JPH09324246A - 耐高温腐食性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents

耐高温腐食性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼

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JPH09324246A
JPH09324246A JP18930096A JP18930096A JPH09324246A JP H09324246 A JPH09324246 A JP H09324246A JP 18930096 A JP18930096 A JP 18930096A JP 18930096 A JP18930096 A JP 18930096A JP H09324246 A JPH09324246 A JP H09324246A
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less
high temperature
stainless steel
phase
corrosion resistance
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JP18930096A
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English (en)
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Hideto Kimura
秀途 木村
Minoru Suwa
稔 諏訪
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】600 〜800 ℃での耐酸化性・耐腐食性、組織安
定性、溶接性および高温強度に優れた熱交換器用オース
テナイト系ステンレス鋼を提供すること。 【解決手段】重量%で、C:0.12%以下、Si:
1.0%以下、Mn:5.0%以下、P:0.04%以
下、S:0.03%以下、Cr:14〜22%、Ni:
10〜25%、Al:1.0〜3.5%、N:0.02
%以下、Y、La、Ceを合計含有量として0〜0.0
7%を含有し、さらに、Ti:0.05〜0.5%、
V:0.1〜1.0%、Nb:0.1〜1.0%、Z
r:0.1〜1.0%、およびCu:0.5〜4.0%
のうち1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不
可避不純物からなり、かつ以下の(1) 式および(2) 式を
満たす。 α=(1.5Si+Cr+3Al )−(0.5Mn +Ni+30C +30N )<9 …(1) MCI =C /5 −12×(Zr/91+Nb/93+Ti/48+V /68)≦0 …(2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火力発電用ボイ
ラ、化学プラント等における熱交換器用鋼管などに適用
するオーステナイト系ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、主として火力発電プラントの高効
率化を目指し、新形式の複合発電プラントの提案、従来
型プラントの更新、およびボイラ操業条件の高温・高圧
化などがなされている。ボイラ操業条件の高温・高圧化
は今後とも推進される傾向にあり、一般の石炭焚き火力
プラントで計画されている超々臨界圧操業は、近い将
来、複合発電プラント蒸気ボイラの操業にも適用され、
今後とも適用範囲が拡大される見込みである。
【0003】従来、熱交換器などの高温部材用鋼種とし
ては、18Cr−8Ni系ステンレス鋼がチューブ材と
して多用されており、その主流はJIS SUS304
H(18Cr−10Ni−C)であり、更に、これにT
iを加えたJIS SUS321Hなどがあり、基本的
には長期の相安定性を考慮して18−8系で対応を行っ
ていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したよう
な今後の火力発電プラントの高温・高圧化に対応するた
めには、600〜800℃という高温において、十数年
もしくはそれ以上の長期に亘って使用可能なレベルの耐
食性と、現在用いられている18Cr−8Ni系ステン
レス鋼を上回る高温強度が求められ、現状では使用可能
な鋼種がほとんど見あたらない。
【0005】内面の高圧水接触部における耐水蒸気酸化
性の改善の面からは、特開昭53−63210号公報な
どに開示された、耐高温酸化性改善に有効な元素である
Al、Siを含有したCr−Ni系ステンレス鋼が良好
である。そればかりか、このようなAl、Si含有鋼は
石炭灰等の存在下での過酷な環境に対する耐蝕性も極め
て良好であることがわかってきた。しかし、このような
鋼は、耐圧熱交換器用管材としては高温強度の面で不足
し、しかも長時間相安定性の維持および溶接性という点
において特性が十分とはいえない。
【0006】また、特開平6−271992号公報には
耐酸化性が考慮された高Al含有鋼が開示されている
が、このような高Al含有鋼も同様の問題を有してい
る。さらに、今一つの解決策として、JIS SUS3
10Sに代表される高合金25Cr−20Ni系をベー
スとし、これにNb、N等を添加して高温強度および長
時間相安定性を改善したオーステナイト系ステンレス耐
熱鋼を用いることも考えられ、特開昭57−16497
1号、164972号公報などにはこのようなことを目
指した鋼が開示している。しかし、このようなCr−N
i系の鋼種は、基本的に高価であり、600〜800℃
においては500〜5000時間の使用でシグマ相を析
出する傾向にあり、靭性の急激な低下が危惧される。
【0007】また、オーステナイト凝固する成分系では
溶接時の高温割れ感受性が高いことも問題である。した
がって、現在の高温用鋼技術においては、このような耐
高温腐食性、長時間相安定性、溶接性という3点を同時
に満足し、しかも高温強度が高い合金設計指針の確立が
強く望まれている。
【0008】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、600〜800℃での耐酸化性ないし耐腐食
性、長時間の組織安定性、溶接性および高温強度に優れ
た熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、まず耐高温
酸化性を向上させる元素として安価なAl、Siを選定
し、600〜800℃で長時間加熱を受けた場合の相安
定性について、脆いシグマ相析出に及ぼす影響を調査し
た。一般にオーステナイト系ステンレス鋼の圧延時のデ
ルタフェライト抑制、あるいはデルタフェライト量につ
いては、例えばde Longが1960年にMeta
l Progressにおいて提唱したような、Cr当
量、Ni当量の概念が用い得ることを見出した。ただ
し、シグマ相析出量の予測等には上記式をそのまま用い
ることはできなかった。すなわち、Cr−Ni系ステン
レス鋼においては、図1に示す状態図上においては、シ
グマ相の析出領域はデルタフェライトの析出領域よりも
広い、換言すれば、シグマ相の析出を抑制するためには
デルタフェライトの析出を抑制するよりも多量に高価な
Niを添加しなければならないことが実験的に明らかに
なった。
【0010】また、Si添加系について実験を行ったと
ころ、図1の状態図におけるシグマ相の析出領域は、S
i無添加のCr−Ni系ステンレス鋼に比べ拡大するこ
とが明らかになった。ところが、Alを含有する系にお
いては、Alのシグマ相生成能がデルタフェライト生成
能に比べて小さいことから、図1の状態図上ではシグマ
相析出領域はAl無添加系に比べ縮小し、デルタフェラ
イト析出領域とほぼ等しくなることを新たに見い出し
た。
【0011】すなわち、耐酸化性向上元素としてAlを
添加した場合、下記(1)式が成り立つ成分範囲におい
て、圧延時のデルタフェライトの析出と600〜800
℃で長時間加熱を受けた場合のシグマ相の析出の両方を
抑制できることを見出した。
【0012】 α=(1.5Si+Cr+3Al )−(0.5Mn +Ni+30C +30N )<9 …(1) なお、圧延時のデルタフェライトの析出抑制により、圧
延時の耳割れを防止でき、歩留り向上にもつながる。
【0013】次に、溶接性については、高温割れ感受性
を抑制する手段を種々検討した。一般にオーステナイト
系ステンレス鋼の高温割れ感受性は、凝固時に数%のデ
ルタフェライトを存在させることにより低下させること
ができる。しかし、耐酸化性を高めるためにCr量を増
加させると、シグマ相析出を抑制するため、オーステナ
イト相の安定性をデルタフェライトに対して過剰に高め
なければならず、凝固時に完全にオーステナイト凝固と
なってしまい、高温割れ感受性を高めてしまう。また、
Si量を増加させた場合は、さらにシグマ相析出抑制の
ためにNi当量を増加させなければならず、高温割れ感
受性を高めてしまう。
【0014】ところが、Alは、デルタフェライト生成
能に対してシグマ相生成能が低いため、シグマ相析出抑
制のためにデルタフェライトに対するオーステナイト相
の安定性を過剰に高める必要がない。すなわち、Alを
含有する系においては、シグマ相の析出を十分抑制でき
るだけNi当量を高めてオーステナイト相を安定化して
も、溶接部の凝固時においてはデルタフェライトが存在
し、溶接部の高温割れ感受性を極めて低く抑制できるこ
とが判明した。
【0015】高温強度については、強化因子として固溶
強化、窒化物析出強化、炭化物析出強化、Cu富化相析
出強化、金属間化合物析出強化等について多くの実験室
溶解を行って検討した結果、炭化物析出強化およびCu
富化相析出強化が、クリープ破断強度、長時間靭性、ク
リープ延性のいずれの観点からも最も優れていることが
判明した。このため、これらについてさらに集中的に検
討を重ねた結果、Cuについては0.5〜4.0%の範
囲で添加することが、また、炭化物生成元素について
は、析出し得るM236 型鉄・クロム炭化物、MC型Z
r、Nb、Ti、V炭化物が以下の(2´)式を満足す
ることが最も有効にクリープ破断強度を向上させ得るこ
とが明らかになった。
【0016】 (CasMC)/(CasM236 +CasMC)≧0.2 …(2´) (ただし、CasMC、CasM236 は、それぞれMC型
炭化物、M236 型炭化物を形成する炭素量を表す。) この場合に、上記(2´)式を満足するためには、Z
r、Nb、Ti、Vを以下の(2)式の範囲で添加する
必要がある。
【0017】 MCI =C /5 −12×(Zr/91+Nb/93+Ti/48+V /68)≦0 …(2) (ただし、MCI は、全炭化物中におけるMC型炭化物の
割合を示す指数である。) 本発明はこのような知見に基づいてなされたものであっ
て、第1に、重量%で、C:0.12%以下、Si:
1.0%以下、Mn:5.0%以下、P:0.04%以
下、S:0.03%以下、Cr:14〜22%、Ni:
10〜25%、Al:1.0〜3.5%、N:0.02
%以下、Y、La、Ceを合計含有量として0〜0.0
7%(無添加の場合も含む)を含有し、さらに、Ti:
0.05〜0.5%、V:0.1〜1.0%、Nb:
0.1〜1.0%、Zr:0.1〜1.0%、およびC
u:0.5〜4.0%のうち1種または2種以上を含有
し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、かつ以下
の(1)式および(2)式を満たすことを特徴とする耐
高温腐食性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステン
レス鋼を提供する。
【0018】第2に、重量%で、C:0.12%以下、
Si:1.0%以下、Mn:5.0%以下、P:0.0
4%以下、S:0.03%以下、Cr:14〜22%、
Ni:10〜25%、Al:1.0〜3.5%、N:
0.02%以下、Y、La、Ceを合計含有量として0
〜0.07%(無添加の場合も含む)、B:0.001
〜0.01%を含有し、さらに、Ti:0.05〜0.
5%、V:0.1〜1.0%、Nb:0.1〜1.0
%、Zr:0.1〜1.0%、およびCu:0.5〜
4.0%のうち1種または2種以上を含有し、残部がF
eおよび不可避不純物からなり、かつ以下の(1)式お
よび(2)式を満たすことを特徴とする耐高温腐食性に
優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼を提供
する。 α=(1.5Si+Cr+3Al )−(0.5Mn +Ni+30C +30N )<9 …(1) MCI =C /5 −12×(Zr/91+Nb/93+Ti/48+V /68)≦0 …(2)
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明に係る熱交換器用オーステナイト系ステ
ンレス鋼は、重量%で、C:0.12%以下、Si:
1.0%以下、Mn:5.0%以下、P:0.04%以
下、S:0.03%以下、Cr:14〜22%、Ni:
10〜25%、Al:1.0〜3.5%、N:0.02
%以下、Y、La、Ceを合計含有量として0〜0.0
7%(無添加の場合も含む)を含有し、さらに、Ti:
0.05〜0.5%、V:0.1〜1.0%、Nb:
0.1〜1.0%、Zr:0.1〜1.0%、およびC
u:0.5〜4.0%のうち1種または2種以上を含有
する組成を有する。また、さらにB:0.001〜0.
01%を含有する組成を有する。
【0020】以下に各成分を含有させた理由およびその
範囲を限定した理由を述べる。 C: Cは本発明鋼の母相の高温強さを与え、相安定性
に有効な元素であるが、0.12%を超えて含有する
と、結晶粒内を縦断する形で粗大な炭化物が析出するの
で、その含有量を0.12%以下とした。
【0021】Si: Siは脱酸に有効な元素である
が、1.0%を超えるとシグマ相の生成能が大きく相安
定性を維持するのが困難となるため、さらに溶接時の高
温割れ感受性を高めるため、その含有量を1.0%以下
とした。
【0022】Mn: Mnは相安定性に有効な元素であ
るが、5.0%を超えて含有すると耐高温腐食性に有害
となるので、含有量を5.0%以下とした。 P: Pは粒界偏析して圧延時の延性を害する元素であ
って、その含有量は少ないほど良い。そこで、圧延時に
おける延性の低下による割れを防止するため、その含有
量を0.04%以下とした。
【0023】S: SもP同様に、粒界偏析して圧延時
の延性を害する元素である。その含有量は少ないほど良
い。そこで、圧延時における延性の低下による割れを防
止するため、その含有量を0.03%以下とした。
【0024】Cr: Crは高温での耐酸化性を与える
基本元素として重要である。その含有量が14%未満の
場合は、耐高温酸化性に有効なAlを含有しても600
〜800℃において耐高温酸化性ないし耐高温腐食性の
大幅な向上を得ることができない。一方、22%を超え
て含有するとオーステナイト相の安定性を維持するため
に、高価なNiを多量に必要とし経済性を損なうように
なり、しかも耐高温酸化性ないし高温腐食性向上に対す
る寄与が小さくなる。したがって、Cr含有量を14〜
22%とした。
【0025】Ni: Niは、安定なオーステナイト組
織を得るために必須の元素である。その含有量は、他の
含有元素、特にCrとAlとの関係から10%以上を必
要とする。一方、Niの含有量が25%を超えると、オ
ーステナイト安定化の効果が小さくなり、Ni量を増加
してもCr等の耐高温酸化性ないし耐高温腐食性を向上
する元素を大きく増やすことができなくなる。また、N
i量を過剰に多くすると、フェライト相に対するオース
テナト相の安定性が過剰に高くなり、溶接時の高温割れ
感受性を高めてしまう。これらのため、Ni含有量を1
0〜25%とした。
【0026】Al: Alは単独では、酸化環境中でA
23 という非常に緻密な保護被膜を形成し、Cr酸
化物存在下ではその中に複合酸化物として含まれて、酸
化物の緻密性を高める。かかる場合の表面保護性は非常
に高く、優れた耐高温酸化性および耐高温腐食性を与え
る元素である。しかし、この耐高温酸化性および耐高温
腐食性の向上はAl量が1.0%未満の場合は、ある程
度の効果があるものの、大幅な効果はみとめられない。
ところが、Al量が1.0%以上になると、このような
耐高温酸化性および耐高温腐食性は大幅に向上する。し
かし、Alを3.5%を超えて含有すると相安定性を維
持するのが困難となる。このためAlの含有量を1.0
〜3.5%とした。
【0027】N: NはCと同様に、本発明鋼の母相の
高温強さを与え、相安定性に有効な元素であるが、0.
02%を超えて含有すると窒化物を形成し、靭性に有害
であることから、Nの含有量を0.02%以下とした。
【0028】Y、La、Ce: 希土類元素であるY、
La、CeはAl23 酸化被膜中に溶け込んで、その
高温酸化に対する一般的耐性を高めるので、これらのう
ち一種以上を含有してもよい。これらが合計で0.07
%を超えて含有すると熱間加工性を害するので、これら
含有量を合計量で0.07%以下とした。また、これら
は必要に応じて添加されるものであるから、無添加の場
合も含むことにした。
【0029】Ti、V、Nb、Zr: Ti、V、N
b,Zrは、炭窒化物として微細に分散析出し、もって
高温強度の改善に寄与するが、Tiで0.05%未満、
V、Nb、Zrでそれぞれ0.1%未満ではその効果が
十分ではない。また、過剰に添加すると、溶体化熱処理
後に未固溶のTi、V、Nb、Zrの炭窒化物の量が増
加し高温強度を害するようになり、さらに溶接性も低下
させることになるので、これらの含有量をTi:0.0
5〜0.5%、V:0.1〜1.0%、Nb:0.1〜
1.0%、Zr:0.1〜1.0%とした。
【0030】Cu: Cuは高温での使用中にCu富化
相として母相中に微細析出し、クリープ強度向上に寄与
する添加元素である。しかし、0.5%未満ではほとん
ど析出せず、一方4.0%を超えると破断延性が著しく
低下する。このためCuの含有量を0.5〜4.0%と
した。
【0031】なお、上述したように、高温強度を高める
ためにZr、Nb、Ti、Vなどによる炭化物析出強化
およびCu富化相析出強化が有効であることから、T
i、V、Nb、ZrおよびCuのうち1種または2種以
上添加することとした。
【0032】B: Bは、粒界を強化し高温強度特性を
改善するのに有効な元素であるが、過剰に添加すると溶
接性を劣化させるので、この点を考慮してBの含有量を
0.001〜0.01%とした。なお、Bは必要に応じ
て添加される。
【0033】次に、(1)式の限定理由について説明す
る。耐シグマ脆性、熱間加工性、溶接性に影響を及ぼす
オーステナイト相とシグマ相またはフェライト相との相
対的な安定性を決定する主な因子は、Cr当量とNi当
量の関係である。これらはそれぞれ以下のような式で示
される。
【0034】Cr当量=1.5Si+Cr+3Al Ni当量=0.5Mn+Ni+30C+30N 本発明者らはこれらCr当量およびNi当量を用いた下
記の(1)式が成り立つときに、600〜800℃での
長時間使用後も脆いシグマ相の析出がほとんど無いこ
と、すなわち、長時間使用しても良好な靭性が保たれる
ことを見出した。また、同時に(1)式が成り立つと
き、圧延後のフェライト相の存在がなくオーステナイト
単相組織であり、鋼板端部の割れもほとんど無いことを
見出した。鋼板端部の割れは歩留りを低下させるため経
済的に好ましくない。したがって、以下の(1)式を満
足することを要件とした。
【0035】 α=(1.5Si+Cr+3Al )−(0.5Mn +Ni+30C +30N )<9 …(1) なお、溶接性の観点からは、フェライト相に対するオー
ステナイト相の安定性を過剰に高めると、高温割れ感受
性を高めてしまうことになるため、(1)式の左辺の値
はできるだけ大きくなるような成分系とすることが好ま
しい。
【0036】次に、(2)式の限定理由について説明す
る。前述したように、炭化物析出強化が高温強度に対し
て有効であるが、炭化物生成元素については、析出し得
るM236 型鉄・クロム炭化物、MC型Zr、Nb、T
i、V炭化物が以下の(2´)式を満足することが最も
有効にクリープ破断強度を向上させ得る。
【0037】 (CasMC)/(CasM236 +CasMC)≧0.2 …(2´) この場合に、上記(2´)式を満足するためには、Z
r、Nb、Ti、Vを以下の(2)式の範囲で添加する
必要がある。
【0038】 MCI =C /5 −12×(Zr/91+Nb/93+Ti/48+V /68)≦0 …(2) なお、上記のように規定される本発明のオーステナイト
系ステンレス鋼は、所定の成分を所定量、単体または母
合金の形で含有した状態で溶解され、その後、鋳造、熱
間圧延等の通常の工程により所望の形状に形成される。
また鋼管に成形するに際しても特に限定されるものでは
なく通常用いられる種々の方法を採用することができる
が、溶解、鋳造後、熱間押し出し法またはマンネスマン
圧延法による管体製造工程を経て最終形状とする方法が
通常好適に用いられる。
【0039】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。表1
と表2に本実施例で用いた鋼の化学組成を示す。表1の
No.1からNo.19は上記第1発明の組成範囲を満
足する発明鋼であり、またNo.20からNo.25は
上記第2発明の成分範囲を満足する発明鋼である。一
方、表2のNo.26からNo.50は比較鋼である。
両表中には、(1)式で定義されるαの値および(2)
式で定義されるMCI の値も併せて示した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】これらの成分の鋼を、電気炉溶解、鋳造、
熱間圧延によって12mm厚に製造し、1100℃で溶
体化処理した後、鋼板全厚×30mm×50mmの腐食
試験片を切り出し、石炭灰塗布高温腐食試験および連続
酸化試験を行った。
【0043】高温腐食試験は、超々臨界圧ボイラー過熱
器を模擬した700℃石炭灰腐食試験条件で行った。す
なわち、組成を30%Na2 SO4 +40%K2 SO4
+30%Fe23 に調整した混合灰を試験片に塗布
し、1%SO2 +5%O2 +10%CO2 +84%N2
混合ガス流中で700℃に加熱し100時間保持した後
脱スケール処理を行い、腐食減量を測定した。
【0044】耐高温酸化試験は、800℃大気酸化条件
とし、露点30℃に制御した湿潤大気流中で480時間
保持した後空冷し、十分冷却された後重量減少を測定し
た。これらの繰り返し数は各鋼種とも3とし、これらの
平均値で評価した。個々の試験片間のばらつきは概ね1
0〜20%以内であった。これらの結果はいずれも減肉
量(mm/year)で整理した。これらの結果を表3
および表4に示す。
【0045】一方、長時間時効後の組織安定性を評価す
る目的で、圧延容体化処理材を800℃で4000時間
加熱した後Vノッチシャルピー試験片を切り出し、0℃
における吸収エネルギーを測定した。
【0046】また、高温強度を把握する目的でクリープ
破断試験を行った。クリープ破断試験は650℃、75
0℃で行い、10000時間までの破断試験を行い、そ
の結果より100000時間破断強度を外挿してクリー
プ破断強度を求めた。
【0047】さらに、構造部材として使用する場合に問
題となる特性として、溶接時の高温割れ感受性をバレス
トレイン試験により評価した。ここでは、ノンフィラー
TIGで入熱18kJ/cmの溶接を模擬しながら、試
験片に1.0%の曲げ歪を与え、冷却後に合計割れ長さ
を測定した。これら時効材吸収エネルギー、クリープ破
断強度、バレストレイン割れ長さについても表3および
表4に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】耐高温腐食性については、これらの表から
わかるように、No.1からNo.25の発明鋼はいず
れも、比較鋼No.26として試験した現用の18Cr
−8Ni系ステンレス鋼SUS304H、およびNo.
27として試験したSUS321Hに比べ1/2以下の
腐食減量であり、良好な耐高温腐食性を示すことが確認
された。これは、一定量以上のAlとCr量を含有する
ことにより、酸化被膜の緻密性が増し、かつ酸化被膜が
安定になり、内部保護性が向上するためと考えられる。
これに対し、比較鋼No.28では添加Cr量が十分で
ないことから、大きな腐食減量を示しており、また、比
較鋼No.40は過剰のMnを添加したことから耐高温
腐食性が劣化した。
【0051】耐高温酸化性についても、これらの表から
わかるように、No.1からNo.25の発明鋼はいず
れも、比較鋼No.26として試験した現用の18Cr
−8Ni系ステンレス鋼SUS304H、およびNo.
27として試験したSUS321Hに比べ1/2以下の
酸化減量であり、良好な特性を示した。これに対し、比
較鋼No.28ではAl量の不足により、十分な耐高温
酸化性が得られなかった。
【0052】高温での組織安定性の指標である時効材の
靭性については、No.1からNo.25の発明鋼はい
ずれも、No.27として試験したSUS321Hより
も良好な靭性を示した。これは、本発明鋼ではオーステ
ナイト安定性に配慮した結果、シグマ相等の金属間化合
物等の生成が抑制されたことによると考えられる。これ
に対し、比較鋼No.32はSi量が過剰であるため、
No.39はAl量が過剰であるため、また、比較鋼N
o.43,50はαの値が9以上となっているため、い
ずれも長時間の熱処理によりシグマ相が析出し靭性の劣
化が認められた。比較鋼No.38は炭化物の過剰な析
出による靭性の低下が認められた。
【0053】クリープ破断強度については、No.1か
らNo.25の発明鋼はいずれも、比較鋼No.26と
して試験した現用の18Cr−8Ni系ステンレス鋼S
US304H、およびNo.27として試験したSUS
321Hよりも良好な値が得られた。一方、析出強化元
素の添加量が十分でない比較鋼No.29,30,4
8,49においては、クリープ破断強度が不足した。ま
た、逆にこれらの添加が過剰なNo.35,36,37
においては、破断延性が低下し、N添加が過剰であった
比較鋼No.42、B添加が過剰であった比較鋼No.
47でも破断延性の低下によって結果的にクリープ破断
強度が不足した。また、比較鋼No.33ではCuの添
加が過剰であり、No.46ではY、Laの合計量が過
剰であったことから、著しい破断延性の低下およびクリ
ープ破断強度の不足が生じ、100000時間破断強度
外挿値が求められなかった。
【0054】溶接時の高温割れについては、本発明鋼で
あるNo.1からNo.25については全て高温割れが
認められなかった。しかし、比較鋼No.41,44,
45については大きく高温割れを生じた。これは、比較
鋼No.44,45ではP、Sの値が高かったため耐高
温割れ性が低下し、No.41では比較的高いCr、N
iを含有した成分系のためオーステナイト凝固系とな
り、高温割れ感受性が高まったものとしたものと考えら
れる。
【0055】以上の結果から明らかなように、本発明鋼
によれば、耐高温腐食性および体高温酸化性の向上を図
ることができ、また高温使用時の組織安定性に優れるた
め靭性の劣化がなく、かつクリープ破断強度に優れ、さ
らに高温での溶接性が良好となることが確認された。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、600〜800℃での
耐酸化性ないし耐腐食性、長時間の組織安定性、溶接性
および高温強度に優れた熱交換器用オーステナイト系ス
テンレス鋼が提供される。本発明に係るステンレス鋼
は、従来の汎用性ステンレス鋼である18Cr−8Ni
系ステンレス鋼よりもこれら特性が大幅に優れており、
溶接の際に高温割れ感受性が低いため作業性の良好であ
るという特長を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al無添加の従来のCr−Ni系ステンレス鋼
と、本発明のAl含有Cr−Ni系ステンレス鋼の、C
r当量Ni当量2元系状態図上のシグマ相析出領域の相
違を示した図。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.12%以下、Si:
    1.0%以下、Mn:5.0%以下、P:0.04%以
    下、S:0.03%以下、Cr:14〜22%、Ni:
    10〜25%、Al:1.0〜3.5%、N:0.02
    %以下、Y、La、Ceを合計含有量として0〜0.0
    7%(無添加の場合も含む)を含有し、さらに、Ti:
    0.05〜0.5%、V:0.1〜1.0%、Nb:
    0.1〜1.0%、Zr:0.1〜1.0%、およびC
    u:0.5〜4.0%のうち1種または2種以上を含有
    し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、かつ以下
    の(1)式および(2)式を満たすことを特徴とする耐
    高温腐食性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステン
    レス鋼。 α=(1.5Si+Cr+3Al )−(0.5Mn +Ni+30C +30N )<9 …(1) MCI =C /5 −12×(Zr/91+Nb/93+Ti/48+V /68)≦0 …(2)
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.12%以下、Si:
    1.0%以下、Mn:5.0%以下、P:0.04%以
    下、S:0.03%以下、Cr:14〜22%、Ni:
    10〜25%、Al:1.0〜3.5%、N:0.02
    %以下、Y、La、Ceを合計含有量として0〜0.0
    7%(無添加の場合も含む)、B:0.001〜0.0
    1%を含有し、さらに、Ti:0.05〜0.5%、
    V:0.1〜1.0%、Nb:0.1〜1.0%、Z
    r:0.1〜1.0%、およびCu:0.5〜4.0%
    のうち1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび
    不可避不純物からなり、かつ以下の(1)式および
    (2)式を満たすことを特徴とする耐高温腐食性に優れ
    た熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼。 α=(1.5Si+Cr+3Al )−(0.5Mn +Ni+30C +30N )<9 …(1) MCI =C /5 −12×(Zr/91+Nb/93+Ti/48+V /68)≦0 …(2)
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