JPH09216842A - ベンジルアルコールの製造法 - Google Patents

ベンジルアルコールの製造法

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JPH09216842A JP8024086A JP2408696A JPH09216842A JP H09216842 A JPH09216842 A JP H09216842A JP 8024086 A JP8024086 A JP 8024086A JP 2408696 A JP2408696 A JP 2408696A JP H09216842 A JPH09216842 A JP H09216842A
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晃幸 服部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スルホン酸基を有する陽イオン交換樹脂触媒
を用いて、限定された原料組成領域でベンジルアセテー
トを加水分解して、ベンジルアルコールを経済的に有利
に製造する方法を提供する。 【解決手段】 スルホン酸基を有する陽イオン交換樹脂
の存在下に、ベンジルアセテートを加水分解してベンジ
ルアルコールを製造する方法において、ベンジルアセテ
ートx重量%、水y重量%、酢酸z重量%(ただしx+
y+z=100)とした場合の原料組成が、1/9≦y
/x≦3/2かつ0≦z≦30の範囲で反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はベンジルアルコール
の製造法に関するものである。さらに詳しくいえば、本
発明は、陽イオン交換樹脂触媒を用いて、ベンジルアセ
テートを加水分解してベンジルアルコールを工業的に効
率よく、経済的に有利に製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ベンジルアルコールは、溶剤、医薬用添
加剤、農薬、医薬等の中間体として重要な化合物であ
り、近年その需要はますます増加する傾向にある。ベン
ジルアルコールの製造法としては、次の方法が知られ、
工業的には1)、3)の方法で製造されている。
【0003】1)ベンジルクロライドを苛性ソーダを用
いて加水分解する方法。
【0004】2)ベンジルアセテートを触媒の存在下、
加水分解する方法。
【0005】3)ベンズアルデヒドを触媒の存在下、水
素還元する方法。
【0006】上記1)、2)の方法はいずれも加水分解
によりベンジルアルコールを製造する方法である。その
うち1)の方法では苛性ソーダが量論反応するためベン
ジルクロライドと当量以上必要であり、さらに反応後に
は有機物を含んだ多量の食塩水が副生し、その処理が問
題である。
【0007】一方、2)のベンジルアセテートを加水分
解してベンジルアルコールを製造する方法は、反応で副
生する酢酸が再利用されるので排水のないプロセスとな
り、経済的で環境にも低負荷である。
【0008】J.Chem.Soc.No.5,195
2,1607にはスルホン酸型陽イオン交換樹脂である
アンバーライトIR−100の存在下、20〜30℃、
水/ベンジルアセテート(体積比)25で加水分解して
ベンジルアルコールを製造する方法が既に報告されてい
る。しかしながらこの方法は触媒活性が低く、さらには
著しく多量の水を用いているため原料濃度が低く、ま
た、生成液からの未反応の水の除去エネルギーを考える
と工業的な方法としては実用的でない。
【0009】また、ロシア特許SU1077875号で
は2.2〜4.0m当量/gのニトロ基を含む多孔性の
スルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いて、90〜98
℃、水/ベンジルアセテート(重量比)2でバッチ或い
は流通式で加水分解反応を実施して、ベンジルアルコー
ルの収率を向上させている。しかしながらこの方法はニ
トロ基を含む特殊な樹脂を用いているため、触媒コスト
の面から工業的な方法としては実用的ではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の課題
に鑑みてなされたものであり、その目的は、スルホン酸
基を有する陽イオン交換樹脂触媒を用いて、限定された
原料組成領域でベンジルアセテートを加水分解して、ベ
ンジルアルコールを経済的に有利に製造する方法を提供
することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の原料組
成で反応させることにより、課題を解決しうることを見
出し本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち本発明は、スルホン酸基を有する
陽イオン交換樹脂の存在下に、ベンジルアセテートを加
水分解してベンジルアルコールを製造する方法におい
て、ベンジルアセテートx重量%、水y重量%、酢酸z
重量%(ただしx+y+z=100)とした場合の原料
組成が、1/9≦y/x≦3/2かつ0≦z≦30の範
囲にあることを特徴とするベンジルアルコールの製造法
である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる原料の
ベンジルアセテートは特に限定されるものではないが、
例えばトルエン、酢酸、酸素からパラジウム系触媒を用
いてオキシアセトキシル化反応によって得られるものを
使用することができる。
【0014】本発明においては、触媒として強酸性陽イ
オン交換樹脂であるスルホン化されたスチレン−ジビニ
ルベンゼン共重合体を用いる。このスルホン化されたス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体におけるジビニルベ
ンゼン単位の含有量は制限はなく、通常は20重量%以
下のものが用いられる。しかし、触媒寿命や反応活性活
性を考慮すればジビニルベンゼン単位の含有量は8重量
%未満のものが好ましい。
【0015】本発明において使用されるスルホン化され
たスチレン−ジビニルベンゼン共重合体は、ジビニルベ
ンゼン単位の含有量が上記範囲であれば特に限定するも
のではなく、市販品を使用することができる。また構造
から分類される種類については、ゲル型、MR(mac
roreticular)型のいずれも用いることがで
きる。ゲル型には単純ゲル型共重合体及び拡大網目型
(MP:macroporos)ゲル共重合体があり、
どちらも用いることができる。MR型は多孔性共重合体
であって、表面積、細孔率、平均細孔径等が任意のもの
を用いることができる。さらに、酸量としては特に制限
はないが、乾燥樹脂当たりの総イオン交換容量は3.0
〜6.5m当量/gが好ましい。
【0016】本発明において使用される原料液の組成に
ついて、ベンジルアセテート−酢酸−水の三成分系にお
ける原料組成図(図1)を用いて説明する。なお、図1
中の各点における原料組成を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】本発明における原料液の組成は、図1にお
けるABCDの各点を順次結んでできる閉領域内、すな
わちベンジルアセテートx重量%、水y重量%、酢酸z
重量%(ただしx+y+z=100)とした場合の原料
組成が、1/9≦y/x≦3/2かつ0≦z≦30の範
囲である。
【0019】原料液の組成が、図1の線A−Dよりも酢
酸の含有率の大きい領域(z>30)では、ベンジルア
セテートの加水分解反応が平衡反応であるため、生成物
である酢酸が増えて平衡転化率が低くなると同時にベン
ジルアセテートの含有率が小さくなって反応速度が低下
する。
【0020】原料液の組成が、図1の線A−Bよりもベ
ンジルアセテートの含有率が大きな領域(y/x<1/
9)では、ジベンジルエーテル等の副反応生成物が多く
なると共に、平衡反応転化率や反応速度が小さくなって
好ましくない。
【0021】原料液の組成が、図1の線C−Dよりも水
の含有率が大きな領域(3/2<y/x)では、反応後
に著しく多量の水が残り、反応液からベンジルアセテー
トを分離回収する際に多大なエネルギー(水の蒸発潜
熱)が必要である。また、強酸性イオン交換樹脂は一般
的に水との親和性が非常に強く、供給原料が不均一相を
形成する上記の領域では触媒へのベンジルアセテートの
吸着が阻害されるため、反応速度が低下して工業的に不
利である。
【0022】以上説明したように本発明における原料組
成は、図1のABCDの各点を直線で順次結んでできる
閉領域内であるが、更に純度の高いベンジルアルコール
が要求される場合には、図1のEBFGの各点を直線で
順次結んでできる閉領域内、すなわち1/9≦y/x≦
2/3かつ0≦z≦20の範囲が好ましい。
【0023】本発明における反応器の形式は、原料のベ
ンジルアセテートと水、必要に応じてさらに酢酸を連続
的に供給して反応させる固定床連続反応方式が用いられ
る。しかしながらこれに限定されるものではなく、連
続、回分によらず通常の固液接触のあらゆる方法が利用
可能である。
【0024】ところで、ベンジルアセテートの加水分解
反応は下記一般式(1)
【0025】
【化1】
【0026】のような平衡反応であるため、上記のよう
な組成領域で反応を実施しても、単段の反応では熱力学
的に転化率に制約がある。即ち、下記一般式(2)
【0027】
【化2】
【0028】(式中、[BzOH]はベンジルアルコー
ル濃度、[BzOAc]はベンジルアセテート濃度を表
す)で示される反応の平衡定数Kは、本発明者らの検討
によれば、80℃において0.40であり、ベンジルア
セテートと水が等モルの原料供給組成(ベンジルアセテ
ート/水/酢酸=89.3/10.7/0重量%)では
平衡転化率は38.7%にしか達しない。よってベンジ
ルアセテートの転化率をより高めるためには、生成した
酢酸の少なくとも一部を途中で除去する多段反応形式又
は反応蒸留形式等の反応形式を採用することも可能であ
る。
【0029】本発明において反応温度は、通常40〜1
50℃、好ましくは60〜120℃の範囲で選ばれる。
反応温度が40℃未満では、反応速度が遅く、また、1
50℃を超えるとジベンジルエーテルの副生が増し選択
率を低下させ、さらに触媒の陽イオン交換樹脂が分解又
は劣化することがある。反応圧力は特に制限はないが、
反応中に原料液が沸騰したり溶存ガス等による著しい気
泡の発生が生じたりするのを阻止する程度の圧力を採用
できる。通常は常圧〜10kg/cm2Gの範囲で選ば
れる。また、液空間速度(LHSV)は。通常0.1〜
30hr-1、好ましくは0.2〜6hr-1の範囲で選ば
れる。
【0030】このようにして反応器から出てきた反応混
合物は、公知の方法により後処理が施され、ベンジルア
ルコールが取り出される。
【0031】
【発明の効果】本発明によると、特定の範囲の原料組成
でベンジルアセテートを加水分解反応させることによ
り、ベンジルアルコールを効率よく経済的に有利に製造
することができる。
【0032】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例により、さ
らに詳しく説明する。
【0033】実施例1 温度調節器を有する流通式反応器に、ジビニルベンゼン
単位の含有量4%のスルホン酸型陽イオン交換樹脂アン
バーリスト31wet(オルガノ社製:スチレンージビ
ニルベンゼン共重合体)22.07gを充填した。この
反応器に表2に示した組成の原料を、80℃、LHSV
0.45hr-1で導入して反応させた。ガスクロマトグ
ラフィーによって生成物を定量し、ベンジルアセテート
(BzOAc)の転化率(BC)、ベンジルアルコール
の選択率(BS)、及び1時間当たりの湿潤樹脂1リッ
トル当たりのベンジルアルコールのgで表した反応生産
性(STY)を計算した。これらの結果を表2に示す。
また、副反応生成物であるジベンジルエーテルのベンジ
ルアルコールに対するモル比(BzOBz)、ベンジル
アルコール分離回収工程での負荷の指標となる生成液中
のベンジルアルコールに対する水の重量比(W/B)、
及び各組成での平衡転化率(推算値)を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】実施例2〜実施例4及び比較例1〜比較例
3 反応器に供給する原料組成を表2のように変更した以外
は、実施例1と同様にして加水分解反応を実施した。こ
れらの結果を表2にあわせて示す。
【0036】実施例5 ジビニルベンゼン単位の含有量7%のスルホン酸型陽イ
オン交換樹脂XT−2071(オルガノ製:スチレン−
ジビニルベンゼン共重合体)を実施例1とスルホン酸基
の量が同じになるようにして充填して、表2に示した原
料組成、LHSV0.39h-1で実施例1と同様に加水
分解反応を実施した。その結果を表2にあわせて示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベンジルアセテート−酢酸−水の三成分系にお
ける原料組成を表した図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スルホン酸基を有する陽イオン交換樹脂
    の存在下に、ベンジルアセテートを加水分解してベンジ
    ルアルコールを製造する方法において、ベンジルアセテ
    ートx重量%、水y重量%、酢酸z重量%(ただしx+
    y+z=100)とした場合の原料組成が、1/9≦y
    /x≦3/2かつ0≦z≦30の範囲にあることを特徴
    とするベンジルアルコールの製造法。
  2. 【請求項2】 原料組成が、1/9≦y/x≦2/3か
    つ0≦z≦20の範囲にあることを特徴とする請求項1
    に記載のベンジルアルコールの製造法。
  3. 【請求項3】 スルホン酸基を有する陽イオン交換樹脂
    が、ジビニルベンゼン単位の含有量が8重量%未満のス
    ルホン化されたスチレン−ジビニルベンゼン共重合体で
    あることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベ
    ンジルアルコールの製造法。
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