JPH0941145A - 耐摩耗性部材 - Google Patents

耐摩耗性部材

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JPH0941145A
JPH0941145A JP7195209A JP19520995A JPH0941145A JP H0941145 A JPH0941145 A JP H0941145A JP 7195209 A JP7195209 A JP 7195209A JP 19520995 A JP19520995 A JP 19520995A JP H0941145 A JPH0941145 A JP H0941145A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の硬質炭素膜被覆耐摩耗性部材では、硬質
炭素膜の基体との密着強度が低く、また耐欠損性に劣る
ものであった。 【解決手段】基体としてチタンあるいはチタンを主とす
るチタン合金を用い、その基体の表面に少なくともダイ
ヤモンドと金属炭化物を含有する中間層を介して硬質炭
素膜を被覆するとともに、硬質炭素膜の表面粗さ(Rm
ax)を2μm以下とすることにより耐摩耗性部材とし
て、優れた密着性と耐摩耗性が達成されることを見いだ
したものである。また、中間層中の金属炭化物として炭
化珪素を含み、さらには硬質炭素膜のラマン分光スペク
トル分析において1160±40cm-1にピークが存在
することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性部材や摺
動部材として優れた硬質炭素膜被覆チタン合金に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドは、硬度、耐摩耗性、固体
潤滑性、熱伝導性などに優れていることから、例えば摺
動部材、切削工具類、研磨材、耐摩耗性機械部品などの
各種部材に利用されつつある。また近年、低圧下での気
相成長法によるダイヤモンド膜等の硬質炭素膜の合成が
可能となったため、前述したような用途に対して需要が
さらに増加しつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、気相成長法に
より作製した硬質炭素膜被覆部材は、膜自体は高い硬
度、低い摩擦係数といった特性を有するものの、基体と
なる物質と膜との密着強度が不足しているため、膜の剥
離が起こり、硬質炭素膜の持つ高硬度及び低摩擦係数と
いった摺動部材や耐摩耗性部材として優れた特性を発揮
するには至っていない。
【0004】この基体と、硬質炭素膜との密着強度が低
い理由としてはいくつか考えられている。
【0005】(1)ダイヤモンドやダイヤモンド状炭素の
ような硬質炭素は、他の物質との濡れ性が悪い。
【0006】(2)硬質炭素膜と基体との熱膨張係数の違
いにより残留応力が発生する。
【0007】(3)超硬合金のように基体中に炭素の拡散
が容易なFe,Co,Niなどの金属元素を含む基体の
場合、これらの金属元素上にグラファイトが優先的に生
成しやすい。
【0008】前記(3) に対する解決策としては、例え
ば、特開平1−201475号公報に記載の、超硬合金
の表面を酸溶液でエッチングして結合相のFe,Coな
どの金属元素を除去する方法がある。しかし、この方法
では結合相が除去されることにより硬質相が欠落しやす
くなり、基体強度が低下し、硬質炭素膜は基体ごと剥が
れ落ちるといった問題が生じる。
【0009】前記(2) に対する解決策としては、例え
ば、特開昭61−291493号公報に、ダイヤモンド
と近似する熱膨張係数を持つ窒化ケイ素または炭化ケイ
素を主成分とするセラミック焼結体を基体として用いる
方法が記載されている。この方法によると、前記(2) の
熱膨張係数の問題は解決されるものの、前記(1) の理由
により密着強度が不足しているのが現状である。また、
耐摩耗性部材、摺動部材、切削工具類などの治工具は過
酷な環境で使用されることから、高強度、高靭性が求め
られる。例えば、窒化ケイ素をはじめとするセラミック
焼結体を基体とする場合、靭性に乏しいという点が欠点
となる。
【0010】本発明は、上記問題を解決し、硬質炭素膜
の密着強度と、耐欠損性に優れた硬質炭素膜被覆耐摩耗
性部材を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的に対
して検討を重ねた結果、基体としてチタンあるいはチタ
ンを主とするチタン合金を用い、その基体の表面に少な
くともダイヤモンドと金属炭化物を含有する中間層を介
して硬質炭素膜を被覆するとともに、硬質炭素膜の表面
粗さ(Rmax)を2μm以下とすることにより耐摩耗
性部材として、優れた密着性と耐摩耗性が達成されるこ
とを見いだしたものである。また、中間層中の金属炭化
物として炭化珪素を含み、さらには硬質炭素膜のラマン
分光スペクトル分析において1160±40cm-1にピ
ークが存在することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の耐摩耗性部材は、図1に
示すように、基体1と、中間層2と硬質炭素膜3により
構成される。基体1は、前記したように、その使用環境
から高強度、高靭性とともに、硬質炭素膜との密着性が
求められる。高強度、高靭性材料としては超硬合金が適
しているものの、前述したように硬質炭素膜との密着性
を向上させるにはかなり困難である。そこで、本発明に
よれば、高強度でかつ高靭性である材料として、チタン
あるいはチタン合金を用いることが重要である。チタン
は航空機用構造材や医療材料などに利用され、金属材料
の中では最高の比強度を有するものとして知られてい
る。
【0013】本発明において用いられるチタンあるいは
チタン合金としては、チタン金属、あるいはチタンとA
l、V、Mo、Zr、Sn、Cr、Mn、Feとの合金
であり、チタンを70重量%以上含有することが望まし
い。より望ましくは、チタンを主成分として、少なくと
もAlを2〜8重量%含有する合金が望ましい。
【0014】さらに、本発明によれば、耐摩耗性部材と
して充分利用できるだけの密着強度を得るために、図1
に示すように、硬質炭素膜3と基体1との間に少なくと
もダイヤモンド4と金属炭化物5を含有する中間層2を
設けることが重要である。
【0015】このような中間層の形成により、硬質炭素
膜と基体との密着強度が向上する理由は次のように考え
られる。原子同士は電子を介在することにより結合され
ているが、一般に、原子間の電子が一方に存在して電気
的な結び付きにより結合しているイオン結合よりも、電
子を双方の原子で共有している共有結合の方が強い結合
力を持つ。ダイヤモンドは炭素の共有結合により構成さ
れているので強い結合力を有している。
【0016】したがって、ダイヤモンドと異種化合物と
の密着強度を向上させるためには類似の結合様式である
共有結合性の化合物であることが望ましいと考えられ
る。また、ダイヤモンドの成分である炭素を含む化合物
の方がより整合性がよいと思われる。炭素化合物は数多
く存在するがその多くはイオン性結合を主体としたもの
である。共有結合性炭化物としては炭化珪素と炭化ホウ
素が挙げられる。これらの化合物とダイヤモンドが混在
する層を硬質炭素膜と基体との間に形成することによ
り、硬質炭素膜と基体との密着強度が向上する。これら
の中でも炭化珪素が最も望ましい。
【0017】また、この中間層におけるダイヤモンド4
と金属炭化物5は層状に分離して存在しているのではな
く、図1に示されるように、ダイヤモンド4の周りを金
属炭化物5が取り囲むような構造、すなわち、ダイヤモ
ンドが島状に分布することにより、いわゆるアンカー効
果が期待でき、硬質炭素膜3と基体1との密着強度が向
上すると考えられる。なお、中間層2は、0.1〜10
μm、特に0.5〜5μmの厚みで形成されることが望
ましい。また、硬質炭素膜3と中間層2との全体厚み
は、1〜100μm、特に2〜20μmが望ましい。
【0018】本発明の耐摩耗性部材は、チタンあるいは
チタン合金からなる基体の表面に硬質炭素膜を被覆して
なるものであるが、特にその硬質炭素膜の表面粗さを2
μm以下に制御することが重要である。これは摩擦相手
材との接触面における硬質炭素膜の表面粗さが、耐摩耗
性、摺動性に大きく影響を与えるためである。よって、
硬質炭素膜の表面粗さが2μmを越えると、相手材が硬
質炭素膜により削られたり、傷つけられたりする。膜の
表面粗さは特に1μm以下であることが望ましい。
【0019】硬質炭素膜の表面粗さは、膜の結晶性に大
きく影響を受ける。硬質炭素膜の結晶性が高く、ダイヤ
モンドを主体として構成される場合には、膜を構成する
結晶粒径が大きくなる傾向にあるために膜の表面粗さも
大きくなる。これに対して、硬質炭素膜の結晶性を低く
し、微結晶ダイヤモンドを存在せしめることにより膜の
表面粗さを小さく制御することできる。しかも、耐摩耗
性の点からも微結晶ダイヤモンドを含む方が耐摩耗性に
優れる。
【0020】このような微結晶ダイヤモンドは、ラマン
分光スペクトル分析において、1160±40cm-1
ピークとしてその存在を確認できる。従って、このピー
ク強度が大きいほど微結晶ダイヤモンドが多数存在し、
膜の表面粗さも小さくなる傾向にある。このような膜構
成にすることにより、硬質炭素膜の研磨工程の短縮する
ことができ、さらに生産性が向上する。この微結晶ダイ
ヤモンドのピーク強度I2 は、ラマン分光スペクトル分
析におけるダイヤモンドの主結晶のピークである133
3±10cm-1のピーク強度I1 に対する強度比(I2
/I1 )が0.02以上、特に0.15以上であること
が望ましい。
【0021】本発明の耐摩耗性部材を作製する方法とし
ては、気相成長法において、基体の設置した反応室内に
原料ガスとして水素と炭素含有ガス、および珪素含有ガ
スを導入し、励起することによりダイヤモンドと炭化珪
素が混在する中間層を形成することができ、さらに珪素
含有ガスの供給を停止すれば、硬質炭素膜を形成するこ
とができる。このように各ガス種の供給量をコントロー
ルするだけで本発明の硬質炭素膜被覆耐摩耗性部材を合
成することができるので生産性も従来と変わらず優れた
部材を提供することができる。
【0022】膜形成において用いる炭素含有ガスとして
は、例えば、メタン、エタン、プロパンなどのアルカン
類、エチレン、プロピレンなどのアルケン類、アセチレ
ンなどのアルキン類、ベンゼンなどの芳香族炭化水素
類、シクロプロパンなどのシクロパラフィン類、シクロ
ペンテンなどのシクロオレフィン類などが挙げられる。
【0023】また一酸化炭素、二酸化炭素、メチルアル
コール、エチルアルコール、アセトンなどの含酸素炭素
化合物、モノ(ジ、トリ)メチルアミン、モノ(ジ、ト
リ)エチルアミンなどの含窒素炭素化合物なども炭素源
ガスとして使用することができる。これらは一種単独で
用いることもできるし、二種以上で併用することもでき
る。
【0024】前記珪素含有ガスとしては、四フッ化ケイ
素、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素などのハロゲン化物、
二酸化ケイ素などの酸化物の他に、モノ(ジ、トリ、テ
トラ、ペンタ)シラン、モノ(ジ、トリ、テトラ)メチ
ルシランなどのシラン化合物、トリメチルシラノールな
どのシラノール化合物などが挙げられる。これらは一種
単独で用いることもできるし、二種以上で併用すること
もできる。
【0025】また、硬質炭素膜を形成する上記の原料ガ
ス中には、キャリアガスとして水素、アルゴン、ヘリウ
ムガスの他に、酸素含有ガスを導入することにより膜質
を向上し成膜速度を高めることができる。用いる酸素含
有ガスとしては、O2 、CO、CO2 、NO、NO2
2 O,H2 2 などの2〜4つの原子からなる構成さ
れる化合物、メチルアルコール、エチルアルコールなど
のアルコール類、エチルエーテルなどのエーテル類、ア
セトンなどのケトン類、アセトアルデヒドなどのアルデ
ヒド類、酢酸などの酸、または酸エステル類、エチレン
グリコールなどのグリコール類などの有機酸素含有化合
物も用いることができる。
【0026】これらの原料ガスを反応室に1×10-3
100torrの圧力で導入し、そこにマイクロ波また
は高周波を印加してプラズマを発生させ、200〜10
00℃に加熱された基体を晒すことにより、基体表面に
炭化珪素とダイヤモンドとが混在した中間層あるいは硬
質炭素膜を形成することができる。さらには、磁場を印
加することにより磁気共鳴(ECR)プラズマを発生さ
せることもできる。
【0027】また、前述したように、硬質炭素膜の表面
粗さ(Rmax)が2μm以下となるように調製するこ
とが必要であるが、表面粗さは、生成された硬質炭素膜
を研磨すればよいが、後述する実施例から明らかなよう
に、成膜過程で炭素含有ガス濃度を比較的高くするとと
もに、原料ガス中の酸素の割合を少なくすることにより
微結晶のダイヤモンドを含む硬質炭素膜を形成すること
ができる。その場合には成膜後の表面粗さが小さいため
に、硬質炭素膜を研磨する必要がないか、必要であって
も短時間で調整できる。
【0028】なお、本発明の耐摩耗性部材は、切削工具
をはじめ、金属加工用の治具、線引きダイス、スライダ
ー部材など種々の摺動部材、切削工具類、研磨材、耐摩
耗性機械部品として使用できる。
【0029】
【作用】本発明によれば、基体にチタン合金を採用する
ことにより、基体の靱性を高めることができるために過
酷な使用条件下での基体の欠けを防ぐとともに、基体に
対する密着性を高めることができる。特に、硬質炭素膜
とチタン合金基体との間に少なくともダイヤモンドと炭
化珪素を含有する層を配することでさらに硬質炭素膜の
剥離を抑えることができる。
【0030】さらに、チタン合金基体の表面に形成され
る硬質炭素膜の表面粗さを小さくすることにより耐摩耗
性部材としての耐摩耗性を向上させるとともに被摩耗部
材への損傷を防止することができる。特に、硬質炭素膜
中に、微結晶のダイヤモンドを含ませて結晶性が低下せ
しめることにより、硬質炭素膜の表面粗さを小さくする
ことができる。これにより膜の研磨工程を短縮すること
ができ、また相手材との接触において優れた耐摩耗性、
摺動特性を示すことができる。
【0031】
【実施例】
実施例1 反応炉内に原料ガスを導入して、反応室内圧力を0.1
torr、基体温度800℃に設定した。原料ガスの種
類、流量は表1に示す。ECRプラズマCVD法により
最大2kガウスの強度の磁場を印加させ、マイクロ波出
力3.0KWの条件で、Ti−6%Al−4%V合金
(合金の比率は、以下いずれも重量%)基体に成膜を行
った(試料No.1)。成膜時の原料ガス流量及び圧力の
変化を成膜時間の経過と共に表1に示す。なお、試料N
o.1についてラマン分光分析結果を図2に示した。
【0032】
【表1】
【0033】また、基体をTi−8%Al−1%V−1
%Mo合金、Ti−10%V−2%Fe−3%Al合
金、Ti100%、Ti−15%Mo−5%Zr−3%
Alに代えて、同様の手法でコーテイングを行った(試
料No.2,3,4,5)。作製した試料に対していずれ
も20分の研磨工程を行った。
【0034】さらに、比較例として、前記表1に示す原
料ガス組成のうち、Si(CH3 4 を供給しない他は
前述と同様の手法で比較試料(試料No.6、7、8)を
作製した。
【0035】得られた膜に対して、X線回折測定により
検出相を同定し結果を表3に示した。また、顕微ラマン
分光法によりスペクトル測定を行い、1333±10c
-1のピーク強度I1 、1160±40cm-1のピーク
強度I2 との強度比(I1 /I2 )を表3に示した。さ
らに、表面粗さ(Rmax)を触針式表面粗さ計により
測定した。
【0036】また、これらの部材に対して、耐摩耗摺動
特性(ピンの摩耗量及び摩擦係数)をピンオンディスク
法により評価した。摺動試験の条件は、室温、大気中、
無潤滑において、荷重39.2N、摺動速度2m/se
c、24時間で行った。ピンはアルミニウム製のものを
用いた。試験前後のアルミニウムピンの重量変化でピン
の摩耗量を評価した。ピンの摩耗量と摩擦係数を表3に
示す。
【0037】さらに、ビッカース硬度計を用いて、膜に
荷重をかけて基体表面から膜を浮かせ、膜と基体との付
着力を評価した。膜に剥離が生じはじめた荷重(臨界荷
重)を測定した結果を表3に示す。
【0038】実施例2 次に、基体としてTi−6%Al−4%V、Ti−8%
Al−1%V−1%Mo合金を用いて、原料ガスを表2
に示すように調整する以外は実施例1と全く同様にし
て、結晶性の良い硬質炭素膜を形成し、試料No.9につ
いては、研磨工程を20分間行い、試料No.10、11
についてはいずれも40時間行った。
【0039】なお、参考のために、基体として超硬合金
を用いて、表1の条件で硬質炭素膜を形成し、上記と同
様の評価を行った(試料No.12)。
【0040】
【表2】
【0041】得られた硬質炭素膜被覆部材に対して、実
施例1と同様にして、ラマン分光スペクトルによる結晶
相の同定、ピーク強度比、表面粗さ、摺動特性、臨界荷
重を測定し表3に示した。
【0042】
【表3】
【0043】表3の結果において、試料No.6,7,8
は、ダイヤモンドと炭化物との間に中間層を形成しなか
ったものであり、摩耗試験においてはいずれも試験開始
後5分以内で膜の剥離が生じたので、途中で試験を中止
した。膜の剥離が容易に生じたことから耐摩耗性部材と
して膜と基板との密着強度が充分でないことがわかる。
また、臨界荷重も本発明試料に比べてきわめて低い値で
ある。
【0044】試料No.9は、結晶性のよいダイヤモンド
膜を中間層を介して形成したものであるが、表面粗さが
2μmを越えるために、耐摩耗性が不十分であり、ピン
の摩耗が極めて早く、試験開始後30分で試験を中止し
た。
【0045】上記以外の試料は、いずれも摺動試験にお
いて剥離は起こらず、ピンの摩耗量は0.03g以下の
優れた摺動性を示した。ただし、試料No.1と試料No.
10、試料No.2と試料No.11との対比から明らかな
ように、1160±40cm-1のピークが存在しない試
料No.10、No.11では、研磨工程に100倍以上の
時間を要した上に、他に比べてやや大きい摩耗量を示
し、試料No.1、試料No.2に比べて特性、生産性がや
や劣ることがわかる。
【0046】また、従来から基体として用いられている
超硬合金(試料No.12)では密着強度が劣っており、
本発明に基づき、耐摩耗性部材における基体としてチタ
ンあるいはチタン合金が優れていることが確認された。
【0047】実施例3 SGN422の形状を有するTi−10%V−2%Fe
−3%Al合金製の切削チップを基体として、上記実施
例1の表1の条件に基づき、中間層厚み5μm、硬質炭
素膜50μmとなるように時間を調整して切削工具を作
製した。
【0048】また、比較のために同一形状の窒化ケイ素
焼結体(5重量%Al2 3 、3重量%Y2 3 含有)
を基体として、上記と同様の条件で硬質炭素膜を形成
し、比較を行った。
【0049】これらの切削工具を用いて、被削材として
アルミニウム−12%シリコン合金を用い、切削速度8
00m/分、送り0.1mm/rev、切り込み0.2
mmの条件により乾式で30分間の切削加工試験評価を
行い、試験後のフランク摩耗量を測定した。その結果、
チタン合金基体の本発明品ではフランク摩耗が0.03
mmで、被削材の加工面も光沢を帯びて美しく仕上がっ
ていた。また、窒化ケイ素焼結体基体品でも0.04m
mであり、で被削材の加工面もきれいに仕上がってい
た。
【0050】次に、各工具10個に対して、被削材とし
て外周面に軸方向に伸びる4本の溝が形成されたアルミ
ニウム−12%シリコン合金を用い、切削速度800m
/分、送り0.1mm/rev、切り込み0.2mmの
条件により乾式で30分間切削後の耐欠損性を調べた結
果、本発明品では、欠損するものは一つもなかったが、
窒化ケイ素焼結体基体からなる工具では、10個中4個
の工具に欠損が生じており、チタン合金製の基体が優れ
ていることを確認した。
【0051】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明の耐摩耗
性部材は、硬質炭素膜と基体との密着強度に優れ、また
膜自体が耐摩耗性に優れていることから、耐摩耗性部材
や摺動部材に適していることがわかる。また、本発明は
チタンあるいはチタン合金を基体としていることから靭
性に優れ、基体の欠損を防ぐことができ、切削工具等に
用いた場合においてもチッピングが生じにくいものであ
った。さらに、硬質炭素膜中に微結晶ダイヤモンドを含
むことにより、成膜後の膜表面の平滑性に優れ、膜の表
面の研磨を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐摩耗性部材の構造を説明するための
模式図である。
【図2】本発明における硬質炭素膜のラマン分光分析結
果を示す図である。
【符号の説明】
1 基体 2 中間層 3 硬質炭素膜 4 ダイヤモンド 5 金属炭化物

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタンあるいはチタンを主とするチタン合
    金からなる基体の表面に少なくともダイヤモンドと金属
    炭化物を含有する中間層を介して硬質炭素膜を被覆して
    なり、且つ前記硬質炭素膜の表面粗さ(Rmax)が2
    μm以下であることを特徴とする耐摩耗性部材。
  2. 【請求項2】前記金属炭化物として、炭化珪素を含む請
    求項1記載の耐摩耗性部材。
  3. 【請求項3】前記硬質炭素膜のラマン分光スペクトル分
    析において1160±40cm-1にピークが存在する請
    求項1記載の耐摩耗性部材。
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