JPH09217199A - 電着塗装方法 - Google Patents

電着塗装方法

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JPH09217199A
JPH09217199A JP2571896A JP2571896A JPH09217199A JP H09217199 A JPH09217199 A JP H09217199A JP 2571896 A JP2571896 A JP 2571896A JP 2571896 A JP2571896 A JP 2571896A JP H09217199 A JPH09217199 A JP H09217199A
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JP
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electrodeposition
article
coating
bath
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JP2571896A
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Ikuo Kawakami
育雄 河上
雅道 ▲ひじ▼野
Masamichi Hijino
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被塗物の表面のみならず、その袋穴、溝、貫
通穴等の内面に対しても電着塗装を確実に行う。 【解決手段】 被塗物を電着塗料に浸漬した状態で、電
着塗料に超音波振動、攪拌流を起こさせたり、被塗物を
ブラシ仏拭や揺動させて、袋穴、溝、貫通穴の内面に残
存している空気を除去し、その後、電着塗装する。塗装
の邪魔となる空気がないため、複雑構造であっても、そ
の全面を塗装できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属からなり袋
穴、溝等を有する被塗物に対して電着塗装する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】電着塗装は外観向上を目的として、金属
製の被塗物の表面にアニオン型樹脂塗料またはカチオン
型樹脂塗料を電気泳動法で不溶化、析出させて塗装する
ものである。この電着塗装は他の塗装法と比較して、均
一な厚さの塗膜が容易に得られると共に、溶剤除去タイ
プの塗装のような有機溶剤の揮発による作業環境の悪化
もほとんどない等の利点がある。
【0003】かかる電着塗装は他の種類の塗装と同様
に、被塗物表面のうち、塗料に接しない部分には塗装す
ることができない。このため、アスペクト比が1を超え
る内径5mm以下の袋穴や幅5mm以下の溝、アスペク
ト比が3を超える内径5mm以下のパイプの内面や貫通
孔等を有する被塗物を電着塗料浴に浸漬した場合、これ
らの袋穴や溝等の深部は気泡や塗装前工程の水洗水が残
存し易いところから、塗料に接することができない。こ
れにより、そのまま通電しても塗装されないことが多
い。
【0004】このような問題に対して、その解決に有効
な手段がなかったため、従来は、設計の段階で被塗物に
袋穴や溝を作らないようにしたり、袋穴や溝が不可欠な
場合はそれらのアスペクト比をできるだけ小さくするか
または袋穴や溝を貫通穴やスリットに変更することで対
応してきた。また、被塗物を電着塗料浴に1分以上の長
時間浸漬することで、袋穴や溝等の深部に残存する水洗
水を塗料に拡散して除去した後、通電することもなされ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、設計の
段階で対応する従来の方法では、設計の自由度が狭くな
るため、電着塗装した金属部品を用いた製品の機能を低
下させたり、意匠の付加価値を低下させる原因となって
いる。このことは特に、製品の小型化、軽量化に対して
は大きな障害となることが多い。
【0006】一方、被塗物を電着塗料浴に長時間浸漬し
てから通電する方法では、袋穴や溝等の深部に残存する
気泡の除去は難しく、単位時間あたりの処理量が低下す
ると共に、この低下に起因したコスト上昇の問題もあ
る。
【0007】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たものであり、被塗物の袋穴、溝、貫通孔、パイプ内面
等に対してこれまでより確実に塗装を施すのに有効な電
着塗装方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明は、被塗物を電着塗料浴に浸漬する
と同時または後に、周波数100kHz以下、出力10
〜200W/dm2 の超音波振動を電着塗料浴に作用さ
せ、次いで、被塗物に通電する前または同時に、超音波
振動を停止することを特徴とする。
【0009】本発明に用いられる被塗物として、電着塗
装を施すのに必要な導電性を有するものであれば良く、
例えば、鋼、アルミニウム、銅、真鍮等の金属及び合金
を始めとして、導電性樹脂、導電性セラミック、半導
体、あるいは塗装の前工程でメッキ、蒸着等の方法で導
電性被覆を施したもの等、それ自体公知のものを使用で
きる。
【0010】本発明に用いられる塗料は、アニオン型樹
脂塗料またはカチオン型樹脂塗料であって、それ自体公
知のものが使用できる。アニオン型樹脂塗料は樹脂骨格
中にカルボキシル基を多数有する酸性の樹脂を低分子有
機アミン等で中和した水性塗料である。カチオン型樹脂
塗料はアミノ基を多数有する塩基性の樹脂を有機カルボ
ン酸等の低分子有機酸で中和した水性塗料である。アニ
オン型樹脂塗料に使用するポリマーとしては、アクリル
系樹脂及びその変性樹脂を用いることが加水分解に対す
る安定性の点から望ましいが、特に限定されない。カチ
オン型樹脂塗料に使用するポリマーとしては、アミノ基
を導入したエポキシ樹脂を用いることが耐食性の観点か
ら望ましいが、特に限定されない。
【0011】超音波振動の発振源としては、フェライ
ト、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等公知の圧電素子
やニッケル合金等の磁歪素子等、それ自体公知の振動子
を使用できる。これらの振動子は、これを駆動させる電
源である超音波発振器と電気的に接続した状態で、電着
槽の壁面に固定するかまたは、電着塗料浴内に浸漬して
使用する。
【0012】図1は請求項1の電着塗装方法を説明する
ものである。被塗物1はハンガー2に固定された状態で
電着槽3に搬入し、電着槽3内の電着塗料4に浸漬す
る。次いで、超音波発振器5を起動し、電着槽3の外壁
に固定した振動子6に超音波振動を発生させる。発生し
た超音波振動は電着槽3と電着塗料4を介して被塗物1
に作用する。この超音波振動により、被塗物1の袋穴7
に残存する気泡は、分離・細分化され、速やかに大気中
に浮上するため、袋穴7内は電着塗料4に接した状態に
なる。
【0013】この場合、被塗物1に作用させる超音波振
動は、周波数100kHz以下が望ましいが特に限定さ
れない。周波数が18kHz未満では、可聴域に入るた
め、騒音が大きくなる問題が発生するが、振幅を容易に
大きくすることができるため、気泡の除去をより速やか
に行うことができる。これに対して、周波数が100k
Hzを超える場合、振幅が非常に小さくなるため、気泡
の除去は難しい。また超音波振動の単位面積当たりの出
力は、10〜200W/dm2 の範囲が良い。10W/
dm2 未満では、袋穴7に残存する気泡の除去が難し
く、200W/dm2 を超えると、被塗物1の損傷が発
生して、電着塗装後の外観に大幅な変化を与えるため、
不適当である。
【0014】次いで、超音波振動器5を停止させる。こ
の後、電源8を起動し、電源8にハンガー2を介して電
気的に接続してある被塗物1と、対極9との間に電圧を
印加する。これにより、袋穴7を含む被塗物1の表面
は、塗膜で被覆される。
【0015】被塗物1への通電時に、超音波振動がある
と、被塗物1の表面に形成した塗膜が剥離しやすいた
め、振動子は停止していなければならない。従って、請
求項1の発明では、被塗物を電着塗料浴に浸漬すると同
時または後に、超音波振動を電着塗料浴に作用させ、次
いで、被塗物に通電する前または同時に、超音波振動を
停止している。これにより被塗物の袋穴、溝、貫通孔、
パイプ内面等に塗装を確実に施すことができる。
【0016】請求項2の発明は、被塗物を電着塗料浴に
浸漬すると同時または後から、被塗物に通電するまでの
間に、電着塗料の攪拌流を発生させることを特徴とす
る。
【0017】この請求項2における塗料の攪拌流とは、
電着槽内の塗料に対して外部から力を加えることで起こ
る電着塗料の動きのことである。この塗料の攪拌機構と
しては、スクリュー、ポンプ等、それ自体公知のものが
使用できる。スクリューは、これを駆動させるモータ、
原動機、エアータービン等に軸支された状態で、電着塗
料浴内に設置される。ポンプはその取入口と吐出口を電
着槽に形成した塗料の取入口と吐出口に接続し、この状
態で、電着槽外部に設置される。また、この攪拌流は被
塗物とこれを固定するハンガーを揺動することによって
も生成することができる。
【0018】図2は請求項2の方法を示す。被塗物10
はハンガー2に固定されており、この状態で電着槽3に
搬入することで、電着塗料4に浸漬される。次いで、モ
ータ12を起動し、スクリュー13を回転させ、電着塗
料4に攪拌流を発生させる。被塗物10の内面11に残
存する気泡は、攪拌流により分離され、速やかに大気中
に浮上するため、内面11は電着塗料4に接した状態に
なる。このとき被塗物10の内面11をスクリュー13
に対向させることにより気泡をさらに分離しやすくな
る。次いで、モータ12を停止させる。この後、電源8
を起動し、ハンガー2を介して電源8に電気的に接続し
てある被塗物10と、対極9との間に電圧を印加する。
これにより、被塗物10の表面及びその内面11は塗膜
で被覆される。
【0019】この場合、被塗物10への通電時に、電着
塗料4の攪拌流があると、被塗物10の表面に形成した
塗膜が剥離し易いため、スクリュー13は停止していな
ければならない。この時、電着塗料4の攪拌流を完全に
なくす必要はなく、濾過器(図示省略)に電着塗料4を
流すため、被塗物10の表面の塗膜が剥離しない程度の
ポンプ駆動による攪拌流量があっても構わない。
【0020】以上のように、請求項2は被塗物を電着塗
料浴に浸漬すると同時または後から、被塗物に通電する
までの間に、塗料の攪拌流を発生させるため、被塗物の
袋穴、溝、貫通孔、パイプ内面等に塗装を確実に施すこ
とができる。
【0021】請求項3の発明は、被塗物を電着塗料浴に
浸漬すると同時または後から、被塗物に通電するまでの
間に、被塗物の表面をブラシで払拭することを特徴とす
る。
【0022】この請求項3では、回転機構としてモー
タ、原動機、エアータービン等に軸支し、電着塗料浴内
に浸漬してあるブラシが被塗物の表面の払拭に用いられ
る。これにはブラシ部を移動する機構も付与してある。
また、揺動機構を有するブラシを用いることもできる。
【0023】図3は請求項3の電着塗装方法を示す。被
塗物20はハンガー2に固定された状態で電着槽3に搬
入することで、電着塗料4に浸漬される。引き続いて、
ハンガー2を移動し、被塗物20をブラシ23に接触さ
せる。この状態でモータ22を起動してブラシ23を回
転させる。このブラシ23の払拭動作により被塗物20
の溝21に残存する気泡は、分離・細分化され、速やか
に大気中に浮上するため、溝21の内面は電着塗料4に
接した状態になる。
【0024】次いで、モータ22を停止させ、ハンガー
2を移動して被塗物20をブラシ23から離す。この
後、電源8を起動し、ハンガー2を介して電源8に電気
的に接続してある被塗物20と、対極9との間に電圧を
印加する。これにより、被塗物20の表面及び溝21の
内面は塗膜で被覆される。この場合、被塗物20への通
電時に、ブラシ23が被塗物20に接触していると、被
塗物20の表面に塗膜が付着しない部分ができるため、
ブラシ23は被塗物20から離れていなければならな
い。
【0025】このような請求項3では、被塗物を電着塗
料浴に浸漬すると同時または後から、被塗物に通電する
までの間に、被塗物の表面をブラシで払拭することによ
り、被塗物の袋穴、溝、貫通孔、パイプ内面等に確実に
塗装を施すことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)図1は実施の形態1の電着塗装方法が
適用される電着装置を示す。被塗物1は5000系アル
ミニウム合金(Al−Mg−Si系)製のテストピース
で、10mm×10mm×10mmのサイズのサイコロ
状に成形されている。又、内径3mm、深さ5mmの袋
穴7が1つ設けられている。この被塗物1をステンレス
製のハンガー2に2個固定した後、常法によって脱脂、
酸洗、化成皮膜処理を施した。
【0027】電着槽3は、超音波洗浄槽(商品名「モデ
ル1012−25−12SH」、日本エマソン(株)
製)を使用しており、幅254mm、奥行305mm、
深さ254mmの槽内寸法となっている。この電着槽3
の中にはアクリル樹脂系アニオン型電着塗料4(商品名
「エレコートAM−1(カーボンブラック入り)」
(株)シミズ製)が15リットル充填されており、浴温
は25℃となっている。
【0028】この電着槽3の底面の外側には振動子6が
取り付けられており、この振動子6が超音波発振器5に
電気的に接続されている。振動子6は25kHzで振動
するPZT振動子であり、超音波発振器5としては、商
品名「モデルS−7025−12(日本エマソン(株)
製)」を使用している。この超音波発振器5は発振周波
数25kHz、出力500Wであり、槽3底面の単位面
積当たりの出力は65W/dm2 となっている。
【0029】被塗物1はハンガー2に固定されて電着槽
3に搬入され、これにより電着槽3内の電着塗料4に浸
漬される。
【0030】次いで、超音波発振器5を起動し、振動子
6で発生させた超音波振動を電着槽3と電着塗料4を介
して被塗物1に作用させる。この超音波振動により被塗
物1の袋穴7に残存する気泡は、分離・細分化され、速
やかに大気中に浮上する。これにより、袋穴7の内面は
電着塗料4に接した状態になる。この状態を30秒間続
けた後、超音波発振器5を停止させる。
【0031】その後、電源8を起動し、ハンガー2を介
して電気的に接続してある被塗物1と、対極9との間に
75Vの電圧を2分間印加する。これにより、袋穴7を
含む被塗物1の表面は、塗膜で被覆される。
【0032】かかる処理の後、被塗物1を搬出し、未電
着の持ち出し塗料を水洗によって除去し、100℃10
分の予備乾燥後、180℃で30分間の加熱硬化を行っ
た、これにより、厚さ10μmの塗膜を形成した。これ
を2個ずつ5回のロットで計10個作製した。
【0033】一方、比較例1として、被塗物1の材質、
形状および電着槽3に搬入するまでの工程を実施の形態
1と全く同一とし、被塗物1に超音波振動を加える工程
を行わない点のみ異ならせ、通電以降の工程も実施の形
態1と全く同一として電着塗装を行った。
【0034】以上の実施の形態及び比較例における塗装
後の被塗物1の袋穴の塗膜の観察を行った。結果を表1
に示す。同表における「総合評価」欄の「○」は塗装が
良好で製品として使用できるものを、「×」は塗装が不
完全で製品として使用できないものを示す。表1からも
判るように実施の形態1は、10個の被塗物1の計10
箇所の袋穴7の全てに塗装を施すことができた。これに
対し、比較例1は10箇所の袋穴7の内、9箇所で気泡
の残存による塗装不良が観察された。
【0035】このように、この実施の形態では、被塗物
を電着塗料に浸漬した後に、周波数25kHz、出力6
5W/dm2 の超音波振動を電着塗料に作用させ、次い
で、被塗物に通電する前に、超音波振動を停止すること
により、被塗物の袋穴に確実に塗装を施すことができ
た。
【0036】(実施の形態2)超音波振動の単位面積当
たりの出力を10W/dm2 に変更し、その他は実施の
形態1と同一として行った。結果を表1に示す。表1か
ら本実施の形態は、10個の被塗物1の計10箇所の袋
穴7の全てに塗装を施すことができている。このよう
に、本実施の形態では、被塗物を電着塗料浴に浸漬した
後に、25kHzの周波数10W/dm2 の超音波振動
を電着塗料浴に加え、次いで、被塗物に通電する前に、
超音波振動を停止することにより、被塗物の袋穴に確実
に塗装を施すことができた。
【0037】(実施の形態3)超音波振動の単位面積当
たりの出力を200W/dm2 に変更し、その他は実施
の形態1と同一として行った。結果を表1に示す。表1
から本実施の形態は、10個の被塗物1の計10箇所の
袋穴7の全てに塗装を施すことができている。このよう
に、本実施の形態では、被塗物を電着塗料浴に浸漬した
後に、25kHzの周波数200W/dm2 の超音波振
動を電着塗料浴に加え、次いで、被塗物に通電する前
に、超音波振動を停止することにより、被塗物の袋穴に
確実に塗装を施すことができた。
【0038】(実施の形態4)図2は実施の形態4の電
着塗装方法が適用される電着装置を示す。被塗物10は
SUS304のステンレス製の細径のパイプ(内径0.
8mm、肉厚0.2mm、長さ5mm)であり、軸方向
に細穴が形成されている。11はこの細穴の内面を示
す。この被塗物10をステンレス製のハンガー2で2個
固定した後、常法により脱脂、酸洗、化成皮膜処理を施
した。
【0039】3は槽内寸法が幅254mm、奥行305
mm、深さ254mmの電着槽である。4は実施の形態
1と同じ電着塗料で、電着槽3の中に15リットル充填
されており、浴温は25℃である。12は回転速度15
0〜1500rpm、最大出力100Wのモータであ
り、電着槽3の下に設置してある。13は全体の直径が
230mmの3枚羽のスクリューであり、電着槽3の底
面を貫通する軸を介してモータ12に軸支した状態で、
電着槽3内に設けられている。この場合、被塗物10の
細穴とスクリュー13とは対向するように配置されてお
り、これにより攪拌流が被塗物10の細穴を通過するよ
うになっている。被塗物10は、ハンガー2に固定され
た状態で電着槽3に搬入されることで電着塗料4に浸漬
される。
【0040】この浸漬状態で、モータ12を起動し、ス
クリュー13を300rpmの回転速度で回転させて、
スクリュー13で発生した攪拌流を被塗物10に作用さ
せる。これにより被塗物10の内面11に残存する気泡
は、攪拌流により分離され、速やかに大気中に浮上する
ため、内面11は電着塗料4に接した状態になる。
【0041】この状態を30秒間続けた後、モータ12
を停止させる。この時、電着塗料4の攪拌流を完全にな
くす必要はなく、被塗物10の表面の塗膜が剥離しない
程度の遅い攪拌流であれば、濾過器(図示省略)に電着
塗料4を流すためのポンプ駆動による流れがあっても構
わない。
【0042】次いで、電源8を起動し、ハンガー2を介
して電源8に電気的に接続してある被塗物10と、対極
9との間に75Vの電圧を2分間印加する。これによ
り、被塗物10の表面及びその内面11は塗膜で被覆さ
れる。
【0043】この塗装の後、被塗物10を搬出し、未電
着の持ち出し塗料を水洗によって除去し、100℃、1
0分の予備乾燥後、180℃で30分間の加熱硬化を行
った。これにより厚さ10μmの塗膜を被塗物10及び
その内面11に形成した。これを2個ずつ5回のロット
で計10個作製した。
【0044】比較例2としては、被塗物10の材質、形
状および電着槽3に搬入するまでの工程は実施の形態4
と全く同一とし、被塗物10に攪拌流を加える工程を行
わない点のみ異なり、通電以降の工程も実施の形態4と
全く同一として電着塗装を行った。
【0045】塗装後の被塗物10の内面11の塗膜の観
察を行った。結果を表1に示す。表1からもわかるよう
に、実施の形態4は10個の被塗物1の計10箇所の内
面11の全てに塗装を施すことができた。これに対し、
比較例2は10箇所の内面11のうち8箇所で気泡の残
存による塗装不良が観察された。
【0046】このような本実施の形態では、被塗物を電
着塗料浴に浸漬した後に、スクリューを300rpmの
速度で回転させ、塗料の攪拌流を被塗物の内面に作用さ
せ、次いで被塗物に通電する前に、スクリューの回転を
停止するため、被塗物の内面に塗装を確実に施すことが
できた。
【0047】(実施の形態5)図4は実施の形態5の電
着塗装方法が適用される電着装置を示す。被塗物30は
5000系アルミニウム合金(Al−Mg−Si系)製
のテストピースで、10mm×10mm×10mmのサ
イズのサイコロ状に形成されている。この被塗物30に
は内径1.5mm、長さ10mmの貫通孔31が1つ設
けられている。この被塗物30をステンレス製のハンガ
ー2で2個固定した後、常法にて脱脂、酸洗、化成皮膜
処理を施した。
【0048】3は槽内寸法が幅254mm、奥行305
mm、深さ254mmの電着槽である。4は実施の形態
1と同じ電着塗料であり、電着槽3の中に15リットル
充填されており、浴温は25℃である。32は吐出量が
5〜200リットル/分のプランジャ式ポンプであり、
その取入口と吐出口が電着槽3の底面に穿設した塗料の
取入口と吐出口に連結された状態で、電着槽3外部に設
置してある。33は濾過器であり、電着塗料4の流量が
10リットル/分を超えたとき開通するバイパス流路を
備えている。ポンプ32は電着塗料4を濾過器33で濾
過するために常時駆動しており、電着槽3に被塗物30
を搬入する前は5リットル/分の吐出量で駆動してい
る。被塗物30はハンガー2に固定された状態で電着槽
3に搬入されることで、電着塗料4に浸漬される。
【0049】この浸漬状態でポンプ32の吐出量を15
0リットル/分に増大させ、吐出口からの攪拌流を被塗
物30に作用させる。これにより被塗物30の貫通孔3
1に残存する気泡は、攪拌流により分離され、速やかに
大気中に浮上するため、貫通孔31の内面は電着塗料4
に接した状態になる。
【0050】この状態を30秒間続けた後、ポンプ32
の吐出量を5リットル/分に減少させる。次いで、電源
8を起動し、ハンガー2を介して電源8に電気的に接続
されている被塗物30と、対極9との間に75Vの電圧
を2分間印加する。これにより、被塗物30の表面及び
貫通孔33の内面は塗膜で被覆される。
【0051】次に、被塗物30を搬出し、未電着の持ち
出し塗料を水洗によって除去し、100℃、10分の予
備乾燥後、180℃で30分間の加熱硬化を行う。これ
により厚さ10μmの塗膜を形成した。これを2個ずつ
5回のロットで計10個作製した。
【0052】比較例3としては、被塗物30の材質、形
状および電着槽3に搬入するまでの工程は実施の形態5
と全く同一とし、ポンプの吐出量を150リットル/分
に増大させて吐出口からの攪拌流を被塗物30に加える
工程を行わない点のみ異なり、通電以降の工程も実施の
形態5と同一として電着塗装を行った。
【0053】塗装後の被塗物30の貫通孔31の塗膜の
観察を行った。結果を表1に示す。表1からもわかるよ
うに、実施の形態5では10個の被塗物30の計10箇
所の貫通孔31の全てに塗装を施すことができている。
これに対し、比較例3は10箇所の貫通孔31の内、9
箇所で気泡の残存による塗装不良が観察された。
【0054】このような実施の形態5に対し、実施の形
態1、2、3、4では被塗物の袋穴や内面の気泡を除去
するため、超音波発生機構や攪拌機構を独立して付加す
る必要があるが、本実施の形態は、電着槽の付帯設備で
ある電着塗料の濾過用のポンプの能力を増大させると共
に、バイパス機能を有した濾過器をに変更し、流路を太
くするだけで良く、これにより構造が簡単で、小さな設
置スペースで駆動ができ、設備コストの上昇を抑制する
ことができる。
【0055】以上のような実施の形態5では被塗物を電
着塗料に浸漬した後に、ポンプの吐出量を150リット
ル/分に増大させることで塗料の攪拌流量を被塗物への
通電時と比較して増大させ、次いで被塗物に通電する前
に、吐出量を5リットル/分に減少させるため、被塗物
の表面及びその貫通孔の内面に塗装を確実に施すことが
できた。
【0056】(実施の形態6)図5は実施の形態6が適
用される電着装置を示す。被塗物40は5000系アル
ミニウム合金(Al−Mg−Si系)製のテストピース
で、20mm×20mm×20mmのサイズからなる板
状に形成されている。この被塗物40の片面には幅1m
m、長さ20mm、深さ5mmの溝41が1箇所に設け
られている。この被塗物40をステンレス製のハンガー
2で2個固定した後、常法にて脱脂、酸洗、化成皮膜処
理を施した。
【0057】3は槽内寸法が幅254mm、奥行305
mm、深さ254mmの電着槽である。4は実施の形態
1と同じ電着塗料であり、電着槽3の中に15リットル
充填されており、浴温は25℃である。
【0058】42はエアーで駆動するピストンであり、
ハンガー2の一端部が連結される支持部43を上部に有
した状態で、電着槽3の側方に設置してある。被塗物4
0は、ハンガー2に固定されて電着槽3に搬入され、こ
れにより電着塗料4に浸漬される。このときハンガー2
の一端部はピストン42の支持部43に連結されること
で同部43に支持される。
【0059】かかる浸漬状態で、ピストン42を駆動し
てハンガー2を揺動させる。この実施の形態では垂直方
向に50mmのストロークで2サイクル/秒の繰り返し
によって揺動させるものである。
【0060】これにより被塗物40は電着塗料4の中で
ハンガー2と共に揺動し、電着塗料4に攪拌流が発生す
る。被塗物40の溝41内に残存する気泡は、この攪拌
流により分離され、速やかに大気中に浮上する。このた
め溝41は電着塗料4に接した状態になる。この状態を
30秒間続けた後、揺動を停止させる。
【0061】その後、電源8を起動し、ハンガー2を介
して電源8に電気的に接続してある被塗物40と、対極
9との間に75Vの電圧を2分間印加する。これにより
被塗物40の表面及び溝41の内面が塗膜で被覆され
る。
【0062】次に、被塗物40を搬出し、未電着の持ち
出し塗料を水洗により除去し、100℃、10分の予備
乾燥後、180℃で30分間の加熱硬化を行った。これ
により厚さ10μmの塗膜を形成した。これを2個ずつ
5回のロットで計10個作製した。
【0063】比較例4は、被塗物40の材質、形状およ
び電着槽3に搬入するまでの工程は実施の形態6と全く
同一とし、被塗物40とハンガー2を揺動する工程を行
わない点のみ異なり、通電以降の工程も実施の形態6と
全く同一として電着塗装を行ったものである。
【0064】塗装後の被塗物40の貫通孔41の塗膜の
観察を行った。結果を表1に示す。表1からもわかるよ
うに、実施の形態6は、10個の被塗物40の計10箇
所の溝41の全てに塗装を施すことができた。これに対
し、比較例4は10箇所の溝7の内、6箇所で気泡の残
存による塗装不良が観察された。
【0065】この実施の形態6に対し、実施の形態1,
2,3、4では被塗物の袋穴やパイプ内面の気泡を除去
するため、超音波発生機構や攪拌機構を独立して付加す
る必要があるが、この実施の形態は、電着槽の付帯設備
としてしばしば用いられるハンガー2の揺動装置の能力
を増大させて揺動速度を速くするだけですむため、構造
が簡単で、設置スペースを小さくでき、しかも設備コス
トの上昇を抑制することができる。
【0066】以上の本実施の形態では被塗物を電着塗料
浴に浸漬した後に、被塗物40を2サイクル/秒の速さ
で垂直方向に50mm揺動し、次いで被塗物に通電する
前に揺動を停止するため、被塗物の溝に確実に塗装を施
すことができた。
【0067】(実施の形態7)図3は実施の形態7が適
用される電着装置を示す。被塗物20は5000系アル
ミニウム合金(Al−Mg−Si系)製のテストピース
で、20mm×20mm×20mmのサイズの板状に形
成されている。この被塗物20の片面には幅1mm、長
さ20mm、深さ5mmの溝21が1つ設けられてい
る。この被塗物20をステンレス製のハンガー2で2個
固定した後、常法にて脱脂、酸洗、化成皮膜処理を施し
た。
【0068】3は槽内寸法が幅254mm、奥行305
mm、深さ254mmの電着槽である。4は実施の形態
1と同じ電着塗料で、電着槽3の中に15リットル充填
してあり、浴温は25℃である。22は回転速度300
〜1500rpm、最大出力50Wのモータであり、電
着槽3の上方に設置してある。23は全体の直径が60
mm、長さ200mmのブラシであり、ステンレス製の
軸から直径φ0.5mmの66ナイロン製のワイヤが放
射状に多数固定してある。ブラシ23は電着塗料4内に
設置してあり、その軸がモータ22に連結され、モータ
22の駆動によって回転する。被塗物20は、ハンガー
2で固定された状態で電着槽3に搬入されて電着塗料4
に浸漬し、引き続いて、ハンガー2を移動し、被塗物2
0をブラシ23と接触させる。
【0069】この状態でモータ22を起動し、ブラシ2
3を600rpmの速度で回転させ、被塗物20の表面
を払拭させる。このブラシ23の払拭動作により、被塗
物20の溝21に残存する気泡は、分離・細分化され、
速やかに大気中に浮上するため、溝21の内面がは電着
塗料4に接した状態になる。
【0070】この状態を30秒間続けた後、モータ22
を停止させる。引き続いて、ハンガー2を移動し、被塗
物20をブラシ23から離す。次いで、電源8を起動
し、ハンガー2を介して電源8に電気的に接続してある
被塗物20と対極9との間に75Vの電圧を2分間印加
する。これにより、溝21を含む被塗物20の表面は、
塗膜で被覆される。
【0071】その後、被塗物20を搬出し、未電着の持
ち出し塗料を水洗によって除去し、100℃、10分の
予備乾燥後、180℃で30分間の加熱硬化を行い、こ
れにより厚さ10μmの塗膜を形成した。これを2個ず
つ5回のロットで計10個作製した。
【0072】塗装後の被塗物20の貫通孔7の塗膜の観
察を行った結果を表1に示す。表1からも判るように、
10個の被塗物20の計10箇所の溝21の全てに塗装
を施すことができた。
【0073】このように、この実施の形態ではの形態で
は被塗物を電着塗料浴に浸漬した後に、ブラシを被塗物
の表面に接触させて被塗物の表面をブラシで払拭し、ブ
ラシの払拭動作を停止させ、被塗物の表面からブラシを
離した後、被塗物に通電するため、被塗物の溝に確実に
塗装を施すことができた。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】本発明は被塗物に設けられた袋穴、溝、
貫通穴等の内面に残存している空気を除去して、その内
面を電着塗料と接触させ、この状態で電着塗装を行うた
め、複雑な構造であっても、その全面の塗装を確実に行
うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1、2、3に使用する電着装置の断
面図である。
【図2】実施の形態4に使用する電着装置の断面図であ
る。
【図3】実施の形態7に使用する電着装置の断面図であ
る。
【図4】実施の形態5に使用する電着装置の断面図であ
る。
【図5】実施の形態6に使用する電着装置の断面図であ
る。
【符号の説明】
1 被塗物 2 ハンガー 3 電着槽 4 電着塗料

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被塗物を電着塗料浴に浸漬すると同時ま
    たは後に、周波数100kHz以下、出力10〜200
    W/dm2 の超音波振動を電着塗料浴に作用させ、次い
    で、被塗物に通電する前または同時に、超音波振動を停
    止することを特徴とする電着塗装方法。
  2. 【請求項2】 被塗物を電着塗料浴に浸漬すると同時ま
    たは後から、被塗物に通電するまでの間に、電着塗料に
    攪拌流を発生させることを特徴とする電着塗装方法。
  3. 【請求項3】 被塗物を電着塗料浴に浸漬すると同時ま
    たは後から、被塗物に通電するまでの間に、被塗物の表
    面をブラシで払拭することを特徴とする電着塗装方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0962553A1 (fr) * 1998-06-04 1999-12-08 Sollac Procédé et installation de revêtement d'une surface par électrophorèse

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