JPH09227234A - Ni金属蒸着用ルツボ - Google Patents

Ni金属蒸着用ルツボ

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JPH09227234A
JPH09227234A JP8060184A JP6018496A JPH09227234A JP H09227234 A JPH09227234 A JP H09227234A JP 8060184 A JP8060184 A JP 8060184A JP 6018496 A JP6018496 A JP 6018496A JP H09227234 A JPH09227234 A JP H09227234A
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JP
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crucible
vapor deposition
powder
tib
metal
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JP8060184A
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English (en)
Inventor
Toshiyuki Suzuki
利幸 鈴木
Shigeki Niwa
茂樹 丹羽
Yutaka Okada
裕 岡田
Taiji Okiyama
泰治 沖山
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Coorstek KK
Original Assignee
Toshiba Ceramics Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ni金属等の蒸着膜を得る目的で用いられる
高耐食性で、且つ、高導電性の優れた特性を併有するN
i金属蒸着用ルツボの提供。 【解決手段】 二ホウ化チタン(TiB2 )80〜95
重量%、ホウ化クロム(CrB)2.5〜17.5重量
%、炭化チタン(TiC)2.5〜17.5重量%を含
有してなり、且つ、比抵抗が1〜8×10-5Ω・cmで
ある複合セラミックスにより形成されることを特徴とす
るNi金属蒸着用ルツボ。前記セラミックスが、開気孔
率が5%以下で、且つ、閉気孔率が5〜15%であるこ
とが好ましい。本発明のNi金属蒸着用ルツボは、複合
セラミックスを構成する所定の原材料をルツボ形状に成
形し、常圧焼結して製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はNi(ニッケル)金
属蒸着用ルツボに関し、詳しくは電子産業及び光学産業
用に使われる高品位のNi金属単体またはNiを主成分
とするNi合金の蒸着膜を得る目的で、電子ビーム蒸着
装置、プラズマ蒸着装置等に用いられる高耐食性で、且
つ、高導電特性を併有するNi金属蒸着用ルツボに関す
る。
【0002】
【従来の技術】電子産業及び光学産業の分野においては
各種の薄膜が多用されているが、形成される薄膜の性状
によって得られる製品の最終的特性が大きく影響される
ことから、現在、薄膜形成技術の開発が活発に行われて
いる。代表的な化学蒸着による薄膜形成方法として電子
ビーム蒸着法及びプラズマ蒸着法がある。電子ビーム蒸
着法は、真空中で蒸着材を電子ビ−ムにより加熱し蒸発
させて基板上に凝縮する方法である。また、プラズマ蒸
着法は、真空中で電場を加えて放電させてプラズマを形
成し、蒸着材からイオンやラジカルを発生させ生成物を
基板上に堆積させる方法である。これらの方法によりN
i金属単体またはNiを主成分とするNi合金の薄膜を
生成するためには、電子ビームまたはプラズマ照射によ
り原材料であるNi金属またはNi合金を加熱溶融させ
て蒸発させる必要があり、そのため溶融金属を保持する
蒸着用ルツボが用いられている。
【0003】上記の電子ビームまたはプラズマ照射に用
いられる蒸着用ルツボは、導電性に優れることが要求さ
れる。非導電性や低導電性であると、電子ビームまたは
プラズマ照射によりルツボ内に保持される蒸着用溶融金
属が荷電し、円滑に蒸発できなくなるためである。ルツ
ボ内の溶融金属の帯電を防止するために、比抵抗は数百
μΩ・cm以下の材料を用いてルツボを作製するのが望
ましいとされており、Ni金属蒸着用ルツボ材には、一
般に、黒鉛、W(タングステン)、Mo(モリブデ
ン)、Ta(タンタル)等の高融点で、導電性の金属を
主成分とした金属材料が用いられている。しかし、これ
らの金属材料は、溶融Niに対する耐食性が低いため問
題となっている。例えば、黒鉛製ルツボを用いた場合
は、ルツボ内に溶解保持されるNi金属単体またはNi
を主成分とするNi合金(以下、単にNi金属等とす
る)中にルツボから炭素が大量に溶出し、Ni金属等中
に含まれるCr、Mo、Fe、Cu、Ti等不純物(以
下、単にCr等不純物とする)と反応して金属炭化物が
生成され、純度が低下するおそれがあり、一方、黒鉛ル
ツボ中には逆にNi金属等中に含まれるCr等不純物が
浸潤し組成が変化するため、昇温や冷却時にルツボが割
れることもあった。また、W、Mo、Ta等を主成分と
したルツボでも、Ni金属等中に含まれるCr等不純物
とルツボの構成材料W、Mo、Ta等とが反応して合金
を生成し易く、黒鉛製ルツボと同様に耐食性に問題があ
った。
【0004】これら上記したような問題により、従来か
ら耐食性等を改善するためNi蒸着用ルツボの材質につ
いて種々検討され、提案されている。例えば、特開平4
−157181号公報では、黒鉛製ルツボに耐食性材料
であるTiB2 等の二ホウ化物でコーティングしたルツ
ボが提案されている。しかし、この二ホウ化物コーティ
ング黒鉛ルツボを用いて電子ビーム蒸着またはプラズマ
蒸着で蒸着試験を繰返し行うと、蒸着装置での昇温また
は冷却速度が非常に速いため、熱膨張差によりコーティ
ング層二ホウ化物が剥離するおそれがある。また、Al
23 、BN、Si34 や、特公昭57−3627号
公報で提案されるMgO等を主成分としたルツボは、上
記の黒鉛、W、MoまたはTa等の高融点金属と比較す
ると耐食性に優れるが、絶縁性であるためルツボ内の蒸
着金属及び蒸着装置をアース処理する必要があり大量生
産用としては実用的でない。また、Al23 やMgO
を主成分とするルツボは、耐熱衝撃性が低く、蒸着操作
時にルツボの割れが生じ易く問題となっていた。更にま
た、金属蒸着容器用の材料として、特公昭52−969
0号公報にはBN−TiB2 −TiNの三成分系材料の
製造方法が提案され、特公昭58−2260号公報には
BN−TiB2 −AlNを主成分とした材料及び製造方
法が提案されている。これらは、TiB2 やTiN等の
導電性材料と、BNやAlN等の絶縁性材料とを組合せ
て耐食性を改善している。しかし、BN−TiB2 −T
iN及びBN−TiB2 −AlNの三成分系材料は、比
抵抗が数千μΩ・cmのものが一般的であり、電子ビー
ム蒸着法またはプラズマ蒸着法で、Ni金属またはNi
合金を蒸着させる場合、帯電性し易く蒸着が安定しない
おそれがある。また、これらの三成分系材料は、上記の
ように導電性材料と絶縁性材料から形成されているた
め、比抵抗のばらつきが多く、電子ビームやプラズマ放
電が安定しない。そのため安定して蒸着できないことも
あり、また、局部加熱され易く、割れ易い問題もあっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、金属
蒸着用のルツボについては材料面から種々検討がなされ
てきたが、耐食性と導電性の両方の特性を満足できるも
のはなく、いずれも工業的実用化のためには問題を有し
ている。また、上記の各種材料を用いてルツボを製造す
る場合は、一般にホットプレス法を用いて焼結を行わね
ばならないため、円筒形状等の単純形状のものしか作製
できず、焼結後にダイヤモンド砥石等を用いる焼結体加
工が必要となるため、コストが嵩むばかりか、得られる
蒸着用ルツボには加工時の残留応力及びマイクロクラッ
クが残存し易く、使用中ルツボが割れる原因にもなって
いた。一方、出願人は、特開平6−221768号公報
及び特開平1−278956号公報で、TiB2 を主成
分とする溶融金属用耐火物を提案した。発明者らは、こ
の耐火物、特に後者のTiB2 −金属ホウ化物−炭化チ
タンからなる溶融金属用耐火物をNi蒸着用ルツボに適
用するべく鋭意検討した。その結果、上記三成分の配合
比率を特定することにより、比抵抗を所定とすることが
でき、上記のNi蒸着用ルツボの問題点を解消し、工業
的実用性に富み、特に、耐食性及び導電性の双方を満足
するものが得られること、また、従来の材料とは異なり
ホットプレス焼結する必要がなく、常圧焼結法によりル
ツボ形状を形成することができるため、残存応力やマイ
クロクラックの問題も解消できることを見出し本発明を
完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、二ホウ
化チタン(TiB2 )80〜95重量%、ホウ化クロム
(CrB)2.5〜17.5重量%、炭化チタン(Ti
C)2.5〜17.5重量%を含有してなり、且つ、比
抵抗が1〜8×10-5Ω・cmである複合セラミックス
により形成されることを特徴とするNi金属蒸着用ルツ
ボが提供される。本発明のNi蒸着用ルツボにおいて、
前記セラミックスが、開気孔率が5%以下で、且つ、閉
気孔率が5〜15%であることが好ましい。また、本発
明のルツボは、前記セラミックスを構成する所定の原材
料をルツボ形状に成形して常圧焼結して得ることができ
る。
【0007】本発明は上記のように構成され、Ni蒸着
用ルツボがTiB2 を主成分として、CrB及びTiC
を各所定量含有する複合セラミックスにより形成され、
各成分のTiB2 、CrB及びTiCが、Ni金属及び
Ni金属中の不純物のCr、Mo等とは非反応性である
ことに加え、主成分のTiB2 が高導電性であり、焼結
によりこれら三成分が所定比率で均一に共存することか
ら、従来の蒸着溶融金属用材料では得られなかった耐食
性及び導電性の双方を十分に具備することができ、ルツ
ボ内に安定してNi溶融液を保持し、且つ、均一に所定
の比抵抗を有し、電子ビーム及びプラズマ放電が安定
し、均一に蒸着処理することができる。また、ルツボを
構成する上記三成分含有の複合セラミックスが所定の開
気孔及び閉気孔を有することから、各成分の非反応性と
相俟って著しく耐食性に優れ、耐熱衝撃性にも優れルツ
ボの損傷や割れのおそれもなく、安定した蒸着処理を行
うことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のNi蒸着用ルツボを構成
する複合セラミックスは、TiB2 、CrB及びTiC
の三成分を含有し、TiB2 80〜95重量%、CrB
2.5〜17.5重量%、TiC2.5〜17.5重量
%の範囲に調整される。TiB2 の含有量が80重量%
以下であると、比抵抗が上昇し所定の比抵抗を維持でき
ず、また耐食性も低下するためである。一方、95重量
%以上であると、常圧焼結法では十分な特性、特にルツ
ボとして十分な強度を得られないためである。CrBの
含有量が、2.5重量%以下であるとCrBにより耐食
性が低下し、17.5重量%以上であると比抵抗が大き
くなり導電性が低下するためである。また、TiCの含
有量が、2.5重量%以下であるとTiCによる耐食
性、高融点の優れた特性が低下し、17.5重量%以上
であると比抵抗が大きくなり導電性が低下するためであ
る。
【0009】本発明の複合セラミックスの各成分は、そ
れぞれNi金属と非反応性であり、且つ、Ni金属単体
またはNiを主成分とするNi合金(以下、単にNi金
属等とする。)中に含まれるCr等の不純物とも非反応
性であり、特に、TiB2 は上記不純物に対し全く不活
性である。このため、TiB2 を主成分とするセラミッ
クスで形成されるルツボは、耐食性に優れ、ルツボ中で
溶融保持されるNi金属等が汚染されることがなく、安
定的に蒸着処理され、所定の均質なNi金属等の蒸着膜
が形成される。また、上記複合セラミックスの三成分の
融点はそれぞれTiB2 が2790℃、CrBが210
0℃、TiCが3257℃であり、これら三成分から形
成される本発明のセラミックスは金属Niの融点145
5℃より高融点となり、Ni金属等の溶融液を保持する
ための十分な耐熱性を有する。更に、本発明のセラミッ
クスの主成分であるTiB2 は、室温比抵抗が9×10
-6Ω・cmであり著しく導電性に優れ、一方、CrB及
びTiCはそれぞれ4.6×10-5Ω・cm及び1×1
-4Ω・cmであり、TiB2 、CrB及びTiCで形
成される複合セラミックスは、TiB2 単独の場合より
導電性が低下する。しかし、従来技術のように絶縁材料
を用いた場合に比し、上記のように各成分とも導電性物
質であり、均質な複合セラミックスを形成するため、比
抵抗もルツボ全域においてほぼ1〜8×10-5Ω・cm
であり、導電性に優れ溶融Niの帯電を防止し、電子ビ
ーム、プラズマに放電性が安定し、Ni蒸着処理を安定
して行うことができる。
【0010】本発明の複合セラミックスは、前記特開平
1−278956号公報で提案された二ホウ化チタンセ
ラミックスと同様に形成することができ、主成分である
TiB2 の粉末と、Cr(クロム)粉末及びC(カーボ
ン)粉末とを所定に配合し焼結して得られる焼結体であ
り、焼結時にTiB2 とCr及びCが反応し、粒界にC
rB及びTiCが形成析出しTiB2 粒子を結合し緻密
化する。このため、本発明の複合セラミックスは、均質
で高強度となる。また、本発明の複合セラミックスは、
主成分のTiB2 粉末に所定量のCr粉末及びC粉末を
添加し、更に、最終的に、TiB2 が80〜95重量
%、CrBが2.5〜17.5重量%及びTiCが2.
5〜17.5重量%の範囲の組成比率となるように、C
rB粉末とTiC粉末をそれぞれの所要量添加し、焼結
することによっても得ることができる。従来、多成分か
らなる複合セラミックスで十分な機械強度の成形品を得
るためには、ホットプレス成形を行わなければならなか
った。しかし、本発明において、上記の複合セラミック
スにより形成されるNi蒸着用ルツボは、金型成形また
はCIP成形し、要すれば得られた成形体を加工し、そ
の後、常圧焼結してほぼ所望形状で、且つ、高強度の焼
結成型体を製造することができる。このため焼結体を加
工する必要がなく、従来のホットプレス焼結後の機械加
工によるマイクロクラックや残留応力等の影響を受ける
ことがない。従って、本発明のNi金属蒸着用ルツボは
性能的に優れるばかりでなく、製造コスト的にも工業上
実用性に富むものである。常圧焼結でルツボとして十分
な高強度を達成できるのは、上記の様に原料のCr粉末
及びC粉末が焼結時にTiB2 と反応し、焼結体が緻密
化されるためである。
【0011】本発明のNi蒸着用ルツボを形成する複合
セラミックスは、上記した構成成分による耐食性と導電
性の特性を具備すると同時に、更に、開気孔率が5%以
下、且つ、閉気孔率が5〜15%であるものが好まし
い。開気孔率を5%以下とすることにより、加熱冷却を
繰り返してもNi金属等が気孔内に殆ど浸潤しないた
め、本発明のルツボを構成する複合セラミックスと熱膨
張率大のNi金属等との熱膨張差により割れることがな
く、耐衝撃性に優れる。また、開気孔率が5%を超える
場合は、加熱冷却を繰り返すことにより、Ni金属等が
気孔内に徐々に浸潤し、複合セラミックスとNi金属等
との熱膨張差によりルツボが割れるおそれがある。一
方、閉気孔率は、本発明の複合セラミックスを調製する
ために用いる常圧焼結において、現時点で5%未満とす
ることは困難であり、また、5〜15%の閉気孔率であ
ればルツボとしての強度も十分であり、耐熱衝撃性にも
優れ、急激な温度上昇や降下においても損傷することな
いため、安定してNi蒸着処理することができる。閉気
孔率が15%を超える場合は、特に、強度が低下しルツ
ボとしての使用が困難となる。なお、本発明において、
開気孔とはセラミックスの空隙部分のうち外気に通じて
いる部分をいい、閉気孔とはセラミックスの空隙部分の
うち外気に通じていない部分をいう。
【0012】本発明の複合セラミックスの気孔率は、上
記した焼結時の緻密化を、原料粉末のTiB2 粉末、C
r粉末及びC粉末、また、必要に応じ添加するCrB粉
末及びTiC粉末の純度及び平均粒径や、焼結温度等を
制御することにより調節することができる。本発明の複
合セラミックスを調製するため、原料粉末のTiB2
末、Cr粉末、CrB粉末及びTiC粉末として、それ
ぞれ、純度98%以上で、平均粒径1〜15μm、好ま
しくは1〜12μm、最大粒径30μm、好ましくは2
5μmのものを用いることが好ましい。また、炭素粉末
としては、例えばカーボンブラックを用いることがで
き、純度99%以上であり、平均粒径10〜100n
m、好ましくは10〜50nm、最大粒径150nm、
好ましくは100nmのものを用いることが好ましい。
TiB2 粉末、Cr粉末、CrB粉末及びTiC粉末の
平均粒径を1〜15μmとするのは、それぞれ平均粒径
が1μm未満であると、TiB2 粒子、Cr粒子、Cr
B粉末及びTiC粉末の表面酸化及び凝集が著しくなり
焼結性が低下するためである。また、TiB2 粉末、C
rB粉末及びTiC粉末の平均粒径が15μmを超える
と、焼結の駆動力が小さくなり焼結性が低下するためで
ある。Cr粉末の平均粒径が15μmを超えると、多く
の亀裂を粒内に有したCrBの粗大粒子が焼結体内に生
成し、焼結体の強度を低下させるためである。更に、C
粉末の平均粒径を10〜100nmとするのは、平均粒
径が10nm未満であると炭素粒子の表面酸化及び凝集
が著しくなり焼結性が低下し、一方、平均粒径が100
nmを超えると焼結の駆動力が小さくなり焼結性が低下
するためである。上記の原料TiB2 粉末、Cr粉末、
CrB粉末及びTiC粉の最大粒径を30μmとするの
は、最大粒径が30μmを超えると焼結の駆動力が小さ
くなり焼結性が低下し、粗大粒子として焼結体内に残存
することとなり、結果として焼結体の強度を低下させる
ことになるためである。また、C粉末の最大粒径を15
0nmとするのは、焼結の駆動力が小さくなり焼結性が
低下し、粗大C粉末として焼結体内に残存することとな
り、結果として焼結体の強度を低下させることになるた
めである。
【0013】上記のように平均粒径等を調整したTiB
2 、Cr及びC、必要に応じてCrB、TiCの原料粉
末を、目的とする焼結体の複合セラミックスの成分比率
となるように配合する。各原料粉末等を配合した混合粉
末を、要すればボールミル等により湿式粉砕後、必要に
応じて一般的に用いられるバインダーや分散剤を添加し
造粒する。その後、所望のルツボ形状に、通常、20〜
150MPaの圧力で金型成形またはCIP成形し、更
に要すれば加工した後、アルゴンガス等の不活性雰囲気
中または水素ガス等の非酸化性雰囲気中で常圧焼結す
る。焼結は1700〜2100℃、好ましくは1800
〜2000℃で行うことが好ましい。焼結温度が170
0℃未満では、気孔率が上記範囲から外れるためルツボ
の強度が低下する。また、2100℃を超えると、生成
したCrB及び必要に応じて添加されたCrBが熱分解
して所定の複合セラミックスが得られないためである。
なお、本発明のNi蒸着用ルツボは、Ni金属単体また
はNiを主成分とするNi合金を溶融し、蒸着させる目
的で形成されたルツボではあるが、蒸着装置中へ酸素や
窒素等の反応ガスを送り込み、Ni金属単体またはNi
を主成分としたNi合金を酸化物や窒化物等に変化させ
て蒸着させるルツボとしても利用することができる。ま
た、当然、Ni以外の成分を主成分とする金属の蒸着用
としても用いることができる。本発明のルツボを形成す
る複合セラミックスは、耐熱衝撃性に優れ、電子ビーム
蒸着やプラズマ蒸着時の急激な温度の昇降変化でのルツ
ボの割れを防止できるが、更に、この複合セラミックス
を電子ビーム蒸着装置等の銅製ハース内に蒸着用ルツボ
を設置する敷板として使用してルツボのライフを向上さ
せることもできる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説
明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるも
のでない。 (ルツボの調製) 実施例1〜2 TiB2 粉末(純度98%以上、平均粒径8.0μm、
最大粒径25μm)、Cr粉末(純度99%以上、平均
粒径6.0μm、最大粒径20μm)、炭素粉末(純度
99.5%以上、平均粒径30nm、最大粒径120n
m)、CrB粉末(純度98.5%以上、平均粒径6.
5μm、最大粒径20μm)及びTiC粉末(純度9
8.5%以上、平均粒径5.5μm、最大粒径18μ
m)を、下記反応式(1)で反応が進行するものとし、
得られる焼結体が表1に示したTiB2 、CrB及びT
iCの組成比率となるように、それぞれの配合量を算出
して配合して混合粉末を得た。なお、実施例1において
は上記TiB2 、Cr及びCの原料粉末のみを配合して
混合粉末を調製し、実施例2においては同様に上記Ti
2 、Cr及びCを混合し、更に、成分調整のために所
定量のCrB及びTiC粉末を添加した。 TiB2 +Cr+C(+CrB+TiC)→TiB2 +CrB+TiC (1) 混合粉末をボールミルを用いて湿式粉砕後、所定量のバ
インダ、分散剤を添加し、スプレードライヤを用いて造
粒した。この造粒粉を用いてルツボ成形用金型に充填
し、50MPaにて加圧成形した。次に、得られた成形
体を脱脂処理してバインダ、分散剤及び滑剤等を加熱除
去した後、アルゴンガス雰囲気中、無加圧状態で190
0℃で2時間保持し、TiB2 を主成分とする図1に示
した形状の外径(D)30mmφ、内径(d)24mm
φ、外底部曲率半径(R)7mm、内底部曲率半径
(r)5.5mmのNi金属蒸着用ルツボをそれぞれ3
個ずつ作製した。
【0015】比較例1 平均粒径18μm、最大粒径42μmのTiB2 粉末を
使用した以外は、実施例1と全く同様にして表1に示し
た成分組成の3個のルツボを作製した。
【0016】比較例2 平均粒径22μm、最大粒径45μmのCr粉末及び平
均粒径50nm、最大粒径200nmのC粉末使用した
以外は、比較例1と全く同様にして表1に示した成分組
成の3個のルツボを作製した。
【0017】比較例3〜7 表1に示した成分組成となるように原料粉末を調整した
以外は、実施例2と全く同様にしてそれぞれルツボを3
個ずつ作製した。
【0018】(複合セラミックス製ルツボの特性)上記
の実施例及び比較例で得られた各組成のルツボ1個の一
部を粉砕し、粉末X線回折法により結晶相の同定を行っ
た結果、原料粉末のCr粉末とC粉末は認められず、T
iB2 、CrB及びTiCのみが同定された。また、I
CP(アルゴンプラズマ発光分光分析)法及び原子吸光
分析法により元素定量分析を行い、その結果を表1に示
した。更に、アルキメデス法により開気孔率を測定し、
オートピクノメータを用いて真比重を測定後、下記式
(2)により閉気孔率を算出し表1に示した。 閉気孔率(%)=100−かさ比重/真比重×100 (2) 得られたルツボの底部より、約直径20mmφ×3mm
形状の試料を作製し四探針法抵抗率計(三菱油化(株)
製、商品名:ロレスタAP)を用い、比抵抗Ω・cmを
測定した。その結果を表1に示した。
【0019】
【表1】
【0020】(Ni蒸着試験によるルツボ評価)また、
残りの各ルツボを、図3の模式的断面説明図に示したよ
うな電子ビ−ム蒸着装置の水冷銅製ハース内にそれぞれ
配置し、電圧10kV、出力18kWの条件でNi金属
(純度99.99%)をガラス基板上に蒸着する蒸着試
験を繰り返し実施した。蒸着試験後の各ルツボについ
て、下記の評価項目〜についてそれぞれ次のように
して測定した。それらの結果を表2に示した。 耐食性:ルツボ内面部とNiとの界面との反応につい
て、反射顕微鏡により反応生成物の有無、浸食量及び浸
潤量を確認した。 不純物量:蒸着終了後のルツボ内に残存したNi中の
不純物量を酸溶解後に、原子吸光分析法により測定し
た。 ライフ:上記の蒸着条件で繰り返し蒸着処理を行い、
ルツボの割れ、またはルツボ材料とNiとの反応により
同一条件にて蒸着できなくなった時点をライフエンドと
して、それまでの試験回数で示した。この場合、比較例
2で得られたルツボは2回の蒸着処理を行うことができ
たが、比抵抗が高く蒸着が安定しにくかった。 Ni蒸着膜厚分布:ライフエンド直前の蒸着時におけ
るガラス基板上のNi蒸着膜厚の分布を、超音波探傷装
置を用いて測定し、厚さのばらつきを%で示した。
【0021】(耐久性試験)また、上記実施例1で得ら
れた各ルツボを上記蒸着試験と同様の電子ビーム蒸着装
置のCu製ハース内に配置し、Ni金属をルツボ内に投
入しない以外は同一の条件で電子ビームを20秒間照射
し、照射後10分間そのままの状態で放置するという操
作をルツボが破損する(割れる)まで繰り返し行った。
その結果、8回までは繰り返し蒸着条件下に耐えた。
【0022】比較例8〜9 図2に示した形状の外径25mmφ、内径20mmφ、
高さ25mm、底部厚さ5mmの上部開口円筒容器のル
ツボを、従来法と同様にMo及び黒鉛で作製した。上記
実施例1と同様に開気孔率、閉気孔率及び比抵抗を測定
し、表1に示した。また、実施例1と同様に各評価項目
について確認、測定し、その結果を表2に示した。
【0023】
【表2】
【0024】蒸着試験後の実施例1、比較例8及び比較
例9のルツボをそれぞれ中央部付近で切断後、研磨・ラ
ップした。その断面を顕微鏡で拡大(×5)観察した拡
大断面図を、それぞれ第4図(a)、第4図(b)及び
第4図(c)に示した。この結果、第4図において、本
発明の実施例1のルツボは、殆ど侵食されることなくル
ツボ壁1は当初の形状を保持し、Ni金属2の浸潤もな
く、内表面にNiの沈着が観察される程度であることが
分かる。一方、Mo製ルツボ及び黒鉛製ルツボは、底部
が侵食されると同時に、ルツボ肉厚内部にNiが浸潤し
ていることも分かる。
【0025】比較例10〜12 実施例1と同一の形状に、99%以上の高純度品で且つ
理論密度比98%以上のAl23 、99%以上の高純
度品で且つ理論密度比98%以上のMgO及び前記特公
昭58−2260号公報で提案されたBN−TiB2
AlN材(BN(窒化ホウ素)45重量%、TiB2
5重量%、AlN(窒化アルミニウム)10重量%にな
るようにホットプレス法を用いて作製)でそれぞれルツ
ボを作製し、上記実施例1のルツボの耐久性試験と同様
に耐久性について試験した。その結果を表2に示した。
なお、これら3種類のルツボとCu製ハース間はW製の
直径1mmφの細線を用いてアース処理した。
【0026】上記実施例及び比較例から明らかなよう
に、本発明のTiB2 を主成分としたNi蒸着用ルツボ
は、導電性がよく、且つ耐熱衝撃性及び耐食性にも優
れ、Ni蒸着に用いた場合にばらつきのないNi蒸着膜
が得られることが分かる。また、耐久性も高く、電子ビ
ーム等の厳しい条件下においても繰り返し使用できるこ
とが分かる。一方、TiB2 系セラミックスであって
も、本発明の複合セラミックス組成と異なる場合には、
強度不足や、比抵抗が高くなり、ライフが短くなった
り、膜厚の分布が不均一または浸潤によりライフが低下
することが分かる。また、従来法によるルツボは得られ
るNi蒸着膜の均一性が低く、また、侵食され耐久性が
低いことが分かる。
【0027】
【発明の効果】本発明のTiB2 を主成分とした複合セ
ラミックスにより形成されるNi蒸着用ルツボは、導電
性に優れているためルツボ内に溶融保持するNiまたは
Niを主成分とするNi合金が帯電することがなく、ま
た、溶融Ni金属等に対する耐食性に優れ、且つ高耐熱
衝撃性であり、安定したNi蒸着処理を行うことがで
き、形成されるNi蒸着膜も均一で良好なものとなる。
また、本発明のNi蒸着用ルツボは常圧焼結法で所望形
状に安価に製造でき、また、従来のものに比し、高寿命
化が可能であり、優れた蒸着膜も提供でき、工業的に極
めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で使用したNi蒸着用ルツボの
断面説明図
【図2】本発明の比較例で使用したルツボの断面説明図
【図3】本発明の実施例で使用した電子ビ−ム蒸着装置
の水冷銅製ハース電子ビーム装置の模式的断面説明図
【図4】本発明の実施例及び比較例のNi蒸着試験によ
るルツボ評価に用いた後の各ルツボの断面拡大図(×
5)であり、 (a)は本発明の複合セラミックス製ルツボ断面拡大図 (b)はMo製ルツボ断面の拡大図 (c)は黒鉛製ルツボ断面の拡大図
【符号の説明】
1 ルツボ壁 2 Ni金属
フロントページの続き (72)発明者 沖山 泰治 愛知県刈谷市小垣江南藤1番地 東芝セラ ミックス株式会社刈谷製造所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二ホウ化チタン(TiB2 )80〜95
    重量%、ホウ化クロム(CrB)2.5〜17.5重量
    %、炭化チタン(TiC)2.5〜17.5重量%を含
    有してなり、且つ、比抵抗が1〜8×10-5Ω・cmで
    ある複合セラミックスにより形成されることを特徴とす
    るNi金属蒸着用ルツボ。
  2. 【請求項2】 前記セラミックスが、開気孔率が5%以
    下で、且つ、閉気孔率が5〜15%である請求項1記載
    のNi金属蒸着用ルツボ。
  3. 【請求項3】 前記セラミックスを構成する所定の原材
    料をルツボ形状に成形し、常圧焼結してなる請求項1ま
    たは2記載のNi金属蒸着用ルツボ。
JP8060184A 1996-02-22 1996-02-22 Ni金属蒸着用ルツボ Pending JPH09227234A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008175479A (ja) * 2007-01-19 2008-07-31 Ulvac Japan Ltd シリコン溶解用容器及びこれを用いた溶解装置
JP2015040692A (ja) * 2013-08-23 2015-03-02 日本タングステン株式会社 金属蒸発用モリブデンるつぼ、その製造方法及び使用方法

Cited By (2)

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JP2008175479A (ja) * 2007-01-19 2008-07-31 Ulvac Japan Ltd シリコン溶解用容器及びこれを用いた溶解装置
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