JPH09302401A - 水素吸蔵合金粉末の処理方法 - Google Patents

水素吸蔵合金粉末の処理方法

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JPH09302401A
JPH09302401A JP8116766A JP11676696A JPH09302401A JP H09302401 A JPH09302401 A JP H09302401A JP 8116766 A JP8116766 A JP 8116766A JP 11676696 A JP11676696 A JP 11676696A JP H09302401 A JPH09302401 A JP H09302401A
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oxide film
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辰夫 永田
Noriyuki Negi
教之 禰▲宜▼
Yukiteru Takeshita
幸輝 竹下
Koichi Kamishiro
光一 神代
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 急冷凝固法で製造された水素吸蔵合金粉末に
見られる強固な酸化膜を、Ni(OH)2 の生成を抑制しなが
ら除去できる表面処理法。Ni−水素電池の初期活性と電
極寿命の一層の向上が実現できる。 【解決手段】 粉末表面の20%以上の面積が合金の凝固
中または熱処理中に生成した酸化膜で覆われている水素
吸蔵合金粉末を、非酸化性の酸 (例、HCl 、HF、または
HCl/HF混酸) の比較的低濃度の水溶液中に浸漬して20〜
100 kHz の周波数の超音波を作用させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、AB5 型、AB2
型などの二次電池用 (特にNi−水素二次電池用)水素吸
蔵合金粉末の処理方法に関する。本発明の処理方法によ
り、初期活性化が容易で、高温での自己放電が少なく、
電極寿命の長い電池用の水素吸蔵合金粉末が得られる。
【0002】
【従来の技術】AV機器やノート型パソコンのメモリー
・バックアップ用に用いる二次電池として、従来は主に
Ni−Cd電池が使用されてきた。しかし、Cdの公害問題、
Cdが亜鉛精練の副産物という資源量制約の問題、より高
電気容量の二次電池開発といった観点から、Cdに替えて
水素吸蔵合金を陰極活物質に用いたNi−水素電池と呼ば
れる二次電池が開発され、利用されるようになってき
た。Ni−水素電池は容量が高いため、電気自動車用の二
次電池としての利用も検討されており、既に量産が始ま
っている。
【0003】Ni−水素電池用の水素吸蔵合金として検討
されてきた主な合金系は、LaNi5 やMmNi5(Mmは希土類金
属混合物であるミッシュメタル) で代表されるAB5 型
結晶構造をとる金属間化合物と、ZnV0.4Ni1.6 で代表さ
れるAB2 型のラーベス相構造をとる金属間化合物であ
る。実用化に関してはAB5 型の水素吸蔵合金の方が進
んでいるが、AB2 型構造の水素吸蔵合金も高容量を示
すので有望である。
【0004】しかし、Ni−水素電池の量産においていく
つかの問題点が浮かび上がってきた。その1つは、Ni−
水素電池を構成した後の初期活性化処理 (電池の放電容
量を所定の定常値まで増大させる処理) に非常に時間が
かかり、生産性が著しく阻害されることである。
【0005】現在行われている初期活性化処理は、低電
流で長時間の充電後に放電する処理(15〜20時間の充電
と数時間の放電) を所定の放電容量が得られるようにな
るまで数回繰り返すことにより行われている。このた
め、電池を組み立ててから出荷するまでに、初期活性化
処理として工場内で充電・放電を数日間繰り返す必要が
あった。
【0006】この問題点を解決するために、特開平3−
219036号公報には、水素吸蔵合金中にホウ素を添加する
ことで粉化し易いホウ素リッチ相を生成させ、粉化によ
る比表面積の増加により初期の活性化効率を向上させる
ことが提案されている。しかし、この方法では、生成し
たホウ素リッチ相が可逆的に水素吸収・放出する量は少
なく、合金全体としては水素吸蔵量、従って放電容量が
低下する。しかも、粉化が進みすぎて電極としての集電
性が低下し、早期に放電容量が劣化する。
【0007】特開平4−179055号公報には、水素吸蔵合
金粉末を所定濃度範囲の酸性水溶液中に所定時間浸漬し
た後、水洗すると、酸化物層や水酸化物層を除去するこ
とができ、その水素吸蔵合金粉末で電極を作製すると、
電極の活性化サイクルの短縮が図れ、電極利用率とサイ
クル寿命が向上することが報告されている。
【0008】また、本発明者らは、特開平6−223827号
公報に、急冷凝固法で微細結晶粒とした水素吸蔵合金粉
末を酸性水溶液中で処理して表面酸化膜を除去すると、
より高活性の水素吸蔵合金粉末が製造されることを報告
した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、水素吸蔵合金
粉末の表面酸化膜を強い酸性水溶液を用いて化学的に除
去すると、合金表面により多くのNi(OH)2 が生成する。
表面にNi(OH)2 が付着した水素吸蔵合金粉末を負極の活
物質に用いたNi−水素電池は、高温における自己放電が
大きい。これは、Ni(OH)2 のOH- イオンが負極の放電反
応に関与する物質であり、負極の合金表面にNi(OH)2 が
存在すると、これから高温でOH- イオンが遊離し、負極
放電反応 (MHx + x OH- → M + x H2O + x e- ) が起こ
って、水素を消費しつつ自己放電反応が進行するからで
ある。従って、水素吸蔵合金粉末の表面にNi(OH)2 が生
成しないような処理方法が望ましい。
【0010】急冷凝固法では、例えば、ロール急冷法で
得た合金薄片を粉砕する、或いは合金の溶湯から直接ア
トマイズ法により粉末を得る、といった方法により水素
吸蔵合金粉末を得る。溶湯から凝固する際の形態が、薄
片や粉末といった表面積の大きい形態であるため、凝固
中に合金表面に酸化膜が多く生成する。また、得られた
水素吸蔵合金粉末は、急冷歪みを除去または緩和する
(放電容量の増大につながる) ため、製造後に熱処理す
ることが多いが、この熱処理中にも粉末表面に酸化膜が
生成する。
【0011】急冷凝固法で水素吸蔵合金粉末を製造する
場合、アトマイズ法のように粉砕がほとんど必要ない
か、あるいはロール急冷法でも粉砕はインゴット法に比
べれば非常に少なくてすむ。そのため、粉砕で新たに現
れる合金表面の割合が少なく、凝固中または熱処理中に
生じた酸化膜が合金粉末の表面に残存する割合が、イン
ゴット法で得られた粉末に比べて非常に多くなる。
【0012】従って、急冷凝固法で得られた合金粉末
は、表面に存在する酸化膜の多くが、凝固中または熱処
理中に生じた強固な酸化膜となる。この強固な表面酸化
膜は、特開平6−223827号公報に提案されているよう
に、高濃度の酸性水溶液で処理すると除去できるが、こ
の処理中に粉末表面に多くのNi(OH)2 が生成し、前述し
たように高温での自己放電が顕著になり、電極寿命 (保
存容量) が低下する。
【0013】これに対し、インゴット法では、粉末表面
のほとんどが、粉砕で新たに生じた表面である。粉砕中
にも表面酸化膜は生成するが、生成の程度が小さいた
め、インゴット法で製造した水素吸蔵合金粉末の表面の
酸化膜のほとんどは、粉砕で生成した弱い酸化膜であっ
て、除去が容易である。
【0014】特開平5−195007号公報には、表面に緻密
な酸化皮膜が生成した場合、アルカリ水溶液中での超音
波処理が合金活性の向上に効果的であることが記載され
ている。しかし、この処理方法は、粉砕時に粉末表面に
生成した酸化膜に対しては有効であっても、急冷凝固法
で得られた粉末のように、溶湯からの凝固時または熱処
理に生じた強固な酸化膜が粉末表面に多く存在する場合
には、十分な効果が得られないことが判明した。
【0015】本発明の目的は、急冷凝固法で製造された
水素吸蔵合金粉末に見られるような強固な酸化膜を除去
することができ、しかも合金表面のNi(OH)2 の生成 (即
ち、酸素濃度増加) が抑制された、Ni−水素電池の初期
活性と電極寿命の一層の向上を実現することが可能な水
素吸蔵合金粉末の処理方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく検討した結果、酸処理と超音波処理とを併
用することにより、比較的低濃度の酸水溶液で水素吸蔵
合金粉末の表面の強固な酸化膜を除去することができ、
しかも超音波の併用によってNi(OH)2 の生成が著しく抑
制され、高温自己放電の低減により電極寿命が改善され
ることを見出し、本発明に到達した。
【0017】ここに、本発明は、粉末表面の20%以上の
面積が合金の凝固中または熱処理中に生成した酸化膜で
ある水素吸蔵合金粉末を、非酸化性の酸性水溶液中に浸
漬し、かつ20〜100 kHz の周波数の超音波を作用させる
ことを特徴とする水素吸蔵合金粉末の処理方法である。
【0018】本発明により処理する水素吸蔵合金粉末
は、粉末表面の20%以上の面積が合金の凝固中または熱
処理中に高温で生成した強固な酸化膜で覆われているも
のである。このような粉末の例は、前述したように、急
冷凝固法で製造され、場合によりさらに熱処理が施され
た水素吸蔵合金粉末である。
【0019】水素吸蔵合金の初期活性 (即ち、Ni−水素
電池の初期活性化の容易さ) は、合金表面の酸化状況と
水素吸蔵合金のバルク組織の両因子により変化する。具
体的には、初期活性に影響する主要な現象は、合金表
面の酸化膜による電極反応活性度の低下現象、および
充電・放電サイクル初期の水素吸収・放出時の体積変化
によって粒界を起点とした破砕が生じ、比表面積が増加
して初期活性度が向上する現象、の二つである。
【0020】特開平4−179055号公報に記載のように、
単に溶製した合金を粉砕して得た水素吸蔵合金粉末を酸
性水溶液に浸漬する場合は、上記により合金表面の酸
化膜が除去できた分だけ初期活性度が向上するが、上記
による合金バルク組織に起因する初期活性度の向上は
期待できない。
【0021】これに対し、水素吸蔵合金粉末を急冷凝固
法で製造すると、結晶粒が微細 (望ましくは30μm以
下) となり、結晶粒界部分が多い組織であることから、
の面酸化膜除去に加えて、のサイクル初期の粒界起
点の破砕、表面積増加による初期活性化への相乗効果が
得られるため、初期活性度の向上効果が大きくなる。
【0022】また、通常の凝固冷却速度で得られた合金
(結晶粒径≧80〜100 μm) は、粉砕工程で多くの結晶
粒が破砕されるため、個々の結晶単位が破壊される結
果、電極にした際の寿命が短くなる傾向がある。急冷凝
固法、特にアトマイズ法により結晶粒径が微細な合金を
粉砕せずに製造した後、酸性水溶液中で表面酸化膜を除
去すると、破壊されずに残存している結晶単位の割合が
多くなることと、急冷のために成分偏析が少なく均質な
組織が得られることが相まって、電極寿命が長くなる。
【0023】しかし、急冷凝固中および熱処理中に生成
した強固な酸化膜を除去するには、強い (高濃度の) 酸
性水溶液で処理することが必要と考えられてきた。強い
酸性水溶液で処理すると、前述したように、合金表面に
多くのNi(OH)2 が生成し、これがNi−水素電池の高温で
の自己放電特性を悪化させる原因となり、電極寿命の延
長を阻んでいた。
【0024】本発明によれば、超音波処理を併用するこ
とで、比較的低濃度の酸水溶液で水素吸蔵合金粉末の表
面の強固な酸化膜を除去することができ、低い酸濃度と
超音波の効果によって合金表面のNi(OH)2 の生成が抑え
られ、高温での自己放電特性が良好に保持され、電極寿
命が延びる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明で処理する水素吸蔵合金
は、Niを含有しているものであれば特に制限されない。
代表例は、AB5 型またはAB2 型の水素吸蔵合金であ
るが、AB型またはA2 B型の水素吸蔵合金でもよい。
【0026】合金の具体的組成も特に制限されないが、
AB5 型合金の例は、LaNix またはMmNix (xは 4.7〜5.
2)を基本構造とし、Niの一部をCo、Mn、Al、Fe、Cr、C
u、V、Be、Zr、Ti、Mo等の1種または2種以上の元素
で置換したものである。LaNixは高価格である上、寿命
低下が早いので、実用的にはMmNix が好ましい。
【0027】AB2 型合金の例は、ZrNiy (yは 1.9〜2.
25) を基本構造とし、Niの一部をV、Mn、Cr、Co、Fe、
Al、Mo、Cu、Be等の1種または2種以上の元素で置換し
たものである。具体例として Zr1.0V0.4Ni1.6, Zr1.0M
n0.6Cr0.2Ni1.2, Zr1.0Ni1.2Mn0.6V0.2Co0.1, Zr1.0Ni
1.2Mn0.6V0.2Fe0.1, Zr1.0V0.4Ni1.6等がある。
【0028】本発明で処理する水素吸蔵合金粉末は、粉
末表面の20%以上の面積が合金の凝固中または熱処理中
に生成した酸化膜で覆われているものである。前述した
ように、急冷凝固法で製造した水素吸蔵合金粉末にこの
条件を満たすものが多いが、本発明で処理する水素吸蔵
合金粉末は急冷凝固法で製造されたものに限定されるわ
けではない。
【0029】急冷凝固法では、溶融状態から50℃/秒以
上、好ましくは500 ℃/秒以上の速い冷却速度で凝固さ
れるため、得られた水素吸蔵合金粉末は成分偏析が少な
く、耐食性が良好で、繰り返し充電・放電に伴う容量低
下が非常に少なく、電極寿命が長いという特長がある。
【0030】急冷凝固法としては、例えば、回転電極
法、回転ドラム上への注湯による急冷、水冷鋼板上に薄
く鋳込む方法、ガスアトマイズ法などを採用することが
できる。このうち、球形の合金粉末を直接得ることがで
きるガスアトマイズ法が好ましい。ガスアトマイズ法に
よれば、電極製作時の合金の粉砕工程が必ずしも必要と
はならず、しかも合金が球形粉末状であるので、電極構
成時に合金粒子が最密充填されて高容量の電極を得るこ
とができるからである。
【0031】好ましくは、急冷凝固後で、酸性水溶液に
よる処理前に、水素吸蔵合金粉末を550〜950 ℃で2〜
5時間の熱処理を受けさせる。それにより合金が再結晶
し、急冷歪が除去されて、放電容量が向上する。この熱
処理は一般に真空中または不活性雰囲気中で行う。好ま
しい熱処理条件は、 750〜900 ℃で3〜4時間、さらに
好ましくは 750〜800 ℃で4時間である。熱処理雰囲気
は、表面酸化防止の観点から真空より不活性雰囲気
(例、アルゴン、ヘリウム) の方が好ましい。
【0032】製造された水素吸蔵合金が粉末状でない場
合には、本発明の処理を行う前に合金を粉砕しておく。
粉砕が後になると、粉砕時に合金表面に酸化膜が生成し
て、初期活性化特性が劣化するからである。
【0033】こうして製造された水素吸蔵合金粉末は表
面が酸化膜で覆われている。例えば、水素吸蔵合金粉末
をガスアトマイズ法で製造した場合、ガスアトマイズの
過程でガスに含まれる微量の酸素あるいはアトマイズチ
ャンバー内の残留酸素分などの影響による酸化、さらに
は合金製造後の熱処理過程において熱処理炉内不活性ガ
ス中に含まれる微量の酸素による酸化が原因で、表面に
酸化膜が生成する。
【0034】水素吸蔵合金粉末を他の方法で製造した場
合にも、合金製造過程や熱処理過程(熱処理を行った場
合) 、さらには合金粉砕過程において酸化を完全に避け
ることはできず、やはり表面酸化膜が生成する。
【0035】酸化膜のうち高温で生成したもの、すなわ
ち、溶湯からの凝固中または合金の熱処理中に生じた酸
化膜は、特に強固で、表面処理による除去が困難であ
り、酸処理だけで除去しようとすると、高濃度の酸水溶
液が必要となる。本発明では、酸処理と超音波処理とを
併用することで、比較的低濃度の酸水溶液で、このよう
な強固な酸化膜を除去できる。表面処理にアルカリ水溶
液を使用した場合には、超音波を併用しても、高温で生
成した強固な酸化膜は効率的に除去できない。
【0036】本発明で処理するのは、凝固中または熱処
理中に高温で生成した、強固で除去しにくい酸化膜が、
表面の20%以上の面積を占める水素吸蔵合金粉末であ
る。凝固中または熱処理中に生成した酸化膜の割合 (面
積率) は、熱処理後 (熱処理しない場合は凝固後) の合
金の表面積(A) と、粉砕後の合金の表面積(B) とから、
(A)/(B) ×100 により算出することができる。
【0037】例えば、アトマイズ法で製造した、粉砕し
ていない水素吸蔵合金粉末の場合には、凝固中または熱
処理中に生成した酸化膜の割合は100 %となる。急冷凝
固法で製造しても、粉砕の程度が大きかった場合には、
凝固中または熱処理中に高温で生成した酸化膜の割合が
20%未満となることもある。このように高温で生成した
強固な酸化膜の割合が粉末表面の20%未満である場合に
は、従来の方法でも十分に粉末表面の酸化膜を除去でき
る。
【0038】本発明の処理に用いる酸は、塩酸および/
またはフッ化水素酸などの非酸化性の酸がよい。これ以
外の酸 (例、硝酸、硫酸等) では、酸の持つ酸化機能に
より酸性水溶液による浸漬処理中に合金表面に新たに酸
化膜が生じやすく、合金の初期活性化特性の改善効果が
充分には得られないからである。
【0039】処理に用いる酸性水溶液は、試薬特級もし
くは1級またはそれと同程度の濃度の原液 (塩酸は35〜
36%、フッ化水素酸は44〜46%濃度) を水で希釈するこ
とにより調製できる。酸性水溶液の酸濃度は、この原液
の含有量 (重量%) として、塩酸で0.5 〜5%、フッ化
水素酸で 0.5〜3%、塩酸とフッ化水素酸との混酸で0.
5〜5%の濃度が好ましい。より好ましい酸濃度は、塩
酸で 1.0〜2%、フッ化水素酸で 0.5〜1.0 %、塩酸と
フッ化水素酸の混酸で 0.5〜2.0 %である。
【0040】酸濃度が高すぎると、合金表面にNi(OH)2
が多量に生成し、高温での自己放電特性が悪化し易い。
しかし、酸濃度が高い場合には、処理時間を短くするこ
とでNi(OH)2 の生成を抑制し、本発明の効果を達成する
ことができるので、酸水溶液の濃度は特に制限されな
い。
【0041】酸性水溶液による好ましい処理時間を、濃
度別に下記に示す。ここに示した時間より長いと合金の
表面に多くのNi(OH)2 が生成し易くなる。 HCl: 0.5〜2.0 %濃度=10分以下、2.0 〜5.0 %濃度
=5分以下、 HF : 0.5〜1.0 %濃度= 5分以下、1.0 〜3.0 %濃度
=3分以下、 HCl+HF混酸: 0.5〜2.0 %濃度=10分以下、 2.0〜5.0
%濃度=5分以下。
【0042】酸処理の温度は0〜80℃の範囲内が好まし
い。0℃より低温では、酸濃度が低すぎる場合と同様、
酸洗反応の進行が遅く、表面酸化膜の十分な除去が困難
なことが多い。一方、処理温度が80℃を超えると、酸濃
度が高すぎる場合と同様、酸洗反応の進行が速すぎ、合
金表面の酸化膜の除去にとどまらず合金内部にまで酸洗
が進む傾向がある。さらに、80℃より高温では、水素吸
収平衡圧力の関係から、酸洗反応で発生した水素は合金
に吸収されないですべて大気中に放出されてしまい、活
性化の促進が不十分となることがある。
【0043】本発明においては、酸処理中に酸水溶液中
の水素吸蔵合金粉末に超音波を作用させる。ただし、超
音波処理は酸処理の後に行うこともできる。使用する超
音波は、通常の超音波洗浄に用いられている20〜100 kH
z の周波数を用いることで十分な効果が得られる。20 k
Hz未満では可聴音波であり表面の酸化膜除去の効果は少
ない。周波数が100 kHz を超える超音波は、表面の付着
物を除去する等の目的には効果が認められるが、合金表
面の酸化膜を除去するためには効果が少ない。好ましい
周波数は28〜80 kHzである。
【0044】超音波と酸性水溶液による酸洗効果との相
互作用で、酸水溶液が比較的低濃度であっても、効率的
に水素吸蔵合金粉末の表面の強固な酸化膜を除去するこ
とが可能となる。本発明の方法で処理した水素吸蔵合金
粉末の表面にNi(OH)2 の生成が少ない理由は明確ではな
いが、酸水溶液の濃度の影響以外に、超音波を用いるこ
とで生成したNi(OH)2 が超音波エネルギーにより除去さ
れることも寄与しているのではないかと推定される。
【0045】超音波強度については、0.05 W/cm2以上の
超音波強度であることが望ましい。これ以下では表面の
酸化膜除去能力が小さく、表面改質効果が小さくなる。
望ましくは0.35 W/cm2以上の超音波強度であると、水中
でキャビテーションが生じて、より効率的に合金表面の
酸化物除去が可能となり、表面改質効果が大きい。
【0046】超音波は、酸水溶液中に水素吸蔵合金粉末
を浸漬している間ずっと作用させる必要はなく、浸漬中
の一部の時間だけでもよい。その場合には、浸漬中の後
半に超音波を作用させる方が好ましい。また、酸処理後
の水洗中に超音波をかけることでもいくらかの効果はあ
るが、酸処理中に超音波をかける方が好ましい。
【0047】酸性水溶液により処理した水素吸蔵合金
は、次いで水洗し、通常はその後に乾燥する。水洗は、
合金に付着した酸がほぼ完全に除去されるように実施す
ればよい。例えば、水洗前後液のpHの変化が小数点1
ケタ以下になるまで水洗することができる。
【0048】上述したように、表面酸化膜は水素透過を
妨げるバリアーであるので、本発明に従って酸処理し、
この酸化膜を除去すると、水素吸蔵合金の活性発現に必
要な水素の吸収・放出が初期より容易に行われる。ま
た、酸処理中に水素が合金表面で発生し、酸化膜が除去
されてガスが透過し易くなった合金の内部に、この発生
した水素が吸収される。これらの作用があいまって、活
性化処理の初期から水素が合金内部に十分に吸収されて
活性化が速まり、初期活性化特性が著しく改善される。
【0049】さらに、超音波処理を併用して酸処理する
ことで、酸処理中に合金表面に生成するNi(OH)2 の量が
著しく少なくなり、この水酸化物に起因する高温での自
己放電が抑制される結果、電極寿命が改善される。
【0050】本発明の方法により表面処理した水素吸蔵
合金粉末から当業者に周知の方法で電極を製造し、Ni−
水素電池の負極として使用する。電極は、例えば、水素
吸蔵合金粉末を適当な結着剤 (ポリビニルアルコールな
どの樹脂) および水 (または他の液体) と混合してペー
スト状とし、ニッケル多孔体に充填して乾燥した後、所
望の電極形状に加圧成形することにより製造できる。
【0051】
【実施例】本発明の水素吸蔵合金粉末の処理方法の効果
を次の実施例により実証する。実施例中、%は特に指定
しない限り重量%である。また、処理に用いた酸性水溶
液の酸濃度は、前述した原液 [即ち、試薬特級の35%塩
酸(HCl) または46%フッ化水素酸(HF)] の含有量 (重量
%) である。
【0052】(製造例1)表1に示す組成のAB5 型ま
たはAB2 型合金の水素吸蔵合金粉末を以下に述べる方
法で製造した。
【0053】
【表1】
【0054】合金の製造に用いた原料は、純度99.9%の
フレーク状Ni、純度99.8%の電解Co、純度99.9%のショ
ット状Al、純度99.8%の板状電解Mn、Ni−56.9%V母合
金、純度99.5%以上のスポンジ状Zr、希土類金属純度が
99.8%以上のミッシュメタル(Mm) (La=28%、Ce=48
%、Nd=18%、Pr=6%) 、およびLa富化ミッシュメタ
ル(Lm) (La=58%、Ce=15%、Pr=7%、Nd=20%) で
あった。
【0055】これらの原料から、急冷凝固法である75 k
g/chのArガスアトマイズ法 (溶湯からの冷却速度1×10
3 〜1×104 ℃/秒) 、または厚み約500 μm(溶湯から
の冷却速度9×103 ℃/秒) もしくは約250 μm(同じく
3×103 ℃/秒) の薄片状に鋳込んだロール急冷法を採
用して、所定組成の水素吸蔵合金を作製した。さらに、
従来法である100 kg/ch のインゴット法 (溶湯からの冷
却速度1.0 ℃/sec) によっても、水素吸蔵合金粉末を作
製した。
【0056】得られた各水素吸蔵合金はすべて、純度9
9.99 %のArガスを用いたAr雰囲気中において所定条件
で熱処理した。インゴット法およびロール急冷法で作製
した水素吸蔵合金は、熱処理後にステンレス製のボール
ミルによりAr雰囲気下で機械的に粉砕して粉末にした。
アトマイズ法で得た粉末も含め、各水素吸蔵合金粉末を
−74μmに分級した。
【0057】得られた水素吸蔵合金粉末の表面酸化膜に
おける、凝固または熱処理中に高温で生成した酸化膜
(以下、高温酸化膜という) の割合を、粉砕前および粉
砕・分級後のBET法により測定した比表面積から求め
た。但し、アトマイズ法で製造した粉末は、粉砕工程を
経由していないため、高温酸化膜の割合は100 %とな
る。こうして求めた高温酸化膜の割合を、次の表2にま
とめて示す。
【0058】
【表2】
【0059】表2からわかるように、急冷凝固法である
ロール急冷法で水素吸蔵合金を製造しても、薄片が500
μmと厚いと、粉砕で現れる表面が多くなって、高温酸
化膜の割合が20%未満となった。
【0060】(実施例1)製造例1に記載したようにし
て、表2の (イ)〜(ニ) の各方法で製造したAB5型の水
素吸蔵合金種の粉末を、次の (A)〜(C) に示す従来技
術および本発明の各種方法で表面処理した。水素吸蔵合
金の製造後の熱処理は、いずれも 850℃×4時間の同一
条件とした。表面処理条件を次に説明する。
【0061】(A) アルカリ処理+超音波 (特開平5−19
5007号) 合金粉末1kgに対して1リットルの割合の比重1.30のKO
H 水溶液中に合金粉末を浸漬し、液温を80℃に保ちなが
ら100 rpm で攪拌しつつ、液中に浸漬型超音波振動子を
設置して超音波 (周波数:26 kHz、出力:20 W/処理容
量1m3) を作用させながら、60分間のアルカリ処理を行
った。その後、アルカリ水溶液を除去し、合金粉末を洗
液のpHが9以下になるまで水洗し、真空雰囲気におい
て乾燥した。
【0062】(B) 高濃度酸性水溶液処理 (特開平6−22
3827号) 合金粉末1kgに対して2リットルの割合の7% HCl 水溶
液中に、液温30℃で合金粉末を8分間浸漬した。浸漬中
に処理液を100 rpm で攪拌したが、超音波は作用させな
かった。その後、酸性水溶液を除去し、重量で合金の20
倍量の水で洗浄し、真空雰囲気において乾燥した。
【0063】(C) 低濃度酸処理+超音波 (本発明法) 合金粉末1kgに対して2リットルの割合の1% HCl 水溶
液中に、液温30℃で合金粉末を5分間浸漬した。浸漬中
に処理液を60 rpmで攪拌し、方法(A) と同様にして、周
波数48 kHz、強度0.50 W/cm2の超音波をかけた。その
後、酸性水溶液を除去し、重量で合金の20倍量の水で洗
浄し、真空雰囲気にて乾燥した。
【0064】上記の(A) ないし(C) の方法で表面処理し
た水素吸蔵合金粉末、および未処理の水素吸蔵合金粉末
の電極特性を次のようにして試験した。その試験結果
を、表3にまとめて示す。
【0065】(試験方法)水素吸蔵合金粉末を、結着剤
(ポリビニルアルコール5%水溶液) を添加して混練し
た。得られた合金粉末のペーストをニッケル製発泡状金
属多孔体 (例、住友電工製セルメット) に充填し、乾燥
した後、1.5 ton/cm2 の圧力で加圧して合金粉末をNi多
孔体内に担持させ、電池の負極を構成した。この時の水
素吸蔵合金粉末の担持量は約12gであった。
【0066】正極には市販の公称2000 mA のNi電極を用
い、正極と負極の間に6N-KOHのアルカリ電解液を含浸さ
せたナイロン不織布をセパレータとして挟み、公称20
00 mAのNi−水素二次電池を構成した。この電池
を単二型のケース内に密閉化し、試験に供する電池を得
た。この電池は負極の容量が大きい正極容量規制型の電
池である。
【0067】(1) 初期活性度 作製した正極容量規制型Ni−水素電池を、25℃、400 mA
で6時間充電した後、400 mAで端子電圧0.9 V まで放電
する繰り返し充電・放電を10回行った。1回目の放電容
量と10回目の放電容量を測定して、その比 (1回目放電
容量/10回目の放電容量×100 %) によって初期活性度
を求めた。初期活性度が95%以上であれば優れた初期活
性度を有すると評価できる。
【0068】(2) 高温自己放電特性 上記のNi−水素電池を25℃で上記と同じ充電・放電電流
量にて充電・放電を繰り返し、20サイクル目の完全充電
状態で一時試験を中断した。この電池を次いで50℃で10
日間保存し、その後25℃に戻して400 mAで放電し、残存
容量を測定した。この時の残存容量と19サイクル目 (25
℃) の放電容量との比 (保存容量または保存後の容量と
いう) を求めることにより、高温自己放電特性を評価し
た。この値が大きい程、高温での自己放電が少ない、自
己放電特性に優れた電池である。この値が85%以上であ
れば、自己放電量の少ない電池と評価できる。
【0069】
【表3】
【0070】表3から、次の結果が判明した。 (i) 表面処理を行わないと、初期活性、保存容量とも目
標性能に達しない。 (ii)特開平5−195007号公報に記載された、アルカリ性
水溶液による処理と超音波処理の併用は、表面の高温酸
化膜の面積率が20%未満の水素吸蔵合金粉末には十分に
有効で、初期活性と保存容量が目標値に到達する。しか
し、高温酸化膜の面積率が20%以上の合金粉末では、酸
化膜を十分に除去できないため、初期活性の改善が不十
分である。
【0071】(iii) 特開平6−223827号公報に記載され
た、高濃度の酸性水溶液による表面処理では、表面の高
温酸化膜の面積率が20%以上の水素吸蔵合金粉末でも、
酸化膜を十分に除去でき、初期活性は目標値に達する
が、高温での自己放電が多くなり、保存容量が目標値よ
り低くなる。 (iv)本発明に従って、低濃度の酸性水溶液による処理と
超音波処理とを併用すると、初期活性、保存容量ともに
十分な改善効果が得られる。
【0072】(実施例2)製造例1に記載したようにし
て、表2の(イ)(インゴット法) 、(ハ)(250 μm厚のロー
ル急冷法) 、および(ニ)(ガスアトマイズ法) の各方法で
製造したAB5 型の水素吸蔵合金種またはAB2 型の
水素吸蔵合金種の合金粉末を表面処理に使用した。
【0073】この水素吸蔵合金の合金作製後の熱処理条
件は表4に示す通りであった。表2にも示したように、
インゴット法 (ITと略記) で製造された合金粉末は表面
の高温酸化膜の面積率が20%未満であり、ロール急冷法
(RLと略記) およびガスアトマイズ法 (ATと略記) で製
造された合金粉末は表面の高温酸化膜の面積率が20%以
上であった。
【0074】各合金粉末を実施例1の表面処理方法(C)
と同様にして、酸処理と超音波処理とを併用して表面処
理した。試験No.1, 2 のインゴット材の粉末は、全く処
理を行わずに試験に供した。処理条件 (酸水溶液の原液
濃度、処理時間および温度、超音波の周波数と強度) を
表4にまとめて示す。処理中の液の攪拌速度は60 rpmで
あった。表面処理後、重量比で合金粉末の20倍量の水を
用いて水洗し、真空雰囲気にて乾燥した。表面処理した
水素吸蔵合金粉末の電極特性を実施例1と同様にして試
験した結果を、表4に併せて示す。
【0075】
【表4−1】
【0076】
【表4−2】
【0077】熱処理条件や水素吸蔵合金種が変化して
も、本発明の処理方法により高温酸化膜を除去して初期
活性を十分に高めることができ、しかもその際にNi(OH)
2 の生成が少ないため、高温保存後の自己放電が抑制さ
れ、保存容量も十分に高い電池が得られることがわか
る。しかし、超音波の周波数が20 kHz未満または100 kH
z超では、表面改質効果が不十分で、初期活性が不芳と
なる。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、結晶粒が微細で初期活
性の改善が可能なアトマイズ法、ロール急冷法といった
急冷凝固法で製造された水素吸蔵合金粉末に見られるよ
うな、高温で生成した酸化膜が表面の20%以上を覆って
いる水素吸蔵合金粉末を表面処理して、Ni(OH)2 の生成
を抑制しながら、酸化膜を除去することができる。その
結果、本発明の方法により表面処理した水素吸蔵合金粉
末を負極活物質としてNi−水素電池を作製すると、初期
活性が高く、高温での保存容量、従って電極寿命も良好
なNi−水素電池が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹下 幸輝 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 神代 光一 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末表面の20%以上の面積が合金の凝固
    中または熱処理中に生成した酸化膜で覆われている水素
    吸蔵合金粉末を、非酸化性の酸性水溶液中に浸漬し、か
    つ20〜100 kHz の周波数の超音波を作用させることを特
    徴とする水素吸蔵合金粉末の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007308797A (ja) * 2006-05-18 2007-11-29 Ranco Co Ltd 金属性粉末の再生方法
KR20170115374A (ko) * 2016-04-07 2017-10-17 재단법인 포항산업과학연구원 철계 분말의 제조 방법
KR20170118302A (ko) * 2016-04-14 2017-10-25 재단법인 포항산업과학연구원 고순도 구형 티타늄 분말의 제조방법

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KR20170118302A (ko) * 2016-04-14 2017-10-25 재단법인 포항산업과학연구원 고순도 구형 티타늄 분말의 제조방법

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