JPH09279029A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物

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JPH09279029A
JPH09279029A JP11714796A JP11714796A JPH09279029A JP H09279029 A JPH09279029 A JP H09279029A JP 11714796 A JP11714796 A JP 11714796A JP 11714796 A JP11714796 A JP 11714796A JP H09279029 A JPH09279029 A JP H09279029A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のPASの持つ高い耐熱性と機械的強度
に加えて、エポキシ樹脂等との接着性に優れたPAS樹
脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)塩化メチレンによる抽出量が0.
7重量%以下であり、溶融粘度V6 が20〜15000
ポイズであり、かつ‐SX基(Xはアルカリ金属又は水
素原子である)が15μmol/g以上であるポリアリ
ーレンスルフィド100重量部、(B)メタクリロキシ
シラン化合物0.01〜5.0重量部、及び(C)無機
充填剤0〜400重量部を含むポリアリーレンスルフィ
ド樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアリーレンスルフ
ィド(以下、PASと略すことがある)樹脂組成物に関
し、更に詳しくはエポキシ樹脂等の熱可塑性樹脂との接
着性に優れたPAS樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】PASは耐熱性、成形加工性に優れ、更
には良好な耐薬品性、難燃性、寸法安定性等を有するた
め、電気・電子部品あるいは機械部品等に広く使用され
ている。しかし、PASは他の樹脂との接着性、特にエ
ポキシ樹脂との接着性が比較的悪い。そのため、例えば
エポキシ系接着剤によるPAS同士の接合、PASと他
の材料との接合、あるいはエポキシ樹脂による電気・電
子部品の封止等の際に、PASとエポキシ樹脂との接着
性の悪さが問題となっていた。
【0003】かかる問題に鑑みて、PASとエポキシ樹
脂との接着性を改良する種々の試みがなされている。例
えば、特開平2‐272063号公報にはカルナバワッ
クスを含むポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと
略すことがある)樹脂組成物、特開平4‐275368
号公報には繊維状及び/又は非繊維状充填剤とポリアル
キレンエーテル化合物を配合してなるPPS樹脂組成
物、特開平5‐171041号公報には橋かけポリアク
リル酸塩等の高吸水性樹脂を含むPPS樹脂組成物、特
開平6‐57136号公報には芳香族スルホン化合物、
及び繊維状及び/又は非繊維状充填剤を配合してなるP
PS樹脂組成物、特開平6‐107946号公報には脂
肪族ポリエステル、及び繊維状及び/又は非繊維状充填
剤を配合してなるPPS樹脂組成物、また、特開平6‐
166816号公報にはポリ(エチレンシクロヘキサン
ジメチレンテレフタレート)共重合体を配合してなるP
PS樹脂組成物が夫々開示されている。しかし、上記の
いずれにおいても、PPSより耐熱性の低い物質を添加
するため、樹脂組成物の耐熱性が低下し、更には機械的
強度が著しく低下する樹脂組成物もあった。
【0004】また、特開平4‐198267号公報に
は、カルボキシル基含有PASを含むPAS樹脂組成
物、また特開平5‐25388号公報には、アミノ基含
有PASを含むPAS樹脂組成物が開示されている。し
かし、これらは例えばカルボキシル基又はアミノ基を有
するジクロルベンゼンを共重合させて製造するが、反応
系にこれらのジクロルベンゼンが残存するという製造上
の問題があると共に、得られたPASの接着強度も十分
なものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のPA
Sの持つ高い耐熱性と機械的強度に加えて、エポキシ樹
脂等との接着性に優れたPAS樹脂組成物を提供するも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく種々の検討を行った。その結果、下記所定
のPASとメタクリロキシシラン化合物とを下記所定量
で用いると、エポキシ樹脂等との接着性に著しく優れ、
かつ安価なPAS樹脂組成物が得られることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、 (1)(A)塩化メチレンによる抽出量が0.7重量%
以下であり、溶融粘度V6 が20〜15000ポイズで
あり、かつ‐SX基(Xはアルカリ金属又は水素原子で
ある)が15μmol/g以上であるポリアリーレンス
ルフィド 100重量部、(B)メタクリロキシシラン
化合物 0.01〜5.0重量部、及び(C)無機充填
剤 0〜400重量部を含むポリアリーレンスルフィド
樹脂組成物である。
【0008】好ましい態様として、 (2)(B)メタクリロキシシラン化合物を0.05〜
3.0重量部含む上記(1)記載の樹脂組成物、 (3)(B)メタクリロキシシラン化合物を0.1〜
2.0重量部含む上記(1)記載の樹脂組成物を挙げる
ことができる。
【0009】上記(A)PASは、‐SX基が多い。従
って、多くのメタクリロキシシラン化合物と良好に反応
する。また、本発明のPASは塩化メチレンによる抽出
量が少ない。従って、比較的分子量の小さいオリゴマー
は殆ど存在せず、メタクリロキシシラン化合物が無駄に
消費されることがない。以上のことから、本発明のPA
Sは、メタクリロキシシラン化合物との反応性に富むと
共に、該剤の少量の添加でエポキシ樹脂等との接着性に
著しく優れたPAS樹脂組成物を得ることができるので
ある。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の成分(A)PASは、塩
化メチレンによる抽出量が0.7重量%以下、好ましく
は0.6重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下
である。上記範囲においては、PAS中に比較的分子量
の低いオリゴマーが存在しないため好ましい。該抽出量
が上記上限を超えては、メタクリロキシシラン化合物に
よるエポキシ樹脂等との接着性の改善効果が低くなり好
ましくない。ここで、塩化メチレンによる抽出量は、以
下のように求めた値である。PAS粉末4gを塩化メチ
レン80gに加え、4時間ソクスレー抽出を実施した
後、室温まで冷却し、抽出後の塩化メチレン溶液を秤量
ビンに移す。更に、上記の抽出に使用した容器を塩化メ
チレン合計60gを用いて、3回に分けて洗浄し、該洗
浄液を回収後、上記秤量ビン中にまとめる。次に、約8
0℃に加熱して、該秤量ビン中の塩化メチレンを蒸発さ
せて除去し、残渣を秤量することにより求める。
【0011】(A)PASは、‐SX基(Xはアルカリ
金属又は水素原子である)が15μmol/g以上、好
ましくは18〜35μmol/g、特に好ましくは20
〜30mol/gである。該基が上記下限未満では、P
ASとメタクリロキシシラン化合物との反応性が低下す
る。ここで、‐SX基の定量は下記の通りに実施した。
PAS粉末を予め120℃で4時間乾燥した後、該PA
S粉末20gをN‐メチル‐2‐ピロリドン150gに
加えて、粉末凝集塊がなくなるように室温で30分間激
しく攪拌混合する。次に、該スラリーを濾過した後、毎
回約80℃の温水1リットルを用いて7回洗浄を繰り返
す。得られた濾過ケーキを純水200g中に再度スラリ
ー化し、次いで、1Nの塩酸を加えて該スラリーのpH
を4.5に調整する。次に、25℃で30分間攪拌し、
濾過した後、毎回約80℃の温水1リットルを用いて6
回洗浄を繰り返す。得られた濾過ケーキを純水200g
中に再度スラリー化し、次いで、1Nの水酸化ナトリウ
ムにより滴定し、定量する。
【0012】更に、(A)PASは、溶融粘度V6 が2
0〜15000ポイズ、好ましくは100〜10000
ポイズ、特に好ましくは400〜5000ポイズであ
る。上記下限未満では、機械的強度等PAS本来の特性
が得られず、またメタクリロキシシラン化合物との反応
性も十分ではなく、本発明の目的であるエポキシ樹脂等
との接着性の向上を達成することができない。上記上限
を越えては、成形加工性が低下するため好ましくない。
ここで、溶融粘度V6 は、フローテスターを用いて、3
00℃、荷重20kgf/cm2 、L/D=10/1で
6分間保持した後に測定した値である。
【0013】本発明において、(A)PASは、有機ア
ミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合
物とを反応させ、かつ反応中、反応缶の気相部分を冷却
することにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これ
を液相に還流せしめることにより製造したポリアリーレ
ンスルフィド(イ)を、有機溶媒、次いで水で洗浄して
得ることができる。
【0014】ここで、上記のPAS(イ)は、特開平5
‐222196号公報に記載の方法により製造すること
ができる。
【0015】この重合方法において、還流される液体
は、水とアミド系溶媒の蒸気圧差の故に、液相バルクに
比較して水含有率が高い。この水含有率の高い還流液
は、反応溶液上部に水含有率の高い層を形成する。その
結果、残存のアルカリ金属硫化物(例えばNa2 S)、
ハロゲン化アルカリ金属(例えばNaCl)、オリゴマ
ー等が、その層に多く含有されるようになる。従来法に
おいては230℃以上の高温下で、生成したPASとN
2 S等の原料及び副生成物とが均一に混じりあった状
態では、高分子量のPASが得られないばかりでなく、
せっかく生成したPASの解重合も生じ、チオフェノー
ルの副生成が認められる。しかし、本発明では、反応缶
の気相部分を積極的に冷却して、水分に富む還流液を多
量に液相上部に戻してやることによって上記の不都合な
現象が回避でき、反応を阻害するような因子を真に効率
良く除外でき、高分子量PASを得ることができるもの
と思われる。但し、本発明は上記現象による効果のみに
より限定されるものではなく、気相部分を冷却すること
によって生じる種々の影響によって、高分子量のPAS
が得られるのである。
【0016】この重合方法においては、従来法のように
反応の途中で水を添加することを要しない。しかし、水
を添加することを全く排除するものではない。但し、水
を添加する操作を行えば、本発明の利点のいくつかは失
われる。従って、好ましくは、重合反応系内の全水分量
は反応の間中一定である。
【0017】反応缶の気相部分の冷却は、外部冷却でも
内部冷却でも可能であり、自体公知の冷却手段により行
える。たとえば、反応缶内の上部に設置した内部コイル
に冷媒体を流す方法、反応缶外部の上部に巻きつけた外
部コイルまたはジャケットに冷媒体を流す方法、反応缶
上部に設置したリフラックスコンデンサーを用いる方
法、反応缶外部の上部に水をかける又は気体(空気、窒
素等)を吹き付ける等の方法が考えられるが、結果的に
缶内の還流量を増大させる効果があるものならば、いず
れの方法を用いても良い。外気温度が比較的低いなら
(たとえば常温)、反応缶上部に従来備えられている保
温材を取外すことによって、適切な冷却を行うことも可
能である。外部冷却の場合、反応缶壁面で凝縮した水/
アミド系溶媒混合物は反応缶壁を伝わって液相中に入
る。従って、該水分に富む混合物は、液相上部に溜り、
そこの水分量を比較的高く保つ。内部冷却の場合には、
冷却面で凝縮した混合物が同様に冷却装置表面又は反応
缶壁を伝わって液相中に入る。
【0018】一方、液相バルクの温度は、所定の一定温
度に保たれ、あるいは所定の温度プロフィールに従って
コントロールされる。一定温度とする場合、 230〜275
℃の温度で 0.1〜20時間反応を行うことが好ましい。よ
り好ましくは、 240〜265 ℃の温度で1〜6時間であ
る。より高い分子量のPASを得るには、2段階以上の
反応温度プロフィールを用いることが好ましい。この2
段階操作を行う場合、第1段階は 195〜240 ℃の温度で
行うことが好ましい。温度が低いと反応速度が小さす
ぎ、実用的ではない。 240℃より高いと反応速度が速す
ぎて、十分に高分子量のPASが得られないのみなら
ず、副反応速度が著しく増大する。第1段階の終了は、
重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率が1モル%〜40
モル%、且つ分子量が 3,000〜20,000の範囲内の時点で
行うことが好ましい。より好ましくは、重合反応系内ジ
ハロ芳香族化合物残存率が2モル%〜15モル%、且つ分
子量が 5,000〜15,000の範囲である。残存率が40モル%
を超えると、第2段階の反応で解重合など副反応が生じ
やすく、一方、1モル%未満では、最終的に高分子量P
ASを得難い。その後昇温して、最終段階の反応は、反
応温度 240〜270 ℃の範囲で、1時間〜10時間行うこと
が好ましい。温度が低いと十分に高分子量化したPAS
を得ることができず、また 270℃より高い温度では解重
合等の副反応が生じやすくなり、安定的に高分子量物を
得難くなる。
【0019】実際の操作としては、先ず不活性ガス雰囲
気下で、アミド系溶媒中のアルカリ金属硫化物中の水分
量が所定の量となるよう、必要に応じて脱水または水添
加する。水分量は、好ましくは、アルカリ金属硫化物1
モル当り0.5〜2.5モル、特に0.8〜1.2モル
とする。2.5モルを超えては、反応速度が小さくな
り、しかも反応終了後の濾液中にフェノール等の副生成
物量が増大し、重合度も上がらない。0.5モル未満で
は、反応速度が速すぎ、十分な高分子量の物を得ること
ができないと共に、副反応等の好ましくない反応が生ず
る。
【0020】反応時の気相部分の冷却は、一定温度での
1段反応の場合では、反応開始時から行うことが望まし
いが、少なくとも 250℃以下の昇温途中から行わなけれ
ばならない。多段階反応では、第1段階の反応から冷却
を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了
後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合
いは、通常反応缶内圧力が最も適した指標である。圧力
の絶対値については、反応缶の特性、攪拌状態、系内水
分量、ジハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とのモ
ル比等によって異なる。しかし、同一反応条件下で冷却
しない場合に比べて、反応缶圧力が低下すれば、還流液
量が増加して、反応溶液気液界面における温度が低下し
ていることを意味しており、その相対的な低下の度合い
が水分含有量の多い層と、そうでない層との分離の度合
いを示していると考えられる。そこで、冷却は反応缶内
圧が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度に行う
のが好ましい。冷却の程度は、都度の使用する装置、運
転条件などに応じて、当業者が適宜設定できる。
【0021】ここで使用する有機アミド系溶媒は、PA
S重合のために知られており、たとえばN‐メチルピロ
リドン(NMP)、N,N‐ジメチルホルムアミド、
N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルカプロラク
タム等、及びこれらの混合物を使用でき、NMPが好ま
しい。これらは全て、水よりも低い蒸気圧を持つ。
【0022】アルカリ金属硫化物も公知であり、たとえ
ば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫
化ルビジウム、硫化セシウム及びこれらの混合物であ
る。これらの水和物及び水溶液であっても良い。又、こ
れらにそれぞれ対応する水硫化物及び水和物を、それぞ
れに対応する水酸化物で中和して用いることができる。
安価な硫化ナトリウムが好ましい。
【0023】ジハロ芳香族化合物は、たとえば特公昭4
5‐3368号公報記載のものから選ぶことができる
が、好ましくはp‐ジクロロベンゼンである。又、少量
(20モル%以下)のジフェニルエーテル、ジフェニル
スルホン又はビフェニルのパラ、メタ又はオルトジハロ
物を1種類以上用いて共重合体を得ることができる。例
えば、m‐ジクロロベンゼン、o‐ジクロロベンゼン、
p,p´‐ジクロロジフェニルエーテル、m,p´‐ジ
クロロジフェニルエーテル、m,m´‐ジクロロジフェ
ニルエーテル、p,p´‐ジクロロジフェニルスルホ
ン、m,p´‐ジクロロジフェニルスルホン、m,m´
‐ジクロロジフェニルスルホン、p,p´‐ジクロロビ
フェニル、m,p´‐ジクロロビフェニル、m,m´‐
ジクロロビフェニルである。
【0024】PASの分子量をより大きくするために、
例えば1,3,5‐トリクロロベンゼン、1,2,4‐
トリクロロベンゼン等のポリハロ化合物を、パラ及びメ
タジハロ芳香族化合物の合計量に対して好ましくは5モ
ル%以下の濃度で使用することもできる。
【0025】また、他の少量添加物として、末端停止
剤、修飾剤としてのモノハロ化物を併用することもでき
る。
【0026】次に、有機溶媒でのPASの洗浄は、好ま
しくは以下の方法で行われる。即ち、上記工程で生成し
たPAS(イ)のスラリーを濾過した後、得られた濾過
ケーキを有機溶媒に分散させる方法である。該洗浄によ
り、PAS(イ)中に存在する比較的低分子量のオリゴ
マー成分を良好に除去し得るため好ましい。
【0027】洗浄の一態様において、まず上記工程で生
成したPAS(イ)のスラリーを濾過してPASケーキ
を得る。次いで、該PASケーキを、重量で好ましくは
0.5〜10倍の有機溶媒中に投入して、好ましくは常
温〜180℃で、好ましくは10分間〜10時間攪拌混
合した後、濾過する。該攪拌混合及び濾過操作を好まし
くは1〜10回繰り返す。該洗浄に使用する有機溶媒と
しては、上記PAS(イ)の製造工程の説明中に記載し
た有機アミド系溶媒、あるいはキシレン等が挙げられ
る。好ましくは有機アミド系溶媒が用いられる。該有機
アミド系溶媒はPAS(イ)の製造工程で使用したもの
と同一であっても、異なっていても良い。該有機アミド
系溶媒として、特に好ましくはN‐メチルピロリドンが
使用される。
【0028】引続く水洗浄は、公知の方法に従って行う
ことができる。しかし、好ましくは上記の有機溶媒で洗
浄した後に得られた濾過ケーキを、水に分散させること
により行われる。例えば、上記の濾過ケーキを、重量で
好ましくは1〜5倍の水中に投入して、好ましくは常温
〜90℃で、好ましくは5分間〜10時間攪拌混合した
後、濾過する。該攪拌混合及び濾過操作を好ましくは2
〜10回繰り返すことにより、PASに付着した溶媒及
び副生塩の除去を行って水洗浄を終了する。上記のよう
にして水洗浄を行うことにより、フィルターケーキに水
を注ぐ洗浄方法に比べて少ない水量で効率的な洗浄が可
能となる。また、本発明者らは、従来から行われている
乾燥による溶媒除去が、PASとメタクリロキシシラン
化合物との反応性を低下させていたことを見出した。し
かし、本発明のように水洗浄による溶媒除去を用いれ
ば、PASとメタクリロキシシラン化合物との高い反応
性を維持し得るのである。
【0029】本発明においては、上記のようにして得ら
れたPASに、更に酸処理を施すこともできる。該酸処
理は、100℃以下の温度、好ましくは40〜80℃の
温度で実施される。該温度が上記上限を超えると、酸処
理後のPAS分子量が低下するため好ましくない。ま
た、40℃未満では、残存している無機塩が析出してス
ラリーの流動性を低下させ、連続処理のプロセスを阻害
するため好ましくない。該酸処理に使用する酸溶液の濃
度は、好ましくは0.01〜5.0重量%である。ま
た、該酸溶液のpHは、酸処理後において、好ましくは
4.0〜5.0である。上記の濃度及びpHを採用する
ことにより、被処理物であるPAS中の‐SY (Yは
アルカリ金属を示す)末端の大部分を‐SH末端に転化
することができると共に、プラント設備等の腐食を防止
し得るため好ましい。該酸処理に要する時間は、上記酸
処理温度及び酸溶液の濃度に依存するが、好ましくは5
分間以上、特に好ましくは10分間以上である。上記未
満では、PAS中の‐SY末端を‐SH末端に十分に転
化できず好ましくない。上記酸処理には、例えば酢酸、
ギ酸、シュウ酸、フタル酸、塩酸、リン酸、硫酸、亜硫
酸、硝酸、ホウ酸、炭酸等が使用され、酢酸が特に好ま
しい。該処理を施すことにより、PAS中の不純物であ
るアルカリ金属、例えばナトリウムを低減できる。従っ
て、製品使用中のアルカリ金属、例えばナトリウム溶出
及び電気絶縁性の劣化を抑制することができる。
【0030】本発明で使用する成分(B)メタクリロキ
シシラン化合物としては、好ましくはγ‐メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ‐メタクリロキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γ‐メタクリロキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン、γ‐メタクリロキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらは単
独で使用してもよく、又は2種以上を併用することもで
きる。
【0031】成分(B)メタクリロキシシラン化合物の
配合量は、成分(A)PAS100重量部に対して、そ
の下限が0.01重量部、好ましくは0.05重量部、
特に好ましくは0.1重量部であり、上限が5.0重量
部、好ましくは3.0重量部、特に好ましくは2.0重
量部である。成分(B)が上記下限未満では樹脂組成物
のエポキシ樹脂等との接着性が低く、上記上限を超えて
は増粘による成形加工性の低下、機械的強度の低下、成
形品の外観不良やコストアップの原因となり好ましくな
い。
【0032】本発明には更に、任意成分として(C)無
機充填剤を配合することができる。(C)無機充填剤と
しては特に限定されないが、例えば粉末状/リン片状の
充填剤、繊維状充填剤などが使用できる。粉末状/リン
片状の充填剤としては、例えばアルミナ、タルク、マイ
カ、カオリン、クレー、酸化チタン、炭酸カルシウム、
ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、窒化ケイ
素、ガラス、ハイドロタルサイト、酸化ジルコニウム、
ガラスビーズ、カーボンブラック等が挙げられる。ま
た、繊維状充填剤としては、例えばガラス繊維、アスベ
スト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、シリカ/アルミナ繊
維、チタン酸カリ繊維、ポリアラミド繊維等が挙げられ
る。また、この他にZnOテトラポット、金属塩(例え
ば塩化亜鉛、硫酸鉛など)、酸化物(例えば酸化鉄、二
酸化モリブデンなど)、金属(例えばアルミニウム、ス
テンレスなど)等の充填剤を使用することもできる。こ
れらを1種単独でまたは2種以上組合せて使用できる。
【0033】成分(C)無機充填剤の配合量は、成分
(A)PAS100重量部に対して、上限が400重量
部、好ましくは200重量部、特に好ましくは100重
量部である。成分(C)が上記上限を超えては成形性が
悪化し好ましくない。また機械的強度を高めるために
は、0.01重量部以上配合するのが好ましい。
【0034】更に、必要に応じて、上記の成分の他に、
公知の添加剤及び充填剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸
収剤、離型剤、熱安定剤、滑剤、着色剤等を配合するこ
とができる。
【0035】以上のような各成分を混合する方法は、特
に限定されるものではない。一般に広く使用されている
方法、例えば各成分をヘンシェルミキサー等の混合機で
混合する等の方法を用いることができる。
【0036】本発明のPAS樹脂組成物は、通常、上記
の混合物を一軸又は二軸の押出機にて溶融混練して一旦
ペレット状の組成物とした後、例えば射出成形あるいは
圧縮成形して所望の形状に成形される。しかし、これに
限定されるものではなく、必要成分の一部をマスターバ
ッチとして混合、成形する方法も使用し得る。
【0037】本発明のPAS樹脂組成物は、エポキシ樹
脂等の熱可塑性樹脂と高い接着性を有し、電気・電子部
品の封止等の分野において有用である。
【0038】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。
【0039】
【実施例】実施例において、溶融粘度V6 は島津製作所
製フローテスターCFT‐500Cを用いて測定した値
である。
【0040】合成例1 150リットルのオートクレーブに、フレーク状硫化ソ
ーダ(60.5重量%Na2 S)19.349kgとN
MP45.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら
204℃まで昇温して、水4.838kgを留出させ
た。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷
却し、パラジクロロベンゼン(以下ではp‐DCBと略
すことがある)22.273kgとNMP18.0kg
を仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて1kg/
cm2 Gに加圧して昇温を開始した。液温が215℃で
5時間攪拌しつつ、オートクレーブ上部の外側に取り付
けた散水装置により水を散水し、オートクレーブ上部を
冷却した。その後、昇温して、液温を250℃とし、次
いで該温度で3時間攪拌し反応を進めた。次に、降温さ
せると共にオートクレーブ上部の冷却を止めた。オート
クレーブ上部を冷却中、液温が下がらないように一定に
保持した。
【0041】得られた重合スラリーを濾過した後、得ら
れた濾過ケーキを未使用のNMP中にスラリー化した
(スラリー濃度15重量%)。次いで、120℃で30
分間攪拌し、濾過してNMPを除去し、次に濾過ケーキ
を約80℃の温水(重量で濾過ケーキの約2倍)中に投
入して、約30分間十分に攪拌した後、濾過した。この
水洗浄及び濾過の操作を7回繰り返した。その後、得ら
れた濾過ケーキを120℃で約5時間熱風循環乾燥機中
で乾燥して白色粉末状のPPSを得た。得られたPPS
(P‐1)のV6 は860ポイズであった。
【0042】合成例2 合成例1と同一にして得られた重合スラリーを濾過した
後、得られた濾過ケーキを未使用のNMP中にスラリー
化した(スラリー濃度15重量%)。次いで、120℃
で30分間攪拌し、濾過してNMPを除去し、次に濾過
ケーキを約80℃の温水(重量で濾過ケーキの約2倍)
中に投入して、約30分間十分に攪拌した後、濾過し
た。この水洗浄及び濾過の操作を2回繰り返した。得ら
れた濾過ケーキを純水中にスラリー化した後、該スラリ
ーに酢酸を加えてpH5.0に調節して50℃で30分
間攪拌を行い酸処理を施した。酸処理後濾別し、純水を
加えて攪拌後濾過する操作を4回繰り返した。次に、得
られた濾過ケーキを120℃で約5時間熱風循環乾燥機
中で乾燥して白色粉末状のPPSを得た。得られたPP
S(P‐2)のV6 は790ポイズであった。
【0043】合成例3(比較例に使用) 未使用のNMPによる洗浄を行わなかった以外は、合成
例1と同じく実施した。得られたPPS(P‐3)のV
6 は740ポイズであった。
【0044】合成例4(比較例に使用) 合成例1と同一にして得られた重合スラリーを濾過した
後、そのケーキをエバポレーターで10torrの減圧
下、200℃の油浴中でNMPが留出しなくなるまで、
約1時間乾燥した。その後冷却し、約80℃の温水(重
量で濾過ケーキの約2倍)中に投入して、約30分間十
分に攪拌した後、濾過した。この水洗浄及び濾過の操作
を7回繰り返した。その後、該濾過ケーキを120℃で
5時間熱風循環乾燥機中で乾燥し、茶褐色粉末状の製品
を得た。得られたPPS(P‐4)のV6 は1030ポ
イズであった。
【0045】合成例5(比較例に使用) 重合助剤として酢酸ナトリウム三水塩8.0kgを添加
し、p‐DCB22.750kgを仕込み、かつオート
クレーブ上部の冷却を実施しなかった以外は合成例1と
同一の条件で実施した。得られたPPS(P‐5)のV
6 は1110ポイズであった。
【0046】
【実施例1〜5及び比較例1〜5】表1に示す量(重量
部)の各PPS、メタクリロキシシラン化合物及びガラ
スファイバー(CS 3J‐961S、商標、日東紡績
株式会社製)をヘンシェルミキサーで5分間予備混合し
て均一にした後、20mmφの二軸異方向回転押出機を
使用して、バレル設定温度300℃、回転数400rp
mで溶融混練し押出してペレットを作成した。得られた
ペレットから、シリンダー温度320℃、金型温度13
0℃に設定した射出成形機により、JIS K6850
に従う試験片を作成した。JIS K6850に準拠
し、得られた試験片をエポキシ樹脂系接着剤[長瀬チバ
株式会社製、主剤(XNR3101、商標)/硬化剤
(XNH3101、商標)=100重量部/33.3重
量部]を用いて90℃、30分の硬化条件で接着した
後、引張速度5mm/分、チャック間距離130mmで
引張試験を行い、接着強度を測定した。
【0047】ここで、メタクリロキシシラン化合物とし
て、γ‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(A174、商標、日本ユニカー株式会社製)を使用し
た。
【0048】以上の結果を表1に示す。
【0049】
【表1】 実施例1は、本発明の樹脂組成物であり良好な接着強度
を有していた。実施例2は、実施例1で用いた(A)P
PSに更に酸処理を施したPPSを用いた樹脂組成物で
ある。実施例1と同様に、良好な接着強度を示した。実
施例3〜5は、実施例2と同一条件において、(B)メ
タクリロキシシラン化合物の含有量を本発明の範囲内で
増加させた樹脂組成物である。(B)の含有量を増加す
ると、接着強度が増加することが分かった。
【0050】一方、比較例1〜3は、いずれも塩化メチ
レン抽出量が本発明の範囲を超えるPPSを用いたもの
である。比較例1は実施例1と比べて、また、比較例2
及び3は実施例3と比べて、接着強度はいずれも著しく
低かった。比較例4は、‐SX基の量が本発明の範囲未
満のPPSを用いたものである。同じく実施例3と比べ
て、接着強度は著しく低かった。比較例5は、実施例1
と同一条件において(B)メタクリロキシシラン化合物
を配合しなかったものである。(B)を配合しないと、
接着強度が著しく低い。
【0051】
【発明の効果】本発明は、従来のPASの持つ高い耐熱
性と機械的強度に加えて、エポキシ樹脂等との接着性に
優れたPAS樹脂組成物を提供する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)塩化メチレンによる抽出量が0.7
    重量%以下であり、溶融粘度V6 が20〜15000ポ
    イズであり、かつ‐SX基(Xはアルカリ金属又は水素
    原子である)が15μmol/g以上であるポリアリー
    レンスルフィド 100重量部、(B)メタクリロキシ
    シラン化合物 0.01〜5.0重量部、及び(C)無
    機充填剤 0〜400重量部を含むポリアリーレンスル
    フィド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (B)メタクリロキシシラン化合物を
    0.05〜3.0重量部含む請求項1記載の樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 (B)メタクリロキシシラン化合物を
    0.1〜2.0重量部含む請求項1記載の樹脂組成物。
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