【発明の詳細な説明】
疾患の臨床的発現に基づく、診断用試薬を得る方法、アッセイ、及び治療剤 発明の領域
本発明は、一般的に、疾患の状態に特徴的な特異的抗体又はその他の特異的結
合タンパク質に選択的に結合するペプチドを含む様々な化合物の単離、回収、処
方、及び使用に関連する技術分野に関する。発明の背景
本発明は、部分的に、抗体、抗体に結合する抗原に関する従来の知識、及び天
然の抗体に結合しうるペプチドやその他の分子の混合物を大量製造するための既
知の手法に基づいている。抗体は、リンパ細胞(血漿細胞)により産生されるタ
ンパク質である。抗体は、外因性又は内因性の「外来」物質(抗原)に反応した
細胞により産生され、その免疫反応を刺激した抗原と特異的に結合できる。抗体
は、同抗原と構造が類似した物質とも結合することができる。抗原は、脊椎動物
へ導入された場合に、抗体産生を刺激するいかなる外来物質であってもよい。抗
原は、自己免疫疾患又は組織破壊のような内因的な原因に由来するものであって
もよい。一つの複合抗原様分子が、いくつかの、抗原決定基と呼ばれる抗原性が
異なる部位を運搬することもある。ある免疫原の特定の部分(一般的には、抗原
決定基)に構造が類似した物質は、その抗体と特異的に反応しうる。しかしなが
ら、そのような小物質は一般的に、小さいために抗体の合成を刺激することがで
きず、不完全抗原又はハプテンと呼ばれることがある。
ヒトのような脊椎動物には、一生を通じて、外来物質が絶えず侵入している。
これらの外来物質には、疾患を引き起こすウイルス及び細菌が含まれる。抗原と
なる物質が導入されるごとに、一つの異なる抗体、又は複数の抗体が産生されう
る。多くの外来物質が動物の一生を通じて侵入し、そして一つの外来物質に反応
して多くの抗体が産生されうるため、各々の動物は極めて多数の異なる抗体を持
っている。現在の技術では、特に、問題となっている抗体又は抗原の特徴が明ら
かでない場合には、特異的な抗原又は疾患に関連する特異的抗体を単離及び回収
することは極めて困難である。特に、一つ又は複数の個体がある疾患を患ってい
ることが分かっている場合(その疾患に対する病原体は特徴が明らかでない)、
その疾患の結果として産生され、増幅された抗体をその個体から単離することは
簡単なことではなく、また、それらの抗体に結合する抗原を単離及び回収するこ
とも簡単なことではない。本発明は、特異的な疾患に特徴的な抗体を単離及び回
収し、それらの抗体に特異的に結合する抗原及び/又は関連分子を同時に単離す
ることができる手法を提供することを目的とする。
本発明を実施するためには、抗体への結合能の試験をうけることができる多数
のペプチド及び/又はその他の分子を製造する必要がある。これらのペプチド及
び/又はその他の分子の大量混合物は、文献に記載された手法を用いて製造する
ことができる。標準的なメリフィールド(Merrifield)の方法よりも迅速に複数の
ペプチドを製造する最初の方法の一つが、「Houghten,R.A.,Proc Natl Acad Sci
USA(1985)82:5131-5135」により開示された。ホーテン(Houghten)の方法は、メ
リフィールド(Merrifield)の方法の改良を含むが、多くの個々のポリエチレンバ
ッグを用い、各バッグが異なるペプチドを含有する方法である。別の方法が、「
Geysen,H.M.,et al.,Proc Natl Acad Sci USA(1984)81:3998-4002」によって開
示された(WO86/06487及びWO86/00991も参照のこと)。ゲイセン(Geysen)の方法
によると、C末端アミノ酸残基が、複数のポリエチレンのピンの形態の固相支持
体に結合し、それらのピンは同時に付加アミノ酸残基に結合するように処理を受
けている。
より最近では、平行合成により多くのペプチドを製造する装置が開示されてい
る(例えば、「Advanced Chem Tech,Gilson」)。極めて多数のペプチドを混合
物として製造することができるさらに改良された方法が、ルッター(Rutter)及び
サンティ(Santi)に対して1991年4月23日に発行された米国特許第5,010,175号に
開示されている。ルッター(Rutter)及びサンティ(Santi)の方法により、等モル
量又は予想される量で多くのペプチドを製造することができる。本方法で、6400
万又はそれ以上の異なる区別されるペプチドを含有する混合物のような、大量の
ペプチドを迅速に合成することができる。多数の異なるペプチドを含むペプチド
混合物
を製造するためのもう一つの方法は、ヘブナー(Huebner)らに対して1993年1月26
日に発行された米国特許第5,182,366号、及び「Lam et al.,Nature,(1991)354,8
2-84」及びプラグ(Prague)の論文に開示されている。
上記の特許に開示された方法で、化学的合成法、すなわち反応生成物を得るた
めにある化合物を他の化合物と化学反応させる方法、を用いてペプチド及び又は
修飾ペプチドを製造することができる。これらの方法は、本発明と関連して用い
られうるが、その他の最近の手法には、多数のペプチドの生物学的合成が含まれ
る。特に、細菌又はファージの遺伝物質を修飾して、各細菌又はファージがその
表面に各々のペプチドを産生するようにさせることができる。改変した遺伝物質
の多数の異なる断片をランダムに製造することにより、表面に異なるペプチドを
発現する、異なる細菌又はファージの混合物を製造することが可能である。ファ
ージ上にペプチドを作成する一つの方法は、「Devlin et al.,Science(1990)249
:404-406」により開示されている。それは、ファージの表面に数100万のペプチ
ドのランダムライブラリーを作成し、迅速に評価するための方法を開示している
。類似の方法が、「Scott and Smith,Science(1990)249:386-390」によって開示
された。スコット(Scott)及びスミス(Smith)は、ペプチドをバクテリオファージ
の表面に作成し、ランダムな配列のオリゴヌクレオチドを発現する数千万のクロ
ーンの混合物から、タンパク質リガンドでのアフィニティ精製を用いて、特定の
ペプチドタグを発現するファージを選択することができる方法を開示している。
「Christian et al.,J.Mol.Biol.,(1992)227:711-718」は、バクテリオファージ
中のペプチドライブラリーを構築し、評価し、迅速にスクリーニングするための
簡便な方法を開示している。もう一つの関連した方法は、組換え法を用いて、la
mBのような細菌の外膜タンパク質の細胞外ドメインへペプチドを挿入することに
よるライブラリーの作成を含む(Brown,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:8651-
8655)。さらにもう一つの多数のペプチドを製造する方法が、ラドナー(Ladner)
らに対して1993年6月29日に発行された米国特許第5,223,409号に開示されている
。
ペプチド及び修飾ペプチドのライブラリーを製造するための上記の方法は全て
、本発明と関連して用いられうる。それらの方法は、ペプチド及び修飾ペプチド
の大量混合物を製造するために極めて有用であるが、抗体も抗原も既知でない場
合
に血清中の抗体に結合する分子を同定したり、ある疾患に特異的な抗体を同定す
ることはできない。本発明は、それらを可能にするための手法を提供することを
目的とする。発明の概要
本発明の方法により、ある特定の疾患に特異的な血清中の抗体を単離すると同
時に、それらの抗体に特異的に結合するペプチド及び/又はその他の分子を単離
することができる。本方法を実施するために、同じ疾患を患ったことのある病歴
を有する患者のうちの「n」番目の患者の血清から抗体を単離する。1番目の患者
の抗体を、抗原の特異的結合を阻害しないように、単離し支持体表面に固定化さ
せる。一次選択を行うために、バクテリオファージ(又は細菌、又は固相支持体
上の合成ペプチド)の表面に提示されたペプチドのライブラリーを、結合が起こ
るような条件下で1番目の患者の固定化抗体へと接触させる。(説明のために、
ファージ上に提示されたペプチドを用いた方法を以下に記載する。しかし、細菌
、合成ペプチドなどで、当業者により同様の方法が行われうる。)未結合ファー
ジ−ペプチドを洗浄除去し、抗体特異的なファージ−ペプチドを取り出し、単離
し、細菌の芝生(lawn)上で増殖したプラークとして回収する。それから、2番目
の患者の抗体を単離、標識し(放射性同位元素、又はその他の方法で)、その標
識抗体をプローブとして用いて、一次選択において同定された単離されたバクテ
リオファージに結合したペプチドを選択することにより、二次スクリーニングを
行う(例えば、「Christian et al.,J.Mol.Biol.,(1992)227:711-718」及び「Ca
stag noli et al.,J.Mol.Biol.(1991)222:301-310」により純粋なモノクローナ
ル抗体で開示された方法を用いて)。1番目の患者の抗体の多くは2番目の患者の
抗体と異なるため、(2番目の患者の)非疾患特異的抗体の多く又はほとんどは
、1番目の患者の抗体に結合した単離されたバクテリオファージのペプチドに結
合しない。2番目の患者の抗体が結合しないペプチドは、問題としている疾患の
抗体に結合しないものとして同定され、スクリーニング過程から除去される。3
番目、4番目などの患者由来の標識抗体でこの過程を繰り返すことにより、問題
としている疾患に特異的な抗体に対して最も高い親和性を有するペプチドを入手
し、同定するこ
とができる。最大の結合親和性を有することが見い出されたそれらのペプチドの
特徴を決定する。例えば、もしペプチドがファージ又は細菌上のものであれば、
DNA配列から推定することにより、そのアミノ酸配列を決定する。それから、予
想されたペプチドを化学合成し支持体へと結合させることにより、抗体の存在を
検出するための診断アッセイとして使用でき、また、薬剤学的調製物へと処方し
、生きている生物中の抗体を不活化又は中和するために用いることができる。
本発明の第一の目的は、疾患特異的抗体に選択的に結合する特異的ペプチドを
決定し、疾患と関連した抗体を単離するための方法を提供することである。
本発明の重要な利点は、本方法が、ある特定の疾患を引き起こす分子の実体、
又は疾患の感染により産生される抗体についての予備知識を必要としないことで
ある。
本発明のもう一つの利点は、ある疾患に特徴的な抗体に特異的に結合する単離
された分子を、個体の血清中の疾患の存在を検査するために用いることができ、
ときには、疾患特異的抗体の定量的又は定性的差異により個体の疾患の進行を診
断するために用いることができるという点である。
本発明の特徴は、本発明の方法を用いて単離される診断用試薬が、疾患を患っ
たことがあるか、又は患っている多くの個体の疾患の状態の間に産生された共通
の抗体の存在によってのみ単離され、同定されることである。このような抗体は
、臨床的な記述により疾患を定義づけるため、「疾患特異的」と呼ばれる。
本発明のもう一つの利点及び特徴は、多くの異なる患者(全員がある特定の疾
患を持つ)の抗体が、共通でない抗体を除去し、問題としている特定の疾患に特
異的な共通の抗体を単離するために、比較分析されることである。
本発明のもう一つの利点は、極めて多くのペプチド及びその他の分子を、抗体
への結合能についてスクリーニングし、その後に単離及び特徴決定ができること
である。
本発明の特徴は、合成ペプチド、又はバクテリオファージもしくは細菌上に提
示された細胞表面ペプチドライブラリーと関連して用いられうるということであ
る。
本発明のもう一つの目的は、一つ又は複数の抗体結合ペプチドが表面に結合し
た基質を含む、診断用アッセイ装置を提供することである。
本発明のもう一つの利点は、特異的疾患に関連した抗体の存在、及びおそらく
特異的な疾患の状態に関連した抗体の存在を決定するために、ヒト及び動物の血
清の検査に用いられうる本方法が、様々な異なる疾患に対するアッセイを製造す
るために用いられうるということである。
本発明のもう一つの特徴は、アッセイだけでなく、抗体を中和し、いくつかの
場合においては患者の治療に用いられる薬剤学的処方の開発にも有用であるとい
うことである。
本発明のこれら及びその他の目的、利点、及び特徴は、より完全に以下に記載
した方法及び使用の詳細を参照することにより当業者に明らかとなるであろう。好ましい態様の詳細な説明
ペプチド診断用試薬を得るための本方法、ならびにそれらを用いるアッセイ及
び処方を記載する前に、本発明は、記載された特定の方法、アッセイ、及び処方
を限定するものではなく、もちろん様々に変化しうるということを理解されたい
。また、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細
書において用いられる用語は、特定の態様を記載するためだけのものであり、限
定するためのものではないということも理解されたい。
本明細書及び添付の請求の範囲において用いられるように、単純な「a」、「a
nd」、及び「the」は、文章中に他で明確に指図しない限り複数の指示対照も含
むということも注意すべきである。従って、例えば、「ペプチド(a peptide)」
という記載には、ペプチドの混合物及び多数のペプチドが含まれ、「抗体(an an
tibody)」という記載には、多数の抗体が含まれ、「合成方法(the method of sy
nthesis)」という記載には、一つ又は複数の、当業者に既知の、又は本出願等を
参照することにより当業者に理解される合成方法が含まれる。
他で定義しない限り、本明細書において用いられる全ての技術用語及び学術用
語は、本発明が属する分野の技術者により通常理解されるものと同じ意味を有す
る。本明細書に記載されたものと類似又は同等のいかなる方法及び物質も、本発
明の実施及び試験において用いられうるが、好ましい方法及び物質を本明細書に
記載した。本明細書において言及した全ての刊行物が、参照が引用された特別な
情報を記載し、開示するために、参照として本明細書に含まれる。定義
「抗体」という用語は、その最も広い意味において定義され、特異的な結合部
分、すなわち生物系において他の化学部分に特異的に結合する化学部分を含む。
該用語は、外来の侵入タンパク質(いわゆる抗原)の効果を中和するために動物
の体内で形成されるタンパク質分子を含む。該用語は、抗原の存在に反応してリ
ンパ球により産生される抗体をさらに含む。その各抗体は、抗原と抗体が鍵穴と
鍵のように相互に特異的に適合するように、ある特定の抗原の構造に正確に適合
する分子構造を有する。該用語は、侵入抗原分子(抗原分子は一般的に病原性の
細菌又はウイルスの表面上にある)に結合し、そのことにより細菌又はウイルス
を不活化する抗体分子を含む。
「ペプチドライブラリー」及び「ペプチドのライブラリー」という用語は、本
明細書において互換的に用いられる。これらの用語は、好ましくは4から20のア
ミノ酸を含む直鎖状のアミノ酸の形態の、ペプチドの混合物を含む。ペプチドラ
イブラリーは、400又はそれ以上の区別された特別なペプチドを含む混合物を含
み、混合物中の各ペプチドは回収可能かつ分析可能な量で存在するものとする。
好ましい混合物は、例えばヘキサペプチドのみを含む混合物のように、同数のア
ミノ酸を含むペプチドを含む。特に好ましい混合物は、20の天然アミノ酸の各々
が混合物中のペプチドの一つにおいて全ての可能な位置に存在するペプチドを含
む。例えば、特に好ましいヘキサペプチド混合物は、206のヘキサペプチド(640
0万)を含み、6400万のヘキサペプチドの各々が回収可能かつ分析可能な量で存
在する。
「ペプチドアナログライブラリー」及び「ペプチドアナログのライブラリー」
という用語は、本明細書において互換的に用いられる。これらの用語は、好まし
くはポリマーであり、好ましくは4から20のモノマー単位を含む直鎖状のモノマ
ー単位の形態の、分子のライブラリーを含む。ペプチドアナログライブラリーは
、「ペプチドライブラリー」に関して上記に定義したように、多数の分子を含む
。ペプチドアナログは、D-アミノ酸、アミノ酸アナログ、及びモノマー単位とし
て互いに結合しポリマーを形成しうるその他の有機分子を取り込んだペプチドを
含
む。
「疾患特異的抗体」(DSA)という用語は、例えば疾患の直接的又は間接的な結
果として特異的に産生される抗体又は抗体群のように、免疫系を有する生物によ
り産生され、ある特定の疾患と特別に関連する、いかなる抗体をも含むものとす
る。
「非疾患特異的抗体」(NDSA)という用語は、疾患特異的抗体以外の、生物中の
あらゆる抗体を含むものとする。非疾患特異的抗体は、問題とする特異的疾患で
はない前疾患(prior diseases)を含む、広範囲の異なる抗原性物質の結果として
産生されうる。
「抗体結合ペプチド」という用語は、通常の抗体/抗原結合条件下において抗
体に結合する、(好ましくは4から20アミノ酸を含む)直鎖状ペプチドを含むも
のとする。好ましい抗体結合ペプチドは、疾患特異的抗体に選択的に結合し、非
疾患特異的抗体には結合しない直鎖状ペプチドである。
「抗体結合分子」という用語は、抗体結合ペプチド、及び通常の抗体−抗原結
合条件下において抗体に選択的に結合する、ペプチドアナログ又は有機分子のよ
うなその他の分子を含むものとする。好ましい抗体結合分子は、疾患特異的抗体
に選択的に結合し、非疾患特異的抗体には結合しないか、又は強力には結合しな
い、4又はそれ以上のモノマー単位を含む、直鎖状ポリマー分子又は有機分子で
ある。一般的方法
本発明の方法により、免疫反応についての予備知識なしに、疾患特異的抗体に
選択的に結合する、ペプチドのような分子を単離し、さらにそれらの抗体分子を
単離及び同定することが可能となる。ペプチドのような抗体結合分子を単離した
後、それらを化学合成し、アッセイに用いたり、治療剤として使用するために処
方することができる。純粋な抗体を単離し、回収した後、いくつかの場合におい
ては配列を決定し、コピーを作成することができる。
本方法は、全員が問題とする同じ疾患を有しているが免疫学的には不均一な多
数の患者群由来の血清から、抗体を抽出することにより行う。異なる患者由来の
抗体を比較し、いずれの抗体が、問題とする疾患を有する患者に共通の疾患特異
的抗体(DSA)であるかを確認する。それから、目的の抗体結合ペプチド又はその
他
の分子を、DSAを用いて同定することができる。その後、その抗体結合分子を、
その他の被験患者の血清中の疾患特異的抗体の存在を決定するためのアッセイに
用いたり、治療剤として使用するために処方することができる。
上記の「発明の背景」の章に、ペプチドライブラリー及び/又はペプチドアナ
ログライブラリーを作成するための数多くの方法を記載した。これらの方法及び
その他の方法のいずれも、本発明の一般的な方法と関連して用いられうる。一般
的に、ルッター(Rutter)及びサンティ(Santi)、又はヒューバー(Huber)及びサン
ティ(Santi)の米国特許第5,010,175号、又はラム(Lam)らにより開示されたよう
な化学合成法が、ペプチドライブラリーを合成により作成するために用いられう
る。本手法を、ペプチドアナログライブラリーの合成による作成に用いるために
、アミノ酸モノマー単位を修飾することができる。又は、上記に引用したデブリ
ン(Devlin)ら、ならびにスコット(Scott)及びスミス(Smith)の論文に開示された
ような方法が、バクテリオファージの表面に発現したペプチドの大ライブラリー
を作成するために用いられうる。又は、「Pauwels,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA(1993)90:1711-1715」、「Bunin,B.A.and Ellman,J.A.(1992)114,10997-10998
」、「DeWitt,S.H.et al.,(1993)90:6909-6913」に開示されている有機多様性ラ
イブラリーを、新規な有機分子診断用試薬を同定するために使用することができ
る。これらの方法のいずれも使用することができるが、もちろん、抗体結合分子
がペプチドでない場合には化学合成法を用いる必要がある。特に、抗原に結合す
るかもしれないペプチドアナログ及び関連する有機化合物を作成するためには、
化学合成法を使用しなければならない。しかし、簡便に効率よく行うためには、
「Devlin et al.,Science(1990)249:404-406」、「Scott and Smith,Science(19
90)249:386-390」、「Christian et al.,J.Mol.Biol.,(1992)227:711-718」、「
Castagnoli et al.,J.Mol.Biol.(1991)222:301-310」、及び「Brown,Proc.Natl.
Acad.Sci.USA(1992)89:8651-8655)」に開示された非独占的な方法に従ってバク
テリオファージ又は細菌の表面に作成されたペプチドライブラリーを使用するの
が好ましい。そのため、以下の特別な記載は、バクテリオファージ上に作成され
たペプチドライブラリーの使用に関する。しかしながら、本開示を参照した後、
当業者は、以下の記載を容易に修飾し、細菌表面ライブラリー、化学合成法を用
いて作
成した合成ペプチドアナログライブラリー及び有機化合物ライブラリーを含む様
々なライブラリーを用いて、本方法を実施することができるということに注意す
べきである。一次血清/抗体精製
本発明の方法を実施するために、問題とする同じ疾患を有すると診断された患
者(例えば、10患者)の「n」番目の患者の血清を採取する。各患者が問題とす
る疾患を有することが明確に診断されている、ということが重要である。共通な
抗体のほとんどが疾患特異的となるように、患者は免疫学的背景に関しては異な
っていることが望ましい。このことは、様々な遺伝学的背景を有する、世界中の
様々な地域出身の患者を選択することによりある程度達成される。
異なる患者から血清を採取した後、問題とする抗体の検索を容易にするために
、各患者由来の血清を、阻害物質の除去を含む一次精製過程にかける。例えば、
血清を大腸菌のタンパク質と接触させ、(先に接触させた)大腸菌タンパク質に
特異的に結合する抗体を除去する。その他の共通の高力価抗体も、同様にして血
清から除去することができる。このような精製過程を実施するための方法は、「
Sambrook,Fritsch and Maniatis(1989),Cold Spring Harbor Laboratory Press
」などの実験の手引きに記載されているような方法を用いて、抗体を大腸菌K-12
溶解物と接触させることを含む。それから、IgG抗体を単離するために、抗体を
、プロテインAカラムのようなカラム分離法により精製する。単離された抗体は
、可能な限り多くの非疾患特異的抗体を除去するために、除去方法にかける。
「n」番目の患者から採取した血清を、上記の型のような一次抗体抽出及び精
製過程にかける。その後、10個体由来の疾患特異的抗体及び多数の非疾患特異的
抗体を含む、各抗体プール(10個体からは、10の抗体プール)が得られる。10プ
ールの全てに共通の疾患特異的抗体を区別するために、これら10プールを、一つ
ずつ本発明により比較分類する。10プール全てに共通な抗体はいずれも、ほぼ確
実に疾患特異的抗体であり、本発明は、このような疾患特異的抗体を得ることを
目的とする。
本発明を可能な限り広く解釈した場合、一次精製過程は必要ではないというこ
とを指摘する必要がある。本発明の最も広い解釈によれば、1番目の患者の抗体
が、
2番目の患者の抗体に対して比較分類される。もし、1番目と2番目の患者が、問
題とする疾患特異的抗体以外の抗体を全く共有していなかったとすると、抗体結
合分子が、結合抗体と共に容易に同定される。しかし、実際には、本発明による
比較分類にさらにかける必要がある抗体の数を減少させるために、一次精製過程
の使用は重要である。
様々な一次精製過程が用いられうる。当業者は、特定の集団由来の血清の処理
に関して、ある別の過程が、他の方法より有用であるということを理解するであ
ろう。例えば、ある特定の集団の患者は、ある特定の疾患に関する抗体を産生し
ている可能性が高いが、一方別の集団の患者は、その疾患に特異的な抗体を産生
している可能性は極めて低い。例えばマラリアは、他と比べて、ある集団に多く
見られる。従って、ある集団から通常の方法によりマラリア特異的抗体を探し出
すのはより効率がよいが、一方マラリアに感染している可能性が低い患者集団で
そのような抗体を探索するのは効率が悪い。
上記の一次精製過程には、ペプチドライブラリー又はペプチドアナログライブ
ラリーを用いる必要がないため、次のスクリーニングにどのような型のライブラ
リーを用いるかに関わらず、同様に行うことができる。しかし、「一次選択」に
関する以下の章では、何らかの型のライブラリーを作成することが必要である。
前述のように、簡単のため、ペプチドライブラリー、特に上記に引用した1990年
のスコット(Scott)及びスミス(Smith)の論文に記載されたようにバクテリオファ
ージ表面に作成したペプチドライブラリーの使用に関して方法を開示する。しか
しながら、(ペプチドではないが、抗体に結合する能力がペプチドやその他の分
子に類似した有機化合物(例えば、炭水化物、核酸など)を含む)あらゆる型の
ライブラリーが、本発明の方法において使用されうる。一次選択
一次抽出及び精製過程の後にも、抽出された抗体の10プールの各々には、数多
くの疾患特異的抗体及び疾患非特異的抗体が含まれていると考えられる。例えば
、10の疾患特異的抗体が、それよりもはるかに多くの非疾患特異的抗体、例えば
1,000の非疾患特異的抗体と混合している。前述のように、本明細書に用いた数
は、例を挙げるためだけに選択した。各プール中に存在する疾患特異的抗体及び
非疾
患特異的抗体の正確な数は、明らかではなく、疾患や抗体を抽出した個体のよう
な多数の要因により様々に変化する。しかし、一般的に、各プールには、いくつ
かの疾患に特異的な抗体、及び疾患に特異的でないそれよりもはるかに多い抗体
が含まれる。少数の疾患特異的抗体が、はるかに多い非疾患特異的抗体のために
検出されないということは、自然な現象であり、そのことにより本発明の重要性
が強調される。特に、本発明の方法により、はるかに多い非疾患特異的抗体の中
から疾患特異的抗体を選出することが可能となる。
1番目の患者(患者A)由来の抗体プールを、ある支持体表面に固定化する。抗
体群は、抗原の抗体への結合を阻害しないような方法で結合する。ペプチドライ
ブラリー(ファージ、細菌、合成ペプチド、又はその他の分子)を、支持体表面
に結合した固定化抗体に接触させる。ペプチドライブラリーは、好ましくはバク
テリオファージの表面に作成し、各ファージが異なるペプチド、例えばヘキサペ
プチドを発現するようにする。このようなファージライブラリーは、上記に引用
した参照に開示されているような、当業者に知られた方法に従って作成できる。
本質的に、本方法は、6400万又はそれ以上のヘキサペプチドをコードするランダ
ムなヌクレオチドの合成、及びバクテリオファージのゲノム中へのランダムなオ
リゴヌクレオチドの挿入を含む。バクテリオファージ表面に作成したペプチドラ
イブラリーを用いるのが好ましい。なぜなら、目的のものであることが分かった
ライブラリー中のいかなる特定のペプチドも、ファージ精製により容易に精製す
ることができ、バクテリオファージを細菌に感染させて複製を行わせることによ
り容易に増幅することができるためである。
バクテリオファージ上のペプチドライブラリーを、支持体に結合した患者A由
来の固定化抗体へ接触させる。非疾患特異的抗体のバックグラウンドを減少させ
るため、疾患をもたない個体由来の遮断用抗体を、あらかじめ、及び/又は同時
に、バクテリオファージライブラリーへ過剰に添加し、共にインキュベートする
。通常の抗体/ペプチド結合条件を用いることができる。支持体に結合した固定
化抗体への(バクテリオファージ上の)ペプチドの結合に十分な時間をあてた後
、通常の方法により、固定化抗体へ結合したペプチド(バクテリオファージ)の
みを保持する画分から、未結合ペプチド(バクテリオファージ)及びバクテリオ
ファ
ージ−「遮断用抗体」複合体を洗浄する。
それから、抗体結合ペプチド(ファージ)を除去し、単離する。単離されたペ
プチド(ファージ)は、細菌へと感染させ、特有の、精製されたプラークを生成
させるために用いることができる。この時点で、本発明の一次選択段階が、完了
する。特に、分子ライブラリーを作成し、それらの分子が1番目の患者由来の抗
体へと結合することが示された時点で、本発明の「一次選択」は完了する。しか
し、1番目の患者の抗体へ最も強く結合する抗体結合ペプチドがどれであるかを
決定するために、一次選択段階をさらに工夫しても良い。この方法については以
下に記載する。一次選択(結合親和性の増加)
最も大きい親和性で抗体へ結合するペプチドがどれであるかを決定するために
、抗体結合ペプチドのコピーを支持体に結合した患者A由来の抗体と接触させる
ことができる。抗体へ最も高い親和性で結合する抗体結合ペプチドを決定するた
めに、(例えば、より結合が起こりにくくなるような条件へ)結合の条件を変化
させることができる。この過程は繰り返す必要はないが、何度繰り返してもよく
、そして抗体へより高い親和性を持つペプチドを同定するだけでなく、高力価で
存在し、従って問題とする特異的疾患に関連する可能性がより高い抗体を導き出
すためにも用いられうる。二次スクリーニング−異なる血清中のオーバーラップエピトープの同定
さらなる二次スクリーニング段階により、本発明がより詳しく特徴づけられる
。二次段階において、2番目の患者(患者B)から単離し一次「精製」過程を経た
抗体を、ビオチン、フルオレセイン、又は適当な放射能などの適当な検出可能な
標識で標識する。それから、標識抗体を患者A由来の抗体結合ペプチドにより作
成したバクテリオファージコロニーへと接触させることにより、患者Bの標識抗
体を、プローブとして用いる。一つの方法において、抗体結合ペプチドを膜へ結
合させ、プラークハイブリダイゼーション法を用いる(Christian et al.,J.Mol.
Biol.,(1992)227:711-718)。
ファージの代表的な試料を、雄の大腸菌へ感染させるために用いる(ファージ
:大腸菌::1:100)。約50,000コロニーを、テトラサイクリンを含むルリア培
地(Luria broth/LB)プレートに撒き(20μg/ml;1000コロニー/プレート)、37℃
で一晩インキュベートする。フィルターを上に被せるだけの方法で、ファージを
ニトロセルロースに転写する。直ちにフィルターを、TNT緩衝液(10mM Tris-HCl,
pH8.0,150nM NaCl,0.05%Tween20)で2回洗浄し(1回につき30分ずつ)、非疾患
特異的相互作用を阻害するために、問題とする疾患を持たない個体由来のIgGを2
0%含む遮断用溶液へ室温で30分間浸す。
それから、フィルターを、患者B由来のビオチン化IgG調製物を上記の遮断用溶
液で1000倍に希釈したもので、室温で2時間インキュベートする(15ml/フィル
ター)。フィルターを、室温において3回洗浄する。最初は、TNT、0.1%アルブ
ミンで10分間、2回目は、TNT、0.1%アルブミン、0.1%ノニデット(Nonidet)P-4
0、最後は、再びTNT、0.1%アルブミンで洗浄する。アビジン−西洋ワサビペル
オキシダーゼ(HRP)結合体(ベーリンガー・マンハイム社/Boehringer-Mannheim
)を遮断用溶液(上記)で200倍(v/v)に希釈し、フィルターと共に、2時間室温
においてインキュベートする(15ml/フィルター)。フィルターを再び上記のよ
うに3回洗浄する。それから、製品説明書(ピアス社/Pierce)に従い、3,3'ジ
アミノベンジジンテトラ塩酸を用いて発色させることにより反応性のクローンを
同定する。
患者Bの標識抗体の多くは、患者Aの抗体が結合したのと同じ抗原(ファージコ
ロニー/プラーク)には結合しない。これらの抗体は、患者Bの非疾患特異的抗
体であると考えられ、無視することができる。すなわち、患者A由来の抗体を用
いて単離したプラーク又はコロニーのうち、患者B標識抗体が結合しないものは
いずれも、偽陽性、又は問題とする疾患に特異的ではないペプチド(即ち、問題
とする疾患から生じた抗体に結合しないペプチド)であると考えられる。非疾患
特異的抗体の多く又はほとんどは患者AとBとで異なるため、この二次スクリーニ
ング過程により、多数の又は、希であるが全ての非疾患特異的抗体を除去するこ
とが可能である。最も重要なことは、それにより、これらの抗体又は疾患を有す
る患者に共通の抗体結合ペプチドを同定できることである。
この時点において、疾患特異的抗体にのみ特異的に結合する、特異的なペプチ
ドを単離することが可能である(しかし、可能性は低い)。このようなペプチド
を化学的に合成し、それらが疾患特異的抗体に高い親和性で選択的に結合するか
否かを決定するために試験することができる。もし、陽性の結果が得られれば、
アッセイとして用いるため、及び/又は治療剤(例えば、ワクチン、又は自己免
疫疾患の抗体の効果を遮断するための遮断用試薬)として用いるためのペプチド
を処方するために、支持体へ抗体結合ペプチドを結合させる以外は、さらなる段
階は不要である。一般的には、いかなる特定の2人の患者も、問題とする疾患に
反応して生じた抗体以外に共通の抗体を有している可能性が高いため、さらなる
段階が必要となる可能性が高い。
一回の二次スクリーニング段階では、最終的な望ましい結果が得られる可能性
は低いため、患者B由来の抗体で実施した過程を、さらに患者Cの血清の抗体で繰
り返す。特に、3番目の患者(患者C)から抽出し、一次「精製」過程を経た抗体
を、患者Bの抗体を標識したのと同様の方法で標識する。これらの患者Cの標識抗
体を、少なくとも患者A及びBの抗体に結合したペプチドに接触させる。実際には
、患者Cの標識抗体を、患者Bで用いたのと同じプラークパターンに接触させる。
患者C由来の標識抗体で結合が起こった場合、それは、患者A及びBの標識抗体で
結合が起こったプラークと一致する。患者A、B、及びCの間の抗体が一致した場
合、陽性の可能性があると考えられる。しかし、いかなる非共通結合も偽陽性の
指標である。特に、患者Aのペプチドに、患者B由来の標識抗体を使用したときに
結合が起こり、患者C由来の標識抗体を用いたときに結合が起こらない場合(又
はその逆の場合)、それは偽陽性であると考えられる。すなわちそのような場合
には、これらのペプチド及び抗体は、問題とする疾患に特異的でないと考えられ
る。このことは、全ての患者が、問題とする同じ特異的疾患を有すると診断され
、従ってその疾患に関連した共通の抗原に結合するいくつかの抗体を共有するは
ずであるような場合に当てはまる。
患者B及びCの抗体で行った過程を、再び4番目の患者(患者D)で繰り返すこと
ができる。この過程は、本質的に、残っている抗体又は抗体群、及びそれらが結
合する残っているペプチド又はペプチド群が、疾患に特異的であるか、又は非疾
患特異的抗体であるかを決定することができるまで、「n」番目の患者由来の抗
体で繰り返すことができる。患者B、C、及びDの標識抗体を用いて得られた結果
の比較を示す概略図を以下に示す。
上図に示されたように、患者Bの標識抗体を黒いプラークで示した。患者Cの抗
体を同じプラークパターンに対して試験した場合、疾患特異的抗体の可能性があ
ると同定しうる3つのプラークのオーバーラップが存在している。この過程を患
者Dの標識抗体で繰り返した場合、プラークのうちの一つだけが、全ての患者に
共通であることが示されている。患者A、B、C、及びDの抗体が全て、(一つのペ
プチドを含む)その一つのプラークのペプチドに結合するため、そのペプチドは
、問題とする疾患に特異的に関連する抗体に結合するペプチドであると同定する
ことができる。
(患者B、C、Dなどの標識抗体での)二次スクリーニング段階を、十分な数の
患者で繰り返すと、問題とする疾患に特徴的な疾患特異的抗体に結合するペプチ
ド結合分子を同時に同定する、即ち問題とする抗体及び抗原を決定することが可
能である。それから、バクテリオファージ上のペプチドのようなペプチド結合分
子を回収し、配列を決定することができる。ペプチドをバクテリオファージの表
面で作成すれば、そのDNAの配列を決定し、それからペプチドのアミノ酸配列を
推定するのに便利である。これを行った後、目的のペプチド又はペプチド群を、
大量に化学合成することができる。それから、そのペプチド又はペプチド群が、
問題とする疾患を患うすべての患者に共通の抗体に特異的に結合するかを決定す
るために、その疾患を持つと診断されたその他の患者の血清に対して試験するこ
とができる。使用方法
問題とする疾患に特異的な抗体に特異的に結合することが示された多くのペプ
チドを製造するために、発明の背景に開示した型の化学合成法を用いることがで
きる。一般的に、このようなペプチドは、問題の疾患の存在を診断することがで
きるアッセイを製造するために有用である。特に、一つ又は複数のこのようなペ
プチドを、支持体表面に結合させ、被験患者の血清を結合ペプチドに接触させる
。問題の疾患に特異的な抗体のみがこれらのペプチドに結合するため、ペプチド
への結合が問題の疾患の存在の指標となる。ほとんどの場合、上記の過程で、あ
る特定の疾患を診断するのに有用な、異なるペプチドを含む多くの区別される異
なる分子が同定される。従って、本発明は、従来は不可能であった感受性を有す
る複合診断用試薬を提供する。さらに、陰性対照ペプチドが、同様にして得られ
る。
問題の疾患の抗体に結合することが示されたいくつかのペプチドは、予防又は
治療のための処方の形態において有用となる。特に、それらのペプチドは、薬剤
学的に許容される担体と組み合わされ、抗体を産生させ、それによりワクチンと
して作用するように注射投与されうる(「Keller et al.,Virology(1993)193:70
9-716」参照)。しかし、比較的小さいペプチドは、抗体反応を引き起こすこと
ができないか、又はその疾患の感染を予防するのに有効なだけの抗体反応を引き
起こすことができないことが多い。このことは、そのペプチドを免疫学的に不活
性な担体に結合させることで克服できる。さらに、そのような処方は、例えば自
己免疫疾患のような望ましくない状態と関連した抗体に結合し、遮断するために
も有用である。
本発明により、疾患に特異的な抗体を単離することができる。ひとたび単離さ
れれば、抗体の配列を決定し、再生することが可能である。このような抗体は、
アッセイ及び/又は治療に用いることもできる。抗体を再生する方が、それらの
抗体に結合するペプチド及び/又はその他の分子を再生するよりも、実質的に複
雑であるというような場合には、それは実用的でない。しかし、上記の過程によ
り単離した抗体は、実用的に使用することが可能である。特に、抗体は、支持体
に結合させられ、ペプチドライブラリー及び/又は広範囲の有機化合物が抗体に
選択的に結合するか否かを決定するために、それらの化合物をスクリーニングす
るのに用いられうる。これらのペプチドに選択的に結合する分子を単離し、回収
すれば、それらを上記と同様に再生し、アッセイ及び/又は治療に用いることが
できる。
実施例
以下の実施例は、当業者に、本方法を実施し、本発明のアッセイ及び処方を製
造し、それらを使用するための方法の完全な開示及び記載を提供するために記載
され、本発明者らが本発明であると考えるものの範囲を限定するものではない。
用いられる数(例えば、量、温度、pHなど)に関しては正確となるように努力を
してきたが、いくつかの実験誤差及び偏差を計上すべきである。他に示さない限
り、割合は分子量に対する割合であり、分子量は重量平均の分子量であり、温度
(18℃〜25℃)は摂氏温度で表され、室温であると考えてよく、圧力は大気圧と
同じかそれに近いものと考えてよい。
実施例を開示する前に、特別な操作、条件、試薬などに関する情報を以下に提
供する。抗体単離−精製の条件
抽出物は、試料溶解用緩衝液(50mM tris,pH8.0,10mM EDTA)において、大腸
菌の懸濁液を数回凍結し、解凍することにより得る。この抽出物を、12,000gで1
0分間遠心分離することにより澄明にし、溶解物を得る。澄明にした血清を、TNT
緩衝液(以下に示す)で10倍に希釈し、溶解物と混合する(希釈血清1mlにつき0
.5mlの溶解物)。混合物を室温で4時間インキュベートし、次に高速遠心分離(
Sambrook et al.1989)により澄明にする。M13 mp18(1014pfu/ml)の濃縮調製物
を大腸菌溶解物と置き換えて、同様の操作を行う。コロニー(プラーク)の形成
ファージの代表的な試料を、滅菌したルリア培地中で、37℃で15〜30分間、過
剰のK91株のような雄大腸菌と混合し(ファージ:大腸菌::1:100)、適当な
マーカーを感染させ、発現させる(必要であれば、ブロス中に適当な誘導試薬を
添加する)。等分したものを、抗生物質又は選択試薬を含むルリア培地(LB)プ
レートに撒き、37℃で一晩インキュベートする。ペプチド/抗体結合条件
IgG又は血清調製物を、「Parmley and Smith(1988)」の記述に従いビオチン-X
X-NHS(カルバイオケム/Calbiochem)を用いてビオチン化する。50μlのこの調
製物(7.5μgのIgG)を、室温で一時間、穏やかに攪拌しながら、ストレプトア
ビジンでコートしたオキシランビーズ(10mg,10nmol/グラム樹脂)と共にイン
キュベートする(IgG最終濃度1.0μM)。ビーズを1%アルブミンを含むリン酸緩
衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、未結合IgGを除去する。1011形質導入単位(1012/ml
)のファージライブラリーを、室温で2時間、穏やかに攪拌しながら、ファージと
共にインキュベートする。未結合ファージを、数回洗浄することにより、すなわ
ち0.5%ツイーン20を含むPBSにビーズを再懸濁し、ビーズを簡単に遠心してペレ
ットにし、上清を除去することにより除去する。「Christian et al.,J.Mol.Bio
l.,(1992)227:711-718」の記述に従い、400μlの0.1MグリシンpH2.22を用いて、
特異的に結合したファージを溶出する。
実施例1
本実施例は、インビボの状態を特異的に刺激するように設計されている。4匹
の異なるウサギからそれぞれIgG画分を集め、製品説明書(ピアス社)に従い、
プロテインAカラムを用いて精製する。4つのIgG画分は予め、過剰量の大腸菌K-1
2株の溶解物で2回、また、「Sambrook,et al(1989)」に開示された型の材料と方
法を用いて、100倍過剰量のM13 mp18で2回夾雑物除去を行なう。こうして得られ
たIgG画分をそれぞれ2つに分け、一つの分画には精製したマウスのモノクローナ
ル抗体(0.05% w/w)を加える。もう一つの分画はモノクローナル抗体を加えない
ままでおき、陰性対照とする。モノクローナル抗体を加えた4つの分画について
は、「Parmley and Smith(1988)」による記述に従い、ビオチン-XX-NHS(カルバ
イオケム社)を用いて、4つのIgG調製物をビオチン化する。
モノクローナル抗体の代わりにウサギ1からのIgG画分にモノクローナル抗体を
加えた調製物を用いて、クリスチャンらによる記述(Christian,R.B.,et al.,J M
ol Biol(1992)227:711-718)に従って、アフィニティー選抜を2回行なう。この調
製物(7.5μgのIgG)50μlを、ストレプトアビジンでコートしたオキシランビー
ズ(10 mg,10 nmol/グラム樹脂)と共に、穏やかに攪拌しながら室温で1時間イン
キュベートする(IgG最終濃度1.0μM)。非結合のIgGを除去するために、ビーズを
0.1%アルブミンを含むリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄する。6アミノ酸を挿入し
た5塩基の融合ファージライブラリーの1011形質導入単位(1012/ml)(Scott and S
mi
th,Science(1991)249:386-390)をファージと共に、穏やかに攪拌しながら室温で
2時間インキュベートする。数回洗浄して結合しなかったファージを除去する。
洗浄は、0.5%ツイーン20を含むPBSにビーズを再懸濁し、短時間遠心してビーズ
を沈殿させてから上清を除去して行われる。特異的に結合したファージを、「Ch
ristian et al.,J Mol Biol(1992)227:711-718」の記述に従って、400μlの0.1M
グリシンpH2.22を用いて溶出する。
溶出したファージは、60μlの1Mトリス塩酸pH9.0で中和し、増幅した後、より
厳格な/競合的な条件の下で選抜を行なう(Christian,et al.,1992)。1011形質
導入単位(1012/ml)を、ウサギ1からのIgG画分をビオチン化したもの(750 ng;最
終濃度250nM)と共に直接に室温で2時間インキュベートする。結合した複合体を
、室温で30分間、ストレプトアビジンでコートしたプラスチックのペトリ皿に吸
着させることにより溶液から取り出す(Scott et al.,1990)。結合しなかったフ
ァージは0.5%ツイーン20を含むPBS(1回の洗浄につき7ml)で念入りに(8回)
洗浄して除去する。結合したファージは上述のように溶出して中和する。
これらのファージの代表的な試料を用いて大腸菌K91株に感染させる(ファー
ジ:大腸菌::1:100)。およそ50,000個のコロニーを、テトラサイクリン(20
μg/ml;1000コロニー/プレート)を含むルリア培地(LB)プレートに撒き、37℃
で一晩インキュベートする。フィルターを上に被せるだけの方法で、ファージを
ニトロセルロースフィルターに移す(Christian et al.,1992)。このフィルター
を直ちにTNT緩衝液(10 mM Tris-HCl,pH8.0,150nM NaCl,0.05% Tween20)で2回洗
浄し(1回につき30分間)、ウサギ1の、モノクローナル抗体を混ぜていない(ビ
オチン化していない)IgG調製物20%を含むTNTの遮断用溶液中に室温で30分間浸
漬する。
次に、モノクローナル抗体を結合させビオチン化した、ウサギ2からのIgG調製
物を上記の遮断用溶液で1000倍に希釈した液(15 ml/フィルター)の中にフィル
ターを入れて室温で2時間インキュベートする。フィルターは3回洗浄するが、一
回目は0.1%アルブミンを含むTNTで10分間、二回目は0.1%アルブミン、0.1%ノ
ニデットP-40を含むTNTで、最後に再び0.1%アルブミンを含むTNTで洗浄する。
二次抗体のヤギ抗マウスIgG西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体(ベーリン
ガー
・マンハイム社)を遮断用溶液(上記)で200倍(v/v)に希釈し、フィルターと共
に室温で2時間インキュベートする(15ml/フィルター)。フィルターを再び上
記と同様に3回洗浄する。そして、モノクローナル抗体反応性のクローンを、製
品説明書(ピアス社)に従って3,3'ジアミノベンジジンテトラ塩酸を用いて発色
させることにより同定する。
比較のため、フィルターから反応物を除去して(Sambrook et al.,1989)、上記
と全く同様に2度目の検出を行なう。ただし、二次抗体を、等量のアビジン-HRP
結合体(ベーリンガー・マンハイム社)と置き換える。これは、(マウスモノク
ローナル抗体以外に)ウサギ1と2からのIgG調製物間で交差反応するクローンの
数を測定するのに役立つ。この解析を広げて、多数回検出の実用性を調べるため
に、フィルターから反応物を除去してさらに2回検出を行なう。まず、モノクロ
ーナル抗体を結合しビオチン化した、ウサギ3からのIgG調製物で(さらにアビジ
ン-HRP結合体と)、次にウサギ4からの調製物で再検出を行なう。
実施例2
実施例1の一般的方法は、化学的に合成されたライブラリーにも適用すること
ができる。このようなライブラリーを用いることの主な利点は、診断薬や治療薬
として用いるために、L型アミノ酸以外の分子を取り込ませ、スクリーニングし
、同定することができる点にある。化学的に合成されたライブラリーには、D型
及びL型アミノ酸、βアミノ酸、及びアダマンチル(adamantyl)基のような通常
は存在しない側鎖をもったアミノ酸を取り入れることができる。さらにこの方法
によれば、ペプトイド(peptoids)やポリ尿素(poly-ureas)などのペプチド様ポリ
マー、及び有機分子ライブラリーをスクリーニングすることもできる。
ビーズ上のペプチドライブラリー、ペプチド様ライブラリー、又は有機物ライ
ブラリー(Lam et al.,Nature,(1992)354,82-84)を用いた上記及び下記の実験を
行うには、ビーズを上記のニトロセルロースフィルターと同じように扱う。フィ
ルターのインサイチュハイブリダイゼーションのところで述べたように、ビーズ
を洗浄して遮断し、ビオチン化したIgG調製物をプローブにし、洗浄後、適当なH
RP結合体及び3,3'ジアミノベンジジンテトラ塩酸を用いて発色させる。このとき
、すべて溶液は適当に容量を減らす。繰り返しスクリーニングを行う間、反応性
の
ビーズをさらに視覚的に確認しやすくするために、ビーズを多孔性のポリマーシ
ートに固定してもよい。これらのシートの処理方法は、ニトロセルロースフィル
ターと同じである。
実施例3
上記の実施例2に記載した方法の実施可能性は、抗ペプチド抗体を含むウサギ
血清を用いて容易に示すことができる。この場合、ポリクローナル抗体をこのよ
うな実験に用いることができるのは明らかであろう。特異的なペプチドに対して
、ウサギ抗ペプチド血清を作製し、そのペプチド配列を含むペプチドライブラリ
ーを調べることもできる。
本方法は、KLHに結合したペプチド抗原で免疫した4匹のウサギを用いて実施す
ることができる。免疫前の血清を4匹すべてのウサギから採取して、IgGで精製し
、上記と同様に大腸菌の溶解物及びM13 mp18ファージに予備吸着させる。免疫後
の血清も同様に処理して、さらにビオチン化する。
ウサギ1から調製したIgGをビオチン化したものを用いてアフィニティー精製を
2回行なう。2回精製して得たファージを、上述のようにテトラサイクリンを含む
のLBプレートに撒いて一晩培養する。フィルターを作成して、ウサギ1の免疫前
の(ビオチン化していない)20%IgGで遮断し、ウサギ2の免疫後の(ビオチン化
した)IgGを遮断用溶液で200倍に希釈してプローブにする。上記のように、アビ
ジン-HRP結合体及び3,3'ジアミノベンジジンテトラ塩酸を用いて交差反応性のク
ローンを同定する。次に、フィルターから反応物を除去して、ウサギ3及び4から
の免疫後IgGで行う別の実験での再検出に用いる。
ウサギ2、3及び4からの免疫後IgGと交差反応すると認められたコロニーを再び
プレートに撒き、フィルターに移し、免疫前のウサギ1のIgGで遮断し、ウサギ2
、3及び4からのビオチン化した免疫前IgGの等モル混合液によって再検出する。
これは、人工的な交差反応が起きる可能性を排除するためである。免疫前のIgG
には反応しないが免疫後のものには反応するクローンを、単離して、テトラサイ
クリンを含む(20μg/ml)のルリア培地で培養し、回収したファージをサンガー(S
anger)のジデオキシ法を用いて配列決定する。このデータからアミノ酸配列を推
定して、合成ペプチドを作製するために用い、合成ペプチドは、上記のようにEL
ISA法で測
定して結合定数を求める(Christian,et al.,J.Mol.Biol.,(1992)227:711-718)。
本発明をヒト血清で実施するために、他の個体からのIgG調製物でのフィルタ
ーを遮断する効果(すなわち交差遮断)を確認する必要がある。元の実験のプレー
ト(すなわち、ウサギ1からの免疫後IgGで2回目に選抜したものから溶出したフ
ァージで作製したプレート)から、新たにフィルターを作製する。ただし、今回
はウサギ3及び4の免疫前IgGの等モル混合液(すなわち、TNT緩衝液中10%のウサ
ギ3及びウサギ4の免疫前IgG)で遮断する。このフィルターを再び、ウサギ2の免
疫後IgGをプローブとして、次にアビジン-HRP結合体を結合させ、前回の実験で
得られた結果と比較する。
実施例4
DSA'sと反応するペプチド又は小分子を同定するために、上記実施例1〜3で述
べた一般的な方法及び材料を、C型肝炎(HCV)などの疾病をもつ個体からのヒト血
清を用いて検定することができる。このような操作を適用するための一例を以下
に記載する。
血清試料は、C型肝炎(HCV)に罹っていることが確認された患者から採取する。
さらに、同じHLA型をもついくつかの健康な個体からも血清を採取する。上記の
実験同様、すべての血清からIgG画分を調製して、大腸菌の溶解物及びM13 mp18
で予め混合物を除去しておく。HCV患者からのIgG調製物を、前述したようにビオ
チン化する。
HCV患者1のビオチン化したIgG調製物を用いて、上述のようにアフィニティー
精製による濃縮を2回行なう。2回目の精製の後採取したファージをプレートに撒
いて(>100,000個のコロニー)、ニトロセルロースフィルターに移す。フィル
ターを洗浄し、続いて、健康な個体から集めたIgG(ビオチン化していない)の2
0%TNT溶液で遮断する。上述のように、フィルターから反応物を除去して再検出
することによって、他のすべての各々のHCV患者からのビオチン化IgGをプローブ
として検出する。最後に、健康な個体からプールした(ビオチン化した)IgG調
製物をプローブにして、非交差反応性を確認すると共に、典型的なヒトIgGと反
応する選抜ファージの割合を測定する。HCV患者のIgG調製物すべてと反応し、健
康な個体からプールしたIgGと反応しないクローンを、単離し、培養し、ファー
ジの配列を
決定する。次に、合成ペプチドを作製し、結合定数を測定する。
実施例5
毒性抗体の効果を阻害する治療用ペプチドを作製できる可能性について。新生
児の溶血性疾患においては、胎児の赤血球上のRh(D)抗原に対する母親の抗体が
産生される。これらの抗体は胎盤を通って胎児の赤血球細胞を破壊し、それによ
り、胎児は明らかな病的状態に陥り重篤な場合には死に至る。唯一の治療法は子
宮内胎児輸血であるが、これは高価な治療であり、合併症の出現頻度がかなり高
い。新しい治療法としては、抗原結合部位に結合して、抗体の赤血球への結合を
遮断するリガンドの開発が考えられる。この方法は、Rh(D)については特に可能
性が高い。なぜなら、Rh(D)ポリペプチド鎖は、細胞膜中に高度に埋め込まれて
おり、直鎖状エピトープとして作用すると思われる非常に短い細胞外ドメインを
持っているからである(Agre,P.and Carton,J.Blood(1991)78:551-563)。さらに
、抗D抗体の可変領域遺伝子の利用が構造的に制約を受けるのは、抗D抗体の一つ
に結合するリガンドが他の多くの抗体にも結合しうることを示している(Bye,et
al.J.Clin.Invest.(1992)90:2481-2490)。
多数の、Rh(D)陽性赤血球で免疫したRh(D)陰性供血者、及び抗Rh(D)抗体を産
生していることが分かっているRh(D)陰性供血者から、血清サンプルを採取する
。これらは妊娠中の女性か、商業的に抗Dを産生するために免疫されたボランテ
ィアの供血者であろう。前述のようにIgG画分を調製し、大腸菌溶解物及びM13 m
p18で予め混合物を除去し、ビオチン化する。供血者1からのビオチン化したIgG
調製物を、前述のように2回のアフィニティー精製によって濃縮するために用い
る。2回目の選抜で溶出したファージを大腸菌に感染させるために用い、菌をLB
プレートに撒く。コロニーをニトロセルロースに移し、TNT中20%のビオチン化
していないIgGで遮断する。このIgGは、検出可能な程度の抗Dをもたない健康な
個体由来のものである。他の抗D産生供血者すべてのビオチン化IgGをプローブに
してフィルターを調べる。抗D IgG調製物と反応するが、検出可能な程度の抗Dを
もたない健康な個体からプールしたIgGとは反応しないクローンを、単離し、培
養し、そのファージの配列を決定する。合成ペプチドを調製して、商業的に調製
されているヒトポリクローナル抗D(Rhogam,Johnson and Johnson)の溶血能を阻
害する能力を判定す
る。結合定数も測定する。
本発明を、最も実用的で好ましい態様であると考えられるものについて、本明
細書に示し、開示した。しかしながら、本発明の範囲内から新しい発展がありう
ることや、本開示を参照した当業者が明らかな修正を加えうることが理解される
。
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