なり、トンネル電流を測定することで被観測面
5の磁化特性を原子レベルで分析することができる。ま
た、この現象は流れる電流の向きが逆向きの場合でも同
様に起こる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Wiesen
dangerらが試みた走査型トンネル顕微鏡において、強磁
性体の探針は大きな漏洩磁場を発生するため、観測時に
探針を被観測面に接近させると被観測面の原子の磁化特
性あるいはその分布を変えてしまう。このため、この装
置では被観測面の磁気特性を正確に観測できないという
欠点がある。
【0007】また、探針と被観測面との間に働く磁性に
起因した相互作用による力を観測することができる走査
型顕微鏡においても、探針に強磁性体を用いる場合には
大きな漏洩磁場を発生するため、観測時に探針を被観測
面に接近させると被観測面の原子の磁化特性あるいはそ
の分布を変えてしまう。このため、探針に強磁性体を用
いた走査型顕微鏡において被観測面の磁気特性を正確に
観測できないという欠点がある。
【0008】さらに、トンネル電流を検出する走査型ト
ンネル顕微鏡や相互作用による力を検出する走査型顕微
鏡では、電流や力は、被観測面のモフォロジーに起因す
る大きさと被観測面の磁性に起因する大きさとを同時に
含んだ値として測定される。このため被観側面の磁性だ
けを分離して測定することが不可能であった。
【0009】そこで、本発明の目的は、被観測面の磁化
状態を変化させることなく被観測面磁化特性及びその分
布を原子レベルで正確に観測することができる走査型顕
微鏡装置を提供することにある。また、本発明の目的
は、被観測面のモフォロジーに依存せずに被観測面の磁
化特性を独立に観測することができる走査型顕微鏡を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に従
えば、探針を被観測面上で走査しながら、探針と被観測
面との間を流れるトンネル電流または探針と被観測面と
の間に働く相互作用による力を観測することによって被
観測面の物性を観測する走査型顕微鏡装置において、上
記探針に反強磁性的結合状態の磁性人工格子材料を用い
たことを特徴とする走査型顕微鏡装置が提供される。上
記相互作用による力は、例えば、磁気的相互作用による
力、電気的相互作用による力、原子間力、摩擦力等であ
る。上記観測される物性は、被観測面の原子レベルの磁
化特性または磁化の分布であることが好ましい。
【0011】本明細書において用語「走査型顕微鏡」と
は、探針と被観測面との間に働く磁気力、電気力、原子
間力あるいは摩擦力等の力として検出される相互作用を
測定する走査型顕微鏡のみならず、探針と被観測面との
間に流れるトンネル電流を観測する走査型トンネル顕微
鏡をも含む概念である。
【0012】本発明の原理を図1及び図2を参照して説
明する。磁性人工格子膜は、膜設計条件により図2(a)
に示すように、磁性層1の各々の磁化33が非磁性層2
を介して互いに平行を向く強磁性的結合状態、または、
図2(b) に示すように、磁性層1の各々の磁化33が非
磁性層2を介して互いに反平行を向く反強磁性的結合状
態との2種類の結合状態で形成することができる。この
うち、本発明のトンネル電流を観測する走査型顕微鏡装
置では、探針材料に図2(b) に示す反強磁性的結合状態
の磁性人工格子材料を用いる。図1に反強磁性的結合状
態の磁性人工格子材料で探針を構成した場合の概念図を
示す。この場合、最も近い磁性層同士の磁化33は互い
に反平行になるので、探針先端部4を除く探針の本体部
においては磁化が全体として打ち消し合い、強磁性材料
を用いた探針に比べて外部に発生する漏洩磁場は極めて
小さくなる。一方、探針先端部4を流れるトンネル電流
のスピン偏極度は先端部4の原子の磁化方向35に依存
するため、探針のすぐ下方にある被観測面5の原子30
の磁化が探針3の先端部4の原子の磁化35と同方向か
反対方向かでトンネル電流の電流値が異なる。従って、
探針3を被観測面5上で走査させながら、トンネル電流
を測定することにより被測定面5の磁化特性を二次元的
に且つ原子レベルで観測することが可能になり、強磁性
材料の探針を用いた場合と異なり、観測時に探針からの
漏洩磁場により被観測面5の磁化あるいはその分布を変
化させることはない。
【0013】また、探針の先端部と被観測面との間の相
互作用による力を観測するタイプの走査型顕微鏡におい
ても、図1に示したような反強磁性結合状態の磁性人工
格子膜からなる探針を使用することにより、探針3の先
端部4と被観測面5との間の力により被観測面5の物性
を観測することができる。このとき、探針3からの漏洩
磁界は強磁性体を用いる場合よりも極めて小さくなるの
で、被観測面の磁化あるいはその分布を変化させずに被
観測面5の磁性を観測することができる。
【0014】以上により、平坦な被観測面を観測する場
合に、本発明の反強磁性的結合状態の磁性人工格子材料
を用いた探針を用いることで被観測面の磁化あるいはそ
の分布を変化させずに被観測面の磁性を観測することが
できる。
【0015】本発明の第2の態様に従えば、探針を被観
測面上で走査しながら、探針と被観測面との間を流れる
トンネル電流または探針と被観測面との間に働く相互作
用による力を観測することによって被観測面の物性を観
測する走査型顕微鏡装置において、光を探針先端部に伝
播する光導波路を探針内部に有し且つ探針の少なくとも
先端部に磁性層が形成されてなる探針と、上記光導波路
に光を供給するための光源とを備えることを特徴とする
走査型顕微鏡装置が提供される。この走査型顕微鏡装置
では、光源からの光を光導波路を介して探針先端部の磁
性層に供給することによって磁性が消失する温度にまで
磁性層を加熱しながら観測を行うことができる。上記相
互作用による力は、例えば、磁気的相互作用による力、
電気的相互作用による力、原子間力、摩擦力等である。
上記観測される物性は、被観測面の原子レベルの磁化特
性または磁化の分布であることが好ましい。
【0016】従来の走査型顕微鏡装置では、被観測面上
の凹凸が激しく、被観測面から観測される電流や力が、
磁性に起因する分よりもモフォロジーに起因する分の方
が大きくなるような場合は、被観測面の磁性に起因する
電流値や力だけを分離して観測することが不可能であ
る。そこで、本発明では、光を探針先端部に伝播する光
導波路を探針内部に有し且つ探針の少なくとも先端部に
磁性層が形成されてなる探針を使用することにより、被
観測面から観測される電流値や力のうち被観測面の磁性
に起因する大きさをモフォロジーに起因する大きさから
分離して観測することができる。すなわち、図8に示す
ように、探針40の内部を光導波路51とし、その先端
部に磁性材料からなる層52を形成する。この光導波路
51に光源から光を導入すると光導波路51の先端部に
光が集光するので先端部の磁性層52の温度を上昇させ
ることができる。磁性材料にはその磁性(保磁力)を失
う温度(キュリー温度、ネール温度)があるため、磁性
層52を光照射してこの温度以上に加熱することによっ
てその磁性を消失させることができる。従って、光導波
路51を通じた光照射により磁性層52をキュリー温度
以上に加熱しながら、被観測面を観測すれば被観測面の
磁性に起因していない電流や力を観測することが可能と
なる。こうして測定した電流値または力は被観測面のモ
フォロジーのみに起因した電流値または力であるので、
この値から光導波路51に光を入射させずに観測した場
合の電流値または力から差し引くことにより、被観測面
の凹凸に関係なく被観測面の磁性だけに起因する電流値
または力を求めることが可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】図3に本発明に従う走査型トンネ
ル顕微鏡装置の構造を概略的に示す。顕微鏡装置は、探
針3と、探針3をX,Y及びZ方向にそれぞれ移動する
ピエゾ素子Px,Py及びPzと、探針の走査のための
ピエゾ素子Px及びPyの駆動制御装置24及びピエゾ
素子Pz駆動制御装置25と、それらを収容する真空装
置(図示しない)から主に構成されている。ピエゾ素子
Pz駆動制御装置25は、また、探針3と被観測面5と
の間にトンネル電圧VT を印加する電源として機能す
る。この装置により被観測物の表面5を観測するため
に、制御装置25により探針3と被観測面5との間に一
定のトンネル電圧VT を印加してそれらの間に1mA前
後のトンネル電流IT が流れるように探針3の先端部と
被観測面5との間隔を調整する。トンネル電流IT が常
に一定になるようにピエゾ素子Pz駆動制御装置25を
介してピエゾ素子Pzを駆動することにより、被観測面
5上に凹凸があっても、探針3の先端が被観測面5との
間で常に一定の間隔を保ちながら被観測面5上を走査す
ることができる。図3に示したようにピエゾ素子Px及
びPyを駆動して被観測面5のライン25上を破線27
に沿って探針を図面右側に走査させると、探針3は被観
測面5の段差位置26で異なるトンネル電流を発生する
が、ピエゾ素子Pz駆動制御装置25はトンネル電流を
段差位置26にさしかかる前と同様の値に維持するため
にピエゾ素子PzをZ方向に駆動させる。このとき、ピ
エゾ素子Pzに印加される電圧を読み取ることによって
被観測面の凹凸を観測することが可能となる。
【0018】図3に示した走査型トンネル顕微鏡装置の
探針部分を図1を用いて説明する。なお、図3の走査型
トンネル顕微鏡装置は、探針部分を除いて、従来の走査
型トンネル顕微鏡装置と同様に構成することができる。
【0019】図1に示した探針3は、磁性層1と非磁性
層2とが交互に積層しており且つ上下の磁性層の磁化の
向きが互いに逆向きである反強磁性結合状態の磁性人工
格子膜で構成されている。磁性層1としては、Fe,C
oまたはNi等の磁性元素から構成することができ、非
磁性層2としては、Cu,Au,Cr等の金属元素から
構成することができる。Feはトンネル電流のスピン偏
極度が最も大きく、トンネル電流変化の検出感度が高く
なるという理由から、Feを磁性層1に用いるのが好ま
しい。磁性層1と非磁性層2との好ましい組合せとし
て、Fe/Cu,Fe/Au,Fe/Cr,Co/C
u,Co/Auを挙げることができる。それらの磁性層
1と非磁性層2との厚みは、一般に数オングストローム
から数十オングストロームであり、両層の厚みを適宜調
節することにより反強磁性結合状態の磁性人工格子を形
成することができる。例えば、磁性層1にFeを、非磁
性層2にCrを用いる場合、前者を30オングストーム
程度とし、後者を9オングストーム程度とすることによ
って反強磁性結合状態の磁性人工格子を得ることができ
る。なお、探針全体の寸法は、通常の走査型トンネル顕
微鏡装置の探針と同様の寸法でよい。
【0020】図1に示したような反強磁性結合状態の磁
性人工格子よりなる探針は種々の方法により製造するこ
とができる。例えば、直径1mm前後で長さが10mm
以下の円筒状のタングステンまたは白金棒を用意し、ス
パッタリングや蒸着法等のドライプロセスで磁性材料及
び非磁性材料を棒の先端部に所定の厚さで交互に成膜す
る。次いで、エッチングやイオンビームを用いて先端部
を先細り形状となるように加工すればよい。この加工に
は集束イオンビーム(FIB)加工装置を用いるのが有
利である。あるいは、最初から先細り形状のタングステ
ンの探針(通常の走査型トンネル顕微鏡装置で使用され
る探針を用いることができる)を用意して、それをスパ
ッタ装置や蒸着装置中で前記のように磁性材料と非磁性
材料とを交互に成膜することによっても製造することが
できる。この場合、探針の外周に沿って磁性層と非磁性
層が交互に積層された反強磁性結合状態の磁性人工格子
の探針が得られる。
【0021】図7に、探針と被観測面との間に働く各種
の相互作用による力を観測することができる走査型顕微
鏡装置の構造を概略的に示す。この走査型顕微鏡装置
は、図3に示した走査型トンネル顕微鏡装置の探針支持
体20に板バネ45の一端側を取付け、板バネ45の他
端側に探針3を取り付ける。板バネ52の上方には位置
検出用フォトダイオード46及びその光源である半導体
レーザ47が設置されており、半導体レーザ47から射
出されたレーザ光は板バネ45の表面で反射されてフォ
トダイオード46に入射するように配置されている。探
針3と被観測面5との間に磁気的な相互作用による力が
発生すると、板バネ45がZ方向に変位し、その変位量
に応じてフォトダイオード46への入射位置が異なって
くる。この入射位置に基づく板バネ45の変位量から相
互作用の力の大きさを測定することができる。
【0022】図3及び図7に示した走査型顕微鏡装置の
探針3の部分を図8に示した構造を有する探針を用いる
ことによって、被観測面の凹凸に依存しない被観測面の
磁性に基づく電流値または相互作用による力を観測する
ことができる。図8に示した探針40は内部に光ファイ
バからなる光導波路51を有し、先鋭化した光導波路5
1の先端部55に磁性層52を備える。光導波路51の
先端部55以外の外周には金属膜53が被覆されてい
る。従って、光導波路51の先鋭化していない方の端部
から光が導入されると、光は金属膜53に反射されて先
端部55に集光することになる。光導波路51の先鋭化
していない方の端部は図7に示すように板バネ45の開
口部60に取り付けることができる。観測時には、板バ
ネ45の上方に設置されたレーザ光源48から光導波路
51にレーザ光が入射され、前述の原理に従って、磁性
層52がそのキュリー温度以上に加熱されて磁性を失
う。この状態で探針40を被観測面5上で走査し、被観
測面5との間の電流または相互作用による力を観測す
る。この観測により被観測面のモフォロジーに起因する
相互作用による力や電流値を求めることができる。次い
で、レーザ光源48からの光を光導波路51に照射せず
に、すなわち、磁性層52をレーザ光により加熱せずに
被観測面を同様に観測する。この観測値から先に観測し
たモフォロジーに起因する相互作用による力や電流値を
差し引くことにより、被観測面の磁性に起因する相互作
用による力や電流値のみを求めることができる。
【0023】磁性層52を構成する磁性材料としては、
種々のものを使用することができ、Fe,Co,Ni等
の強磁性材料またはフェリ磁性材料、Fe,Co,N
i,Cr等の反強磁性材料を使用することができる。図
8に示したように、磁性層52を探針40の先端部55
だけに設ける場合は、強磁性材料を用いても漏洩磁界は
比較的少ない。漏洩磁界を一層低減するために反強磁性
材料を使用することが好ましい。特に、図1の探針3を
構成する磁性層1と非磁性層2の材料として例示したよ
うな組合せの反強磁性的結合状態の磁性人工格子材料を
使用するのが好ましい。
【0024】図8に示した探針40は以下のようにして
製造することができる。ガラスあるいはプラスチック製
の光ファイバの先端を集束イオンビーム(FIB)装置
を用いて先鋭化することによって光導波路51を作製す
る。プラスチック製の光ファイバを用いる場合には、化
学エッチングによる先鋭化も可能である。光ファイバの
先鋭化された部分はコア部分がむき出しになる。図8に
示したように光導波路51の先端部55だけに磁性材料
を形成する場合には、先鋭化した光ファイバの周囲にA
l,Cu等の金属元素をスパッタ装置や蒸着装置で金属
膜を積層する。次いで、レジスト材を光ファイバの周囲
に塗布する。先端部を集束イオンビーム装置でエッチン
グしてレジスト材と金属膜を除去し、磁性材料をスパッ
タ法や蒸着法等で積層する。この後、レジスト材をリフ
トオフ法で除去すると図8の探針40を得る。また、光
ファイバの先端部55のみならず先鋭化された側面にも
磁性材料を積層する場合には、先鋭化した光ファイバ
に、直接、磁性材料をスパッタ法や蒸着法で積層するこ
とにより図9に示したような断面構造の探針40を製造
することができる。図8及び図9の探針構造において、
磁性層52として反強磁性結合状態の磁性人工格子材料
の層を用いる場合には、前述のようにスパッタ法や蒸着
法で磁性層と非磁性層とを交互に積層することができ
る。
【0025】
【発明の効果】反強磁性結合状態の磁性人工格子材料を
用いた探針を通常の走査型顕微鏡の探針として用いるこ
とにより、探針からの漏洩磁界は殆どなく、観測時に被
観測物の磁化特性を変化させることがない。従って、本
発明の走査型顕微鏡装置は被観測物の表面の磁化及び磁
化分布を正確に観測することができる。また、本発明の
走査型顕微鏡装置は被観測表面の磁性に起因する電流値
や相互作用による力をモフォロジーに起因する電流値や
相互作用による力から分離して測定することができる。
従って、本発明の走査型顕微鏡装置は、磁性体の原子レ
ベルでの磁化状態の観測に好適であり、例えば、ハード
ディスクや光磁気ディスクの記録状態、すなわち、磁区
がいかなる形で形成されているか等を観測するのはもち
ろんのこと、磁性体の原子レベルでの磁性原子の配置や
磁化の大きさ、向きの観測に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の走査型顕微鏡装置に使用される
探針部分の構造を示す。
【図2】図2は磁性人工格子の断面構造を示し、(a) は
強磁性結合状態を示し、(b) は本発明に使用される反強
磁性結合状態を示す。
【図3】図3は本発明の走査型トンネル顕微鏡装置の構
造概略図である。
【図4】図4は、走査型トンネル顕微鏡装置の第一の使
用方法を概念的に示す図であり、探針と被観測面との距
離を常に一定に保った状態で被観測面の凹凸を2次元的
に探針でなぞることによって被観測面のモフォロジーを
観測する方法を説明する図である。
【図5】図5は、走査型トンネル顕微鏡装置の第二の使
用方法を概念的に示す図であり、探針のZ方向位置を一
定にしたまま被観測面上で探針をXまたはY方向に走査
しながら、トンネル電流を観測することによって2次元
的に観測面の物性を観測する方法を説明する図である。
【図6】図6は走査型顕微鏡装置の探針に強磁性材料を
用いた場合の探針及び被観測面の磁化の方向を示す図で
ある。
【図7】図7は被観測面と探針との間の相互作用による
力を観測する走査型顕微鏡装置の構造概略図である。
【図8】図8は探針内部に光導波路を備え且つ光導波路
の先端部に磁性層を形成した探針の断面図である。
【図9】図9は探針内部に光導波路を備え且つ先鋭化さ
れた光導波路の周囲に磁性層を形成した探針の断面図で
ある。
【符号の説明】
1 磁性層 2 非磁性層 3 探針 4 探針の先端部 5 被観測面 9 強磁性体の探針 10 探針 Px X方向駆動のピエゾ素子 Py Y方向駆動のピエゾ素子 Pz Z方向駆動のピエゾ素子 20 探針支持体 24 Px及びPyの駆動制御装置 25 Pzの駆動制御装置 26 被観測面の段差部 27 探針の走査軌跡 30 被観測面の原子 40 探針 45 板バネ 46 フォトダイオード 47,48 レーザ光源 51 光導波路 55 先端部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01R 33/12 G01R 33/12 Z

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 探針を被観測面上で走査しながら、探針
    と被観測面との間を流れるトンネル電流または探針と被
    観測面との間に働く相互作用による力を観測することに
    よって被観測面の物性を観測する走査型顕微鏡装置にお
    いて、 上記探針に反強磁性的結合状態の磁性人工格子材料を用
    いたことを特徴とする走査型顕微鏡装置。
  2. 【請求項2】 上記相互作用による力が、磁気的相互作
    用による力、電気的相互作用による力、原子間力及び摩
    擦力からなる群から選ばれる少なくとも一種の力である
    ことを特徴とする請求項1記載の走査型顕微鏡装置。
  3. 【請求項3】 上記物性が、被観測面の磁化または磁化
    の分布であることを特徴とする請求項1または2に記載
    の走査型顕微鏡装置。
  4. 【請求項4】 上記反強磁性的結合状態の磁性人工格子
    材料が、Fe,Co及びNiからなる群から選ばれた元
    素よりなる磁性層とCu,Au及びCrからなる群から
    選ばれた元素よりなる非磁性層とを積層してなることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の走査型顕
    微鏡装置。
  5. 【請求項5】 上記探針が光を探針先端部に伝播する光
    導波路を内部に有し且つ探針の少なくとも先端部に反強
    磁性的結合状態の磁性人工格子材料の層が形成されてな
    り、さらに上記光導波路に光を供給するための光源を備
    えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載
    の走査型顕微鏡装置。
  6. 【請求項6】 探針を被観測面上で走査しながら、探針
    と被観測面との間を流れるトンネル電流または探針と被
    観測面との間に働く相互作用による力を観測することに
    よって被観測面の物性を観測する走査型顕微鏡装置にお
    いて、 光を探針先端部に伝播する光導波路を探針内部に有し且
    つ探針の少なくとも先端部に磁性層が形成されてなる探
    針と、 上記光導波路に光を供給するための光源とを備えること
    を特徴とする走査型顕微鏡装置。
  7. 【請求項7】 上記光源からの光を光導波路を介して探
    針先端部の磁性層に供給することによって磁性が消失す
    る温度にまで磁性層を加熱しながら観測を行うことを特
    徴とする請求項6記載の走査型顕微鏡装置。
  8. 【請求項8】 上記磁性材料が、Fe,Co及びNiか
    らなる群から選ばれた一種の強磁性材料またはフェリ磁
    性材料であることを特徴とする請求項6または7に記載
    の走査型顕微鏡装置。
  9. 【請求項9】 上記磁性材料が、Fe,Co,Ni及び
    Crからなる群から選ばれた一種の反強磁性材料である
    ことを特徴とする請求項6または7に記載の走査型顕微
    鏡装置。
  10. 【請求項10】 上記磁性材料が、Fe,Co及びNi
    からなる群から選ばれた元素よりなる磁性層とCu,A
    u及びCrからなる群から選ばれた元素よりなる非磁性
    層とを積層してなる反強磁性的結合状態の磁性人工格子
    材料であることを特徴とする請求項6または7に記載の
    走査型顕微鏡装置。
  11. 【請求項11】 上記相互作用による力が、磁気的相互
    作用による力、電気的相互作用による力、原子間力及び
    摩擦力からなる群から選ばれる少なくとも一種の力であ
    ることを特徴とする請求項6〜10のいずれか一項に記
    載の走査型顕微鏡装置。
  12. 【請求項12】 上記物性が、被観測面の磁化または磁
    化の分布であることを特徴とする請求項6〜11のいず
    れか一項に記載の走査型顕微鏡装置。
JP2469696A 1996-01-18 1996-01-18 走査型顕微鏡装置 Pending JPH09196928A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017044664A (ja) * 2015-08-28 2017-03-02 国立大学法人金沢大学 液中原子間力顕微鏡

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