JPH09302115A - 高分子電解質複合膜及びその製造方法 - Google Patents

高分子電解質複合膜及びその製造方法

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JPH09302115A
JPH09302115A JP8119293A JP11929396A JPH09302115A JP H09302115 A JPH09302115 A JP H09302115A JP 8119293 A JP8119293 A JP 8119293A JP 11929396 A JP11929396 A JP 11929396A JP H09302115 A JPH09302115 A JP H09302115A
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para
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克彦 岩崎
Atsushi Terahara
淳 寺原
Michihisa Isobe
通久 磯部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高温時においても安全に作動し得る電池を与え
る高分子電解質膜を提供するものである。 【解決手段】パラ配向芳香族ポリアミドからなる多孔質
膜の空隙中に高分子電解質を充填してなる高分子電解質
複合膜、及び下記の(a)〜(d)の工程を有する、該
高分子電解質複合膜の製造方法。 (a)極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒中に、固
有粘度が1.0〜2.5dl/gであるパラ配向芳香族
ポリアミドを1〜10重量%、アルカリ金属またはアル
カリ土類金属の塩化物を1〜10重量%を含む溶液から
膜状物を形成する工程。 (b)該膜状物を20℃以上または−10℃以下の温度
に保持し、パラ配向芳香族ポリアミドを析出させる工
程。 (c)工程(b)で得られた膜状物を水系溶液またはア
ルコール系溶液に浸漬し、溶媒とアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の塩化物を溶出させ、次いで乾燥させ膜
を得る工程。 (d)高分子電解質を充填して高分子電解質複合膜を得
る工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子電解質複合
膜に関する。高分子電解質複合膜は一次電池、二次電
池、エレクトロクロミックデバイス、センサーなど、イ
オン伝導度が高く、かつ高い機械的強度が要求される分
野に広く利用できる。
【0002】
【従来の技術】非水系の電解液を用いるリチウム電池あ
るいはリチウム二次電池は、その高電圧、高エネルギー
密度が得られるといった特性から大いに期待されている
が、同時に内在する危険性のために種々の安全策を講じ
る必要がある。これらの電池は、正・負極間に多孔質膜
からなるセパレーターを介在させ、膜の空隙内にリチウ
ム塩を溶解した電解液を含浸した構造が主である。この
多孔質セパレーターにポリエチレンやポリプロピレン等
の熱可塑性樹脂膜を用いると、例えば、局所内部短絡に
よる電池の温度上昇にはセパレーターの軟化と孔の閉塞
によるシャットダウン機構によりそれ以上の温度上昇を
防止することができ、安全策の一つとなることが特開昭
60−23954号公報に記載されている。しかし、熱
可塑性のセパレーターを用いた電解質膜にあっては、局
所内部短絡による電池の温度上昇にはセパレーターのシ
ャットダウン機構により温度上昇を防止できても、例え
ば、外部から加熱し続けられた場合には、セパレーター
の軟化と孔の閉塞のみに留まらず、セパレーターの流動
・破断へと進行して正・負極の大面積での直接接触を起
こし急激な温度上昇を招く。
【0003】特開平7−335228号公報には、イオ
ン伝導性を付与したアラミドフィルムよりなる耐熱性の
セパレーターを用いることで上記の問題点の解決を図っ
ている。しかし、該公報に記載の電解質中あるいは一般
的によく用いられているリチウム二次電池中には非水系
電解液中に有機溶剤が含まれているため、実質的にそれ
らの溶剤の沸点以上では溶剤がガス化するため電池とし
ての使用が不可能となるといった問題点がある。
【0004】特開平2−291607号公報にはこの問
題を解決するために、有機溶剤の代りに、イオン伝導性
高分子をポリオレフィン多孔質セパレーターに充填した
電解質膜が開示されている。しかし、この有機溶剤を用
いない電解質であってもセパレーターに熱可塑性の材料
を用いるため、前述したように外部からの加熱等により
セパレーターの流動・破断が起こると正・負極間の大面
積での直接接触を起こし、電池としての使用が不可能に
なる恐れがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる現状下、本発明
の目的は、高温時においても安全に作動し得る電池を与
える高分子電解質膜を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような事情をみて、
本発明者らは鋭意研究の結果本発明に到達した。即ち本
発明は、パラ配向芳香族ポリアミドからなる多孔質膜の
空隙中に高分子電解質を充填してなる高分子電解質複合
膜にかかるものである。
【0007】また、本発明は、下記の(a)〜(d)の
工程を有する、パラ配向芳香族ポリアミドからなる多孔
質膜の空隙中に高分子電解質を充填してなる高分子電解
質複合膜の製造方法にかかるものである。 (a)極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒中に、固
有粘度が1.0〜2.5dl/gであるパラ配向芳香族
ポリアミドを1〜10重量%、アルカリ金属またはアル
カリ土類金属の塩化物を1〜10重量%を含む溶液から
膜状物を形成する工程。 (b)該膜状物を20℃以上または−10℃以下の温度
に保持し、パラ配向芳香族ポリアミドを析出させる工
程。 (c)工程(b)で得られた膜状物を水系溶液またはア
ルコール系溶液に浸漬し、溶媒とアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の塩化物を溶出させ、次いで乾燥させ膜
を得る工程。 (d)高分子電解質を充填して高分子電解質複合膜を得
る工程。
【0008】さらに、本発明は、下記の(e)〜(h)
の工程を有する、パラ配向芳香族ポリアミドからなる多
孔質膜の空隙中に高分子電解質を充填してなる高分子電
解質複合膜の製造方法にかかるものである。 (e)極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒中に、固
有粘度が1.0〜2.5dl/gであるパラ配向芳香族
ポリアミドを1〜10重量%、アルカリ金属またはアル
カリ土類金属の塩化物を1〜10重量%を含む溶液から
膜状物を形成する工程。 (f)該膜状物を、極性アミド系溶媒または極性尿素系
溶媒を0〜70重量%含有する凝固液に浸漬して、パラ
配向芳香族ポリアミドを析出させる工程。 (g)工程(f)で得られた膜状物を水系溶液またはア
ルコール系溶液に浸漬し、溶媒とアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の塩化物を溶出させ、次いで乾燥させ膜
を得る工程。 (h)高分子電解質を充填して高分子電解質複合膜を得
る工程。 以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で、パラ配向芳香族ポリア
ミド(以下、パラアラミドと呼ぶことがある。)とは、
アミド結合が芳香族環のパラ位またはそれに準じた配向
位(例えば、4,4’−ビフェニレン、1,5−ナフタ
レン、2,6−ナフタレンなどのような反対方向同軸ま
たは平行に延びる配向位)で結合される繰り返し単位か
ら実質的になるものであり、高強度、高弾性率等の優れ
た機械的特性と、融点・ガラス転移点を有さず、熱分解
温度が500℃以上に及ぶこともある高耐熱性の高分子
である。具体的には、ポリ(パラフェニレンテレフタル
アミド)、ポリ(パラベンズアミド、ポリ(4,4’−
ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニ
レン−4,4’ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポ
リ(パラフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸
アミド)、ポリ(2−クロロ−パラフェニレンテレフタ
ルアミド)、パラフェニレンジアミン/2,6−ジクロ
ロパラフェニレンジアミン/テレフタル酸ジクロライド
からなる共重合体などのパラ配向型またはパラ配向型に
準じた構造を有するパラアラミドが例示される。その合
成法は、例えば特公昭50−8474号公報記載の方法
が公知である。
【0010】本発明で使用するパラ配向芳香族ポリアミ
ドからなる多孔質膜の製造方法には特に制限はなく、例
えばアミド系溶液に溶解した芳香族ポリアミド溶液を膜
状に流延し、次いで固化した後に溶媒を抽出して多孔膜
とする方法等である。好ましいパラ配向芳香族ポリアミ
ド多孔質膜の製造方法としては、パラ配向芳香族ポリア
ミド溶液を膜状に流延後、20℃以上または−10℃以
下の温度に保持し、パラ配向芳香族ポリアミドを析出さ
せ、その後に溶媒を抽出する方法、または膜状に流延後
すぐに凝固液に浸漬してパラ配向芳香族ポリアミドを析
出させ、その後に溶媒を抽出する方法が挙げられる。前
者の方法の具体例としては、下記の(a)〜(c)の工
程から製造する方法が挙げられる。
【0011】(a)極性アミド系溶媒または極性尿素系
溶媒中に、固有粘度が1.0〜2.5dl/gであるパ
ラ配向芳香族ポリアミドを1〜10重量%、アルカリ金
属またはアルカリ土類金属の塩化物を1〜10重量%を
含む溶液から膜状物を形成する工程。 (b)該膜状物を20℃以上または−10℃以下の温度
に保持し、パラ配向芳香族ポリアミドを析出させる工
程。 (c)工程(b)で得られた膜状物を水系溶液またはア
ルコール系溶液に浸漬し、溶媒とアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の塩化物を溶出させ、次いで乾燥させ膜
を得る工程。
【0012】それぞれの工程をさらに詳しく説明する。
工程(a)で使用されるパラアラミド溶液は、例えば、
以下に記すような操作により好適に製造できる。すなわ
ち、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物を1〜
10重量%溶解した極性アミド系溶媒又は極性尿素系溶
媒中で、パラ配向芳香族ジアミン1.0モルに対して、
パラ配向芳香族ジカルボン酸ハライド0.94〜0.9
9モルを添加して、温度−20℃〜50℃で縮合重合し
て、パラアラミド濃度が1〜10重量%であるパラアラ
ミド溶液を製造する。
【0013】パラアラミド溶液中のアルカリ金属又はア
ルカリ土類金属の塩化物の量は、1〜10重量%、より
好ましくは2〜8重量%である。一般には、アルカリ金
属又はアルカリ土類金属の塩化物が1重量%未満では、
パラアラミドの溶解性が不十分であり、10重量%を越
えてはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物は極
性アミド系溶媒又は極性尿素系溶媒に溶解しない。より
正確には、パラアラミド溶液中のアルカリ金属又はアル
カリ土類金属の塩化物の量は、パラアラミド量(パラア
ラミド中のアミド基)に対して範囲が決められる。即
ち、上記塩化物の重合系への添加量は縮合重合で生成す
るアミド基1.0モル当たり0.5〜6.0モルの範囲
が好ましく、1.0〜4.0モルの範囲がより好まし
い。塩化物が0.5モル未満では生成するパラアラミド
の溶解性が不十分となる。6.0モルを越えると実質的
に塩化物の溶媒への溶解量を越えるので好ましくない。
【0014】パラアラミド溶液中のパラアラミド濃度は
1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%である。
パラアラミド濃度が1重量%未満では、生産性が著しく
低下し工業的に不利となる。パラアラミドが10重量%
を越えるとパラアラミドが析出し安定なパラアラミド溶
液とならない。
【0015】工程(a)でのパラアラミドは、固有粘度
(本発明において固有粘度とは、後に定義するものをい
う)で表して、1.0〜2.5dl/g、好ましくは
1.5〜2.3dl/gの値を示すパラアラミドをい
う。固有粘度が1.0dl/g未満では十分なフィルム
強度が得られない。固有粘度が2.5dl/gを越える
と安定なパラアラミド溶液となりにくく、パラアラミド
が析出しフィルム化が困難となる。
【0016】工程(a)においてパラアラミドの縮合重
合に用いられるパラ配向芳香族ジアミンを例示すると、
パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノビフェニ
ル、2−メチル−パラフェニレンジアミン、2−クロロ
−パラフェニレンジアミン、2,6−ジクロロ−パラフ
ェニレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、1,
5−ナフタレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズア
ニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル等を挙
げることができる。パラ配向芳香族ジアミンは1種又は
2種を混合して縮合重合に供することができる。
【0017】工程(a)においてパラアラミドの縮合重
合に用いられるパラ配向芳香族ジカルボン酸ジハライド
を例示すると、テレフタル酸クロライド、ビフェニル−
4,4’−ジカルボン酸クロライド、2−クロロテレフ
タル酸クロライド、2,5−ジクロロテレフタル酸クロ
ライド、2−メチルテレフタル酸クロライド、2,6−
ナフタレンジカルボン酸クロライド、1,5−ナフタレ
ンジカルボン酸クロライド等を挙げることができる。パ
ラ配向芳香族ジカルボン酸ジハライドは1種又は2種を
混合して縮合重合に供することができる。
【0018】工程(a)においてパラアラミドの縮合重
合は、極性アミド系溶媒又は極性尿素系溶媒において行
われる。これらの溶媒の例としては、N,N−ジメチル
ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メ
チル−2−ピロリドン、又はN,N,N’,N’−テト
ラメチルウレアが挙げられ、特に好ましくはN−メチル
−2−ピロリドンであるが、これらに限定されるもので
はない。
【0019】工程(a)において、パラアラミドの溶媒
への溶解性を改善する目的で、アルカリ金属又はアルカ
リ土類金属の塩化物が好適に使用される。具体例として
は、塩化リチウム又は塩化カルシウムが挙げられるが、
これらに限定されるものではない。
【0020】上記塩化物の重合系への添加量は上述の如
く縮合重合で生成するアミド基1.0モル当たり0.5
〜6.0モルの範囲が好ましく、1.0〜4.0モルの
範囲がより好ましい。
【0021】工程(b)では、工程(a)においてパラ
アラミド溶液から膜状に形成した後、凝固する前に、パ
ラアラミドを析出させる。その方法としては、20℃以
上または−10℃以下の温度にて一定時間保持する(以
下、それぞれ高温析出法および低温析出法と呼ぶことが
ある)。最終的に得られる多孔質膜の空隙率、孔径など
の形態因子は、該析出温度および保持時間によっても制
御することができる。
【0022】工程(c)では、工程(b)で得られた膜
状物より、溶媒とアルカリ金属またはアルカリ土類金属
の塩化物を除去する。除去方法には、例えば、膜状物を
溶液に浸漬して溶媒と塩化物を溶出させる方法がある。
膜状物から溶媒を蒸発で除いた場合には、再度水などの
溶液に浸漬して塩化物を溶出させる方法などを採用する
こともできる。溶媒または塩化物を溶出させるときの溶
液としては、水系溶液またはアルコール系溶液が溶媒と
塩化物を共に溶解できるので好ましい。水系溶液として
は、水を用いてもよい。溶媒と塩化物が除去された膜状
物は、ついで乾燥され目的とする多孔質膜が製造され
る。乾燥方法は特に限定されず、公知の種々の方法を用
いることができる。
【0023】好ましいパラ配向芳香族ポリアミド多孔質
膜の製造方法として挙げた、パラ配向芳香族ポリアミド
溶液を膜状に流延後、すぐに凝固液に浸漬してパラ配向
芳香族ポリアミドを析出させ、その後に溶媒を抽出する
方法(以下、凝固液浸漬法と呼ぶことがある。)の具体
例としては、下記の(e)〜(g)の工程から製造する
方法が挙げられる。
【0024】(e)極性アミド系溶媒または極性尿素系
溶媒中に、固有粘度が1.0〜2.5dl/gであるパ
ラ配向芳香族ポリアミドを1〜10重量%、アルカリ金
属またはアルカリ土類金属の塩化物を1〜10重量%を
含む溶液から膜状物を形成する工程。 (f)該膜状物を、極性アミド系溶媒または極性尿素系
溶媒を0〜70重量%含有する凝固液に浸漬して、パラ
配向芳香族ポリアミドを析出させる工程。 (g)工程(f)で得られた膜状物を水系溶液またはア
ルコール系溶液に浸漬し、溶媒とアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の塩化物を溶出させ、次いで乾燥させ膜
を得る工程。
【0025】工程(f)で使用する凝固液としては、極
性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒を1〜70%含有
する凝固液が好適に用いられる。凝固液中の極性アミド
系溶媒または極性尿素系溶媒の濃度が1%未満では、溶
媒回収工程での負荷が大きすぎて工業的に不利である。
高濃度側は特に限定することはないが、濃度が70%を
越えると凝固に時間を要し、パラアラミドが析出するま
で膜状物の形態を保持しておくことが難しくなる。凝固
液はパラアラミドを溶解しない溶媒で、極性アミド系溶
媒または極性尿素系溶媒と相溶するものである。好まし
くは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物も
溶解できる溶媒である。具体的には、水およびメタノー
ルなどのアルコール類が挙げられる。水系溶液またはア
ルコール系溶液中の極性アミド系溶媒または極性尿素系
溶媒の種類は特に限定されないが、パラアラミド溶液に
使用される溶媒を使用する方が、工業的には溶媒回収工
程が簡素化されるので好ましい。最終的に得られる多孔
質膜の空隙率、孔径などの形態因子は、用いる凝固液の
種類および凝固液中の極性アミド系溶媒または極性尿素
系溶媒の濃度によっても制御することができる。
【0026】尚、工程(e)は工程(a)と、又工程
(g)は工程(c)と同じ工程であり、それぞれ同様な
操作が行われる。
【0027】かかる製造方法により得られるパラ配向芳
香族ポリアミドからなる多孔質膜においては、パラ配向
芳香族ポリアミドからなる径が5μm以下のフィブリル
が不織布状に配置され、かつ層状構造を有し、特に本発
明の高分子電解質複合膜に好適に用いられる。
【0028】本発明で使用するパラ配向芳香族ポリアミ
ドからなる多孔質膜の膜厚は3〜100μmが好まし
い。さらに好ましくは、10〜30μmである。3μm
より薄いと多孔質膜の機械的強度が不足し、100μm
より厚いと膜の伝導度が低下しそれぞれ好ましくない。
【0029】本発明で使用するパラ配向芳香族ポリアミ
ドからなる多孔質膜の空隙率は20〜80%が好まし
い。さらに好ましくは30〜70%である。20%より
低いとイオン伝導相組成の低下により電気抵抗が増加
し、80%より高いと多孔質膜の機械的強度が不足しそ
れぞれ好ましくない。
【0030】また、本発明で使用するパラ配向芳香族ポ
リアミドからなる多孔質膜を調製する際あるいは調製後
に、膜強度を向上させるために二官能あるいは多官能性
のイソシアネート等の鎖延長剤を、本発明の目的に反し
ない範囲内で使用することもできる。
【0031】また、通常の高分子に使用される表面改質
剤、安定剤等の添加剤を、本発明の目的に反しない範囲
内で使用することもできる。
【0032】本発明の高分子電解質に使用する高分子に
は、イオン伝導性を有し多孔質膜の空隙内に充填できる
ものであれば特に制限はなく、通常のリチウム電池等に
利用される高分子を広く適用することができる。該高分
子には、例えばポリアルキレンオキシド、ポリイミン、
ポリエステル、ポリシロキサンおよびそれらの構造を含
む誘導体等が挙げられる。好ましくは、ポリアルキレン
オキシドあるいはポリアルキレンオキシドの構造を含む
誘導体であり、例えばポリアルキレンオキシド、ポリア
ルキレンオキシドモノメチルエーテル、ポリアルキレン
オキシドジメチルエーテル、ポリアルキレンオキシドモ
ノエチルエーテル、ポリアルキレンオキシドジエチルエ
ーテル、(メタ)アクリロイル変性ポリアルキレンオキ
シド重合物、ポリアルキレンオキシドモノビニルエーテ
ル重合物、ポリアルキレンオキシドグラフトポリホスフ
ァゼン等が挙げられる。該ポリアルキレンオキシドある
いはポリアルキレンオキシドの構造を含む誘導体におけ
るポリアルキレンオキシド部分の平均重合度は3〜20
0が好ましい。さらに好ましくは4〜150であり、最
も好ましくは4〜100である。平均重合度が3より小
さいとポリアルキレンオキシドの熱安定性が低下し、平
均重合度が200より大きいとイオン伝導度が低下しそ
れぞれ好ましくない。ポリアルキレンオキシドには、エ
チレンオキシドまたはプロピレンオキシドの単独重合体
または共重合体が好適に用いられる。
【0033】本発明で高分子電解質に使用するアルカリ
金属塩は、アルカリ電池に使用できるものであれば特に
制限はなく、例えば、LiCl、LiNO3 、LiClO4、LiBF4
LiAsF6、CF3SO3Li、LiPF6 、LiI 、LiN(CF3SO2)2、LiC
(CF3SO2)3、NaClO4、NaBF4 、NaI 、KPF6 等が好適に
利用できる。
【0034】本発明の最終目的である高分子電解質複合
膜を得る工程(d)又は(h)は、パラ配向芳香族ポリ
アミド多孔質膜の空隙中に高分子電解質を充填する方法
であれば特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩を溶
解したイオン伝導性高分子溶液にパラ配向芳香族ポリア
ミド多孔質膜を浸漬あるいは該溶液を塗布して充填する
方法、パラ配向芳香族ポリアミド多孔質膜にアルカリ金
属塩、モノマーおよび/またはマクロマー、重合開始剤
および連鎖移動剤を含浸した後、放射線照射あるいは加
熱等により重合を開始し複合体とする方法等が適用でき
る。好ましくは、アルカリ金属塩を溶解したイオン伝導
性高分子溶液にパラ配向芳香族ポリアミド多孔質膜を浸
漬あるいは該溶液を塗布して充填する方法である。浸漬
あるいは塗布にて充填する場合は、必要に応じて加熱、
超音波照射、減圧操作、加圧操作、ローラープレス操
作、揮発性溶媒による高分子電解質の希釈および含浸後
の溶媒除去操作等を単独あるいは併用して用いてもよ
い。
【0035】また、本発明の高分子電解質複合膜を製造
する際に、高分子電解質中に通常の高分子に使用される
可塑剤、安定剤等の添加剤を本発明の目的に反しない範
囲内で使用できることは自明である。また、本発明の高
分子電解質複合膜を製造する際に、高分子電解質中に鎖
延長剤、ゲル化剤等を添加しておき充填後に鎖延長反
応、ゲル化反応することも可能である。
【0036】また、本発明の高分子電解質複合膜に用い
る高分子電解質には、実質的に有機溶剤を含まないが、
安全性を確保できる範囲において有機溶剤を添加しても
よい。該有機溶剤の例としては、電池に用いられる非水
系電解液が挙げられる。
【0037】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳しく説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、各物性の測定条件は次の通りである。
【0038】(1)固有粘度 本発明において固有粘度とは、次の測定方法によるもの
である。即ち、96〜98%硫酸100mlにパラアラ
ミド重合体0.5gを溶解した溶液及び96〜98%硫
酸について、それぞれ毛細管粘度計により30℃にて流
動時間を測定し、求められた流動時間の比から次式によ
り固有粘度を求めた。 固有粘度=ln(T/T0 )/C 〔単位:dl/g〕 ここでT及びTO はそれぞれパラアラミド硫酸溶液及び
硫酸の流動時間であり、Cはパラアラミド硫酸溶液中の
パラアラミド濃度(g/dl)を示す。
【0039】(2)空隙率 膜を正方形状に切取り(一辺の長さL:cm)、重量
(W:g)、厚み(D:cm)を測定した。パラアラミ
ドの真比重を1.45g/cm3 と仮定して、次式によ
り空隙率(体積%)を求めた。 空隙率(体積%)=100−100×(W/1.45)
/(L2 ×D)
【0040】(3)引張試験 得られた膜からダンベル社製ダンベルカッターにて試験
片を打ち抜き、インストロンジャパン社製インストロン
万能引張試験機モデル4301を用い、JISK−71
27に準じて引張強度を求めた。
【0041】(4)イオン伝導度 アルゴン雰囲気下、高分子電解質複合膜片を直径18m
mの白金電極板2枚で挟み、伝導度測定用密閉型セルに
組んだ。セルを恒温槽に入れ、−20℃〜60℃まで温
度を変化させながら複素インピーダンスの周波数特性を
測定し、抵抗値を求めイオン伝導度を算出した。
【0042】実施例1 (1)ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の重合 撹拌翼、温度計、窒素流入管及び粉体添加口を有する5
リットルのセパラブルフラスコを使用してポリ(パラフ
ェニレンテレフタルアミド)(以下、PPTAというこ
とがある。)の重合を行った。フラスコを十分乾燥し,
N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPということ
がある。)4200gを仕込み、200℃で2時間乾燥
した塩化カルシウム272.7gを添加して100℃に
昇温した。塩化カルシウムが完全に溶解した後室温に戻
して、パラフェニレンジアミン(以下、PPDというこ
とがある。)132.9gを添加し完全に溶解させた。
この溶液を20±2℃に保ったまま、テレフタル酸ジク
ロライド(以下、TPCということがある。)243.
3gを10分割して約5分おきに添加した。その後溶液
を20±2℃に保ったまま1時間熟成し、気泡を抜くた
め減圧下30分撹拌した。得られた重合液(重合体ドー
プ)は光学的異方性を示した。一部をサンプリングして
水で再沈してポリマーとして取り出し、得られたPPT
Aの固有粘度を測定したところ1.98dl/gであっ
た。
【0043】(2)PPTA溶液の調製 上記(1)の重合液100gを、撹拌翼、温度計、窒素
流入管および液体添加口を有する500mlのセパラブ
ルフラスコに秤取し、塩化カルシウムを溶解させたNM
P溶液を徐々に添加した。最終的に、PPTA濃度が
2.0重量%で、塩化カルシウムがPPTAのアミド基
(重合時の仕込みPPD量よりの計算値)に対し4倍モ
ルのPPTA溶液を調製した。
【0044】(3)多孔質膜の調製(高温析出法) 上記(2)で調製したPPTA溶液をガラス板上にテス
ター産業株式会社製バーコーターにより膜状に形成し
(膜厚0.60mm)、直ちに、60℃の加熱オーブン
に約20分間保持した。この間に、PPTAが析出して
膜は白濁した。この膜をイオン交換水に浸漬した。数分
後に、膜はガラス板から剥離した。イオン交換水を流し
ながら、この膜を約1時間浸漬した後、直径11cmの円
形濾紙上に取り出した。膜を乾いた濾紙に移し換え、濾
紙で挟んだまま円形枠に固定し120℃で2時間乾燥し
た。得られた膜は厚みが11.4μmで空隙率は45%
であった。走査型電子顕微鏡で膜を観察したところ、約
0.1μm以下のフィブリル状PPTA繊維からなる、
多数の空隙を有する多孔質膜であった。
【0045】(4)高分子電解質複合膜の調製 80℃において24時間真空加熱乾燥した分子量が25
0のポリエチレンオキシドジメチルエーテル(独国メル
ク社製)8gに、2gのLiBF4 を添加し、アルゴン雰囲
気下80℃にて2時間攪拌してLiBF4 を完全に溶解し高
分子電解質を調製した。2cm角に切りだした上記
(3)で得られた多孔質膜を80℃にて該高分子電解質
に浸漬し、加熱を停止して一晩放置することで高分子電
解質が孔内に充填された複合膜を調製した。該複合膜の
イオン伝導度の温度依存性を表1に示す。該複合膜は、
30℃において7.5×10-5S/cmの高いイオン伝
導度を示した。
【0046】実施例2 分子量が500のポリエチレンオキシドジメチルエーテ
ル(独国メルク社製)を用いた以外は実施例1(4)と
同様にして調製した高分子電解質複合膜のイオン伝導度
の温度依存性を表1に示す。該複合膜は、30℃におい
て3.7×10 -5S/cmの高いイオン伝導度を示し
た。
【0047】実施例3 (1)パラ配向芳香族ポリアミド多孔質膜の調製(凝固
液浸漬法) 実施例1(2)で調製したPPTA溶液をガラス板上に
テスター産業株式会社製バーコーターにより膜状に形成
し(膜厚0.35mm)、10%のNMPを含むイオン
交換水に浸漬した。数分後に膜状物はガラス板から剥離
した。イオン交換水を流しながら、この膜状物を約1時
間浸漬した。次に、水中より膜状物を取り出し、遊離水
をふき取ったあと濾紙にはさみ、さらにガラスクロスに
はさんだ。該膜状物を濾紙とガラスクロスではさんだ状
態で、アルミ板に乗せその上にナイロンフィルムを被
せ、ナイロンフィルムとアルミ板とをガムでシールし
て、減圧のための導管をつけた。全体を熱オーブンに入
れ120℃で減圧しながら該膜状物を乾燥した。得られ
た膜は厚みが15. 1μmで、空隙率は62. 3%あ
り、強度は6. 3kg/mm2 であった。また、走査型
電子顕微鏡で観察したところ、得られた多孔質膜のガラ
ス板側は約0.1μmのフィブリル状PPTA繊維から
なる多数の空隙を有していた。反対側は10〜30nm
の孔が無数に空いた形態であった。
【0048】(2)高分子電解質複合膜の調製 上記(1)で得られた多孔質膜を用いた以外は実施例1
(4)と同様の方法により高分子電解質複合膜を調製し
た。該高分子電解質複合膜のイオン伝導度の温度依存性
を表1に示す。該複合膜は、30℃において4.1×1
-5S/cmの高いイオン伝導度を示した。
【0049】(3)高分子電解質複合膜の電池評価 コバルト酸リチウム粉末、炭素質導電材粉末およびポリ
フッ化ビニリデンを重量比87:10:3で混合したペ
ースト(N−メチルピロリドン溶媒)を20μmのアル
ミニウム箔に塗布し、乾燥、プレスして厚さ90μm の
正極シートを作製した。負極は1mm厚のリチウムシー
トを用いた。高分子電解質複合膜は、実施例1(4)に
記載した調製法に準じて、分子量が250の両末端メト
キシポリエチレンオキシド10gとプロピレンカーボネ
ート2gの混合溶媒に1.8gのLiPF6 を溶解し、得ら
れた溶液に1.5cm×2.0cmの上記のパラ配向芳
香族ポリアミド多孔質膜を浸漬することで調製した。電
池は、正極面積を2.34cm2 とした平板型構造と
し、上記で準備したものをアルゴン雰囲気ボックス内
で、負極シート、高分子電解質複合膜、正極シートの順
に重ねた後、正極にも充分に電解質を含浸させて作製し
た。作製した電池を、25℃、充電電圧4.3V、放電
電圧2.75Vにて充放電したところ放電容量は4.3
mAH(放電電流0.154mA)であった。
【0050】(4)電池の加熱試験 上記の充放電試験後に充電状態にした電池を、150
℃、30分間恒温槽にて加熱した後、再び25℃、放電
電圧2.75Vにて放電容量を測定したところ、3.8
mAH(放電電流0.154mA)で正常に動作した。
【0051】比較例1 パラ配向芳香族ポリアミド多孔質膜の代わりに膜厚25
μmのポリプロピレン製多孔質膜(セラニーズ社製、セ
ルガード#2400)を用いた以外は実施例3(3)と同様
にして電池評価を、また実施例3(4)と同様にして加
熱試験を行なった。充電電圧4.3V、放電電圧2.7
5Vで充放電したところ放電容量は4.2mAH(放電
電流0.154mA)であったが、150℃、30分間
の加熱試験の際には短絡した。加熱試験中にポリプロピ
レン製多孔質膜が溶融・破断したものと思われる。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明におい
て、高温時においても安全に作動する高分子電解質複合
膜を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01M 10/40 H01M 10/40 Z B

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パラ配向芳香族ポリアミドからなる多孔質
    膜の空隙中に高分子電解質を充填してなることを特徴と
    する高分子電解質複合膜。
  2. 【請求項2】高分子電解質が、平均重合度3〜200の
    アルキレンオキシドの単独重合体および/または共重合
    体構造を主鎖および/または側鎖に有する高分子とアル
    カリ金属塩とからなることを特徴とする請求項1記載の
    高分子電解質複合膜。
  3. 【請求項3】アルキレンオキシドがエチレンオキシドお
    よび/またはプロピレンオキシドであることを特徴とす
    る請求項2記載の高分子電解質複合膜。
  4. 【請求項4】実質的に有機溶剤を含まない高分子電解質
    からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の高分子電解質複合膜。
  5. 【請求項5】パラ配向芳香族ポリアミドが、ポリ(パラ
    フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミ
    ド)、ポリ(4,4’−ベンズアニリドテレフタルアミ
    ド)、ポリ(パラフェニレン−4,4’−ビフェニレン
    ジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2,6
    −ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロ
    −パラフェニレンテレフタルアミド)、又はパラフェニ
    レンジアミン/2,6−ジクロロパラフェニレンジアミ
    ン/テレフタル酸ジクロライドからなる共重合体である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高分
    子電解質複合膜。
  6. 【請求項6】下記の(a)〜(d)の工程を有すること
    を特徴とする、パラ配向芳香族ポリアミドからなる多孔
    質膜の空隙中に高分子電解質を充填してなる高分子電解
    質複合膜の製造方法。 (a)極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒中に、固
    有粘度が1.0〜2.5dl/gであるパラ配向芳香族
    ポリアミドを1〜10重量%、アルカリ金属またはアル
    カリ土類金属の塩化物を1〜10重量%を含む溶液から
    膜状物を形成する工程。 (b)該膜状物を20℃以上または−10℃以下の温度
    に保持し、パラ配向芳香族ポリアミドを析出させる工
    程。 (c)工程(b)で得られた膜状物を水系溶液またはア
    ルコール系溶液に浸漬し、溶媒とアルカリ金属またはア
    ルカリ土類金属の塩化物を溶出させ、次いで乾燥させ膜
    を得る工程。 (d)高分子電解質を充填して高分子電解質複合膜を得
    る工程。
  7. 【請求項7】下記の(e)〜(h)の工程を有すること
    を特徴とする、パラ配向芳香族ポリアミドからなる多孔
    質膜の空隙中に高分子電解質を充填してなる高分子電解
    質複合膜の製造方法。 (e)極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒中に、固
    有粘度が1.0〜2.5dl/gであるパラ配向芳香族
    ポリアミドを1〜10重量%、アルカリ金属またはアル
    カリ土類金属の塩化物を1〜10重量%を含む溶液から
    膜状物を形成する工程。 (f)該膜状物を、極性アミド系溶媒または極性尿素系
    溶媒を0〜70重量%含有する凝固液に浸漬して、パラ
    配向芳香族ポリアミドを析出させる工程。 (g)工程(f)で得られた膜状物を水系溶液またはア
    ルコール系溶液に浸漬し、溶媒とアルカリ金属またはア
    ルカリ土類金属の塩化物を溶出させ、次いで乾燥させ膜
    を得る工程。 (h)高分子電解質を充填して高分子電解質複合膜を得
    る工程。
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