JPH0931274A - アイオノマー組成物及びその薄膜ならびにその被膜が形成された成形品 - Google Patents

アイオノマー組成物及びその薄膜ならびにその被膜が形成された成形品

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JPH0931274A
JPH0931274A JP17907895A JP17907895A JPH0931274A JP H0931274 A JPH0931274 A JP H0931274A JP 17907895 A JP17907895 A JP 17907895A JP 17907895 A JP17907895 A JP 17907895A JP H0931274 A JPH0931274 A JP H0931274A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水性分散液から透明性、密着性、耐水性等に
優れた被膜を形成することができるアイオノマー組成物
及びその水性分散体の提供。 【解決手段】 エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の
アイオノマー(A)・・・・80〜99.9重量部 及び キトサン(B) ・・・ 0.1 〜20重量部 とからなるアイオノマー組成物。上記組成のアイオノマ
ー組成物は水に溶解もしくは分散させることができ、こ
れより上記アイオノマー組成物の薄膜、および基材に上
記アイオノマー組成物の薄膜が形成されてなる成形品を
製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なアイオノマー
組成物に関する。更に詳しくは水性分散液から被膜を形
成した時に良好な耐水性を示す、アイオノマーとキトサ
ンとからなる組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を
金属又はアンモニウムにより部分的に中和して得られた
重合体はアイオノマーと呼ばれている。その中、アルカ
リ金属又はアンモニウムに中和されたアイオノマーは界
面活性剤等の分散剤を使用することなしに、水に分散す
る事が知られており工業化されている。
【0003】アイオノマーの水中への分散はアイオノマ
ー自身、又はエチレン・不飽和カルボン酸共重合体と中
和のためのイオン源とを水に加え、100℃〜200℃
の高温、加圧下で撹拌する事により達成される。アイオ
ノマーの水性分散体はアルミニウム箔、紙等の基材に被
覆し、防水性、ヒートシール性、耐折り曲げ性、表面光
沢の付与などの目的に使用されている。又、親水性の高
い、Na,K,Rb,Csイオン等アルカリ金属を高濃
度に含むアイオノマーは優れた分散性を示し、透明な水
性分散体となり、これを基材表面に適用して、アイオノ
マーの特徴である強靭なヒートシール性に優れた被膜が
形成されることが知られている。
【0004】しかしながらこのようにして得られるアイ
オノマー被膜は、耐水性が充分優れているとはいえず、
過酷な使用条件下においては水分によって膨潤したり剥
離したりすることがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、
アイオノマーの優れた特性を維持しながら上記被膜の耐
水性を改良する方法について検討を行った。その結果、
アイオノマーに少量のキトサンを配合し、複合化させる
ことによりその目的が達成できることを知った。したが
って本発明の目的は、新規なアイオノマー組成物を提供
することにある。本発明の他の目的は、透明性、密着
性、耐水性等に優れた薄膜あるいは成形品の被膜を形成
するアイオノマー水性分散体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、エチ
レン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー(A)
80〜99.9重量部及びキトサン(B)0.1〜20
重量部(両者の合計が100重量部)とからなるアイオ
ノマー組成物に関する。本発明はまた、エチレン・不飽
和カルボン酸共重合体のアイオノマー(A)80〜9
9.9重量部及びキトサン(B)0.1〜20重量部
(両者の合計が100重量部)が水に溶解もしくは分散
されてなるアイオノマー組成物に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるアイオノマー
(A)は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を金属
又はアンモニウムにより部分的に中和して得られた重合
体であり、ベースポリマーであるエチレン・不飽和カル
ボン酸共重合体を構成する不飽和カルボン酸としては、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、マ
レイン酸やフマル酸のモノアルキルエステル、無水マレ
イン酸などが例示できるが、とくにアクリル酸またはメ
タクリル酸が好ましい。
【0008】このような共重合体は、エチレンと不飽和
カルボン酸のみの共重合体である必要はなく、不飽和カ
ルボン酸エステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチ
ルなどや酢酸ビニルのようなビニルエステル類が共重合
されたものであってもよい。
【0009】本発明で用いられるアイオノマーは水分散
可能なものが好ましく、通常、不飽和カルボン酸含量が
10〜30重量%、とくに18〜25重量%のエチレン
・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーが好まし
い。共重合体中における不飽和カルボン酸含量の多い
程、水分散が容易となるが、あまり多くなると被膜にし
た場合の耐水性が低下する。
【0010】共重合体として種々の分子量のものが使用
できるが、あまり分子量が小さくなると機械的強度が低
下するので、例えば190℃、2160g荷重における
メルトフローレートが0.1〜3000g/10分のも
のがよい。しかし水性分散液として用いるときには、安
定な水分散体を得るためにあまり分子量が大きくない方
が望ましく、例えばメルトフローレートが、10〜10
00g/10分、とくに30〜500g/10分程度の
ものが最も好ましい。
【0011】本発明のアイオノマーのイオン源として
は、種々のものが使用できる。例えば、リチウム、ナト
リウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカ
リ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類
金属、亜鉛、銅などの遷移金属、アンモニア、アミンな
どを例示できる。とくに水性分散体として用いるときに
は、アルカリ金属のものが好ましい。アイオノマーにお
ける中和度は任意であるが、水性分散体として用いる場
合は50モル%以上、とくに60モル%以上であること
が望ましい。
【0012】本発明で使用されるキトサン(B)は、自
然界の甲殻類、昆虫類、菌類中に広く分布して存在し、
セルロースに類似した多糖類であるキチンを、アルカリ
処理により部分的又は完全に脱アセチル化したものであ
る。
【0013】キトサンはカニ殻等を原料として工業的に
生産されており、具体的な製造方法は公知である。例え
ばカニ殻を粉砕し3〜5%の塩酸で処理し、水洗後、更
に3〜5%の水酸化ナトリウム溶液で処理し、十分に水
洗するとキチンが固形分として残留する。このキチンを
40〜50%の水酸化ナトリウム溶液中100℃で数時
間処理して得られる。
【0014】本発明で使用されるキトサンは、後記する
ようにアイオノマー水性分散体に均一に分散して添加す
るのが望ましいので、水溶液状のキトサンが好ましい。
しかし、キトサンのアミノ基含量が少ない、または分子
量が大きい場合は水に溶解するために酸の存在が必要で
あり、酸の量が多いとアイオノマー水性分散体に配合す
る際ゲル化、固形分の沈殿が生じ好ましくない。そこで
本発明においては、酸の存在無しで水に溶解可能であ
る、アミノ基含量が多い、又は分子量が小さいキトサン
を用いるのが好適である。
【0015】具体的には、本発明で使用するキトサンは
キチンから脱アセチル化したアミノ基をグルコース単位
当たり40%以上含有するもの、すなわち脱アセチル化
度が40%以上、好ましくは70%以上のもの、又はそ
れらのアミノ基の一部又は全部が酢酸、クエン酸等の酸
によってアンモニウム塩に変換されているものが好まし
い。また水又は酸への溶解性を高めることから、キトサ
ンの分子量は1%水溶液の20℃における粘度が50c
p以下となる低分子量の物が好ましい。特に、水への溶
解性の点からは20cp以下の物が好ましい。低分子キ
トサンは酵素で低分子化処理されたキトサンを用いても
良い。
【0016】キトサンを水に溶解する際使用する酸とし
ては特に制限はないがクエン酸、酢酸、グリコール酸、
乳酸等が通常用いられる。
【0017】本発明におけるアイオノマー(A)とキト
サン(B)の好ましい配合比率は、用いるキトサンの種
類や組成物の物性の要求レベルによっても異なるが、
(A)/(B)(重量比)が99.9/0.1〜80/
20、好ましくは99.8/0.2〜90/10、より
好ましくは99.7/0.3〜95/5の範囲である。
キトサンは通常水溶液の形でアイオノマー水性分散液に
配合されるが、多くの場合キトサン水溶液には酸が添加
されていることから、その配合量が多くなりすぎると、
アルカリ性のアイオノマー水性分散液がゲル化して沈殿
を生じることがあるので、過量に使用すべきではない。
一方、その配合量が少なすぎると、耐水性改良効果が充
分に発現されない。
【0018】アイオノマーとキトサンとの混合により両
者は、アイオノマーのカルボキシル基と、キトサンのア
ミノ基との間でアンモニウム塩を形成するかあるいはア
ミド結合を生ずるかによって結合しているものと想定さ
れる。このことは、例えば赤外線吸収スペクトルにおい
て、アイオノマーでは未中和のカルボキシル基2量体に
基づいて1700cm-1近傍に現われる吸収ピークが、
本発明におけるアイオノマー組成物のスペクトルでは弱
くなっていることから裏付けられる。本発明のアイオノ
マー組成物のユニークな物性はこのような結合による新
規な生成物に基づくものと思われる。
【0019】アイオノマーとキトサンの配合は、すでに
述べたようにアイオノマーは水性分散体の形で、またキ
トサンは水溶液の形で、それぞれを配合することにより
均一な配合物を得ることができる。この場合、予め調製
されたアイオノマー水性分散液とキトサン水溶液を混合
する方法のみならず、キトサン水溶液中でアイオノマー
を分散させることによっても製造することができる。
【0020】アイオノマーの水性分散液の製造方法につ
いてはすでによく知られており、例えばアイオノマーと
水とをオートクレーブ中でアイオノマーの融点以上の温
度、例えば80℃以上、好ましくは95℃以上の温度で
撹拌する方法、アイオノマーのベースポリマーであるエ
チレン・不飽和カルボン酸共重合体とアルカリ金属化合
物とを、高温、加圧下に水中で撹拌することにより、中
和と水性分散体の製造を同時に行う方法などがある。
【0021】アイオノマーとキトサンを含む水性分散液
にあっては、その粘度や塗布した後の乾燥効率を考慮す
ると、アイオノマーとして1〜60重量%、とくに5〜
40重量%の濃度となるように調製するのが好ましい。
【0022】本発明のアイオノマー組成物には、種々の
添加剤を配合することができる。このような添加剤の例
として、例えば酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外
線吸収剤、可塑剤、着色剤、架橋剤、無機フィラーなど
を挙げることができる。
【0023】本発明によって得られる水性分散体は、種
々の基材への被覆材として使用することができる。この
ような目的に使用できる基材としては、例えば高、中、
低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合
体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メ
タ)アクリル酸共重合体又はそのアイオノマー、エチレ
ン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリスチレ
ン、ABS樹脂のようなスチレン系樹脂、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのような
ポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6
10、ナイロン12のようなポリアミド、エチレン・ビ
ニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、ポリアセ
タールポリスルホン、ポリ塩化ビニル、熱可塑性オレフ
ィンエラストマー、スチレン系ブロックコポリマー、熱
可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミド
エラストマー、フェノール樹脂、アルミ蒸着フィルム、
シリカ蒸着フィルム、紙、金属などを例示することがで
きる。これら基材は、無水マレイン酸のようなものでグ
ラフト変性されていてもよく、また上記同様の添加剤が
配合されていてもよい。またコロナ処理や火炎処理のよ
うな表面処理が施されていてもよい。基材としてはま
た、フィルム、シート、容器、チューブ等種々の形状の
成形品が使用できる。
【0024】基材上に水性分散液を塗布するには、一般
のプラスチックコーティングに用いられている方法、例
えばロールコーター、バーコーター、スプレイ、エアー
ナイフコーター、刷毛等を用いる方法、あるいは基材を
水性分散液に浸漬する方法等により行うことができる。
塗布後は、加熱乾燥することによって水分を蒸発させ、
均一な被膜を得ることができる。乾燥温度は任意である
が、一般には50〜200℃程度の範囲である。塗布量
は、基材の浸透性や平滑性などによっても異なるが、
0.05〜200μm、とくに0.1〜50μm程度が
一般的である。
【0025】また本発明によって得られる水性分散体か
ら、薄膜を製造することもできる。薄膜を製造するに
は、剥離し易い材料からなる基板上に、前記被膜と同様
にして薄膜を形成させ、これを基板から剥離することに
より得られる。このアイオノマー組成物薄膜は選択透過
膜等の用途に使用される。
【0026】
【発明の効果】本発明によって得られるアイオノマー組
成物は、アイオノマーとキトサンとの化学結合に由来す
ると考えられる種々の優れた特性を示す。特にアイオノ
マー本来の優れた性質を保持しつつ耐水性が改良されて
いる。また、ある種の基材に対しては、改善された接着
性を示す。さらにアイオノマーと比較して、ガスバリヤ
ー特性、とくに酸素/炭酸ガスの透過率比が大きくなっ
ている。
【0027】かかる改善された性質を生かし、従来アイ
オノマーで使用されていた用途に応用して、基材表面に
強靭でヒートシール性が優れ、しかも耐水性の優れた被
膜を形成させることができるのみならず、キトサンの機
能を利用した薄膜として、抗菌膜、選択透過膜、イオン
交換膜、医療用創傷治療膜等への応用が期待される。
【0028】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。なお、実施例において用いた水性分散体を構成す
る各成分の種類及び物性の測定法は次の通りである。
【0029】1.アイオノマーおよびそのベースポリマ
ー (1)エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA) 組成 エチレン: 80wt% メタクリル酸:20wt% MFR 67dg/min 融点 85℃
【0030】(2)カリウムアイオノマー 上記(1)のEMAAの90mol%中和カリウム塩 MFR 0.05dg/min 融点 85℃
【0031】(3)アイオノマー水性分散体 上記(2)のカリウムアイオノマー25wt%、水75
wt%の水性分散体
【0032】2.キトサン水溶液 コーヨーキトサン (甲陽ケミカル株式会社 製)10
%水溶液、粘度(1%水溶液、20℃)15CP以下、
脱アセチル化度85%以上
【0033】3.原料樹脂及び得られた塗膜の物性の測
定法 (1)MFR(メルトフローレート):JISK−67
60 温度190℃、荷重2160g
【0034】(2)耐水性:基材上に塗布乾燥した塗膜
を23℃の水に3分漬けて膜の状態を観察した。 ○:変化無し ×:膨潤、剥離
【0035】[実施例1]カリウムアイオノマーの水性
分散体(固形分25wt%)4gに室温(20℃)にて
キトサン水溶液(”コーヨーキトサン”10%キトサン
液)を0.5g(カリウムアイオノマー100重量部当
たり5重量部)加え、よく撹拌し均一化した。混合液は
固形分の沈殿、ゲル化が生じなかった。得られた透明な
低粘度の水性分散体の一部を50μm厚のポリプロピレ
ンに注ぎ、12番のワイアーコーティングバーを用いて
均一に広げコーティングした。塗膜はフィルム面ではじ
かれることなく、又泡が生じることなく均一に広がっ
た。塗膜面をドライヤーにて80℃熱風で60秒間加熱
乾燥後、100℃のホットプレート上で60秒加熱乾燥
した。
【0036】得られた被膜は厚さ約2μmで透明であ
り、表面にブリードは認められなかった。耐水性、ガス
透過性を測定したところ、表1の結果を得た。
【0037】[比較例1]実施例1で用いたアイオノマ
ーの水性分散体にキトサンを添加しないで、実施例1と
同様にポリプロピレン(厚み50μm)上にコーティン
グした後加熱乾燥し、厚さ約2μmの透明で光沢を有す
る被膜が得られた。耐水性、ガス透過性、密着性を測定
した。結果を表1にあわせて示す。
【0038】
【表1】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の
    アイオノマー(A)80〜99.9重量部及びキトサン
    (B)0.1〜20重量部(両者の合計が100重量
    部)とからなるアイオノマー組成物。
  2. 【請求項2】 エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の
    アイオノマー(A)80〜99.9重量部及びキトサン
    (B)0.1〜20重量部(両者の合計が100重量
    部)が水に溶解もしくは分散されてなるアイオノマー組
    成物。
  3. 【請求項3】 アイオノマー(A)が、不飽和カルボン
    酸含量が10〜30重量%のエチレン・不飽和カルボン
    酸共重合体の中和度が50モル%以上のアルカリ金属ア
    イオノマーである請求項1又は2記載のアイオノマー組
    成物。
  4. 【請求項4】 キトサン(B)が、1%水溶液の20℃
    における粘度が50cp以下のものである請求項1〜3
    に記載のアイオノマー組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1、3又は4に記載のアイオノマ
    ー組成物からなる薄膜。
  6. 【請求項6】 基材に請求項5の薄膜が形成されてなる
    成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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