JPH09217192A - 金属材料の高速高硬度鉄含有金属めっき方法 - Google Patents

金属材料の高速高硬度鉄含有金属めっき方法

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JPH09217192A
JPH09217192A JP2423296A JP2423296A JPH09217192A JP H09217192 A JPH09217192 A JP H09217192A JP 2423296 A JP2423296 A JP 2423296A JP 2423296 A JP2423296 A JP 2423296A JP H09217192 A JPH09217192 A JP H09217192A
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plating
iron
hardness
ions
acid
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JP2423296A
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Jun Kawaguchi
純 川口
Tomoyuki Manmi
知之 万見
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Nihon Parkerizing Co Ltd
Original Assignee
Nihon Parkerizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属材料表面に高硬度鉄含有金属めっき層
を、高速で形成できるめっき用水性組成物、処理液、方
法を提供する。 【解決手段】 第一鉄イオン、0.001〜0.03モ
ル/リットルのアスコルビン酸又はその塩からなる硬度
付与剤、およびスルファミン酸、硫酸又は塩素のアニオ
ン、および必要によりNi,Co、又はMnイオンを含
むめっき液中において、金属材料に対し、それをカソー
ドとして10〜80A/dm2 の電流密度でめっきを施
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属材料表面に高
硬度鉄含有金属めっき皮膜を高速で形成する方法に関す
るものである。より詳しく述べるならば、本発明は摺動
部品に用いる金属材料の表面に耐摩耗性、耐焼き付き性
を向上させるような高硬度の鉄含有金属(すなわち鉄又
は鉄合金)のめっき皮膜を高速で形成する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】現在、鉄又は鉄鋼に代表される鉄合金
は、各種構造材料や各種工業製品として広く用いられて
おり、これらは工業的に質・量ともに非常に重要な材料
である。一方、電析法を用いて製造される鉄含有金属皮
膜は、鉄鋼部品の補修、鉄箔の製造、高純度鉄の製造、
さらにはその強磁性を利用した感磁性材料、磁気シール
ド材料などのような比較的限定された用途に利用されて
いるにすぎない。
【0003】近年の地球温暖化対策をはじめとする地球
環境保護対策の面から、自動車の燃費向上が強く要望さ
れており、これに対応して内燃機関の構成材料も軽量化
のために鋳鉄からアルミニウム合金への移行が顕著にな
ってきている。アルミニウム合金材料は、軽量なだけで
なく、その放熱特性がすぐれていることからも内燃機関
の効率を高めるために有用であり、かつ安価な材料であ
る。しかし、アルミニウム合金を内燃機関のピストン、
シリンダー、油圧ポンプ、空圧ポンプおよびロータリー
コンプレッサー等の摺動部材として用いるときには、ア
ルミニウム合金自体は耐摩耗性、および耐焼き付き性が
不十分であるため、その表面を、それ自身よりも硬い材
料で被覆することが必要である。
【0004】このような高硬度の被覆材料の例として
は、硬質クロムめっき、SiC等を分散させたNiめっ
きなどがあげられるが、前者は、潤滑油による濡れ性が
悪く、このため保油効果が劣り、まためっき廃水中に有
害な6価クロムを含むので、廃水処理に要するコストが
高いという欠点がある。また、後者は、耐焼き付き性に
は優れているが、耐摩耗性が劣るという問題点がある。
そこで、これらの問題点を解決するために電気鉄めっき
皮膜をアルミニウム合金上に形成する方法がいくつか提
唱されている。
【0005】鉄めっきに関する従来技術としては、特公
昭50−109138号、およびP.K.Subramanyan and
W.M.King (著者) ;Plating and Surf. Finishing, 69,
(2),pp.48−52 (1982) などがあげられる。例えば、特
公昭50−109138号に開示された技術は、硫酸第
一鉄または硫酸第一鉄および塩化第一鉄を主成分とし、
尿素並びにグリシン、アラニン、モノクロル酢酸、ジク
ロル酢酸、りんご酸、乳酸、グリコール酸、およびマン
デル酸等の添加剤をめっき液を用い、高電流密度で均一
な光沢を有する鉄めっき皮膜を得ようというものであ
る。
【0006】しかしながら、前者は、耐摩耗性、および
耐焼き付き性の付与のために必要な、少なくとも15μ
m以上の膜厚を得ることを意図しておらず、かつ皮膜の
硬度については何等言及していない。また、後者の文献
においては、カルシウムを添加した塩化第一鉄めっき液
を用いて400A/dm2 という高電流密度下において電
解を行っているが、その目的が鉄箔製造であるため、皮
膜の延性を重視しており、このため高硬度の皮膜は得ら
れていない。従って、高成膜速度を意図した従来技術に
おいて、皮膜の耐摩耗性、耐焼き付き性を目的特性とし
たものは今のところ見あたらない。
【0007】めっき皮膜の耐摩耗性および耐焼き付き性
を向上させるために、高硬度の皮膜形成を目的としたも
のとしては、特開昭51−126935号、特公昭56
−18678号、特公平3−10718号、特公平3−
10719号、特公平2−48635号、特公平2−1
9198号および特公平63−15999号に開示の技
術があげられる。特開昭51−126935号に開示さ
れている技術は、0.015〜10重量%のりんを含有
する鉄リン合金めっき母材層と、同時電着によりこの母
材層中に均一に分散している粒径0.1〜30μmの固
体潤滑剤もしくは高硬度固体からなるものである。
【0008】特公昭56−18678号の技術は、水溶
性鉄塩に炭素、ホウ素、リン、窒素または硫黄を含有す
る化合物の1種以上を混合した溶液を用いて電解を行
い、鉄皮膜中に前記元素の1種以上を微量共析せしめた
後熱処理することを特徴とするものである。また特公平
3−10718号に開示の技術は、2価の鉄イオンと次
亜リン酸および/または次亜リン酸塩とを含有する鉄リ
ン電気めっき液において、アルミニウムイオンを0.0
5〜0.5g/リットルの濃度で添加したものである。
さらに特公平3−10719号には、2価の鉄イオン
と、亜リン酸および/または亜リン酸塩を主成分とした
めっき液が開示されている。さらに特公平2−4863
5号には、2価の鉄イオンと亜リン酸および/または亜
リン酸塩を主成分とし、さらにアルミニウム化合物を添
加しためっき液が開示されている。
【0009】特公平2−19198号の技術は、2価の
鉄イオンと次亜リン酸および/または次亜リン酸塩とを
含む鉄リン電気めっき液に、アルミニウム化合物を0.
05〜0.5g/リットルの濃度で添加するとともに、
水可溶なチタン化合物および/またはジルコニウム化合
物を0.05〜10g/リットルの添加量で添加したも
のである。また特公昭63−15999号には、2価の
鉄イオンと次亜リン酸、次亜リン酸塩、亜リン酸および
亜リン酸塩から選ばれる1種以上の水溶性リン化合物
と、水溶性アルミニウム化合物と、金属、水不溶性無機
および有機微粒子並びにこれらの繊維から選ばれる1種
以上の水不溶性物質を含有する複合めっき液が開示され
ている。これらの技術においてはクロムを用いない無公
害型めっき液が用いられており、低コストで耐摩耗性、
耐焼き付き性の高いめっき皮膜が得られるものであり、
それによって摺動部材の長寿命化も達成できるものであ
る。しかしながら、何れの場合も、電解の際の電流密度
は、10A/dm2 以下であり、従って高速において鉄含
有金属めっき皮膜を形成することは不可能であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術では
両立し得なかった「高硬度の電気鉄めっき皮膜」を金属
材料上に「高速」で形成する方法を提供しようとするも
のであり、特にこの高速化により電気鉄めっき設備のコ
スト、設置スペースを大幅に削減し、しかも高い生産能
力を有する高硬度鉄含有金属めっき方法を提供しようと
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の技
術的課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定
量の第一鉄イオンおよびアスコルビン酸もしくはその塩
とを含み、スルファミン酸イオン、硫酸イオンおよび塩
素イオンから選ばれる少なくとも1種をアニオンとして
含むめっき液を用い、金属材料に、それをカソードとし
て特定電流密度でめっきを施すことにより、上記課題を
解決し得ることを見出し、本発明を達成した。
【0012】本発明に係る金属材料の高速高硬度鉄含有
金属めっき方法は0.7〜2モル/リットルの第一鉄イ
オンと、0.001〜0.03モル/リットルのアスコ
ルビン酸およびその塩から選ばれた少なくとも1種から
なる硬度付与剤と、並びにスルファミン酸イオン、硫酸
イオンおよび塩素イオンから選ばれた少なくとも1種の
アニオンとを含み、かつ1.0〜3.0のpH値を有す
る、めっき液中に、金属材料をカソードとして配置し、
これに電流密度10〜80A/dm2 の条件下で、電解処
理を施して、前記金属材料表面上に高硬度を有する鉄含
有金属を高速でめっきすることを特徴とするものであ
る。
【0013】本発明に係る金属材料の高速高硬度鉄含有
金属めっき方法において前記めっき液が、さらに0.6
モル/リットル以下の、ニッケル、コバルトおよびマン
ガンから選ばれた少なくとも1種の添加金属イオンを含
有していてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の高速高硬度鉄含有金属め
っき方法に用いられる水性めっき液は、第一鉄イオン
と、アスコルビン酸およびその塩から選ばれた少なくと
も1種からなる硬度付与剤と、スルファミン酸イオン、
硫酸イオンおよび塩素イオンから選ばれた少なくとも1
種からなるアニオンとを含むものである。
【0015】本発明方法のめっき液に含まれる第一鉄イ
オンの供給源には限定はなく、例えば、スルファミン酸
鉄塩、硫酸鉄塩、および塩酸鉄塩などを用いることがで
きる。まためっき液中の第一鉄イオンの含有量は0.7
〜2モル/リットル、好ましくは1.0〜1.5モル/
リットルである。この含有量が0.7モル/リットル未
満では、めっき液の電導度が不足し、それと同時に、被
覆を目的とする金属基材近傍における第一鉄イオンの分
布量が不足しがちとなり、高速成膜が不可能になる。ま
た、それが2モル/リットルを越えると、その効果が飽
和し、また経済的にも不利となる。
【0016】本発明方法において、アスコルビン酸およ
びその酸は、鉄含有金属めっき皮膜に対する硬度付与剤
として働くが、還元作用を有し、それが酸化されると、
デヒドロアスコルビン酸およびその塩になる。本発明に
用いられるアスコルビン酸塩は、好ましくは、アスコル
ビン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびア
ンモニウム塩である。めっき液中のアスコルビン酸また
はその塩からなる硬度付与剤の含有量は0.001〜
0.03モル/リットル好ましくは0.002〜0.0
2モル/リットルである。この硬度付与剤の濃度が0.
001モル/リットル未満であると、めっき液中の第一
鉄イオンの酸化により生成する第二鉄イオンの含有量が
増加して、沈澱が発生したり、めっきの電流効率を低下
させるだけでなく、形成されるめっき膜の硬度の低下を
引き起こすので好ましくない。一方、それが0.03モ
ル/リットルを越えると、形成される鉄めっき皮膜の歪
応力が増大し、クラック等のめっき皮膜欠陥を引き起こ
すので好ましくない。
【0017】本発明方法に用いられるスルファミン酸イ
オン、硫酸イオンおよび塩素イオンなどのアニオンは、
前述のようにスルファミン酸鉄、硫酸鉄および塩酸鉄か
ら供給されてもよいが、その他にスルファミン酸、硫酸
および塩酸などの酸、並びにこれらの酸のアンモニウム
塩およびアルカリ金属塩などから供給されたものであっ
てもよい。本発明方法において、めっき液中の上記アニ
オンは、めっき液中に含まれる金属イオン(鉄および後
に述べる各種添加金属)の対イオンであるから、これら
金属イオンの所望濃度以上の濃度で含まれておればよ
く、このアニオン濃度に格別の制限はない。めっき工程
に対し、特に高いめっき速度が要求される場合、アニオ
ンが塩素イオン、又はスルファミン酸であることが好ま
しい。
【0018】本発明方法において、鉄合金めっき皮膜を
形成するためには、めっき液中に所望の合金成分金属イ
オンを含有させればよい。例えば、本発明方法に用いら
れるめっき液に、必要によりさらに、ニッケル、コバル
ト、およびマンガンから選ばれた少なくとも1種からな
る添加金属のイオンを含有させることができる。この添
加金属イオンの含有量は、0.6モル/リットル以下で
あり、0.2〜0.5モル/リットルであることが好ま
しい。添加金属イオンの供給源に格別の限定はないがス
ルファミン酸塩、硫酸塩、および塩酸塩であることが好
ましく、或はその他の化合物、例えば水酸化物および酸
化物から選ばれてもよい。
【0019】本発明において、最も重要な点は、アスコ
ルビン酸およびその塩の少なくとも1種からなる特殊硬
度付与剤の特定量をめっき液中に含有させることであ
る。この硬度付与剤の他の効果は、形成される鉄めっき
皮膜に対して、十分な耐摩耗性、および耐焼き付き性を
付与することである。実際に、形成されるめっき皮膜の
硬度は、ビッカース硬度で400以上に上昇する。さら
に、本発明方法により、めっき皮膜に高い光沢性、すな
わちすぐれた表面平滑性を付与し、さらに、油潤滑下に
おける摩擦係数の低下も同時に達成することができる。
さらに硬度付与剤は還元性を有し、上記特殊硬度付与剤
をめっき処理液中に含有させることにより、めっき処理
液中の第一鉄イオンが酸化して生成する第二鉄イオンを
還元し、第二鉄イオン含有量の増大を防止することがで
きる。
【0020】ところで、本発明の硬度付与剤の一つの効
果、すなわち第二鉄イオンの還元により、アスコルビン
酸自体はデヒドロアスコルビン酸に酸化されるが、アス
コルビン酸の他の効果、すなわち皮膜の硬化および光沢
化に関しては、アスコルビン酸およびその酸化態である
デヒドロアスコルビン酸は同一効果を示す。従って、
(酸化前の)アスコルビン酸は、浴の安定操業に必要な
最低量0.001 mol/リットル以上を維持すればよ
い。
【0021】次に、本発明のめっき液のpH値は、スルフ
ァミン酸、硫酸および塩酸から選ばれる少なくとも1種
の酸により、1〜3の範囲に調整される。このpH値は2
前後に調整されることがより好ましい。pH値が1未満で
あると、カソードにおいて水素発生反応が優位になり、
鉄電析の電流効率が低下するので、高速めっき効果が不
十分になるだけでなく、めっき製品上にビットの発生が
顕著になり、得られるめっき製品の外観にも問題を生ず
る。一方、pH値が3を越えると鉄イオン、特に第二鉄イ
オンの溶解度が低くなり、めっき処理液中に沈澱を発生
する等の危険性が増す。なお、めっき処理液のpHの調整
には、前述の酸成分を過剰に添加するか、Na, Kなどの
アルカリ金属イオン、又はアンモニウムイオンを用いる
ことができる。
【0022】本発明方法に用いられるめっき処理液は、
上記の組成が満足していれば、通常は十分であるが、必
要によりさらに0.6モル/リットル以下、好ましくは
0.2〜0.5モル/リットルのニッケル、コバルトお
よびマンガンから選ばれる少なくとも1種の添加金属の
イオンを添加することにより、より好ましいめっき皮膜
物性を得ることができる。すなわち、これらの金属イオ
ンの添加により、若干のめっき皮膜硬度の上昇がみられ
るだけでなく、目的金属材料の形状によっては、電流密
度が集中しやすいエッジ部分におけるクラック発生を防
止することができるという効果がある。この効果はこれ
の添加金属が鉄めっき皮膜に共析して鉄合金を形成し、
皮膜の延性を増すためと考えられている。なお、前述添
加金属イオンの濃が0.6 mol/リットルを超えると、
その効果が飽和し、経済的に不利となる。また、本発明
方法に用いられる処理液に、次亜りん酸イオンおよび亜
りん酸イオンが共存していてもよい。鉄めっき皮膜中に
りんを共析させることにより、その硬度を向上させる方
法は既知であるが、これらりん含有酸イオンの共在は、
本発明方法に悪影響を与えることなない。
【0023】次に本発明のめっき方法の諸条件について
説明する。まず、本発明方法において、電流密度は10
〜80A/dm2 とする必要がある。具体的には、電流密
度は、上記範囲内において、所望めっき速度に応じて適
宜に設定すればよい。電流密度が10A/dm2 未満で
は、高速めっきができない。一方、それが80A/dm2
を超えると、めっき皮膜にクラック発生等のトラブルが
発生しやすくなる。なお、目的とする金属材料の形状に
もよるが、一般に電流密度が高い程めっき処理液の撹拌
を強化すべきであることを考慮して、本発明のめっき液
においては、例えば電流密度の範囲を30〜50A/dm
2 とした場合、所望めっき速度に応じて、その時の撹拌
条件として、上記金属材料に対するめっき処理液の通液
速度を15〜30cm/sec 程度とすることが好ましい。
【0024】また、本発明のめっき方法において前記め
っき処理液の温度には特に限定はないが、めっき処理液
の電導度は、通常温度とともに上昇するため、40℃以
上に設定することが好ましい。ただし、めっき処理液中
にスルファミン酸を含む場合、めっき処理液温度70℃
を超えると、それが硫酸イオンとアンモニウムイオンへ
の分解反応を発生するので好ましくない。従って、エネ
ルギーコストや装置腐食等も考慮すれば、めっき処理液
温度は50〜60℃程度であることが好ましい。
【0025】本発明のめっき方法において、電解時の対
極すなわちアノード材料には、鉄もしくは添加金属イオ
ンに対応するニッケル、コバルトおよびマンガンをそれ
ぞれ適正な割合で含有する鉄合金を用いることができ
る。この方法を用いると、鉄もしくは鉄合金めっきによ
り消費される金属イオンを自動的に補給することができ
る。ただし、電気めっきに用いられるアノード材料の中
には、アノードのメンテナンスフリーを目的とした不溶
性陽極が市販されているが、本発明の鉄めっきには、こ
れらを使用すべきではない。何故なら、不溶性陽極表面
においては著しい量の第二鉄イオンの生成が起こるた
め、本発明のめっき処理液に含まれるアスコルビン酸又
はその塩の量では、これに対応することができず、また
鉄イオンの補給にきわめて煩雑な手続きを要するからで
ある。
【0026】本発明方法により鉄含有金属めっきが施さ
れる対象金属材料の種類、形状・寸法などには特に限定
はない。すなわち鉄、銅およびニッケル等の金属の場合
は、表面を清浄にするだけでそのままめっき成膜が可能
である。ただし、アルミニウムの場合は、十分な密着性
を得るためには、通常の電気めっきを行う場合と同様の
前処理が必要である。すなわち、アルミニウム材料に対
しては、硝フッ酸等による酸洗後、ダブルジンケートを
施し、必要に応じて銅もしくはニッケルのストライクめ
っきを施してから、本発明の鉄含有金属めっきを適用す
ることが好ましい。
【0027】
【実施例】以下に、実施例とともに比較例をあげて、本
発明の効果を具体的に説明する。 実施例1〜11および比較例1〜5 金属材料として板厚0.8mmの純アルミ板JIS A1
050(サイズ:200mm×200mm)を用い、これに
アルカリ脱脂、アルカリエッチング、硝フッ酸酸洗、ダ
ブルジンケートの各処理を順次に施した後、これに1μ
mのニッケルストライクめっきを施して供試金属材料を
調製した。この前処理の詳細は下記の通りであった。
【0028】すなわち、アルカリ脱脂は日本パーカライ
ジング製ファインクリーナー315(商標)の2%水溶
液を60℃に加熱し、これに金属材料を3分間浸漬し水
洗後、同社製パーコアルマエッチ391(商標)の3%
水溶液を70℃に加熱して1分間浸漬し水洗した。さら
に、この金属材料を65.7%硝酸と55%フッ化水素
酸とをそれぞれ9/1の割合に混合した常温の酸洗液に
30秒間浸漬し、水洗し、次にキザイ社製のジンケート
液SZ−II(商標)を30℃に加熱し、これに30秒間
浸漬して置換亜鉛めっき処理を施した。次に、この金属
材料を常温の35%硝酸に30秒間浸漬して一度亜鉛置
換めっき層を溶解除去してから、上記と同様の亜鉛置換
めっきを再度施した。最後に、200g/リットルの塩
化ニッケル6水和物と30g/リットルのほう酸と10
0g/リットルの35%塩酸の混合水溶液を50℃に加
熱し、ニッケル板をアノードとして、5A/dm2 の電流
密度で前記金属材料にニッケルストライクめっきを施し
た。
【0029】鉄含有金属めっきに際してはめっき液流速
を規定できるようにフローセルを用いて行い、めっき対
象面積が200×100mm2 (2dm2 )となるように金
属基材の周囲をゴムパッキングでマスキングした。ま
た、アノードとして同一面積を有する99.9%鉄板
を、この金属基材と並行に対向させ、両者の極間距離を
1cmとして、その間に、表1に記載の組成を有するめっ
き液を通液させた。このめっき液の温度を全て60℃に
コントロールした。電源にはサイリスタ制御の直流電源
を用い、表1に示す電流密度で、金属材料に定電流電解
を施した。このときの通電電気量は、鉄含有金属めっき
の電流効率を100%と仮定したときの膜厚が約50μ
mとなるような値、すなわち27kクローンとした。
【0030】以上の方法でめっきされた鉄含有金属皮膜
の、前後の重量差から電流効率を算出し、皮膜外観を目
視および金属顕微鏡(倍率100倍)で観察した。この
時の判定基準を下記に示す。また、皮膜硬度をマイクロ
ビッカース硬度計(AKASHI製MVK−E型)で測定した
(荷重100g)。さらに、めっき液の外観も観察し
た。 ◎:目視および金属顕微鏡で異常が観察されない ○:金属顕微鏡で僅かなクラックが観察される △:金属顕微鏡でクラック、もしくは目視で僅かのピッ
トが観察される ×:目視でクラック、もしくはピットが観察される
【0031】表1に実施例および比較例の試験条件を、
表2にそれらの結果を示す。第1表において、アニオン
は第一鉄イオンとの塩における対イオンとして添加した
ので、その濃度(モル)は第一鉄イオンのそれと同一で
あるが、低pHの調整時のみ、その酸として過剰量添加し
た。高pHの調整には、アンモニア水を用いた。また、添
加金属イオンは第一鉄塩と同様の塩を添加して形成させ
た。
【0032】
【表1】
【0033】表1の註 1)Asc.硬度付与剤とはアスコルビン酸を意味す
る。 2)実施例4では、第一鉄イオンの1モルをスルファミ
ン酸塩で、残りを硫酸塩で供給し、実施例5では、第一
鉄イオンの1モルを硫酸塩で、残りを塩酸塩で供給し
た。 3)実施例11では、めっき液建浴後、硫酸第二鉄によ
り3価の鉄イオンを供給して、アスコルビン酸のほぼ全
量を酸化してデヒドロアスコルビン酸とした。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】第2表の結果より明らかなように、本発
明に係る実施例1〜11において、高硬度で良好な皮膜
外観の鉄含有金属めっき皮膜が高い電流効率で得られる
ことが確認された。特に、実施例8〜10に見られるよ
うに、鉄を他の金属で合金化することにより、通常の流
速のみならず低流速においても良好な外観を有するめっ
きが得られることが確認された。また、実施例11で
は、長期にわたる連続操業時を想定して3価の鉄イオン
を添加し、アスコルビン酸をデヒドロアスコルビン酸に
酸化消費させたが、得られためっき皮膜の硬度および外
観には特に変化がみられなかった。一方、比較例1〜5
で示すように、本発明の範囲外のめっき処理液および方
法を用いると、良好な皮膜特性が得られなかった。特
に、アスコルビン酸を添加しない比較例2では、十分な
硬度を有するめっき皮膜が得られないだけでなく、めっ
き液中の第一鉄の一部が酸化して沈澱を生成した。上記
から明らかなように、本発明のめっき処理液および方法
を用いることにより、目的とする金属材料表面に高硬度
の鉄または鉄合金皮膜を、高速にかつ低コストで形成す
ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.7〜2モル/リットルの第一鉄イオ
    ンと、0.001〜0.03モル/リットルのアスコル
    ビン酸およびその塩から選ばれた少なくとも1種からな
    る硬度付与剤と、並びにスルファミン酸イオン、硫酸イ
    オンおよび塩素イオンから選ばれた少なくとも1種のア
    ニオンとを含み、かつ1.0〜3.0のpH値を有するめ
    っき液中に金属材料をカソードとして配置し、これに電
    流密度10〜80A/dm2 の条件下で、電解処理を施し
    て、前記金属材料表面上に高硬度を有する鉄含有金属を
    高速でめっきする方法。
  2. 【請求項2】 前記めっき液が、さらに0.6モル/リ
    ットル以下の、ニッケル、コバルトおよびマンガンから
    選ばれた少なくとも1種の添加金属イオンを含有する、
    請求項1に記載の金属の高速高硬度鉄含有金属めっき方
    法。
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