JPH09320960A - 荷電粒子線転写装置 - Google Patents

荷電粒子線転写装置

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JPH09320960A
JPH09320960A JP9071125A JP7112597A JPH09320960A JP H09320960 A JPH09320960 A JP H09320960A JP 9071125 A JP9071125 A JP 9071125A JP 7112597 A JP7112597 A JP 7112597A JP H09320960 A JPH09320960 A JP H09320960A
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mask
charged particle
particle beam
scanning
pattern
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JP9071125A
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English (en)
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Mamoru Nakasuji
護 中筋
Teruaki Okino
輝昭 沖野
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マスク上の転写用のパターンを荷電粒子線で
走査することによって、そのパターンを転写対象の基板
上に転写する際に、簡単な構成で収差を抑制して高精度
にパターンを転写する。 【解決手段】 電磁偏向器5,6を介してマスクM上で
電子線EBをX方向に走査し、マスクMを通過した電子
線EBによって投影レンズ15及び対物レンズ19より
なる対称磁気ダブレット方式の光学系を介してウエハW
上にマスクパターンの縮小像を転写する。その際にマス
クステージ9及び試料台23を駆動してマスクM及びウ
エハWをY方向に同期して機械的に走査し、マスクM上
での電子線EBの照射領域のY方向の幅に対してX方向
の幅を狭く設定することによって、その電子線の照射領
域内での収差がほぼ一定であるとみなせるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体集積
回路等を製造するためのリソグラフィ工程で、電子線や
イオンビーム等の荷電粒子線の照射によりマスクパター
ンを感光性の基板上に転写するための荷電粒子線転写装
置に関し、特に超高密度の微細パターンを高いスループ
ットで半導体ウエハ上に転写する場合等に使用して好適
なものである。
【0002】
【従来の技術】近年、転写パターンの解像度の向上とス
ループット(生産性)の向上との両立を可能とした荷電
粒子線転写装置の検討が進められている。このような転
写装置としては、従来より1ダイ(1枚のウエハに形成
される多数の集積回路の1個分に相当する回路パター
ン。)又は複数ダイ分のパターンをマスクから、荷電粒
子線に感光するレジストが塗布されたウエハ等の基板上
へ一括して転写する一括転写方式の装置が検討されてい
た。ところが、一括転写方式は、転写の原版となるマス
クの製作が困難で、且つ1ダイ分以上の大きな光学フィ
ールド内で荷電粒子光学系(以下、単に「光学系」と呼
ぶ)の収差を所定値以下に収めることが難しい。そこ
で、最近では基板に転写すべきパターンを1ダイに相当
する大きさよりも小さい複数のスリット状の視野に分割
し、各視野毎のパターンを順次荷電粒子線で長手方向に
走査することによって基板上に転写する方式の装置が提
案されている(例えば特公平7−32111号公報参
照)。
【0003】以下では、荷電粒子線転写装置として、電
子線を用いてマスクパターンをウエハ上に縮小して転写
する電子線縮小転写装置を例に取って説明する。そのよ
うにマスク上の各視野毎のパターンを長手方向に走査し
て転写する方式の電子線縮小転写装置では、先ずマスク
上の転写対象のスリット状の視野に沿って電子線を走査
するために、走査用偏向器が使用される。次に、そのマ
スク上で電子線が照射された領域のパターンをウエハ上
に転写するために、縮小投影光学系が使用される。この
縮小投影光学系は、スリット状の細長い視野のパターン
を高精度にウエハ上に転写する必要があるため、できる
だけ大きな視野で諸収差の小さいことが望まれる。その
ような光学系としては、MOL(Moving Objective L
ens)方式、又はPREVAIL(Projection Lithogr
aphy with Variable Axis Immersion Lens)方式等が提
案されていた。これらの方式は偏向器と軸対称のレンズ
とを組み合わせて使用する方式である。即ち、のMO
L方式は、対物レンズの軸を偏向器による偏向磁場を用
いて動かすことによって、広い視野にしたときの収差を
小さくする方式であり、のPREVAIL方式は、M
OL方式と同様の方式であるが、対物レンズとして転写
対象の基板がレンズの内側に収まる所謂インレンズ型の
レンズを使用する方式である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の如き従来の技術
においては、マスク上のスリット状の視野のパターンを
転写するための、できるだけ大きな視野で諸収差の小さ
い縮小投影光学系として、偏向器と軸対称なレンズとを
組み合わせた光学系が有望であるとされていた。しかし
ながら、偏向器は光軸に関して非回転対称であるため、
偏向器を含む光学系を使用すると、ウエハ上に転写され
る投影像に非回転対称な収差が混入し易いという不都合
があった。この場合、例えば電気的にそのような非回転
対称な収差又は非軸対称な収差を補正することは可能で
あるが、補正機構が複雑化して製造コストが高くなる。
【0005】また、従来は、マスク上のスリット状の視
野に沿って電子線を走査するための走査用偏向器に単純
な鋸歯状波の信号を与えていた。しかしながら、この方
式では電子線が光軸から離れるに従って電子線の走査速
度が遅くなって、ウエハ上の光軸から離れた領域での露
光量が多くなり、結果として電子線レジストに対する露
光エネルギー(積算露光量、又はドーズ)の分布が不均
一になるという不都合があった。
【0006】更に、そのようにマスク上の各視野毎のパ
ターンを長手方向に走査して転写する方式では、隣接す
る視野のパターンをウエハ上で正確に継ぎ合わせて転写
する必要がある。これに関して、最近は転写されるパタ
ーンの集積度が益々向上しているために、従来のつなぎ
精度では十分ではなくなりつつある。また、従来の転写
装置では、ウエハ上での投影像のフォーカス位置(結像
面の位置)を補正するために例えば電磁レンズに供給す
る駆動電流を制御していた。しかしながら、電磁レンズ
は応答速度が遅いため、各視野のパターンを長手方向に
走査して転写を行う場合に、その走査に同期してダイナ
ミックに投影像のフォーカス位置を補正するためにはそ
の走査速度を遅くする必要があった。そのため、転写工
程のスループット(生産性)を高められないという不都
合があった。
【0007】また、そのようにマスク上の各視野毎のパ
ターンを長手方向に走査して転写する方式では、走査と
共にパターン密度等に依って電子線のビーム電流が変化
するため、そのスリット状の視野の全体で縮小投影光学
系における合焦条件が必ずしも満たされていなかった。
そのため、ウエハ上に転写された像の解像度が部分的に
低下するという不都合があった。
【0008】更に、例えば電子銃を温度制御領域で使用
するような場合には、ビーム整形用のアパーチャ上に照
射される電子線の断面での強度分布が所定の周期(幅)
で周期的に変動し、マスクに照射される電子線の強度分
布も変動することがある。このようにマスクに照射され
る電子線の断面での照射強度分布の一様性があまり良く
ない状態で、マスク上を電子線で走査して露光を行う場
合には、ウエハ上での露光エネルギー(ドーズ)の一様
性が改善されない場合があった。また、電子線の強度分
布は通常対称軸の周りにガウス分布状となっているた
め、電子線の照射領域(視野)を広くてして走査露光を
行う場合には、走査方向に直交する非走査方向で或る程
度のドーズのむらが生ずる恐れがあった。
【0009】本発明は斯かる点に鑑み、マスク上の転写
用のパターンを荷電粒子線で走査することによって、そ
のパターンを転写対象の基板上に転写する際に、簡単な
構成で収差を抑制して高精度にパターンを転写できる荷
電粒子線転写装置を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、マスク上の転写用のパターンを荷電粒
子線で走査することによって、そのパターンを転写対象
の基板上に転写する際に、その荷電粒子線の走査速度を
均一化してその基板上での露光量分布を一様にできる荷
電粒子線転写装置を提供することを第2の目的とする。
【0010】更に、本発明は、マスク上の転写用のパタ
ーンを荷電粒子線で走査することによって、そのパター
ンを転写対象の基板上に転写する際に、所定のパターン
を高いつなぎ精度でその基板上で継ぎ合わせて転写でき
る荷電粒子線転写装置を提供することを第3の目的とす
る。更に、本発明は、マスク上の転写用のパターンを荷
電粒子線で走査することによって、そのパターンを転写
対象の基板上に転写する際に、その基板上での荷電粒子
線による投影像のフォーカス位置を高い応答速度で補正
できる荷電粒子線転写装置を提供することを第4の目的
とする。
【0011】更に、本発明は、マスク上の転写用のパタ
ーンを荷電粒子線で走査することによって、そのパター
ンを転写対象の基板上に転写する際に、その走査方向に
沿って荷電粒子線のビーム電流が変化した場合でも投影
光学系での合焦条件を常に満足できる荷電粒子線転写装
置を提供することを第5の目的とする。更に、本発明
は、マスク上の転写用のパターンを荷電粒子線で走査す
ることによって、そのパターンを転写対象の基板上に転
写する際に、その荷電粒子線の強度分布にむらがある場
合でも、走査後の試料上での積算露光量のむらが少ない
荷電粒子線転写装置を提供することを第6の目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明による第1の荷電
粒子線転写装置は、例えば図1、図2に示すように、転
写用のパターンが形成されたマスク(M)を荷電粒子線
で所定の走査方向(X方向)に走査して、そのパターン
を転写対象の基板(W)上に転写する荷電粒子線転写装
置において、その走査方向の幅(dX)がその走査方向
に垂直な非走査方向の幅(dY)に比べて狭い断面形状
(53)を有する荷電粒子線でマスク(M)上をその走
査方向に走査する走査手段(5,6)と、マスク(M)
を透過した荷電粒子線を集束して基板(W)上にそのパ
ターンの一部の像を形成する軸対称の投影手段(15,
19)と、を有するものである。
【0013】斯かる本発明によれば、例えば対称磁気ダ
ブレット方式のレンズのような軸対称の投影手段(1
5,19)を用いているため、全ての収差は光軸からの
距離にのみ依存し、回転方向の位置には依存しない。ま
た、マスク(M)上を走査する荷電粒子線の断面形状
(53)の走査方向の幅は狭いため、その荷電粒子線の
内部での光軸からの距離差は小さい。従って、その荷電
粒子線の断面形状(53)の内部ではほぼ同一の収差補
正条件でよいため、残留収差を非常に小さくして、高精
度に転写できる。
【0014】この場合、その荷電粒子線の断面での強度
分布がほぼ一様とみなせるときには、その荷電粒子線の
断面形状(53)の走査方向の幅(dX)は、非走査方
向の幅(dY)の1/5以下であることが望ましい。こ
れによって、その荷電粒子線が走査方向に光軸から離れ
た位置にあっても、その荷電粒子線内部では同一の収差
補正条件が適用できる。
【0015】また、その走査手段(5,6)により走査
される荷電粒子線の偏向角をθとしたとき、その走査手
段に対する駆動信号は、変化率がθ/sin θに比例する
ように設定することが望ましい。これに関して、走査手
段(5,6)として電磁偏向器を使用するものとする
と、その偏向角θはその電磁偏向器に流す電流に比例す
るため、その偏向器に流す電流を時間に比例する値とす
ると、偏向角θが0に近い領域ではマスクに対する荷電
粒子線の走査速度が速くなり、周辺では遅くなる。そこ
で、本発明のように偏向器に流す電流の時間変化を(θ
/sin θ)に比例するようにすれば、光軸からの距離に
関係なく荷電粒子線の走査速度が一定となり、基板
(W)上での露光量(ドーズ)の分布を一様にできる。
【0016】また、その軸対称の投影手段を、複数の電
磁レンズ(15,19)より構成し、これら複数の電磁
レンズ中の少なくとも1つの電磁レンズ内に配置された
実質的に軸対称の導電性の電極(16,20)と、その
走査手段を介して荷電粒子線でマスク(M)を走査する
際に、電極(16,20)に印加する電位を制御するこ
とによってその投影手段の焦点距離を制御する焦点距離
制御手段(7,22)と、を備えることが望ましい。
【0017】このとき、電極(16,20)に印加する
電位を制御するという静電方式は応答速度が極めて速い
ため、荷電粒子線の走査に同期してダイナミックにフォ
ーカス位置の調整が行われる。更に、マスク(M)を透
過した荷電粒子線のビーム電流の時間変化に応じて投影
手段(15,19)の焦点距離を補正する焦点距離補正
手段(16,20)を設けることが望ましい。このと
き、荷電粒子線が走査方向に移動するに従って、その荷
電粒子線内部に含まれるマスク(M)の原画パターン
(開口パターン)の総面積が変化して、空間電荷効果も
時間的に変動する。即ち、フォーカス位置はビーム電流
が大きい時点では遠くへ移動し、逆にビーム電流が小さ
いときは手前へ移動する。そこで、例えば予めマスク
(M)の原画パターンに基づいて走査方向の位置の関数
としてビーム電流を求めておき、走査に同期して焦点距
離補正手段(16,20)を動作させることによって、
常に合焦条件で転写が行える。
【0018】次に、本発明による第2の荷電粒子線転写
装置は、例えば図7〜図17に示すように、転写用のパ
ターンが形成されたマスク(M)を荷電粒子線で所定の
走査方向に走査して、そのパターンを転写対象の基板
(W)上に転写する荷電粒子線転写装置において、その
荷電粒子線の強度分布のばらつきを走査後に相殺あるい
は低減するような断面形状(53A;53B;53C)
を有する荷電粒子線でマスク(M)上をその走査方向に
走査する走査手段(5,6)と、マスク(M)を透過し
たその荷電粒子線を集束して基板(W)上にそのパター
ンの一部の像を形成する投影手段(15,19)と、を
有するものである。
【0019】斯かる本発明の第2の荷電粒子線転写装置
において、荷電粒子線の断面での強度分布が、例えば図
15に示すようにガウス分布状である場合、中心での強
度Iを1として、強度Iが0.9までの幅Lの正方形の
断面領域(53B)を用いるとすると、ステップアンド
リピート方式で転写するのでは積算露光量(ドーズ)の
一様性の誤差は10%程度となる。これに対して、その
幅Lの正方形の断面の荷電粒子線でマスク上を走査する
と(走査方向をX方向とする)、走査方向の露光量むら
は無くなる。また、非走査方向(この場合にはY方向)
での積算露光量は、図16(b)に示すように、中央部
で最大値0.97に減少し、周辺部は最小値0.94程
度に増加し、積算露光量の一様性の誤差は3%程度とな
り大幅に改善される。
【0020】この非走査方向への積算露光量の一様性を
更に向上するためには、図17、及び図18(a)に示
すように、その荷電粒子線の断面の非走査方向(Y方
向)の中央部を狭くした断面領域(53C)を使用すれ
ばよい。この断面の荷電粒子線でマスク上をX方向に走
査することによって、非走査方向の積算露光量は図16
(b)に対応した図18(b)に示すように0.94で
一定となる。従って、走査方向、非走査方向共にほぼ完
全な積算露光量の一様性が得られる。
【0021】この場合、この第2の荷電粒子線転写装置
においては、マスク(M)を透過した荷電粒子線の非点
収差を補正するための非軸対称の非点補正コイル、又は
偏向装置を設け、その荷電粒子線の強度分布がその走査
方向においてリップルを持って変動する場合に、その荷
電粒子線の断面形状は、その走査方向の幅がそのリップ
ルの幅より広いか、あるいは、その荷電粒子線の強度分
布が、中央部で高く周辺部で低い場合に、その荷電粒子
線の断面形状は、その走査方向に垂直な非走査方向の中
央部が狭くなっていることが望ましい。
【0022】逆に、上記強度分布が対称軸の周りに中央
部で低く周辺部で高い場合には、上記荷電粒子線の断面
形状の非走査方向の中央部が広くなっていればよい。こ
の場合、その非軸対称の非点補正コイル等によって、荷
電粒子線の非点収差が補正される。また、例えば図10
に示すように、荷電粒子線の強度分布が走査方向に所定
のリップル幅Gで変動する場合には、例えば図9に示す
ように、荷電粒子線の断面の走査方向の幅Lをリップル
幅Gよりかなり大きく、例えば偶数倍等に設定すること
によって、リップルによって積算露光量にむらが生ずる
ことが防止される。また、荷電粒子線の強度分布がガウ
ス分布の場合には、上記の通りである。
【0023】これに関して、そのように非走査方向の中
央部の幅が狭くなった断面の荷電粒子線を生成するに
は、例えば図19に示すように、中央部が狭くなった開
口80が形成されたビーム成形板(1B)を使用すれば
よい。この際に、更に2次元的な位置や回転角が補正で
きる補正板(81)で荷電粒子線を遮断してもよい。荷
電粒子線の分布が経時変化で変化したような場合に、そ
の補正板(81)の遮断量を制御することで、積算露光
量分布を常に均一にできる。
【0024】この第2の荷電粒子線転写装置において
は、マスク(M)を透過した荷電粒子線のビーム電流の
時間変化に応じてその投影手段の焦点距離、非点収差、
及び偏向器電流のすべてを補正する結像特性補正手段を
設けることが望ましい。これによって、マスクパターン
の粗密等によってビーム電流が変化しても良好な結像特
性が得られる。
【0025】更に、上述の本発明の第1、又は第2の荷
電粒子線転写装置においては、その走査方向に垂直な非
走査方向(Y方向)にマスク(M)及び基板(W)を同
期して移動するステージ装置(9,23)を設け、マス
ク(M)として、パターン領域がその非走査方向に対し
て、その走査手段により走査される荷電粒子線の長手方
向の幅に対応する幅の複数の視野(51A,51B)に
分割されると共に、各隣接する2つの視野が互いに重複
する部分(31A,31B)を有するマスクが設置され
た際に、そのステージ装置を介してマスク(M)及び基
板(W)をその非走査方向に移動しつつ、その走査手段
を介してマスク(M)上でその荷電粒子線をその走査方
向に走査することによって、マスク(M)上の各隣接す
る2つの視野の互いに重複する部分(31A,31B)
を基板(W)上に重ねて転写することが望ましい。
【0026】この場合、例えば図5に示すように、荷電
粒子線を走査することによって基板(W)上で従来方式
での境界線(59)を跨ぐようなパターン(37W)を
転写するものとすると、図4に示すようにその原画パタ
ーン(37)を、マスク(M)上の隣接する視野(51
A,51B)内の重複して転写される部分(31A,3
1B)の一方(31B)内に形成しておく。そして、視
野(51A,51B)内の原画パターンを基板(W)上
で部分的に重なるように対応する転写領域(58A,5
8B)に転写すると、原画パターン(37)の像のパタ
ーン(37W)には継ぎ目が無いか、あるいは継ぎ目を
目立たない状態にできるため、実質的につなぎ誤差を大
幅に改善できる。
【0027】更に、マスク上で荷電粒子線によって走査
される一列の視野(51A)内の最もパターン密度の高
い部分のパターン密度、あるいはマスク(M)内で最も
パターン密度の高い部分のパターン密度に対応させて、
各走査毎あるいは各マスク毎に荷電粒子線の電流密度を
調整することが望ましい。このとき、コンタクトホール
層のようなパターン密度の小さい層(レイヤー)では、
電流密度を大きくし、配線層のようにパターン密度の大
きい層では電流密度を小さくして、ビーム電流が各層で
あまり差がないようにすれば、空間電荷効果による荷電
粒子線のぼけを小さくできる。更に、同じ層でも視野毎
に電流密度を調整すれば更に効果的である。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明による荷電粒子線転
写装置の第1の実施の形態につき図1〜図6を参照して
説明する。本例は、マスク上の複数のスリット状の視野
(主視野)のパターンを、順次電子線で走査してウエハ
上に転写する電子線縮小転写装置に本発明を適用したも
のである。
【0029】図1は本例の電子線縮小転写装置の概略構
成を示し、この図1において、光学系(電子光学系)の
光軸AXに垂直にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で図
1の紙面に平行にX軸を、図1の紙面に垂直にY軸を取
って説明する。先ず、不図示の電子銃から放出された電
子線は、ビーム成形アパーチャ1上に照射され、ビーム
成形アパーチャ1の長方形の開口で断面形状が成形され
た電子線EBは、第1コンデンサレンズ2Aを介してク
ロスオーバ4を形成した後、第2コンデンサレンズ2B
を介して平行ビームとなってマスクMに向かう。その
後、電子線EBは前段の電磁偏向器5によってX方向に
沿って偏向角θだけ偏向され、後段の電磁偏向器6によ
ってX方向に沿って−θだけ振り戻されて、マスクM上
の1つのX方向に長い視野上に垂直に入射する。マスク
Mとビーム成形アパーチャ1とは共役であり、マスクM
上でビーム成形アパーチャ1の開口の像であるY方向に
長い長方形の副視野53に電子線EBが照射される。
【0030】電磁偏向器5,6における電子線の偏向量
は、装置全体の動作を統轄制御する主制御系7が偏向フ
ォーカス制御部8を介して設定する。本例では、電磁偏
向器5,6に対する駆動電流は、偏向角θを用いて変化
率がθ/sin θに比例するように設定される。これによ
って、電子線EBはマスクM上を垂直に入射する条件を
維持して、X方向に沿って一定速度で走査するようにな
り、マスクM及びウエハWに対する電子線の露光量(ド
ーズ)の分布が一様になる。
【0031】また、電磁レンズよりなるコンデンサレン
ズ2A及び2Bの内側にはそれぞれ導電性の円筒状の電
極3A及び3Bが設置され、電極3A及び3Bには偏向
フォーカス制御部8から可変の電圧が印加されている。
本例では、予めマスクM上のパターン密度を調べてお
き、パターン密度の小さい視野内では電子線の電流密度
を大きくし、パターン密度の大きい視野内ではその電流
密度を小さくして、各視野間でマスクMを通過した後の
ビーム電流にあまり差がないようにして空間電荷効果に
よる電子線EBのぼけを小さくしている。一方、コンデ
ンサレンズ2A,2Bにおいても、ビーム電流が大きい
と焦点距離が長くなり、ビーム電流が小さいと焦点距離
が短くなるため、電子線の電流密度に応じて電極3A,
3Bに印加する電圧を制御して、コンデンサレンズ2
A,2Bの焦点距離を調整している。これによって、常
にビーム成形アパーチャ1とマスクMとの共役関係を維
持している。
【0032】その電子線用のマスクとしては、窒化シリ
コン(SiN)等の薄膜にて電子線の透過部を形成し、
その薄膜の表面に設けたタングステン等の薄膜を散乱部
とする所謂散乱マスク、又はシリコン製の散乱基板内に
設けた抜き穴を電子線の透過部とする所謂穴空きステン
シルマスク等が存在するが、本例のマスクMとしては何
れのマスクでも使用できる。
【0033】図1において、マスクMの副視野53内の
パターンを通過した電子線EBは、投影レンズ15によ
り一度光軸AX上でクロスオーバ17を形成した後、対
物レンズ19を介して縮小倍率β(βは例えば1/4)
で反転縮小されて、電子線レジストが塗布されたウエハ
W上の転写領域に副視野53内のパターンの像を形成す
る。投影レンズ15、及び対物レンズ19は対称磁気ダ
ブレットの条件を満たし、且つそれぞれの内部に円筒状
の導電体よりなる電極16及び20が配置され、主制御
系7の制御のもとで偏向フォーカス制御部22を介し
て、電極16及び20に対して可変の同一の電圧が印加
されている。本例では、マスクM上のX方向での電子線
EBの照射位置に応じて、電極16及び20に対する電
圧を同時に変化させることで、投影レンズ15及び対物
レンズ19よりなる投影光学系の焦点距離をダイナミッ
クに制御する。実際には、電極16によってクロスオー
バ17の位置が一定の位置になるように制御され、電極
20によって投影像のフォーカス位置(結像面の位置)
が一定の位置になるように制御される。
【0034】また、投影レンズ15とマスクMとの間
に、それぞれ光軸AXを挟むように配置されたX方向に
長い1対の平板状の導電体よりなる静電偏向器13及び
14が配置されている。前段の静電偏向器13は電子線
EBをY方向に偏向し、後段の静電偏向器14はその電
子線EBを振り戻す役割を有し、静電偏向器13,14
における電子線の偏向量は、主制御系7が偏向フォーカ
ス制御部22を介して設定する。
【0035】更に、図1において、クロスオーバ17が
形成される位置を囲むように非点収差補正用の8極の電
磁偏向器18が配置されている。電磁偏向器18におけ
る補正量は偏向フォーカス制御部22により設定され
る。また、対物レンズ19とウエハWとの間にそれぞれ
8極の2段の静電偏向器21が配置され、静電偏向器2
1の偏向量も偏向フォーカス制御部22により設定され
ている。静電偏向器21によって高速にウエハW上での
電子線EBの照射位置をX方向、及びY方向に変化させ
ることができる。本例では、マスクMとウエハWとはY
方向に同期して走査されるが、その際のマスクMとウエ
ハWとの間の相対振動の補正、及び投影光学系のディス
トーション等の歪の補正を行うためにその静電偏向器2
1が使用される。
【0036】次に、マスクMはマスクステージ9内にX
Y平面と平行に取り付けられ、マスクステージ9は、マ
スクベース10に連結されたマスクステージ駆動部12
によりY方向に連続移動し、X方向にステップ移動でき
るように構成されている。マスクステージ9のX方向は
レーザ干渉計11Xで検出されて主制御系7に出力され
る。
【0037】一方、ウエハWは、可動ステージ24に載
置された試料台23上にXY平面と平行に保持されてい
る。試料台23は、可動ステージ24に連結されたウエ
ハステージ駆動部26によりY方向に連続移動できると
共に、X方向にステップ移動できるように構成されてい
る。試料台23のY方向の位置は、レーザ干渉計25X
で検出されて主制御系7に出力される。
【0038】図2は図1の転写装置をX方向に見た一部
を断面とした側面図を示し、この図2に示すように、マ
スクステージ9のY方向の位置及び回転角はレーザ干渉
計11Y1,11Y2で検出されて、図1の主制御系7
に出力される。同様に、試料台23のY方向の位置、及
び回転角もレーザ干渉計25Y1,25Y2で検出され
て、図1の主制御系7に出力されている。
【0039】図1に戻り、不図示の露光データ記憶装置
より、露光対象のマスクMのパターン構成や、ウエハW
上の複数の転写領域の配列の情報等の露光データが主制
御系7に供給される。この露光データに基づいて、主制
御系7は偏向フォーカス制御部8,22を介してマスク
M上での電子線の走査速度及び転写像の焦点位置等を制
御すると共に、マスクステージ9及びウエハ側の試料台
23の位置及び走査速度等を制御することによって、ウ
エハW上の各転写領域にそれぞれマスクMの転写用のパ
ターンの縮小像を転写する。
【0040】図3は、本例の電子線縮小転写装置による
転写方法の説明図であり、この図3において、マスクM
の転写用パターンはY方向に一種の桟よりなる境界領域
52A,52B,52C,…を挟んで、複数のX方向に
細長い長方形の主視野51A,51B,51C,…に分
割されている。これらの主視野51A,51B,…には
それぞれウエハに転写すべきパターン形状に対応する電
子線の透過部が設けられ、境界領域52A,52B,…
は、電子線を遮断しあるいは拡散する非パターン領域で
ある。
【0041】そして、図1の電磁偏向器5,6等を介し
てマスクM上の主視野51AをY方向に覆う矩形の副視
野53に電子線EBが照射され、主視野51Aを通過し
た電子線EBは、ウエハW上の1つの転写領域55A内
の矩形の露光領域56に垂直に入射する。この状態で、
その電磁偏向器5,6を介して、マスクM上を電子線E
Bの副視野53が順次+X方向、及び−X方向に走査さ
れる。この際に、各主視野51A,51B,…のX方向
(長手方向)の長さは、転写対象の半導体チップの1チ
ップ分の原版パターンの短辺方向の幅に等しく設定して
ある。但し、その各主視野51A,51B,…のX方向
の長さをその原版パターンの短辺方向の幅より広く設定
してもよい。これによって、走査方向にはウエハW上で
つなぎ目が発生することがなくなり、高精度に転写が行
われる。
【0042】ところが、このようにマスクM上の各主視
野51A,51B,…の走査方向の長さを長くすると、
光軸AXから離れた位置での収差が増加してしまう。そ
こで、本例では先ず、図1に示したように投影レンズ1
5及び対物レンズ19よりなる対称磁気ダブレット方式
の軸対称の光学系を使用して、投影像の収差を光軸AX
からの半径のみの関数とする。更に、図3において、マ
スクM上の副視野53のX方向(走査方向)の幅dXを
小さく設定する。具体的に、その幅dXを、それと垂直
なY方向の幅dYに対して1/5以下となるように設定
する。これによって、副視野53が光軸AXに対して離
れた位置にあっても、副視野53内で光軸AX側の端部
と光軸AXと反対側の端部とで収差の状態は殆ど同一と
みなすことができる。従って、例えば副視野53の中心
のX方向の位置に応じて収差等の補正を行うのみで、ウ
エハW上の露光領域56に対して歪の無い高い解像度の
パターン像を転写できる。
【0043】また、その電子線EBの走査と同期して、
マスクMが−Y方向(又は+Y方向)に連続的に走査さ
れると共に、ウエハWが+Y方向(又は−Y方向)に連
続的に走査される。その結果、マスクM上を軌跡54に
沿って順次電子線EBの副視野53が+X方向、及び−
X方向に交互に走査して、マスクM上の主視野51A,
51B,…のパターンが順次、ウエハW上の転写領域5
5A内で軌跡57に沿ってX方向に細長い長方形の部分
転写領域58A,58B,…に転写される。マスクMの
走査方向とウエハWの走査方向とが逆であるのは、図1
の投影レンズ15及び対物レンズ19によりウエハW上
に反転像が投影されるからである。その後、ウエハW上
の隣接する転写領域55Bにも同様にマスクMのパター
ンが転写される。
【0044】この際に、マスクM上の主視野51A,5
1B,…に対応するウエハW上の部分転写領域58A,
58B,…はY方向に部分的に重なるように接続されて
いる(詳細後述)。このようにウエハW上で部分転写領
域58A,58B,…をY方向に所定幅ずつ重ねて継ぎ
合わせるために、図1の2つの静電偏向器13,14が
使用される。ここで、マスクM上の主視野51A,51
B,…のY方向の幅dY1(重複して転写される一方の
部分の幅を除いた値とする)、境界領域52A,52
B,…のY方向の幅dY2、及びマスクMからウエハW
への縮小倍率βを使用してマスクMとウエハWとの走査
速度の関係を求める。そのため、図2に示すように、マ
スクMの走査速度をVM、ウエハWの走査速度をVWと
すると、ウエハW上ではほぼ境界領域52A,52B,
…の幅分だけパターンが位置ずれされて転写されるた
め、ウエハWの走査速度VWは、マスクMの走査速度V
Mに対して次のように設定される。
【0045】 VW=β{dY1/(dY1+dY2)}VM (1) これによって、マスクM上で転写されるパターンは、ほ
ぼ光軸AXを横切る位置に達した各主視野51A,51
B,…となり、ウエハW上の各部分転写領域毎に、投影
されるパターン像の焦点位置や投影像の歪み等の諸収差
を補正しながら転写が行われる。
【0046】次に、本例の転写装置では、X方向では連
続的な走査によって転写が行われるために、つなぎ誤差
は発生しない。しかしながら、X方向に垂直なY方向に
対しては、つなぎ誤差が発生する恐れがある。そこで、
以下ではY方向でのつなぎ誤差を無視できる程度に小さ
くするか、又はそのつなぎ誤差を目立ななくする方法の
一例につき説明する。
【0047】ここで、本例で転写対象とするウエハ上の
回路パターンを、図5に示すような回路パターンである
とする。図5はウエハW上の回路パターンの拡大図であ
り、この図5において、点線の境界線59は、従来の転
写方式での境界線、即ち図3の部分転写領域58A及び
58BをY方向に隙間無く転写したときの境界線であ
る。なお、実際には、ウエハW上にはマスクM上のパタ
ーンの反転像が転写されるが、図5では分かり易くする
ために、正立像が転写されるものとして説明する。図5
において、境界線59を横切るように形成されている回
路パターン37W,32W,60,61には、従来の転
写方式ではつなぎ誤差が発生する恐れがある。具体的
に、回路パターン37Wは大部分は上側の部分転写領域
(従来方式での部分転写領域)にあるが、下側の部分転
写領域にも少しはみ出している。逆に回路パターン32
Wは大部分は下側の部分転写領域にあるが、上側の部分
転写領域にもはみ出している。そして、回路パターン6
0は境界線59の両側に長く延びているが、境界線59
の近傍に折曲がり部60aがある。回路パターン61も
同様に境界線59の両側に長く延びているが、精度が必
要なのは境界線59を横切る細い部分61aのみである
とする。
【0048】このような回路パターンに対してつなぎ誤
差を目立たなくするため、本例ではマスクM上の隣接す
る細長い視野のパターン内に重複して露光される部分を
設ける。図4は、本例のマスクM上のパターンの一部の
拡大図であり、この図4において、マスクM上の主視野
51A及び51Bが境界領域52Aを挟んで配置されて
いる。このとき、主視野51A内で境界領域52Aに接
する所定幅の重複部31A、及び主視野51B内で境界
部52Aに接する同一幅の重複部31Bを設定し、重複
部31A及び31B内のパターンをウエハW上で同一の
転写領域に転写するものとする。一例として、主視野5
1A,51BのY方向の幅は約250μmであり、重複
領域31A,31BのY方向の幅は約10μmである。
同様に、図3において、マスクM上の他の主視野51
B,51C,…においても、隣接する視野間に重複部を
設ける。
【0049】この場合、図4において、電子線の照射領
域である副視野53がマスクM上の主視野51Aを+X
方向に走査した後、主視野51Bを−X方向に走査する
ことによって、図5に示すように、ウエハW上では主視
野51A及び51Bに対応する部分転写領域58A及び
58Bが部分的に重複しており、この部分的に重複した
領域の中心線が従来の境界線59に対応している。
【0050】また、図4において、マスクM上の主視野
51Aでは、図5の回路パターン32Wの原画パターン
32、回路パターン60の折曲がり部60aより下の部
分33Wの原画パターン33、及び回路パターン61の
細くなった部分61aまでのパターン34Wの原画パタ
ーン34が形成され、主視野51Bでは、図5の回路パ
ターン61の細くなった部分61aの上のパターン35
Wの原画パターン35、回路パターン60の折曲がり部
60aより上のパターン36Wの原画パターン36、及
び回路パターン37の原画パターン37が形成されてい
る。更に、原画パターン32,34、及び原画パターン
36,37はそれぞれ重複部31A及び31Bに跨って
形成されている。
【0051】この状態でマスクM上で電子線を走査しな
がら図4の主視野51A及び51Bの原画パターンを、
図5のウエハW上の部分転写領域58A及び58Bに転
写すると、図5において、回路パターン37W,32W
はつなぎ部分が無くなる。また、パターン33W及び3
6Wよりなる回路パターン60も従来の境界線59上で
のつなぎ誤差は無くなり、パターン34W及び35Wよ
りなる回路パターン61も細くなった部分61aでのつ
なぎ誤差は無くなる。即ち、本例ではマスクM上の隣接
する視野内に重複部を設け、高いつなぎ精度が必要なパ
ターンをその重複部内に形成することによって、ウエハ
W上で高いつなぎ精度が必要な部分でのつなぎ誤差を実
質的に0にすることができる。
【0052】更に、例えば図5で境界線59を横切る折
れ曲がったパターン103Wを形成したい場合、その原
版パターンを図4の2つのパターン101,102に分
割する。この場合の図5でのパターン接続部は丸で囲ん
だ部分104及び105でのみ問題となる。しかしなが
ら、このようにパターンエッジが折れ曲がっている所で
は、少しぐらいつなぎ誤差があっても目立たない。
【0053】最後に、本例の図1に示す投影レンズ15
及び対物レンズ19よりなる対称磁気ダブレット方式の
投影光学系の収差特性のシミュレーション結果の一例に
つき説明する。その前提として、図1のマスクMの各視
野のX方向の長さを20mm、マスクMとウエハWとの
間隔を448mmとして、比較のためにマスクM上で電
子線が照射される副視野53が250μm角である場合
の収差と、副視野53が250μm(Y方向の幅)×5
0μm(X方向の幅)である場合の収差とを求めた。
【0054】図6は本例の投影光学系の収差特性のシミ
ュレーション結果を示し、この図6において、横軸は電
子線の開口半角α(mrad)、縦軸は収差(nm)を
示す。そして、図6に示すように、右下がりの直線38
は回折効果による投影像のぼけ、平行な右上がりの直線
40R及び40Lは2種類のコマ収差、右上がりの直線
39は軸上色収差、収差が一定の直線43は倍率及び回
転の色収差をそれぞれ表している。これらの収差は、副
視野53の大きさには関係がない。
【0055】それに対して、図6において、点線の右上
がりの平行な直線41B及び42Bはそれぞれ副視野5
3が250μm角の場合の非点収差及び像面湾曲を示
し、実線の右上がりの平行な直線41A及び42Aはそ
れぞれ副視野53が250μm×50μmの場合の非点
収差及び像面湾曲を示す。これによって、非点収差及び
像面湾曲に関しては、副視野53を250μm×50μ
mにすることによって、250μm角の場合と比べて約
1/5に改善されることが分かる。
【0056】また、下に凸の点線の曲線45B及び実線
の曲線45Aはそれぞれ、副視野53が250μm角の
場合、及び250μm×50μmの場合の収差の合計を
表し、上に凸の点線の曲線44B及び実線の曲線44A
はそれぞれ、副視野53が250μm角の場合、及び2
50μm×50μmの場合に空間電荷効果にどれだけ収
差を配分できるかを示す曲線である。ここで、収差と空
間電荷効果との合計を45nmとした場合、曲線44A
及び44Bに対してそれぞれ右下がりで横軸に45゜で
交差する接線A及びBを引き、その接点での開口半角α
をαA及びαBとする。このとき、本発明者によって、
開口半角αA及びαBと対応する収差との積に比例した
ビーム電流が流せることが確かめられている(例えばM.
Nakasuji,H.Shimizu,Jpn.J.Appl.Phys.1995 August,to
be published. 参照)。
【0057】図6から、副視野53が250μm×50
μmの場合には、副視野53が250μm角の場合に比
べて約4.1倍のビーム電流が得られることが分かる。
即ち、副視野53のX方向の幅をY方向の幅の1/5に
したことによって、このように大きいビーム電流を得る
ことができる。更にそのX方向の幅dxのY方向の幅d
Yに対する比率を1/5より小さくすると、直線42A
の像面湾曲はより小さくなり、少しずつビーム電流は増
える傾向となる。
【0058】また、その比率(dX/dY)を1/5よ
り大きくすると、1mrad付近の実際に使用する開口
半角αで、直線42Aの像面湾曲が直線43の倍率及び
回転の色収差より大きくなり、ビーム電流は急激に小さ
くなる。従って、本例では副視野53のX方向の幅dX
をY方向の幅dYの1/5とした。次に、図1におい
て、マスクM上を一定の幅の副視野53で走査している
とき、副視野53の内部に含まれるパターンの開口部の
全面積をマスク全面について予め計算しておく。このパ
ターンの開口部の全面積にビーム電流密度を掛けるとビ
ーム電流が得られる。そして、空間電荷効果によるデフ
ォーカスを補正するのに、電極16,20に与える電圧
とビーム電流との関係を予め求めておく。この結果、ビ
ーム電流の時間変化から電極16,20に与えるべき電
圧が予め分かるため、その電圧を電極16,20に与え
ることによって空間電荷効果によるデフォーカスは補正
できる。
【0059】次に、本発明による荷電粒子線転写装置の
第2の実施の形態につき図7〜図19を参照して説明す
る。上記の第1の実施の形態は、電子線の断面での強度
分布の一様性が良好である場合に好適であるが、例えば
電子銃を温度制限領域で使用するような場合には、その
電子線の強度分布が変動したりすることがある。また、
電子線の強度分布は平均としては或る対称軸の周りにガ
ウス分布状であり、よりスループットを高めるために電
子線で照射する領域(視野)を広くすると、中央部と周
辺部との強度差によって積算露光量の一様性の誤差が許
容範囲を超えてしまう恐れがある。そこで、以下の第2
の実施の形態では、電子線の断面での強度分布が一様で
ない場合であっても、走査露光後の積算露光量(ドー
ズ)の一様性を高めることができる例につき説明する。
また、図7〜図13において、図1〜図6に対応する部
分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
【0060】図7は、この第2の実施の形態の電子線縮
小転写装置の概略構成を示し、この図7において、光学
系(電子光学系)の光軸AXに垂直にZ軸を取り、Z軸
に垂直な平面内で図7の紙面に平行にX軸を、図7の紙
面に垂直にY軸を取って説明する。先ず、不図示の電子
銃から放出された電子線は、ビーム成形アパーチャ1A
上に照射され、ビーム成形アパーチャ1Aの正方形の開
口で断面形状が成形された電子線EBは、第1コンデン
サレンズ2Aを介してクロスオーバ4を形成した後、第
2コンデンサレンズ2Bを介して平行ビームとなってマ
スクMに向かう。その後、電子線EBは前段の電磁偏向
器5によってX方向に沿って偏向角θだけ偏向され、後
段の電磁偏向器6によってX方向に沿って−θだけ振り
戻されて、マスクM上の1つのX方向に長い視野上に垂
直に入射する。マスクMとビーム成形アパーチャ1Aと
は共役であり、マスクM上でビーム成形アパーチャ1A
の開口の像である正方形の副視野53Aに電子線EBが
照射される。
【0061】電磁偏向器5,6における電子線の偏向量
は、装置全体の動作を統轄制御する主制御系7が偏向フ
ォーカス制御部8を介して設定する。本例では、電磁偏
向器5,6に対する駆動電流は、偏向角θを用いて変化
率がθ/sin θに比例するように設定される。これによ
って、電子線EBはマスクM上に垂直に入射する条件を
維持して、X方向に沿って一定速度で走査するようにな
り、マスクM及びウエハWに対する電子線の露光量(ド
ーズ)の分布が一様になる。
【0062】また、電磁レンズよりなるコンデンサレン
ズ2A及び2Bの内側にはそれぞれ導電性の円筒状の電
極3A及び3Bが設置され、電極3A及び3Bには偏向
フォーカス制御部8から可変の電圧が印加されている。
本例では、予めマスクM上のパターン密度を調べてお
き、パターン密度の小さい視野内では電子線の電流密度
を大きくし、パターン密度の大きい視野内ではその電流
密度を小さくして、各視野間でマスクMを通過した後の
ビーム電流にあまり差がないようにして空間電荷効果に
よる電子線EBのぼけを小さくしている。一方、コンデ
ンサレンズ2A,2Bにおいても、ビーム電流が大きい
と焦点距離が長くなり、ビーム電流が小さいと焦点距離
が短くなるため、電子線の電流密度に応じて電極3A,
3Bに印加する電圧を制御して、コンデンサレンズ2
A,2Bの焦点距離を調整している。これによって、常
にビーム成形アパーチャ1AとマスクMとの共役関係を
維持している。
【0063】図7において、マスクMの副視野53A内
のパターンを通過した電子線EBは、投影レンズ15に
より一度光軸AX上でクロスオーバ17を形成した後、
対物レンズ19を介して縮小倍率β(βは例えば1/
4)で反転縮小されて、電子線レジストが塗布されたウ
エハW上の転写領域に副視野53A内のパターンの像を
形成する。投影レンズ15、及び対物レンズ19は対称
磁気ダブレットの条件を満たし、且つ投影レンズ15の
内部に非軸対称の電磁偏向器71,72,73が配置さ
れ、対物レンズ19の内部にも非軸対称の電磁偏向器7
4,75,66が設置され、主制御系7の制御のもとで
偏向フォーカス制御部22を介して、電磁偏向器71〜
76が励磁される。更に、図7において、クロスオーバ
17が形成される位置を囲むように非点収差補正用の8
極の電磁コイル18が配置されている。電磁コイル18
における補正量は偏向フォーカス制御部22により設定
される。本例では、マスクM上のX方向での電子線EB
の照射位置に応じて、電磁偏向器71〜73の励磁電
流、及び電磁偏向器74〜76の励磁電流を同時に変化
させることで、投影レンズ15及び対物レンズ19より
なる投影光学系の収差をダイナミックに補正する。これ
と同時に、その投影光学系のレンズ電流を変化させるこ
とによってダイナミックにフォーカス位置を調整し、電
磁コイル18の電流を変えることによりダイナミックに
非点収差の調整を行う。
【0064】また、投影レンズ15とマスクMとの間
に、それぞれ光軸AXを挟むように配置されたX方向に
長い1対の平板状の導電体よりなる静電偏向器13及び
14が配置されている。前段の静電偏向器13は電子線
EBをY方向に偏向し、後段の静電偏向器14はその電
子線EBを振り戻す役割を有し、静電偏向器13,14
における電子線の偏向量は、主制御系7が偏向フォーカ
ス制御部22を介して設定する。
【0065】図8は、図7の転写装置を+X方向に見た
一部を断面とした側面図であり、この図8に示すよう
に、静電偏向器13及び14はそれぞれY方向に所定間
隔で配置された1対の平板状の導電体より構成されてい
る。図7に戻り、また、対物レンズ19とウエハWとの
間にそれぞれ8極の2段の静電偏向器21が配置され、
静電偏向器21の偏向量も偏向フォーカス制御部22に
より設定されている。静電偏向器21によって高速にウ
エハW上での電子線EBの照射位置をX方向、及びY方
向に変化させることができる。本例では、マスクMとウ
エハWとはY方向に同期して走査されるが、その際のマ
スクMとウエハWとの間の相対振動の補正、及び投影光
学系のディストーション等の歪の補正を行うためにその
静電偏向器21が使用される。
【0066】次に、マスクMを移動するステージ系及び
ウエハWを移動するステージ系の構成は、図1及び図2
に示す第1の実施の形態と同様である。即ち、マスクM
はマスクステージ9によってY方向に連続移動し、X方
向にステップ移動できるように構成され、ウエハWは、
試料台23に載置された状態でY方向に連続移動できる
と共に、X方向にステップ移動できるように構成されて
いる。
【0067】図7において、不図示の露光データ記憶装
置より、露光対象のマスクMのパターン構成や、ウエハ
W上の複数の転写領域の配列の情報等の露光データが主
制御系7に供給される。この露光データに基づいて、主
制御系7は偏向フォーカス制御部8,22を介してマス
クM上での電子線の走査速度及び転写像の焦点位置等を
制御すると共に、マスクステージ9及びウエハ側の試料
台23の位置及び走査速度等を制御することによって、
ウエハW上の各転写領域にそれぞれマスクMの転写用の
パターンの縮小像を転写する。
【0068】図9は、本例の電子線縮小転写装置による
転写方法の説明図であり、この図9において、マスクM
の転写用パターンはY方向に境界領域52A,52B,
52C,…を挟んで、複数のX方向に細長い長方形の主
視野51A,51B,51C,…に分割されている。こ
れらの主視野51A,51B,…にはそれぞれウエハに
転写すべきパターン形状に対応する電子線の透過部が設
けられ、境界領域52A,52B,…は、電子線を遮断
しあるいは拡散する非パターン領域である。
【0069】そして、図7の電磁偏向器5,6等を介し
てマスクM上の主視野51AをY方向に覆う1辺の幅L
の正方形の副視野53Aに電子線EBが照射され、主視
野51Aを通過した電子線EBは、ウエハW上の1つの
転写領域55A内の正方形の露光領域56Aに垂直に入
射する。この状態で、電磁偏向器5,6を介して、マス
クM上を電子線EBの副視野53Aが順次+X方向、及
び−X方向に走査される。この際に、各主視野51A,
51B,…のX方向(長手方向)の長さは、転写対象の
半導体チップの1チップ分の原版パターンの短辺方向の
幅に等しく設定してある。但し、その各主視野51A,
51B,…のX方向の長さをその原版パターンの短辺方
向の幅より広く設定してもよい。これによって、走査方
向にはウエハW上でつなぎ目が発生することがなくな
り、高精度に転写が行われる。
【0070】ところが、このようにマスクM上の各主視
野51A,51B,…の走査方向の長さを長くすると、
光軸AXから離れた位置での収差が増加してしまう。そ
こで、本例では先ず、図7に示したように投影レンズ1
5及び対物レンズ19よりなる対称磁気ダブレット方式
の軸対称の光学系に複数の電磁偏向器71〜76を設
け、これらの電磁偏向器71〜76を動作させて軸外収
差の低減を計っている。更に、図9において、マスクM
上の副視野53のX方向(走査方向)の幅とY方向の幅
とは実質的に等しく設定されている。これによってビー
ム面積が最大になり、電子−電子の衝突による電子線の
ボケが最小限に抑えられ、高い解像度のパターン像を転
写できる。
【0071】また、本例においても第1の実施の形態と
同様に、図9において、副視野53A(電子線EB)が
±X方向に走査されるのと同期して、マスクMが−Y方
向(又は+Y方向)に連続的に走査されると共に、ウエ
ハWが+Y方向(又は−Y方向)に連続的に走査され
る。その結果、マスクM上を軌跡54に沿って順次電子
線EBの副視野53Aが+X方向、及び−X方向に交互
に走査して、マスクM上の主視野51A,51B,…の
パターンが順次、ウエハW上の転写領域55A内で軌跡
57に沿ってX方向に細長い長方形の部分転写領域58
A,58B,…に転写される。マスクMの走査方向とウ
エハWの走査方向とが逆であるのは、図7の投影レンズ
15及び対物レンズ19によりウエハW上に反転像が投
影されるからである。その後、ウエハW上の隣接する転
写領域55Bにも同様にマスクMのパターンが転写され
る。
【0072】この際に、本例においても第1の実施の形
態と同様にY方向のつなぎ誤差を低減するために、マス
クM上の主視野51A,51B,…に対応するウエハW
上の部分転写領域58A,58B,…はY方向に部分的
に重なるように接続されている。このようにウエハW上
で部分転写領域58A,58B,…をY方向に所定幅ず
つ重ねて継ぎ合わせるために、図7の2つの静電偏向器
13,14が使用される。ここで、マスクM上の主視野
51A,51B,…のY方向の幅dY1(重複して転写
される一方の部分の幅を除いた値とする)、境界領域5
2A,52B,…のY方向の幅dY2、及びマスクMか
らウエハWへの縮小倍率βを使用して、マスクMの走査
速度VMとウエハWの走査速度VWとの関係は(1)式
で表される。これによって、マスクM上で転写されるパ
ターンは、ほぼ光軸AXを横切る位置に達した各主視野
51A,51B,…となり、ウエハW上の各部分転写領
域毎に、投影されるパターン像の焦点位置や投影像の歪
み等の諸収差を補正しながら転写が行われる。
【0073】ここで、図9における電子線EBの照射領
域である副視野53Aの幅Lの決定方法の一例につき説
明する。図10は、図9の副視野53Aを含む領域の拡
大図であり、この図10において、マスクM上の主視野
51AのY方向の両端に非パターン領域76A,77A
が形成され、主視野51Aの非パターン領域77Aとそ
の上の主視野51Bの非パターン領域76Bとの間の領
域が周辺部より厚い桟78Aとなり、非パターン領域7
7A,76B及び桟78Aが図9の境界領域52Aに対
応している。その主視野51A上を軌跡54に沿って、
電子線による一辺の幅Lの副視野53AがX方向に走査
される。
【0074】この場合、本例の電子銃が温度制御領域で
使用されているものとすると、その電子銃からの電子線
のビーム強度Iはカソードの仕事関数の不均一性によっ
て細かに変動すると共に、カソードの温度むらによって
比較的大きく変動する。図11は、そのような電子線の
ビーム強度Iの分布の測定結果の一例を示し、図11の
横軸は図7のビーム成形アパーチャ1A上でのX方向の
位置を表し、縦軸はビーム強度Iを表している。なお、
その横軸での長さは、ビーム成形アパーチャ1Aからマ
スクMへの投影倍率を用いてマスクM上でのX方向(走
査方向)の長さに換算してある。図11において、ビー
ム強度Iは細かに振動すると共に、最大となる位置と最
小となる位置とのX方向の間隔が(これを「リップル
幅」と呼ぶ)Gで緩やかに変動している。そのビーム強
度Iの分布は、時間と共に変化しているが、通常は最大
となる位置と最小となる位置とのリップル幅Gはあまり
大きくは変化しない。
【0075】そこで、本例では図10の副視野53Aの
X方向の幅Lをそのリップル幅Gよりも広くしてある。
このためには、図7のビーム成形アパーチャ1Aの開口
の幅をマスクM上に換算してリップル幅Gよりも広くす
ればよい。一例として、幅Lをリップル幅Gの計測値の
平均値の2倍、4倍等の偶数倍に設定してもよい。この
場合、走査方向(X方向)に対しては狭い範囲内では、
走査による積分効果によって露光量のむらは生じない。
また、ビーム成形アパーチャ1Aに入射する電子線のビ
ーム強度Iが変動しても、そのリップル幅G以上の幅の
電子線が取り込まれているため、マスクM上を副視野5
3Aが走査する過程で次第に露光量が所定の許容値を超
えて変化することもなく、ウエハW上での積算露光量の
分布も一様となる。
【0076】更に、図10では、主視野51Aとマスク
Mの左端のエッジとの間の非パターン領域は広いため、
走査の開始時でも幅Lの副視野53Aの全体に電子線を
照射することができる。しかしながら、主視野51Aと
マスクMのエッジとの間が狭いような場合には、走査の
開始時に幅Lの副視野53Aの全体に電子線を照射する
と、不要な電子線がマスク温度を不要に上昇させること
になる。そこで、図7のビーム成形アパーチャ1Aの底
部に開口のX方向の幅を制限する第2のビーム成形アパ
ーチャ(不図示)を配置し、この第2のビーム成形アパ
ーチャを用いて、走査の開始時には副視野53AのX方
向の幅を次第に広くするようにして、走査の終了時には
副視野53AのX方向の幅を次第に狭くするようにして
もよい。これによって、主視野51AとマスクMのエッ
ジとの間を狭くすることができ、マスクM内により大面
積の回路パターンを配置できる。
【0077】最後に、図7及び図8に示す本例の投影レ
ンズ15及び対物レンズ19よりなる対称磁気ダブレッ
ト方式の投影光学系に、複数個の電磁偏向器71〜76
を設けた系の収差特性のシミュレーション結果の一例に
つき説明する。一例として、図7及び図8におけるマス
クMの各主視野51A,51B,…のX方向の長さを1
0mm、マスクMとウエハWとの間隔を560mmとし
て、副視野53Aが250μm角である場合、即ち副視
野53Aの幅Lが250μmである場合について収差を
計算した。
【0078】図12は本例の投影光学系の収差特性のシ
ミュレーション結果を示し、この図12において、横軸
は電子線の開口半角α(mrad)、縦軸は収差(n
m)を示す。そして、図12に示すように、右上がりの
直線98は球面収差による投影像のぼけ、平行な右上が
りの直線90R及び90Lは2種類のコマ収差、右上が
りの直線99は軸上色収差、収差が一定の直線93は倍
率及び回転の色収差をそれぞれ表している。これらの収
差は、副視野53Aの大きさが250μm角であるとし
て、図7の電磁偏向器71〜76を動作させた場合の収
差である。
【0079】更に、右上がりの平行な直線91及び92
はそれぞれ非点収差及び像面湾曲を示し、僅かに下に凸
の曲線95はこれらの収差の合計を表し、上に凸の曲線
94は、空間電荷効果(電子−電子相互作用)にどれだ
け収差を配分できるかを示す曲線である。ここで、収差
と空間電荷効果との合計を100nmとした場合、曲線
94に対してそれぞれ右下がりで横軸に45゜で交差す
る接線Bを引き、その接点での開口半角αをαAとす
る。このとき、本発明者によって、開口半角αAと対応
する収差との積に比例したビーム電流を流すことができ
ることが確かめられている。
【0080】また、点線の直線96は歪収差(値は3.
7nm)であり、これによって十分高精度のパターンを
形成できることが分かる。また、この場合の開口半角α
Aは7.6mradと大きいため、電子−電子相互作用
による電子ビームのぼけも小さい。
【0081】次に、本発明の第3の実施の形態につき図
13〜図17を参照して説明する。本例でも、図7及び
図8に示す電子線縮小転写装置と基本的に同じ構成の転
写装置を使用して、電子線の照射領域である副視野でマ
スクを走査して露光を行うが、本例の電子線の強度分布
はほぼガウス分布状となっている。
【0082】図13は、本例のマスク上で幅Lの正方形
の副視野53Bに照射される電子線のX方向(走査方
向)、及びY方向への強度分布を示し、この図13に示
すようにこの副視野53B内の電子線の強度分布Sは、
中心でのビーム強度Iを1(任意単位)とすると、その
中心から最も遠い頂点でのビーム強度Iが0.9となる
ようなガウス分布状である。従って、この副視野53B
を用いてステップアンドリピート方式で転写を行うと、
ウエハ上では最大積算露光量を1とすると最小積算露光
量は0.9となって、約10%の積算露光量の不均一性
が生じることになる。
【0083】これに対して、本例では図14(a)に示
すように、マスク上で副視野53BをX方向に走査して
露光を行うため、ウエハ上でX方向に沿った各点での露
光量むらは生じない。但し、図13から分かるように、
副視野53B内での電子線のY方向の強度分布は平均的
に山型に変化しているため、走査露光後のウエハ上での
積算露光量Dは、非走査方向(Y方向)に対して図14
(b)に示すように、幅Lの範囲内の中央部での値は
0.97と小さくなり、最も遠いエッジ部での値は0.
94に増加して凸の曲線状になる。従って、非走査方向
(Y方向)に対する積算露光量の不均一性は約3%(=
100×0.03/0.97)に改善される。即ち、本
例のように走査露光を行うことによって、ステップアン
ドリピート方式で転写を行う場合に比べて積算露光量の
一様性の誤差(不均一性)は約1/3程度に改善される
ことになる。
【0084】更に、図14(b)に示すような非走査方
向への積算露光量のむらを無くすためには、副視野53
Bの幅をY方向の中央部で狭くすればよい。図15は、
そのようにY方向の幅を中央部で狭くした副視野53C
での電子線の強度分布を示し、この図15において、副
視野53Cは、一辺の幅Lの正方形から−X方向側の辺
の近傍の円弧状の領域79を削除した形状である。電子
線の強度分布Iは、中央部での値を1とすると最も遠い
位置での値は0.9である。
【0085】その副視野53Cを用いて、図16(a)
に示すようにマスクをX方向に走査すると、Y方向の中
央部での積算露光量は、図14(a)の場合に比べて少
なくなる。従って、走査露光後のウエハ上での積算露光
量Dは、非走査方向(Y方向)に対して図16(b)に
示すように、0.94で一定となる。但し、この際の積
算露光量の基準は図14(b)での値である。即ち、本
例のように正方形の一部を除去した形状の副視野53C
を用いて走査露光を行うことによって、正方形の副視野
53Bを用いて走査露光を行う場合よりも積算露光量の
一様性を改善できることが分かる。
【0086】図17(a)は、そのような非正方形の副
視野53Cを生成するためのビーム成形アパーチャ部の
構成例を示す平面図、図17(b)はその側面図であ
り、先ず図17(a)に示すように、ビーム成形アパー
チャ1Bの中央部に2点鎖線の正方形80Aに対して円
弧状の凸部を設けた開口80が形成されている。また、
図17(b)に示すように、ビーム成形アパーチャ1B
の底部に先端が円弧状の電子線遮断板81が配置され、
この電子線遮断板81は、回転する回転ステージ82、
X方向に移動するXステージ83、及びY方向に移動す
るYステージ84を介してベース85上に載置されてい
る。即ち、電子線遮断板81は、ビーム成形アパーチャ
1Bの開口80の底部で、回転方向、X方向、及びY方
向に微動できるように配置されている。
【0087】この場合、電子線遮断板81を開口80の
底部にかからないようにしておくことで、図15に示す
ような正方形に対して一部が狭くなった形状の副視野5
3Cを生成できる。また、電子銃の経時変化等によっ
て、電子線の強度分布が初期の分布から次第に変化する
こともある。そのような場合には、その強度分布の変化
に対して、走査露光後のウエハ上での積算露光量の分布
が一様になるように、図17(a)に示すように、電子
線遮断板81で開口80を通過した電子線の一部を遮断
するようにする。これによって、経時変化等で電子線の
強度分布が変化してもウエハ上での積算露光量の分布を
常に一様に維持できる。
【0088】なお、電子線の照射領域である副視野53
A,53B,53C等の基本的な形状は必ずしも正方形
にする必要はなく、長方形や円弧状等でもよい。但し、
正方形で有れば、収差が最小の状態で転写が行える。ま
た、本発明は例えばイオンビーム等を用いた荷電粒子線
転写装置にも適用できる。このように、本発明は上述の
実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範
囲で種々の構成を取り得る。
【0089】
【発明の効果】本発明の第1の荷電粒子線転写装置によ
れば、例えば対称磁気ダブレット方式のような軸対称の
投影手段を用いているため、発生する収差は光軸からの
距離のみの関数となる。また、マスク上を走査する荷電
粒子線の断面形状は走査方向の幅が非走査方向の幅より
狭くなっているため、マスク上での荷電粒子線の照射領
域内では収差はほぼ一定とみなすことができ、この収差
は簡単な機構で容易に補正できる。従って、マスク上の
転写用のパターンを荷電粒子線で走査することによっ
て、そのパターンを転写対象の基板上に転写する際に、
簡単な構成で収差を抑制して高精度にパターンを転写で
きる利点がある。
【0090】この場合、走査手段により走査される荷電
粒子線の偏向角をθとしたとき、その走査手段に対する
駆動信号を、変化率がθ/sin θに比例するように設定
したときには、マスク上での荷電粒子線の走査速度が一
定になる。従って、転写対象の基板上での露光量分布を
一様にできる利点がある。また、軸対称の投影手段が、
複数の電磁レンズより構成され、これら複数の電磁レン
ズ中の少なくとも1つの電磁レンズ内に配置された実質
的に軸対称の導電性の電極と、走査手段を介して荷電粒
子線でそのマスクを走査する際に、その電極に印加する
電位を制御することによってその投影手段の焦点距離を
制御する焦点距離制御手段と、を備えたときには、マス
ク上での荷電粒子線の走査位置に応じて静電方式によっ
て、その基板上での荷電粒子線による投影像のフォーカ
ス位置を高い応答速度で補正できる利点がある。
【0091】更に、そのマスクを透過した荷電粒子線の
ビーム電流の時間変化に応じてその投影手段の焦点距離
を補正する焦点距離補正手段を設けたときには、そのマ
スクのパターン密度等に応じて空間電荷効果によって投
影像のフォーカス位置が変化したときでも、そのフォー
カス位置を補正して投影光学系での合焦条件を常に満足
できる利点がある。
【0092】次に、本発明の第2の荷電粒子線転写装置
によれば、荷電粒子線の強度分布のばらつきを走査後に
相殺あるいは低減するような断面形状を有する荷電粒子
線でマスク上を走査しているため、その荷電粒子線の強
度分布にむらがある場合でも、走査後の積算露光量のむ
らが少ない利点がある。この際に、マスクを透過した荷
電粒子線の非点収差を補正するための非軸対称の非点補
正コイル、又は偏向装置を設けた場合には、例えば対称
磁気ダブレット方式のような軸対称の投影手段に対して
非軸対称の非点補正コイル等で軸外収差を低減できるた
め、残存する収差は副視野の半径の関数となる。この変
形が一定の場合には副視野を正方形にしたとき最大の副
視野面積となる。従って、正方形のビームで走査したと
きに最大のビーム電流が得られ、スループットが最大と
なる。
【0093】また、荷電粒子線の強度分布が前記走査方
向においてリップルを持って変動する場合に、荷電粒子
線の断面形状を、走査方向の幅がそのリップルの幅より
広くなるようにするか、あるいは、荷電粒子線の強度分
布が、中央部で高く周辺部で低い場合に、その荷電粒子
線の断面形状を、走査方向に垂直な非走査方向の中央部
が狭くなるようにしたときには、積算露光量の一様性が
改善される利点がある。
【0094】また、その走査方向に垂直な非走査方向に
そのマスク及びその基板を同期して移動するステージ装
置を設け、そのマスクとして、パターン領域がその非走
査方向に対して、その走査手段により走査される荷電粒
子線の長手方向の幅に対応する幅の複数の視野に分割さ
れると共に、各隣接する2つの視野が互いに重複する部
分を有するマスクが設置された際に、そのステージ装置
を介してそのマスク及びその基板をその非走査方向に移
動しつつ、その走査手段を介してそのマスク上で荷電粒
子線をその走査方向に走査することによって、そのマス
ク上の各隣接する2つの視野の互いに重複する部分をそ
の基板上に重ねて転写する場合には、その隣接する視野
内で重複する部分に高いつなぎ精度を要するパターンを
形成しておくことによって、そのパターンを高いつなぎ
精度で転写できる利点がある。
【0095】また、マスクを透過した荷電粒子線のビー
ム電流の時間変化に応じてその投影手段の焦点距離、非
点収差、及び偏向器電流のすべてを補正する結像特性補
正手段を設けた場合には、マスクのパターンの粗密によ
らずに良好な結像特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による荷電粒子線転写装置の第1の実施
の形態の電子線縮小転写装置を示す一部を切り欠いた構
成図である。
【図2】図1の電子線縮小転写装置をX方向に見たとき
の一部を切り欠いた側面図である。
【図3】その第1の実施の形態における転写動作の説明
に供する斜視図である。
【図4】その第1の実施の形態におけるマスクM上の隣
接する視野内のパターン配置の一例を示す拡大平面図で
ある。
【図5】図4のマスクMを使用してウエハW上に転写さ
れるパターンを示す拡大平面図である。
【図6】その第1の実施の形態の対称磁気ダブレット方
式の投影光学系の収差特性の一例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の電子線縮小転写装
置を示す一部を切り欠いた構成図である。
【図8】図7の電子線縮小転写装置をX方向に見たとき
の一部を切り欠いた側面図である。
【図9】その第2の実施の形態における転写動作の説明
に供する斜視図である。
【図10】図9の副視野53Aを含む領域の拡大平面図
である。
【図11】電子線の強度分布の一例を示す図である。
【図12】その第2の実施の形態における対称磁気ダブ
レットに電磁偏向器と非点収差補正コイルとを組み合わ
せて軸外収差を低減する方式の投影光学系の収差特性の
一例を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態の電子線の照射領
域(副視野53B)の強度分布を示す図である。
【図14】(a)はその図13の副視野53Bの走査を
示す図、(b)は走査露光後のY方向の積算露光量の分
布を示す図である。
【図15】図13の例に対してY方向の中央部の幅を狭
くした副視野53Cの電子線の強度分布を示す図であ
る。
【図16】(a)はその図15の副視野53Cの走査を
示す図、(b)は走査露光後のY方向の積算露光量の分
布を示す図である。
【図17】(a)は図15の副視野53Cを生成するた
めのビーム成形アパーチャ部の構成例を示す平面図、
(b)は図17(a)の一部を切り欠いた側面図であ
る。
【符号の説明】
M マスク W ウエハ 1,1A,1B ビーム成形アパーチャ 2A,2B コンデンサレンズ 3A,3B 円筒状の導電性の電極 5,6 電磁偏向器 7 主制御系 8,22 偏向フォーカス制御部 10 マスクステージ 13,14 静電偏向器 15 投影レンズ 16,20 円筒状の導電性の電極 18 非点収差補正用の8極の電磁偏向器 19 対物レンズ 21 2段の8極の静電偏向器 23 試料台 24 可動ステージ 51A,51B,51C 主視野 52A,52B,52C 境界領域 53,53A,53B,53C 副視野 55A 転写領域 58A,58B,58C 部分転写領域 71,72,73,74,75,76 軸外収差を低減
する電磁偏向器

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転写用のパターンが形成されたマスクを
    荷電粒子線で所定の走査方向に走査して、前記パターン
    を転写対象の基板上に転写する荷電粒子線転写装置にお
    いて、 前記走査方向の幅が前記走査方向に垂直な非走査方向の
    幅に比べて狭い断面形状を有する荷電粒子線で前記マス
    ク上を前記走査方向に走査する走査手段と、 前記マスクを透過した前記荷電粒子線を集束して前記基
    板上に前記パターンの一部の像を形成する軸対称の投影
    手段と、を有することを特徴とする荷電粒子線転写装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の荷電粒子線転写装置であ
    って、 前記走査手段により走査される荷電粒子線の偏向角をθ
    としたとき、前記走査手段に対する駆動信号は、変化率
    がθ/sin θに比例するように設定されることを特徴と
    する荷電粒子線転写装置。
  3. 【請求項3】 請求項1、又は2記載の荷電粒子線転写
    装置であって、 前記軸対称の投影手段は、複数の電磁レンズより構成さ
    れ、 該複数の電磁レンズ中の少なくとも1つの電磁レンズ内
    に配置された実質的に軸対称の導電性の電極と、 前記走査手段を介して荷電粒子線で前記マスクを走査す
    る際に、前記電極に印加する電位を制御することによっ
    て前記投影手段の焦点距離を制御する焦点距離制御手段
    と、を備えたことを特徴とする荷電粒子線転写装置。
  4. 【請求項4】 請求項1、又は2記載の荷電粒子線転写
    装置であって、 前記マスクを透過した荷電粒子線のビーム電流の時間変
    化に応じて前記投影手段の焦点距離を補正する焦点距離
    補正手段を設けたことを特徴とする荷電粒子線転写装
    置。
  5. 【請求項5】 転写用のパターンが形成されたマスクを
    荷電粒子線で所定の走査方向に走査して、前記パターン
    を転写対象の基板上に転写する荷電粒子線転写装置にお
    いて、 前記荷電粒子線の強度分布のばらつきを走査後に相殺あ
    るいは低減するような断面形状を有する荷電粒子線で前
    記マスク上を前記走査方向に走査する走査手段と、 前記マスクを透過した前記荷電粒子線を集束して前記基
    板上に前記パターンの一部の像を形成する投影手段と、
    を有することを特徴とする荷電粒子線転写装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の荷電粒子線転写装置であ
    って、 前記マスクを透過した荷電粒子線の非点収差を補正する
    ための非軸対称の非点補正コイル、又は偏向装置を設
    け、 前記荷電粒子線の強度分布が前記走査方向においてリッ
    プルを持って変動する場合に、 前記荷電粒子線の断面形状は、前記走査方向の幅が前記
    リップルの幅より広いか、あるいは、 前記荷電粒子線の強度分布が、中央部で高く周辺部で低
    い場合に、 前記荷電粒子線の断面形状は、前記走査方向に垂直な非
    走査方向の中央部が狭くなっていることを特徴とする荷
    電粒子線転写装置。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、5、又は6記載の荷電粒
    子線転写装置であって、 前記走査方向に垂直な非走査方向に前記マスク及び前記
    基板を同期して移動するステージ装置を設け、 前記マスクとして、パターン領域が前記非走査方向に対
    して、前記走査手段により走査される荷電粒子線の長手
    方向の幅に対応する幅の複数の視野に分割されると共
    に、各隣接する2つの視野が互いに重複する部分を有す
    るマスクが設置された際に、 前記ステージ装置を介して前記マスク及び前記基板を前
    記非走査方向に移動しつつ、前記走査手段を介して前記
    マスク上で前記荷電粒子線を前記走査方向に走査するこ
    とによって、 前記マスク上の各隣接する2つの視野の互いに重複する
    部分を前記基板上に重ねて転写することを特徴とする荷
    電粒子線転写装置。
  8. 【請求項8】 請求項5、6、又は7記載の荷電粒子線
    転写装置であって、 前記マスクを透過した荷電粒子線のビーム電流の時間変
    化に応じて前記投影手段の焦点距離、非点収差、及び偏
    向器電流のすべてを補正する結像特性補正手段を設けた
    ことを特徴とする荷電粒子線転写装置。
JP9071125A 1996-03-25 1997-03-25 荷電粒子線転写装置 Pending JPH09320960A (ja)

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