JPH09224570A - パームステアリンを利用した食用油 - Google Patents

パームステアリンを利用した食用油

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JPH09224570A
JPH09224570A JP8060290A JP6029096A JPH09224570A JP H09224570 A JPH09224570 A JP H09224570A JP 8060290 A JP8060290 A JP 8060290A JP 6029096 A JP6029096 A JP 6029096A JP H09224570 A JPH09224570 A JP H09224570A
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oil
fat
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oils
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Kazuhisa Yokomizo
和久 横溝
Nobuko Hayashi
伸子 林
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Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パームステアリンを高い比率で含有し、結晶
の粗大化が生起せず、かつ低融点で安全性の高い食用に
適した油脂を提供すること。 【解決手段】 パームステアリンを75〜5%及び融点
30℃以下の液状油を25〜95%の比率で配合した油
脂を、1,3−位特異性を有するリパーゼでエステル交
換をして得られる食用油。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はパームステアリンを
利用した食用油に関するもので、詳しくは融点が高いた
め、これまで食用にはあまり利用されていないパームス
テアリンを他の油脂と配合し、酵素であるリパーゼを作
用させて改質した食用油に関するものである。
【0002】
【従来の技術】パームステアリンは、パーム油を融解
し、温度をコントロールしながら冷却して結晶化させた
後、濾過して得られた固体部分である。一方、液体部分
は通常パームオレインと呼ばれる。パームステアリンは
通常、融点(AOCS試験法Cc−25)44〜56
℃、よう素価(AOCS試験法Cd−25)22〜49
の物性を持っている。パームステアリンは、その融点が
人間の体温より高いので、口の中で固化してしまい、食
感を著しく損ねてしまう。この結果、食用にはごく一部
の例外を除いて用いられておらず、多くは工業用の原料
となっている。一方、最近では液体油に近い物性を持っ
たパームオレインが、ハンドリングがよい酸化安定性の
よい油として評価され、その需要は高まる傾向にある
が、パームステアリンは、上記の理由により用途が限定
されるので、生産国では在庫が過剰となっている。その
ため、パームステアリンの用途開発が望まれている。
【0003】油脂の用途としてフライ油の占める割合は
大きい。フライ油に要求される機能としては、油脂の持
つ風味だけではなく、加熱に対する安定性や、揚げた商
品が長期に保存される場合には、低温での酸化に対する
安定性(自動酸化に対する安定性)が要求される。一般
的には、油脂の高度不飽和脂肪酸(植物油の場合はリノ
ール酸、リノレン酸等)の含有量が少ない程、これらの
安定性は高くなる。パームステアリンはこれらの高度不
飽和脂肪酸の含有量が非常に少ないので、安定性の高い
油脂と言える。油脂の加工法の一つとして、部分水素添
加はよく知られた方法であり、液体油に部分水素添加処
理を施し、高度不飽和脂肪酸の含有量を減らして、固体
もしくは半固体の油脂を製造することができる。この手
段により、一般の植物油も上記安定性を向上させること
ができる。しかしながら、部分水素添加を施した油脂を
長時間加熱(通常のフライ温度で180℃程度の温度)
すると、特有の風味(通常、水添臭と呼ばれる)を発生
するので、この風味に合わない食品への使用はできな
い。さらに、部分水素添加をすると、天然には殆ど存在
しないトランス酸が生成する。
【0004】近年、油脂の栄養面での研究の進展によ
り、特に成人病等の疾病と油脂との関係が論議されてい
る。部分水素添加によって生成するトランス酸は、飽和
脂肪と並び成人病、特に心臓疾患に関与するとの説も提
出されており、欧米ではトランス酸の含有量を少なくす
る方向での商品開発が主流となっている。このような点
から、トランス酸を含有しない天然の、酸化安定性のよ
い固体脂としてパームステアリンの利用価値があるもの
と考えられる。
【0005】従来、パームステアリンを食用に供する場
合、液体油と配合するか、もしくは液体油と配合した
後、化学的にエステル交換反応を実施する等の手法が用
いられていた。しかし、食用として可能な物性を得るた
めには、両者いずれの場合も液体油の配合組成を少なく
とも50%以上とする必要があった。その上、これらの
方法では、後述するように、生成物に3飽和のトリアシ
ルグリセロールが存在し、食用に適した物性を得られな
いという課題がある。また、パームステアリンに限ら
ず、パーム油由来の油脂は固体の状態で保存すると、結
晶の粗大化という問題が発生する。結晶が粗大化する
と、製品表面のざらつき、ひび割れ等が発生し、著しく
商品価値を損ねることになる。そのため、パーム油由来
の油脂の配合量が制限されることになり、例えばマーガ
リンでは結晶の粗大化を防止するため、パーム油の配合
比率は通常30%以下に制限されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
現状に鑑み、パームステアリンの食用への用途拡大を目
的として、パームステアリンを改質して結晶の粗大化が
生起せず、低融点で安定性の高いものを開発すべく鋭意
検討した。
【0007】さて、油脂はトリアシルグリセロールが主
成分である(通常90%以上)。トリアシルグリセロー
ルは、グリセリン1分子と脂肪酸3分子がエステル結合
したもので、脂肪酸の種類や比率、さらには脂肪酸がグ
リセリンのどの位置に結合しているかによって、油脂の
物性は大きく影響される。一般に天然の油脂では、グリ
セリンの2位置には、より不飽和結合の多い脂肪酸が結
合し、グリセリンの1位置と3位置には、より不飽和結
合の少ない脂肪酸が結合している可能性が高い。ところ
で、パーム油は飽和脂肪酸の含有比率が高く、パーム油
を分別した固体部分であるパームステアリンは飽和脂肪
酸の含有比率がさらに高くなっており(通常60%以
上)、1分子中に飽和脂肪酸を2分子(2飽和トリアシ
ルグリセロール)、もしくは3分子(3飽和トリアシル
グリセロール)含む場合が多い。これらの分子の存在に
より、パームステアリンの融点は高くなり、また分子構
造の類似したものが多くなることにより、結晶の均一
化、粗大化の問題が発生することになる。
【0008】これらの問題を解決する手段として、融点
の低い油脂(例えば液体油)を配合すること、もしくは
化学的にエステル交換を行うことが一般に行われてい
る。しかし、パームステアリンは一般的には10%以上
の3飽和トリアシルグリセロールが存在しており、これ
らは少量の存在でも物性(特にこれを使用した製品の食
感)に大きな影響を与える。前者の方法では、この3飽
和トリアシルグリセロールが残存してしまい、完全な解
決手段とはなりえない。また、後者の方法では、エステ
ル交換により新たに3飽和トリアシルグリセロールの生
成が起きるので、これも完全な解決手段とはならない。
【0009】したがって、パームステアリンを食用に適
するように改質するためには、3飽和トリアシルグリセ
ロールを如何にして減らすかということが重要である。
天然の油脂であるパームステアリンは、その2位置に不
飽和脂肪酸が結合している可能性が高いので、2位置の
不飽和脂肪酸は改質せずに、1位置,3位置に不飽和脂
肪酸を導入することが、最もよい解決手段になるものと
考えられる。
【0010】以上の考えに基づき、パームステアリンを
液状油と配合した後、1,3−位特異性を有するリパー
ゼを作用させることにより、パームステアリンを食用に
適する物性に改質できるという知見を得た。この結果、
従来の油脂配合法や化学的エステル交換法では不可能で
あった、パームステアリンを高い比率で含有し、食用に
適した油脂を製造することが可能となった。また、この
油脂は、配合する油に部分水添脂を使用しなければ、ト
ランス酸を含有しない固体の油となり、トランス酸の栄
養面での不安を除くことができる。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、パームステア
リンを75〜5%及び融点30℃以下の液状油を25〜
95%の比率で配合した油脂を、1,3−位特異性を有
するリパーゼでエステル交換をして得られる食用油並び
に当該食用油を原料とするショートニング又はマーガリ
ンである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いるパームステアリンは、一般的には、前述
した方法により製造され、前述した物性を持つものであ
る。次に、本発明に用いる液状油は、融点が30℃以下
のものであればよく、例えば大豆油、菜種油、コーン油
等、室温で半固体状のパームオレイン、パーム核油など
が挙げられる。また、融点30℃以下の液状油として、
植物油の部分水添脂を使用することも可能であるが、本
発明はパームステアリンを改質することによって、トラ
ンス酸含有量の少ない固体脂を得ることを目的としてい
るので、あまり好ましくない。なお、液状油に要求され
る油脂物性に応じて2種類もしくはそれ以上の種類を配
合しても構わない。
【0013】本発明において、上記油脂の配合割合は、
用途などを考慮して適宜設定できるが、通常はパームス
テアリンを75〜5%、好ましくは70〜15%、液状
油25〜95%、好ましくは30〜85%の割合で配合
するのが適当である。
【0014】本発明に使用する酵素、1,3−位特異性
を有するリパーゼは、その起源は問わない。好ましくは
微生物由来のものがあり、例えばリゾプス・デレマー
Rhizopus delemar)由来のものが挙げられる。
【0015】改質方法は、バッチ式、カラム式いずれの
対応も可能であるが、工業的には後者の方法が有利であ
る。反応条件については特殊な点はなく、通常の酵素に
よる油脂改質条件での対応が可能である。後述する実施
例では、特開平4−65493号に記載された反応条件
で改質を行った。酵素反応終了後、得られた改質油脂
は、通常の油脂の精製と同様に、脱色、脱臭等の操作を
行うことにより精製する。精製後は、通常の油脂と同様
の使用が可能となる。
【0016】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明する
が、本発明はこれらにより制限されるものではない。 実施例1 マレーシア産の精製パームステアリン(RBDパームス
テアリン、融点53.5℃,よう素価26.2)40%
と菜種白絞油(味の素株式会社製、よう素価117.
5)60%を配合した。この配合油の融点は50.4℃
であり、人間の体温より高いため、これを食べた場合、
口の中で油脂が固化してしまい、食用には適さないもの
であった。
【0017】この配合油を、特開平4−65493号の
実施例1に記載の条件に従って改質を行った。すなわ
ち、陽イオン交換樹脂「WK−13」(三菱化成(株)
製)を120℃、30mmHgの減圧下で4時間乾燥処
理し、水分を約1%に調整した。リゾプス・デレマー由
来の1,3−位特異性リパーゼ(天野製薬(株)製)、
商品名:「リパーゼD」)26.6gと大豆レシチン
(味の素(株)製)8gを水60mlに溶かし、担体と
して1000gの乾燥した陽イオン交換樹脂「WK−1
3」と混合し、約30分間よく攪拌し、担体の表面にリ
パーゼを均一にコーティングした。この固定化リパーゼ
は、水分約6.1%含んでいた。反応基質として、上記
配合油を減圧乾燥し、水分を50ppmに調整した。固
定化リパーゼ300gを内径10cm、長さ50cmの
ガラスカラムに充填し、カラム全体を60℃に保温し
た。上記の配合油を60℃に加温し、ポンプで毎分5g
を定量的に流し、60℃で連続的に酵素反応を行った。
カラムを通過した反応生成物は、常法に従い活性白土を
使用した脱色処理、真空水蒸気蒸留による脱臭処理を行
って精製した。このようにして得られた改質油の融点は
32.5℃であり、フライ用ショートニングとして使用
できる物性であり、ドーナッツや揚げパンなどのフライ
に適した融点であった。
【0018】実施例2 マレーシア産の精製パームステアリン(RBDパームス
テアリン、融点53.5℃,よう素価26.2)35
%,菜種白絞油(味の素株式会社製、よう素価117.
5)35%及びマレーシア産の精製パーム核油(RBD
パーム核油、融点27.5℃,よう素価18.0)30
%を配合した。この配合油の融点は50.0℃であっ
た。次に、この配合油を実施例1と同様に酵素による改
質を行い、融点29.3℃の改質油を得た。改質前の配
合油と酵素改質油について、その物性をSFC(固体脂
含量、基準油脂分析試験法(日本油化学会編)に記載)
により評価した。その結果を第1表に示した。
【0019】
【表1】
【0020】表から明らかなように、配合油は融点が高
く、37.8℃のSFCも18.9を示した。これは、
人間の体温においても一部が融解せず、口の中に固体脂
が残ることを意味している。これに対して、酵素改質油
は融点も低く、SFCもマーガリン用の油脂として適当
な数値を示した。すなわち、10.0℃のSFCは約3
0であり、低温での保型性維持に十分な数値(硬さ)を
示し、33.3℃のSFCが2.1であり、人間の体温
付近での良好な口溶け性があることを示している。
【0021】次に、この改質油を20℃に保存し、その
結晶型の経時変化をX線回折により分析した。一般に、
マーガリン用油脂として適した結晶型は、βプライム型
と言われ、β型の結晶型の場合は、結晶が粗大化するた
めに、表面のざらつきやひび割れが起こり、マーガリン
用油脂には適さないと言われている。パーム油及びパー
ム油由来の油脂は、結晶型がβ型になる傾向があり、マ
ーガリン用油脂には適していないことは前述した通りで
ある。配合油は、固化後速やかにその結晶型はβ型を示
したが、酵素改質油脂は保存後2週間を経過した時点で
もβプライム型を示し、マーガリン用油脂として適して
いることを示した。
【0022】実施例3 マレーシア産の精製パームステアリン(RBDパームス
テアリン、融点53.0℃,よう素価28.9)とコー
ン油(味の素株式会社製、よう素価124.5、液体
油)を各種の組成で配合した。また、この配合油を用い
てリパーゼによる酵素改質法または化学的エステル交換
法による改質を行った。なお、酵素改質は実施例1と同
様の条件で実施し、化学的エステル交換法はナトリウム
メチラートを使用した常法により実施し、反応終了後、
精製(脱色,脱臭)したものを分析した。得られた各種
油脂の物性を融点及びSFC(固体脂含量)で評価し、
改質前の配合油脂の物性と共に第2表に示した。なお、
表中のは油脂の配合比がパームステアリン75%、コ
ーン油25%、はパームステアリン50%、コーン油
50%、はパームステアリン25%、コーン油75%
のものをそれぞれ示す。
【0023】
【表2】
【0024】実施例4 実施例3におけるパームステアリン75%、コーン油2
5%の配合比の各種油脂(配合油脂、酵素改質油脂、化
学的エステル交換油脂)をフライ油に用いてドーナツを
フライした。このドーナツの官能評価(n=15,ブラ
インドテスト)に供した。官能評価パネルは、油脂及び
食品の官能評価に精通している。なお、ドーナツの製造
は、市販のドーナツミックス粉(日本製粉株式会社製,
商品名:ドーナツミックスCO2)を使用し、これに添
付されている説明書に従って行った。結果を第3表に示
した。
【0025】
【表3】
【0026】表から明らかなように、酵素改質油脂をフ
ライ油に用いて製造したドーナツが最もおいしいという
評価を得た。これは、酵素改質油脂の融点及びSFC
(固体脂含量)がドーナッツの食感に適当であったため
と考えられる。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、通常は殆ど食用に供さ
れないパームステアリンを高い比率で含有し、食用に適
した油脂が提供される。この油脂は、トランス酸を含有
せず(配合で部分水添脂を使用して場合を除く)、栄養
的に安全性が高い。また、酸化安定性も良好で、フライ
用を中心としたショートニング、マーガリンの原料油と
して好適である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パームステアリンを75〜5%及び融点
    30℃以下の液状油を25〜95%の比率で配合した油
    脂を、1,3−位特異性を有するリパーゼでエステル交
    換をして得られる食用油。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の食用油を原料とするショ
    ートニング又はマーガリン。
JP8060290A 1996-02-23 1996-02-23 パームステアリンを利用した食用油 Pending JPH09224570A (ja)

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