JPH09501143A - 治療用化合物 - Google Patents

治療用化合物

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒト免疫不全ウイルスの Nefタンパク質の生物学的に活性なペプチドフラグメント、これらのペプチド又はその生物学的に活性な類似体を含む薬学組成物、ペプチドのアンタゴニスト及びこれらのアンタゴニストを含む薬学的組成物、ならびに本発明の化合物及び組成物を利用する治療及びスクリーニング方法、に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 治療用化合物 本発明は、ヒト免疫不全ウイルスの Nefタンパク質の生物学的に活性なペプチ ドフラグメント、これらのペプチド又はその生物学的に活性な類似体を含む薬学 組成物、ペプチドのアンタゴニスト及びこれらのアンタゴニストを含む医薬組成 物及び本発明の化合物及び組成物を利用する治療及びスクリーニング方法に関す る。 発明の背景 エイズの病因物質であるヒト免疫不全ウイルス(HIV-1) は、その他の動物レト ロウイルスに見られるよりもさらに複雑なゲノム構造によって区別される。 HIV -1のゲノムは、gag,pol及び env遺伝子に由来する主要な構造タンパク質及びta t,rev,nef,vif,vpu,vpr及び tev遺伝子に由来する少なくとも7つの非必須 補助タンパク質をコードするものであることがわかっている(1,2)。これら のタンパク質のうちのいくつかは、明確にされた機能をもつ;例えば、 Tat及び Revはウイルス遺伝子発現を調節することがわかっており、一方 Vif及び Vpuは ビリオンの形態形成及び成熟のために必要とされるものであると考えられている (3,4,5)。しかし、 Nefといったその他の補助タンパク質の機能は、さら に不明瞭なものである。 25〜30kDa のタンパク質である nef遺伝子産物は、N−末端ミリストイル化及 びリン酸化により修正され、感染早期に発現される(6,7)。これは、 HIV感 染細胞内で細胞質膜構造と結びつけられている。 Nefタンパク質は、3′の長さ の末端反復配列と重複する ウイルスゲノムの単一の読取り枠によってコードされる(LTR;8,9) 。サル免 疫不全ウイルスに感染したアカゲザルの最近の研究は、高ウイルス負荷の維持及 びウイルス病因において Nefが果たす重要な役割を示唆しており(10)、 HIV感 染患者の延命が Nefの欠如と相関関係をもつ一方で、 Nefの生物学的機能及び作 用メカニズムはいまだに論議の余地あるものであり続けている。 Nefは、 HIV-1 複製の負の調節因子であるものとして報告されている(2,10,11): Nef発現 のために安定した形で形質転換されたT細胞はウイルス増殖における遅延を実証 している(11)。さらなる報告書は、 Nefが HIV-1 LTRからの転写を抑制するよ うに作用する可能性がありそのため Nefはウイルストランス作用因子 Tatの正の 効果を調節するように作用し得るということを示唆してきた(12,13,14)。し かしながら、その他の研究が、インビトロでのウイルス転写又は複製に対する N efの阻害効果を確認することはできておらず、実に1つのケースにおいては Nef がウイルス複製を増強することが示された(15)。 我々は、 E.coli又は酵母のいずれかの中で産生された高度に精製された組換 え型 Nefタンパク質を用いて、 NefがG−タンパク質活性を全くもたないという ことを発見した。 宿主細胞機能に対する HIV-1 Nefの効果は同様に論議の余地のあるものである 。 HIV-1感染の主たる標的は CD4+ T −リンパ球(16,17)である。大部分がT −ヘルパー細胞のカテゴリーを構成しているこの細胞集団は、感染に対する宿主 細胞の応答に密に関与している。T細胞レセプタ(TCR) によるペプチド抗原の認 識と結びついた、抗原提供細胞上の MHCクラスII分子の不変決定因子とCD4抗原 の特異的相互作用は、活性化されたT細胞表現型の発現へと導く事象を開始させ る。その上、CD4及びその付随するチロシンキナーゼ がCD3/TCR 活性化プロセスにおいて活発な役割を果たし得ることが提案されて きた(18,19)。マウスレトロウイルス LTRの制御下の nef遺伝子又は nef遺伝 子を発現するワクチニアウイルス組換え体を用いることによって、タンパク質が CEMT4細胞内のCD4細胞の表面発現をダウンレギュレーションできることが発見 された。ダウンレギュレーションは、CD4 mRNAの翻訳の後、及び細胞表面上の成 熟タンパク質の発現の前に起こった。その上、ウイルスでコードされた Nefタン パク質が、IL-2転写を誘発する TCR複合体から発せられるシグナルと干渉すると いうことの証拠も存在する(22)。従って、ウイルス複製に影響を及ぼすのでは なくむしろ Nefは、シグナル形質導入経路を損うことにより感染に対する正常な 宿主細胞応答を変化させるように作用しうる。しかしながら、これらの結果の解 釈には用心が必要である。というのも、同じベクターで形質導入されたものの機 能的 nef遺伝子を全くもたない細胞も表面CD4の発現の減少を示し(23)、一方 IL-2遺伝子転写に対する Nefの効果はまだ今後実証されるべき状態にとどまって いるからである。 T細胞の活性化及びIL-2によるその刺激のメカニズムは、まだ完全に理解され ていない。しかしながら、IL-2による活性化されたT細胞の刺激は、多くのセリ ン残基上のこの PTKのリン酸化を伴う、酵素のタンパク質チロシンキナーゼ(PTK ) グループの一員である酵素 p56lck の触媒活性の急速な過渡的増加を導く、と いうことがわかっている(43)。増々増えていく証拠により、IL-2レセプタ及び CD4のβ鎖と結びつけられるものとして知られているチロシン及びセリン/トレ オニンタンパク質キナーゼ特に p56lck が、IL-2依存性増殖性シグナルに関与し ている可能性があるということをが示唆されている(18,44)。 終局的に HIV-1 Nefタンパク質の考えられる機能を見極めるため 我々は、きわめて精製度の高い形での Nefタンパク質を得、細胞機能に対するそ の効果を研究した。それぞれ HIV-1クローンpNL4.3の nef遺伝子の第1及び第2 の開始コドンから翻訳された Nef27及び Nef25を、 E.coliの中で過剰産生させ 、均質になるまで精製した。 我々は同様に、 NefのN末端配列のアミノ酸2−19及び2−22に対応するペプ チドも合成した。これらの精製されたタンパク質及びペプチドを用いて、我々は Nefが、小さい単層リン脂質小胞を融合させ脂質2重層の中に非層状相を誘発で きるという点で、膜摂動物性を有するということを実証した。これらの物性は、 HIVの全ての菌株にわたり、膜摂動性ミツバチ毒液ペプチド、メリチンの配列と の多大な相同性を有する Nefの21残基N末端配列にあると思われる。 我々は、CD4細胞表面発現及びIL-2レセプタ(IL-2R) の発現に対するこれらの タンパク質の効果を調査するため、さまざまなCD4+T 細胞系統及びフィトヘマ グルチニン (植物凝集素)(PHA)で活性化された末梢血単核細胞(PBMC)の中に精 製度の高い Nef27又は Nef25を導入するべく、 Baekonizationと呼ばれる電界電 気穿孔法を使用した。我々は、電気穿孔の後 Nef27を含んでいるT細胞系統 MT- 2,CEM及びジャーカット、及び PHAで活性化されたPBMCが表面CD4の発現の著し い減少を示したことを発見した。さらに、 Nef27を含むMT-2細胞及びPBMCは、又 、MT-2細胞の場合には構造性の又PBMCでは PHAでの刺激後の IL-2Rの発現の激減 も実証した。直接対比すると、電気穿孔後の Nef25を含むT細胞系統及びPBMCは 、変わらないレベルの表面CD4及び IL-2Rを発現した。 Nefタンパク質の活性領域を同定すると共に、我々は、 Nef27が組換え型IL-2 に応答して PHA活性化されたPBMCの増殖性応答を阻害 することそして Nef27が Nef25と異なり、IL-2刺激により誘発されるPBMC内の p 56lck のリン酸化を阻害できること、を発見した。我々は、 Nef27による p56lc k のIL-2依存型のリン酸化及び細胞増殖の阻害に関与する可能性のある、 Nefと p56lck の間の相互作用を実証することができた。 発明の要約 第1の態様によると、本発明は、 Nef2-19ペプチド又はその免疫抑制類似体を 含む免疫抑制ペプチドにおいて、そのN末端配列が Nef2-19の免疫抑制領域を含 む免疫抑制ペプチドを提供している。 第2の態様に従うと、本発明は、有効成分として Nef2-19ペプチド又はその免 疫抑制類似体を、薬学的に受容可能な担体と共に含む、薬学組成物を提供してい る。このような組成物は、免疫抑制剤として有用であると考えられる。「類似体 」という語が、 Nef2-19ペプチドのフラグメント又は延長部分を含んでいるとい うことは明らかに理解できることだろう。 本発明は同様に、自己免疫疾患の症状又は免疫応答の抑制方法において、かか る治療を必要とする患者に対して有効量の Nef2-19ペプチド又はその類似体又は このペプチド又は類似体を含む組成物を投与する段階を含む方法をも提供してい る。 これら両方の態様において、ペプチド又はその類似体は、 NefのN末端配列に 沿った延長部分又は Nef2-19又は Nef2-22に隣接していない Nefの配列のいずれ かに対して結合されうる。 第3の実施態様において、本発明は、 Nef27−又は Nef2-19ペプチド媒介膜摂 動、CD4のダウンレギュレーション及びIL-2レセプタのダウンレギュレーション から成るグループの中から選択された単数又は複数の活性を阻害する能力をもつ Nef2-19ペプチドのアンタ ゴニストを提供する。このようなアンタゴニストは、 HIV感染の治療のための治 療用作用物質として及び免疫応答の刺激物質として有用であると考えられる。 本発明は同様に、有効成分として上述のとおりの Nef2-19ペプチドのアンタゴ ニストを薬学的に受容可能な担体と共に含んで成る医薬組成物をも内含している 。 本発明はさらに、 HIV感染の治療方法において、かかる治療を必要としている 患者に対して有効量の本書に定める通りの Nef2-19ペプチドアンタゴニストを投 与し、かくして HIV感染が症候性エイズへと進行するのを防ぐか又はエイズの症 状を軽減する段階を含む方法をも提供している。 第4の態様において、本発明は、本書で記述される通り、膜摂動CD4発現のダ ウンレギュレーション及びIL-2レセプタ発現のダウンレギュレーションから成る グループの中から選択された Nef2-19ペプチドの生物学的活性の検定の中で試料 化合物の有効性を測定することを含んで成る、 Nef2-19ペプチドの類似体又はア ンタゴニストとして有用であるとの推測がなされている化合物をスクリーニング する方法を提供している。 本発明のこの態様の2つの好ましい変形実施形態においては、スクリーニング 方法は定量的であり、 p56lck に対する Nefの結合又は p56lck のリン酸化の N efによる阻害のいずれかを利用している。このような定量的方法は、 Nefのこれ らの機能を促進又は分断する能力について試験化合物を急速かつ大規模にスクリ ーニングするのに容易に適合させることができる。 Nef2-19ペプチドのペプチド配列とハチ毒メリチンのペプチド配列の間には相 同性があることから、この毒液ペプチド及びクモ毒ペプチドといったその他の毒 液ペプチドは、 Nef2-19ペプチドの活性 の阻害物質を設計するための適当な出発材料を提供すると考えられている。 当業者であれば、 Nef2-19ペプチドに対して向けられた特異的抗体好ましくは モノクローナル抗体及び Nef2-19ペプチド半分か又は全長 Nef配列のいずれかの 発現を防ぐアンチセンス RNA又は3本鎖 DNAが、 Nef2-19ペプチドの活性の阻害 方法を提供し、従って本発明の範囲内に入るものであることを認識できるであろ う。一定の与えられた配列に対するモノクローナル抗体の産生のための方法及び 標的細胞内での3本鎖 DNA又はアンチセンス RNA産生を誘発するための方法は、 当該技術分野において周知のものである。例えば、N末端が阻害性アンチセンス 配列又は阻害性ペプチドをコードする配列により置換された nef遺伝子を、エイ ズの遺伝子療法のために使用することが可能である。 さらに、組換え型、合成及び天然由来のNef27,Nef25,Nef2-19及び Nef1-22 ペプチド及びそのフラグメント及び類似体は、N末端ミリストイル化を伴うもの と伴わないものも、全て本発明の範囲内に入るということは、明らかに理解され るだろう。 本書の記述は HIV-1の Nefタンパク質に特定的に関連するものであるが、 HIV -2も同様に Nefタンパク質を有しており、本発明は、 HIV-2から誘導された Nef タンパク質及び Nef2-19ペプチドの等価物にも等しく応用できるものである。同 様に、この記述は Nef2-19ペプチドに特定的に言及しているが、 Nef2-22ペプチ ドも同じく本発明の一部を成すものである。 発明の詳細な説明 本発明についてここで、以下の制限的意味のない例及び図面のみを参考にして 記述していく。なお図面中、 図1は、大腸菌(E. coli)、酵母及びバキュロウイルス内での HIV-1 nef遺 伝子のクローニング及び発現のために利用されるスキーマを要約している。 図2は、疎水性に対する疎水性モーメントのプロットを示す。 図3は、2つのペプチドのαらせんのまわりの極性及び疎水性残基の分布を示 す、 Nef及びメリチンを例示するらせん輪状(ホイール)図である。 図4は、 HIVからの代表的 Nefペプチド配列(A)及びメリチン(B)につい ての、エネルギーを最小にした構造を表わす。 図5は、 Nef2-19ペプチド、 Nef27及び Nef25の存在下での小さい単層リン脂 質小胞(SUV) の光散乱を示す。 図6は、 Nef2-19ペプチド、 Nef27及び Nef25の付加後の SUVの 31P NMRスペ クトルを示す。 図7は、水、エタノール及び SUV中の Nef2-19ペプチドのトリプトファン螢光 スペクトルを示す。 図8は、脂質2重層の疎水性領域内に疎水性領域が挿入され極性残基が外部水 性媒質へと配向されている状態でのモノマー Nefペプチドを示す分子モデルを描 いている。 図9は、親和力精製された抗− Nef(15-27) と反応させられた組換え型 Nef27 及び Nef25の免疫ブロットを示す。ウエスタン免疫ブロット法において抗体によ り検出可能であるタンパク質の量を決定するため、可変的量の組換え型 Nefタン パク質 (レーンA及びH: 3.0μmol ;レーンB及びG: 1.5μmol ;レーンC 及びF: 0.5μmol そしてレーンD及びE:0.15μmol)が用いられた。 Nef25は レーンA−Dにあり、 Nef25はレーンE−Hにある。 Nef27又は Nef25に特異的 な強いバンドが、0.15μmol のタンパク質をテストしたときにもなお観察された 。 図10は、免疫ブロット法による電気穿孔されたMT-2細胞内の Nefタンパク質の 検出を示す。MT-2細胞から調製された細胞リゼイトの免疫ブロットを、以下の通 りに電気穿孔させた: a)偽電気穿孔法 b)組換え型Nef27 (1.0μmol)での電気穿孔 c)Nef25 (1.0μmol)での電気穿孔 d)組換え型 Nef25単独(1.0μmol)。 全ての試料は、抗Nef15-27で免疫ブロットされた。 図11は、MT-2細胞内の細胞表面に局在化されたCD4(A)及び PHAで刺激され た末梢血単核細胞(B)、及びMT-2細胞内のIL-2R(C) 及び PHAで刺激されたPB MC(D)の発現を示す。細胞は、偽電気穿孔されるか(1)、又は BSA; 1.0μ mol(2) 、 Nef27; 1.0μmol(3) 、又は Nef25; 1.0μmol(4) で電気穿孔さ れ、24時間37℃でインキュベートされた。その後、細胞を、縞入り棒で示される 通り抗−CD4、抗−CD25と反応させるか又は黒色棒で示される通り適切なイソタ イプ対照と反応させ、フローサイトメトリーにより分析した。陽性細胞の平均螢 光強度が示されている。 図12は、MT-2細胞内の細胞表面に局在化されたトランスフェリンレセプタ(TFR )(A) 又はIL-2R(B) の発現を示す。細胞は、 Nef27 、24時間37℃でインキュベートされた。 HIV-1 Nef27での細胞電気穿孔の後でさ え、MT-2細胞上の TFRの細胞表面発現は安定していた。 図13は、ポリアクリルアミドゲルの電気泳動を受けた細胞タンパク質沈殿物の 銀染色法を示す。 a)TBS(トラック1) 、GST(トラック2) 又はGST-Nef27(トラッ ク3) との反応及びそれに続くグルタチオン−セファロース処理の後のMT-2細胞 リゼイトから調製された沈殿物。 b)TBS(トラック3) 、GST(トラック4) 又はGST-Nef27(トラック5) との反 応及びそれに続くグルタチオン−セファロース処理の後の PHA活性化されたPBMC リゼイトから調製された沈殿物。トラック1は GSTタンパク質(2μg)を、ト ラック2は GST-Nef27タンパク質(2μg)を表わしている。 c)TBS(トラック5) 、GST(トラック6) 又はGST-Nef27(トラック7) との反 応及びそれに続くグルタチオン−セファロース処理の後の PHA活性化されたPBMC リゼイトから調製された沈殿物。トラック1は低い分子量標識を表わし、トラッ ク2は GSTタンパク質(2μg)を表わし、トラック3は GST-Nef25(2μg) を表わす。 図14は、細胞タンパク質沈殿物のウエスタン免疫ブロット法を示す。 a)TBS(トラック1) 、GST(トラック2) 、及びGST-Nef27(トラック3) との 反応後MT-2細胞から調製された沈殿物。抗− p56lckを一次抗体として使用した 。 b)TBS(トラック4) 、GST(トラック3) 及びGST-Nef27(トラック2) との反 応後 PHA活性化されたPBMCから調製された沈殿物。抗− p56lck を一次抗体とし て使用した。トラック1は低分子量の標識を表わしている。 図15は、以下に記述する通り、TBS(トラック1) 、GST(トラック2) 及びGST- Nef27(トラック3) との反応後の PHA活性化されたMT-2細胞又はTBS(トラック4 ) 、GST(トラック5) 及びGST-Nef27(トラック6) との反応後の PHA活性化され たPBMCから調製された細胞タンパク質沈殿物のウエスタン免疫ブロット法を示す 。一次抗体として抗−CD4を使用した。 図16は、指標として〔 3H〕−チミジンの取込みを用いた、Nef25,Nef27又は BSAで電気穿孔されるか又は偽電気穿孔された PHA活性化PBMCのIL-2(0,10, 30及び 100IU/ml)に対する増殖性応答を示す。電気穿孔プロセスを受けなかっ た PHA活性化されたPBMCが対照として内含された。結果は、3つの実験について の平均±S.D.を表わしている。 図17は、抗− p56lck を用いた Nef処理を受けたPBMCリゼイトのウエスタン免 疫ブロット法を示す。偽電気穿孔(トラック1,2及び3)、 Nef27での電気穿 孔(トラック4,5及び6)又は Nef25での電気穿孔(トラック7,8及び9) を受けた PHA活性化されたPBMCを、0分(トラック1,4及び7)、15分(トラ ック2,5及び8)又は30分(トラック3,6及び9)間IL-2(1000U)で処理 し、Hybond-C Superニトロセルロースへの移送の後、以下に記す通りフィルター を抗− p56lck と反応させた。 図18は、 PMA刺激の前後の抗− p56lck を用いた Nef処理済みPBMCリゼイトの 免疫ブロット法を示す。 偽電気穿孔(トラック1及び2)、 Nef27での電気穿孔(トラック3及び4) 又は Nef25での電気穿孔(トラック5及び6)を受けたPBMCを PMAで処理する( 20ng/ml;トラック1,3及び5)か又は37℃で2時間培地単独の中でインキュ ベートさせた。細胞リゼイトを電気泳動し、Hybond-C Superニトロセルロースに 移し、ひき続き抗− p56lck でプローブ探査した。 図19は、ウエスタン免疫ブロット法で検出されるような Nef処理されたMT-2細 胞内の核タンパク質 c-mybのレベルを示す。 Nef27で電気穿孔されたMT-2細胞(トラック4及び5)、Nef25(トラック3) 、偽電気穿孔された細胞(トラック2)又は対照MT-2細胞(トラック1)を溶解 させ、電気泳動させ、Hybond-C Superニ トロセルロースに移し、抗−c-myb と反応させた。 材料と方法 試薬:ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)は Sigma社、 St.Louis MOから購入し、スピン標識付けされたリン脂質(1−パルミトイル−2−(16− ドキシルステアロイル)ホスファチジルコリン(16 PC-SL)、1−パルミトイル −2−(12−ドキシルステアロイル)ホスファチジルコリン(12 PC-SL)、及び 1−パルミトイル−2−(5−ドキシルステアロイル)ホスファチジルコリン(5 PC-SL) は、Avanti Polar Lipids,Pelham ALから購入した。テンポコリン塩素 (TCC) 、フルオロクロムオクタデシルローダミン、1−アミノナフタリン−3, 6,8−トリスルホン酸(ANTS)及び螢光消光剤N,N′−P−キシレンビス− (臭化ピリジニウム)(DPX)は、Molecular Probes,Junction City OR.から購入 した。 Nef27及び Nef25:これらのタンパク質は E.coliの中で発現され、Azad et al(54)の中で記述されている通りに精製された。この方法により、生物学的及 び構造的研究に着手できるようにする量である数十ミリグラムの Nef27及び Nef 25の産生が可能となる。 Nef27及び Nef25をコードする配列を、 HIV-1感染性クローンpNL4.3から PCR によって増幅させ(Adachi et al.J.Virol.1986 59 284〜291)、 E.coli、酵 母及びバキュロウイルス発現ベクターの中へ直接サブクローニングさせた。利用 されたスキーマは図1に要約されている。酵母及びバキュロウイルス由来の Nef は、未変性N末端を有していたが、発現レベルは低かった。 E.coli由来のグル タチオン (GST)-Nef融合タンパク質の発現レベルは非常に高く、発現産物の主要 部分は可溶性を有していた。 E.coli由来の Nef27及び Nef25の大規模産生を、 流加条件下で発酵槽内で組換え型細胞を成長させることによって行なった。可溶 性 GST-Nef融合タンパク質 をグルタチオンセファロース上で親和力精製させた。融合接合部でのトロンビン 分割の後、グルタチオン−セファロースに結合させることによって GSTを選択的 に除去した。大規模産生条件下で、 Nef27はつねにやや小さめのN末端分割産物 で汚染されており、2つは、反応性レッド 120染料リガンドに無傷の Nef27を選 択的に結合させることによって分解できた。微量の汚染性細菌タンパク質を除去 するには、時として最終的ゲルろ過段階が必要であった。精製の後 Nef27及び N ef25は、予想されたN末端配列を有し、還元SDS-PAGE及びゲルろ過上で単一のモ ノマーバンドとして現われた。非還元条件下では、 Nef27及び Nef25は両方共モ ノマーとダイマーの混合物として存在していた。精製度の高い Nefタンパク質は いかなるGタンパク質活性も有していなかった。 Nef27も Nef25も、検出可能な GTP又は自己リン酸化活性を有していなかった。両方のタンパク質は共に、ウシ 血清アルブミン、キモトリプシン又はリゾチームと比べた場合に著しい GTP結合 を示していたが、 p21rad が示したレベルに比べると、結合レベルは取るに足ら ないものであった。 ペプチド合成: Nefのアミノ末端配列の第2から第19そして第2から第22の残 基に対応するペプチドを、酸性不安定な Boc基によってアミノ酸のαアミノ基が 防御される標準的Merrifield固相技法を用いて、 Applied Bio-systems社のペプ チド合成装置上で合成した。 HIV-1の NL4.3菌株からの配列は以下のとおりであ った: アミノ酸1は Metであり、これは真核細胞の中でインビボで分割される。 セリン側鎖をベンジル基で防御し、アルギニン側鎖をメシチレン−2−スルホ ニル基で防御した。ブタノールエステルの4モル余剰分を用いてカップリングさ れたアルギニンを除いて、カップリングは各アミノ酸の非対称無水物の2モル余 剰分を用いて達成された。低トリフルオロメタンスルホン酸/高フッ化水素酸技 法を用いて、完成したペプチドを樹脂から分割しているが、これにより4−メチ ルベンジルベンツヒドリルアミン樹脂からペプチドが生み出された。ペプチドを C4 Vydacカラム上でのHPLCにより精製した。最終濃度が50mMとなるまで0.05Mの トリス−HCl 緩衝液、pH 7.3の中で乾燥リン脂質を水和させ、懸濁液がもはや濁 らなくなるまで窒素下で音波処理しその後超遠心分離により大き目の小胞及びチ タン粒子があればそれを音波処理機の先端から除去することによって、小さい単 層リン脂質小胞(SUV) を調製した。スピン標識付けされたリン脂質を、望ましい スピン標識/脂質比で余剰の70/30クロロホルム/メタノール中のリン脂質と混 合することにより、小胞の中に取り込んだ。混合物を、窒素流の下で乾燥させ、 次に24時間真空下に保って溶剤を徹底的に除去した。次に混合物を望ましい緩衝 液中で水和させ上述のとおり音波処理した。 紫外線螢光研究: Nefペプチド内のトリプトファン残基の螢光スペクトルを、 290nmの励起波長を用いて Perkin Elmer MPF3螢光分光光度計で記録した。 Nefペプチド、 Nef27及び Nef25の存在下及び不在下での SUVの光散乱を、励 起及び発光波長を共に 560nmにセットして、日立−Perkin Elmer M35分光螢光計 を用いて測定した。Ecを対照 SUVによる入射放射線の直角散乱による発光としEt をタンパク質及びペプチドを付加した SUVからの発光としてS=Ec/Etという等 式から相対散乱値Sを得た。 SUVの濃度は1mlあたり脂質35〜50μgに対応する 。 標準的パルス配列を用いて、 81MHzでBrunker AM X 600分光計上で SUVの NMR -31P NMRスペクトルを獲得した。 64のタンパク質の拡散データベースを用いた Chou-Fasmanアルゴリズム、Schi ffer/Edmundson のαらせん輪状団(ホイール)及び Eisenberg及びWessonの疎 水性モーメントプログラムを用いて、ペプチド二次構造の予測を行なった。 Biosym Insight II及びDiscoverパッケージを Silicon Graphics Irisワーク ステーション上で用いて、分子モデリングを行なった。 細胞及び細胞培養:5人の HIV-1感染陰性のボランティアから末梢血を得、従 来の方法(24)を用いてフィコール/ハイパーク比重差遠心により単核細胞を調 製した。37℃で最高72時間フィトヘマグルチニン(PHA;10μg/106 細胞) で末 梢血単核細胞(PBMC)を刺激し、以下に記述する通り補足された RPMI 1640培地 の中で培養した。 (日本国京都の京都大学ウイルス研究所のヒヌマ.Y博士が御 提供下さった)CD4+ T 細胞系統 MT-2,CEM及びジャーカット(共にATCCより)を 、37℃で5%の CO2雰囲気内で、10%(体積/体積)の仔ウシ胎児血清、25μg /mlのグルタミン、ペニシリン(100IU/ml) 及びストレプトマイシン(100μg/ ml) で補足された RPMI 1640培地中で成長させた。 中間対数増殖中に培養からMT-2細胞を収獲し、撹拌しながら37℃で2時間 HIV -1分離株228200又はHTLV−IIIbで吸着させた。このインキュベーション期間の 後、補足された RPMI 1640の中で細胞を再懸濁させ、3〜4日間37℃でインキュ ベートさせた。MT-2細胞及びジャーカット細胞も同様に中間対数増殖中に培地か ら収獲され、電気穿孔のために前処理された。 抗ペプチド抗血清: HIV-1 Nefに特異的な抗体を、 HIV-1クローンpNL4.3によ りコードされた Nefのアミノ酸残基15〜27(AVRERMRRAEPAA) に対応する前述のと おり(25)に合成された1つのペプチドに対して生成させた。このペプチドを、 グルタルアルデヒドを介してキーホールリンペットヘモシアニン(KLH:Calbioch em,Behring Diagnostics,CA)に対し接合(コンジュゲート)させ、この複合体 をヒツジの免疫化に使用した(ヒツジ1頭あたりペプチド接合体 0.5mg)。ペプ チドに対する抗体をアフィニティクロマトグラフィによって精製した。免疫ブロ ット法により、組換え型 HIV-1 Nef25及び27との抗体の反応性を実証した。 以下に記述されるさまざまな検定においては、全長 Nefタンパク質のカルボキ シル末端内のエピトープに対して反応性をもつ(AE6及びAG11;国立アレルギー ・感染疾患研究所、エイズ研究及び基準試薬プログラム及び抗−Nef mAb ;ABT ,Maryland,U.S.A)か、又は Nefのアミノ末端部分内のエピトープと反応性を もつ(NEF-2-B2;国立アレルギー・感染疾患研究所、エイズ研究及び基準試薬プ ログラム)モノクローナル抗体(mAbs)及び、 HIV-1のアミノ酸残基15−27に対 応する合成ペプチド、HTLV−IIIb−Nef ;(New England Nuclear Division,Du Pont,U.S.A) に対して生成された抗 Nef mAbを使用した。 例1理論的コンフォーメーション研究 α−らせん又はβ−ストランドといった規定の二次構造をとる Nefペプチドの 能力を査定するため、理論的計算を行なった。 Chou-Fasman分析は、水溶液中の α−らせん形成の低い確率を示唆し、疎水性モーメントプロットは、ペプチドが 表面シークと「球状」挙動の間の境界に近いことを示唆していた。疎水性に対す る疎水性モーメントのプロットが図2に示されている。図2Aは、6残基「ウイ ンドウ」を用いてプロットされ、2Bは4残基「ウインドウ」を用いてプロット された。メリチンと同様、 Nefペプチドが脂質2重層及び水性培地の間の界面と いったような適切な環境内でα−らせんを形成しうるということも可能とみなさ れた。両方のペプチドについてのSchiffer-Edmundsonのダイヤグラムが図3に示 されている。これを見ると、 Nefペプチドが、脂質2重層の炭化水素領域と相互 作用しうる疎水性残基のメリチンに比べてはるかに小さい弧を有するということ がわかる。 例2分子モデリング Nef及びメリチンのN末端配列が表1において比較されている。 Nefのいくつかの異なる菌株を代表する代表的 Nefペプチドのエネルギーを最 小限にした構造が、図4においてメリチンの構造と比較されている。後者の構造 についての座標1組は、 NMR研究から入手可能である。 Nef構造は、α−らせん 制約を適用し、Disconerプログラムを用いてエネルギーを最小限にして組立てら れた。両方の構造共、疎水性残基が下に向いた状態で提示されている。メリチン と同様に、 Nefペプチドはプロリン残基を配列に沿って約半分のところに有し、 これがらせん内の特徴的こぶを作り出している。メリチンと Nefの間の極立った 違いは、メリチンの疎水性残基がらせんの凹面に沿って存在するのに対し、 Nef の疎水性残基はその凸面に沿って存在するという点にある。 例3 SUVとNef27,Nef25及び Nefペプチドとの相互作用についての光散乱研 Nef27及び Nefペプチドは、図5に示した通り、 SUVの光散乱の急速な増大を ひき起こした。 Nef25は、散乱をかなり低い程度で増大させた。光散乱の増大は 、おそらくは融合による小胞の凝集を表わしている。 例4 NMR研究 Nef27及び Nefペプチドは両方共、 SUVの 31P NMRスペクトルの中で等方性ピ ークを誘発するが、一方 Nef25はこれを行なわない。このことは図6に例示され ている。リン脂質小胞単独の鋭いラインは、その遷移温度より上での非常に湾曲 した脂質2重層の特徴である。これは Nef25についてもみられる。 Nef27及び N efペプチドで見られる付加的ピークの振幅及び外観は両方共、小胞融合にとって 必要な前提条件である2重層分断の特徴である。 例5トリプトファンUV螢光 緩衝液中の Nefペプチドの螢光スペクトル及び、1/100のペプ チド/脂質比(P/L)を与える35mg/mlの SUVの付加後の螢光スペクトルは、 図7に示されている。トリプトファン発光のブルーシフトは、水性培地から炭化 水素培地への環境変化の特徴である。2重層内のトリプトファンの位置は、その 螢光を消光するさまざまなニトロキシドスピンプローブを含む系にペプチドを付 加することによってプローブ探査された。結果は表2の中に記載されている。 2重層に浸透しない TCCは、緩衝液中でペプチドの螢光をまさに消光するもの の、 SUVの存在下でトリプトファン螢光に対しいかなる効果も及ぼさないことが わかる。ペプチド/脂質比<1/100 において、トリプトファンは主として 5 P C-SLにより消光され、一方、ペプチド/脂質>1/50では、12及び16 PC-SLによ る消光も存在している。 Nefペプチドは、数多くの形で2重層脂質膜と相互作用すると思われる。 SUV の付加後に起こるトリプトファンの螢光発光におけるブルーシフトは、これらの 残基が脂質2重層の炭化水素領域内に埋没させられていることを示している。こ の観察事実は、系内に SUVが存在する場合に水溶性 TCCによる螢光消光が欠如し ていることによって確認される。この効果は1/50及び1/25のP/Lで存在し たことから、 SUVがかなり高いP/Lでペプチドを定量的に取り上げたと思われ る。一方P/L<1/100 では、トリプトファン螢光は 5 PL-SLによって消光さ れたが、P/L>1/50では同じく12−及び16 PC-SLによっても消光された。こ れらの結果は、低いP/Lで、ペプチドは、トリプトファンができれば図8に示 されているように2重層炭化水素の上部領域に局在化された状態で、2重層の表 面領域と結びつけられる、ということを示唆している。これとは対照的に高いP /Lでは、ペプチドは、できればマルチマー(多量体)膜内外コンホーメーショ ンを仮定して、トリプトファンのうち少なくとも1つが2重層の12〜16炭素領域 内に局在化されるような形で、局在化される。 SUVに対するペプチドの付加時点 での光散乱の増大は、それがリン脂質小胞を凝集させるということを示唆してい る。その上、1/100 のP/Lまで Nefペプチドを付加した後の SUVの 31P NMR スペクトル内の顕著な等方性ラインの出現は、ペプチドと2重層の結びつきが、 膜融合に先行する事象である非層状脂質相の形成へと導くということを示唆して いる。 Nef27タンパク質は同様に、 SUVに付加されたとき急速に光散乱を増大さ せ、 SUVの 31P NMRスペクトル内の等方性ラインの出現をひき起こす。 Nef25はこれらの効果のいずれもひき起こさないことから、 Nef27のN末端領 域は膜活性ドメインを含んでいると思われる。正常な細胞の内側での融合事象は 生理学的に発生することから、 Nefといったような外来性の膜活性分子の存在に よってもたらされる予定外の融合は、細胞内区画化の崩壊の結果として非常に分 断的でありうる。例えば、 Nefの膜融合特性は、細胞表面に対する抗原の輸送を 妨害することによるCD4のダウンレギュレーションにおけるその作用に関連しう る。従ってタンパク質のN末端伸張は、有用な治療上の標的であり得る。 例6 HIV-1−感染細胞内でのシンシチウム形成に対する Nef27の効果 研究対象であるウイルスの分離株に応じて、 Nefタンパク質の異なる対立遺伝 子形質が HIV-1ウイルス感染中に産生される。我々の実験所では、著しいシンシ チウム(融合細胞)形成及び細胞変性効果を生成しシンシチウム誘発型(SI)と 呼ばれるものと、シンシチウムを誘発せず比較的低い細胞死滅度をひき起こすも のという2つのこのような分離株がある。後者の分離株は非シンチウム誘発型(N SI) と呼ばれる。これらの分離株での感染を受けた細胞の特徴づけによると、SI 分離株は表面CD4発現をダウンレギュレートできたものの NSI分離株はできなか った、ということが示されている。我々は、pNL4.3と呼称される HIV-1菌株の N efタンパク質が表面CD4発現をダウンレギュレートできることを示した。一連の モノクローナル抗体が、発現された Nefタンパク質の異なる対立形質を認識でき 、かくしてこれらの対立形質の間の構造的差異を実証していた。 NSI菌株により 誘発された感染の経過は、pNL4.3対立形質の組換え型 Nef27の付加によって変え られた。このことはすなわち、組換え型 Nef27がシンシチウムを形成するウイル スの能力を回復させて細胞の集塊の増大を可能にすることができるということを 表わしている。 Nef27の効果とは対照的に、N末端切形 Nef25タンパク質はこの 機能回復を誘発することができなかった。 例7免疫ブロット法における組換え型 Nef27と Nef25との抗 Nef(15-27) 反応性 組換え型 Nef27及び Nef25とのヒツジ抗 Nef(15-27) の反応性を免疫ブロット 法で決定した。アフィニティクロマトグラフィにより、免疫原性ペプチド(AVRER MRRAEPAA) に対する抗体を精製した。免疫ブロット法実験において使用された抗 体調製物は基本的に免疫原 性担体タンパク質に対する抗体及びカップリング剤を含んでいなかった。精製さ れた組換え型 Nef27及びNef25(0.12〜1.0 μM) をSDS-13%のポリアクリルアミ ドゲル(SDS-PAGE)の中で電気泳動させ、ひきつづき Bio-Radタンパク質トラン スファ細胞(Bio-Rad,Richmond,Ca) を用いて 100Vで1時間、Hybond-Cニトロ セルロース(Amersham,Buckinghamshire,England)へと移送した。膜を室温で 2時間1%のウシ血清アルブミン(BSA) を用いて予備インキュベートし、次に4 ℃で一晩、1:100 に希釈した親和力精製されたヒツジ抗− Nef(15-27) と反応 させた。 PBS/0.05% Tween20内で3回洗浄した後、ブロットを、ビオチンに接 合され1:500 に希釈されたロバ抗ヒツジ免疫グロブリンを用いて室温で一時間 インキュベートした。上述の通り大規模に洗浄した後、1:500 に希釈されたス トレプタビシンに接合されたホースラディッシュペルオキシダーゼ(Amersham) を用いて室温で1時間膜をインキュベートした。全ての希釈は PBS中の1%の B SAを用いて行なった。大規模に洗浄した後、膜をフェニレンジアミン基質(Dako ,Dakopatts、デンマーク)で顕色させた。 大腸菌(E.coli )由来の Nef27及び Nef25が抗 Nef(15-27) と反応させられ た免疫ブロット反応の結果は、図9A及び9Bに示されている。それぞれ Nef27 及び Nef25で、約 27kDaと 25kDaの反応性の強いバンドが観察された。抗体は、 免疫ブロット法により Nef27又は Nef25のいずれかを少なくとも0.15μmol 検出 することができ、このポリクローナル抗体による両方のタンパク質の同等の認識 を表わしていた。 例8 HIV-1に感染したMT-2細胞の中の HIV-1 Nefタンパク質の検出 集密性に至るまで成長させられたMT-2細胞(3×107 細胞)を培 養から収獲し、50ml入りのポリプロピレン試験管(Nunc,Roskilde、デンマーク )の中に入れ、撹拌しながら37℃で2時間HIV-1(分離株228200:27)で吸着させ た。このインキュベーション期間の後、細胞を、補足された RPMI 1640培地の中 で再懸濁させ、4日間37℃でインキュベートした。培地のみの中でインキュベー トしたMT-2細胞も対照として含み入れた。4日のインキュベーション期間の後、 HIV-1に感染したMT-2細胞及び対照細胞を培養から収獲し、細胞溶解緩衝液(0.5 %の Nonidet P40、 0.5%のデオキシコール酸ナトリウム塩、50mmのNaCl、25mM のトリス/HCl 、5mmのベンズアミジン/HCl 、10mmのEDTA、n−プロパノール 中の 0.1Mのフッ化フェニルメチルスルフォニル及び0.01%のアジ化ナトリウム 、pH8) の中で再懸濁させ、細胞リゼイトを電気泳動し、Hybond-Cニトロセルロ ース紙(Amersham)に移し、上述のとおり抗− Nef(15-27) での免疫ブロット法 に付した。 Nefタンパク質は、組換え型タンパク質での細胞の電気穿孔で見られ たものと類似の量で検出された。 例9T細胞系統及び PHA活性化されたPBMC内への大腸菌由来の HIV-1 Nef25 又は27の電気穿孔法 Baekonizationと呼ばれる効率の良い電気穿孔技術を使用して BSA、組換え型 Nef27又は組換え型 Nef25タンパク質をPBMC及び CD4+ T 細胞系統 MT-2,CEM及 びジャーカット細胞内に移送した。この形の電気穿孔法は、細胞膜を横断して巨 大分子を移送するため電荷ではなくむしろ電界を使用し、その結果、より大きい 細胞生存度をもたらす。操作の容易さ及び急速な巨大分子トランスファを可能に する電極形態のため、 Baekon 2000最新型巨大分子トランスファシステム(Baek on,Inc,Fremont,CA)を選択した。電気穿孔のための最適条件は、5×105 細 胞/ 100μlの濃度の CEM細胞、1μMの組換え型 HIV-1 Nef27又は Nef25及び 電気穿孔媒質(1.5mMの Na2 HPO4、 0.5mMのKH2PO4及び0.27Mのスクロース、pH 7.0)を用いて標準化された (26)。対数増殖の中間に培養から収獲されたPBMC又はT細胞を PBSで一度洗浄 し、5×106 細胞/mlの濃度で電気穿孔緩衝液中で再懸濁させた。次に、8×105 細胞を含む80μlの最終体積で 0.5〜 6.0μMの Nef27又は Nef25と細胞を混 合し、氷上で10分間インキュベートした。その後細胞を電気穿孔し、氷温の PBS で2度洗浄し、補足された RPMI 1640培地を用いてインキュベートした。対照細 胞には、いかなるNef27,Nef25又は BSAもなしで電気穿孔された細胞及び同等の タンパク質濃度で BSAと共に電気穿孔された細胞が含まれていた。さまざまなパ ラメータをテストした後、Baekon器具での最適な電気穿孔を提供した設定値を、 以下のとおり選択した:振幅5kv;パルス周波数、28 ;バースト時間 0.8;サ イクル数、10;パルス幅 160μ及び緩衝液表面からの電極の距離、1.32mm。電気 穿孔の直後にPBMCを上述のとおり PHAで刺激した。 図10は、それぞれ Nef27又は Nef25を電気穿孔された CEM細胞内で検出された Nef特異的 27kDa又は 25kDaバンドを示している。組換え型タンパク質 (0.75〜 1.0μmol)と抗− Nef(15-27) との反応の後に得られたバンド強度は、組換え型 タンパク質で電気穿孔された細胞から調製されたリゼイトとの抗体の反応の後に 得られたバンド強度と類似していた。このことはすなわち、電気穿孔の間に細胞 と接触させられたタンパク質の大部分が細胞によって取り上げられたことを示し ている。同様に、電気穿孔の後に細胞の中に取込まれた Nefタンパク質のレベル は、 HIV-1分離株228200での感染から48時間後にMT-2細胞内に検出された量に対 応していた(データ示さず)。このことはすなわち、自然に感染した細胞の中で 産生された Nefのモル濃度が、電気穿孔を受けた細胞のものと類似しているとい うことを表わしている。 例10間接的免疫螢光検査法による電気穿孔された HIV Nef25又は27の検出 電気穿孔の直後に、細胞を PBSで2度洗浄し、間接的免疫螢光染色による HIV -1 Nefの検出のため前処理した。免疫螢光法による検出のためには、スライドガ ラス上で一滴の細胞懸濁液を空気乾燥させ、室温で10分間、調製したばかりの 3 .5%のパラホルムアルデヒドで固定させた。固定させた細胞を PBS中で洗浄し、 室温で5分間 PBS中で0.05%のNonidet P40(BDH Chemicals Ltd,Poole,Dorset ) での処理によって透過性あるものにするか、或いは、 PBS単独の中で5分間イ ンキュベートした。非特異的結合を減少させるべく染色に先立って加湿したチャ ンバ内で室温で30分間、細胞を1%の BSA/PBS でインキュベートした。次に細 胞を、40℃で一晩加湿されたチャンバの中で、ヒツジ抗− Nef(15-27) (希釈度 1:100)、免疫前ヒツジ血清(特異的抗体と同じタンパク質濃度まで希釈された もの)、mAb NF2B2,mAb AC6,mAb AG11、抗Nef mAb(NEN)又は抗−Nef mAb(A BT)又はマウスモノクローナルイソタイプ対照を用いてインキュベートした。 P BSで大規模に洗浄した後、スライドを室温で30分間、フルオレセインイソチオシ アネート(FITC)で接合されたロバ抗ヒツジIgG(希釈度1:50;Amersham) 又は FITCで接合ヒツジ抗マウスIgG(希釈度1:50、Amersham) を用いて、加湿したチ ャンバ内でインキュベートさせた。希釈は全て、1%の BSAを含む PBSの中で行 なった。 488nmの幅狭の帯状ブルーフィルターを用いて、標本を螢光顕微鏡で検 査した。 抗− Nef(15-27) を用いた間接的免疫螢光法による Nef27の電気穿孔を受けた MT-2細胞及びPBMCの検査は、電気穿孔の後、細胞のほぼ全ての集団が Nef27を含 んでいることを示した。同様に、 Nef25の電気穿孔を受けたMT-2細胞及びPBMCの 100%が抗− Nef(l5-27) と反応した時点で強い螢光を示し、電気穿孔の後 100%の細胞が Nef25を含んで いたことを表わしていた。 CEM及びジャーカット細胞の場合でも類似の結果が得 られた。 Nefに特異的ないくつかの抗体を用いた、透過性をもたされた又はもた されていない両方の細胞の染色を行ない、その結果、タンパク質が細胞表面上に あるのではなくむしろ細胞の内側にあることが確認された。抗− Nef(15-27) と 偽電気穿孔された細胞の反応は、バックグラウンド染色とみなされるきわめて低 い螢光しか生成せず、かくして、 HIV-1 Nefタンパク質に対する抗体の特異性を 確認した。 Nef27−又は Nef25を含む細胞と抗− Nef(15ー27) との反応の後に観 察された螢光パターンは、分析された全ての細胞型において、両方のタンパク質 共原形質膜に卓越して局在化され、細胞内の他の場所にははるかに低い程度にし か存在しないことを示していた。 CEM細胞内に取込まれた Nefタンパク質の安定 性を、電気穿孔後のさまざまな時点で試料を採取することによって検査した。 N ef27及び Nef25タンパク質は両方共電気穿孔より48時間後でもなお、電気穿孔さ れた細胞内に存在していたが、検出されるタンパク質は少なくなっていた。 mAbs AG11,AE6及び抗−Nef mAb ABT(全て NefのC末端に対し導かれている) での電気穿孔を受けた透過性をもたされたPBMC及びMT-2細胞を検査すると、これ らの抗体が透過性をもたされた細胞と反応させられた時点で、電気穿孔を受けた 細胞のほぼ 100%において卓越して原形質膜でのそしてそれよりはるかに低い程 度で細胞質の中での強い螢光染色が実証された。このことはすなわち、これらの 集団の中のほぼ全ての細胞が電気穿孔中に Nef27又は Nef25を取り込んだという ことを表わしている。テストしたその他のCD4+ve細胞系統についても同じ観察 がなされた。 NefのN末端に導かれた抗体(NF2B2及び抗− Nef(15-27) ポリクロ ーナル及びモノクローナル 抗体)を、 Nef27で電気穿孔された透過性をもたされたMT-2細胞又はPBMCと反応 させた場合にも、原形質膜にて卓越して発生する類似の螢光染色が観察された。 Nef25で電気穿孔されたMT-2細胞及びPBMCと抗− Nef(15-21) (ポリクローナル 又はモノクローナル)と反応させた場合にも膜に局在化された強い螢光が観察さ れた。しかしながら NF2B2を細胞と反応させた場合には、有意な螢光染色は全く 観察されなかった。 AE6,AG11,ABT,NF2B2又は抗− Nef(15-27)のいずれかと 偽電気穿孔を受けた細胞を反応させた場合には、低いバックグラウンド螢光のみ が観察され、 Nefに対する染色反応の特異性を表わしていた。 Nef27又は Nef25での電気穿孔を受けた、透過性をもたされていないMT-2細胞 又はPBMCと、C末端モノクローナル抗体のいずれかとの反応は、すばらしく低い バックグラウンド染色を与え、 Nefタンパク質の少なくともC末端領域が細胞表 面に結合されるのではなくむしろ処理済み細胞の内側にあるということを確認し ていた。しかしながら、 Nef27又は Nef25での電気穿孔を受けた、透過性をもた されていない細胞と、 NefのN末端で導かれた抗体(ポリクローナル及びモノク ローナルの両方の抗体である抗− Nef(15-27) )との反応は、膜に局在化された 強い螢光を示し、 Nefタンパク質のN末端領域の細胞表面での露呈を表示してい た。透過性をもたされておらず偽電気穿孔を受けた細胞を NefのC末端に対し導 かれた抗体と反応させた場合、検出可能な螢光は全く観察されなかった。透過性 をもたせる前に細胞膜を横断する抗体の能力についての検査として、染色手順の 中にミトコンドリアタンパク質に特異的な抗体を内含させた。ミトコンドリアタ ンパク質に特異的な螢光染色は、MT-2細胞がNP40処理で透過性をもたされた場合 にのみ観察された。ミトコンドリアタンパク質抗体を透過性をもたされていない 細胞と反応さ せた場合、低いバックグラウンド螢光染色のみが観察された。(データ図示せず )。かくしてこの研究において使用された手順のためには、抗体が原形質膜を横 断するために透過性をもたせる処理が必要とされるが、この研究中で行なわれて いるようなパラホルムアルデヒドでの固定は細胞膜の開窓を導くわけではない。 例11細胞表面に局在化された Nefタンパク質のトリプシン分割 Nef27,Nef25で電気穿孔されたか又は上述のとおりに偽電気穿孔されたMT-2細 胞(5×106 /試料)を、37℃で2分間トリプシン/ヴェルセンの1ml溶液の中 で再懸濁させた。このインキュベーション期間の後、細胞を50mlの PBS中で3回 大規模に洗浄した。洗浄の後、細胞を5×106 細胞/mlの濃度で PBS中で再懸濁 させ、スライドガラス上で一滴を空気乾燥させ、上述のとおり固定した。固定の 後、細胞を PBS中で大規模に洗浄し、上述のとおり0.05%(体積/体積)のNP40 での処理により透過性をもたせるか又は同じ時間中 PBS内でインキュベートさせ る。上述の通り1%(重量/体積)の BSA/PBS 中でインキュベートした後、細 胞を4℃で一晩、C末端で導かれたヒツジ抗− Nef(15-27) 又はmAb(各々希釈度 1:100)を用いてインキュベートさせた。次に細胞を洗浄し、FITCで接合された ロバ抗ヒツジIg又はFITCで接合されたヒツジ抗マウスIg(共に希釈度1:50)と 反応させ、上述のとおり螢光顕微鏡を用いて検分した。 透過性をもたされていない電気穿孔を受けた細胞のトリプシン処理は、電気穿 孔された細胞と反応するというN末端 Nef抗体の能力を完全に破壊した。しかし ながらトリプシン処理の後透過性をもたされた細胞と NefのC末端領域に対して 導かれた抗体の反応はなおも膜と結びつけられた螢光染色を示していた。 例12大腸菌由来の Nef27又は Nef25を含む細胞上の細胞表面標 識の分析 CD4+ -T細胞、 MT-2,CEM及びジャーカット及びPBMC内への Nef27又は Nef25 タンパク質の取込みの結果として、CD4,CD25,CD2,CD7及びトランスフェリ ンレセプタ(TFR) のレベルが変動したか否かを見極めるためフローサイトメトリ ーを用いた。偽電気穿孔を受けた細胞及び BSAでの電気穿孔を受けた細胞も同じ く比較を目的として使用した。 細胞表面CD4及び IL-2Rの定量化のため、偽電気穿孔細胞又は電気穿孔された 組換え型Nef27,Nef25又は BSAを含む細胞を37℃で48時間、24ウエルのCostarプ レート(Nunc)内で、補足された RPMI 1640の培地中でインキュベートした。電 気穿孔から10時間後まで2時間毎に、そして再び電気穿孔から24時間後に細胞の 試料を採取した。培養から収獲した時点で細胞を一度 PBSで洗浄し、氷上で1時 間、フルオロセインイソチオシアネートでコンジュゲートされた抗−CD4(Leu 3a+Leu 3b)、−抗−CD25、−抗トランスフェリンレセプター(TFR) 、−抗−CD 2又は−抗−CD7抗体(全てBecton Dickinson,San Jose,CAからのもの)のい ずれか及び適切なイソタイプ対照を用いてインキュベートした。このインキュベ ーション期間の後、細胞を2回 PBS中で洗浄し室温で10分間 3.5%のパラホルム アルデヒドで固定させた。ひきつづき細胞をFacstar Plus(Becton Dickinson, San Jose,CA)を用いてフローサイトメトリーにより分析した。 偽電気穿孔されたか又は BSAでの電気穿孔を受けた MT-2,CEM及びジャーカッ ト細胞と抗−CD4、抗−TFR 及び抗−CD7の反応後に、強い特異的螢光染色が得 られた。抗−CD4又は適切なイソタイプ対照との反応後のMT-2細胞を示す代表的 結果が、図11Aに示されている。偽電気穿孔されたか又は BSAで電気穿孔された PBMCと抗−CD 4又は抗−CD2との反応後に強い螢光染色が得られた。抗−CD4又はイソタイプ 対照モノクローナル抗体との反応後のPBMCを示す結果が、図11Bに記されている 。これらの表面分子の発現レベルは、電気穿孔を受けなかった対照細胞における ものと比較できるものであり、これは電気穿孔プロセスがこれらの細胞表面抗原 の発現を変えなかったことを表わしている。同様にして、偽電気穿孔を受けたか 又は BSAで電気穿孔されたMT-2細胞又は PHA活性化されたPBMCと抗−CD25との反 応の後には、表面に局在化された強い螢光が得られた(図11C及び11D)。 対照細胞とは対照的に、 HIV-1 Nef27を含む MT-2,CEM及びジャーカット細胞 及びPBMCは、細胞表面CD4の発現の減少を示した。各々の CD4+ 細胞系統及びPB MC内の表面CD4のレベルは、電気穿孔より24時間後に30〜50%だけ減少した(図 11A及び11B)。T細胞系統集団内の全ての細胞及びPBMC集団内の全ての CD4+ 細胞は著しく減少したCD4表面発現を示した(P<0.001 、スチューデントのt 検定)。かくして、 Nef27を含む全てのT細胞は、著しく減少した表面CD4レベ ルを示した。標準的な実験においては、偽電気穿孔されたか又は BSAで電気穿孔 されその後電気穿孔より24時間後に抗−CD4と反応させられたPBMCのフローサイ トメトリー分析は、42という平均螢光強度のまわりに分布した40%の CD4+ T細 胞を示した。これとは対照的に、電気穿孔の後 Nef27を含んでいた CD4+ PBMCは 、抗−CD4との反応後、21という平均螢光強度で単一の螢光ピークを示した。比 較のため、Nef27,BSAで電気穿孔されたか又は偽電気穿孔されたPBMCとイソタイ プ対照との反応後に得られた螢光染色は、7という平均螢光強度のまわりに分布 していた。これらの細胞の表面上のCD2,TFR及びCD7のレベルは、 HIV-1 Nef27 の存在によって影響されなかった。 HIV-1 Nef27,HIV-1 Nef25,BSAで電気穿孔を受けたMT-2細胞又は偽電気穿孔 を受けた細胞の中の細胞表面 TFR及び IL-2Rの発現が図12に示されている。 Nef 27タンパク質を含むMT-2細胞及び PHAで活性化されたPBMCも又 IL-2Rの発現の著 しい減少を示した。この研究で用いられたその他のT4細胞系統は構成的に非常 に低いレベルの IL-2Rしか発現しないことから、これらの細胞中の IL-2Rの発現 に対する HIV-1 Nef27の効果は検討されなかった。偽電気穿孔又は BSAでの電気 穿孔を受けたMT-2細胞の場合、平均90のまわりに分布した単一の螢光ピークが、 抗−CD25との細胞の反応の後に得られた。比較すると、電気穿孔より24時間後に 、 Nef27を含んだMT-2細胞と抗−CD25の反応の後に得られた螢光ピークは、10と いう平均螢光のまわりに分布していた(図11C及び11D)。この螢光染色のレベ ルは、細胞とのイソタイプ対照の反応後に生成されたものと類似しており、これ は、 Nef27の存在によって IL-2Rの発現がバックグラウンドレベルまで減少した ということを表わしている。MT-2集団内の全ての細胞は、減少した IL-2R発現を 示した(図11C)。 PHAで活性化されたPBMCの場合、 IL-2R陽性細胞の百分率は 、これらの細胞内への Nef27の電気穿孔から24時間後に19%から4%まで減少し た(図11b)。ここでも又、TFR,CD2及びCD7の発現は、これらの細胞内への N ef27の取込みによる影響を受けなかった。 例13 Nef25はCD4又は IL-2Rの発現をダウンレギュレートしない。 表面CD4及び IL-2Rの発現に対する Nef25の効果を調査するため、 Nef25も又 さまざまなT細胞系統及びPBMCの中に電気穿孔させた。驚くべきことに、 Nef25 で電気穿孔された CEM,MT-2及びジャーカット細胞及びPBMCは、表面CD4の正常 な発現を示した(図11A及び11B)。 Nef25含有細胞と抗−CD4との反応後に得 られた螢光染 色は、螢光強度の点で、抗体と対照細胞(偽電気穿孔又は BSA電気穿孔された細 胞)との反応後に得られたものと類似していた(図11A及び11B)。同様にして 、 Nef25は、MT-2細胞又は PHA刺激を受けたPBMCの発現に対して全く影響を及ぼ さなかった(図11C及び11D。 Nef25を含むMT-2細胞又は PHA活性化されたPBMC と抗−CD25の反応の後の螢光染色は、対照細胞で得られたものと類似していた。 従って、 Nef25ではなく HIV-1 Nef27が、さまざまなT細胞系統及びPBMCの中で CD4及び IL-2Rの発現のダウンレギュレーションをひき起こす。 例14 HIV-1 Nef27によるCD4及び IL-2Rダウンレギュレーションの時間的経 電気穿孔の後さまざまな時間でNef27,Nef25を含むMT-2細胞又は偽電気穿孔さ れたMT-2細胞を収獲すると、細胞内への Nef27の取込みの結果としての表面CD4 及び IL-2Rの発現の減少が電気穿孔から8〜10時間後に起こり始めることがわか った。電気穿孔から0時間、2時間、4時間及び6時間後に収獲された Nef27を 含む細胞の試料は、表面CD4及び IL-2Rのレベルが対照細胞内で発現されたもの に類似していることを示していた。しかしながら、電気穿孔から8〜10時間後に 、CD4及び IL-2Rのレベルはそれぞれ約10%及び30%だけ減少した。電気穿孔か ら24時間後には、表面CD4又は IL-2Rの発現にそれ以上の減少は全く見られなか った。 例15 HIV-1 Nef27によるCD4及び IL-2Rのダウンレギュレーションは用量依 存性をもつ。 表面CD4及び IL-2Rの発現に対する Nef27の効果が Nef27タンパク質の量に依 存しているか否かを調査するため、 CEM及びMT-2細胞をさまざまな濃度の Nef27 又は Nef25タンパク質で電気穿孔した。電気穿孔から24時間後に、ひきつづきCD 4及び IL-2R細胞表面発現 に対するこれらのタンパク質の効果を測定した。 0.1〜3.0 μmolの Nefでの CE M及びMT-2細胞の電気穿孔は、 CEM細胞の場合にはCD4の発現に対する、又MT-2 細胞の場合にはCD4と IL-2Rの両方の発現に対する用量依存性の効果を示した。 電気穿孔のために 3.0μmol の Nef27が用いられた場合に、CD4及び IL-2Rのダ ウンレギュレーションレベルが最高であった。このため、 CEM細胞内の表面CD4 の50%削減及びMT-2細胞内のほぼバックグラウンドレベル近くまでの IL-2Rの減 少が結果としてもたらされた。 CEM及びMT-2細胞内の細胞表面CD4及び IL-2Rの 発現に対する負の調節効果は、電気穿孔のために 0.1μmol の Nef27タンパク質 が使用された場合になおも観察された。この場合、 CEM及びMT-2細胞内の表面CD 4及び IL-2R発現の約6%(CEM細胞内のCD4)及び13%(MT-2細胞内のIL-2R)の減 少が観察された。 例16インビトロでの Nefに対する細胞タンパク質の結合 MT-2細胞又は PHAで活性化されたPBMC(3×107 細胞/試料)を PBS中で2度 洗浄し、細胞溶解緩衝液(0.5%v/vの Nonidet-P40、 0.5%w/vのデオキシ コール酸ナトリウム塩、50mMのNaCl、25mMのトリス/HCl 、10mMのEDTA、5mMの ベンズアミジン/HCl 、n−プロパノール中の10mMのフッ化フェニルメチルスル フォニル及び0.01%w/vのアジ化ナトリウム、pH8.0) 300μlの中で再懸濁さ せ、5分間氷上でインキュベートした。このインキュベーション期間の後、細胞 リゼイトを10分間 12000gで遠心分離させ、細胞質抽出物を回収した。次に、細 胞質画分を、10分間4℃でpH 7.5のトリス緩衝生理食塩水(TBS) の中で50%のグ ルタチオンセファロース4Bスラリー(Pharmacia,Uppsala,Sweden)50μlを 用いたインキュベーションによって予備透明化させた。2分間 12000gで遠心分 離させた後、上清を除去し、3本の 1.5ml入り円錐管(Eppendorf, ドイツ)に分割して取り、グルタチオン(GST;5μg/試料)、 GST-Nef27又 はGST-Nef25(5μg/試料) 又は TBSを付加した。その後細胞上清及び付加した タンパク質を4℃で一晩一緒にインキュベートした。翌日、50μlの50%のグル タチオンセファロースビーズスラリーを各々の管に付加し、室温で30分間連続撹 拌しながらインキュベートした。その後、 12000gで2分間遠心分離によりセフ ァロースをペレット化させる前に15分間水上で懸濁液を冷却させた。グルタチオ ンセファロースビーズを、0.05%(v/v)のNP40を含む1mlの氷温 TBSで3回 洗浄した。結合したタンパク質を、室温で10分間、20μlの10mMグルタチオンを 用いたセファロースビーズのインキュベーションによって溶出させた。遠心分離 の後、上清を除去し、保管し、溶出ステップを2回繰返した。次に13%のポリア クリルアミドゲル上で、溶出された材料のアリコート(20μl)を電気泳動し、 分離した材料を銀染色によって検出するか又は、Hybond C-Superニトロセルロー ス(Amersham,UK)に移送させ、p56lck又はCD4と反応性をもつ抗体で免疫ブロ ットした。 GST-Nef融合タンパク質を細胞リゼイトでインキュベートした時、MT-2細胞及 び PHAで活性化されたPBMCから調製されたリゼイトから、多くのタンパク質が沈 殿した。MT-2細胞リゼイトから沈殿したタンパク質はサイズが約24,27,32,36 ,45,50,56、及び 75kDaであったが、一方 GST-Nef27と相互作用することがわ かった PHAで活性化されたPBMCから調製されたタンパク質は、27,28,30,32, 36,56,60及び 75kDaのものであった(それぞれ図13a及び13b)。結合抗原と して GST-Nef25が使用された場合、 PHA活性化PBMCから調製されたリゼイトから 約27,28及び 56kDaのタンパク質が沈殿した(図13c)。 GSTを予め透明化され たリゼイトを用いてインキュベートした場合にはつねに、検出可能なタンパク質 が全く沈殿し なかった。同様に、グルタチオン−セファロースビーズ単独との相互作用によっ てはいかなる検出可能なタンパク質も沈殿せず、これは、 GST-Nef27及び GST-N ef25で沈殿したタンパク質が Nefタンパク質と特異的相互作用を形成させること を表わしていた。 Nefとこれらの細胞タンパク質の相互作用の特異性をさらに確認するため、予 め透明化されたPBMC及びMT-2細胞リゼイトのアリコートに対して組換え型 Nef27 又は Nef25を付加した。外因性 Nefの付加により、 GST-Nef27又は GST-Nef25に 対する各々のタンパク質の結合を著しく阻害することができた(データ示さず) 。 例17 GST-Nef27及び GST-Nef25に対する細胞タンパク質結合の同定 GST-Nef27及び GST-Nef25と相互作用する細胞タンパク質のいくつかを同定す るため、MT-2細胞及び PHA活性化PBMCから調製された GST-Nef27及び GST-Nef25 沈殿物を13%のポリアクリルアミドゲルの中で電気泳動させ、その後Hybond-C S uperニトロセルロースに移送し、抗− p56lck 又は抗−CD4でプローブ探査した 。 GST-Nef27で沈殿したMT-2及び PHA活性化PBMCの細胞タンパク質と抗− p56lc k の反応は、p56lck がMT-2−細胞及びPBMC-GST-Nef27沈殿物から調製された沈 殿物の中の一成分であることを示した(それぞれ図14a及び14b)。 p56lck は 、 56kDaとして同定されているタンパク質を代表する確率が最も高い。さらに、 PHA活性化PBMC細胞タンパク質沈殿物を抗− p56lck でプローブ探査した時点で 、 p56lck の60kDのリン酸化されたイソ型タンパク質も存在するものとして同定 された(図14b)。おそらくはPBMCの中に存在するレベルと比べてMT-2細胞内に 存在するリン酸化された形態が少量であったことから、MT-2細胞リゼイトから沈 殿された細胞タンパク質の中では p56lck の 60kDaのイソ型タンパク質は同定さ れなかった(データ示さず )。 p56lck を認識する2つのその他の抗体を用いることによって、抗− p56lc k との反応の特異性を確認した。 GST-Nef27で沈殿したMT-2及びPBMC細胞タンパ ク質と抗CD4との反応は、同様に、CD4がMT-2細胞及びPBMCの両方から調製され た沈殿物の中に存在することをも示した(図15)。 GST-Nef25を用いてMT-2細胞 又はPBMCから沈殿させた細胞タンパク質をウエスタン免疫ブロット法の中で抗− p56lck 又は抗−CD4のいずれかと反応させた場合、いずれのタンパク質も検出 可能なレベルで存在しないことがわかった(データ示さず)。 図18 Nef含有PBMC内のT細胞活性化 以前に記述された通り(45)、細胞 DNA内への〔 3H〕−チミジンの取込みを 測定することにより、成長因子依存型 DNA合成を見極めた。簡単に言うと上述の ようにNef25,Nef25で電気穿孔されたか又は偽電気穿孔された PHA活性化PBMC( 1×106 /ml)を24時間培地中でインキュベートし、次に10,30又は 100IU/ml (106細胞/試料の3組の試料)でIL-2(Boehringer Manheim,ドイツ)を用いて 刺激した。培養状態に24時間おいた後、細胞を16時間〔 3H〕−チミジン(5μ Ci/ml)を用いてパルス標識づけし、液体シンチレーションカウンタにより DNA 内への放射能の取込みを測定した。各試料を2回ずつ同じ検定に付した。提示し た値は、3回の実験についての平均±S.D.である。 BSAで電気穿孔されたか又は偽電気穿孔された PHA活性化PBMCのIL-2増殖性応 答は、IL-2の濃度と並行して増大した。結果は図16に示されている。IL-2で処理 された対照細胞は、偽電気穿孔された又は BSAで電気穿孔されたPBMCと類似の量 の〔 3H〕−チミジンを取込んでいたことから、電気穿孔によって増殖が著しく 変化することはなかった。これとは対照的に、IL-2での刺激の前の PHA活性化PB MC内への Nef27の取込みは、IL-2に対するこれらの細胞の増殖性応答を劇的に減 少させた。同様に Nef25で処理された細胞もIL-2に対する増殖性応答の減少を示 した;しかしながら効果は、 Nef27で観察されたものほど大きくなかった。 例19 Nef処理されたジャーカット細胞内の Lckの局在化 p56lck は、それぞれそのN末端及びC末端領域を通してCD4及びIL-2の両方 のレセプタの細胞質ドメインと結びつけられるものであることが示された(46, 47)、IL-2の刺激に応答しての細胞増殖及び p56lck のリン酸化に対する Nef27 の阻害効果は、 Nefと p56lck の相互作用の直接的結果でありうる。 lckの細胞 分布に対する Nefの考えられる効果を調査する目的で、電気穿孔の直後そして電 気穿孔から24時間後に再び、 Nef27-,Nef25-,BSA- で電気穿孔された及び偽電 気穿孔されたジャーカット細胞について、抗− p56lck を用いた間接免疫螢光研 究が行なわれた。ジャーカット細胞は比較的高いレベルの p56lck を発現するこ とから、これらの位置設定研究のために選ばれたのである。ジャーカット細胞を 、組換え型Nef27,Nef25で電気穿孔するか又は偽電気穿孔し、37℃で最高24時間 、補足された RPMI 1640培地内でインキュベートした。電気穿孔から0時間、10 時間及び24時間後細胞を収獲し、 PBS中で2度洗浄し、細胞懸濁液を1滴(5× 106細胞/ml)、スライドガラス上へと空気乾燥させ、室温で10分間 3.5%のパ ラホルムアルデヒド内で固定させた。1%の子ウシ胎児血清で遮断した後、抗− p56lck で細胞を、4℃で一晩、1:100 に希釈した抗− p56lck を用いてイン キュベートした。対照として、細胞を、同じ時間だけ正常なウサギ血清を用いて インキュベートした。翌日、 PBS中でスライドを3回洗浄し、室温で1時間、抗 ウサギ接合TRITC Ig 2次抗体(Silenus,希釈度1:50)を用いてインキュベート した。 PBS中で洗浄した後 、従来の螢光顕微鏡検査法を用いてスライドを検分した。 p56lck に対し特異的 な卓越して膜に関連した螢光が、電気穿孔直後に抗− p56lck と細胞を反応させ た場合に偽電気穿孔及び BSA電気穿孔を受けたジャーカット細胞内に観察された 。同様に、 Nef27又は Nef25で電気穿孔された細胞も、電気穿孔直後に抗− p56lck と反応させられた時点で、卓越して膜に関連した強い螢光を示した。電気穿 孔から24時間後に電気穿孔を受けた細胞を分析すると、偽電気穿孔及び BSA電気 穿孔を受けた細胞はなおも膜に局在化された強い螢光を示した。これとは直接対 照的に、 Nef27で電気穿孔されたジャーカット細胞は、対照時間と比べて低い強 度の散在性の螢光染色を示した。 Nef25で処理されたジャーカット細胞も同様に 、抗− p56lck と反応させられたとき、膜に関連した螢光の低下を示した。ただ しその効果は、 Nef27で処理されたジャーカット細胞内で観察されるほど顕著で はなかった。 例20 p56lck のIL-2依存型及び PMA誘発されたリン酸化は Nef27で処理され たPBMC内で阻害される。 高い親和力の IL-2R複合体を発現するT細胞へのIL-2の付加は、結果として増 殖性刺激の伝達をもたらす。益々増えていく証拠から、チロシンタンパク質キナ ーゼ及びセリン/トレオニンタンパク質キナーゼがIL-2依存型増殖性シグナルに 関与していることが示唆されている(48)。実際、 p56lck チロシンキナーゼ活 性はIL-2付加の後に急速に刺激され、ひきつづきIL-2依存型セリン/トレオニン リン酸化の修正を受け、その結果、ポリアクリルアミドゲル電気泳動による p56lck タンパク質の移動度の遅延がもたらさせる(18)。IL-2に応答しての p56lc k のリン酸化の変化は、Nef27,Nef25で電気穿孔された又は偽電気穿孔されたPB MCの中で評価された。電気穿孔されたPBMC又は対照PBMCを、増大する時間中IL-2 で処理させた 。フィコール−パーク密度遠心分離により正常な成人からヒトPBMCを分離した。 3日間PHA(10μg/106細胞) の存在下で10%の子ウシ胎児血清で補足されたRPM I 1640培地中で細胞を培養した。次に、24時間、補足された RPMI 1640培地内で PHA活性化PBMCをインキュベートし、上述の通りNef27,Nef25で電気穿孔するか 又は偽電気穿孔した。IL-2の低レベル産生を減少させるべくさらに24時間培地中 でインキュベートした後、細胞を収獲し、3回洗浄し、次に0分、15分及び30分 間、組換え型IL-2(Boehringer Mannheim) 1000IUを用いてインキュベートさせた 。インキュベーションの後、細胞を溶解させ、抗− p56lck での免疫ブロット法 により p56lck のリン酸化形態の存在について分析した。フォルボール12−ミリ ステート13−アセテート(PMA) によるPBMCの活性化のため、細胞を上述のとおり 偽電気穿孔するか又は Nef27,Nef25,BSAで電気穿孔させ、24時間37℃でインキ ュベートし、次に37℃で4時間PMA(20ng/ml) で刺激し、この時間の経過後、細 胞を収獲して抗− p56lck で免疫ブロット法のために前処理した。結果は図17に 示されている。対照PBMCに対してIL-2を付加すると、 p56lck の一部分の電気泳 動移動度が減少する結果となった。 p56lck の比較的緩慢に移動する種は、PBMC の PMA処理後に誘発された p56lck の移動度の変化した種と共に同時移動するこ とがわかった(データ示さず)。同様に、偽電気穿孔されたPBMCに対しIL-2を付 加すると、 p56lck の一部分がそのp60イソ型タンパク質に変換されることにな った。しかしながら、 Nef27で電気穿孔されたPBMCに対するIL-2の付加は p56lc k の電気泳動移動度の低下を結果としてもたらさなかった。30分間IL-2を用いて Nef27処理された細胞をインキュベートした後でさえ、 p56lck の電気泳動移動 度における検出可能なシフトは全くみられず、これは Nef27が、恐らくは p56lc k 遺伝子産物のリン酸化の原因である セリン/トレオニンキナーゼの阻害によってか又は直接 p56lck との物理的結び つきによって、IL-2依存型のシグナリングを阻害したということを表わしている (図16参照)。これとは対照的に、 p56lck 及び p60lck の両方のイソ型タンパ ク質が共にIL-2処理の後 Nef25含有PBMCの中で検出されたことから、 Nef25はIL -2処理に応答して p56lck の変性に対する検出可能な効果を全くもっていなかっ た(図17)。 フォルボールエステル PMAは、T細胞内でタンパク質キナーゼc(pkc) の活性 化を誘発する。 p56lck を含むいくつかの細胞タンパク質が、 pkc活性化の結果 としてセリン/トレオニン残基上でリン酸化される。 Nef27でのPBMCの処理も又 、図18に示されている通り PMA処理に応答しての p56lck のリン酸化を阻害した 。 Nef25で処理されたPBMC内では阻害効果は全くみられなかった。同様に、 BSA でのPBMCの電気穿孔又は細胞の偽電気穿孔は、 PMA処理に応答しての p56lck の リン酸化に対していかなる効果ももたなかった。 例21 Nef処理されたMT-2細胞内の c-Mybの発現 核オンコプロテイン Mybは、細胞サイクルのG0/G1相から早期S相までの細 胞の遷移のために必要とされ、造血細胞の細胞成長及び分化の重要な調節因子で あると考えられている。その上、CD4遺伝子の発現には Myb転写因子が必要であ る。Nef27,Nef25で電気穿孔されたか又は偽電気穿孔されたMT-2細胞の中で、抗 c-Mybを用いたウエスタンブロット法によって、 c-Mybタンパク質のレベルを調 査した。中間対数増殖相の間に収獲したMT-2細胞を PBS中で2度洗浄し、上述の 通り、組換え型 Nef27,Nef25,BSAで電気穿孔するか又は偽電気穿孔した。電気 穿孔の後、 PBS中で細胞を2回洗浄し、補足されたRPMI中で1×106 の細胞濃度 で再懸濁させ、37℃で24時間インキュベートさせた。インキュベーション期間の 後、細胞を PBSの中で再び洗浄し、次に 108細胞/mlの濃度で細胞溶解緩衝液中で再懸濁さ せ、10分間氷上でインキュベートした。 12000gで10分間の遠心分離により細胞 質抽出物を回収した。2×106 細胞に対応する細胞リゼイトを、13%のポリアク リルアミドゲル中で電気泳動させ、Hybond C-Superニトロセルロースに移し、1 :1000に希釈した抗−c-myb で免疫ブロットした(49)。0.05%(v/v)のTw een 20を含む PBS中での洗浄の後、フィルターを1:1000で希釈した抗ウサギ− ビオチニル化Ig(Amersham)を用いて室温で1時間インキュベートさせた。次に 、さらに洗浄した後でストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダー ゼ(希釈度1:1000;Amersham)を用いてフィルターをインキュベートし、基質 として1,4−ジクロロナフトールを用いてシグナルを検出した。結果は図19に 示されている。 c-Mybのレベルは、細胞の電気穿孔による影響を受けなかった。 しかしながら、MT-2細胞内への Nef27及び Nef25の導入は、ウエスタン免疫ブロ ット法によって決定される通り、 c-Mybのレベルを著しく減少させた。 インビボでの HIV-1による感染のため、ヒト CD4+T−リンパ球がその一次標 的を形成している(16)。 HIV感染患者からの細胞は、無症候性からエイズへの 進行に関係しうる異常な免疫応答性を示す(28)。 nef遺伝子は、HIV-1,HIV-2 及び SIVの大部分の菌株の中に存在する(29)。 HIV-1 nef遺伝子産物が正常な細胞の機能に影響を及ぼすか否かをテストする ため、我々は、それぞれ第1及び第2の開始コドンから翻訳された組換え型 Nef 27及び Nef25タンパク質をさまざまな CD4+ T細胞内に導入した。 Nef27又は N ef25のいずれかを含む細胞を、抗原認識、シグナル形質導入及び正常な免疫応答 の発達に関与する細胞表面分子に対する Nefの効果について、対照細胞と比較し た。初めて、免疫組織化学技法を用いて、我々は、 Nef25ではなく HIV-1 Nef27 が、用量依存的にさまざまなT細胞系統及びPBMCにおいて細胞表面のCD4及び I L-2Rの特異的ダウンレギュレーションをひき起こすことを示してきた。その他の 細胞表面抗原についてはいかなる効果も検出されなかった。適切に制御された実 験において電界電気穿孔法により細胞膜を横断して高度に精製された組換え型 H IV-1 Nefタンパク質を移送するという新しいアプローチは、測定された特性が N efタンパク質のみに起因するものであるとすることができるということを保証し ている。 Nef27の用量依存型効果は、完全な阻害活性にとって Nef27の量が重要 でありうることを示唆している。この研究において使用された Nefタンパク質の 量はインビトロでの HIV-1感染の経過中に産生されたものに対応するが、一方卓 越して原形質膜に電気穿孔を受けた組換え型 Nefタンパク質が局在化されている ことをは、天然に発生する Nefが感染中に細胞膜に局在化されるということを示 す諸々の研究と一致している。 Nef27によるCD4表面発現のダウンレギュレーションを示す我々の結果は、 N ef発現ベクターでのトランスフェクションを受けた細胞内のCD4のダウンレギュ レーションの初期報告(20,21)を決定的に確認するものである。Guy et al.(2 0)は、 HIV-1BRU Nef タンパク質を発現する CEM細胞内のCD4のダウンレギュレ ーションを観察した。同様に、Garcia及びMiller(21)は、 HIV-1SF2 Nef での トランスフェクションを受けたT−,B−、及びマクロファージ−T細胞におけ るCD4ダウンレギュレーションを報告した。しかしながら、Gama Sosa et al (2 3)がプラスミドだけでの細胞のトランスフェクションによるCD4のダウンレギュ レーションを報告していることから、これらの観察事実を実証することが不可欠 であった。インビボHIV-1感染の免疫疾患への進行は、末梢血系からの CD4+ T−細胞集団の枯渇及び PHAでの刺激の後でさえPBMCによる細胞 IL-2Rの発現が 減少していることによって特徴づけられる(28,30,31,32)。これに対応して 、我々の研究室における HIV-1分離株228200でのMT-2細胞の感染も同様にこれら の細胞内での表面に局在化されたCD4及び IL-2Rの発現の減少という結果をもた らしている。 HIV-1に対する主要なレセプタとしての役割のほかに、CD4は、 M HCクラスのタンパク質の情況下での抗原の結合を通して、抗原反応性T細胞のク ローン拡大で完結するシグナル形質導入経路、及び免疫応答の発達に関与するそ の他の造血細胞の効率の良い動員に、密に関与している。 T細胞系統ただし最も重要にはPBMC内での表面CD4及び IL-2Rの Nefタンパク 質によるダウンレギュレーションは、疾病への HIV-1感染の進行に特に関連して いる可能性がある。高い親和力の IL-2Rsの形成は、T細胞レセプタを通しての 刺激に続く充分に裏づけされた応答である(34)。T細胞レセプタに対する抗原 の提供が細胞内のシグナリングを開始させ、これがひきつづき、IL-2を含むさま ざまな遺伝子の転写活性化を導く。高親和力の IL-2Rに対するIL-2の結合は、抗 原反応性細胞の細胞分裂及びクローン拡大にとって必要なものである(34,35) 。 HIV-1 Nef27による IL-2Rの発現の減少は、IL-2/IL-2R の自己分泌経路の外 乱を通してのIL-2遺伝子発現の Nefによる阻害に結びつけることができる。代替 的には、T細胞中の IL-2R発現の減少は、NFkBタンパク質結合活性のレベル低下 の結果であるかもしれない。 Taxタンパク質による IL-2R−アルファ遺伝子の発現の活性化が、同一でない にせよNFkBと類似した物性をもつ宿主転写因子との相互作用又はその活性化を通 して起こるような、HTLV-1 tax遺伝子産物による IL-2R遺伝子発現の調節につい て報告されている(36,37 )。さらに、 nefでのトランスフェクションを受けた細胞内で、NFkBタンパク質 結合能力の減少が観察された(14)。 Nefによる細胞表面CD4及び IL-2Rの発現 におけるダウンレギュレーションは、相互に排他的な事象を表わしているのかも しれない。 あるいは、本研究には srcタンパク質チロシンキナーゼ p56lck の発現又は活 性化の変調における Nef27が関わりあっている可能性がある。CD4は p56lck と 密に関連づけられるものとして知られている(19)。ヒトCD4のフォルボールエ ステルで誘発される変調には、レセプタからの p56lck の解離が付随し、一方、 蓄積された証拠によると p56lck はIL-2と IL-2Rの相互作用に続くシグナル形質 導入に関与しているということが示唆されている(18,38)。 HIV-1感染の間の Nefの発現は p56lck を介して細胞間シグナルを変調させることができる。この シグナル形質導入経路の混乱は、インビトロ及びインビボの両方においてウイル スの存続及び広がりにとって有利であり、T細胞集団の消滅を結果としてもたら し得る。 我々の結果は、 HIV-1 Nef27と Nef25の間の活性の根本的な相違も強調した。 Nef27はCD4及び IL-2Rの両方の特異的ダウンレギュレーションをひき起こす一 方、 Nef25はこれらの表面抗原のいずれの細胞表面発現にも影響を及ぼさない。 電気穿孔された Nef27及び Nef25の免疫螢光検出は、両方のタンパク質について 局在化が卓越して原形質膜にあることを示した。このことはすなわち、活性の差 異が2つの Nef種の局在化の変動の結果ではないということを表わしている。し かし、 Nef27及び Nef25について観察された生物学的活性の差異は、 Nefの機能 的ドメインがタンパク質のN末端にあることを示唆している。代替的には、最初 の19のアミノ酸の欠失がタンパク質のコンホーメーションを変え、正常な活性が 完全に破壊される可能性がある。いずれの場合でも、この19のアミノ酸の配列は Nefの生物学的機能にとって不可欠であると思われる。 HIV-1感染中におよそMr27及び25という Nefの2つの種の発現レベルの変動が 存在するということが以前に示されてきた(13,40)が、小さい方の種が内部初 発、早期終結又はタンパク質分解性分割のいずれの結果としてもたらされるのか についてはわかっていない。 Nef25がインビボで Nef27のC末端でのタンパク質 分解による分割又は nef遺伝子の3′末端の欠失によって発生するならば、それ は本書で記述してきた Nef25とは異なる分子となることだろう。いずれにせよ、 高レベルの Nef25を産生するウイルスの下位集団についての選択が存在するとい うことは可能である。というのもこのタンパク質は、細胞増殖と干渉するウイル スタンパク質の阻害物質として作用するからである。拮抗性調節タンパク質をコ ードするウイルスの先例は存在する。ウシ乳頭腫ウイルスE2読取り枠及びアデ ノウイルス EIA領域は両方共、2つの拮抗性調節タンパク質をコードする(41, 42)。各々の場合において、拮抗性タンパク質は、カルボキシル末端配列を共有 している。従って、 Nef25が Nef27の天然の競合物質であり、このタンパク質の 負の効果を調節する可能性があるということはもっともらしいことである。この 考えが現在追求されつつある。 我々の結果は、 Nef25ではなく Nef27がさまざまな CD4+ T細胞系統及び PHA 活性化PBMCの中での細胞表面にある。CD4及び IL-2Rの発現の減少をひき起こす ということを明確に示した。我々は又、 HIV-1 Nef27そしてそれよりは低いレベ ルで HIV-1 Nef25がIL-2及びマイトジェン PHAに対するPBMCの増殖性応答を阻害 するということも実証した。 NefでのPBMCの処理は、結果として、 src系統群キ ナーゼ p56lck のIL-2依存性の PMAの活性化/リン酸化の阻害をもたらした。ジ ャーカット細胞内の p56lck の膜局在化は、 Nef27に よる処理そしてそれよりは低いレベルで Nef25による処理によって分断されたが 、一方HTLV-1形質転換細胞系統MT-2内への Nef27及び Nef25の電気穿孔は、プロ トオンコジーン(ガン原遺伝子)c-Mybの発現を劇的に減少させた。結合抗原と して GST-Nef27を用いた沈殿研究は、p56/p60lck 及びCD4として同定された もの2つを含むいくつかの細胞タンパク質と Nefが特異的に相互作用することを 示した。電気穿孔された細胞と HIV-1感染を受けたMT-2細胞の両方における Nef の局在化は、 Nefが原形質膜と密に結びついており、このため NefのN末端の一 部分は細胞外マトリックスに露呈されているということを示している。抗原の認 識及び細胞シグナリングにとって重要なものをいくつか含む数多くのタンパク質 との相互作用と合わせて、 Nefの配向は、正常な細胞活性化/増殖経路を混乱さ せる上で Nefが複雑な役割を果たしていることを示唆している。 Nef27と Nef25の間の活性の差異は、 Nefの機能的ドメインがタンパク質のN 末端にあるということを表わしている可能性がある。代替的には、最初の19のア ミノ酸残基の欠失がタンパク質の全体的コンホーメーションに影響を与え、検出 可能な生物学的活性(本書に記述されている生物学的活性として定義づけられる )が影響を受けることになる可能性も考えられる。本研究の中での Nef活性のさ らに詳しい調査は、 Nef25が Nef27と類似の活性を有するものの Nef25の効果は Nef27について観察された効果ほど有意なものでないということを示している。 従って、我々の実験において規定されている通り、完全な活性のためには Nefタ ンパク質の最初の20のアミノ酸残基が必要とされる。最近の報告書(50)では、 HIV-1 LTRのトランス作用のためには nefの最初の35のアミノ酸残基が必要とさ れることが示されており、 NefのN末端が完全な生物学的活性にとって不可欠で あるという概念を裏づけている。 我々は、 Nefと特異的に相互作用する細胞タンパク質を同定するため親和力試 薬として E.coliが発現した GST-Nef27及び GST-Nef25融合タンパク質を使用し た。PBMC(PHA活性化された) 及びMT-2細胞から調製された細胞質抽出物からの多 くのタンパク質が Nefに特異的に相互作用するものとして同定された。親和力試 薬として GST-Nef27が使用された場合にMT-2細胞から沈殿したタンパク質は、24 ,27,32,36,45,50,56及び 75kDaのものであった。PBMCのリゼイト内でも対 応するタンパク質が同定されたが、 24kDaの種が不在であり、一方28及び 60kDa の種がPBMCの調製物のみの中で検出可能なレベルで存在していた。2つのタンパ ク質はリゼイトから p56/60lck 及びCD4であるものとして同定された。 GST-N efでの一定数のタンパク質の沈殿は、これらのタンパク質のいくつかについての 間接的相互作用を表わしている。CD4及び lckと Nefの相互作用がこれらのタン パク質のいずれかに対する Nefの直接的結合の結果であるか又はその他の未同定 のタンパク質との相互作用の結果であるかはわかっていない。親和力試薬として バキュロウイルスで発現された nef GST融合タンパク質を用いる最近の研究は、 ジャーカット細胞の細胞質抽出物から一定数のタンパク質を同定した(27)。こ れらのタンパク質 p280,p32及びp28のいくつかは、 Nefのミリストイル化形態 にのみ結合した。我々の研究では、p32及びp28タンパク質も同定されたが Nef のミリストイル化されていない形態に結合した。 p56lck とCD4の GST-Nef27による沈殿は、これらのタンパク質と直接的又は 間接的に結合することによって Nefがシグナリング経路を外乱させる可能性があ ることを示唆している。実際、 Nefは、これらのタンパク質の正常な局在化を分 断し、細胞活性化の外乱を結果としてもたらす可能性がある。我々は Nef27での ジャーカット 細胞の処理の後そしてそれよりは低いレベルで Nef25での処理の後、 lckの膜局 在化が分断されることを示してきた。 Nef27/Nef25で処理された細胞内の lck に対する螢光染色は、本質的により散在性のものであり、膜から離れるようなタ ンパク質の動きを示唆している。 TCR/CD3 複合体とCD4又はCD8を架橋結合さ せることにより、 TCR/CD3 複合体単独の架橋結合に比べてT細胞の刺激が著し く増強されるということが詳細に示されてきた(51)。CD4との p56lck の結び つきはT細胞刺激の後の TCR/CD3 複合体とのCD4の同時局在化にとって重要で あるが、一方CD4と TCR/CD3 複合体の間の結びつきの p56lck 依存型の損失は 、CD4依存型の抗原応答性の低下を結果としてもたらす。かくして p56lck は、 T細胞刺激において数多くの役割を果たすと思われ(52)、直接的又は間接的な lckに対する Nefの結合及び/又は p56lck の膜との結びつきの外乱は、T細胞 の反応性を大幅に損う可能性がある。 IL-2は、造血細胞の増殖及び分化を調節する上で中枢の役割をもつ。IL-2は、 細胞表面上の特異的レセプタの結合を通してその生物学的効果を及ぼす。 Nef27 でのPBMCの処理は、〔 3H〕チミジンの取り込みによって判断されるとおり、IL -2に対するその増殖性応答を阻害した。 Nef25によるPBMCの処理も同様に、IL-2 に応答するその能力を低減させた。しかしながら、 Nef25の負の効果は、 Nef27 で観察されたほど大きくはなかった。T−リンパ球増殖の誘発は、プロトオンコ ジーン c-mybを含む数多くの遺伝子の活性化を含め多数の事象によって左右され る。複数の研究が、Tリンパ球増殖には c-myb遺伝子機能が必要とされ、細胞サ イクルの晩期G1 又は早期S相を通っての遷移のためにこれが特定的に必要とさ れるということの証拠を提供している。我々は NefがMT-2細胞内での c-mybレベ ルに影響を及ぼしIL-2に応答しての増殖の減少の原因を一部担って いる可能性があることを発見した。その上、 Myb系統群から転写因子がCD4プロ モータ機能において重要な役割を果たしており、従ってCD4遺伝子の発現に寄与 している(50)。従って、 PHAで活性化されたPBMC及びさまざまな CD4+ T細胞 系統内でのCD4の細胞表面発現の減少は、 c-mybレベルの低下の結果である可能 性がある。我々は、 Nef27がIL-2又は PHAの刺激に応答して p56lck のリン酸化 ひいては(多分)活性化を阻害するということを示してきた。これは、 Nefと l ckとの相互作用の直接的結果であるかもしれず、又タンパク質キナーゼCといっ たようなセリン/トレオニンキナーゼの阻害を表わしているのかもしれない。 P MAはタンパク質キナーゼCの潜在的活性化物質である。 Nef27でのPBMCの処理は 同様に p56lck の PMA誘発型リン酸化をも阻害した。 Nef25は p56lck のリン酸 化に影響を与えるとは思われなかったが、ウエスタンブロット査定のより定性的 な性格を反映する可能性がある。 電気穿孔された細胞及び HIV-1感染を受けたMT-2細胞の中での Nefの局在化に ついての我々の免疫螢光研究は、タンパク質が原形質膜と密に結びついている一 方、 NefのN末端の一部分が細胞外マトリックスに露呈されていることを示した 。透過性をもたされた細胞ともたされていない細胞の比較から、 NefのC末端に 対して導かれた抗体が、透過性をもたされた細胞内でのみ Nefを検出し、一方、 NefのN末端領域に対して導かれた抗体は、 Nefを含み透過性をもたされた細胞 ともたされない細胞の両方と反応した。 HIV-1 Bru Nefは、神経活性サソリペプ チドの構造と著しい類似性をもつ2ペプチドドメイン配列を含むものとして報告 された(53)。 Nefは又、パッチクランプ実験において膜の脱分極の後に合計K+ 電流を可逆的に増大させるものであることも示された。神経細胞のK+ チャネ ルに対するこのような効果には、 Nefの細胞外での存在が必要であ る。これは、細胞表面に対する分子の一部分の露呈によって達成できる。 Nefの生物学的活性のさらなる特徴づけ及び作用メカニズムの調査が現在進め られており、 Nefの機能を破棄することのできる抗ウイルス作用物質の合理的な 設計のために役立つ情報を提供してくれることだろう。 NefのN末端配列とメリ チンの間の部分的相同性はメリチンが適切な候補分子であることを示唆している 。 特に我々は、ここで開示した生物物理系及び抗原発現系における Nef27の生物 学的機能を実行させることのできる Nef2-19内の最小限の配列を見極ようとして いる。 Nef2-19のペプチド類似体が合成されつつある。さらに、アンチセンスペ プチド及びアンチセンスオリゴヌクレオチドならびに抗体及びそのフラグメント が調査されつつある。 細胞内に Nef2-19ペプチドの類似体又はアンタゴニストを導入するためのさま ざまな手段が考えられている。このような導入の後、細胞を HIVで攻撃誘発する ことができ、シンシチウム形成、CD4のダウンレギュレーション及び IL-2Rのダ ウンレギュレーションといったパラメータを調査することができる。このような 手段には、リポソームでのリポフェクション、ペプチド−脂肪接合、電気穿孔及 び Nef2-19ペプチドをコードする nef遺伝子のN末端に対して導かれたアンチセ ンスオリゴヌクレオチドを発現する遺伝子での細胞のトランスフェクション、が ある。 当業者にとっては、本発明が明確さ及び理解を目的として幾分詳細に記述され てきたものの、本明細書に開示されている発明力ある概念の範囲から逸脱するこ となく、本書で記した実施形態及び方法に対しさまざまな修正及び変更を加える ことが可能であるということは明白であろう。 本書で引用された参考文献は以下のページでリストアップされており、本書に 参考として内含されるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C07K 7/08 0276−2J G01N 33/566 C12N 7/00 0276−2J 33/569 H 15/09 9162−4B C12N 15/00 A G01N 33/53 9051−4C A61K 37/02 ABC 33/566 ADY 33/569 ABD (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G B,GE,HU,JP,KG,KP,KR,KZ,LK ,LU,LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO, NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SI,S K,TJ,TT,UA,US,UZ,VN (71)出願人 コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オ ーガニゼーション オーストラリア国,オーストラリアン キ ャピタル テリトリー 2601,キャンベ ル,ライムストーン アベニュ(番地な し) (72)発明者 アザド,アーメド アブデュラー オーストラリア国,ビクトリア 3052,パ ークビル,ロイヤル パレード 343,バ イオモレキュラー リサーチ インスティ テュート リミティド (72)発明者 カーテン,シリル シー. オーストラリア国,オーストラリアン キ ャピタル テリトリー 2601,キャンベ ル,ライムストーン アベニュ,コモンウ ェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼ ーション (72)発明者 グリーンウェイ,アリソン ルイーズ オーストラリア国,ビクトリア 3078,フ ェアフィールド,ヤーラ ベンド ロー ド,フェアフィールド ホスピタル,マク ファーレン バーネット センター フォ ー メディカル リサーチ リミティド (72)発明者 マクフィー,デール アラン オーストラリア国,ビクトリア 3078,フ ェアフィールド,ヤーラ ベンド ロー ド,フェアフィールド ホスピタル,マク ファーレン バーネット センター フォ ー メディカル リサーチ リミティド (72)発明者 マクリーディ,イアン オーストラリア国,ビクトリア 3052,パ ークビル,ロイヤル パレード 343,バ イオモレキュラー リサーチ インスティ テュート リミティド

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. Nef2-19ペプチド又はその免疫抑制類似体を含む免疫抑制ペプチドにおい て、そのN末端配列が Nef2ー19の免疫抑制領域を含んで成る免疫抑制ペプチド。 2.前記 Nef2-19ペプチドが Nef2-19又は Nef2-22に場合によっては隣接する Nef配列のさらなる部分に制限されている、請求の範囲第1項に記載のペプチド 。 3.有効成分として Nef2-19ペプチド又はその免疫抑制類似体を、薬学的に受 容可能な担体と共に含んで成る、薬学組成物。 4.前記 Nef2-19ペプチドが、場合によっては Nef2-19又は Nef2-22に隣接す る Nef配列のさらなる部分に制限されている、請求の範囲第3項に記載の組成物 。 5.自己免疫疾患の症状又は免疫応答の抑制方法において、かかる治療を必要 としている患者に対して有効量の Nef2-19ペプチド又はその類似体を投与する段 階を含んで成る方法。 6.ペプチドが請求の範囲第1項又は第2項に記載のとおりである、請求の範 囲第4項に記載の方法。 7.膜振動、CD4のダウンレギュレーション、IL-2レセプタのダウンレギュレ ーション、 p56lck ホスホリル化の阻害及び p56lckに対する Nef2-19の結合か ら成る群から選択された1又は複数のNef27-又は Nef2-19ペプチド媒介活性を阻 害する能力を有する Nef2-19ペプチドのアンタゴニスト。 8.有効成分として Nef2-19ペプチドを、薬学的に受容可能な担体と共に含ん で成る、医薬組成物。 9. HIV感染の治療方法において、かかる治療を必要としている患者に対して 有効量の Nef2-19ペプチドアンタゴニストを投与し、 かくして症候性エイズへと HIV感染が進行するのを防ぐか又はエイズの症状を軽 減する段階を含んで成る方法。 10.免疫応答を刺激する方法において、かかる治療を必要としている患者に対 して有効量の Nef2-19ペプチドアンタゴニストを投与する段階を含んで成る方法 。 11.膜振動、CD4発現のダウンレギュレーション、IL-2レセプタ発現のダウン レギュレーション、 p56lck ホスホリル化の阻害、及び p56lck に対する Nef2- 19 の結合から成る群の中から選択された Nef2-19ペプチドの生物学的活性の検定 の中で試験化合物の有効性を測定することを含んで成る、 Nef2-19ペプチドの類 似体又はアンタゴニストとして有用であるとの推測がなされている化合物をスク リーニングする方法。 12.IL-2での刺激に応答して末梢血単核細胞内の p56lck のホスホリル化を阻 害する Nef2-19ペプチドの能力に対して試験化合物が及ぼす効果を検定する段階 を含んで成る、請求の範囲第11項に記載の方法。 13. p56lck に直接的又は間接的に結合する Nef2-19ペプチドの能力に対して 試験化合物が及ぼす効果を検定する段階を含んで成る、請求の範囲第11項に記載 の方法。 14. Nefタンパク質を発現しないヒト免疫不全ウイルス。 15.薬学的に受容可能な担体と共に、請求の範囲第14項に記載のヒト免疫不全 ウイルスを含むワクチン組成物。
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