JPH09310150A - 加工性、ノンイヤリング性および耐肌荒れ性に優れる缶用鋼板ならびにその製造方法 - Google Patents

加工性、ノンイヤリング性および耐肌荒れ性に優れる缶用鋼板ならびにその製造方法

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JPH09310150A
JPH09310150A JP12670296A JP12670296A JPH09310150A JP H09310150 A JPH09310150 A JP H09310150A JP 12670296 A JP12670296 A JP 12670296A JP 12670296 A JP12670296 A JP 12670296A JP H09310150 A JPH09310150 A JP H09310150A
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less
grain
rolling
steel sheet
steel
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JP12670296A
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English (en)
Inventor
Masatoshi Araya
昌利 荒谷
Akio Tosaka
章男 登坂
Osamu Furukimi
古君  修
Hideo Kukuminato
英雄 久々湊
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】プレス加工性、プレス加工後の耐肌荒れ、イヤ
リング性ともに優れ、深絞り加工にも耐えうる缶用鋼板
とその製造方法を提供する。 【解決手段】C、Si、Mn、P、S、Al、Nを特定した鋼
スラブを、平均温度がAc3点以上になるように加熱し、
(Ar3点+150 ℃)〜(Ar3点+50℃)の温度範囲で粗
圧延を終了し、得られたシートバーに、衝突圧が25kgf/
cm2 以上かつ液量密度が0.002 リットル/cm2以上を満た
す条件の超高圧デスケーリングを施して、シートバーの
表面と厚み方向中心との温度差を40℃以上とし、引き続
き、5秒以内に仕上げ圧延を開始し、Ar3点以上で終了
し、仕上げ圧延終了後2秒以内に50℃/sec 以上で冷却
し、700 ℃以下で巻き取り、常法により酸洗し、冷間圧
延し、さらに、再結晶温度以上で連続焼鈍し、圧下率0.
5 〜10%で調質圧延する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は食品、飲料缶等の使
途に用いられる缶用鋼板に関し、特に加工性(プレス加
工性)、ノンイヤリング性(耳発生の起こりにくさ)、
プレス加工後の耐肌荒れ性に優れる缶用鋼板およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】深絞り加工等プレス成形を施して作られ
る深絞り缶、DRD(Drawn and Redrawn )缶、DI
(Drawn and Ironined)缶などに用いられる冷延鋼板に
要求される特性には、 1)プレス加工性;加工時に割れ等の欠陥を発生するこ
となく成形可能であること、 2)耐肌荒れ性;プレス加工後の鋼板表面の肌荒れが小
さく、仕上がり外観、耐食性等の特性が良好であるこ
と、 3)耐イヤリング性;素材の異方性が小さく深絞り加工
後の耳発生が小さいことなどが挙げられる。
【0003】これらの特性を付与した鋼板を開発するた
めの提案が、例えば特開平2−267242号公報に開示され
ている。この技術は、低炭素鋼素材を冷間圧延後、窒素
中の箱焼鈍により、焼鈍後の表層を等軸細粒に、内層を
等軸粗大粒に調整するものであり、特に表層の細粒化に
よって、耐肌荒れ性を改善するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平2−267242号公報に開示の技術は、そもそも絞り加
工条件が比較的厳しくない浅絞り缶や絞り加工を伴わな
い3ピース缶などへの用途を念頭に提案されものであ
り、rが高々1.2 程度でしかなく、プレス加工性が十分
ではないので、前述した深絞り缶、DRD缶、DI缶と
して用いると、加工時に割れ等の欠陥を発生する問題を
招き、実用に耐えうるものではなかった。一方、プレス
加工性を改善するためには、素材の成分組成を極低炭素
化することが広く知られている。そこで、肌あれとプレ
ス加工性を兼備させるためには、素材を極低炭素鋼とし
て、この素材に上記技術を適用することが考えられる。
しかし、この場合には、極低炭素化によって粒成長性が
大きくなるために、鋼板表層における細粒化を達成でき
ず、結果的に耐肌荒れ性を向上させることが不可能にな
るという問題があった。そこで、本発明の主たる目的
は、プレス加工性、プレス加工後の耐肌荒れ、イヤリン
グ性ともに優れ、深絞り加工にも耐えうる缶用鋼板とそ
の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の
目的は、ランクフォード値(r値)が1.5 以上、r値の
面内異方性を表すΔr(の絶対値)が 0.16 以下、かつ
20%引張加工後の表面粗度Raが 0.65 μm以下の特
性を有する缶用鋼板とその製造方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記の目的
を達成すべく、結晶粒の大きさ(粒度)、形態がプレス
加工性、耐イヤリング性、耐肌荒れ性に及ぼす影響につ
いて調査した。はじめに、プレス加工性は鋼板の伸びと
大きな相関があることに着目し、結晶粒の大きさと伸び
の関係を調査した。その結果、図1に示すように鋼板結
晶粒が大きい程鋼板の伸びは良好であることがわかっ
た。また、Δrは、図2に示すように、等軸組織が延伸
組織Alキルド鋼に比べ小さく、ノンイヤリング性に優れ
ていることがわかった。そして、耐肌荒れ性は、図3に
示すように、プレス加工性とは逆に鋼板結晶粒度が小さ
い程良好であった。
【0006】以上の結果をもとに、本発明者らは、主と
して仕上げ圧延に先だって行なうデスケーリングの条件
に着目して研究を重ねた結果、上記目的の実現のために
は、これまでに用いられたことのないような超高圧のデ
スケーリングを適用することによって、熱延鋼帯の表面
を急冷し表層のみを微細化させ、冷延、焼鈍後の結晶粒
も鋼板表層は微細結晶粒組織とすることで肌荒れ性を確
保し、内層は粗大結晶粒組織とすることでプレス加工性
を向上させ、かつ鋼板表面から中心層まで等軸粒とする
ことでΔrが小さくノンイヤリング性にも優れた鋼板を
得ることができることを知見し、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明の要旨構成は下記のとおりであ
る。
【0007】1)C:0.0010〜0.0150wt%、Si:0.10wt
%以下、Mn:0.1 〜0.6 wt%、 P:0.02wt%以下、
S:0.02wt%以下、 Al:0.015 〜0.15wt%、N:0.
02wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物か
らなり、鋼板の表面から板厚の1/10までの表層域にお
ける結晶粒は、ASTM粒度No.10 以上かつ結晶粒軸比
1.5以下である微細な等軸結晶粒組織からなり、この表
層を除く鋼板内層は、ASTM粒度No.9以下かつ結晶粒
軸比1.5 以下である粗大な等軸結晶粒組織からなること
を特徴とする加工性、ノンイヤリング性および耐肌荒れ
性に優れる缶用鋼板。
【0008】2)C:0.0010〜0.0150wt%、Si:0.10wt
%以下、Mn:0.1 〜0.6 wt%、 P:0.02wt%以下、
S:0.02wt%以下、 Al:0.015 〜0.15wt%、N:0.
02wt%以下を含み、かつNb:0.020 wt%以下、 Ti:0.
020 wt%以下から選ばれるいずれか1種または2種を含
有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、鋼板の
表面から板厚の1/10までの表層域における結晶粒は、
ASTM粒度No.10 以上かつ結晶粒軸比1.5 以下である
微細な等軸結晶粒組織からなり、この表層を除く鋼板内
層は、ASTM粒度No.9以下かつ結晶粒軸比1.5 以下で
ある粗大な等軸結晶粒組織からなることを特徴とする加
工性、ノンイヤリング性および耐肌荒れ性に優れる缶用
鋼板。
【0009】3)C:0.0010〜0.0150wt%、Si:0.10wt
%以下、Mn:0.1 〜0.6 wt%、 P:0.02wt%以下、
S:0.02wt%以下、 Al:0.015 〜0.15wt%、N:0.
02wt%以下を含み、かつB:0.0020wt%以下を含有し、
残部はFeおよび不可避的不純物からなり、鋼板の表面か
ら板厚の1/10までの表層域における結晶粒は、AST
M粒度No.10 以上かつ結晶粒軸比1.5以下である微細な
等軸結晶粒組織からなり、この表層を除く鋼板内層は、
ASTM粒度No.9以下かつ結晶粒軸比1.5 以下である粗
大な等軸結晶粒組織からなることを特徴とする加工性、
ノンイヤリング性および耐肌荒れ性に優れる缶用鋼板。
【0010】4)C:0.0010〜0.0150wt%、Si:0.10wt
%以下、Mn:0.1 〜0.6 wt%、 P:0.02wt%以下、
S:0.02wt%以下、 Al:0.015 〜0.15wt%、N:0.
02wt%以下を含み、かつNb:0.020 wt%以下、 Ti:0.
020 wt%以下から選ばれるいずれか1種または2種を含
有し、さらにB:0.0020wt%以下を含有し、残部はFeお
よび不可避的不純物からなり、鋼板の表面から板厚の1
/10までの表層域における結晶粒は、ASTM粒度No.1
0 以上かつ結晶粒軸比1.5以下である微細な等軸結晶粒
組織からなり、この表層を除く鋼板内層は、ASTM粒
度No.9以下かつ結晶粒軸比1.5 以下である粗大な等軸結
晶粒組織からなることを特徴とする加工性、ノンイヤリ
ング性および耐肌荒れ性に優れる缶用鋼板。
【0011】5)C:0.0010〜0.0150wt%、Si:0.10wt
%以下、Mn:0.1 〜0.6 wt%、 P:0.02wt%以下、
S:0.02wt%以下、 Al:0.015 〜0.15wt%、N:0.
02wt%以下を含有する鋼スラブを、平均温度がAc3点以
上になるように加熱し、(Ar3点+150 ℃)〜(Ar3
+50℃)の温度範囲で粗圧延を終了し、得られたシート
バーに、衝突圧が25kgf/cm2 以上かつ液量密度が0.002
リットル/cm2以上を満たす条件の超高圧デスケーリング
を施して、シートバーの表面と厚み方向中心との温度差
を400 ℃以上とし、引き続き、5秒以内に仕上げ圧延を
開始し、Ar3点以上で終了し、仕上げ圧延終了後2秒以
内に50℃/sec 以上で冷却し、700 ℃以下で巻き取り、
常法により酸洗し、冷間圧延し、さらに、再結晶温度以
上で連続焼鈍し、圧下率0.5 〜10%で調質圧延すること
を特徴とする上記1)〜4)のいずれか1つに記載の缶
用鋼板の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、成分組成および製造条件等
を上記要旨構成の通りに限定した理由について説明す
る。 (1)鋼成分について C:0.0010〜0.0150wt% Cは、少なくする方が伸び性が良く、プレス加工性に有
利であるが、反面少なすぎると鋼板が過度に軟質化して
缶体としての強度を確保できなくなるため下限を0.0010
wt%とする。一方、その量が0.015 wt%を超えると鋼板
が硬質化して伸びが著しく低下しプレス加工性が劣化す
るために、0.0010〜0.0150wt%とする。
【0013】Si:0.10wt%以下 Siは、耐食性を低下させ、また材料を極端に硬質化させ
るので、缶用材料として有害な元素であるので、その上
限を0.1 wt%、好ましくは0.05wt%以下とする。
【0014】Mn:0.1 〜0.6 wt% Mnは、不純物であるSによる熱延中の赤熱脆性を防止す
るために必要な元素である。この効果を得るためには0.
1 wt%以上必要であるが、0.6 wt%を超えて添加すると
スラブ圧延中に割れを生じたり、鋼板が過度に硬質化す
るので、0.1 〜0.6 wt%の範囲で添加するものとする。
【0015】P:0.02wt%以下 Pは、0.02wt%を超えると耐食性が著しく低下するため
に上限を0.02wt%とする。
【0016】S:0.02wt%以下 Sは、熱延中の赤熱脆性を生じる不純物成分であり、極
力少なくすることが望ましいが、不可避的に含有される
量として0.02wt%まで許容できるので、上限を0.02wt%
とした。
【0017】Al:0.015 〜0.15wt% Alは、製鋼における脱酸材として鋼浴中に添加され、ス
ラグとして除かれる。添加量が少ないと安定した脱酸効
果が得られないため、0.015 wt%以上添加する必要があ
る。一方、0.15wt%を超えて添加してもさらなる効果が
なく、経済上好ましくないので上限を0.15wt%とする。
【0018】N:0.02wt%以下 Nは、0.02wt%を超えると鋼板が硬質化して伸びが著し
く低下しプレス加工性を劣化させるので、上限を0.02wt
%とする。
【0019】Nb:0.020 wt%以下、Ti:0.020 wt%以下 NbおよびTiは、いずれも炭窒化物を形成する元素であ
り、固溶C、Nの低減による伸び、r値の向上のために
添加される。添加量がいずれも0.02wt%を超えると再結
晶終了温度を上昇させ、Tiはさらに鋼板の表面性状を劣
化させるので、これらの上限を0.02wt%とする。
【0020】B:0.0020wt%以下 Bは、固溶CとNの量が低下した場合に生じる粒界脆化
を抑制するほか、焼き入れ性を高める効果があり、必要
に応じて添加する元素であるが、0.0020wt%を超えて添
加すると鋼が硬質化して脆化するので、上限を0.0020wt
%とする。なお、B添加の効果を得るには0.0002wt%以
上の添加が好ましい。
【0021】(2)製造条件について ・熱間圧延 熱延前の鋼素材の加熱は完全な溶体化がなされればよ
く、Ac3点以上に加熱されればよい。具体的には1050〜
1350℃が適する。上記加熱の後、粗圧延及び仕上げ圧延
よりなる熱間圧延を行なう。また、粗圧延により得られ
たシートバーには、仕上げ圧延に先立って、超高圧水に
よるデスケーリングを施す。まず、粗圧延を(Ar3点+
150 ℃)〜(Ar3点+50℃)の温度範囲で終了するの
は、この範囲より低い温度で粗圧延した場合には、仕上
げ圧延が必然的にα域での圧延となり、焼鈍板の深絞り
性に不利な集合組織となるからである。一方、この範囲
を超える高温で粗圧延を終了すると、粗圧延に引き続い
て行なわれる超高圧水デスケーリングによる鋼帯表面の
微細化効果が十分に発揮されないのに加え、圧延ロール
寿命の短命化につながる。従って、粗圧延終了温度範囲
は(Ar3点+150 ℃)〜(Ar3点+50℃)とする。
【0022】粗圧延の後、超高圧デスケーリング及び仕
上げ圧延を行なう。この場合、前述したように焼鈍板の
表層と内層の結晶粒を制御するためには、シートバーの
表面を強冷却し、表層と内部とで大きな温度差を作り、
表層に熱歪みを発生させる必要がある。このためには、
かかる超高圧デスケーリングの条件は、シートバー表面
での衝突圧;25kgf/cm2 以上かつ液量密度が0.002 リッ
トル/cm2以上とし、熱延鋼帯表面と中心で400 ℃以上の
温度差を生じさせること、さらにデスケーリング後の仕
上げ圧延を開始するまでの時間を5秒以内とすることが
必要である。ここで、液量密度はデスケーリングにおけ
る板面の単位面積当たりに投入される総液量を表す。ま
た、衝突圧pは、一般に、ノズルの吐出圧P及び吐出量
Q、板表面とノズル間の距離Hから次式により求められ
る。(「鉄と鋼」1991 vol.77 No.9 p11450 参照) p=5.64PQ/H2 ただし、p:シートバー板表面での衝突圧(MPa ) P:吐出圧(MPa ) Q:吐出量(リットル/sec) H:鋼板表面とノズルとの間の距離(cm)
【0023】本発明において、超高圧デスケーリング条
件およびデスケーリング後の仕上げ圧延を開始するまで
の時間が、冷延、焼鈍後の最終的な結晶粒度に影響する
メカニズムは、必ずしも明らかではないが、衝突圧が25
kgf/cm2 以上という超高圧になると、表層の凹凸が消滅
して平滑化し、局部的に板面が冷やされることなく、
面方向で均一な組織が得られることと、水量密度が0.00
2 リットル/cm2以上を超え、表面と中心との温度差が40
0 ℃以上になると、極表面のみが効果的に冷却され、鋼
帯表層に熱歪みが生じ、その歪みが鋼帯内部からの熱伝
達により開放される前に、即ちデスケーリング後5秒以
内に仕上げ圧延されると、熱延板の極表層のみが均一な
微細粒で、内層は粗大粒な結晶粒構成となり、冷延、焼
鈍後もこの構成を継承するするに十分な粒度となるもの
と考えられる。因に従来の高圧デスケーリングの衝突圧
は1.0 〜4.0kgf/cm2程度であるので、本発明では、その
10倍にあたる超高圧を採用することで、従来技術の下で
は期待されていなかった特有の作用効果を発現したもの
思われる。
【0024】次に、上記高圧デスケーリングに引き続い
て行なう仕上げ圧延は、圧延終了温度Ar3変態点以上の
条件で行ない、2秒以内で冷却し、700 ℃以下で巻き取
る必要がある。なぜなら、Ar3変態点未満で圧延された
場合には、熱延板の結晶粒は圧延方向にも伸びた粗大な
加工組織となり、この組織は冷延、焼鈍後も継承される
ために、結晶粒の軸比(長軸方向長さ/短軸方向長さ)
が1.5 以下の等軸粒とはならず、深絞り性が悪くなるか
らである。また、仕上げ圧延終了後は結晶粒の粗大化を
防止するためには、2秒以内に、50℃/sec以上の冷却速
度で所望の巻き取り温度まで冷却する必要がある。ここ
で、巻き取り温度が700 ℃を超えた場合には巻き取り後
のスケール成長が著しくなり酸洗性が低下するほか、結
晶粒が異常に粗大化して材質が劣化したり、耐肌あれ性
が劣化するなどの不具合を生じる。したがって、巻き取
り温度は700 ℃以下、好ましくは 500〜600 ℃の範囲と
する。
【0025】・冷間圧延 以上の熱間圧延を終えたあとに、常法により酸洗を行
い、冷間圧延を行う。この冷間圧延は、圧下率が80%未
満では焼鈍工程で結晶粒が異常に粗大化したり、混粒化
し、材質が劣化するほか、深絞り性に有効な集合組織を
発達させることが困難になるので、圧下率は80%以上と
するのが望ましい。
【0026】・連続焼鈍 連続焼鈍には、再結晶温度以上の温度が必要であるが、
焼鈍温度が高すぎると結晶粒が異常に粗大化し、加工後
の肌荒れが大きくなるほか、缶用鋼板などの薄物材では
炉内破断やバックリング発生の危険が大きくなるために
750 ℃を上限とすることが望ましい。
【0027】・調質圧延 調質圧延の圧下率は、鋼板の調質度により随時決定され
るが、ストレッチャーストレインの発生を防止するため
には0.5 %以上の圧下率で圧延する必要がある。一方、
10%を超える圧下率で圧延すると鋼板が過度に硬質化し
て、加工性が低下するために上限を10%とする。
【0028】・鋼板の組織 以上の方法により製造された鋼板の結晶粒は、粒の大き
さが鋼板表面から板厚の1/10までの表層域で、AST
M粒度No.10 以上の等軸結晶粒(結晶粒軸比1.5 以下)
組織とし、この表層を除く鋼板内層で、ASTM粒度N
o.9以下の粗大な等軸結晶粒(結晶粒軸比1.5 以下)組
織とすることができる。ここに、軸比とは長軸方向長さ
/短軸方向長さをさすものとする。結晶粒軸比は、Δr
を小さくし、ノンイヤリング性をよくするうえから、鋼
板の表面から中央部に至る全板厚にわたって1.5 以下で
ある必要がある。また、表層は加工後の耐肌荒れ性を良
くするために粒度No.10 以上あり、かつ加工性を確保す
るためには極表層(表面から板厚の1/10まで)のみが
微細であり、内層は粒度No.9以下、好ましくはNo.8.5以
下の粗大粒である必要がある。なお、上記の各領域にお
ける結晶粒の大きさ(粒度No. )および軸比は、いずれ
もそれぞれの領域における平均値で表すものとする.
【0029】
【実施例】表1に示す本発明に適合する成分およびC量
が本発明の範囲を外れる成分からなる溶鋼を連続鋳造し
て得たスラブを、表2に示す条件で、熱延、冷延、焼鈍
および調質圧延し、さらに25番目付で錫めっきして製品
とし、各種特性試験に供した。なお、粗圧延後のシート
バー厚みは40mmであり、これに超高圧デスケーリン
グを行った後の厚み方向の温度差は、鋼の熱伝達係数等
のデータをもとに伝熱計算により求めた。なお、熱伝達
係数等、計算に用いた値および温度計算値はオフライン
で実測した値との比較により、その妥当性を確認した。
また、冷延板の板厚は0.1 〜0.3 mmであった。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】試験方法を次に示す。 (A)金属組織 製品断面を研磨、エッチング後、光学顕微鏡観察によ
り、ASTM粒度No. と結晶粒の軸比を、最表面から板
厚の1/10位置までの領域およびこれ以外の領域に分け
測定し、各領域におけるそれぞれの平均値を求めた。 (B)機械的性質 JIS5号試験片を用いて製品の引張試験を実施した。
なお、r値およびr値の異方性は、それぞれ次式によ
り、平均r値およびΔrとして求めた。 平均r値=(r0 +r90+2r45)/4 Δr=(r0 +r90−2r45)/2 ただし、 r0 :圧延方向のr値 r90:圧延方向と90度の傾きをなす方向のr値 r45:圧延方向と45度の傾きをなす方向のr値 (C)肌荒れ性 JIS5号の試験片に20%引張歪みを付与し、鋼板の表
面粗度を粗度計にて測定した。なお、引張前の製品表面
粗度Raは全て0.21μmであった。また、本発明者らの実
験により、20%引張テスト後の表面粗度Raが0.65μm以
下であればプレス加工後の肌荒れによる問題は発生しな
いことが確認されている。 (D)円筒加工テスト 深絞り加工時の加工性、肌荒れ性、イヤリング性を調査
するために円筒加工テストを行なった。直径100 mmの
円形ブランクを絞り比2.2 でカップ状に成形し、加工時
の割れ発生状態、肌荒れ状態およびイヤリング発生状態
を、○;発生なしまたは微小、△;軽度〜中度、×;実
用不可の3段階で評価した。
【0033】以上の試験結果を表3に示す。表3から、
本発明に従う鋼板は、伸びに優れ、プレス加工性、耐肌
荒れ性、ノンイヤリング性の全てを満足し良好であるの
に対し、比較例はいずれかの特性に劣っていることがわ
かる。
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
プレス加工性、耐肌荒れ性、ノンイヤリング性ともに優
れた缶用鋼板が製造可能となり、この発明による鋼板
は、特に深絞り加工を施す食缶および飲料缶等の素材と
して好適に使用しうる。また、本発明による鋼板は、各
種金属缶のみならず、乾電池内装缶、各種家電・電気部
品および自動車部品等の幅広い範囲で活用されることが
期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶粒度No. と伸びの関係を示す図である。
【図2】結晶粒の軸比とΔrの関係を示す図である。
【図3】結晶粒度No. と肌荒れ性の関係を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古君 修 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 久々湊 英雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.0010〜0.0150wt%、 Si:0.10wt%以下、 Mn:0.1 〜0.6 wt%、 P:0.02wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Al:0.015 〜0.15wt%、 N:0.02wt%以下 を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、鋼
    板の表面から板厚の1/10までの表層域における結晶粒
    は、ASTM粒度No.10 以上かつ結晶粒軸比1.5以下で
    ある微細な等軸結晶粒組織からなり、この表層を除く鋼
    板内層は、ASTM粒度No.9以下かつ結晶粒軸比1.5 以
    下である粗大な等軸結晶粒組織からなることを特徴とす
    る加工性、ノンイヤリング性および耐肌荒れ性に優れる
    缶用鋼板。
  2. 【請求項2】C:0.0010〜0.0150wt%、 Si:0.10wt%以下、 Mn:0.1 〜0.6 wt%、 P:0.02wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Al:0.015 〜0.15wt%、 N:0.02wt%以下 を含み、かつ Nb:0.020 wt%以下、 Ti:0.020 wt%以下 から選ばれるいずれか1種または2種を含有し、残部は
    Feおよび不可避的不純物からなり、鋼板の表面から板厚
    の1/10までの表層域における結晶粒は、ASTM粒度
    No.10 以上かつ結晶粒軸比1.5 以下である微細な等軸結
    晶粒組織からなり、この表層を除く鋼板内層は、AST
    M粒度No.9以下かつ結晶粒軸比1.5 以下である粗大な等
    軸結晶粒組織からなることを特徴とする加工性、ノンイ
    ヤリング性および耐肌荒れ性に優れる缶用鋼板。
  3. 【請求項3】C:0.0010〜0.0150wt%、 Si:0.10wt%以下、 Mn:0.1 〜0.6 wt%、 P:0.02wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Al:0.015 〜0.15wt%、 N:0.02wt%以下 を含み、かつ B:0.0020wt%以下 を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、鋼
    板の表面から板厚の1/10までの表層域における結晶粒
    は、ASTM粒度No.10 以上かつ結晶粒軸比1.5以下で
    ある微細な等軸結晶粒組織からなり、この表層を除く鋼
    板内層は、ASTM粒度No.9以下かつ結晶粒軸比1.5 以
    下である粗大な等軸結晶粒組織からなることを特徴とす
    る加工性、ノンイヤリング性および耐肌荒れ性に優れる
    缶用鋼板。
  4. 【請求項4】C:0.0010〜0.0150wt%、 Si:0.10wt%以下、 Mn:0.1 〜0.6 wt%、 P:0.02wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Al:0.015 〜0.15wt%、 N:0.02wt%以下 を含み、かつ Nb:0.020 wt%以下、 Ti:0.020 wt%以下 から選ばれるいずれか1種または2種を含有し、さらに B:0.0020wt%以下 を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、鋼
    板の表面から板厚の1/10までの表層域における結晶粒
    は、ASTM粒度No.10 以上かつ結晶粒軸比1.5以下で
    ある微細な等軸結晶粒組織からなり、この表層を除く鋼
    板内層は、ASTM粒度No.9以下かつ結晶粒軸比1.5 以
    下である粗大な等軸結晶粒組織からなることを特徴とす
    る加工性、ノンイヤリング性および耐肌荒れ性に優れる
    缶用鋼板。
  5. 【請求項5】C:0.0010〜0.0150wt%、 Si:0.10wt%以下、 Mn:0.1 〜0.6 wt%、 P:0.02wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Al:0.015 〜0.15wt%、 N:0.02wt%以下 を含有する鋼スラブを、平均温度がAc3点以上になるよ
    うに加熱し、(Ar3点+150 ℃)〜(Ar3点+50℃)の
    温度範囲で粗圧延を終了し、得られたシートバーに、衝
    突圧が25kgf/cm2 以上かつ液量密度が0.002 リットル/c
    m2以上を満たす条件の超高圧デスケーリングを施し、シ
    ートバーの表面と厚み方向中心との温度差を400 ℃以上
    とし、引き続き、5秒以内に仕上げ圧延を開始し、Ar3
    点以上で終了し、仕上げ圧延終了後2秒以内に50℃/se
    c 以上で冷却し、700 ℃以下で巻き取り、常法により酸
    洗し、冷間圧延し、さらに、再結晶温度以上で連続焼鈍
    し、圧下率0.5 〜10%で調質圧延することを特徴とする
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の缶用鋼板の製造方
    法。
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