JPH09228033A - 薄膜形成方法 - Google Patents

薄膜形成方法

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JPH09228033A
JPH09228033A JP3849396A JP3849396A JPH09228033A JP H09228033 A JPH09228033 A JP H09228033A JP 3849396 A JP3849396 A JP 3849396A JP 3849396 A JP3849396 A JP 3849396A JP H09228033 A JPH09228033 A JP H09228033A
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展幸 宮川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エネルギービーム加熱式真空蒸着法におい
て、エネルギー源の削減を可能にし、不純物除去処理と
成膜処理の連続繰り返しを可能にし、浮遊不純物除去処
理を効率化できる方法を提供する。 【解決手段】 真空下、坩堝中の蒸着材料にエネルギー
ビームを照射することにより前記蒸着材料を加熱して溶
融蒸発させ基材に蒸着させて前記基材の表面に薄膜を形
成する方法において、前記蒸着材料の溶かし込みから成
膜に到る適宜の過程で、坩堝中の溶融液の液面に浮遊す
る不純物を除去する必要が生じたときに、単一のエネル
ギービーム源より発する前記エネルギービームを成膜時
のエネルギーレベルよりも高いエネルギーレベルにして
前記不純物に照射することにより前記浮遊不純物を除去
するようにすることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エネルギービーム
加熱式真空蒸着法に関するものであり、より詳しくは、
真空下で電子ビーム等のエネルギービームを蒸着すべき
材料(以下、蒸着材料という。)に照射して加熱するこ
とにより基材に膜を蒸着させるにあたり、坩堝中の溶融
した蒸着材料の液面に浮遊する不純物を除去しつつ成膜
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】真空蒸着法は、高真空中において蒸着材
料を加熱溶融蒸発させて板状等の被蒸着基材の表面に薄
膜として凝着(蒸着)させる方法である。一般に、真空
蒸着法においては、蒸着材料の表面に付着していた金属
酸化物等の不純物は、蒸着材料を溶融させて得られる溶
融材料(溶融液)の液面に浮遊して、成膜時には不純物
成分の蒸発粒子となって薄膜に混入するため、薄膜に欠
陥を生じさせ易い。また、上記不純物はエネルギービー
ムの照射により非常な高温となるため、この高温となっ
た不純物が溶融液に接触すると、溶融液が突沸を起こし
液滴となって基材に付着する。そのため、一様な薄膜形
成が行えないと言う問題点もあった。
【0003】そこで、上記の問題点を解決するため、蒸
着材料の加熱前に還元性ガスプラズマでイオンボンバー
ドすることにより、蒸着材料表面の不純物である酸素ガ
スや酸化膜を除去する方法(特開平3−236465号
公報参照)、抵抗加熱で溶融させた蒸着材料が入ってい
る坩堝を励振器で振動させることにより、溶融液内の不
純物である酸化物や気泡を浮上させ、この浮上した不純
物にレーザービームを照射することにより蒸発させる方
法(特開平4−247866号公報参照)等が提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記還
元性ガスプラズマによる方法では、不純物の還元処理に
5分以上もの時間が必要であるため短時間では不純物除
去処理ができない、蒸着材料の加熱前にしか不純物除去
処理が出来ないため蒸着材料の溶融後に不純物が生じて
も除去処理ができず不便である、不純物除去から成膜ま
での1回の処理が終了するごとの材料加熱前に新たに還
元性ガスを導入してプラズマを発生させなければならず
時間がかかるため効率が悪い等という問題点がある。
【0005】また、上記励振器で振動させる方法では、
不純物の浮遊物が溶融液の液面に散乱するため不純物除
去効率が悪い、薄膜形成用のエネルギー源と不純物除去
用のレーザー発振源の少なくとも2つ以上のエネルギー
源が必要になるため設備費用がかさむ、不純物除去処理
と成膜処理を連続して繰り返すことができないためそれ
らの処理の効率が悪い等という問題点がある。
【0006】そこで、本発明は、エネルギービーム加熱
式真空蒸着法において、薄膜への不純物混入や基材への
溶融液液滴の付着を無くするとともに、エネルギー源の
個数削減を可能にし、不純物除去処理と成膜処理の連続
繰り返しを可能にし、不純物除去処理を効率化できる方
法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明にかかる、エネルギービーム加熱式真空蒸着
による薄膜形成方法は、真空下、坩堝中の蒸着材料にエ
ネルギービームを照射することにより前記蒸着材料を加
熱して溶融蒸発させ基材に蒸着させて前記基材の表面に
薄膜を形成する方法において、前記蒸着材料の溶かし込
みから成膜に到る適宜の過程で、坩堝中の溶融液の液面
に浮遊する不純物を除去する必要が生じたときに、単一
のエネルギービーム源より発する前記エネルギービーム
を成膜時のエネルギーレベルよりも高いエネルギーレベ
ルにして前記不純物に照射することにより前記不純物を
除去するようにすることを特徴とする。
【0008】この場合において、高エネルギーレベルの
不純物除去処理と低エネルギーレベルの成膜処理を交互
に繰り返すことにより連続蒸着を行うことも可能であ
る。不純物が溶融液の液面をあちらこちらと自由に浮遊
することはなるべく避けた方が良いので、このようなこ
とを可能にするため、本発明の方法では、第1に、溶融
液の液面に浮遊する不純物をその液面上の特定の箇所に
集めて除去処理するようにする。第2に、坩堝を、蒸着
材料の供給側と蒸発側とが分離された構造にすることに
よって蒸着材料の供給時に生じる不純物が蒸発側に流出
するのを防止し、単一のエネルギービーム源より発する
前記エネルギービームを、そのエネルギーレベルを高低
変化させながら、前記供給側と蒸発側に照射するように
するのである。
【0009】上記第1の方法では坩堝を水平面内で回転
させたり坩堝に振動を与えたりして不純物を特定の箇所
に集めるようにする。このとき、回転中心は坩堝内の中
心位置であっても偏心位置であってもよく、坩堝外の位
置であっても良い。特に限定する訳ではないが、偏心位
置が好ましい。また、振動の付与には坩堝の一方側や対
向する2方側から付与する等の方法がある。特に限定す
る訳ではないが、一方側に振動子を設けるのが良い。な
お、一方側に振動子を設けるとしても、振動子を複数個
用いるようにし、それぞれの間隔を少し離して各振動子
の振動付与方向を坩堝反対側の1点に収束するようにす
るのがより好ましい。第1の方法では、不純物が液面に
浮上しやすくするために坩堝の底などに羽根を設ける等
の攪拌手段を坩堝に持たせるのが良い。
【0010】第2の方法では単一槽構造の坩堝内を仕切
りで蒸着材料の供給側と蒸発側に分割したり供給側と蒸
発側の二つの槽を管で連結したりする。後者の場合、エ
ネルギービームの照射されていない側で温度低下により
溶融液が凝固するのを防止するために、坩堝に、それ自
体を加熱可能な構造を持たせるようにするのが良い。本
発明では、特に限定する訳ではないが、不純物除去処理
時のエネルギーレベルを成膜処理時のエネルギーレベル
の2倍から1000倍にすること、不純物除去処理時に
照射するエネルギービームをパルス状にすること、不純
物除去処理前に一旦エネルギービームの照射を停止して
溶融液を凝固しない程度まで冷やした後、前記成膜処理
時のエネルギーレベルよりも高いエネルギーレベルのエ
ネルギービームを不純物に照射するようにすることが好
ましい。
【0011】
【実施の形態】本発明に使用する蒸着材料としては、エ
ネルギービームの照射で溶融蒸発可能な物であれば何で
もよく、例えば、Ag、Al、Cu、Au、Pt、P
d、Pb、Ni、Ti、In等のような金属を使用する
ことが可能である。蒸着材料の溶融、溶融液からの不純
物除去、蒸着材料の蒸発に使用するエネルギービーム源
としては、電子ビーム発生源の他、エキシマレーザー、
YAGレーザー、CO2 レーザーのような高出力レーザ
ー等を使用することが可能である。蒸着材料溶融時、不
純物除去時、蒸着材料蒸発時に照射するエネルギービー
ムの出力は、蒸着材料や坩堝の材質が相違すれば異なる
が、それらの相違により出力が異なっても本発明の実施
は可能である。
【0012】以下、本発明の、不純物を除去しつつ薄膜
形成する方法のうち、基本的な連続蒸着法の実施例につ
いて、図を参照して説明するが、本発明は下記の実施例
に限定されない。蒸着材料は、すべての実施例で純度9
9.99%のAgを使用した。エネルギービームは、す
べての実施例で電子ビームを使用した。
【0013】−実施例1− 図1は電子ビームの出力値とシャッター開閉のタイミン
グを時系列で、図2は蒸着材料供給と不純物除去処理工
程を、図3は薄膜形成処理工程を、それぞれ示す。この
実施例では、薄膜形成処理を連続して可能とするため、
図2、図3に示すように、真空チャンバー1内に、被蒸
着基材たるフープ基材5の供給側リール3と巻取側リー
ル4と蒸着材料(Ag線材)7の供給リール6を設けて
いる。
【0014】〔蒸着材料の供給・溶融、不純物除去処
理〕蒸着材料の供給・溶融時と不純物除去処理時におい
ては、シャッター16を閉じ、フープ基材5の送り込み
を停止している。図2に示すように、真空チャンバー1
内において供給リール6から蒸着材料7を坩堝8aへ送
り込んだ。電子銃9から発する加速電圧10kV、エミ
ッション電流60mAの直流電子ビーム10をビーム方
向変更マグネット12によって曲げ、坩堝8a内に送り
込まれた蒸着材料7を照射することによって、蒸着材料
7を溶融させて、溶融液13を得た。図にみるように、
坩堝8aはホルダー11aに支持されており、前記マグ
ネット12はこのホルダー11aに内蔵されている。な
お、蒸着材料溶融時の電子ビーム10の出力値は、図1
に示すようにAg膜を基材5へ形成する時(成膜時)の
出力値と同じの低出力値にした。
【0015】蒸着材料7を溶融液13にした時に、この
蒸着材料7に含まれている不純物が浮遊不純物14aと
して溶融液13の液面上に浮かび上がる。上記の浮遊不
純物14aに対して、図1に示すように、蒸着材料溶融
時の出力の10倍もの高出力たる、加速電圧10kV、
エミッション電流600mAの直流電子ビーム10を照
射した。そうすると、浮遊不純物14aが蒸発飛散し
て、溶融液13の液面から除去された。このとき、蒸発
した不純物14bの大部分は予め閉じておいたシャッタ
ー16の方へ向けて飛散した。
【0016】〔成膜処理〕上記の不純物除去処理後、図
3に示すように坩堝8aへの蒸着材料7の供給を停止
し、シャッター16を開け、フープ基材5を送りなが
ら、坩堝8a内の溶融液13の、浮遊不純物14aの存
在しない清浄な液面に、図1に示すように不純物除去時
の出力の10分の1に下げた低出力たる、加速電圧10
kV、エミッション電流60mAの直流電子ビーム10
を照射することによって溶融液13を蒸発させると、蒸
着材料の蒸発粒子15が基材5の表面(下面)に蒸着
し、基材5の表面に薄膜を形成した。
【0017】〔一連の処理を連続して繰り返す〕上記の
薄膜形成によって坩堝8a中の溶融液13が少なくなっ
てきたとき、再び、フープ基材5の送りを止め、シャタ
ー16を閉め、上記した蒸着材料7の供給・溶融と不純
物除去処理を行い、その後、再び、上記の薄膜形成処理
を行った。このように、蒸着材料の供給・溶融から不純
物除去処理を経て薄膜形成処理に至るまでを、図1にも
示すように、連続して繰り返し行った。
【0018】〔結果〕以上のように実施した結果、溶融
液の液面に浮遊する不純物が原因となって生ずる基材へ
の不純物混入や溶融液液滴の付着等が起きず、膜の欠陥
を大幅に削減することが出来た。連続蒸着を実現するこ
とも出来た。しかも、これらのことが、単一のエネルギ
ービーム源によって行うことができた。
【0019】−実施例2− この実施例では、溶融材料の液面に浮かぶ不純物を一か
所に集めて効率良く除去できるようにした。図4にみる
ように、坩堝8aの底部に羽根81を設けるとともに、
底面に垂直の支持軸17を備えたホルダー11bに坩堝
8aを設置し、モータ18で前記支持軸17を回転させ
るようにした。この場合に、坩堝8aを前記ホルダー1
1bに対し偏心させて設置した。このため、坩堝8aは
その内部の偏心位置を回転中心として水平回転する。
【0020】図中、実施例1に使用した番号と同じ番号
の部分は同じ構成要素を示す。その他の構成は図1、3
と同様なので記載を省略した。坩堝8aを回転させる
と、羽根81が坩堝8a内の溶融液13を攪拌するた
め、溶融液13中の不純物は溶融液13の液面上に容易
かつ迅速に浮上した。液面に浮上・浮遊した不純物14
aは坩堝8aの偏心回転によりその回転中心付近に集ま
るので、この集中した浮遊不純物14aに高出力の電子
ビームを集中的に照射することによって浮遊不純物14
aを効果的に除去した。
【0021】蒸着材料の供給・溶融と薄膜形成処理は実
施例1と同様に行い、蒸着材料の供給から薄膜形成処理
までを連続して繰り返して実施した点も実施例1と同様
に行った。この実施例では、不純物が溶融材料の液面の
一か所に容易かつ迅速に集中したので、実施例1に比較
して、不純物除去処理時間を短縮できた。
【0022】−実施例3− この実施例でも、実施例2と同様、溶融材料の液面に浮
かぶ不純物を一か所に集めて効率良く除去できるように
した。図5にみるように、坩堝8aを支持するホルダー
11aの対向する2方向側面に振動子19、19を設置
した。この振動子19の励起で、溶融液13中の不純物
を浮遊不純物14aとして溶融液13の液面の一か所に
集め、この集中した浮遊不純物14aに高出力の電子ビ
ーム10を照射することによってこの浮遊不純物14a
を除去した。
【0023】この実施例では、上記振動の付与によって
溶融液13が波面を作り、その波に乗って浮遊不純物1
4aが坩堝8aの中央付近に集中する。蒸着材料の供給
・溶融と薄膜形成処理は実施例1と同様に行い、蒸着材
料の供給から薄膜形成処理までを連続して繰り返して実
施した点も実施例1と同様に行った。
【0024】以上のように実施した結果、実施例1に比
較して不純物除去処理時間を短縮できた。また、実施例
2に比較して、振動子で振動を与えるという単純な機構
によって不純物を液面の一か所に集中させることができ
た。 −実施例4− この実施例では、坩堝が蒸着材料の供給側と蒸発側を有
する。
【0025】図6にみるように、単一槽構造の坩堝8a
の中央にその坩堝の高さと同程度の高さの仕切板82a
をその頭を少し液面上に出すようにして設けることによ
って槽内を蒸着材料の供給側83aと蒸着材料の蒸発側
83bとに分割した。仕切板82aの下方には坩堝8a
の底部との間に隙間82bがあり、蒸着材料の供給側8
3aで得られた溶融液13はこの隙間82bを通って蒸
着材料の蒸発側83bに移ることが出来る。
【0026】エネルギービーム(図示省略)の照射は蒸
着材料の供給側83aと蒸発側83bとに交互に行っ
た。なお、エネルギービームが当たらない側の溶融液の
温度が下がるのを防止するために、坩堝ホルダー11a
に、坩堝8bを囲う形でヒーター20を設けて溶融液1
3を保温するようにした。
【0027】さらに、供給側83aにおける溶融液13
の液面の浮遊不純物14aを一か所に集めるため、坩堝
ホルダー11aの1側面に振動子19を設けた。図中、
実施例1と同じ番号を付した部分は同じ構成部分を表
す。その他の構成は図1、3と同様なので記載を省略し
た。この実施例では、蒸着材料供給側83aの液面に浮
遊する不純物14aが蒸着材料蒸発側83bに流れ込む
ことを仕切板82aで阻止出来た。しかも、蒸着材料供
給側83aの底部付近の溶融液13が隙間82bを通っ
て蒸着材料蒸発側83bに移るが、底部付近の溶融液は
液面付近の溶融液に比べて不純物が極めて少ない。その
ため、蒸着材料蒸発側83bには実施例1〜3よりも一
層、不純物の少ない溶融液13を供給できた。
【0028】蒸着材料の供給・溶融から薄膜形成処理ま
でを連続して繰り返し実施した点は、実施例1と同様で
ある。蒸着材料7の溶融中は絶えず不純物が発生する
が、蒸着材料供給側83aの液面に存在する浮遊不純物
14aは蒸着材料蒸発側83bに移ることを仕切板82
aで阻止できるため、相当長い間、蒸着材料蒸発側83
bで蒸発を続けることが出来た。したがって、1回の成
膜処理時間が長く取れた。
【0029】以上のように実施した結果、実施例1〜3
に比較して、不純物除去処理回数を削減でき、薄膜形成
処理を長時間行うことができ、しかも、より清浄な薄膜
を形成できた。 −実施例5− この実施例でも、坩堝が蒸着材料の供給側と蒸発側を有
する。
【0030】この実施例では、二つの槽を持つ坩堝を使
用し、一つの槽を蒸着材料の供給側、他の槽を蒸着材料
の蒸発側とした。図7にみるように、坩堝8bは、蒸着
材料供給側83aの槽と蒸着材料蒸発側83bの槽の二
つを持ち、それぞれの底部を管83cで連結し、その管
83cの中央に溶融材料13の供給量を調節できるよう
にするためのバルブ21を設けた。
【0031】図中、実施例1と同じ番号を付した部分は
同じ構成部分を表す。その他の構成は図1、3と同様な
ので記載を省略した。なお、特に限定する訳ではない
が、上記バルブ21を開ける際には、蒸着材料溶融側8
3aへ蒸着材料7を供給することを一時停止することが
好ましい。蒸着材料の供給・溶融から薄膜形成処理まで
を連続して繰り返し実施した点は、実施例1と同様であ
る。
【0032】この実施例が実施例1〜4と異なる点は、
蒸着材料供給側83aの溶融液13に含まれる、浮遊し
きっていなかった不純物を液面に浮遊させることを完了
した後、その液面に浮遊する不純物14aを電子ビーム
10を照射して除去するまでバルブ21を閉めておき、
浮遊不純物14aを除去した後にバルブ21を開けて蒸
着材料供給側83aから蒸着材料蒸発側83bへ溶融液
13を供給できる点である。
【0033】蒸着材料供給側83aで不純物の浮遊を十
分に完了させた後の溶融液を蒸着材料蒸発側83bへ供
給したので、実施例4よりも清浄な薄膜を形成できた。 −実施例6− この実施例では、不純物除去処理時の高出力電子ビーム
照射により浮遊不純物と同時に溶融液も蒸発するので、
溶融液の蒸発を抑制できるように、不純物除去処理方法
を改良した。
【0034】図8はこの実施例における、電子ビームの
出力値とシャッター開閉のタイミングを時系列で示して
いる。この実施例でも、不純物除去処理時においては、
実施例1などと同様、シャッターを閉じフープ基材の送
りを停止しておいて蒸着材料を溶融するとともに溶融液
の液面から不純物を除去し、シャッターを開けフープ基
材を送りながら溶融液から蒸着材料を蒸発させて成膜を
行うが、実施例1などと異なり、図にみるように、蒸着
材料の溶融後、不純物の除去処理前に、一旦電子ビーム
の照射を停止して(エネルギーレベルは零)、溶融液を
凝固しない程度まで冷やした後、その溶融液の液面に浮
遊している不純物に高出力(加速電圧100kV、エミ
ッション電流1A)のパルス状電子ビーム(パルス幅5
ns、繰り返し周波数1kHz)を照射して浮遊不純物
を除去するようにした。
【0035】蒸着材料の供給・溶融、薄膜形成処理は、
実施例1と同様に実施し、蒸着材料の供給から薄膜形成
処理までを連続的に繰り返して実施した点も実施例1と
同様である。以上のように実施した結果、実施例1と異
なり、不純物除去時に使用した電子ビームが直流連続の
ものでなくパルス状であったこと、および、不純物除去
処理前に溶融液を一旦冷やしたことによって、実施例1
よりも不純物除去処理時の溶融液の蒸発を抑制できた。
これによって、蒸着材料の浪費が削減できた。
【0036】
【発明の効果】本発明にかかる、エネルギービーム加熱
真空蒸着による薄膜形成方法は、前記のように構成され
ているので、以下に記載される効果を有する。請求項1
に記載の発明では、薄膜形成処理、不純物除去処理共に
単一のエネルギービーム源を使用し、単一エネルギービ
ーム源以外の不純物除去装置を必要としないので、従来
に比べ、設備費を削減できる。
【0037】請求項2に記載の発明では、上記請求項1
に記載の発明の効果に加えて、エネルギーパワーを調整
することによって1バッジ内で不純物除去処理、成膜処
理を連続して行うことができるので、従来よりも、簡
易、迅速、大量に成膜できる。請求項3に記載の発明で
は、上記請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、
不純物を溶融液の液面の特定箇所に集めることによって
効率良く除去できる。
【0038】請求項4に記載の発明では、上記請求項3
に記載の発明の効果に加えて、坩堝の回転によって不純
物を遠心力で溶融液の液面の中央あるいは縁部へ追いや
ることができ、そこに高エネルギービームを照射するこ
とによって不純物除去を効率良く行うことができる。請
求項5に記載の発明では、上記請求項4に記載の発明の
効果に加えて、坩堝を偏心回転させることによって坩堝
中の溶融液の攪拌が促され、溶融液中の不純物を容易に
液面へ浮遊させることができ、これに高エネルギービー
ムを照射することによって不純物除去を効率良く行うこ
とができる。
【0039】請求項6に記載の発明では、上記請求項3
に記載の発明の効果に加えて、坩堝ホルダーの対抗する
2方向側面に超音波振動子を設置することで不純物を溶
融液の液面中央付近の一か所に集めることができるの
で、効率的に不純物の除去ができる。請求項7に記載の
発明では、上記請求項6に記載の発明の効果に加えて、
坩堝回転構造に比べて単純な構造で浮遊不純物を1箇所
に集めることができる。
【0040】請求項8に記載の発明では、上記請求項3
から7までのいずれかに記載の発明の効果に加えて、坩
堝が溶融液攪拌手段を有することによって一層攪拌効率
が向上するので、一層不純物除去処理効率が向上する。
請求項9に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載
の発明の効果に加えて、坩堝が蒸着材料の供給側と蒸発
側とに分離されているため供給側で生じる不純物の浮遊
が蒸発側で生じにくいので、薄膜への不純物混入や基板
への溶融液の液滴の付着を大幅に削減でき、一層清浄な
薄膜を形成できる。
【0041】請求項10に記載の発明では、上記請求項
9に記載の発明の効果に加えて、坩堝がそれ自体を加熱
可能な構造を有するため、坩堝が冷却されて成膜中の溶
融液が凝固することを防止できる。請求項11に記載の
発明では、上記請求項9又は10に記載の発明の効果に
加えて、坩堝単一槽内が蒸着材料の供給側と蒸発側とに
分割されているため、単純な構造で上記請求項4に記載
の発明の効果が得られ得る。
【0042】請求項12に記載の発明では、上記請求項
9又は10に記載の発明の効果に加えて、蒸着材料の供
給側の槽と蒸発側の槽が管で連結されているために上記
請求項11に記載の発明の場合よりも蒸発側の槽への不
純物の混入や液面浮遊が少なくなる。請求項13に記載
の発明では、上記請求項12に記載の発明の効果に加え
て、上記管が上記蒸発側への溶融液の供給量を調節する
手段を有するので、上記供給側の不純物を除去してから
上記蒸着側へ溶融液を供給できるので、一層純度の高い
材料で成膜できる。
【0043】請求項14に記載の発明では、上記請求項
1から13までのいずれかに記載の発明の効果に加え
て、成膜時のエネルギーレベルの所定幅の倍率の高エネ
ルギーレベルのエネルギービームの照射によって、溶融
液面浮遊不純物の除去効率が一層高まる。請求項15に
記載の発明では、請求項1から14までのいずれかに記
載の発明の効果に加えて、不純物除去処理時の照射エネ
ルギービームがパルス状であることによって、不純物除
去処理時の溶融液の蒸発を抑制でき、これによって蒸着
材料の浪費を削減できる。
【0044】請求項16に記載の発明では、請求項1か
ら15までのいずれかに記載の発明の効果に加えて、不
純物除去処理前に一旦エネルギービームの照射を停止し
て溶融液を凝固しない程度まで冷やすことによって、エ
ネルギービームをパルス状にする機構を設けなくても、
不純物除去処理時の溶融液の蒸発量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における電子ビームの出力値
とシャッター開閉のタイミングを時系列で示した説明
図。
【図2】上記実施例における蒸着材料供給・溶融工程と
浮遊不純物除去処理工程を示す断面図。
【図3】上記実施例における蒸着材料蒸発工程を示す断
面図。
【図4】本発明の第2の実施例における浮遊不純物除去
処理工程を示す断面図。
【図5】本発明の第3の実施例における浮遊不純物除去
処理工程を示す断面図。
【図6】本発明の第4の実施例における浮遊不純物除去
処理工程を示す断面図。
【図7】本発明の第5の実施例における浮遊不純物除去
処理工程を示す断面図。
【図8】本発明の第6の実施例における電子ビームの出
力値とシャッター開閉のタイミングを時系列で示した説
明図。
【符号の説明】
1 真空チャンバー 5 フープ基材 7 蒸着材料 8a 槽が一つの坩堝 8b 槽が二つの坩堝 10 電子ビーム 11a 回転しない坩堝ホルダー 11b 回転する坩堝ホルダー 13 溶融液 14a 溶融液の液面上を浮遊する不純物 15 蒸着材料の蒸発粒子 19 振動子 20 ヒーター 21 バルブ

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空下、坩堝中の蒸着材料にエネルギービ
    ームを照射することにより前記蒸着材料を加熱して溶融
    蒸発させ基材に蒸着させて前記基材の表面に薄膜を形成
    する方法において、前記蒸着材料の溶かし込みから成膜
    に到る適宜の過程で、坩堝中の溶融液の液面に浮遊する
    不純物を除去する必要が生じたときに、単一のエネルギ
    ービーム源より発する前記エネルギービームを成膜時の
    エネルギーレベルよりも高いエネルギーレベルにして前
    記不純物に照射することにより前記不純物を除去するこ
    とを特徴とする、エネルギービーム加熱式真空蒸着によ
    る薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】高エネルギーレベルの不純物除去処理と低
    エネルギーレベルの成膜処理を交互に繰り返すことによ
    り連続蒸着を行う、請求項1に記載の薄膜形成方法。
  3. 【請求項3】前記溶融液の液面に浮遊する不純物をその
    液面上の特定の箇所に集めて除去処理する、請求項1ま
    たは2に記載の薄膜形成方法。
  4. 【請求項4】前記坩堝は水平面内で回転する構造を有し
    ている、請求項3に記載の薄膜形成方法。
  5. 【請求項5】回転中心が前記坩堝内の偏心位置にある、
    請求項4に記載の薄膜形成方法。
  6. 【請求項6】前記坩堝に振動を与えて不純物を前記特定
    の箇所に集めるようにする、請求項3に記載の薄膜形成
    方法。
  7. 【請求項7】前記坩堝の一方側から振動を与えて不純物
    をその反対側付近に集めるようにする、請求項6に記載
    の薄膜形成方法。
  8. 【請求項8】前記坩堝が溶融液を攪拌する手段を有す
    る、請求項3から7までのいずれかに記載の薄膜形成方
    法。
  9. 【請求項9】前記坩堝は、蒸着材料の供給側と蒸発側と
    が分離された構造となっていて、蒸着材料の溶融時に生
    じる不純物が前記蒸発側に流出するのを防止するように
    なっており、単一のエネルギービーム源より発する前記
    エネルギービームを、そのエネルギーレベルを高低変化
    させながら、前記供給側と蒸発側に照射する、請求項1
    または2に記載の薄膜形成方法。
  10. 【請求項10】前記坩堝はそれ自体を加熱可能な構造を
    有している、請求項9に記載の薄膜形成方法。
  11. 【請求項11】前記坩堝は、単一槽構造を有し、槽内が
    仕切りで前記供給側と蒸発側に分割されている、請求項
    9または10に記載の薄膜形成方法。
  12. 【請求項12】前記坩堝は、前記供給側となる槽と前記
    蒸発側となる槽を有し、これら二つの槽が、前記供給側
    で蒸着材料を溶融させて得られる溶融液を前記蒸発側に
    供給するために管で連結されている、請求項9または1
    0に記載の薄膜形成方法。
  13. 【請求項13】前記管が前記蒸発側への溶融液の供給量
    を調節する手段を有する、請求項12に記載の薄膜形成
    方法。
  14. 【請求項14】前記不純物除去処理時のエネルギーレベ
    ルが前記成膜処理時のエネルギーレベルの2倍から10
    00倍である、請求項1から13までのいずれかに記載
    の薄膜形成方法。
  15. 【請求項15】前記不純物除去処理時に照射するエネル
    ギービームがパルス状である、請求項1から14までの
    いずれかに記載の薄膜形成方法。
  16. 【請求項16】前記不純物除去処理前に一旦エネルギー
    ビームの照射を停止して溶融液を凝固しない程度まで冷
    やした後、前記成膜処理時のエネルギーレベルよりも高
    いエネルギーレベルのエネルギービームを不純物に照射
    する、請求項1から15までのいずれかに記載の薄膜形
    成方法。
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