JPH09236165A - 差動装置及びこれに用いる円板状部材の製造方法 - Google Patents

差動装置及びこれに用いる円板状部材の製造方法

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JPH09236165A
JPH09236165A JP32200096A JP32200096A JPH09236165A JP H09236165 A JPH09236165 A JP H09236165A JP 32200096 A JP32200096 A JP 32200096A JP 32200096 A JP32200096 A JP 32200096A JP H09236165 A JPH09236165 A JP H09236165A
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groove
rotating body
force
ball
disc
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JP32200096A
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Kenji Mimura
建治 三村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転力の伝達方向によって差動制限力の大き
さをそれぞれ異なるように設定することのできる差動装
置を提供する。 【解決手段】 回転力の一方の伝達方向において、一方
のディスクプレート3の径方向内側におけるボール5と
溝3bとの接触角をβi1、他方のディスクプレート3の
径方向外側における接触角をβo1とし、回転力の他方の
伝達方向において、一方のディスクプレート3の径方向
外側におけるボール5と溝3bとの接触角をβo2、他方
のディスクプレート3の径方向内側における接触角をβ
i2とし、各接触角の大きさをβo1>βo2,βi1>βi2と
なるように設定することにより、回転力の一方の伝達方
向における回転軸方向の反力、即ちスラスト力E1 は回
転力の他方の伝達方向におけるスラスト力E2 よりも大
きくなることから、回転力の各伝達方向においてそれぞ
れ異なった大きさの差動制限力が発生する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車の左
右または前後駆動輪の回転差を許容する差動装置及びこ
れに用いる円板状部材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、自動車の差動装置としては、出力軸
に連結された一対のベベルギヤの間にピニオンギヤを介
在させ、ピニオンギヤのシャフトに外側から回転力が加
わると、差動時にピニオンギヤを自転させて各出力軸の
回転差を許容するようにしたものが一般的である。ま
た、旋回時や摩擦係数の低い路面の走行時に駆動輪の片
方が空転しようとするのを規制する差動制限機能を持っ
た差動装置としては、例えば粘性流体の抵抗を利用した
ビスカス・カップリング等の差動制限機構を別途追加し
たものが知られている。しかしながら、このように差動
制限機構として特別な機構を追加する構造では、装置本
体の大型化及び高コスト化を来すという欠点があった。
そこで、このような構造の差動装置よりも小型で、しか
も特別な機構を追加することなく差動制限効果を達成し
得るものが出願人から既に提案されている(特開平8−
170705号)。
【0003】この差動装置は、外部からの駆動力によっ
て回転するギヤケースと、互いに対向してギヤケースと
同軸状に配置された一対のディスクプレートと、各ディ
スクプレートの対向面間に配置された複数のボールと、
各ボールを保持してギヤケースと一体に回転するセンタ
ープレートとを備え、センタープレートには各ディスク
プレートの径方向に延びる複数の長孔を設けて各長孔に
各ボールを移動自在に収容するとともに、各ディスクプ
レートの対向面には各ボールを転動自在に係合する溝を
設け、ギヤケースの回転力を各ボールと各溝を介して各
ディスクプレートに伝達するとともに、各ボールを各デ
ィスクプレートの溝に沿って転動させながらセンタープ
レートの長孔内を往復移動させることにより各ディスク
プレートの回転差を許容し、各ボールと各溝との間に発
生する軸方向の反力によって各ディスクプレートの差動
を制限するようにしている。従って、この差動装置で
は、ボールと溝との係合により各ディスクプレートの差
動を達成し、その構成における機械的な特性を利用して
差動制限効果を得ることができるため、部品点数が少な
く、小型で組立ても容易であるという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記差動装
置における差動制限力は、例えば自動車の駆動輪におい
ては加速時と減速時にそれぞれ発生するが、自動車の走
行性能、使用目的または付属機構との組合わせなどによ
り、加速時と減速時、即ち各駆動輪への回転力の伝達方
向が互いに異なるとき、差動制限力の大きさもそれぞれ
異なるように設定できることが望ましい。例えば、制動
時のスリップを防止するABS(アンチロックブレーキ
システム)を搭載した自動車においては、路面に対する
制動力を各車輪ごとに制御する関係上、減速時に発生す
る差動制限力を小さくして各駆動輪が拘束されないよう
にすることが課題があった。
【0005】本発明は前記課題に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、回転力の伝達方向によ
って差動制限力の大きさをそれぞれ異なるように設定す
ることのできる差動装置及びこれに用いる円板状部材の
製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、請求項1では、外部からの駆動力によって
回転する入力側回転体と、互いに対向して入力側回転体
と同軸状に配置された一対の回転体と、各回転体の対向
面間に配置された複数の転動体と、各転動体を保持して
入力側回転体と一体に回転する保持体とを備え、保持体
には各回転体の径方向に延びる複数の長孔を設けて各長
孔に各転動体を移動自在に収容するとともに、各回転体
の対向面のそれぞれには各転動体を転動自在に係合する
溝を設けた差動装置において、前記各溝における各転動
体との接触角の大きさを、入力側回転体と各回転体との
回転力の伝達方向が異なるときに各転動体と各溝との間
に発生する軸方向の反力の大きさがそれぞれ異なるよう
に設定している。これにより、入力側回転体の回転力が
各転動体と各溝を介して各回転体に伝達されるととも
に、各転動体が各回転体の溝に沿って転動しながら保持
体の長孔内を往復移動することにより各回転体の回転差
が許容され、各転動体と各溝との間に発生する軸方向の
反力によって各回転体の差動が制限される。その際、入
力側回転体と各回転体との回転力の伝達方向が異なると
きに各転動体と各溝との間に発生する軸方向の反力の大
きさが異なることから、回転力の伝達方向によってそれ
ぞれ異なった大きさの差動制限力が発生する。
【0007】また、請求項2では、請求項1記載の差動
装置において、前記各回転体の溝は、各回転体の径方向
内側から外側に向かって延びる第1の案内区間と、各回
転体の径方向外側から内側に向かって延びる第2の案内
区間とを周方向に連続して有し、各溝における各転動体
との接触角を、一方の案内区間の径方向内側を他方の案
内区間の径方向内側よりも大きく、一方の案内区間の径
方向外側を他方の案内区間の径方向外側よりも小さく形
成している。これにより、請求項1と同様、回転力の伝
達方向によってそれぞれ異なった大きさの差動制限力が
発生する。
【0008】また、請求項3では、外部からの駆動力に
よって回転する入力側回転体と、互いに対向して入力側
回転体と同軸状に配置された一対の回転体と、各回転体
の周面に配置された複数の転動体と、各回転体側の転動
体を一対ずつ保持して入力側回転体と一体に回転しなが
ら各回転体の軸方向に移動する複数の保持体とを備え、
各回転体の周面には各転動体を転動自在に係合する溝を
設けた差動装置において、前記入力側回転体と各回転体
との回転力の一方の伝達方向に作用する反力によって摩
擦力を発生する一方の摩擦部材と、入力側回転体と各回
転体との回転力の他方の伝達方向に作用する反力によっ
て摩擦力を発生する他方の摩擦部材とを備え、各摩擦部
材によって発生する摩擦力が回転力の伝達方向によって
それぞれ異なるように設定している。これにより、入力
側回転体の回転力が各転動体と各溝を介して各回転体に
伝達するとともに、各転動体が各回転体の溝に沿って転
動しながら保持体と共に各回転体の軸方向に往復移動す
ることにより各回転体の回転差が許容され、各転動体と
各溝との間に発生する軸方向の反力が入力側回転体と各
回転体との回転力の伝達方向が異なるときにそれぞれ反
対方向に作用し、回転体の差動が制限される。その際、
入力側回転体と各回転体との回転力の伝達方向が異なる
ときに各転動体と各溝との間に発生する軸方向の反力の
大きさが異なることから、回転力の伝達方向によってそ
れぞれ異なった大きさの差動制限力が発生する。
【0009】また、請求項4では、請求項3記載の差動
装置において、前記各回転体の溝は、前記転動体を各回
転体の軸方向一端側から他端側に向かって移動させる第
1の案内区間と、転動体を各回転体の軸方向他端側から
一端側に向かって移動させる第2の案内区間とを周方向
に連続して有し、第1の案内区間及び第2の案内区間の
何れか一方のみにおいて入力側回転体と各回転体との回
転力を転動体を介して伝達するように構成している。こ
れにより、各転動体と各溝との間に発生する軸方向の反
力が、回転力の伝達方向が異なるときに互いに反対方向
のみに作用することから、回転力の各伝達方向において
常に安定した差動制限力が得られる。
【0010】また、請求項5では、請求項1、2、3ま
たは4記載の差動装置において、前記各回転体をそれぞ
れ軸方向内側に所定の圧力で押圧する圧力付与手段を備
えている。これにより、請求項1、2、3または4の作
用に加え、圧力付与手段による各回転体の軸方向内側へ
の予圧により、各回転体の回転が規制されて差動制限力
が補われる。
【0011】また、請求項6では、請求項1、2、3ま
たは4記載の差動装置において、前記各回転体をそれぞ
れ軸方向外側に所定の圧力で押圧する圧力付与手段を備
えている。これにより、請求項1、2、3または4の作
用に加え、圧力付与手段による各回転体の軸方向外側へ
の予圧により、各回転体の回転が規制されて差動制限力
が補われる。
【0012】また、請求項7では、請求項1、2、3、
4、5または6記載の差動装置において、前記各回転体
に生ずる軸方向への反力を受けて各回転体の回転による
摩擦力を発生する摩擦力発生手段を備えている。これに
より、請求項1、2、3、4、5または6の作用に加
え、摩擦力発生手段より各回転体の回転が規制されて強
力な差動制限力が発生する。
【0013】また、請求項8では、円板状部材の製造方
法において、円板状部材の一端面に、球体との接触角が
所定の角度をなす溝を形成する第1の切削刃を円板状部
材の軸心を中心に所定の切削経路に沿って移動させるこ
とにより、円板状部材の径方向内側から外側に向かって
延びる溝と、円板状部材の径方向外側から内側に向かっ
て延びる溝とを円板状部材の周方向に連続して切削形成
した後、円板状部材を前記軸心を中心に所定角度だけ回
転方向にずらし、球体との接触角が第1の切削刃とは異
なった角度をなす溝を形成する第2の切削刃を第1の切
削刃と同一の切削経路に沿って移動させることにより、
第1の切削刃によって形成した溝の一部を切削するよう
にしている。これにより、第1の切削刃によって形成し
た溝が、円板状部材の径方向内側から外側に向かって延
びる溝においては径方向内側及び外側の一方を、円板状
部材の径方向外側から内側に向かって延びる溝において
は径方向内側及び外側の他方を、それぞれ第2の切削刃
によって切削されることから、径方向内側と外側におい
てボールとの接触角が交互に異なる溝が形成される。
【0014】
【発明の実施の形態】図1乃至図11は本発明の一実施
形態を示すもので、図1は差動装置の側面断面図、図2
は図1におけるA−A線方向矢視断面図、図3は差動装
置の分解斜視図である。
【0015】この差動装置は、ギヤケース1と、ギヤケ
ース1の一端を閉塞するギヤケースカバー2と、互いに
同軸状に対向して配置された一対のディスクプレート3
と、各ディスクプレート3の間に配置されたセンタープ
レート4と、センタープレート4に転動自在に保持され
た多数のボール5とを備え、各ディスクプレート3は回
転体を、センタープレート4は各転動体を保持する保持
体を、各ボール5は転動体をそれぞれ構成している。
【0016】ギヤケース1は一端を開口した筒形をな
し、その中央には一方のディスクプレート3を支持する
軸受け1aが設けられている。ギヤケース1の周囲には
フランジ1bが設けられ、フランジ1bにはボルト挿通
用の多数の孔1cが設けられている。また、ギヤケース
1の内面にはセンタープレート4を固定するための溝1
dが設けられている。
【0017】ギヤケースカバー2は円盤状に形成され、
その中央には他方のディスクプレート3を支持する軸受
け2aが設けられている。ギヤケースカバー2の周囲に
はフランジ2bが形成され、フランジ2bにはボルト挿
通用の多数の孔2cが設けられている。即ち、ギヤケー
スカバー2は各フランジ1b,2bを締結するボルト2
dによってギヤケース1に組付けられている。
【0018】各ディスクプレート3は互いに対向面を平
坦に形成され、その他端には車輪側のドライブシャフト
6を連結するための連結部3aが設けられている。各デ
ィスクプレート3の対向面には各ボール5が転動自在に
係合する溝3bが設けられ、各溝3bは周方向に連続し
て形成されている。また、一方のディスクプレート3と
ギヤケース1との間、他方のディスクプレート3とギヤ
ケースカバー2との間にはそれぞれスラストワッシャ3
cが介装されている。各溝3bは、図2に示すようにボ
ール5をディスクプレート3の径方向内側から外側に向
かって移動させる第1の案内区間3b−1と、ボール5
をディスクプレート3の径方向外側から内側に向かって
移動させる第2の案内区間3b−2とを周方向に連続し
て有し、一方のディスクプレート3では第1の案内区間
3b−1が第2の案内区間3b−2よりも周方向に長く
形成され、他方のディスクプレート3では第2の案内区
間3b−2が第1の案内区間3b−1よりも周方向に長
く形成されている。即ち、各ディスクプレート3の対向
面においては、ボール5を反転させる位置が、図2に示
すように各溝3bの一方(図中外側)が重なり合ったと
きは、他方(図中内側)では互いに周方向にずれるよう
になっている。
【0019】センタープレート4は両端面を平坦状に形
成され、その周面に設けた突起4aをギヤケース1の内
周面に設けた溝1dに嵌合することによってギヤケース
1内に固定されている。センタープレート4には各ボー
ル5を転動自在に収容する計8つの長孔4cが周方向に
等間隔で設けられ、各長孔4cは径方向に直線状に延
び、それぞれ軸方向に貫通して設けられている。
【0020】各ボール5はセンタープレート4の各長孔
4cに収容され、それぞれ各ディスクプレート3の溝3
bに係合している。
【0021】以上のように構成された差動装置において
は、ギヤケース1のフランジ1bにエンジンからの駆動
力を伝達するリングギヤ(図示省略)が取付けられ、装
置全体がギヤケース1の軸心回りに回転するようになっ
ている。即ち、ギヤケース1に駆動力が入力されると、
ギヤケース1と一体にセンタープレート4が回転し、こ
の回転力は各ボール5を介して各ディスクプレート3の
溝3bに伝達され、各ディスクプレート3に連結された
左右のドライブシャフト6に伝達される。
【0022】ここで、前記差動装置の動作を、各ドライ
ブシャフト6に回転差が生じていない場合と、各ドライ
ブシャフト6に回転差が生じた場合と、一方のドライブ
シャフト6のみが空転し易い状態に陥った場合について
説明する。
【0023】まず、車両が摩擦力の十分な路面を直進し
ているときなど、各ドライブシャフト6に回転差が生じ
ていない場合は、各ディスクプレート3には回転差が生
じないので、各ボール5の転動は起こらず、各ディスク
プレート3がセンタープレート4と一体に回転する。
【0024】次に、車両が摩擦力の十分な路面を旋回し
ているときなど、各駆動輪にトルクが均等に伝わってい
る状態で各ドライブシャフト6に回転差が生じた場合に
は、以下に示す動作によって各ドライブシャフト6の回
転差が許容される。即ち、各ドライブシャフト6の回転
差により各ディスクプレート3が互いに反対方向に回転
すると、各長孔4c内のボール5が各溝3bに案内され
て転動し、それぞれの長孔4cに沿って往復移動する。
即ち、図2において径方向の外側にあったボール5は、
図4に示すように各溝3bの第1の案内区間3b−1に
沿って径方向の内側に向かって移動し、図5に示すよう
に内側の反転位置に達した後は、各溝3bの第2の案内
区間3b−2に沿って径方向の外側に向かって移動す
る。この場合、図2に示すように一つおきに半数ずつの
ボール5が各溝3bの外側の反転位置に達するが、各デ
ィスクプレート3の対向面では各溝3bの反転位置が内
側または外側の一方で一致したときに他方では互いにず
れるようになっているので、他のボール5は内側の反転
位置まで達していない。つまり、ボール5が各溝3bの
反転位置に達したときは、ボール5と溝3bとの間で力
を伝達することができないので、全てのボール5が同時
に各溝3bの反転位置に達しないようにする必要があ
る。
【0025】次に、一方の駆動輪が路面との摩擦力を失
ったときなど、片方のドライブシャフト6のみが空転し
易い状態に陥った場合には、以下に示す動作により各ド
ライブシャフト6の差動が制限される。即ち、前述のよ
うに各ディスクプレート3の回転差が均等な力によって
生じた場合、各溝3bは各ボール5を円滑に転動させる
ことができるが、一方のディスクプレート3のみをドラ
イブシャフト6側から回転させようとした場合、一方の
溝3bのみが各ボール5を転動させようとするので、各
溝3bには各ボール5との接触面における反力が作用す
る。これが抵抗となって一方のディスクプレート3の回
転に他方のディスクプレート3を追従させることが困難
になり、各ドライブシャフト6の差動が制限される。
【0026】ここで、図6及び図7を参照し、前記差動
制限の原理について詳述する。まず、図6はボール5と
溝3bを差動装置の軸方向から見た場合であり、同図に
示すようにボール5の中心には主軸回りの回転力Aが作
用している。ここで、 A≒A′ …(1) この時、溝3bにはボール5との接触面に垂直な力Cが
発生し、その分力は回転力Aと平行なA′と、A′と垂
直なBである。Cはボール5との接触面に垂直なので、
ボール5の中心を通る線分上に位置し、A′とCとのな
す角度をαとすると、Cの大きさは、 C=A′×1/cos α …(2) で表される。
【0027】次に、図7に示すようにボール5と溝3b
を差動装置の図6のZ線矢視方向から見ると、実際には
溝3bとボール5との接触面に作用する垂直方向の反力
はDであり、その分力はギヤケース1の軸方向に平行な
Eと、Eに垂直な前記Cである。ボール5は溝3bに斜
めに接しながら転動するため、C,Eは転がり摩擦と滑
り摩擦による力として作用するが、Eを特にスラスト力
という。Dはボール5との接触面に垂直なので、ボール
5の中心を通る線分上に位置し、DとCとのなす角度を
βとすると、面圧Dの大きさは、 D=C×1/cos β …(3) で表される。
【0028】また、スラスト力Eの大きさは、 E=C×tan β …(4) で表される。
【0029】式(1) 、式(2) 及び(3) より、反力Dは次
式のとおりである。
【0030】 D=A×1/cos α×1/cos β …(5) その一方の分力であるCは、式(1) 及び(2) より、 C=A×1/cos α …(6) また、その他方の分力であるスラスト力Eは式(1) 、
(2) 及び(4) より、 E=A×1/cos α×tan β …(7) で表される。
【0031】即ち、ボール5が溝3bから受ける反力D
はC,Eの成分に分けられ、これらが転がり摩擦と滑り
摩擦による力として作用するとともに、スラスト力Eに
よって各スラストワッシャ3cが軸方向に押し付けら
れ、これが主軸回りに滑り摩擦を発生させることによっ
て差動制限効果が得られる。その際、ボール5と溝3b
との接触角α,βの大きさを任意に設定することによ
り、必要に応じた差動制限効果を得ることができる。
尚、スラストワッシャ3cの代わりにベアリング等の他
の介在物を用いることにより、スラスト力Eによる差動
制限効果の効き具合を任意に設定することも可能であ
る。また、ボール5が溝3bを転動する際の転がり摩擦
や、ボール5が溝3bに斜めに接しながら転動すること
による滑り摩擦も差動制限効果を得る要因となる。
【0032】ところで、ボール5が溝3bに案内されて
各長孔3b内を移動すると、図8に示すようにボール5
と主軸S(ギヤケース1の軸心)との距離が変化するた
め、ボール5と溝3bとの接触面に作用する主軸S回り
の回転力Aも変動する。従って、各ディスクプレート3
が如何なる回転位置にあっても差動制限効果を常に一定
にするためには、回転力Aの変動に伴って接触角αまた
はβの大きさをボール5と溝3bの接触位置に応じて連
続的に変化させ、前記摩擦力C及びスラスト力Eが一定
になるようにすればよい。
【0033】まず、接触角αを変化させる場合、図8に
示すように任意の二位置におけるボール5と主軸Sとの
距離をL1 ,L2 とすると、伝達トルクTは常に一定で
あるから、各位置のボール5に作用する回転力A1 ,A
2 は、 A1 =T/L1 A2 =T/L2 …(8) で表される。
【0034】従って、各位置の接触角をα1 ,α2 とす
ると、式(6) 及び(8) より、 C=T/L1×1/cosα1 =T/L2×1/cosα2 …(9) また、式(7) より、 E=T/L1×1/cosα1×tanβ =T/L2×1/cosα2×tanβ …(10) となるように各接触角α1 ,α2 の大きさを設定すれば
よい。この場合、βは一定である。
【0035】次に、接触角βを変化させる場合、各位置
の接触角をβ1 ,β2 とすると、式(6) 及び(8) より、 C=T/L1×1/cosα =T/L2×1/cosα …(11) また、式(7) より、 E=T/L1×1/cosα×tanβ1 =T/L2×1/cosα×tanβ2 …(12) となるように各接触角β1 ,β2 の大きさを設定すれば
よい。この場合、αは一定であるから、式(11)から摩擦
力Cを一定にすることはできないが、摩擦力Cの大きさ
はスラスト力Eに比べると極めて影響が少ないので、ス
ラスト力Eが一定であれば差動制限効果をほぼ一定にす
ることができる。
【0036】また、同一のボール5が各溝3bに接する
位置は、図8に示すように一方の溝3bでは外側寄りに
接し、他方の溝3bでは内側寄りに接する。従って、同
一のボール5であっても各溝3bとの接触面から主軸S
までの距離Lo ,Li が異なるため、各溝3b側に発生
するスラスト力Eも異なる。そこで、スラスト力Eが一
定になるように各距離Lo ,Li に応じて各溝3bとの
接触角βo ,βi の大きさを設定することにより(βo
>βi)、各ディスクプレート3側への差動制限力を一
定にすることができる。
【0037】ところで、前記構成においては、自動車の
加速時と減速時ではギヤケース1側と各ディスクプレー
ト3側との間における回転力の伝達方向が異なることか
ら、各溝3bにおけるボール5の接触位置も異なる。即
ち、図10に示すように各ボール5は一方の伝達方向で
は図中実線で示す接触線S1 上、即ち第1の案内区間3
b−1においてはディスクプレート3の径方向外側に、
第2の案内区間3b−2においてはディスクプレート3
の径方向内側にそれぞれ接触しながら転動し、他方の伝
達方向では図中破線で示す接触線S2 上、即ち第1の案
内区間3b−1においてはディスクプレート3の径方向
内側、第2の案内区間3b−2においてはディスクプレ
ート3の径方向外側にそれぞれ接触しながら転動する。
そこで、本実施形態では回転力の一方の伝達方向と他方
の伝達方向において、ボール5と溝3bとの接触角がそ
れぞれ異なるように設定している。即ち、第1の案内区
間3b−1における外側の接触角及び内側の接触角をそ
れぞれβo1,βi1とし、第2の案内区間3b−2におけ
る外側の接触角及び内側の接触角をそれぞれβo2,βi2
とすると、βo1>βo2,βi1>βi2となるように設定す
ることにより、図11(a) に示すように回転力の一方の
伝達方向における回転軸方向の反力、即ちスラスト力E
1 は、図11(b) に示すように回転力の他方の伝達方向
におけるスラスト力E2 よりも大きくなる。従って、回
転力の一方の伝達方向と他方の伝達方向においては、そ
れぞれ異なった大きさの差動制限力が発生することにな
る。
【0038】このように、本実施例の差動装置によれ
ば、各ディスクプレート3に設けた溝3bと各溝3bに
係合する複数のボール5によって各ディスクプレート3
の回転差を許容する構成において、各溝3bにおける各
ボール5との接触角を各溝3bの第1の案内区間3b−
1と第2の案内区間3b−2においてそれぞれ異なるよ
うに設定することにより、各溝3bがボール5から受け
る反力の大きさ、即ち差動制限力の大きさが回転力の一
方の伝達方向と他方の伝達方向においてそれぞれ異なる
ようにしたので、自動車の加速時及び減速時においてそ
れぞれ異なった任意の大きさの差動制限力を発生させる
ことができ、自動車の走行性能、使用目的または付属機
構との相性等に的確に対応することができる。
【0039】また、図12は乃至図14は第1の実施形
態におけるディスクプレートの溝の変形例を示すもの
で、図中、7はディスクプレート、7aは溝、8はボー
ルである。溝7aは、ボール8をディスクプレート7の
径方向内側から外側に向かって移動させる第1の案内区
間7a−1と、ボール8をディスクプレート7の径方向
外側から内側に向かって移動させる第2の案内区間7a
−2と、ボール8をディスクプレート7の径方向所定範
囲内の位置(この場合は径方向一定位置)に保つ第3の
案内区間7a−3とを周方向に連続して有し、第1の案
内区間7a−1及び第2の案内区間7a−2はボール8
に対する接触角の大きさが互いに等しく形成されてい
る。また、一方のディスクプレート7では第1の案内区
間7a−1内に第3の案内区間7a−3が設けられ、図
示していないが他方のディスクプレートでは第2の案内
区間内に第3の案内区間が設けられている。これによ
り、一対のディスクプレート7を向かい合わせると、前
記実施形態と同様、一方(内側または外側)の反転位置
が互いに重なり合ったときは、他方の反転位置が互いに
ずれるようになっている。また、溝7aはディスクプレ
ート7の回転角が90゜でボール8を径方向に一往復さ
せるように形成されており、これを直線状に展開すると
図13のようになる。溝7aは径方向の反転位置と、第
3の案内区間7a−3ではボール8と溝7aとの間で力
を伝達しないが、力を伝達している区間ではボール8に
対する接触角の大きさが常に等しいので、発生するスラ
スト力も一定になる。即ち、図13においてa≦a′,
b≧b′,c≦c′,d=d′の条件を満たし、任意の
ボール8が力の伝達されない位置にあるときは他の何れ
かのボール8が力の伝達される位置にあるように溝7a
の全体を形成することにより、ディスクプレート7が如
何なる回転角であっても常に一定のスラスト力を発生さ
せることができる。この場合、第1の案内区間7a−1
におけるディスクプレート7の径方向外側の接触角及び
内側の接触角と、第2の案内区間7a−2における径方
向外側の接触角及び内側の接触角とが互いに異なるよう
に設定することにより、前記実施形態と同様、回転力の
一方の伝達方向と他方の伝達方向において、それぞれ異
なった大きさの差動制限力を発生させることができる。
【0040】ところで、前記実施形態のようにトルク感
応によって差動を制限する構成においては、トルクバイ
アスレシオを越えると差動制限効果が低下するが、図1
5に示すように各ディスクプレート3の背面側にスプリ
ングワッシャ9aを設け、スプリングワッシャ9aによ
って各ディスクプレート3をそれぞれ軸方向内側に押圧
するようにすれば、スプリングワッシャ9aの予圧によ
って差動制限力を積極的に補うことができるので、摩擦
係数の低い路面においても差動制限効果を有効に発揮す
ることができる。また、図16に示すように各ディスク
プレート3とスプリングワッシャ9aとの間に多板クラ
ッチ9bを設け、各ディスクプレート3に生ずる軸方向
外側への反力と各ディスクプレート3の回転により多板
クラッチ9bに摩擦力を発生させるようにすれば、より
強力な差動制限力を得ることができる。この場合、多板
クラッチ9bは、ギヤケース1側とディスクプレート3
側とにそれぞれ固定された複数のクラッチ板を交互に配
置した周知の機構からなり、スプリングワッシャ9aは
省略してもよい。
【0041】更に、図17に示すように各ディスクプレ
ート3の対向面側に複数枚重ね合わせたスプリングワッ
シャ9cを設け、スプリングワッシャ9cによって各デ
ィスクプレート3をそれぞれ軸方向外側に押圧するよう
にすれば、前記スラストワッシャ3cとの摩擦力による
予圧を発生させることができる。また、図18に示すよ
うに各ディスクプレート3の背面側に多板クラッチ9d
を設け、スプリングワッシャ9cによる予圧を多板クラ
ッチ9dに加えるようにすれば、より強力な差動制限力
を得ることができる。
【0042】図19乃至図30は本発明の第2の実施形
態を示すもので、図19は差動装置の側面断面図、図2
0は図19のA−A線方向矢視断面図、図21は差動装
置の分解斜視図である。
【0043】本実施形態の差動装置は、ギヤケース10
と、ギヤケース10の一端を閉塞するギヤケースカバー
11と、互いに同軸状に配置された一対のボールディス
ク12と、各ボールディスク12の間に配置された多数
のボールホルダ13と、各ボールホルダ13に転動自在
に保持された多数のボール14とから構成されている。
即ち、各ボールディスク12は回転体を、各ボールホル
ダ13は保持体を、各ボール14は転動体をそれぞれ構
成している。
【0044】ギヤケース10は一端を開口した筒形をな
し、その中央には一方のボールディスク12を支持する
軸受け10aが設けられている。ギヤケース10の周囲
にはフランジ10bが設けられており、フランジ10b
にはボルト挿通用の多数の孔10cが設けられている。
ギヤケース10の内周面には各ボール14を係合する多
数の溝10dが設けられ、各溝10dはギヤケース10
の軸方向に直線状に延び、周方向に等間隔で設けられて
いる。
【0045】ギヤケースカバー11は円盤状に形成さ
れ、その中央には他方のボールディスク12を支持する
軸受け11aが設けられている。ギヤケースカバー11
の周囲にはフランジ11bが設けられ、フランジ11b
にはボルト挿通用の多数の孔11cが設けられている。
即ち、ギヤケースカバー11は各フランジ10b,11
bを締結するボルトによってギヤケース10に組付けら
れている。
【0046】各ボールディスク12はそれぞれ円筒状に
形成され、その一端には車輪側のドライブシャフトを連
結するための連結部12aが設けられている。各ボール
ディスク12は互いに等しい外径を有し、その一端面同
士を対向させている。各ボールディスク12の外周面に
は各ボール14が転動自在に係合する溝12bが設けら
れ、溝12bは周方向に連続して形成されている。ま
た、各ボールディスク12の端面とギヤケース10との
間にはそれぞれスラストワッシャ12cが介装され、各
ボールディスク12の対向面の間にはスラストワッシャ
12dが介装されている。図22は各ボールディスク1
2を平面状に展開したもので、図中の角度0゜〜360
゜は周方向の位置を示す。即ち、各溝12bは、ボール
14をボールディスク12の軸方向一端側から他端側に
向かって移動させる第1の案内区間12b−1と、ボー
ル14をボールディスク12の軸方向一端側から他端側
に向かって移動させる第2の案内区間12b−2とを交
互に連続して有し、一方のボールディスク12では第1
の案内区間12b−1が第2の案内区間12b−2より
も周方向に長く形成され、他方のボールディスク12で
は第2の案内区間12b−2が第1の案内区間12b−
1よりも周方向に長く形成されている。即ち、各ボール
ディスク12においては、第1の実施例と同様、各溝1
2bの軸方向一方の反転位置が周方向で一致したときに
は、他方の反転位置が互いに周方向にずれるようになっ
ている。また、図22のA−A線方向断面、即ち周方向
に長い方の案内区間12b−1(12b−2)において
は、図23(a) に示すようにボール14がギヤケース1
0の溝10dとボールディスク12の溝12bの両者に
接するように形成されているが、図22のB−B線方向
断面、即ち周方向に短い方の案内区間12b−2(12
b−1)においては、図23(b) に示すようにボール1
4がギヤケース10の溝10dとボールディスク12の
溝12bの両者に同時に接しないようにボールディスク
12の溝12bが深く形成されている。これにより、周
方向に短い方の案内区間12b−2(12b−1)では
ギヤケース10とボールディスク12との間に回転力が
ボール14を介して伝わらないようになっている。この
場合、図示していないが各案内区間12b−2,12b
−1の境界は段差が滑らかになるように形成されてい
る。また、図24に示すように溝12bの周方向に長い
方の案内区間12b−1(12b−2)の長さXは、隣
り合う二つのボール14の間隔Yよりもやや長く形成さ
れ、周方向に長い方の案内区間12b−1(12b−
2)に常に一つ乃至二つのボール14が存在するように
なっている。
【0047】各ボールホルダ13は一方のボールディス
ク12の周面から他方のボールディスク12の周面まで
延びる板状に形成され、ギヤケース10及び各ボールデ
ィスク12の間に摺動自在に介装されている。各ボール
ホルダ13は一方のボールディスク12側のボール14
と他方のボールディスク12側のボール14をそれぞれ
一つずつ収容する計2つの孔13aを有し、各ボールデ
ィスク12側のボール14を一定の間隔を保持した状態
で各ボールディスク12の軸方向に往復するようになっ
ている。
【0048】各ボール14は各ボールホルダ13の孔1
3aに収容され、それぞれギヤケース10の溝10dと
各ボールディスク12の溝12bに係合している。
【0049】以上のように構成された差動装置において
は、各ボールディスク12に回転差が生ずると、各ボー
ル14は各ボールディスク12の溝12bに案内されて
転動し、各ボールホルダ13と共に各ボールディスク1
2の軸方向に往復移動する。その際、各ボールディスク
12の一方のみをドライブシャフト側から回転させよう
とした場合、第1の実施形態と同様、各ボール14が溝
12bから受ける反力によって差動が制限される。
【0050】ところで、前記第1の実施形態の構成にお
いては、回転力の伝達方向が異なっても反力の作用する
方向は同一(回転軸の両端方向)であったが、第2の実
施形態の構成では回転力の伝達方向が異なると反力の作
用する方向もそれぞれ反対向きになる。即ち、図25
(a) に示すように各溝12bにおけるボール14が互い
に各ボールディスク12の軸方向外側に接するときは各
ボールディスク12は互いに軸方向外側に移動しようと
し、図25(b) に示すように各溝12bにおけるボール
14が互いに各ボールディスク12の軸方向内側に接す
るときは各ボールディスク12は互いに軸方向内側に移
動しようとする。従って、本実施形態の構成では、図2
6(a) に示すように各ボールディスク12がスラスト力
Eによって互いに軸方向外側に移動しようとする場合、
各ボールディスク12の両端側に配置された各スラスト
ワッシャ12cとの摩擦力によって差動制限力が発生
し、図26(b) に示すように各ボールディスク12がス
ラスト力Eによって互いに軸方向内側に移動しようとす
る場合は、各ボールディスク12の間に配置されたスラ
ストワッシャ12dとの摩擦力によって差動制限力が発
生する。この場合、軸方向外側の各スラストワッシャ1
2cの摩擦面の中心から回転軸までの距離をR1とし、
軸方向内側のスラストワッシャ12dの摩擦面の中心か
ら回転軸までの距離をR2 とすると、力の作用点から回
転中心までの距離が長いほどトルクが大きくなるから、
これらの距離がR1>R2となるように設定することによ
り、回転力の一方の伝達方向における差動制限力を回転
力の他方の伝達方向における差動制限力よりも大きくす
ることができる。
【0051】また、前記構成においては、周方向に短い
方の案内区間12b−2(12b−1)ではギヤケース
10とボールディスク12との間にボール14を介して
回転力が伝わらないようになっているので、ボール14
と溝12bとの反力は常に周方向に長い方の案内区間1
2b−1(12b−2)のみで発生する。これにより、
回転力の一方の伝達方向においてはスラスト力Eが全て
軸方向一方に向かって作用し、回転力の他方の伝達方向
においては全て軸方向他方に向かって作用することか
ら、回転力の何れの伝達方向においても常に安定した差
動制限力を得ることができる。この場合、周方向に長い
方の案内区間12b−1(12b−2)では常に少なく
とも一つのボール14が回転力を伝達するようになって
いるので、本実施形態の構成において確実に動作させる
ことができる。
【0052】このように、第2の実施形態の構成におい
ては、回転力の伝達方向が異なると反力の作用する方向
もそれぞれ反対向きになるので、それぞれの回転力の伝
達方向側に配置した摩擦部材の特性を変えることによ
り、回転力の伝達方向に応じた差動制限力の大きさをよ
り的確に設定することができる。
【0053】更に、前記第2の実施形態の構成におい
て、図27に示すように各ボールディスク12の間に、
各ボールディスク12同士の滑りを円滑にするベアリン
グ12eと、各ボールディスク12を互いに軸方向外側
に付勢するスプリング12fを設けることにより、回転
力の各伝達方向における差動制限力の差を大きくするこ
とができる。即ち、図27(a) に示すように各ボールデ
ィスク12が互いに軸方向外側に移動しようとする場
合、各ボールディスク12がスラスト力だけでなくスプ
リング12fの予圧によっても各スラストワッシャ12
cに押し付けられることから、その摩擦力によってより
大きな差動制限力が発生する。また、図27(b) に示す
ように各ボールディスク12がスラスト力によって互い
に軸方向内側に移動しようとする場合は、各ボールディ
スク12の間に配置されたベアリング12eと、スプリ
ング12fの一端側と一方のボールディスク12との間
に設けたベアリング12gにより、各ボールディスク1
2間の滑り摩擦が軽減され、差動制限力が小さくなる。
従って、スプリング12fの予圧により差動制限力を積
極的に補うことができるので、摩擦係数の低い路面にお
いても差動制限効果を有効に発揮することができる。こ
の場合、予圧を付与しても前述の構成により回転力の他
方の伝達方向においては差動制限力を小さくすることが
できるので、自動車の減速時における各駆動輪の拘束、
即ちアンチロックブレーキシステムとの組合わせにおけ
る問題点を解消することができる。尚、図28に示すよ
うにスプリング12fの代わりに複数枚重ね合わせたス
プリングワッシャ12hを設け、スプリングワッシャ1
2hの両側にベアリング12gを配置するようにしても
よい。また、図29に示すように各ボールディスク12
の反面側に多板クラッチ12iを設け、各ボールディス
ク12に生ずる軸方向外側への反力と各ボールディスク
12の回転により多板クラッチ12iに摩擦力を発生さ
せるようにすれば、より強力な差動制限力を得ることが
できる。この場合、スプリングワッシャ12hは省略し
てもよい。
【0054】また、各ボールディスク12の間にベアリ
ング12eを設けた構成において、図30に示すように
各ボールディスク12の両端側に各ボールディスク12
をそれぞれ軸方向の内側に押圧するスプリングワッシャ
12jを設けることにより、図30(a) に示すように回
転力の一方の回転方向においてはスプリングワッシャ1
2jの予圧と摩擦力により差動制限力が発生し、図30
(b) に示すように回転力の他方の回転方向においてはベ
アリング12eによって差動制限力が軽減されることか
ら、前述と同様の効果を達成することができる。
【0055】図31乃至図34は第1の実施形態による
差動装置に用いる円板状部材の製造方法を示すもので、
図31及び図32はディスクプレートとなる円板状部材
の正面図、図33及び図34は切削部分を示す拡大図で
ある。
【0056】本実施形態では、回転体としてのディスク
プレートとなる円板状部材20の一端面に、所定形状の
曲面状底刃を有する第1の切削刃21と、第1の切削刃
21とは異なった曲面形状の底刃を有する第2の切削刃
22とを用い、回転力の一方の伝達方向と他方の伝達方
向においてボールとの接触角がそれぞれ異なるように設
定された溝20aを形成する方法について説明する。
【0057】即ち、本実施形態の円板状部材の製造方法
においては、図31に示すように第1の切削刃21をN
C加工機等を用いて円板状部材20の軸心Xを中心に所
定の切削経路Yに沿って移動させることにより、円板状
部材20の一端面に、円板状部材20の径方向内側から
外側に向かって延びる溝20a−1と、円板状部材20
の径方向外側から内側に向かって延びる溝20a−2と
を円板状部材20の周方向に連続して切削形成する。こ
れにより、図33に示すようにボールと同一径の基準円
23との接触点Z1 における接触角がθ1 の溝20aが
形成される。
【0058】次に、図32に示すように円板状部材20
を軸心Xを中心に所定の微小角度αだけ回転方向にずら
し、第2の切削刃22を第1の切削刃21と同一の切削
経路Yに沿って移動させる。これにより、第1の切削刃
21によって形成した溝20a(図32における一点鎖
線)が、第2の切削刃21によって一方の溝20a−1
の径方向外側と他方の溝20a−2の径方向内側とを切
削され、図34に示すように第2の切削刃21による切
削面は基準円23との接触点Z2 における接触角がθ2
(>θ1 )となる。従って、溝20aは各溝20a−
1,20a−2の径方向内側と外側においてボールとの
接触角θ1,θ2 が交互に異なるように形成される。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1、2及び
3の差動装置によれば、小型で低コストに構成すること
ができるとともに、例えば自動車の加速時及び減速時に
おいてそれぞれ異なった任意の大きさの差動制限力を発
生させることができるので、自動車の走行性能、使用目
的または付属機構との組合わせなどに的確に対応するこ
とができ、差動制限機能を有した差動装置としての利用
価値を格段に高めることができる。
【0060】また、請求項4の差動装置によれば、請求
項3の効果に加え、回転力の各伝達方向において常に安
定した差動制限力を得ることがきるので、実用化に際し
て極めて有利である。
【0061】また、請求項5及び6の差動装置によれ
ば、請求項1、2、3または4の効果に加え、作業制限
力を積極的に補うことができるので、摩擦係数の低い路
面においても差動制限効果を有効に発揮することができ
る。
【0062】また、請求項7の差動装置によれば、請求
項1、2、3、4、5または6の効果に加え、より強力
な差動制限力を得ることができるので、差動制限効果を
高めたい場合に有利である。
【0063】また、請求項8の円板状部材の製造方法に
よれば、円板状部材に径方向内側と外側において球体と
の接触角が交互に異なる溝を容易に形成することができ
るので、差動装置に用いる円板状部材の製造に極めて有
利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す差動装置の側面
断面図
【図2】図1のA−A線矢視方向断面図
【図3】差動装置の分解斜視図
【図4】差動装置の動作説明図
【図5】差動装置の動作説明図
【図6】ボールから溝に加わる力の作用説明図
【図7】ボールから溝に加わる力の作用説明図
【図8】回転軸からボールまでの距離の違いによる力の
作用説明図
【図9】各ディスクプレートに加わる力の作用説明図
【図10】ボールと溝の接触線を示すディスクプレート
の正面図
【図11】回転力の伝達方向の違いによる力の作用説明
【図12】溝の変形例を示すディスクプレートの正面図
【図13】溝の拡大図
【図14】溝を平面状に展開した説明図
【図15】第1の実施形態の変形例を示す概略図
【図16】第1の実施形態の変形例を示す概略図
【図17】第1の実施形態の変形例を示す概略図
【図18】第1の実施形態の変形例を示す概略図
【図19】本発明の第2の実施形態を示す差動装置の側
面断面図
【図20】図19のA−A線矢視方向断面図
【図21】差動装置の分解斜視図
【図22】溝の展開図
【図23】図22のA−A線矢視方向及びB−B線矢視
方向における溝の断面図
【図24】溝の平面図
【図25】回転力の伝達方向の違いによる力の作用説明
【図26】回転力の伝達方向の違いによる力の作用説明
【図27】第2の実施形態の変形例を示す概略図
【図28】第2の実施形態の変形例を示す概略図
【図29】第2の実施形態の変形例を示す概略図
【図30】第2の実施形態の変形例を示す概略図
【図31】第1の実施形態による差動装置に用いる円板
状部材の正面図
【図32】円板状部材の正面図
【図33】切削部分を示す拡大図
【図34】切削部分を示す拡大図
【符号の説明】
1…ギヤケース、3…ディスクプレート、3b…溝、3
b−1…第1の案内区間、3b−2…第2の案内区間、
4…センタープレート、4b…長孔、5…ボール、9a
…スプリングワッシャ、9b…多板クラッチ、9c…ス
プリングワッシャ、9d…多板クラッチ、10…ギヤケ
ース、12…ボールディスク、12b…溝、12b−1
…第1の案内区間、12b−2…第2の案内区間、12
f…スプリング、12h…スプリングワッシャ、12i
…スプリングワッシャ、13…ボールホルダ、14…ボ
ール、20…円板状部材、20a…溝、21…第1の切
削刃、22…第2の切削刃。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部からの駆動力によって回転する入力
    側回転体と、互いに対向して入力側回転体と同軸状に配
    置された一対の回転体と、各回転体の対向面間に配置さ
    れた複数の転動体と、各転動体を保持して入力側回転体
    と一体に回転する保持体とを備え、保持体には各回転体
    の径方向に延びる複数の長孔を設けて各長孔に各転動体
    を移動自在に収容するとともに、各回転体の対向面のそ
    れぞれには各転動体を転動自在に係合する溝を設けた差
    動装置において、 前記各溝における各転動体との接触角の大きさを、入力
    側回転体と各回転体との回転力の伝達方向が異なるとき
    に各転動体と各溝との間に発生する軸方向の反力の大き
    さがそれぞれ異なるように設定したことを特徴とする差
    動装置。
  2. 【請求項2】 前記各回転体の溝は、各回転体の径方向
    内側から外側に向かって延びる第1の案内区間と、各回
    転体の径方向外側から内側に向かって延びる第2の案内
    区間とを周方向に連続して有し、 各溝における各転動体との接触角を、一方の案内区間の
    径方向内側を他方の案内区間の径方向内側よりも大き
    く、一方の案内区間の径方向外側を他方の案内区間の径
    方向外側よりも小さく形成したことを特徴とする請求項
    1記載の差動装置。
  3. 【請求項3】 外部からの駆動力によって回転する入力
    側回転体と、互いに対向して入力側回転体と同軸状に配
    置された一対の回転体と、各回転体の周面に配置された
    複数の転動体と、各回転体側の転動体を一対ずつ保持し
    て入力側回転体と一体に回転しながら各回転体の軸方向
    に移動する複数の保持体とを備え、各回転体の周面には
    各転動体を転動自在に係合する溝を設けた差動装置にお
    いて、 前記入力側回転体と各回転体との回転力の一方の伝達方
    向に作用する反力によって摩擦力を発生する一方の摩擦
    部材と、 入力側回転体と各回転体との回転力の他方の伝達方向に
    作用する反力によって摩擦力を発生する他方の摩擦部材
    とを備え、 各摩擦部材によって発生する摩擦力が回転力の伝達方向
    によってそれぞれ異なるように設定したことを特徴とす
    る差動装置。
  4. 【請求項4】 前記各回転体の溝は、前記転動体を各回
    転体の軸方向一端側から他端側に向かって移動させる第
    1の案内区間と、転動体を各回転体の軸方向他端側から
    一端側に向かって移動させる第2の案内区間とを周方向
    に連続して有し、第1の案内区間及び第2の案内区間の
    何れか一方のみにおいて入力側回転体と各回転体との回
    転力を転動体を介して伝達するように構成したことを特
    徴とする請求項3記載の差動装置。
  5. 【請求項5】 前記各回転体をそれぞれ軸方向内側に所
    定の圧力で押圧する圧力付与手段を備えたことを特徴と
    する請求項1、2、3または4記載の差動装置。
  6. 【請求項6】 前記各回転体をそれぞれ軸方向外側に所
    定の圧力で押圧する圧力付与手段を備えたことを特徴と
    する請求項1、2、3または4記載の差動装置。
  7. 【請求項7】 前記各回転体に生ずる軸方向への反力を
    受けて各回転体の回転による摩擦力を発生する摩擦力発
    生手段を備えたことを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5または6記載の差動装置。
  8. 【請求項8】 円板状部材の一端面に、球体との接触角
    が所定の角度をなす溝を形成する第1の切削刃を円板状
    部材の軸心を中心に所定の切削経路に沿って移動させる
    ことにより、円板状部材の径方向内側から外側に向かっ
    て延びる溝と、円板状部材の径方向外側から内側に向か
    って延びる溝とを円板状部材の周方向に連続して切削形
    成した後、 円板状部材を前記軸心を中心に所定角度だけ回転方向に
    ずらし、球体との接触角が第1の切削刃とは異なった角
    度をなす溝を形成する第2の切削刃を第1の切削刃と同
    一の切削経路に沿って移動させることにより、第1の切
    削刃によって形成した溝の一部を切削することを特徴と
    する円板状部材の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115949830A (zh) * 2022-12-29 2023-04-11 国家石油天然气管网集团有限公司 一种管道内运行装置的运动平衡装置以及管道内运行装置
JP2023532512A (ja) * 2020-07-10 2023-07-28 クロゾッリ,グアルティエロ 互いに近づき合う楕円軌道にボールまたはローラを備える差動装置

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JP2023532512A (ja) * 2020-07-10 2023-07-28 クロゾッリ,グアルティエロ 互いに近づき合う楕円軌道にボールまたはローラを備える差動装置
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