JPH09228013A - α+β型チタン合金からなる継ぎ目無し管の製造方法 - Google Patents
α+β型チタン合金からなる継ぎ目無し管の製造方法Info
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- JPH09228013A JPH09228013A JP3249296A JP3249296A JPH09228013A JP H09228013 A JPH09228013 A JP H09228013A JP 3249296 A JP3249296 A JP 3249296A JP 3249296 A JP3249296 A JP 3249296A JP H09228013 A JPH09228013 A JP H09228013A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、材質異方性がなく、強度、延性、
疲労強度、破壊靭性等の機械的性質に優れた、α+β型
チタン合金からなる継ぎ目無し管を製造する方法を提供
する。 【解決手段】 α+β型チタン合金からなる継ぎ目無し
管を、熱間で、穿孔および延伸、定型、絞り等の圧延工
程により、連続的に製造する方法において、β変態点+
50℃超でβ変態点+250℃以下の温度で最終圧延工
程を終了し、空冷以上の冷却速度で冷却し、さらに、β
変態点以下の特定温度域で焼鈍を行う、あるいは二段階
の熱処理を行う。
疲労強度、破壊靭性等の機械的性質に優れた、α+β型
チタン合金からなる継ぎ目無し管を製造する方法を提供
する。 【解決手段】 α+β型チタン合金からなる継ぎ目無し
管を、熱間で、穿孔および延伸、定型、絞り等の圧延工
程により、連続的に製造する方法において、β変態点+
50℃超でβ変態点+250℃以下の温度で最終圧延工
程を終了し、空冷以上の冷却速度で冷却し、さらに、β
変態点以下の特定温度域で焼鈍を行う、あるいは二段階
の熱処理を行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はα+β型チタン合金
からなる継ぎ目無し管の製造方法に関する。
からなる継ぎ目無し管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】チタン合金は軽量、高強度、高耐食性を
有することから、近年、地熱開発、海底油田・ガス田開
発などの、大深度、高温、高圧、高腐食の極限環境に最
も適した素材として注目されている。中でも、航空機用
途などで多用され、高い実績を誇るα+β型チタン合金
や、これに少量のPdやRuを添加し耐食性を高めた高
耐食性α+β型チタン合金は、特に優れた極限環境用素
材として有望視されている。上記の用途では、管が主要
製品形状であるが、チタン合金製管材の製造方法として
は、板を曲げ加工し溶接する方法(溶接管)、熱間押し
出しによる方法(継ぎ目無し管)、プラグミルを使用し
て穿孔、延伸、定型、絞り等の圧延を連続的に行い造管
する方法(継ぎ目無し管)などが考えられる。
有することから、近年、地熱開発、海底油田・ガス田開
発などの、大深度、高温、高圧、高腐食の極限環境に最
も適した素材として注目されている。中でも、航空機用
途などで多用され、高い実績を誇るα+β型チタン合金
や、これに少量のPdやRuを添加し耐食性を高めた高
耐食性α+β型チタン合金は、特に優れた極限環境用素
材として有望視されている。上記の用途では、管が主要
製品形状であるが、チタン合金製管材の製造方法として
は、板を曲げ加工し溶接する方法(溶接管)、熱間押し
出しによる方法(継ぎ目無し管)、プラグミルを使用し
て穿孔、延伸、定型、絞り等の圧延を連続的に行い造管
する方法(継ぎ目無し管)などが考えられる。
【0003】このうち、加熱した中実ビレットを穿孔、
延伸、定型、絞り等の圧延工程により連続的に中空の管
に造管する方法は、特性の劣化が懸念される溶接部のな
い継ぎ目無し管が製造できるので、補修や部品交換等が
極めて困難な上述の極限環境用途でも、長期間安定して
使用できることに加え、同方法は、材料歩留りが高く、
製造効率も高いことから、材料そのものが高価なチタン
合金では特に有利な方法である。
延伸、定型、絞り等の圧延工程により連続的に中空の管
に造管する方法は、特性の劣化が懸念される溶接部のな
い継ぎ目無し管が製造できるので、補修や部品交換等が
極めて困難な上述の極限環境用途でも、長期間安定して
使用できることに加え、同方法は、材料歩留りが高く、
製造効率も高いことから、材料そのものが高価なチタン
合金では特に有利な方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記方法でα
+β型チタン合金からなる継ぎ目無し管を製造する場
合、下記のような問題点があった。すなわち、穿孔およ
び圧延により製造した継ぎ目無し管は、板の場合とは異
なり、熱間加工中の材料の移動が長さ方向に限定される
ため、材質の異方性が生じやすい。特に、対称性の乏し
い最稠密六方構造のα相を主相として含んでいるα+β
型チタン合金は、鋼やアルミニウム合金等の対称性の高
い立方晶の材料に比べて強い異方性が生じる。この材質
異方性を解消する方法としては、熱間加工された管を、
β変態点以上の温度に加熱保持することにより、等方的
な立方晶であるβ相に材料全てを変態させ、しかる後に
特定方位に方位集積せずランダムな方位のα相を冷却中
に析出させる方法、あるいはさらにα+β二相温度域で
安定化焼鈍する方法を挙げることができる。しかし、こ
れら方法では、β変態点以上に加熱保持している間に、
β結晶粒が粗大化し、延性が極めて乏しくなるという問
題点があった。
+β型チタン合金からなる継ぎ目無し管を製造する場
合、下記のような問題点があった。すなわち、穿孔およ
び圧延により製造した継ぎ目無し管は、板の場合とは異
なり、熱間加工中の材料の移動が長さ方向に限定される
ため、材質の異方性が生じやすい。特に、対称性の乏し
い最稠密六方構造のα相を主相として含んでいるα+β
型チタン合金は、鋼やアルミニウム合金等の対称性の高
い立方晶の材料に比べて強い異方性が生じる。この材質
異方性を解消する方法としては、熱間加工された管を、
β変態点以上の温度に加熱保持することにより、等方的
な立方晶であるβ相に材料全てを変態させ、しかる後に
特定方位に方位集積せずランダムな方位のα相を冷却中
に析出させる方法、あるいはさらにα+β二相温度域で
安定化焼鈍する方法を挙げることができる。しかし、こ
れら方法では、β変態点以上に加熱保持している間に、
β結晶粒が粗大化し、延性が極めて乏しくなるという問
題点があった。
【0005】以上のような問題点に鑑み、本発明は、材
質異方性がなく、強度、延性、疲労強度、破壊靭性等の
機械的性質に優れた、α+β型チタン合金からなる継ぎ
目無し管を製造する方法を提供することを目的とする。
質異方性がなく、強度、延性、疲労強度、破壊靭性等の
機械的性質に優れた、α+β型チタン合金からなる継ぎ
目無し管を製造する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、下記の方法を要旨とする。すなわち、
(1) α+β型チタン合金からなる継ぎ目無し管を、
熱間で、穿孔および延伸、定型、絞り等の圧延工程によ
り、連続的に製造する方法において、β変態点+50℃
超β変態点+250℃以下の温度範囲で最終圧延工程を
終了し、空冷以上の冷却速度で冷却し、700℃以上で
β変態点−100℃未満の温度で30分以上の焼鈍を行
うことを特徴とする、α+β型チタン合金からなる継ぎ
目無し管の製造方法。および、(2) α+β型チタン
合金からなる中実ビレットを、β変態点以上β変態点+
300℃以下の温度に加熱し、穿孔を行い、延伸、定
型、絞り等の圧延工程の途中で、β変態点以下の温度に
まで冷却し、最終圧延工程を終了することを特徴とす
る、(1)記載のα+β型チタン合金からなる継ぎ目無
し管の製造方法。ならびに、(3) (1)または
(2)記載の方法において、前記焼鈍に代って、β変態
点−100℃以上β変態点未満の温度範囲に30分以上
加熱保持し、空冷以上の冷却速度で冷却し、さらに、4
50〜650℃で1時間以上8時間以下加熱保持するこ
とを特徴とする、α+β型チタン合金からなる継ぎ目無
し管の製造方法であり、(4) (1)または(2)記
載の方法において、前記焼鈍に代って、β変態点−10
0℃以上β変態点未満の温度範囲に30分以上加熱保持
し、空冷以上の冷却速度で冷却し、さらに、650℃超
でβ変態点−100℃未満の温度で30分以上4時間以
下加熱保持することを特徴とする、α+β型チタン合金
からなる継ぎ目無し管の製造方法である。
に本発明は、下記の方法を要旨とする。すなわち、
(1) α+β型チタン合金からなる継ぎ目無し管を、
熱間で、穿孔および延伸、定型、絞り等の圧延工程によ
り、連続的に製造する方法において、β変態点+50℃
超β変態点+250℃以下の温度範囲で最終圧延工程を
終了し、空冷以上の冷却速度で冷却し、700℃以上で
β変態点−100℃未満の温度で30分以上の焼鈍を行
うことを特徴とする、α+β型チタン合金からなる継ぎ
目無し管の製造方法。および、(2) α+β型チタン
合金からなる中実ビレットを、β変態点以上β変態点+
300℃以下の温度に加熱し、穿孔を行い、延伸、定
型、絞り等の圧延工程の途中で、β変態点以下の温度に
まで冷却し、最終圧延工程を終了することを特徴とす
る、(1)記載のα+β型チタン合金からなる継ぎ目無
し管の製造方法。ならびに、(3) (1)または
(2)記載の方法において、前記焼鈍に代って、β変態
点−100℃以上β変態点未満の温度範囲に30分以上
加熱保持し、空冷以上の冷却速度で冷却し、さらに、4
50〜650℃で1時間以上8時間以下加熱保持するこ
とを特徴とする、α+β型チタン合金からなる継ぎ目無
し管の製造方法であり、(4) (1)または(2)記
載の方法において、前記焼鈍に代って、β変態点−10
0℃以上β変態点未満の温度範囲に30分以上加熱保持
し、空冷以上の冷却速度で冷却し、さらに、650℃超
でβ変態点−100℃未満の温度で30分以上4時間以
下加熱保持することを特徴とする、α+β型チタン合金
からなる継ぎ目無し管の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】α+β型チタン合金の材質異方性
の原因は、α相の加工集合組織、およびβ相からの変態
集合組織の2つの集合組織の形成に起因している。前者
のα相の加工集合組織は、α相の存在するβ変態点以下
のα+β二相域温度で熱間加工を行うと必然的に生じる
が、材料の流れが長さ方向に限定される。継ぎ目無し管
では特に顕著となる。この加工集合組織は、従来の技術
の項で説明したように、熱間加工後、β変態点以上の温
度で焼鈍すると解消するが、焼鈍にβ粒の粗大化が起こ
り、延性が極めて乏しくなるという問題点が生ずる。ま
た、β変態点以下の二相温度域で焼鈍しても、この加工
集合組織は解消できず。異方性は残存する。
の原因は、α相の加工集合組織、およびβ相からの変態
集合組織の2つの集合組織の形成に起因している。前者
のα相の加工集合組織は、α相の存在するβ変態点以下
のα+β二相域温度で熱間加工を行うと必然的に生じる
が、材料の流れが長さ方向に限定される。継ぎ目無し管
では特に顕著となる。この加工集合組織は、従来の技術
の項で説明したように、熱間加工後、β変態点以上の温
度で焼鈍すると解消するが、焼鈍にβ粒の粗大化が起こ
り、延性が極めて乏しくなるという問題点が生ずる。ま
た、β変態点以下の二相温度域で焼鈍しても、この加工
集合組織は解消できず。異方性は残存する。
【0008】一方、β相からの変態集合組織は、β変態
点直下のβ相が多い二相温度域やβ変態点以上の温度で
熱間加工を行い、その塑性歪みを核として、冷却中にα
相が析出した場合に生じる集合組織である。この変態集
合組織も、熱間加工後、β変態点以上の温度に加熱保持
すると解消するが、熱処理中にβ粒の粗大化が起こり、
延性が極めて乏しくなるという問題が生じる。また、β
変態点以下の二相温度域で焼鈍しても、変態集合組織は
解消せず、異方性は残存する。
点直下のβ相が多い二相温度域やβ変態点以上の温度で
熱間加工を行い、その塑性歪みを核として、冷却中にα
相が析出した場合に生じる集合組織である。この変態集
合組織も、熱間加工後、β変態点以上の温度に加熱保持
すると解消するが、熱処理中にβ粒の粗大化が起こり、
延性が極めて乏しくなるという問題が生じる。また、β
変態点以下の二相温度域で焼鈍しても、変態集合組織は
解消せず、異方性は残存する。
【0009】以上の集合組織発生原理に基づき、本発明
者等は、上記2つの集合組織を発達させず、しかも延性
を含む諸特性に優れたα+β型チタン合金からなる継ぎ
目無し管の製造方法について鋭意研究開発を行った結
果、本発明を完成するに至った。
者等は、上記2つの集合組織を発達させず、しかも延性
を含む諸特性に優れたα+β型チタン合金からなる継ぎ
目無し管の製造方法について鋭意研究開発を行った結
果、本発明を完成するに至った。
【0010】本発明の方法(1)では、α+β型チタン
合金からなる継ぎ目無し管を、熱間で、穿孔および延
伸、定型、絞り等の圧延工程により、連続的に製造する
方法に際し、まず、β変態点+50℃超でβ変態点+2
50℃以下の温度範囲で最終圧延工程を終了し、空冷以
上の冷却速度で冷却することとした。その限定理由は、
α相の加工集合組織およびβ相からの変態集合組織の両
方を形成させず、しかも、延性低下の原因となるβ粒の
粗大化をも抑制することにある。
合金からなる継ぎ目無し管を、熱間で、穿孔および延
伸、定型、絞り等の圧延工程により、連続的に製造する
方法に際し、まず、β変態点+50℃超でβ変態点+2
50℃以下の温度範囲で最終圧延工程を終了し、空冷以
上の冷却速度で冷却することとした。その限定理由は、
α相の加工集合組織およびβ相からの変態集合組織の両
方を形成させず、しかも、延性低下の原因となるβ粒の
粗大化をも抑制することにある。
【0011】α相の加工集合組織を形成させないために
は、β変態点以上で最終加工を終了させればよいが、β
変態点直上の温度では、加工終了後β変態点にまで冷却
される間に塑性歪みが十分に解放されず、そのため、そ
の後β変態点以下の温度での冷却中にα相の変態集合組
織が生じてしまう。しかし、β変態点+50℃超の温度
で最終圧延を終了すれば、β変態点にまで冷却される間
に塑性歪みが解放され、その後、β変態点以下の温度で
冷却中に析出するα相は集合組織を持たず、等方的な材
質が得られる。また、β変態点+250℃以下の温度で
最終圧延を終了することとしたのは、これを超える温度
で加工を終了すると、β変態点にまで冷却される間に塑
性歪の解放だけでなく、β粒の粗大化が起こり、高い延
性が確保できないからである。
は、β変態点以上で最終加工を終了させればよいが、β
変態点直上の温度では、加工終了後β変態点にまで冷却
される間に塑性歪みが十分に解放されず、そのため、そ
の後β変態点以下の温度での冷却中にα相の変態集合組
織が生じてしまう。しかし、β変態点+50℃超の温度
で最終圧延を終了すれば、β変態点にまで冷却される間
に塑性歪みが解放され、その後、β変態点以下の温度で
冷却中に析出するα相は集合組織を持たず、等方的な材
質が得られる。また、β変態点+250℃以下の温度で
最終圧延を終了することとしたのは、これを超える温度
で加工を終了すると、β変態点にまで冷却される間に塑
性歪の解放だけでなく、β粒の粗大化が起こり、高い延
性が確保できないからである。
【0012】また、最終圧延終了後の冷却速度を空冷以
上に規定したのは、これよりも遅い冷却速度では、β変
態点にまで冷却される間に塑性歪の解放だけでなくβ粒
の粗大化が起こり、高い延性が確保できないからであ
る。
上に規定したのは、これよりも遅い冷却速度では、β変
態点にまで冷却される間に塑性歪の解放だけでなくβ粒
の粗大化が起こり、高い延性が確保できないからであ
る。
【0013】上記熱間加工を経て製造された管は、次に
700℃以上でβ変態点−100℃未満の温度で30分
以上の焼鈍を行うこととした。この処理は、最終圧延終
了後空冷以上の冷却を行ったために生じた熱収縮等にと
もなう歪みの解放と、不安定な非平衡組織を十分な安定
組織に変換し、優れた機械的性質、特に高い延性を確保
するための工程である。特に、焼鈍温度を700℃以上
としたのは、これ未満の温度では、歪の解放や組織の安
定化が不十分で、十分な延性が得られないからであり、
また焼鈍温度をβ変態点−100℃未満としたのは、こ
れ以上の温度で焼鈍すると、冷却中に再び熱歪みが生じ
たり、また不安定組織が生成し、延性が低下するからで
ある。また、焼鈍時間を30分以上としたのは、これ未
満の時間では、歪の解放や組織の安定化が達成されず、
十分な延性が得られないからである。また焼鈍時間の上
限を特に規定しないのは、本発明に規定された温度域で
あれば、多少長時間の焼鈍を行っても特性はあまり変化
しないからである。しかし、あまりに長時間の焼鈍を行
うことはエネルギー的に無駄であるので、管の寸法や厚
さに応じて、適宜、効率の良い時間だけ焼鈍を行うこと
が望ましい。ただし、この場合も、先に述べたとおり、
30分以上の時間は必要である。
700℃以上でβ変態点−100℃未満の温度で30分
以上の焼鈍を行うこととした。この処理は、最終圧延終
了後空冷以上の冷却を行ったために生じた熱収縮等にと
もなう歪みの解放と、不安定な非平衡組織を十分な安定
組織に変換し、優れた機械的性質、特に高い延性を確保
するための工程である。特に、焼鈍温度を700℃以上
としたのは、これ未満の温度では、歪の解放や組織の安
定化が不十分で、十分な延性が得られないからであり、
また焼鈍温度をβ変態点−100℃未満としたのは、こ
れ以上の温度で焼鈍すると、冷却中に再び熱歪みが生じ
たり、また不安定組織が生成し、延性が低下するからで
ある。また、焼鈍時間を30分以上としたのは、これ未
満の時間では、歪の解放や組織の安定化が達成されず、
十分な延性が得られないからである。また焼鈍時間の上
限を特に規定しないのは、本発明に規定された温度域で
あれば、多少長時間の焼鈍を行っても特性はあまり変化
しないからである。しかし、あまりに長時間の焼鈍を行
うことはエネルギー的に無駄であるので、管の寸法や厚
さに応じて、適宜、効率の良い時間だけ焼鈍を行うこと
が望ましい。ただし、この場合も、先に述べたとおり、
30分以上の時間は必要である。
【0014】さて、本発明の方法(2)においては、α
+β型チタン合金からなる中実ビレットを、β変態点以
上でβ変態点+300℃以下の温度に加熱し、穿孔を開
始し、延伸、定型、絞り等の圧延工程の途中で、β変態
点以下の温度にまで一旦冷却し、さらに、熱間加工にと
もなう加工発熱を利用して素材温度を上昇させ、β変態
点+50℃超でβ変態点+250℃以下の温度にて最終
圧延工程を終了するようにすると、製造しやすく極めて
便利である上に、β粒がより小さくなりさらに優れた機
械的性質を得ることができる。
+β型チタン合金からなる中実ビレットを、β変態点以
上でβ変態点+300℃以下の温度に加熱し、穿孔を開
始し、延伸、定型、絞り等の圧延工程の途中で、β変態
点以下の温度にまで一旦冷却し、さらに、熱間加工にと
もなう加工発熱を利用して素材温度を上昇させ、β変態
点+50℃超でβ変態点+250℃以下の温度にて最終
圧延工程を終了するようにすると、製造しやすく極めて
便利である上に、β粒がより小さくなりさらに優れた機
械的性質を得ることができる。
【0015】中実ビレットをβ変態点以上に加熱し、穿
孔を開始することとしたのは、熱間変形抵抗の低いβ単
相域(β変態点以上)で、全加工量の大部分を占める穿
孔および延伸圧延工程の多くを終了させるためであり、
また、ビレットの加熱温度をβ変態点+300℃以下と
したのは、これを超える温度では酸化スケールの生成が
激しく、歩留まりが低下したり、表面疵が発生するなど
の原因で、製造コストが高くなり実際的でないからであ
る。
孔を開始することとしたのは、熱間変形抵抗の低いβ単
相域(β変態点以上)で、全加工量の大部分を占める穿
孔および延伸圧延工程の多くを終了させるためであり、
また、ビレットの加熱温度をβ変態点+300℃以下と
したのは、これを超える温度では酸化スケールの生成が
激しく、歩留まりが低下したり、表面疵が発生するなど
の原因で、製造コストが高くなり実際的でないからであ
る。
【0016】一連の熱間加工工程の途中でβ変態点以下
のα+β二相温度域にまで冷却することとしたのは、α
+βの二相混合組織を加工することにより、次にβ変態
点+50℃超の温度に加熱された際にβ粒生成の核を導
入するためであり、この二相温度域での加工工程を経る
ことにより、より小さな粒径のβ相を得ることができ、
特に延性が向上する。ここで、α+β型チタン合金のα
+β二相温度域における変形抵抗は極めて大きく難加工
性であるが、管の製造に必要な全加工量の大部分は既に
β域での加工によって終了しているので、α+β二相温
度域での加工はわずかであり、製造上何等支障をきたす
ものではない。また、少量の加工で加工発熱が利用でき
るのは、熱伝導特性の低いチタン合金特有の特性を活用
したものである。最終圧延工程以降の工程は、本発明1
と同様で既に説明したとおりである。
のα+β二相温度域にまで冷却することとしたのは、α
+βの二相混合組織を加工することにより、次にβ変態
点+50℃超の温度に加熱された際にβ粒生成の核を導
入するためであり、この二相温度域での加工工程を経る
ことにより、より小さな粒径のβ相を得ることができ、
特に延性が向上する。ここで、α+β型チタン合金のα
+β二相温度域における変形抵抗は極めて大きく難加工
性であるが、管の製造に必要な全加工量の大部分は既に
β域での加工によって終了しているので、α+β二相温
度域での加工はわずかであり、製造上何等支障をきたす
ものではない。また、少量の加工で加工発熱が利用でき
るのは、熱伝導特性の低いチタン合金特有の特性を活用
したものである。最終圧延工程以降の工程は、本発明1
と同様で既に説明したとおりである。
【0017】さて、本発明の方法(3)では、本発明の
方法(1)または(2)の熱間加工終了後に、前記焼鈍
に代って、β変態点−100℃以上でβ変態点未満の温
度に30分以上加熱保持し、空冷以上の冷却速度で冷却
し、さらに、450〜650℃で1時間以上8時間以下
加熱保持することとした。これは、特に強度、疲労強度
が重視される場合に有効な工程である。この熱処理工程
における組織変化は下記のとおりである。まず、β変態
点−100℃以上でβ変態点未満の温度に30分以上加
熱保持することにより、α相の体積分率を減少させ、微
細なα粒とする(以下一次α相と呼ぶ)。次に、空冷以
上の冷却速度で冷却することにより、β相を微細針状α
相組織あるいはマルテンサイト組織に変換する。さらに
この微細針状α相組織あるいはマルテンサイト組織を、
450℃〜650℃で1時間以上8時間以下加熱保持
し、微細でかつ安定な針状α相(以下二次α相)に変換
する。このとき、組織安定化とともに、先に空冷以上の
冷却速度で冷却した際に生じた歪みを除去する。以上の
一連工程を経て、組織微細化が達成され、強度および疲
労強度が向上する。
方法(1)または(2)の熱間加工終了後に、前記焼鈍
に代って、β変態点−100℃以上でβ変態点未満の温
度に30分以上加熱保持し、空冷以上の冷却速度で冷却
し、さらに、450〜650℃で1時間以上8時間以下
加熱保持することとした。これは、特に強度、疲労強度
が重視される場合に有効な工程である。この熱処理工程
における組織変化は下記のとおりである。まず、β変態
点−100℃以上でβ変態点未満の温度に30分以上加
熱保持することにより、α相の体積分率を減少させ、微
細なα粒とする(以下一次α相と呼ぶ)。次に、空冷以
上の冷却速度で冷却することにより、β相を微細針状α
相組織あるいはマルテンサイト組織に変換する。さらに
この微細針状α相組織あるいはマルテンサイト組織を、
450℃〜650℃で1時間以上8時間以下加熱保持
し、微細でかつ安定な針状α相(以下二次α相)に変換
する。このとき、組織安定化とともに、先に空冷以上の
冷却速度で冷却した際に生じた歪みを除去する。以上の
一連工程を経て、組織微細化が達成され、強度および疲
労強度が向上する。
【0018】ここで、最初の加熱保持を、β変態点−1
00℃以上でβ変態点未満の温度に30分以上加熱保持
し、空冷以上の冷却速度で冷却することとしたのは、下
記の理由による。すなわち、β変態点−100℃以上の
温度にまで加熱しないと、一次α相が十分微細化せず、
その後の熱処理を行っても強度および疲労強度の上昇が
軽微であるためであり、またβ変態点を超えて加熱する
と、β相の粗大化が起こり延性が低下してしまうからで
あり、また30分以上加熱保持しないと、一次α相の微
細化が不十分であり、さらに、空冷以上の冷却速度で冷
却しないと、せっかく微細化した一次α相が冷却中に再
び成長し粗大化してしまい、強度および疲労強度の向上
が不十分となるからである。ここで、加熱保持時間に上
限を設けないのは、本発明に規定された温度域であれ
ば、多少長時間の焼鈍を行っても特性はあまり変化しな
いからである。しかし、あまりに長時間の焼鈍を行うこ
とはエネルギー的に無駄であるので、管の寸法や厚さに
応じて、適宜、効率の良い時間だけ焼鈍を行うことが望
ましい。ただし、この場合、先に述べたとおり、30分
以上の時間は必要である。
00℃以上でβ変態点未満の温度に30分以上加熱保持
し、空冷以上の冷却速度で冷却することとしたのは、下
記の理由による。すなわち、β変態点−100℃以上の
温度にまで加熱しないと、一次α相が十分微細化せず、
その後の熱処理を行っても強度および疲労強度の上昇が
軽微であるためであり、またβ変態点を超えて加熱する
と、β相の粗大化が起こり延性が低下してしまうからで
あり、また30分以上加熱保持しないと、一次α相の微
細化が不十分であり、さらに、空冷以上の冷却速度で冷
却しないと、せっかく微細化した一次α相が冷却中に再
び成長し粗大化してしまい、強度および疲労強度の向上
が不十分となるからである。ここで、加熱保持時間に上
限を設けないのは、本発明に規定された温度域であれ
ば、多少長時間の焼鈍を行っても特性はあまり変化しな
いからである。しかし、あまりに長時間の焼鈍を行うこ
とはエネルギー的に無駄であるので、管の寸法や厚さに
応じて、適宜、効率の良い時間だけ焼鈍を行うことが望
ましい。ただし、この場合、先に述べたとおり、30分
以上の時間は必要である。
【0019】次の低温での熱処理における加熱保持を、
450〜650℃で1時間以上8時間以下としたのは、
以下の理由による。すなわち、450℃以下の温度、或
いは1時間未満の時間の加熱保持では、組織の安定化や
歪みの解放が不十分であり、一方650℃を超える温度
あるいは8時間を超える時間の加熱保持は、二次α相の
粗大化を生じ、強度および疲労強度が十分に向上しない
からである。
450〜650℃で1時間以上8時間以下としたのは、
以下の理由による。すなわち、450℃以下の温度、或
いは1時間未満の時間の加熱保持では、組織の安定化や
歪みの解放が不十分であり、一方650℃を超える温度
あるいは8時間を超える時間の加熱保持は、二次α相の
粗大化を生じ、強度および疲労強度が十分に向上しない
からである。
【0020】次に、強度や疲労強度よりも破壊靭性が重
視される場合には、本発明の方法(1)または、(2)
において、前記焼鈍に代って本発明の方法(4)に記載
したように、熱間加工終了後、β変態点−100℃以上
でβ変態点未満の温度に30分以上加熱保持し、空冷以
上の冷却速度で冷却し、さらに、650℃超でβ変態点
−100℃未満の温度で30分以上4時間以下加熱保持
する。ここで、最初の熱処理である、β変態点−100
℃以上でβ変態点未満の温度に30分以上加熱保持し、
空冷以上の冷却速度で冷却する工程の目的は、本発明の
方法(3)の場合と同じで、先に説明したとおりであ
る。
視される場合には、本発明の方法(1)または、(2)
において、前記焼鈍に代って本発明の方法(4)に記載
したように、熱間加工終了後、β変態点−100℃以上
でβ変態点未満の温度に30分以上加熱保持し、空冷以
上の冷却速度で冷却し、さらに、650℃超でβ変態点
−100℃未満の温度で30分以上4時間以下加熱保持
する。ここで、最初の熱処理である、β変態点−100
℃以上でβ変態点未満の温度に30分以上加熱保持し、
空冷以上の冷却速度で冷却する工程の目的は、本発明の
方法(3)の場合と同じで、先に説明したとおりであ
る。
【0021】しかし、この工程の後、本発明の方法
(3)よりも高温の650℃超でβ変態点−100℃未
満の温度に30分以上4時間以下の時間加熱保持するこ
とにより、強度や疲労強度は本発明の方法(3)におけ
る場合ほどではないが、破壊靭性に優れた材質特性を得
ることが可能となる。これは、二次α相の寸法を大きく
することにより、亀裂の伝播が抑制されるからである。
ここで、加熱保持温度を650℃超でβ変態点−100
℃未満の温度としたのは、650℃以下の温度では、二
次α相のサイズを亀裂伝播抑制効果が現れる程度にまで
粗大化するのに8時間を超える長い保持時間が必要であ
り、実際的でないからであり、β変態点−100℃以上
の温度では、α相の体積分率の減少にともない、せっか
く生成させた二次α相の多くが消失してしまい、焼鈍し
た場合と同程度の機械的性質しか得られないからであ
る。また、加熱保持時間を30分〜4時間としたのは、
30分未満の加熱保持では、二次α相の十分な粗大化が
達成されないからであり、4時間を超えて保持すると、
一次α相が二次α相を侵食して粗大化を開始し、焼鈍材
と同程度の機械的性質しか得られなくなるからである。
(3)よりも高温の650℃超でβ変態点−100℃未
満の温度に30分以上4時間以下の時間加熱保持するこ
とにより、強度や疲労強度は本発明の方法(3)におけ
る場合ほどではないが、破壊靭性に優れた材質特性を得
ることが可能となる。これは、二次α相の寸法を大きく
することにより、亀裂の伝播が抑制されるからである。
ここで、加熱保持温度を650℃超でβ変態点−100
℃未満の温度としたのは、650℃以下の温度では、二
次α相のサイズを亀裂伝播抑制効果が現れる程度にまで
粗大化するのに8時間を超える長い保持時間が必要であ
り、実際的でないからであり、β変態点−100℃以上
の温度では、α相の体積分率の減少にともない、せっか
く生成させた二次α相の多くが消失してしまい、焼鈍し
た場合と同程度の機械的性質しか得られないからであ
る。また、加熱保持時間を30分〜4時間としたのは、
30分未満の加熱保持では、二次α相の十分な粗大化が
達成されないからであり、4時間を超えて保持すると、
一次α相が二次α相を侵食して粗大化を開始し、焼鈍材
と同程度の機械的性質しか得られなくなるからである。
【0022】なお、本発明において、α+β型チタン合
金とは、平衡状態において室温でα+βの二相を主相と
し、β変態点以上の単相温度域から焼入れた場合に、全
体あるいは一部がマルテンサイト変態する種類の合金
で、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−6V−2S
n、Ti−6Al−2Sn−4Zr−6Mo、Ti−6
Al−1.7Fe−0.2Si、Ti−5.5Al−1
Fe−0.15重量%酸素−0.05重量%窒素、Ti
−5Al−2.5Fe、Ti−1.5Fe−0.5重量
%酸素−0.04重量%窒素などがこれに相当する。ま
たTi−6Al−4V−0.2%Pdなど、PdやRu
などの白金族元素をさらに添加し耐食性を向上させた合
金や侵入型不純物元素量を低減させたTi−6Al−4
V−ELI(Extra-Low Interstitials)などもα+β型チ
タン合金に属する。これらα+β型チタン合金は、平衡
状態において、FeTi相、ω相、シリサイド、Ti−
Al系規則相、Ti−O系規則相、Ti−N系規則相、
金属間化合物相などを含有するものがあるが、実質的に
はβ変態点以下の温度域ではα+βの二相を基本として
おり、β変態点以上ではα相の体積分率は零で、それ以
下の温度では温度の低下とともにα相の割合が増加し、
室温では、合金種によって異なるが、大体75%〜95
%のα相と残部β相で構成されている。
金とは、平衡状態において室温でα+βの二相を主相と
し、β変態点以上の単相温度域から焼入れた場合に、全
体あるいは一部がマルテンサイト変態する種類の合金
で、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−6V−2S
n、Ti−6Al−2Sn−4Zr−6Mo、Ti−6
Al−1.7Fe−0.2Si、Ti−5.5Al−1
Fe−0.15重量%酸素−0.05重量%窒素、Ti
−5Al−2.5Fe、Ti−1.5Fe−0.5重量
%酸素−0.04重量%窒素などがこれに相当する。ま
たTi−6Al−4V−0.2%Pdなど、PdやRu
などの白金族元素をさらに添加し耐食性を向上させた合
金や侵入型不純物元素量を低減させたTi−6Al−4
V−ELI(Extra-Low Interstitials)などもα+β型チ
タン合金に属する。これらα+β型チタン合金は、平衡
状態において、FeTi相、ω相、シリサイド、Ti−
Al系規則相、Ti−O系規則相、Ti−N系規則相、
金属間化合物相などを含有するものがあるが、実質的に
はβ変態点以下の温度域ではα+βの二相を基本として
おり、β変態点以上ではα相の体積分率は零で、それ以
下の温度では温度の低下とともにα相の割合が増加し、
室温では、合金種によって異なるが、大体75%〜95
%のα相と残部β相で構成されている。
【0023】
【実施例】以下に、実施例によって本発明をさらに詳し
く説明する。 (試験1)真空アーク溶解により、Ti−6Al−4V
を溶製し、熱間鍛造により210mm×210mmの正方形
断面の中実ビレットを製造した。このTi合金のβ変態
点は1000℃である。このビレットを、表1に示した
「ビレット加熱温度」に加熱し、穿孔、3段階からなる
延伸、定型の各工程を連続的に経て、外径160mm、厚
さ18mmの管に熱間加工した。この一連の熱間加工工程
中、素材外表面温度が最も低下したときの温度、すなわ
ち、ビレットが加熱炉から搬出されてから、最終圧延工
程である定型工程終了直後までの工程中の最低温度を、
表1中「熱間加工工程中の最低温度」の欄に、また、定
型工程終了直後の素材温度を表1中「最終圧延工程終了
温度」の欄に、さらに、定型工程終了後の冷却条件を表
1中「最終圧延工程終了後の冷却」欄に示した。熱間加
工後の管は、表1「熱処理」欄に記した温度、時間に加
熱保持し、冷却し、その後管の長さ方向および周方向と
平行に試験片(評点間距離25mm、径6.25mm)を採
取し、引張試験を行った。試験結果を同じく表1中に示
す。
く説明する。 (試験1)真空アーク溶解により、Ti−6Al−4V
を溶製し、熱間鍛造により210mm×210mmの正方形
断面の中実ビレットを製造した。このTi合金のβ変態
点は1000℃である。このビレットを、表1に示した
「ビレット加熱温度」に加熱し、穿孔、3段階からなる
延伸、定型の各工程を連続的に経て、外径160mm、厚
さ18mmの管に熱間加工した。この一連の熱間加工工程
中、素材外表面温度が最も低下したときの温度、すなわ
ち、ビレットが加熱炉から搬出されてから、最終圧延工
程である定型工程終了直後までの工程中の最低温度を、
表1中「熱間加工工程中の最低温度」の欄に、また、定
型工程終了直後の素材温度を表1中「最終圧延工程終了
温度」の欄に、さらに、定型工程終了後の冷却条件を表
1中「最終圧延工程終了後の冷却」欄に示した。熱間加
工後の管は、表1「熱処理」欄に記した温度、時間に加
熱保持し、冷却し、その後管の長さ方向および周方向と
平行に試験片(評点間距離25mm、径6.25mm)を採
取し、引張試験を行った。試験結果を同じく表1中に示
す。
【0024】表1において、試験番号1〜3は従来例で
ある。試験番号1は、最終圧延工程終了温度がβ変態点
以下で、焼鈍もβ変態点以下のα+β二相域で行った場
合であり、この方法では、α相の加工集合組織や加工歪
みを有するβ相からの変態集合組織のため、長さ方向と
周方向の引張強さの差が100MPa程度にまで広がっ
ており、伸びも長さ方向こそ良好であるが径方向はl0
%未満の低い値しか得られていない。試験番号2は、焼
鈍をβ変態点以上の温度で行った場合で、長さ方向と周
方向の特性差は解消しているが、β粒が粗大化し両方向
ともに伸び値が極端に小さくなっている。また、試験番
号3は、β単相域に加熱保持後水冷しさらにα+β二相
温度域に再加熱保持した場合で、β粒が粗大化している
ために伸び値が不十分であった。
ある。試験番号1は、最終圧延工程終了温度がβ変態点
以下で、焼鈍もβ変態点以下のα+β二相域で行った場
合であり、この方法では、α相の加工集合組織や加工歪
みを有するβ相からの変態集合組織のため、長さ方向と
周方向の引張強さの差が100MPa程度にまで広がっ
ており、伸びも長さ方向こそ良好であるが径方向はl0
%未満の低い値しか得られていない。試験番号2は、焼
鈍をβ変態点以上の温度で行った場合で、長さ方向と周
方向の特性差は解消しているが、β粒が粗大化し両方向
ともに伸び値が極端に小さくなっている。また、試験番
号3は、β単相域に加熱保持後水冷しさらにα+β二相
温度域に再加熱保持した場合で、β粒が粗大化している
ために伸び値が不十分であった。
【0025】以上の従来例に対し、本発明の方法(1)
の実施例である試験番号4,5,7,10,12,15
は、いずれも長さ方向と周方向の特性差がなく。100
0MPa以上の高い引張強さと10%以上の高い伸び値
が両方向ともに得られている。これに対し、比較例の試
験番号6,8,9,11,13,14において、試験番
号6は、異方性、すなわち長さ方向と周方向の特性差が
強く現れており、また、試験番号8,9,11,13,
14は、異方性はないものの、いずれも伸びが10%未
満の低い値であった。この理由は下記の通りである。す
なわち、試験番号6は、最終圧延工程の終了温度が、本
発明に規定されたβ変態点+50℃以上での温度よりも
低かったため、冷却中に変態集合組織が生成し、その後
の焼鈍でも解消せず、強い異方性が生じた。試験番号8
は最終圧延工程終了温度が本発明の方法(1)に規定さ
れた温度よりも高かったため、冷却中にβ粒が粗大化
し、また試験番号9は最終圧延工程終了後の冷却が本発
明の方法(1)に規定された冷却条件よりも遅い炉冷で
あったため、やはり冷却中にβ粒が粗大化し、試験番号
8,9ともに、伸び値が低くなった。また、試験番号1
1は、焼鈍温度が本発明の方法(1)で規定された温度
よりも低かったため、歪の解放や組織安定化が不十分
で、高い延性が得られず、試験番号13は、焼鈍温度が
本発明の方法(1)で規定された温度よりも高かったた
め、冷却中に再び熱歪みが生じ、さらに不安定組織が生
成し、延性が低下した。さらに、試験番号14では、焼
鈍時間が本発明の方法(1)に規定された焼鈍時間より
も短かったため、歪の解放や組織の安定化が達成されず
十分な延性が得られなかった。
の実施例である試験番号4,5,7,10,12,15
は、いずれも長さ方向と周方向の特性差がなく。100
0MPa以上の高い引張強さと10%以上の高い伸び値
が両方向ともに得られている。これに対し、比較例の試
験番号6,8,9,11,13,14において、試験番
号6は、異方性、すなわち長さ方向と周方向の特性差が
強く現れており、また、試験番号8,9,11,13,
14は、異方性はないものの、いずれも伸びが10%未
満の低い値であった。この理由は下記の通りである。す
なわち、試験番号6は、最終圧延工程の終了温度が、本
発明に規定されたβ変態点+50℃以上での温度よりも
低かったため、冷却中に変態集合組織が生成し、その後
の焼鈍でも解消せず、強い異方性が生じた。試験番号8
は最終圧延工程終了温度が本発明の方法(1)に規定さ
れた温度よりも高かったため、冷却中にβ粒が粗大化
し、また試験番号9は最終圧延工程終了後の冷却が本発
明の方法(1)に規定された冷却条件よりも遅い炉冷で
あったため、やはり冷却中にβ粒が粗大化し、試験番号
8,9ともに、伸び値が低くなった。また、試験番号1
1は、焼鈍温度が本発明の方法(1)で規定された温度
よりも低かったため、歪の解放や組織安定化が不十分
で、高い延性が得られず、試験番号13は、焼鈍温度が
本発明の方法(1)で規定された温度よりも高かったた
め、冷却中に再び熱歪みが生じ、さらに不安定組織が生
成し、延性が低下した。さらに、試験番号14では、焼
鈍時間が本発明の方法(1)に規定された焼鈍時間より
も短かったため、歪の解放や組織の安定化が達成されず
十分な延性が得られなかった。
【0026】以上の試験は、いずれも、熱間加工工程中
の最低温度がβ変態点以上、すなわち、全熱間加工工程
がβ単相域で行われているが、熱間加工の途中で、β変
態点以下のα+β二相温度域を経、その後加工発熱によ
り、β変態点+50℃以上の温度で最終圧延工程を終了
した例を試験番号16,17,18に示す。これらは、
いずれも異方性がなく、しかも1000MPa以上の高
強度に加え、14%以上のさらに高い伸び値が得られ
た。これは、β粒が細かくなった効果である。ここで、
ビレットの加熱温度が、変形抵抗の高いα+β二相温度
域であった試験番号16と、ビレットの加熱温度が変形
抵抗のβ変態点以上であった、試験番号17,18とで
特性の差はほとんどない。従って、低変形抵抗のβ域で
主たる加工を行い、途中α+β二相温度域を経由し、最
後はβ変態点+50℃以上の温度で加工を終了するとい
う本発明の方法(2)は製造性の観点からも優れた方法
である。しかし、ビレットの加熱温度が、β変態点+3
00℃を超えた試験番号19は、酸化起因の表面疵の発
生が激しく、特性評価すらできなかった。
の最低温度がβ変態点以上、すなわち、全熱間加工工程
がβ単相域で行われているが、熱間加工の途中で、β変
態点以下のα+β二相温度域を経、その後加工発熱によ
り、β変態点+50℃以上の温度で最終圧延工程を終了
した例を試験番号16,17,18に示す。これらは、
いずれも異方性がなく、しかも1000MPa以上の高
強度に加え、14%以上のさらに高い伸び値が得られ
た。これは、β粒が細かくなった効果である。ここで、
ビレットの加熱温度が、変形抵抗の高いα+β二相温度
域であった試験番号16と、ビレットの加熱温度が変形
抵抗のβ変態点以上であった、試験番号17,18とで
特性の差はほとんどない。従って、低変形抵抗のβ域で
主たる加工を行い、途中α+β二相温度域を経由し、最
後はβ変態点+50℃以上の温度で加工を終了するとい
う本発明の方法(2)は製造性の観点からも優れた方法
である。しかし、ビレットの加熱温度が、β変態点+3
00℃を超えた試験番号19は、酸化起因の表面疵の発
生が激しく、特性評価すらできなかった。
【0027】
【表1】
【0028】(試験2)真空アーク溶解により、Ti−
6Al−4V−ELIに0.1重量%のPdを添加した
Ti−6Al−4V−ELI−0.1Pdを溶製し、熱
間鍛造により210mm×210mmの正方形断面の中実ビ
レットを製造した。このTi合金のβ変態点は950℃
であった。このビレットを、1150℃に加熱し、穿
孔、3段階からなる延伸、定型の各工程を連続的に経
て、外径160mm、厚さ20mmの管に熱間加工し、空冷
した。この一連の熱間加工工程中、素材外表面温度が最
も低下したときの温度、すなわち、ビレットが加熱炉か
ら搬出されてから、最終圧延工程である定型工程終了直
後までの工程中の最低温度は、α+β二相温度域の93
0℃で、定型工程終了直後の温度は1030℃であっ
た。この管を、約50cm長さに切断し、表2中に示した
各種熱処理を行い、管の長さ方向および周方向と平行
に、試験1と同様に試験片を採取し、引張試験を行っ
た。また、長さ方向および周方向と平行に最小部の径が
8mmの砂時計型試験片を採取し、回転曲げ疲労試験を行
い、両方向の疲労強度を評価した。このとき疲労強度
は、107 サイクルの繰り返し荷重にて破断しない最高
強度で定義した。試験結果は表2に示すとおりである。
6Al−4V−ELIに0.1重量%のPdを添加した
Ti−6Al−4V−ELI−0.1Pdを溶製し、熱
間鍛造により210mm×210mmの正方形断面の中実ビ
レットを製造した。このTi合金のβ変態点は950℃
であった。このビレットを、1150℃に加熱し、穿
孔、3段階からなる延伸、定型の各工程を連続的に経
て、外径160mm、厚さ20mmの管に熱間加工し、空冷
した。この一連の熱間加工工程中、素材外表面温度が最
も低下したときの温度、すなわち、ビレットが加熱炉か
ら搬出されてから、最終圧延工程である定型工程終了直
後までの工程中の最低温度は、α+β二相温度域の93
0℃で、定型工程終了直後の温度は1030℃であっ
た。この管を、約50cm長さに切断し、表2中に示した
各種熱処理を行い、管の長さ方向および周方向と平行
に、試験1と同様に試験片を採取し、引張試験を行っ
た。また、長さ方向および周方向と平行に最小部の径が
8mmの砂時計型試験片を採取し、回転曲げ疲労試験を行
い、両方向の疲労強度を評価した。このとき疲労強度
は、107 サイクルの繰り返し荷重にて破断しない最高
強度で定義した。試験結果は表2に示すとおりである。
【0029】熱間加工後、750℃、1h、空冷の焼鈍
を施した試験番号20は、本発明の方法(2)の実施例
であり、異方性がなく、930MPa程度の引張強度と
17%を超える高い伸び、さらに450MPa程度の回
転曲げ疲労強度が得られた。これに対し、本発明の方法
(3)を適用した試験番号21,22,24,27,2
8,31,32は、いずれも異方性がない上に、12%
以上の比較的高い伸び値を維持しながら、1000MP
a以上の高強度と480MPa以上の高い回転曲げ疲労
強度が達成されており、強度および疲労強度の向上に本
発明の方法(3)は極めて有効である。一方、試験番号
23は、本発明の方法(1)の焼鈍後に低温熱処理を施
したものであり、最初の熱処理の温度が本発明の方法
(3)に規定した下限温度のβ変態点−100℃よりも
低かったため、一次α相が十分微細化せず、その後の熱
処理を行っても軽微な強度および疲労強度の上昇しか達
成されなかった。試験番号25では、最初の熱処理の温
度が、従来行われてきたようにβ変態点以上であったた
め、β相の粗大化が起こり延性が低下してしまった。試
験番号26では、最初の熱処理の加熱保持時間が本発明
の方法(3)に規定された30分に満たなかったため一
次α相の微細化が不十分であり、強度および疲労強度が
軽微な程度しか向上しなかった。また、試験番号29で
は、最初の熱処理後の冷却速度が、本発明の方法(3)
の冷却条件よりも遅い炉冷であったため、せっかく微細
化した一次α相が冷却中に再び成長し粗大化してしま
い、強度および疲労強度の向上が不十分となってしまっ
た。さらに、試験番号30では、二番目に行った低温で
の熱処理の温度が、本発明の方法(3)で規定した下限
温度である450℃に満たなかったため、また、試験番
号35では、加熱保持時間が本発明の方法(3)で規定
した下限時間に満たなかったため、組織の安定化や歪み
の解放が不十分であり、十分な延性値が得られなかっ
た。また、試験番号33と34では、それぞれ二番目に
行う熱処理の温度と加熱保持時間が、本発明の方法
(3)における上限値を超えたため、二次α相の粗大化
を生じ、強度および疲労強度が十分向上しなかった。な
お、試験番号33は、本発明の方法(4)の実施例であ
り、表2に示していないが、破壊靭性に優れていた。
を施した試験番号20は、本発明の方法(2)の実施例
であり、異方性がなく、930MPa程度の引張強度と
17%を超える高い伸び、さらに450MPa程度の回
転曲げ疲労強度が得られた。これに対し、本発明の方法
(3)を適用した試験番号21,22,24,27,2
8,31,32は、いずれも異方性がない上に、12%
以上の比較的高い伸び値を維持しながら、1000MP
a以上の高強度と480MPa以上の高い回転曲げ疲労
強度が達成されており、強度および疲労強度の向上に本
発明の方法(3)は極めて有効である。一方、試験番号
23は、本発明の方法(1)の焼鈍後に低温熱処理を施
したものであり、最初の熱処理の温度が本発明の方法
(3)に規定した下限温度のβ変態点−100℃よりも
低かったため、一次α相が十分微細化せず、その後の熱
処理を行っても軽微な強度および疲労強度の上昇しか達
成されなかった。試験番号25では、最初の熱処理の温
度が、従来行われてきたようにβ変態点以上であったた
め、β相の粗大化が起こり延性が低下してしまった。試
験番号26では、最初の熱処理の加熱保持時間が本発明
の方法(3)に規定された30分に満たなかったため一
次α相の微細化が不十分であり、強度および疲労強度が
軽微な程度しか向上しなかった。また、試験番号29で
は、最初の熱処理後の冷却速度が、本発明の方法(3)
の冷却条件よりも遅い炉冷であったため、せっかく微細
化した一次α相が冷却中に再び成長し粗大化してしま
い、強度および疲労強度の向上が不十分となってしまっ
た。さらに、試験番号30では、二番目に行った低温で
の熱処理の温度が、本発明の方法(3)で規定した下限
温度である450℃に満たなかったため、また、試験番
号35では、加熱保持時間が本発明の方法(3)で規定
した下限時間に満たなかったため、組織の安定化や歪み
の解放が不十分であり、十分な延性値が得られなかっ
た。また、試験番号33と34では、それぞれ二番目に
行う熱処理の温度と加熱保持時間が、本発明の方法
(3)における上限値を超えたため、二次α相の粗大化
を生じ、強度および疲労強度が十分向上しなかった。な
お、試験番号33は、本発明の方法(4)の実施例であ
り、表2に示していないが、破壊靭性に優れていた。
【0030】
【表2】
【0031】(試験3)試験2で用いたTi−6Al−
4V−ELI−0.1Pdの中実ビレット(β変態点:
950℃)を、1150℃に加熱し、穿孔、3段階から
なる延伸、定型の各工程を連続的に経て、外径160m
m、厚さ20mmの管に熱間加工し、空冷した。この一連
の熱間加工工程中、素材外表面温度が最も低下したとき
の温度、すなわち、ビレットが加熱炉から搬出されてか
ら、最終圧延工程である定型工程終了直後までの工程中
の最低温度は、β単相温度域の1000℃で、定型工程
終了直後の温度は1050℃であった。この管を、約5
0cm長さに切断し、表3中に示した各種熱処理を行い、
管の長さ方向および周方向と平行に、試験1と同様の試
験片を採取し、引張試験を行った。また、機械ノッチ先
端に疲労予亀裂を長さ方向および周方向に導入した破壊
靭性試験片(厚さ12.7mm)を用いて、両方向の破壊
靭性をKIC値により評価した。試験結果は表3に示す。
4V−ELI−0.1Pdの中実ビレット(β変態点:
950℃)を、1150℃に加熱し、穿孔、3段階から
なる延伸、定型の各工程を連続的に経て、外径160m
m、厚さ20mmの管に熱間加工し、空冷した。この一連
の熱間加工工程中、素材外表面温度が最も低下したとき
の温度、すなわち、ビレットが加熱炉から搬出されてか
ら、最終圧延工程である定型工程終了直後までの工程中
の最低温度は、β単相温度域の1000℃で、定型工程
終了直後の温度は1050℃であった。この管を、約5
0cm長さに切断し、表3中に示した各種熱処理を行い、
管の長さ方向および周方向と平行に、試験1と同様の試
験片を採取し、引張試験を行った。また、機械ノッチ先
端に疲労予亀裂を長さ方向および周方向に導入した破壊
靭性試験片(厚さ12.7mm)を用いて、両方向の破壊
靭性をKIC値により評価した。試験結果は表3に示す。
【0032】熱間加工後、750℃、1h、空冷の焼鈍
を施した試験番号36は、本発明の方法(1)の実施例
であり、異方性がなく、途中α+β域での加工を経た試
験番号20(本発明の方法(2)の実施例)ほどではな
いが、920MPa程度の引張強度と14%を超える高
い伸び、さらに94〜95MPa・m1/2 程度のKICな
どの優れた機械的性質が得られた。これに対し、本発明
の方法(4)を適用した試験番号37,38,40,4
3,44は、いずれも異方性がない上に、930MPa
以上の高い引張強度と14%以上の十分な伸びを維持し
ながら、110MPa・m1/2 以上の高いKICが達成さ
れており、破壊靭性の向上に本発明の方法(4)は極め
て有効である。一方、試験番号39は本発明の方法
(3)であり、二番目に行う低温での熱処理の温度が、
本発明の方法(4)で規定した温度に満たなかったた
め、また、試験番号42では、加熱保持時間が本発明の
方法(4)で規定した下限時間に満たなかったため、亀
裂伝播抑制効果を担う二次α相の粗大化が不十分で、K
ICの向上が十分達成されなかった。また、試験番号41
では、二番目の熱処理の温度が、本発明の方法(4)の
上限温度を超えたため、最初の熱処理で生成した二次α
相の多くが消失してしまい、強度、靭性、破壊靭性とも
に焼鈍材(試験番号36)から向上しなかった。また、
試験番号45では、二番目に行う熱処理の時間が、本発
明の方法(4)における上限値を超えたため、一次α相
が二次α相を侵食して粗大化し、焼鈍材(試験番号3
6)と同程度の強度、延性、破壊靭性しか得られなかっ
た。
を施した試験番号36は、本発明の方法(1)の実施例
であり、異方性がなく、途中α+β域での加工を経た試
験番号20(本発明の方法(2)の実施例)ほどではな
いが、920MPa程度の引張強度と14%を超える高
い伸び、さらに94〜95MPa・m1/2 程度のKICな
どの優れた機械的性質が得られた。これに対し、本発明
の方法(4)を適用した試験番号37,38,40,4
3,44は、いずれも異方性がない上に、930MPa
以上の高い引張強度と14%以上の十分な伸びを維持し
ながら、110MPa・m1/2 以上の高いKICが達成さ
れており、破壊靭性の向上に本発明の方法(4)は極め
て有効である。一方、試験番号39は本発明の方法
(3)であり、二番目に行う低温での熱処理の温度が、
本発明の方法(4)で規定した温度に満たなかったた
め、また、試験番号42では、加熱保持時間が本発明の
方法(4)で規定した下限時間に満たなかったため、亀
裂伝播抑制効果を担う二次α相の粗大化が不十分で、K
ICの向上が十分達成されなかった。また、試験番号41
では、二番目の熱処理の温度が、本発明の方法(4)の
上限温度を超えたため、最初の熱処理で生成した二次α
相の多くが消失してしまい、強度、靭性、破壊靭性とも
に焼鈍材(試験番号36)から向上しなかった。また、
試験番号45では、二番目に行う熱処理の時間が、本発
明の方法(4)における上限値を超えたため、一次α相
が二次α相を侵食して粗大化し、焼鈍材(試験番号3
6)と同程度の強度、延性、破壊靭性しか得られなかっ
た。
【0033】
【表3】
【0034】(試験4)真空アーク溶解により、1.5
重量%Fe、0.5重量%酸素、0.04重量%窒素を
含有するTi−1.5Fe−0.5[O]−0.04
[N]を溶製し、熱間鍛造により210mm×210mmの
正方形断面の中実ビレットを製造した。このTi合金の
β変態点は950℃であった。このビレットを、100
0℃に加熱し、穿孔、3段階からなる延伸、定型の各工
程を連続的に経て、外径160mm、厚さ20mmの管に熱
間加工し、空冷した。この一連の熱間加工工程中、素材
外表面温度が最も低下したときの温度、すなわち、ビレ
ットが加熱炉から搬出されてから、最終圧延工程である
定型工程終了直後までの工程中の最低温度は、β単相温
度域の1000℃で、定型工程終了直後の温度は105
0℃であった。この管を約50cm長さに切断し、表4に
示した各種熱処理を行い、管の長さ方向および周方向と
平行に、各種試験片を切り出し、試験1と同様の引張試
験、試験2と同様の疲労試験、試験3と同様の破壊靭性
試験を行った。試験結果は表4に示す。
重量%Fe、0.5重量%酸素、0.04重量%窒素を
含有するTi−1.5Fe−0.5[O]−0.04
[N]を溶製し、熱間鍛造により210mm×210mmの
正方形断面の中実ビレットを製造した。このTi合金の
β変態点は950℃であった。このビレットを、100
0℃に加熱し、穿孔、3段階からなる延伸、定型の各工
程を連続的に経て、外径160mm、厚さ20mmの管に熱
間加工し、空冷した。この一連の熱間加工工程中、素材
外表面温度が最も低下したときの温度、すなわち、ビレ
ットが加熱炉から搬出されてから、最終圧延工程である
定型工程終了直後までの工程中の最低温度は、β単相温
度域の1000℃で、定型工程終了直後の温度は105
0℃であった。この管を約50cm長さに切断し、表4に
示した各種熱処理を行い、管の長さ方向および周方向と
平行に、各種試験片を切り出し、試験1と同様の引張試
験、試験2と同様の疲労試験、試験3と同様の破壊靭性
試験を行った。試験結果は表4に示す。
【0035】β変態点以上で焼鈍した従来例の試験番号
46は、異方性はないが、β粒が粗大化したため伸びが
低くなっている。これに対し、本発明の方法(1)の実
施例である試験番号47は、異方性がない上に、950
MPa以上の高強度、14%以上の高い伸び、500M
Pa以上の高い回転曲げ疲労強度、100MPa・m
1/2 以上の高いKICが得られている。さらに本発明の方
法(3)を適用した試験番号48では異方性がなく、さ
らに1050MPaを超える高強度と530MPaを超
える高い回転曲げ疲労強度が、11%以上の十分な伸び
を維持したまま達成されている。また、本発明の方法
(4)を適用した試験番号49では、異方性がなく、試
験番号47と同等以上の強度、伸びを維持しながら、1
10MPaを超える高いKICが得られている。
46は、異方性はないが、β粒が粗大化したため伸びが
低くなっている。これに対し、本発明の方法(1)の実
施例である試験番号47は、異方性がない上に、950
MPa以上の高強度、14%以上の高い伸び、500M
Pa以上の高い回転曲げ疲労強度、100MPa・m
1/2 以上の高いKICが得られている。さらに本発明の方
法(3)を適用した試験番号48では異方性がなく、さ
らに1050MPaを超える高強度と530MPaを超
える高い回転曲げ疲労強度が、11%以上の十分な伸び
を維持したまま達成されている。また、本発明の方法
(4)を適用した試験番号49では、異方性がなく、試
験番号47と同等以上の強度、伸びを維持しながら、1
10MPaを超える高いKICが得られている。
【0036】
【表4】
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法を適
用することにより、材質異方性がなく、強度、延性、疲
労強度、破壊靭性等の機械的性質に優れた、α+β型チ
タン合金からなる継ぎ目無し管を製造することができ
る。
用することにより、材質異方性がなく、強度、延性、疲
労強度、破壊靭性等の機械的性質に優れた、α+β型チ
タン合金からなる継ぎ目無し管を製造することができ
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 α+β型チタン合金からなる継ぎ目無し
管を、熱間で、穿孔および延伸、定型、絞り等の圧延工
程により、連続的に製造する方法において、β変態点+
50℃超β変態点+250℃以下の温度で最終圧延工程
を終了し、空冷以上の冷却速度で冷却し、700℃以上
でβ変態点−100℃未満の温度で30分以上の焼鈍を
行うことを特徴とする、α+β型チタン合金からなる継
ぎ目無し管の製造方法。 - 【請求項2】 α+β型チタン合金からなる中実ビレッ
トを、β変態点以上β変態点+300℃以下の温度に加
熱し、穿孔を行い、延伸、定型、絞り等の圧延工程の途
中で、β変態点以下の温度にまで冷却し、最終圧延工程
を終了することを特徴とする、請求項1記載のα+β型
チタン合金からなる継ぎ目無し管の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の製造方法におい
て、前記焼鈍に代って、β変態点−100℃以上でβ変
態点未満の温度に30分以上加熱保持し、空冷以上の冷
却速度で冷却し、さらに、450〜650℃で1時間以
上8時間以下加熱保持することを特徴とする、α+β型
チタン合金からなる継ぎ目無し管の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1または2記載の製造方法におい
て、前記焼鈍に代って、β変態点−100℃以上でβ変
態点未満の温度に30分以上加熱保持し、空冷以上の冷
却速度で冷却し、さらに、650℃超β変態点−100
℃未満の温度で30分以上4時間以下加熱保持すること
を特徴とする、α+β型チタン合金からなる継ぎ目無し
管の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3249296A JPH09228013A (ja) | 1996-02-20 | 1996-02-20 | α+β型チタン合金からなる継ぎ目無し管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3249296A JPH09228013A (ja) | 1996-02-20 | 1996-02-20 | α+β型チタン合金からなる継ぎ目無し管の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09228013A true JPH09228013A (ja) | 1997-09-02 |
Family
ID=12360500
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3249296A Pending JPH09228013A (ja) | 1996-02-20 | 1996-02-20 | α+β型チタン合金からなる継ぎ目無し管の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH09228013A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2012149283A (ja) * | 2011-01-17 | 2012-08-09 | Nippon Steel Corp | α+β型チタン合金の熱間圧延方法 |
| CN103668028A (zh) * | 2013-12-27 | 2014-03-26 | 张斌 | 一种钛及钛合金无缝管坯的制备方法 |
| WO2015088388A1 (ru) * | 2013-12-13 | 2015-06-18 | Открытое Акционерное Общество "Корпорация Всмпо-Ависма" | СПОСОБ ИЗГОТОВЛЕНИЯ ХОЛОДНОКАТАНЫХ ТРУБ ИЗ α- И ПСЕВДО-α- СПЛАВОВ НА ОСНОВЕ ТИТАНА |
| CN115758607A (zh) * | 2022-11-17 | 2023-03-07 | 西北工业大学 | 一种确定TC17钛合金整体叶盘跨β锻造工艺参数的方法 |
-
1996
- 1996-02-20 JP JP3249296A patent/JPH09228013A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2012149283A (ja) * | 2011-01-17 | 2012-08-09 | Nippon Steel Corp | α+β型チタン合金の熱間圧延方法 |
| WO2015088388A1 (ru) * | 2013-12-13 | 2015-06-18 | Открытое Акционерное Общество "Корпорация Всмпо-Ависма" | СПОСОБ ИЗГОТОВЛЕНИЯ ХОЛОДНОКАТАНЫХ ТРУБ ИЗ α- И ПСЕВДО-α- СПЛАВОВ НА ОСНОВЕ ТИТАНА |
| CN103668028A (zh) * | 2013-12-27 | 2014-03-26 | 张斌 | 一种钛及钛合金无缝管坯的制备方法 |
| CN115758607A (zh) * | 2022-11-17 | 2023-03-07 | 西北工业大学 | 一种确定TC17钛合金整体叶盘跨β锻造工艺参数的方法 |
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| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040224 |