JPH09208306A - ジルコニア部材およびその製造方法 - Google Patents
ジルコニア部材およびその製造方法Info
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- JPH09208306A JPH09208306A JP8018640A JP1864096A JPH09208306A JP H09208306 A JPH09208306 A JP H09208306A JP 8018640 A JP8018640 A JP 8018640A JP 1864096 A JP1864096 A JP 1864096A JP H09208306 A JPH09208306 A JP H09208306A
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Abstract
いて、機械的強度および靭性等と、水蒸気劣化の抑制と
を両立させる。 【解決手段】 酸化イットリウムで安定化された正方晶
ジルコニアを 80%以上含むジルコニア部材であって、酸
化イットリウムの平均濃度が 5.6〜 8重量% の範囲であ
ると共に、微小領域における酸化イットリウムの濃度が
5.5〜 6.5重量%の範囲の濃度分布領域が 50%以上含ま
れている。さらに、ジルコニア部材のX線回折(Cuタ
ーゲット使用)により得られる (002)面と (200)面との
回折ピーク角度差△ 2θ1 =0.82−0.05x±0.05、 (22
0)面と (202)面との回折ピーク角度差△ 2θ2 =0.63−
0.04x±0.05、 (311)面と (113)面との回折ピーク角度
差△2θ3 =1.05−0.06x±0.05(xは酸化イットリウ
ムの濃度(重量%))うち、少なくとも 1つの条件を満足
する。すなわち歪みが除去されている。
Description
共に水蒸気劣化が抑制されたジルコニア部材およびその
製造方法に関する。
融点、低熱伝導率等を有することから、耐熱高温部材と
して広く使用されている。また、高熱膨張率を有するこ
とから金属部材との複合材料形成用部材としても用いら
れている。さらに、酸化物系では比較的高強度であるこ
とから幅広く用いられている。例えば、耐熱高温部材と
しては耐火煉瓦、ジルコニア高強度焼結体等が挙げら
れ、また複合材料形成用部材としてはガスタービンの遮
熱被覆層等が挙げられる。
単斜晶が安定相であるが、温度を上げていくと 1273K付
近で単斜晶から正方晶に可逆的に相転移する。降温時に
1273K 付近で起こる正方晶から単斜晶への相転移は体積
膨張を伴い、この体積膨張により機械的強度等が低下す
ることから、高温で安定な正方晶や立方晶の結晶構造を
有するジルコニアを、室温まで相転移を起こさせずに安
定化させた、いわゆる安定化ジルコニアが一般的に用い
られている。
呼ばれるアルカリ土類金属(Mg、Ca)や希士類元素
を含む化合物が用いられる。特に強度が必要とされる部
材においては、ジルコニアを安定化させる物質として酸
化イットリウムが用いられており、かつ高靭性な正方晶
ジルコニアが利用されている。
蒸気が存在する雰囲気で 373〜673K程度の温度に保持さ
れると、安定化されているはずの正方晶ジルコニアが単
斜晶ジルコニアに相転移する現象が起こる。この現象は
安定化ジルコニアの水蒸気劣化として知られている。こ
のような水蒸気劣化を抑制するために、安定化剤の濃度
を高くしたり、粒径を小さくする等の手法が用いられて
いる。例えば、安定化剤の平均組成を 8重量% 以上とい
うように高くすることによって、安定化ジルコニアの水
蒸気劣化が抑制される。
度を高くした安定化ジルコニアでは、高強度が得られな
いという問題がある。すなわち、例えばY2 O3 で安定
化したジルコニア焼結体では、 3.0mol%(5.4重量%)Y2
O3 −ZrO2 組成(正方晶)において最も高強度およ
び高靭性が得られることが知られているが、Y2 O3濃
度を 8重量% 以上としたY2 O3 安定化ZrO2 では、
Y2 O3 組成の増加によって機械的強度や靭性が低下し
てしまう。さらに、Y2 O3 組成が 8重量% 以上の安定
化ジルコニアであっても、微小領域におけるY2 O3 濃
度分布を例えば6.5重量% 以上としなければ、十分良好
に水蒸気劣化を抑制できないため、原料粉末の管理や製
造プロセスの管理を厳密に行う必要があり、製造工程の
繁雑化等を招いていた。
3.0mol%(5.4重量%)Y2 O3 −ZrO2 組成の安定化ジ
ルコニアは、上述したように水蒸気雰囲気に保持すると
単斜晶への相転移が起こってしまうので、このような雰
囲気では使用できない。
機械的強度が大きく、かつ高靭性を有する 3.0mol%Y2
O3 −ZrO2 組成の安定化ジルコニア部材は、水蒸気
が存在する雰囲気で使用した際に正方晶から単斜晶への
相転移が起こり、この相転移に伴って機械的強度が低下
するという問題を有している。一方、水蒸気劣化を抑制
するために、Y2O3 組成を 8重量% 以上とした安定化
ジルコニア部材では、基本的な機械的強度や靭性の低下
が避けられいないという問題がある。
定化ジルコニア部材においては、機械的強度および靭性
等と、水蒸気劣化の抑制とを両立させることが課題とさ
れている。
なされたもので、機械的強度および靭性に優れ、その上
で水蒸気劣化を安定して抑制することを可能にしたジル
コニア部材およびその製造方法を提供することを目的と
している。
は、酸化イットリウムで安定化された正方晶ジルコニア
を 80%以上含むジルコニア部材であって、前記酸化イッ
トリウムの平均濃度が5.6〜 8重量% の範囲であると共
に、微小領域における前記酸化イットリウムの濃度が
5.5〜 6.5重量% の範囲の濃度分布領域が 50%以上含ま
れており、かつX線回折(Cuターゲット使用)により
得られる (002)面と (200)面との回折ピーク角度差を△
2θ1 、 (220)面と (202)面との回折ピーク角度差を△
2θ2 、(311)面と (113)面との回折ピーク角度差を△
2θ3 としたとき、△ 2θ1 =0.82−0.05x±0.05、△
2θ2 =0.63−0.04x±0.05、および△ 2θ3 =1.05−
0.06x±0.05(ただし、xは酸化イットリウムの濃度
(重量%)を示す)の少なくとも 1つの条件を満足するこ
とを特徴としている。
は、上述した本発明のジルコニア部材の製造方法であっ
て、酸化イットリウムの平均濃度が 5.6〜 8重量% の範
囲であると共に、微小領域における酸化イットリウムの
濃度が 5.5〜 6.5重量% の範囲の濃度分布領域が 50%以
上含まれている前記ジルコニア部材を 773〜 1523Kの範
囲で熱処理し、前記ジルコニア部材表面の歪みを除去す
る工程を有することを特徴としている。
ける回折ピーク角度差△ 2θ1 、△ 2θ2 、△ 2θ3 で
表されるように、ジルコニア部材表面の歪みを除去して
いる。これは、格子歪みは化学的に活性であるため、歪
みが存在していると水蒸気による劣化が促進されるため
である。言い換えると、ジルコニア部材表面の歪みを除
去することによって、水蒸気劣化を抑制するために必要
なジルコニア中の酸化イットリウム濃度を低下させるこ
とが可能となる。
ルコニア部材においては、酸化イットリウムの平均濃度
を 5.6〜 8重量% の範囲とした上で、微視的に見た場合
に酸化イットリウム濃度が 5.5〜 6.5重量% の範囲の濃
度分布領域が 50%以上存在していて、水蒸気劣化を十分
に抑制することができる。このように、酸化イットリウ
ムの低濃度領域側で水蒸気劣化を抑制することによっ
て、最も高強度および高靭性が得られる 3.0mol%(5.4重
量%)Y2 O3 −ZrO2 組成のジルコニア部材にほぼ匹
敵する機械的強度および靭性を得ることが可能となる。
すなわち、本発明のジルコニア部材は、機械的強度およ
び靭性と水蒸気劣化の抑制とを両立させたものであると
いうことができる。
な機械的強度を得る上で酸化イットリウムで安定化され
た正方晶ジルコニアを、体積比で少なくとも 80%含む必
要があり、正方晶が 80%未満であると必要な機械的強度
が得られなくなる。正方晶以外の構成相は、単斜晶、立
方晶、およびこれらの混合物のいずれであってもよい
が、正方晶以外の相を含む場合には立方晶とすることが
好ましい。正方晶ジルコニアの体積比は 90%以上である
ことがさらに好ましく、望ましくは実質的に全ての構成
相を正方晶とすることである。
態について説明する。
体、耐火物等の他に、金属やセラミックスへの被覆材、
すなわち遮熱コーティング材等として使用することもで
きる。特に、機械的強度が必要とされる部材や、高温部
と低温部の熱サイクルが作用するような部位で使用され
る部材に好適である。
ルコニア部材は酸化イットリウムで安定化された正方晶
ジルコニアを体積比で 80%以上含み、かつジルコニア部
材中の酸化イットリウムの平均濃度を 5.6〜 8重量% の
範囲とすると共に、微小領域における酸化イットリウム
濃度が 5.5〜 6.5重量% の範囲の濃度分布領域を 50%以
上含むようにする。
均組成)は、ジルコニア部材中の正方晶の比率、ならび
にジルコニア部材の本質的な機械的強度や靭性に関与す
るため、 5.6〜 8重量% の範囲とする必要がある。酸化
イットリウムの平均濃度が 8重量% を超えると、正方晶
ジルコニアにおける酸化イットリウム濃度の高強度領域
からはずれると共に、立方晶の量が増大するため、ジル
コニア部材の本質的な機械的強度が低下してしまう。一
方、酸化イットリウムの平均濃度が 5.6重量%未満であ
ると、後に詳述する歪み除去処理を施しても、水蒸気腐
食による機械的強度の低下を抑制することができなくな
る。酸化イットリウムの平均濃度は 5.6〜 7重量% の範
囲とすることがさらに好ましく、望ましくは 5.6〜 6.3
重量% の範囲である。
ム濃度は、水蒸気雰囲気中で保持した場合に起こる正方
晶から単斜晶への相転移を抑制するために、微小領域に
おける酸化イットリウム濃度が 5.5〜 6.5重量% の範囲
の濃度分布領域が 50%以上となるようにする必要があ
る。ここで、上記酸化イットリウムの微小領域における
濃度分布は、直径 1μm の測定領域で特定した場合の濃
度を指すものとする。例えば、EPMAのプローブ径で
1μm での酸化イットリウム濃度換算による濃度分布と
する。さらには、TEM観察で得られる個々のジルコニ
ア粒子内の酸化イットリウム濃度分布が上記した条件を
満足することが望ましい。
上述したように 5.5〜 6.5重量% の範囲とする。すなわ
ち、微視的に見た場合の酸化イットリウムの主とする濃
度分布領域が 5.5重量% 以上であれば、歪み除去処理を
施すことによって、水蒸気腐食による機械的強度の低下
を十分に抑制することが可能となる。言い換えると、酸
化イットリウム濃度が 5.5重量% 未満の濃度分布領域が
相対的に増大すると、後に詳述する歪み除去処理を施し
ても、水蒸気腐食による機械的強度の低下を抑制するこ
とができなくなる。
う劣化を抑制するためには、実質的に全ての微小領域に
おける酸化イットリウム濃度を例えば 6.5重量% 以上と
いうように高くする必要があった。しかし、実際問題と
して酸化イットリウムの濃度分布を厳密に制御すること
は難しく、特に下限値濃度以下の微小領域が生成しない
ように十分配慮しなくてはならなかった。さらに、微小
領域の酸化イットリウム濃度を上記した下限値濃度以上
とするために、酸化イットリウムの平均濃度が8重量%
以上というようなジルコニア部材になってしまい、本来
最も強度および靭性値が大きいジルコニア組成(Y2 O
3 平均組成: 5.4重量% )からのずれが増大して、本質
的な機械的強度の低下を招いていた。
合の酸化イットリウムの主とする濃度分布領域の濃度を
5.5重量% 以上とすればよく、微小領域における酸化イ
ットリウム濃度の制御が容易となるだけでなく、水蒸気
腐食による劣化を抑制した上で、本来最も強度および靭
性値が大きいジルコニア組成近傍の組成を利用すること
が可能となるため、本質的に優れた機械的強度を得るこ
とが可能となる。
布領域の酸化イットリウム濃度が高すぎると、機械的強
度が相対的に低下するため、上限値は 6.5重量% とす
る。微小領域の酸化イットリウム濃度は 5.6〜 6.3重量
% の範囲とすることがさらに好ましい。
濃度が 5.5〜 6.5重量% の範囲の濃度分布領域が上述し
たような測定に伴う面積比で 50%未満であると、後に詳
述する歪み除去処理を施すことで、水蒸気腐食による機
械的強度の低下を抑制することができるものの、高強度
を有する部材は得ることができない。このように、上記
濃度分布領域の存在量が 50%以上とすれば水蒸気腐食に
よる劣化が抑制でき、かつ高強度部材が得られるため、
この点からも微小領域における酸化イットリウム濃度の
制御が容易となる。上記した酸化イットリウム濃度を有
する微小領域は80%以上含んでいることがさらに好まし
く、望ましくは 90%以上、さらに望ましくは95% 以上で
ある。これらによって、より一層機械的強度が大きいジ
ルコニア部材を得ることが可能となる。
な酸化イットリウムの濃度条件を満足させた上で、歪み
除去処理により歪みが除去されたものである。具体的に
は、例えばジルコニア部材に 773〜 1523Kの温度範囲で
熱処理を施して、ジルコニア部材表面の歪みを除去す
る。これによって、水蒸気劣化の抑制に必要な酸化イッ
トリウムの主とする濃度分布領域の下限濃度を 5.5重量
% 以上とすることができる。
は、Cuターゲットを用いて行ったX線回折により得ら
れる、 (002)面と (200)面との回折ピーク角度差△ 2θ
1 、(220)面と (202)面との回折ピーク角度差△ 2
θ2 、 (311)面と (113)面との回折ピーク角度差△ 2θ
3 から判定することができる。そして、本発明の歪みが
除去されたジルコニア部材は、上記X線回折による回折
ピーク角度差△ 2θ1 、△ 2θ2 、△ 2θ3 が △ 2θ1 = 0.82−0.05x±0.05 ……(1) △ 2θ2 = 0.63−0.04x±0.05 ……(2) △ 2θ3 = 1.05−0.06x±0.05 ……(3) (ただし、xは酸化イットリウムの濃度(重量%)を示
す)の少なくとも 1つの条件を満足するものである。
以上のジルコニア部材の典型的な酸化イットリウム濃度
と回折ピーク角度差△ 2θ1 、△ 2θ2 、△ 2θ3 との
関係を示す。また、図3に耐火物や溶射被覆層等の相対
密度が 90%以下のジルコニア部材の同様な関係を示す。
図2ではY2 O3 濃度分布が不均一なジルコニア、図3
はY2 O3 が均一に分布したジルコニアの回折ピーク角
度差を示している。図2では、△ 2θ1 、△ 2θ2 、△
2θ3 が図1のそれと重なる部分があるが、Y2 O3 の
不均一性のために回折ピーク角度差が明瞭でない。その
ため、図1と比べると△ 2θ3 が重なっていたり、高Y
2 O3 濃度組成で△ 2θ1 、△ 2θ2 が重なっている。
図3に示す回折ピーク角度差△ 2θ1 、△ 2θ2 、△ 2
θ3 を有する場合には、ジルコニア部材表面は歪んでい
るといえる。このため、そのままの状態で水蒸気雰囲気
で保持すると、水蒸気劣化が生じて機械的強度等が低下
してしまい、応力が作用するような構造部材に使用した
場合には破損や破壊等を招いてしまう。
理、機械的な歪み面の除去、これらの組合せ等によっ
て、ジルコニア部材表面の歪みを除去する。歪み除去処
理については後に詳述する。歪みを除去したジルコニア
部材は、図1に斜線で示した領域に回折ピーク角度差△
2θ1 、△ 2θ2 、△ 2θ3 が存在する。すなちわ、上
述した (1)式、 (2)式および (3)式に示すそれぞれの条
件を満足することになる。ここで、ジルコニア部材表面
の歪みの除去程度は、 (1)式〜 (3)式の少なくとも1つ
を満足するものであればよいが、水蒸気腐食を安定かつ
再現性よく抑制する上で、 (1)式、 (2)式および (3)式
の全てを満足させることが望ましい。
回折ピーク角度差△ 2θ以外に、正方晶ジルコニアの格
子定数によっても判定することができる。具体的な方法
は、Siまたはα−アルミナを内部標準試料または外部
標準試料として用いて、X線回折法により (400)面およ
び (004)面の回折角度を精密に測定する。これらの回折
角度を用いて算出した正方晶ジルコニアの格子定数a、
cが a=0.50877+0.000328x±0.0001(nm) ……(4) c=0.51886−0.000198x±0.0001(nm) ……(5) (ただし、xは酸化イットリウムの濃度(重量%)を示
す)を満足すれば、歪みは明瞭に解放されたと考えるこ
とができる。なお、上記(4)式、 (5)式における酸化イ
ットリウム濃度xは公称濃度ではなく、ICP等の化学
分析値により得た濃度を意味する。
定数においては、特にc軸が既報の同組成の酸化イット
リウムを含む正方晶ジルコニアに比べ大きいのが特徴で
あり、歪みが存在するときにはc軸長が0.0002〜0.0005
nm程度小さい。一般に報告されている酸化イットリウム
で安定化した正方晶ジルコニアの格子定数は、歪みが残
存している場合が多い。代表的な例としては、a=0.508
78+0.000353x(nm)、c=0.51886− 0.0002134x±0.00
01(nm)(虎谷,J.Am.Ceram. Soc.,72[4] 662-664(198
9))が知られているが、この報告例は上述した本発明に
おける格子定数よりc軸長が小さく、歪みが残存してい
ることが分かる。
る格子定数を有する正方晶ジルコニアを含むジルコニア
部材は、歪みが明瞭に解放されていると考えられる。そ
して、このようなジルコニア部材によれば、水蒸気腐食
を安定かつ再現性よく抑制することが可能となる。
定数以外にも、ジルコニア部材表面の歪みの有無を検知
する手法がある。本発明のジルコニア部材においては、
部材表面に歪みが少ないことが望ましく、具体的には歪
みが少ない場合には、 (1)正方晶または立方晶の歪みの
(111)面の回折ピーク(2θ=30deg) の形状が対称にな
る、 (2)単斜晶ジルコニアの回折ピークが観測されなく
なるため、これらの条件を満足させることが望ましい。
菱面体構造のジルコニア(JCPDS37-1307) が共存してい
て、菱面体ジルコニアの (101)面の回折ピーク(2θ=29d
eg)が同時に観測されるために、正方晶ジルコニアまた
は立方晶ジルコニアの (111)面の回折ピーク(2θ=30de
g) の形状が非対称になる。また、 (2)残留歪みの影響
で安定化剤濃度が正方晶ジルコニアを安定化させるため
に必要な量以上分布しているにもかかわらず、単斜晶ジ
ルコニアが観測される。
ルコニアの回折ピークの非対称性や単斜晶ジルコニアの
回折ピークは、残留歪みの存在を示唆しているために望
ましくない。しかし、後に詳述する条件で熱処理、エッ
チング、研磨等を施して歪みを除去すれば、水蒸気劣化
を抑制することができる。
足し、かつ歪みが除去されたジルコニア部材は、高強度
・高靭性を有する上に、水蒸気雰囲気中でも機械的強度
を低下させることなく使用することができる。特に、機
械的強度や高靭性を求められる部材において、従来の酸
化イットリウム濃度が高いジルコニア部材よりも優れた
機械的強度および靭性値を有するジルコニア部材を、水
蒸気劣化の生じる環境下で、強度低下を招くことなく使
用することができる。
ち前述した酸化イットリウムの濃度条件を満足し、かつ
歪みが除去されたジルコニア部材は、例えば以下のよう
にして作製することができる。
て述べる。ジルコニア焼結体を得る際には、酸化イット
リウム組成として 5.6重量% 以上の系で、酸化イットリ
ウムを均一に含む安定化ジルコニア粉末を作製する。具
体的には、共沈法やゾルゲル法等を用いて、酸化イット
リウム粉末とジルコニア粉末から安定化ジルコニア粉末
を作製する。このような方法を適用することにより、均
一な状態の粉末を作製することができる。
安定化ジルコニア粉末を焼成してジルコニア焼結体を作
製する。焼成条件は、酸化イットリウムの偏析を防止し
得ると共に、歪みができるだけ残らないように設定する
ことが好ましい。具体的には773〜 1523K程度の温度で
1〜10時間程度の条件で焼成することが好ましい。
理、化学的なエッチング処理、機械的な歪み面の除去処
理等により歪み除去処理を施す。歪み除去処理に熱処理
を適用する場合の温度は 773〜 1523Kの範囲とするが、
1123K以上であれば例えば5時間以内でジルコニア焼結
体の歪みを除去することができ有効である。熱処理温度
が773K未満では歪み除去に長時間を要して実用的ではな
く、また 1523Kを超えるとジルコニア粒子の焼結がはじ
まり、それに伴って酸化イットリウムの析出が起って
5.5重量% を下回る部分が増加する。
塩酸、硝酸および硫酸の少なくとも1種を含む混合希酸
に侵積させることで実施でき、また機械的な歪み面の除
去処理は例えば#180 以上のエメリー紙等で表面を約30
μm 程度研磨することによって実施する。これらによっ
ても歪み除去を行うことができるが、若干歪みが残留す
る可能性があるため、熱処理工程を併せて行うことが好
ましい。このように、歪み除去処理としては、その実施
の容易性と得られる効果とから、熱処理を適用すること
が望ましい。
ついて述べる。まず、酸化イットリウム粉末とジルコニ
ア粉末とを混合した後、電融法を用いてジルコニア被覆
層用の原料粉末を作製することが好ましい。すなわち、
上記混合粉末を電融した後、急冷して粉体化する。この
とき、電融時の加熱温度および加熱時間はできるだけ大
きいことが望ましい。例えば、原料粉末の融点(2400℃
程度)以上の温度で加熱し、加熱時間を 1時間以上とす
るこことが好ましい。
等に特に制約されることはなく、溶射法やPVD、CV
D等のいずれの方法を適用することもできる。ただし、
ガスタービン等の発電プラント部材や化学プラント部材
等、複雑形状で量産される部品には、溶射法やEB−P
VD等のPVD法を適用することが好ましく、また固体
電解質燃料電池の電解質部材やエレクトロニクス部材の
ような薄膜部品や微小な部品には、CVD法やPVD法
を適用することが好ましい。
ズマ中を移動させることにより溶融させるが、このよう
な溶融では均一化時間を十分にとることができないた
め、被覆層中の酸化イットリウム濃度の分布が平均濃度
から極端にずれた部分が生じるおそれがある。そこで、
上述したように、予め原料粉末の段階で溶融過程を経る
ことが好ましく、これにより安定して酸化イットリウム
の濃度分布を均一化、すなわち本発明の範囲内とするこ
とができる。この後、通常の溶射法と同様に、溶融過程
を経た原料をプラズマ中を移動させ、被溶射部材に被着
させることによって、本発明のジルコニア部材による被
覆層を安定して得ることができる。
ルコニア焼結体と同様な歪み除去処理を施す。歪み除去
処理の条件は、ジルコニア焼結体の場合とほぼ同等とす
ればよいが、被覆層のように他の材料との複合部材とし
て使用する場合には、ジルコニア以外の部材の熱処理に
よるダメージを防ぐためにも、比較的低温で歪み除去を
行うことが好ましい。
果は、酸化イットリウム以外の安定化剤、例えばY以外
の希土類元素やアルカリ土類元素を含む化合を用いた場
合においても、同様に得られるものである。
する。
ついて述べる。 5〜 8重量% Y2 O3 −ZrO2 組成を
有する複数の焼結体(表1の試料No 1〜12)を、 1673K
× 3時間の焼成条件で作製した。各焼結体のY2 O3 の
平均濃度は表1に示す通りである。次に、これらジルコ
ニア焼結体の微小領域におけるY2 O3濃度をEPMA
とTEMを用いた測定したところ、いずれもY2 O3 濃
度が 5.5〜 6.5重量% の微小領域が面積比で 50%以上存
在していた。具体的な 5.5〜 6.5重量% の微小領域の占
有率を表1に示す。この後、各ジルコニア焼結体に 112
3K× 3時間の条件で歪み除去熱処理を施し、後述する特
性評価に供した。
結体は歪み除去熱処理により、いずれも歪みが解放され
ていることを、X線回折(Cuターゲット使用)により
確認した。代表例として試料No5 の回折ピーク角度差△
2θ1 、△ 2θ2 、△ 2θ3および正方晶ジルコニアの
格子定数a、cを示すと、△ 2θ1 =0.528deg 、△ 2θ
2 =0.396deg 、△ 2θ3 =0.698deg 、格子定数a=0.510
7nm 、格子定数c= 0.5177nmである。
条件を変更する以外は、実施例1と同様に 5〜 8重量%
Y2 O3 −ZrO2 組成を有する複数の焼結体(比較例
1:表1の試料No13〜19)を作製した。これら各ジルコ
ニア焼結体の微小領域におけるY2 O3 濃度を、実施例
1と同様にして測定したところ、表1に示すようにいず
れもY2 O3 濃度が 5.5〜 6.5重量% の微小領域の占有
率は 50%未満であった。これら比較例1による各ジルコ
ニア焼結体に、実施例1と同一条件で歪み取り熱処理を
施し、後述する特性評価に供した。
作製したジルコニア焼結体(比較例2:表2の試料No20
〜31、比較例3:表2の試料No32〜38)を、歪み除去熱
処理を施すことなく後述する特性評価に供した。これら
焼結したままの状態のジルコニア焼結体は、X線回折
(Cuターゲット使用)により歪みが残留していること
が確認された。代表例として試料No24の回折ピーク角度
差△ 2θ1 、△ 2θ2 、△ 2θ3 および正方晶ジルコニ
アの格子定数a、cを示すと、△ 2θ1 =0.515deg 、△
2θ2 =0.383deg 、△ 2θ3 =0.684deg 、格子定数a=
0.510nm、格子定数c=0.5170nm である。
3による各ジルコニア焼結体は、いずれも正方晶が 90%
以上存在していることを確認した。
る各ジルコニア焼結体を、それぞれ水蒸気(PH2O =0.
0005MPa)が存在する423Kの雰囲気中に 500時間保持し、
この水蒸気暴露前後の曲げ強度を測定評価した。また、
水蒸気暴露後における単斜晶量をX線回折から求めた。
これらの測定結果を表1および表2に併せて示す。
ジルコニア焼結体は、水蒸気暴露前において 1000MPa以
上の強度を有しており、水蒸気暴露後に若干の強度低下
が見られたものの、いずれも 1000MPa以上の優れた強度
を維持した。
度が 5.5〜 6.5重量% の微小領域の占有率が 50%未満の
各ジルコニア焼結体は、水蒸気雰囲気での保持による強
度低下は認められなかったものの、当初から700MPaを超
える強度は得られておらず、高強度が要求される部材に
は不適当なものであった。また、比較例2による各ジル
コニア焼結体は、水蒸気暴露前においては 1000MPa以上
の強度を有していたものの、水蒸気暴露により300MPa以
下まで強度が低下し、また比較例3による各ジルコニア
焼結体は、水蒸気雰囲気での保持による強度低下は認め
られなかったものの、当初から700MPaを超える強度は得
られておらず、いずれも高強度が要求される部材には不
適当なものであった。
6.5重量% の微小領域の占有率が 50%以上であり、かつ
熱処理により歪みを除去したジルコニア焼結体は、本質
的に優れた機械的強度を有し、かつ水蒸気劣化を有効に
抑制できることが分かった。
例について述べる。Ni基超合金(20×20× 3mm)の基
板上に、 NiCoCrAlY合金層(金属結合層)と5〜 8重量%
Y2 O3 −ZrO2 組成の遮熱被覆層とを溶射法で作
製した。遮熱被覆層の作製に用いた安定化ジルコニア粉
末は組成にかかわらず、いずれも酸化イットリウムが均
一に分布した電融粉砕法で作製した粉末を用いた。ジル
コニア被覆層のY2 O3 の平均濃度は表3に示す通りで
ある。
におけるY2 O3 濃度をEPMAとTEMを用いた測定
したところ、いずれもY2 O3 濃度が 5.5〜 6.5重量%
の微小領域が面積比で 50%以上存在していた。具体的な
5.5〜 6.5重量% の微小領域の占有率を表3に示す。こ
の後、各ジルコニア被覆層に 1273K×20時間の条件で歪
み除去熱処理を施し、後述する特性評価に供した。
覆層は歪み除去熱処理により、いずれも歪みが解放され
ていることを、X線回折(Cuターゲット使用)により
確認した。代表例として試料No6 の回折ピーク角度差△
2θ1 、△ 2θ2 、△ 2θ3および正方晶ジルコニアの
格子定数a、cを示すと、△ 2θ1 =0.52deg、△ 2θ2
=0.373deg 、△ 2θ3 =0.663deg 、格子定数a=0.5108n
m 、格子定数c= 0.5176nmである。
粉末の作製条件を変更する以外は、実施例2と同様に 5
〜 8重量% Y2 O3 −ZrO2 組成を有する複数のジル
コニア被覆層(比較例4:表3の試料No 9〜10)を作製
した。これら各ジルコニア被覆層の微小領域におけるY
2 O3 濃度を、実施例2と同様にして測定したところ、
表3に示すようにいずれもY2 O3 濃度が 5.5〜 6.5重
量% の微小領域の占有率は 50%未満であった。これら比
較例4による各ジルコニア被覆層に、実施例2と同一条
件で歪み取り熱処理を施し、後述する特性評価に供し
た。
作製したジルコニア被覆層(比較例5:表3の試料No11
〜14、比較例6:表3の試料No15〜20)を、歪み除去熱
処理を施すことなく後述する特性評価に供した。これら
溶射したままの状態のジルコニア被覆層は、X線回折
(Cuターゲット使用)により歪みが残留していること
が確認された。代表例として試料No14の回折ピーク角度
差△ 2θ1 、△ 2θ2 、△ 2θ3 および正方晶ジルコニ
アの格子定数a、cを示すと、△ 2θ1 =0.51deg、△ 2
θ2 =0.361deg 、△ 2θ3 =0.651deg 、格子定数a=0.5
105nm 、格子定数c=0.5170nm である。
6による各ジルコニア被覆層は、いずれも正方晶が 92%
以上存在していることを確認した。
る各ジルコニア被覆層を形成した複合部材を、それぞれ
水蒸気(PH2O =0.006MPa)が存在する473Kの雰囲気中
に500時間保持し、この水蒸気暴露前後のジルコニア被
覆層の密着強度を測定評価した。また、水蒸気暴露後に
おける単斜晶量をX線回折から求めた。これらの測定結
果を表3に併せて示す。
被覆層は、いずれも水蒸気暴露による単斜晶への相転移
や密着強度の低下は見られず、当初の密着強度自体も優
れた値を示した。
よる各ジルコニア被覆層は、水蒸気雰囲気暴露による強
度低下はあまり大きくないものの、当初の密着強度自体
が低く、また比較例5による各ジルコニア被覆層は、水
蒸気暴露により単斜晶への相転移(50%以上)が起こり、
密着強度の低下が見られた。
6.5重量% の微小領域の占有率が 50%以上であり、かつ
熱処理により歪みを除去したジルコニア被覆層は、密着
強度に優れ、かつ水蒸気劣化を有効に抑制できることが
分かった。
ア部材によれば、優れた機械的強度や靭性が得られると
共に、水蒸気劣化を有効に抑制することが可能となる。
従って、機械的強度が必要とされ、かつ水蒸気が存在す
るような雰囲気で使用される部材に好適なジルコニア部
材を提供することができる。
度差とY2 O3 組成との関係を示す図である。
体)のX線回折ピーク角度差とY2 O3 組成との関係を
示す図である。
物、溶射被膜)のX線回折ピーク角度差とY2 O3 組成
との関係を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 酸化イットリウムで安定化された正方晶
ジルコニアを 80%以上含むジルコニア部材であって、 前記酸化イットリウムの平均濃度が 5.6〜 8重量% の範
囲であると共に、微小領域における前記酸化イットリウ
ムの濃度が 5.5〜 6.5重量% の範囲の濃度分布領域が 5
0%以上含まれており、かつX線回折(Cuターゲット使
用)により得られる (002)面と (200)面との回折ピーク
角度差を△ 2θ1 、 (220)面と (202)面との回折ピーク
角度差を△ 2θ2 、 (311)面と (113)面との回折ピーク
角度差を△ 2θ3 としたとき、△ 2θ1 =0.82−0.05x
±0.05、△ 2θ2 =0.63−0.04x±0.05、および△ 2θ
3 =1.05−0.06x±0.05(ただし、xは酸化イットリウ
ムの濃度(重量%)を示す)の少なくとも 1つの条件を満
足することを特徴とするジルコニア部材。 - 【請求項2】 請求項1記載のジルコニア部材におい
て、 前記正方晶ジルコニアは、格子定数a、cがa=0.50877
+0.000328x±0.0001(nm)、c=0.51886−0.000198x±
0.0001(nm)(ただし、xは酸化イットリウムの濃度(重
量%)を示す)であることを特徴とするジルコニア部材。 - 【請求項3】 請求項1記載のジルコニア部材の製造方
法であって、 酸化イットリウムの平均濃度が 5.6〜 8重量% の範囲で
あると共に、微小領域における酸化イットリウムの濃度
が 5.5〜 6.5重量% の範囲の濃度分布領域が50%以上含
まれている前記ジルコニア部材を 773〜 1523Kの範囲で
熱処理し、前記ジルコニア部材表面の歪みを除去する工
程を有することを特徴とするジルコニア部材の製造方
法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8018640A JPH09208306A (ja) | 1996-02-05 | 1996-02-05 | ジルコニア部材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8018640A JPH09208306A (ja) | 1996-02-05 | 1996-02-05 | ジルコニア部材およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09208306A true JPH09208306A (ja) | 1997-08-12 |
Family
ID=11977206
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8018640A Pending JPH09208306A (ja) | 1996-02-05 | 1996-02-05 | ジルコニア部材およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH09208306A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2000191372A (ja) * | 1998-12-25 | 2000-07-11 | Ngk Spark Plug Co Ltd | 医療材料用ジルコニア焼結体及びその製造方法 |
| JP2013063879A (ja) * | 2011-09-16 | 2013-04-11 | Kyushu Univ | 低温劣化の抑制された安定化ジルコニア |
| WO2019087735A1 (ja) * | 2017-11-03 | 2019-05-09 | 株式会社デンソー | 固体電解質、その製造方法、ガスセンサ |
| CN110506034A (zh) * | 2018-03-19 | 2019-11-26 | 东曹株式会社 | 氧化锆烧结体及其制造方法 |
-
1996
- 1996-02-05 JP JP8018640A patent/JPH09208306A/ja active Pending
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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| EP3770135A4 (en) * | 2018-03-19 | 2021-11-03 | Tosoh Corporation | ZIRCONIA SINTER BODY AND METHOD FOR MANUFACTURING THEREOF |
| US11746054B2 (en) | 2018-03-19 | 2023-09-05 | Tosoh Corporation | Zirconia sintered body and method for manufacturing the same |
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