JPH09316028A - 高純度オルソホルミル安息香酸の製造法 - Google Patents

高純度オルソホルミル安息香酸の製造法

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JPH09316028A
JPH09316028A JP13717996A JP13717996A JPH09316028A JP H09316028 A JPH09316028 A JP H09316028A JP 13717996 A JP13717996 A JP 13717996A JP 13717996 A JP13717996 A JP 13717996A JP H09316028 A JPH09316028 A JP H09316028A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大気圧下に1−トリクロロメチル−2−ジク
ロロメチルベンゼンを加水分解し、ジフタリジルエーテ
ル等の不純物の副生を可及的に防止して高純度のオルソ
ホルミル安息香酸を収率良く製造することができ、工業
的に実施するのに好適な高純度オルソホルミル安息香酸
の製造法を提供する。 【解決手段】 1−トリクロロメチル−2−ジクロロメ
チルベンゼンを加水分解してオルソホルミル安息香酸を
製造するに際し、反応溶媒としてHCl濃度5重量%以
上の塩酸を用い、オルソホルミル安息香酸の存在下に大
気圧下で80℃から反応系の沸点までの温度に加熱する
高純度オルソホルミル安息香酸の製造法である。また、
反応混合物からオルソホルミル安息香酸を晶析分離した
後の固液分離母液を反応溶媒として用い、必要により繰
り返し連続的にオルソホルミル安息香酸を製造する高純
度オルソホルミル安息香酸の製造法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1−トリクロロメ
チル−2−ジクロロメチルベンゼンからオルソホルミル
安息香酸を製造する方法に関する。このオルソホルミル
安息香酸は、医薬、農薬、高分子材料の中間体等の用途
に極めて有用な工業用原料である。
【0002】
【従来の技術】1−トリクロロメチル−2−ジクロロメ
チルベンゼンを出発原料として、オルソホルミル安息香
酸を製造する方法としては、以下に示すような幾つかの
方法が知られている。
【0003】第1に、1−トリクロロメチル−2−ジク
ロロメチルベンゼンを触媒の存在下に加水分解する方法
が知られている。例えば、米国特許第2748161号
明細書には、1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチ
ルベンゼンを、ベンゼン系とナフタレン系のスルホン化
芳香族炭化水素及びスルホン化され核ハロゲン化された
誘導体から選ばれた芳香族スルホン酸を触媒として、9
0〜120℃で加水分解することにより、オルソホルミ
ル安息香酸を製造する方法が記載されている。また、米
国特許第2748162明細書には、1−トリクロロメ
チル−2−ジクロロメチルベンゼンを、塩化亜鉛、臭化
亜鉛、塩化第二鉄、臭化第二鉄、塩化カドミウム及び臭
化カドミウムより選ばれた少なくとも1種の金属ハロゲ
ン化物を触媒として、ハロゲン化水素酸水溶液中100
〜150℃の温度で加水分解することにより、オルソホ
ルミル安息香酸を製造する方法が記載されている。
【0004】これらのオルソホルミル安息香酸の製造法
は、反応混合物中で多量の触媒を使用するため、特に工
業的規模で製造するためには、使用した触媒の分離に著
しい技術上の困難を伴うほか、分離精製後に製品中に不
可避的に微量の触媒由来の不純物が残存し、このために
この製造法で得られた高純度オルソホルミル安息香酸に
ついては実用上その中間体としての用途が制限されてし
まう。
【0005】第2に、1−トリクロロメチル−2−ジク
ロロメチルベンゼンを水中で目的物のオルソホルミル安
息香酸の存在下に加水分解する方法が知られている。例
えば、特開昭51−56425号公報には、その実施例
において、1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチル
ベンゼンとオルソホルミル安息香酸の混合物を、大気圧
下に水中で10時間還流加熱し、収率95重量%(純度
の記載は無い)でオルソホルミル安息香酸を製造したこ
とが記載されている。
【0006】このオルソホルミル安息香酸の製造法は、
大気圧下で行うことができ、しかも、第1に示した方法
のように芳香族スルホン酸や金属ハロゲン化物等の触媒
を使用する必要がない点で優れている。しかしながら、
この方法においては、加水分解の副反応により不純物と
してジフタリジルエ−テルが生成し、このためにこの製
造法で製造されたオルソホルミル安息香酸を医薬、農
薬、高分子材料等の製造原料として用いる場合には、事
前に蒸留してこのジフタリジルエ−テルを分離除去する
か、あるいは、事後に製品を精製してこのジフタリジル
エ−テル由来の不純物を除去する必要が生じるという問
題があるほか、反応時間が比較的長時間であるという問
題もある。
【0007】第3に、1−トリクロロメチル−2−ジク
ロロメチルベンゼンを加圧下に加水分解する方法が知ら
れている。例えば、特開昭52−5728公報や特開昭
63−303947号公報には、圧力容器中に1−トリ
クロロメチル−2−ジクロロメチルベンゼンと水とを仕
込み、無触媒で加熱下に加水分解してオルソホルミル安
息香酸を製造する方法が開示されている。
【0008】そして、特開昭52−5728号公報に
は、1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチルベンゼ
ンと水とをオートクレーブ中で130℃に加熱し、圧力
4〜5バールで6時間加水分解し、収率79.2重量%
及び純度99重量%でオルソホルミル安息香酸を製造し
たことが記載されており、また、特開昭63−3039
47号公報には、1−トリクロロメチル−2−ジクロロ
メチルベンゼンを3〜4kg/cm2 の加圧下に加水分
解し、収率90重量%で融点97.7℃のオルソホルミ
ル安息香酸を製造したことが記載されている。
【0009】これらオルソホルミル安息香酸の製造法に
おいても、上記第2の方法と同様に、触媒を使用しない
点で優れており、かつ、加水分解反応においてジフタリ
ジルエーテルが不純物として副生しない点で優れてい
る。しかしながら、オートクレーブ等の圧力容器を使用
するため、特に工業的な製造においては設備費が高くな
り、また、製造工程でのその取扱いが複雑になって製造
コストが嵩むという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチルベンゼ
ンを大気圧下に比較的速い反応速度で加水分解できると
共に、ジフタリジルエーテル等の不純物の副生を可及的
に抑制することができ、これによって高純度のオルソホ
ルミル安息香酸を収率良く製造できる方法について鋭意
研究を重ねた結果、意外なことには反応溶媒としてHC
l濃度5重量%以上の塩酸を用いることにより、この目
的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】従って、本発明の目的は、大気圧下に1−
トリクロロメチル−2−ジクロロメチルベンゼンを加水
分解し、ジフタリジルエーテル等の不純物の副生を可及
的に防止して高純度のオルソホルミル安息香酸を収率良
く製造することができ、工業的に実施するのに好適な高
純度オルソホルミル安息香酸の製造法を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、1
−トリクロロメチル−2−ジクロロメチルベンゼンを加
水分解してオルソホルミル安息香酸を製造するに際し、
反応溶媒としてHCl濃度5重量%以上の塩酸を用い、
オルソホルミル安息香酸の存在下に大気圧下で80℃か
ら反応系の沸点までの温度に加熱する、高純度オルソホ
ルミル安息香酸の製造法である。
【0013】また、本発明は、HCl濃度5重量%以上
の塩酸を反応溶媒として用い、オルソホルミル安息香酸
の存在下に大気圧下で80℃から反応系の沸点までの温
度に加熱して1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチ
ルベンゼンを加水分解する加水分解工程と、この加水分
解工程で得られた反応混合物を冷却して晶析する晶析工
程と、晶析工程で得られたスラリーを固液分離して固体
のオルソホルミル安息香酸を得る固液分離工程と、この
固液分離工程で回収された固液分離母液を加水分解工程
の反応溶媒として循環する循環工程とを含む、高純度オ
ルソホルミル安息香酸の製造法である。
【0014】以下、本発明の製造法をその製造工程に従
って詳細に説明する。本発明において、出発原料として
使用する1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチルベ
ンゼンは、例えば、オルソキシレンの直接塩素ガスによ
る液相光塩素化反応により容易に製造することができ、
工業的に高純度のものを安価で入手することができる。
【0015】また、本発明においては、反応溶媒として
HCl濃度5重量%以上、好ましくはHCl濃度10重
量%以上、より好ましくは共沸組成の塩酸を使用し、上
記1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチルベンゼン
の加水分解反応を行う。本発明の加水分解反応におい
て、塩酸は、単に反応溶媒として機能するだけでなく、
加水分解反応の水供給源として機能するほか、この加水
分解反応の触媒としても作用すると考えられる。反応溶
媒として用いる塩酸のHCl濃度が5重量%より低い
と、副反応が生じてジフタリジルエーテル等の好ましく
ない不純物が生じるほか、反応速度も遅くなる。
【0016】この塩酸の使用量は、1−トリクロロメチ
ル−2−ジクロロメチルベンゼン1重量部に対して1〜
10重量部、好ましくは3〜7重量部であり、1重量部
未満では副反応が起こり易くなってジフタリジルエーテ
ル等の不純物が生成し易くなり、また、10重量部を超
えると反応設備に対する容積効率が悪化し、また、塩酸
中へのオルソホルミル安息香酸の溶解量が増大して生産
効率が低下する。
【0017】また、1−トリクロロメチル−2−ジクロ
ロメチルベンゼンの加水分解反応を行うに際して反応系
に添加するオルソホルミル安息香酸の添加量は、原料の
1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチルベンゼン1
重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.
1〜0.5重量部の範囲である。このオルソホルミル安
息香酸の添加量が0.01重量部より少ないと反応速度
が著しく遅くなり、また、5重量部を超えて添加すると
反応設備に対する容積効率が悪化し、生産効率も低下す
る。
【0018】本発明の加水分解反応は、大気圧下に反応
系を80℃〜反応混合物の沸点、好ましくは反応混合物
の沸点に加熱して行う。この反応温度が80℃より低い
と反応速度が著しく遅くなり、反対に、反応混合物の沸
点を超えて加熱するためには加圧容器が必要になって反
応設備上好ましくない。また、反応形態は、回分法であ
っても、また、連続法であってもよいが、本発明におい
ては、反応終了後にオルソホルミル安息香酸を固液分離
して得られる固液分離母液を、オルソホルミル安息香酸
を含む反応溶媒としてそのまま使用できるので、連続法
であるのが好ましい。
【0019】本発明の加水分解反応は、攪拌無しに反応
温度に加熱して加水分解反応をさせると、1−トリクロ
ロメチル−2−ジクロロメチルベンゼン主体の油相と、
オルソホルミル安息香酸を溶解した塩酸主体の水相とに
分離し、これを撹拌すると白濁したエマルジョンが生成
するので、液相不均一系のエマルジョン反応に分類され
る。
【0020】従って、本発明の加水分解反応に際して
は、反応系が均一になるように撹拌条件下に行うのがよ
く、加水分解反応の進行に伴って気泡状に発生する塩化
水素ガスを反応系外に除去するのがよい。本発明の加水
分解反応は、塩化水素ガスの発生が終了し、反応系が透
明な均一溶液になった時点で終結する。
【0021】本発明においては、反応終了後に反応混合
物中のオルソホルミル安息香酸を分離する方法として
は、通常、晶析が行われる。反応混合物を撹拌下に、そ
のままの濃度で、あるいは、適量の水で希釈して、オル
ソホルミル安息香酸の5〜30重量%水溶液とし、冷却
して結晶を析出させ、次いでこの結晶を濾過等の手段で
固液分離し、必要により水洗する。
【0022】このようにして得られた結晶は、純度9
9.9重量%以上であってジフタリジルエーテル等の不
純物をほとんど含まない高純度のオルソホルミル安息香
酸であり、理論収率で95重量%以上が得られる。ここ
で、理論収率とは、下記式で示すように、1−トリクロ
ロメチル−2−ジクロロメチルベンゼンの仕込量に基づ
くオルソホルミル安息香酸の理論生成量(OFBA理論
生成量)と予め反応系に仕込まれたオルソホルミル安息
香酸の添加量(OFBA仕込量)の合計に対して実際に
固液分離して得られたオルソホルミル安息香酸の収量
(OFBA収量)の割合を実収率としたときのこの実収
率に対する考え方であって、実収率の計算の際の分子の
オルソホルミル安息香酸の収量に固液分離母液中に溶解
しているオルソホルミル安息香酸の溶解量(OFBA溶
解量)を加えて計算した値である。 実収率={(OFBA収量)÷(OFBA理論生成量+
OFBA仕込量)}×100 理論収率={(OFBA収量+OFBA溶解量)÷(O
FBA理論生成量+OFBA仕込量)}×100
【0023】一方、晶析分離時に生じる固液分離母液中
には、オルソホルミル安息香酸と塩酸とが飽和状態で溶
解している。従って、この固液分離母液は1−トリクロ
ロメチル−2−ジクロロメチルベンゼンの加水分解を行
う際の反応溶媒として好適に用いることができる。この
晶析分離時に回収される固液分離母液を加水分解工程に
循環使用することにより、1−トリクロロメチル−2−
ジクロロメチルベンゼンの連続的加水分解が可能にな
り、高純度オルソホルミル安息香酸を連続的に製造する
ことができるほか、理論的には実収率を化学量論量まで
向上させることが可能である。
【0024】すなわち、本発明の高純度オルソホルミル
安息香酸の連続的製造法は、HCl濃度5重量%以上、
好ましくは10重量%以上、より好ましくは共沸組成の
塩酸を反応溶媒として用い、オルソホルミル安息香酸の
存在下に大気圧下で80℃から反応系の沸点までの温度
に加熱して1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチル
ベンゼンを加水分解する加水分解工程と、この加水分解
工程で得られた反応混合物を冷却して晶析する晶析工程
と、晶析工程で得られたスラリーを固液分離して固体の
オルソホルミル安息香酸を得る固液分離工程と、この固
液分離工程で回収された固液分離母液を加水分解工程の
反応溶媒として循環する循環工程とを含む製造工程で構
成される。
【0025】そして、このように晶析分離時に生じる濾
過母液等の固液分離母液を回収して反応溶媒として循環
使用するオルソホルミル安息香酸の連続的製造法では、
純度99.9重量%以上であってジフタリジルエーテル
等の不純物をほとんど含まない高純度オルソホルミル安
息香酸を97.8重量%以上の高収率で得ることができ
る。
【0026】また、このように晶析分離時に生じる濾過
母液等の固液分離母液を回収して反応溶媒として再利用
することは、固液分離母液からなる廃液量を大幅に低減
させることになり、これによって廃液処理によりロスす
るオルソホルミル安息香酸の量を低減できる〔HCl濃
度20.5重量%塩酸中のオルソホルミル安息香酸の溶
解度(20℃):26.7g/リットル〕ほか、廃液処
理において塩酸中に溶解したオルソホルミル安息香酸の
分離や分解に要する負荷を大幅に軽減でき、また、水質
保全や環境保護の観点からも好ましく、工業的な製造法
として極めて有利である。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明においては、反応溶媒とし
てHCl濃度5重量%以上の塩酸を用い、オルソホルミ
ル安息香酸の存在下に大気圧下で80℃から反応系の沸
点までの温度に加熱して1−トリクロロメチル−2−ジ
クロロメチルベンゼンの加水分解を行う。ここで、反応
溶媒として用いる塩酸は、単に反応溶媒として機能する
だけでなく、1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチ
ルベンゼンの加水分解反応の反応物としての水を供給
し、また、この加水分解反応の際の触媒としても機能す
るものと考えられる。
【0028】このようにHCl濃度5重量%以上の塩酸
を反応溶媒として用いることにより、1−トリクロロメ
チル−2−ジクロロメチルベンゼンの加水分解反応の当
初から反応系の反応温度を水に比べて高くすることがで
き、これによって反応速度が促進され、また、1−トリ
クロロメチル−2−ジクロロメチルベンゼンの加水分解
反応において副反応を可及的に抑制することができ、結
果としてジフタリジルエーテル等の不純物の含有量を大
幅に低下させることができると考えられる。
【0029】ところで、反応溶媒として硫酸を用いて
も、塩酸の場合と同様に、1−トリクロロメチル−2−
ジクロロメチルベンゼンの加水分解反応が促進される。
従って、硫酸を反応溶媒として使用しても、塩酸と同様
に、加水分解反応の反応温度を高くし、また、触媒とし
て作用しているものと考えられる。しかしながら、硫酸
の使用は、塩酸を使用する場合に比べて、加水分解反応
の副反応を抑制する効果に乏しく、結果としてジフタリ
ジルエーテル等の不純物の生成が多くなり、しかも、硫
酸が不揮発性であることから、晶析分離時の製品付着液
に同伴してこの硫酸それ自体が不純物となり、晶析分離
後の水洗が不可欠になってこの水洗による溶出損失が増
加し、それだけ収率が低下して経済的でない。
【0030】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明
を具体的に説明する。
【0031】実施例1 反応容器に1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチル
ベンゼン55.7g(0.20mol)、オルソホルミ
ル安息香酸30.0g(0.20mol)、及びHCl
濃度35重量%の塩酸300mlを仕込み、大気圧下に
攪拌しながら加熱して還流状態(沸騰状態)で10時間
反応させた。この時の反応温度は110℃から始まって
108℃になり、反応混合物が透明な均一溶液となった
時点(反応開始後10時間)で反応を終了させた。
【0032】反応終了後、攪拌を継続したまま20℃ま
で冷却し、スリラー状に析出した固形物を濾過し、乾燥
してオルソホルミル安息香酸50.6gを得た。収率は
84.2重量%(理論収率97.1重量%)であって純
度は99.9重量%(ガスクロマトグラフィー測定)で
あり、融点は99.5℃であった。また、不純物として
のジフタリジルエーテルや硫酸根は検出されなかった。
【0033】実施例2 1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチルベンゼン5
5.7g(0.20mol)、及び実施例1で回収され
た濾過母液150ml〔HCl濃度:20.5重量%、
オルソホルミル安息香酸濃度:26.7重量%(4.0
g相当)〕を反応容器に仕込み、実施例1と同様にして
反応混合物が透明な均一溶液となるまで18時間反応さ
せ、次いで実施例1と同様に後処理してオルソホルミル
安息香酸29.4gを得た。この時の反応温度は108
℃であった。収率は97.8重量%であって、純度は9
9.9重量%(ガスクロマトグラフィーで測定)であ
り、また、融点は99.2℃であった。また、不純物と
してのジフタリジルエーテルや硫酸根は検出されなかっ
た。
【0034】実施例3 図1に示すフローに基づいて、実施例2で回収された濾
過母液(HCl濃度:20.5重量%、オルソホルミル
安息香酸濃度:26.7重量%)130mlに1−トリ
クロロメチル−2−ジクロロメチルベンゼン(図中略
称:OXCl5 )55.7g(0.20mol)と反応
当量分及びロス分に相当する水20mlとを添加し、実
施例2と同様にして生成したオルソホルミル安息香酸
(図中略称:OFBA)を得た。この時の反応温度は1
08℃であった。
【0035】この加水分解反応の操作を連続的に6回繰
り返して行い、オルソホルミル安息香酸を連続的に製造
した。6回の各加水分解反応操作において得られたオル
ソホルミル安息香酸の収量は平均値で29.6gであ
り、収率は98.2重量%であって、純度は99.9重
量%(ガスクロマトグラフィーで測定)であり、また、
融点は99.2℃であった。また、不純物としてのジフ
タリジルエーテルや硫酸根は検出されなかった。
【0036】比較例1 反応容器に1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチル
ベンゼン27.8g(0.10mol)、オルソホルミ
ル安息香酸15.0g(0.10mol)、及び20重
量%硫酸150mlを仕込み、実施例1と同様にして加
水分解反応を行った。この時の反応温度は104℃から
始まって108℃になり、反応混合物が透明な均一溶液
になって反応を終了するまでの時間(反応時間)は10
時間であった。
【0037】反応終了後、攪拌を継続したまま20℃ま
で冷却し、スリラー状に析出した固形物を濾過し、次い
で100mlの水で洗浄して乾燥し、オルソホルミル安
息香酸23.0gを得た。収率は76.2重量%(理論
収率:97.0重量%)であって純度は99.2重量%
(ガスクロマトグラフィー測定)であり、不純物として
ジフタリジルエーテル0.7重量%(ガスクロマトグラ
フィー測定)及び硫酸根740ppmが含まれており、
融点は不定(94.6〜120℃で融解)であった。
【0038】比較例2 反応容器に1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチル
ベンゼン27.8g(0.10mol)、オルソホルミ
ル安息香酸15.0g(0.10mol)、及び水15
0mlを仕込み、大気圧下に攪拌しながら加熱して還流
状態で16時間反応させた。この時の反応温度は100
℃から始まって104℃になり、反応混合物が透明な均
一溶液となった時点(反応開始後16時間)で反応を終
了させた。
【0039】反応終了後、実施例1と同様にして後処理
し、オルソホルミル安息香酸24.5gを得た。収率は
80.8重量%(理論収率:93.3重量%)であり、
純度は99.0重量%(ガスクロマトグラフィー測定)
であって、ジフタリジルエーテル1.0重量%(ガスク
ロマトグラフィー測定)を含み、融点は98.5℃であ
った。なお、硫酸根は検出されなかった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、反応溶媒として塩酸を
用いた加水分解反応であるため、触媒由来の有機物系や
金属系の不純物が混入することがなく、また、ジフタリ
ジルエーテル等の不純物の副生を可及的に抑制できるの
で、高純度のオルソホルミル安息香酸を高収率で製造す
ることができる。
【0041】また、本発明により得られるオルソホルミ
ル安息香酸は、その純度が99.9重量%以上と極めて
高く、微量の不純物でもその混入が問題となるような用
途にも用いることができる。
【0042】更に、本発明は、オートクレーブ等の圧力
容器を使用する必要がないので、工業的規模での製造に
極めて有利であり、しかも、晶析分離後の固液分離母液
を回収して循環使用することにより、連続的製造が可能
であるほか、収率も向上し、工業的に極めて有利であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施例3にかかる連続的製造
法を示すフローチャートである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年5月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】実施例2 1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチルベンゼン5
5.7g(0.20mol)、及び実施例1で回収され
た濾過母液150ml〔HCl濃度:20.5重量%、
オルソホルミル安息香酸濃度:2.67重量%(4.0
g相当)〕を反応容器に仕込み、実施例1と同様にして
反応混合物が透明な均一溶液となるまで18時間反応さ
せ、次いで実施例1と同様に後処理してオルソホルミル
安息香酸29.4gを得た。この時の反応温度は108
℃であった。収率は97.8重量%であって、純度は9
9.9重量%(ガスクロマトグラフィーで測定)であ
り、また、融点は99.2℃であった。また、不純物と
してのジフタリジルエーテルや硫酸根は検出されなかっ
た。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】実施例3 図1に示すフローに基づいて、実施例2で回収された濾
過母液(HCl濃度:20.5重量%、オルソホルミル
安息香酸濃度:2.67重量%)130mlに1−トリ
クロロメチル−2−ジクロロメチルベンゼン(図中略
称:OXCl5 )55.7g(0.20mol)と反応
当量分及びロス分に相当する水20mlとを添加し、実
施例2と同様にして生成したオルソホルミル安息香酸
(図中略称:OFBA)を得た。この時の反応温度は1
08℃であった。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1−トリクロロメチル−2−ジクロロメ
    チルベンゼンを加水分解してオルソホルミル安息香酸を
    製造するに際し、反応溶媒としてHCl濃度5重量%以
    上の塩酸を用い、オルソホルミル安息香酸の存在下に大
    気圧下で80℃から反応系の沸点までの温度に加熱する
    ことを特徴とする高純度オルソホルミル安息香酸の製造
    法。
  2. 【請求項2】 塩酸の使用量が1−トリクロロメチル−
    2−ジクロロメチルベンゼン1重量部に対して1〜10
    重量部である請求項1に記載の高純度オルソホルミル安
    息香酸の製造法。
  3. 【請求項3】 反応系に添加するオルソホルミル安息香
    酸が1−トリクロロメチル−2−ジクロロメチルベンゼ
    ン1重量部に対して0.01〜5重量部である請求項1
    又は2に記載の高純度オルソホルミル安息香酸の製造
    法。
  4. 【請求項4】 反応溶媒が共沸組成の塩酸である請求項
    1〜3の何れかに記載の高純度オルソホルミル安息香酸
    の製造法。
  5. 【請求項5】 反応系をその沸点に加熱する請求項1〜
    4の何れかに記載の高純度オルソホルミル安息香酸の製
    造法。
  6. 【請求項6】 反応溶媒として、反応終了後に反応混合
    物からオルソホルミル安息香酸を晶析し固液分離して得
    られた固液分離母液を用いる請求項1〜5の何れかに記
    載の高純度オルソホルミル安息香酸の製造法。
  7. 【請求項7】 HCl濃度5重量%以上の塩酸を反応溶
    媒として用い、オルソホルミル安息香酸の存在下に大気
    圧下で80℃から反応系の沸点までの温度に加熱して1
    −トリクロロメチル−2−ジクロロメチルベンゼンを加
    水分解する加水分解工程と、この加水分解工程で得られ
    た反応混合物を冷却して晶析する晶析工程と、晶析工程
    で得られたスラリーを固液分離して固体のオルソホルミ
    ル安息香酸を得る固液分離工程と、この固液分離工程で
    回収された固液分離母液を加水分解工程の反応溶媒とし
    て循環する循環工程とを含むことを特徴とする高純度オ
    ルソホルミル安息香酸の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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