JPH0977570A - 繊維強化セラミックス系複合体 - Google Patents

繊維強化セラミックス系複合体

Info

Publication number
JPH0977570A
JPH0977570A JP7238270A JP23827095A JPH0977570A JP H0977570 A JPH0977570 A JP H0977570A JP 7238270 A JP7238270 A JP 7238270A JP 23827095 A JP23827095 A JP 23827095A JP H0977570 A JPH0977570 A JP H0977570A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
boron nitride
fiber
heat treatment
base material
boron
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7238270A
Other languages
English (en)
Inventor
Chisui Okano
知水 岡野
Hiroya Yamashita
博也 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP7238270A priority Critical patent/JPH0977570A/ja
Publication of JPH0977570A publication Critical patent/JPH0977570A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inorganic Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 引張強度、配向度の高い窒化ほう素繊維を複
合体用充填材料として用いることにより、高温プロセス
を要するセラミックス系材料を母材とした破壊靱性に優
れる繊維強化セラミックス系複合体を得る。 【解決手段】 ほう素と窒素が交互に結合して作られた
6員環が該6員環の面方向に連結して形成された面が積
層した構造を有する窒化ほう素からなり、少なくとも1
400MPaの引張強度を有する窒化ほう素繊維を無機
複合体用充填材料とし、セラミックス、ガラス、又は無
機単結晶からなる母材中に、当該窒化ほう素繊維を含有
させて複合強化された繊維強化セラミックス系複合体と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は繊維強化セラミック
ス系複合体及びそれに用いる充填材料に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックス、ガラス、又は無機単結晶
(以下、セラミックス系材料ともいう)は、高強度で且
つ高温まで安定であるため、プラスチックや金属材料で
代替することができない高温構造材料としての応用が期
待されている。しかしながら、これらの材料は、優れた
熱的、機械的性質と裏腹に、本質的に脆く割れ易いとい
う性質を有している。そのため、一定の構造を保持する
ことが要求される構造材料としては信頼性に欠けるた
め、これらの材料は広く用いられるには至っていない。
【0003】セラミックの脆性を克服する手段として、
各種充填材料との複合化による靱性強化が有効である。
複合化を行う充填材料としては、球状粒子、板状粒子、
ウィスカー、連続繊維などが検討されているが、中でも
連続繊維と複合化することによる靱性強化が効果的で、
破壊靱性を超硬合金と同程度にまで高められることが知
られている。
【0004】複合強化用の繊維としては、炭化硅素繊維
やアルミナ繊維に代表されるセラミック繊維あるいは炭
素繊維がその候補と見なされている。しかしながら、両
者とも各々短所を有しており、複合強化用繊維としては
適さない面がある。例えば、セラミック繊維では、その
構造は微細な結晶が集合した多結晶体であるが、高温に
曝すと構成する結晶が粗大化し、繊維の引張強度は著し
く低下する。例えば、炭化珪素繊維の場合には、アルゴ
ンガス0.1MPa(ほぼ大気圧)において加熱する
と、加熱前の数nmであった炭化珪素の微結晶は、14
00℃に加熱することにより約100nmに粗大化す
る。これにともない、炭化珪素繊維の引張強度は約16
00MPaから600MPaへと低下する〔ジャーナル
オブ アメリカン セラミック ソサエティ(Journa
l of the American Ceramic Society),72巻,2
号,192−97 (1989).〕。一般に、複合強
化用繊維をセラミックス系材料と複合化する場合には、
摂氏千数百度以上の高温で加熱する必要がある。従っ
て、セラミックス繊維はセラミックス系材料との複合化
の工程において引張強度が低下してしまい、靱性強化を
果たすことが困難となる。
【0005】又、セラミック繊維は、セラミックス系材
料と複合化すると、母材のセラミックス系材料と繊維が
比較的強固に結合する場合が多く、複合材の破壊に際し
て、繊維の母材からの引き抜き(プルアウトともいう)
が起こりにくい場合がある。繊維と複合化することによ
り脆性材料であるセラミックス系材料の破壊靱性が向上
するのは、強化用繊維が破壊部分の亀裂先端付近で母材
から引き抜かれるプルアウトが生じ、複合化された材料
に加わる力学的エネルギーが吸収されるためであると考
えられている。従って、プルアウトが起こりにくい場合
には、破壊靱性を向上させることが困難になる。
【0006】一方、炭素繊維の場合には、高温下での組
織変化が少なく2000℃程度に加熱しても引張強度は
保たれる。従って、セラミックス系材料との複合化の工
程における高温の加熱処理を行っても繊維の強度は保た
れるので複合化及び靱性強化が可能である場合もある。
又、炭素はそれ自体の固体潤滑性によりプルアウトが容
易に起こるため、複合材の破壊靱性を著しく向上させ得
る場合がある。しかしながら、炭素繊維の場合には、高
温で酸化物と反応して一酸化炭素として酸化消耗する場
合があり、母材の材質が限定される。更に、炭素繊維は
空気中約400℃以上に加熱すると酸化消耗してしまう
ため、得られる炭素繊維強化セラミックス系材料は空気
中あるいは酸化性雰囲気下では高温で使用することがで
きないという欠点を有する。
【0007】この様に、現状では、脆性材料であるセラ
ミックス系材料を、その有用な特質を損なうことなく、
強化、高靱性化を可能とする強化用無機繊維は存在しな
い。従って、高温構造材料としての応用が期待されるセ
ラミックス系材料は、固有の特性である脆性のために広
く用いられるには至っていない。
【0008】これに対し、窒化ほう素繊維は、その結晶
構造の異方性のために高温下においても結晶の粗大化な
どの構造変化を起こし難く、そのため高温に曝したこと
による繊維の引張強度の低下は少ないと推定される。す
なわち、窒化ほう素繊維の熱による強度の低下はセラミ
ック繊維に比べ小さいと考えられる。更に、窒化ほう素
は空気中約1000℃まで酸化に対して安定であり、炭
素繊維に比べ優れた耐酸化性を有している。
【0009】この様な、優れた耐熱性、耐酸化性の他
に、窒化ほう素繊維は複合強化用繊維として優れた特質
を有している。例えば、窒化ほう素は、坩堝や離型剤に
も利用されていることからも分かるとおり、他の物質と
の反応性が低い。そのため、種々のセラミックス系材料
と組み合わせても、母相と反応することがなく、複合化
することが可能であると考えられる。更に、窒化ほう素
繊維は上述の通り母相との反応性が低いので、母相と強
固な結合を形成しない場合が多い。加えて、窒化ほう素
繊維は固体潤滑性に優れているので、窒化ほう素繊維を
複合強化用繊維として使用するとプルアウトが容易に起
こり、破壊靱性の向上に対する効果が大きいと考えられ
る。
【0010】しかしながら、従来、窒化ほう素繊維の強
度は弱く、靱性強化した複合材料を得ることは困難であ
った。例えば、特公昭53−37837、特開昭63−
195173、米国特許第5,061,469、米国特
許第3,668,059記載の窒化ほう素繊維の引張強
度は各々784MPa、500MPa、1200MP
a、580MPaであるが、これらの引張強度は、例え
ば炭素繊維の引張強度3000MPaに比較すると非常
に低いのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】この様に、現状では、
脆性材料であるセラミックス系材料を、その有用な特質
を損なうことなく、強化、高靱性化を可能とする強化用
無機繊維は存在せず、高温構造材料としての応用が期待
されるセラミックス材料は、広く用いられるには至って
いない。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
窒化ほう素のC面が繊維軸に平行な方向に優先的に配向
した窒化ほう素繊維を見いだし、しかもこの窒化ほう素
繊維の配向度が増すに従い、その引張強度が飛躍的に向
上することを初めて見いだした。更に、この窒化ほう素
繊維は、高温に加熱しても組織変化に伴う強度劣化を起
こさないので、作製に高温プロセスを要するセラミック
ス系材料の複合化が可能であり、得られる複合材は母材
の耐熱性、耐酸化性が損なわれることなく、かつ母材の
脆性が改善される、すなわち破壊靱性が向上することを
見いだし、ここに本発明を完成させるに至った。
【0013】すなわち、本発明は、セラミックス、ガラ
ス、又は無機単結晶からなる母材中に、ほう素と窒素が
交互に結合して作られた6員環が該6員環の面方向に連
結して形成された面(C面)が積層した構造を有する窒
化ほう素からなる窒化ほう素繊維であって、少なくとも
1400MPaの引張強度を有する窒化ほう素繊維が含
まれた繊維強化セラミックス系複合体である。
【0014】他の発明は、セラミックス、ガラス、又は
無機単結晶からなる母材中に、ほう素と窒素が交互に結
合して作られた6員環が該6員環の面方向に連結して形
成された面(C面)が積層した構造を有する窒化ほう素
からなる窒化ほう素繊維であって、該C面の少なくとも
一部は該窒化ほう素繊維の繊維軸に実質的に平行に配向
しており、該C面の配向度が少なくとも0.74である
窒化ほう素繊維が含まれた繊維強化セラミックス系複合
体である。
【0015】更に他の発明は、ほう素と窒素が交互に結
合して作られた6員環が該6員環の面方向に連結して形
成された面(C面)が積層した構造を有する窒化ほう素
からなる窒化ほう素繊維であって、少なくとも1400
MPaの引張強度を有する窒化ほう素繊維からなる無機
複合体用充填材料である。
【0016】更に他の発明は、ほう素と窒素が交互に結
合して作られた6員環が該6員環の面方向に連結して形
成された面(C面)が積層した構造を有する窒化ほう素
からなる窒化ほう素繊維であって、該C面の少なくとも
一部は該窒化ほう素繊維の繊維軸に実質的に平行に配向
しており、該C面の配向度が少なくとも0.74である
窒化ほう素繊維からなるセラミックス系複合体用充填材
料である。
【0017】以下、上記本発明の窒化ほう素繊維を含有
する繊維強化セラミックス系複合体について詳細に説明
する。
【0018】窒化ほう素は周期律表第III族のほう素
と周期律表第V族の窒素が化学的に結合して生成した物
質であって、現在 (1) ほう素と窒素が3次元的に結合して生成した構
造を有する窒化ほう素、および (2) ほう素と窒素が2次元的に結合して生成した構
造を有する窒化ほう素、が知られている。
【0019】しかして、ほう素と窒素が2次元的に結合
して生成した構造を有する窒化ほう素として、ほう素と
窒素が交互に結合して作られた6員環が6員環の面方向
に連結して形成された面が積層した構造を有する窒化ほ
う素が知られている。
【0020】さらに、面が積層した構造を有する窒化ほ
う素として、(a) 2層構造を周期とする積層構造を
有する六方晶窒化ほう素(h−BN)、(b) 3層構
造を周期とする積層構造を有する菱面体晶窒化ほう素
(r−BN)、(c) 規則的でない積層構造を有する
ターボストラティック窒化ほう素(t−BN)が知られ
ている。
【0021】本発明の窒化ほう素は、上で説明したほう
素と窒素が交互に結合して作られた6員環が該6員環の
面方向に連結して形成された面が積層した構造を有する
窒化ほう素からなるものである。
【0022】したがって、本発明に関わる窒化ほう素
は、六方晶窒化ほう素(h−BN)、菱面体晶窒化ほう
素(r−BN)および/またはターボストラティック窒
化ほう素(t−BN)を含有していてもよい。
【0023】しかしながら、本発明においては、一般的
にいえば、六方晶窒化ほう素(h−BN)および/また
はターボストラティック窒化ほう素(t−BN)が窒化
ほう素の主要部分を構成することが多く、菱面体晶窒化
ほう素(r−BN)は、存在していたとしても少割合で
あることが多い。
【0024】六方晶構造および菱面体晶構造は、ほう素
と窒素が交互に結合して成る6員環が2次元的に連なっ
て構成される面(以下、C面ともいう)が規則的に積層
した構造である。また、ターボストラティック構造は、
C面が、面に対して垂直方向の規則性を有することなく
積層した構造で、乱層構造と称される場合もある。
【0025】該窒化ほう素の積層構造は、X線回折によ
るC面からの回折ピークより確認できる。この回折ピー
クは、X線をCuKα線とした場合2θ=24〜26°
の位置に現れ、回折ピークの位置より計算される積層し
たC面の間隔は約3〜4オングストロームである。
【0026】本発明に用いる窒化ほう素繊維は、引張強
度が少なくとも1400MPa、好ましくは少なくとも
1700MPa、最も好ましくは少なくとも2300M
Paのものである。この引張強度は、JIS R 76
01(1986)で規定されている「炭素繊維の試験方
法」に準じて測定することができる。
【0027】窒化ほう素繊維の繊維軸に対する窒化ほう
素のC面の方位分布を表す指標として、C面の配向度
(以下、配向度ともいう)が用いられるが、本発明にお
ける引張強度が1400MPa以上の窒化ほう素繊維の
配向度はおおむね0.74以上である。窒化ほう素繊維
の配向度は炭素繊維の配向度の測定方法〔炭素材料学会
編、”炭素繊維の展開と評価方法”118頁(198
9).〕に準じて測定することができる。
【0028】実際には、本発明者は配向度が0.74未
満である窒化ほう素繊維も見いだし、製造することも可
能である。例えば、配向度が0.74未満である窒化ほ
う素繊維は、窒化ほう素前駆体繊維に引張り応力を印加
することなく加熱することにより製造が可能である。し
かし、種々の配向度を有する窒化ほう素繊維を製造し、
配向度に対する窒化ほう素繊維の引張強度を系統的に調
べたところ、配向度が0.5未満である窒化ほう素繊維
の引張強度は、実質的に配向度に依存せず、その値も低
い場合が多い。これに対し、配向度が0.5以上の時、
窒化ほう素繊維の引張強度は著しい向上を示す。例えば
代表値を示すと、配向度が0.26および0.46であ
る窒化ほう素繊維の引張強度が共に440MPaである
のに対し、配向度が0.80の窒化ほう素繊維の引張強
度は1970MPaであった。
【0029】また、配向度が0.7以上の時、窒化ほう
素繊維の引張強度は配向度に比例して向上する。例えば
代表値を示すと、配向度が0.70のとき引張強度が8
40MPaであるのに対し、配向度を0.74とすると
引張強度は1400MPaに向上した。従って、配向度
が0.70以上では、配向度を向上させることにより引
張強度を更に向上させることが可能である。
【0030】このように、本発明における窒化ほう素繊
維は、従来作製されている炭化珪素繊維などのセラミッ
ク繊維に匹敵する高い引張強度を有しているが、該窒化
ほう素繊維がこれらのセラミック繊維などに比べ著しい
優位性を示すのは、該窒化ほう素繊維が高温を履歴した
後も高い引張強度を維持する点である。従来のセラミッ
ク繊維は、非常に微細な結晶が集合した多結晶体である
が、これらの物質が窒化ほう素と比べるとその結合が等
方的であるため、このような繊維を高温にさらすと、繊
維を構成する微細結晶が著しい成長を示す場合が多い。
その結果、結晶の粗大化により破壊の源となる欠陥が成
長し、セラミック繊維は著しい引張強度の低下を引き起
こしてしまう。炭化珪素繊維の場合、約1300℃以上
に加熱すると、著しい引張強度の低下が確認されてい
る。これに対し、窒化ほう素繊維の場合、窒化ほう素の
結合は異方性が強いので高温においても粒成長などの構
造変化が起こり難い。そのため、窒化ほう素繊維は高温
を履歴した後も高い引張強度を維持することができる。
実際、本発明の実施例における窒化ほう素繊維は200
0℃に加熱して作製されており、本発明における窒化ほ
う素繊維の優れた耐熱性が明確に示されている。
【0031】また、窒化ほう素は、従来作製されている
セラミック繊維化学的安定性が高いので、様々な母材と
反応することなく複合化することが可能であり、また、
窒化ほう素は固体潤滑性を有しているので窒化ほう素繊
維を用いて複合強化用繊維として使用すると、複合体の
破壊に際して窒化ほう素繊維のプルアウトが容易に起こ
り、破壊エネルギーを効率よく吸収するために、破壊靱
性の向上した複合体を得ることができる。
【0032】更に、1400MPa以上の引張強度を有
する窒化ほう素繊維は高い配向度を有しているが、高配
向化の効果として、繊維軸方向の熱伝導率が向上するこ
とが挙げられる。窒化ほう素に類似した構造を有するグ
ラファイトの場合、その単結晶の炭素6員環の面内方向
と面間方向の熱伝導率を比べると、面内方向の熱伝導率
の方が高い値をとることが知られている。同様に、窒化
ほう素の場合、化学蒸着法により窒化ほう素のほう素−
窒素6員環により構成される面を規則正しく積層させて
得られる窒化ほう素の熱伝導率を測定すると、面内方向
の熱伝導率は、面に垂直な方向の熱伝導率に比べ、百倍
近く高い。また、炭素6員環が繊維軸に平行な方向に優
先的に配向した炭素繊維の場合には、配向度が向上する
に伴い、熱伝導率が向上する事が知られている。これ
ら、炭素繊維を含むグラファイトおよび窒化ほう素にお
いて、面内方向の熱伝導率が高い理由は、炭素、ほう素
および窒素といった比較的軽い元素が強固な共有結合に
より互いに結合しているため、格子振動による熱の伝播
が効率よく行われる事によると考えられる。従って、炭
素繊維の場合と同様に、窒化ほう素繊維の配向度が向上
するにともない、繊維軸方向の熱伝導率が向上すると考
えられる。
【0033】一般に、窒化ほう素の熱伝導率は、アルミ
ナ、ムライト、窒化珪素などと比べ、10倍近く高いの
で、材料の熱伝導率を向上させることを目的として、窒
化ほう素粒子などとの複合化を行う場合があるが、配向
化により繊維軸方向の熱伝導率が向上した窒化ほう素繊
維を用いることにより、複合体の熱伝導率を効率的に向
上させることが可能となる。
【0034】本発明に用いる引張強度が大きく、配向度
の高い窒化ほう素繊維の製造方法は特に限定されない
が、代表的には以下のようにして製造することができ
る。
【0035】(a) まず、三ハロゲン化ほう素とニト
リル化合物との付加物とハロゲン化アンモニウム又は一
級アミンハロゲン化水素酸塩とを三ハロゲン化ほう素の
存在下において反応させて窒化ほう素前駆体を生成させ
る。
【0036】三ハロゲン化ほう素としては、三ふっ化ほ
う素、三塩化ほう素、三臭化ほう素、三よう化ほう素等
が挙げられ、特に制限なく用いることができる。
【0037】ニトリル化合物としては、ニトリル基を有
する公知の化合物が特に限定なく使用することができ
る。具体的にはアセトニトリル、プロピオニトリル、カ
プロニトリル、アクリロニトリル、クロトンニトリル、
トルニトリル、ベンゾニトリル、i−ブチロニトリル、
n−ブチロニトリル、イソバレロニトリル、マロノニト
リル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニ
トリル、ピメロニトリル、スベロニトリルなどが挙げら
れる。ニトリル化合物に含まれる炭素数が多くなると、
窒化ほう素前駆体に含まれる炭素が増大し、加熱処理に
より窒化ほう素前駆体を窒化ほう素化する際の脱離成分
が増大するので、炭素数が少ないアセトニトリル、アク
リロニトリル等を使用することがより好ましい。
【0038】ハロゲン化アンモニウムとしては、ふっ化
アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、
ヨウ化アンモニウム等を挙げることができる。ハロゲン
化アンモニウムの好ましい例として、塩化アンモニウム
を挙げることができる。
【0039】一級アミンハロゲン化水素酸塩としては、
一級アミンふっ化水素酸塩、一級アミン塩化水素酸塩、
一級アミン臭化水素酸塩、一級アミンよう化水素酸塩等
を挙げることができる。一級アミンハロゲン化水素酸塩
の好ましい例として、一級アミン塩化水素酸塩(以下、
一級アミン塩酸塩ともいう)を挙げることができる。
【0040】一級アミン塩酸塩は、一般式、RNH2
HClで表され、Rがメチル基、エチル基、プロピル基
などのアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基
などのアリール基である化合物が制限なく使用される。
Rの炭素数が多くなると、窒化ほう素前駆体に含まれる
炭素が増大し、加熱処理により窒化ほう素化する際の脱
離成分が増大するので、Rがメチル基またはエチル基等
の低級アルキル基である一級アミン塩酸塩を用いること
がより好ましい。
【0041】本発明の窒化ほう素繊維を得るためには、
先ず、該三ハロゲン化ほう素と該ニトリル化合物との付
加物とハロゲン化アンモニウムあるいは一級アミンハロ
ゲン化水素酸塩とを反応させることにより、窒化ほう素
前駆体を合成する。
【0042】該三ハロゲン化ほう素と該ニトリル化合物
との付加物とは、ニトリル基の窒素原子の非結合電子対
にハロゲン化ほう素が付加結合した生成物であり、三ハ
ロゲン化ほう素とニトリル化合物とは容易に反応して付
加物を生成する。該付加物を生成させる方法は、特に限
定されない。例えば、室温において有機溶媒にニトリル
化合物を溶解した溶液に三ハロゲン化ほう素を滴下する
方法、有機溶媒にニトリル化合物を溶解し、次いで三ハ
ロゲン化ほう素を吹き込む方法、または有機溶媒に三ハ
ロゲン化ほう素を溶解し、次いでニトリル化合物を滴下
する方法などにより付加物を生成させることができる。
三ハロゲン化ほう素とニトリル化合物とは容易に反応し
て付加物を生成するので反応直前に両者を接触させても
良い。
【0043】上記付加物とハロゲン化アンモニウムまた
は一級アミンハロゲン化水素酸塩との反応時には三ハロ
ゲン化ほう素を存在させることが必須である。反応時に
三ハロゲン化ほう素が存在しない場合は本発明の窒化ほ
う素前駆体の収率が低く、後述する紡糸時の紡糸用溶
媒、例えばN、N-ジメチルホルムアミド(以下DMF
ともいう)に不溶の反応副生成物が生成してくる。
【0044】該三ハロゲン化ほう素は、少なくとも三ハ
ロゲン化ほう素とニトリル化合物の付加物とハロゲン化
アンモニウムまたは一級アミンハロゲン化水素酸塩との
反応時に存在すれば良い。例えば、ニトリル化合物と三
ハロゲン化ほう素との付加物を生成させる際に三ハロゲ
ン化ほう素を過剰に用いて、未反応の三ハロゲン化ほう
素を付加物中に予め共存させておいても良い。三ハロゲ
ン化ほう素のニトリル化合物に対する添加量は、モル比
(三ハロゲン化ほう素/ニトリル化合物)で1.05〜
2.00の範囲より任意に選ぶことができる。しかし、
三ハロゲン化ほう素の添加量が少ないとDMF不溶成分
が生成し、また三ハロゲン化ほう素添加量が多いと反応
に寄与しない三ハロゲン化ほう素が増大するので、より
好ましいニトリル化合物に対する三ハロゲン化ほう素の
添加モル比は1.1〜1.5である。このとき三ハロゲ
ン化ほう素とニトリル化合物は1対1の付加物を生成す
るので、反応時存在する三ハロゲン化ほう素の量は、付
加物に対してモル比(三ハロゲン化ほう素/付加物)で
0.1〜0.5の範囲となる。
【0045】また、反応溶媒に対するニトリル化合物の
濃度は特に限定されないが、0.1〜10mol/lの
範囲であることが好ましい。ニトリル化合物の濃度が
0.1mol/lよりも少ないと、得られる窒化ほう素
前駆体の量が少なく、効率的でないので好ましくない。
また、ニトリル化合物の濃度が10mol/lを越える
と、溶媒に対して固体として生成する付加物の量が多く
なりすぎ、付加物の生成が不均一になるので好ましくな
い。
【0046】ハロゲン化アンモニウムまたは一級アミン
ハロゲン化水素酸塩の添加量は、ニトリル化合物に対す
るモル比(ハロゲン化アンモニウムまたは一級アミンハ
ロゲン化水素酸塩/ニトリル化合物)で、0.67〜
1.5の範囲より選ぶことが好ましい。ハロゲン化アン
モニウムまたは一級アミンハロゲン化水素酸塩が多いと
DMFに不溶の成分が生成し、ニトリル化合物の方が多
いと未反応付加物の量が増大する傾向にあるので、より
好ましくは0.83〜1.2の範囲より選べば良い。
【0047】本発明の窒化ほう素前駆体を合成するため
に用いる溶媒は特に限定されないが、反応生成物である
窒化ほう素前駆体を分離する際、反応副生成物であるボ
ラジン化合物を溶解して除去し易いことが好ましい。こ
のような観点から、ベンゼン、トルエン、キシレン、ク
ロロベンゼン等の有機溶媒が好ましく選択される。
【0048】付加物とハロゲン化アンモニウムまたは一
級アミンハロゲン化水素酸塩を反応させるための加熱温
度は、一般に低温では反応に長時間を要し、高温ではD
MFに不溶な成分が増大し反応収率が低下する。従っ
て、加熱温度は100℃〜160℃の範囲より選べばよ
い。又、加熱時間は温度により異なるが3〜30時間の
範囲より選べばよい。
【0049】上記加熱処理を行うことにより、窒化ほう
素前駆体が橙色ないし褐色の沈澱として生成する。
【0050】窒化ほう素前駆体を得るための反応装置と
しては、公知の装置が特に制限なく用いられる。しかし
ながら、三ハロゲン化ほう素とニトリル化合物の付加
物、窒化ほう素前駆体ともに加水分解するため、反応系
内は予め窒素ガスなどにより十分に乾燥しておくととも
に、反応中も反応系外より空気中の水分が侵入しないよ
う装置開放部には塩化カルシウムなどの吸湿剤を配する
必要がある。
【0051】(b) 工程(a)で生成させた窒化ほう
素前駆体を溶媒に溶解して窒化ほう素前駆体溶液を調製
する。
【0052】この窒化ほう素前駆体溶液は、次の工程
(c)において紡糸液として用いることができるもので
ある。
【0053】この窒化ほう素前駆体より窒化ほう素前駆
体繊維を作製する方法は、公知の方法を特に制限なく用
いることができる。例えば、窒化ほう素前駆体の溶液よ
り前駆体繊維を紡糸する場合には、該窒化ほう素前駆体
を可溶性溶媒に溶解することにより、紡糸液を作製す
る。前駆体可溶性溶媒としては例えばDMF、ε−カプ
ロラクタム、クロロニトリル、マロニトリル、N−メチ
ル−β−シアノエチルフォルムアミド、N,N−ジエチ
ルホルムアミド等をあげることができる。窒化ほう素前
駆体を該可溶性溶媒に溶解することにより、橙色ないし
は褐色で透明な紡糸液が得られる。
【0054】この紡糸液の粘度は所望により、濃縮によ
って、又、例えばアクリロニトリル系重合体を添加する
ことによって調製することができる。上記窒化ほう素前
駆体の分子量が比較的小さいときは、分子量が比較的大
きいアクリロニトリル系重合体を窒化ほう素前駆体とと
もに用いることによって紡糸液の粘度を高くし、紡糸液
の曳糸性を改善することができる。
【0055】本発明に用いるアクリロニトリル系重合体
は、紡糸液を構成する可溶性溶剤に溶解し、且つ紡糸液
中で当該窒化ほう素前駆体と相分離を生じなければ、特
に制限なく使用することができる。好ましくはアクリロ
ニトリルの重合体、或いは酢酸ビニル、アクリルアミ
ド、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル
酸、アクリル酸エステルなどビニル基を有するアクリロ
ニトリル以外の重合性単量体(以下単にビニル単量体と
いう)とアクリロニトリルとの共重合体が使用される。
アクリロニトリルとビニル単量体との共重合体を使用す
る場合には、共重合体を構成するビニル単量体の量が増
大すると、紡糸液中で当該窒化ほう素前駆体と相分離を
生ずる傾向があるので、共重合体を構成するアクリロニ
トリルの組成が全重合性単量体を基準とした組成で85
モル%以上であることが好ましい。
【0056】本発明で用いるアクリロニトリル系重合体
の重量平均分子量は、特に限定されないが、1万〜20
0万の範囲であることが好ましい。
【0057】紡糸液に加えるアクリロニトリル系重合体
の量は、特に限定されないが、窒化ほう素前駆体100
重量部に対して0.01〜5重量部であることが好まし
い。
【0058】(c) 工程(b)で調製した窒化ほう素
前駆体溶液を紡糸して窒化ほう素前駆体繊維を形成す
る。
【0059】紡糸液の好ましい濃度範囲は、紡糸方法に
もよるが、0.01〜3.0g/mlであり、そのとき
の粘性率は10〜100000ポアズである。得られる
紡糸液より窒化ほう素前駆体繊維を紡糸する方法は、広
く公知の方法を用いることがでる。例えば、紡糸液を入
れた小孔を有する容器を回転させることにより、遠心力
を利用して紡糸液を吐出させる方法、小孔よりガス圧に
より紡糸液を吐出させる方法、小孔よりギヤーポンプを
用いて紡糸液を吐出させる方法などを用いて窒化ほう素
前駆体繊維を紡糸することができる。
【0060】紡糸温度は使用する溶媒によって異なり得
るが、例えば、−60〜200℃、好ましくは−10〜
180℃、より好ましくは0〜160℃である。
【0061】引張強度が1400MPa以上の窒化ほう
素繊維を得る方法の一つとして、窒化ほう素前駆体繊維
に応力を印加しながら加熱する方法が挙げられる。
【0062】(d) 該窒化ほう素前駆体繊維を不活性
ガス雰囲気下で100〜600℃の範囲において予備加
熱し、(e) 該予備加熱した繊維をアンモニアガス雰
囲気下で200〜1300℃においてアンモニアで処理
する。
【0063】すなわち、上記工程(c)によって得られ
る窒化ほう素前駆体繊維を不活性ガス雰囲気下にて10
0〜600℃で加熱処理(予備加熱)し、次いでアンモ
ニアガス雰囲気下にて200〜1300℃で加熱処理す
ることにより、窒化ほう素繊維が得られる。この段階の
窒化ほう素繊維を、未配向化窒化ほう素繊維という。未
配向化窒化ほう素繊維を作製する場合、アンモニア雰囲
気下での加熱処理だけを行うと、得られる窒化ほう素繊
維の繊維表面に欠陥、傷が生成し、高強度な窒化ほう素
繊維が得られない。
【0064】不活性ガス雰囲気下での加熱処理における
雰囲気ガスには、窒素、アルゴン、ヘリウム等を用いる
ことができる。不活性ガス雰囲気下での加熱処理におけ
る加熱処理温度は、100〜600℃、好ましくは15
0〜550℃、より好ましくは160〜500℃の範囲
より任意に選ぶことができる。この加熱処理を100℃
より低い温度で行うと、次いで行うアンモニアガス雰囲
気下での加熱処理において、窒化ほう素繊維の繊維表面
に欠陥、傷が生成してしまい、繊維の強度が低下する場
合がある。また、600℃より高い温度で加熱処理を行
うと、前駆体由来の炭素が黒鉛化しやすくなり、次いで
行うアンモニアガス雰囲気下での熱処理を行っても、こ
れを除去することが困難になる場合がある。
【0065】不活性ガス雰囲気下での窒化ほう素前駆体
繊維の加熱処理を行う加熱装置は、チャンバーあるいは
炉心管などにより雰囲気を制御することができる構造も
のであれば良く、電気炉、ガス炉など公知の加熱装置の
が特に制限なく用いられる。加熱処理方法としては、一
度に一定量の窒化ほう素前駆体繊維を加熱処理するバッ
チ式加熱処理、および連続した窒化ほう素前駆体繊維を
予め加熱処理温度に加熱した加熱装置に順次送り込んで
加熱処理し、加熱処理した繊維を巻き取って回収する連
続式加熱処理があり、本発明においてはいずれの加熱処
理方法を用いてもよい。不活性ガス雰囲気下でバッチ式
加熱処理を行う場合には、加熱処理温度に予め昇温され
た加熱処理装置に窒化ほう素前駆体繊維を導入して加熱
処理を行うか、加熱処理装置に窒化ほう素前駆体繊維を
配置した後に昇温して加熱処理温度に到達させて加熱処
理を行うことができる。
【0066】いずれの加熱処理方法においても、窒化ほ
う素前駆体繊維が急激に加熱されると、窒化ほう素前駆
体から紡糸液を作製する際の溶媒であるDMFが急激に
蒸発したり、熱分解生成物の脱離が急激に起こり、得ら
れる窒化ほう素繊維にボイド、亀裂などの欠陥が生じ強
度の低下を招くことがある。従って、窒化ほう素前駆体
繊維が加熱処理温度に到達するまでの昇温速度を20℃
/min以下として加熱処理を行うことが好ましい。加
熱処理温度における保持時間は、窒化ほう素前駆体繊維
の量や加熱処理温度にも依るが、0〜10時間の範囲よ
り任意に選ぶことができる。保持時間が0時間とは、窒
化ほう素前駆体繊維が加熱処理温度に達した直後に、加
熱装置を降温するか、窒化ほう素前駆体繊維を加熱装置
から取り出すなどして加熱処理を終了することを示す。
【0067】不活性ガス雰囲気下での加熱処理における
加熱処理雰囲気は、加熱処理温度に到達するまでの昇温
過程、加熱処理温度における保持過程、加熱処理終了ま
での降温過程の何れの過程においても、即ち、窒化ほう
素前駆体繊維が不活性ガス雰囲気での加熱装置のチャン
バー、炉心管などの中にあるうちは、不活性ガス雰囲気
とするのが好ましい。不活性ガス雰囲気とするために
は、不活性ガスで置換した加熱装置のチャンバー、炉心
管などを密閉するか、あるいは加熱装置のチャンバー、
炉心管などに不活性ガスを流通させればよい。
【0068】不活性ガス雰囲気下での加熱処理に次い
で、アンモニアガス雰囲気下での加熱処理を行うことに
より、窒化ほう素前駆体などに由来する炭素成分を効率
よく除去することができる場合がある。アンモニアガス
雰囲気下における加熱処理温度は、200〜1300
℃、好ましくは250〜1250℃、より好ましくは3
00〜1200℃の温度で加熱処理することにより、前
駆体由来の炭素はほぼ分解除去されるので、アンモニア
ガス雰囲気下での加熱処理を1300℃より高温で行う
必要は特にない。
【0069】アンモニアガス雰囲気下での窒化ほう素前
駆体繊維の加熱処理を行う加熱装置は、チャンバーある
いは炉心管などにより雰囲気を制御することができる構
造ものであれば良く、電気炉、ガス炉など公知の加熱装
置のが特に制限なく用いられる。加熱処理方法として
は、不活性ガス雰囲気下での加熱処理と同様にバッチ式
加熱処理、あるいは連続式加熱処理のいずれの加熱処理
方法を用いてもよい。バッチ式加熱処理を行う場合に
は、加熱処理温度に予め昇温された加熱処理装置に窒化
ほう素前駆体繊維を導入して加熱処理を行うか、加熱処
理装置に窒化ほう素前駆体繊維を配置した後に昇温して
加熱処理温度に到達させて加熱処理を行う。
【0070】いずれの加熱処理方法においても、窒化ほ
う素前駆体繊維が急激に加熱されると、熱分解生成物の
脱離が急激に起こり、得られる窒化ほう素繊維にボイ
ド、亀裂などの欠陥が生じ強度の低下を招くことがあ
る。そのため、窒化ほう素前駆体繊維が加熱処理温度に
到達するまでの昇温速度を20℃/min以下として加
熱処理を行うことが好ましい。加熱処理温度における保
持時間は、窒化ほう素前駆体繊維の量や加熱処理温度に
も依るが、0〜10時間の範囲より任意に選ぶことがで
きる。保持時間が0時間とは、窒化ほう素前駆体繊維が
加熱処理温度に達した直後に、加熱装置を降温するか、
窒化ほう素前駆体繊維を加熱装置から取り出すなどして
加熱処理を終了することを示す。
【0071】アンモニアガス雰囲気下での加熱処理にお
いて加熱処理雰囲気がアンモニアガスである必要がある
のは、昇温過程のうち不活性ガス雰囲気下で行った加熱
処理温度からアンモニアガス雰囲気下での加熱処理温度
に到達するまでの間と、アンモニアガス雰囲気下での加
熱処理温度における保持過程である。その他の加熱処理
過程、すなわち不活性ガス雰囲気下で行った加熱処理温
度までの昇温過程およびアンモニアガス雰囲気下での加
熱処理温度からの降温過程では、窒素、アルゴン、ヘリ
ウム等の不活性雰囲気あるいはアンモニアガス雰囲気の
いずれを用いてもよい。加熱処理の雰囲気をアンモニア
ガスとするためには、アンモニアガスで置換した加熱装
置のチャンバー、炉心管などを密閉するか、あるいは加
熱装置のチャンバー、炉心管などにアンモニアガスを流
通させればよい。
【0072】本発明では、先ず不活性ガス雰囲気下で加
熱処理(予備加熱)を行い、次いでアンモニアガス雰囲
気下で加熱処理を行うのが好ましい。不活性ガス雰囲気
下での加熱処理とアンモニアガス雰囲気下での加熱処理
を順次行う方法としては、先ず、不活性ガス雰囲気下で
の加熱処理を行い、不活性ガス雰囲気下での加熱処理が
終了した時点で雰囲気ガスをアンモニアに切り替えて引
き続きアンモニアガス雰囲気下での加熱処理を行っても
良いし、加熱処理後、降温するか、加熱装置より窒化ほ
う素繊維を取り出すこと等により不活性ガス雰囲気下で
の加熱処理を終了し、改めてアンモニアガス雰囲気下で
の加熱処理を行っても良い。
【0073】(f) 上記工程(e)で得られたアンモ
ニアで処理した繊維を不活性ガス雰囲気下で引張応力を
印加しながら1600〜2300℃において加熱するこ
とによって本発明の窒化ほう素繊維が得られる。
【0074】すなわち、引張強度が1400MPa以上
の窒化ほう素繊維は、未配向化窒化ほう素繊維を不活性
ガス雰囲気下、繊維に引張り応力を印加しながら160
0〜2300℃、好ましくは1650〜2250℃、よ
り好ましくは1700〜2200℃で加熱処理(以下、
配向化処理ともいう)することによって得ることができ
る。
【0075】この配向化処理における雰囲気は、窒化ほ
う素が酸化など化学的に変質しなければ特に制限されな
い。従って、配向化処理路の雰囲気ガスとしては、例え
ば窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いるこ
とができる。または、真空下にて配向化処理を行うこと
も可能である。
【0076】配向化処理における加熱処理温度は160
0〜2300℃の範囲より任意に選ぶことができる。加
熱処理温度が1600℃よりも低いと引張応力を印加し
ても配向化が十分に進行せず、引張強度は1400MP
aに達しない場合がある。また、2300℃以上では窒
化ほう素の分解反応が始まるので、2300℃以上で加
熱処理を行うのは好ましくない。 配向化処理を行う際
の加熱装置は、チャンバーあるいは炉心管などにより雰
囲気を制御することができる構造の物であればよく、電
気炉、ガス炉など公知の加熱装置が特に制限なく用いら
れる。配向化処理は、一度に一定量の未配向化窒化ほう
素繊維を処理するバッチ式処理、及び連続した未配向化
窒化ほう素繊維を予め加熱処理温度に加熱した加熱装置
に連続的に送り込んで処理し、処理した繊維を巻取って
回収する連続式処理があり、本発明においてはいずれの
処理方法を用いてもよい。バッチ式で配向化処理を行う
場合には、加熱処理温度に予め昇温された加熱装置に未
配向化窒化ほう素繊維を導入して加熱処理を行うか、未
配向化窒化ほう素繊維を加熱処理装置内に配置した後に
昇温して加熱処理温度に到達させて加熱処理を行う。
【0077】配向化処理において、未配向化窒化ほう素
繊維を急激に加熱すると、熱応力により欠陥が生じ、得
られる窒化ほう素繊維の強度が低下する場合がある。従
って、未配向化窒化ほう素繊維が加熱処理温度に到達す
るまでの速度は100℃/min以下として配向化処理
を行うことが好ましい。加熱処理温度における保持時間
は、加熱処理を行う未配向化窒化ほう素繊維の量、加熱
処理温度にもよるが0〜10時間の範囲より任意に選ぶ
ことができる。保持時間が0時間とは、未配向化窒化ほ
う素繊維が加熱処理温度に達した直後に、加熱装置を降
温するか、未配向化窒化ほう素繊維を加熱装置から取り
出して加熱処理を終了することを示す。
【0078】配向化処理における雰囲気は、加熱処理温
度に到達するまでの昇温過程、加熱処理温度における保
持過程、加熱処理終了までの降温過程の何れの過程にお
いても、不活性ガス雰囲気あるいは真空とするのが好ま
しい。不活性ガス雰囲気とするためには、不活性ガスで
置換した加熱装置のチャンバー、炉心管などを密閉する
か、あるいは加熱装置のチャンバー、炉心管などに不活
性ガスを流通させればよい。
【0079】配向化処理において、未配向化窒化ほう素
繊維に引張応力を印加する方法は、特に限定されない
が、例えば、配向化処理をバッチ式で行う場合には、未
配向化窒化ほう素繊維を鉛直方向に吊し、その下端に重
りを付加することにより引張応力を印加することができ
る。また、未配向化窒化ほう素繊維は引張応力を印加し
ない状態で不活性ガス雰囲気下、1600〜2300℃
に加熱処理すると、加熱処理温度に依存して繊維軸方向
に収縮する。従って、未配向化窒化ほう素繊維に、未配
向化窒化ほう素繊維および加熱処理により生成する窒化
ほう素繊維と反応しない窒化ほう素などの材質で作製さ
れた型枠を付し、そのまま不活性ガス雰囲気下、160
0〜2300℃に加熱処理すれば未配向化窒化ほう素繊
維の加熱処理による熱収縮が型枠により妨げられ、結果
的に未配向化窒化ほう素繊維に引張応力を印加しながら
加熱処理を行うことができる。又、配向化処理を連続式
で行う場合には、未配向化窒化ほう素繊維の加熱処理装
置への供給速度と、加熱処理を終えた繊維の巻き取り速
度を制御することにより、未配向化窒化ほう素繊維の加
熱処理における熱収縮を制御することができ、その結
果、引張応力を印加しながら配向化処理を行うことが出
来る。
【0080】配向化処理において未配向化窒化ほう素繊
維に印加する引張応力は、加熱処理の加熱処理温度、加
熱処理時間により異なるが、重りを吊すなどして応力を
印加する場合には0.1〜1000MPaの範囲で任意
に選ぶことが出来る。印加する応力が0.1MPaより
小さいと配向化が不十分で引張強度が1400MPaに
達しない場合がある。また、印加する応力が1000M
Paよりも大きいと未配向化繊維が破断する場合があ
る。一方、未配向化窒化ほう素繊維の加熱処理による収
縮を制限して未配向化窒化ほう素繊維に引張応力を印加
する場合、または連続式処理で加熱処理装置への未配向
化窒化ほう素繊維を供給する速度と加熱処理を終えた繊
維を巻き取る速度とを制御して加熱処理による熱収縮を
制限して未配向化窒化ほう素繊維に引張応力を印加する
場合には、延伸率が4〜32%の範囲より選べばよい。
ただし、延伸率(E)は式(1)により定義する。
【0081】 E=100×(Ls−Lf)/Lf (1) Lfは単位長さの窒化ほう素繊維の熱収縮を制限するこ
と無く、すなわち窒化ほう素繊維に引張応力を印加する
こと無く熱処理温度(T℃)に加熱処理した時の繊維試
料長を表し、Lsは単位長さの窒化ほう素繊維を熱収縮
を制限して熱処理温度(T℃)に加熱処理したときの繊
維試料長を表す。
【0082】延伸率が4%よりも小さいと、未配向化窒
化ほう素繊維に印加される引張応力が不十分で、引張強
度が1400MPaに達しない場合がある。また、延伸
率が32%よりも大きいと、加熱処理の過程で未配向化
窒化ほう素繊維が破断する場合がある。
【0083】本発明の複合体は、上述のようにして作製
された引張強度、配向度の高い窒化ほう素繊維がセラミ
ックス、ガラス、又は、無機単結晶からなる母材中に含
まれることにより構成される。
【0084】本発明における母材のうちセラミックスと
しては、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭
化物セラミックス、ほう化物セラミックスなどの公知の
セラミックスが特に制限されることなく用いることがで
きる。
【0085】酸化物セラミックスとしては、酸化アルミ
ニウム、ムライト、酸化亜鉛、酸化ウラニウム、希土類
酸化物(酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ランタ
ン等)、酸化カルシウム、酸化クロム、酸化コバルト、
酸化珪素、珪酸塩化合物(コーディエライト、スポジュ
メン等)、酸化ジルコニウム、ジルコン酸塩、酸化錫、
酸化タングステン、タングステンブロンズ、酸化タンタ
ル、酸化チタン、チタン酸塩、酸化鉄、酸化トリウム、
酸化ニオブ、酸化ニッケル、酸化ハフニウム、酸化バナ
ジウム、酸化バリウム、酸化ビスマス、酸化ベリリウ
ム、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、モリブデンブ
ロンズ、アパタイト等のリン酸塩など、およびこれら酸
化物の固溶体、混合体、複合酸化物、更にこれら酸化物
セラミックスを主成分とした炭化物、窒化物、ほう化
物、金属および合金などとの固溶体または混合体などを
挙げることができる。
【0086】窒化物セラミックスとしては、窒化アルミ
ニウム、窒化珪素、サイアロン、窒化ジルコニウム、窒
化チタン、窒化ほう素など、およびこれら窒化物の固溶
体、混合体、複合窒化物、更に、これらの窒化物セラミ
ックスを主成分とした酸化物、炭化物、ほう化物、金属
および金属間化合物などとの固溶体または混合体などを
挙げることができる。
【0087】炭化物セラミックスとしては、炭化珪素、
炭化タングステン、炭化チタン、炭化ほう素など、およ
びこれら炭化物セラミックスの固溶体、混合体、複合炭
化物、更にこれら炭化物を主成分とした酸化物、窒化
物、ほう化物、金属および合金などとの固溶体または混
合体などを挙げることができる。
【0088】ほう化物セラミックスとしては、ほう化チ
タン、ほう化ジルコニウム、ほう化ハフニウム、ほう化
クロム、ほう化モリブデン、ほう化タングステン、ほう
化ニッケルなど、およびこれらほう化物セラミックスの
固溶体、混合体、複合ほう化物、更にこれらほう化物を
主成分とした酸化物、窒化物、炭化物、金属および合金
などとの固溶体または混合体などを挙げることができ
る。
【0089】本発明における母材のガラスとしては、酸
化物ガラス、フッ化物ガラス、カルコゲンガラスなど公
知のガラスが特に制限されることなく用いることができ
るが、本発明の目的としている高温構造材料という観点
からすれば、好ましくは酸化物ガラスが用いられる。
【0090】酸化物ガラスを具体的に例示すれば、珪酸
ガラス、珪酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ
石灰ガラス、鉛アルカリガラス、バリウムガラス、アル
ミノ珪酸ガラス、ほう珪酸ガラス、リン酸塩ガラス、ほ
う酸塩ガラスなど、およびこれらのガラス中に主に珪酸
塩化合物の結晶相が析出した結晶化ガラス、更にこれら
のガラス中にセラミックス、金属および合金が分散した
複合体などを挙げることができる。
【0091】本発明における無機単結晶としては、各種
セラミックスとして前に述べた酸化物、窒化物、炭化
物、ほう化物などの物質より特に制限なく用いることが
できる。
【0092】しかしながら、単結晶の作製方法にもよる
が、炭化物、窒化物、ほう化物などでは溶融しなかった
り、融点が著しく高いために単結晶の作製が困難な場合
もあるので、より好ましくは酸化物を用いることができ
る。酸化物においても、酸化アルミニウムなどのように
融点が2050℃と非常に高温である場合が多いが、例
えば酸化アルミニウムの場合には酸化アルミニウムと、
酸化アルミニウムと酸化イットリウムなどの一部の希土
類酸化物とが5対3のモル比で反応したガーネット構造
を有する複合酸化物との共晶組成を利用することによ
り、融点を約1800℃まで低下させることができる。
1800℃程度の温度では、本発明における窒化ほう素
繊維は熱による組織変化を生じることなく強度を維持す
ることが可能であるため、本発明の複合体を作製するこ
とが可能となる。もちろんこの場合の母材は共晶組成で
あるので、単結晶中に第2相が析出した構造を取る。す
なわち、上述の例においては、母材は酸化アルミニウム
の単結晶中に、ガーネット構造を有する複合酸化物が析
出した構造を取る。
【0093】これに対し、従来のセラミック繊維では、
1800℃で強度を維持する繊維は無く、この様な複合
材料を作製することは困難である。また、炭素繊維の場
合には熱に対しては安定であるが、例えば、例として挙
げた酸化アルミニウム−酸化イットリウムの系において
は、炭素は酸化イットリウムにより酸化され、一酸化炭
素として揮散するので、同系単結晶を母材とするような
複合材料を作製することは困難であり、適用できる母材
の材質に制限が生じる。
【0094】この様な母材中に窒化ほう素繊維が含まれ
ることにより、本発明の複合体となるが、セラミック
ス、ガラス、又は無機単結晶から成る母材中に含まれる
窒化ほう素繊維の形態および配列構造は特に制限されな
い。すなわち、連続的な窒化ほう素繊維(連続繊維とも
いう)として母材中に存在していても、あるいは、短く
切断された形態(短繊維ともいう)で母材中に存在して
いてもよい。短繊維の長さは均一でも、あるいは分布を
有していてもよい。また、これらの連続繊維および短繊
維は、母材中で、特定の配列構造を持たず空間的に不規
則に存在することも可能であるし、単軸方向あるいは多
軸方向に配列して存在することも可能である。また、連
続繊維を用いる場合には、母材中において、単軸方向あ
るいは多軸方向に配列していても良いし、また、該窒化
ほう素繊維が三次元織物からなる立体的構造を形成して
いてもよい。
【0095】また、本発明の複合体において、母材中に
含まれる窒化ほう素繊維の好ましい体積割合は特に限定
されないが、10〜90%であることが好ましく、より
好ましい体積割合は20〜70%である。
【0096】本発明の、セラミックス、ガラス、又は無
機単結晶から成る母材中に該窒化ほう素繊維が含まれた
複合体は、公知の無機繊維強化セラミックス複合材料の
作製方法を用いて、代表的には以下のようにして製造す
ることができる。
【0097】短繊維を用いて本発明の複合体を製造する
場合には、短繊維と母材の原料を混合する工程、混合物
を所望の形状に成型する工程、および成型体を加熱処理
する工程を経て、本発明の複合体が製造される。
【0098】まず、短繊維と母材の原料を混合する。母
材の原料と混合する短繊維とは、短く切断された形態を
有する該窒化ほう素繊維であり、その好ましい平均長さ
は10μm〜50mmであり、より好ましくは20μm
〜30mmであり、更に好ましくは30μm〜10mm
である。また、この様な短繊維を製造するには、該窒化
ほう素繊維を所望の長さに切断する方法、未配向化窒化
ほう素繊維を所望の長さに切断する方法、あるいは窒化
ほう素前駆体繊維を所望の長さに切断する方法などのい
ずれの方法をも用いることができる。
【0099】短繊維と混合される母材の原料は、前述の
母材を構成するセラミックス、ガラス、又は無機単結晶
となる物質そのもの、および/または後の成型体を加熱
処理する工程において前述の母材のセラミックス、ガラ
ス、又は無機単結晶へと転換し得るものであればよい。
【0100】母材の原料が、母材を構成するセラミック
ス、ガラス、又は無機単結晶となる物質そのものである
場合には、短繊維と均一に混合するため、母材の原料は
粉体であることが好ましい。粉体の粒径は特に限定され
ないが、母材がセラミックスなどの場合には、後の加熱
処理過程における焼結および緻密化を促進するために、
母材の原料粉体の粒径は10μm以下であることが好ま
しく、更に好ましい母材の原料分体の粒径は1μm以下
である。
【0101】加熱処理工程において母材のセラミック
ス、ガラス、又は無機単結晶へと転換し得る母材の原料
としては、母材となる物質の元素の全部あるいは一部を
含有した、アルコキシドあるいは無機高分子などが挙げ
られる。アルコキシドを用いる場合には、加熱処理にお
ける熱分解により母材を形成させることの他に、ゾル−
ゲル法などにより母材を形成させることも可能である。
【0102】母材の原料と短繊維の混合方法は、公知の
方法を採用することができ、例えば、ボールミル、乳鉢
などを用いて混合することができる。このとき、混合は
湿式法および乾式法のいずれを用いてもよい。湿式法で
混合する場合には、母材の原料の懸濁液あるいは溶液と
短繊維とを混合し、混合を終えた後、分散媒あるいは溶
媒を乾燥などにより除去すればよい。また、母材の原料
によっては、母材の原料の融液と短繊維とをガラス点移
転または融点以上の温度において混合することも可能で
ある。或いは、短繊維を母材の原料の懸濁液、溶液、ま
たは融液などの中を通すことにより、母材の原料を短繊
維に被覆あるいは付着させて、母材の原料と短繊維とを
混合することもできる。また、蒸着法、化学蒸着法など
の気相を利用した方法によっても短繊維表面に母材の原
料を被覆することが可能であり、この方法によっても、
母材の原料と短繊維とを混合することができる。
【0103】短繊維と粉体とを混合する場合には、バイ
ンダーと称される結合剤を適宜添加、混合することによ
り、混合物の成型性を向上させることができる場合があ
る。また、母材がセラミックスなどの場合には、母材の
物質により公知の焼結助剤を適宜添加、混合することに
より、得られる複合体の緻密化を促進することが可能な
場合がある。
【0104】以上のようにして得られる短繊維と母材の
原料の混合物を、所望の形状に成型する。混合物の成型
は公知の方法を採用することができ、例えば、一軸成型
および/または冷間静水圧加圧により、成型体を作製す
ることができる。
【0105】成型体を加熱処理することにより、本発明
のセラミックス、ガラス、又は無機単結晶からなる母材
中に窒化ほう素繊維が含まれた複合体が得られる。混合
工程において、結合剤を添加した場合には、該加熱処理
に先立って結合剤を加熱除去(脱脂ともいう)を行う必
要がある場合もある。複合体を作製するための加熱処理
は、母材の種類により、その目的が異なるので、セラミ
ックス、ガラス、および無機単結晶の各々について、以
下に説明する。
【0106】母材をセラミックスとする場合には、この
加熱処理により短繊維と混合した母材の原料が焼結し
て、本発明の目的とする複合体が得られる。混合工程に
おいて、短繊維とアルコキシド又は無機高分子などの母
材となるセラミックスに転換可能なものとを混合した場
合には、これらを熱分解などにより目的とする母材の物
質へと転換させることも行われる。加熱処理の加熱温度
は、母材の物質、混合物中での母材原料の粒径、焼結助
剤の有無などにより異なるので、一律に決定することは
できないが、1000〜2000℃の範囲で加熱処理を
行えばよい。また、母材の原料の焼結を促進し、緻密な
複合体を作製するために、加熱処理中、一軸加圧または
静水圧加圧を行うことが効果的である場合もある。加熱
処理の雰囲気は、酸化性雰囲気であると、高温で母材の
窒化物、炭化物、ほう化物または窒化ほう素繊維が酸化
してしまう場合があるので、非酸化性雰囲気下で加熱処
理を行うことが好ましい。非酸化性雰囲気下で加熱処理
を行うためには、窒素、アルゴンまたはヘリウムなどの
不活性ガス雰囲気下で加熱処理を行うか、真空下で加熱
処理を行えばよい。
【0107】母材をガラスとする場合には、母材を均一
なガラス相とする場合と、母材をガラス粒子の焼結体と
する場合に分けられる。母材を均一なガラス相とする場
合には、加熱処理は母材の溶融温度以上で行い、その後
に徐冷すればよい。ガラスの溶融温度はその組成などに
より大きく異なるので、加熱処理の加熱温度を一律に決
定することはできないが、800〜2000℃の範囲で
加熱処理を行えばよい。また、混合物の成型体全体を溶
融温度以上に加熱すると、母材の窒化ほう素繊維との比
重の差により分離してしまうことがある。そのような場
合には、帯域溶融法または浮融帯法により母材の原料を
連続的に溶融、固化させることにより、均一な複合体を
形成することができる。
【0108】一方、母材をガラス粒子の焼結体とする場
合には、加熱処理は一般に母材のガラス転移温度付近で
行われる。ガラス転移温度は、ガラスの組成および熱履
歴などにより大きく異なるので、加熱処理の加熱温度を
一律に決定することはできないが、400〜1600℃
の範囲で加熱することにより、短繊維と混合された母材
の原料が焼結し、母材をガラス粒子の焼結体とする複合
体が得られる。このとき、母材をセラミックスとする場
合と同様に、加熱処理中、一軸加圧または静水圧加圧を
行うことにより、焼結が促進され緻密な複合体が得られ
る場合がある。
【0109】加熱処理を行うときの雰囲気は、酸化性雰
囲気であると、高温で母材のフッ化物ガラス、カルコゲ
ンガラスまたは窒化ほう素繊維が酸化してしまう場合が
あるので、非酸化性雰囲気下で加熱処理を行うことが好
ましい。非酸化性雰囲気下で加熱処理を行うためには、
窒素、アルゴンまたはヘリウムなどの不活性ガス雰囲気
下で加熱処理を行うか、真空下で加熱処理を行えばよ
い。
【0110】母材をガラスとする場合には、複合体を形
成した後、更に加熱処理を行うことにより母材のガラス
より結晶相を析出させ結晶化ガラスとすることも可能な
場合がある。
【0111】母材を無機単結晶とする場合には、母材と
短繊維の混合物からなる成型体を母材の融点または共融
点などの熔融温度以上に加熱した後、冷却して母材を単
結晶化することにより複合体を製作することができる。
母材の融点は物質およびその組合せにより異なるので、
加熱処理の加熱温度を一律に決定することはできない
が、1000℃〜2300℃の範囲で加熱処理を行えば
よい。加熱温度が2300℃を越えると、窒化ほう素の
分解が始まるので2300℃より高い温度で加熱処理を
行うのは好ましくない。また、混合物の成型体全体を母
材の融点以上に加熱すると、母材の窒化ほう素繊維との
比重の差により分離してしまうことがある。そのような
場合には、帯域溶融法または浮融帯法により母材の原料
を連続的に溶融、結晶化させることにより、均一な複合
体を形成することができる。
【0112】加熱処理の雰囲気は、酸化性雰囲気である
と、高温で母材の窒化物、炭化物、ほう化物または窒化
ほう素繊維が酸化してしまう場合があるので、非酸化性
雰囲気下で加熱処理を行うことが好ましい。非酸化性雰
囲気下で加熱処理を行うためには、窒素、アルゴンまた
はヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下で加熱処理を行う
か、真空下で加熱処理を行えばよい 連続繊維を用いて本発明の複合体を製造するには、公知
の方法を用いることができ、例えば、 I) 予め母材の原料を連続繊維表面に被覆あるいは付
着させた後、この被覆繊維を成型、加熱処理することに
より複合体を製造する方法 または、 II) 連続繊維により構造体を形成した後、母材の原
料を構造体中に浸透させ、加熱処理することにより複合
体を製造する方法 などの何れの方法をも用いることができる。
【0113】I)の方法において、連続繊維表面への母
材の原料の被覆あるいは付着は、公知の方法により達成
することができ、例えば、連続繊維を母材の原料の懸濁
液、溶液または融液などの中に通すことにより達成され
る。このとき、母材の原料と同時に、バインダーと称さ
れる結合剤を添加することにより、次の工程における成
型を容易にすることができる場合がある。また、母材が
セラミックスなどの場合には、母材の物質により公知の
焼結助材を適宜添加することにより、得られる複合体の
緻密化を促進することが可能な場合がある。また、蒸着
法、化学蒸着法などの気相を利用した方法によっても連
続繊維表面へ母材の原料を被覆することができる。以
下、この表面に母材の原料が被覆された、または付着し
た連続繊維を単に被覆繊維ともいう。
【0114】被覆繊維からなる成型体は、被覆繊維が一
方向に配列したシートを積層させる方法、被覆繊維を2
次元織物として積層させる方法、または被覆繊維を3次
元織物とする方法などにより成型体を作製することがで
きる。
【0115】このようにして作製された成型体を加熱処
理することにより、本発明のセラミックス、ガラス、又
は無機単結晶からなる母材中に窒化ほう素繊維が含まれ
た複合体が得られる。連続繊維表面に母材と原料を被覆
あるいは付着させた際、結合剤を添加した場合には、加
熱処理に先立って結合剤を加熱除去(脱脂ともいう)を
行う必要がある場合もある。加熱処理は、母材の種類に
より、短繊維を用いて複合体を作製した場合と同様の熱
処理を行うことにより、母材中に連続繊維である窒化ほ
う素繊維が含まれた複合体を作製することができる。
【0116】II)の方法により本発明の複合体を作製
する場合、すなわち、連続繊維により構造体を形成した
後、母材の原料を構造体中に浸透させ、加熱処理するこ
とにより複合体を製造する場合には、例えば、以下のよ
うに複合体が作製される。
【0117】まず、連続繊維を一方向に配列したシート
を積層させる方法、連続繊維を2次元織物とした後、積
層させる方法、または連続繊維を3次元織物とする方法
などにより、連続繊維からなる構造体を作製する。この
構造体中の連続繊維の間隙に母材の原料を浸透させ、成
型体を作製する。母材の原料を浸透させる方法として
は、母材の原料の懸濁液、溶液または融液などに構造体
を浸漬する方法、または化学的気相浸透法(chemical v
apor infiltration、以下、CVIともいう)により、
気相として母材原料を供給し、構造体中の連続繊維の間
隙に母材を析出させる方法などが挙げられる。
【0118】このようにして作製された成型体は、短繊
維を用いる場合に述べたと同様の方法で加熱処理を行う
ことにより、本発明の複合体を作製することができる。
更に、母材の原料の浸透、加熱処理を繰り返すことによ
り、複合体の緻密化を進めることが可能な場合がある。
尚、CVIにより成型体を作製する場合には、CVIを
終えた段階で既に緻密な母材が形成されている場合があ
るので、加熱処理を特に必要としない場合がある。
【0119】また、以上述べた方法と同様にして、未配
向化窒化ほう素繊維を用いてセラミックス系材料を母材
とする複合体を作製すると、複合体作製時の熱処理時、
母材との熱膨張率の差により高温状態で繊維に引張り応
力が印加され、窒化ほう素繊維が配向化、高強度化する
ことが可能な場合がある。従って、この方法によって
も、本発明の複合体を作製する事が可能である。
【0120】
【発明の効果】本発明は、耐熱性、耐酸化性とともに高
い引張強度を兼ね備えた窒化ほう素繊維からなる無機複
合体用充填材料を提供し、これにより、セラミックス系
材料の優れた熱的、化学的性質を保ちつつ、破壊靱性の
向上が果たされた複合体の作製が可能となり、セラミッ
クス系材料を高温構造材料として使用することが可能と
なった。
【0121】
【実施例】以下実施例を用いて本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに何等限定されるものではない。
【0122】実施例1 容量1リットルの三口フラスコの中管にスターラー、側
管の一つに三塩化ほう素が入ったボンベを連結したデュ
ワー型コールドフィンガー、残りの側管に玉入冷却管を
それぞれ取り付けた。玉入冷却管にはデュワー型コール
ドフィンガーを取り付け、コールドフィンガーの出口に
塩化カルシウム管を取り付けた。この装置に乾燥窒素を
毎分200mlで4時間流通して装置内を乾燥した後、
無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥したクロロベンゼン30
0ml及びアセトニトリル16.4gを加えた。2つの
コールドフィンガーにドライアイス−アセトンを満た
し、スターラーで攪はんしながら、三口フラスコに直接
取り付けたコールドフィンガーより三塩化ほう素60g
を2時間かけて凝縮、滴下した。これにより、白色の三
塩化ほう素−アセトニトリル付加物が生成した。三塩化
ほう素を滴下し終えた後、三口フラスコに直接取り付け
たコールドフィンガーを取り外し、110℃で一晩乾燥
した塩化アンモニウム21.5gを加えた。この懸濁液
を125℃に8時間加熱すると、塩化水素の発生がほと
んどなくなり、褐色沈澱が生成した。生成した沈澱を濾
別し、クロロベンゼン100mlで洗浄し、減圧乾燥し
て窒化ほう素前駆体24g(収率83%)を得た。
【0123】この窒化ほう素前駆体10gをN,N−ジ
メチルホルムアミド(DMF)200mlに溶解した
後、DMF100mlを蒸発除去することにより均一な
粘性の溶液を得た。この溶液を直径60μmの孔を有す
る紡糸ノズルより吐出し、巻き取ることにより、直径約
20μmの連続した窒化ほう素前駆体繊維を紡糸した。
【0124】紡糸した窒化ほう素前駆体繊維を、窒素気
流中、昇温速度1℃/minで室温から400℃まで昇
温し、400℃に到達した後に室温まで放冷して加熱処
理を行った。次いで、アンモニアガス雰囲気中、昇温速
度2℃/minで室温から1000℃まで昇温し、10
00℃に到達した後に冷却速度5℃/minで500℃
まで冷却し、その後室温まで放冷して加熱処理を行っ
た。これにより、直径約15μmの白色の未配向化窒化
ほう素繊維を得た。
【0125】この未配向化窒化ほう素繊維を、周囲12
2mmのループ状に巻取り、ループ形状を保ったまま、
周囲103mmの窒化ほう素製型枠に掛け、そのまま窒
素気流中、昇温速度10℃/minで室温から1800
℃まで昇温し、1800℃で30分間保持し、冷却速度
5℃/minで500℃まで冷却し、その後室温まで放
冷して結晶配向化処理を行った。処理後、窒化ほう素繊
維は破断したり、解ける事なく型枠に巻き付いた状態を
保っていた。この延伸率は12.7%であった。これに
より、配向度0.78、引張強度1400MPaの窒化
ほう素繊維が得られた。。
【0126】一方、平均粒径0.2μmの窒化アルミニ
ウムに焼結助剤として酸化イットリウム5重量%を加え
た窒化アルミニウムと酸化イットリウムの混合粉末10
0gをトルエン100gに加えた。この混合液をポリエ
チレン製のポットおよび被覆ボールからなるボールミル
を用いて、4時間混合して窒化アルミニウムと酸化イッ
トリウムの混合粉末の懸濁液を調製した。
【0127】この懸濁液に、前述の窒化ほう素繊維50
0本からなる束を浸した後、これを懸濁液より引き揚
げ、一方向に配列したシート状に整形して分散媒である
トルエンを乾燥、除去して被覆繊維を作製した。
【0128】このシート状の被覆繊維を繊維軸方向を一
定にして積層して、50mm×50mm×10mmに成
型し、窒素雰囲気下、50MPaの圧力で一軸加圧しな
がら、1900℃で1時間加熱して窒化ほう素繊維を含
む窒化アルミニウム複合体を得た。この複合体におい
て、窒化ほう素繊維の占める割合は約40体積%であっ
た。
【0129】該焼結体の曲げ強度は350MPaであ
り、破断面に繊維のプルアウトが観察され、SENB
(single edge notched bend bar)法[ASTM Standard E
399-81(Annual Book of ASTM Standards(1981) Part 10
に準拠]により測定された破壊靱性KICは15.3M
Pa・m1/2であった。
【0130】尚、窒化ほう素繊維を含まない窒化アルミ
ニウム焼結体の破壊靱性KICは3.5MPa・m1/2
あった。
【0131】実施例2 平均粒径0.2μmの窒化アルミニウムに焼結助剤とし
て酸化イットリウム5重量%を加えた窒化アルミニウム
と酸化イットリウムの混合粉末100gをトルエン10
0gに加えた。この混合液をポリエチレン製のポットお
よび被覆ボールからなるボールミルを用いて、4時間混
合して窒化アルミニウムと酸化イットリウムの混合粉末
の懸濁液を調製した。
【0132】一方、実施例1と同様にして作製した未配
向化窒化ほう素繊維を、周囲122mmのループ上に巻
取り、ループ形状を保ったまま、周囲107mmの窒化
ほう素製型枠に掛け、そのまま窒素気流中、昇温速度1
0℃/minで室温から2000℃まで昇温し、200
0℃で30分間保持し、冷却速度5℃/minで500
℃まで冷却し、その後室温まで放冷して結晶配向化処理
を行った。処理後、窒化ほう素繊維は破断したり、解け
る事なく型枠に巻き付いた状態を保っていた。このとき
の延伸率は20.2%であった。得られた窒化ほう素繊
維の配向度は0.80、引張強度は1970MPaであ
った。
【0133】このようにして作製した窒化ほう素繊維5
00本からなる束を、前述の懸濁液に浸した後、これを
懸濁液より引き揚げ、一方向に配列したシート状に整形
して分散媒であるトルエンを乾燥、除去して被覆繊維を
作製した。
【0134】このシート状の被覆繊維を繊維軸方向を一
定にして積層して、50mm×50mm×10mmに成
型し、窒素雰囲気下、50MPaの圧力で一軸加圧しな
がら、1900℃で1時間加熱して窒化ほう素繊維を含
む窒化アルミニウム複合体を得た。この複合体におい
て、窒化ほう素繊維の占める割合は約40体積%であっ
た。
【0135】該焼結体の曲げ強度は380MPaであ
り、破断面に繊維のプルアウトが観察され、SENB法
により測定された破壊靱性KICは17.6MPa・m
1/2であった。
【0136】実施例3 平均粒径0.2μmの窒化アルミニウムに焼結助剤とし
て酸化イットリウム5重量%を加えた窒化アルミニウム
と酸化イットリウムの混合粉末100gをトルエン10
0gに加えた。この混合液をポリエチレン製のポットお
よび被覆ボールからなるボールミルを用いて、4時間混
合して窒化アルミニウムと酸化イットリウムの混合粉末
の懸濁液を調製した。
【0137】一方、実施例1と同様にして作製した未配
向化窒化ほう素繊維を、周囲122mmのループ上に巻
取り、ループ形状を保ったまま、周囲111mmの窒化
ほう素製型枠に掛け、そのまま窒素気流中、昇温速度1
0℃/minで室温から2000℃まで昇温し、200
0℃で30分間保持し、冷却速度5℃/minで500
℃まで冷却し、その後室温まで放冷して結晶配向化処理
を行った。処理後、窒化ほう素繊維は破断したり、解け
る事なく型枠に巻き付いた状態を保っていた。このとき
の延伸率は24.7%であった。得られた窒化ほう素繊
維の配向度は0.82、引張強度は2300MPaであ
った。
【0138】このようにして作製した窒化ほう素繊維5
00本からなる束を、前述の懸濁液に浸した後、これを
懸濁液より引き揚げ、一方向に配列したシート状に整形
して分散媒であるトルエンを乾燥、除去して被覆繊維を
作製した。
【0139】このシート状の被覆繊維を繊維軸方向を一
定にして積層して、50mm×50mm×10mmに成
型し、窒素雰囲気下、50MPaの圧力で一軸加圧しな
がら、1900℃で1時間加熱して窒化ほう素繊維を含
む窒化アルミニウム複合体を得た。この複合体におい
て、窒化ほう素繊維の占める割合は約40体積%であっ
た。
【0140】該焼結体の曲げ強度は420MPaであ
り、破断面に繊維のプルアウトが観察され、SENB法
により測定された破壊靱性KICは20.1MPa・m
1/2であった。
【0141】実施例4 平均粒径0.2μmの酸化アルミニウムに焼結助剤とし
て酸化マグネシウム0.25重量%を加えた酸化アルミ
ニウムと酸化マグネシウムの混合粉末100gをトルエ
ン100gに加えた。この混合液をポリエチレン製のポ
ットおよび被覆ボールからなるボールミルを用いて、4
時間混合して酸化アルミニウムと酸化マグネシウムの混
合粉末の懸濁液を調製した。
【0142】この懸濁液に、実施例1と同様に製造され
た窒化ほう素繊維500本からなる束を浸した後、これ
を懸濁液より引き揚げ、一方向に配列したシート状に整
形して分散媒であるトルエンを乾燥、除去して被覆繊維
を作製した。
【0143】このシート状の被覆繊維を繊維軸方向を一
定にして積層して、50mm×50mm×10mmに成
型し、窒素雰囲気下、50MPaの圧力で一軸加圧しな
がら、1700℃で1時間加熱して窒化ほう素繊維を含
む酸化アルミニウム複合体を得た。この複合体におい
て、窒化ほう素繊維の占める割合は約40体積%であっ
た。
【0144】該焼結体の曲げ強度は400MPaであ
り、破断面に繊維のプルアウトが観察され、SENB法
により測定された破壊靱性KICは16.5MPa・m
1/2であった。
【0145】尚、窒化ほう素繊維を含まない酸化アルミ
ニウム焼結体の破壊靱性KICは4.5MPa・m1/2
あった。
【0146】実施例5 平均粒径0.2μmのα型炭化珪素に焼結助剤として炭
化ほう素(B4C)5.0重量%を加えたα型炭化珪素
と炭化ほう素の混合粉末100gをトルエン100gに
加えた。この混合液をポリエチレン製のポットおよび被
覆ボールからなるボールミルを用いて、4時間混合して
α型炭化珪素と炭化ほう素の混合粉末の懸濁液を調製し
た。
【0147】この懸濁液に、実施例1と同様に製造され
た窒化ほう素繊維500本からなる束を浸した後、これ
を懸濁液より引き揚げ、一方向に配列したシート状に整
形して分散媒であるトルエンを乾燥、除去して被覆繊維
を作製した。
【0148】このシート状の被覆繊維を繊維軸方向を一
定にして積層して、50mm×50mm×10mmに成
型し、窒素雰囲気下、70MPaの圧力で一軸加圧しな
がら、1950℃で1時間加熱して窒化ほう素繊維を含
む炭化珪素複合体を得た。この複合体において、窒化ほ
う素繊維の占める割合は約40体積%であった。
【0149】該焼結体の曲げ強度は500MPaであ
り、破断面に繊維のプルアウトが観察され、SENB法
により測定された破壊靱性KICは18.9MPa・m
1/2であった。
【0150】尚、窒化ほう素繊維を含まない炭化珪素焼
結体の破壊靱性KICは4.3MPa・m1/2であった。
【0151】実施例6 平均粒径0.2μmのβ型窒化珪素に焼結助剤として酸
化マグネシウム5.0重量%を加えたβ型窒化珪素と酸
化マグネシウムの混合粉末100gをトルエン100g
に加えた。この混合液をポリエチレン製のポットおよび
被覆ボールからなるボールミルを用いて、4時間混合し
てβ型窒化珪素と酸化マグネシウムの混合粉末の懸濁液
を調製した。
【0152】この懸濁液に、実施例1と同様に製造され
た窒化ほう素繊維500本からなる束を浸した後、これ
を懸濁液より引き揚げ、一方向に配列したシート状に整
形して分散媒であるトルエンを乾燥、除去して被覆繊維
を作製した。
【0153】このシート状の被覆繊維を繊維軸方向を一
定にして積層して、50mm×50mm×10mmに成
型し、窒素雰囲気下、50MPaの圧力で一軸加圧しな
がら、1900℃で1時間加熱して窒化ほう素繊維を含
む窒化珪素複合体を得た。この複合体において、窒化ほ
う素繊維の占める割合は約40体積%であった。
【0154】該焼結体の曲げ強度は530MPaであ
り、破断面に繊維のプルアウトが観察され、SENB法
により測定された破壊靱性KICは21.8MPa・m
1/2であった。
【0155】尚、窒化ほう素繊維を含まない窒化珪素焼
結体の破壊靱性KICは6.5MPa・m1/2であった。
【0156】実施例7 平均粒径0.2μmの窒化アルミニウムに焼結助剤とし
て酸化イットリウム5重量%を加え、更に、実施例1と
同様にして作製した窒化ほう素繊維を長さ約5mmに切
断した短繊維を窒化アルミニウムに対して40体積%に
なるように加えた。この混合物100gにトルエン10
0gを加え、ポリエチレン製のポットおよび被覆ボール
からなるボールミルを用いて、4時間混合した。
【0157】得られた懸濁液状の混合物より、分散媒で
あるトルエンを乾燥、除去した後、仮名型プレスにより
50mm×50mm×10mmに成型し、窒素雰囲気
下、50MPaの圧力で一軸加圧しながら、1900℃
で1時間加熱して窒化ほう素繊維を含む窒化アルミニウ
ム複合体を得た。
【0158】該焼結体の曲げ強度は300MPaであ
り、破断面に繊維のプルアウトが観察され、SENB法
により測定された破壊靱性KICは12.0MPa・m
1/2であった。
【0159】比較例1 平均粒径0.2μmの窒化アルミニウムに焼結助剤とし
て酸化イットリウム5重量%を加えた窒化アルミニウム
と酸化イットリウムの混合粉末100gをトルエン10
0gに加えた。この混合液をポリエチレン製のポットお
よび被覆ボールからなるボールミルを用いて、4時間混
合して窒化アルミニウムと酸化イットリウムの混合粉末
の懸濁液を調製した。
【0160】この懸濁液に、引張強度3GPaのPAN
系炭素繊維500本からなる束を浸した後、これを懸濁
液より引き揚げ、一方向に配列したシート状に整形して
分散媒であるトルエンを乾燥、除去して被覆繊維を作製
した。
【0161】このシート状の被覆繊維を繊維軸方向を一
定にして積層して、50mm×50mm×10mmに成
型し、窒素雰囲気下、50MPaの圧力で一軸加圧しな
がら、1900℃で1時間加熱した。焼成後、炭素繊維
は酸化消耗しており、窒素雰囲気中における炭素繊維と
酸化イットリウムの反応生成物である窒化イットリウム
の生成がX線回折により確認された。
【0162】比較例2 平均粒径0.2μmの窒化アルミニウムに焼結助剤とし
て酸化イットリウム5重量%を加え、更に、市販の炭化
珪素繊維を長さ約5mmに切断した短繊維を窒化アルミ
ニウムに対して40体積%になるように加えた。この混
合物100gにトルエン100gを加え、ポリエチレン
製のポットおよび被覆ボールからなるボールミルを用い
て、4時間混合した。
【0163】得られた懸濁液状の混合物より、分散媒で
あるトルエンを乾燥、除去した後、金型プレスにより5
0mm×50mm×10mmに成型し、窒素雰囲気下、
50MPaの圧力で一軸加圧しながら、1900℃で1
時間加熱して炭化珪素繊維を含む窒化アルミニウム複合
体を得た。
【0164】該焼結体の曲げ強度は150MPaであ
り、繊維は焼成前に比べ粗大化した炭化系素粒子におい
て破断しており、プルアウトは観察されなかった。SE
NB法により測定された破壊靱性KICは2.8MPa・
1/2であった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス、ガラス、又は無機単結晶
    からなる母材中に、ほう素と窒素が交互に結合して作ら
    れた6員環が該6員環の面方向に連結して形成された面
    (C面)が積層した構造を有する窒化ほう素からなる窒
    化ほう素繊維であって、少なくとも1400MPaの引
    張強度を有する窒化ほう素繊維が含まれた繊維強化セラ
    ミックス系複合体。
  2. 【請求項2】 セラミックス、ガラス、又は無機単結晶
    からなる母材中に、ほう素と窒素が交互に結合して作ら
    れた6員環が該6員環の面方向に連結して形成された面
    (C面)が積層した構造を有する窒化ほう素からなる窒
    化ほう素繊維であって、該C面の少なくとも一部は該窒
    化ほう素繊維の繊維軸に実質的に平行に配向しており、
    該C面の配向度が少なくとも0.74である窒化ほう素
    繊維が含まれた繊維強化セラミックス系複合体。
  3. 【請求項3】 ほう素と窒素が交互に結合して作られた
    6員環が該6員環の面方向に連結して形成された面(C
    面)が積層した構造を有する窒化ほう素からなる窒化ほ
    う素繊維であって、少なくとも1400MPaの引張強
    度を有する窒化ほう素繊維からなるセラミックス系複合
    体用充填材料。
  4. 【請求項4】 ほう素と窒素が交互に結合して作られた
    6員環が該6員環の面方向に連結して形成された面(C
    面)が積層した構造を有する窒化ほう素からなる窒化ほ
    う素繊維であって、該C面の少なくとも一部は該窒化ほ
    う素繊維の繊維軸に実質的に平行に配向しており、該C
    面の配向度が少なくとも0.74である窒化ほう素繊維
    からなるセラミックス系複合体用充填材料。
JP7238270A 1995-09-18 1995-09-18 繊維強化セラミックス系複合体 Pending JPH0977570A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7238270A JPH0977570A (ja) 1995-09-18 1995-09-18 繊維強化セラミックス系複合体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7238270A JPH0977570A (ja) 1995-09-18 1995-09-18 繊維強化セラミックス系複合体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0977570A true JPH0977570A (ja) 1997-03-25

Family

ID=17027694

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7238270A Pending JPH0977570A (ja) 1995-09-18 1995-09-18 繊維強化セラミックス系複合体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0977570A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110066176A (zh) * 2019-05-13 2019-07-30 山东理工大学 氮化硼纤维增强硅硼氧氮陶瓷基复合材料的制备方法
JP2022103110A (ja) * 2020-12-25 2022-07-07 東ソー株式会社 セラミックマトリックス複合材料およびその製造方法
CN120717797A (zh) * 2025-09-03 2025-09-30 中国北方发动机研究所(天津) 氮化硼纳米管/氮化硅复合粉体及其制备方法和应用

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110066176A (zh) * 2019-05-13 2019-07-30 山东理工大学 氮化硼纤维增强硅硼氧氮陶瓷基复合材料的制备方法
JP2022103110A (ja) * 2020-12-25 2022-07-07 東ソー株式会社 セラミックマトリックス複合材料およびその製造方法
EP4269373A4 (en) * 2020-12-25 2025-02-05 Tosoh Corporation CERAMIC MATRIX COMPOSITE AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF
CN120717797A (zh) * 2025-09-03 2025-09-30 中国北方发动机研究所(天津) 氮化硼纳米管/氮化硅复合粉体及其制备方法和应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5817432A (en) Silicon carbide reinforced reaction bonded silicon carbide composite
JP3760855B2 (ja) 窒化ホウ素被覆炭化ケイ素系セラミックス繊維及びその製造方法並びに該繊維で強化されたセラミックス基複合材料
WO1995025834A1 (fr) Fibre de nitrure de bore et procede de production
JPH05105521A (ja) 炭素繊維強化窒化珪素質ナノ複合材及びその製造方法
CN110002890A (zh) 一种Cf/HfC-SiC超高温陶瓷基复合材料及其制备方法
EP2549001A1 (en) Inorganic fibers for fiber bundles, process for production of the inorganic fibers, inorganic fiber bundles for composite material produced using the inorganic fibers, and ceramic-based composite material reinforced by the fiber bundles
Gottlieb et al. Continuous fiber-reinforced ceramic matrix composites
JP3979311B2 (ja) 炭化ケイ素系セラミックス繊維及びその製造方法
USH1682H (en) Method for producing ceramic coatings on fibers
JP3218092B2 (ja) 耐酸化性c/c複合材の製造方法
JPH0977570A (ja) 繊維強化セラミックス系複合体
JP3279134B2 (ja) 高耐熱セラミックス繊維及びその製造方法
JP2003113537A (ja) 窒化ホウ素層を繊維表面に有する炭化珪素繊維及びその製造方法
JPH04218535A (ja) 繊維強化複合材料およびその製造方法
JPH07108840B2 (ja) SiCウイスカーの表面改質法およびFRC焼結体の製造方法
JP3374169B2 (ja) セラミックス複合材料
JP2001181046A (ja) 無機繊維結合セラミックス及びその製造方法並びにそれを用いた高表面精度部材
JPH0881275A (ja) SiC基繊維複合材料の製造方法
JP3682094B2 (ja) 炭素繊維強化炭素複合材の製造方法
JPH093727A (ja) 炭窒化ほう素繊維およびその製造方法
JPH10120472A (ja) 無機繊維強化セラミックス複合材料
JP3193911B2 (ja) 高温耐久性に優れたセラミックス基複合材料
JP5668550B2 (ja) 繊維束用無機繊維、及びその繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束、並びにその繊維束で強化されたセラミックス基複合材料
JPH03109269A (ja) 炭素繊維強化サイアロン基セラミックス複合材料
JP5668575B2 (ja) 繊維束用無機繊維、及びその繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束、並びにその繊維束で強化されたセラミックス基複合材料