JPH09239903A - 膨潤性積層シート - Google Patents

膨潤性積層シート

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JPH09239903A
JPH09239903A JP7933896A JP7933896A JPH09239903A JP H09239903 A JPH09239903 A JP H09239903A JP 7933896 A JP7933896 A JP 7933896A JP 7933896 A JP7933896 A JP 7933896A JP H09239903 A JPH09239903 A JP H09239903A
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Yoshiaki Ishino
良明 石野
Seiichi Suzuki
請一 鈴木
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Mishima Paper Manufacturing Co Ltd
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Mishima Paper Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた吸液性を有し、且つ、湿潤時の表面強
度が高く、悪臭物質に対する脱臭作用を有する中性の膨
潤性シートを提供する。 【解決手段】 繊維状カルボキシメチルセルロース水溶
性塩の少なくとも一部にカチオン型水溶性高分子との高
分子電解質錯体が形成されてなる吸水性繊維を含む吸液
層と、その少なくとも片面に多官能性樹脂により架橋結
合した繊維状カルボキシメチルセルロースを含む表面層
が抄き合わせ接合により積層されてなることを特徴とす
る膨潤性積層シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、業務用米飯の運搬
トレーの内面に貼合したり、内袋にして米飯を入れて結
露水を吸収するシート、青果等の鮮度を保つために結露
水を吸収するのに用いる包装用シート、化粧用や薬用ハ
ップ剤を吸収させる基材となるシート、汗や皮脂を拭
い、アンモニアやアミン臭を除去するために用いる使い
捨てサニタリー製品に用いるシート、肉や魚介類などの
食品類から出る液汁を吸収し、アンモニアやアミン臭を
低減するために食品容器内に敷くシート、或いは電子レ
ンジで食品容器を加熱する際に予め水を吸収させておい
て水蒸気の発生源として用いたり、肉魚の保鮮のために
水分を吸収させておいて包装する等の用途、更には、結
露水を吸収するための建材用シート等の各種の用途に用
いることのできる水分を吸収して当初の形態を保持した
まま膨潤し、且つアンモニアやアミン系悪臭の脱臭能力
を兼備するシートに関する。
【0002】
【従来の技術】業務用米飯は、炊き上げた直後にプラス
ッチック製食函に入れて密封し運搬される際、水蒸気が
結露して食味を低下させる。これを防ぐために、ティッ
シュペーパーなどを束ねて通気性の不織布袋に入れた結
露水吸収袋を米飯と接触するように置くことが行われて
いる。また、青果などの結露水を吸収するために膨潤性
シートを包装に用いることも行われている。
【0003】化粧用や薬用ハップ剤の基材や、汗・皮脂
清拭用サニタリーシートは、吸液性、膨潤時の引っ張り
強度や表面強度が要求されるため、従来から不織布が多
用されている。このサニタリーシートについては、汗と
ともに発散されるアンモニア等の悪臭を除去するため、
膨潤性シートに活性炭やゼオライトなどの脱臭剤が添加
されたものが使用される場合もある。
【0004】生鮮食料品は、発泡ポリスチレンなどの素
材からなるトレイに載せて透明フィルムで覆うフィルム
トレイパック方式で陳列されるが、肉魚等から出る血汁
は外観を損ねるので、シート形態を保持したまま水分を
吸収するシートをトレイと食品の間に敷くことが行われ
ている。また、密封されたトレイパック内に充満する臭
気を除去するため、シートに活性炭やゼオライトなどの
脱臭剤を内添または塗工することが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の用途に好適に使
用される膨潤性シートとしては、繊維状カルボキシメチ
ルセルロース塩の少なくとも一部にカチオン型水溶性高
分子からなる高分子電解質錯体を形成されてなる膨潤性
構造体が提案されている(特開平5−106190号)
が、これ自体には脱臭能力がないので、脱臭能力を付与
するためには、茶抽出物やゼオライトなどの吸着性粉体
を添加したり塗工する必要があるが、吸着性粉体が脱落
するので、用途が制限されている。本発明は、上記膨潤
性構造体と同程度の優れた吸液性を保持しつつ、湿潤時
の表面強度を向上させ、更にアンモニア・アミン系悪臭
の脱臭作用を有する中性の膨潤性シートを提供すべくな
されたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記特開平5
−106190号に記載されているような膨潤性構造体
からなる吸液層の少なくとも片面に、脱臭性を有し、表
面強度を向上させる表面層を抄き合わせにより積層する
ことにより、上記課題を解決しようとするものである。
すなわち、本発明は、繊維状カルボキシメチルセルロー
ス水溶性塩の少なくとも一部にカチオン型水溶性高分子
との高分子電解質錯体が形成されてなる吸水性繊維を含
む吸液層と、その少なくとも片面に多官能性樹脂により
架橋結合した繊維状カルボキシメチルセルロースを含む
表面層が抄き合わせ接合により積層してなることを特徴
とする膨潤性積層シートに関する。
【0007】本発明において、吸液層は、繊維状カルボ
キシメチルセルロース水溶性塩の少なくとも一部にカチ
オン型水溶性高分子との高分子電解質錯体が形成されて
なる吸水性繊維を含むことを特徴とするものであり、吸
液層には、必要に応じて製紙用繊維および/または繊維
状カルボキシメチルセルロース不溶性塩が配合される。
吸液層における繊維状カルボキシメチルセルロース水溶
性塩の配合量は、10重量%以上、望ましくは40重量
%以上、更に望ましくは60重量%以上であり、吸液層
が吸水性繊維のみで構成されるものであってもよい。
【0008】吸水性繊維の基体となる繊維状カルボキシ
メチルセルロース水溶性塩とは、繊維状カルボキシメチ
ルセルロースのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム
塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、
或いはメチルアミン、エタノールアミン等のアミン塩で
ある。繊維状カルボキシメチルセルロース水溶性塩のエ
ーテル化度は、0.1〜1.0、好ましくは0.3〜
0.8、更に好ましくは0.4〜0.6であり、繊維状
カルボキシメチルセルロース水溶性塩の塩基飽和度(カ
ルボキシル基のうち塩になったものの割合)は50〜1
00%、好ましくは80〜100%、更に好ましくは9
0〜95%である。
【0009】上記繊維状カルボキシメチルセルロース水
溶性塩に高分子電解質錯体を形成するためのカチオン型
水溶性高分子は、分子中に塩基性基を有する高分子化合
物であり、1級、2級、3級及び4級窒素原子の中から
選ばれた少なくとも一種を有する繰り返し単位からなる
水溶性高分子である。このようなカチオン型水溶性高分
子の例としては、天然高分子化合物のキトサンがあり、
合成高分子には、重合体の側鎖に1級、2級、3級又は
4級窒素原子を有するポリマー(1)と、重合体の主鎖
に1級、2級、3級又は4級窒素原子を有するポリマー
(2)とがある。
【0010】重合体の側鎖に1級、2級、3級又は4級
窒素原子を有するポリマー(1)の1つの例としては、 (1−a)1級、2級、3級又は4級窒素原子とこれ以
外にビニル基などの重合可能な基を有するモノマーのホ
モポリマー、すなわち、次に挙げるモノマーの単独重合
体である。N,N−ジアルキルビニルアミン、ビニルト
リアルキルアンモニウム、N−アルキルアミノアルキル
アクリレート、N−アルキルアミノアルキルメタアクリ
レート、N−アルキルアミノアルキルアクリルアミド、
N−アルキルアミノアルキルメタアクリルアミド、N,
N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート、N,N−
ジアルキルアミノアルキルメタアクリレート、N,N−
ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジ
アルキルアミノアルキルメタアクリルアミド、アクリロ
イルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム、メタク
リロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム、ア
クリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム、メタ
アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム、ビ
ニロキシアルキルアミン、N−アルキルビニロキシアル
キルアミン、N,N−ジアルキルビニロキシアルキルア
ミン、N,N,N−トリアルキルビニロキシアルキルア
ンモニウムなどのモノマー。これらのモノマーにおいて
アルキル基は炭素数1〜4であり、アルキル基の代わり
にアルカノール基が導入されているものでもよく、ま
た、第4アンモニウム塩の窒素原子に結合する1つのア
ルキル基の代わりにアルコキシカルボニルアルキレン基
が導入されているものでもよい。上記モノマーの単独重
合体の具体的一例を挙げれば、ポリ(メタクリロイルオ
キシエチルトリメチルアンモニウムクロライド)があ
る。
【0011】重合体の側鎖に1級、2級、3級又は4級
窒素原子を有するポリマー(1)の別の例としては、 (1−b)1級、2級、3級又は4級窒素原子並びに他
に重合可能な基を有するモノマーと、他のモノマーとの
共重合体、すなわち、前記(1−a)で挙げたモノマー
と他のモノマーとの共重合体である。他のモノマーとし
ては、アクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリロ
ニトリル、メタアクリロニトリル、アルキルアクリレー
ト、アルキルメタクリレート、酢酸ビニル、スチレン、
α−メチルスチレン、4−ビニルピリジン、2−ビニル
ピリジンなどである。共重合体の具体的一例を挙げれ
ば、ポリ(3−アクリルアミド−3−メチルブチルトリ
メチルアンモニウムクロライド−CO−アクリルアミ
ド)がある。
【0012】重合体の側鎖に1級、2級、3級又は4級
窒素原子を有するポリマー(1)の更に別の例として
は、 (1−c)ポリアクリルアミドなどのホモポリマーをマ
ンニッヒ変性あるいはホフマン分解反応によりカチオン
化したものがある。
【0013】また、重合体の主鎖に1級、2級、3級又
は4級窒素原子を有するポリマー(2)としては、(2
−a)アイオネンポリマー、(2−b)ポリエチレンイ
ミン、(2−c)狭義のポリアミン樹脂、(2−d)そ
の他の縮合ポリマーがある。
【0014】(2−a)アイオネンポリマーとは、イオ
ン性アミノ基、特に4級アンモニウム基を主鎖に有する
ポリマーで、大部分の窒素原子は4級化されているもの
であり、例えば(2−a−i)分子両端にハロゲン原子
を有するジハロ化合物と分子両端に3級窒素原子を有す
るジ第3アミンとの重付加体、(2−a−ii)第1アミ
ン1モルにエピクロロヒドリン2モルが開環付加して生
成する重合性先駆物質(分子両端に塩素基を有する第3
アミン)と、分子両端に3級窒素原子を有するジ第3ア
ミンとの重付加体、(2−a−iii ) 第2アミン1モル
にエピクロロヒドリン1モルが開環付加して生成する、
一方の分子端に塩素原子を、他方の分子端に3級窒素原
子を有する化合物が重付加して得られるポリマーなどで
ある。
【0015】(2−b)ポリエチレンイミンは、エチレ
ンイミンの開環重合によって生成するポリマーであり、
主鎖と分岐した主鎖に、1級、2級及び3級窒素原子を
有する。
【0016】(2−c)ポリアミン樹脂の学問的定義は
確立していないが、狭義には、例えば、1級、2級、3
級、4級窒素原子を含み、4級化窒素原子が窒素原子総
数の半分以下のものと定義され、4級化窒素原子が少な
い点で前記アイオネンポリマーと区別される。例として
は、次のものが挙げられる。(2−c−i )第1アミン
1モルにエピクロロヒドリン1モルが開環付加した化合
物を、4級窒素原子の生成を抑えて重縮合したポリマ−
であるポリアミン樹脂、およびその塩酸塩、(2−c−
ii)アルキレンジアミンとエピクロロヒドリンとの重縮
合体であるポリアミン樹脂、(2−c−iii )アルキレ
ンジアミンとアルキレンジハライドとの重縮合体である
ポリアミン樹脂。
【0017】(2−d)その他の縮合ポリマーとして
は、(2−d−i)アルキレンポリアミンとジカルボン
酸との重縮合体であるポリアミンポリアミド、例えばジ
エチレントリアミンとアジピン酸の重縮合体、(2−d
−ii)このポリアミンポリアミドにさらにエピクロロヒ
ドリンとジメチルアミンを付加すると、エピクロロヒド
リンの塩素基がポリアミンポリアミドのアミド基に付加
して4級化するとともにエピクロロヒドリンがジメチル
アミンに開環付加して、主鎖に2級、3級及び4級窒素
原子を有し、側鎖に3級窒素原子を有するポリマーとな
る。
【0018】更に、上記のキトサン、単独重合体、共重
合体及び変性物等において、1級、2級又は3級窒素原
子を4級化剤で4級化したポリマーもカチオン型水溶性
高分子である。4級化剤は、1級、2級又は3級の窒素
原子にアルキル基、またはアルコキシカルボニルアルキ
レン基を導入できるもので、メチルクロライド、エチル
クロライド、メチルブロマイド等のハロゲン化アルキ
ル、ジメチル硫酸、クロル酢酸メチル等である。4級化
反応は繰り返し単位がモノマーの段階で実施してから重
合してもよいし、あるいは重合した後、ポリマー中の繰
り返し単位に高分子反応により4級化を行ってもよい。
【0019】上記カチオン型水溶性高分子は、1級、2
級、3級又は4級窒素原子以外には架橋結合を生成する
反応性の高い官能基、例えばグリシジル基、アルデヒド
基、カルボキシル基、ビニル基、アリル基、N−メチロ
ール基、チオール基、イソシアナート、イソチオシアナ
ート等を実質的に含まないことが望ましい。これは、カ
チオン型水溶性高分子が、繊維状カルボキシメチルセル
ロース水溶性塩に高分子電解質錯体を形成すること以外
には、共有結合の架橋などを形成しないようにするため
である。実質的に含まないとは、共有結合の架橋が、高
分子電解質錯体の生成を阻害あるいは減少せしめない程
度に含まない意である。
【0020】また、上記カチオン型水溶性高分子は、カ
チオン当量がpH3〜9の範囲において0.1〜20ミ
リ当量/g、好ましくは1〜15ミリ当量/g、更に好
ましくは2〜10ミリ当量/gであり、(数)平均分子
量は5000〜100000、好ましくは5000〜7
0000、更に好ましくは5000〜20000であ
る。
【0021】繊維状カルボキシメチルセルロース水溶性
塩に対するカチオン型水溶性高分子の添加量は、繊維状
カルボキシメチルセルロース水溶性塩のアニオン当量の
0.1〜100%のカチオン当量に相当する量の範囲内
において、上記カチオン型水溶性高分子の種類に応じて
適切な量が選択される。この範囲の量のカチオン型水溶
性高分子の添加により、繊維状カルボキシメチルセルロ
ース水溶性塩に高分子電解質錯体が形成される。高分子
電解質錯体とは、反対電荷を有する繊維状カルボキシメ
チルセルロース水溶性塩とカチオン型水溶性高分子との
間で、主にクーロン力を介して形成されると考えられる
錯体である。その構造の詳細は明瞭ではないが、繊維状
カルボキシメチルセルロース水溶性塩の分子間でカチオ
ン型水溶性高分子がイオン架橋したり、繊維状カルボキ
シメチルセルロース水溶性塩の分子鎖へカチオン型水溶
性高分子が寄り添ったりしている構造等が考えられる。
高分子電解質錯体の形成により、水中で一部溶解、一部
膨潤して不定形のゲル状を呈している繊維状カルボキシ
メチルセルロース水溶性塩は、繊維形態を保持したまま
膨潤して繊維状ゲルとなるため、繊維形態の発現による
ある程度の湿潤強度と吸液性を兼備した吸水性繊維が得
られる。
【0022】本発明において前記吸液層には、上記吸水
性繊維に加えて、抄造性向上、湿潤強度向上、コスト低
減のために、製紙用繊維を配合することが好ましい。
【0023】製紙用繊維とは、木材パルプ、非木材パル
プ、溶解パルプ、精製セルロース短繊維(英国コートル
ズ社製「リオセル(Lyocell)」)などの植物パ
ルプ、レーヨンなどの製紙用半合成繊維、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル、ビニロ
ン、ポリビニルアルコール、活性炭素繊維などの製紙用
合成繊維、エチレン酢酸ビニル共重合体とポリプロピレ
ン、ポリエチレンとポリプロピレン、低軟化点ポリエス
テルとポリエステルとからなる製紙用複合型合成繊維な
どであり、これらの配合により若干の吸水能力の低下が
あるものの抄造性、湿潤強度が向上する。
【0024】前記吸液層に配合する製紙用繊維の今一つ
の例は、融点の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂を繊維
軸方向に平行に積層した潜在捲縮性並列型複合繊維であ
る。この合成繊維は、2種類以上の熱可塑性樹脂の軟化
点の間の温度範囲で加熱することによりコイル状のミク
ロクリンプを形成し、捲縮性並列型複合繊維となる機能
を有するため、シート化後、熱風加熱のような無加圧条
件下での加熱処理を行うことで、シートが嵩高でポーラ
スになり、吸水性を高める作用がある。
【0025】吸液層において製紙用繊維の配合による効
果を得るためには、製紙用繊維を10重量%以上配合す
ることが望ましいが、一方、吸水性繊維による吸水能力
を低下させないために、90重量%以下、望ましく60
重量%以下であり、更に望ましくは、潜在捲縮性並列型
複合繊維の場合で20〜60重量%、その他の製紙用繊
維の場合で20〜40重量%の範囲である。
【0026】吸液層にはまた、アルミニウム塩、鉄塩、
銅塩、コバルト塩、亜鉛塩、錫塩、鉛塩、バリウム塩、
マンガン塩などの繊維状カルボキシメチルセルロース不
溶性塩を配合することができる。これらの繊維状カルボ
キシメチルセルロース不溶性塩には悪臭物質に対する脱
臭効果がある。繊維状カルボキシメチルセルロース不溶
性塩の塩基飽和度(カルボキシル基のうち塩になったも
のの割合)は2〜50%、好ましくは10〜40%、更
に好ましくは20〜30%である。
【0027】吸液層における繊維状カルボキシメチルセ
ルロース不溶性塩の配合量は、繊維状カルボキシメチル
セルロース不溶性塩の塩基飽和度によって異なり、塩基
飽和度が高いものは抄紙性が低下するため、配合量を少
なくしなければならない。塩基飽和度が2%〜10%未
満のとき80重量%以下、塩基飽和度が10%〜20%
未満のとき60重量%以下、塩基飽和度が20%〜30
%未満のとき40重量%以下、塩基飽和度が30%〜5
0%未満のとき20重量%以下である。
【0028】繊維状カルボキシメチルセルロース不溶性
塩はアンモニア、アミン系悪臭物質との反応性が高く脱
臭作用が強いが、重金属塩を含むものもあるため、用途
により塩の種類を選択する必要がある。アルミニウム塩
または鉄塩は、食品用、化粧用、雑貨用、建材用など幅
広く使用することができる。
【0029】銅塩、亜鉛塩、錫塩、鉛塩、バリウム塩な
どは、アンモニア、アミン系悪臭物質の脱臭に加えて、
硫黄系悪臭物質の脱臭の効果もあるが、食品用には適さ
ない。亜鉛塩の場合は、食品を除く化粧用、雑貨用、建
材用などに使用することができるが、他の塩の場合は、
雑貨用又は建材用などの用途に限定される。
【0030】前記吸液層には、この他に必要に応じて、
澱粉系、ポリアクリルアミド系紙力増強剤、蔗糖脂肪酸
エステル等の湿潤剤、製紙用に通常使用される白色又は
有色の填料や顔料を添加することができる。
【0031】以上のような成分で構成される吸液層は、
かくして繊維状カルボキシメチルセルロース水溶性塩の
少なくとも一部にカチオン型水溶性高分子との高分子電
解質錯体が形成されてなる吸水性繊維により、シート形
態を保持した状態で高い吸水能力を有し、製紙用繊維等
が配合されると吸水能力は若干低下するが、湿潤強度と
抄造性がさらに向上する。吸液層の坪量に特に制限はな
く、一基の抄き網で単層のシートとして抄造する他、2
基以上の抄き網により複数の湿紙を抄造して抄き合わせ
ることにより坪量の大きな吸液層を抄造することができ
る。また、この場合、吸液層を構成する各層について、
吸水性繊維と製紙用繊維等の配合率を変えることも可能
である。
【0032】本発明は、上記吸液層の少なくとも片面に
多官能性樹脂により架橋結合した繊維状カルボキシメチ
ルセルロース(CMC−H)を含む表面層が抄き合わせ
接合により積層してなることを特徴とする。表面層には
必要に応じて、繊維状カルボキシメチルセルロース不溶
性塩および/または製紙用繊維が配合される。表面層に
おける繊維状カルボキシメチルセルロース(CMC−
H)の配合量は、5重量%以上、望ましくは20重量%
以上、更に望ましくは60重量%以上であり、表面層が
繊維状カルボキシメチルセルロースのみで構成されるも
のであってもよい。
【0033】表面層に用いる繊維状カルボキシメチルセ
ルロース(CMC−H)とは、カルボキシメチル基が遊
離酸型のもので、そのエーテル化度は、0.1〜1.
0、好ましくは0.3〜0.8、更に好ましくは0.4
〜0.6である。繊維状カルボキシメチルセルロースは
遊離酸型のカルボキシメチル基を有するため、水に不溶
であり、ゲル化することもないが、カルボキシメチル基
の存在により親水性が高く、繊維内に浸透する水の量も
植物パルプに比べて多くなり、更に多官能性樹脂との反
応性が高く架橋結合を形成して高い湿潤強度、表面強度
を容易に得ることができる。また、アンモニア、アミン
系悪臭物質と反応し、繊維状カルボキシメチルセルロー
スのアンモニア塩、アミン塩の形でこれら悪臭物質を雰
囲気中から除去することができる。このため、繊維状カ
ルボキシメチルセルロースは、アンモニア、アミン系悪
臭に対して繊維状脱臭剤として機能することができる。
【0034】表面層において、繊維状カルボキシメチル
セルロースを架橋するために用いられる多官能性樹脂と
は、例えば、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、メラ
ミン樹脂、尿素樹脂などであるが、メラミン樹脂や尿素
樹脂はホルマリンを発生する恐れがあるので、食品以外
の用途にのみ使用し、また、架橋の強化の点からも望ま
しいのはポリアミドエピクロルヒドリンである。
【0035】表面層には、上記繊維状カルボキシメチル
セルロースに加えて、アルミニウム塩、鉄塩、銅塩、コ
バルト塩、亜鉛塩、錫塩、鉛塩、バリウム塩、マンガン
塩などの繊維状カルボキシメチルセルロース不溶性塩を
配合して脱臭効果を向上させることができる。繊維状カ
ルボキシメチルセルロース不溶性塩の塩基飽和度(カル
ボキシル基のうち塩になったものの割合)は2〜50
%、好ましくは10〜40%、更に好ましくは20〜3
0%である。
【0036】表面層における繊維状カルボキシメチルセ
ルロース不溶性塩の配合量は、前記吸液層の場合と同
様、繊維状カルボキシメチルセルロース不溶性塩の塩基
飽和度によって異なり、塩基飽和度が高いものは抄紙性
が低下するため、配合量を少なくしなければならない。
塩基飽和度が2%〜10%未満のとき80重量%以下、
塩基飽和度が10%〜20%未満のとき60重量%以
下、塩基飽和度が20%〜30%未満のとき40重量%
以下、塩基飽和度が30%〜50%未満のとき20重量
%以下である。
【0037】繊維状カルボキシメチルセルロース不溶性
塩は、繊維状カルボキシメチルセルロースに比べてアン
モニア、アミン系悪臭物質との反応性が高く脱臭作用が
強いが、重金属塩を含むものもあるため、用途により塩
の種類を選択する必要がある。アルミニウム塩または鉄
塩は、食品用、化粧用、雑貨用、建材用など幅広く使用
することができる。更に鉄塩の場合には、表面層に撥水
性を付与する効果もあり、耐水性の優れた表面層を形成
することができる。
【0038】銅塩、亜鉛塩、錫塩、鉛塩、バリウム塩な
どは、アンモニア、アミン系悪臭物質の脱臭に加えて、
硫黄系悪臭物質の脱臭の効果もあるが、食品用には適さ
ない。亜鉛塩の場合は、食品を除く化粧用、雑貨用、建
材用などに使用することができるが、他の塩の場合は、
雑貨用又は建材用などの用途に限定される。
【0039】なお、前記吸液層にも繊維状カルボキシメ
チルセルロース不溶性塩が配合される場合があり、この
場合、吸液層中の繊維状カルボキシメチルセルロース不
溶性塩にも脱臭効果がある。
【0040】繊維状カルボキシメチルセルロース不溶性
塩も、繊維状カルボキシメチルセルロースと同様に、ポ
リアミドエピクロルヒドリン樹脂、メラミン樹脂、尿素
樹脂などの多官能性樹脂により架橋される。多官能性樹
脂として望ましいのは、上記と同様ポリアミドエピクロ
ルヒドリンである。
【0041】かくして、繊維状カルボキシメチルセルロ
ース或いは、繊維状カルボキシメチルセルロースと繊維
状カルボキシメチルセルロース不溶性塩は、多官能性樹
脂により繊維間が架橋結合され、湿潤状態におて高度の
引っ張り強度と表面強度を発現し、且つ、アンモニア、
アミン系悪臭に対する脱臭作用を発揮する。
【0042】本発明における表面層はさらに、抄造性向
上、湿潤強度向上、吸水量向上、コスト低減のために、
製紙用繊維を配合することが望ましい。
【0043】製紙用繊維とは、木材パルプ、非木材パル
プ、溶解パルプ、精製セルロース短繊維(英国コートル
ズ社製「リオセル(Lyocell)」)などの植物パ
ルプ、レーヨンなどの製紙用半合成繊維、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル、ビニロ
ン、ポリビニルアルコール、活性炭素繊維などの製紙用
合成繊維、エチレン酢酸ビニル共重合体とポリプロピレ
ン、ポリエチレンとポリプロピレン、低軟化点ポリエス
テルとポリエステルとからなる製紙用複合型合成繊維、
2種類以上の熱可塑性樹脂からなる潜在捲縮性並列型複
合繊維などが挙げられる。
【0044】製紙用繊維として植物パルプや半合成繊維
を配合する場合は、表面層の親水性の低下は少ないが、
湿潤強度を発現させるために、これらを多官能性樹脂に
より架橋結合させる必要がある。この場合、多官能性樹
脂は、繊維状カルボキシメチルセルロース、および必要
に応じて配合される繊維状カルボキシメチルセルロース
不溶性塩と製紙用繊維いずれにも均一に定着させる必要
があるため、これらの混合分散液に添加することが望ま
しい。
【0045】表面層に配合される製紙用繊維の種類と配
合率は、目標とする湿潤状態での表面強度、引っ張り強
度と、表面層に付与する吸水性、親水性の程度によって
決定される。表面層において製紙用繊維の配合による効
果を得るためには、製紙用繊維を10重量%以上配合す
ることが望ましいが、配合の上限は、製紙用繊維の種類
によって異なり以下の通りである。
【0046】植物パルプや半合成繊維の場合は、配合率
は95重量%以下、望ましくは50重量%以下、更に望
ましくは30重量%以下である。
【0047】製紙用合成繊維、製紙用複合型合成繊維を
配合する場合は、合成繊維同士を熱融着することにより
湿潤強度が更に向上するが、これらの配合率が増すと表
面層の親水性や吸水量が低下するため、表面層における
配合率は、80重量%以下、望ましくは60重量%以
下、更に望ましくは40重量%以下である。
【0048】潜在捲縮性並列型複合繊維を配合し、シー
ト化後、非接触型加熱を施し、繊維同士を熱融着すると
ともにコイル状のミクロクリンプ構造を発現させ捲縮性
並列型複合繊維に変換すると、シートが嵩高でポーラス
になるため吸水量は向上するが、配合率が増すと表面層
の親水性が低下し、吸水速度が遅くなるため、表面層に
おける配合率は60重量%以下、望ましくは40重量%
以下、更に望ましくは25重量%以下である。
【0049】上記表面層には、この他に必要に応じて、
澱粉系、ポリアクリルアミド系紙力増強剤、蔗糖脂肪酸
エステル等の湿潤剤を添加することができる。製紙用に
通常使用される白色または有色の粉体を添加することも
できるが、内添の場合は、粉体とともに凝集・定着剤を
添加して、吸水によりシートが再湿潤状態になった時、
粉体が脱落するのを防止しなければならない。凝集・定
着剤としては、ポリアクリルアミド類、ポリアクリル酸
ソーダ類、ポリエチレングリコール類等の高分子系凝集
・定着剤、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化
第2鉄、硫酸第2鉄などの無機系凝集・定着剤、カチオ
ン性澱粉、キトサン等の天然高分子系凝集・定着剤を用
いることができる。
【0050】以上のような成分で構成される表面層は、
かくして多官能性樹脂により架橋結合された繊維状カル
ボキシメチルセルロースにより、親水性に富み、吸水性
が高く、湿潤状態において高度の引っ張り強度と表面強
度を発現し、かつ、アンモニア、アミン系悪臭に対する
脱臭作用を発揮する。さらに、繊維状カルボキシメチル
セルロース不溶性塩が配合される場合には、脱臭効果が
さらに大きく、また、製紙用繊維が配合される場合に
は、吸水性、親水性、湿潤強度が補強され、抄紙性が向
上するという特徴を有する。
【0051】表面層は、吸液層の低い湿潤表面強度を補
強し、積層シート全体の湿潤強度を高める必要があるた
め、その坪量は5〜30g/m2 、好ましくは10〜2
0g/m2 である。坪量が5g/m2 より低いと湿潤強
度は十分付与されず、30g/m2 を超えると積層シー
ト全体に占める表面層の割合が大きくなり、積層シート
の吸水量が低下して好ましくない。
【0052】積層シートの構成は、1層の吸液層の片面
に1層の表面層が抄き合わせ接合された2層構造のも
の、1層の吸液層の両面に各1層の表面が抄き合わせ接
合された3層構造のものの他、吸液層に配合される製紙
用繊維等が異なる吸液層を複数、例えば2、3、4、5
層積層し、その片面または両面に表面層が抄き合わせ接
合された多層構造のものとすることができる。
【0053】本発明にかかる膨潤性積層シートを製造す
るには、繊維状カルボキシメチルセルロース水溶性塩の
分散液へ、カチオン型水溶性高分子を添加することによ
り、繊維状カルボキシメチルセルロース水溶性塩の少な
くとも一部に高分子電解質錯体を形成した吸水性繊維を
調製し、これに必要に応じて製紙用繊維および/または
繊維状カルボキシメチルセルロース不溶性塩を配合して
抄紙原料とし、これを抄紙して吸液層湿紙を作成する。
また、繊維状カルボキシメチルセルロースの分散液ある
いは、繊維状カルボキシメチルセルロースと繊維状カル
ボキシメチルセルロース不溶性塩の分散液に、架橋結合
のための多官能性樹脂および必要に応じて製紙用繊維を
配合して抄紙原料とし、これを抄紙して表面層湿紙を形
成する。吸液層用湿紙と表面層用湿紙を抄き合わせて2
層の湿紙とし、該湿紙を加熱乾燥する方法、或いは、上
記吸液層湿紙が中間層、表面層湿紙が両外側層となるよ
うに抄き合わせて3層の湿紙として、該湿紙を加熱乾燥
する方法に基づいて製造することができる。湿紙の抄き
合わせは、特開平4−37536号に記載されている製
紙技術において通常用いられる抄き合わせの方法を用い
ることができる。
【0054】また、吸液層、表面層に繊維状カルボキシ
メチルセルロース不溶性塩を配合する場合、予め抄紙原
料の中に繊維状カルボキシメチルセルロース不溶性塩を
添加して抄紙する方法の他に、繊維状カルボキシメチル
セルロースを添加した抄紙原料を抄紙して乾燥した後、
水溶性アルミニウム塩、鉄塩、銅塩、コバルト塩、亜鉛
塩、錫塩、鉛塩、バリウム塩、マンガン塩等の水溶液を
含浸処理してシート中で繊維状カルボキシメチルセルロ
ース不溶性塩を生成させる方法を用いることもできる。
【0055】吸液層または表面層の製紙用繊維として、
捲縮性並列型複合繊維を含有するシートを製造する場合
は、抄紙原料に潜在捲縮性並列型複合繊維を配合して抄
き合わせ紙を抄造した後、熱輻射タイプのトンネル型熱
処理機または熱風乾燥機を用い、熱処理温度130℃以
上で1秒以上加熱して潜在捲縮性並列型複合繊維に捲縮
を発現させる必要がある。
【0056】
【実施例】以下に本発明にかかる膨潤性積層シートの実
施例を示すが、各実施例において、膨潤性積層シート構
造体の吸水量、湿潤引っ張り強さ、湿潤状態での表面強
度、湿潤状態でのぬめり、脱臭能力は次のようにして評
価した。
【0057】〈吸水量〉10cm×12cmの試験片を
水道水1000ml中に15分間浸漬した後引き上げ、
一端を上にして1分間吊るして過剰水を落下させてから
試験片の重量を測定した。吸水量は次式により算出し
た。 吸水量(g/g)=〔(過剰水除去後の試験片重量g)
−(試験片風乾重量g)〕÷(試験片風乾重量g)
【0058】〈湿潤引っ張り強さ〉幅15mm、長さ2
00mmの試験片を20℃の水道水中に30分間浸漬し
た後、濾紙で過剰水を拭い、ショッパー式引っ張り試験
機で引っ張り強さを測定した。
【0059】〈湿潤状態での表面強度〉10cm×10
cmの試験片の中央部分の表面に、3ml容シリンジで
水滴を5滴滴下し、水滴が紙中に浸透した後、指で30
往復擦った時の表面の破れ及び毛羽立ちの程度を観察
し、5段階で評価した。表面強度1は破れが発生し、毛
羽立ちが極めて多い状態、表面強度3は毛羽立ちがやや
生じる状態、表面強度5は破れや毛羽立ちがほとんど生
じない状態を示している。
【0060】〈湿潤状態でのぬめり〉10cm×12c
mの試験片を水道水1000ml中に3分間浸漬した後
引き上げ、試験片表面の感触を官能評価した。
【0061】〈アンモニア脱臭能力〉15cm×20c
mの試験片を容量300mlの三角フラスコに入れてガ
ス注入口付きシリコンゴム栓で密栓した後、ガス注入口
からアンモニア標準ガスをガスタイトシリンジで注入し
て三角フラスコ内のガス初濃度を140000PPMと
した。1時間後に株式会社ガステック製ガス検知管をガ
ス注入口から三角フラスコ内に差し込み、三角フラスコ
内のガス濃度(PPM)を測定し、次式から脱臭率を算
出した。 アンモニア脱臭率(%)= 100−ガス検知管定量濃度÷
アンモニアガス初濃度×100
【0062】〈トリメチルアミン脱臭能力〉15cm×
20cmの試験片を容量300mlの三角フラスコに入
れてガス注入口付きシリコンゴム栓で密栓した後、ガス
注入口からトリメチルアミン標準ガスをガスタイトシリ
ンジで注入して三角フラスコ内のガス初濃度を150P
PMとした。1時間後に株式会社ガステック製ガス検知
管をガス注入口から三角フラスコ内に差し込み、三角フ
ラスコ内のガス濃度(PPM)を測定し、次式から脱臭
率を算出した。 トリメチルアミン脱臭率(%)=100 −ガス検知管定量
濃度÷トリメチルアミンガス初濃度×100
【0063】(実施例1〜9)繊維状カルボキシメチル
セルロースNa塩(CMC−Na塩)(ニチリン化学
(株)製、エーテル化度0.43、塩基飽和度82%)
を水に分散させて、1.5%濃度にした分散液を用意し
た。これにポリアミン樹脂(住友化学工業(株)製、商
品名スミレーズレジンFR−2P、数平均分子量100
00、カチオン当量はpH6で5.8ミリ当量/g、4
級化窒素原子および3級窒素原子含有)を前記繊維状カ
ルボキシメチルセルロースNa塩に対して2.0重量%
の割合で添加し攪拌して得た吸水性繊維、および表1及
び2の吸液層の製紙用繊維の欄に示すような各種製紙用
繊維を、それぞれ所定重量部配合して吸液層の抄紙用原
料を調成し、坪量55g/m2 の吸液層湿紙を作製し
た。
【0064】別に、繊維状カルボキシメチルセルロース
(CMC−H)(ニチリン化学(株)製、エーテル化度
0.43、塩基飽和度0%、遊離酸型)と表1並びに表
2の表面層の欄に示すように各種製紙用繊維を所定重量
部配合して水中に分散した混合繊維原料を用意し、これ
に、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(日本PMC社
製商品名WS570)を混合繊維原料に対して8重量%
の割合で添加して表面層の抄紙用原料を調成し、坪量1
5g/m2 の表面層湿紙を作製した。
【0065】吸液層湿紙を中間層として、その両面に表
面層湿紙を重ね、搾水用濾紙を介して3.5Kg/cm
2 で5分間加圧した後、回転式ドライヤーの加熱鏡面板
に接触させて乾燥し、表1、表2に実施例1〜9として
示した9種類の3層抄き合わせ型の手抄き紙を作製し
た。
【0066】得られた手抄き紙(実施例1〜9)につい
て、吸水量、湿潤引っ張り強さ、湿潤状態での表面強
度、湿潤状態でのぬめり、脱臭能力を評価し、結果を表
1、表2に示した。なお、比較のため実施例1の吸液層
の抄紙原料を用いて作製した坪量85g/m2 の単層型
手抄き紙についての評価結果も比較例として表2に示し
た。
【0067】表1、表2より、実施例1〜9の3層抄き
合わせ型手抄き紙は、吸水量が自重(坪量85g/
m2 )の4倍以上であり比較例の単層型手抄き紙と同程
度の吸水量を示す一方、湿潤引っ張り強さは比較例より
2〜8倍高い値を示している。湿潤表面強度は、実施例
1〜9では破れ、毛羽立ちが極めて少なく、比較例より
も高い表面強度を有している。さらに、実施例1〜9
は、アンモニア・アミン系悪臭の脱臭率が98%以上あ
り、優れた脱臭効果があることが明らかである。
【0068】(実施例10〜12)繊維状カルボキシメ
チルセルロースNa塩(ニチリン化学(株)製、エーテ
ル化度0.43、塩基飽和度82%)を水に分散させ
て、1.5%濃度にした分散液を用意した。これにカチ
オン型水溶性高分子を前記繊維状カルボキシメチルセル
ロースNa塩に対して2.0重量%の割合で添加し攪拌
して得た吸水性繊維、および潜在捲縮性並列型複合繊維
を、それぞれ表3に示すように所定重量部配合して吸液
層の抄紙用原料を調成し、坪量55g/m2 の吸液層湿
紙を作製した。
【0069】上記カチオン型水溶性高分子としては、実
施例10はポリアミン樹脂(住友化学工業(株)製スミ
レーズレジンFR−2P、数平均分子量10000、カ
チオン当量はpH6で5.8ミリ当量/g、4級化窒素
原子および3級窒素原子含有)を用いた。実施例11
は、キトサン(片倉チッカリン(株)製、1級、2級窒
素原子含有、カチオン当量4.2ミリ当量/g)を用
い、キトサン濃度2.5%となるように乳酸水溶液に溶
解してから前記繊維状カルボキシメチルセルロースNa
塩に添加した。実施例12は、カチオン型ポリアクリル
アミド樹脂(明成化学工業(株)製、商品名AGフィッ
クスM15、カチオン当量4.5ミリ当量/g、4級化
窒素原子含有)を用いた。
【0070】別に、繊維状カルボキシメチルセルロース
(CMC−H)(ニチリン化学(株)製、エーテル化度
0.43、塩基飽和度0%、遊離酸型)と表3の表面層
の欄に示すような各種製紙用繊維を所定重量部配合して
水中に分散した混合繊維原料を用意し、これに、ポリア
ミドエピクロルヒドリン樹脂(日本PMC社製商品名W
S570)を混合繊維原料に対して8重量%の割合で添
加して表面層の抄紙用原料を調成し、坪量15g/m2
の表面層湿紙を作製した。
【0071】吸液層湿紙を中間層として、その両面に表
面層湿紙を重ね、搾水用濾紙を介して3.5Kg/cm
2 で5分間加圧した後、回転式ドライヤーの加熱鏡面板
に接触させて乾燥し、表3に実施例10〜12として示
した3種類の3層抄き合わせ型の手抄き紙を作製した。
次いで、該手抄き紙を160℃の熱風乾燥機中に30秒
間放置して熱処理を行い、潜在捲縮性並列型複合繊維に
捲縮を発現させ、シートを嵩高で密度の低いものにし
た。
【0072】得られた手抄き紙(実施例10〜12)に
ついて、吸水量、湿潤引っ張り強さ、湿潤状態での表面
強度、湿潤状態でのぬめり、脱臭能力を評価し、結果を
表3に示した。
【0073】実施例10〜12の3層抄き合わせ型手抄
き紙は、吸水量が自重の4倍以上あり前記比較例の単層
型手抄き紙と同程度の吸水量を示す一方、湿潤引っ張り
強さは比較例より2〜3倍高い値を示している。湿潤表
面強度は、実施例10〜12では破れ、毛羽立ちが極め
て少なく、比較例よりも高い表面強度を有している。さ
らに、実施例10〜12は、アンモニア・アミン系悪臭
の脱臭率が98%以上あり、優れた脱臭効果があること
が明らかである。
【0074】(実施例13)繊維状カルボキシメチルセ
ルロースNa塩(ニチリン化学(株)製、エーテル化度
0.43、塩基飽和度82%)を水に分散させて、1.
5%濃度にした分散液を用意した。
【0075】これにカチオン型水溶性高分子としてジメ
チルアミンとエピクロルヒドリンより合成した第2アミ
ン・エピクロルヒドリン重付加ポリマー(平均分子量8
900、カチオン当量6.2ミリ当量/g)を前記繊維
状カルボキシメチルセルロースNa塩に対して2.0重
量%の割合で添加し攪拌して得た吸水性繊維を70重量
%、および製紙用繊維として針葉樹晒クラフトパルプを
20重量%、及び繊維状カルボキシメチルセルロース不
溶性塩であるCMC−Zn塩を10重量%配合して吸液
層の抄紙用原料を調成し、坪量55g/m2 の吸液層湿
紙を作製した。
【0076】別に、繊維状カルボキシメチルセルロース
(CMC−H)(ニチリン化学(株)製、エーテル化度
0.43、塩基飽和度0%、遊離酸型)を70重量%と
針葉樹晒クラフトパルプを20重量%、及び繊維状カル
ボキシメチルセルロース不溶性塩であるCMC−Al塩
を10重量%配合して水中に分散した混合繊維原料を用
意し、これに、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(日
本PMC社製商品名WS570)を混合繊維原料に対し
て8重量%の割合で添加して表面層の抄紙用原料を調成
し、坪量15g/m2 の表面層湿紙を作製した。
【0077】吸液層湿紙を中間層として、その両面に表
面層湿紙を重ね、搾水用濾紙を介して3.5Kg/cm
2 で5分間加圧した後、回転式ドライヤーの加熱鏡面板
に接触させて乾燥し、3層抄き合わせ型の手抄き紙を作
製した。得られた手抄き紙について、吸水量、湿潤引っ
張り強さ、湿潤状態での表面強度、湿潤状態でのぬめ
り、脱臭能力を評価し、結果を表4に示した。
【0078】(実施例14)吸液層の繊維状カルボキシ
メチルセルロースNa塩に対して添加するカチオン型水
溶性高分子としてテトラエチレンペンタミンとエチレン
ジクロライドより合成したポリエチレンポリアミン樹脂
を用い、これを繊維状カルボキシメチルセルロースNa
塩に対して2.0重量%の割合で添加し攪拌して得た吸
水性繊維を用い、また、吸液層と表面層の紙料の構成を
表4に示すようにした他は、実施例13と同様にして、
3層抄き合わせ型の手抄き紙を作製した。
【0079】得られた手抄き紙について、吸水量、湿潤
引っ張り強さ、湿潤状態での表面強度、湿潤状態でのぬ
めり、脱臭能力を評価し、結果を表4に示した。
【0080】(実施例15)吸液層の繊維状カルボキシ
メチルセルロースNa塩に対して添加するカチオン型水
溶性高分子としてヘキサメチレンジアミンとエピクロル
ヒドリンより合成したジアミン・エピクロルヒドリン樹
脂を用いた他は、実施例14と同様にして、3層抄き合
わせ型の手抄き紙を作製した。
【0081】得られた手抄き紙について、吸水量、湿潤
引っ張り強さ、湿潤状態での表面強度、湿潤状態でのぬ
めり、脱臭能力を評価し、結果を表4に示した。
【0082】実施例13〜15の3層抄き合わせ型手抄
き紙は、吸水量が自重の4倍以上あり比較例の単層型手
抄き紙と同程度の吸水量を示す一方、湿潤引っ張り強さ
は比較例より約2倍高い値を示している。湿潤表面強度
は、実施例13〜15は破れ、毛羽立ちが極めて少な
く、比較例よりも高い表面強度を有している。さらに、
実施例13〜15は、アンモニア・アミン系悪臭の脱臭
率が99%以上あり、繊維状カルボキシメチルセルロー
スのみを配合した実施例1〜12に比べ、更に優れた脱
臭効果があることが明らかである。
【0083】(実施例16、17)吸液層の繊維状カル
ボキシメチルセルロースNa塩に対して添加するカチオ
ン型水溶性高分子としてモノメチルアミンとエピクロル
ヒドリンおよびN,N,N′,N′−テトラメチル−
1,2−ジアミノエタンより合成した第1アミン・エピ
クロルヒドリン・ジ第3アミン重付加ポリマー(カチオ
ン当量4.5ミリ当量/g)を用い、また吸液層と表面
層の紙料の構成を表4に示すようにした他は、実施例1
3と同様にして、3層抄き合わせ型の手抄き紙を作製し
た。
【0084】この手抄き紙に3重量%濃度の硫酸バンド
溶液をサイズプレス塗工を施した。得られた手抄き紙に
ついて、吸水量、湿潤引っ張り強さ、湿潤状態での表面
強度、湿潤状態でのぬめり、脱臭能力を評価し、結果を
表4に示した。
【0085】硫酸バンドが繊維状カルボキシメチルセル
ロースと反応し、繊維状カルボキシメチルセルロースア
ルミニウム塩を生成するため、アンモニア、トリメチル
アミンに対する脱臭効果が繊維状カルボキシメチルセル
ロースアルミニウム塩を抄紙した場合と同様に優れてお
り、更に湿潤表面強度が高くなるといる副次的効果が見
られる。
【0086】(実施例18)繊維状カルボキシメチルセ
ルロースNa塩(ニチリン化学(株)製、エーテル化度
0.43、塩基飽和度82%)を水に分散させて、1.
5%濃度にした分散液を用意した。これにポリエチレン
イミン樹脂(日本触媒化学工業(株)製、商品名エポミ
ンSP200、数平均分子量20000、分岐構造体、
1、2、3級窒素原子含有)を前記繊維状カルボキシメ
チルセルロースのNa塩に対して2.0重量%の割合で
添加し攪拌して得た吸水性繊維80重量%、および製紙
用繊維として針葉樹晒クラフトパルプ20重量%を配合
して吸液層の抄紙用原料を調成し、坪量55g/m2 の
吸液層湿紙Bを作製した。
【0087】別に、繊維状カルボキシメチルセルロース
(ニチリン化学(株)製、エーテル化度0.43、塩基
飽和度0%、遊離酸型)10重量%と針葉樹晒クラフト
パルプ10重量%および繊維状カルボキシメチルセルロ
ース塩であるCMC−Fe(II)(塩基飽和度8%)8
0重量%を配合して水中に分散した混合繊維原料を用意
し、これに、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(日本
PMC社製商品名WS570)を混合繊維原料に対して
8重量%の割合で添加して表面層Aの抄紙用原料を調成
し、坪量15g/m2 の表面層湿紙Aを作製した。
【0088】また別に、繊維状カルボキシメチルセルロ
ース(ニチリン化学(株)製、エーテル化度0.43、
塩基飽和度0%、遊離酸型)70重量%と針葉樹晒クラ
フトパルプ30重量%を配合して水中に分散した混合繊
維原料を用意し、これに、ポリアミドエピクロルヒドリ
ン樹脂(日本PMC社製商品名WS570)を混合繊維
原料に対して8重量%の割合で添加して表面層Cの抄紙
用原料を調成し、坪量15g/m2 の表面層湿紙Cを作
製した。
【0089】吸液層湿紙Bを中間層として、一方の表面
に表面層湿紙A、もう一方の表面に表面層湿紙Cを重
ね、搾水用濾紙を介して3.5Kg/cm2 で5分間加
圧した後、回転式ドライヤーの加熱鏡面板に接触させて
乾燥し、A−B−Cの配列で抄き合わされた3層抄き合
わせ型の手抄き紙を作製した。
【0090】得られた手抄き紙について、吸水量、湿潤
引っ張り強さ、湿潤状態での表面強度、湿潤状態でのぬ
めり、脱臭能力を評価し、結果を表5に示した。
【0091】実施例18の3層抄き合わせ型手抄き紙
は、吸水量が自重の4倍以上であり比較例の単層型手抄
き紙と同程度の吸水量を示す一方、湿潤引っ張り強さは
比較例より約2倍高い値を示している。湿潤表面強度
は、実施例18では破れ・毛羽立ちが極めて少なく、比
較例よりも高い表面強度を有している。さらに、実施例
18は、アンモニア・アミン系悪臭の脱臭率が99%以
上あり、実施例1〜12に比べ更に優れた脱臭効果があ
ることが明らかである。
【0092】更にCMC−Fe(II)塩の撥水作用によ
り、表面層Aに水を滴下した場合、水滴となって弾か
れ、数時間紙中に浸透しなかった。また、表面層Cに水
を滴下した場合、水滴は直ちに紙中に吸収され撥水性は
認められなかった。このため、実施例18の3層抄き合
わせ型手抄き紙は、片面が親水性、他の片面が撥水性と
いう2面性を有するものであることが明白である。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】
【表5】
【0098】
【発明の効果】本発明の膨潤性積層シートは、シート形
態を保持した状態で、高い吸水量を示し、液体を吸収し
た後の湿潤状態でも高い引っ張り強さと表面強度を有す
るので、吸液を必要とする広い分野への利用が可能であ
る。更に、悪臭物質に対する脱臭作用も有するので、吸
液と脱臭を必要とする各種の用途にも使用することがで
きる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維状カルボキシメチルセルロース水溶
    性塩の少なくとも一部にカチオン型水溶性高分子との高
    分子電解質錯体が形成されてなる吸水性繊維を含む吸液
    層と、その少なくとも片面に多官能性樹脂により架橋結
    合した繊維状カルボキシメチルセルロースを含む表面層
    が抄き合わせ接合により積層されてなることを特徴とす
    る膨潤性積層シート
  2. 【請求項2】 吸液層が製紙用繊維を含むことを特徴と
    する請求項1に記載の膨潤性積層シート。
  3. 【請求項3】 表面層が製紙用繊維を含むことを特徴と
    する請求項1に記載の膨潤性積層シート。
  4. 【請求項4】 製紙用繊維が、植物パルプ、半合成繊維
    および合成繊維から選ばれた少なくとも1種である請求
    項2または3に記載の膨潤性積層シート。
  5. 【請求項5】 吸液層が繊維状カルボキシメチルセルロ
    ース不溶性塩を含むことを特徴とする請求項1、2また
    は4に記載の膨潤性積層シート
  6. 【請求項6】 表面層が繊維状カルボキシメチルセルロ
    ース不溶性塩を含むことを特徴とする請求項1、3また
    は4に記載の膨潤性積層シート
  7. 【請求項7】 繊維状カルボキシメチルセルロース不溶
    性塩が、繊維状カルボキシメチルセルロースのアルミニ
    ウム塩、鉄塩または亜鉛塩であることを特徴とする請求
    項5または6に記載の膨潤性積層シート
  8. 【請求項8】 カチオン型水溶性高分子がキトサン、重
    合体の側鎖に1級、2級、3級または4級窒素原子を有
    するポリマーおよび重合体の主鎖に1級、2級、3級ま
    たは4級窒素原子を有するポリマーの中から選ばれた少
    なくとも1種である請求項1〜7のいずれかに記載の膨
    潤性積層シート。
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