JPH093727A - 炭窒化ほう素繊維およびその製造方法 - Google Patents

炭窒化ほう素繊維およびその製造方法

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JPH093727A
JPH093727A JP15053095A JP15053095A JPH093727A JP H093727 A JPH093727 A JP H093727A JP 15053095 A JP15053095 A JP 15053095A JP 15053095 A JP15053095 A JP 15053095A JP H093727 A JPH093727 A JP H093727A
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boron
fiber
boron carbonitride
carbonitride
precursor
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JP15053095A
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Tomomi Okano
知水 岡野
Hiroya Yamashita
博也 山下
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Tokuyama Corp
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 三塩化ほう素等の三ハロゲン化ほう素とアセ
トニトリルやベンゾニトリル等のニトリル化合物との付
加物と、塩化アンモニウムあるいは一級アミン塩酸塩と
を、三ハロゲン化ほう素の存在下に125℃前後で加熱
して得られる炭窒化ほう素前駆体をN、N’-ジメチル
ホルムアミド等の該前駆体可溶性溶媒に溶解した後、こ
の溶解液より前駆体繊維を紡糸し、不活性ガス雰囲気
下、引張り応力を印加しながら加熱処理することによ
り、炭素とほう素と窒素が結合した炭窒化ほう素からな
り、そのC面が繊維軸に平行に配向し且つその配向度が
0.70以上であり、引張強度が少なくとも1400M
Paである炭窒化ほう素繊維を得ることができる。 【効果】 本発明の炭窒化ほう素繊維は、配向度が0.
70以上であり、その結果、引張強度が著しく高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭窒化ほう素繊維および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックス材料は、高強度で且つ高温
まで安定であるため、プラスチックや金属材料で代替す
ることができない高温構造材料としての応用が期待され
ている。しかしながら、これらの材料は、優れた熱的、
機械的性質と裏腹に、本質的に脆く割れ易いという性質
を有している。
【0003】セラミックの脆性を克服する手段として、
強化材との複合化による靱性強化が有効である。複合化
を行う強化材としては、球状粒子、板状粒子、ウィスカ
ー、連続繊維などが検討されているが、中でも連続繊維
と複合化することによる靱性強化が効果的で、破壊靱性
をアルミニウム合金と同程度にまで高められることが知
られている。
【0004】複合強化用の連続繊維としては、炭化硅素
繊維やアルミナ繊維に代表されるセラミック繊維がその
候補の一つと見なされている。しかしながら、セラミッ
ク繊維では、その構造は微細な結晶が集合した多結晶体
であるが、高温に曝すと構成する結晶が粗大化し、繊維
の引張強度は著しく低下する。一般に、複合強化用繊維
をセラミックスと複合化する場合には、摂氏千数百度以
上の高温で加熱する必要がある。従って、セラミックス
繊維はセラミックスとの複合化の工程において引張強度
が低下してしまい、靱性強化を果たすことが困難とな
る。
【0005】これに対し、炭窒化ほう素繊維は、炭窒化
ほう素の結合の異方性が著しいために、高温下において
も結晶の粗大化などの構造変化を起こし難く、そのため
高温に曝したことによる繊維の引張強度の低下は少ない
と推定される。このように炭窒化ほう素繊維は優れた耐
熱性を有しているので、強化繊維として極めて有用であ
る。
【0006】また、炭窒化ほう素繊維は、上述の強化繊
維としての優れた特性に加え、炭素繊維に近い高い導電
率から窒化ほう素繊維に近い低い導電率まで幅広く制御
することが可能で、更に、高い熱衝撃抵抗、高い熱伝導
率、層間化合物形成能を有しており、工業的に極めて有
用な材料である。
【0007】炭窒化ほう素繊維を製造する方法として
は、CVD法により鉄系の金属基体上にほう素源ガス、
炭素源ガス及び窒素源ガスを導入、熱分解して炭窒化ほ
う素繊維を気相成長させる方法が知られている(特開平
1−252520)。この方法により長さが数ミクロン
の炭窒化ほう素繊維が得られるが、その形態はウィスカ
ー特有の針状の形状ではなく、無秩序な屈曲が繰り返さ
れた不規則な形態をとっている。また、得られる繊維が
短繊維であるため、上述した連続繊維による複合強化に
用いることはできない。
【0008】連続繊維として炭窒化ほう素繊維を製造す
る方法としては、各種有機高分子繊維を炭素源あるいは
炭素源および窒素源として、これをハロゲン化ほう素と
反応させ、焼成してほう素を導入することにより製造す
る方法が知られている(特開平7−48121)。この
方法では、有機高分子繊維を繊維形状を形成する基体と
なるために、必然的に炭素含有量が約50wt%以上と
比較的高い炭窒化ほう素繊維しか得られないし、窒素含
有量も幅広く制御することは困難である。この炭窒化ほ
う素繊維は上に述べた理由により組成の制御の幅が制限
されるので、その導電率の制御の幅も制限される場合が
ある。又、この方法においては、固気反応により繊維状
に形成した有機高分子繊維とほう素源と反応させるの
で、繊維表面と繊維内部とで、あるいは繊維軸方向にお
いても位置によりほう素濃度に不均一が生じ易い。一
方、基体である有機高分子繊維からは、熱処理により揮
発成分の脱離が生じる。これらの、物質の出入り、およ
びそれらが不均一に起こることにより、繊維に微細な欠
陥やそれを誘起する応力分布が導入され、その結果、得
られる炭窒化ほう素繊維の強度を著しく低下させる場合
がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】これまでの炭窒化ほう
素繊維に対する研究では、繊維状の炭窒化ほう素を得る
ことのみを目的としており、炭窒化ほう素の結晶方位、
およびそれが物性に及ぼす影響については全く考慮され
ていなかった。
【0010】しかし、炭窒化ほう素には、結晶構造的に
強度が非常に弱い方向があるため、この方向が炭窒化ほ
う素繊維の繊維軸に対して一定の割合以上平行に存在し
ている繊維、即ち、従来得られている炭窒化ほう素繊維
では、その強度は充分ではなかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は上記
課題を解決すべく種々の角度から鋭意研究を重ねた。そ
の結果、炭窒化ほう素のC面が繊維軸に平行な方向に優
先的に配向した炭窒化ほう素繊維を見いだし、更に、こ
の炭窒化ほう素繊維の配向度が増すに従い、その引張強
度が飛躍的に向上することを初めて見いだし、ここに本
発明を完成させるに至った。
【0012】すなわち、本発明は、炭素とほう素と窒素
が結合して作られた6員環が該6員環の面方向に連結し
て形成された面(C面)が積層した構造を有する炭窒化
ほう素からなる炭窒化ほう素繊維であって、少なくとも
1400MPaの引張強度を有する炭窒化ほう素繊維で
ある。
【0013】他の発明は、炭素とほう素と窒素が結合し
て作られた6員環が該6員環の面方向に連結して形成さ
れた面(C面)が積層した構造を有する炭窒化ほう素か
らなる炭窒化ほう素繊維であって、該C面の少なくとも
一部は該炭窒化ほう素繊維の繊維軸に実質的に平行に配
向しており、該C面の配向度が少なくとも0.70であ
る炭窒化ほう素繊維である。
【0014】更に他の発明は、(a)三ハロゲン化ほう
素とニトリル化合物との付加物とハロゲン化アンモニウ
ム又は一級アミンハロゲン化水素酸塩とを三ハロゲン化
ほう素の存在下において反応させて炭窒化ほう素前駆体
を生成し、(b)該炭窒化ほう素前駆体を溶媒に溶解し
て炭窒化ほう素前駆体溶液を調製し、(c)該炭窒化ほ
う素前駆体溶液を紡糸して炭窒化ほう素前駆体繊維を形
成し、(d)該炭窒化ほう素前駆体繊維を不活性ガス雰
囲気下で引張り応力を印加しながら1600〜2300
℃において加熱することを特徴とする炭窒化ほう素繊維
の製造方法である。
【0015】更に他の発明は、(a)三ハロゲン化ほう
素とニトリル化合物との付加物とハロゲン化アンモニウ
ム又は一級アミンハロゲン化水素酸塩とを三ハロゲン化
ほう素の存在下において反応させて炭窒化ほう素前駆体
を生成し、(b)該炭窒化ほう素前駆体及びアクリロニ
トリル系重合体を溶媒に溶解して炭窒化ほう素前駆体溶
液を調製し、(c)該炭窒化ほう素前駆体溶液を紡糸し
て炭窒化ほう素前駆体繊維を形成し、(d)該炭窒化ほ
う素前駆体繊維を不活性ガス雰囲気下で引張り応力を印
加しながら1600〜2300℃において加熱すること
を特徴とする炭窒化ほう素繊維の製造方法である。
【0016】以下、上で述べた本発明の炭窒化ほう素繊
維およびその製造方法について詳細に説明する。
【0017】炭窒化ほう素は周期律表第III族のほう
素と周期律表第IV族の炭素と周期律表第V族の窒素が
化学的に結合して生成した物質であって、現在 (1) 炭素、ほう素および窒素が3次元的に結合して
生成した構造、すなわち原子位置を占める元素の種類を
区別しなければダイヤモンド構造と同一の構造を有する
炭窒化ほう素、および(2) 炭素とほう素と窒素が結
合して作られた6員環が6員環の面方向に連結して面
(以下C面という)を形成し、且つ該C面が積層した構
造を有する炭窒化ほう素が知られている。
【0018】本発明に関わる炭窒化ほう素は、後者の炭
素とほう素と窒素が結合して作られた6員環が該6員環
の面方向に縮合、連結して面を形成し、且つこの面が積
層した構造を有する炭窒化ほう素からなるものである。
【0019】本発明の炭窒化ほう素繊維は、例えば窒化
ほう素における六方晶窒化ほう素の構造あるいは炭素に
おける黒鉛の構造のように、C面が面間の規則性を保っ
て積層した構造を有する炭窒化ほう素および/または、
例えば窒化ほう素や炭素における乱層構造(ターボスト
ラティック構造ともいう)のように、C面間の規則性を
欠いた積層構造を有する炭窒化ほう素からなる繊維であ
る。
【0020】該炭窒化ほう素の積層構造は、X線回折に
よるC面からの回折ピークより確認できる。この回折ピ
ークは、X線をCuKα線とした場合2θ=24〜26
°の位置に現れ、回折ピークの位置より計算される積層
したC面の間隔は約3〜4オングストロームである。
【0021】上記炭窒化ほう素は、炭素−炭素、ほう素
−窒素結合の他に、炭素−ほう素、炭素−窒素の結合を
含んでいることにより、炭窒化ほう素と類似した構造を
有するグラファイト構造等をとる炭素、および六方晶等
の構造をとる窒化ほう素あるいはそれらの混合物と区別
される。炭素−ほう素、炭素−窒素の結合の存在は、X
線光電子分光(XPSともいう)またはラマン分光法等
により確認することができる。
【0022】X線光電子分光の場合、炭素に結合したほ
う素のXPSスペクトルは、窒素に結合したほう素のX
PSスペクトルよりも低エネルギー側にシフトする。一
方、炭素に結合した窒素のXPSスペクトルは、ほう素
に結合した窒素のXPSスペクトルよりも高エネルギー
側にシフトする。従って、X線光電子分光法により炭窒
化ほう素中のほう素および窒素のXPSスペクトルを測
定すれば、該炭窒化ほう素における炭素−ほう素結合お
よび炭素−窒素結合を確認することができる。
【0023】また、ラマン分光法によれば、炭素−炭素
結合のみからなるグラファイトおよびほう素−窒素結合
のみからなる六方晶窒化ほう素のラマンスペクトルは各
々1570cm-1、1370cm-1の位置にピークを有
するのに対し、炭素−ほう素結合および炭素−窒素結合
を含む炭窒化ほう素ではそれらの中間の約1430cm
-1を中心とした位置にピークを有するスペクトルが得ら
れる。
【0024】本発明の炭窒化ほう素繊維の組成は特に限
定されないが、好ましくは、ほう素−炭素−窒素の三元
系状態図において、ほう素の組成が1atm%以上で9
0atm%以下の領域と、炭素の組成が2atm%以上
で98atm%以下の領域と、更に、窒素の組成が1a
tm%以上で60atm%以下の領域との積集合に対応
する領域(以下領域Aともいう)に含まれる組成であ
り、より好ましくは、ほう素−炭素−窒素の三元系状態
図において、炭素100atm%の点とほう素80at
m%−窒素20atm%の点を結ぶ直線と、炭素100
atm%の点とほう素20atm%−窒素80atm%
の点を結ぶ直線とで囲まれる領域と、領域Aとの積集合
に対応する領域に含まれる組成であり、更に好ましく
は、ほう素−炭素−窒素の三元系状態図において、炭素
100atm%の点とほう素80atm%−窒素20a
tm%の点を結ぶ直線と、炭素100atm%の点とほ
う素40atm%−窒素60atm%の点を結ぶ直線と
で囲まれる領域と、領域Aとの積集合に対応する領域に
含まれる組成であり、最も好ましくは、ほう素−炭素−
窒素の三元系状態図において、炭素100atm%の点
とほう素60atm%−窒素40atm%の点を結ぶ直
線と、炭素100atm%の点とほう素40atm%−
窒素60atm%の点を結ぶ直線とで囲まれる領域と、
領域Aとの積集合に対応する領域に含まれる組成であ
る。
【0025】炭素含有量の多い炭窒化ほう素繊維は、炭
窒化ほう素前駆体溶液(以下紡糸液ともいう)に加える
アクリロニトリル系重合体の添加量を増やすなど方法に
より製造が可能である。又、炭素含有量の少ない炭窒化
ほう素繊維は、炭窒化ほう素前駆体繊維をアンモニア中
で加熱するなどの方法により製造が可能である。このと
き、アンモニア中での加熱処理の加熱温度等などの条件
により炭素含有量を制御することができる。
【0026】本発明において最も重要な事は、炭窒化ほ
う素のC面が炭窒化ほう素繊維の繊維軸に平行な方向に
優先的に配向していることである。
【0027】本発明者は、炭窒化ほう素のC面が繊維軸
に平行に配向した炭窒化ほう素繊維を初めて見いだし
た。更に、この配向の程度が向上すると、特定の配向度
以上で、得られる炭窒化ほう素繊維の引張強度が飛躍的
に向上することも初めて見いだした。炭窒化ほう素のC
面を繊維軸に平行に配向させることにより引張強度が向
上する理由は、以下のように推定される。炭窒化ほう素
では、グラファイトおよび六方晶窒化ほう素などとの結
晶構造の類似性からの類推により、C面内での結合は、
共有結合性が強く結合が強固であるのに対し、面間の結
合は主にファン・デル・ワールス力による弱い結合であ
ると考えられる。従って、強い結合であるC面内の結合
が繊維軸に平行である割合が増すと、引張強度が増すも
のと推定される。炭窒化ほう素のC面が繊維軸に対して
等方的に分布している場合には、C面に垂直な方向が繊
維軸方向と平行である炭窒化ほう素結晶の存在によって
炭窒化ほう素繊維の引張強度が制限され、高強度化が困
難であるものと推定される。この推定は、炭窒化ほう素
のC面を繊維軸に平行な方向に配向させるほど強度が向
上したことからも支持されるのではないかと考えられ
る。
【0028】炭窒化ほう素繊維に対するこれまでの研究
では、繊維状の炭窒化ほう素を得ることのみを目的とし
ており、炭窒化ほう素の結晶方位、およびそれが物性に
及ぼす影響については全く着目していなかった。
【0029】炭窒化ほう素繊維の繊維軸に対する炭窒化
ほう素のC面の方位分布を表す指標として、C面の配向
度(以下、配向度ともいう)が用いられる。本発明にお
ける炭窒化ほう素繊維は配向度が0.70以上であるこ
とを特徴とする。実際には、本発明者は配向度が0.7
0未満である炭窒化ほう素繊維も見いだし、製造するこ
とも可能である。例えば、配向度が0.70未満である
炭窒化ほう素繊維は、炭窒化ほう素前駆体繊維に引張り
応力を印加することなく加熱することにより製造が可能
である。しかし、種々の配向度を有する炭窒化ほう素繊
維を製造し、配向度に対する炭窒化ほう素繊維の引張強
度を系統的に調べたところ、配向度が0.7未満である
炭窒化ほう素繊維の引張強度は、実質的に配向度に依存
せず、その値も低い。これに対し、配向度が0.7以上
の時、炭窒化ほう素繊維の引張強度は著しい向上を示
す。例えば代表値を示すと、配向度が0.55および
0.66である炭窒化ほう素繊維の引張強度が各々44
0MPa、900MPaであるのに対し、配向度が0.
82の炭窒化ほう素繊維の引張強度は1900MPaで
あった。
【0030】また、配向度が0.7以上の時、炭窒化ほ
う素繊維の引張強度は配向度に比例して向上する。例え
ば代表値を示すと、配向度が0.74のとき引張強度が
1700MPaであるのに対し、配向度を0.82とす
ると引張強度は1900MPaに向上した。更に、配向
度を0.85とすることにより引張強度は2200MP
aに向上した。従って、配向度が0.70以上では、配
向度を向上させることにより引張強度を更に向上させる
ことが可能である。
【0031】本発明の炭窒化ほう素繊維は、引張強度が
少なくとも1400MPa、好ましくは少なくとも17
00MPa、最も好ましくは少なくとも1900MPa
のものである。
【0032】上述の引張強度は、JIS R 7601
(1986)で規定されている「炭素繊維の試験方法」
に準じて測定することができる。
【0033】また、本発明の炭窒化ほう素繊維は、配向
度が少なくとも0.70、好ましくは少なくとも0.7
4、最も好ましくは少なくとも0.82のものである。
【0034】配向化の効果として、引張強度が向上する
ことのほかに、繊維軸方向の熱伝導率が向上することが
挙げられる。炭窒化ほう素に類似した構造を有するグラ
ファイトの場合、その単結晶の炭素6員環の面内方向と
面間方向の熱伝導率を比べると、面内方向の熱伝導率の
方が高い値をとることが知られている。同様に、炭窒化
ほう素に類似した窒化ほう素の場合、化学的気相法によ
り窒化ほう素のほう素−窒素6員環により構成される面
を規則正しく積層させて得られる窒化ほう素の熱伝導率
を測定すると、面内方向の熱伝導率は、面に垂直な方向
の熱伝導率に比べ、百倍近く高い。また、炭素6員環が
繊維軸に平行な方向に優先的に配向した炭素繊維の場合
には、配向度が向上するに伴い、熱伝導率が向上する事
が知られている。これら、炭素繊維を含むグラファイト
および窒化ほう素において、面内方向の熱伝導率が高い
理由は、炭素、ほう素および窒素といった比較的軽い元
素が強固な共有結合により互いに結合しているため、格
子振動による熱の伝播が効率よく行われる事によると考
えられる。この比較的軽い元素が共有結合により強固に
結合している点は、炭窒化ほう素においても同様であ
る。従って、炭窒化ほう素においても、C面の面内方向
の熱伝導率は面間方向の熱伝導率に比べて高いと考えら
れる。その結果、炭素繊維の場合と同様に、炭窒化ほう
素繊維の配向度が向上するにともない、繊維軸方向の熱
伝導率が向上すると考えられる。
【0035】配向化の効果として、引張強度および繊維
軸方向の熱伝導率が向上することのほかに、インターカ
レーションが効率よく行われることが挙げられる。炭窒
化ほう素の層間にリチウムイオン等が挿入され、層間化
合物を形成することが知られている。このため、炭窒化
ほう素はLi二次電池用の負極活物質としての利用が期
待されている。本発明における炭窒化ほう素繊維では、
炭窒化ほう素のC面が繊維軸に平行な方向に優先的に配
向している。すなわちリチウムイオン等が挿入されるべ
き層間が繊維軸方向に平行になっているといえる。従っ
て、繊維軸方向にはインタカレーションが容易に起こ
り、C面の方向が等方的な炭窒化ほう素を用いるより
も、電池の性能を向上させ得ると考えられる。
【0036】上述の配向度はX線回折法により、炭窒化
ほう素のC面からの回折により生じるデバイ環上のX線
強度分布を基に求めることができる。以下、X線回折法
による配向度測定方法を示す。
【0037】回折に供するX線は、ニッケルフィルター
により単色化された銅のKα線(以下、CuKα線と表
記する)を使用し、透過法により回折強度を測定する。
また、X線出力に対して高い効率で回折を得るために、
X線源は点焦点とするのが望ましい。
【0038】炭窒化ほう素繊維の数十ないし数百本の束
を、炭窒化ほう素繊維同士がなるべく平行になるように
して、少量のコロジオン等を用いて固定し、X線回折に
供する試料とする。これを、以下、X線回折用試片とい
う。
【0039】回折強度の測定は、回折像を写真に撮影す
る方法またはX線回折計を用いる方法のいずれを用いて
もよい。
【0040】回折像を写真に撮影する方法により回折強
度を測定する場合には、X線回折用試片の炭窒化ほう素
繊維の繊維軸が入射X線に対して垂直な面内にあり、入
射X線がX線回折用試片の炭窒化ほう素繊維束に照射す
るように、X線回折用試片を固定する。この時、入射X
線に対して直角な面内におけるX線回折用試片の炭窒化
ほう素繊維の繊維軸の方向は、回折像に対する相対的な
方向が特定できるのであれば任意の方向でよい。但し、
ここでは、説明のため繊維軸を鉛直に固定するものとす
る。
【0041】X線回折用試片に対して、入射X線の方向
と反対側に回折像撮影用のX線感光フィルムを設置す
る。X線感光フィルムは入射X線の方向に対して垂直に
なるようにする。X線回折用試片からX線感光フィルム
までの距離(以下、カメラ長ともいう)は、X線回折用
試片の炭窒化ほう素繊維を構成する炭窒化ほう素のC面
からの回折によるデバイ環の全体を撮影できる距離であ
る必要がある。デバイ環のX線感光フィルム上での半径
(D)は式(1)により求められる。
【0042】 D=L×tan(2θ) (1) 但し、Lはカメラ長、2θはX線回折用試片の炭窒化ほ
う素繊維を構成する炭窒化ほう素のC面に対してブラッ
グの回折条件を満たす回折角である。炭窒化ほう素繊維
の場合、入射X線がCuKα線であれば2θは24〜2
6°の範囲にある。従って、入射X線の方向とX線感光
フィルムとの交点を中心に半径Dの円がX線フィルムに
納まるよう、カメラ長Lを設定すればよい。
【0043】回折X線強度は主にX線回折用試験片の炭
窒化ほう素繊維の量、その炭窒化ほう素繊維を構成する
炭窒化ほう素の結晶子径などにより変化するので、最適
な回折像を得るためには、X線の露光時間を調整する必
要がある。露光時間が長すぎると、回折X線強度とX線
感光フィルムの回折X線による黒化度とが比例しなくな
るため、得られる回折X線の強度分布は回折X線強度の
強い部分で実際よりも相対的に弱く現れてしまい、正確
な配向度は得られない。また、露光時間が短すぎると、
X線感光フィルムの回折X線による黒化度のS/N比が
低下するので、得られる配向度の誤差が増大する。露光
時間が適当であるかどうかを確認するには、同一のX線
回折用試片に対して露光時間を変化させて回折像を撮影
し、得られる配向度が変化しないことを確認すればよ
い。
【0044】露光したX線感光フィルムを現像すると、
回折X線が照射した部分が回折X線強度に比例して黒化
する。従って、フィルムの黒化度をマイクロデンシトメ
ーターを用いて定量することにより、回折X線の強度を
求めることができる。炭窒化ほう素のC面が炭窒化ほう
素繊維の繊維軸方向に平行に配向している場合には、X
線感光フィルムに撮影されたデバイ環上において、デバ
イ環の中心(入射X線とX線感光フィルムとの交点)を
通りX線回折用試片の炭窒化ほう素繊維の繊維軸に直角
な方向(以下、赤道線方向ともいう)のフィルムの黒化
度が極大となり、デバイ環の中心を通りX線回折用試片
の炭窒化ほう素の繊維軸に平行な方向(以下、子午線方
向ともいう)のフィルムの黒化度が極小となるような回
折強度分布が生じる。デバイ環上の回折強度測定点の位
置を、デバイ環上の基準点からの中心角φにより定め、
その関数としてデバイ環上での回折X線の強度を求め
る。このとき、デバイ環上でのX線強度は、炭窒化ほう
素繊維のC面からの回折X線の強度とバックグランドの
強度とを加えた強度である。従って、C面からの正味の
回折X線の強度を求めるためには、デバイ環の半径方向
のX線強度変化を測定してデバイ環におけるバックグラ
ンド強度を求め、これをデバイ環におけるX線強度から
差し引けばよい。中心角φの関数としてC面からの回折
X線の強度を求めると、赤道線方向に対応する位置に極
大を有する2つのピークが得られる。それぞれのピーク
について半価幅を単位を度として測定し、その平均
(H)を算出する。得られたHを用いて式(2)により
配向度(π)を算出することができる〔炭素材料学会
編、”炭素繊維の展開と評価方法”118頁(198
9).〕。
【0045】 π=(180−H)/180 (2) 回折強度を測定するためにはX線回折計を用いることも
できる。回折計は公知の物を使用することができるが、
以下、回折計軸が垂直でX線計数管の走査面が水平であ
る型の回折計について説明する。X線回折計を用いる場
合には、X線回折用試片を固定することができ、入射X
線と垂直な面内でX線回折用試片を360度回転させる
事ができる機構を有する繊維試料台を用いる。
【0046】まず、X線回折用試片の炭窒化ほう素繊維
を構成する炭窒化ほう素のC面が、ブラッグの回折条件
を満たす回折角を透過法により求める。繊維試料台にX
線回折用試片を固定し、X線回折試片の炭窒化ほう素繊
維の繊維軸を鉛直に固定する。この状態でX線を入射
し、X線計数管すなわち回折計の2θを走査して回折X
線強度を測定する。炭窒化ほう素のC面による回折は通
常2θが24〜26度で起こるので、この角度域で回折
X線強度が極大を示す角度を求める。この角度をC面の
回折角とする。
【0047】次に、X線計数管をC面の回折角に固定し
て、X線を入射し、繊維試料台に固定したX線回折用試
片を入射X線に垂直な面内で360度回転させ、対応す
る回折X線強度を測定する。いま、X線回折用試片の回
転角をα(但し単位は度)とし、X線回折試片の炭窒化
ほう素繊維の繊維軸が鉛直である状態をαが0度とす
る。X線回折用試片の炭窒化ほう素繊維を構成する炭窒
化ほう素のC面が炭窒化ほう素繊維の繊維軸方向に配向
している場合には、αが0度と180度に回折X線強度
の極大を有するピークが現れる。このとき、回折X線の
強度は、前述の回折像を写真に撮影する方法と同様にバ
ックグランドの強度を差し引いて補正する必要がある。
それぞれのピークについて半価幅を単位を度として測定
し、その平均(H)を用いて(2)式より配向度(π)
を算出することができる。
【0048】本発明の引張強度が大きく、配向度の高い
炭窒化ほう素繊維の製造方法は特に限定されないが、代
表的には以下のようにして製造することができる。
【0049】(a) まず、三ハロゲン化ほう素とニト
リル化合物との付加物とハロゲン化アンモニウム又は一
級アミンハロゲン化水素酸塩とを三ハロゲン化ほう素の
存在下において反応させて炭窒化ほう素前駆体を生成さ
せる。
【0050】三ハロゲン化ほう素としては、三ふっ化ほ
う素、三塩化ほう素、三臭化ほう素、三よう化ほう素等
が挙げられ、特に制限なく用いることができる。
【0051】ニトリル化合物としては、ニトリル基を有
する公知の化合物が特に限定なく使用することができ
る。具体的にはアセトニトリル、プロピオニトリル、カ
プロニトリル、アクリロニトリル、クロトンニトリル、
トルニトリル、ベンゾニトリル、i−ブチロニトリル、
n−ブチロニトリル、イソバレロニトリル、マロノニト
リル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニ
トリル、ピメロニトリル、スベロニトリルなどが挙げら
れる。ニトリル化合物に含まれる炭素数が多くなると、
炭窒化ほう素前駆体に含まれる炭素が増大し、加熱処理
により得られる炭窒化ほう素化繊維に含まれる炭素量を
増大させることができる。
【0052】ハロゲン化アンモニウムとしては、ふっ化
アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、
ヨウ化アンモニウム等を挙げることができる。ハロゲン
化アンモニウムの好ましい例として、塩化アンモニウム
を挙げることができる。
【0053】一級アミンハロゲン化水素酸塩としては、
一級アミンふっ化水素酸塩、一級アミン塩化水素酸塩、
一級アミン臭化水素酸塩、一級アミンよう化水素酸塩等
を挙げることができる。一級アミンハロゲン化水素酸塩
の好ましい例として、一級アミン塩化水素酸塩(以下、
一級アミン塩酸塩ともいう)を挙げることができる。
【0054】一級アミン塩酸塩は、一般式、RNH2
HClで表され、Rがメチル基、エチル基、プロピル基
などのアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基
などのアリール基である化合物が制限なく使用される。
Rの炭素数が多くなると、窒化ほう素前駆体に含まれる
炭素が増大し、加熱処理により得られる炭窒化ほう素繊
維に含まれる炭素量を増大させることができる。
【0055】本発明の窒化ほう素繊維を得るためには、
先ず、該三ハロゲン化ほう素と該ニトリル化合物との付
加物とハロゲン化アンモニウムあるいは一級アミンハロ
ゲン化水素酸塩とを反応させることにより、窒化ほう素
前駆体を合成する。
【0056】該三ハロゲン化ほう素と該ニトリル化合物
との付加物とは、ニトリル基の窒素原子の非結合電子対
にハロゲン化ほう素が付加結合した生成物であり、三ハ
ロゲン化ほう素とニトリル化合物とは容易に反応して付
加物を生成する。該付加物を生成させる方法は、特に限
定されない。例えば、室温において有機溶媒にニトリル
化合物を溶解した溶液に三ハロゲン化ほう素を滴下する
方法、有機溶媒にニトリル化合物を溶解し、次いで三ハ
ロゲン化ほう素を吹き込む方法、または有機溶媒に三ハ
ロゲン化ほう素を溶解し、次いでニトリル化合物を滴下
する方法などにより付加物を生成させることができる。
三ハロゲン化ほう素とニトリル化合物とは容易に反応し
て付加物を生成するので反応直前に両者を接触させても
良い。
【0057】上記付加物とハロゲン化アンモニウムまた
は一級アミンハロゲン化水素酸塩との反応時には三ハロ
ゲン化ほう素を存在させることが必須である。反応時に
三ハロゲン化ほう素が存在しない場合は本発明の窒化ほ
う素前駆体の収率が低く、後述する紡糸時の紡糸用溶
媒、例えばN、N-ジメチルホルムアミド(以下DMF
ともいう)に不溶の反応副生成物が生成してくる。
【0058】該三ハロゲン化ほう素は、少なくとも三ハ
ロゲン化ほう素とニトリル化合物の付加物とハロゲン化
アンモニウムまたは一級アミンハロゲン化水素酸塩との
反応時に存在すれば良い。例えば、ニトリル化合物と三
ハロゲン化ほう素との付加物を生成させる際に三ハロゲ
ン化ほう素を過剰に用いて、未反応の三ハロゲン化ほう
素を付加物中に予め共存させておいても良い。三ハロゲ
ン化ほう素のニトリル化合物に対する添加量は、モル比
(三ハロゲン化ほう素/ニトリル化合物)で1.05〜
2.00の範囲より任意に選ぶことができる。しかし、
三ハロゲン化ほう素の添加量が少ないとDMF不溶成分
が生成し、また三ハロゲン化ほう素添加量が多いと反応
に寄与しない三ハロゲン化ほう素が増大するので、より
好ましいニトリル化合物に対する三ハロゲン化ほう素の
添加モル比は1.1〜1.5である。このとき三ハロゲ
ン化ほう素とニトリル化合物は1対1の付加物を生成す
るので、反応時存在する三ハロゲン化ほう素の量は、付
加物に対してモル比(三ハロゲン化ほう素/付加物)で
0.1〜0.5の範囲となる。
【0059】また、反応溶媒に対するニトリル化合物の
濃度は特に限定されないが、0.1〜10mol/lの
範囲であることが好ましい。ニトリル化合物の濃度が
0.1mol/lよりも少ないと、得られる窒化ほう素
前駆体の量が少なく、効率的でないので好ましくない。
また、ニトリル化合物の濃度が10mol/lを越える
と、溶媒に対して固体として生成する付加物の量が多く
なりすぎ、付加物の生成が不均一になるので好ましくな
い。
【0060】ハロゲン化アンモニウムまたは一級アミン
ハロゲン化水素酸塩の添加量は、ニトリル化合物に対す
るモル比(ハロゲン化アンモニウムまたは一級アミンハ
ロゲン化水素酸塩/ニトリル化合物)で、0.67〜
1.5の範囲より選ぶことが好ましい。ハロゲン化アン
モニウムまたは一級アミンハロゲン化水素酸塩が多いと
DMFに不溶の成分が生成し、ニトリル化合物の方が多
いと未反応付加物の量が増大する傾向にあるので、より
好ましくは0.83〜1.2の範囲より選べば良い。
【0061】本発明の炭窒化ほう素前駆体を合成するた
めに用いる溶媒は特に限定されないが、反応生成物であ
る炭窒化ほう素前駆体を分離する際、反応副生成物であ
るボラジン化合物を溶解して除去し易いことが好まし
い。このような観点から、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、クロロベンゼン等の有機溶媒が好ましく選択され
る。
【0062】付加物とハロゲン化アンモニウムまたは一
級アミンハロゲン化水素酸塩を反応させるための加熱温
度は、一般に低温では反応に長時間を要し、高温ではD
MFに不溶な成分が増大し反応収率が低下する。従っ
て、加熱温度は100℃〜160℃の範囲より選べばよ
い。又、加熱時間は温度により異なるが3〜30時間の
範囲より選べばよい。
【0063】上記加熱処理を行うことにより、窒化ほう
素前駆体が橙色ないし褐色の沈澱として生成する。
【0064】窒化ほう素前駆体を得るための反応装置と
しては、公知の装置が特に制限なく用いられる。しかし
ながら、三ハロゲン化ほう素とニトリル化合物の付加
物、窒化ほう素前駆体ともに加水分解するため、反応系
内は予め窒素ガスなどにより十分に乾燥しておくととも
に、反応中も反応系外より空気中の水分が侵入しないよ
う装置開放部には塩化カルシウムなどの吸湿剤を配する
必要がある。
【0065】(b) 工程(a)で生成させた炭窒化ほ
う素前駆体を溶媒に溶解して炭窒化ほう素前駆体溶液を
調製する。
【0066】この炭窒化ほう素前駆体溶液は、次の工程
(c)において紡糸液として用いることができるもので
ある。
【0067】この炭窒化ほう素前駆体より炭窒化ほう素
前駆体繊維を作製する方法は、公知の方法を特に制限な
く用いることができる。例えば、炭窒化ほう素前駆体の
溶液より前駆体繊維を紡糸する場合には、該炭窒化ほう
素前駆体を可溶性溶媒に溶解することにより、紡糸液を
作製する。前駆体可溶性溶媒としては例えばDMF、ε
−カプロラクタム、クロロニトリル、マロニトリル、N
−メチル−β−シアノエチルフォルムアミド、N,N−
ジエチルホルムアミド等をあげることができる。炭窒化
ほう素前駆体を該可溶性溶媒に溶解することにより、橙
色ないしは褐色で透明な紡糸液が得られる。
【0068】この紡糸液の粘度は所望により、例えばア
クリロニトリル系重合体を添加することによって調製す
ることができる。上記炭窒化ほう素前駆体の分子量が比
較的小さいときは、分子量が比較的大きいアクリロニト
リル系重合体を炭窒化ほう素前駆体とともに用いること
によって紡糸液の粘度を高くし、紡糸液の曳糸性を改善
することができる。
【0069】本発明に用いるアクリロニトリル系重合体
は、紡糸液を構成する可溶性溶剤に溶解し、且つ紡糸液
中で当該炭窒化ほう素前駆体と相分離を生じなければ、
特に制限なく使用することができる。好ましくはアクリ
ロニトリルの重合体、或いは酢酸ビニル、アクリルアミ
ド、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル
酸、アクリル酸エステルなどビニル基を有するアクリロ
ニトリル以外の重合性単量体(以下単にビニル単量体と
いう)とアクリロニトリルとの共重合体が使用される。
アクリロニトリルとビニル単量体との共重合体を使用す
る場合には、共重合体を構成するビニル単量体の量が増
大すると、紡糸液中で当該炭窒化ほう素前駆体と相分離
を生ずる傾向があるので、共重合体を構成するアクリロ
ニトリルの組成が全重合性単量体を基準とした組成で8
5モル%以上であることが好ましい。
【0070】本発明で用いるアクリロニトリル系重合体
の重量平均分子量は、特に限定されないが、1万〜20
0万の範囲であることが好ましい。
【0071】紡糸液に加えるアクリロニトリル系重合体
の量は、特に限定されないが、前述の炭素含有量の多い
炭窒化ほう素繊維を製造することを目的とするのではな
く、紡糸液の曳糸性の改善を目的とするのであれば、炭
窒化ほう素前駆体100重量部に対して0.01〜5重
量部であればよい。
【0072】(c) 工程(b)で調製した炭窒化ほう
素前駆体溶液を紡糸して炭窒化ほう素前駆体繊維を形成
する。
【0073】紡糸液の好ましい濃度範囲は、紡糸方法に
もよるが、0.01〜3.0g/mlであり、そのとき
の粘性率は10〜100000ポアズである。得られる
紡糸液より炭窒化ほう素前駆体繊維を紡糸する方法は、
広く公知の方法を用いることがでる。例えば、紡糸液を
入れた小孔を有する容器を回転させることにより、遠心
力を利用して紡糸液を吐出させる方法、小孔よりガス圧
により紡糸液を吐出させる方法、小孔よりギヤーポンプ
を用いて紡糸液を吐出させる方法などを用いて炭窒化ほ
う素前駆体繊維を紡糸することができる。
【0074】紡糸温度は使用する溶媒によって異なり得
るが、例えば、−60〜200℃、好ましくは−10〜
180℃、より好ましくは0〜160℃である。
【0075】配向度が0.70以上の単窒化ほう素繊維
を得る方法の一つとして、炭窒化ほう素前駆体繊維に応
力を印加しながら加熱する方法が挙げられる。
【0076】(d) 工程(c)で得られた炭窒化ほう
素前駆体繊維を不活性ガス雰囲気下で引張り応力を印加
しながら1600〜2300℃において加熱することに
よって本発明の炭窒化ほう素繊維が得られる。
【0077】すなわち、配向度が0.70以上の炭窒化
ほう素繊維は、炭窒化ほう素前駆体繊維を不活性ガス雰
囲気下、繊維に引張り応力を印加しながら1600〜2
300℃、好ましくは1650〜2250℃、より好ま
しくは1700〜2200℃で加熱処理することによっ
て得ることができる。
【0078】不活性ガス雰囲気下での加熱処理における
雰囲気ガスには、窒素、アルゴン、ヘリウム等を用いる
ことができる。
【0079】不活性ガス雰囲気下での炭窒化ほう素前駆
体繊維の加熱処理を行う加熱装置は、チャンバーあるい
は炉心管などにより雰囲気を制御することができる構造
ものであれば良く、電気炉、ガス炉など公知の加熱装置
のが特に制限なく用いられる。 加熱処理方法として
は、一度に一定量の炭窒化ほう素前駆体繊維を加熱処理
するバッチ式加熱処理、および連続した炭窒化ほう素前
駆体繊維を予め加熱処理温度に加熱した加熱装置に順次
送り込んで加熱処理し、加熱処理した繊維を巻き取って
回収する連続式加熱処理があり、本発明においてはいず
れの加熱処理方法を用いてもよい。不活性ガス雰囲気下
でバッチ式加熱処理を行う場合には、加熱処理温度に予
め昇温された加熱処理装置に炭窒化ほう素前駆体繊維を
導入して加熱処理を行うか、加熱処理装置に炭窒化ほう
素前駆体繊維を配置した後に昇温して加熱処理温度に到
達させて加熱処理を行うことができる。
【0080】いずれのか熱処理方法においても、炭窒化
ほう素前駆体繊維が急激に加熱されると、炭窒化ほう素
前駆体から紡糸液を作製する際の溶媒であるDMFが急
激に蒸発したり、熱分解生成物の脱離が急激に起こり、
得られる炭窒化ほう素繊維にボイド、亀裂などの欠陥が
生じ強度の低下を招くことがある。従って、炭窒化ほう
素前駆体繊維が加熱処理温度に到達するまでの昇温速度
を100℃/min以下として加熱処理を行うことが好
ましい。加熱処理温度における保持時間は、炭窒化ほう
素前駆体繊維の量や加熱処理温度にも依るが、0〜10
時間の範囲より任意に選ぶことができる。保持時間が0
時間とは、炭窒化ほう素前駆体繊維が加熱処理温度に達
した直後に、加熱装置を降温するか、炭窒化ほう素前駆
体繊維を加熱装置から取り出すなどして加熱処理を終了
することを示す。
【0081】不活性ガス雰囲気下での加熱処理における
加熱処理雰囲気は、加熱処理温度に到達するまでの昇温
過程、加熱処理温度における保持過程、加熱処理終了ま
での降温過程の何れの過程においても、即ち、炭窒化ほ
う素前駆体繊維が不活性ガス雰囲気での加熱装置のチャ
ンバー、炉心管などの中にあるうちは、不活性ガス雰囲
気とするのが好ましい。不活性ガス雰囲気とするために
は、不活性ガスで置換した加熱装置のチャンバー、炉心
管などを密閉するか、あるいは加熱装置のチャンバー、
炉心管などに不活性ガスを流通させればよい。
【0082】加熱処理における加熱処理温度は1600
〜2300℃の範囲より任意に選ぶことができる。加熱
処理温度が1600℃よりも低いと引張応力を印加して
も結晶配向化が十分に進行せず、配向度は0.7に達し
ない場合がある。また、2300℃以上では炭窒化ほう
素の分解反応が始まるので、2300℃以上で加熱処理
を行うのは好ましくない。
【0083】加熱処理において、炭窒化ほう素前駆体繊
維に引張応力を印加する方法は、特に限定されないが、
例えば、加熱処理をバッチ式で行う場合には、炭窒化ほ
う素前駆体繊維を鉛直方向に吊し、その下端に重りを付
加することにより引張応力を印加することができる。ま
た、炭窒化ほう素前駆体繊維は引張応力を印加しない状
態で不活性ガス雰囲気下、1600〜2300℃に加熱
処理すると、加熱処理温度に依存して繊維軸方向に収縮
する。従って、炭窒化ほう素前駆体繊維に、炭窒化ほう
素前駆体繊維および加熱処理により生成する炭窒化ほう
素繊維と反応しない炭窒化ほう素などの材質で作製され
た型枠を付し、そのまま不活性ガス雰囲気下、1600
〜2300℃に加熱処理すれば炭窒化ほう素前駆体繊維
の加熱処理による熱収縮が型枠により妨げられ、結果的
に炭窒化ほう素前駆体繊維に引張応力を印加しながら加
熱処理を行うことができる。又、加熱処理を連続式で行
う場合には、炭窒化ほう素前駆体繊維の加熱処理装置へ
の供給速度と、加熱処理を終えた繊維の巻き取り速度を
制御することにより、炭窒化ほう素前駆体繊維の加熱処
理における熱収縮を制御することができ、その結果、引
張応力を印加しながら加熱処理を行うことが出来る。
【0084】加熱処理において炭窒化ほう素前駆体繊維
に印加する引張応力は、加熱処理の加熱処理温度、加熱
処理時間により異なるが、重りを吊すなどして応力を印
加する場合には0.1〜1000MPaの範囲で任意に
選ぶことが出来る。印加する応力が0.1MPaより小
さいと結晶配向化が不十分で配向度が0.7に達しない
場合がある。また、印加する応力が1000MPaより
も大きいと未配向化繊維が破断する場合がある。一方、
炭窒化ほう素前駆体繊維の加熱処理による収縮を制限し
て炭窒化ほう素前駆体繊維に引張応力を印加する場合、
または連続式処理で加熱処理装置への炭窒化ほう素前駆
体繊維を供給する速度と加熱処理を終えた繊維を巻き取
る速度とを制御して加熱処理による熱収縮を制限して炭
窒化ほう素前駆体繊維に引張応力を印加する場合には、
延伸率が4〜32%の範囲より選べばよい。ただし、延
伸率(E)は式(3)により定義する。
【0085】 E=100×(Ls−Lf)/Lf (3) Lfは単位長さの炭窒化ほう素繊維の熱収縮を制限する
こと無く、すなわち炭窒化ほう素繊維に引張応力を印加
すること無く熱処理温度(T℃)に加熱処理した時の繊
維試料長を表し、Lsは単位長さの炭窒化ほう素繊維を
熱収縮を制限して熱処理温度(T℃)に加熱処理したと
きの繊維試料長を表す。
【0086】延伸率が4%よりも小さいと、炭窒化ほう
素前駆体繊維に印加される引張応力が不十分で、結晶配
向化度が0.70に達しない場合がある。また、延伸率
が32%よりも大きいと、加熱処理の過程で炭窒化ほう
素前駆体繊維が破断する場合がある。
【0087】
【発明の効果】本発明により、炭窒化ほう素を主成分と
して成り、そのC面が繊維軸に平行に配向し且つその配
向度が0.70以上である炭窒化ほう素繊維を製造する
ことができる。その結果、引張強度が著しく向上した炭
窒化ほう素繊維を製造することができる。これにより、
炭窒化ほう素固有の耐熱性のほかに、高い強度をも兼ね
備えた炭窒化ほう素繊維を製造することが可能となっ
た。従って、本発明の炭窒化ほう素繊維はセラミックス
材料などの靱性を向上させるための優れた複合強化用繊
維としての応用が可能となった。
【0088】
【実施例】以下実施例を用いて本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに何等限定されるものではない。
【0089】実施例1 容量1リットルの三口フラスコの中管にスターラー、側
管の一つに三塩化ほう素が入ったボンベを連結したデュ
ワー型コールドフィンガー、残りの側管に玉入冷却管を
それぞれ取り付けた。玉入冷却管にはデュワー型コール
ドフィンガーを取り付け、コールドフィンガーの出口に
塩化カルシウム管を取り付けた。この装置に乾燥窒素を
毎分200mlで4時間流通して装置内を乾燥した後、
無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥したクロロベンゼン30
0ml及びアセトニトリル16.4gを加えた。2つの
コールドフィンガーにドライアイス−アセトンを満た
し、スターラーで攪はんしながら、三口フラスコに直接
取り付けたコールドフィンガーより三塩化ほう素60g
を2時間かけて凝縮、滴下した。これにより、白色の三
塩化ほう素−アセトニトリル付加物が生成した。三塩化
ほう素を滴下し終えた後、三口フラスコに直接取り付け
たコールドフィンガーを取外し、110℃で一晩乾燥
した塩化アンモニウム21.5gを加えた。この懸濁液
を125℃に8時間加熱すると、塩化水素の発生がほと
んどなくなり、褐色沈澱が生成した。生成した沈澱を濾
別し、クロロベンゼン100mlで洗浄し、減圧乾燥し
て炭窒化ほう素前駆体24g(収率83%)を得た。
【0090】この炭窒化ほう素前駆体10gをDMF2
00mlに溶解した後、DMF100mlを蒸発除去す
ることにより均一な粘性の溶液を得た。この溶液を25
℃で直径60μmの孔を有する紡糸ノズルより15kg
/cm2の背圧を印加して乾燥空気中に吐出させ、巻き
取ることにより、直径約20μmの連続した炭窒化ほう
素前駆体繊維を紡糸した。このとき、紡糸液の粘度は
2.9×104ポアズであり、紡糸速度は毎分1.8m
であった。
【0091】紡糸した炭窒化ほう素前駆体繊維を、周囲
192mmのループ状に巻取り、ループ形状を保ったま
ま、周囲135mmの窒化ほう素製型枠に掛け、そのま
ま窒素気流中で加熱処理を行った。加熱処理は、400
℃までは昇温速度1℃/min、400℃から1600
℃までは昇温速度2℃/min、1600℃から180
0℃までは昇温速度10℃/minで昇温し、1800
℃で30分間保持し、冷却速度5℃/minで500℃
まで冷却し、その後室温まで放冷して行った。処理後、
炭窒化ほう素繊維は破断したり、解ける事なく型枠に巻
き付いた状態を保っていた。この時の延伸率は6.3%
であった。
【0092】粉末X線回折及びほう素、窒素のXPSス
ペクトルより、得られた炭窒化ほう素繊維は、C面が積
層した構造を有しており、その構造にはほう素−炭素結
合および窒素−炭素結合が存在することが確認された。
この炭窒化ほう素繊維について元素分析を行った結果、
組成は、ほう素44atm%、炭素16atm%、窒素
40atm%であった。
【0093】この炭窒化ほう素繊維の配向度は0.7
2、引張強度は1400MPaであった。
【0094】実施例2 実施例1と同様にして作製した炭窒化ほう素前駆体繊維
を、周囲192mmのループ状に巻取り、ループ形状を
保ったまま、周囲131mmの窒化ほう素製型枠に掛
け、そのまま窒素気流中で加熱処理を行った。加熱処理
は、400℃までは昇温速度1℃/min、400℃か
ら1600℃までは昇温速度2℃/min、1600℃
から2000℃までは昇温速度10℃/minで昇温
し、2000℃で30分間保持し、冷却速度5℃/mi
nで500℃まで冷却し、その後室温まで放冷して行っ
た。処理後、炭窒化ほう素繊維は破断したり、解ける事
なく型枠に巻き付いた状態を保っていた。この時の延伸
率は6.5%であった。
【0095】粉末X線回折及びほう素、窒素のXPSス
ペクトルより、得られた炭窒化ほう素繊維は、C面が積
層した構造を有しており、その構造にはほう素−炭素結
合および窒素−炭素結合が存在することが確認された。
【0096】この炭窒化ほう素繊維の配向度は0.7
4、引張強度は1700MPaであった。
【0097】実施例3 実施例1と同様にして作製した炭窒化ほう素前駆体繊維
を、周囲192mmのループ状に巻取り、ループ形状を
保ったまま、周囲139mmの窒化ほう素製型枠に掛
け、そのまま窒素気流中で加熱処理を行った。加熱処理
は、400℃までは昇温速度1℃/min、400℃か
ら1600℃までは昇温速度2℃/min、1600℃
から2000℃までは昇温速度10℃/minで昇温
し、2000℃で30分間保持し、冷却速度5℃/mi
nで500℃まで冷却し、その後室温まで放冷して行っ
た。処理後、炭窒化ほう素繊維は破断したり、解ける事
なく型枠に巻き付いた状態を保っていた。この時の延伸
率は13.0%であった。
【0098】粉末X線回折及びほう素、窒素のXPSス
ペクトルより、得られた炭窒化ほう素繊維は、C面が積
層した構造を有しており、その構造にはほう素−炭素結
合および窒素−炭素結合が存在することが確認された。
【0099】この炭窒化ほう素繊維の配向度は0.8
2、引張強度は1900MPaであった。
【0100】実施例4 実施例1と同様にして作製した炭窒化ほう素前駆体繊維
を、周囲192mmのループ状に巻取り、ループ形状を
保ったまま、周囲143mmの窒化ほう素製型枠に掛
け、そのまま窒素気流中で加熱処理を行った。加熱処理
は、400℃までは昇温速度1℃/min、400℃か
ら1600℃までは昇温速度2℃/min、1600℃
から2000℃までは昇温速度10℃/minで昇温
し、2000℃で30分間保持し、冷却速度5℃/mi
nで500℃まで冷却し、その後室温まで放冷して行っ
た。処理後、炭窒化ほう素繊維は破断したり、解ける事
なく型枠に巻き付いた状態を保っていた。この時の延伸
率は16.3%であった。
【0101】粉末X線回折及びほう素、窒素のXPSス
ペクトルより、得られた炭窒化ほう素繊維は、C面が積
層した構造を有しており、その構造にはほう素−炭素結
合および窒素−炭素結合が存在することが確認された。
【0102】この炭窒化ほう素繊維の配向度は0.8
5、引張強度は2200MPaであった。
【0103】比較例1 実施例1と同様にして作製した炭窒化ほう素前駆体繊維
を、繊維に引張応力を印加することなく、窒素気流中で
加熱処理を行った。加熱処理は、400℃までは昇温速
度1℃/min、400℃から1600℃までは昇温速
度2℃/min、1600℃から1800℃までは昇温
速度10℃/minで昇温し、1800℃で30分間保
持し、冷却速度5℃/minで500℃まで冷却し、そ
の後室温まで放冷して行った。
【0104】粉末X線回折及びほう素、窒素のXPSス
ペクトルより、得られた炭窒化ほう素繊維は、C面が積
層した構造を有しており、その構造にはほう素−炭素結
合および窒素−炭素結合が存在することが確認された。
【0105】この炭窒化ほう素繊維の配向度は0.5
5、引張強度は800MPaであった。
【0106】比較例2 実施例1と同様にして作製した炭窒化ほう素前駆体繊維
を、繊維に引張応力を印加することく、窒素気流中で
加熱処理を行った。加熱処理は、400℃までは昇温速
度1℃/min、400℃から1600℃までは昇温速
度2℃/min、1600℃から2000℃までは昇温
速度10℃/minで昇温し、2000℃で30分間保
持し、冷却速度5℃/minで500℃まで冷却し、そ
の後室温まで放冷して行った。
【0107】粉末X線回折及びほう素、窒素のXPSス
ペクトルより、得られた炭窒化ほう素繊維は、C面が積
層した構造を有しており、その構造にはほう素−炭素結
合および窒素−炭素結合が存在することが確認された。
【0108】この炭窒化ほう素繊維の配向度は0.6
6、引張強度は900MPaであった。
【0109】実施例5 容量1リットルの三口フラスコの中管にスターラー、側
管の一つに三臭化ほう素128gを入れた滴下ロート、
残りの側管に玉入冷却管を取り付けた。玉入冷却管の出
口に塩化カルシウム管を取り付けた。この装置に乾燥窒
素を毎分200mlで4時間流通して装置内を乾燥した
後、無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥したクロロベンゼン
300ml及びアセトニトリル16.4gを加えた。ス
ターラーで攪はんしながら、滴下ロートより三臭化ほう
素を2時間かけて滴下した。これにより、白色の三臭化
ほう素−アセトニトリル付加物が生成した。三臭化ほう
素を滴下し終えた後、三口フラスコに取り付けた滴下ロ
ートを取り外し、110℃で一晩乾燥した塩化アンモニ
ウム21.5gを加えた。この懸濁液を125℃に8時
間加熱した後、濾別、クロロベンゼン100mlによる
洗浄、減圧乾燥を行って褐色沈澱48g(収率80%)
を得た。
【0110】この炭窒化ほう素前駆体15gをDF2
00mlに溶解した後、DMF100mlを蒸発除去す
ることにより均一な粘性の溶液を得た。この溶液を25
℃で直径60μmの孔を有する紡糸ノズルより15kg
/cm2の背圧を印加して乾燥空気中に吐出させ、巻取
ることにより、直径約20μmの連続した炭窒化ほう素
前駆体繊維を紡糸した。このとき、紡糸液の粘度は2.
9×104ポアズであり、紡糸速度は毎分1.9mであ
った。
【0111】紡糸した炭窒化ほう素前駆体繊維を、実施
例3と同様に加熱処理を行った。この時の延伸率は1
2.8%であった。
【0112】粉末X線回折及びほう素、窒素のXPSス
ペクトルより、得られた炭窒化ほう素繊維は、C面が積
層した構造を有しており、その構造にはほう素−炭素結
合および窒素−炭素結合が存在することが確認された。
【0113】この炭窒化ほう素繊維の配向度は0.8
3、引張強度は2000MPaであった。
【0114】実施例6 容量1リットルの三口フラスコの中管にスターラー、側
管の一つにアセトニトリル16.4gを入れた滴下ロー
ト、残りの側管に玉入冷却管を取り付けた。玉入冷却管
の出口に塩化カルシウム管を取り付けた。この装置に乾
燥窒素を毎分200mlで4時間流通して装置内を乾燥
した後、無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥したクロロベン
ゼン300ml及び三よう化ほう素200gを加えた。
スターラーで攪はんしながら、滴下ロートよりアセトニ
トリルを2時間かけて滴下した。これにより、白色の三
よう化ほう素−アセトニトリル付加物が生成した。三よ
う化ほう素を滴下し終えた後、三口フラスコに直接取り
付けたコールドフィンガーを取り外し、110℃で一晩
乾燥した塩化アンモニウム21.5gを加えた。この懸
濁液を125℃に8時間加熱した後、濾別、クロロベン
ゼン100mlによる洗浄、減圧乾燥を行って褐色沈澱
65g(収率79%)を得た。
【0115】この炭窒化ほう素前駆体20gをDMF2
00mlに溶解した後、DMF100mlを蒸発除去す
ることにより均一な粘性の溶液を得。この溶液を25
℃で直径60μmの孔を有する紡糸ノズルより15kg
/cm2の背圧を印加して乾燥空気中に吐出させ、巻取
ることにより、直径約20μmの連続た炭窒化ほう素
前駆体繊維を紡糸した。このとき、紡糸液の粘度は2.
8×104ポアズであり、紡糸速度は毎分1.9mであ
った。
【0116】紡糸した炭窒化ほう素前駆体繊維を、実施
例3と同様に加熱処理を行った。この時の延伸率は1
3.1%であった。
【0117】粉末X線回折及びほう素、窒素のXPSス
ペクトルより、得られた炭窒化ほう素繊維は、C面が積
層した構造を有しており、その構造にはほう素−炭素結
合および窒素−炭素結合が存在することが確認された。
【0118】この炭窒化ほう素繊維の配向度は0.8
0、引張強度は1900MPaであった。
【0119】実施例7 容量1リットルの三口フラスコの中管にスターラー、側
管の一つに三塩化ほう素が入ったボンベを取り付けたデ
ュワー型コールドフィンガー、残りの側管に玉入冷却管
をそれぞれ取り付けた。玉入冷却管にはデュワー型コー
ルドフィンガーを取り付け、コールドフィンガーの出口
に塩化カルシウム管を取り付けた。この装置に乾燥窒素
を毎分200mlで4時間流通して装置内を乾燥した
後、無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥したクロロベンゼン
300ml及びアセトニトリル16.4gを加えた。2
つのコールドフィンガーにドライアイス−アセトンを満
たし、スターラーで攪はんしながら、三口フラスコに直
接取り付けたコールドフィンガーより三塩化ほう素60
gを2時間かけて凝縮、滴下した。これにより、白色の
三塩化ほう素−アセトニトリル付加物が生成した。三塩
化ほう素を滴下し終えた後、三口フラスコに直接取り付
けたコールドフィンガーを取り外し、110℃で一晩乾
燥したモノメチルアミン塩酸塩27.2gを加えた。こ
の懸濁液を125℃に8時間加熱すると、塩化水素の発
生がほとんどなくなり、褐色沈澱が生成した。生成した
沈澱を濾別し、クロロベンゼン100mで洗浄し、次
いで減圧乾燥して炭窒化ほう素前駆体25g(収率80
%)を得た。
【0120】この炭窒化ほう素前駆体10gをDMF2
00mlに溶解した後、DMF100mlを蒸発除去す
ることにより均一な粘性の溶液を得た。この溶液を25
℃で直径60μmの孔を有する紡糸ノズルより15kg
/cm2の背圧を印加して乾燥空気中に吐出させ、巻取
ることにより、直径約20μmの連続した炭窒化ほう素
前駆体繊維を紡糸した。このとき、紡糸液の粘度は3.
0×104ポアズであり、紡糸速度は毎分1.8mであ
った。
【0121】紡糸した炭窒化ほう素前駆体繊維を、実施
例3と同様に加熱処理を行った。この時の延伸率は1
3.2%であった。
【0122】粉末X線回折及びほう素、窒素のXPSス
ペクトルより、得られた炭窒化ほう素繊維は、C面が積
層した構造を有しており、その構造にはほう素−炭素結
合および窒素−炭素結合が存在することが確認された。
【0123】この炭窒化ほう素繊維の配向度は0.8
0、引張強度は1800MPaであった。
【0124】実施例8 容量1リットルの三口フラスコの中管にスターラー、側
管の一つに三塩化ほう素が入ったボンベを取り付けたデ
ュワー型コールドフィンガー、残りの側管に玉入冷却管
をそれぞれ取り付けた。玉入冷却管にはデュワー型コー
ルドフィンガーを取り付け、コールドフィンガーの出口
に塩化カルシウム管を取り付けた。この装置に乾燥窒素
を毎分200mlで4時間流通して装置内を乾燥した
後、無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥したクロロベンゼン
300ml及びベンゾニトリル41.2gを加えた。2
つのコールドフィンガーにドライアイス−アセトンを満
たし、スターラーで攪はんしながら、三口フラスコに直
接取り付けたコールドフィンガーより三塩化ほう素60
gを2時間かけて凝縮、滴下した。これにより、白色の
三塩化ほう素−ベンゾニトリル付加物が生成した。三塩
化ほう素を滴下し終えた後、三口フラスコに直接取り付
けたコールドフィンガーを取り外し、110で一晩乾
燥した塩化アンモニウム21.5gを加えた。この懸濁
液を125℃に8時間加熱すると、塩化水素の発生がほ
とんどなくなり、褐色沈澱が生成した。生成した沈澱を
濾別し、クロロベンゼン100mlで洗浄し、次いで減
圧乾燥して炭窒化ほう素前駆体27g(収率79%)を
得た。
【0125】この炭窒化ほう素前駆体10gをDMF2
00mlに溶解した後、DMF100mlを蒸発除去す
ることにより均一な粘性の溶液を得た。この溶液を25
℃で直径60μmの孔を有する紡糸ノズルより15kg
/cm2の背圧を印加して乾燥空気中に吐出させ、巻取
ることにより、直径約20μmの連続した炭窒化ほう素
前駆体繊維を紡糸した。このとき、紡糸液の粘度は2.
9×104ポアズであり、紡糸速度は毎分1.8mであ
った。
【0126】紡糸た炭窒化ほう素前駆体繊維を、実施
例3と同様に加熱処理を行った。この時の延伸率は1
3.2%であった。
【0127】粉末X線回折及びほう素、窒素のXPSス
ペクトルより、得られた炭窒化ほう素繊維は、C面が積
層した構造を有しており、その構造にはほう素−炭素結
合および窒素−炭素結合が存在することが確認された。
【0128】この炭窒化ほう素繊維の配向度は0.8
2、引張強度は1900MPaであった。
【0129】実施例9 容量1リットルの三口フラスコの中管にスターラー、側
管の一つに三塩化ほう素が入ったボンベを取り付けたデ
ュワー型コールドフィンガー、残りの側管に玉入冷却管
をそれぞれ取り付けた。玉入冷却管にはデュワー型コー
ルドフィンガーを取り付け、コールドフィンガーの出口
に塩化カルシウム管を取り付けた。この装置に乾燥窒素
を毎分200mlで4時間流通して装置内を乾燥した
後、無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥したクロロベンゼン
300ml及びアクリロニトリル41.2gを加えた。
2つのコールドフィンガーにドライアイス−アセトンを
満たし、スターラーで攪はんしながら、三口フラスコに
直接取り付けたコールドフィンガーより三塩化ほう素6
0gを2時間かけて凝縮、滴下した。これにより、白色
の三塩化ほう素−アクリロニトリル付加物が生成した。
三塩化ほう素を滴下し終えた後、三口フラスコに直接取
り付けたコールドフィンガーを取り外し、110℃で一
晩乾燥した塩化アンモニウム21.5gを加えた。この
懸濁液を125℃に8時間加熱すると、塩化水素の発生
がほとんどなくなり、褐色沈澱が生成した。生成した沈
澱を濾別し、クロロベンゼン100mlで洗浄し、次い
で減圧乾燥して炭窒化ほう素前駆体24g(収率77
%)を得た。
【0130】この炭窒化ほう素前駆体10gをDMF2
00mlに溶解した後、DMF100mlを蒸発除去す
ることにより均一な粘性の溶液を得た。この溶液を25
℃で直径60μmの孔を有する紡糸ノズルより15kg
/cm2の背圧を印加して乾燥空気中に吐出させ、巻取
ることにより、直径約20μmの連続した炭窒化ほう素
前駆体繊維を紡糸した。このとき、紡糸液の粘度は2.
9×104ポアズであり、紡糸速度は毎分1.9mであ
った。
【0131】紡糸した炭窒化ほう素前駆体繊維を、実施
例3と同様に加熱処理を行った。この時の延伸率は1
3.1%であった。
【0132】粉末X線回折及びほう素、窒素のXPSス
ペクトルより、得られた炭窒化ほう素繊維は、C面が積
層した構造を有しており、その構造にはほう素−炭素結
合および窒素−炭素結合が存在することが確認された。
【0133】この炭窒化ほう素繊維の配向度は0.8
1、引張強度は1800MPaであった。
【0134】実施例10 実施例1と同様にして調製した炭窒化ほう素前駆体10
gと重量平均分子量50万のポリアクリロニトリル0.
05gをDMF200mlに溶解した後、DMF100
mlを蒸発除去することにより均一な粘性の溶液を得
た。この溶液を25℃で直径60μmの孔を有する紡糸
ノズルより15kg/cm2の背圧を印加して乾燥空気
中に吐出させ、巻取ることにより、直径約20μmの連
続した炭窒化ほう素前駆体繊維を紡糸した。このとき、
紡糸液の粘度は6×101ポアズであり、紡糸速度は毎
分19.5mであった。
【0135】紡糸した炭窒化ほう素前駆体繊維を、実施
例3と同様に加熱処理を行った。この時の延伸率は1
3.2%であった。
【0136】粉末X線回折及びほう素、窒素のXPSス
ペクトルより、得られた炭窒化ほう素繊維は、C面が積
層した構造を有しており、その構造にはほう素−炭素結
合および窒素−炭素結合が存在することが確認された。
【0137】この炭窒化ほう素繊維の配向度は0.8
1、引張強度は1800MPaであった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素とほう素と窒素が結合して作られた
    6員環が該6員環の面方向に連結して形成された面(C
    面)が積層した構造を有する炭窒化ほう素からなる炭窒
    化ほう素繊維であって、少なくとも1400MPaの引
    張強度を有する炭窒化ほう素繊維。
  2. 【請求項2】 炭素とほう素と窒素が結合して作られた
    6員環が該6員環の面方向に連結して形成された面(C
    面)が積層した構造を有する炭窒化ほう素からなる炭窒
    化ほう素繊維であって、該C面の少なくとも一部は該炭
    窒化ほう素繊維の繊維軸に実質的に平行に配向してお
    り、該C面の配向度が少なくとも0.70である炭窒化
    ほう素繊維。
  3. 【請求項3】 (a)三ハロゲン化ほう素とニトリル化
    合物との付加物とハロゲン化アンモニウム又は一級アミ
    ンハロゲン化水素酸塩とを三ハロゲン化ほう素の存在下
    において反応させて炭窒化ほう素前駆体を生成し、
    (b)該炭窒化ほう素前駆体を溶媒に溶解して炭窒化ほ
    う素前駆体溶液を調製し、(c)該炭窒化ほう素前駆体
    溶液を紡糸して炭窒化ほう素前駆体繊維を形成し、
    (d)該炭窒化ほう素前駆体繊維を不活性ガス雰囲気下
    で引張り応力を印加しながら1600〜2300℃にお
    いて加熱することを特徴とする炭窒化ほう素繊維の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 (a)三ハロゲン化ほう素とニトリル化
    合物との付加物とハロゲン化アンモニウム又は一級アミ
    ンハロゲン化水素酸塩とを三ハロゲン化ほう素の存在下
    において反応させて炭窒化ほう素前駆体を生成し、
    (b)該炭窒化ほう素前駆体及びアクリロニトリル系重
    合体を溶媒に溶解して炭窒化ほう素前駆体溶液を調製
    し、(c)該炭窒化ほう素前駆体溶液を紡糸して炭窒化
    ほう素前駆体繊維を形成し、(d)該炭窒化ほう素前駆
    体繊維を不活性ガス雰囲気下で引張り応力を印加しなが
    ら1600〜2300℃において加熱することを特徴と
    する炭窒化ほう素繊維の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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