JPH09327183A - 振動波駆動装置およびこれを備えた装置 - Google Patents

振動波駆動装置およびこれを備えた装置

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JPH09327183A
JPH09327183A JP8144398A JP14439896A JPH09327183A JP H09327183 A JPH09327183 A JP H09327183A JP 8144398 A JP8144398 A JP 8144398A JP 14439896 A JP14439896 A JP 14439896A JP H09327183 A JPH09327183 A JP H09327183A
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JP
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vibration wave
vibrating body
resin
friction
ceramic
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JP8144398A
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Atsushi Tamai
淳 玉井
Itsuki Fujimoto
一城 藤本
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Canon Inc
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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動波駆動装置の摩擦材として樹脂を用いる
と、摩耗により寿命が短くなり、摩耗粉により回転むら
が生じる。 【解決手段】 振動を発生する振動体1と、この振動体
に接触する接触体2とを相対的に摩擦駆動する振動波駆
動装置において、振動体および接触体のうち一方の摩擦
接触部を繊維含有樹脂1aにより形成し、他方の摩擦接
触部2aをセラミックにより形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気−機械エネル
ギー変換素子等によって振動体に振動を励起し、これに
接触する接触体を摩擦駆動する振動波駆動装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】上記のような振動波駆動装置の振動体お
よび接触体の摩擦接触面には摩擦材が取り付けられ、振
動体に発生した振動が効率よく接触体に伝わるようにな
っている。例えば、特開平5−211785号公報に
は、振動体側の摩擦材および接触体側の摩擦材のうち一
方がポリイミド系樹脂により形成され、他方がアルミナ
により形成された振動波駆動装置が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、樹脂は
摩耗し易く、振動波駆動装置の短寿命化の一因となって
いるという問題がある。また、樹脂の一部がアルミナの
摺動面に付着して振動波駆動装置のスムーズな動作を妨
げ(例えば、回転ムラを生じさせ)て性能を低下させて
しまったりする。
【0004】また、このような樹脂との摺動により相手
方の摩擦材の表面に厚い樹脂の移着膜が形成されると、
この移着膜は相手方摩擦材の摩耗防止膜としての働きを
有するが、移着膜の存在により摩擦材が樹脂同士で摺動
するかたちとなるため、摩擦面同士の摩擦係数が実質的
に小さくなり、大きな駆動力を発生することができなく
なるという弊害を伴う。
【0005】さらに、振動波駆動装置を高湿度下に放置
した上で乾燥させると、振動体側の摩擦材と接触体側の
摩擦材とが固着して振動波駆動装置の起動を妨げるとい
う現象が生ずる場合があるが、上記移着膜が形成される
と、両摺動面のすき間を埋めて広い面積に固着力が作用
することになるため、振動体と接触体の固着が強固にな
るという問題もある。
【0006】そこで、本願発明の第1の目的は、耐久性
が高く、大きな駆動力を発生できるようにした振動波駆
動装置を提供することにある。
【0007】また、本願発明の第2の目的は、摩擦材間
の固着を確実に防止できるようにした振動波駆動装置を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本願第1の発明では、振動を発生する振動体と、こ
の振動体に接触する接触体とを相対的に摩擦駆動する振
動波駆動装置において、振動体および接触体のうち一方
の摩擦接触部を繊維含有樹脂により形成し、他方の摩擦
接触部をセラミックにより形成している。
【0009】すなわち、炭素繊維やチタン酸カリウム繊
維等の繊維強化材を含有して耐摩耗性を向上させた樹脂
を摩擦材として摩擦接触部に接合等することにより、振
動波駆動装置の長寿命化を図るとともに、摩擦係数の増
加による発生駆動力の増大を図っている。しかも、繊維
含有樹脂の摩擦接触の相手方として硬質のセラミックを
用いることにより、移着膜自体の形成を防止して固着現
象を抑制するとともに、摩擦力の低下を防止することが
できるようにしている。
【0010】さらに言えば、繊維含有樹脂との摩擦によ
る摩耗は単に研削作用で生じるだけでなく、化学的作用
すなわち2つの材料間での相互拡散が原因で生じること
もあるので、単に硬いだけでは十分とはいえず、これら
を考慮した材料として、本発明ではセラミックを選定し
ている。
【0011】ここで、固着現象は、ブロックゲージのリ
ンギングや光学平面同士が強い力で密着する現象と同じ
もので、すき間に存在する油や水の表面張力の作用で生
じる。
【0012】振動波駆動装置の場合、摩擦力を発生させ
るために2つの摩擦面間に与えている圧接力のため、樹
脂側の面が硬質な相手材側の面にならい、その2面間の
すき間が非常に狭い範囲の状態になり、そういった部分
の面積を広く形成してしまう。この状態のまま高湿度下
に保持されると、前記の非常に狭いすき間に水分が凝縮
する。水分が凝縮できるすき間の距離は相対湿度によっ
て異なり、湿度が高い程距離も大きくなる。この値は、
例えば相対湿度90%で0.01μm、97%で0.0
36μmである。
【0013】そして、この水分が凝縮した所に密着力
(スティクッションと呼ばれている)が作用する。本出
願人の実験によれば、セラミックと金属との摩擦材の組
み合わせでは、相対湿度が高い程この密着力が強くな
り、片方が樹脂摩擦材の場合は、高湿度下に一度保持し
た上、低湿度下に放置した時に密着力が一層強くなっ
た。これは、次のいずれかの理由により説明できる。第
1に湿度が高い程水分が凝縮する距離は増加するので、
水分が凝縮する投影面積も増加するためと考えられる。
但し、投影面積が増加する程度は表面の粗さの性状によ
って異なる。そして、面積が増加したので密着力も増加
するかといえば、必ずしもそうではない。なぜなら、凝
縮した距離が増加する程、単位面積当りの吸引力(密着
力)が低下するからである。例えば、凝縮距離が2倍に
なったとき、その凝縮している面積が2倍以上になれば
全体の密着力は増加するのである。金属とセラミックの
組み合わせではそうなっていたと思われる。
【0014】また、片方が樹脂の場合は、凝縮距離が2
倍になっても、凝縮する面積は2倍までは増加しないと
考えられる。
【0015】以上から、平衡状態では相対湿度が97%
という高湿度下より、90%程度の方が強い密着力が作
用することもあるかもしれない。あるいは、別の考え方
として後退接触角が著しく小さくなっているのかもしれ
ない。つまり、一度高湿度下で凝縮した水分が低湿度下
に置かれることにより、メニスカスの曲率が極めて小さ
くなっている可能性がある。凝縮している面積がほとん
ど変化しないまま、凝縮水分の内圧が低下していると思
われる。これは平衡状態ではない。初めから同じ低湿度
下に置いた状態とは異なる。
【0016】いずれにしても、本発明によれば、前述し
たように樹脂に比べて著しく硬い繊維状の強化材を含有
した摩擦材とセラミック等の硬質材とを実質的に接触さ
せることができるので、水分が凝縮するような狭いすき
間が広い範囲で形成されることはなくなる。繊維含有樹
脂もセラミックも充分硬質なので「相手の面形状になら
う」というような挙動は示さないからである。
【0017】さらに、移着膜の形成状態は相手材の材質
及び表面粗さやその形状による。例えば、以下の実施形
態でも説明するが、クロムの場合はその表面に移着膜が
厚く形成され易い。この移着膜を採取してその成分を分
析すると、多量のクロムが検出される。つまり、強化材
ないしは樹脂とクロムが化学的に反応していたとみられ
る。このような材料はアルミ、チタン、鉛などが知られ
ているが、これらは表面の不動態皮膜(酸化膜)を一度
むけば、化学的に非常に活性(他元素とすぐ結合しよう
とする)な金属ばかりである。また、表面粗さやその形
状によっては、やすりで軟質な材料をこすったときのよ
うに、やすりの目の目づまり現象と似た現象で移着膜も
形成され易くなる。
【0018】しかし、セラミックは化学的反応性は低い
材料なので、相手材との反応は起こりにくい。また、セ
ラミックは、もともと1500℃以上の高温で焼き固め
て作製されたもので、表層だけでなく内部まで安定な酸
化物、窒化物あるいは炭化物になっている。このため、
通常の金属がその表面のごく薄い層(アルミニウム、チ
タン、ステンレスなどの不動態皮膜の厚さでわずか0.
01μm以下)だけ酸化物になっているのとは異なり、
摩擦による摩耗があったとしても、常に化学的に安定し
た表面になっている。したがって、相手材としてはセラ
ミックが最適である。
【0019】前述したアルミニウムなどの金属は不動態
皮膜の再生が間に合わない程の速い摩耗あるいは瞬間的
に表面が削られるような挙動を示したとき、相手材とす
ぐに反応して焼き付く現象を起こすので、相手材として
は不適である。
【0020】なお、セラミックの中でも、特に耐摩耗性
に優れたアルミナ又はジルコニアを主成分とするものを
用いて、一層耐摩耗性を向上させるのが望ましい。
【0021】樹脂側に含有されている繊維強化材との摩
擦で摩耗しないためには、ビッカース硬さで1500程
度は必要であるが、その上で化学反応性を考慮に入れる
必要がある。炭化ケイ素、窒化ケイ素及びサイアロンの
場合はアルミナに比べて若干摩耗が多い。この理由は、
それらのセラミック中にケイ素が含まれていて、この元
素が空気中の酸素と反応してSiO2 となり、この酸化
ケイ素がビッカース硬さで500程度とセラミック自身
より軟質なため摩耗を生じるからと考えられる。いわゆ
る酸化摩耗である。また、窒化アルミの場合は、窒化ア
ルミが他のセラミックに比べ若干軟質であるため、摩擦
材の周上にキズがつく可能性がある。以上より、アルミ
ナ又はジルコニアを主成分とするセラミックが相手材と
して特に適する。
【0022】また、本願第2の発明では、セラミックの
摩擦接触面の中心線平均粗さを0.5μm以上確保する
ことにより、摩擦材同士の固着を効果的に抑制できるよ
うにしている。
【0023】セラミックのような材料は、延性のある金
属とは異なり、表面をラップ加工等の平滑化加工を施す
に当たり鋭利な凸面が残存しにくく、なめらかな面を得
やすい。硬質な材料の方に他の部分より特に突出した鋭
利な凸部が数ヶ所存在すると、その局部だけ異常に面圧
が高くなり、相手材を削りやすくなる傾向がある。
【0024】単に固着現象を抑制する目的であれば、粗
面にする程度は大きい程良いが、余り表面粗さが大きい
と相手の樹脂摩擦材の摩耗が増加する。このため、本発
明では、セラミックの摩擦表面を適度に粗面にして、前
述した振動体と接触体の固着現象を緩和させる効果を得
ている。
【0025】なお、固着現象抑制のためアルミナの表面
粗度を大きくすることが永続的に効果を発揮するのは、
アルミナの摩耗がほとんど皆無だからである。摩擦駆動
中に摩耗して、表面粗さが変化してしまっては望しくな
い。
【0026】そして、本願第3の発明では、平滑化処理
したセラミックの角部をバフ研磨又は化学研磨によって
丸くすることにより、中心線平均粗さを減少させること
なく樹脂の摩耗を少なくしている。
【0027】具体的には、一旦凹凸をもった面にバフ研
磨又は化学研磨を施すと、図4(b)に示すように、平
面上に球の一部(任意の曲面の一部でも良い)をふせて
多くならべたような表面形状になり、角がとれて、相手
材を摩耗させにくくなる(なお、図4(b)の右図は、
縦軸と横軸の倍率が異なるので、一定の曲率に表示され
ていない)ので、セラミックの凹部に摩耗粉が堆積せ
ず、固着抑制作用も一層効果的になる。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)図1は、本発明の第1実施形態である
リング状振動波モータ(振動波駆動装置)を示してい
る。なお、この振動波モータの駆動原理は、特開昭59
−201685号公報等によりすでに公知であるのでこ
こでは説明を省略する。
【0029】同図において、1は振動体である。この振
動体1は直径30mmのリング状に形成されており、上
面周方向には多数の突起が形成されている。各突起の先
端、すなわち接触部には、摩擦材1aが接合されてい
る。この摩擦材1aは、フッ素樹脂を基材として作られ
ており、直径10μm、長さ0.1mmの炭素繊維が2
0重量パーセント含有されている。
【0030】2は移動体(接触体)であり、この接触体
2の接触部には、後述する摩擦材が接合されている。
【0031】3は振動体1に接合された電気−機械エネ
ルギー変換素子であり、この変換素子3は交番電圧を受
けて振動体1の突起部に進行性振動波を発生させる。そ
の結果、前記の移動体が回転するわけであるが、この動
きは摩擦力を介して生じる相対的なもので、振動体1を
固定すれば移動体2が回転し、反対に移動体2を固定す
れば振動体1が回転する。
【0032】図2は、本実施形態で検討した、移動体2
への接合用摩擦材の一覧である。これらの摩擦材はリン
グ状の薄板として製作された後、移動体2の表面にエポ
キシ系接着剤で貼り付けられる。その後、この摩擦材の
摺動面に相当する面に3μm大のダイヤ砥粒を供給した
ラップ盤により平滑化加工を施す。
【0033】このようにして加工された摩擦材2の摺動
面は、気孔を有するアルミナを除くと、すべて中心線平
均粗さ(Ra)で0.1μm以下になっていた。
【0034】次に、凸部の割合を変えるために、前述し
たような一旦滑らかな表面粗さを有した表面をさらに2
0μm大という大きなダイヤ砥粒を使用して、ラップ盤
により表面加工した。つまり、故意に表面に無数の傷を
つけたということである。これにより、後述するように
中心線平均粗さ(Ra)が0.5μm以上の摩擦材を作
ることができる。なお、本実施形態では、この後さらに
凸部の一部だけを平滑化するため再度3μm大のダイヤ
砥粒でラップ加工したアルミナも試作した。
【0035】ここで、本実施形態でいう凸部の割合につ
いて説明する。通常材料の表面粗さの状態を分析する
と、最も凸部になった所から最も凹んだ所まで、それら
の占める面積がいろいろな割合で分布している。
【0036】例えば砥石や遊離砥粒を使用して仕上げら
れた面は、最も高い所近傍と最も低い所近傍の占める面
積は比較的小さくなっていて、例えば図3(a)に示す
ように、ベアリングレシオと称するグラフで表わせば、
縦軸に凹凸の高さ、横軸に上記面積の累積値をとったと
きにS字形状のグラフで表される。
【0037】先端がある角度をもったバイトで切削され
た面は、図3(b)に示すように、直線形状のグラフで
表される。また、先端が丸形状のバイトで切削された面
は、図3(c)に示すように、下に凸の多次元曲線のグ
ラフで表される。
【0038】また、一旦荒らした面の凸部の一部だけを
平滑化した面は、図3(d)に示すグラフで表される。
なお、図3(a)〜(d)における右側の図では、表面
形状を横方向より縦方向を拡大して示している。
【0039】本実施形態で定義する凸部の割合は、表面
形状で最も高い所(H)から0.1μm低い所までの占
める面積の割合である。0.1μmという数字は前述し
た水分の凝縮を生じる可能性がある距離である。なぜな
ら、この割合が大きい程水分が凝縮する面積が増加し、
移動体2と振動体1の固着力も増加する傾向があるから
である。
【0040】次に、図2を参照して、各摩擦材の評価に
ついて説明する。NO.1のステンレス鋼は、JIS規
格SUS420J2相当であり、焼入焼戻しによりビッ
カース硬さ700に調質されたものである。表面に穴は
ほとんど認められなかったので気孔率は0%としてい
る。表面粗さは最大粗さで0.1μmだったので、前述
した定義より凸部の割合は100%になる。このステン
レス鋼を移動体2に接合した状態で図1の振動波モータ
を100時間駆動した場合のステンレス鋼の摩耗量は、
2.2μmであった。
【0041】また、このステンレス鋼の摩耗粉は赤さび
状であり、走査型電子顕微鏡による観察では、薄片状
で、鉄鋼材料で生じる典型的なフレッチング摩耗粉に似
ている。また、相手材であるフッ素樹脂の摩耗量は30
μmであった。なお、他の材料のときも同じ傾向にある
が、一般にステンレス鋼の摩耗量が多くなる程樹脂側の
摩耗量も多くなった。これは、クロム以外については、
発生した摩耗粉が樹脂側を削って摩耗させるという機構
が支配的だからである。
【0042】なお、ステンレスの場合、発生した赤さび
状摩耗粉はヘマタイト(Fe2 O3)と考えられ、これ
はビッカース硬さで500程度といわれている。つまり
母材のステンレスより軟質な摩耗粉である。発生する摩
耗粉が赤さびではなく黒さびすなわちマグネタイト(F
e3 O4 )であったなら、そのビッカース硬さは150
程度で小さいと考えられているので、相手の樹脂を削る
作用はもう少し小いと思われる。
【0043】次に、NO.1の摩擦材を使用した振動波
モータを100時間駆動させて摺動面同士をなじませた
後、相対湿度95%の環境下で4時間放置し、次いで湿
度を50%に低下させて1日放置した後、移動体2を振
動体1からはがしてみることで、移動体2と振動体1の
固着の程度を調べると、固着程度は「強」という結果が
得られた。これは移動体2側の摺動面に、相手側の炭素
繊維が多数移着していたからと考えられる。
【0044】NO.2のクロムメッキは、NO.3のP
VDクロムと同様な評価が得られた。PVDクロムと
は、膜形成と同時にクロム中に窒素を注入するPVD
(物理蒸着)法によるクロム膜である。
【0045】クロム自身の摩耗量は、ステンレスと比較
するとかなり小さいが、相手材樹脂の摩耗量はステンレ
スの場合と変わらなかった。ここで、クロム側の摩擦面
を観察すると、かなり厚い(1〜2μm)の移着膜がま
だらに形成されていた。この移着膜をはぎ取って走査型
電子顕微鏡に付属したEPMAにより分析したところ、
多量のクロムが検出された。但し、クロムの摩耗粉自体
は確認できなかった。走査電子顕微鏡ではクロム原子レ
ベルの大きさはみえないことから、クロムと相手の炭素
繊維ないし樹脂が化学的に反応を起こし、主に樹脂側を
摩耗させたと考えられる。
【0046】NO.4の熱処理をしていないニッケル−
リンメッキはビッカース硬さで550程度で非晶質の格
子構造である。この材料の摩耗結果は当材料、相手材料
ともステンレスの場合と同程度である。
【0047】NO.5のステンレスの表面に30μm厚
のイオン窒化処理したもの及びNO.6の高速度鋼の場
合は、硬さがステンレス母材より硬いせいか、ステンレ
スの場合より若干摩耗が少ないもののやはり赤さび状の
摩耗粉を発生した。
【0048】NO.7の塩浴中で高速度鋼の表面にバナ
ジウムを拡散させてバナジウム炭化物を10μmの厚さ
で表面に形成させたものや、NO.8の高速度鋼の表面
に窒化チタンを3μm程度物理蒸着させたもの及びN
O.9のチタンカーバイドを3μm程度化学蒸着させた
ものは、その表面硬さが極めて硬いため、それら自身の
摩耗はほとんど認められなかった。しかし、理由は不明
であるが、相手側の樹脂はステンレスの場合の半分位摩
耗していた。
【0049】また、NO.10の超硬やNO.11のT
iCを主成分にしたサーメットの場合も同様の結果であ
った。
【0050】なお、本評価において、ビッカース硬さを
マクロ硬さとしているのは、超硬のように硬質なタング
ステンカーバイドと、やや軟質なコバルトといった相が
混在しているとき、それらの相単体の硬さの影響が出な
い程充分に圧痕を大きくして硬さ試験したという意味で
ある。気孔が内在している場合も同じである。例えば同
じ組成のアルミナの場合でも、気孔率が異なればマクロ
硬さは異なる。
【0051】次に、アルミナの評価について説明する。
まず、No.12の気孔率15%を内在するアルミナで
は、その穴のため中心線平均粗さが若干大きな値にな
る。摩耗の結果はアルミナ自身が0.1μm以下であ
り、摩耗量の測定に使用している表面形状測定機の精度
では読み取り不能な範囲になっていた。また、相手側の
樹脂の摩耗量もステンレス等の時に比べて1/10程度
になっていた。
【0052】但し、固着については凸部の割合が85%
もあるせいか、ステンレスなどの材料と大差なく、相手
の炭素繊維の移着が認められた。
【0053】NO.13の透光性アルミナやNO.14
の単結晶アルミナであるサファイヤについては、摩耗結
果はNO.12のアルミナとほとんど同じ程度で小さか
ったが、表面の平滑化処理が3μm大のダイヤ砥粒によ
るのみで、中心線平均粗さが0.1μm以下と小さくな
っており、固着がNO.12のアルミナと同程度であっ
た。
【0054】No.15の多孔性アルミナについては中
心線平均粗さが0.5μmになり、固着の結果に明らか
に効果が認められた。すなわち移動体2を振動体1から
はがす時軽い力で分離できた上、炭素繊維の移着もごく
わずかであった。
【0055】No.16〜21のアルミナは、無孔性ア
ルミナの表面の平滑化処理を変化させたものである。N
o.16は、3μm大のダイヤ砥粒を使用して、銅製の
ラップ盤で仕上げたものである。No.17〜19は、
上記ラップ仕上げの後10,20又は40μm大のダイ
ヤ砥粒を使用して表面を荒らしたものである。ダイヤ砥
粒が大きいもの程中心線平均粗さは大きくなり、相手材
の摩耗量はやや増加するが、固着に対しては良好な結果
になった。
【0056】No.20,21のアルミナは、No.1
9と同等の平滑化処理を行なった後、3μm大のダイヤ
砥粒を使用してごく短時間ラップ加工し、さらにその後
1μm大のダイヤ砥粒を使用したバフ研磨(No.2
0)又はフッ化アンモニウム液をしみ込ませた布でこす
ることによる化学研磨(No.21)を行ない、所定の
表面形状に仕上げたものである。前者のラップ加工は、
40μm大砥粒で荒らした表面の凸部の頂点付近のみを
平滑化するために行なった処理であり、凸部の形状は図
3(d)に模式的に表示してある。また、後者のバフ仕
上げは、凸部の表面形状を図4(a)に示すように、頂
点付近の角部に丸みを帯びさせるために行われる。そし
て、これらのサンプルによる結果は摩耗も少なく、固着
に対しても良好であった。
【0057】その他、No.22〜28についての各種
セラミックの評価結果は、SiC繊維入りアルミナとア
ルミナ−ジルコニア及びジルコニアを除いて、それ自身
の摩耗が若干認められ、また相手材の摩耗もアルミナに
比べて多くなっていた。
【0058】以上の評価結果によれば、本実施形態のモ
ータの移動体2側の摩擦材としては、金属、炭火物やサ
ーメットに比べてセラミックが好ましく、セラミックの
中でもアルミナやジルコニアを主成分とするものが好ま
しい。しかも、アルミナを主成分とするものの中でもN
o.20,21のバフ研磨又は化学研磨を行なったもの
が最適である。
【0059】なお、本実施形態では、振動体1に炭素繊
維含有フッ素樹脂を接合し、移動体2にセラミック等を
接合した場合について説明したが、移動体2に炭素繊維
含有フッ素樹脂を接合し、振動体1にセラミック等を接
合してもよい。
【0060】(第2実施形態)図5は、本発明の第2実
施形態の振動波モータ(振動波駆動装置)の断面を示し
ている。このモータの振動子(振動体)は、駆動用及び
センサー用圧電素子(電気−機械又は機械−電気エネル
ギー変換素子)3と電極板4とを、上部振動子構成体1
と下部振動子構成体5との間に挟んだ上、ボルト6によ
り締結して構成されている。また、上部振動子構成体1
とボルト6との間には、これらを電気的に絶縁するため
に、絶縁シート7が介装されている。
【0061】振動子の摺動面1bに生じる振動変位の大
きさは、くびれ部1dの太さにより調整される。この摺
動面1bには、移動体(接触体)2の摺動面2bがコイ
ルバネ8の付勢力で圧接される。振動子の摺動面1bに
生じた変位は、摩擦により移動体2に伝えられ、ギヤ9
を介して外部に出力される。
【0062】図6は、本モータの摺動部の拡大図であ
り、上記第1実施形態で説明した摩擦材を組み込んだ部
分を示す。
【0063】上部振動子構成体1には、別部材であるリ
ング形状のアルミナ等の摩擦材1aが接着結合されてい
る。従来は、上部振動子構造体1は快削黄銅を切削加工
した上、全面に厚さ30μm程度のNi−P−SiCメ
ッキを施して、そのメッキそのものを摩擦材としていた
が、本実施形態では、この上部振動子構成体1は亜鉛ダ
イカストで作製した上、耐食性を保持するために厚さ5
μm程度のNi−Pメッキ処理をしてある。
【0064】また、リング状の摩擦材はステンレスの場
合はプレス打抜き加工により製作されるが、アルミナ等
のセラミックの場合は管状の焼成体を製作した後、ダイ
ヤモンド砥粒を含有した切断用砥石で輪切りにして製作
される。そして、この輪切り状態のセラミックを上部振
動子構成体1にエポキシ樹脂により接着した後、その摺
動面に第1実施形態で説明した平滑化加工を施す。
【0065】なお、セラミックの場合、上記方法に代え
て、シート成形法により直接リング状部材を打抜いて作
っても良い。
【0066】一方、移動体2側の摩擦材については、図
6に図示してある通り、移動体2の摺動面に樹脂製の摩
擦材料2aをスプレーによりコーティングする。この樹
脂は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を基材
にして、その強化材としてチタン酸カリウムのウイスカ
ー(直径0.5μm、長さ20μm)を重量で20%含
有させたものである。
【0067】なお、第1実施形態で用いた樹脂製の摩擦
材には、強化材として直径10μm、長さ0.1mm程
度の太くて長い炭素繊維が使えるが、これは振動体の振
幅も大きく、摺動面の幅も広く、その面内で炭素繊維を
均一に分散させることが可能だからである。
【0068】例えば、本実施形態の振動波モータの直径
が10mmである場合には、第1実施形態の振動波モー
タの30mmに比べて小径なので、振動子の摺動部で発
生させる変位が小さくなるように設計するのが普通であ
る。また、摺動面の幅も外径に応じて小さくする。これ
は第1に振動子の歪(無次元)を大きくすると振動子の
内部損失も大きくなる傾向があるため、これを抑える必
要があるからであり、第2に摺動損失(相対的すべりに
よるもの)に影響する摺動面の当たり(接触面圧)を均
一に保つためである。
【0069】以上2つの実施形態で説明した振動波モー
タMは、例えば図7に示すように、カメラのレンズ鏡筒
71内に取り付けられ、ズーミングやAF動作のため
に、ギヤ列72を介してレンズ駆動部材73を光軸方向
に移動させる。なお、第1実施形態のモータは、第2実
施形態のモータに比べて駆動トルクが大きいので、ギヤ
列を介さずにレンズを駆動することもできる。
【0070】(発明と実施の形態との関係)上記実施形
態において、第1実施形態の振動体1および第2実施形
態の上部振動子構成体1が本発明にいう振動体に、移動
体2が本発明にいう接触に、摩擦材1a,2aが本発明
にいうに摩擦接触部にそれぞれ相当する。
【0071】なお、以上が本発明の各構成と実施形態の
各構成との対応関係であるが、本発明はこれら実施形態
の構成に限られるものではなく、請求項に示した機構ま
たは実施形態の構成が持つ機能が達成できる構成であれ
ばどのようなものであってもよい。
【0072】また、本発明は、以上の実施形態および変
形例、またはそれら技術要素を必要に応じて組み合わせ
て用いてもよい。
【0073】さらに、本発明は、一眼レフカメラ、レン
ズシャッタカメラ、ビデオカメラ等、種々の形態のカメ
ラに適用することができ、さらにはカメラ以外の光学機
器やその他の装置、さらにはそれらカメラや光学機器や
その他の装置に適用される装置またはこれらを構成する
要素に対しても適用することができる。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本願第1の発明に
よれば、繊維を含有して耐摩耗性を向上させた樹脂を摩
擦接触部に使用しているので、振動波駆動装置の長寿命
化を図ることができるとともに、摩擦係数の増加による
発生駆動力の増大を図ることができる。しかも、相手方
の摩擦接触部をセラミックにより形成しているので、こ
こに樹脂の移着膜が形成されるのを防止することがで
き、摩擦材同士の固着を抑制するとともに摩擦力の低下
を防止することができる。
【0075】また、本願第2の発明によれば、セラミッ
クの接触面の中心線平均粗さを0.5μm以上確保して
いるので、摩擦材同士の固着を効果的に抑制することが
できる。
【0076】さらに、本願第3の発明によれば、セラミ
ックの鋭利な角部をバフ研磨又は化学研磨により丸くす
ることができるので、中心線平均粗さを減少させること
なく、つまりは固着抑制作用を損なうことなく樹脂側の
摩耗を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるリング型振動波モ
ータの斜視図、部分断面図および動作説明図である。
【図2】上記振動波モータに適用される各種摩擦材の適
否を評価した結果を示す表図である。
【図3】上記摩擦材の表面の粗さ形状とベアリングレシ
オを示すグラフ図である。
【図4】上記摩擦材の表面の粗さ形状とベアリングレシ
オを示すグラフ図である。
【図5】本発明の第2実施形態である棒状振動波モータ
の断面図である。
【図6】上記振動波モータの部分拡大図である。
【図7】上記振動波モータを用いたレンズ鏡筒の断面図
である。
【符号の説明】
1 振動体,上部振動子構成体 1a 振動体側の摩擦材 2 移動体 2a 移動体側の摩擦材 3 機械−電気エネルギー変換素子 4 電極板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動を発生する振動体と、この振動体に
    接触する接触体とを相対的に摩擦駆動する振動波駆動装
    置において、 前記振動体および前記接触体のうち一方の摩擦接触部が
    繊維含有樹脂により形成され、他方の摩擦接触部がセラ
    ミックにより形成されていることを特徴とする振動波駆
    動装置。
  2. 【請求項2】 前記繊維が、炭素又はチタン酸カリウム
    であることを特徴とする請求項1に記載の振動波駆動装
    置。
  3. 【請求項3】 前記セラミックが、アルミナ又はジルコ
    ニアを主成分とすることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の振動波駆動装置。
  4. 【請求項4】 前記セラミックの摩擦接触部の中心線平
    均粗さが、0.5μm以上であることを特徴とする請求
    項1から3のいずれかに記載の振動波駆動装置。
  5. 【請求項5】 前記セラミックの摩擦接触部が、バフ研
    磨又は化学研磨されていることを特徴とする請求項1か
    ら4のいずれかに記載の振動波駆動装置。
  6. 【請求項6】 請求項1から5のいずれかに記載の振動
    波駆動装置を備えたことを特徴とする装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007146883A (ja) * 2005-11-24 2007-06-14 Advics:Kk ディスクブレーキ用の積層シム
JP2012203085A (ja) * 2011-03-24 2012-10-22 Nikon Corp 振動アクチュエータ、レンズ鏡筒及び電子機器
JP2015227491A (ja) * 2014-06-02 2015-12-17 キヤノン株式会社 ステンレス摩擦材とその製造方法、及び振動型アクチュエータ
JP2017055554A (ja) * 2015-09-09 2017-03-16 株式会社ニコン 振動アクチュエータ、レンズユニットおよび撮像装置

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