JPH0940509A - 壺状菌病抑制剤 - Google Patents

壺状菌病抑制剤

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JPH0940509A
JPH0940509A JP19373795A JP19373795A JPH0940509A JP H0940509 A JPH0940509 A JP H0940509A JP 19373795 A JP19373795 A JP 19373795A JP 19373795 A JP19373795 A JP 19373795A JP H0940509 A JPH0940509 A JP H0940509A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノリ病害の抑制に対して従来より種々の提案
がなされているが、特に壺状菌病に対しての有効なもの
はなかった。ノリの養殖においてノリ細胞内に寄生する
壺状菌病を抑制し、しかもノリ葉体に悪影響のないノリ
養殖用病害駆除剤を提供することを目的とする。 【解決手段】 フマル酸モノナトリウム塩及び/または
フマル酸モノカリウム塩を含有し、更に水溶性有機カル
ボン酸及び/または水溶性リン化合物を含有する壺状菌
病抑制剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノリ養殖におい
て、ノリ葉体の細胞内に寄生する壺状菌を選択的に駆除
し、壺状菌病の発生及び蔓延を抑制する薬剤に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ノリ養殖において、多大の被害を与える
病害として、白ぐされ病,あかぐされ病,壺状菌病等が
一般的に良く知られている。これらの病害は、ノリ葉体
に付着した雑菌類や、ノリの細胞内に寄生する菌類が原
因となっており、短時間に多発,蔓延し、この蔓延の度
合いも激しいものである。従って、これらの病害対策は
ノリ養殖上極めて重要な課題である。
【0003】ノリ葉体やノリ網に付着した雑菌類の駆除
方法としては、ノリ網を干しだす方法や冷凍保存する方
法(従来例,)が古くから知られている。しかしな
がら、これらの方法では壺状菌は十分には死滅しない。
【0004】また他に、特開昭50−121425号公
報(従来例)には、炭素数1ないし4の飽和脂肪族モ
ノカルボン酸,炭素数2ないし4の飽和または不飽和ジ
カルボン酸,グリコール酸,乳酸,酒石酸,リンゴ酸,
クエン酸よりなる群から選択される1種または2種以上
の有機カルボン酸を有効成分として有する薬剤が示さ
れ、この薬剤にノリ網等を浸漬処理する方法が開示され
ている。該従来例は藻類を防除する低毒性の薬剤とし
て有効に作用している。
【0005】しかしながら、壺状菌に対しては、壺状菌
が小菌体でノリ細胞内に寄生する為、有効成分の有機カ
ルボン酸をかなり高濃度として浸漬処理を行っても、駆
除効果は思わしくなく、加えて、濃度が高くなりpHの
低い処理液となる為、逆にノリ細胞が死滅してしまうと
いう問題を生じ、従来例ではノリ細胞を傷めずに選択
的に壺状菌を駆除することは極めて困難である。
【0006】他に、特開昭59−159725号公報に
示される様に、塩化水素を海水に混合した塩化水素製剤
と、マラカイトグリーン製剤とを同時に使用する方法
(従来例)や、特開平1−313403号公報に示さ
れる様に、キトサンを海水に溶解してなるノリ用病害防
除剤をノリ網に散布または塗布するという方法(従来例
)が提案されている。
【0007】しかし、従来例では、塩化水素の取扱い
が危険であり、またマラカイドグリーンが毒性を有する
為、健康食品としてのノリのイメージを悪くするといっ
た問題がある。また従来例については、キトサンが海
水に対して溶解度が極めて小さい為、実用的ではない。
【0008】また他に、特開平7−17806号公報に
は、フマル酸モノナトリウム塩および/またはフマル酸
モノカリウム塩と有機カルボン酸を含有する駆除剤が示
され(従来例)、あかぐされ病の抑制に効果を発揮し
ている。
【0009】しかし、あかぐされ病はPythium 属のあか
ぐされ病菌による病気であり、該菌は菌糸がノリ細胞を
貫通して、細胞内容を栄養として摂取するというもので
あるのに対し、壺状菌病はクサリツボカビ目Lagenidial
esのツボカビモドキ属Olpidiopsis の一種の菌によって
発生する病気であり、該菌は栄養吸収の為の仮根を持た
ず、ノリ葉体の細胞に内部寄生し、菌体がそのまま遊走
子の様に発育するものであって、これらあかぐされ病と
壺状菌病は全く異なる病気である。従って従来例が壺
状菌病に対して有効であるかどうか予想できるものでは
なかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上の様に、ノリ病害
の抑制に対して種々の提案がなされているが、特に壺状
菌病に対しての有効なものはなかった。本発明において
は、壺状菌病の寄生が確認されたノリ養殖漁場、あるい
は更に壺状菌病が蔓延したノリ養殖漁場において、ノリ
葉体に悪影響がなく、短時間に壺状菌病を抑制すること
のできる壺状菌病抑制剤を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る壺状菌病抑
制剤は、フマル酸モノナトリウム塩及び/またはフマル
酸モノカリウム塩を含有し、更に水溶性有機カルボン酸
及び/または水溶性リン化合物を含有することを要旨と
する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明においては、上記の様な薬
剤の組合わせとすることによって、ノリの養殖における
ノリ葉体に悪影響を及ぼす様なpHや高濃度にしなくと
も、ノリ葉体細胞に寄生する壺状菌を駆除することがで
きる。
【0013】本発明における活性成分であるフマル酸モ
ノナトリウム塩,フマル酸モノカリウム塩,有機カルボ
ン酸,リン化合物は、水または海水に溶解させることが
容易であり、この様に水や海水に溶解することができる
から、ノリ養殖の現場における使用に便利である。
【0014】本発明の壺状菌病抑制剤は粉末もしくは濃
厚液または希釈液として提供されるが、予め水または海
水に溶解して使用することが推奨される。該溶解液のp
Hは1.5〜3.5が好ましく、より好ましくはpH
2.0〜3.0の範囲であり、更により好ましくpH
2.3〜3.0である。pH1.5未満ではノリ葉体自
体が死滅する危険性があり、一方pH3.5を超えると
駆除効果が低下するからである。
【0015】本発明におけるフマル酸モノナトリウム塩
および/またはフマル酸モノカリウム塩の含有量は、
0.01〜3.0重量%が好ましく、より好ましくは
0.03〜2.0重量%である。0.01重量%未満で
は壺状菌病の抑制効果が不十分であり、一方3.0重量
%を超える濃度としても壺状菌病の抑制効果が飽和する
からである。尚、このうちフマル酸モノナトリウム塩は
安価であるから最も好ましい。
【0016】本発明に係る壺状菌病抑制剤は前述の様
に、pH2.3〜3.0の範囲で最も効果を発揮する。
従って、例えばフマル酸モノナトリウム塩を海水に溶解
したときのpHは3.5となるから、水溶性有機カルボ
ン酸及び/または水溶性リン化合物を用いてpHを下げ
る。
【0017】尚、フマル酸モノナトリウム塩やフマル酸
モノカリウム塩に替えてフマル酸ジナトリウム塩やフマ
ル酸ジカリウム塩を用いた場合は、前記pH範囲にする
には、水溶性有機カルボン酸や水溶性リン化合物の添加
量が多くなり過ぎ、ノリ葉体に悪影響を及ぼすから、適
当でない。
【0018】本発明における有機カルボン酸としては、
食品添加物として認められているもののうち海水中で速
やかに溶解して分解する化合物が推奨され、具体的に
は、乳酸,酒石酸,リンゴ酸,クエン酸,フマル酸,コ
ハク酸,グルコン酸等が挙げられる。これらの有機カル
ボン酸のうちの1種を用いる様にしても良く、また2種
以上混合して使用しても良い。
【0019】本壺状菌病抑制剤の効果を有効に発揮させ
る前記pHに調整する為、前記フマル酸モノナトリウム
塩および/またはフマル酸モノカリウム塩に対する有機
カルボン酸の混合比率としては、フマル酸モノナトリウ
ム塩および/またはフマル酸モノカリウム塩の単位重量
に対して、有機カルボン酸が0.1〜10倍が好まし
く、より好ましくは0.2〜5.0倍である。
【0020】本発明におけるリン化合物としては、イノ
シットヘキサリン酸,オルソリン酸,無水リン酸,亜リ
ン酸,次亜リン酸,或いはリン酸ナトリウムやリン酸ア
ンモニウム等のリン酸塩が挙げられ、これらは海水に溶
かしたときに、リン酸に変わるか、或いは酸の存在でリ
ン酸に加水分解し、pHを下げる様に働く。これらのリ
ン化合物は1種を用いても良く、また2種以上混合して
用いても良い。リンはノリ葉成長の為の栄養剤として働
き、またノリの光沢が良くなると言われており、この様
な利点もあることから、リン化合物はpHを下げる為の
酸として好適である。
【0021】前記と同様に本壺状菌病抑制剤の効果を有
効に発揮させる前記pHに調整する為、リン化合物の混
合比率としては、フマル酸モノナトリウム塩および/ま
たはフマル酸モノカリウム塩の単位重量に対して、0.
1〜10倍が好ましく、より好ましくは0.2〜5.0
倍である。
【0022】本発明の壺状菌病抑制剤を水または海水に
溶解し、該溶解液に被処理物を浸漬することによって使
用する場合には、浸漬時間を1〜30分間とするのが好
ましく、より好ましくは2〜15分間の範囲である。浸
漬時間が1分未満であると駆除効果が不十分であり、3
0分を超える長時間浸漬ではノリ葉体細胞が死滅する恐
れがあるからである。
【0023】また本発明に係る壺状菌病抑制剤は、被処
理物に噴霧して使用することもできる。尚、噴霧の場合
は、長時間放置するとノリ葉体細胞が死滅する恐れがあ
るから、10分以内に海水もしくは水で抑制剤を洗い流
すことが望ましい。尚、ノリの成長および品質向上の為
に、硝酸ナトリウム,リン酸水素ナトリウム,ビタミン
12,キレート剤等の各種添加剤を用いても良い。
【0024】
【実施例】以下実施例および比較例を挙げて、本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定され
るものではない。
【0025】<実施例1〜7>表1に示す濃度となる様
に、壺状菌病抑制剤の各成分を夫々海水に溶解し抑制剤
溶液とした。該抑制剤溶液のpHは夫々表1に示す通り
であり、液温は15℃であった。尚、実施例7に用いた
W-300 は市販の活性剤であり(扶桑化学工業(株)製の
ノリ酸処理剤)、全リン分が4.6%含まれているもの
である。
【0026】壺状菌病に3〜5%感染しているノリ葉体
を、上記抑制剤溶液に7分間浸漬した。尚、壺状菌感染
ノリ葉体は、1993年11月福岡県有明水産試験場から入手
した冷凍罹病葉体を、健全なノリ葉体に3〜5%感染さ
せて作製した。
【0027】浸漬処理後、ノリ葉体を滅菌海水で洗浄
し、該ノリ葉体と栄養塩添加海水PES(成分:NaN
3 ,Na2-glycerophosphate,Fe−EDTA,ビタ
ミンB 12,Cl,その他)200mlを300ml容ビーカ
ーに入れ培養した。培養条件としては、5000Lux で
1日10時間明期とし、15℃で通気培養を行った。通
気培養の1日後、3日後、5日後に、それぞれのノリ葉
体数枚について顕微鏡観察(150倍及び600倍)
し、総面積に対する病変部の比率を表し、治癒効果の判
定の指標とした。5日間培養後においても壺状菌が増殖
していなければ、抑制効果があると判定した。
【0028】また雑菌類の付着しているノリ葉体につい
て、前記と同様に、本発明の壺状菌病抑制剤の溶液に7
分間浸漬した後、通気培養を行って、ノリ葉体に付着し
ている雑菌数を観察し、駆除率を求めた。また、同時に
ノリ葉体の死細胞も観察し、ノリ葉体死細胞率を求め
た。これら実施例1〜7の結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】<比較例1〜4>表2に示す濃度となる様
に各成分を海水に溶解し、抑制剤の溶液とした。各比較
例の抑制剤溶液のpHは表2に示す通りである。これら
の抑制剤溶液を用いて上記実施例と同様の処理を行っ
た。その結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】上記結果から分かる様に、フマル酸モノナ
トリウム塩、有機カルボン酸、或いは市販の活性剤の単
独使用である比較例1〜4の場合では、例えば5日後の
壺状菌病変率が高く、壺状菌病の抑制効果が認められな
かったが、フマル酸モノナトリウム塩および/またはフ
マル酸モノカリウム塩と、有機カルボン酸またはリン化
合物との併用使用を行っている実施例1〜7では、ノリ
葉体に対して悪影響がなく、壺状菌病の抑制効果が高
く、その後の増殖も抑制されていることが認められた。
【0033】また実施例1〜7では雑菌類についても駆
除効果が認められた。尚、雑菌類とは、ノリ葉体に付着
しているバクテリアのことであり、白ぐされ病,あかぐ
され病,壺状菌病等の原因菌ではないが、雑菌類がノリ
葉に付着すると栄養塩の吸収が悪くなる。本発明の壺状
菌病抑制剤は雑菌類にも有効に作用し、ノリ葉の細胞壁
の表面に雑菌が付着することなくきれいであれば、栄養
吸収が良くなり、成長が促進する。
【0034】<実施例8>平成5年11月福岡県有明海
地区支柱式ノリ養殖漁場において、ノリ網を展開して8
〜10cmに成長しているノリ成葉に壺状菌病が3%寄生
していることを認め、この壺状菌病に感染したノリ網の
壺状菌病抑制試験を行った。
【0035】壺状菌病抑制剤の溶液として、フマル酸モ
ノナトリウム塩0.20重量%、フマル酸0.10重量
%、クエン酸0.15重量%になる様に海水に溶解した
ものを用いた(壺状菌病抑制剤濃度0.45重量%)。
該抑制剤溶液のpHは2.7であった。
【0036】被処理網4枚を、海水温度14℃で5〜8
分間浸漬した。その後ノリ養殖を続行し、3日後及び5
日後に壺状菌病の抑制効果を観察した。その結果、壺状
菌病は抑制され、また雑菌類の付着もみられず、その後
の増殖も認められなかった。ノリ成葉の栄養細胞の状態
は極めて健全であり、成長も早く、柔らかい高品質のノ
リが得られた。
【0037】
【発明の効果】本発明に係る壺状菌病抑制剤を用いる
と、ノリ葉体に悪影響を及ぼすことなく、ノリ葉体細胞
に寄生する壺状菌を駆除し、壺状菌病を抑制することが
できる。しかも壺状菌病が蔓延したノリ葉体に対して
も、低濃度の壺状菌病抑制剤に浸漬あるいは噴霧によ
り、短時間に壺状菌病を抑制することができ、且つノリ
葉体に対して安全である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A01N 37:02) (A01N 37/06 59:26) (A01N 37/06 57:12)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フマル酸モノナトリウム塩及び/または
    フマル酸モノカリウム塩を含有し、更に水溶性有機カル
    ボン酸及び/または水溶性リン化合物を含有することを
    特徴とする壺状菌病抑制剤。
JP19373795A 1995-07-28 1995-07-28 壺状菌病抑制剤及びその使用方法 Expired - Lifetime JP2976853B2 (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002360091A (ja) * 2001-06-06 2002-12-17 Daiichi Seimou Co Ltd 海苔の処理方法および処理液

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002360091A (ja) * 2001-06-06 2002-12-17 Daiichi Seimou Co Ltd 海苔の処理方法および処理液

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