JPH09302585A - 炭素繊維およびプリプレグ - Google Patents

炭素繊維およびプリプレグ

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JPH09302585A
JPH09302585A JP8117761A JP11776196A JPH09302585A JP H09302585 A JPH09302585 A JP H09302585A JP 8117761 A JP8117761 A JP 8117761A JP 11776196 A JP11776196 A JP 11776196A JP H09302585 A JPH09302585 A JP H09302585A
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anhydride
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正信 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】集束性、高次加工性および開繊性に優れ、か
つ、耐熱性熱可塑性樹脂をマトリックスとする繊維強化
複合材料に用いてもその耐熱性を低下させることの少な
い炭素繊維ならびにそのような繊維強化複合材料を得る
に適したプリプレグを提供する。 【解決手段】両末端にアルキル基またはアリール基を有
するポリアミドカルボン酸化合物からなるサイジング剤
が付与されてなる炭素繊維、およびそれを用いたプリプ
レグ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性樹脂をマト
リックス樹脂とする繊維強化複合材料として用いるのに
適した炭素繊維およびプリプレグに関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維とマトリックス樹脂とからなる
複合材料は、軽量で優れた機械特性を有するために、ス
ポーツ用品用途、航空宇宙用途、一般産業用途に広く用
いられている。また、プリプレグとして用いられるマト
リックス樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が
ともに使用され、特に熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂
とする炭素繊維強化複合材料は、生産性が高くかつ耐熱
性に優れた材料として注目され、その需要が急速に増加
している。
【0003】さらに、近年は耐熱性に優れた熱硬化性ま
たは熱可塑性樹脂であるポリエーテルエーテルケトン樹
脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂
を炭素繊維で強化した材料の開発が進められている。
【0004】熱可塑性樹脂を炭素繊維で強化する場合、
一定長さに切断した短繊維(チョップドストランド)を
樹脂ペレットあるいは樹脂パウダーとともに押し出し機
で溶融混練して、直接射出成形・押し出し成形する方法
が一般的であるが、航空機用途では、複数本の炭素繊維
束が溶媒を含む熱可塑性樹脂に含浸されてシート状に拡
幅されたプリプレグと呼ばれる中間基材を一旦作製し、
かかるプリプレグを通常複数枚積層した後、例えば30
0℃以上という高温で加熱することによって複合材料の
成形物を得るのが一般的である。
【0005】炭素繊維束をプリプレグに加工するには、
炭素繊維束が拡幅する程度に十分な開繊性を有すること
が要求される一方、加工時に炭素繊維束が工程途中のロ
ーラーやガイドで擦過されて毛羽立たない性質、いわゆ
る耐擦過性に優れていることが要求される。また、炭素
繊維束を取り扱いやすくするためにある程度の集束性を
有することも要求される。かかる要求に適合させるた
め、通常炭素繊維束にはサイジング剤が付与されてい
る。ここで、通常300℃以上という高温で加熱して作
製される、耐熱性樹脂複合材料の場合には、炭素繊維に
付与するサイジング剤自身の耐熱性が要求される。従来
用いられているサイジング剤は、エポキシ樹脂などの比
較的低温加工される複合材料用に設計されているために
耐熱性に不足していた。
【0006】耐熱性樹脂複合材料として用いる炭素繊維
に適したサイジング剤として、耐熱性の高いポリイミド
樹脂やポリエーテルイミド樹脂などが提案されている
(特公平2−2990号公報など)。これらの樹脂をサ
イジング剤として用いた炭素繊維は、開繊性が要求され
ない前記射出成形・押し出し成形に用いるような短繊維
として用いる場合には適しているが、集束性とともに開
繊性を要求される、プリプレグに加工するための炭素繊
維束の場合には適当ではない。たとえば、耐熱性の高い
ポリイミド樹脂やポリエーテルイミド樹脂をサイジング
剤として用いた場合、サイジング剤の炭素繊維に対する
付着量を増やして集束性を高めようとすると、繊維束自
体が硬くなるために繊維束の開繊性が悪化し、また硬さ
を調節するため付着量を少なくすると、炭素繊維束の耐
擦過性、耐毛羽性などの高次加工性が低下するという問
題が生じる。特に炭素繊維の開繊性が低いと、プリプレ
グ作製時にマトリックス樹脂が繊維束内部まで十分に含
浸できず、成形物にボイドが生成しやすくなったり、繊
維束間に隙間ができプリプレグが凹凸のある品位の悪い
ものになる。
【0007】そこで、耐熱性樹脂をマトリックスとした
プリプレグを製造する場合には、集束性を犠牲にして開
繊性を優先すべく、サイジング剤を付与しない炭素繊維
束、いわゆるノンサイジング糸が用いられることが多か
った。
【0008】さらに、耐熱性樹脂複合材料として用いる
炭素繊維に適したサイジング剤として、ポリイミドの単
量体であるジアミンおよびジ酸無水物の混合物を用いる
ことが提案されている(特公昭63−6675号公
報)。かかる単量体は低粘度であるので、繊維束の開繊
性は確保でき炭素繊維束の集束性もノンサイジング糸に
比べれば改善はするが、エポキシ樹脂マトリックスに用
いられるような従来の炭素繊維束ほどの集束性が得られ
ず、プリプレグに加工するときの高次加工性は満足でき
るものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
問題点を解決すること、すなわち、集束性、高次加工性
および開繊性に優れ、かつ、耐熱性熱可塑性樹脂をマト
リックスとする繊維強化複合材料に用いてもその耐熱性
を低下させることの少ない炭素繊維ならびにそのような
繊維強化複合材料を得るに適したプリプレグを提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明の炭素繊維は次の構成を有する。すなわ
ち、両末端にアルキル基またはアリール基を有するポリ
アミドカルボン酸化合物からなるサイジング剤が付与さ
れてなる炭素繊維である。
【0011】また、上記した課題を解決するために、本
発明のプリプレグは次の構成を有する。すなわち、上記
炭素繊維と樹脂とからなるプリプレグである。
【0012】
【発明の実施の形態】まず、本発明の炭素繊維について
詳細に説明する。
【0013】本発明において、炭素繊維に付着させるサ
イジング剤は、両末端にアルキル基またはアリール基を
有するポリアミドカルボン酸化合物からなる。
【0014】アルキル基としては、ステアリル基、セチ
ル基、オレイル基、シクロヘキシル基などを、アリール
基としては、フェニル基、ナフチル基、ステアリル基、
フェニルエチニル基などを具体的に挙げることができ
る。
【0015】両末端にアルキル基またはアリール基を有
するポリアミドカルボン酸化合物は、例えば、芳香族ジ
酸無水物と芳香族ジアミン化合物との重合物に、アルキ
ル基またはアリール基を有するモノアミン化合物または
モノ酸無水物を反応せしめることにより得ることができ
る。具体的には、芳香族ジ酸無水物として、ビフェニル
テトラカルボン酸ジ酸無水物、ピロメリック酸ジ酸無水
物、オキシジフタル酸ジ酸無水物、ベンゾフェノンジ酸
無水物などを挙げることができ、芳香族ジアミン化合物
として、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジア
ミン、4,4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシ
ジアニリン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベ
ンゼンなどを、アルキル基またはアリール基を有するモ
ノアミン化合物またはモノ酸無水物として、フェニルア
ミン、2−ナフチルアミン、ステアリルアミン、シクロ
ヘキサンカルボン酸無水物、無水フタル酸、4−フェニ
ルエチニルフタル酸無水物等を挙げることができる。
【0016】両末端にアルキル基またはアリール基を有
するポリアミドカルボン酸化合物は、ポリアミドカルボ
ン酸骨格であるため、分子間の架橋が少なく柔軟性を有
している他、加熱により脱水反応を起こし耐熱性の高い
ポリイミドやポリエーテルイミドに転換する特徴を有す
る。したがって、それを付与した炭素繊維は、集束性、
高次加工性および開繊性に優れ、かつ、成形時のため、
耐熱性樹脂をマトリックスとする繊維強化複合材料に本
発明の炭素繊維を用いても得られる繊維強化複合材料の
耐熱性がほとんど低下しない。特に本発明で用いるポリ
アミドカルボン酸化合物は両末端がアルキル基またはア
リール基で終わっているため、それを付与した炭素繊維
は平滑性に優れるため、炭素繊維単繊維間の摩擦係数が
低下し、繊維の開繊性が向上するので、炭素繊維束間に
隙間が無くかつ目付の低い薄物のプリプレグを得るに適
した拡がり性の良い炭素繊維とすることができる。得ら
れる成形物はボイドの生成がなく、成形物の炭素繊維含
有量のバラツキが小さくなるため高い機械的特性が得ら
れる。
【0017】両末端にアルキル基またはアリール基を有
するポリアミドカルボン酸化合物は、その数平均分子量
が2000以上20000以下、好ましくは3000以
上10000以下が望ましい。数平均分子量が2000
未満の場合は、炭素繊維束の開繊性は優れるものの、付
着した、両末端にアルキル基またはアリール基を有する
ポリアミドカルボン酸化合物から転換されるポリイミド
自体の耐熱性が低下する場合があり、成形物の高い耐熱
性が得られない可能性がある。また数平均分子量が20
000を超える場合には、高い耐熱性は得られるもの
の、集束性が強すぎてプリプレグ化工程での炭素繊維の
開繊性が十分でない場合があり、プリプレグに隙間が生
じる可能性がある。
【0018】両末端にアルキル基またはアリール基を有
するポリアミドカルボン酸化合物としては、具体的に
は、次の[I]、[II]または[III]に示すような化学
構造を有する化合物を例示することができる。
【0019】
【化1】
【化2】
【化3】 ここで、上式中、Xは単結合、−CO−または−O−、
Yは−C6 4 −O−C6 4 −または−(C6 4
O)2 −C6 4 −、R1 はフェニルエチニル基、R3
はフェニル基またはステアリル基、およびnは3〜32
の正数である。本発明において、サイジング剤には前記
ポリアミドカルボン酸化合物の他、サイジング剤の粘度
を調整する観点から、低粘度化合物や低沸点化合物など
を、また、サイジング剤としてのより高い耐熱性を得る
観点からポリイミド化合物などが含まれていても良い。
本発明の効果をより顕著に発現せしめる観点からは、本
発明で用いるサイジング剤は、両末端にアルキル基また
はアリール基を有するポリアミドカルボン酸化合物の含
有量を、好ましくは90〜100重量%、より好ましく
は95〜100重量%とするのがよい。
【0020】両末端にアルキル基またはアリール基を有
するポリアミドカルボン酸化合物の炭素繊維重量当たり
の付着量は、0.1〜3重量%、特に0.2〜1.0重
量%が好ましい。付着量が0.1重量%未満では、繊維
の集束性が低く、高次加工性も不足する場合がある。ま
た3重量%を超えると集束性が強すぎて炭素繊維束の開
繊性が悪くなり、プリプレグ上でマトリックス樹脂が炭
素繊維束内に含浸し難く、かつ開繊不足で炭素繊維束間
に隙間が生成し、成形物にボイドが生成したり、成形物
の炭素繊維含有率にバラツキが大きくなって機械的物性
が低下することがある。
【0021】サイジング剤が付与される炭素繊維として
は、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維を
適用できるが、好ましくは高強度の炭素繊維フィラメン
トが得られやすいアクリル系炭素繊維がよい。
【0022】強度および弾性率を高めるとともに、炭素
繊維製造時の単繊維切れを抑制する観点から、単繊維径
が3μm以上7.5μm以下、好ましくは4μm以上6
μm以下の細繊度の炭素繊維を用いるのがよい。炭素繊
維の単繊維径は、炭素繊維束の繊度および比重から繊維
断面を円形と仮定して算出することができる。
【0023】また、圧縮強度の高い炭素繊維を得るため
には、繊維の横断面が非円形であることが好ましく、繊
維断面の変形度(Pmin、Pmax)が後述する範囲
に規定されるものが望ましい。繊維断面の最小二次モー
メントと面積の比(Pmin)が0.085以上1以下
と規定されるものが好ましい。即ち、非円形断面繊維の
場合、方向によって断面二次モーメントが異なるが、そ
の中で最小の値を面積で割った値が0.085以上1以
下とするものが望ましい。Pminが0.085未満の
非円形断面炭素繊維は、圧縮応力に対して座屈しやす
く、複合材の圧縮強度、曲げ強度および曲げ剛性が向上
せず好ましくない。また、繊維断面の最大二次モーメン
トと面積の比(Pmax)もPminと同様に大きいこ
とが好ましく、Pmaxが0.13以上と大きければP
minが0.019以上1以下でも圧縮強度向上効果が
得られ望ましい。
【0024】さらに、航空機用途に適用するには高い機
械的特性、特に圧縮強度を有する炭素繊維が求められて
おり、JIS−R−7601の樹脂含浸ストランド試験
法に準じ測定した引張強度は4.5GPa以上9.0G
Pa以下、好ましくは5.5GPa以上、さらに好まし
くは6.5GPa以上が望ましい。弾性率は、220G
Pa以上490GPa以下、好ましくは230GPa以
上300GPa以下が望ましい。
【0025】サイジング剤を付与する前の炭素繊維は、
X線光電子分光により測定される表面比酸素濃度O/C
を0.20以下、好ましくは0.15以下さらに好まし
くは0.10以下とするのが望ましい。O/Cが0.2
0を超えると、樹脂の官能基と炭素繊維最表面との化学
結合は強固になるものの、本来炭素繊維基質自身が有す
る強度よりもかなり低い酸化物層が炭素繊維表層を覆う
ことになるため、結果として得られるコンポジットの横
方向特性は低いものとなってしまう場合がある。
【0026】O/Cの下限としては、0.02以上、好
ましくは0.04以上更に好ましくは0.06以上が望
ましい。O/Cが0.02に満たないと、コンポジット
の横方向特性が低く、さらには疲労特性が悪くなり航空
機用部材として適用できない場合がある。
【0027】本発明の炭素繊維を得るためには、通常、
前記サイジング剤を溶媒に溶解又は分散した溶液又は分
散液を、前記炭素繊維に付与して後熱処理して溶媒を除
去する。溶媒としては、末端基がアルキル基および/ま
たはアリール基であるポリアミドカルボン酸化合物の溶
解度が高いN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジグライム、ジメチルホル
ムアミドなどの非プロトン溶媒が好ましい。また、熱処
理条件は、温度、時間とも溶媒の種類などによって最適
化するのが好ましいが、炭素繊維束の開繊性を確保する
ため、溶媒を完全に除去しない程度に熱処理するのが好
ましい。具体的には、溶媒の除去速度を大きくし熱処理
時間を短くして炭素繊維を連続的に製造する場合の生産
性を高める一方、両末端にアルキル基またはアリール基
を有するポリアミドカルボン酸化合物の脱水反応が進行
しすぎて繊維束が硬くなり開繊性が悪くなることを抑制
する観点から、熱処理温度は180℃以上250℃以下
が好ましく、熱処理時間は30秒以上5分以下が好まし
い。
【0028】本発明の炭素繊維は、通常樹脂と組み合わ
せてプリプレグとなされる。特に耐熱性樹脂をマトリッ
クス樹脂とするプリプレグに適する。耐熱性樹脂とは、
ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテ
ルイミドスルホン樹脂、ポリイミドケトン樹脂、ビスマ
レイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエ
ーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエー
テルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂な
どである。これらの耐熱性樹脂と本発明の炭素繊維を組
み合わせることによって、初めて高い耐熱性をもつ隙間
ない薄物のプリプレグが得られる。これらのプリプレグ
からはボイドの無い高耐熱性の成形物が得られ、高い機
械的物性が発現できる。また、室温での粘度が高い樹脂
を組み合わせる場合には、溶媒を含む樹脂をフィルム化
した後、プリプレグを得ることができる。溶媒の含有量
は樹脂の粘度によって最適化されるが、0〜70重量
%、好ましくは0〜60重量%とするのがよい。本発明
の炭素繊維を用いることによって、炭素繊維束間の隙間
のない、炭素繊維目付の低いプリプレグ、具体的には、
炭素繊維目付が、200g/m2 以下、好ましくは15
0g/m2 以下という薄物プリプレグを得ることができ
る。なお、あまりに薄物のプリプレグを得ようとする場
合には、炭素繊維束を厳しい圧力下で機械的に押し拡げ
る必要があり、最終的な成型物の機械物性、特に引張強
度特性が低下することもあるので、本発明におけるプリ
プレグの炭素繊維目付は、100g/m2 以上、好まし
くは120g/m2 以上にとどめるのがよい。
【0029】プリプレグにおける炭素繊維は、一方向や
織物等の形態を採り得るが、繊維強化複合材料としたと
きに高い機械的物性が得られやすい一方向とするのが好
ましい。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0031】なお、本例中の擦過毛羽数、繊維束の開繊
性、0°引張強度、90°引張強度は次の測定方法を用
いた。
【0032】(1)擦過毛羽数 直径10mmのステンレス棒(クロムめっき、表面粗さ
1〜1.5S )5本を50mm間隔で各々平行に、かつ
それらの表面を炭素繊維糸条が120°の接触角で接触
しながら通過し得るように棒をジグザグに配置した擦過
装置を用いた。この装置により入り側の炭素繊維糸条に
1デニール当たり0.09gの張力をかけ、3m/分の
糸速で通過させ、側面から繊維糸条に対して直角にレー
ザー光線を照射し、毛羽数を毛羽検出装置で検出カウン
トし、個/mで表示する。
【0033】(2)繊維束の開繊性 上記の擦過毛羽測定において、糸条出側のステンレス棒
での炭素繊維束の幅を測定する。開繊性は、測定を10
回行い平均値を求める。
【0034】(3)0°引張強度、90°引張強度 JIS−K−7073に従って測定を行う。
【0035】(4)有孔板圧縮強度 有孔板圧縮強度(OHC)は、BMS8−276C(Boe
ing Material Specification 8-276, Version C)に準じ
て測定した。[+45/0/−45/90度]2Sの構成
の硬化板を、0°方向が12インチ、90°方向が1.
5インチの長方形に切り出し、中央部に直径0.25イ
ンチの円形の孔を穿孔して有孔板に加工し、室温(24
℃)下で、負荷速度1.27mm/minで圧縮試験す
る。
【0036】(実施例1) (1)マトリックス樹脂の調整 撹拌機、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた反応
容器に、3,4’−オキシジアニリン(697g、3.
5モル)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベン
ゼン(179g、0.6モル)、N−メチル−2−ピロ
リドン(NMP、900g)を投入し、窒素雰囲気下で
撹拌した。この溶液に、3,3’、4,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸ジ酸無水物(1324g、4.5モ
ル)および4−フェニルエチニルフタル酸無水物(18
3g、0.7モル)をNMP(1484g)に加えたス
ラリーを投入し、窒素雰囲気下で24時間撹拌し、固形
分50%のポリアミック酸NMP溶液を得た。
【0037】(2)プリプレグ化および成形 得られたポリアミック酸NMP溶液をナイフコーターを
用いて離型紙上に塗布した。塗布量は86.7g/m2
であった。この樹脂フィルムを、一方向に引き揃えた炭
素繊維の両側から加圧含浸させてプリプレグを得た。単
位面積当たりの炭素繊維の目付量は、145g/m2
あった。
【0038】このプリプレグを各物性評価項目に応じた
構成で積層し、これをオートクレーブ中で、先ず温度2
50度℃で1時間処理し脱NMPおよび脱水し、続いて
温度371℃、圧力1.4MPaで1時間硬化を行っ
た。
【0039】(3)サイジング剤の調整 撹拌機、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた反応
容器に、3,4’−オキシジアニリン(69.7g、
0.35モル)、1,3−ビス(3−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(17.9g、0.06モル)、N−メチ
ル−2−ピロリドン(NMP、90g)を投入し、窒素
雰囲気下で撹拌した。この溶液に、3,3’、4,4’
−ビフェニルテトラカルボン酸ジ酸無水物(132.4
g、0.45モル)および4−フェニルエチニルフタル
酸無水物(18.3g、0.07モル)をNMP(14
8.4g)に加えたスラリーを投入し、窒素雰囲気下で
24時間撹拌し、固形分50%のポリアミドカルボン酸
化合物(数平均分子量6,000)のNMP溶液を得
た。得られたNMP溶液をサイジング溶液として用い
た。 (4)炭素繊維の製造 アクリロニトリル(以下、AN)99.5モル%とイタ
コン酸0.5モル%の共重合体からなる紡糸原液を、円
形の吐出孔を有する紡糸口金に通し湿式紡糸し、凝固、
延伸することにより単糸繊度が0.7デニールのアクリ
ル繊維糸条を得た。
【0040】このアクリル系繊維糸条を240〜260
℃で耐炎化処理し、最高温度が1400℃で炭化処理
し、引き続き電解酸化処理して炭素繊維を得た。得られ
た炭素繊維の断面の変形度は、Pminが0.080、
Pmaxが0.080であり、表面比酸素濃度0/Cは
0.12であった。この炭素繊維を、さらに、上記サイ
ジング剤のNMP溶液(濃度0.6重量%)に含浸さ
せ、230℃の加熱空気中で1分間乾燥させた。
【0041】得られたサイジング剤付着炭素繊維の擦過
毛羽数、開繊性および成形物の物性を測定した。得られ
たプリプレグは炭素繊維束間で隙間が無くかつプリプレ
グ表面に凹凸が認められなかった。試験片の端部を研磨
し、樹脂含浸状態を観察したところ観察部位において含
浸不良によるボイド等は観察されなかった。結果を表1
に示した。また、OHCは304MPaであった。
【0042】(実施例2)サイジング剤の母液濃度を
0.3重量%にした以外は、実施例1と同様にしてプリ
プレグおよび炭素繊維複合材料を得た。得られたプリプ
レグは炭素繊維束間で隙間が無くかつプリプレグ表面に
凹凸が認められなかった。また、含浸不良によるボイド
等が観察されなかった。結果を表1に示した。
【0043】(実施例3)サイジング剤の母液濃度を
1.7重量%にした以外は、実施例1と同様にして炭素
繊維複合材料を得た。いずれも得られたプリプレグは炭
素繊維束間で隙間が無くかつプリプレグ表面の凹凸は僅
かであった。また含浸不良によるボイド等が観察されな
かった。結果を表1に示した。
【0044】(実施例4)アクリロニトリル99.5重
量%、イタコン酸0.5重量%の共重合体からなる紡糸
原液を、図1に示した吐出孔を有する紡糸口金に通し乾
湿式紡糸し、凝固、延伸することによって単糸繊度が
1.0デニールのアクリル繊維糸条を得た。このアクリ
ル繊維糸条を実施例1と同様にして炭素繊維に転換し
た。得られた炭素繊維の繊維断面は図2に示したような
形状で、繊維断面の変形度はPminが0.094、P
maxが0.094であり、表面比酸素濃度O/Cは
0.13であった。
【0045】この炭素繊維を、さらに、実施例1と同様
のサイジング剤のNMP溶液(濃度0.6重量%)に含
浸させ、230℃の加熱空気中で1分間乾燥させた。
【0046】得られたサイジング剤付着炭素繊維の擦過
毛羽数、開繊性および成形物の物性を測定した。
【0047】得られたプリプレグは炭素繊維束間で隙間
が無くかつプリプレグ表面に凹凸が認められなかった。
また、試験片の端部を研磨し、樹脂含浸状態を観察した
ところ観察部位において含浸不良によるボイド等は観察
されなかった。結果を表1に示した。また、OHCは3
35MPaであった。
【0048】(比較例1)4−フェニルエチニルフタル
酸無水物を添加しなかった以外は実施例1と同様にサイ
ジング剤の調整し、炭素繊維複合材料を得た。得られた
プリプレグは炭素繊維束間で隙間が数ヶ所あり、かつプ
リプレグ表面に凹凸が僅かに認められた。試験片の端部
を研磨し、樹脂含浸状態を観察したところ観察部位にお
いて含浸不良によるボイドが観察された。結果を表1に
示した。また、OHCは289MPaであった。
【0049】(比較例2)サイジング剤を、3,4’−
オキシジアニリン(29重量%)、1,3−ビス(3−
アミノフェノキシ)ベンゼン(8重量%)、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジ酸無水物(5
5重量%)、4−フェニルエチニルフタル酸無水物(8
重量%)の混合物に変更した以外は、実施例1と同様に
してサイジング剤付着炭素繊維を得た。
【0050】得られたサイジング剤付着炭素繊維は、擦
過毛羽が多く、プリプレグ化時の加工性、取扱い性が悪
い。
【0051】(比較例3)サイジング剤を、耐熱性の低
いエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製エピコート8
28)100重量%に変更した以外は、実施例1と同様
にしてサイジング剤付着炭素繊維を得た。このサイジン
グ剤付着炭素繊維を用いて実施例1と同様にしてプリプ
レグを得た。試験片の端部を研磨し、樹脂含浸状態を観
察したところ観察部位にボイドが観察された。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】本発明によって、集束性に優れ、しかも
プリプレグ化時の炭素繊維束の開繊性が良く、耐熱性に
優れた樹脂被覆を有する炭素繊維及び機械的特性、加工
性、成形性が良好な炭素繊維強化熱可塑性樹脂を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4で用いた口金の吐出孔を示す平面図で
ある。
【図2】実施例4で得た炭素繊維の単繊維断面形状を示
す模式図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両末端にアルキル基またはアリール基を有
    するポリアミドカルボン酸化合物からなるサイジング剤
    が付与されてなる炭素繊維。
  2. 【請求項2】両末端にアルキル基またはアリール基を有
    するポリアミドカルボン酸化合物が、ビフェニルテトラ
    カルボン酸ジ酸無水物、ピロメリック酸ジ酸無水物、オ
    キシジフタル酸ジ酸無水物、ベンゾフェノンジ酸無水物
    より選ばれる少なくとも1種の芳香族ジ酸無水物と、p
    −フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,
    4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリ
    ン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンよ
    り選ばれる少なくとも1種の芳香族ジアミン化合物との
    重合物に、アルキル基またはアリール基を有するモノア
    ミン化合物またはモノ酸無水物を反応せしめて得られる
    ものであることを特徴とする請求項1の炭素繊維。
  3. 【請求項3】アルキル基が、ステアリル基、セチル基、
    オレイル基およびシクロヘキシル基からなる群より選ば
    れる少なくとも1つの基であることを特徴とする請求項
    1ないし2の炭素繊維。
  4. 【請求項4】アリール基が、フェニル基、ナフチル基、
    ステアリル基およびフェニルエチニル基からなる群より
    選ばれる少なくとも1つの基であることを特徴とする請
    求項1ないし2の炭素繊維。
  5. 【請求項5】アルキル基またはアリール基を有するモノ
    アミン化合物が、フェニルアミン、2−ナフチルアミ
    ン、シクロヘキシルアミンおよびステアリルアミンから
    選ばれる少なくとも1種のアミン化合物であり、アルキ
    ル基またはアリール基を有するモノ酸無水物が、シクロ
    ヘキサンカルボン酸無水物、無水フタル酸、フェニルエ
    チニルフタル酸無水物より選ばれる少なくとも1種のモ
    ノ酸無水物であることを特徴とする請求項2の炭素繊
    維。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5のいずれかに記載の炭素
    繊維と樹脂とからなるプリプレグ。
  7. 【請求項7】前記樹脂が耐熱性樹脂である請求項6のプ
    リプレグ。
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