JPH09501126A - 車両用アンチロックブレーキシステム - Google Patents
車両用アンチロックブレーキシステムInfo
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Abstract
(57)【要約】
車両の車輪に関連する流体作動式のブレーキを有する車輪付き車両用のアンチロックブレーキシステムであって、車両の車輪に関連する速度センサーと、速度センサからの速度信号に応答して圧力ダンプ装置を作動し、ロック寸前と判断される車輪のブレーキに適用された流体圧を周期的に開放し、その後、その車輪のロック傾向が緩和された時にそのブレーキに作動圧を再度適用するための制御装置と、圧力再適用段階で周期的に圧力ダンプ装置にパルスを付与し、そのブレーキへの圧力の再適用を繰り返し遮断する手段とを備えている。圧力ダンプ装置のパルス付与のパルスタイミングは、予め設定された閾値と同等またはそれを越えると判断される車輪角減速度の発生によって制御されるように構成され、その予め設定された閾値の絶対値は前回のアンチロックブレーキサイクルからの事象に依存するように構成されている。
Description
【発明の詳細な説明】
車両用アンチロックブレーキシステム
本発明は、車両用アンチロック/アンチスキッドブレーキシステム(ABS)
に関する。
車両用アンチロックブレーキシステムは、車両の各車輪上の速度センサーと、
速度センサーからの速度信号に応答して、一連のオン/オフサイクルにおいてロ
ック寸前の車輪のブレーキへの作動流体の圧力を周期的に低下させる制御装置を
備え、車輪のスキッドを回避または減少させることを特徴とする。
制御装置は、各サイクルにおいて車輪がタイヤの最大粘着度に近似して動作す
る割合を最適化することによって、高感度制御、効率的なブレーキ、効果的な操
縦性/安定性を組み合わせようとする。周知の通り、このブレーキ力の大きさは
、タイヤのスリップの関数として表現した場合、非対称形のハンプを有する曲線
(図2の曲線CB参照)により特徴づけられる。この曲線のピークに存在する縦
方向と横方向の力のバランスは、通常、正常な道路走行中の車両に対する最適の
妥協点となる。
タイヤが曲線のマイナスのスロープ領域に達すれば、ブレーキ作動力は、時と
して急激に減少し始め、側方粘着度(図2の曲線CS)は、スリップの増加とと
もに徐々に減少し、満足な操縦性または安定性を維持することができなくなる。
車輪が、補正処置前にこの領域にあまりにも長くとどまる場合は、制御は粗略と
なり、車輪の大きな角減速や加速、高スリップレベルをもたらし、結果的に大き
な振幅圧力サイクルとなる。乗客にとっては、これは明らかに急激な振動感とな
るであろう。
効率的なブレーキには、車輪がピークブレーキ力に対応するスリップレベルに
おいて、あるいはそれに非常に近いレベルにおいて、可能な限り長時間を費やす
ことが必要である。これは、圧力上昇率が比較的平坦である必要があり、車輪が
最大ブレーキ力領域の通過に要する時間が長引くということを意味する。制御の
高精度化もまた、「圧力オーバーシュート」、すなわち、システムが発生寸前の
スキッドを検知し、補正処置を開始するために要する時間の間に、ブレーキ圧が
理想的な圧力を越える度合いを減少させることを利用する。
効率的な操縦性/安定性は、曲線のプラスのスロープ、すなわち、アンダーブ
レーキ領域において各サイクルの一部を車輪に経由させることによって最もよく
保証される。これは、圧力ダンプフェーズにおける圧力アンダーシュートの結果
として自然に起こるが、効率を維持しようとする場合、理想的な圧力への迅速な
回復をもたらすことによって制御される必要がある。
この様に、ブレーキ力回復の第1段階において、迅速な圧力再適用率の必要性
があるが、その後、より緩慢な率とする必要がある。
フローバルブシステムに関連して、圧力ダンプソレノイドに周期的にパルスを
与え、そうでなければ円滑なはずの再適用フェーズに対して繰り返し中断を起こ
し、全体的に比較的平坦な上昇率を有する鋸波形状のプロファイルを形成するこ
とによって、これを達成することが公知となっている。このように、圧力上昇率
に対するパルスのマクロ的な影響に力点が置かれている。先行技術においては、
周期間隔と第1パルスのタイミングは、両方とも、例えば、前回のサイクルから
の事象との予め規定された関係(圧力ダンプそして/または再適用の持続時間)
により前もって設定される。しかし、これらのパラメータと最適パルスタイミン
グの相関関係は、しばしば非直線的となり、作動条件の狭い範囲においてしか予
測に信頼性を与えない。
本発明によれば、パルスタイミングは、予め設定された閾値と同等あるいはそ
の閾値を越える車輪角減速度の発生により制御され、この閾値の絶対値は前回の
サイクルからの事象に依存するように設定される。
この様に、パルスタイミングは、適用されたブレーキ力に対抗する車輪の能力
に関する最新のデータに依存するように設定される。したがって、車輪がロック
寸前まで近づくことを防止するその動作によってのみ、ピーク粘着ゾーンにおけ
る車輪の時間を引き延ばすことができるので、各パルスの重要性が高まる。
この原則の主な利点は、パルスのタイミングに対する信頼性が高まり、あまり
にも早期にパルスが導入される可能性が少なくなるという点であり、この様な可
能性は、比較的低い圧力領域における圧力上昇の比較的平坦な部分を無駄にする
ことになる。そして、このエラーは、スキッド圧力に達したときに正常な圧力上
昇率に対抗することによる影響を受けて、引き起こされやすくなる可能性がある
。(比較的平坦な再適用率の持続時間は、予想外に大きな表面粘着の改善に対す
る適切な対応を保証するために制限されるべきである。)
さらに、本発明の提供により、ABSは、最適圧力において自然に生じるサイ
クル毎の変動、例えば、地面の不均一や機動中の車輪負荷に対する変化によって
生じる変動などに対してより効率的に対処できるようになる。
いくつかの実施例においては、閾値適応は、パルスの直後におこる圧力ダンプ
に対するパルスの近接度に基づくように構成されている。他の実施例においては
、閾値適応は、前回のサイクル中に起こったスリップレベルに依存するように構
成されている。これらは両方ともパルスタイミングの効率的な制御を提供するこ
とが分かっている。
その原則は、フローバルブの代わりに固定オリフィスまたはホールドソレノイ
ドを特徴としているシステムに適用することができる。後者の場合には、減速度
閾値が、ホールドソレノイドパルスのタイミングそして/または持続時間を制御
する。
以下、添付の図面を参照しながら、単なる例としてのみ発明を説明する。
図1は、本発明により作動するシステムの一例を示した一連の動作曲線である
。
図2は、典型的な例において側方力(CS)係数とブレーキ力(CB)係数が
ブレーキスリップによりどの様に変化するかを示したものである。
図3は、本発明を具現化したシステムの動作を示すフロー図である。
図4、図5、図6は、本発明による別のシステムの動作を示すために用いる動
作曲線である。
図7は、本発明による一実施例を示したものである。
図8は、本発明による第2実施例を示したものである。
図9は、減速度フィルタ部を示したものである。
図10は、減速度フィルタ部の動作を示すフロー図である。
図11は、図8の実施例の動作に関連する一連の動作曲線を示したものである
。
図1は、雪の上を移動していてブレーキをかけられた状態の車輪のブレーキ圧
力(PFR)、回転速度(VFR)(同等の直線速度に換算したもの)、角加速度(
aFR)(同等の直線加速度に換算したもの)、ABSダンプソレノイドの状態(
FR)を示す。
ブレーキは、時間尺度に沿って350msの時間で急激にかけられ、ほぼ瞬時
に表面粘着度は抑えられ、車輪は急激に減速し(−veの加速度)、ABS干渉
を起こす。圧力PFRが軽減されると、車輪速度は高加速ピークを伴って非常に急
速に回復し、そして、サスペンションのマウントとタイヤ自体の従動性によって
しばらくの間共振する。この共振は±2gの減速と次の加速を引き起こし、その
後、±0.25gの小さな振幅を伴って動作が静まるが、950msで車輪スリ
ップが増加し始めるに従い、再び上昇する。
減速度が1.5gに達したとき、固定パルスX1 (この場合7ms)が、ソレ
ノイドに出力されるようになっている。このポイントにおいて、圧力は48ba
rで、パルスは、スリップ傾向を抑制、逆作用するにも十分な41barまでの
降下を起こし、減速が停止する。しかし、84ms後に、圧力は53barに回
復し、減速度は再び−1.5gレベルを突破し、減速度の低下と漸進的なスリッ
プ増加率の維持の役割を果たす別の7msパルスX2 を発生させる。その後、こ
れ以上のパルスの発生はなく、減速度がもう一度増加したときに自然の成り行き
に任せられ、スリップレベルが56barの圧力によって急激に上昇し始めたと
き、正常な、すなわち、閉ループ被制御ダンプが後に続く。
固定7msパルスX1 ,X2 は、車輪が最適スリップ範囲において費やすこと
のできる時間を延ばす役割を果たした。この場合、第1のパルスと閉ループダン
プの間のスリップは、18%から25%の範囲、すなわち、μスリップ曲線ピー
ク(図2のCB)のプラスのフランク上にあった。
パルスタイミングの副産物として、全体的な圧力上昇率は、第1パルスX1以
降、平坦化されている。
閾値適応がパルスの直後に起こる圧力ダンプに対するパルスの近接度に基づく
前記の第一の選択肢を利用するシステムの場合、正常なダンプ信号を開始する時
点からダンプに対するパルスXの近接度を評価し、(−1.5g)閾値を高いレ
ベルに適応させるか低いレベルに適応させるかの決定を下す。図1に示されてい
る場合においては、タイミングは、満足のいくものであると判断され、閾値は変
更されないままとなっている。しかし、次のサイクルにおいては、1.5gのパ
ルスX3 の後、車輪は、恐らく粘着度または車輪負荷の変化によって、44ba
rの比較的低い圧力でのさらに50msの後、スキッドする。X3 と次のダンプ
の間の間隔は、前のサイクルよりもはるかに短いが、本発明によるシステムは、
μスリップ曲線のピークを越える車輪の前進に対して短時間の遅延をもたらすこ
とのできるパルスX3 を利用した。
この時、パルス近接度はあまりにも近すぎると判断されたため、閾値は−1.
25gまでインクリメントされるが、スキッド圧は、次のサイクルでさらに(4
1bar)降下し、再度、信号パルス(X4 )のみが可能となり、近接度は前の
サイクルよりも悪化する。
閾値の更なるインクリメントが行われ、スキッド圧の更なる降下なしに、次の
サイクルのパルス位置は、−1.0g閾値で開始されるパルスX5 ,X6 で補正
すべきであると再度判断される。
図3は、フロー図によって本発明の一実施例の動作を示したものである。図3
中の様々なボックスは、以下のように規定される。
500−減速度依存適応(DDA)パルス
502−この車輪上でABSが作動しているか?
504−前回の真のダンプからの時間<DDA阻止時間?
506−前回の真のダンプからの時間>DDA非作動時間?
508−現在のABSサイクル中にDDAパルスが出力されたか?
510−このABSサイクル中に最大数のDDAパルスが出力されたか?
512−現在の車輪加速度は現在のDDA閾値よりもマイナス側にあるか?
514−DDAパルスをこの車輪ソレノイドに対して出力
518−DDA阻止条件のチェック
516−DDA要件のチェック
520−DDA閾値の適応
522−新たな真のダンプが要求されたか?
524−前回のABSサイクルにおける第1のDDAパルスは早すぎないか?
526−DDA閾値をさらにマイナス側とする
528−前回のABSサイクルにおける第1のDDAパルスは遅すぎないか?
530−DDA閾値をさらにプラス側とする
532−この車輪のDDAタイマとカウンタのリセット
534−この車輪のDDAシステムの初期化
536−各車輪に対して反復
次に、前記の第2の選択肢を利用したシステムであって、閾値適応が前回のサ
イクル中に発生したスリップレベルに依存するように構成され、後の評価を利用
して実際の圧力ダンプ閾値または関連のパルス閾値の何れかをインクリメントし
、ピークスリップを最適レベルに維持するシステムについて説明する。
先ず図4を参照して、周知の実施によるABSシステムの典型的な動作曲線の
セット(これにより圧力ダンプポイントを確立する)を以下に示す。
図4は、上から下への順番で、車輪加速度/減速度aFR(減速度閾値(−b)
はその上に重ね書きされている)、車輪速度VFR(車輪基準速度を有する)、車
輪ブレーキ圧PFR、車輪速度(すなわちkph)に関するスリップ閾値STの4
つのトレースを示している。ブレーキをかけた際、圧力PFRは、ブレーキ内で(
0)からポイント(E)において上昇する。これは、(0)からポイント(B)
において地面上での車両速度に対してブレーキ適用車輪を減速させる。ブレーキ
適用車輪の速度変化は、(0)からポイント(A)にかけての減速度として反映
される。この減速度値が(A)で通常1.5gに設定されている減速度閾値に達
したとき、ブレーキ適用車輪の速度(B)が記憶される。ブレーキ適用車輪は引
き続き減速し、更なる減速(C)がスリップ閾値(D)と同じになったとき、A
BSシステムはブレーキ圧をダンプする。ブレーキ圧は軽減され、ブレーキ適用
車輪の速度は、車両速度と比較したときにピークスリップ値(F)を提供する最
低速度に達した後、回復し始める。
圧力ダンプ(放出)ポイントを決定するための減速度閾値とスリップ閾値とい
う後者の組み合わせは、標準的な技術であり、ABSシステムの分野において公
知である。
本発明の第2の選択肢によれば、前回のサイクルからのスリップのピーク値(
F)を用いて、次のサイクルのために、ポイント(A)の位置(すなわち、減速
度閾値)を変更し、したがって、小さなインクリメントにより減速度閾値をずら
す関連パルス閾値の位置を変更し、次の圧力適用においてそのパルス閾値が満た
されたときに、システムは、車輪が図2のμスリップ曲線CB のピークを通過す
る際に粘着度のロスに関連するブレーキ適用車輪の急激な減速を阻止するために
持続時間の短いパルスを与える。この「小さな」インクリメントは、減速度閾値
に対してプラスであることが好ましいが、真のダンプファイヤリングが13回起
こる前にそのパルスファイヤリングが動作するようにパルス閾値レベルが算出さ
れる限り、前記閾値に対して若干マイナスとなるようにしてもよい。
図4は、本発明の一つの側面を例示したものであり、減速度閾値とともに関連
パルス閾値を使用して、適応させたパルス信号が与えられるポイントを決定する
ようになっている。示されているとおりこの例では、パルス閾値は、減速度閾値
よりも0.25gプラス側となっている。
図4を再び参照して、第1の車輪スキッドサイクルの終了後、ピークスリップ
値(F)は、スリップの上下限と比較され、図2の曲線CB のμスリップ曲線上
の最適ピーク内あるいはその周辺にブレーキ適用車輪がとどまるようにABSシ
ステムが動作したか否かを確認する。
スリップを車両速度に対する車輪速度減速の割合であると定義した場合、ピー
クスリップ値が、予め規定された10%〜20%程度のスリップの範囲内であっ
たなら、車輪制御の適正なレベルが達成されたと判断される。
達成されたピークスリップ値が10%未満であったなら、これは、スキッド補
正があまりにも早期に起こり、路面粘着に利用可能なタイヤの最適利用が得られ
なかったということを示している。システムは、通常0.25gという小さなイ
ンクリメントで減速度閾値を増加することによりこれを補正し、減速度閾値の感
度を低下させる。同様のインクリメントはパルス閾値にも適用され、パルス閾値
自体と減速度閾値の0.25gの差分を維持する。ピークスリップ値が20%の
上限を越えた場合は、これは、スキッド補正があまりにも遅く起こったことを示
す。減速度閾値は、感度が高まる方向に0.25gの小さなインクリメントで低
下する。同等のインクリメントがパルス閾値に対しても適用される。
この特定の例においては、ピークスリップ値は上限と下限の予め規定された「
ウィンドウ」内に維持されると仮定する。車輪速度の回復と同時に、システムは
、ポイント(G)からポイント(H)にかけて制御された車輪のブレーキに圧力
を再適用する。これは、ブレーキ適用車輪の減速を伴い、これにより、圧力がポ
イント(H)に近づくにしたがって減速度レベルをパルス閾値のレベルまでもっ
ていく。このポイントで、短い7msパルスが、フローバルブモジュレータのダ
ンプソレノイドに与えられる。これは、車輪の減速において漸進的な増加を阻止
する効果を有する。この短いパルスの後、圧力は、ポイント(I)に向かって再
び増加し始めるので、車輪減速度を再びパルス閾値に到達させる補足的な減速が
必要となる。もう一つの7msパルスが与えられ、ブレーキ圧力をさらに適用し
て、車輪が最終的にパルス閾値を通過し、(K)で減速度閾値に達するまで、車
輪減速度の急激な増加を再び阻止する。スリップがさらに増加し、スリップ閾値
と同等になった後、ABSシステムは、ポイント(L)で車輪ブレーキ圧力の「
真の」ダンプを適用する。システムは、引き続きサイクル毎に動作し、パルス閾
値が予め設定されたパルスの最大数(この場合は2パルス)に達したときに必ず
パルスを発生する。必要であれば、追加パルスが許容される。
減速度閾値からの固定オフセットをパルス閾値に用いる本実施例は、パルス閾
値を計算しなければならないシステムと比較した場合、プロセスコントローラの
メモリ(RAM)の節約を提供する。
図5を参照すると、パルス閾値と減速度閾値は、本発明に従ってインクリメン
トされる共通の閾値として取り扱われている。図5の記述は、前回のスキッドサ
イクルにおいて達成されたスリップのピーク値によって決まるパルス/減速度閾
値にプラスとマイナスの両方のインクリメントが適用される本発明の「適応」効
果について詳述するものである。以下の記述にある適応は、図4に示されている
前述の基本システムにも同等に適用できる。
図5のトレースを参照すると、車輪ブレーキ圧は、ポイントHからポイントK
にかけて適用される。これは、車両に関連して車輪を減速させ、ここでも車輪減
速度と解釈される。この減速度が1.5gの閾値に到達すると、車輪速度が記憶
され、監視される。車輪速度がスリップ閾値と同等の量だけさらに減少すると、
ABSシステムは、ブレーキ圧をダンプし、ブレーキ適用車輪を加速させる。車
両の車輪が車両自体に関連して最も低速になるポイントは、もちろん、その特定
のABSサイクルのピークスリップ値(λ1 )である。本システムによれば、こ
のスリップ値は、例えば、最大値20%、最小値10%という上限、下限と比較
されるようになっている。計測されたスリップ値がスリップのこの範囲内、すな
わち、10%<λ1 /X1 ・>20%であれば、減速度閾値の調整は行われない
。しかし、λ1 が10%未満であれば、減速度閾値の感度は低く設定される。す
なわち、減速度閾値は、例えば、0.25gのインクリメントでよりマイナス側
となり、新たな減速度閾値は1.75gとなる。一方、λ1 が20%を越えると
、スキッドサイクルは明らかに長くなりすぎ、ダンプポイントは、次のサイクル
で直ちに起こる必要があり、すなわち、例えば1.5gから0.25g〜1.2
5gのインクリメントにより減速度閾値の感度が高まり、更にプラス側となる。
示されている例においては、λ1 <10%と仮定されており、減速度閾値は、
前回のスキッドサイクル終了直後に、ポイントT1 において−0.25gインク
リメントされる。車輪速度は、ポイントKからLにかけて圧力がダンプされるに
従って回復し、ABSシステムは、ポイントLからポイントMにかけてブレーキ
を再適用することにより制御を回復する。圧力が前のスキッド圧に向けて上昇す
るに従って、車輪は再び車両に関連して減速し始め、これはWにおける減速度と
して示されている。減速度レベルが−1.75gにおいて新たな低感度の閾値に
達すると、短い(例えば、7ms)パルスがABSモジュレータのダンプソレノ
イドに与えられる(これは、インレットソレノイドのパルス付与がブレーキ再適
用率を制御する場合、チャンネルモジュレータあたり2ソレノイドのインレット
ソレノイド上での7msの持続時間とすることも可能である。)このパルスは、
減速度Yの増加の短い休止として反映されるブレーキ圧上昇の短時間の降下ある
いは維持を引き起こす。路面スリップ値に対するタイヤは、延長期間中、図2の
μスリップ曲線CB上のピークに非常に近いポイントで維持されるため、このス
キッド進行の短時間の阻止は、実際、はるかに改善された粘着度利用を提供する
。
この第2サイクル上でλ2 が実際に20%を越えたと仮定すると、0.25g
の関連インクリメントステップは、T2 において、現在の−1.75g閾値に適
用される。これは、第2スキッドサイクルが長すぎ、次のサイクルを若干早いポ
イントで開始する必要があることを意味する。ブレーキ圧は、今、ポイントPか
らポイントSにかけて再適用される。ポイントQにおいて、車輪減速度は、新た
な1.5gの減速度閾値に達し、短い7msパルスが与えられ、増加しつつある
減速度を軽減、回復する。ポイントRにおいて、車輪減速度は、再び1.5g減
速度閾値に達し、短時間にスリップの開始を回復するという同様の効果を有する
別の第2の7msパルスが与えられる。その後、この特定の例においては、これ
以上のパルスは許容されず、車輪減速度は、正常に、ABSシステムがSにおけ
るブレーキ圧のダンプを干渉するポイントまで増加する。システムによって、追
加パルスが許容される場合もあるが、この例では、車輪が図2のμスリップ曲線
上のピークスリップ領域に留まる期間を延長するには2つのパルスで十分である
。この期間はZで示されている。システムは、先行するサイクルからのピークス
リップ値、すなわちλ3 などに従って、引き続き減速度閾値を調節する。
実施においては、圧力上昇率の効果的な低減が好ましくない場合も起こりうる
。特に、これは、車両が低μ表面から高μ表面へと通り過ぎる際に起こりうる。
低μ表面においては、スキッドサイクルを作るために比較的低い圧力が適用され
、一方、高μ表面においては、比較的高い圧力が要求される。低から高への移行
時には、改善された表面上の粘着を利用するために、可能な限り迅速に圧力の増
加が起こらなければならい。
図6を参照すると、前記とほぼ同様に、パルス閾値と減速度閾値の両方を用い
、0.25gという小さなプラスのインクリメントにより減速度閾値からパルス
閾値をずらすようにしたシステムは、低μ表面上では比較的低いスキッド圧で当
初動作しており、(T)で示される中間移行ポイントにおいて低μ表面から摩擦
係数の比較的高い表面上へと通過する。このポイントにおいて、前回のスキッド
サイクルは、パルス閾値と減速度閾値を感度のより高い領域へと適応させ、移行
ポイント(T)では、減速度閾値が(B)で示すように1.0gに設定され、パ
ルス閾値が(A)で示すように−0.75gでさらにプラス側に0.25gずれ
ていると仮定される。このポイントで、適用ブレーキ圧が小さすぎて車輪減速を
起こさないので、「真の」スキッドを起こすが、圧力の増加とともに、その圧力
が十分大きな減速度を発生させ、パルス閾値が−0.75gに留まっている場合
にはパルスファイヤリングを起こす傾向がある。この段階でのパルスファイヤリ
ングは、もちろん、改善された道路状況に適合するために要求される迅速な圧力
上昇を遅らせる。これは、適切な時間間隔、例えば、150msの間隔で(減速
度閾値に関連して)パルス閾値をインクリメントすることによって防止できる。
X,Y,Zで示される各150msの時間後、パルス閾値は、さらに−0.25
gインクリメントされ、これによりパルス要求に対するシステムの感度が低下す
る。従って、ポイント(C)では、パルス閾値は、−1.0gとなり、減速度閾
値と等しくなり、そして、さらに150ms後にはさらにインクリメントが加算
され、(E)においてパルス閾値が−1.25gとなる。−0.25gの更なる
インクリメントが、次の150ms期間の終了時に適用され、このポイント以降
、パルス閾値は、調整されたレベルに維持されるか、あるいは、随時、次の真の
ダンプファイヤリングまで150msインクリメントが引き続き行われる。
パルス閾値への150msインクリメントに加えて、減速度閾値のリセットは
、示されているように、450msポイントで起こりうる。450msの選択は
、真のブレーキダンプの後、さらに真のダンプファイヤリングがなくてもタイヤ
の道路摩擦係数が改善されていると仮定しても安全であるという前提に基づいて
いる。したがって、この例にはこの特定の時間が適用されているが、実際の時間
は特定の設備によって変化する可能性がある。リセット期間の終了とともに、減
速度閾値は、その基本レベルである1.5gにリセットされる。これは、今、は
るかに改善された表面上にあると判断される次のスキッドサイクルが利用可能な
粘着性を利用できるように保証する。減速度閾値がリセットされなければ、次の
真のダンプは、時期尚早に作動し、かなり早い時期に比較的低い減速度レベルか
らダンプが起こり、短いスキッドサイクルとなる。
図7は、閾値適合がパルスの直後におこる圧力ダンプへのパルスの近接度に基
づいて行われるようにした、前記の第1のタイプの実施例の一つの実施可能な例
を示したものである。
参照番号100は、車両の車輪(図示せず)の1つに関連する従来の車輪速度
センサである。センサ100からの出力信号は、102において調整され、車輪
速度計算ユニット104と車輪減速度計算ユニット106の両方に送られる。結
果的に算出された車輪速度と車輪減速度の信号は、速度記憶装置108と減速度
記憶装置110に記憶される。車両速度は、速度計算ユニット112で計算され
、車両速度記憶装置114に記憶される。記憶装置108からの車輪速度信号は
、演算装置116において、記憶装置114に保持されている車両速度から減算
され、路面に対するその車輪のスリップを表す信号(SLIP)を与える。SL
IP信号は、コンパレータ118の一方の入力(A)に与えられ、そこで、記憶
装置119により与えられる予め設定されたスリップレベル(この例においては
1kph)に相当する基準信号(B)と比較される。比較の結果がA≧Bを示し
ていれば、ANDゲート120の一方の入力に信号が与えられる。
図9、図10に関連して後述するように、ユニット106、110の間には、
減速度フィルタ109を適宜配置することができる。
ANDゲート120の出力は、素子122を介してソレノイドドライバ124
の入力に接続され、ソレノイド(図示せず)に導かれるライン126上に信号を
与え、このソレノイドの作動により、結果的に関連のブレーキ作動装置への流体
圧が放出(ダンプ)される。素子122は、ANDゲート120の出力信号を受
けたときに、短持続時間のパルスをソレノイドドライバ124に出力するように
なっている。
ソレノイドドライバ124の入力には、ボックス128で包括的に示されてい
る標準的なABS検知システムの出力も接続されている。このシステム128は
、ソレノイドドライバ124を作動し、従来のABSの実施に従い作動圧の閉ル
ープ制御ダンプを起こすが、詳細な説明は行わない。
ソレノイドドライバ124により与えられるライン126上のダンプ信号は、
ライン130によって「閉ループ制御ダンプ開始」ユニット132と「閉ループ
制御ダンプ終了」ユニット134の入力にも与えられる。ユニット132の出力
は、第1に、「最終閉ループ制御ダンプ終了以降クリアタイマ」ユニット136
に接続され、第2に、2つのANDゲート138、140の第1入力に接続され
、第3に、「パルスカウントクリア」ユニット142の入力に接続され、第4に
、インバータ144の入力に接続される。インバータ144の出力は、ANDゲ
ート146の一方の入力に与えられ、そのもう一方の入力はコンパレータ148
の出力に接続され、そして、一方の入力をゼロ基準電圧に接続させ、第2の入力
を「第1APT(適応パルス閾値)パルスタイマ記憶装置」150の出力に接続
させる。ANDゲートの出力は、第1APTを毎秒1回インクレメントするよう
にしたユニット152を介して、第1APT記憶装置150に接続されている。
154で示されている素子は、主ABSが「作動していない」時に信号を与え、
作動中に第1APT記憶装置150をクリアする役割を果たすユニット156の
一方の入力にこの信号を送る。ユニット156は、NANDゲート158の出力
も受信し、その3つの入力は、それぞれORゲート160の出力とANDゲート
138,140の出力に接続されている。ANDゲート140の出力は、コンパ
レータ166の一方の入力に接続されている「APT閾値記憶装置」164の一
方の入力に接続されている「インクリメント」ユニット162の入力にも接続さ
れている。コンパレータ166のもう一方の入力は、車輪減速度記憶装置110
に接続され、その出力は、ANDゲート120のもう一方の入力に接続されてい
る。ANDゲート120のさらにもう一方の入力は、主ABS(128)が作動
しているときはいつでも出力を生成するユニット168に接続されている。第1
APTパルスタイマ記憶装置150は、B入力すなわち更に2つのコンパレータ
170,172にも信号を与える。コンパレータ170のA入力は、「下限」基
準174に接続され、コンパレータ172のA入力は、「上限」基準176に接
続されている。コンパレータ170,172は、それぞれの入力においてA<B
そしてA>Bのときに出力を与える。
「クリアパルスカウント」ユニット142は、「インクリメントパルスカウン
ト」ユニット180を介してANDゲート120の出力からパルスカウント信号
を受信するパルスカウント記憶装置178に接続されている。記憶装置178の
出力は、コンパレータ182の一方の入力に接続されており、そこで、基準レベ
ル「1」と比較される。コンパレータの出力が、カウントが1であることを示せ
ば、「第1APTパルスタイマ開始」素子184に信号が与えられ、第1APT
パルスタイマ記憶装置150に接続される。
「タイマクリア」ユニット136の出力は、「最終閉ループダンプ終了以降タ
イマ開始」素子188を介して「閉ループ制御ダンプ終了」ユニット134から
の入力も受信するタイマ(Paブレーキ)186に接続されている。タイマ18
6の出力は、コンパレータ190の一方の入力(B)に接続されており、そのも
う一方の入力(A)は、基準値、例えば、150msを受ける。コンパレータ1
90の出力(X)は、「デクリメントユニット」192の一方の入力に与えられ
、第2入力をANDゲート138の出力に接続させる。「デクリメント」ユニッ
ト192の出力は、APT閾値記憶装置164の第2入力に導かれる。
図7の減速度フィルタ109が使用される場合は、図10のルーチンを適用す
ることができる。
図10の様々なボックスは、以下のように定義される。
260−減速度フィルタ
262−新減速度の計算
263−差分の計算、すなわち、新減速度から旧減速度を減算
264−差分の絶対値≦6?
267−変化方向は上向き?
265−次回ための変化方向NONEのマーク付け
268−次回ための変化方向UPのマーク付け
269−次回ための変化方向DOWNのマーク付け
270−変化方向は前回と同様?
271−新減速度を「旧減速度」あるいは±6に限定
266−新減速度をセーブ
261−終了
図10は、ルーチンの入口260と出口261の間をリサイクルする電子制御
ユニットにより実行される減速度フィルタルーチンを示したものである。ステッ
プ262において、車輪センサにより与えられる信号から新減速度が計算される
。ステップ263において、新減速度と旧減速度すなわちルーチンの前回の実行
の間に計算された減速度との差分が計算され、ステップ264において、図10
に示されている予め設定された差分「6」と比較される。差分が6未満であれば
、ステップ265は、ルーチンの次のサイクルで方向変化がないことを示し、ス
テップ266において、計算された新減速度値が次のサイクルのためにセーブさ
れる。ステップ267は、差分の変化方向が上向きであるか下向きであるかを決
定し、ステップ268,269は、次のサイクルのために、それぞれ、上向き、
下向きの方向のマーク付けを行う。ステップ270は、変化方向が前回のサイク
ルと同じであるかどうかをチェックし、もし同じであれば、制御をステップ26
6に送る。もし同じでなければ、ステップ271は、新減速度を旧減速度±6に
限定し、その限定された値をステップ266でセーブする。
図9は、図10のルーチンを達成するためのハードウェアの一例である。信号
調整ユニット201は、図7の信号調整ユニット102に相当する。減速度の計
算は、202で行われ、演算ユニット204の+入力に与えられる。演算ユニッ
ト203の−入力は、「旧減速度」を保持する記憶装置217に接続される。記
憶装置6は、「新減速度」記憶装置216の出力に接続され、その2つの入力は
、それぞれ、「許容」ユニット214、215に接続されている。「許容」ユニ
ット214は、演算ユニット205の出力を受け、インバータ212と「許容」
ユニット215は、減速度計算ユニット202の出力とコンパレータ211の出
力を受ける。コンパレータの+入力は、ユニット207からの「変化方向」信号
をを受け、その−入力は、「旧減速度」ユニット210からの信号を受ける。コ
ンパレータの出力は、インバータ212の入力にも与えられる。ユニット217
は、演算ユニット204の出力と更にもう1つのコンパレータ203の出力(こ
れらの入力は、演算ユニット出力と、ユニット206から与えられ許容スロー限
界(図10のフロー図における値「6」)に対応する基準信号となる)により減
速度の変化方向を決定する素子209からその入力を受ける。ユニット206か
らの基準スロー限界は、更にもう1つの演算ユニット205において、「旧減速
度」ユニット217の出力に加算され、入力を「許容」ユニット214に与える
。
図9の装置の目的は、車輪のサスペンション動作による変動を排除することに
よって、信頼性の高い車輪減速度値を提供することにある。これは、先ず、計算
された現在の減速度値が予め設定された「スリュー」限界内にあるかどうかをチ
ェックすることにより達成される。もし限界内にあれば、この計算により、記憶
されている減速度値が更新される。この計算が「スリュー限界」値を越えている
ならば、計算された減速度が前回のプロセッササイクルにおいて計算された方向
と同じであるかどうかをチェックする。もし同じ方向であれば、減速度計算は適
切であり、車輪は予め設定された「スリュー限界」を偶然に越える真の減速度を
認識していると想定される。この計算された減速度は、その後、減速度値の更新
に使用される。減速度の変化方向が前回のプロセッササイクルにおいて認められ
たものと異なる場合は、計算された減速度は誤りであり、減速度値の更新に使用
されないと想定される。その代わり、旧減速度±「スリュー限界」値の和である
新たな仮定減速度が生成される。前回の変化方向がプラスの方向であれば「スリ
ュー限界」値は加算され、前回の変化方向がマイナス方向であれば減算される。
すなわち、前回に車輪の減速度が増加していることが示されたなら、「スリュー
」限界が加算され、更なる仮定増分等が生成される。
車輪速度信号の信号調整は、信号調整ユニット201により行われる。生成さ
れた値は、現在の減速度値を生成する減速度計算機202に送られる。この現在
の値は、以下のプロセスにより作動可能となる許容スイッチ214へと送られる
。
現在の減速度から前回のプロセッササイクルにおいて計算された旧減速度21
7が減算される。加算器204で生成されたこの減速度エラー値は、変化方向計
算装置209への一方の入力を与える。変化方向装置209へのもう一方の入力
は、減速度エラー値から予め設定されたスリュー限界206を差し引いたものと
なる。これらの2つの値は、図10のフローチャートに示すボックス265、2
68、269としてマーク付けされたプロセスに従って使用され、変化方向記憶
装置207に記憶される変化方向信号を生成する。現在の減速度値と旧減速度値
の差分の絶対値がスリュー限界以下の場合、変化方向は、「NONE」とマーク
付けされ、記憶装置207にNONEとして記憶される。減速度エラー信号がプ
ラス、すなわち、上向きであれば、変化方向は、UPとして記憶される。同様に
、変化方向が下向きであれば、変化方向は、DOWNとして記憶される。現在の
変化方向信号は、2つのコンパレータのそれぞれの一方の入力に与えられる。第
1のコンパレータ211は、207に記憶されている新変化方向を記憶装置21
0に保持されている前回のプロセッササイクルの変化方向と比較する。変化方向
が同じであれば、すなわち、両方ともUPまたは両方ともDOWNであれば、許
容スイッチへの入力はハイとなり、計算された減速度202が新減速度として記
憶装置216に記憶される。同様に、記憶装置207からの変化方向信号は、コ
ンパレータ218において記憶装置219からのNONEステートと比較される
。したがって、記憶されている方向変化がNONEであれば、すなわち、計算さ
れた減速度がスリュー限界未満であれば、コンパレータ218の出力はハイとな
り、したがって、引き続いて計算された減速度202を新減速度として記憶装置
216に格納すること許容する許容スイッチを作動させる。2つのコンパレータ
の何れかがハイとなった場合、インバータ212は第2の許容スイッチ214の
入力をOFFし、同様に、コンパレータの何れもがハイにならなかった場合、第
1の許容スイッチ215は作動停止され、インバータ212は第2許容スイッチ
214を作動させる。この第2許容スイッチの作動は、記憶装置207に記憶さ
れている減速度変化方向に従ってスリュー限界値の符号を変える補正ユニット2
20によって符号を補正された、記憶装置206から得られるスリュー限界値か
らなる仮定の減速度変化を、新減速度記憶装置にロードする。この補正されたス
リュー限界値は、加算器205により、記憶装置217に記憶された旧減速度に
加算され、したがって、第2許容スイッチが作動されたときに新減速度記憶装置
216にロードされる。記憶装置216に記憶された新減速度は、後続のABS
ルーチンにおいて使用するために与えられる。新しい値が記憶装置216に記憶
されると、その値は、次回のプロセッササイクルで使用するために旧減速度を更
新する旧減速度記憶装置217に送られる。この更新の間に、ロード変化装置が
作動し、旧変化方向記憶装置210を変化方向記憶装置107からの新変化方向
値に更新させる。
したがって、計算された減速度が予め設定された限界内であれば、この値が、
そのプロセッササイクルの間ABSルーチンの残りの部分で車輪減速度信号とし
て使用される。計算された減速度が予め設定された限界外であれば、仮定の減速
度が上記として使用される。
図7を参照すると、装置の動作は、図1に関連して記述されている。
図1のポイント1において、車両ブレーキがかけられる。このポイントでは、
ABSは作動しないので、車輪減速度がAPT閾値を横切るポイント2において
は、短時間パルスは出力されない。
図1のポイント3において、閉ループ制御ダンプは、標準ABS検知機構12
8を介して出力される。この結果、タイマ136,186(paブレーキ)がク
リアされ、APTパルスカウンタ178,180もクリアされる。ポイント3の
結果として、ABSが対象の車輪上で作動する。
ポイント4において、閉ループ制御ダンプは終了し、タイマ186を開始する
。
ポイント5において、車輪減速度は164のAPT閾値を超えるが、この特定
の例では、オプションのスリップチェックが組み込まれていないので、短時間継
続パルスは、ポイント6においてパルス生成ユニット122によって出力される
。
後半の結果は、「インクリメントパルスカウント」180を作動し、引き続い
て「第1APTタイマ」184をスタートさせるためのコンパレータ182の出
力を生じさせる。
ポイント7において車輪減速度が再びAPT閾値を越えるので、ポイント8に
おいて、更なる短時間パルスがパルスジェネレータ122によって出力される。
ポイント9において、第2の閉ループ制御ダンプが機構128を介して出力さ
れる。この事象において、コンパレータ172,170の出力は、それぞれ、A
PT閾値モディファイヤ192,162に切り替えられる。
この効果は、「第1APTパルスタイマ」150により測定された時間が上限
176よりも長ければAPT閾値をインクリメントし(感度を上げ)、この時間
がこれらの限界内にあればAPT閾値をその現在の値に維持するということであ
る。APT閾値が調整された後(場合によっては調整されない場合もある)、「
第1APTパルスタイマ」150がゲート158で終わるゲートと「第1APT
クリア」ユニット156の組み合わせによってクリアされる。
後半の動作が引き続き繰り返される。
次に、図8を参照して、本発明による、閾値適応が前回のABSサイクル中に
起こるスリップレベルに依存するタイプの減速度依存型適応パルスジェネレータ
の実施例を示す。図7の実施例と同じ構成要素は、同じ参照番号で示す。
「閉ループ制御ダンプ開始」ユニット132は、前記と同様に、ABSが作動
しているときにライン126からの信号を受け、クリアタイマユニット136を
介してPaブレーキタイマ186に接続される。同様に、「閉ループ制御ダンプ
終了」ユニット134は、「最終閉ループダンプ終了以降タイマ開始」素子18
8を介してタイマ186に接続される。タイマ186の出力は、コンパレータ1
90の(A)入力に与えられ、その(B)入力は、基準値、例えば、150ms
に接続される。コンパレータ190の出力は、ANDゲート400からの入力も
受けるデクリメント素子192の一方の入力となる。デクリメント素子192は
、出力がコンパレータ166の一方の入力(B)に接続されているAPT閾値ユ
ニット164の一方の入力に接続される。APT閾値ユニット164のもう一方
の入力は、インクリメント素子162を介してANDゲート402の出力に接続
される。ANDゲート402の一方の入力は、ANDゲート400の一方の入力
と、「新スキッド検知シーケンス開始」素子404にも接続される。ANDゲー
ト400,402のもう一方の入力は、それぞれ、更なるコンパレータ406,
408の出力と接続される。コンパレータ406,408の一方の(A)入力は
、相互に接続されるとともに、「ピークスリップ」記憶装置410の出力にも接
続され、コンパレータ406,408のもう一方の入力(B)は、それぞれ、「
上限」基準412と「下限」基準414に接続される。「ピークスリップ」記憶
装置410の入力は、現在起こっている車輪スリップを表す信号を含む演算ユニ
ット116の出力に「追跡/保持」ユニット415を介して接続される。
ANDゲート120は、コンパレータ416の出力に接続されるもう1つの入
力を有し、コンパレータ416の一方の(A)入力は「パルス最大数」をプリセ
ットする素子418に接続され、そのもう一方の(B)入力はパルスカウント記
憶装置420に接続される。後者の記憶装置は、「インクリメントパルスカウン
ト」素子422を介して、ANDゲート120の出力に接続される。
ピークスリップ記憶装置410は、「閉ループ制御ダンプ開始」ユニット13
2に接続されているリセット素子133からのリセット入力を受ける。ANDゲ
ート120は、「ABS作動」素子121からの更なる入力を受ける。ANDゲ
ート400,402は、「ABS作動」素子391からの更なる入力を受け、こ
の素子の出力は、インバータ395とイニシアライザ393を介してAPT閾値
ユニット164にも接続される。
図11の動作曲線を参照して、図8の実施例の動作を説明する。
前述の実施例では使用される上限スリップ閾値と下限スリップ閾値をそれぞれ
−10%,−20%としていたのと比較して、この例では、それぞれ、−5%,
−10%としている。
(i) ABSサイクルは、図11において2.394秒で開始している。図
11のポイントA参照。ライン126を介して制御される主ソレノイドは、この
サイクル中に多数の「閉ループ制御ダンプ」(CLCD)を受けるが、車輪はポ
イントAからポイントBにかけてスリップ状態にあるので、これらのファイヤリ
ングは、実際は1つであると見なされる。(CLCDが連続的である必要はない
いことは周知である。)したがって、ポイントAにおけるABSサイクルの開始
は、「クリアタイマユニット」136とリセット素子133を作動し、それぞれ
、「最終CLCD以降時間」タイマ136とピークスリップ記憶装置410をク
リアする。
(ii) 時間Aからピークスリップ値は、追跡保持ユニット415により追
跡され、ピーク値は、記憶装置410に記憶される。この例では、ピークスリッ
プは、図11のポイントCで起こり、下限閾値(−10%)と比較して更にマイ
ナス側である。
(iii) ポイントDにおいて、新たなスキッド検知シーケンスが開始し、
ANDゲート402,400が作動し、コンパレータ408,406からの結果
を素子162,192のインクリメント/デクリメント機構へと切り替える。こ
の場合、ピークスリップは下限よりも低いので、素子164のAPT閾値はイン
クリメントされ、次回のABSサイクルでのシステムの感度を上げる。
(iv) 図11のポイントE,Fにおいては、素子110に保持されている
車輪減速度は、素子166のAPT閾値と同等あるいは更にマイナス側であり、
(オプションの)スリップ制限は素子118で満たされており、短時間パルス(
APT)が出力される。図11のポイントGにおいて、更なるAPTが同じ基準
で出力されるが、これはポイントHにおいて直ちに新たなCLCDの開始に引き
継がれる。
(v) ポイントHにおいて、素子136,133は再度作動し、上記(ii
),(iii),(iv)のプロセスが再び開始する。
(vi) ポイントJは、新たなCLCDの開始である。(ii),(iii
),(iv)のプロセスが起こるが、今度はピークスリップ値が上限(図11の
ポイントK)よりもプラス側にある。したがって、この場合のプロセス(iii
)は、APT閾値をデクリメントさせ、次回のABSサイクルのためのシステム
の感度を低下させる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),JP,KR,US
(72)発明者 フィリップス,マーク イアン
イギリス,バーミンガム,ヤードリー,オ
ラートン ロード 44番地
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.車両の車輪に関連する流体作動式のブレーキを有する車輪付き車両用のアン チロックブレーキシステムであって、 車両の車輪に関連する速度センサーと、 速度センサからの速度信号に応答して圧力ダンプ装置を作動し、ロック寸前と 判断される車輪のブレーキに適用された流体圧を周期的に開放し、その後、その 車輪のロック傾向が緩和された時にそのブレーキに作動圧を再度適用するための 制御装置と、 圧力再適用段階で周期的に前記圧力ダンプ装置にパルスを付与し、そのブレー キへの圧力の再適用を繰り返し遮断する手段とを備え、 前記圧力ダンプ装置の前記パルス付与のパルスタイミングが、予め設定された 閾値と同等またはそれを越えると判断される車輪角減速度の発生によって制御さ れるように構成され、その予め設定された閾値の絶対値は前回のアンチロックブ レーキサイクルからの事象に依存するようになっていることを特徴とするアンチ ロックブレーキシステム。 2.請求項1に記載のアンチロックブレーキシステムは、閾値適応がパルス直後 の圧力ダンプに対するパルスの近接度に基づくように構成されているアンチロッ クブレーキシステム。 3.請求項1に記載のアンチロックブレーキシステムは、閾値適応が前回のアン チロックブレーキサイクル中に起こった計測された車輪スリップレベルに依存す るように構成されているアンチロックブレーキシステム。 4.請求項1から3の何れかに記載のアンチロックブレーキシステムは、前記車 輪速度センサにより与えられる信号から計算された減速度値を受け、予め設定さ れた限界に対して現在計算された減速度値をチェックするためのチェック手段を 有する減速度フィルタを備え、計算された減速度が前記予め設定された限界未満 である場合には、計算された値を使用して記憶された減速度値を更新することを 特徴とするアンチロックブレーキシステム。 5.請求項4に記載のアンチロックブレーキシステムは、計算された減速度が前 記予め設定された限界値を超えている場合に、計算された減速度の変化方向が制 御装置の前回のサイクルで計算されたものと同じ方向であるかを確定する手段を 備えているアンチロックブレーキシステム。 6.請求項5に記載のアンチロックブレーキシステムは、減速度の変化方向が前 回のサイクルと同じである場合に、計算された減速度値を、新たな減速度値とし て記憶することを特徴とするアンチロックブレーキシステム。 7.請求項5に記載のアンチロックブレーキシステムは、計算された減速度の変 化方向が、前回の制御装置サイクルから記憶されているものと異なる場合に、旧 減速度値と予め設定されている限界値を使用して、新たに記憶された減速度値を 更新することを特徴とするアンチロックブレーキシステム。 8.請求項7に記載のアンチロックブレーキシステムは、前回の変化方向がプラ ス方向である場合には、予め設定されている限界値を、記憶されている旧減速度 値に加算し、前回の変化方向がマイナス方向である場合には減算することを特徴 とするアンチロックブレーキシステム。 9.車両の車輪に関連する速度センサと、速度センサからの速度信号に応答して 圧力ダンプ装置を作動し、ロック寸前と判断される車輪のブレーキに適用された 流体圧を周期的に開放し、その後、その車輪のロック傾向が緩和された時に、そ のブレーキに作動圧を再度適用するための制御装置とを備えているタイプの車輪 付き車両用のアンチロックブレーキシステムに使用される減速度フィルタシステ ムであって、 前記車輪速度センサにより与えられる信号から計算される減速度値を受けるよ うに構成され、予め設定された限界に対する現在計算された減速度値をチェック するためのチェック手段を備え、計算された減速度が前記予め設定された限界未 満である場合には、計算された値を使用して記憶された減速度値を更新すること を特徴とする減速度フィルタシステム。 10.請求項9に記載の減速度フィルタは、計算された減速度が前記予め設定さ れた限界値を越えている場合に、計算された減速度の変化方向が制御装置の前回 のサイクルにおいて計算されたものと同じ方向であるかを確定する手段を備えて いる減速度フィルタシステム。 11.請求項10に記載の減速度フィルタは、減速度の変化方向が前回のサイク ルと同じである場合に、計算された減速度値を新たな減速度値として記憶するこ とを特徴とする減速度フィルタシステム。 12.請求項10に記載の減速度フィルタは、計算された減速度の変化方向が、 前回の制御装置サイクルから記憶されているものと異なる場合に、旧減速度値と 予め設定されている限界値を使用して、新たに記憶された減速度値を、新するこ とを特徴とする減速度フィルタシステム。 13.請求項12に記載の減速度フィルタは、前回の変化方向がプラス方向であ る場合には、予め設定されている限界値を記憶されている旧減速度値に加算し、 前回の変化方向がマイナス方向である場合には減算することを特徴とする減速度 フィルタシステム。
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