JPH09267177A - 耐食性に優れた鋼製ドアの製造方法 - Google Patents

耐食性に優れた鋼製ドアの製造方法

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JPH09267177A
JPH09267177A JP8103888A JP10388896A JPH09267177A JP H09267177 A JPH09267177 A JP H09267177A JP 8103888 A JP8103888 A JP 8103888A JP 10388896 A JP10388896 A JP 10388896A JP H09267177 A JPH09267177 A JP H09267177A
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stainless steel
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Shoji Inoue
正二 井上
Katsuhiko Fukumura
勝彦 福村
Tomokazu Nobutoki
智和 延時
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶接後の曲げ加工を可能とし、高生産性で鋼
製ドアを製造する。 【構成】 溶接金属のNi当量がNi当量≧−0.7×
Cr当量+20を満足するように添加金属を使用してス
テンレス鋼板とめっき鋼板とを突合せ溶接し一枚の鋼板
とした後、鋼板を切断,曲げ,溶接等によってドアの縦
枠又は扉に加工し、ステンレス鋼部分が縦枠又は扉の下
部に位置するようにドアを組み立てる。 【効果】 延性に富む溶接金属が形成され、曲げ加工時
に割れが発生しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性に優れた下部構
造をもつ鋼製ドアを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼製のドアは、高強度で比較的安価であ
るため、集合住宅の玄関ドアやホテル,ビルの玄関,非
常口等に多用されている。従来では、亜鉛めっき鋼板を
所定の幅に切断し、90度又は180度の曲げ加工し、
溶接組立て後に塗装することにより鋼製ドアの枠,扉等
を製造している。ドアの使用形態をみると、床面から2
00mm程度までのドア下部は、人が通行する際に靴や
運搬物が当ることにより疵が付き、表面の塗膜や下地の
めっき層が剥れ易い。また、玄関や非常口等の屋外に面
し雨水に曝される環境や、トイレ,食品工場等のように
常に水がかかる箇所に使用されることもある。その結
果、塗膜や下地のめっき層が剥離した部分では耐食性が
低下しているため、比較的短時間で錆が発生し、補修や
場合によってはドアの取替えが必要とされる。ドア下部
の発錆を防止するため、靴ズリと称されるドア枠の下枠
部分にステンレス鋼が使用されることがある。縦枠につ
いても、床面に近く耐食性向上が必要な部分にステンレ
ス鋼を使用することもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ドア下部の材料とし
て、予めステンレス鋼板とめっき鋼板とを溶接した鋼板
を使用する場合、曲げ加工の際に溶接部に割れが発生し
易い。そのため、それぞれの材料を曲げ加工した後で溶
接する方法が採用されている。しかし、このような工法
では、曲げ加工した部材が複雑な形状をもっていること
から溶接に手数がかかる。しかも、安定した溶込みが得
られ難く、強度面での信頼性に欠ける嫌いがある。ま
た、溶接部の余盛りを削除する際にも、複雑形状のため
に手数がかかり、十分な平滑性が得られない。そのた
め、パテ等で補修する必要が生じ、生産性にも問題があ
った。更に、幅広の扉では、曲げ加工後に溶接するには
設備面,生産性において問題が多く、実際面から曲げ加
工−溶接の工法が採用されておらす、錆発生の問題が未
解決である。本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、床面に近い部分の耐食性を向上さ
せた鋼製ドアを高生産性で製造することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の鋼製ドア製造方
法は、その目的を達成するため、溶接金属のNi当量が
Ni当量≧−0.7×Cr当量+20を満足するように
添加金属を使用してステンレス鋼板とめっき鋼板とを突
合せ溶接し一枚の鋼板とし、該鋼板を切断,曲げ,溶接
等によってドアの縦枠又は扉に加工し、ステンレス鋼部
分が縦枠又は扉の下部に位置するようにドアを組み立て
ることを特徴とする。添加金属としては、フィラーワイ
ヤ,溶接芯線,溶接棒等が使用され、その成分及び/又
は添加量により溶接金属のNi当量が調節される。溶接
法には、フィラーワイヤを使用するTIG溶接,プラズ
マ溶接,フラックスコーティングした溶接棒を用いる被
覆アーク溶接,溶接芯線を用いるガスシールドアーク溶
接等が採用される。めっき鋼板としては、溶融亜鉛めっ
き鋼板,合金化溶融亜鉛めっき鋼板等を始めとして、各
種のめっき鋼板が使用される。V開先でステンレス鋼板
とめっき鋼板とを溶接するとき、溶込みが促進され、溶
接金属のNi当量を上げることができる。
【0005】
【実施の形態】本発明では、床面に近い部分の耐食性を
向上させるため、この部分にステンレス鋼を使用してい
る。そして、それぞれの材料を曲げ加工した後で溶接す
る従来法に替え、ステンレス鋼板とめっき鋼板を突合せ
溶接して1枚の鋼板とする。この鋼板を切断,曲げ,溶
接等により枠や扉に加工し、ステンレス鋼部分が縦枠や
扉の下部に位置するように組み立てる。ステンレス鋼板
とめっき鋼板とを単に溶接したのでは、溶接金属が主と
して硬質で延性に乏しいマルテンサイト組織になり、曲
げ加工すると溶接部に割れが発生する。本発明では、こ
の割れ発生を防止するため、ステンレス鋼板とめっき鋼
板とを突合せTIG溶接する際、延性に富むオーステナ
イトが10体積%以上の割合でマルテンサイト相に分散
析出するように溶接金属の組成を調整している。これに
より、加工性が大きく改善され、必要とされる180度
の曲げ加工にも耐える溶接部が得られる。
【0006】本発明者等は、多数の実験結果から、溶接
によって母材であるステンレス鋼及び普通鋼とフィラー
ワイヤが溶融混合して形成される溶接金属のNi当量と
Cr当量との間にNi当量≧−0.7×Cr当量+20
が満足されていると、溶接部に割れが発生せず、90度
曲げや180度曲げが可能であることを見い出した。優
れた耐割れ性は、Ni当量≧−0.7×Cr当量+20
に調整することにより、10体積%以上の割合でオース
テナイトが溶接金属に確保されることに起因するものと
推察される。Ni当量は%Ni+30×%C+0.5×
%Mnで算出され、Cr当量は%Cr+%Mo+1.5
×%Si+0.5×Nbで算出される。フィラーワイヤ
を用いたTIG溶接の外に、被覆アーク溶接や溶接芯線
を使用するガスシールドアーク溶接等のように溶接電極
自体が溶融する溶接法においても、同様にNi当量≧−
0.7×Cr当量+20を満足する溶接金属が形成され
ると、溶接部に割れが発生せず、90度曲げや180度
曲げが可能である。
【0007】本発明は、このような知見に基づいて完成
されたものであり、まずステンレス鋼板とめっき鋼板と
を突合せ溶接する際に、Ni当量≧−0.7×Cr当量
+20を満足するように溶接金属のNi当量を調整す
る。具体的には、溶接施工に当って鋼板を開先加工せず
に切断したままのI型開先とするとき、溶接金属のNi
当量が前掲の範囲に入るようにそれぞれの溶接法に応じ
てフィラーワイヤや溶接芯線等のNi当量が選択され
る。また、所定のフィラーワイヤ,溶接芯線,溶接棒を
使用して適宜ステンレス鋼側又はめっき鋼板側、或いは
両方の鋼板を開先加工し、希釈率を選定することによっ
ても、溶接金属のNi当量が調整される。更に、これら
の方法に加え、溶接電流等の溶接条件によって希釈率を
制御する方法も適宜併用できる。
【0008】ステンレス鋼板としては、オーステナイト
系のSUS304を使用することが多い。この場合、切
断ままのI型開先で溶接した場合の希釈率が通常70%
程度までであることを考慮すると、添加金属のNi当量
とCr当量の関係としてNi当量≧−0.4×Cr当量
+30にある材料を使用するとき、特に開先加工を必要
とすることなく溶接金属の特性に必要なNi当量≧−
0.7×Cr当量+20が満足される。なお、希釈率
は、図1に示すように溶接金属A+B+C+D中に占め
る母材料A+Bの割合で表される。溶接パス数は、板厚
に応じて適宜決定される。また、片面溶接だけでなく、
図1に示すように両面から溶接することもできる。
【0009】ステンレス鋼板としては、必要とされる耐
食性や強度に応じてSUS304を始めとして各種の材
料が使用される。ステンレス鋼板の幅は、ドア高さの範
囲で任意に設定されるが、コストを勘案して実質上錆発
生が問題とされる領域に対応して100〜200mmの
範囲で設定されることが多い。使用可能なめっき鋼板と
しては、特にその種類が制約されるものではないが、後
工程の塗装を考慮すると亜鉛めっき鋼板やFeを合金化
させた合金化亜鉛めっき鋼板が好ましい。溶接後、ドア
の外面側に相当する面については、必要に応じディスク
サンダーによる研削等の適宜の方法で溶接部の余盛りが
除去され、平坦に仕上げられる。この際、特に扉部分に
使用される場合には意匠性を考慮した仕上げが施され
る。次いで、常法に従って縦枠や扉に加工し、ステンレ
ス鋼部分が縦枠又は扉の下部に位置するように組み立て
られる。
【0010】
【実施例】
実施例1:ステンレス鋼板として板厚1.5mmのSU
S304を使用し、めっき鋼板としてSPCC(低炭素
鋼)を基板にした板厚1.5mmの合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板を使用した。これら鋼板をシャー切断し、I型開
先を形成した。成分が異なるフィラーワイヤを用いたT
IG溶接や溶接芯線を用いたガスシールドアーク溶接に
より、ステンレス鋼板とめっき鋼板とを突合せ溶接し
た。この場合、希釈率が70%となるように、添加金属
の溶融量を調節した。なお、ステンレス鋼板及びめっき
鋼板は、溶接時にほぼ同じ割合で溶融した。溶接後に余
盛りを除去し、図2に示す方法で90度曲げ及び180
度の密着曲げ加工テストを行い、割れ発生の有無を調査
した。このときの溶接条件及びテスト結果を示す表1及
び図3にみられるように、添加金属を使用することなく
ステンレス鋼板とめっき鋼板とを溶接した場合には90
度曲げで割れが発生した。これに対し、添加金属を使用
した溶接法では、加工性が改善されていた。しかし、溶
接金属のNi当量及びCr当量の関係がNi当量≧−
0.7×Cr当量+20を満足する場合にのみ180度
密着曲げが可能であった。
【0011】
【0012】実施例2:Ni当量:16重量%,Cr当
量:22重量%のフィラーワイヤを使用し、板厚2.0
mmのステンレス鋼板SUS304と、SS400(一
般構造用圧延鋼)を基板とする板厚2.3mmの合金化
溶融亜鉛めっき鋼板とを両面から溶接した。本実施例で
は、I開先で希釈率70%及び開先角度60度のV開先
で60%の溶接条件を採用した。溶接後、鋼板から余盛
りを除去し、図2に示す方法で90度曲げ及び180度
の密着曲げ加工テストを行い、割れ発生の有無を調査し
た。このときの溶接条件及びテスト結果を示す表2にみ
られるように、I開先では溶接金属のNi当量がNi当
量≧−0.7×Cr当量+20を満足せず、180度の
密着曲げで溶接部に割れが検出された。しかし、開先角
度60度のV開先ではNi当量≧−0.7×Cr当量+
20となっており、180度の密着曲げでも割れが発生
しなかった。
【0013】
【0014】実施例3:板厚2.0mmのステンレス鋼
板SUS304を、SS400(一般構造用圧延鋼)を
基板とする板厚2.3mmの合金化溶融亜鉛めっき鋼板
にTIG溶接した。このとき、Ni当量:23.5重量
%,Cr当量:27重量%のフィラーワイヤを使用し、
I開先で希釈率が70%となるように溶接条件を設定し
た。次いで、鋼板の溶接部から余盛りをディスクサンダ
ーで研削除去し、エミリペーパ#100で平滑に仕上げ
た。このようにして溶接された鋼板を曲げ加工し、図4
に示す形状の縦枠を製造した。比較のため、同じステン
レス鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板を別々に曲げ加
工し、I開先でステンレス鋼ワイヤ(Y308)を用い
てTIG溶接した。そして、溶接部から余盛りをディス
クサンダーで研削除去し、エミリペーパ#100で平滑
に仕上げ、図4に示す形状をもつ縦枠を製造した。各工
法で縦枠の製造に要した時間を測定した。また、縦枠の
溶接部を頂点に位置させ、表面側から丸棒で荷重を加
え、変形や破断状態を調査した。表3の調査結果にみら
れるように、本発明法は、比較法に比べて52%の時間
で縦枠を製造でき、生産性が高い方法であることが判
る。また、本発明法で形成された縦枠は、溶接部が破断
することなく母材部が座屈しており、溶接部の安定性が
高くなっている。これに対し、比較法で形成された縦枠
では、溶接部の所々に溶込み不足が発生したため、溶接
部で破断した。
【0015】
【0016】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、予め鋼板の状態で溶接した材料から鋼製ドアが製造
されるため、ステンレス鋼板とめっき鋼板とを別々に曲
げた後で溶接する従来法に比較して安定した強度を持つ
鋼製ドアが高生産性で製造できる。しかも、耐食性に優
れたステンレス鋼板をドア下部に使用していることか
ら、得られた鋼製ドアの耐食性が向上し、玄関,非常口
等の屋外に面する箇所や食品加工場等の床面が水に曝さ
れる環境にあるドアとして、長期間にわたって錆発生の
問題がなく使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 I開先及びV開先の希釈率
【図2】 90度曲げテスト及び180度曲げテスト
【図3】 Ni当量及びCr当量の関係が曲げ加工後の
割れに及ぼす影響
【図4】 実施例3で製造し、強度テストした縦枠
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B23K 9/00 501 8509−4E B23K 9/00 501B B23K 103:18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接金属のNi当量がNi当量≧−0.
    7×Cr当量+20を満足するように添加金属を使用し
    てステンレス鋼板とめっき鋼板とを突合せ溶接し一枚の
    鋼板とし、該鋼板を切断,曲げ,溶接等によってドアの
    縦枠又は扉に加工し、ステンレス鋼部分が縦枠又は扉の
    下部に位置するようにドアを組み立てることを特徴とす
    る耐食性に優れた鋼製ドアの製造方法。
  2. 【請求項2】 フィラーワイヤ,溶接芯線,溶接棒等の
    添加金属の成分又は添加量により溶接金属のNi当量を
    調節する請求項1記載の耐食性に優れた鋼製ドアの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 更にV開先でステンレス鋼板とめっき鋼
    板とを溶接する請求項2記載の耐食性に優れた鋼製ドア
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007075891A (ja) * 2005-09-12 2007-03-29 Creative Technology:Kk 継手
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JP2021187104A (ja) * 2020-06-02 2021-12-13 凸版印刷株式会社 プリント化粧金属板、プリント化粧金属板の製造方法及びドア
WO2025116023A1 (ja) * 2023-12-01 2025-06-05 日本製鉄株式会社 封止缶体、電池セルケースおよび封止缶体の製造方法

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