【発明の詳細な説明】
Mycobacterium avium複合体に対する核酸プローブ技術分野
本発明は、例えば唾液、体液、組織試料および培養物などの試験試料中のMyco
bacterium avium複合体生物体を検出できる核酸プローブの設計および使用に関
して開示および特許請求をしている。発明の背景
ヌクレオチド(塩基アデニン(A)、シトシン(C)、チミジン(T)、グア
ニン(G)、ウラシル(U)またはイノシン(I)を含む)から形成されている
デオキシリボ−(”DNA”)またはリボ−(”RNA”)核酸の二つの一本鎖
はハイブリダイズして、相補的塩基対間の水素結合により保たれている二本鎖構
造を形成するであろう。一般的に、水素結合はAおよびTまたはU間に起こり、
一方GまたはIはCと水素結合する。鎖に沿って、古典的塩基対ATまたはAU
、TAまたはUA、GCまたはCGが存在する。さらに、いくつかの不適正塩基
対(例えば、AU、GU)が存在しているかもしれない。
十分に連続的な相補的塩基を含む二つの一本鎖の核酸を、それらのハイブリッ
ド形成を促進する条件下で一緒にすると二本鎖核酸が生成する。適当な条件下、
DNA/DNA、RNA/DNAまたはRNA/RNAハイブリッドが形成でき
る。
プローブは一般的に検出しようとする核酸配列(”標的配列”)にある程度の
ヌクレオチド配列相補性を持つ一本鎖オリゴヌクレオチドである。プローブは放
射性元素、蛍光団または化学発光部のようなレポーター基、または検出に使用で
きる酵素または他のリガンドで標識されているであろう。Kohne、米国特許第4,8
51,330号およびHogan et al.、”非ウイルス性生物体の検出および/または定量
のための核酸プローブ”と題した国際特許出願PCT/US87/03009号(両方ともここ
に引例として含まれている)は核酸ハイブリッド形成を用いた核酸配列の検出を
記載している。Hogan et al.(上記文献)はまた試料(例えば、唾液、尿、血液
、
組織切片、食物、土壌および水)中の非ウイルス性生物体または非ウイルス性生
物体の一群の存在を決定する方法も記載している。
Mycobacterium avium複合体の構成菌は特徴的な生化学的特性を持っている。
これらの菌は核酸プローブおよび他の型の分析により2以上の種に区別すること
ができる(Wayne and Sramek,C1in.Microbiol.Rev. 5:1-25,1992)。この複合体
にはMycobacterium aviumおよびMycobacterium intracellulareが含まれる。こ
の複合体にはさらに別の菌も含まれていることを最近の研究は示唆している(Wa
yne and Sramek、上記文献、Frothingham and Wilson、J.Bacteriol.175: 2818(
1993))。M.avium複合体の構成菌を検出するプローブについてはすでに記載があ
る(Hogan et al.上記文献;Woodley et al.,Diagn.Microbiol.Infec.Dis. 15:65
7-662 (1992);Lebrun et al.,J.Clin.Microbiol. 30 :2476-2478 (1992);Cregan
et al.,J.Infec.Dis. 166:191-194 (1992); Young EPO No.528 306 A2,出願番
号92113540.6,”ミコバクテリウムプライマーおよびプローブ”およびLiu et a
l.,PCT US92/06821、”ミコバクテリウム核酸に相補的なオリゴヌクレオチド”
)。発明の要約
本明細書に記載された発明は、特定のMycobacterium avium複合体核酸配列を
標的とする、または指定された核酸配列を持つ新規オリゴヌクレオチドプローブ
を特徴としている。本プローブはMycobacterium aviumおよびMycobacterium int
racellulare以外のMycobacterium avium複合体の一つまたはそれ以上の生物体に
ハイブリダイズできる。好適には、本プローブはまたMycobacterium aviumおよ
びMycobacterium intracellulare核酸にもハイブリダイズする。
本プローブは、ストリンジェントハイブリッド形成アッセイ条件下で標的Myco
bacterium avium複合体rRNAまたは対応するDNA遺伝子配列(rDNA)
にハイブリダイズすることにより機能する。そのようなハイブリッド形成は本分
野では既知の技術により検出でき(以下に例示されているように)、Mycobacter
ium avium複合体生物体の存在が示される。
本プローブはMycobacterium avium複合体生物体の検出および/または定量の
ためのアッセイに特に有用である。本プローブはMycobacterium avium複合体生
物体を、Mycobacterium tuberculosis,M.kansasii,M.scrofulaceum,M.simia
eおよびM.gordonaeのような他のミコバクテリアと区別する。Viljanen et al.,J .Clin.Microbiol.
31:1376-1378(1993)およびJonas et al.,Abstract AMS Gene ral Meeting
New Orleans,La.,(1992年5月)(両方ともここに引例として含まれ
ている)は配列ID番号:1に対応するプローブの使用を述べている。これらの文
献で使用されたプローブは本発明の譲受人であるGen-Probe Incorporatedから供
給されていた。これらの文献の何れもプローブの核酸配列を記載していない。こ
れらの文献で指摘されているように、プローブはMycobacterium aviumおよびMyc
obacterium intracellulare以外のMycobacterium avium複合体生物体種の存在を
検出できる。
従って、第一の態様において、ここに記載された本発明は、ストリンジェント
ハイブリッド形成アッセイ条件下で、Mycobacterium avium複合体標的核酸配列
にハイブリダイズできる、好適には10から100の、より好適には22から5
0のヌクレオチドの長さのハイブリッド形成アッセイプローブを特徴とする。よ
り詳細には、このハイブリッド形成アッセイプローブは、下記の配列を持つ(5
’から3’の方向に記載されている)Mycobacterium avium複合体標的にハイブ
リダイズできる:
当業者には理解されるように、これらの配列にハイブリダイズするプローブもま
た対応するDNA配列にハイブリダイズできる。
相補的配列は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または転写媒介増幅(例えば
、KacianおよびFultz、”核酸増幅法”と題したEP0出願番号90307503.4;および
Kacianら、”核酸配列増幅法、組成物およびキット”と題した米国特許出願第07
/879,685号)のような標的増幅技術により発生させることができる。そのような
増幅技術は標的配列の量を増加させ、従ってアッセイの検出感度の増加に使用で
き
る。
”ストリンジェントハイブリッド形成アッセイ条件”とはプローブが標的核酸
(例えば、Mycobacterium avium複合体生物体のrRNA)とハイブリダイズす
るが、しかしMycobacterium tuberculosis,Mycobacterium kansasii,Mycobacter
ium scrofulaceum,Mycobacterium simiaeまたはMycobacterium gordonae中に存
在する核酸とはハイブリダイズしない条件を意味している。以下に記載されるの
はストリンジェントハイブリッド形成アッセイ条件で用いられた例であり、0.
05Mコハク酸リチウム pH 5.0、0.6M LiCl、1%(w/v)
ラウリル硫酸リチウム、10mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、10m
Mエチレングリコール ビス(ベーターアミノエチルエーテル)N,N,N',N'-四酢
酸(EGTA)中、60℃で15分間、続いて300μlの0.6Mホウ酸ナト
リウムpH8.5、1%トリトン−Xを加え60℃で5分間のハイブリッド形成
を含む。別のストリンジェントハイブリッド形成条件の組は本分野では既知のお
よび本開示の技術に基づいて決定できる。
”プローブ”という用語には天然に存在する核酸は含まれない。精製されたオ
リゴヌクレオチドプローブは化学合成および組換え核酸分子(例えば、レトロウ
イルスベクター)からのインビトロまたはインビボ発現のような本分野では既知
の技術により生成することができる。
オリゴヌクレオチドはお互いに共有結合で連結されたヌクレオチドサブユニッ
トを含む。ヌクレオチドサブユニットの糖部分はリボース、デオキシリボースま
たはO−メチルリボースのような修飾されたそれらの誘導体であろう。ヌクレオ
チドサブユニットはホスホジエステル結合、修飾された結合、またはオリゴヌク
レオチドプローブのハイブリッド形成を妨害しない非ヌクレオチド部分を含んで
いるような結合により連結されているであろう。修飾された結合には、標準ホス
ホジエステル結合がホスホロチオエート結合またはメチルホスホネート結合のよ
うな異なった結合で置き換えられているような結合が含まれる。ハイブリッド形
成アッセイプローブとして使用される場合、オリゴヌクレオチドは好適にはアク
リジニウムエステルまたは放射性同位元素のようなレポーター基を含んでいる。
レポーター基はプローブのその標的配列へのハイブリッド形成の検出を助けてい
る。
関連した態様において、特異的核酸配列を持つハイブリッド形成アッセイプロ
ーブが記載されている。このプローブは、Mycobacterium avium複合体生物体と
ミコバクテリア(例えば、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium kansas
ii、Mycobacterium scrofulaceum、Mycobacterium simiaeおよびMycobacterium
gordonae)との間で異なる核酸配列に相補的である。従って、このプローブはMy
cobacterium avium複合体生物体存在の検出および/または定量に有用である。
Mycobacterium avium複合体核酸にハイブリダイズでき、ミコバクテリアからM
ycobacterium avium複合体生物体を区別できる特異的プローブは以下のヌクレオ
チド配列を持っている(5’から3’の方向に記載されている):
それらのRNA同等物
それらの相補的オリゴヌクレオチド
それらの相補的オリゴヌクレオチドのRNA同等物
句”持つ”または”持っている”とはプローブが指定されたヌクレオチド配列か
ら成っていることを意味しているが、ストリンジェントハイブリッド形成アッセ
イ条件下、ハイブリッド形成を妨害しない追加のヌクレオチドを、好適にはその
3’または5’末端に含んでいてもよい。
好適には、ハイブリッド形成アッセイプローブとともにヘルパーオリゴヌクレ
オチドプローブが使用される。HoganおよびMilliman(米国特許第5,030,557号、
ここに引例として含まれている)はヘルパープローブの使用によりハイブリッド
形成アッセイプローブのその標的核酸へのハイブリッド形成速度が速くなること
を記載している。本発明で特色とする特定のヘルパープローブは本質的に下記の
ヌクレオチド配列から構成される(5’から3’の方向に記載されている):
それらのRNA同等物
それらの相補的オリゴヌクレオチド
それらの相補的オリゴヌクレオチドのRNA同等物
ヘルパープローブ配列ID番号:2および9は、好適にはアッセイプローブ配列
ID番号:1とともに使用される。ヘルパープローブ配列ID番号:22および25
は、好適にはアッセイプローブ配列ID番号:17とともに使用される。相補的ア
ッセイプローブが使用される場合、対応する相補的ヘルパープローブも使用され
るべきである。例えば、ヘルパープローブ配列ID番号:17および19はアッセ
イプローブ配列ID番号:15とともに使用されるべきである。
句”本質的に構成される”または”本質的に構成されている”とはストリンジ
ェントハイブリッド形成アッセイ条件下、Mycobacterium avium複合体を含む生
物体の核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドとしてプローブ(ヘル
パーまたはハイブリッド形成アッセイプローブ)が提供されることを意味してい
る。プローブはハイブリッド形成を妨害しない他の核酸に連結されていてもよい
。ヘルパープローブは好適には10と100の間、最も好適には15と50の間
の長さのヌクレオチドである。
別の関連する態様において、本発明はハイブリッド形成アッセイプローブおよ
びそれに実質的に相補的な核酸配列間で形成された核酸ハイブリッド(プローブ
:標的)を含む組成物を特徴としている。”実質的に相補的”とは、ストリンジ
ェントハイブリッド形成アッセイ条件下でハイブリッドが安定であるように核酸
間に十分な相補性が存在することを意味している。形成されたハイブリッドの一
つの使用法は標的配列の存在を検出することである。例えば、ハイブリッド中に
存在するアクリジニウムエステルはアルカリ溶液中で加水分解に抵抗するが、一
方、アルカリ溶液は一本鎖核酸中に存在するアクリジニウムエステル(”AE”
)を加水分解する(Arnord et al.、”均一保護アッセイ”と題されたEPO出
願番号309230、ここに引例として含まれている)。従って、非結合AE−標識プ
ローブを加水分解後、核酸ハイブリッド中に残存するアクリジニウムエステルの
化学発光を測定することにより標的へのAE−標識プローブの結合が検出できる
。
別の関連する態様において、Mycobacterium avium複合体生物体を検出し、Myc
obacterium avium複合体生物体をMycobacterium tuberculosis、Mycobacterium
kansasii、Mycobacterium scrofulaceum、Mycobacterium simiaeおよびMycobact
erium gordonaeのようなミコバクテリアと区別するための方法が記載されている
。これらの方法はヒト標本から得られる試験試料について使用できる。
本発明のプローブは、試験試料中のMycobacterium avium複合体の構成菌に独
特な特異的rRNA配列の存在を同定および定量する迅速で非主観的な方法を提
供する。
本発明のその他の特色および利点は以下の好適な実施態様の説明および請求の
範囲から明らかになるであろう。好適な実施態様の説明
Mycobacterium avium複合体生物体のrRNAまたはrDNA中に存在する好
適な標的配列が同定され、この配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブが設
計された。このプローブはMycobacterium aviumおよびMycobacterium intracell
ulare以外のMycobacterium avium複合体の構成菌を検出できる。好適には本プロ
ーブはまたMycobacterium aviumおよびMycobacterium intracellulareも検出す
る。また、アッセイプローブのハイブリッド形成を容易にするためのヘルパープ
ローブおよび特徴的なプローブを使用した方法について説明される。
核酸ハイブリッド形成アッセイプローブはストリンジェントハイブリッド形成
アッセイ条件下、Mycobacterium avium複合体生物体を、M.tuberculosis、M.kan
sasii、M.scrofulaceum、M.simiaeM.gordonaeから区別できる。
プローブ配列は最初にMycobacterium avium複合体生物体およびミコバクテリ
アの部分的または完全16S rRNA配列を得ることにより得られた。次にこ
れらの配列を配列相同性の領域に基づいて並べた。並べられた配列から配列変異
が同定され、ハイブリッド形成アッセイプローブのための標的配列として使用さ
れた。rRNA配列の入手
特徴的なプローブは、M.aviumおよびM.intracellulareではないMycobacteri
um avium複合体として特徴付けられた生物体からの標的核酸配列にハイブリダイ
ズできる。好適には、本プローブはM.aviumおよびM.intracellulareからの核
酸にもハイブリダイズする。M.aviumおよびM.intracellulareの核酸配列情報
はHogan et al.、上記文献、”非ウイルス性生物体の検出および/または定量の
ための核酸プローブ”に記載されているように、または公開されているGenBank
配列から得られた。そのような配列情報はBoddinghaus et al.,FEMS Microbiolo gy Letters
70:197-204(1990)からもまた入手できる。
M.aviumおよびM.intracellulareではないMycobacterium avium複合体生物体
の核酸配列情報は、最初にそのような生物体を同定し、続いて16S rRNA
を確認することにより得られた。生化学的にMycobacterium avium複合体と同定
された生物体はAccuProbe試験キット(Gen-Probe Incorporatedから入手可能)
を用いてMycobacterium avium複合体の試験が行われた。試験キットはM.avium
およびM.intracellulareの存在を検出するプローブを含む(AccuProbe M.aviu
m Gen-Probeカタログ番号2835およびAccuProbe M.intracellulare Gen-Probeカ
タログ番号2840)。種特異的M.aviumおよびM.intracellulareプローブと反応
しなかった生物体からの16S rRNAを単離し、本分野では既知の標準技術
により配列決定した。
これらの技術では、16S rRNAの保存領域に相補的なオリゴヌクレオチ
ドプライマーを用いて核酸を得、逆転写酵素を用いてプライマーを伸長させた。
核酸配列決定はジデオキシヌクレオチド鎖停止法(例えば、Lane et al.,Proc.N atl.Acad.Sci.USA
,82:6955(1985))により実施された。
M.kansasii、M.scrofulaceum、M.avium、M.intracellulareおよびM.simiaeを
含む系統発生的に近い近縁種からの核酸配列をMycobacterium avium複合体生物
体からの核酸配列との比較のために用いて変異領域を決定した。これらの配列は
Hogan(上記文献)により記載されたように、または公開されたGenBank配列から
得られた。プローブ設計およびハイブリッド形成条件
有用なプローブ核酸配列の同定を容易にするため、最初に異なる生物体からの
ヌクレオチド配列を相同性が最大になるように並べた。rRNA分子内では二次
構造と機能の間に密接な関係がある。このことは二次構造を維持するために一次
配列の進化により生じる変化に制限を与える。例えば、もしヘリックスの一方で
塩基が変化したら、相補性を保存するために他方ではそれを補償する変化が起こ
る(このことは共変異と称されている)。このことは二つの非常に異なる配列を
保存一次配列および保存二次構造要素に基づいて並べることを可能にする。ハイ
ブリッド形成プローブの潜在的標的配列は、並べられた配列の相同性の変化に注
目することにより同定された。
変異領域の各々での配列進化はほとんど発散している。その発散のため、Myco
bacterium avium複合体のより遠い系統発生的近縁種は、より近い系統発生的近
縁種よりも変異領域でMycobacterium avium複合体に対してより大きな変異を示
した。Mycobacterium avium複合体生物体およびMycobacterium種間に、好適な標
的部位を同定し、および有用なプローブを設計するための十分な変異が観察され
た。
標的へのプローブの選択的ハイブリッド形成は、適当なハイブリッド形成アッ
セイ条件および適当なプローブ設計を選択することにより達成できる。プローブ
:標的核酸ハイブリッドの安定性は、ハイブリッドが高度に相補的な配列間のみ
で形成されるように、アッセイおよび洗浄条件と合致するように選択されなけれ
ばならない。異なるアッセイ条件の一つまたはそれ以上の操作は、特定のプロー
ブの正確な感度および特異性を決定する。以下のガイドラインはプローブ設計お
よびストリンジェントハイブリッド形成アッセイ条件の決定に有用であろう。
プローブは適当な融解温度(Tm)を持つように設計されなければならない。
適当なTmはプローブ長およびヌクレオチド組成(A+Tに対するG+Cのパー
セント)を変化させることにより得ることができる。プローブ長およびヌクレオ
チド組成は、好適には最終的なアッセイが実施されるであろう温度より約2−1
0℃高いTmに相応するように選ばれなければならない。
一般に、約10−50の塩基長のオリゴヌクレオチドプローブに対する至適ハ
イブリッド形成温度は、与えられたデュープレックスの融解温度の約5℃下であ
る。至適温度以下でのインキュベーションは、ミスマッチ塩基配列がハイブリダ
イズすることを可能とし、それ故特異性を減少させる。プローブが長くなるにつ
れ、塩基対間の水素結合が多くなり、一般にTmが高くなる。GおよびCのパー
セントを増加させてもTmが増加するが、これはG−C塩基対は追加の水素結合
を示し、従ってA−T塩基対よりも熱的安定性がより大きいためである。
Tmを決定する好適な方法では、Arnold et al.(”均一保護アッセイ”と題さ
れた上記文献)に従ったハイブリッド形成保護アッセイ(HPA)を用いてハイ
ブリッド形成を測定する。TmはHPAを用いて下記の方法で測定できる。過剰
量の標的を用い、コハク酸リチウム緩衝化溶液(0.1Mコハク酸リチウム緩衝
液、pH5.0、2mM EDTA、2mM EGTA、10%(w/v)ラウ
リル硫酸リチウム)中でプローブ:標的ハイブリッドを形成させる。次にハイブ
リッドの一部をコハク酸リチウム緩衝化溶液で希釈し、予期されるTm(典型的
には55℃)より低い温度から始め、2−5℃ずつ増加させたいろいろな温度で
5分間インキュベートする。この溶液を、次に温和なアルカリ性ホウ酸緩衝液(
0.15M 四ホウ酸ナトリウム、pH7.6、5%(v/v)トリトンV−1
00)で希釈し、より低い温度(例えば50℃)で10分間インキュベートする
。
これらの条件下、一本鎖プローブに結合されているアクリジニウムエステルは
加水分解されるが、一方、ハイブリダイズしたプローブに結合されているアクリ
ジニウムエステルは加水分解から比較的保護されている。従って、残っているア
クリジニウムエステルの量はハイブリッドの量に比例し、過酸化水素続いてのア
ルカリの添加によりアクリジニウムエステルから生じる化学発光により測定でき
る。化学発光はルミノメーター(例えば、Gen-Probe LEADER IまたはLEADER50ル
ミノメーター)で測定できる。得られたデータは温度に対し、最大信号(通常最
も低い温度)のパーセントとしてプロットされる。Tmは最大信号の50%が残
っている温度として定義される。上記の方法に加え、Tmは当業者にはよく知ら
れた同位体法(例えば、Hogan et al.、上記文献)により決定してもよい。
定められたハイブリッドのTmは使用されるハイブリッド形成溶液に依存して
変化する。塩濃度、界面活性剤およびその他の溶解物のような因子が熱変性中の
ハイブリッド安定性に影響しうる(J.Sambrook,E.F.Fritsch and T.Maniatis,M olecular Cloning
,ch 11(2d ed.1989))。従って、ハイブリッドの熱安定性は
反応混合物のイオン強度が増加するにつれ増加する。一方、ホルムアミド、尿素
、ジメチルスルホキシドおよびアルコールのような水素結合を崩壊させる化学試
薬はハイブリッドの熱安定性を大きく減少させることができる。
プローブのその標的に対する特異性を確かにするため、高ストリンジェンシー
の条件下でのみハイブリダイズするプローブを持つことが望まれる。高ストリン
ジェンシーの条件下では高度に相補的な核酸ハイブリッドのみが形成されるであ
ろう;十分な程度の相補性を持たないハイブリッドは形成されないであろう。従
って、アッセイ条件のストリンジェンシーは、ハイブリッドを形成する二つの核
酸鎖間に必要とされる相補性の量を決定する。ストリンジェンシーは標的と形成
されたハイブリッドとその他の核酸配列と形成されたハイブリッドとの安定性の
相違が最大になるように選ばれる。
適当な特異性は非標的生物体への完全な相補性の長さを最少にし、非標的配列
に相同なGおよびCが豊富な領域を避けることによるか、または非標的配列に対
して不安定化させるミスマッチを可能な限り多く含むようにプローブを構築する
ことにより達成されるであろう。プローブ配列が特定の型の生物体のみを検出す
るのに有用であるか否かは、主としてプローブ:標的ハイブリッドとプローブ:
非標的ハイブリッド間の熱安定性の差に依存している。プローブの設計において
、これらのTm値の差は可能な限り大きくすべきである(好適には2℃−5℃ま
たはそれ以上)。
標的核酸配列の長さ、従ってプローブ配列の長さもまた重要であり得る。ある
場合には、特定の領域からの位置および長さの異なるいくつかの配列が存在し、
このことにより所望のハイブリッド形成特性を持つプローブが得られる。別の場
合においては、一つの配列は単に一つの塩基のみが異なっているもう一つの配列
より著しく良好であろう。ハイブリダイズするのに完全に相補的ではない核酸も
可能であるが、相補性のある最も長い範囲が一般的にハイブリッドの安定性を決
定する。種々の長さおよび塩基組成のオリゴヌクレオチドプローブを用いること
ができる。好ましくは、オリゴヌクレオチドアッセイプローブは、10から10
0の、より好ましくは22から50塩基の長さを有する。
ハイブリッド形成に阻害的な強い内部構造を形成することが知られているrR
NA領域は標的領域としてはより好ましくない。同様に、広範囲の自己相補性を
持つプローブも避けるべきである。これまで説明したように、ハイブリッド形成
とは相補的な核酸の二つの一本鎖が会合して水素結合した二本鎖を形成すること
である。もし二つの鎖の一つが完全にまたは部分的に分子内または分子間ハイブ
リッドに関与するならば、新しい分子間プローブ:標的ハイブリッドの形成に関
与しにくいであろうことが暗示される。rRNA分子は非常に安定な分子内ハイ
ブリッドを形成することが知られている。標的配列の実質的部分が一本鎖である
ようにプローブを設計することにより、プローブと標的との間のハイブリッド形
成の速度および程度が非常に増進されるであろう。
rRNA標的は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の生成物がそうであるよう
に天然には二本鎖の形で存在する。これらの二本鎖標的は天然ではプローブとの
ハイブリッド形成に阻害的であり、ハイブリッド形成に先だっての変性を必要と
する。適当な変性およびハイブリッド形成条件は本分野では既知である(例えば
、E.M.Southern,J.Mol.Biol.98:503(1975))。プローブ合成
推定に基づく独特の標的配列が同定されたら、相補的オリゴヌクレオチドプロ
ーブが選択され合成される。規定されるオリゴヌクレオチドプローブは、シアノ
エチルホスホロアミダイト前駆体を用いる自動化固相化学合成(Barone et al.
,Nucleic Acids Research 12:4051(1984))およびJ.Sambrook,E.F.Fritsch and
T.Maniatis,Molecular Cloning,ch.11(2d ed.1989)に記載されているような
いくつかのよく知られている方法により合成されるであろう。特定のオリゴヌク
レオチドプローブの合成および精製に続いて、大きさおよび純度に関してプロー
ブの受容可能性を決定するため、いくつかの異なった方法が利用されるであろう
。そのような方法の一つはポリアクリルアミドゲル電気泳動である。別の方法は
高速液体クロマトグラフィー(”HPLC”)である。これらの方法は当業者に
はよく知られている。
オリゴヌクレオチドプローブはいくつかのよく知られた方法によりレポーター
基で標識することができる(例えば、上記文献、J.Sambrook et al.)。有用な
標識には放射性同位元素および非放射活性レポーター基が含まれる。同位元素標
識には3H、35S、32P、125I、57Coおよび14Cが含まれる。同位体標識はニ
ックトランスレーション、末端標識、第二鎖合成、逆転写の使用および化学合成
のような本分野では既知の技術によりオリゴヌクレオチド内へ導入できる。放射
性標識プローブを用いる場合、ハイブリッド形成はオートラジオグラフィー、シ
ンチレーションカウンティングまたはガンマーカウンティングにより検出できる
。選択される検出方法は特定の放射性同位元素標識に依存するであろう。
非同位元素もまた標識に用いることができ、核酸配列の内部または核酸配列の
末端に導入することができる。修飾されたヌクレオチドを酵素的にまたは化学的
に取り込ませる。プローブの化学修飾は、例えば、Arnord et al.(”ヌクレオ
チドプローブのための非ヌクレオチド結合試薬”と題したEPO出願番号883087
66.0、出願番号313219、ここに引例として含まれている)により記載されている
ような非ヌクレオチドリンカーを使用してプローブ合成の間または後に実施され
るであろう。非同位元素標識には蛍光分子、化学発光分子、酵素、補因子、酵素
基質、ハプテンまたはその他のリガンドが含まれる。
好適には、プローブはアクリジニウムエステルで標識される。アクリジニウム
エステル標識はArnord et al.(米国特許第5,185,439号、ここに引例として含ま
れている)により記載されているように実施されるであろう。ヘルパープローブ
アッセイプローブとその標的核酸の核酸ハイブリッド形成速度は、Hoganおよ
びMilliman(上記文献)に記載されているようなヘルパープローブを使用するこ
とにより促進される。ヘルパープローブは、アッセイプローブの標的とされる領
域の近傍に位置する核酸配列にハイブリダイズするように選択される。ヘルパー
プローブのハイブリッド形成は二次および三次構造を変化させ、それによりアッ
セイプローブが核酸の標的領域に近づきやすくなる。ここに記載されたアッセイ
プローブとともに使用されるべきヘルパープローブには、以下のヌクレオチド配
列を持つオリゴヌクレオチドが含まれる:配列ID番号:2、9、22および25
;それらのRNA同等物、配列ID番号:4、10、23および26;それらの相
補的オリゴヌクレオチド、配列ID番号:6、11、19および20;およびそれ
らの相補的オリゴヌクレオチドのRNA同等物、配列ID番号:8、12、21お
よび24。実施例
本発明の異なる特色および実施態様を例示するために以下に実施例が提供され
る。これらの実施例は、いかなる意味においても、開示された発明を制限するこ
とを意図しているものではない。
プローブはArnord et al.(上記文献、”ヌクレオチドプローブのための非ヌ
クレオチド結合試薬”)により記載されているように非ヌクレオチドリンカーを
用いて合成され、次にArnord et al.(上記文献、米国特許第5,185,439号)に記
載されているように化学発光性アクリジニウムエステルで標識された。Mycobact
erium avium複合体生物体のためのプローブの反応性および特異性はHPA法を
用いて示された。これらの方法は、Arnold et al.(上記文献、”均一保護アッ
セイ”);およびArnold et al.(Clin.Chem.,35:1588(1989)、ここに引例とし
て含まれている)により記載されている。
結果は相対的光量(RLU)として与えられている。プローブは細胞溶解物ま
たはJ.Sambrook,E.F.Fritsch and T.Maniatis,Molecular Cloning(2d ed.1989)
に従って精製されたRNAとハイブリダイズさせた。もしくは溶解物、特にミコ
バクテリア、グラム陽性菌または酵母の溶解物は、Murphy et al.(”細胞から
のRNAおよびDNAの放出法”EPO出願番号87303641.2、公開番号288618、
ここに引例として含まれている)により記載されている方法を利用して得られた
。以下の実施例はMycobacterium avium複合体rRNAまたは対応する遺伝子を
標的とするハイブリッド形成アッセイプローブおよびハイブリッド形成アッセイ
におけるそれらの使用を説明している。実施例1
この実施例はMycobacterium avium複合体生物体を検出するが他の微生物は検
出しないための、Mycobacterium avium複合体16S rRNAを標的としたア
クリジニウムエステル標識プローブの能力を例示している。混合物は配列ID番号
:1を持つアクリジニウムエステル標識アッセイプローブおよび非標識ヘルパー
プローブ(配列ID番号:2および9)を含んでいた。
表1はこれらのプローブと、106−109の生物体を含む固相培地から放出さ
れた過剰のRNAを用いたデータを示している。0.1mlの細胞溶解物からの
核酸を、プローブ混合物と、0.05Mコハク酸リチウム pH 5、0.6M
LiCl、1%(w/v)ラウリル硫酸リチウム、10mM EDTA、10
mM EGTAを含むハイブリッド形成溶液中、60℃で15分間、続いて30
0μlの0.6Mホウ酸ナトリウムpH8.5、1%トリトン−Xを加えて60
℃で5分間ハイブリッド形成させた。アルカリ溶液の添加は一本鎖プローブ上
に存在するアクリジニウムを過水分解する。0.1%過酸化水素を含む1mMの
硝酸、続いて1N水酸化ナトリウムの自動注入機を備えたルミノメーターで、ハ
イブリダイズしたアクリジニウムエステル標識プローブからの化学発光が測定さ
れた。表1のデータは、プローブが、ガス液クロマトグラフィー(GLC)また
は生化学的にM.aviumおよびM.intracellulareを含むMycobacterium avium複合体
の構成菌として分類された臨床単離物からの生物体にハイブリダイズすることを
示している。
MACはMycobacterium avium複合体に属している生物体を示している。いく
つかの場合において、これらの単離物は生化学的データまたはGLC分析に基づ
いて、M.aviumまたはM.intracellulareではないが本複合体と分類された。生物
体はGLCにより(Stockman et al.,抄録、1059,”細胞壁脂肪酸分析を用い
るミコバクテリアの迅速同定法の現状”第28回 International ICACC,Los Ang
eles CA(1988))または生化学的に(例えば、Mayo Clinic Procedure Manual(19
88);またはKentand Kubica,Public Health Mycobacteriology A Guide For The Level III Laboratory
,U.S.Department of Health and Human Services (198
5))、Mycobacterium avium複合体(MAC)陽性と特徴付けられた。
表2もまた配列ID番号:1を持つアクリジニウムエステル標識アッセイプロー
ブおよび配列ID番号:2および9の非標識ヘルパープローブを含むプローブ混合
物が、Mycobacterium avium複合体生物体をミコバクテリアの他の種から区別す
る能力を示している。表1と同一の試験条件が用いられた。
細菌核酸の存在を示すため、全細菌/酵母プローブ混合物が対照として使用さ
れた。Hogan et al.(”非ウイルス性生物体の検出および/または定量のための
核酸プローブ”と題された上記文献)は適した全細菌/酵母プローブ混合物の例
を示している。ここに説明された実施例で使用された全細菌プローブはHogan et
al.により記載されている全細菌プローブ番号7の誘導体である、(ここに説明
された実施例で使用された全細菌プローブは、Hoganプローブ番号7に比べて5
’末端が4ヌクレオチド短かく、3’末端が5塩基長いように位置が変えられて
いる)。酵母プローブはHogan et al.により記載されている真菌プローブ番号1
の誘導体である。
表3は上に説明されたアッセイプローブ混合物がMycobacterium avium複合体
を微生物の系統発生横断面パネルの構成菌から区別することを示している。この
実験においても全細菌/酵母プローブ混合物が対照として使用された。
実施例2
この実施例は、核酸増幅の生成物を検出するための、Mycobacterium avium複
合体標的核酸と同一のセンスのアッセイプローブの使用を例示している。Mycoba
cterium avium複合体(MAC)と生化学的に分類されたが、AccuProbe(M.aviu
mまたはM.intracellulare種特異的プローブ)とは反応しない生物体の臨床単離
物からのrRNAを、0.15μMのプロモーターープライマー(配列ID番号:
13)、0.15μMのプライマー(配列ID番号:14)、75mMトリス−H
Cl pH 8.5、35mM KCl、20mM MgCl2、15mM N
−アセチルシステイン、4mM rATP、4mM rCTP、4mM rGT
P、4mMrUTP、0.2mM dATP、0.2mM dCTP、0.2m
M dGTP、0.2mM dTTP、5%グリセロール、900U MuML
V逆転写酵素、400U T7 RNAポリメラーゼを含む100μLの溶液中
、42℃で2時間インキュベートすることにより増幅した(Kacian et al.、”
核酸配列増幅法、組成物およびキット”と題した上記文献を参照されたい)。反
応液は酵素添加に先立って95℃に5分間加熱した。
増幅された核酸からMycobacterium avium複合体生物体の存在を検出するため
、標的rRNAと同一のセンスを含む配列ID番号:15の核酸配列を持つアッセ
イプローブを、配列ID番号:19および20のヘルパープローブとともに使用し
た。検出は実施例1に説明したように実施された。表4に示されるように、プロ
ーブ(配列ID番号:15)は、種特異的プローブAccuProbe M.aviumまたはAccuP
robe M.intracellularedeでは検出できなかったMycobacterium avium複合体単離
物の存在を検出した。
上に記載した種々の実施例に示されたデータから、ここに説明され特許請求さ
れた新規プローブがMycobacterium avium複合体をミコバクテリアから区別でき
ることが確認される。さらに、相補的オリゴヌクレオチドプローブ(すなわち、
標的と同一のセンスを持つもの)は標的増幅法の生成物の検出に有用である。
他の実施態様は以下の請求の範囲内である。