JPH0940581A - アポトーシス関連疾患治療剤 - Google Patents

アポトーシス関連疾患治療剤

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JPH0940581A
JPH0940581A JP7246673A JP24667395A JPH0940581A JP H0940581 A JPH0940581 A JP H0940581A JP 7246673 A JP7246673 A JP 7246673A JP 24667395 A JP24667395 A JP 24667395A JP H0940581 A JPH0940581 A JP H0940581A
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cell growth
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Hiroyuki Morita
博之 森田
Hiroharu Kimata
弘治 木全
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Seikagaku Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】細胞死の一種であるアポトーシスに関連する疾
患、特に糸球体腎炎の治療剤の提供。 【解決手段】繊維芽細胞増殖因子等の細胞増殖因子、並
びにヘパラン硫酸及び/又はヘパリン等の当該細胞増殖
因子と結合することが可能な糖鎖を有効成分として含ん
でなることを特徴とする糸球体腎炎等のアポトーシス関
連疾患治療剤を提供すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、細胞死の一種であ
るアポトーシスに関連する疾患、特に糸球体腎炎の治療
剤に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】細胞死には、大きく分けて壊死(necros
is)とプログラムされた細胞死(programmed cell deat
h)の2種類がある。アポトーシスは、後者のプログラ
ムされた細胞死の一種であり、通常の壊死は細胞の膨張
やミトコンドリアの変化を伴うが、アポトーシスは細胞
核の変化が顕著である。そして、特にアポトーシスを起
こした細胞では、ヌクレオソーム単位でDNAが断片化
し、このDNAに電気泳動を行うと、約180〜200
bpを単位としたDNAの断片(いわゆるラダー)が観察
されることが知られている。
【0003】壊死が種々の原因から起こる受動的な細胞
死であるのに対し、アポトーシスは、一般的に発生過程
や組織細胞の交替期に見られる、細胞の負の選択に関わ
る能動的な現象である。そして、近年、このアポトーシ
スが正常な生命活動のみならず、種々の疾患に関連して
いることが次第に明らかになってきている。
【0004】例えば、糸球体腎炎にアポトーシスが関連
していることが既に判明しており(Szabolcs M.J.et a
l.,JASN 5(3)844,1994 )、アポトーシスの誘導がHI
V感染患者において亢進しているという報告もある(Mo
ntagnier,L. et al.,Sixieme Colloque des Cent Garde
s,9-17(1991)) 。また、薬剤耐性ウイルス性肝炎の肝障
害においては、薬剤又はウイルスの感染によるアポトー
シス亢進が、それらの肝障害に関与していると考えられ
ており(Bursh,W. et al.,TiPS,13,245-251(1992))、循
環器疾患や消化器疾患にもアポトーシスが関連している
ものが存在することが報告されている。
【0005】また、その他にも形態異常、組織形成不
全、組織の萎縮、腎芽細胞腫(腎臓のウイルムス腫
瘍)、中毒や虚血による尿細管障害、脳虚血に伴う神経
細胞の障害、筋萎縮性側索硬化症,アルツハイマー病,
ハンチントン舞踏病やパーキンソン病等の神経細胞の変
性性疾患、神経細胞発達性疾患(精神病)、免疫抑制剤
や抗ガン剤の投与による胸腺細胞の障害、末梢T細胞の
減少、免疫不全症、扁平苔癬、扁平疣贅、臓器移植や組
織移植に伴う拒絶反応、細菌毒素,植物毒素や動物毒素
による障害、萎縮性脱毛症等がアポトーシスが過剰に起
きることによる疾患や障害として示唆されている。この
ように、様々な疾患とアポトーシスとの関係が、現在種
々の立場から検討されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記アポトーシスを有
効に抑制する手段を見出すことができれば、アポトーシ
スが関連する疾患を治療し、又は予防することが可能に
なると考えられる。そこで、本発明が解決しようとする
課題は、上記アポトーシスを抑制することで、アポトー
シスが関連する疾患の治療手段を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
ついて鋭意検討を行った。その結果、細胞増殖因子及び
この細胞増殖因子と結合することが可能な糖鎖との複合
体が、生体内におけるアポトーシスを抑制することを知
見し、かかる複合体成分を配合したアポトーシスが関連
する疾患の治療剤を提供するに至った。すなわち、本発
明者は、本願において、以下の請求項記載の発明を提供
する。
【0008】請求項1において、細胞増殖因子及びこの
細胞増殖因子と結合することが可能な糖鎖を有効成分と
して含んでなることを特徴とするアポトーシス関連疾患
治療剤を提供する。
【0009】請求項2において、アポトーシス関連疾患
が糸球体腎炎であることを特徴とする前記請求項1記載
のアポトーシス関連疾患治療剤を提供する。
【0010】請求項3において、細胞増殖因子がヘパリ
ン及び/又はヘパラン硫酸結合性細胞増殖因子であるこ
とを特徴とする前記請求項1又は請求項2記載のアポト
ーシス関連疾患治療剤を提供する。
【0011】請求項4において、ヘパリン及び/又はヘ
パラン硫酸結合性細胞増殖因子が繊維芽細胞増殖因子で
あることを特徴とする前記請求項3記載のアポトーシス
関連疾患治療剤を提供する。
【0012】請求項5において、繊維芽細胞増殖因子が
塩基性繊維芽細胞増殖因子であることを特徴とする前記
請求項4記載のアポトーシス関連疾患治療剤を提供す
る。
【0013】請求項6において、細胞増殖因子と結合す
ることが可能な糖鎖がヘパラン硫酸及び/又はヘパリン
であることを特徴とする前記請求項3乃至請求項5のい
ずれかの請求項記載のアポトーシス関連疾患治療剤を提
供する。
【0014】請求項7において、ヘパラン硫酸及び/又
はヘパリンが、繊維芽細胞増殖因子1重量に対して、ウ
ロン酸量で1×103 重量以上配合されてなることを特
徴とする前記請求項6記載のアポトーシス関連疾患治療
剤を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明は、細胞増殖因子及びこの細胞増殖
因子と結合することが可能な糖鎖を有効成分として含ん
でなることを特徴とするアポトーシス関連疾患治療剤を
提供する。
【0016】本発明において用い得る細胞増殖因子は、
いずれかの糖鎖と結合してこの細胞増殖因子とこの糖鎖
との複合体を形成することが可能である限りにおいて特
に限定されない。そして、これらの細胞増殖因子の中で
もヘパリン及び/又はヘパラン硫酸結合性細胞増殖因子
が本発明への適用に関して好ましい。なお、ヘパリン及
び/又はヘパラン硫酸結合性細胞増殖因子とは、ヘパリ
ン及び/又はヘパラン硫酸に結合する性質を有する細胞
増殖因子を意味し、ヘパリン及び/又はヘパラン硫酸に
結合する性質を有する限りにおいて特に限定されるもの
ではない。
【0017】具体的には、塩基性繊維芽細胞増殖因子
(bFGF若しくはFGF−2),酸性繊維芽細胞増殖
因子(aFGF若しくはFGF−1),int−2(F
GF−3),カポジ肉腫FGF(FGF−4),FGF
−5,FGF−6,ケラチン細胞増殖因子(KGF若し
くはFGF−7)等の繊維芽細胞増殖因子(FGF)、
肝実質細胞増殖因子(HGF)、顆粒球マクロファージ
コロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン
3(IL−3)、インターロイキン7(IL−7)、シ
ュワノーマ由来細胞増殖因子、血管内皮増殖因子等を上
記細胞増殖因子として挙げることができる。
【0018】そして、さらにこれらの中でも、bFGF
が下記に挙げるヘパリン及び/又はヘパラン硫酸等の特
定のオリゴ糖構造を有する多糖との結合性に富み、上記
細胞増殖因子として選択するのが特に好ましい。また、
上記のような天然型の細胞増殖因子の他に、安定化、薬
理活性の強化、副作用の低減、吸収促進、細胞への親和
性を向上させる等の目的で、化学的又は蛋白質工学的に
修飾された細胞増殖因子を用いることも可能である。
【0019】なお、ここに挙げた細胞増殖因子はあくま
で例示であり、特にこれらに本発明に適用可能な細胞増
殖因子が限定されるものではない。また、これらの細胞
増殖因子は、各々の細胞増殖因子に固有の通常公知の調
製法により調製して用いることも可能であり、市販され
ているものについては、その市販品を用いることも可能
である。
【0020】なお、これらの細胞増殖因子は、全てが本
来生体内に存在する物質であり、これらの増殖因子の本
発明アポトーシス関連疾患治療剤における投与量での安
全性が推定される。
【0021】上記細胞増殖因子と結合することが可能な
糖鎖は、選択した細胞増殖因子の種類に応じて選択する
ことが可能である。言い換えれば、選択可能な糖鎖又は
選択することが好ましい糖鎖は、細胞増殖因子によって
個別的である。例えば、細胞増殖因子として、塩基性繊
維芽細胞増殖因子(bFGF),酸性繊維芽細胞増殖因
子(aFGF)等の上記繊維芽細胞増殖因子(FGF)
を用いる場合には、N−スルホ−D−グルコサミン(以
下、GlcNS と略記するこもある。)残基とL−イズロン
酸2硫酸(以下、IdoA(2S)と略記することもある。) 残
基を多く含むオリゴ糖構造を有する糖鎖を選択するのが
好ましい。
【0022】このような糖鎖として、特開平5−148
305号公報に記載されているオリゴ糖を用いてもよ
い。この公報には、主な2糖単位がL−イズロン酸2硫
酸及びN−スルホ−D−グルコサミンであり、かつ8−
18糖で構成される繊維芽細胞増殖因子に結合するオリ
ゴ糖及びその製造方法が記載されている。
【0023】なお、上記公報において主たる2糖単位と
は、この2糖単位がオリゴ糖鎖の大半を占めるという意
味ではなく、必須かつ比較的多く含むとの意味で上記公
報において定義されており、このようなオリゴ糖鎖をも
本発明における「細胞増殖因子と結合することが可能な
糖鎖」として用いることができる。このようなオリゴ糖
鎖としてより具体的には、bFGFを担体に結合させた
アフィニティーカラムにヘパラン硫酸を添加し、このカ
ラムに結合させたヘパラン硫酸をヘパリチナーゼIで処
理し、このカラムをNaCl等の塩で処理することによ
り溶出されるオリゴ糖鎖を例示することができる。
【0024】このオリゴ糖鎖は、通常8〜18糖(分子
量約1800〜4000)で、かつ構成2糖単位とし
て、GlcA-GlcNAc を25〜28%程度、GlcA-GlcNAc(6
S) を1〜8%程度、GlcA-GlcNSを12〜15%程度、G
lcA-GlcNS(6S)を3〜5%程度、IdoA(2S)-GlcNSを35
〜40%程度、IdoA(2S)-GlcNS(6S)を11〜14%程度
含有するオリゴ糖を例示することができるが、これに限
定されるものではない(GlcAはD−グルクロン酸を、Gl
cNAcはN−アセチル−D−グルコサミンを、GlcNS(6S)
はN−スルホ−D−グルコサミン6−硫酸をそれぞれ表
す。)。
【0025】また、Trends in Glycoscience and Glyco
technology, 5(25),343-354, 1993(筆者:Ishihara,
M.)には、
【化1】 (式中、R1 は、−SO3 - 又は−Hを表す。)
【0026】で表される6糖体構造が塩基性繊維芽細胞
増殖因子(bFGF)及び酸性繊維芽細胞増殖因子(a
FGF)に対して高い親和性を有することが記載されて
おり、本発明ではこの6糖体構造を含有する糖鎖をも用
いることができる。
【0027】また、同文献中には、完全にN−硫酸化さ
れており、10mer 以上のサイズとIdoA(2-O-S)-GlcNS
(6-O-S)配列〔IdoA(2-O-S) は、L−イズロン酸・2−
O−硫酸を、GlcNS(6-O-S)は、D−グルコサミン−NH
−硫酸・6−O−硫酸を表す〕に富む構造についても、
上記繊維芽細胞増殖因子に高い親和性を有することが記
載されており、本発明ではこのような構造を含む糖鎖を
も用いることができる。
【0028】上記のオリゴ糖構造部分と上記繊維芽細胞
増殖因子とが結合して、生体外又は生体内で繊維芽細胞
増殖因子と糖鎖との複合体が容易に形成される。また、
これらの糖鎖は、各々の糖鎖に固有の通常公知の調製法
により調製して用いることも可能であり、市販されてい
るものについては、その市販品を用いることも可能であ
る。
【0029】上記オリゴ糖構造を有する糖鎖として、具
体的には、
【化2】 〔式中、R2 及びR4 は、−SO3 - 又は−Hを表し、
3 は、−SO3 - 又はCH3 CO−を表す。X1 及び
2 は、−COO- 又は−Hを表す(X1 ,X2 は常に
異なる。)。nは1以上の整数である。〕。
【0030】でその基本構造が表されるヘパラン硫酸又
【化3】 (式中、R5 ,R7 及びR8 は、−SO3 - 又は−Hを
表し、R6 は、−SO3 - 又はCH3 CO−を表す。X
1 及びX2 並びにnは、前記式(II)と同様である。)
でその基本構造が表されるヘパリンを用いることが可能
であり、かつ好ましい。
【0031】このヘパラン硫酸又はヘパリンは、本発明
アポトーシス関連疾患治療剤中に単独で配合することも
可能であるが、これらを共に配合することも可能であ
る。なお、本発明で用いる糖鎖は、全てその糖鎖の性質
又は製剤上の必要に応じて、その薬学上許容できる塩を
用いることができる。例えば、上記ヘパリンやヘパラン
硫酸のような硫酸化多糖の場合には、アルカリ金属塩
(例えば、ナトリウム塩,カリウム塩等)、アルカリ土
類金属塩、アンモニウム塩等の無機塩基との塩又はジエ
タノールアミン塩、トリエチルアミン塩、シクロヘキシ
ルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基との塩のうち、薬
学上許容できる塩を本発明において用いることができ
る。
【0032】また、ヘパリンのマウス(♂,♀)におけ
る急性毒性試験によるLD50は、経口投与で5000
(mg/kg)以上、皮下又は腹腔内投与2500(mg/k
g)以上、静注で1000(mg/kg)程度ということが
知られている。また、ヘパラン硫酸は、その構造から、
上記ヘパリンと同等又はそれ以上の安全性が推定され
る。
【0033】上記のように、本発明アポトーシス関連疾
患治療剤中に配合された細胞増殖因子及びこの細胞増殖
因子と結合することが可能な糖鎖は、少なくともアポト
ーシスが関与する疾患部位において、上記細胞増殖因子
及び上記糖鎖の複合体を形成し、かかる複合体が疾患に
関連しているアポトーシスの進行を制御し得る。すなわ
ち、この複合体はエンドサイトーシスにより細胞質内に
取り込まれ、最終的には細胞核に移行すると考えられて
おり、細胞核に移行したこの複合体が、細胞核DNAに
何らかの作用をして、DNAにプログラムされた細胞死
(アポトーシス)を抑制するというメカニズムが考えら
れるが、詳細には不明な点も多い。
【0034】なお、例えばFGFに、ヘパラン硫酸やヘ
パリン等のFGF結合性糖鎖が結合することにより、こ
のFGFが安定化され(プロテアーゼによる分解を受け
にくくなる)、またFGFの拡散性が増すことも知られ
ている。本発明アポトーシス関連疾患治療剤は、細胞増
殖因子及びこの細胞増殖因子と結合することが可能な糖
鎖を有効成分として含有する。そして、アポトーシスが
関与する疾患部位において上記細胞増殖因子及び上記糖
鎖が複合体を形成する限り、これらの細胞増殖因子と糖
鎖とが、本発明アポトーシス関連疾患治療剤中で既に複
合体を形成しているか否かは特に問題とはならない。し
かしながら、細胞増殖因子の製剤中での一般的な安定性
を考慮すると、上記細胞増殖因子及び上記糖鎖の複合体
を本発明アポトーシス関連疾患治療剤に配合することが
好ましい。
【0035】なお、本発明アポトーシス関連疾患治療剤
は、細胞増殖因子及びこの細胞増殖因子と結合すること
が可能な糖鎖を有効成分として含むが、これらの細胞増
殖因子と糖鎖とを個別に投与しても、上記の本発明アポ
トーシス関連疾患治療剤において所望される効果と同様
の効果を奏することが期待される。このことから、細胞
増殖因子及びこの細胞増殖因子と結合することが可能な
糖鎖とを同一製剤中に配合することなく、個別にこれら
の細胞増殖因子又は糖鎖を製剤化したものを備えるアポ
トーシス関連疾患治療用のキットも本発明の所期の目的
は達成され得る。
【0036】また、疾患部位において細胞増殖因子が既
に存在する場合は、この細胞増殖因子と結合することが
可能な糖鎖を投与することによっても、上記の本発明ア
ポトーシス関連疾患治療剤において所望される効果と同
様の効果を奏することが期待される。さらに、これとは
逆に疾患部位において細胞増殖因子と結合することが可
能な糖鎖が既に存在する場合には、この糖鎖と結合可能
な細胞増殖因子を投与することによっても、上記の本発
明アポトーシス関連疾患治療剤において所望される効果
と同様の効果を奏することが期待される。このことか
ら、疾患の状況によっては、細胞増殖因子又はこの細胞
増殖因子と結合することが可能な糖鎖を有効成分として
含む製剤によっても、上記の本発明アポトーシス関連疾
患治療剤において所望される効果と同様の効果を奏する
ことが期待される。
【0037】本発明アポトーシス関連疾患治療剤の適用
となる疾患は、文字通りアポトーシスに関連する疾患で
あれば、特に限定されるものではない。例えば、急性糸
球体腎炎,慢性糸球体腎炎,糖尿病性腎炎,糸球体硬化
症,狼瘡等に分類される糸球体腎炎;腎芽細胞腫;中毒
や虚血による尿細管障害;エイズ(AIDS),免疫抑
制剤や抗ガン剤の投与による胸腺細胞の障害,末梢T細
胞の減少,免疫不全症等の免疫関連疾患;血管狭窄,虚
血等の循環器疾患;薬剤やウイルス感染による肝障害等
の肝臓疾患;消化器疾患;脳虚血による神経細胞の障
害、筋萎縮性側索硬化症,アルツハイマー病,ハンチン
トン舞踏病やパーキンソン病等の神経細胞の変性性疾
患、神経細胞発達性疾患(精神病)等の神経疾患;扁平
苔癬;扁平疣贅;臓器移植や組織移植に伴う拒絶反応;
細菌毒素,植物毒素や動物毒素による障害;萎縮性脱毛
症;形態異常;組織形成不全;組織の萎縮等をその適用
範囲とすることができる。なお、ここに挙げた疾患名は
例示であり、アポトーシスが関連する疾患である限り、
かかる例示疾患に本発明アポトーシス関連疾患治療剤の
適用範囲が限定されるものではない。
【0038】また、本発明アポトーシス関連疾患治療剤
は、文字通り、アポトーシスに関連する疾患の治療に使
用し得るが、純然とした治療目的のみならず、これらの
疾患の予防目的にも用いることができる。すなわち、本
発明アポトーシス関連疾患治療剤は、これらの疾患の
「予防剤」の概念をも包含する。
【0039】本発明においては、対象となる疾患の性質
や進行段階に応じて、後述する剤形を本発明アポトーシ
ス関連疾患治療剤の剤形として適宜選択することが好ま
しい。
【0040】なお、剤形として注射剤を選択し、これを
静注等する場合には、ヘパリンの血液凝固抑制作用に留
意する必要があり、穿刺部の止血を確認する必要があ
る。このため、注射用製剤にする場合には、血液凝固抑
制作用のないヘパラン硫酸を用いることが好ましい傾向
がある。
【0041】本発明アポトーシス関連疾患治療剤は、前
述の細胞増殖因子及びこの細胞増殖因子と結合すること
が可能な糖鎖と共に、適当な医薬製剤担体を配合して製
剤組成物の形態に調製される。かかる製剤担体として
は、使用形態に応じた製剤を調製するのに通常使用され
る充填剤,増量剤,結合剤,付湿剤,崩壊剤,界面活性
剤等の賦形剤乃至は希釈剤をいずれも使用することがで
きる。
【0042】製剤組成物の形態は、これが上記した有効
成分を効果的に含有し得る状態であれば特に限定される
ものではなく、例えば錠剤,粉末剤,顆粒剤,丸剤等の
固剤;液剤,懸濁剤,乳剤等の注射剤形態とすることも
可能である。また、使用前に適当な担体を添加すること
によって液状となし得る乾燥品とすることも可能であ
る。
【0043】このように得られる医薬製剤は、その形態
に応じた適当な投与経路、例えば注射剤形態の医薬製剤
は静脈内投与,筋肉内投与,皮下投与,皮内投与,腹腔
内投与等;固剤形態の医薬製剤は、経口投与又は経腸投
与等により投与され得る。なお、アポトーシス関連疾患
のうち、慢性疾患に対しては経口投与が特に好ましく、
急性疾患に対しては静脈投与が好ましい。
【0044】本発明アポトーシス関連疾患治療剤中の上
述した有効成分の量及びこの製剤の投与量は、この製剤
の投与方法,投与形態,使用目的,患者の具体的症状等
によって個別的であり特に限定されない。また、本発明
アポトーシス関連疾患治療剤中の有効成分量は、1日成
人1人当り糖鎖量として50μg 〜500mg程度、細胞
増殖因子量として55ng〜0.5mg程度となる範囲で投
与するのが好ましい。また、上記製剤の投与間隔は1日
1回程度でも可能であり、2〜4回に分けて投与するこ
とも可能である。
【0045】なお、本発明アポトーシス関連疾患治療剤
の有効成分である細胞増殖因子及びこの細胞増殖因子と
結合することが可能な糖鎖同士の配合比は、増殖因子に
対する糖鎖の配合比率が十分に大きくないと所望するア
ポトーシス関連疾患の治療効果を発揮することが困難で
ある。
【0046】例えば、細胞増殖因子に結合可能な糖鎖が
ヘパラン硫酸及び/又はヘパリンであり、細胞増殖因子
が繊維芽細胞増殖因子である場合には、ヘパラン硫酸及
び/又はヘパリン1重量に対して、繊維芽細胞増殖因子
をウロン酸量で1×103 重量以上配合することが好ま
しい。
【0047】
【実施例】以下、実施例等により本発明をより具体的に
記載するが、かかる実施例等により本発明の技術的範囲
が限定されるものではない。
【0048】〔試験例1〕アポトーシスの誘導試験 正常のウイスター・ラット(Wister rat:オス,体重2
00g )より、腎糸球体を滅菌操作下、20%仔牛胎児
血清(FCS)加ダルベッコ(Dulbecco)の最
小基本培地(DMEM)培地中でシービング(Sieving
)法(StewarkK.N. et al.,J.Pathol,163,265-272,199
1 )によって単離した。すなわち、上記ラットの腎臓を
173μm ,125μm ,53μm のステンレス製メッ
シュで順にラットの腎臓をすりおろし、上記53μm の
メッシュ上に残った腎糸球体を単離した。次いで、20
%FCS加DMEM中で単離したラットの腎糸球体を3
7℃で初代培養した。
【0049】この初代培養したラットの腎糸球体にハブ
毒(Snake venom from Trimeresurus,和光純薬株式会社
製)を添加して(20%FCS加DMEM培地中5μg
/ml)アポトーシスを誘導した(なお、ハブ毒によりア
ポトーシスが誘導されることについては既に報告されて
いる)。
【0050】アポトーシスの誘導の有無は、実験群ごと
のDNAを抽出して(DNAを抽出する1群当りの細胞
数は約1.0×107 個)、これを1.7%アガロース
電気泳動にかけることにより判定した。すなわち、前述
のように、アポトーシスを起こした群は、ヌクレオソー
ム単位でDNAが断片化する結果、約180〜200b.
p を単位としたDNAの断片化(いわゆるラダー)が観
察されるので、これらの断片の電気泳動写真上での有無
を判定した。
【0051】このDNA電気泳動実験の結果を図1の電
気泳動写真で示す。この電気泳動写真において、向かっ
て左端のレーン(レーンaという)は、単離したラット
の腎糸球体のDNAをそのまま抽出して電気泳動にかけ
たレーンである。また向かって真ん中左のレーン(レー
ンbという)は、単離後、37℃で20%FCS加DM
EM中で1時間初代培養を行ったラットの腎糸球体のD
NAを抽出して電気泳動にかけたレーンである。また、
向かって真ん中右のレーン(レーンcという)は、37
℃で20%FCS加DMEM中で4時間初代培養を行っ
たラットの腎糸球体のDNAをそのまま抽出して電気泳
動にかけたレーンである。そして、向かって右端のレー
ン(レーンdという)は、単離したラットの腎糸球体を
20%FCS加DMEM中に移し、即培地基準で5μg
/mlの前記ハブ毒を添加し、4時間初代培養を行った場
合のラットの腎糸球体のDNAを抽出して電気泳動にか
けたレーンである。
【0052】この電気泳動写真において、ハブ毒を添加
しないレーンa,b,cは、たとえ初代培養を4時間行
ってもDNAの断片化は起こらないが、ハブ毒を添加し
たレーンdは、初代培養後4時間でDNAの断片化が起
こり、アポトーシスが誘導されたことが判明した。
【0053】なお、ここでハブ毒の代わりに抗Thy−
1.1モノクローナル抗体(このモノクローナル抗体を
産生するハイブリドーマは、オックスフォード大学のA.
F.Williams博士より恵与された。)を単離したラットの
腎糸球体に添加した場合も、上記とほぼ同様にアポトー
シスを誘発することができた。
【0054】また、前記ウイスター・ラットにハブ毒又
は抗Thy−1.1モノクローナル抗体を静脈内投与す
ることによっても、腎糸球体にアポトーシスを誘発する
ことができた。
【0055】単離糸球体のかわりに、“Haneda M. et a
l., Kidney Int., 44, 518-526(1993)”に記載された方
法によって、ラットの単離糸球体から得たメサンギウム
細胞を10%(v/v)FCS加RPMI1640中で培
養し、トリプシンを用いる通常の方法で継代培養した培
養メサンギウム細胞に、終濃度200μg /ml の抗Th
y−1.1抗体又は終濃度5μg/mlのハブ毒を添加し、
添加後12時間目にDNAを抽出して1.7%アガロー
スゲル電気泳動を行った結果、いずれの場合もDNAの
ラダーが検出された。このことから培養メサンギウム細
胞も、抗Thy−1.1抗体やハブ毒によりアポトーシ
スを誘発することができることが明らかになった。
【0056】なお、アガロースゲル電気泳動によりDN
Aのラダーを検出してアポトーシスの誘発を確認する方
法の他に、組織切片を、Gavrieli等の方法(terminal d
eoxynucleotidyl transferase(TdT)-mediated nick end
labeling method;J. CellBiol., 119, 493-501 (199
2))を応用したApopTag In Situ Apoptosis Detection
Kit (Oncor, Gaithersburg, MD, USA 販売)を用いて染
色することによってもアポトーシスの誘発を確認するこ
とができる。
【0057】すなわち、抗Thy−1.1モノクローナ
ル抗体を静脈内投与したラットの腎臓切片を、20μl
/ml プロテイナーゼ K(proteinase K)中で15分間、
室温でインキュベートして、その後で内在性のペルオキ
シダーゼを抑制するために切片を1.5% 過酸化水素
を含む無水メタノール中でインキュベートした。そし
て、この切片を、TaTとジゴキシゲニン(digoxigenin)−
dUTPを含む反応緩衝液中でインキュベートして、ジ
ゴキシゲニンをペルオキシダーゼ結合抗ジゴキシゲニン
抗体(peroxidase-conjugated anti-digoxigenin antib
ody(ベーリンガー・マンハイム製))と、基質として
3,3−ジアミノベンジジン 四塩酸(3,3-diaminobenz
idine tetrahydrochloride(DAB;シグマ社製))を用い
てアポトーシスによって断片化されたDNAの末端が存
在する部分を染色してアポトーシスの誘発を確認するこ
とができた。なお、対照染色(counterstaining)はメチ
ルグリーン(Methylgreen) で行い、光学顕微鏡で観察し
た。
【0058】その結果、メサンギウム細胞の部分に茶色
の発色が見られた。このことは、メサンギウム細胞のD
NAが断片化し、その結果、露出したDNAの末端が多
量に発生したことを示すものであり、茶色に染色された
メサンギウム細胞がアポトーシスを起こしていることが
示された。
【0059】〔試験例2〕アポトーシスの抑制試験 (1)上記試験例1と同様に単離したラットの腎糸球体
を、5μg /mlの濃度で試験例1で用いたハブ毒を添加
した20%FCS加DMEMを基本的な培地として初代
培養を行った。そして、初代培養後のラットの腎糸球体
(細胞数は、約1.0×107 個)のDNAを抽出して
電気泳動にかけて、ハブ毒によって誘導されるアポトー
シスの抑制の有無を検討した。
【0060】このDNA電気泳動実験の結果を図2の電
気泳動写真で示す。この電気泳動写真において、向かっ
て左端のレーン(レーンeという)は、単離したラット
の腎糸球体を、37℃で20%仔牛胎児血清(FCS)
加DMEM中で4時間初代培養を行ったラットの腎糸球
体のDNAをそのまま抽出して電気泳動にかけたレーン
である。向かって左から2番目のレーン(レーンfとい
う)は、上記のハブ毒添加培地中で初代培養を37℃で
4時間行ったラットの腎糸球体のDNAを抽出して電気
泳動にかけたレーンである。真中のレーン(レーンgと
いう)は、上記のハブ毒添加培地中に、塩基性繊維芽細
胞増殖因子(bFGF)(生化学工業株式会社販売)を
0.5ng/ml及びヘパリン(株式会社ミドリ十字販売)
をウロン酸量で4ng/mlの割合で添加した培地で初代培
養を37℃で4時間行ったラットの腎糸球体のDNAを
抽出して電気泳動にかけたレーンである。向かって右か
ら2番目のレーン(レーンhという)は、前記レーンg
に関する条件中、ヘパリンの添加濃度をウロン酸量で4
00ng/mlに変更して電気泳動にかけたレーンである。
向かって右端のレーン(レーンiという)は、前記レー
ンhに関する条件中、ヘパリンの添加濃度をウロン酸量
で40000ng/mlに変更して電気泳動にかけたレーン
である。
【0061】この電気泳動写真において、培地にハブ毒
を添加しない系(レーンe)は、上記試験例1のレーン
cと同様にDNAの断片化は起こらなかったことが示さ
れた。また、これに対して、培地にハブ毒を添加した系
(レーンf)では、ラットの腎糸球体のアポトーシスの
誘導によるDNAの断片化が起こったことが示された。
また、ハブ毒を添加した培地にさらにbFGFとヘパリ
ンとを添加した系(レーンg,h,i)においては、ヘ
パリンの添加濃度が低い系(レーンg及びレーンh)で
はDNAの断片化が見られた。ただし、ここではいずれ
もほぼ等量のDNA(細胞数は約1.0×107 個)
を、電気泳動にかけているが、レーンgとレーンhで
は、レーンhの方が断片化するDNAの量が少ない傾向
にあった。すなわち、レーンhにおいてはアポトーシス
の抑制がわずかではあるが認められた。また、ヘパリン
をウロン酸量で40000ng/ml培地中に添加した系
(レーンi)においてはDNAの断片化が著しく抑制さ
れていることが示された。
【0062】よって、ヘパリンの添加量に対して用量依
存的にアポトーシスが抑制され、特に、レーンiの系に
おける条件においてbFGF及びヘパリンを作用させる
ことによって、すなわち、bFGF1重量に対して、ヘ
パリンをウロン酸量で8×104 重量以上添加すること
によって、腎糸球体におけるアポトーシスの惹起を抑制
し得ることが明らかになった。
【0063】(2)次に、添加する糖鎖の種類を変更し
て添加した場合のアポトーシスの抑制の有無を検討し
た。各系とも、上記(1)記載のハブ毒添加培地を基本
培地として初代培養を行った。すなわち、このハブ毒添
加培地にbFGFを0.5ng/ml添加し、さらに種々の
糖鎖をそれぞれウロン酸量で4μg /ml添加して、これ
らの場合のアポトーシスの抑制効果について検討を行っ
た。
【0064】このDNA電気泳動実験の結果を図3の電
気泳動写真で示す。図3において、向かって左側のブロ
ックの左側のレーン(レーンjという)は、コンドロイ
チン−4−硫酸(コンドロイチン硫酸A)(生化学工業
株式会社製)を添加した上記培地で初代培養を37℃で
4時間行ったラットの腎糸球体のDNAを抽出して電気
泳動にかけたレーンである。同ブロックの右側のレーン
(レーンkという)及び向かって右側のブロックの右側
のレーン(レーンnという)は、同じくヘパラン硫酸
(生化学工業株式会社製)を添加した系について電気泳
動にかけたレーンである。また、向かって右側のブロッ
クの左側のレーン(レーンlという)は、同じくケラタ
ン硫酸(KS−I;生化学工業株式会社製)を添加した
系について電気泳動にかけたレーンである。同ブロック
の真中のレーン(レーンmという)は、同じくヘパリン
(株式会社ミドリ十字販売)を添加した系について電気
泳動にかけたレーンである。
【0065】この電気泳動写真において、ヘパラン硫酸
を培地中に添加した系(レーンk,n)及びヘパリンを
培地中に添加した系(レーンm)では、DNAがほとん
ど断片化されておらず、アポトーシスの惹起が抑制され
たことが示されたが、その他の系(レーンj,l)で
は、DNAが断片化されており、アポトーシスが惹起さ
れていることが明らかになった。
【0066】上記とは別に、ラット培養メサンギウム細
胞を無血清培地中で72時間培養し、終濃度5μg/ml
となるように試験例1で用いたハブ毒を培地に添加し、
同時に終濃度5ng/mlのbFGFとウロン酸量で終濃度
5μg/mlのヒアルロン酸;終濃度5ng/mlのbFGF
とウロン酸量で終濃度5μg/mlのデルマタン硫酸;終
濃度5ng/mlのbFGFとウロン酸量で終濃度5μg/m
lのヘパリン又は終濃度5ng/mlのbFGFとウロン酸
量で終濃度5μg/mlのヘパラン硫酸を培地に添加し、
更に15時間培養した。培養後DNAを抽出して電気泳
動にかけた結果、ヒアルロン酸又はデルマタン硫酸を添
加した系についてはDNAの断片化が見られたことか
ら、アポトーシスが惹起されていることが明らかとなっ
た。また、ヘパリン又はヘパラン硫酸を添加した系につ
いてはDNAの断片化は観察されなかったことからbF
GFと、ヘパリン又はヘパラン硫酸の添加によってアポ
トーシスの惹起が抑制されることが明らかになった。
【0067】すなわち、この試験例2(2)において、
種々の糖鎖(ここではグリコサミノグリカン)の中で
も、ヘパリン又はヘパラン硫酸の添加によって特異的に
アポトーシスの惹起を抑制し得ることが明らかになっ
た。また、bFGF1重量に対してヘパリン又はヘパラ
ン硫酸をウロン酸量で1×103 重量以上を添加するこ
とにより、アポトーシスの惹起を抑制し得ることも確認
された。
【0068】なお、ヘパリン及びヘパラン硫酸は、繊維
芽細胞増殖因子との結合ドメインである前述したオリゴ
糖構造を有するという点において共通しており、この点
より考えるとかかる結合ドメインと繊維芽細胞増殖因子
とが結合して複合体を形成することが、アポトーシスの
惹起の抑制という本発明アポトーシス関連疾患治療剤の
根本的な機能と密接に関わっていることが示唆された。
【0069】(3)さらに、bFGFに結合性を有する
オリゴ糖とbFGFに結合性を有さないオリゴ糖とを用
いて、これらについてアポトーシス惹起の抑制効果の有
無を検討した。すなわち、EHS(Engelbreth-Holm-Swa
rm)腫瘍由来のヘパラン硫酸をヘパリチナーゼIにより
消化させて得られる、bFGFに結合性を有するオリゴ
糖(以下、bFGF結合性オリゴ糖ともいう)とbFG
Fに結合性を有さないオリゴ糖(以下、bFGF非結合
性オリゴ糖ともいう)を特開平5−148305号公報
に記載の方法で調製して、これらを用いた系についてア
ポトーシス惹起の抑制効果を検討した。
【0070】上記と同様に、ラット培養メサンギウム細
胞を、無血清培地中で72時間培養し、終濃度5μg/m
lとなるように試験例1で用いたハブ毒を培地に添加
し、同時に終濃度5ng/mlのbFGFとウロン酸量で終
濃度5μg/mlのbFGF結合性オリゴ糖、または終濃
度5ng/mlのbFGFとウロン酸量で終濃度5μg /ml
のbFGF非結合性オリゴ糖を培地に添加し、更に15
時間培養した。培養後DNAを抽出して電気泳動にかけ
た結果、bFGFとbFGF非結合性オリゴ糖とを添加
したものではDNAの断片化が見られたが、bFGFと
bFGF結合性オリゴ糖とを添加したものではDNAの
断片化は見られなかった。このことからbFGFとbF
GF結合性オリゴ糖を添加することによりアポトーシス
の惹起が抑制されることが明らかとなった。bFGFと
bFGF非結合性オリゴ糖とを添加したものではアポト
ーシスの惹起が抑制されなかったことから、アポトーシ
スの惹起の抑制のためにはbFGFのような細胞増殖因
子と、bFGF結合性オリゴ糖のような、細胞増殖因子
に結合性を有する糖鎖が必須であることが確認された。
【0071】〔実施例〕本発明アポトーシス関連疾患治
療剤の調製 (1)カプセル剤の調製 bFGF 0.05mg ヘパラン硫酸ナトリウム塩 500mg バレイショデンプン 150mg 軽質無水ケイ酸 50mg ステアリン酸マグネシウム 10mg 乳糖 290mg 上記成分を均一に混合し、硬カプセルに200mgずつ充
填した。
【0072】(2)錠剤の調製 bFGF 0.05mg ヘパリンナトリウム 500mg バレイショデンプン 150mg 結晶セルロース 60mg 軽質無水ケイ酸 50mg ヒドロキシプロピルセルロース 30mg ステアリン酸マグネシウム 15mg 乳糖 195mg bFGF,ヘパリンナトリウム,乳糖,バレイショデン
プン,結晶セルロース及び軽質無水ケイ酸を混合し、ヒ
ドロキシプロピルセルロースの10%メタノール溶液を
加えて練合造粒し、径0.8mmのスクリーンで押し出し
て顆粒を調製し、乾燥した後、ステアリン酸マグネシウ
ムを加えて圧縮成型し、200mgの錠剤とした。
【0073】(3)注射剤の調製 bFGF 0.01mg ヘパラン硫酸ナトリウム塩 100mg これらを、ヘパラン硫酸ナトリウム塩濃度としてウロン
酸量で終濃度5mg/mlとなるように、5%マンニトール
水溶液で溶解し、これを無菌濾過した後、2mlずつアン
プルに分注し密封して注射剤を調製した。
【0074】
【発明の効果】本発明により、細胞死の一種であるアポ
トーシスに関連する疾患、特に糸球体腎炎の治療剤が提
供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1に対応する電気泳動写真。
【図2】試験例2(1)に対応する電気泳動写真。
【図3】試験例2(2)に対応する電気泳動写真。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】細胞増殖因子及びこの細胞増殖因子と結合
    することが可能な糖鎖を有効成分として含んでなること
    を特徴とするアポトーシス関連疾患治療剤。
  2. 【請求項2】アポトーシス関連疾患が糸球体腎炎である
    ことを特徴とする請求項1記載のアポトーシス関連疾患
    治療剤。
  3. 【請求項3】細胞増殖因子がヘパリン及び/又はヘパラ
    ン硫酸結合性細胞増殖因子であることを特徴とする請求
    項1又は請求項2記載のアポトーシス関連疾患治療剤。
  4. 【請求項4】ヘパリン及び/又はヘパラン硫酸結合性細
    胞増殖因子が繊維芽細胞増殖因子であることを特徴とす
    る請求項3記載のアポトーシス関連疾患治療剤。
  5. 【請求項5】繊維芽細胞増殖因子が塩基性繊維芽細胞増
    殖因子であることを特徴とする請求項4記載のアポトー
    シス関連疾患治療剤。
  6. 【請求項6】細胞増殖因子と結合することが可能な糖鎖
    がヘパラン硫酸及び/又はヘパリンであることを特徴と
    する請求項3乃至請求項5のいずれかの請求項記載のア
    ポトーシス関連疾患治療剤。
  7. 【請求項7】ヘパラン硫酸及び/又はヘパリンが、繊維
    芽細胞増殖因子1重量に対して、ウロン酸量で1×10
    3 重量以上配合されてなることを特徴とする請求項6記
    載のアポトーシス関連疾患治療剤。
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