【発明の詳細な説明】
オピオイドレセプター:組成物および方法 関連出願に対する相互参照
本出願は、1993年11月5日に出願された米国特許出願第08/147,592号の一部継
続出願であり、この出願自身は1993年7月30日に出願された米国特許出願第08/1
00,694号の一部継続出願であり、この出願は1993年5月20日に出願された米国特
許出願第08/066,296号の一部継続出願であった。上記出願の開示のすべては、本
明細書に参考として援用される。関連する所有権
本明細書に開示される情報についての研究は、Howard Hughes Medical Instit
ute、American Diabetes Associationならびに米国公衆衛生局認可 DK-20595、D
K-42086、MH-45533、およびMH-48518により援助された。これらの協会および米
国政府は本明細書に開示される発明に対して特定の権利を所有し得る。発明の分野
本発明は、一般にオピオイドレセプターの組成物およびオピオイドレセプター
を得るための方法に関する。本発明はまた、オピオイドレセプターをコードする
DNA配列、これらの配
列を有する組換えベクター、上記配列またはベクターのいずれかを含む組換え宿
主細胞、および組換えオピオイドレセプターポリペプチドに関する。本発明はま
た、オピオイドレセプターのアゴニストおよびアンタゴニストのような候補物質
を選択および改良するために設計されたアッセイにおいて、単離された組換えレ
セプターポリペプチドを使用するための方法、ならびに診断、薬剤設計、および
治療用途に使用するポリペプチドを含む。発明の背景
オピオイド薬剤は、痛覚、意識、運動制御、気分、および自律神経機能に関し
て種々の影響を有し、そしてまた身体的依存を誘導し得る(Koobら 1992)。内因
性オピオイド系は、内分泌、心臓血管、呼吸、胃腸管、および免疫機能の調整に
重要な役割を演じている(Olsonら 1989)。オピオイド類は、中枢および末梢神経
系を通じて位置する特異的膜関連レセプターに結合することによりそれらの作用
を奏する(Pertら 1973)。これらのオピオイドレセプターの内因性リガンドは、
3種の前駆体タンパク質、プロオピオメラノコルチン(proopiomelanocortin)、
プロエンケファリン(proenkephalin)、およびプロダイノルフィン(prodynorphin
)に由来する20種以上のオピオイドペプチドのファミリーとして同定されている(
Hughesら、(1975);Akilら、(1984))。オピオイドペプチドは、オピオイドアル
カロイドとは別のクラスの分子に属するけれども、そ
れらは、レセプターとの相互作用に必要な、芳香族環と並置される陽電荷を含む
共通の構造的特徴を有する(Bradburyら(1976))。
薬理学的研究により、δ、κ、μ、およびσと呼ばれる、少なくとも4種の主
要クラスのオピオイドレセプターが存在することが示唆されている(Simon 1991
;Lutzら 1992)。これらのクラスは、種々のオピオイドリガンドに対するそれら
の親和性において、およびそれらの細胞内分布において異なる。異なるクラスの
オピオイドレセプターが、異なる生理学的機能を供すると考えられている(Olson
ら 1989;Simon 1991;LutzおよびPfister 1992)。しかし、機能および分布につ
いて実質的な重複がある。多くのグループからのオピオイドレセプターの生化学
的特徴付けは、3種のレセプターサブタイプのすべてについて約60,000 Daの分
子量を報告し、それらが関連分子であり得ることを示唆している(Lohら(1990))
。さらに、3種のレセプターサブタイプ間の類似性は、(i)μおよびδリガンド
の両方と競合するがκリガンドとは競合しない抗イディオタイプモノクローナル
抗体(Gramschら(1988);Cosciaら(1991))、および(ii)μおよびκレセプターの
両方と相互作用する精製μレセプターに対して惹起されたモノクローナル抗体の
単離により支持される。
オピオイドは、痛みの制御において臨床的に使用されるが、それらの使用は、
呼吸低下、縮瞳、胃腸管運動性の減少、鎮静、吐気、および嘔吐を含む一群の望
ましくない副作用によ
り制限される(Jaffeら(1990))。慢性の痛みの処置においてオピオイドの使用に
関係のある問題は、依存性と濫用の可能性である。研究は、オピオイドの臨床効
果が種々のレセプターを介して仲介され、そしてオピオイドの治療効果および望
ましくない副作用が異なるレセプター(サブ)タイプにより仲介されることを示唆
する(Jaffeら(1990);Pasternack(1993))。従って、オピオイドの治療効果およ
び副作用は、レセプターサブタイプに対するより選択的な因子の使用により分け
られ得る。本発明は、クローン化κ、δ、およびμオピオイドレセプターの薬理
学的特性、および広く使用されているオピオイドリガンドのレセプター選択性を
開示する。
δレセプターは、エンケファリンに最も大きな親和性で結合し、そしてμまた
はκレセプターのいずれよりも、脳幹神経節および辺縁領域内で高濃度に、脳内
でより分離性の分布を有する。モルヒネは、主としてμレセプターと相互作用す
るけれども、このオピオイドの末梢投与は、エンケファリンの放出を誘導する(B
ertolucciら(1992))。従って、エンケファリンは、多分δレセプターと相互作用
することにより、モルヒネに対する生理学的応答の一部分を仲介し得る。薬理学
的および生理学的不均一性にかかわらず、少なくともいくつかのタイプのオピオ
イドレセプターが、アデニル酸シクラーゼを阻害し、K+コンダクタンスを増加さ
せ、そして百日咳毒素感受性機構によりCa2+チャンネルを不活性化する(Puttfar
ckenら 1988;Attaliら 1989;Hsiaら 1984)。これらの結果
およびその他は、オピオイドレセプターが、Gタンパク質を通じてシグナルを与
える細胞表面レセプターの大ファミリーに属することを示唆する(Di Chiaraら(
1992);Lohら(1990))。
オピオイドレセプターをコードするcDNAをクローン化するいくつかの試みが報
告されている。μ選択性を有するオピオイド結合タンパク質(OBCAM)をコードす
るcDNAが単離されたが(Schofieldら(1989))、推定タンパク質は、シグナル伝達
に必要であると推定される貫膜(transmembrane)ドメインを欠失していた。さら
に最近、発現クローニングにより得られた、別のcDNAの単離が報告された(Xieら
(1992))。推定タンパク質の配列は、7つの推定貫膜ドメインを示し、ヒトのニ
ューロメジンK(neuromedin K)レセプターに非常に類似している。しかし、COS
細胞で発現されるこのレセプターに対するオピオイドリガンドの親和性は、予期
される値より2桁小さく、そしてサブタイプ選択性は示され得ない。
多くの細胞表面レセプター/貫膜系は、以下の少なくとも3種の膜結合ポリペ
プチド成分からなる:(a)細胞表面レセプター;(b)イオンチャンネルまたは酵素
アデニル酸シクラーゼのようなエフェクター;および(c)レセプターおよびその
エフェクターの両方にカップリングする、グアニンヌクレオチド結合調節ポリペ
プチドまたはGタンパク質。
Gタンパク質がカップリングしたレセプターは、光、臭気物質(odorant)、ペ
プチドホルモン、および神経伝達物質など種々の細胞外シグナルの作用を仲介す
る。そのようなレセプ
ターは、酵母およびヒトのような進化論的に離れた生物において同定されている
。ほぼすべてのGタンパク質カップリングレセプターは、互いに配列類似性を有
し、そしてすべてが脂質二層にまたがる7つの疎水性(およびおそらくαらせん
)セグメントからなる類似のトポロジーモチーフ(motif)主要素を担っている(Do
hlmanら 1987;Dohlmanら 1991)。
Gタンパク質は、3種の堅く会合したサブユニット、分子量の低くなる順に、
α、β、およびγ(1:1:1)、からなる。レセプターへのアゴニストの結合に次い
で、コンホメーション変化がGタンパク質に伝達され、Gαサブユニットを結合
GDPをGTPに交換させ、そしてβγサブユニットから解離させる。αサブユニット
のGTP結合形態は、代表的には、エフェクター調整部分である。シグナル増幅は
、シグナルレセプターが多くのGタンパク質分子を活性化する能力、およびエフ
ェクターの多くの触媒サイクルのGαGTPによる刺激から生じる。
調節Gタンパク質のファミリーは、複数の異なるαサブユニット(ヒトでは20
種を超える)を含み、βおよびγサブユニットのより小さなプール(それぞれ4種
以上)と会合する(StrothmanおよびSimon 1991)。従って、種々のαサブユニット
の標的または機能もまた、それらが会合するβおよびγサブユニットに依存し得
るが、αサブユニットにおける違いが、おそらく種々のGタンパク質オリゴマー
を区別することが理解される(StrothmanおよびSimon 1991)。
細胞培養および薬理学的方法における改良、ならびにより
最近の分子クローニングおよび遺伝子発現技術の使用が、新規なサブタイプおよ
び先に同定されたレセプターのサブのサブタイプを含む、多くの7種貫膜セグメ
ントレセプターの同定および特徴付けに至った。α1およびα2アドレナリン性レ
セプターは、かつてそれぞれ単一のレセプター種からなると考えられていたが、
現在ではそれぞれが少なくとも3種の別の遺伝子によりコードされることが知ら
れている(Kobilkaら 1987;Reganら 1988;Cotecchiaら 1988;Lomasney 1990)
。桿細胞におけるロドプシン(薄暗い光中での視野を仲介する)に加えて、色覚を
仲介する3種の非常に良く似た円錐体色素がクローン化されている(Nathansら 1
986A;およびNathansら 1986B)。Gタンパク質カップリングレセプターのすべて
のファミリーは、Gタンパク質カップリングレセプターファミリーの他のメンバ
ー(例えば、ドーパミン性、ムスカリン性、セロトニン性、タキキニンなど)に類
似であるようであり、そしてそれぞれが特徴的な7種の貫膜セグメント様相(top
ography)を有しているようである。
7種の貫膜セグメントレセプターを互いに比較した場合、アミノ酸配列保存の
識別し得るパターンが観察される。貫膜ドメインはしばしば最も類似し、その一
方でアミノ末端領域およびカルボキシ末端領域、ならびに貫膜セグメントVおよ
びVIを接続する細胞質ループは極めて多様である(Dohlmanら 1987)。
キナーゼおよびGタンパク質のような細胞質ポリペプチド
との相互作用は、レセプターの貫膜ドメインを接続する疎水性ループを含むこと
が推定された。しかし、機能の保存のために、7種の貫膜セグメントレセプター
間でどの特徴が保存されているか、そして新規機能に対してどの分枝した特徴が
構造的適合を示すかを決定するために、挑戦がなされてきた。多くの戦略がこれ
らの考えを試験するために使用された。これらは、置換および欠失変異体、およ
びハイブリッドまたはキメラレセプターの構築のための組換えDNAおよび遺伝子
発現技術の使用を包含する(Dohlmanら 1991)。
レセプターサブタイプ、Gタンパク質サブユニット、およびエフェクターの数
が増えるにつれ、これらレセプターのリガンド結合およびGタンパク質認識特性
の特徴付けが調査の重要領域となる。複数のレセプターが単一のGタンパク質に
カップリングすること、そしてβ2およびα2アドレナリン性レセプターへのエピ
ネフリン結合の場合のように、単一のリガンドが複数の機能的に別個のレセプタ
ーサブタイプに結合し得ることが長い間知られている。さらに、類似のレセプタ
ーを有するGタンパク質およびエフェクターカップリング特異性もまた同定され
ている。例えば、ヒトGiの3つの種がクローン化され(Itohら 1988)、そして交
互のmRNAスプライシングがGsの複数の変異体を生じることが示されている(Koza
saら 1988)。ムスカリン性およびα2アドレナリン性レセプターのクローニング
および過剰生産は、単一のレセプターサブタイプが、細胞において高レベルで発
現されるとき、Gタンパ
ク質の1つ以上のタイプにカップリングするという実証を導いた。
オピオイドレセプターは、還元剤に感受性であることが知られている。そして
ジスルフィド架橋の存在が、リガンド結合に必須であると仮定されている(Gioan
niniら 1989)。ロドプシン、ムスカリン性、およびβアドレナリン性レセプター
については、2つの第1細胞外ループのそれぞれにおける2つの保存されたシス
テイン残基が、機能的タンパク質構造を安定化するために重要であることが示さ
れており、そしてジスルフィド架橋を形成することにより安定化すると推定され
る。オピオイドリガンドの構造/機能研究は、レセプターに対する高親和性での
結合のためのプロトン化されたアミン基の重要性を示した。従って、レセプター
の結合部位は、決定的な負に荷電された相対物を有し得る。カテコールアミンレ
セプターは、それらの配列において、それらのリガンドの正に荷電されたアミン
基を結合するために必要であることが示されている保存されたアスパラギン酸残
基を呈示する。
種々のオピオイドレセプターの機能の複雑さおよび見かけ上の同義性が与えら
れる場合、根本的に重要な疑問は、どのようにして、そしてどのような状況下で
、特異的サブタイプおよびサブのサブタイプレセプターが、適切な刺激性リガン
ドの存在下で、それらの生理学的効果を奏するかということである。この疑問に
答えるための従来のアプローチは、インビトロで精製レセプターおよびGタンパ
ク質成分を再構築す
ることであった。不運にも、精製スキームは、非常に限られた数のレセプターサ
ブタイプおよびそれらの同族Gタンパク質のみについて成功しているに過ぎない
。あるいは、異種発現系が、クローン化レセプターの特徴付けにおいて、および
レセプターGタンパク質カップリング特異性を解明することにおいて、より一般
的に有用であり得る(Marulloら 1988;Payetteら 1990;Kingら 1990)。
そのような系の1つが、最近酵母細胞で開発された。そこでは、哺乳類β2ア
ドレナリン性レセプターおよびGsαサブユニットに対する遺伝子が同時発現さ
れた(Kingら 1990)。任意のヒト組織におけるより数百倍高いレベルのβ2アドレ
ナリン性レセプターの発現が達成され、そしてリガンド結合が適切な親和性、特
異性、および立体選択性であることが示された。さらに、フェロモンシグナル伝
達経路のβ2アドレナリン性レセプター介在活性化が、成長停止の賦課、形態変
化、および(βガラクトシダーゼをコードする)Esherichia coli lacZ遺伝子に融
合されたフェロルモン応答性プロモーター(FUS1)の誘導を含む種々の基準により
示された(Kingら 1990)。
最後に、他の関連サブタイプの非存在下における単一レセプターの発現は、し
ばしば、単離された非組換え哺乳類細胞においてさえ、達成することが不可能で
ある。従って、オピオイドレセプター研究に対して、古典的遺伝学の標準アプロ
ーチまたは分子生物学の強力な技法でさえ、適用するのがかなり困難であると考
えられている。特に、個々のオピオイド
レセプターをコードするDNA配列の同定のための手段が必要である。このような
単離された組換え配列が与えられれば、イソ型特異的オピオイドレセプターアゴ
ニストおよびアンタゴニストの設計および試験に関連する以前は扱いにくかった
問題を取り扱うことが可能である。オピオイドレセプターをコードするcDNAの入
手可能性は、単一形質導入機構の詳細な研究を可能にし、そしてこれらレセプタ
ーのmRNAの解剖学的分布を示し、神経系におけるそれらの発現パターンに関する
情報を提供する。この情報は、結局、無痛覚(analgesia)におけるオピオイド系
のより良好な理解、そしてまたより特異的な治療剤の設計を可能にするはずであ
る。
オピオイドレセプターをコードするポリヌクレオチド配列、およびコードされ
たレセプターのポリペプチド配列の入手可能性は、無痛覚のような、薬学的組成
物を、高められた特異性の機能を有して設計する能力を著しく増加させる。一般
に、これらポリペプチド配列の入手可能性は、候補組成物の効率的なスクリーニ
ングを可能にする。スクリーニングプロセスを通じた操作原理は以下の通りであ
る:天然アゴニストおよびアンタゴニストが細胞表面レセプターおよびチャンネ
ルに結合して生理学的効果を生じる;特定の他の分子がレセプターおよびチャン
ネルに結合する;従って、特定の他の分子が生理学的効果を生じ得、そして治療
的薬学的因子として作用する。従って、候補薬剤のオピオイドレセプターに結合
する能力は、所望の機能的効力を有する薬学的組成物の選択のた
めに特に有効なスクリーニング基準として機能し得る。
細胞表面レセプターに優先的に結合する能力に基づいて候補薬剤をスクリーニ
ングする以前の方法は、組織ベースの技術に限られていた。これらの技術では、
目的のレセプタータイプが豊富な動物組織を抽出および調製する;次いで候補薬
剤を調製組織と相互作用させ、そしてレセプターに結合することが見いだされた
薬剤がさらなる研究に選択される。しかし、これらの組織ベースのスクリーニン
グ技術は、いくつかの顕著な欠点がある。第1に、レセプター細胞組織の供給源
--実験動物--が高価であるので高価である。第2に、スクリーニングを実施する
ために広範な技術的インプットが必要である。そして、第3に、ただ1つのレセ
プターサブタイプのみを独占的に発現させる組織は存在しないので、スクリーニ
ングは結果を混乱させ得る。従来の先行技術スクリーニングでは、基本的には、
間違った相互作用、または最良でも、種々の望まない相互作用の全体で混合され
た適切な相互作用を観察している。動物組織スクリーニングのさらなる基本的欠
点は、それらが動物レセプターを含む点にある−これは動物に対する薬剤を開発
するには理想的であるがヒト治療剤においては価値が制限される。
この問題に対する回答が本発明により提供される。本発明のポリヌクレオチド
は、適切な宿主細胞中にトランスフェクトされて、オピオイドレセプターに相当
するポリペプチド配列を、大量におよび比較的簡単な実験室手順による両方で発
現し得る。この結果は、組織ベースのスクリーニング中で遭遇する競合的および
望まない相互作用のない、非常に特異的なレセプター−薬剤相互作用を利用でき
ることである。そのような内因性レセプターが存在しない微生物(例えば酵母細
胞または変異哺乳類細胞株)におけるさらなる発現が、サブタイプ選択的薬剤の
スクリーニングおよび評価のために有用であり得る(Marulloら 1988;Payetteら
1990;およびKingら 1990)。発明の簡単な要旨
一般に、本発明はオピオイドレセプターに関する。本発明者らは、δおよびκ
レセプターを含む種々のオピオイドレセプターをコードする遺伝子を単離および
クローン化した。これらの遺伝子はオピオイドレセプターポリペプチドに発現さ
れる。これらのポリペプチドは種々の有用性を有し、そのうち最も重要な1つは
、オピオイドレセプターアゴニストおよびアンタゴニストとして使用され得る物
質の決定を可能にするスクリーニングアッセイの基礎として働く能力である。そ
のようなアゴニストおよびアンタゴニストは薬学的有用性を有する。新規オピオ
イドレセプターアゴニストおよびアンタゴニストの必要性が大いに存在する。何
故なら現在使用されているものはどららかと言えば重篤な副作用を有するからで
ある。
本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドをコードす
る単離および精製されたポリヌクレオチドを提供する。好ましい実施態様では、
本発明のポリヌクレオチドはDNA分子である。より好ましくは、本発明のポリヌ
クレオチドは、δ、κ、μ、またはσオピオイドレセプターであるポリペプチド
をコードする。さらに好ましくは、本発明のポリヌクレオチドは、κオピオイド
レセプター、例えばmORK1(配列番号2)またはヒトκオピオイドレセプター(配列
番号12)またはδオピオイドレセプター、例えばmORD1(配列番号4)のアミノ酸残
基配列を含むポリペプチドをコードする。最も好ましくは、本発明の単離および
精製されたポリヌクレオチドは、κオピオイドレセプター、例えばmORK1(配列番
号1)またはヒトκオピオイドレセプター(配列番号11)またはδオピオイドレセ
プター(配列番号3)のヌクレオチド塩基配列を含む。
本発明は、先に規定されたオピオイドレセプターポリペプチド、例えば、MOP2
(配列番号6)の薬理学的特性に比べて薬理学的に改変された特性を有するオピオ
イドレセプターポリペプチドをコードする単離および精製されたポリヌクレオチ
ドを提供する。そのような本発明のオピオイドレセプターポリペプチドをコード
するポリヌクレオチドの1つは、配列番号5のヌクレオチド塩基配列を含む。
本発明はまた、変異オピオイドレセプターの生成を意図し可能にする。これら
の変異レセプターは、それらに変異される元の天然に存在するオピオイドレセプ
ターに比較して改変された結合活性および薬理学的活性を有する。例えば、mORD
1配列の特定のアミノ酸残基でヒスチジンを挿入することによりオピオイドアゴ
ニストがそのレセプターに結合することが妨げられ得ることが示されている。変
異オピオイドレセプターポリペプチドの例は、残基128でアスパラギン酸の代わ
りにアスパラギンを有するmORD1ポリペプチドおよび残基278でヒスチジンの代わ
りにアスパラギンを有するmORD1ポリペプチドを包含する。これらの変異したレ
セプターはスクリーニングアッセイで有用性を有する。勿論、本発明はまた、こ
れらの変異オピオイドレセプターをコードするヌクレオチド配列を意図する。
本発明は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号11の少なく
とも15、20、25、30、35、40、45、50またはそれ以上の連続塩基のセグメントと
同一または相補的である塩基配列を含む単離および精製されたポリヌクレオチド
を意図し、ここでこのポリヌクレオチドは、オピオイドレセプターポリペプチド
をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする。好ましくは、この単離お
よび精製されたポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、ま
たは配列番号11の少なくとも15から100の連続塩基のセグメントと同一または相
補的である塩基配列を含む。勿論、単離および精製されたポリヌクレオチドは、
配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号11の少なくとも25から75
の連続塩基のセグメントと同一または相補的であるより短い塩基配列を含む。さ
らに、単離および精製されたポリヌクレオ
チドは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号11の少なくとも
35から60の連続塩基のセグメントと同一または相補的であるより短い塩基配列を
含む。また、本発明のポリヌクレオチドは、開示されるヌクレオチド配列の40ま
たは55の連続塩基と同一または相補的な塩基のセグメントを含み得る。
本発明は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号11の少なく
とも10の連続塩基のセグメントと同一または相補的である塩基配列を含む単離お
よび精製されたポリヌクレオチドを得ることを可能にする。本発明のポリヌクレ
オチドは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号11、あるいは
配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号11の相補物にハイブリダ
イズする。好ましくは、この単離および精製されたポリヌクレオチドは、配列番
号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号11の少なくとも25から70の連続
塩基のセグメントと同一または相補的である塩基配列を含む。例えば、本発明の
ポリヌクレオチドは、配列番号1(配列番号2をコードするコーディング部分)の
40または55の連続塩基と同一または相補的な塩基のセグメントを含み得る。
本発明は、さらに、単離および精製されたオピオイドレセプターポリペプチド
を意図する。好ましくは、本発明のオピオイドレセプターポリペプチドは組換え
ポリペプチドである。より好ましくは、本発明のオピオイドレセプターポリペプ
チ
ドは、δ、κ、μ、またはσオピオイドレセプターポリペプチドである。さらに
より好ましくは、本発明のオピオイドレセプターポリペプチドは、配列番号2、
配列番号4、配列番号6、または配列番号12のアミノ酸残基配列を含む。
本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
を含む発現ベクターを意図する。好ましくは、本発明の発現ベクターは、配列番
号2、配列番号4、配列番号6、または配列番号12のアミノ酸残基配列を含むポ
リペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。より好ましくは、本発明の発
現ベクターは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号11のヌク
レオチド塩基配列を含むポリヌクレオチドを含む。さらに好ましくは、本発明の
発現ベクターは、エンハンサー−プロモーターに作動可能に連結されたポリヌク
レオチドを含む。なおさらにより好ましくは、本発明の発現ベクターは、原核生
物プロモーターに作動可能に連結されたポリヌクレオチドを含む。あるいは、本
発明の発現ベクターは、真核生物プロモーターであるエンハンサー−プロモータ
ーに作動可能に連結されたポリヌクレオチドを含み、そして発現ベクターはさら
に、カルボキシ末端アミノ酸の3'側およびコードされたポリペプチドの転写単位
内に位置するポリアデニル化シグナルを含む。
本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
でトランスフェクトされた組換え宿主細胞を包含する。好ましくは、本発明の組
換え宿主細胞は、配
列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号11のポリヌクレオチドでト
ランスフェクトされる。1つの局面では、本発明の宿主細胞は真核生物宿主細胞
である。適切な組換え宿主として当業者に知られている任意の真核生物細胞が事
実上この観点から有用であることが意図される。例えば、本発明の組換え宿主細
胞は、酵母細胞、COS-1細胞、PC12細胞、またはCHO-D644細胞などであり得る。
本発明の組換え宿主細胞は原核生物宿主細胞であり得る。当業者は、原核生物
細胞がクローニングおよび遺伝子操作の実施において非常に有用であることを理
解する。従って、本発明の遺伝子配列を含む原核生物の使用について明確な利点
が存在し得る。それによって原核生物から活性なポリペプチドが得られ得る方法
、即ち、適切なポリペプチド折り畳みを可能にし、そして多くは変性されて不適
切な折り畳みを取り除きそして活性形態に再生され得るポリペプチドの翻訳を可
能にするいくつかの系がまた存在する。ペプチド発現における使用のために、組
換え宿主細胞は、代表的には、組換え宿主細胞中で機能的な調節シグナルの転写
制御下にあるポリヌクレオチドを含み、ここで、調節シグナルは、すべての必要
な転写および転写後改変を可能にする様式で、オピオイドレセプターポリペプチ
ドの発現を適切に制御する。活性ポリペプチドを生成するための原核生物法は、
本発明の範囲内に含まれる。本発明の例示の組換え宿主細胞は、Escherichia co
liのDH5α株の細菌細胞である。
本発明はまた、オピオイドレセプターポリペプチドを調製する方法を意図し、
この方法は、オピオイドレセプターポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
で細胞をトランスフェクトして、形質転換宿主細胞を生成する工程;およびこの
ポリペプチドを発現するに十分な生物学的条件下で形質転換宿主細胞を維持する
工程を包含する。好ましくは、形質転換宿主細胞は真核生物細胞、例えば、COS-
1細胞である。あるいは、宿主細胞は原核細胞、例えば、Escherichia coliのDH5
α株である。好ましい実施態様では、形質転換細胞にトランスフェクトされるポ
リヌクレオチドは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号11の
ヌクレオチド塩基配列を含む。
本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドと免疫反応性である抗体を提供
する。好ましくは、本発明の抗体はモノクローナル抗体である。より好ましくは
、オピオイドレセプターポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6
、または配列番号12のアミノ酸残基配列を含む。
本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドと免疫反応性の抗体を生成する
方法を意図し、この方法は、(a)オピオイドレセプターポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチドで組換え宿主細胞をトランスフェクトする工程;(b)宿主細
胞を、このポリペプチドの発現に十分な条件下で培養する工程;(c)ポリペプチ
ドを回収する工程;および(d)このポリペプチドに対する抗体を調製する工程を
包含する。好ましくは、宿主細
胞は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号11のポリヌクレオ
チドでトランスフェクトされる。さらにより好ましくは、本発明は、上記に記載
の方法に従って調製される抗体を提供する。
本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドを検出する方法を提供し、ここ
でこの方法は、ポリペプチドを、上記で記載される方法に従って調製される抗体
と免疫反応させて、抗体−ポリペプチド結合体を形成する工程、およびこの結合
体を検出する工程を包含する。
本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドをコードするメッセンジャーRN
A転写物を検出する方法を意図し、ここでこの方法は、(a)メッセンジャーRNA転
写物を、オピオイドレセプターポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列
とハイブリダイズして二重鎖を形成させる工程;および(b)この二重鎖を検出す
る工程を包含する。あるいは、本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドを
コードするDNA分子を検出する方法を提供し、ここでこの方法は、(a)DNA分子を
、オピオイドレセプターポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとハイブリ
ダイズして二重鎖を形成する工程;および(b)二重鎖を検出する工程を包含する
。
本発明は、生物学的試料中のオピオイドレセプターポリペプチドの存在を検出
するための診断アッセイキットを提供し、ここでこのキットは、オピオイドレセ
プターポリペプチドと免疫反応し得る一次抗体を含む第1コンテナを含み、この
一
次抗体は少なくとも1つのアッセイを実施するに十分な量で存在する。好ましく
は、本発明のアッセイキットは、一次抗体と免疫反応する二次抗体を含む第2コ
ンテナをさらに含む。より好ましくは、本発明のアッセイキットで使用される抗
体はモノクローナル抗体である。さらにより好ましくは、一次抗体は固体支持体
に付加される。なおより好ましくは、一次および二次抗体はインジケーターを含
み、そして好ましくは、インジケーターは放射性標識または酵素である。
本発明は、生物学的試料中で、オピオイドレセプターポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチドの存在を検出するための診断アッセイキットを提供し、この
キットは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号11の少なくと
も10の連続ヌクレオチド塩基のセグメントと同一または相補的な第2ポリヌクレ
オチドを含む第1コンテナを含む。
さらなる実施態様において、本発明は、生物学的試料中の、オピオイドレセプ
ターポリペプチドと免疫反応性の抗体の存在を検出するための診断アッセイキッ
トを意図し、このキットは、抗体と免疫反応するオピオイドレセプターポリペプ
チドを含む第1コンテナを含み、このポリペプチドは、少なくとも1つのアッセ
イを実施するに十分な量で存在する。
本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドと相互作用する能力について物
質をスクリーニングする方法を意図し、この方法は、オピオイドレセプターポリ
ペプチドを提供する工程、および選択された物質がオピオイドレセプターポリペ
プチドと相互作用する能力を試験する工程を包含する。好ましい実施態様では、
オピオイドレセプターポリペプチドはキメラオピオイドレセプターポリペプチド
である。本発明は、事実上無限の多くの可能なキメラレセプターを意図し、これ
らレセプターのいくつかは、特異的アゴニスト、非特異的アゴニスト、または特
定のオピオイドレセプターに対するアンタゴニストについてスクリーニングする
ことを望むかどうかに依存して利点を有し得る。本発明者らは、各タイプのオピ
オイドレセプターリガンドについて特異的な結合領域があることを見いだした。
1つの特定のリガンド結合部位、例えば、κ特異的アゴニスト結合部位を有し、
そして非特異的結合部位を欠くキメラを使用することにより、非特異的リガンド
由来の偽シグナルに悩ませられることなくκ特異的リガンドについてスクリーニ
ングし得る。
1つの実施態様において、本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドをコ
ードするポリヌクレオチドで宿主細胞をトランスフェクトして形質転換細胞を形
成すること、およびオピオイドレセプターポリヌクレオチドの発現に十分な生物
学的条件下で形質転換細胞を維持することを意図する。
別の局面では、本発明は、短縮型オピオイドレセプターポリペプチドをコード
する単離および精製されたポリヌクレオチドを提供する。「短縮型」オピオイド
レセプターポリペプチドは、完全長オピオイドレセプターのアミノ酸配列の部分
を含む。短縮型レセプターは、代表的には、より長いアミノ
酸配列をコードする遺伝物質の標準的遺伝子操作により作製される。短縮型レセ
プターは、スクリーニングアッセイにおいて大きな有用性を有する。そのように
レセプターを短縮型にすることが可能なので、1つまたはそれ以上のリガンド結
合部位が欠失している。例えば、このオピオイドレセプターは、κまたはδオピ
オイドレセプターポリペプチドであり得る。特定の実施例では、オピオイドレセ
プターは、κオピオイドレセプターポリペプチドのアミノ酸残基79から380、ま
たはδオピオイドレセプターポリペプチドのアミノ酸残基70から372を含む。
本発明は、キメラオピオイドレセプターポリペプチドをコードする単離および
精製されたポリヌクレオチドを提供する。「キメラ」オピオイドレセプターポリ
ペプチドは、2つまたはそれ以上の供給源由来のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドであり、ここで供給源の少なくとも1つはオピオイドレセプターポリペプチド
である。例えば、δオピオイドレセプター、μオピオイドレセプター、κオピオ
イドレセプター、σオピオイドレセプター、MOP2、またはソマトスタチンレセプ
ターの1つ、の1つまたはそれ以上のアミノ酸配列の部分からなりキメラが可能
である。例示のキメラは、κ−δ(カルボキシ−アミノ末端)、δ−κ、κ−δ−
κなどであり得る。本発明者らは、研究の過程で多くのキメラを作製し、そして
これらのいくつかはスクリーニングアッセイで利点を有する。このような構築さ
れているまたはされ得たキメラの例は、κ1-78
/δ70-372、δ1-69/κ79-380、κ1-74/δ65-372、δ1-64/κ75-380などである。
本発明のキメラは、所望の目的を遂行するオピオイドリガンドの検出および解
明を可能にするために設計されたスクリーニングアッセイにおいて非常に有用で
ある。1つのクラスとして、オピオイドレセプターは、細胞外ループ、貫膜領域
、細胞内ループ、および細胞外アミノ末端を含む。本発明者らは、レセプターの
細胞外部分、細胞外ループ、およびアミノ末端が、オピオイドレセプターリガン
ドに対する結合部位として働くことを示した。例えば、κレセプターに関しては
、κ特異的アゴニストが第2細胞外ループに結合し、その一方アンタゴニストが
アミノ末端に結合することが示されている。本発明者らは、非特異的アゴニスト
がκレセプターの第3細胞外ループに結合すると強く考え、そしてこのことを証
明する研究が進行中である。この知識を用いて、特異的スクリーニングツールと
して非常に有用なキメラを設計することが可能である。例えば、κ特異的アゴニ
ストについてスクリーニングすることを望む場合、κレセプターの第2細胞外ル
ープを有するキメラを使用すべきである。さらに、κレセプターの第2細胞外ル
ープを有するが第3細胞外ループを欠くキメラが、非特異的アゴニストを検出す
る任意のおそれなく、κ特異的アゴニストを検出する利点を有し得た。勿論、第
2細胞外ループを除くκレセプターのすべての領域を有するキメラが、κ特異的
アゴニストについてスクリーニングするよう
に設計されたアッセイにおいてネガティブコントロールとして使用され得る。本
発明者らは、多くのこのようなキメラを構築し、そしてより多くを構築する過程
にある。標準の遺伝子操作およびオピオイドレセプターのリガンド結合部位に関
して本発明者らが由来する知識を用いて、ほとんど無限の多くのキメラを作製す
ることが可能である。そのようなキメラのすべて、それらをコードするポリヌク
レオチド、およびアッセイ中でそれらを使用する方法が本発明の範囲内であると
意図される。
本発明はさらに、オピオイドレセプターと相互作用する能力について物質をス
クリーニングする方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:
a)キメラオピオイドレセプターポリペプチドを提供する工程;および
b)この物質がキメラオピオイドレセプターポリペプチドと相互作用する能力を
試験する工程。
好適なキメラは、上記で呈示されたキメラと同じである。
本発明はなお、オピオイドレセプターと相互作用する能力について物質をスク
リーニングする方法をさらに提供し、この方法は、以下の工程を包含する:
a)短縮型オピオイドレセプターポリペプチドを提供する工程;および
b)この物質が短縮型オピオイドレセプターポリペプチドと相互作用する能力を
試験する工程。
好適な短縮型レセプターポリペプチドは上記で呈示されたポリペプチドと同じで
ある。
本発明の他の局面は、κオピオイドレセプターの特異的アゴニストとして作用
する能力について、適切な候補をスクリーニングするために有用なアッセイを包
含する。これらのアッセイは、κオピオイドレセプターの特異的アゴニストが、
非特異的アゴニストが結合するよりレセプターの異なる領域に結合するという本
発明者らの発見により可能になった。このようなスクリーニングアッセイは、オ
ピオイドレセプターポリペプチドを提供する工程、候補の特異的κオピオイドレ
セプターアゴニストを得る工程、この候補物質がオピオイドレセプターと相互作
用する能力をアッセイする工程を含む。当業者は、候補物質がκレセプターと相
互作用する能力は、本出願の発明の詳細な説明に詳細に記載された方法を含むが
、しかしこれらに限定されない、任意の数の方法でアッセイされ得ることを認識
し得る。これらのスクリーニング方法は、現在の特異的のより少ないκアゴニス
トのネガティブな副作用を有しない特異的κレセプターアゴニストの解明を可能
にする。
好適な実施態様では、スクリーニングアッセイにおいて使用されるオピオイド
レセプターポリペプチドは、κオピオイドレセプターポリペプチドの部分を含む
。より好ましくは、このオピオイドレセプターポリペプチドは、κオピオイドレ
セプターポリペプチドの第2細胞外ループの部分を含み、そ
れはκレセプター特異的アゴニストに対する結合部位を有することが示されてい
る。κオピオイドレセプターの第2細胞外ループの負に荷電された領域を含むオ
ピオイドレセプターポリペプチドは、これらのスクリーニング手順における使用
に特に好適であることが予想される。何故なら、κレセプター特異的アゴニスト
−κレセプター結合は、少なくとも部分的には、第2細胞外ループの負に荷電さ
れた部分とアゴニストの正に荷電された部分との間の荷電相互作用に基づくよう
であるからである。
キメラオピオイドレセプターポリペプチドは、上記のアッセイで使用可能であ
る。事実、これらアッセイの解明に至る研究は、キメラレセプターを用いて実施
された。好適な実施態様では、キメラレセプターはκオピオイドレセプターの第
2細胞外ループを含む。κの第2細胞外ループは、κオピオイドレセプターポリ
ペプチドのアミノ酸残基167-228間に位置する。他の好適なキメラは、κレセプ
ターの第2細胞外ループを有するが、第3細胞外ループを欠く。第3細胞外ルー
プは、推定の非特異的アゴニスト結合領域を含むので、この領域を欠くキメラは
、非特異的アゴニスト活性を検出することができないと予想される。従って、そ
のようなキメラに対して観察される任意のアゴニズムは、第2細胞外ループに対
するκ特異的アゴニスト結合の結果でなければならない。第2細胞外ループを欠
くキメラは、ネガティブコントロールとして有用である。本明細書の教示が提供
されたとき、当業者は、
オピオイドレセプターアゴニストおよびアンタゴニストのすべての形態のスクリ
ーニングを可能にするキメラおよび制御スクリーニング戦略を得る。このような
アッセイのすべては本発明の範囲内にある。このようなスクリーニングアッセイ
において有用であるキメラオピオイドレセプターの特定の例は以下である:κ1- 78
/δ70-372、δ1-69/κ79-380、κ1-74/δ65-372、またはδ1-64/κ75-380など
。
短縮型オピオイドレセプターポリペプチドは、上記の候補スクリーニングアッ
セイにおいて有用である。κレセプター特異的アゴニスト結合を示すより短いポ
リペプチドが、より長いポリペプチドに比べ特定の利点を有することが記載され
る。好ましくは、短縮型オピオイドレセプターポリペプチドは、短縮型κオピオ
イドレセプターポリペプチドである。例えば、κオピオイドレセプターポリペプ
チドのアミノ酸残基79から380を含む短縮型オピオイドレセプターポリペプチド
がこの観点から有用であると予期される。レセプターの第2細胞外ループを含む
短縮型κオピオイドレセプターがこれらアッセイにおいて有用である。例えば、
アミノ酸残基167から228を含む短縮型κレセプターが本発明において有用である
。勿論、κレセプターの第2細胞外ループのκレセプター特異的アゴニスト結合
領域に相当するこれらのアミノ酸残基を特異的に使用することが可能である。
潜在的なκレセプター特異的アゴニストを、上記に記載されたアッセイで試験
する前に、候補が正荷電を有するか否か
を測定することにより予備スクリーニングされ得る。荷電相互関係は、負に荷電
された結合領域が正に荷電されたアゴニストを結合して、κレセプター−特異的
アゴニスト結合機構に影響する。勿論、有効なアゴニストが正に荷電していない
ことも可能である。しかし、荷電の評価は、試験されるべきアゴニストの範囲を
狭める1つの機構を提供する。
上記のアッセイ方法の1つの実施態様は、オピオイドレセプターポリペプチド
をコードするポリヌクレオチドで宿主細胞をトランスフェクトして形質転換細胞
を形成し、そして形質転換細胞をオピオイドレセプターポリペプチドの発現に十
分な生物学的条件下で維持することを伴う。このようにして得られたポリペプチ
ドはスクリーニングアッセイにおいて使用され得る。
本発明の他の局面は、上記プロセスにより単離可能なおよび/または単離され
る特定のκオピオイドレセプターアゴニストを包含する。図面の簡単な説明
本明細書の一部を構成する図において:
図1は、マウスκオピオイドレセプター(mORK1)およびマウスδオピオイドレ
セプター(mORD1)のアミノ酸配列の比較を示す。星印は同一アミノ酸を示し、バ
ーは類似残基を示す。この並列を生じるように導入されたギャップをコロンによ
って
表す。7つの推定貫膜ドメイン(TM1〜TM7)を示す。NH2末端細胞外ドメインにお
けるN-連結グリコシル化の潜在部位を下線を引いて示す。mORK1およびmORD1にお
いて、それぞれ残基274および260に、cAMP依存性タンパク質キナーゼの潜在リン
酸化部位が存在する。潜在タンパク質キナーゼCリン酸化部位は、mORK1に残基2
42、255、344、および352で、そしてmORD1に残基255、357、および369で存在す
る。
図2aおよび2bは、マウスκ(a)およびδ(b)オピオイドレセプターが
、cAMP形成のオピオイド阻害を仲介することを示す。マウスκおよびδオピオイ
ドレセプターを一時的に発現するCOS-1細胞を、フォルスコリン(forskolin)(10
μM)±1μMオピオイドアゴニストまたは1μMアゴニストおよび10μMナロキソ
ンで処理した。これらの研究のために、等数の細胞(5×105個)をプレートし
た。κおよびδオピオイドレセプターを発現する細胞において、基底cAMPレベル
は40±3p/mol/ウェルであり、そしてフォルスコリン刺激cAMP形成は5倍量であ
った(203±10pmol/ウェル)であった。その値は、フォルスコリン刺激cAMP形成
のパーセントとして表され、3回の異なる実験の平均値±SEMである。星印は、
フォルスコリン処理細胞とオピオイドアゴニスト/アンタゴニスト処理細胞との
間のcAMPレベルの有意(p<0.05)差を示す。Nal、ナロキソン;EKC、エチルケト
シクラゾシン。
図3は、ヒトκオピオイドレセプターの部分ゲノム配列を示す。イントロン1
は、残基1で始まり、残基101で終わる。
イントロン2は、残基454で始まる。イントロン2の長さは現在のところまだ決
定されていない。残基455の後の13個のコロンは13個の未知のヌクレオチドを表
すのではない。これらのコロンは、イントロン2が図4aおよび4bに示される
より多くのヌクレオチドを含むことを表し、残基503で始まり残基435で終わる。
終止コドンは、残基436で始まる。エキソン2では、未決定のヌクレオチド残基
がいくつか存在する。これらの残基は656、657、691、692、945、および955に存
在する。
図4aおよび4bは、ヒトκおよびマウスκ(mORK1)オピオイドレセプターの
アミノ酸配列の比較を示す。この並列を生じるように導入されたギャップをコロ
ンにより示す。アミノ酸残基255、267、351、および355を下線を引いて示す。な
ぜなら、これらの残基は、対応するヌクレオチド配列が未だ同定されていないか
らである。マウス配列はアミノ酸残基1で始まり、そしてヒト配列はアミノ酸残
基87で始まる。
図5a〜5fは、[3H]U-69,593、[3H]ナルトリンドール(naltrindole)、また
は[3H]DAMGOのクローン化κ、δ、およびμオピオイドレセプターへの飽和性結
合を示す。安定にクローン化κレセプターを発現するPC12細胞由来の膜(図5a
および5b)、安定にクローン化δレセプターを発現するCHO-DG44細胞(図5c
および5d)、または一時的にクローン化μレセプターを発現するCOS-7細胞(
図5eおよび5f)をそれぞれ、特異的結合(●)を測定するために、10μMナ
ロキソンの存在下(△)または非存在下(□)で、[3H]U-69,593、
[3H]ナルトリンドール、または[3H]DAMGOの濃度を上昇させながら、25℃で40分
間インキュベートした。上方、代表実験の飽和等温;下方、飽和等温データの線
形化。κレセプターへの飽和性結合の分析は、[3H]U-69,593が、2.8nMのKDおよ
び3346fmol/mgタンパク質のBmaxで一つの部位に結合したことを明らかにした。
δレセプターへの飽和性結合の分析は、[3H]DAMGOが、0.18nMのKDおよび663fmo
l/mgタンパク質のBmaxで一つの部位に結合したことを明らかにした。μレセプ
ターへの飽和性結合の分析は、[3H]DAMGOが、0.57nMのKDおよび444fmol/mgタン
パク質のBmaxで一つの部位に結合したことを明らかにした。実験は3回行い、
そして3回の独立実験のうち2回の結果は類似していた。
図6aおよび6bは、クローン化κ、δ、およびμオピオイドレセプターへの
放射性リガンド結合を阻害するオピオイドリガンドの効力と異種組織において特
徴づけられるオピオイドレセプターとの相関関係を示す。相関分析は、クローン
化κ(a)およびクローン化μ(b)レセプターに対するオピオイドリガンドの
親和性の対数と、異種組織におけるこれらのオピオイドレセプタータイプへのサ
ブタイプ選択放射性リガンドの結合を阻害するこれらの化合物の効力の対数とを
対プロットすることにより行った。κおよびμレセプターに対するリガンドの親
和性は、文献値と高い相関関係を有しており、それぞれr値は0.954および0.879
であった。δレセプターでの効力の相関関係は非常に劣るものであった(r=0.
185)(プロットなし)。
図7aは、野生型δレセプターの模式図を示す。
図7bは、野生型κレセプターの模式図を示す。
図7cは、κ1-78/δ70-372キメラレセプターの模式図を示す。
図7dは、δ1-69/κ7-380キメラレセプターの模式図を示す。
図8は、キメラκ1-78/δ70-372レセプターの結合特性を示す。δ-およびκ-
選択的アゴニストおよびアンタゴニストのキメラκ1-78/δ70-372レセプターへ
の結合。COS-7細胞を、リン酸カルシウム沈降法により、野生型δまたはκまた
はκ1-78/δ70-372レセプターcDNAでトランスフェクトした。δ-およびκ-選択
的アゴニスト(それぞれ[3H]DPDPEおよび[3H]U-69,593)およびアンタゴニスト
(それぞれ[3H]ナルトリンドールおよび[3H]ナロキソン)を、それらがκ1-78/
δ70-372レセプターに結合する能力について試験した。値は、野生型δレセプタ
ーへの[3H]DPDPEおよび[3H]ナルトリンドール結合パーセント、および野生型κ
レセプターへの[3H]U-69,593および[3H]ナロキソン結合パーセントとして表され
る。[3H]DPDPEおよび[3H]ナルトリンドールの野生型δレセプターへの平均結合
は、それぞれ1987fmol/mgタンパク質および2404fmol/mgタンパク質であり;[3H]
U-69,593および[3H]ナロキソンの野生型κレセプターへの平均結合は、それぞれ
998fmol/mgタンパク質および2085fmol/mgタンパク質であった。これらは、
3〜4回の別個の実験の平均結果である。
図9aおよび9bは、κ-およびδ-選択的因子によるκ1-78/δ70-372キメラ
レセプターへの[3H]DPDPE(a)および[3H]ナロキソン(b)結合の阻害を示す
。δ-選択的アゴニストであるDSLET(■)およびDPDPE(●)ならびにδ-選択的
アンタゴニストであるナルトリンドール(▲)を、それらがこのキメラへの[3H]
DPDPEの結合を阻害する能力について試験した(上部)。[3H]DPDPEの結合の阻害
のIC50値は、DPDPE、DSLET、およびナルトリンドールについて、それぞれ5.8、2
.0、および0.25mMであった。[3H]ナロキソンの結合の阻害のIC50値は、ナロキソ
ン(◆)については14nMであったが、κ-選択的アゴニストU-50,488(★)は、
κ1-78/δ70-372キメラへの[3H]ナロキソンの結合を阻害しなかった(下部)。
図10aおよび10bは、フォルスコリン刺激によるcAMPの蓄積の阻害を示す
。COS-7細胞を、リン酸カルシウム沈降法により、野生型(黒棒)、キメラ(白
棒)、または短縮型(斜線棒)のレセプターcDNAでトランスフェクトした。κ-
およびδ-選択的アゴニスト(それぞれ1μMのU-50,488およびDSLET)を、それ
らが10μMフォルスコリン刺激によるcAMPの蓄積を阻害する能力について試験し
た。κ-およびδ-選択的アンタゴニスト(それぞれ1μMナロキソンおよびナル
トリンドール)がアゴニストの効果をブロックする能力もまた試験した。結果を
、フォルスコリン刺激によるcAMPの蓄積(野生型δレセプターについて173pmol/
ウェル、野生型κレセプタ
ーについて244pmol/ウェル、δ1-69/κ79-380レセプターについて172pmol/ウェ
ル、κ1-78/δ70-372レセプターについて205pmol/ウェル、δ70-372レセプター
について100pmol/ウェル、およびκ79-380レセプターについて51pmol/ウェル)
のパーセントとして算定した。基底cAMPレベル(これはフォルスコリン刺激cAMP
レベルの5%未満であった)を全ての値から引いた。結果は、3回の別個の実験
の平均値±S.E.M.である。
図11a、11b、および11cは、野生型ならびにD128NおよびH278N変異δ
レセプターへの3H-ナルトリンドールの飽和性結合を示す。野生型(A、白四角
)、D128N変異体(B、黒丸)、およびH278N変異体(C、白丸)への3H-ナルト
リンドールの飽和性結合を、COS-7細胞で発現された各レセプターの親和性(Kd
)および密度(Bmax)を評価するために測定した。
図12a、12b、および12cは、アンタゴニスト(NTB)、δ-選択的アゴ
ニスト(DPDPE)、および非選択的アゴニスト(レボルファノール)による野生
型および変異δレセプターへの3H-ナルトリンドール結合の阻害を示す。野生型
(白四角)、D128N変異体(黒丸)、およびH278N変異体(白丸)を発現するCOS-
7細胞の膜への3H-ナルトリンドール結合は、δ-選択的アンタゴニストNTB(A)
、δ-選択的アゴニストDPDPE(B)、および非選択的オピオイドアゴニストレボ
ルファノール(C)により阻害された。これらは3回の別個の測
定の代表例である。
図13は、野生型および変異δオピオイドレセプターを発現するCOS-7細胞に
おけるδアゴニストDSLETによるフォルスコリン刺激によるcAMPの蓄積の阻害を
示す。cAMP蓄積を、野生型(白棒)、D128N変異体(黒棒)、およびH278N変異体
(斜線棒)を発現するCOS-7細胞において、方法の欄に記載のようにして測定し
た。基底レベル、および1μMのDSLET(DSLET)または1μMナルトリンドールを
含む1μM DSLET(DSLET+ナルトリンドール)が存在する場合またはしない場合
(フォルスコリン)の10μMフォルスコリンにより刺激されたレベルを評価した
。結果は、3回の別個の測定の平均値±SEMである。
図14aおよび14bは、[3H]DAMGOのクローン化ヒトμオピオイドレセプタ
ーへの飽和性結合を示す。クローン化ヒトμレセプターを一時的に発現するCOS-
7細胞の膜を、特異的結合を測定するために1mMナロキソンの存在下または非存
在下で、[3H]DAMGOの濃度を上昇させながら、25℃で40分間インキュベートした
。代表実験の飽和等温(A)および飽和等温データの線形化(B)を示す。ヒト
μレセプターへの飽和性結合の分析は、[3H]DAMGOが、1.0nMのKDおよび232fmol/
mgタンパク質のBmaxで一つの部位に結合したことを明らかにした。実験は3回
で行い、そして3回の独立実験の結果は類似していた。
図15は、安定なGTPアナログであるGTPgSによる、そして
百日咳毒素での細胞の前処理による、クローン化ヒトおよびラットμレセプター
へのアゴニスト結合調節を示す。ヒト(斜線)またはラット(無地)μレセプタ
ーを一時的に発現するCOS-7細胞の膜中のμレセプターを、100mM GTPgSの存在下
または非存在下で[3H]DAMGOで標識した(GTPgS)。別のフラスコ内の細胞を、10
0ng/mlの百日咳毒素で18時間処理した(PTX)。これらは、3回の別個の実験の
平均値±SEMである。
図16は、ヒトμレセプターを発現する細胞におけるフォルスコリン刺激によ
るcAMPの蓄積にオピオイドが及ぼす効果を示す。ヒトμレセプターを一時的に発
現するCOS-7細胞におけるフォルスコリン刺激(10mM)によるcAMPの蓄積を、レ
ボルファノール、デキストロルファン、またはナロキソン(10mM)を用いるまた
は用いないLeu-エンケファリンの存在下または非存在下で、試験した。Leu-エン
ケファリンおよびレボルファノールは、同様の最大程度まで(それぞれ41%およ
び31%)、フォルスコリン刺激によるcAMPの蓄積を阻害した。これらは、3回の
独立実験の結果である。
図17は、モルヒネによるクローン化ヒトおよびラットμレセプターへのアゴ
ニスト結合調節の欠如を示す。ヒト(斜線)またはラット(無地)μレセプター
を一時的に発現するCOS-7細胞を1mMのモルヒネを用いてまたは用いずに4時間
処理した。細胞を2回洗浄し、回収し、そして方法の欄に記載のようにして[3H]
ナロキソンおよび[3H]DAMGO結合アッセイのために膜を調製した。アゴニストに
前もって曝した後の残留
放射性リガンド結合をコントロールのパーセントとしてプロットする。これらは
3回の別個の実験についての平均値±SEMである。
図18は、ヒト脳におけるヒトμレセプター分布のノーザンブロット分析を示
す。ヒト脳RNAブロットをCLONTECH laboratoriesから入手した。各レーンは、32
P-標識ヒトμオピオイドレセプターcDNAプローブとハイブリダイズした2mgのポ
リ A-選択的mRNAを含んでいた。レーンは、1−扁桃、2−尾状核、3−脳梁、
4−海馬、5−視床下部、6−黒質、7−視床下核、および8−視床である。こ
のブロットを−80℃で5〜7日間フィルムに曝した。配列の簡単な説明
以下のリストにより、本明細書および請求の範囲において議論される配列を簡
単に説明する:
配列番号1 マウスκオピオイドレセプターcDNA
配列番号2 マウスκオピオイドレセプターアミノ酸配列(mORK1)
配列番号3 マウスδオピオイドレセプターcDNA
配列番号4 マウスδオピオイドレセプターアミノ酸配列(mORD1)
配列番号5 マウス由来のオピオイドレセプター様レセプターのcDNA
配列番号6 マウス由来のオピオイドレセプター様レセプ
ターのアミノ酸配列(MOP2)
配列番号7 マウスκレセプターにおいてSpe I制限部位を生成するのに用い
られるオリゴヌクレオチド
配列番号8 マウスδレセプターにおいてSpe I制限部位を生成するのに用い
られるオリゴヌクレオチド
配列番号9 マウスライブラリーをスクリーニングするのに用いられるオリゴ
ヌクレオチド
配列番号10 マウスライブラリーをスクリーニングするのに用いられるオリ
ゴヌクレオチド
配列番号11 ヒトオピオイドレセプターの部分ゲノム配列
配列番号12 ヒトオピオイドレセプターの部分アミノ酸配列
配列番号13 ソマトスタチンレセプターサブタイプSSTR1の第3細胞内ルー
プのアミノ酸配列。
配列番号14 マウスκレセプターの第3細胞内ループのアミノ酸配列。
配列番号15 マウスδレセプターの第3細胞内ループのアミノ酸配列。
配列番号16 ソマトスタチンレセプターサブタイプSSTR1の第2細胞内ルー
プのアミノ酸配列。
配列番号17 マウスκおよびδレセプターの第2細胞内ループのアミノ酸
配列。
配列番号18 ソマトスタチンレセプターサブタイプSSTR
1のアミノ末端由来の順方向PCRプライマー。
配列番号19 ソマトスタチンレセプターサブタイプSSTR1のアミノ末端由来
の逆方向PCRプライマー。
配列番号20 マウスδレセプターのアミノ末端由来の順方向PCRプラィマー
。
配列番号21 マウスδレセプターのアミノ末端由来の逆方向PCRプライマー
。
配列番号22 マウスκレセプターのアミノ末端由来の順方向PCRプライマー
。
配列番号23 マウスκレセプターのアミノ末端由来の逆方向PCRプライマー
。
配列番号24 ソマトスタチンレセプターサブタイプSSTR1の第3細胞内ルー
プ由来の順方向PCRプライマー。
配列番号25 ソマトスタチンレセプターサブタイプSSTR1の第3細胞内ルー
プ由来の逆方向PCRプライマー。
配列番号26 マウスδレセプターの第3細胞内ループ由来の順方向PCRプラ
イマー。
配列番号27 マウスδレセプターの第3細胞内ループ由来の逆方向PCRプラ
イマー。
配列番号28 マウスκレセプターの第3細胞内ループ由来の順方向PCRプラ
イマー。
配列番号29 マウスκレセプターの第3細胞内ループ由来の逆方向PCRプラ
イマー。
配列番号30 ソマトスタチンレセプターサブタイプSSTR
1のカルボキシ末端由来の順方向PCRプライマー。
配列番号31 ソマトスタチンレセプターサブタイプSSTR1のカルボキシ末端
由来の逆方向PCRプライマー。
配列番号32 マウスδレセプターのカルボキシ末端由来の順方向PCRプライ
マー。
配列番号33 マウスδレセプターのカルボキシ末端由来の逆方向PCRプライ
マー。
配列番号34 マウスκレセプターのカルボキシ末端由来の順方向PCRプライ
マー。
配列番号35 マウスκレセプターのカルボキシ末端由来の逆方向PCRプライ
マー。
配列番号36 Gタンパク質のGoαサブユニットに対する抗血清を生成するの
に用いられる抗原のアミノ酸配列。
配列番号37 Gタンパク質のGoαサブユニットに対する抗血清を生成するの
に用いられる抗原のアミノ酸配列。
配列番号38 マウスκレセプターのカルボキシ末端に対する抗血清を生成す
るのに用いられる抗原のアミノ酸配列。
配列番号39 マウスκレセプターのアミノ末端に対する抗血清を生成するの
に用いられる抗原のアミノ酸配列。
配列番号40 マウスδレセプターのアミノ末端に対する抗血清を生成するの
に用いられる抗原のアミノ酸配列。
配列番号41 マウスδレセプターのカルボキシ末端に対する抗血清を生成す
るのに用いられる抗原のアミノ酸配列。
配列番号42 キメラオピトイドレセプターを生成するの
に用いられるマウスδレセプター由来のオリゴヌクレオチド配列。
配列番号43 キメラオピトイドレセプターを生成するのに用いられるマウス
κレセプター由来のオリゴヌクレオチド配列。
配列番号44 アスパラギン酸128をアスパラギンに変異誘発するのに用いら
れるマウスδレセプター由来のオリゴヌクレオチド配列。
配列番号45 ヒスチジン128をアスパラギンに変異誘発するのに用いられる
マウスδレセプター由来のオリゴヌクレオチド配列。
配列番号46 δオピトイドレセプターのC末端に対するポリクローナル抗血
清を得るのに用いられるペプチド。発明の詳細な説明
I.本発明
本発明は、DNAセグメント、精製ポリペプチド、抗体を得るための方法、組換
えオピオイドレセプターを得て用いるのに必要な組換え宿主細胞をクローニング
し、そして用いる方法を提供する。従って、オピオイドレセプターに対する従来
技術で明らかな、古典的遺伝学の標準手法または分子生物学における技術を適用
する際に直面する困難性が、克服された。従って、本発明は、一般的にオピオイ
ドレセプターの組成物およびその調製方法およびその使用に関する。
II.ポリヌクレオチド
A.オピオイドレセプターポリペプチドをコードする単離および精製されたポ リヌクレオチド。
1つの局面においては、本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドをコー
ドする単離および精製されたポリヌクレオチドを提供する。好ましい実施態様で
は、本発明のポリヌクレオチドはDNA分子である。より好ましくは、本発明のポ
リヌクレオチドは、δ、κ、μ、またはσオピオイドレセプターであるポリペプ
チドをコードする。さらにより好ましくは、本発明のポリヌクレオチドは、ヒト
、マウス、またはマウス様オピオイドレセプターのアミノ酸残基配列(例えば、
配列番号2、配列番号4、配列番号6、または配列番号12の配列)を含むポリ
ペプチドをコードする。最も好ましくは、本発明の単離および精製されたポリヌ
クレオチドは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号11のヌ
クレオチド塩基配列を含む。
本明細書中で用いられるように、用語「ポリヌクレオチド」は、ホスホジエス
テル結合により接続されているヌクレオチドの配列を意味する。ポリヌクレオチ
ドは、本明細書中では、5’から3’方向への方向で示される。本発明のポリヌ
クレオチドは、約680から約数十万塩基対までを含み得る。好ましくは、ポリヌ
クレオチドは、約680〜約150,000塩基対を含み得る。特定のポリヌクレオチドの
好ましい長さは、以下に記載される。
本発明のポリヌクレオチドは、デオキシリポ核酸(DNA)分子またはリボ核酸(RN
A)分子であり得る。ポリヌクレオチドがDNA分子である場合、その分子は遺伝子
またはcDNA分子であり得る。本明細書中では、ヌクレオチド塩基を一文字表記に
より示す:アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)、イノ
シン(I)、およびウラシル(U)。
本発明のポリヌクレオチドは、当業者に周知の標準技術を用いて調製され得る
。本発明のオピオイドレセプターポリペプチドをコードするcDNA分子の調製は、
以下に実施例1および2において記載される。ポリヌクレオチドはまた、ラムダ
ファージ技術を用いてゲノムDNAライブラリーから調製され得る。
別の局面においては、本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドをコード
する単離および精製されたポリヌクレオチドを提供する。ここでこのポリヌクレ
オチドは、このポリペプチドを発現する細胞からcDNAクローンのライブラリーを
構築する工程;このポリペプチドをコードするRNAから調製される標識cDNAプロ
ーブでライブラリーをスクリーニングする工程;およびプローブとハイブリダイ
ズするクローンを選択する工程を包含するプロセスにより調製可能である。好ま
しくは、本発明のポリヌクレオチドは、上記プロセスにより調製される。より好
ましくは、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6
、または配列番号12のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドをコードする。
よ
りさらに好ましくは、このポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号3、配列
番号5、または配列番号11のヌクレオチド配列を含む。
B.プローブおよびプライマー。
別の局面においては、本発明により提供されるDNA配列情報により、本明細書
中で開示された選択されたポリヌクレオチドの遺伝子配列に特異的にハイブリダ
イズする能力を有する比較的短いDNA(またはRNA)配列の調製が可能になる。こ
れらの局面では、適切な長さの核酸プローブが、選択されたヌクレオチド配列(
例えば、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号11に示される
ような配列)を考慮すること基づいて調製される。このような核酸プローブは、
それらがオピオイドレセプターをコードするポリヌクレオチドに特異的にハイブ
リダイズする能力により、種々の実施態様において特定の有用性が与えられる。
最も重要なことには、プローブは、所定のサンプル中の相補的配列の存在を検出
するための種々のアッセイにおいて用いられ得る。
特定の実施態様では、オリゴヌクレオチドプライマーを用いることが有利であ
る。このようなプライマーの配列は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて
哺乳類細胞由来のオピオイドレセプターポリペプチドをコードする遺伝子または
ポリヌクレオチドの規定のセグメントを検出する、増幅する、または変異させる
のに用いるために、本発明のポリヌクレオ
チドを用いて設計される。
本発明に従って特定の利点を提供するために、ハイブリダイゼーション研究ま
たはアッセイのために用いられる好ましい核酸配列は、少なくとも10から70また
はさらに長いヌクレオチド長のポリヌクレオチドに相補的なプローブ分子を包含
する。このポリヌクレオチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、または
配列番号12に示されるようなオピオイドレセプターポリペプチドをコードする
。少なくとも10ヌクレオチド長のサイズが、フラグメントが、安定かつ選択的で
ある二重鎖分子を形成するに充分な長さであることを確実にするに有効である。
もっとも、10塩基長を超える長さにわたって相補的配列を有する分子が、ハイブ
リッドの安定性および選択的を増大させ、そしてそれにより、得られる特異的ハ
イブリッド分子の質および程度を向上させるためには、一般的に好ましい。一般
的には、25〜40ヌクレオチド、55〜70ヌクレオチド、または所望とされるさらな
る長さの遺伝子相補長を有する核酸分子を設計することが好ましい。このような
フラグメントは、例えば、化学的手段によるフラグメントの直接合成、核酸再生
技術(例えば、本明細書中に参考として援用されている米国特許第4,603,102号
に記載のPCR技術)の適用、または適切な挿入片および適切な制限酵素部位を含
む組換えプラスミドからの選択DNAフラグメントの切り出しにより、容易に調製
され得る。
別の局面においては、本発明は、配列番号5の少なくとも
10の連続塩基のセグメントに同一または相補的である塩基配列を含む単離および
精製されたポリヌクレオチドを意図する。ここで、このポリヌクレオチドは、オ
ピオイドレセプターポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイ
ズする。好ましくは、単離および精製されたポリヌクレオチドは、配列番号1、
配列番号3、配列番号5、または配列番号11の少なくとも25〜70の連続塩基の
セグメントに同一または相補的である塩基配列を含む。例えば、本発明のポリヌ
クレオチドは、開示ヌクレオチド配列の40または55の連続塩基に同一または相補
的である塩基のセグメントを含み得る。
従って、本発明のポリヌクレオチドプローブ分子は、それが遺伝子の相補長と
二重鎖分子を選択的に形成する能力のために用いられ得る。想定される適用に依
存して、標的配列に対するプローブの多様な選択度を得るためには、多様なハイ
ブリダイゼーション条件を用いることが望ましい。高い選択度を必要とする適用
については、代表的には、ハイブリッドを形成するに比較的ストリンジェントな
条件を用いることが望ましい。例えば、50℃〜70℃の温度で0.02M〜0.15M NaC
lにより提供されるような、比較的低塩および/または高温の条件を選択する。
これらの条件は、特に選択的であり、そしてプローブと鋳型または標的鎖との間
のミスマッチを(もしあったとしても)ほとんど許容しない。
もちろん、いくつかの適用については、例えば、基礎的な鋳型に標準的にハイ
ブリダイズした変異プライマー鎖を用い
る変異体を調製することが望ましい場合、または他の細胞、機能的等価物などか
らオピオイドレセプターポリペプチドコーディング配列を単離しようとする場合
、あまりストリンジェントでないハイブリダイゼーション条件が、ヘテロ二重鎖
を形成させるために典型的に必要とされる。これらの環境では、20℃〜55℃の範
囲の温度で0.15M〜0.9M塩のような条件を用いることが望まれ得る。それによ
り、クロスハイブリダイズ種は、コントロールハイブリダイゼーションに関して
ポジティブにハイブリダイズするシグナルとして容易に同定され得る。いずれの
場合においても、ホルムアミドの量を増加させて添加することにより、条件は、
よりストリンジェントにされ得ることが一般に理解され得る。ホルムアミドは、
温度上昇と同様に、ハイブリッド二重鎖を脱安定化するように作用する。従って
、ハイブリダイゼーション条件は、容易に操作され得、そしてこのため一般的に
、所望の結果に依存して選択される方法である。
特定の実施態様では、ハイブリッド形成を検出するために、本発明のポリヌク
レオチドを適切な標識と組み合わせて用いることが有利である。広範な種の適切
な標識が当該分野において公知であり、これらは放射性リガンド、酵素リガンド
、または他のリガンド(例えばアビジン/ビオチン)を包含する。これらの標識
は、検出可能なシグナルを与え得る。
一般的に、本明細書中に記載されたハイブリダイゼーションプローブは、溶液
ハイブリダイゼーションならびに固相を
用いる実施態様における試薬として有用であることが想定される。固相に関わる
実施態様では、試験DNA(またはRNA)が、選択されたマトリックスまたは表面に
吸着されるか、またはそうでなければ付加される。この固定された核酸は、次い
で所望の条件下で選択されたプローブとの特異的ハイブリダイゼーションにかけ
られる。選択条件は、当該分野で周知のように、特定の環境および必要とされる
基準(例えば、G+C含有量、標的核酸の型、核酸源、ハイブリダイゼーションプ
ローブのサイズ)に依存する。マトリックスを洗浄して非特異的に結合したプロ
ーブ分子を除去した後、特異的ハイブリダイゼーションが、標識によって検出さ
れるか、または定量もされ得る。
III.オピオイドレセプターポリペプチド
1つの実施態様では、本発明は、単離および精製されたオピオイドレセプター
ポリペプチドを意図する。好ましくは、本発明のオピオイドレセプターポリペプ
チドは組換えポリペプチドである。より好ましくは、本発明のオピオイドレセプ
ターポリペプチドは、δ、κ、μ、またはσオピオイドレセプターポリペプチド
である。さらにより好ましくは、本発明のオピオイドレセプターポリペプチドは
、配列番号2、配列番号4、配列番号6、または配列番号12のアミノ酸残基配
列を含む。オピオイドレセプターポリペプチドは、好ましくは、約500未満のア
ミノ酸残基を含み、そしてより好ましくは
約400未満のアミノ酸残基を含む。
ポリペプチドは、アミノ酸残基配列として本明細書中に開示されている。これ
らの配列は、アミノ末端からカルボキシ末端への方向で左から右へ記載されてい
る。標準的な命名法に従って、アミノ酸残基配列を以下に示すような一文字表記
または三文字表記のいずれかで称する。
改変および変更が本発明のポリペプチドの構造において行われ得、そしてさら
にオピオイドレセプター様特性を有する分子も得ることができる。例えば、配列
において、特定のアミノ酸が、レセプター活性を認められるほどに損失すること
なく別のアミノ酸と置換され得る。ポリペプチドの生物学的機能活性を決定する
のはポリペプチドの相互に作用する能力および性質であるので、特定のアミノ酸
配列置換がポリペプチド配列(または、もちろんその基礎となるDNAコーティ
ング配列)において行われ得、そしてそれにも関わらず同様の特性を有するポリ
ペプチド得ることができる。
このような変更を行う際に、アミノ酸のハイドロパシー指数が考慮され得る。
ポリペプチドに相互作用性生物学的機能を付与することにおけるハイドロパシー
アミノ酸指数の重要性は、一般に当該分野で理解されている(KyteおよびDoolit
tle,J.Mol.Biol.,157:105-132,1982)。特定のアミノ酸が類似のハイドロ
パシー指数またはスコアを有する他のアミノ酸と置換されて、そして類似の生物
学的活性を有するポリペプチドをさらに生じ得ることは公知である。各アミノ酸
には、その疎水性および荷電特性に基づいてハイドロパシー指
数が割り当てられている。それらの指数は、以下の通りである:イソロイシン(
+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);
システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);
グリシン(−0.4);トレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン
(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グ
ルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アス
パラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)。
アミノ酸の相対的ハイドロパシー特性は、得られるポリペプチドの二次構造を
決定し、続いてこのポリペプチドと他の分子(例えば酵素、基質、レセプター、
抗体、抗原など)との相互作用を定義すると考えられている。アミノ酸が類似の
ハイドロパシー指数を有する別のアミノ酸により置換され得、そして機能的に等
価のポリペプチドをさらに得ることができることは、当該分野において公知であ
る。このような変更においては、そのハイドロパシー指数が±2以内のアミノ酸
の置換が好ましく、±1以内のアミノ酸の置換が特に好ましく、そして±0.5以
内のアミノ酸の置換がさらにより特に好ましい。
同様のアミノ酸の置換はまた、親水性に基づいて行われ得、特に、それにより
創製される生物学的機能的等価ポリペプチドまたはペプチドが免疫学的実施態様
における使用が意図される場合に行われ得る。本明細書中に参考として援用され
て
いる米国特許第4,554,101号には、その近接のアミノ酸の親水性により決定され
るような、ポリペプチドの最大局所的平均親水性は、その免疫原性および抗原性
、すなわちそのポリペプチドの生物学的特性と相関関係を有することが述べられ
ている。
米国特許第4,554,101号に詳述されているように、以下の親水性値がアミノ酸
残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラ
ギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパ
ラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);プロリン(−0.5±
1);トレオニン(−0.4);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);シス
テイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8)
;イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);
トリプトファン(−3.4)。アミノ酸が、類似の親水性値を有する別のアミノ酸
により置換され得、そして生物学的等価物、特に免疫学的に等価なポリペプチド
をさらに得ることができることは、理解され得る。このような変更においては、
その親水性値が±2以内のアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のアミノ酸の置
換が特に好ましく、そして±0.5以内のアミノ酸の置換がさらにより特に好まし
い。
従って、上記で概説したように、アミノ酸置換は、一般的にアミノ酸側鎖置換
基の相対的類似性(例えば、それらの疎水性、親水性、荷電、サイズなど)に基
づく。上記の種々の
特徴を考慮する代表的な置換は、当業者に周知であり、そして以下を包含する:
アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびト
レオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、および
イソロイシン(以下の表1を参照のこと)。従って、本発明は、上記のオピオイ
ドレセプターポリペプチドの機能的または生物学的等価物を意図する。
生物学的または機能的に等価のポリペプチドはまた、部位特異的変異誘発を用
いて調製され得る。部位特異的変異誘発は、基礎とするDNAの特異的な変異誘発
を介して、その配列に
由来する第二世代のポリペプチド、もしくは生物学的機能的に等価のポリペプチ
ドまたはペプチドの調製に有用な技術である。上記のように、このような変化は
、アミノ酸置換が所望される場所において所望され得る。この技術は、さらに、
DNAに1またはそれ以上のヌクレオチド配列の変化を導入することにより、配列
変異型(例えば、1またはそれ以上の上記の考慮を含む)を調製し、そして試験す
る迅速な能力を提供する。部位特異的変異誘発は、特定のオリゴヌクレオチド配
列の使用を介して変異体の産生を可能にする。このオリゴヌクレオチド配列は、
所望の変異のDNA配列、ならびに十分な数の近接したヌクレオチドをコードして
、横断される欠失結合部の両側で安定な二本鎖を形成するのに十分なサイズと配
列の複雑さとを有するプライマー配列を提供する。代表的には、約17〜25ヌクレ
オチドの長さのプライマーが好ましく、変化する配列の結合部の両側で約5〜10
残基をともなう。
一般に、部位特異的変異誘の技術は、Adelmanら(1983)により例示されるよう
に当該分野で周知である。理解されるように、この技術は、一本鎖および二本鎖
形態の両方で存在し得るファージベクターを使用する。部位特異的変異誘発に有
用な代表的なベクターは、M13ファージ(Messingら、1981)のようなベクターを含
む。これらのファージは市販されており、そしてそれらの使用は、一般に当業者
に公知である。
一般に、本発明による部位特異的変異誘発は、一本鎖ベクターを最初に得るこ
とにより行われ、この一本鎖ベクターは、
その配列内に、選択したオピオイドレセプターポリペプチド配列の全部または一
部分をコードするDNA配列を含む。所望の変異配列を有するオリゴヌクレオチド
プライマーは、一般的に合成的に、例えば、Creaら(1987)の方法により調製され
る。次いで、このプライマーは、変異を有する鎖の合成を完了するために、一本
鎖ベクターにアニールされ、そしてE.coliポリメラーゼIクレノウフラグメン
トのような酵素の使用により伸長される。こうして、ヘテロ二本鎖は形成され、
ここで、一本の鎖が、元の非変異配列をコードし、そして2本目の鎖が、所望の
変異を有する。次いで、このヘテロ二本鎖ベクターは、E.coli細胞のような適
切な細胞を形質転換するために用いられ、そして変異を有する組換えベクターを
含むクローンが選択される。市販されるキットは、オリゴヌクレオチドプライマ
ーを除いて、必要な全ての試薬を有する。
本発明のオピオイドレセプターポリペプチドは、その任意の形態のオピオイド
またはオピオイドのアナログに結合し得るオピオイドレセプターポリペプチドで
あり得ると理解される。さらに、本発明のオピオイドレセプターポリペプチドは
、特定の供給源には限定されない。本明細書中に開示されるように、本発明の技
術および組成物は、例えば、マウス供給源からのmslsl-3の同定および単離を提
供する。従って、本発明は、種々の供給源由来のオピオイドレセプターポリペプ
チドの属の一般的な検出および単離を提供する一方、この属の特に3つの種を同
定する。オピオイドレセプターポリペプチド
のファミリーの多くの種は、本発明の組成物および方法を用いて検出および単離
することができる。例えば、本発明はまた開示している。
本発明のポリペプチドは、当業者に周知の標準的技術により調製される。この
ような技術は、このポリペプチドを含むことが公知な組織からの単離および精製
、ならびに形質転換細胞を用いてこのようなポリペプチドをコードするクローニ
ングされたDNAからの発現を包含するが、この限りではない(以降の本明細書中の
実施例1および2を参照のこと)。
他の実施態様では、本発明は、オピオイド様レセプターポリペプチドを意図す
る。このようなポリペプチドは、例えば、配列番号6のアミノ酸残基配列を含む
。オピオイド様レセプターポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、例え
ば、配列番号5のヌクレオチド塩基配列を含む。
オピオイドレセプターポリペプチドは、実質的にはヒトを含む全ての動物に見
出される。マウスδオピオイドレセプターの配列は、以前に記載されている(Kie
fferら、1992、およびEvansら、1992)。他のレセプターの場合と同様、異なる種
のオピオイドレセプターの構造および機能の間にはわずかな変化しかないようで
ある。種間の違いがある場合、これらの違いの同定は、当業者の技術の範囲内で
十分である。従って、本発明は、いかなる哺乳類由来のオピオイドレセプターポ
リペプチドも意図する。好ましい哺乳類は齧歯類またはヒトである。
IV.発現ベクター
別の実施態様では、本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。好ましくは、本発明の発現
ベクターは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、または配列番号12のアミノ
酸残基配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを包含する。さら
に好ましくは、本発明の発現ベクターは、配列番号1、配列番号3、配列番号5
、または配列番号11のヌクレオチド塩基配列を含むポリヌクレオチドを包含する
。さらになお好ましくは、本発明の発現ベクターは、エンハンサー−プロモータ
ーに作動可能に連結したポリヌクレオチドを含む。さらに一層好ましくは、本発
明の発現ベクターは、原核生物のプロモーターに作動可能に連結したポリヌクレ
オチドを含む。あるいは、本発明の発現ベクターは、真核生物のプロモーターで
あるエンハンサー−プロモーターに作動可能に連結したポリヌクレオチドを含み
、そして発現ベクターは、さらに、カルボキシ末端のアミノ酸の3'、およびコ
ードされたポリペプチドの転写単位内に位置するポリアデニル化シグナルを含む
。
プロモーターは、DNA分子の領域であり、代表的には、転写が開始する点(すな
わち、転写開始部位)の前(上流)の約100ヌクレオチド対以内にある。この領域は
、代表的には、異なる遺伝子における類似の相対的な位置に位置するいくつかの
タイプのDNA配列エレメントを含む。本明細書に用いられるとこ
ろの、用語「プロモーター」は、当該分野で、上流プロモーター領域、プロモー
ター領域、または一般的な真核生物RNAポリメラーゼII転写単位のプロモーター
と呼ばれるものを含む。
他のタイプの明確に区別される転写調節配列エレメントは、エンハンサーであ
る。エンハンサーは、特定のコーディング領域(例えば、遺伝子)の時間、位置、
および発現レベルの特異性を提供する。エンハンサーの主要な機能は、このエン
ハンサーに結合する1またはそれ以上の転写因子を含む細胞内での、コーディン
グ配列の転写レベルの増加である。プロモーターと異なり、エンハンサーは、プ
ロモーターが存在する限り、転写開始部位から可変性の距離に位置する場合に、
機能し得る。
本明細書中で用いられるところの、用語「エンハンサー−プロモーター」は、
エンハンサーおよびプロモーターエレメントの両方を含む混成単位を意味する。
エンハンサー−プロモーターは、少なくとも1つの遺伝子産物をコードするコー
ディング配列に作動可能に連結される。本明細書中に用いられるところの、用語
「作動可能に連結」は、コーディング配列の転写がエンハンサー−プロモーター
により制御および調節されるように、そのエンハンサー−プロモーターが、その
コーディング配列に接続されることを意味する。エンハンサー−プロモーターを
コーディング配列に作動可能に連結する手段は、当該分野で周知である。やはり
当該分野で周知なように、転写が制御されるコーディング配列に対する正確な配
向および位置は、とりわけ、そのエンハンサー−プロモーターの特定の性質に依
存する。従って、TATAボックスの最小プロモーターは、代表的には、転写開始部
位の約25〜約30塩基対上流に位置し、そして上流プロモーターエレメントは、代
表的には、転写開始部位の約100〜約200塩基対上流に位置する。対照的に、エン
ハンサーは、開始部位から下流に位置され得、そしてこの部位からかなり離れて
存在し得る。
本発明のベクター構築物に用いられるエンハンサー−プロモーターは、トラン
スフェクトされるべき細胞で発現を駆動する任意のエンハンサー−プロモーター
であり得る。周知の特性を有するエンハンサー−プロモーターを使用することに
より、遺伝子産物の発現のレベルおよびパターンが最適化され得る。
発現ベクターのコーディング配列は、転写終止領域に作動可能に連結される。
RNAポリメラーゼは、ポリアデニル化が起こる部位を超えてコードされたDNA配列
を転写する。代表的には、ポリアデニル化部位の数百(a few hundred)塩基対下
流に位置するDNA配列が、転写の終止に役立つ。これらのDNA配列は、本明細書中
で転写終止領域と呼ばれる。これらの領域は、転写されるメッセンジャーRNA(mR
NA)の効率の良いポリアデニル化に必要である。転写終止領域は、当該分野で周
知である。本発明のアデノウイルスベクター構築物中に用いられる好ましい転写
終止領域は、SV40のポリアデニル化シグナルまたはプロタミン遺伝子を含む。
発現ベクターは、オピオイドレセプターポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチドを含む。このようなポリペプチドは、非オピオイドレセプターポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチドセグメントからそのセグメントを識別するため
に十分な長さのオピオイドレセプターポリペプチドをコードする、ヌクレオチド
塩基の配列を含まなければならない。本発明のポリペプチドはまた、交換するア
ミノ酸の相対的なハイドロパシー値のような考察に基づき選択した変化を有する
ような、変異型のアミノ酸配列を有する、生物学的に機能的なポリペプチドまた
はペプチドをコードし得る。これらの変異型配列は、天然供給源から単離される
変異型配列か、または部位指向変異誘発のような変異誘発手順を用いて、本明細
書で開示する配列中で誘起される変異型配列である。
好ましくは、本発明の発現ベクターは、配列番号2、配列番号4、配列番号6
、または配列番号12のアミノ酸残基配列を含むポリペプチドをコードするポリヌ
クレオチドを含む。発現ベクターは、上記の任意のオピオイドレセプターポリペ
プチドのオピオイドレセプターポリペプチドコーディング領域自身を含み得、ま
たはそのようなオピオイドレセプターポリペプチドの塩基性(basic)コーディン
グ領域において選択した変化または改変を有するコーティング領域を含み得る。
あるいは、このようなベクターまたはフラグメントは、より大きなポリペプチド
または塩基性(basic)コーディング領域をやはり含むポリペプチドをコードし得
る。いずれにせよ、コド
ンの重複性および生物学的機能等価性のために、本発明のこの局面は、上記のポ
リペプチド配列に対応する特定のDNA分子に限定されないことは理解されるべき
である。
例示的なベクターは、pCMV6bおよびpCMV6c(Chiron Corp.,Emeryville CA)を
含む、哺乳類の発現ベクターのpCMVファミリーを含む。ある場合、および特にこ
れらの個々の哺乳類発現ベクターの場合には、生じる構築物は、pSV2neoのよう
な選択マーカーを含むベクターでの同時トランスフェクションを必要とし得る。
DG44のような、ジヒドロ葉酸レダクターゼ欠失チャイニーズハムスター卵巣細胞
株への同時トランスフェクションを介して、このような発現ベクターに組み込ま
れたDNAによってオピオイドポリペプチドを発現するクローンは、検出され得る
。
本発明のDNA分子は、当該分野で周知な多くの技術によりベクターに組み込ま
れ得る。例えば、ベクターpUC18は、特に価値があることが示されている。同様
に、関連するベクターM13mp18およびM13mp19は、本発明のある実施態様で、特に
、ジデオキシ配列決定の実施に用いられ得る。
本発明の発現ベクターは、オピオイドレセプターポリペプチドをコードするDN
A自身の大量の調製手段、およびコードされたポリペプチドおよびペプチドの調
製手段の両方として有用である。本発明のオピオイドレセプターポリペプチドが
、組換え手段により作製される場合、原核生物または真核生物の発現ベクターの
いずれをもシャトル系として使用し得るこ
とが意図される。しかし、原核生物系では、通常、前駆体ポリペプチドの正確な
プロセッシングが不可能であり、特に、このような系は、膜に関連する真核生物
のポリペプチドの正確なプロセッシングが不可能であるという点で、また、真核
生物のオピオイドレセプターポリペプチドが、開示した本発明の教示を用いて期
待されるので、真核生物宿主でこのような配列が発現されがちであろう。しかし
、DNAセグメントが、真核生物オピオイドレセプターポリペプチドをコードする
場合でさえ、原核生物発現が、さらに適応性を有し得ることは意図される。従っ
て、本発明は、真核生物細胞および原核生物細胞の間で往復し得るベクターとの
組合せで用いられ得る。細菌宿主細胞および真核生物宿主細胞の使用が可能なこ
のような系は、本明細書に記載される。
組換えオピオイドレセプターポリペプチドの発現が所望され、そして真核生物
宿主が意図される場合、真核生物の複製起点を組み込む、プラスミドのようなベ
クターを使用することは、最も好ましい。さらに、真核生物系での発現の目的の
ために、オピオイドレセプターをコードする配列を、チャイニーズハムスター卵
巣細胞と組合せて用いられるプロモーターのような、効果的な真核生物プロモー
ターと近接して、そしてその制御下に位置させることが望ましい。真核生物また
は原核生物のいずれであっても、コーディング配列をプロモーターの制御下にお
くために、真核生物か原核生物かにかかわらず、一般に必要であるものは、選択
したプロモーターに
関して3'または下流の約1から約50ヌクレオチドの間に、ポリペプチドの適切
な翻訳読み取り枠の翻訳開始部位の5'末端を位置させることである。さらに、
真核生物での発現が期待される場合、代表的には、オピオイドレセプターポリペ
プチドを含む転写単位に、適切なポリアデニル化部位を組み込むことが所望され
る。
pCMVプラスミドは、本発明で特に有用な一連の哺乳類発現ベクターである。ベ
クターは、基本的に全ての培養細胞で使用するために設計されており、そしてSV
40-形質転換シミアンCOS細胞株で非常によく作動する。pCMV1、2、3、および5ベ
クターは、各プラスミドのポリリンカー領域の、あるユニーク制限部位で互いに
異なる。pCMV4ベクターは、ポリリンカーの前の配列に翻訳エンハンサーを含む
点で、これら4つのプラスミドと異なる。直接的なpCMV1〜5のシリーズのベクタ
ー由来ではないが、機能的に類似するpCMV6bおよびcベクターは、Emeryville,C
AのChiron Corp.から入手され、そしてポリリンカー領域の配向が互いに逆であ
ることを除いて、同一である。
pCMVプラスミドの一般的な構成成分は、以下のとおりである。ベクターのバッ
クボーンは、pTZ18R(Pharmacia)であり、そして一本鎖DNAの生産のためのバクテ
リオファージf1の複製起点およびアンピシリン耐性遺伝子を含む。CMV領域は、
ヒトサイトメガロウイルス(Towne株)主要極初期遺伝子の強力なプロモーター-調
節領域のヌクレオチド-760〜+3からなる(Thom
senら、1984; Boshartら、1985)。ヒト成長ホルモンフラグメント(hGH)は、この
遺伝子の配列1533〜2157を示す転写終止およびポリアデニル化シグナルを含む(S
eeburg,1982)。このフラグメントには、Alu中頻度反復DNA配列がある。最後に
、SV40の複製起点および、(Okayamaら、1983)に記載されるpcD-Xプラスミド(Hin
dII〜PstIフラグメント)由来の初期領域プロモーター-エンハンサーがある。こ
のフラグメントのプロモーターは、転写がCMV/hGH発現カセットから離れて進行
するように配向される。
pCMVプラスミドは、ポリリンカー領域の違い、および翻訳エンハンサーの存在
または非存在により互いに区別され得る。最初のpCMV1プラスミドは進歩的に改
変され、ポリリンカー領域で、数が増加しているユニーク制限部位が与えられて
いる。pCMV2を作製するために、pCMV1の2つのEcoRI部位の1つが破壊された。p
CMV3を作製するために、pCMV1は、SV40領域(StuI〜EcoRI)由来の短いセグメント
を欠失させることにより改変され、そしてそうすることで、ポリリンカーにユニ
ークなPstI、SalI、およびBamHI部位を作製した。pCMV4を作製するために、CMV
プロモーターから転写されるmRNAの5'非翻訳領域に相当するDNAの合成フラグメ
ントが、C付加された。この配列は、ポリペプチド合成での開始因子の必要性を
減少することにより、翻訳エンハンサーとして働く(Joblingら、1987); Brownin
gら、1988)。pCMV5を作製するために、DNAのセグメント(HpaI〜EcoRI)がpCMV1の
SV40起点領域から欠失され、最
初のポリリンカーの全ての部位をユニークとした。
pCMVベクターは、シミアンCOS細胞、マウスL細胞、CHO細胞、およびHeLa細胞
でうまく発現した。いくつかの並行した比較では、それらは、SV40を元にしたベ
クターに比べ、COS細胞で5〜10倍の高発現レベルを生じた。pCMVベクターは、L
DLレセプター、核因子1、Gsαポリペプチド、ポリペプチドホスファターゼ、
シナプトフィシン(synaptophysin)、シナプシン(synapsin)、インスリンレセプ
ター、インフルエンザ血球凝集素、アンドロゲンレセプター、ステロール26ヒド
キシラーゼ、ステロイド17および21ヒドキシラーゼ、チトクロームP-450オキシ
ドレダクターゼ、βアドレナリン性レセプター、葉酸(folate)レセプター、コレ
ステロール側鎖開裂酵素、およびその他のcDNAの宿主を発現するために用いられ
た。これらのプラスミド中のSV40プロモーターが、優性選択マーカーのような他
の遺伝子を発現するために用いられ得ることは注記される。最後に、pCMUのHind
IIIおよびPstI部位の間のポリリンカーに、疑翻訳開始を起こし得るATG配列があ
る。このコドンは、可能ならば、発現プラスミドで除去されるべきである。非経
口(parenteral)pCMV1およびpCMV4ベクターの構築および使用を記載する論文は、
公開されている(Andersonら、1989b)。
V.トランスフェクト細胞
さらに他の実施態様では、本発明は、オピオイドレセプタ
ーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドで形質転換したまたはトランスフ
ェクトした組換え宿主細胞、および形質転換またはトランスフェクトしたこれら
の細胞由来のトランスジェニック細胞を提供する。好ましくは、本発明の組換え
宿主細胞は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号11のポリヌ
クレオチドでトランスフェクトされる。DNA分子のような外因性ポリヌクレオチ
ドでの形質転換またはトランスフェクトの手法は、当該分野で周知であり、そし
てリン酸カルシウムまたはDEAEデキストラン仲介トランスフェクション、プロト
プラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム仲介トランスフェクション
、直接マイクロインジェクション、およびアデノウイルス感染(Sambrook、Frits
chおよびManiatis、1989)のような技術を含む。
最も広範囲に用いられる方法は、リン酸カルシウムまたはDEAEデキストランの
いずれかにより仲介されたトランスフェクションである。そのメカニズムは依然
として不明瞭であるが、トランスフェクトしたDNAは、エンドサイトーシスによ
り細胞の細胞質に侵入し、そして核へ輸送されると考えられる。細胞のタイプに
依存するが、培養細胞の集団の90%までが、任意の一回でトランスフェクトされ
得る。その高い効率のために、リン酸カルシウムまたはDEAEデキストランにより
仲介されたトランスフェクションは、多数の細胞での外来DNAの一時的な発現を
必要とする実験のために選択される方法である。リン酸カルシウムに仲介された
トランスフェクションはまた、
外来DNAのコピーを組み込む細胞株を確立するために使用され、かかる外来DNAは
、通常、頭から尾(head-to-tail)の縦列配置で宿主細胞ゲノムに配置される。
プロトプラスト融合方法では、目的のプラスミドの多数のコピーを有する細菌
由来のプロトプラストは、培養した動物細胞と直接混合される。細胞膜の融合の
後(通常、ポリエチレングリコールを用いる)、細菌の含有物は、哺乳類細胞の細
胞質に送達され、そしてプラスミドDNAは、核に輸送される。プロトプラスト融
合は、一時的な発現アッセイのために一般に用いる多くの細胞株についてトラン
スフェクションほど効率的でないが、DNAのエンドサイトーシスが非効率的に起
こる細胞株については有用である。プロトプラスト融合は、宿主染色体に縦列に
組み込まれたプラスミドDNAの多くのコピーをしばしば生じる。
種々の哺乳類および植物細胞への短い、高電圧電気パルスの適用は、細胞膜に
ナノメーターサイズの孔の形成を導く。DNAは、これらの孔を通るか、またはこ
の孔の閉鎖をともなう膜構成成分の再分布の結果として、細胞の細胞質に直接的
に取り込まれる。エレクトロポレーションは、非常に効率的であり得、そしてク
ローニングされた遺伝子の一時的な発現および目的の遺伝子の組み込まれたコピ
ーを有する細胞株の確立の両方のために用いられ得る。エレクトロポレーション
は、リン酸カルシウム仲介トランスフェクションおよびプロトプラスト融合と対
照的に、しばしば、1つ、または多くて2、
3の外来DNAの組み込まれたコピーを有する細胞株を生じさせる。
リポソームトランスフェクションは、リポソーム内でのDNAおよびRNAのカプセ
ル化に、続いて、細胞膜とリポソームとの融合を含む。どのようにDNAが細胞に
送達されるのかというメカニズムは、不明確であるが、トランスフェクション効
率は、高くて90%であり得る。
DNA分子の核への直接的なマイクロインジェクションは、低pHのエンドソーム
のような細胞の分画にDNAを曝さないという利点を有する。従って、マイクロイ
ンジェクションは、目的のDNAの組み込まれたコピーを有する細胞の株を確立す
る方法として主に用いられる。
細胞トランスフェクションのためのベクターとしてのアデノウイルスの使用は
、当該分野で周知である。アデノウイルスベクター仲介の細胞のトランスフェク
ションは、種々の細胞について報告されている(Stratford-Perricaudetら、1992
)。
トランスフェクトされる細胞は、原核性または真核性であり得る。好ましくは
、本発明の宿主細胞は、真核性細胞である。さらに好ましくは、本発明の組換え
宿主細胞はCOS-1細胞である。ヒトのオピオイドレセプターポリペプチドの生産
に興味がある場合、培養哺乳類またはヒト細胞は、特に興味がある。
他の局面では、本発明の組換え宿主細胞は、原核生物宿主細胞である。好まし
くは、本発明の組換え宿主細胞は、Esch
erichia coliのDH5α株の細菌細胞である。一般に、原核生物は、DNA配列の最初
のクローニング、および本発明で有用なベクターの構築に好ましい。例えば、E
.coli K12株は、特に有用であり得る。用いられ得る他の微生物の株は、E.col
i B、およびE.coli X1776(ATCC第31537号)を含む。これらの例は、もちろん、
限定ではなく例示を意図している。
原核生物はまた、発現にも用いられ得る。前記の株、およびE.coli W3110(F
、λ、プロトトロフ、ATTC第273325号)、Bacillus subtilusのようなバチルス、
またはSalmonella typhimuriumまたはSerratus marcesansのような他の腸内細菌
科、および種々のPseudomonas種は、用いられ得る。
一般に、宿主細胞と適合性の種由来のレプリコンおよび制御配列を含むプラス
ミドベクターは、これらの宿主と関連して用いられる。ベクターは、通常、複製
部位、および形質転換細胞で表現型での選択を提供し得るマーカー配列を有する
。例えば、E.coliは、E.coli種由来のプラスミドpBR322を用いて、形質転換さ
れ得る(Bolivarら、1977)。pBR322は、アンピシリンおよびテトラサイクリン耐
性に関する遺伝子を含み、従って、形質転換細胞を同定する容易な手段を提供す
る。pBRプラスミド、もしくは他の微生物プラスミドまたはファージはまた、そ
れ自身のポリペプチドの発現のために微生物により用いられ得るプロモーターを
含まなければならないか、または含むために改変されなければならない。
組換えDNA構築で最も一般的に用いるプロモーターは、β-
ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトースプロモーター系(Changら、1978
; Itakuraら、1977; Goeddelら、1979; Goeddelら、1980)およびトリプトファン
(TRP)プロモーター系(ヨーロッパ出願公開第0036776号; Siebwenlistら、1980)
を含む。これらは、最も一般的に用いられるが、他の微生物プロモーターが発見
され、そして利用され、そしてそれらのヌクレオチド配列に関する詳細が公開さ
れているので、当業者はプラスミドベクターに機能的なプロモーターを導入し得
る(Siebwenlistら、1980)。
原核生物に加えて、酵母のような真核微生物は使用され得る。Saccharomyces
cerevisiaseまたは一般のパン酵母は、真核微生物の中で最も一般的に用いられ
るが、多くの他の株が一般に利用可能である。例えば、Saccharomycesでの発現
では、プラスミドYRp7は、一般的に用いられる(Stinchcombら、1979; Kingsman
ら、1979; Tschemperら、1980)。このプラスミドは、トリプトファン中で成長す
る能力を欠損する酵母の変異株(例えば、ATCC第44076号またはPEP4-1)の選択マ
ーカーを提供するtrp1遺伝子をすでに含む(Jones,1977)。従って、酵母宿主細
胞ゲノムの特徴としてのtrp1損傷の存在は、トリプトファンの非存在下での成長
による形質転換の検出に効率的な環境を提供する。
酵母ベクターの適切なプロモーター配列は、3-ホスホグリセレートキナーゼの
プロモーター(Hitzemanら、1980)または他の糖分解酵素のプロモーター(Hessら
、1968; Hollandら、
1978)を含み、他の糖分解酵素は、例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-
リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホ
スホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセレ
ートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、ホ
スホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼである。適切な発現プラス
ミドの構築では、これらの遺伝子に関連する終止配列はまた、発現ベクターの発
現されるべき配列から下流に導入され、mRNAのポリアデニル化およびターミネー
ションを提供する。他のプロモーターは、転写が成長条件により制御されるとい
うさらなる利点を有し、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、
酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、および前記グリセルアルデ
ヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびにマルトースおよびガラクトースの利
用の原因となる酵素のプロモーター領域である。酵母適合性プロモーター、起点
または複製および終止配列を含む任意のプラスミドベクターは適切である。
微生物に加えて、多細胞生物由来の細胞の培養物はまた、宿主として使用され
得る。原則として、任意のこのような細胞培養は、脊椎動物または無脊椎動物い
ずれの由来でも、作動し得る。しかし、興味は、脊椎動物細胞で最も大きく、そ
して脊椎動物細胞の培養物(組織培養)の増殖は、近年ルーチンな手順となった
(KruseおよびPeterson、1973)。このような
有用な宿主細胞株の例は、AtT-20、VEROおよびHeLa細胞、チャイニーズハムスタ
ー卵巣(CHO)細胞株、ならびにW138、BHK、COSM6、COS-7、293およびMDCK細胞株
である。このような細胞のための発現ベクターは、通常、(必要な場合)複製起点
、発現されるべき遺伝子の上流に位置するプロモーターを、任意の必要なリボソ
ーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、および転写終止配列
に加えて含む。
哺乳類細胞における使用について、発現ベクターの制御機能は、しばしば、ウ
イルス性物質由来である。例えば、一般に用いられるプロモーターは、ポリオー
マ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、および最も頻繁にはシミアンウ
イルス40(SV40)由来である。SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、両
方ともSV40ウイルスの複製起点も含むフラグメントとしてウイルスから容易に得
られるために、有用である(Fiersら、1978)。より小さなまたはより大きなSV40
フラグメントはまた、ウイルスの複製起点に位置するHindIII部位からBglI部位
に向かって伸長する約250bpの配列を含むものであれば、用いられ得る。さらに
、所望の遺伝子配列に通常に関連するプロモーターまたは制御配列の利用は、こ
のような制御配列が宿主細胞系と適合性であれば、やはり可能であり、そしてし
ばしば所望される。
複製起点は、SV40または他のウイルス(例えば、ポリオーマ、アデノ、VSV、BP
V、CMV)供給源由来であり得るような、もしくは宿主細胞染色体の複製メカニズ
ムにより提供され得るよ
うな外因性起点を含むようにベクターを構築することで、提供され得る。ベクタ
ーが、宿主細胞の染色体に組み込まれる場合、しばしば後者で十分である。
VI.組換えオピオイドレセプターポリペプチドの調製。
さらに他の実施態様では、本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドをコ
ードするポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトして、形質転換宿主細胞を
生産すること;およびポリペプチドの発現に十分な生物学的条件下で形質転換宿
主細胞を維持することを含む、オピオイドレセプターポリペプチドを調製するプ
ロセスを意図する。好ましくは、形質転換宿主細胞は、真核生物細胞である。さ
らになお好ましくは、真核生物細胞は、COS-1細胞である。あるいは、宿主細胞
は、原核生物細胞である。さらに好ましくは、原核生物細胞は、Escherichia co
liのDH5α株の細菌細胞である。さらになお好ましくは、形質転換細胞にトラン
スフェクトされるポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、
または配列番号11のヌクレオチド塩基配列を含む。最も好ましいトランスフェク
ションは、本明細書中で以前に開示した発現ベクターを用いて達成される。
このプロセスで用いる宿主細胞は、機能的な組換えオピオイドレセプターポリ
ペプチドを発現し得る。好ましい宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞
である。しかし、種々の細胞が、本発明のプロセスに適用できる。例えば、酵母
細胞、ヒト細胞株、および当業者に周知の他の真核生物細胞株である。
トランスフェクションに続いて、細胞は、オピオイドレセプターポリペプチド
の発現に十分な時間の間、培養条件下で維持される。培養条件は、当該分野で周
知であり、そしてイオン組成および濃度、温度、pHなどを含む。代表的には、ト
ランスフェクト細胞は、培地中で培養条件下で維持される。種々の細胞タイプに
適切な培地は、当該分野で周知である。好ましい実施態様では、温度は、約20℃
から約50℃、さらに好ましくは約30℃から約40℃、さらになお好ましくは約37℃
である。
pHは、好ましくは約6.0の値から約8.0の値、さらに好ましくは約6.8の値から
約7.8の値、および最も好ましくは約7.4である。オスモル濃度は、好ましくは約
200ミリオスモル/リットル(mosm/L)から約400mosm/l、およびさらに好ましくは
約290mosm/Lから約310mosm/Lである。コードされたタンパク質のトランスフェク
ションおよび発現に必要な他の生物学的条件は、当該分野で周知である。
トランスフェクト細胞は、オピオイドレセプターポリペプチドの発現に十分な
時間の間維持される。適切な時間は、とりわけ、用いる細胞タイプに基づき、そ
して熟達した技術者により容易に決定され得る。代表的には、持続時間は、約2
日から約14日である。
組換えオピオイドレセプターポリペプチドは、トランスフ
ェクト細胞またはそれらの細胞が培養されている培地のいずれかから回収または
採取される。回収は、オピオイドレセプターポリペプチドの単離および精製を含
む。ポリペプチドの単離および精製技術は、当該分野で周知であり、そして沈澱
、濾過、クロマトグラフィー、電気泳動などのような手順を含む。
VII.抗体。
さらに他の実施態様では、本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドと免
疫反応性の抗体を提供する。好ましくは、本発明の抗体は、モノクローナル抗体
である。さらに好ましくは、オピオイドレセプターポリペプチドは、配列番号2
、配列番号4、配列番号6、または配列番号12のアミノ酸残基配列を含む。抗体
の調製および特徴付けのための手段は、当該分野で周知である(例えば、Antibod
ies”A Laboratory Manual,E.HowellおよびD.Lane,Cold Spring Harbor Lab
oratory,1988を参照)。
簡単に言うと、ポリクローナル抗体は、動物を本発明のポリペプチドまたはポ
リヌクレオチドを含む免疫原で免疫化して、そして免疫化動物由来の抗血清を採
取することにより調製される。広範囲な動物種が、抗血清の生産に用いられ得る
。代表的には、抗-抗血清の生産に用いる動物は、ウサギ、マウス、ラット、ハ
ムスター、またはモルモットである。ウサギのかなり大量の血液のために、ウサ
ギは、ポリクローナル抗
体の生産について好ましい選択である。
当該分野で周知のように、特定のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの免疫
原性は変化し得る。従って、本発明の免疫原(例えば、ポリペプチドまたはポリ
ヌクレオチド)をキャリアと結合することは、しばしば必要である。例示的かつ
好ましいキャリアは、スカシガイヘモシアニン(KLH)およびウシ血清アルブミン(
BSA)である。オボアルブミン、マウス血清アルブミン、またはウサギ血清アルブ
ミンのような他のアルブミンはまた、キャリアとして用いられ得る。
ポリペプチドまたはポリヌクレオチドをキャリアタンパク質に結合する手段は
、当該分野で周知であり、そしてグルタルアルデヒド、m-マレイミドベンコイル
-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、カルボジイミド、およびビス-ビアゾ化
ベンジジンを含む。
当該分野で周知のように、特定の免疫原に対する免疫原性は、免疫応答の非特
異的刺激剤(アジュバントとして公知)の使用により促進され得る。例示的かつ好
ましいアジュバントは、完全フロイントアジュバント、不完全フロイントアジュ
バント、および水酸化アルミニウムアジュバントを含む。
ポリクローナル抗体の生産で用いる免疫原の量は、とりわけ、免疫原の性質お
よび免疫化に用いる動物で変化する。種々の経路は、免疫原を投与するために用
いられ得る(皮下、筋肉内、皮内、静脈内、および腹腔内)。ポリクローナル抗体
の生産は、免疫化後の種々の時点での免疫化動物の血液のサン
プリングによりモニターされる。所望のレベルの免疫原性が得られると、免疫化
動物は採血され、そして血清は単離および保存され得る。
他の局面では、本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドと免疫反応性の
抗体を生産する、以下の工程を含むプロセスを意図する:(a)組換え宿主細胞を
オピオイドレセプターポリペプチドをコードするポリヌクレオチドでトランスフ
ェクトする工程;(b)ポリペプチドの発現に十分な条件下で宿主細胞を培養する
工程;(C)ポリペプチドを回収する工程;および(d)ポリペプチドに対する抗体を
調製する工程。好ましくは、宿主細胞は、配列番号1、配列番号3、配列番号5
、または配列番号11のポリヌクレオチドでトランスフェクトされる。さらになお
好ましくは、本発明は、上記のプロセスにより調製される抗体を提供する。
本発明のモノクローナル抗体は、本明細書中で参考として援用される米国特許
第4,196,265号で例示される技術のような周知な技術の使用により容易に調製さ
れ得る。代表的には、技術は、免疫応答を提供するのに十分な様式で、選択した
抗原(例えば、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチド)で適切な動物を最
初に免疫化することを含む。マウスおよびラットのような齧歯動物は好ましい動
物である。次いで、免疫化動物由来の脾臓細胞は、不死化ミエローマ細胞の細胞
と融合される。免疫化動物がマウスである場合、好ましいミエローマ細胞は、ネ
ズミNS-1ミエローマ細胞である。
融合脾臓/ミエローマ細胞は選択培地で培養されて融合脾臓/ミエローマ細胞
を親細胞から選択される。融合細胞は非融合親細胞の混合物から、例えば、組織
培養培地中でのヌクレオチドのデノボ合成をブロックする物質の添加によって、
分離される。例示的でそして好ましい物質は、アミノプテリン、メトトレキセー
ト、およびアザセリンである。アミノプテリンおよびメトトレキセートは、プリ
ンおよびピリミジンのデノボ合成をブロックするのに対し、アザセリンは、プリ
ン合成のみをブロックする。アミノプテリンまたはメトトレキセートが用いられ
る場合、培地にはヌクレオチド源としてヒポキサンチンおよびチミジンを添加す
る。アザセリンが用いられる場合には、培地にヒポキサンチンを添加する。
この培養は、特異的なハイブリドーマが選択されるハイブリドーマ集団を提供
する。代表的には、ハイブリドーマの選択は、単一のクローン希釈物をマイクロ
タイタープレート中で培養し、その後抗原−ポリペプチドとの反応性に関して個
々のクローン上清を試験することにより行われる。次いで、選択されたクローン
は、無制限に増殖し得、モノクローナル抗体を提供する。
特別な例として、本発明の抗体を産生するために、マウスは本発明のポリペプ
チドを含む約1〜200μgの間の抗原を腹膜腔内注射される。Bリンパ球細胞は、
完全フロイントアジュバント(死滅させたMycobacterium tuberculosisを含む免
疫応答のための非特異的刺激物質)のようなアジュバントと
共に抗原を注射することにより刺激されて成長する。第1回目の注射後のある時
期(例えば少なくとも2週間後)に、マウスは不完全フロイントアジュバントと
混合された抗原の第2回目の投与量を用いる注射によって追加免疫される。
第2回目の注射から2、3週間後、マウスは尾部放血され、そして血清は、放
射標識された抗原に対する免疫沈降によって力価を測定する。好ましくは、適切
な力価が達成されるまで追加免疫と力価測定のプロセスが繰り返される。最も高
い力価を有するマウスの脾臓を取り出し、そしてその脾臓のリンパ球はシリンジ
を用いて脾臓をホモジナイズすることにより得られる。代表的には、免疫された
マウス由来の脾臓は、約5×107〜2×108リンパ球を含む。
ミエローマ細胞として知られる変異リンパ球細胞は、そのような細胞が誘導さ
れている実験動物から得られ、種々の周知の方法によって増殖させられる。ミエ
ローマ細胞は、ヌクレオチド生合成のサルベージ経路が欠落している。ミエロー
マ細胞は腫瘍細胞なので、それらは組織培養において無制限に増殖し、従って、
不滅といわれる。マウスおよびラット由来の多くのミエローマ細胞の培養細胞系
(例えばネズミNS-1ミエローマ細胞)が、確立されてきた。
ミエローマ細胞は、本発明の抗原/ポリペプチドを注射されたマウスまたはラ
ットの脾臓由来の正常抗体産生細胞との融合を助長するのに適切な条件下で混合
される。融合条件としては、例えば、ポリエチレングリコールの存在を包含する
。
得られた融合細胞はハイブリドーマ細胞である。ミエローマ細胞のように、ハイ
ブリドーマ細胞は培養物中で無制限に増殖する。
ハイブリドーマ細胞は、HAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジ
ン)のような選択培地中で培養することにより融合しなかったミエローマ細胞と
分別される。融合しなかったミエローマ細胞は、サルベージ経路からのヌクレオ
チド合成に必要な酵素を欠いている。なぜなら、それら細胞は、アミノプテリン
、メトトレキセートまたはアザセリンの存在下で死滅するからである。融合しな
かったリンパ球もまた組織培養中では生育し続けない。従って、首尾良く融合し
た細胞(ハイブリドーマ細胞)のみが選択培地内で増殖し得る。
生き残ったハイブリドーマ細胞のそれぞれは、単一の抗体を産生する。これら
の細胞は、次いで、本発明の抗原/ポリペプチドと免疫反応性の特異的抗体の産
生に関してスクリーニングされる。単一の細胞のハイブリドーマは、ハイブリド
ーマの限界希釈によって単離される。このハイブリドーマは、連続的に何度も希
釈され、希釈後に増殖させてその上清がモノクローナル抗体の存在に関してテス
トされた。次いで、その抗体を産生するクローンは、大量に培養され、本発明の
抗体を適量産生する。
本発明のモノクローナル抗体の使用により、本発明の特定のポリペプチドおよ
びポリヌクレオチドが抗原として認識され得、従って、同定され得る。一旦同定
されると、それらの
ポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、抗体−アフィニティークロマトグラフ
ィーのような技術によって単離され得、そして精製され得る。抗体−アフィニテ
ィークロマトグラフィーにおいては、モノクローナル抗体が固体の支持体に結合
されそして所望の抗原を含む溶液に曝される。その抗原は、上記結合した抗体と
の免疫特異的結合を介して溶液から除かれる。次いで、このポリペプチドまたは
ポリヌクレオチドは、支持体から容易に外されて、そして精製される。
VIII.薬学的組成物
好ましい実施態様においては、本発明はオピオイドレセプターポリペプチドお
よび薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。より好ましく
は、この薬学的組成物は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、または配列番
号12のアミノ酸残基配列を有するオピオイドレセプターポリペプチドを包含する
。より好ましくは、本発明の薬学的組成物は、オピオイドレセプターポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチド、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。
さらにより好ましくは、本発明の薬学的組成物は、配列番号2、配列番号4、配
列番号6、または配列番号12のアミノ酸残基配列を有するオピオイドレセプター
ポリペプチドを包含する。あるいは、この薬学的組成物は、配列番号1、配列番
号3、配列番号5、または配列番号11のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオ
チドを包含する。
本発明の組成物は、代表的には、標準的な、周知の非毒性の生理学的に受容可
能なキャリア、アジュバント、および所望の賦形剤を含む用量単位処方物で非経
口的に投与される。本明細書中で用いられる用語「非経口的」とは、静脈内、筋
肉内、動脈内、注射または注入技術を含む。
注射可能な調製物は、例えば、滅菌した注射可能な水性または油性の懸濁液で
あり、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて公知の技術に従って処方
される。滅菌した注射可能な調製物はまた、非毒性の非経日的に受容可能な希釈
物または溶媒中の滅菌した注射可能な溶液または懸濁液(例えば1,3-ブタンジオ
ール溶液のような)であり得る。
受容可能な賦形剤および用いられ得る溶媒は、水、リンガー液、および等張塩
化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌された不揮発性の油は、溶媒または懸濁
培地として従来から用いられている。この目的のために、合成モノ-またはジグ
リセリドを含む任意の会社の不揮発性油が用いられ得る。さらに、オレイン酸の
ような脂肪酸が注射可能な調製物に用いられることが知られている。
好ましいキャリアは、中性の生理食塩水溶液で、ホスフェート、ラクテート、
トリス等によって緩衝されている。もちろん、実施する者が実質的に所望しない
混入物(例えば、不完全な干渉アデノウイルス粒子またはエンドトキシン)およ
び他のパイロジェンを持たないほど十分にベクターを精製すれば、そのベクター
構築物を受容する個体中にいかなる厄介
な反応も引き起こさない。ベクターの精製に好ましい手段は、塩化セシウム勾配
遠心分離のような浮遊密度勾配の使用を包含する。
キャリアはまたリポソームであり得る。送達ビヒクルとしてのリポソームの使
用手段は当該分野で周知である(例えば、Gabizonら、1990;Ferrutiら、1986;
およびRanade,V.V.、1989を参照)。
トランスフェクトされた細胞をキャリアとして用い得る。1例としては、肝臓
細胞を生体から摘出し、前述の方法を用いて本発明のポリヌクレオチドによって
トランスフェクトし得、そしてそのトランスフェクトされた細胞を当該生体へ戻
し得る(例えば、血管内の注射によって)。
IX.ポリヌクレオチドおよびコードされるポリペプチドの検出
あるいは、本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドの検出のプロセスを
提供し、ここで、このプロセスは、ポリペプチドが上記のプロセスによって調製
された抗体と免疫反応して抗体−ポリペプチド結合体を形成する工程、およびそ
の結合体を検出する工程を包含する。
さらに別の実施態様においては、本発明は、オピオイドレセプターポリペプチ
ドをコードするメッセンジャーRNA転写物を検出するプロセスを意図し、ここで
、このプロセスは、(a)メッセンジャーRNA転写物をオピオイドレセプターポリペ
プチ
ドをコードするポリヌクレオチド配列とハイブリダイズさせて二重鎖を形成する
工程;および(b)その二重鎖を検出する工程、を包含する。あるいは、本発明は
、オピオイドレセプターポリペプチドをコードするDNA分子を検出するプロセス
を提供し、ここで、このプロセスは、(a)DNA分子をオピオイドレセプターポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチドとハイブリダイズさせて二重鎖を形成する
工程;および(b)その二重鎖を検出する工程を包含する。
X.スクリーニングアッセイ
さらに別の局面においては、本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドと
相互作用する能力に関して物質をスクリーニングするプロセスを意図し、オピオ
イドレセプターポリペプチドを提供する工程、および選択された物質がオピオイ
ドレセプターポリペプチドと相互作用する能力を試験する工程を包含する。
本発明の方法および組成物を使用して、オピオイドレセプターのアゴニストお
よびアンタゴニストのような候補物質を試験するためのスクリーニングアッセイ
が得られ得る。候補物質は、結合または他の分子間相互作用によってオピオイド
レセプターポリヌクレオチドと潜在的に相互作用し得るかまたは調節し得る物質
である。いくつかの例では、このような候補物質は、上記レセプターのアゴニス
トであり得、そして別の例では、上記レセプターポリペプチドと相互作用する場
合にアンタゴニスト様の特性を示し得る。その他の例では、そのような物質は、
雑多なアゴニスト様およびアンタゴニスト様の性質を有し得、あるいは、別の方
法でオピオイドレセプターを調節し得る。
本発明の組換えレセプター発現システムは、組織ベースのシステムに関して明
確な利点を有する。本発明の方法は、スクリーニングアッセイに用いるための大
量のオピオイドレセプターを生産することを可能にする。しかし、より重要なこ
とは、本発明によって提供されるレセプターポリペプチドの相対的な精製度であ
る。タンパク質−タンパク質相互作用をアッセイするための相対的に純度の高い
ポリペプチド調製物により、競合して望ましくない副作用のない溶出方法を用い
ることが可能となる。
ある特定のレセプターを十分に発現している組織を入手するのが困難である場
合にも、本発明のようなクローン発現システムは有用である。コストは、少なく
とも本発明の微生物発現システムに関しては、もう一つの実際的な利点である。
一次スクリーニングにおけるアンタゴニストに関しては、本発明の微生物発現シ
ステムは、先行技術の組織スクリーニング方法と比較して安価である。
従来、スクリーニングアッセイは、クルードなレセプター調製物の使用に頼っ
た。代表的には、目的のレセプターが豊富であると考えられる動物組織切片がレ
セプターの供給源であった。あるいは、研究者は組織をホモジナイズし、そして
そのクルードなホモジネートをレセプター供給源として用いた。このアプローチ
の主な難点は、単一のレセプタータイプのみが発現される組織タイプがないとい
うことである。従って、得られるデータは、特定のレセプターと明確に相関し得
ない。レセプターサブタイプおよびサブ−サブタイプの最近のクローニングによ
って、この困難に光が当てられた。従来のアプローチの2番目の基本的な難点は
、潜在的な薬剤のスクリーニングのためのヒト組織を入手し得ないことである。
従来のアプローチは、ほとんど動物レセプターを常用していた。ヒトレセプター
のクローニングには、ヒトレセプターを用いるスクリーニングアッセイが必要で
ある。
クローン化レセプターの利用可能性により、組換えレセプタースクリーニング
システムには、組織ベースシステムよりもいくつかの利点がある。主な利点は、
研究者は今やスクリーニングアッセイに用いられるレセプターのタイプを制御で
きるということである。特異的なレセプターサブタイプおよびサブ−サブタイプ
が優先的に発現され得、そしてリガンドとそれとの相互作用が同定され得る。他
の利点には、大量のレセプターの入手可能性、以前には入手不能だった組織サン
プル中の希少なレセプターの入手可能性、および生きた動物の維持にかかる費用
の低減が含まれる。
本発明のスクリーニングアッセイには、一般に、候補物質がレセプターに結合
し、そしてレセプターの活性に影響を及ぼす能力(例えば、レセプターの機能を
阻害するかまたはそ
うでなければ調節する物質を同定するための候補物質のスクリーニング)の決定
が含まれる。代表的には、この方法は、組換えレセプターポリペプチドを調製す
る工程、次いで、その組換えポリペプチドまたはそのポリペプチドを発現してい
る細胞を候補物質でテストし、その候補物質がその生理学的機能に影響を及ぼす
能力を決定する工程を包含する。好ましい実施態様においては、本発明は、ヒト
レセプターの酵素学的活性に影響を及ぼす候補物質を同定するための候補物質の
スクリーニングに関し、従って、ヒトにおける使用に適切であり得る。
当該分野で周知のように、スクリーニングアッセイは、物質がレセプターに結
合するのに適した条件下でレセプターを提供する。これらの条件は、pH、温度、
体調、関連したコファクターの存在、およびグリコシル化またはプレニレーショ
ンのようなポリペプチドに対する改変を含むがそれらに限定されない。レセプタ
ーが原核細胞または真核細胞で発現され得、そして利用され得るということが意
図される。レセプターを発現している宿主細胞が丸ごと用いられ得るか、または
レセプターが宿主細胞から単離され得る。このレセプターは、宿主細胞の膜中で
膜結合し得るかまたは、宿主細胞の細胞質ゾル中で遊離し得る。宿主細胞はまた
、レセプターが見出され得る細胞下画分に分画され得る。例えば、レセプターを
発現している細胞は、核、小胞体、小胞、または細胞の膜表面に分画され得る。
pHは、好ましくは約6.0〜約8.0の値であり、より好ましくは約6.8〜約7.8の
値であり、そして最も好ましくは、約7.4である。好ましい実施態様においては
、温度は、約20℃〜約50℃、より好ましくは約30℃〜約40℃、さらに好ましくは
、約37℃である。容量オスモル濃度は、好ましくは1リットル当たり約5ミリオ
スモル(mosm/L)〜約400mosm/Lであり、より好ましくは、1リットル当たり約200
ミリオスモル〜約400mosm/Lであり、そしてさらに好ましくは、約290mosm/L〜約
310mosm/Lである。コファクターの存在は、レセプターの適切な機能に必要とさ
れ得る。代表的なコファクターには、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグ
ネシウム、および塩化物が包含される。さらに、置換基として知られている小さ
い非ペプチド分子が必要とされ得る。レセプター機能に必要とされる他の生物学
的条件は、当該分野で周知である。
タンパク質が人工的な膜、小胞またはリポソームに再構築され得ることは当該
分野で周知である。(Danboldtら、1990)。本発明は、レセプターが人工的な膜、
小胞またはリポソームに組み込まれ得ることを意図する。再構築されたレセプタ
ーは、スクリーニングアッセイに用いられ得る。
本発明のレセプターは、固体支持体にカップリングされ得るということがさら
に意図される。この固体支持体は、アガロースビーズ、ポリアクリルアミドビー
ズ、ポリアクリルビーズ、またはタンパク質とカップリングし得る他の固体マト
リックスであり得る。周知のカップリング剤はシアノゲンブ
ロマイド、カルボニルジイミダゾール、トシルクロライド、およびグルタルアル
デヒドを含む。
本発明のレセプターと連動して機能し得る第2のポリペプチドが提供され得る
ことが、さらに意図される。例えば、本発明のレセプターは、その生理学的効力
を、Gタンパク質およびエフェクターポリペプチドと連動して発揮する。
候補物質を同定する代表的なスクリーニングアッセイにおいて、レセプターポ
リペプチドを得るための開始物質(一般的には、クルードなホモジネートの形態
に調製されている)として同一の組換え発現宿主が用いられ得る。レセプターを
発現している組換え細胞は、洗浄され、ホモジナイズされて本明細書中で開示さ
れた所望の緩衝液でクルードなポリペプチドホモジネートに調製される。代表的
なアッセイでは、その細胞ホモジネート由来のポリペプチドのある量が、小容量
の適切なpHの適切なアッセイ緩衝液中に入れられる。アゴニストおよびアンタ
ゴニストのような候補物質が、適切な濃度の混合物に添加され、そして候補物質
とレセプターポリペプチドとの間の相互作用がモニターされる。
レセプターについての適切な周知の基質が用いられる場合、前述の方法で、組
み換えられて産生されたレセプターに関するベースライン活性が得られる。次い
で、レセプター機能の阻害剤または改変剤をテストするために、レセプターに及
ぼす効果が公知である候補物質を混合物に組込み得る。候補物質の存在下または
非存在下で行われる反応を比較することに
より、候補物質がレセプターの正常な機能に及ぼす影響に関する情報を得られ得
る。
従って、本発明のこの局面は、1つまたはそれより多い方法でオピオイドレセ
プターポリペプチドの作用を改変する能力を有する候補物質の同定を可能にする
方法を、当業者に提供する。
1つの実施態様において、このようなアッセイは、オピオイドの所望の性質を
有するがオピオイドの所望でない性質は持たない候補物質を分別し得るように設
計される。別の実施態様においては、オピオイドレセプターのアゴニストおよび
アンタゴニストのような候補物質をテストするスクリーニングアッセイは、1つ
またはそれより多くのオピオイドレセプターポリペプチドと相互作用する選択能
を有するそのような候補物質を同定するために用いられる。このポリペプチドは
、本明細書中で同定される別のオピオイドレセプターポリペプチドの活性とは実
質的にオーバーラップしない。
さらに、候補物質のテストのためのスクリーニングアッセイは、オピオイドと
レセプターとの構造と活性の関係の研究、例えば、レセプターと相互作用するか
またはそうでなければレセプターを改変する天然に生じるホルモンおよび他の物
質の結合の研究とそのような分子がレセプターに結合することによって引き起こ
される活性の研究との対比、を可能にするように設計される。ある実施態様にお
いては、候補物質または他の分子とオピオイドレセプターポリペプチドとの相互
作
用を評価する手段としてX線結晶研究を行うために、本発明のポリペプチドは結
晶化される。例えば、本発明の精製組換えポリペプチドは、適切な形態に結晶化
されると、X線結晶学により分子間相互作用の検出に敏感に反応する。
本発明の重要な局面は、レセプターの機能を阻害またはそうでなければ改変あ
るいは変化させ得る物質の同定のためのスクリーニングアッセイにおいて、組換
えで産生されたオピオイドレセプターポリペプチドの使用である。天然に生じる
レセプターが少量しか存在せず、そして精製の困難さが証明されたので、組換え
で産生されたレセプターの使用は特に有益である。さらに、このことは、これま
で入手不能だったレセプターの得易い供給源を提供する。
上記のように、アゴニスト存在下でのレセプターは、第2の分子を介してその
生理学的効力を発揮する。本発明のスクリーニングアッセイでは、好ましい実施
態様において、オピオイドレセプターポリペプチドが内部で産生される組換え宿
主細胞から直接得たオピオイドレセプターポリペプチドを都合よく用いる。この
ことは、組換え宿主内で、代表的には真核宿主内で、選択されたポリペプチドを
単純に発現させ、次いで、酵素を含むクルードなホモジネートを調製することに
よって、最も好ましく達成される。次いで、このクルードなホモジネートの一部
は、レセプターの適切なエフェクターと、テストされるべき候補物質と一緒に混
合される。候補物質の存在または非存在下でのレセプターに対する選択されたエ
フ
ェクターの結合を比較することにより、当該候補物質の生理学的性質に関する情
報が得られる。
レセプターは、原核細胞または真核細胞内で発現され得る。レセプターは、E.
coli内(Bertinら、1992)、酵母内(Kingら、(1990))、および哺乳類細胞内(Bouvi
erら、1988)で発現された。
レセプターを発現している細胞は、物質をスクリーニングするために丸ごと用
いられ得る。例えば、本発明のレセプターを発現している細胞は、放射標識した
物質に曝され得、そして細胞に結合した放射標識した物質の量が決定され得る。
レセプターを発現している細胞は、本発明のレセプターを含む細胞下成分に分
画され得る。細胞下画分を精製する方法は当該分野で周知である。細胞下画分は
細胞質、細胞膜、小胞体、ゴルジ体、小胞、および核のような膜性の画分を含む
がそれらに限定されない。細胞下画分として単離されたレセプターは、細胞膜と
関連させ得る。例えば、細胞膜小胞がレセプターを発現している細胞から単離さ
れる場合、そのレセプター分子は、膜結合性であり得る。本発明のレセプターが
該レセプターを発現する細胞から精製され得るということがさらに意図される。
精製方法は、当該分野で周知である。精製レセプターは、スクリーニングアッセ
イに用いられ得る。
本発明に従うそのようなスクリーニングアッセイのほとんどが、オピオイドの
所望の局面を模倣し、その反面、このホルモンの所望でない局面を排除するのに
有用な物質を単離す
るように設計されている場合、好ましいアッセイは、オピオイドを正常なアゴニ
ストとして用いる。
候補物質が本発明のレセプターポリペプチドに及ぼす影響を決定するために用
いられ得る実施態様には広範な種類があり、そして本発明はそれらの方法の任意
の1つに限定されることを意図していない。しかし、上記レセプターポリペプチ
ドが結合するかまたは特定の物質の存在下で用いられるエフェクターによって改
変される能力を測定し得るシステムを用いることが一般に所望される。
物質とレセプターとの間の相互作用の検出は、当該分野で周知の技術を介して
達成され得る。これらの技術には、遠心分離、クロマトグラフィー、電気泳動、
および分光法が包含されるがそれらに限定されない。これらの技術と連動させて
または単独でアイソトープで標識した試薬の使用もまた意図される。一般に用い
られる放射性アイソトープには、3H、14C、22Na、32P、35S、45Ca、60Co、125I
、および131Iが含まれる。一般に用いられる安定なアイソトープには、2H、13C
、15N、18Oが含まれる。
例えば、ある物質が本発明のレセプターに結合し得る場合、その結合は放射標
識物質または放射標識レセプターの使用により検出され得る。簡単にいうと、放
射標識物質または放射標識レセプターが用いられる場合、その物質−レセプター
複合体は、液体シンチレーションまたはX線フィルムへの感光によって検出され
得る。
ある物質がレセプターを改変する場合、改変されたレセプターは、クロマトグ
ラフィー、電気泳動、または遠心分離の使用を介して改変されたレセプターと改
変されないレセプターとの移動度の違いにより検出され得る。用いられる技術が
遠心分離の場合、移動度の違いは沈降係数として公知である。改変はまた、改変
されたレセプターと改変されないレセプターとの間の分光学的性質の違いにより
検出され得る。明確な例として、ある物質が共有結合によってレセプターを改変
する場合、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)カラム上での改変されたレセプタ
ーと改変されないレセプターとの間の保持時間の違いは、容易に検出され得る。
明確な例として、ある物質を共有結合によってレセプターを改変する場合、改
変されたレセプターと改変されないレセプターとの間の核磁気共鳴(NMR)スペク
トルにおける分光学的差異が検出され得る。あるいは、ある物質に注目して、遊
離の物質とレセプター改変後の物質との間の分光学的性質の違いまたは移動度の
違いを検出し得る。
第2のポリペプチドが提供される場合、物質−レセプター−第2のポリペプチ
ドの複合体あるいはレセプター−第2のポリペプチドの複合体が検出され得る。
上記のような移動度の違い、または分光学的性質の違いが検出され得る。
第2のポリペプチドが提供される場合、エフェクターポリペプチドの酵素活性
が検出され得るということがさらに意図される。例えば、多くのレセプターがア
デニリルシクラーゼ
の刺激または阻害を介して生理学的効力を発揮する。物質の存在下でのアデニリ
ルシクラーゼの酵素学的活性が検出され得る。
物質とレセプターとの相互作用は、レセプター遺伝子を提供することにより検
出され得る。周知のレポーター遺伝子には、β-ガラクトシダーゼ(β-Gal)、ク
ロラムフェニコールトランスフェラーゼ(CAT)、およびルシフェラーゼが包含さ
れる。これらレポーター遺伝子は、宿主によって発現され、そしてレポーター遺
伝子産物の酵素学的反応が検出され得る。
好ましいアッセイにおいては、ポリペプチド、エフェクター、および候補物質
を含む混合物が、所定の量の時間インキュベートされ、そして得られたインキュ
ベートされた混合物は、そのようにして産生されたエフェクター/レセプター複
合体から混合物中に残った非結合エフェクターを分離するための分離手段にかけ
られる。次いで、それぞれの量を単純に測定する(例えば、候補物質を添加しな
かったコントロールに対して)。この測定は、速度データが所望される種々の時
点で行われ得る。このことから、候補物質がレセプターの機能を変化させるかま
たは改変させる能力を決定し得る。
エフェクターをエフェクター/レセプター複合体から分離する多くの技術が公
知であり、そしてそのような方法の全ては、本発明の範囲に入ることが意図され
る。薄層クロマトグラフィー法(TLC)、HPLC、分光測光法、ガスクロマトグラフ
ィー/質量分光測光法、またはNMR分析の使用。任意のそのよう
な技術は、エフェクターと複合体との間の区別が可能な限り用いられ得、そして
(例えは、基質および産物の同定または定量をすることにより)酵素学的機能を
決定するために用いられ得る。
エフェクター/レセプター複合体それ自身もまた、X線結晶学のような技術の
対象となり得る。候補物質が薬剤の作用機作としてオピオイド分子に置き換わる
場合、その置換およびそれがレセプターに与える影響をモニターするように設計
された研究は、特に有益である。
A.オピオイドレセプターポリペプチドのスクリーニングアッセイ
本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドの存在に関して生物学的サンプ
ルをスクリーニングするプロセスを提供する。スクリーニングされる生物学的サ
ンプルは、細胞外流体または細胞内流体のような生物学的流体、あるいは細胞抽
出物または組織抽出物、あるいはホモジネートであり得る。生物学的サンプルは
また、単離された細胞(例えば、培養物中の)あるいは組織サンプルまたは組織
学的サンプル中の細胞の採集物であり得る。組織サンプルは、液体培地に懸濁さ
れ得るか、または顕微鏡スライドのような固体支持体に固定され得る。
スクリーニングアッセイプロセスに従って、生物学的サンプルはその存在がア
ッセイされるオピオイドレセプターポリ
ペプチドと免疫反応性である抗体に曝される。代表的には、抗体および候補とな
るオピオイドレセプターポリペプチドの両方を含む液体培地中で混合物を形成す
ることにより被曝が達成される。抗体あるいはオピオイドレセプターポリペプチ
ドを有するサンプルのいずれも固体支持体(例えば、カラム、または、マイクロ
タイタープレート)に固定され得る。
生物学的サンプルは、生物学的反応条件下で、抗体−ポリペプチド結合体の十
分な形成をなし得る時間、抗体に曝される。生物学的反応条件には、イオン性組
成物および濃度、温度、pH等が包含される。
イオン性組成物および濃度は、蒸留水のそれからNaClの2重量モル濃度溶液の
それの範囲であり得る。好ましくは、容量オスモル濃度は約100mosmols/l〜約40
0mosmols/lであり、より好ましくは約200mosmols/l〜約300mosmols/lである。好
ましい温度は、約4℃〜約100℃であり、より好ましくは約15℃〜約50℃であり
、さらに好ましくは、約25℃〜約40℃である。pHは好ましくは、4.0〜約9.0の
値であり、より好ましくは、約6.5〜約8.5の値であり、そしてさらに好ましくは
、約7.0〜約7.5の値である。生物学的反応条件の唯一の規定は、選択された条件
が抗体−ポリペプチド結合体を形成させ、そしてその条件が抗体およびオピオイ
ドレセプターポリペプチドのいずれにも有害な影響を及ぼさないということであ
る。
曝される時間は、用いられる生物学的条件、抗体およびポリペプチドの濃度、
およびサンプル(例えば、流体または組
織サンプル)の性質によって特に変化する。曝される時間を決定する手段は、当
業者には周知である。代表的には、サンプルが流体でそのサンプル中のポリペプ
チド濃度が約10-10Mの場合、曝される時間は約10分〜約200分である。
サンプル中のオピオイドレセプターポリペプチドの存在は、抗体−オピオイド
レセプターポリペプチド結合体の形成および存在を検出することにより検出され
る。そのような抗体−抗原(例えばレセプターポリペプチド)結合体または複合
体を検出する手段は当該分野で周知であり、遠心分離、アフィニティークロマト
グラフィー等、二次抗体の抗体−候補レセプター複合体への結合のような手順を
含む。
1つの実施態様においては、抗体に固定されたインジケーターの検出により検
出が達成される。例示的で周知のそのようなインジケーターには、放射性標識(
例えば、32P、12I、14C)、二次抗体、またはセイヨウワサビペルオキシダーゼ
のような酵素が包含される。インジケーターを抗体に固定する手段は、当該分野
で周知である。商業的なキットが入手可能である。
B.抗オピオイドレセプター抗体のスクリーニングアッセイ
別の局面において、本発明は、オピオイドレセプターポリペプチドと免疫反応
性の抗体(すなわち、抗オピオイドレセプター抗体)の存在に関して生物学的サ
ンプルをスクリーニングするプロセスを提供する。そのようなプロセスに従って
、
生物学的サンプルは、生物学的条件下で、抗体−ポリペプチド結合体の形成が十
分に行われる時間オピオイドレセプターポリペプチドに曝され、そして形成され
た結合体が検出される。
C.オピオイドレセプターポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのスクリ ーニングアッセイ
DNA分子(特にプローブ分子)は、オピオイドレセプターポリペプチドをコー
ドするポリヌクレオチドまたは遺伝子を有すると推測されるDNA供給源にハイブ
リダイズさせるために、オリゴヌクレオチドプローブとして用いられ得る。プロ
ーブ操作は、通常、オリゴヌクレオチドをそのようなレセプター遺伝子を有する
ことが推測されるDNA供給源にハイブリダイズさせることにより達成される。あ
る場合には、上記プローブは唯一つのプローブのみを構築し、そしてその他の場
合にはプローブは、特定のアミノ酸配列またはオピオイドレセプターポリペプチ
ドの配列に基づいたプローブのコレクションを構築し、そしてそれらの多様性に
おいては遺伝的コードに固有の重複性を考慮する。
この方法でプローブする適切なDNA供給源は、オピオイドレセプターポリペプ
チドを発現し得、そして目的の細胞系のゲノムライブラリーとなり得る。あるい
は、DNAの供給源は、目的の細胞系由来の全てのDNAを含む。一旦本発明のハイブ
リダイゼーションプロセスが候補DNAセグメントを同定すると、さ
らなるハイブリダイゼーション、制限酵素マッピング、配列決定および/または
発現、および分析によってポジティブクローンが得られることが確認される。
あるいは、そのようなDNA分子は、それらの以下のような使用を含む多くの技
術において用いられ得る:(1)患者の細胞由来のDNA中の正常および異常なDNA
配列を検出するための診断用手段;(2)オピオイドレセプターファミリーの他
のメンバーおよび関連ペプチドを、そのような配列を潜在的に含んでいるDNAラ
イブラリーから検出および単離する手段;(3)そのような配列を増幅させる目
的で関連した配列にハイブリダイズさせるプライマー;(4)天然のオピオイド
レセプターDNA配列を変化させるためのプライマー;ならびに、本明細書中で開
示されるオピオイドレセプターDNAセグメントのDNA配列と類似のDNA配列に依存
したその他の技術。
上記で述べたように、ある局面では、本発明によって提供されるDNA配列情報
により、所定のオピオイドレセプター遺伝子をコードしている配列と特異的にハ
イブリダイズしているかなり短いDNA(またはRNA)配列(例えばプローブ)の調
製が可能になる。これらの局面において、適切な長さの核酸プローブは、所定の
オピオイドレセプター配列(例えば、配列番号1、配列番号3、配列番号5、ま
たは配列番号11、に示されるような配列)の考慮に基づいて調製される。そのよ
うな核酸プローブがオピオイドレセプターをコードする配列に特異的にハイブリ
ダイズする能力は、種々の実施態様におけ
る特別な使用にそれらを供試せしめる。最も重要なことは、このプローブが与え
られたサンプル中の相補的な配列の存在を検出するための種々のアッセイに用い
られ得るということである。さらに、変異種のプライマー調製物に関する配列情
報の使用、または他の遺伝的構築物の調製における使用のためのプライマーの使
用を包含する用途が構想される。
本発明に伴う確実な利点を提供するために、ハイブリダイゼーション研究また
はアッセイに用いられる好ましい核酸配列には、配列番号1、配列番号3、配列
番号5、または配列番号11に示されるような、少なくとも14〜40またはそれより
長いヌクレオチド長のオピオイドレセプターをコードする配列と相補的なプロー
ブ配列が包含される。少なくとも14ヌクレオチド長のサイズは、そのフラグメン
トが安定で選択的な二重鎖分子を形成するのに十分な長さであることを確実にさ
せる。ハイブリッドの安定性および選択性を増大させるには、14塩基長より長い
相補的な配列を有する分子が一般に好ましく、それにより、得られる特異的なハ
イブリッド分子の質および程度が改善される。14〜20ヌクレオチド長、あるいは
所望ならばさらに長い遺伝子相補性を有するように核酸分子を設計することが一
般に好ましい。そのようなフラグメントは、例えば、化学的手段による直接合成
により、核酸再生産技術(例えば、米国特許第4,603,102号のPCR技術、本明細書
中で参考として援用する)の応用により、あるいは、選択された配列を組み換え
再生産のために組み換えベクターに導入する
ことにより容易に調製され得る。
従って、本発明のヌクレオチド配列はそれが相補的な長さの遺伝子を有する二
重鎖分子を選択的に形成する能力の故に用いられ得る。想定される適用に応じて
、標的配列に対するプローブの種々の選択性の程度を達成するように種々の条件
のハイブリダイゼーションが用いられ得る。高い選択性を必要とする適用には、
ハイブリッドを形成するために、典型的に比較的厳しい条件を用いる。例えば、
比較的低い塩濃度、および/または高い温度条件(例えば、0.02M〜0.15MのNaCl
を50℃〜70℃の温度で)が選択される。そのような条件は、特に選択的で、プロ
ーブと鋳型または標的鎖との僅かのミスマッチ(もしあるならば)も許容しない
。
もちろん、ある適用においては、例えば、基礎となる鋳型とハイブリダイズさ
れた変異体プライマー鎖を用いて変異体の調製を所望する場合、あるいは、関連
種、機能的等価物等からオピオイドレセプターコーディング配列を単離しようと
する場合、ヘテロ二重鎖を形成させるために、あまり厳しくないハイブリダイゼ
ーション条件が必要とされる。そのような状況の下では、0.15M〜0.9Mの塩で、
温度範囲は20℃〜55℃のような条件が用いられる。それにより、クロスハイブリ
ダイズした種は、コントロールハイブリダイゼーションに関してポジティブにハ
イブリダイズしたシグナルとして容易に同定され得る。いかなる場合でも、条件
は、ホルムアミドの添加量の増加により厳しくなるということが一般に理解され
て
いる。ホルムアミドは、温度上昇と同じ様式でハイブリッド二重鎖を不安定化す
るために与えられる。従って、ハイブリダイゼーション条件は、容易に操作し得
、従って、一般に所望の結果に応じて選択される方法である。
特定の実施態様においては、ハイブリダイゼーションを決定するために、本発
明の核酸配列を適切な手段(例えば、標識)と組み合わせて用いることが利点で
ある。放射性、アビジン/ビオチンのような酵素的または他のリガンド(これら
は検出し得るシグナルを提供し得る)を含む幅広い種々の適切なインジケーター
手段が当業者に公知である。好ましい実施態様においては、放射性または他の環
境的に望ましくない試薬の代わりにウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、また
はペルオキシダーゼのような酵素標識が用いられやすい。酵素標識の場合、比色
インジケーター基質が公知である。これはヒトの目または分光測光で見える手段
を提供するために用いられ、相補的な核酸を含有するサンプルとの特異的なハイ
ブリダイゼーションを同定する。
一般に、本明細書に記載されるハイブリダイゼーションプローブは溶液ハイブ
リダイゼーション中の試薬としておよび固体相を用いる実施態様の両方で有用で
ある。固体相を含む実施態様では、テストDNA(またはRNA)を含むサンプルは、
選択されたマトリックスまたは表面に吸収されるかそうでなければ固定される。
この固定された1本鎖の核酸は、次いで、所望の条件下で選択されたプローブと
の特異的なハイブリダ
イゼーションの対象とされる。選択された条件は特に、必要とされる特定の基準
(例えば、G+C含量、標的核酸のタイプ、核酸の供給源、ハイブリダイゼーショ
ンプローブのサイズなどに依存する)に基づいた特定の条件に依存する。非特異
的に結合したプローブ分子を除去するようにハイブリダイズした表面を洗浄した
後、標識によって特異的なハイブリダイゼーションが検出されるかまたは定量さ
れる。
D. アゴニストおよびアンタゴニストのためのスクリーニング
δレセプターは、オピオイドレセプターの3つの主要なサブタイプの1つであ
る。このレセプターと相互作用する内因性ペプチドは、メチオニンエンケファリ
ンおよびロイシンエンケファリンである。これらのレセプターは、アデニリルシ
クラーゼ、百日咳毒素(pertussin-toxin)感受性Gタンパク質を介するCa++およ
びK+チャンネルを含む多数の細胞性エフェクター系(multiple cellular effecto
r system)と結合する。δオピオイドレセプターは、オピオイドの鎮痛効果を仲
介する。δオピオイドレセプターアゴニストは無痛覚を引き起こし得る一方で、
濫用の可能性を制限している。従って、高選択性δオピオイドレセプターアゴニ
ストは、常習という有害な副作用がなく、慢性の痛みの治療に臨床上有用であり
得る。
高選択性の、臨床的に有用なδオピオイドレセプターアゴニストの開発は、ア
ゴニストの結合に必要なδレセプター内
の特異的部位を理解することによって促進される。マウスδオピオイドレセプタ
ーcDNAのクローニングは、その機能に関与しているこのレセプターサブタイプの
構造ドメインを検討する可能性を開いた。以下に示すように、δレセプターの第
2貫膜に及ぶ領域(transmenbrane spanning region)における1個の(single)ア
ミノ酸が、δ選択的オピオイドアゴニストの結合にとって重大である。
リガンド結合に関係しているマウスδオピオイドレセプターの構造成分を調べ
るために、残基95のアスパラギン酸を、部位特異的変異によってアスパラギンに
変換した。このアスパラギン酸は、Gタンパク質結合レセプター間で保存され、
そしてアゴニスト結合のNa+調節を仲介すると考えられている。δレセプターの
リガンド結合特性を試験するために、変異型および野生型レセプターは、COS-7
細胞で発現された。両レセプターは、δ選択的アゴニスト[3H]-DPDPEおよびアン
タゴニスト[3H]-ナルトリンドールで標識され得た。Na+(90mM)は、野生型δレセ
プターへの[3H]-DPDPE結合を減少させたが、変異型レセプターへの結合は減少さ
せなかった。Na+は、[3H]-ナルトリンドール結合に影響を及ばさなかったが、変
異型レセプターではなく野生型レセプターへの放射性標識アンタゴニスト結合を
阻害するアゴニストの能力を減少させた。これは、Na+が、アゴニストに対する
野生型レセプターの親和性を選択的に減少させることを示している。
[3H]-DPDPEの変異型レセプターへの結合は、野生型と比較
して減少した。減少した結合は、Gタンパク質からのレセプターの脱離、変異型
レセプターの低発現、またはレセプターのリガンド結合特性における変化に起因
するものであり得る。変異型レセプターは、Gタンパク質にカップリングしたま
まであったが、これはGTP-γSがレセプターへの[3H]-DPDPEの結合を減少させ得
たからである。さらに、この変異型レセプターは、Gタンパク質結合に要求され
る反応であるアゴニストのcAMP形成阻害を仲介し得る。変異型レセプターは、野
生型レセプターよりも高レベルで発現された。従って、変異型レセプターは、ア
ゴニストに対する親和性を選択的に減少させた。
このことは、δ選択的アゴニストDPDPE、DSLET、デルトルフィン、およびmet-
エンケファリンが、野生型レセプターと比較して、変異型レセプターへの[3H]-
ナルトリンドールの結合を阻害する能力が減少したことによって、さらに示され
た。変異型レセプターの親和性は、これらのペプチドに対して100倍以上低い。
対照的に、δ選択的アンタゴニスト、ナルトリンドール、NTB、およびBNTXに対
する変異型および野生型レセプターの親和性は類似しており、変異型レセプター
はアゴニストに対する親和性が特異的に減少したことを示している。
ブレマゾシン(bremazocine)のような非選択的オピオイドアゴニストの変異型
および野生型δレセプターへの結合能力は、類似していた。この化合物は、全て
のオピオイドレセプターサブタイプでのアゴニストである。アルカロイドである
ブプ
レノルフイン(buprenorphine)は、オピオイド常習を処置するために用いられる
化合物であり、部分的なμオピオイドアゴニストでありそしてδレセプターで完
全レセプターであることが報告されている。なぜなら、野生型または変異型δレ
セプターのいずれかを発現しているCOS細胞中でのフォルスコリン刺激によるcAM
Pの形成を阻害するからである。この非ペプチド性アゴニストは、変異型および
野生型δオピオイドレセプターの両方に同様の親和性で有効に結合する。変異型
レセプターは、非選択的、非ペプチド性オピオイドアゴニストに対して、野生型
レセプターと同様の親和性を示すが、δ選択的ペプチドアゴニストに対する親和
性が減少したので、変異型および野生型レセプターのリガンド結合特性における
相違は、アゴニストのペプチドの性質またはこれらのδレセプター選択特性に関
して調べられた。
BW373U86およびSIOMは、非ペプチドの、有力なδオピオイドレセプター選択的
アゴニストである。両方の化合物は、野生型および変異型のδレセプターを刺激
してcAMP形成を阻害する。BW373U86およびSIOMは、[3H]-ナルトリンドールの野
生型δレセプターへの結合を効果的に阻害する。それに対して、変異型レセプタ
ーへの結合ではBW373U86は100倍以上、そしてSIOMは、50倍以上低い能力である
。これらの発見は、変異型δレセプターは異なる構造のδオピオイドレセプター
選択的アゴニストに対して減少した親和性を有することを示す。
このデータは、マウスδオピオイドレセプターの残基95の
アスパラギン酸がδレセプター選択的アゴニストの高親和性結合のために必要で
あることを示す。この残基は、アンタゴニスト結合には必要ではなく、非選択的
オピオイドアゴニストの結合にも必要でない。非選択的アゴニストが変異型およ
び野生型δレセプターに等しくよく結合しそして刺激する能力は、1つの残基変
異がリガンド結合ドメインを非選択的に変えるか、あるいはレセプターとGタン
パク質との相互作用を阻害するような、レセプターの大きなコンフォメーション
の変化を引き起こさないことを示唆している。このことは、レセプターにとって
高い親和性でアゴニストに結合するために不可欠である。非選択的アゴニストお
よびδ選択的アンタゴニストのδレセプターへの結合は、点突然変異により影響
されなかったので、このようなアゴニストおよびアンタゴニストは、δオピオイ
ドレセプター選択的アゴニスト結合に関係している部位とは別のこのオピオイド
レセプターのリガンド結合ドメインに類似する領域と相互作用し得る。アスパラ
ギン酸95は、非選択的アゴニストまたはδオピオイドアンタゴニストの結合に必
要でないレセプターとリガンドとの相互作用を安定化させるために負電荷を与え
ることによって、容易にδレセプターに対して選択的にアゴニストを結合させ得
る。同様に、β-アドレナリンレセプターにおけるアスパラギン酸は、β-アドレ
ナリン選択的アゴニストの結合の安定化のために電荷を供給すると考えられてい
る。最近の研究はまた、タキキニン(tachykinin)およびコレシストキニン(chol
ecyto
kinin)レセプターにおける1個のアミノ酸がサブタイプ選択的アンタゴニスト結
合に関与していることを示し、さらに1個の残基が特異的なリガンドーレセプタ
ー相互作用にとって重大であり得ることを示している。
このデータは、選択的アゴニストおよびアンタゴニストが異なってδオピオイ
ドレセプターに結合することを示す。このことは、これらはこのレセプターの異
なる領域で相互作用し得ることを示唆している。アスパラギン酸95を含むδオピ
オイドレセプターの第2貫膜に及ぶ領域のドメインは、アゴニストの選択的結合
に関与している。
E.キメラオピオイドレセプターポリペプチド
κおよびδオピオイドレセプターは、異なる薬学的な特性を示す。貫膜に及ぶ
領域におけるκおよびδオピオイドレセプターの間でアミノ酸配列が高い類似性
を有することは、細胞外ドメインが、リガンドが各々のレセプターと選択的に結
合することに関係しているらしいことを示唆する。2つのレセプターの細胞外領
域のアミノ末端は、アミノ酸配列においてお互いに異なる。
当業者に周知の標準的な変異誘発技術を用いて、異なったレセプターサブタイ
プからの部分を含むキメラオピオイドレセプターポリペプチドが生成される。好
ましい実施態様において、特定のレセプターサブタイプ(例えば、κ、δ)のアミ
ノ末端領域は、異なったレセプターサブタイプの部分(非アミ
ノ末端)に結合している。このようにして、特定のレセプターサブタイプのアミ
ノ末端は交換され得る。このようなキメラレセプターポリペプチドをコードする
変異ポリヌクレオチド(例えば、cDNA)は、次いで宿主細胞にトランスフェクトさ
れ、キメラレセプターが発現される。好ましい宿主細胞は、COS細胞である。次
いで、組換えキメラレセプターレセプターポリペプチドは、サブタイプ選択的ア
ゴニストおよびアンタゴニストと結合する能力について試験される。
第1貫膜に及ぶ領域におけるSpeI制限部位を、オリゴヌクレオチド特異的変異
誘発を用いてマウスκレセプターおよびδレセプターcDNAに設計した。この部位
は、両方のcDNAにおける同じ位置に設計され、これによって、配列のフレームシ
フトおよび/または欠失または付加を回避する。κまたはδオピオイドレセプタ
ーcDNAのいずれのコーディング領域にも、天然のSpeI制限部位はない。各々のレ
セプターのアミノ末端に対応するフラグメントは、両方のcDNAに新たに設計した
SpeI部位を切断することによって単離される。次いでこれらのフラグメントを他
方のレセプターのカルボキシ末端に対応する精製されたcDNAに結合して、キメラ
κ1-74/δ65-372およびδ1-64/κ75-380レセプターを生成する。
変異DNAフラグメントは、適切な発現ベクター(例えば、哺乳類発現ベクターp
CMV60)にサブクローニングされ、そしてCOS-7細胞またはCHO細胞のような適切な
宿主細胞に一時的にトランスフェクトされるかまたは安定に発現される。次いで
こ
のキメラ体は、アゴニスト、アンタゴニストの研究に用いられる。例としては、
κ1-74/δ65-372キメラ体は、δレセプター選択的アゴニスト[3H]-DPDPEおよび
アンタゴニスト[3H]-ナルトリンドール(野生型δレセプターに有効に結合する
)、およびκ選択的アゴニスト[3H]-U69,593ならびにアンタゴニスト[3H]-ナロ
キソン(クローニングされたκオピオイドレセプターに結合するがクローニング
されたδオピオイドレセプターには結合しない)で標識される能力について試験
される。δオピオイドレセプター放射性リガンドがこのキメラレセプターに結合
しないが、[3H]-U69,593および[3H]-ナロキソンが高い効力で結合する場合、両
方のレセプターのリガンド結合領域は、アミノ末端に含まれるようである。
マウスκおよびδオピオイドレセプターcDNAを、Altered SiteTMインビトロMu
tagenesis System(Promega Corp.Madison WI)を用いて変異した。κレセプタ
ーcDNAの第1貫膜に及ぶ領域の残基78〜80部位でのSpeI制限部位に設計するため
に、マウスκレセプターcDNAを、ファージミドpALTERTMにサブクローニングし、
そしてヘルパーファージR408を用いて、一本鎖鋳型を作製した。所望の変異(TCT
GGTからACTAGT)をコードする24マーのオリゴヌクレオチド(GTGGGCAATTCACTAGTCA
TGTTT;配列番号7)を、一本鎖鋳型にアニーリングし、そしてT4 DNAポリメラー
ゼで伸長した。次いで、ヘテロ二本鎖DNAを用いて、修復マイナス(repair-minus
)E.coli株BMH 71-18 mut Sを形質転換した。
形質転換細胞を、125μg/mlアンピシリンを含有するLBプレートで成長させて
選択した。二本鎖プラスミドDNAの配列を、サンガーのジデオキシチェーンター
ミネーション法によって決定し、そしてSpeIで切断して変異の存在を確認した。
δレセプターcDNAについては、所望の変異(GCTCGTからACTAGT)をコードする24マ
ーのオリゴヌクレオチド(CTGGGCAACGTACTAGTCATGTTT;配列番号8)を使用し、そ
して上記のκレセプターcDNAの場合と同様の手順を用いた。各変異されたcDNAを
、pALTERから、δレセプターcDNAの場合にはEcoRIおよびSalIで、そしてκレセ
プターcDNAの場合にはSalIおよびBamHIで切り出し、そして哺乳類発現ベクターp
CMV6cの対応する部位にサブクローニングした。各レセプターのN末端領域に対
応する各cDNAの5'領域(κレセプターでは残基1〜75およびδレセプターでは残
基1〜65)を、Eco RI/SpeI(δレセプター)およびSalI/SpeI(κレセプター)で
切除し、そしてゲル精製した。κレセプターのN末端フラグメントを、δレセプ
ターのC末端フラグメントに結合した。挿入物をベクターから切除し、そしてそ
のサイズをアガロースゲル電気泳動で測定して、適切な連結反応が起こったかど
うかを確認した。次いで、キメラκ−δレセプターcDNAをカルシウム−ホスフェ
ートを用いる手順によってCOS-7細胞に一時的にトランスフェクトした。
選択的κアゴニスト[3H]-U69593は、κ1-74/δ65-372キメラに結合しなかっ
た。アンタゴニスト[3H]-ナロキソン(高親和性で野生型κに結合するが、δレ
セプターには結合しない)
は、このキメラに結合した。[3H]-ナロキソンの結合は、κ選択的アンタゴニス
トnor-BNIによって効果的に阻害されたが、選択的κアゴニストU50,488、または
ダイノルフィン(dynorphin)によっては阻害されなかった。これらの発見は、κ
レセプターのアミノ末端がアンタゴニスト結合部位を有しているが、アゴニスト
結合部位は有していないようであることを示した。従って、アゴニスト結合部位
は、このレセプターの他の領域に、例えばδレセプターとは異なるアミノ酸配列
を有する第3および第4細胞外ドメインに存在するようである。これらのデータ
はさらに、アゴニストおよびアンタゴニストがκレセプターの明らかに離れた領
域に結合することを示す。
ナロキソン結合部位がκレセプターのアミノ末端領域にあるという発見は、κ
レセプターの限定された領域がμレセプターに類似し得ることを示唆する。ナロ
キソンは、効果的にμオピオイドレセプター、およびκレセプターに結合する。
これらのデータは、κレセプターのアミノ末端に対するプローブでcDNAライブラ
リーをスクリーニングすることによりμレセプターのクローニングが容易になる
ことを示す。
選択的δアゴニスト[3H]-DPDPEおよび選択的δアンタゴニスト[3H]-ナルトリ
ンドールの両方は、有効にキメラκ1-74/δ65-372に結合した。これらのデータ
は、これらの結合部位がδレセプターのN末端にないことを示す。なぜならば、
このキメラはδレセプターのアミノ末端を有しないからである。これらの結合部
位は、δレセプターの他の部分にあるようで
ある。
XI.κおよびδオピオイドレセプターのリガンド結合およびGタンパク質カップ リングドメイン
A.リガンド結合ドメイン
κおよびδオピオイドレセプターは、異なった薬学的特性を示す。2つのレセ
プターのN末端細胞外領域は、アミノ酸配列においてお互いに異なる。変異誘発
技術を用いて、各レセプターのN末端を交換する。変異cDNAは、適切な宿主細胞
(例えば、COS細胞)にトランスフェクトされ、そしてキメラレセプターは、κお
よびδサブタイプ−選択的アゴニストおよびアンタゴニストと結合する能力につ
いて試験される。この変異誘発のために、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発を
用いて第1貫膜に及ぶ領域におけるSpeI制限部位を、マウスκレセプターおよび
δレセプターcDNAに設計する。この部位は、両方のcDNAの同一位置に設計され、
それによって配列のフレームシフトおよび/または欠失または付加を回避する。
κまたはδオピオイドレセプターcDNAのいずれのコーディング領域にも天然のSp
eI制限部位はない。従って、両方のcDNAに新たに設計された部位で切断した後、
各レセプターのN末端に対応するフラグメントを単離し、そしてこれらと、他方
のレセプターのC末端に対応する精製されたcDNAとを結合することにより、キメ
ラκ1-74/δ65-372およびδ1-64/κ75-380レセプターが生成され得る。各変異
DNAフラグメントは、適切
な哺乳類発現ベクター(例えば、pCMV6c)にサブクローニングされ、そしてCOS-7
細胞に一時的にトランスフエクトされるかまたはCHO細胞にて安定に発現される
。
κ1-74/δ65-372キメラは、δレセプター選択的アゴニスト[3H]-DPDPEおよび
アンタゴニスト[3H]-ナルトリンドール(野生型δレセプターに有効に結合する
)、およびκ選択的アゴニスト[3H]-U69,593ならびにアンタゴニスト[3H]-ナロ
キソン(クローニングされたκオピオイドレセプターに結合するが、クローニン
グされたδオピオイドレセプターには結合しない)で標識化される能力について
試験される。δオピオイドレセプター放射性リガンドがこのキメラレセプターに
は結合しないが、[3H]-U69,593および[3H]-ナロキソンが高い効力で結合する場
合、両レセプターのリガンド結合領域は、N末端に含まれるようである。δ1-64
/κ75-380キメラの同様な薬学的分析は、さらに両レセプターのリガンド結合ド
メインがそれらのN末端に存在するかどうか確認するのに役に立つ。
アゴニストおよびアンタゴニストがキメラレセプターに結合する能力にもまた
相違があるようである。この相違はまた、変異誘発を用いて調べられる。例とし
ては、δ選択的アゴニスト[3H]-DPDPEがκ1-74/δ65-372キメラに結合しないで
[3H]-U69593に結合する場合、[3H]-DPDPEは、δ1-64/κ75-380キメラに有効に
結合するが、[3H]-U69593には結合しないようである。反対に、[3H]-ナルトリン
ドールおよび[3H]-ナロ
キソンが、キメラおよび野生型レセプターに同様に結合すれば、この結果は、ア
ンタゴニストはアゴニストと比べてオピオイドレセプターの異なる領域に結合す
るという仮説を支持する。
N末端領域における2つのレセプターのリガンド結合ドメインをさらに同定お
よび単離するために、N末端のより小さな領域が交換され、そして変異型レセプ
ターは、κまたはδアゴニストまたはアンタゴニストに対する親和性について試
験される。
最初の研究によりN末端がリガンド結合ドメインを含まないということが明ら
かであるとすれば、第3および第4細胞外ドメイン(アミノ酸配列において明ら
かに異なる、オピオイドレセプター中の唯一2つの異なっている細胞外領域)の
どちらかが、リガンド結合ドメインとしての役割を果たしているであろう。これ
らの領域は、κレセプターの残基197〜220および300〜311ならびにδオピオイド
レセプターの残基187〜208および287〜298に対応する。レセプターの第3および
第4細胞外ドメインは、2つのレセプターの間で交換され、そして変異型レセプ
ターは、κおよびδレセプターアゴニストおよびアンタゴニストと結合する能力
について試験される。
マウスκおよびδオピオイドレセプターcDNAを、Altered SiteTMインビトロMu
tagenesis System(Promega Corp.Madison WI)を用いて変異する。κレセプタ
ーcDNAの第1貫膜に及ぶ領域における残基78〜80にSpeI制限部位を設計するため
に、マウスκレセプターcDNAを、ファージミドpALTERTMにサブクローニングし、
そしてヘルパーファージR408を用いて、一本鎖鋳型を作製する。所望の変異(TCT
GGTからACTAGT)をコードする24マーのオリゴヌクレオチド(GTGGGCAATTCACTAGTCA
TGTTT;配列番号7)は、一本鎖鋳型にアニーリングし、そしてT4 DNAポリメラー
ゼで伸長する。次いで、ヘテロ二本鎖DNAを用いて、修復マイナスE.coli株BMH
71-18 mut Sを形質転換する。形質転換細胞は、125μg/mlアンピシリンを含有す
るLBプレートで成長させて選択される。二本鎖プラスミドDNAの配列を、サンガ
ーのジデオキシチェーンターミネーション法によって決定し、そしてSpeIで切断
して変異の存在を確認する。δレセプターcDNAについては、所望の変異(GCTCGT
からACTAGT)をコードする24マーのオリゴヌクレオチド(CTGGGCAACGTACTAGTCATGT
TT;配列番号8)を使用し、そして上記のκレセプターcDNAの場合と同様の手順
を用い得る。
各変異されたcDNAは、pALTERから、δレセプターcDNAの場合にはEcoRIおよびS
alIで、そしてκレセプターcDNAの場合にはSalIおよびBamHIで切り出され、そし
て適切な哺乳類発現ベクター(例えば、pCMV6c)の対応する部位にサブクローニ
ングされる。各レセプターのN末端領域に対応する各cDNAの5'領域(κレセプタ
ーでは残基1〜75およびδレセプターでは残基1〜65)は、EcoRI/SpeI(δレセ
プター)およびSalI/SpeI(κレセプター)で切除され、そしてゲル精製される。
δレセプターのN末端フラグメントは、κレセプターのC末端フラ
グメントに結合され、そしてκレセプターのN末端フラグメントは、δレセプタ
ーのC末端領域に結合される。挿入物はベクターから切除され、そしてそれらサ
イズをアガロースゲル電気泳動で測定し、適切な連結反応が起こったかどうかを
確認する。
次いで、キメラレセプターcDNAは、カルシウム−ホスフェートを用いる手順に
よってCOS-7細胞に一時的にトランスフェクトされる。第3または第4細胞外ル
ープがκとδオピオイドレセプターとの間で交換されているキメラレセプターは
、上記の同様の手順を用いてPCRによって生成される。
レセプター結合の研究のために、キメラレセプターは、放射性リガンド[3H]-U
69593、[3H]-ナロキソン、[3H]-DPDPE、および[3H]-ナルトリンドールで標識さ
れる。特異的結合は、ナロキソン−感受性組織結合として定義される。多くのκ
リガンド、例えば、U50488、U69593、nor-BNI、およびダイノルフィンを用いて
競合阻害研究が行われる。結合の立体特異性は、ナロキソンの異性体を用いて、
そして結合の阻害でレボルファノールとデキシトルファン(dextorphan)との能力
を比較することによって、試験される。DPDPE、DSLET、エンケファリン、デルト
ルフィン(deltorphin)、およびBW373U86のようなδレセプターリガンド、ならび
にナルトリンドール、NTBおよびBNTXなどのアンタゴニストもまた試験される。I
C50値の解析は、コンピューター曲線適合(curve fitting)プログラムPROPHETを
用いて行われる。
放射性標識アゴニストの結合または放射性標識アンタゴニストの結合のアゴニ
ストによる阻害のいずれかにおけるGTPγSの効果を検討して、変異型レセプター
がGタンパク質に結合するかどうか決定し得る。変異型レセプターの機能活性を
調べるために、レセプターがフォルスコリン刺激によるcAMPの形成のアゴニスト
による阻害を仲介する能力が、標準技術を用いて記載されているように決定され
る。
B.Gタンパク質カップリングドメイン
Gタンパク質は、種々のエフェクター系に対してオピオイドレセプターを結合
し、そして従ってこのオピオイドの細胞活動を仲介することにおいて重大である
。Gタンパク質との会合に関係しているレセプターの領域は、以前は同定されて
なかった。アドレナリンおよびムスカリンレセプターに関しては、Gタンパク質
会合に関係するいくつかの異なる細胞内ドメインが、同定されている(Dohlmanら
、1991)。これらのレセプターの第3細胞内ループが、Gタンパク質との相互作
用することがまず考えられた。κおよびδオピオイドレセプターの第3細胞内ル
ープのアミノ酸配列は、非常に類似している(下記参照)。それゆえ、κおよび
δオピオイドレセプターの第3細胞内ループを交換しても、これらの領域がGタ
ンパク質カップリングドメインであるかどうかの有用な情報を提供しそうにはな
い。しかし、κおよびδオピオイドレセプターは、ソマトスタチンレセプターサ
ブタイプSSTR1と高いア
ミノ酸配列類似性を有し、全体として40%のアミノ酸同一性を有する。さらに、
オピオイドレセプターの第3細胞内ループおよびSSTR1は、サイズが同一(各々
28アミノ酸)であるが、配列は異なる(下記参照)。
SSTR1は、Gタンパク質と結合せず、またアデニリルシクラーゼ活性のアゴニ
ストによる阻害も仲介しないことが示されている(Rens-Domianoら、1992;Yasud
aら、1992)。その結果、SSTR1の第3細胞内ループは、Gタンパク質カップリン
グのために必要な配列を含んでいないようである。κおよびδレセプターの第3
細胞内ループを、部位特異的変異誘発によってSSTR1の対応する領域と交換する
ことにより、これらがGタンパク質カップリングドメインかどうか決定される。
オピオイドレセプターの第3細胞内ループがGタンパク質カップリングドメイン
である場合、キメラオピオイドレセプターは、Gタンパク質と会合する能力をな
くすようである。他方、キメラSSTR1は、Gタンパク質と会合する能力を得るは
ずである。Gタンパク質とキメラレセプターとの会合は、アゴニストとレセプタ
ーとの結合に対するGTPγSの影響、アゴニストの結合に対する百日咳毒素処理の
影響およびキメラレセプターのcAMP形成のアゴニスト阻害を仲介する能力につい
て試験される。キメラオピオイドレセプターの発現は、放射性標識化アンタゴニ
ストおよびアゴニスト結合の両方を用いて測定される。キメラSSTR1発現は、前
述(RaynorおよびReisine、1989)のように、[125I]-Tyr11ソマトスタチン結合を
用いて検出さ
れる。
いくつかのレセプターの第2細胞内ループもまた、Gタンパク質カップリング
に寄与すると考えられている(Dohlmanら、1991)。κおよびδオピオイドレセプ
ターのこの領域は、同一である(上記参照)。しかし、この配列は、SSTR1の配列
とは異なる。第2細胞内ループは、オピオイドレセプターのGタンパク質カップ
リングドメインを含み得る。これらの領域は、SSTR1と交換され、そしてキメラ
オピオイドレセプターはGタ
ンパク質カップリングの喪失について試験され、そしてキメラSSTR1はGタンパ
ク質会合の能力の獲得について試験される。
Gタンパク質カップリングに関係し得るオピオイドレセプターの第3の潜在的
領域は、細胞質テール(cytoplasmic tail)であろう。これは、2つのオピオイド
レセプター間でアミノ酸配列が異なる唯一の細胞内ドメインである。両方のオピ
オイドレセプターが百日咳毒素感受性Gタンパク質にカップリングするが、それ
が会合するGタンパク質のサブタイプは異なるようである。これらのレセプター
が異なるGタンパク質と相互作用し得れば、オピオイドレセプターのC末端の独
特の配列は、異なるGタンパク質と相互作用するこれらの能力の構造的な根拠を
提供するようである。これらの領域は、SSTR1の対応する領域と交換され、そし
てキメラレセプターは、放射性リガンド結合技術を用いてGタンパク質会合につ
いて、およびアデニリルシクラーゼ活性のアゴニスト阻害を仲介する能力につい
て試験される。
κおよびδオピオイドレセプターのC末端は、C末端がκおよびδレセプター
がGタンパク質のサブタイプと会合する能力の微妙な差に関係しているかどうか
決定するために交換される。次いで、このキメラ型および野生型レセプターは、
適切な宿主細胞(例えば、CHO細胞またはPC12細胞)において安定に発現される。
次いで、キメラレセプターは、免疫沈降アプローチを用いて、どのGタンパク質
とそれらが会合しているかについて試験される。さらに、キメラレセプターの異
な
るエフェクター系(例えば、アデニリルシクラーゼ、Ca++およびK+チャンネル)
へのカップリングもまた、特定のエフェクター系を調節するためにC末端がレセ
プターに選択的にGタンパク質とカップリングするように指示(direct)している
がどうか決定するために分析される。
ハイブリッドκレセプター/SSTR1またはδレセプター/SSTR1変異体(SSTR1
の第3細胞内ループが、κおよびδレセプターの同様の領域と交換される)を構
築するために、PCRが用いられる。3つのフラグメント、N末端、C末端、およ
びSSTR1の第3細胞内ループ、κおよびδレセプターは、以下の条件下で10〜50n
gのプラスミドDNAから増幅される:95℃で1分間、55℃で1分間、そして72℃で
1分間からなるサイクルを25〜30サイクル。
N末端フラグメント:N末端フラグメントは、SSTR1のcDNAにおける独特のSal
I部位、δレセプターのEcoRI部位、およびκレセプターのSalI部位におよぶ順方
向プライマーを用いて生成される。逆方向プライマーは、SSTR1の第5膜に及ぶ
領域の3'末端、δおよびκレセプターについて行われる。SSTR1、δおよびκレ
セプターN末端生成物を、それぞれ、SalI、EcoRIおよびSalIで切断することに
より、5'オーバーハングおよび3'平滑末端を有するDNAフラグメントを生じる。
N末端フラグメント(N-)のPCR増幅に用いられる順方向(F)および逆方向(R)プ
ライマーは、以下を含む:
第3細胞内ループ:第3細胞内ループ(3-i-ループ)は、SSTR1、δおよびκレ
セプターの3-i-ループの5'末端をコードする順方向プライマー、ならびに3-i-ル
ープとC末端フラグメントとの間の接合点(juncture)にまたがる逆方向プライマ
ーを用いて増幅される。このプライマーは、SSTR1、δおよびκレセプターcDNA
内の同一位置で制限部位MboIを有している。SSTR1、δおよびκレセプター第3
細胞内ループPCRフラグメントをMboIで切断すると、5'平滑末端および3'MboIオ
ーバーハングを有するDNAが生成する。3-i-ループのPCR増幅に用いられるプライ
マーは、以下を含む:
C末端フラグメント:C末端フラグメントは、3-i-ループとC末端フラグメン
トとの間の接合点にわたる順方向プライマー、およびSSTR1の唯一のEcoRI部位、
δレセプターのSalI部位、ならびにκレセプターのためのXbaI部位をコードする
逆方向プライマーで生成される。順方向プライマーは、3-i-ループフラグメント
の逆方向プライマーと全く同じで、MboI部位をコードする。これは、3-i-ループ
フラグメントとC末端フラグメントとを指向性をもって結合させる。SSTRI、δ
およびκレセプターのC末端生成物を、それぞれ、EcoRI、SalIおよびXbaI、な
らびにMboIで切断すると、5'MboIオーバーハングおよびそれらのそれぞれの3'オ
ーバーハングを有するDNAフラグメントを生じる。以下のプライマーは、C末端
フラグメント(C-)のPCR増幅に用いられる:
PCR増幅および切断の後、SSTR1のN-およびC-末端フラグメントは、δまたはκ
レセプターの第3細胞内ループに接合され、そしてT4 DNAリガーゼの存在下16℃
で24時間、pCMV-6b(これは、SalIおよびEcoRIで切断されている)に結合される
。一旦ハイブリッドが適切に発現ベクターに結合されると、全体の挿入物の配列
を、サンガーのジデオキシチェーンターミネーション法(Sequenase version 2.0
、USB)を用いて製造業者の記載に従って決定する。この手順は、SSTR1の第3細
胞内ループを含むδおよびκレセプターについて繰り返される。δおよびκレセ
プターのC末端フラグメントは、それぞれ、1および2個の内因性MboI部位を有
することを留意すべきである。δおよびκレセプターの挿入物は、以前にファー
ジミドpALTERにサブクローニングされている。オリゴヌクレオチド特異的変異誘
発(Altered Sites、Promega)によって、これ
らの内因性MboI部位は、1個の(single)ヌクレオチド変化(この変化はアミノ酸
配列を変化しない)によって壊れる。これは、PCR増幅の前に行われる。
第2細胞内ループの交換は、第3細胞内ループ交換に類似した方法で行われる
。C末端交換は、N末端交換のような類似した様式で行われる。この交換では、
共通の制限部位が、SSTR1、δおよびκレセプターの対応する同一の部位にて設
計される。適切な制限酵素を用いて、各レセプターからC末端フラグメントを切
断し、次いでSSTR1のC末端フラグメントはκまたはδレセプターの残りのいず
れかに結合されるか、あるいはオピオイドレセプターのC末端フラグメントはSS
TR1の残りに結合される。
キメラレセプターは、適切な宿主細胞(例えば、CHOおよびPC12細胞)で安定に
発現され、そして各々のレセプターとアゴニストとの高い親和性による結合をGT
Pアナログが減少させる能力を用いてGタンパク質カップリングについて試験さ
れる。κレセプターは[3H]-U69,593で標識され、δレセプターは[3H]-DPDPEで標
識され、そしてキメラSSTR1は、前述(Rens-Domianoら、1992、Yasudaら、1992)
のように、[125I]-Tyr11SRIFで標識される。キメラレセプターはまた、フォル
スコリンによるcAMP形成刺激のアゴニスト阻害を仲介するそれらの能力について
試験される。
C.δレセプターのリガンド結合
リガンド結合に必要なδオピオイドレセプターの構造的必要条件を調べるため
に、クローニングされたマウスδオピオイドレセプターの残基128のアスパラギ
ン酸および残基278のヒスチジンを、それぞれ独立に、部位特異的変異誘発によ
ってアスパラギンに変換した(後述の実施例8参照)。野生型および変異型レセプ
ターをCOS-7細胞で発現し、そしてオピオイドアゴニストおよびアンタゴニスト
に対する親和性について試験した。レセプターは、δレセプター選択的アンタゴ
ニスト、3H-ナルトリンドールで特異的に標識し得た。野生型および変異型レセ
プターは、アンタゴニスト、ナルトリンドール、NTB、およびジプレノルフィン
を同様な高親和性で結合する。対照的に、δレセプター選択的ペプチド性アゴニ
スト、例えば、D-Ala2デルトルフィン(deltorphin)II、DSLET、DPDPE、および非
ペプチド性アゴニストSIOM、ならびに非選択的オピオイドアゴニスト、例えば、
β-エンドルフィン、エトルフィン、ブレマゾシン、およびレボルファノールの
アスパラギン128変異体(D128N変異体)との結合能力は、野生型レセプターへの結
合と比較して非常に減少した。アゴニストに対するD128N変異体の親和性の減少
は、Gタンパク質からのレセプターの解離に起因するのではなかった。なぜなら
ば、D128N変異体は、オピオイドアゴニストにより誘発されるフォルスコリン刺
激によるcAMPの形成の阻害を効果的に仲介する。しかし、結合の結果と一致して
、D128N変異体を発現する細胞においてDSLETおよびブレマゾシンがフォルスコリ
ン刺激によるcAMPの
蓄積を阻害する能力は、野生型δレセプターと比較して減少した。これらの研究
の結果は、マウスδレセプターにおける残基128のアスパラギン酸はアゴニスト
がδオピオイドレセプターと結合するには必要であるが、アンタゴニストがδオ
ピオイドレセプターと結合するには必要ではないことを示す。この負に荷電され
た残基は、オピオイドアゴニストの正に荷電された窒素残基に対イオンとしての
役目を果たし得る。対照的に、ヒスチジン278をアスパラギンに変換した(H278N)
変異型レセプターは、野生型レセプターよりもアゴニストに対してより高い親和
性を有した。この発見は、このヒスチジンの芳香族構造は、δレセプターとのリ
ガンド結合に不可欠ではなく、実際はアゴニスト結合の障害になり得ることを示
唆する。これら2つの変異型レセプターにおけるアゴニストの能力(アンタゴニ
ストの能力ではなく)の変化は、アゴニストおよびアンタゴニストがδレセプタ
ーに異なる方法で、そしておそらくは異なるリガンド結合ドメインと相互作用す
ることによって、結合するという仮説を支持する。
XII.κおよびδオピオイドレセプターにカップリングしたGタンパク質および 細胞性エフェクター系の同定
A.オピオイドレセプターにカップリングしたGタンパク質
κおよびδオピオイドレセプターの両方は多細胞性エフェクター系にカップリ
ングする。Gタンパク質は多くのレセプ
ターを細胞性エフェクター系に関連させるのに必要とされる。オピオイドレセプ
ターと物理学的に関連するGタンパク質を直接測定する生物化学的なアプローチ
が本研究所により開発された。このアプローチは、SRIFレセプターおよびα2aア
ドレナリンレセプターに関連するGiおよびGoサブタイプを同定するために使用さ
れている(Lawら、1991、1993;LawおよびReisine、1992;OkumaおよびReisine
、1992)。簡潔にいうと、このアプローチは、(1)レセプター/Gタンパク質の
関係を維持するために、マイルドな清浄剤CHAPSを用いてレセプターを発現する
組織供給源由来のこのレセプターを可溶化させること、(2)可溶化されない物質
を除去するために高速度で遠心分離し、そしてGiα1(3646)、Giα2(1521)、Giα
3(1518)、Goα1またはGoα2のいずれかに対するペプチド特異的抗血清を用いて
レセプター/Gタンパク質複合体を免疫沈降させること、を包含する。この抗血
清は、D.Manning博士(Dept.Pharmacology,Univ.PA)により生成されて提供
され、そしてαサブタイプの内部配列に特異的である。この抗血清は、αサブユ
ニットの組み換え形態によって決定されたそれらの特異性に基づいて各αサブユ
ニットに対し選択的であり、そしてこの抗血清は、[35S]-メチオニンで代謝的に
標識されたαサブユニットを免疫沈降させる能力により測定されるように、αサ
ブユニットを免疫沈降させることに同様に効果的である。免疫沈降の後、免疫沈
降物を上清から分離し、そして免疫沈降されたレセプターまたは上清中に残存す
る可溶化されたレ
セプターのいずれかに対して高親和性アゴニスト結合が行われ得る。免疫沈降の
特異性は、免疫沈降をブロックするために生成された抗血清に対するペプチドを
用いて測定される。δオピオイドレセプターは、[125I]-β-エンドルフィンを用
いて標識される。なぜなら、それはδレセプターとの結合に使用できる最も強力
なアゴニストの1つであり、かつその高い比放射能によりこのレセプターの検出
が容易になるからである。さらに、Gタンパク質にカップリングしていないレセ
プターのアゴニストに対する親和性が低いので、レセプターをアゴニストで標識
することは、検出されたレセプターがGタンパク質にカップリングしたものであ
ることを保証する。可溶化され、そして免疫沈降されたδレセプターもまた、ア
ンタゴニスト[3H]-ナルトリンドールで標識される。κレセプターを標識するた
めには、高親和性のアゴニスト[3H]-U69,593およびアンタゴニスト[3H]-ナロキ
ソンが利用される。組織供給源に関しては、δおよびκオピオイドレセプターの
両方が共にCHO細胞およびPC12細胞に安定に発現されている。これらの研究によ
り、どのGタンパク質がクローン化されたδおよびκオピオイドレセプターと物
理的に関連するかを決定し得る。
これらの研究のために、SRIFおよびα2アドレナリンレセプターにカップリン
グするGタンパク質を研究するために用いた方法と同様の方法を利用した(Law
ら、1991、1993;OkumaおよびReisine、1992を参照)。クローン化されたδまた
はκ
レセプターのいずれかを安定に発現するCHO(DG44)またはPC12細胞は、非イオ
ン性清浄剤CHAPS(20mM CHAPS、20%グリセロール、250mM PMSF、ならびに50mMT
ris-HCl(pH7.8)、1mM EGTA、5mM MgCl2、10μgロイペプチン、2μgペプスタチン
および200μgバシトラシンからなる緩衝液A)を含有する緩衝液で可溶化する。
可溶化後、溶液を100,000×gで60分間4℃で遠心分離して上清を除去し、そして
緩衝液A中の7.5%グリセロール、0.5μg/mlアプロチニンで1:5に希釈する。
続いて、サンプルをAmicon8050限外濾過装置を用いて濃縮する。オピオイドレセ
プター/Gタンパク質複合体を免疫沈降させるため、可溶化されたレセプターを
Gタンパク質に特異的な抗血清のアリコートと共にインキュベートし、サンプル
を回転装置内に4℃で4〜6時間放置する。続いて、50%(w/v)タンパク質Aセ
ファロースビーズ100μlを、このサンプルに加え、そして一晩インキュベートす
る。抗血清の別のアリコートを連続して添加し、全抗血清の希釈度を1:20(こ
れは、ソマトスタチンおよびα2レセプター/Gタンパク質複合体を免疫沈降さ
せる抗血清の最適濃度である)にする。サンプルを3時間インキュベートし、続
いて、Eppendorp microcentrifugeにて10,000rpmで2分間遠心分離する。上清を
除去し、そして下記の結合アッセイを用いてオピオイドレセプターの存在につい
てテストする。免疫沈降物を緩衝液Aに再懸濁し、そして再び遠心分離する。上
清を除去して免疫沈降物を緩衝液Aに再懸濁し、そして下記の結合アッセイによ
りオピオイ
ドレセプターの存在を検出する。
可溶化されたオピオイドレセプターを放射性リガンド結合アッセイにより検出
する。δレセプターについては、代表的には、[125I]-β-エンドルフィンを用い
てレセプターを標識する。特異的な結合をDSLET(1μM)またはナルトリンドー
ル(1μM)の置換可能な結合により測定する。結合反応は25℃で行い、そして反
応混合物に9mlの冷Tris-HCl緩衝液(pH7.8)を加え、そしてサンプルを真空下で濾
過することにより停止する。結合した放射性をガンマカウンターを用いて分析す
る。同様の研究を[3H]-ナルトリンドールを用いて行う。[3H]-ナルトリンドール
は、その結合がGタンパク質カップリングに依存しないため、存在する可溶化さ
れたδレセプターの全量を測定するために使用される。反対に、[125I]-β-エン
ドルフィンはGタンパク質にカップリングしたレセプターの存在のみを検出する
。免疫沈降されたδオピオイドレセプターを検出するために、免疫沈降されたレ
セプターをTris-HCl(pH7.8)緩衝液に再懸濁し、そして上記と同様の結合アッ
セイを行う。可溶化され、そして免疫沈降されたκオピオイドレセプターを検出
するために、アゴニスト[3H]-U69,593を用いて、κレセプター/Gタンパク質複
合体を検出し、そして[3H]-ナロキソンを用いて存在する全κレセプターを検出
する。
使用されるGタンパク質特異的抗血清は、SRIFおよびα2アドレナリンレセプ
ター/Gタンパク質カップリングを研究するために使用された先の血清と同じで
ある。抗血清8730はGi
αのC-末端に特異的であり、そして全ての形態のGiαを認識する。使用されるGi
αサブタイプ選択性抗血清は、3646(Giα1)、1521(Giα2)および1518(Giα3
)である。これらの抗血清はGiαの内部領域に特異的である。それらの選択性は
Giαサブタイプの組み換え形態に対するその特異性に基づいて確立されている。
抗血清9072および2353は、それぞれ、GoαのC-末端および内部領域に特異的であ
る。これらは、Goαと選択的に相互作用する。オピオイドレセプターと相互作用
するGoαのスプライシング変種を区別するために使用するGoα1およびGoα2抗血
清は、Goαサブタイプの290〜299残基に対応するペプチドGlu Tyr Pro Gly Ser
Asn Thr Tyr Glu Asp(配列番号:36)およびGlu Tyr Thr Gly Pro Ser Ala Phe T
hr Glu(配列番号:37)に対して生成される(Lawら、1993)。
XIII.オピオイドレセプターおよびそれらのmRNAのアゴニスト調節の分子基礎
オピオイドレセプターの急激な刺激は痛覚消失を誘導し得るが、レセプターの
アゴニストへの慢性被曝は耐性を誘導し得る(KoobおよびBloom、1992)。これ
らの行動現象に含まれる特異的な神経化学メカニズムは知られていない。しかし
ながら、多くの研究は、耐性の発生をオピオイドレセプターの脱感作と関連させ
ている(Nestler、1993、LohおよびSmith、1990;Childers、1988)。オピオイ
ドアゴニストへの慢性被曝の後、細胞株および動物中のδオピオイドレセプター
が脱
感作されると報告されている(Lawら、1983〜1985)。同様に、COSまたはCHO細
胞に発現されるクローン化されたδオピオイドレセプターは、アゴニストによる
前処理の後で、脱感作する(未公開の結果)。齧歯類における研究もまた、κレ
セプターが慢性オピオイド処理により変調され得ることを示唆している。予測さ
れるように、COS細胞に発現されるクローン化されたκレセプターは、アゴニス
トによる前処理の後、脱感作される。
短期間のオピオイド処理はオピオイドレセプターの脱感作を誘導し得るが、培
養中の細胞のオピオイドへの長期間被曝または動物のオピオイドによる長期間処
理はオピオイドレセプターのダウンレギュレーションを引き起こす。ダウンレギ
ュレーションは、このレセプターの内在化(internalization)または退化(degr
adation)による不活性化を包含する。これは、NG-108細胞に発現されるδオピオ
イドレセプターについて、最も明らかに確立されている(Lawら、1984、1985)
。多くのホルモンレセプターおよび神経伝達物質のレセプターに関しては、レセ
プターの脱感作およびダウンレギュレーションが、時間的様式および分子形態の
両方に関連している(Hausdorffら、1992)。
多くの神経伝達物質およびホルモンに関しては、レセプターのダウンレギュレ
ーションが多くの長期間の適応細胞応答を引き起こし得る。最も明確な変化の1
つは、ダウンレギュレートされたレセプターをコードする遺伝子の発現における
改変である。慢性オピオイド処理がオピオイドレセプターのダウンレギュレーシ
ョンを引き起こすと報告されているが、慢性オピオイドの使用後の、適応細胞応
答に関しては殆ど知られていない。
A.オピオイドレセプターの脱感作の分子基礎
アゴニストに対するクローン化されたκレセプターを発現するCOS細胞の前処
理はκレセプターを脱感作する。酵素BARKはκレセプターの脱感作に関与する。
なぜなら、κレセプターおよび優性のネガティブBAKK変異体を同時発現する細胞
では、アゴニスト前処理がκレセプターの脱感作を引き起こさないからである。
リン酸化はレセプターをGタンパク質およびエフェクター系から解離することが
示されているので、BARKは多くのアゴニストの占めるレセプターのリン酸化を触
媒し、そしてこのリン酸化はこれらのレセプターのアゴニスト誘発脱感作に連動
する(Hausdorffら、1992;Benovicら、1989)。κレセプターに対するペプチド
特異的抗血清を生成し、そしてそれを用いてκレセプターが脱感作の間にリン酸
化されるかどうか、およびBAKKがリン酸化の触媒に関与するかどうかをテストす
る。本発明は、κレセプターのC-末端(Thr Val Gln Asp Pro Ala Ser Met Arg
Asp Val Gly;配列番号:38、残基367〜378)およびN-末端(Ser Pro Ile Gln I
le Phe Arg Gly Asp Pro Gly Pro Thr Cys Ser;配列番号:39、残基3〜17)に
対応する2つの合成ペプチドを開示する。これ
らの配列は、κレセプターのユニークな領域であり、そしてGenbankデータベー
スから入手可能な他のいずれの配列にも対応しない。このペプチドを用いて、SR
IFレセプターに対するペプチド特異的抗血清を生成するために利用されたのと同
じアプローチを用い、抗血清を生成する。この抗血清は、可溶化されたκレセプ
ターを免疫沈降させるそれらの能力(これは、放射性リガンド結合技術を用いて
検出される)、および、[35S]-メチオニンで代謝的に標識された、トランスフェ
クトされたCOS細胞中のκレセプターを免疫沈降させるそれらの能力についてテ
ストされる。抗血清の特異性は、レセプターを免疫沈降させる抗血清の能力をブ
ロックするために生成されるペプチドの能力により測定される。この抗血清はま
た、κレセプターを一過的または安定的に発現するそれぞれのCOS細胞またはCHO
細胞を用いる免疫ブロット法によりクローン化されたκレセプターを選択的に検
出する能力についてテストされる。
一旦抗血清の特異性が特徴付けられると、これらは、κオピオイドレセプター
が脱感作の間にリン酸化されるかどうかを測定するために使用される。これらの
研究のために、κレセプターを発現するCOS細胞またはCHO細胞のいずれかを[32P
]-オルトホスフェートでプレロードする。これらの細胞を、U50,488で種々の時
間(1、5、10、15、30、45分間、および1、2および4時間)処理し、処理を
停止し、そして細胞を可溶化させてκレセプターを免疫沈降させる。続いて、免
疫
沈降されたレセプターをSDS-PAGEにかけ、そしてオートラジオグラフして、それ
らがリン酸化されるかどうかを測定する。N-末端特異的抗血清はリン酸化された
レセプターおよびリン酸化されていないレセプターの両方を同様に良く認識し得
るはずである。なぜなら、そのエピトープは細胞内キナーゼに接近できない細胞
外ドメインにあり、従って、リン酸基により妨害されるはずがないからである。
C-末端特異的抗血清もまた、レセプターを免疫沈降させるために用いられる。リ
ン酸化された残基が抗血清のエピトープに近い場合、これはリン酸化により影響
され得る。N-末端特異的な抗血清が免疫沈降し得るのに対し、それがリン酸化さ
れたレセプターを免疫沈降させることができないならば、このとき、結果はC-末
端の領域がリン酸化されることを示唆する。レセプターがリン酸化される場合、
反応の特異性は、nor-BNIがアゴニスト誘導リン酸化をブロックし得るかどうか
(ちょうど、それがアゴニスト誘導脱感作をブロックし得るように)を測定する
ことによりテストされる。リン酸化におけるBARKの役割は、BARK優性ネガティブ
変異体がレセプターのリン酸化を防止するかどうか(ちょうど、それがκレセプ
ターの脱感作を防止するように)を測定することによりテストされる。
BAKK優性ネガティブ変異体がアゴニスト誘導κレセプターのリン酸化をブロッ
クする場合、リン酸化され、かつκレセプターの脱感作に関与するκレセプター
中の領域は、標準的な技術を用いて同定される。リン酸化はレセプターの細胞内
ドメインで起き易い。なぜなら、これらはBAKKから影響を受ける領域であるため
である。交換変異は、リン酸化され得、かつ脱感作に関与し得るκレセプター中
の局在領域に使用される。本研究所での先の研究は、SRIFレセプターSSTR1が慢
性的なアゴニスト処理の後に脱感作せず、従って、アゴニスト依存性様式でリン
酸化されると予測できないことを示している(Rens-Domianoら、1992)。このレ
セプターはκレセプターとアミノ酸配列において40%の同一性を有する。先に生
成された一連のκレセプター/SSTR1交換変異体の、第2および第3の細胞内ル
ープならびに細胞質尾部は、この2つのレセプターの主な細胞内ドメインであり
、リン酸化され易いκレセプターの領域である。なぜなら、これらは、BAKKによ
り触媒されるリン酸化のアセプターである多数のセリンおよびトレオニン残基を
含有するからである。キメラκレセプター/SSTR1を発現するCHO細胞をκアゴニ
スト(U50,488)で処理することを用いてこのレセプターのリン酸化をテストす
る。これらの研究では、変異体レセプターを安定に発現するCHO細胞を、[32P]-
オルトホスフェートでプレロードし、そしてアゴニスト処理の後に、細胞を可溶
化させ、キメラレセプターをκレセプターのN-末端領域(これは、レセプター変
異により妨害されないエピトープである)特異的抗血清で免疫沈降させる。アゴ
ニスト前処理の後にリン酸化されていないキメラが一旦同定されると、野生型の
κレセプター中のセリンおよびトレオニンの一点突然変異が、キメラレセプター
で交換さ
れたそれらの領域に誘発される。変異レセプターは、慢性的なアゴニスト処理の
後に、それらの脱感作能力、およびそれらがアゴニスト刺激に応答してリン酸化
されるかどうかについてテストされる。
κレセプターのN-末端およびC-末端中のユニークな配列に対応するペプチドSe
r Pro Ile Gln Ile Phe Arg Gly Asp Pro Gly Pro Thr Cys Ser(配列番号:39)
およびThr Val Gln Asp Pro Ala Ser Met Arg Asp Val Gly(配列番号:38)は、
ペプチド合成装置(the Wistar Inst.Philadelphia,PA)を用いてS.Khan博士
により合成された。このペプチドは、二官能性カップリング試薬であるグルタル
アルデヒドを用い、キャリアとしてのスカシガイヘモシアニン(KLH)タンパク
質に共有結合する。ペプチド−KLH結合体は、第1の注射のためのフロイント完
全アジュバントの存在下で、続いて、次の注射のための不完全アジュバントの存
在下で乳化される。ニュージーランドウサギは、4週間毎に皮下注射を受け、そ
して各免疫化の10日後に採血される。
クローン化されたκレセプターを発現するCHO細胞またはCOS細胞のいずれかお
よびコントロール細胞由来の膜を8%のSDS-PAGEにかけ、タンパク質をニトロス
クリーンメンブレンに移し、そしてこのメンブレンを、5%の脱脂ミルク、0.02
%アジドおよびPBSで37℃で2時間飽和させる。種々の希釈度(1:10〜1:10,0
00)の5%ミルク/PBS中の抗血清を、このメンブレンと共に4℃で連続的に振
動しながら、一晩イン
キュベートし、続いて、このニトロセルロースメンブレンを洗浄し、結合した抗
体を、アルカリホスファターゼ標識抗ウサギ抗体キットで検出する。非特異的な
反応を、特異的なペプチドブロックにより測定する。前免疫血清もまた、特異性
のコントロールとして使用される。
COSまたはCHO細胞中のκレセプターを可溶化させ、そして抗血清でプレロード
したタンパク質A−セファロースビーズ(20μl血清あたり、20μlの50%タンパ
ク質A−セファロースビーズ/50%PBS溶液)の存在下で一晩4℃でインキュベ
ートする。上清および免疫沈降物を、高親和性の[3H]-U69593結合および[3H]-ナ
ロキソン結合の存在について分析する。さらに、レセプターを、Theveniauら(1
992)に記載のように、[35S]-メチオニンで代謝的に標識し、そして抗血清で免
疫沈降させる。これらの研究のため、クローン化されたκレセプターを発現する
COSまたはCHO細胞を、0.5mCiの[35S]-メチオニンを含有するメチオニンフリーの
培地中で一晩インキュベートする。細胞をPBSで洗浄し、そしてタンパク質をRIP
A緩衝液に可溶化させる。レセプターを、抗体でコートされたタンパク質Aビー
ズとともに一晩インキュベーションすることにより免疫沈降させる。免疫沈降物
をサンプル緩衝液中に沸騰させ、10%のSDS-PAGEおよびオートラジオグラフにか
ける。
κレセプター、またはキメラκレセプター/SSTR1を発現するCOSまたはCHO細
胞のいずれかを、0.3mCiの[32P]-オルトホスフェートと共に24時間インキュベー
トして、レセプターが
脱感作の間にリン酸化されることを測定する。続いて、細胞をU50488で種々の時
間(0、5、15、30、45、60、90、120または240分間)刺激する。反応を停止し
、細胞を冷PBSで洗浄し、上記のように膜を可溶化させ、そしてレセプターをペ
プチド特異的抗血清で免疫沈降させる。免疫沈降物をSDS-PAGEおよびオートラジ
オグラフにかけ、このレセプターがリン酸化されるかどうかを測定する。免疫沈
降の特異性は、ペプチド(これに対して抗血清が生成されるかどうか)でブロッ
クすること、およびコントロールの、非処理の細胞中のκレセプターのリン酸化
の欠如により示される。
B.δオピオイドレセプターの脱感作の分子基礎
κレセプターと同様に、δオピオイドレセプターは慢性的なアゴニスト前処理
の後に脱感作する。CHO細胞に安定に発現されるクローン化されたδレセプター
は、慢性的なアゴニスト前処理の後に、脱感作する。脱感作は、アゴニストに対
するレセプターの親和性の低下、Gタンパク質由来のレセプターの不結合および
cAMP形成のアゴニスト阻害を介在するδレセプターの能力の減少として特徴付け
られる。上記のκレセプターと同様の研究は、COS細胞中で発現されるδレセプ
ターがアゴニスト処理の後に脱感作されるかどうかをテストするために行われる
。
これらの研究のため、クローン化されたδレセプターに対するペプチド特異的
抗血清は、N-およびC-末端の残基20〜32
および367〜379にそれぞれ対応するペプチド(Ser Asp Ala Phe Pro Ser Ala Ph
e Pro Ser Ala Gly Ala; 配列番号:40)、および(Ala Thr Thr Arg Glu Arg Va
l Thr Ala Cys Thr Pro Ser; 配列番号:41)を用いることにより、生成される
。抗血清は、続いて、δレセプターが脱感作の間にリン酸化されるかどうかを測
定するために使用される。これらの研究のため、クローン化されたδレセプター
をCOSおよびCHO細胞内で発現させ、その細胞を32P-オルトホスフェートでプレロ
ードし、そしてDSLET(1μM)で種々の時間(1、5、10、15、30、および60分
間)刺激する。続いて、細胞を可溶化し、そしてδレセプターを抗血清で免疫沈
降させる。免疫沈降物をSDS-PAGEおよびオートラジオグラフにかけ、レセプター
がリン酸化されるかどうかを測定する。同様の研究は、δレセプターでコトラン
スフェクトされたCOS細胞およびBARK優性ネガティブ変異体において行われ、BAK
Kがδレセプターのリン酸化に関与するかどうかを測定する。
脱感作の間にリン酸化されるδオピオイドレセプターの領域を決定するために
、上記のκレセプターと同様のアプローチを、δオピオイドレセプター/SSTR1
キメラレセプターに用いる。キメラがリン酸化されない場合、点突然変異が野生
型レセプターに誘発され、SSTR1で交換された対応する領域中のセリンおよびト
レオニンを転換する。続いて、この変異したδレセプターは、アゴニスト前処理
後の脱感作されるその能力、およびそれがリン酸化されるかどうかについてテス
トさ
れる。
XIV.オピオイドレセプター遺伝子の発現
慢性的なオピオイド処理は多くの適応細胞応答を誘導する。いくつかの神経伝
達物質およびホルモンに関しては、標的細胞または組織のアゴニストへの慢性被
曝は、このレセプター遺伝子の発現に長期間の変化を誘発し得る。現在までのと
ころ、δおよびκオピオイドレセプター遺伝子の発現に対するオピオイド処理の
長期間的影響に関する情報は入手し得ない。
δオピオイドレセプターを内在的に発現するNG-108細胞(Lawら、1983)を、
δアゴニストで処理してこのレセプターを脱感作およびダウンレギュレートし、
そして随伴変化がこのδオピオイドレセプター遺伝子の発現に存在するかどうか
を測定する。δレセプター遺伝子発現の変化を、δレセプター特異的プローブを
用いるノーザン分析により測定する。NG-108細胞を、δ選択的アゴニストDPDPE
(1〜100nm)で種々の時間(5、15、45、60分間、2、4、6、8、16および2
4時間)処理する。DPDPEがδレセプターmRNAレベルを変化させる場合、他のアゴ
ニスト(DSLET、デルトルフィン(deltorphin)およびブレマゾシン(bremazocine)
)がこの影響を誘導する能力を研究する。これらの研究は、長期的なδレセプタ
ーアゴニスト処理に対する細胞応答がδレセプター遺伝子発現の変化であるかど
うかをテストする。
δオピオイド選択的アゴニストを用いた慢性処理がインビ
ボでのδレセプター遺伝子発現を改変するかどうかを調べるために、DPDPEで慢
性的に処理してアゴニストに対する耐性(抗侵害受容性)を作ったラットおよび
マウスの死後冷凍した脳を得る。使用される手順および薬物投与のスケジュール
は、先に記載されたもの(CowanおよびMurray、1990;Heymanら、1988)と同様
である。選択された脳の領域(大脳皮質、線条、海馬および小脳)、生理食塩水
で処理されたコントロールの脊髄およびDPDPEで処理された動物では、δオピオ
イドレセプターmRNAの変化はノーザン分析により定量される。いくかの同じブロ
ットに関しては、κレセプターmRNAを再プローブ化して、オピオイドレセプター
遺伝子発現の変化の選択性を測定する。さらに、コントロールおよび処理動物の
他のグループでは、δオピオイドレセプターmRNAの相対レベルを、インサイチュ
ハイブリダイゼーション組織化学法によるセミ−定量により測定する。慢性δア
ゴニスト処理の結果としてδレセプターmRNAの変化を検出するためにインサイチ
ュハイブリダイゼーション組織化学法を使用する利点は、局所的(フィルムオー
トラジオグラフ)および細胞的レベル(エマルジョンオートラジオグラフ)での
優れた解剖学的な解析である。これは、その内部でδレセプターが重要な役割を
有し、そしてδアゴニストに対する耐性が示された青斑(locus coerleus)およ
び他の脳幹核(brainstem nuclei)のような小核(small nuclei)中のδレセプ
ターmRNAにおける変化を分析するのに特に重要である(Nestler、1993)。イン
サンチュ
ハイブリダイゼーションのために、セクションを加工し、フィルムにアプライし
、そして青斑、黒質、線条、中隔側座核、海馬、扁桃、視床下部および中心灰白
物質のような選択された領域におけるオートラジオグラムの吸光度を分析する。
これらの領域は、マウスの脳中のδオピオイドレセプターmRNAを発現し、そして
オートラジオグラフの研究では、ラットの脳中でδレセプターを発現することが
示されている(Herz、1993)。フィルムへ曝した後、これらのセクションを写真
乳剤に含浸させ、そして単一細胞レベルでオートラジオグラフシグナルを測定し
、標識の解剖学的な特異性を確認する。単一細胞レベルでの定量は、標識された
細胞が散乱するために、フィルム上での標識が最適ではない脳領域で行われる。
顕微鏡分析が、所定の領域中のニューロンのサブ集団に対して異なる効果を示唆
する場合、単一細胞分析もまた、吸光度測定を補足する。同様の研究は、DPPDE
に対する耐性を作った動物の脳でκレセプターmRNAが改変されるかどうかを測定
するために行われ、δレセプター遺伝子発現に与える影響の特異性を測定する。
これらの処理のために使用されるδレセプターアゴニストDPDPEは、κレセプタ
ーにも、その他のいずれのオピオイドレセプターにも結合しない。
A.κレセプター遺伝子発現における選択的な変化
κレセプターを内在的に発現する細胞株はない。さらに、クローン化されたκ
レセプターを安定に発現するCOSおよびC
HO細胞を、CMVプロモータの存在下でマウスcDNAによりトランスフェクトする。
従って、このcDNAは、調節領域、およびκレセプター遺伝子発現を調整する因子
の正常な制御下に置かれていない。従って、κアゴニストによる齧歯類動物の慢
性的な処理は、このアゴニストがκレセプター遺伝子発現の変化を誘導し得るか
どうかを測定する。これらの研究のため、U50,488で処理されたラットおよびマ
ウスから冷凍した死後の脳を入手し、先の手順(CowanおよびMurray、1990)を
用いてκアゴニストの抗侵害受容作用に対する行動耐性を誘導する。選択的脳領
域中の改変されたκレセプター遺伝子発現は、ノーザン分析を用いることにより
、およびκレセプター選択的RNAプローブを用いるインサイチュハイブリダイゼ
ーション組織化学法により行われる。処理された動物の脳セクションの結果を、
コントロールである生理食塩水で処理された動物の脳セクションで検出されたκ
レセプターのmRNAレベルと比較する。隣接したセクションでは、この処理がκレ
セプター遺伝子発現を選択的に影響するかどうかを測定するために、δオピオイ
ドレセプターmRNAレベルが検出される。U50,488は、δオピオイドレセプターに
も、κレセプター以外のその他のいずれのレセプターにも結合しない。従って、
U50,488処理が、δレセプターmRNAレベルには変化を与えずに、κレセプターmRN
Aレベルの選択的な変化を誘導する場合、κレセプター遺伝子発現の変化は、κ
レセプターの活性化および変調に直接に関連するようである。
B.オピオイドレセプター遺伝子発現に対するモルヒネの影響
モルヒネはnM IC50値を有するμレセプターに強力に結合する。しかし、これ
は、クローン化されたκレセプター(IC50 1μM)には強力でないが、10μMでは
クローン化されたδレセプターとの結合を阻害しない。μレセプターに対するそ
の選択的高親和性は、遺伝子発現の変化が単にκまたはδレセプターの活性化の
みによるのであれば、その親和性はκまたはδオピオイドレセプター遺伝子発現
に影響し得ないことを示唆する。
κおよびδオピオイドレセプターmRNAレベルに対するモルヒネの影響は、脳セ
クションではインサイチュハイブリダイゼーション組織化学法を用いることによ
り、そして脳領域ではノーザン分析により研究される。モルヒネの抗傷害受容行
動に対する耐性を作ったラットおよびマウスからの、凍結した死後の脳は、先の
手順を用いて得られる(Tortellaら、1981;CowanおよびMurray、1990)。
NG-108細胞を、DPDPE(1μM)に種々の時間(0、5、15、45分間、1、2、
4、8、16および24時間)曝する。細胞をPBSで洗浄し、フラスコから分離し、R
NAをグアニジンイソチオシアネート−塩化セシウム法で抽出し、グリオキサール
で変性させ、1%アガロースゲルにて分画し、そしてナイロンメンブレンへ転移
した。ブロットを、cDNAのコーディング領域の開始350bpに対応するクローン化
されたマウスδオピオイ
ドレセプターcDNAの[32P]-標識フラグメントでプローブする。ハイブリダイゼー
ションの後、ブロットを2×SSCにて室温で、0.05%SDSにて室温で、続いて、0.
1×SSCにて48℃で、そして0.1%SDSで30分間洗浄する。続いて、このブロットを
、補力スクリーンの存在下にて−75℃でX−線フィルムに曝する。各レーンの全
RNAの差を考慮するための内部コントロールとして、このブロットをβ-アクチン
mRNA用のプローブで再プローブする。δレセプターmRNAの相対レベルは、デンシ
トメトリー、mRNAを含有するゲル上のバンドを切り出し、そしてシンチレーショ
ン分光法により放射活性量を測定することにより定量される。NG-108細胞中のδ
レセプターのレベルがノーザン分析により検出されるには低すぎる場合は、逆転
写酵素PCRを用いてmRNAのレベルを測定する。異なるラットおよびマウスの脳領
域におけるδオピオイドレセプターmRNAについてのノーザン分析は、上記と同様
の手順を用いて行われる。Yasudaらにより記載されるように、cDNAの開始375bp
に対応するマウスκレセプターCDNAのPSt1/EcoR1フラグメントを用いてκレセ
プターmRNAを検出するために、同様の手順が使用される。
インサイチュハイブリダイゼーション組織化学法は、上記の、35S-放射標識の
RNAプローブを用いて行われる(Chesseletら、1987)。これらの研究のために、
脳セクションを−70℃で保存し、室温に戻し、アセチル化して、0.1MのTris/グ
リシン(pH7.0)中でインキュベートし、そして勾配エタノールで脱水する。ハ
イブリダイゼーションを、湿潤チャンバー
内で50℃で3.5時間行う。ハイブリダイゼーション緩衝液は、40%のホルムアミ
ド、4×SSC(クエン酸ナトリウム15mMおよびNaCl 150mM中の1×SSC、pH7.2)
、10%の硫酸デキストラン、10mMのDTT、tRNA、ニシン精子DNA、Denhardt溶液お
よび標識プローブを含有する。mRNAにおける量的な差は、このような条件下で確
実に検出され得る(Weiss-WunderおよびChesselet、1991)。これらの実験のた
めに、生理食塩水で処理したコントロール動物の脳セクション、および処理した
動物の対応する脳セクションを一緒に加工する。ハイブリダイゼーション後の洗
浄は、50%ホルムアミド/2×SSCにより52℃で5、20、および25分間行う。2
回目と3回目の洗浄の間に、セクションを2×SSCでリンスし、2×SSC中のRNAs
e(100mg/ml)にて37℃で30分間処理する。このセクションを、2×SSC/Triton X
-100(0.0%)中で一晩リンスし、300mMの酢酸アンモニウムを含む勾配エタノール
で脱水し、オートラジオグラフィー用に加工する。オートラジオグラムを先に記
載されたように定量する(Soghomomianら、1992)。コントロールは、センスプロ
ーブとのハイブリダイゼーション、および非オーバーラップアンチセンスプロー
ブとのハイブリダイゼーションの解剖学的パターン変化を含む。
Morphon Image分析システムによる単一細胞分析に関しては、細胞を明視野照
度(brightfield illumination)下で、100倍または40倍の対物レンズによって
観察し、そしてイメージを拡大してビデオスクリーン上に転写する。規定領域内
のオー
トラジオグラフィーグレインを先に記載されたように分析する(Weiss-Wunderお
よびChesselet、1991)。
動物を処理するために使用される正確な手順は、動物モデルに依存して変化す
る。例えば、オスICRマウス(20〜25g、Hilltop Inc.,PA)をケージあたり8匹
収容し、食物および水を自由に与える。12時間の明期/12時間の暗期のサイクル
を毎日維持する。8匹のマウスのグループは、U50,488、モルヒネまたは蒸留水
のs.c.注射を受ける。DPDPEを左外側大脳室内に注射する。動物をエーテルで軽
く麻酔し、続いて、各マウスはその頭皮に小切開を受ける。27-ゲージ針付きの1
0μlのマイクロシリンジを用いることにより、5μlのDPDPEまたは蒸留水を、ブ
レグマの2mm外側、および2mm尾部側で深さ3mmのところに投与する。傷口を、ス
テンレススチールクリップで閉じ、次のicv注射を頭蓋上の同じ孔を通して行う
。代表的な注射スケジュールは先に記載されている(CowanおよびMurray、1990
;Mattiaら、1991)。マウスのグループに、U50,488(s.c.)、モルヒネ(s.c.)、D
PDPE(icv)および蒸留水(n=46、s.c.またはn=32、icv)のいずれかを1日目の午
後1時に適切な用量で注射する。侵害受容刺激として、50℃の温水によってテー
ルフリック(tail-flick)する潜伏時間を用い、そして100×(テスト潜伏時間-
コントロール潜伏時間)/(15または30−コントロール潜伏時間)のように計算
して、010、20、および30分における抗傷害受容を評価する。15または30秒の遮
断点は、代表的には、初頭の潜伏時間に応じて選
択される。蒸留水を与えられるコントロールマウスもまた、テールフリック潜伏
時間について測定される。回帰線、A50値および95%信頼限界は、Tallaridaおよ
びMurrayのコンピュータプログラム中の手順8(1987)を用い、個々のデータ点
から測定される。マウスに、注射スケジュールに基づいてアゴニストまたは蒸留
水を注射し、続いて、抗侵害受容アッセイを再実行する。薬理的な耐性は、最初
の投与量−反応曲線の右方向(そしておそらく下向き)の変化により反映される
。最後の注射の4時間後、各動物を断頭し、全脳を砕氷上で切開し、そして直ち
に−80℃で保存する。いくつかの動物については、断頭の後に、脳を切開し、大
脳皮質、海馬、小脳、髄質、中脳、視床下部および線条を収集し、直ちに−80℃
で凍結し、そしてノーザン分析に用いる。
ラットに関する研究のために、オスS.D.アルビノラットを、(毎日12時間の明
期/12時間の暗期のサイクル)ケージあたり5匹収容する。これらのラットはU5
0,488、モルヒネまたは蒸留水のs.c.注射を受ける。左外側大脳室にPE10を予め
移植したラットにDPDPE(5μl)を注射する(Tortellaら、1981)。
ラットには先に記載のように注射する(Heymanら、1988;CowanおよびMurray、1
990)。ラットのグループに、U50,488(s.c.)、モルヒネ(s.c.)、DPDPE(icv)また
は蒸留水(n=46、s.c.またはn=32 ICV)を1日目の午後1時に注射する。侵害
受容刺激として、50℃ホットプレート上での後足なめ(hind-paw lick)の潜伏
時間を用い、そして100×(テスト潜伏時間
−コントロール潜伏時間)/(30、45または60−コントロール潜伏時間)のよう
に計算して、0、10、20、および30分における抗傷害受容を評価する。30、45、
または60秒の遮断点は、通常、初頭の潜伏時間に応じて選択される。計算、注射
スケジュールおよびデータ分析は、マウスに関する記載と同じである。
XV.アッセイキット
他の局面では、本発明は、生物学的なサンプル中のオピオイドレセプターポリ
ペプチドを検出するための診断アッセイキットを意図し、ここで、このキットは
、オピオイドレセプターポリペプチドと免疫反応し得る一次抗体を含有する第1
のコンテナを有し、そして一次抗体は少なくとも1回のアッセイを行うのに充分
の量で存在する。好ましくは、本発明のアッセイキットは、さらに、一次抗体と
免疫反応する二次抗体を含有する第2のコンテナを有する。さらに好ましくは、
本発明のアッセイキットに使用される抗体は、モノクロナール抗体である。さら
により好ましくは、一次抗体が固体支持体に固定されている。さらに、より好ま
しくは、一次および二次抗体はインジケーターを含有し、そして好ましくは、こ
のインジケーターは放射活性標識または酵素である。
本発明はまた、作用物質をスクリーニングするための診断キットを意図する。
このようなキットは、本発明のオピオイドレセプターを含有し得る。このキット
は、作用物質と本発
明のレセプターとの間の相互作用を検出するための試薬を含有し得る。提供され
る試薬は、放射標識され得る。このキットは、本発明のレセプターと結合または
相互作用し得る周知の放射標識作用物質を含有し得る。
このキットは第2のポリペプチドを含有し得ることがさらに意図される。第2
のポリペプチドはG−タンパク質であり得る。この第2のポリペプチドはまた、
エフェクタータンパク質であり得る。キットに第2のポリペプチドが含有される
とき、レセプターとこの第2ポリペプチドとの間の相互作用を検出するための試
薬が提供され得る。特定の例として、レセプター/Gタンパク質複合体を検出し
得る抗体が提供され得る。別の特定の例として、Gタンパク質/エフェクター複
合体を検出し得る抗体が提供され得る。エフェクターの検出用試薬が提供され得
る。例えば、提供されるエフェクターがアデニリルシクラーゼである場合、アデ
ニリルシクラーゼの活性を検出するための試薬が提供され得る。このような作用
物質の同定は、関連分野の業者の知識範囲内である。
他の局面では、本発明は、生物的なサンプル中の、レセプターポリペプチドを
コードするポリヌクレオチドの存在を検出するための診断アッセイキットを提供
し、このキットは、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5または配列番号
:11の少なくとも10個の連続したヌクレオチド塩基のセグメントと同じまたは相
補的な第2のポリヌクレオチドを含有する第1のコンテナを包含する。
他の実施態様では、本発明は、生物的なサンプル中の、オピオイドレセプター
ポリペプチドに免疫反応性の抗体を検出するための診断アッセイキットを提供し
、このキットは、その抗体と免疫反応するオピオイドレセプターポリペプチドを
含有する第1のコンテナを有し、そしてこのポリペプチドは、少なくとも1回の
アッセイを行うのに十分な量で存在する。このキットの試薬は、液状溶液、固体
支持体に付着された形態として、または乾燥粉末として提供され得る。試薬が液
状溶液で提供される場合、この液状溶液は、好ましくは水溶液である。好ましく
は、試薬が固体支持体に付着されている場合、この固体支持体はクロマトグラフ
ィー媒体または顕微鏡スライドであり得る。提供される試薬が乾燥粉末である場
合、この粉末は、適切な溶媒を添加することにより再構成され得る。この溶媒は
提供され得る。
実施例
実施例は、本発明の好ましい態様を含む。以下の実施例の特定の局面は、本発
明の実施において十分に役立つように本発明者らにより見出されまたは意図され
た技術および手順に関して記載される。これらの実施例は、本発明者らの標準的
な研究所での実施の使用により例示される。本開示および当業者の一般的な技術
レベルに照らして、当業者は、以下の実施例が単に例示的であることを意図する
ことおよび多くの変化、改変、ならびに変更が本発明の精神および範囲から逸脱
することなく行われ得ることを認識する。実施例1:cDNAクローンの短離
2つの変性オリゴヌクレオチド、SSTR-D1、
5'-ACCAA(T/C)(G/A)TCTA(T/C)AT(T/C)AT(T/C)CTIAACCTGGC-3'
配列番号:9;および
SSTR-D2、
5'-ACIGTCAG(G/A)CAG(A/T)A(G/T)AT(G/A)CTGGTGAA-3'
配列番号:10
を、ソマトスタチン(SRIF)レセプターサブタイプ、SSTR1、SSTR2およびSSTR3の
第2および第3貫膜ドメイン中に存在する保存配列を使用して選択した(Yasuda
ら、1992;Yamadaら、1992)。マウス脳cDNAライブラリー(Clontech、Palo Alto
、CA;カタログ番号ML1036a)のアリコート(約1×106pfu)を鋳型として使用して
、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用する増幅を行った。
サイクル条件は:94℃で1分間の変性、37℃で1分間のアニーリングおよび72
℃で2分間の伸長を10サイクル、次いで、94℃で1分間の変性、55℃で1分間の
アニーリングおよび72℃で2分間の伸長を35サイクルであった。PCR産物を、3
%低融点アガロースゲル上で分離し、そして150bpと200bpとの間のDNAフラグメ
ントを単離し、M13 mp18中へクローニングして配列決定した。
新規SRIFレセプター様配列をコードする2種のPCR産物を同定し、msl-1(SD3)
およびmsl-2(SD15)と名付けた。これらを、ニックトランスレーションにより32P
-標識し、そしてそれを用いてX-線フィルムへ曝する前に50℃の0.1×SSCおよび0
.1%SDS中で最後のハイブリダイゼーション後洗浄を行う標準条件を用いるハイブ
リダイゼーションによりマウス脳cDNAライブラリーをスクリーニングした。
SRIFレセプター関連配列をコードするマウス脳cDNAを、PCRおよび変性オリゴ
ヌクレオチドプライマーを使用して上述のように増幅した。150〜200bpのPCR産
物をクローニングし、そして配列決定した。特徴付けられた33クローンのうち、
2個がmSSTR1を、2個がSSTR2を、9個がmSSTR3をコードし、4個が同一で、msl
-1と呼ばれるGタンパク質カップリングレセプタースーパーファミリーの新たな
メンバーをコードし、そして1個がmsl-2と名付けられた第2の新レセプター様
配列をコードしていた。残る15クローンの配列は、Gタンパク質カップリングレ
セプターの配列またはGenBankデータベース内の他のどの配列とも関連していな
かった。クローンmsl-1およびmsl-2をプローブとして使用し、マウス脳cDNAライ
ブラリーをスクリーニングし、そして3.1kbおよび2.3kbの挿入断片をそれぞれ有
するλmsl-1およびλmsl-2を単離した。msl-1をマウスκオピオイドレセプター
と新たに命名し、そしてmsl-2をマウスδオピオイドレセプターと新たに命名し
た。
λmsl-1およびλmsl-2内の挿入断片の配列(それぞれ受託番
号L11065およびL1104でGenBankデータベースに寄託した)を決定し、それぞれ380
アミノ酸および372アミノ酸のポリペプチドをコードすることを示した(図1)。m
sl-1およびmsl-2の配列は、mSSTR1の配列と約35%の同一性を有する最近記述され
たSRIFレセプターファミリーのメンバーの配列に最も密接に関連した。
msl-1およびmsl-2の配列は、第2細胞内ループのNH2-末端内の配列Asp-Arg-Ty
r(DRY)ならびにジスルフィド結合を形成し得る第1および第2の細胞外ループ内
のシステイン残基を含むGポリペプチドレセプタースーパーファミリーのメンバ
ーの間で保存される多くの特徴を共有する。推定のNH2末端ドメインにおけるN-
結合(連結)(N-linked)グリコシル化のための可能な部位ならびに細胞内ループお
よびCOOH-末端ドメインにおけるcAMP依存性プロテインキナーゼおよびプロテイ
ンキナーゼCに対するいくつかの可能なリン酸化部位(KennellyおよびKrebs、19
91)もまた存在する(図1参照)。
msl-1およびmsl-2のアミノ酸配列のアラインメントは、それらが61%のアミノ
酸同一性および71%の類似性を有することを示した。密接に関連するGタンパク質
カップリングレセプターの他の比較において以前に示されたように(Probstら、1
992)、推定膜に及ぶセグメント配列は、NH2-およびCOOH-末端ドメインの配列よ
りさらに高度に保存される。Gタンパク質のカップリングに決定的に重要である
と考えられている短い第3の細胞内ループ(Kobilkaら、1988)を含む細胞内ルー
プの配列
は、msl-1とmsl-2との間で高度に保存される。このことは、それらが、同一のG
タンパク質にカップリングし得ることを示唆する。msl-1およびmsl-2の両方は、
第2貫膜ドメイン内に保存性のAsp残基を有する。このAspは、アドレナリンレセ
プター(Horstmanら、1990)およびソマトスタチンレセプターにおけるアゴニスト
結合のナトリウム阻害を媒介すると提案された。実施例2:発現および結合結果
マウスκオピオイドレセプターcDNAクローンλmsl-1の1.2kbのPSt Iフラグメ
ント、およびδオピオイドレセプターcDNAクローンλmsl-2の1.3kbのEco RI-Sac
Iフラグメントを、それぞれCMVプロモーターベースの発現ベクターpCMV-6bおよ
びpCMV-6c(Chiron Corp.、Emeryville、CAのDr.Barbara Chapmanより入手)中へ
クローニングした。得られた構築物pCMV-msl-1およびpCMV-msl-2を用いて、前述
(Yasudaら、1992)のようにCOS-1細胞にトランスフェクトした。
msl-1およびmsl-2を一時的に発現するCOS-1細胞から調製した膜を使用する結
合研究を、トランスフェクション72時間後に行った。簡潔に言えば、細胞を、Po
lytron(Brinkmann、2.5にセット、30秒)を使用して、50mMのTris-HCl(pH7.8)、1
mMのエチレングリコールビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N'-四酢酸、5mMのMg
Cl2、10μg/mlのロイペプチン、10μg/mlのペプスタチン、200μg/mlのバシトラ
シン、および0.5μg/ml
のアプロチニン(緩衝液1)中に採取した。次いで、このホモジネートを、48,000
×gで20分間4℃で遠心分離した。このペレットを、緩衝液1中に再懸濁し、そし
てこの膜調製物を放射性リガンド結合研究に使用した。
細胞膜(総タンパク質20〜30μg)を、競合剤の存在下または非存在下で、[3H]U
69,593(1nM、比放射能37.2Ci/mmol)または[3H]デキストロメトルファン(1nM、比
放射能82.7Ci/mmol)、[3H]DTG(1mM、比放射能37.2Ci/mmol)または[3H]DAMGO(1nM
、比放射能55Ci/mmol)(Dupont NEN、Boston、MA)と一緒に最終容量200μlで40分
間25℃でインキュベートした。非特異的結合を、[3H]デキストロメトルファンお
よび[3H]DTGを除く(代わりに10μMのハロペリドールまたはクエン酸カルベタペ
ンタンを使用した)全ての放射性リガンドについて、10μMのナロキソンの存在下
で残存結合している放射活性として定義した。
結合反応を、50mMの氷冷Tris-HCl(pH7.8)の添加、ならびに0.5%ポリエチルイ
ミンおよび0.1%ウシ血清アルブミンで少なくとも1時間前処理したWhatman GF/B
グラスファイバーフィルターによる急速濾過により停止させた。次いで、このフ
ィルターを12mlの氷冷50mM Tris-HCl(pH7.8)を用いて洗浄し、そして結合した放
射性を液体シンチレーションカウンターを使用して測定した。放射性リガンド結
合研究からのデータを用いて、阻害曲線を作成した。NIHが後援するPROPHET sys
tem上で利用可能な数学的モデリングプログラムFITCOMPにより実行された曲線適
合からIC50値を得た。
msl-1とmsl-2とSRIFレセプターとの間の相同性により、それらがSRIFレセプタ
ーファミリーの新メンバーであり得ることが示唆された。しかし、msl-1およびm
sl-2を一時的に発現するCOS-1細胞由来の膜は、特異的な[125I-Try11]SRIF結合
を示さなかった。このことは、msl-1およびmsl-2がSRIFレセプターではなかった
ことを示す。SRIFアゴニストSMS 201-995は、SRIFレセプターおよびμオピオイ
ドレセプターに結合すると報告されているので、msl-1およびmsl-2はオピオイド
レセプターであり得る可能性があった。この仮説を試験するために研究を継続し
ている間に、2つのグループがNG 108-15細胞由来のマウスδオピオイドレセプ
ターのクローニングを報告した。これらのレセプターの配列は、msl-2と同一で
あった。
δ、κ、μおよびσオピオイドレセプターに選択的なアゴニストを使用する結
合研究により、msl-2がδオピオイドレセプター(mORD1、配列番号:4)であるこ
とが確定し、そしてmsl-1がκレセプター(mORK1、配列番号:2)であることが示
された。msl-1およびmsl-2を発現するCOS-1細胞から調製された膜の結合特性を
、表2に要約した。
msl-1はκ型レセプターであって、κ1レセプターに強力かつ特異的に結合する
が、他のいずれのレセプターとも結合しないU-50,488およびU-69,593に対する、
このレセプターの高い親和性によって指定される(Zukinら、1988; Clarkら、198
9)。また、msl-1がκレセプターであることは、ダイノルフィンAに対して高い
親和性を示し、βエンドルフィンおよびエンケファリンに対してより低い親和性
を示すこととも一致している。さらに、msl-1は、μ、δ、またはσ特異的リガ
ンドに対してかなり低い親和性を示した。msl-1に結合するアゴニストおよびア
ンタゴニストは、オピオイドレセプターに予測されるとおり、立体特異的であっ
た。
GppNHp(100μM)によって、msl-1に結合するアゴニストが44%減少し、そしてms
l-2に結合するアゴニストが20%減少したことから、msl-1およびmsl-2はともにG
タンパク質と結合する。さらに、90mM NaClによって、msl-1およびmsl-2に結合
するアゴニストがそれぞれ95%および60%減少したことから、脳より調製した膜を
用いて示されるオピオイドアゴニスト結合のナトリウム依存性が確認された(Per
tおよびSnyder,1974;Ottら、1988)。
フォルスコリン刺激によるサイクリックAMP蓄積の阻害が、72時間一時的にmsl
-1およびmsl-2を発現するCOS-1細胞内で観察された。簡単に説明すると、12ウエ
ルのコスター組織培養プレートで培養された細胞を、10%牛胎児血清および500nM
3-イソブチル-1-メチルキサンチンを含有する1mlのDMEM培地
とともに30分間インキュベートした。培地を除去し、細胞を洗浄して、そして培
地を10μMフォルスコリンのみを含む同様の培地、または1μMオピオイドアゴニ
ストおよび/またはアンタゴニストと取り替えた。30分後、培地を除去し、そし
て0.5mlの1N HClを細胞に加え、次に10秒間超音波処理した。HClをSpeedVacで
エバポレーション除去し、試料のcAMP含有量を、ラジオイムノアッセイキット(N
EN/Dupont)を用いて測定した。
この2つのオピオイドレセプターは、アデニリルシクラーゼ活性のオピオイド
阻害を仲介する。κ特異的アゴニストのU-50,448およびエチルケトシクラゾシン
は、フォルスコリン刺激によるcAMPの蓄積を、一時的にmsl-1を発現するCOS-1細
胞内で50%阻害し、そしてこの効果は、ナロキソンでは完全に復帰した(図2aおよ
び2b参照)。δ特異的アゴニストのDPDPEおよびDSLETは、フォルスコリン刺激に
よるcAMPの形成を、msl-2を発現するCOS-1細胞で70%阻害し、そしてこの効果は
また、ナロキソンによりブロックされ得た。これらの結果は、msl-1およびmsl-2
がともに、COS-1細胞でのアデニリルシクラーゼ活性に対して、サブタイプ特異
的アゴニスト誘導性の阻害を仲介し得ることを示す。実施例3:κオピオイドレセプター(msl-1)mRNAの組織内分布
ノーザンブロット分析については、マウスマルチプル組織ノーザンブロット(C
lontech)を、製造会社の奨励する手法に
従い、ヌクレオチド172-548に対応するλmsl-1の32P標識376bp PstI-EcoRIフラ
グメントでハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーション後、ブロット
を室温で、2×SSCおよび0.05%SDSにて洗浄し、そして次に48℃で、0.1×SSCお
よび0.1%SDSにて30分間洗浄した。ブロットを増強スクリーンの存在下、-75℃で
7日間、X線に暴露した。サザンブロット分析については、10μgのマウスおよ
びヒトDNAをEcoRIで切断し、1%アガロースゲル上で分離し、ニトロセルロース
フィルター上に移した。ブロットを、標準的な条件を用いて、ヌクレオチド172-
1408に対応するλmsl-1の32P標識1.2kb PstIフラグメントでハイブリダイゼーシ
ョンした。6日間のX線フィルムへの暴露前に、ブロットを、48℃で、0.1×SSC
および0.1%SDSにて30分間洗浄した。
成熟雄BALB/cマウスより調製した脳切片を用いるインサイチュハイブリダイゼ
ーションを、既に報告されている(Brederら、1992)とおりに、上記のλmsl-1の3
76bPのPstI-EcoRIフラグメントを含むプラスミドより転写された35S標識アンチ
センスリボプローブおよびセンスリボプローブを用いて行った。ハイブリダイゼ
ーションおよび洗浄後、切片をNTB2写真用感光乳剤に浸し、そして4週間暴した
。スライドをD-19現像液で現像し、次に、暗視野顕微鏡を用いて観察する前に、
チオニン中で3分間対比染色した。
RNAブロッティングにより、成熟マウス脳内にκオピオイドレセプターmsl-1 m
RNAをコードする5kbの単一の転写物が認
められた。ハイブリダイゼーションのシグナルは、心臓、脾臓、肝臓、肺、骨格
筋、腎臓、または精巣内には認められなかった。成熟マウスの中枢神経系内のκ
オピオイドレセプターmRNAの分布を、インサイチュハイブリダイゼーションによ
り試験した。新皮質、梨状皮質、海馬、扁桃、内側手網、視床下部(弓状核およ
び室傍核)、青斑、および傍小脳脚核では、大量の発現が認められた。
32P標識msl-1 cDNAのEcoRI切断マウスDNAおよびヒトDNAへのハイブリダイゼー
ションでは、18kbおよび3.4kbの2つのマウスDNAフラグメントの強い標識が認め
られたのに対し、このプローブは、ヒトDNAの多数のフラグメントとハイブリダ
イゼーションし、8.0kb、6.0kb、および2.5kbのフラグメントとは強く、そして9
.5kb、5.1kb、4.8kb、および3.1kbのフラグメントとは弱くハイブリダイゼーシ
ョンした。これらのブロットに見られる多数のバンドに関する分子基本を確立す
る必要がある。msl-1 cDNA配列の内在性EcoRI部位の存在は、2つのマウスフラ
グメントに対するハイブリダイゼーションを説明し得る。さらに、この結果から
、マウスゲノム内には、単一のκレセプター遺伝子しか存在し得ないことが示唆
される。
ヒトブロットでの多数のDNAフラグメントへのハイブリダイゼーションは、さ
らに解釈し難い。ヒトκオピオイドレセプター遺伝子の部分配列から、マウスの
配列のアミノ酸Arg86およびAsp184に対応するコドン内に位置するこの遺伝子内
に、少なくとも2つのイントロンが存在することが示されており、
そしてこの結果は、少なくとも部分的に、ヒトDNAのサザンブロットで見られる
多数のバンドを説明し得る。
最近の報告(Xieら、1992)は、κレセプターの豊富な供給源源であるヒト胎盤
由来の推定オピオイドレセプターcDNAの発現クローニングを開示する。このクロ
ーン化レセプターを発現する細胞は、オピオイドリガンドと中程度の親和性のみ
で結合したが、立体特異的方法では、予測されるκレセプター選択性は認められ
なかった。このクローンの配列はまた、ヒトニューロメジンKレセプターに対す
る配列との方が、クローン化マウスδまたはκオピオイドレセプターに対するよ
りも大きな配列同一性があることが認められ、さらに、このことがこの配列のこ
れら後者のレセプターとの関係を複雑にしているが、このレセプターは、真正の
オピオイドレセプターについて推測される親和性および選択性を示す。
δオピオイドレセプターの最近のクローニング、およびκ型オピオイドレセプ
ターのクローニングについて本明細書中に記載したデータは、種々のオピオイド
レセプタークラスが、異なる遺伝子産物を表現することを強く示唆している。し
かし、数クラス、例えば、κ1、κ2、およびκ3での種々のサブクラスについて
は、分子基本が未だ明らかにされていない。COS-1細胞で発現したmsl-1の薬理学
的特徴付けにより、msl-1はκ1レセプターであることが示唆されている。他のκ
サブタイプは、他の遺伝子の産物であり得るか、もしくは共通のポリペプチドか
ら異なるグリコシル化または他の転写後修飾
を受けて生じたものか、もしくはGタンパク質のカップリングおよび非カップリ
ング状態を、同一の分子として表現すると思われる(Frielleら、1988)。あるい
は、ヒト遺伝子の予備分析に示されるとおり、κオピオイドレセプター遺伝子内
にイントロンが存在する場合、おそらく、別のスプライシングにより、僅かに異
なる薬理学的特性を有するκサブタイプが生じるものと思われる。
マウスのδオピオイドレセプターおよびκオピオイドレセプターのアミノ酸配
列を比較することにより、推定膜に及ぶセグメントおよび接続ループの配列は、
NH2末端およびCOOH末端よりも良く保存されていることが明らかにされた。この
配列の保存には、第3細胞内ループが含まれていた。これは、他のGタンパク質
カップリングレセプターが、Gタンパク質に結合する領域であり、このことから
、おそらくこれら2つのレセプターは、類似したGタンパク質と相互作用するこ
とが示唆される。大きく異なる薬理学的特性を有するこれら2つのクローン化レ
セプターを利用することができれば、アドレナリン性レセプター(Frielleら、19
88)およびタキキニンレセプター(Yokotaら、1992)に対して行われたのと同様に
、キメラポリペプチドの結合特性を比較することにより、リガンド結合部位の位
置決定が可能となる。
オピオイドレセプターの種々のクラスは、様々な薬理機能をもたらすと考えら
れている(Olsonら、1989; Slmon 1991; LutzおよびPfister 1992)。マウス脳内
のκオピオイドレセプ
ターmRNAの分布より、κレセプターは、覚醒機能、神経内分泌機能、および自律
神経機能の調節に関与し、ならびに感覚情報の処理にも関与している可能性があ
ることが示唆された。予備RNAブロッティング研究により、κオピオイドレセプ
ターmRNAの分布には、種間で差がある可能性が示唆されている。例えば、インサ
イチュハイブリダイゼーションにより、皮質内に高レベルのmRNAが認められ、そ
して線条体内では非常に低レベルのmRNAしか認められないが、ラット脳の種々の
領域から調製したRNAを用いたノーザンブロッティング研究では、大脳皮質内よ
りも線条体内の方がmRNAレベルが多いことが示唆され、この結果は、ラット脳内
のリガンド結合研究と一致する(Mansourら、1987; Nockら、1988; Unterwaldら
、1991)。このような差の機能的意義については不明であるが、ある種について
、κ選択的アゴニストを用いる研究の結果を、他の種での結果から予測すること
は不可能であるといえる。実際、この3つのオピオイドレセプタークラスの内、
κ型は、種間で最も分岐する分布を示す。予備インサイチュハイブリダイゼーシ
ョン研究により、δオピオイドレセプターmRNAは、大脳皮質、海馬、扁桃、およ
び視床下部内での発現を含む、マウス脳内のκレセプターの分布と比較して、類
似してはいるが異なる分布を有することが明らかにされている。
クローン化オピオイドレセプターを利用することができれば、インビボでのこ
れらの機能を直接試験することが可能である。これらのレセプターはまた、さら
に選択性の高いアゴ
ニストおよびアンタゴニストを臨床に適用するための開発を大いに促進し得る。
オピオイドレセプターのこのクラスに対するアゴニストは、無痛覚を誘導するが
、濫用性を制限し(Unterwaldら、1987)、呼吸機能に対する副作用はより少ない(
Shookら、1990)ことから、κレセプターは今後、特に重要である。同様に、κオ
ピオイドレセプターファミリーの他のメンバーを同定することにより、無痛覚を
誘導するが、κアゴニストの鎮静剤または向精神薬の副作用を殆ど有さない(Pfe
ifferら、1986)か、もしくは、その代わりにこれらの好ましくない副作用を選択
的に拮抗する、選択的リガンドの開発を導き得る。実施例4:診断/治療への適用
異なるオピオイドレセプターポリペプチドを単離および精製すると、診断およ
び治療への適用での使用に好ましい特性を有すると思われる候補アゴニストおよ
びアンタゴニストなどの候補物質をスクリーニングするために設計した方法にお
いて、これらのペプチドを利用することができる。
例えば、最近(Dohlmanら、1991)が、その数が増加し続けているレセプターの
サブタイプ、Gタンパク質、およびエフェクターについて述べているように、レ
セプターのリガンド結合およびGタンパク質認識の特性を特徴付けることは、診
断および治療産業にとって重要な課題である。ここで述べているとおり、再構築
実験は、レセプターが、種々の程度の特異
性で、多数の(および場合によっては機能的に異なる)Gタンパク質とカップリン
グし得ることを示す最初のものであった(Kanahoら、1984)。
例えば、ムスカリン性レセプターおよびα2-アドレナリン性レセプターのクロ
ーニングおよび過剰生産により、細胞内に高レベルに発現された場合の、単一レ
セプターサブタイプが、1タイプより多くのGタンパク質とカップリングするこ
とが明らかにされた。これらレセプターのそれぞれに対し、アゴニスト処理によ
ってアデニリルシクラーゼの阻害およびホスホイノシチド代謝の刺激の両方が得
られる。最終的に、個々のGタンパク質種は、1つを越えるエフエクターを刺激
することが明らかにされており、例えばGsはカルシウムチャンネル、さらには
アデニリルシクラーゼを調節することが報告されている。これらの著者らは、こ
のように機能が複雑でかつ見かけ上同義性であるものであるならば、根本的に重
要な問題として、どのようにして、そしてどのような環境下で、Gタンパク質は
多数のレセプターからシグナルを発生させ、そして適切なエフェクターに運ぶの
であろうか、という疑問が生ずると記している。
従来のアプローチでは、精製したレセプターおよびGタンパク質成分をインビ
トロで再構築していた。あいにく、これらの著者らが記すように、精製スキーム
は、非常に限られた数のレセプターのサブタイプおよびその同族Gタンパク質に
しか成功していない。あるいは、これまでに同定されている
オピオイドレセプターのクローニングおよび配列決定によってここで可能になっ
たように、異種発現系は、クローン化レセプターの特徴付け、およびレセプター
-Gタンパク質カップリング特異性を解明するのにさらに全般的に有用であり得
る。
このような系の一つが、最近酵母細胞で開発されており、哺乳類のβ2-アドレ
ナリン、およびGsαサブユニットの遺伝子が同時発現された(Kingら、1990)。
β2-アドレナリンの発現は、どのヒト組織よりも数百倍高いレベルに達し、そし
てリガンド結合は適切な親和性、特異性、および立体選択性があることが明らか
にされた。さらに、フェロモンシグナル伝達経路のβ2-アドレナリン介在活性化
が、成長速度変化、形態変化、およびEscherichia coli lacZ遺伝子(β-ガラク
トシダーゼをコードする)と融合するフェロモン応答性プロモーター(FUS1)の誘
導を含むいくつかの基準により示された。
β2-アドレナリン、およびGsαサブユニットの発現によって酵母のフェロモ
ン応答経路を制御する能力には、このようなレセプターの構造的および機能的特
徴付けを非常に容易にする能力を有する。成長速度またはβ-ガラクトシダーゼ
誘導を測ることによって、変異レセプターの特性を迅速に試験することができる
。さらに、本明細書中で実現可能となった単離された組換えオピオイドレセプタ
ーは、オピオイドの所望の特性をともなうが、オピオイドの所望しない特性を欠
く候補物質を識別することができるはずである。さらに、本出願により実現した
オピオイドレセプターポリペプチドの1また
はそれ以上が、オピオイドレセプターの同ファミリー内のポリペプチドよりも相
互作用する、選択的能力を有する候補物質を同定するために、上記のような系を
用いることが可能なはずである。
従って、例えば、特に共通の細胞株内でクローン化および発現された一連のオ
ピオイドレセプターを利用して、この一連のレセプターポリペプチドを種々の候
補物質に暴することができる。このようなスクリーニングアッセイの結果から、
例えばδ、κ、μ、またはσオピオイドレセプターと相互作用する能力を有する
候補物質を同定することができるはずである。
さらに、本出願により実現した単離された組換えオピオイドレセプターを比較
する場合、オピオイドの構造-活性関係を、続いて調べることができる。このよ
うな研究には、それぞれ個々のオピオイドレセプターと結合するアゴニストおよ
びアンタゴニストのような候補物質を同定するための結合研究が含まれるだけで
はなく、レセプターへの結合の他、オピオイドレセプターの活性を刺激する候補
物質を同定するための研究も含まれる。
さらに、Dohlmanら、1991が記しているように、本出願により実現可能となっ
たレセプターのようなレセプターとカップリングした、推定Gタンパク質に対す
る別の遺伝子が単離されると、非同定遺伝子産物に対する活性を有するリガンド
を同定するために一連のリガンドを都合良くスクリーニングす
ることができる。これらの著者も記しているように、他の関連サブタイプ非存在
下での単一レセプターの発現を、天然の哺乳類細胞内で達成することは、しばし
ば不可能である。従って、このような内因性レセプターを有さない微生物内また
は単離した真核細胞内での発現は、サブタイプ選択的薬剤をスクリーニングし、
かつ評価するのに有用であり得る(Marulloら、1988; Payetteら、1990; およびK
ingら、1990)。実施例5:ヒトオピオイドレセプター
ヒトオピオイドレセプターポリペプチドを、このようなレセプターポリペプチ
ドをコードするヒト遺伝子配列より単離および同定する。ヒトκオピオイドレセ
プターのイントロンおよびエキソンの両方を含む部分ゲノム配列を図3に示す。
図4aおよび4bでは、ヒトκオピオイドレセプターの部分アミノ酸配列とマウスκ
オピオイドレセプターの部分アミノ酸配列とを比較している。マウスの配列はア
ミノ酸残基1から開始し、そしてヒトの配列はアミノ酸残基87から開始する。
ヒト脳の海馬よりcDNAライブラリーを構築し、そしてマウスκオピオイドレセ
プターより、ポリヌクレオチドプローブでスクリーニングした。簡単に説明する
と、cDNA分子をEcoRIリンカーと連結した。ベクターλgt10をEcoRIで切断して直
鎖状のベクターを作製した。EcoRIリンカーを有するcDNA分子をこの直鎖ベクタ
ーに連結した。ライブラリー構築に関する宿主細胞はE.coliのLE 392株であった
。
ヒトおよびマウスのκオピオイドレセプターのアミノ酸配列には高い相同性が
認められる。図3に見られるように、293個のアミノ酸のうち、292個は同一か、
または類似のアミノ酸である。281残基は同一であり、そして6残基は保存的置
換に関連している。残基232、284、285、328、および348はロイシン、イソロイ
シン、またはバリンに関与する置換である。当業者によって高く評価されている
とおり、ロイシン、イソロイシン、およびバリンに関与している置換は、保存的
置換である。残基218は、グルタミン酸からアスパラギン酸への変化であり、そ
して残基274は、リジンからアルギニンへの変化である。当該分野で周知のとお
り、グルタミン酸およびアスパラギン酸のハイドロパシー指数は-3.5で一致して
いる。さらに、リジンおよびアルギニンは、指数がそれぞれ-3.9および-4.5の、
ハイドロパシーが最も小さい2個のアミノ酸である。従って、218位および274位
でのアミノ酸の変化は、保存的置換である。加えて、完全なヌクレオチド配列が
まだ確定されていないため、ヒトκオピオイドレセプター内には、255位、267位
、351位、および355位に、未だ同定されていない4つのアミノ酸がある。しかし
、残基351および355をコードする配列から、一つだけヌクレオチドが欠けている
ことが認められている。この2つのヌクレオチドを同定すると、アミノ酸残基35
1および355は相同性であり得るものと思われる。残基255および267は、この残基
をコードする2つのヌクレオチドが、ヌクレオチド配列から欠けているため、現
在同定さ
れていない。ヒトおよびマウスκオピオイドレセプター間の唯一の有意差は、セ
リンがアスパラギンに置き換わった残基358に認められる。
図4aおよび4bに示すヒトκオピオイドレセプターは、ヒトκオピオイドレセプ
ターのアミノ末端が存在しない部分配列である。このヒトκオピオイドレセプタ
ーのアミノ末端をコードする遺伝子配列は、ゲノムライブラリーまたはcDNAライ
ブラリーをヒトまたはマウスκオピオイドレセプターのポリヌクレオチドでスク
リーニングすることによって同定し得る。好ましくは、図3のヒトκオピオイド
レセプターのポリヌクレオチドがプローブである。ヒトオピオイドレセプターサ
ブタイプは、ヒトオピオイドレセプタープロープでスクリーニングすることによ
り同定される。
さらに、オピオイドレセプターポリペプチドをコードするヒトcDNAは、本明細
書中前記の技術を用いて、適切な宿主細胞にトランスフエクトされ、そしてオピ
オイドレセプターポリペプチドが発現される。発現したヒトポリペプチドは、オ
ピオイドレセプターサブタイプを同定するために、アゴニストおよびアンタゴニ
ストを用いてスクリーニングされる。実施例6:哺乳類細胞の安定なトランスフェクション
A.安定な形質転換細胞の単離
PC-12細胞を10%ウマ血清および5%ウシ血清を含むRPMI培地中で、5%CO2下、37
℃で50%集密度まで生育させた。細胞をリ
ポフェクション法(Mullerら、1990)により、既に報告されているとおり(Yasuda
ら、1993)、CMVプロモーターを基礎とする発現ベクターpCMV-6cにクローニング
したマウスκレセプターcDNAの1.2キロベースPstIフラグメントの7μgでトラン
スフェクトした。200μg/ml G418を含む同様の培地中で細胞を選択し、そして維
持した。既に記載されているとおり(Rens-Domianoら、1992)、マウスδレセプタ
ーを安定に発現するCHO-DC44細胞株の継代を確立した。簡単に説明すると、マウ
スδオピオイドレセプターcDNAの1.3キロベースEcoRI-SacIフラグメントを発現
ベクターpCMV-6cに挿入し、そしてpSV2nooとともにCHO細胞に同時トランスフェ
クトし、そして既に記載されているとおり(Yasudaら、1993、およびRens-Domian
oら、1992)、安定なトランスフェクタントを選択および生育させた。既に記載さ
れているとおり(Chenら、1993、およびKongら、1993)、ラットμレセプターをCO
S-7細胞内で一時的に発現させた。
B.薬理学的特性
既に記載されているとおり(4、10)、クローン化マウスκレセプターを安定に
発現するPC12細胞、マウスδレセプターを安定に発現するCHO-DG44細胞、または
トランスフェクション後、48-72時間でラットμレセプターを一時的に発現するC
OS-7細胞のいずれかに由来する膜を用いて、レセプター結合アッセイを行った。
放射性リガンド結合アッセイについては、1mM エチレングリコールビス(β-アミ
ノエチルエーテル)-N,
N'-四酢酸、5mM MgCl2、10μg/mlロイペプチン、10μg/mlペプスタチン、200μg
/mlバシトラシン、および0.5μg/mlアプロチニンを含有する50mM Tris-HCl(pH 7
.8)(緩衝液1)内に細胞を回収し、そして24,000×gで7分間、4℃で遠心分離し
た。ペレットを、Polytron(Brinkmann、設定2.5 30秒)を用いて緩衝液1中でホ
モジナイズした。次いでホモジネートを48,000×gで20分間、4℃で遠心分離し
た。ペレットを緩衝液1中でホモジナイズし、そしてこの膜調製物を放射性リガ
ンド結合研究に使用した。阻害研究については、細胞膜(10-20μgタンパク質量)
を、[3H]U-69,593(2nM、比放射能47.4Ci/mmol)、[3H]ナルトリンドール(1nM、比
放射能31.2Ci/mmol)、または[3H]DAMGO(1nM、比放射能 55Ci/mmol)とともに、最
終容量200μLで、40分間、25℃にて、競合剤存在下または非存在下でインキュベ
ートした。飽和実験については、細胞膜を上昇系列濃度の放射性リガンドととも
にインキュベートした。非特異的結合を、全放射性リガンドに対する、10μMナ
ロキソン存在下で残存結合している放射活性と定義した。氷冷50mM Tris-HCl緩
衝液(pH 7.8)を添加し、そして0.5%ポリエチレンイミン/0.1% BSAで少なくとも
1時間前処理したWhatman GF/Bグラスファイバーフィルターにて急速濾過するこ
とにより、結合反応を停止した。次に、フィルターを12mLの氷冷Tris-HCl緩衝液
で洗浄し、そして結合放射活性をシンチレーションカウンターで計数した。放射
性リガンド結合研究からのデータを用いて、阻害曲線を作成した。数学的モデリ
ングプログ
ラムFITCOMP(PerryおよびMcGonigle、1988)により行った曲線適合からIC50値を
得、そして飽和データを、米国国立衛生研究所後援によるPROPHETシステム上で
入手可能なFITSAT(McGonigleら、1988)を用いて分析した。Chong-Prusoff式(Che
ngおよびPrusoff、1973)を用いて、IC50値より阻害結合定数(Ki)を算出した。
κ、δ、およびμレセプターをコードするクローン化cDNAはPC12(κ)またはCH
O-D644細胞(δ)細胞内で安定に、もしくはCOS-7細胞(μ)内で一時的に発現した
。κ、δ、およびμオピオイドレセプターを、それぞれ選択的オピオイド放射性
リガンドである[3H]U-69,593、[3H]ナルトリンドール、または[3H]DAMGOで標識
した。これらの放射性リガンドの結合は、飽和性で、および高親和性である(図5
Aおよび5B)。飽和実験により、[3H]U-69,593は、2.8nMのKDおよび3346fmol/mgタ
ンパク質のBmaxを有するクローン化κレセプターと結合することが実証された。
同様に、クローン化δレセプターに結合する[3H]ナルトリンドールは、高い親和
性を有し、そして0.18nMのKDおよび633 fmol/mgタンパク質のBmaxを有する。ク
ローン化μレセプターに結合する[3H]DAMGOに対するKDは0.57nMであり、そしてBmax
は444 fmol/mgタンパク質である。全データを単一部位分析(single-site ana
lysis)により最適化した。適切な非トランスフェクションコントロール細胞中に
は、特異的放射性リガンド結合は検出されなかった。
一連のオピオイドリガンドを用いて、クローン化κ、δ、
およびμオピオイドレセプターの薬理学的特異性を同定した(表3)。これらのリ
ガンドには、オピオイドレセプターに対する選択的および非選的因子として、予
め特性付けられたペプチド性および非ペプチド性化合物の両方が包含される(Lut
zおよびPfister、1992; GoldsteinおよびNaidu、1989; Schiller、1993; Portog
hese、1993; およびCorbettら、1993)。内因性オピオイドペプチドのダイノルフ
ィンAは、κレセプターに対して選択的であるのに対し、β-エンドルフィン、L
eu-およびMet-エンケファリンは、μおよびδレセプターに対して選択的であっ
て、これらは、Leu-およびMet-エンケファリンについてはκレセプターと結合せ
ず、かつβ-エンドルフィンについては低効力でしか結合しなかった。Des-Tyr1-
β-エンドルフィンはどのオピオイドレセプターにも結合しなかった。各レセプ
ターへの結合は立体選択的で、(−)ナロキソンおよびレボルファノールによって
は阻害されるが、それぞれの異性体、(+)ナロキソンまたはデキストロルファン
によっては阻害されない。試験したその他の比較的非選択的な化合物は、(±)ブ
レマゾシン、エチルケトシクラゾシン、エトルフィン、ペンタゾシン、およびジ
プレノルフィンであった。これらの化合物はそれぞれ、κよりμに対して比較的
非選択的であって、そしてこれらのレセプターに対して、δレセプターに対する
よりも高い親和性を示した。同様の結果が、β-FNAおよびβ-CNAについて認めら
れたが、これらのリガンドの共有結合性により、得られた数値は真のKi値ではな
い。さ
らに、ナルトレキソン、ナルブフィン、およびナロルフィンはまた、κ、μレセ
プターに対しては比較的選択的で、δレセプターに対しては、極めてより高い濃
度でのみ結合した。
ペプチド性および非ペプチド性のアゴニストおよびアンタゴニストを含むμ選
択性として既に特徴付けられた化合物もまた、利用した。予想どおり、これらの
化合物の殆どは、低いnM範囲のKi値でクローン化μレセプターと結合した(表3)
。例外物にはモルヒネ、コデイン、モルフィセプチン(morphiceptin)、およびPL
O17が含まれ、10-100nMの範囲の親和性で結合する。試験した主なリガンドは、
μレセプターに対して選択的であり、そしてκまたはδレセプターとは結合しな
い。交差反応性を示したリガンドのうち、フェンタニルは高選択性でμレセプタ
ーと結合するが、その誘導体であるロフェンタニルおよびスフェンタニルはより
低選択性であり、δおよびκ両レセプターと相互作用するが、μレセプターに対
するより低い親和性で相互作用する。同様の交差反応性は化合物のナロキソナジ
ンで認められたが、この化合物はμレセプターのサブタイプ間を識別することが
示唆されており、μ1レセプターに対して高い親和性を有する(Pasternackおよび
Wood、1986)。クローン化μレセプターの、サブタイプ選択性を有する化合物で
あるナロキソナジンに対する高い親和性は、クローン化μレセプターが、内在的
に発現されたμ1レセプターのサブタイプに相当することを示唆する。
κ-選択的リガンドであるU-50,488、U-69,593、ICI 204488、およびスピラド
リンの結果(表3)から、κ選択性を示す既存の結果が確認された(LutzおよびPfi
ster、1992; GoldsteinおよびNaidu、1989; Schiller、1993; PortogheseN 1993
;お
よびCorbettら、1993)。κアンタゴニストnorBNIもまた、κレセプターに対して
選択的であったが、試験したアゴニストほどではなかった。これらの結果から、
クローン化κレセプターは、異種組織で既に特徴付けられたκ1レセプターに薬
理学的に対応することが示される(Clarkら、1989)。
δレセプターにおける種々のペプチド性および非ペプチド性アゴニストおよび
アンタゴニスト(LutzおよびPfister、1992; GoldsteinおよびNaidu、1989; Schi
ller、1993; Portoghese、1993; およびCorbettら、1993)を試験し、そして結果
より、これらの化合物のδ-選択性が確認された(表3)。従って、ペプチド性ア
ゴニストであるDPDPEおよびD-Ala2-デルトルフィンII(deltorphin II)はδレセ
プターに対して高選択性であるが、DSLETおよびDADLはそれほど選択的ではない
。最近開発された非ペプチド性アゴニストのBW3734(Leeら、1992)およびSIOM(Po
rtogheseら、1993)についても試験した。BW3734は高δ-選択性である。δ1およ
びδ2レセプターサブタイプ間を識別するとされている化合物を試験した。これ
らの因子は、種々の親和性でクローン化δレセプターと結合した。アゴニストで
あるDSLETおよびD-Ala2デルトルフィンIIはδ2リガンドとされているが、δ1選
択性であるDPDPEより強力であることが認められた。さらに、アンタゴニストで
あるナルトリンドールおよびNTBは、クローン化δレセプターへの結合においてB
NTXより強力であった。クローン化δオピオイドレセプターの薬理学的プロフィ
ールは、多様な組織で既に特徴付けら
れているδオピオイドレセプターとは異なる。DPDPEおよびBNTXのようなδ1レセ
プターと相互作用する化合物、ならびにDSLET、D-Ala2-デルトルフィンII、およ
びNTBのようなδ2レセプターと相互作用する化合物を用いた反応データに基づき
、δレセプターのサブタイプの存在が示唆されている(Sofugluら、1991; Portog
heseら、1992;およびSofugluら、1991)。おそらく充分な選択性を有する放射性
リガンドが欠けているために、放射性リガンド結合研究の結果に基づいた、δレ
セプターサブタイプの存在の実証は、さらに不明瞭なものになっている。これら
の結果は、クローン化δオピオイドレセプターの薬理学的プロフィールが、δ2
レセプターサブタイプのものと一致することを示唆する。
本研究所にて得られたK1値を、文献(GoldsteinおよびNaidu、1989;Schiller
、1993;Portoghese、1993;ならびにCorbettら、1993)中に報告された値と比
較する相関分析を行った。クローン化されたオピオイドレセプターの薬理学的プ
ロフィールが、複数のオピオイドレセプターサブタイプを含有する生物学的組織
中にインビボで発現されたレセプターに関して以前に報告されているものと同様
であったかどうかの決定のためである。文献値が得られなかった化合物または所
定のレセプターに結合しなかった化合物は、分析に含まれていない。μ(図6A)
およびκ(図6B)レセプターの両方について得られた相関係数は、非常に高く、
r値はそれぞれ0.954(n=25)および0.879(n=16)である。対照的に、δレセプタ
ー
の相関は低く(データを示していない)、r値は0.185(n=17)であり、クローン
化されたδレセプターは、多様な組織において特徴的づけられたレセプターとは
薬理学的に異なることを示している。
興味深いことに、内因性オピオイドペプチドであるβ-エンドルフィン、Leu-
およびMet-エンケファリンは、μおよびδレセプター対κレセプターについて選
択的であった。実際、これらペプチドについてのKi値は、μおよびδレセプター
においては同等であった。エンケファリンのμおよびδレセプターに対する結合
力は生理学的濃度の範囲内であるため、これらペプチドは、これら両レセプター
サブタイプの内因性リガンドであり得る。
本発明者らの結果は、濫用性(abuse liabilities)を有するオピオイド因子が
、μレセプターと高い親和性を有することを示している。故に、中毒性化合物で
あるモルヒネ、フェンタニル、およびメサドンは、クローン化されたμレセプタ
ーと高い親和性を有しているが、δレセプターまたはκレセプターに対する親和
性は全くないかほとんどない。さらに、濫用性を有することが示されている(Ja
ffeおよびMartin、1990)エトルフィン、スフェンタニル、レボルファノール、
ナルブフィン、およびコデインは、共にμレセプターに対して比較的高い親和性
を有している。κ−またはδ−選択的鎮痛薬の開発により、このμ−選択的鎮痛
薬の制約は除去され得る。
クローン化されたオピオイドレセプターサブタイプの薬理
学的特性を個別に研究する能力により、選択的相互作用を可能にするリガンドの
構造的特徴の同定が可能になる。個々のオピオイドレセプターが治療剤の同定を
導き得る薬剤の薬理学的相互作用を同定することにより、望ましくない副作用を
生じる可能性の重荷を少なくした。実施例7:キメラオピオイドレセプター
モルヒネなどのオピオイドは、慢性的疼痛の処置(management)のために用いら
れる(JaffeおよびMartin、1990)。しかし、オピオイドの使用は、呼吸抑制、
胃腸運動性の減少、鎮静作用、吐き気、および気分の変化(mood change)を含む
望ましくない副作用を有する。他の主要な制約は、濫用性、耐性、および依存性
である。モルヒネならびに内因性オピオイドペプチドである、エンケファリン、
エンドルフィン、およびダイノルフィンは、中枢および末梢神経系ならびに標的
組織中で発現した膜結合レセプターを介してそれらの生理学的効果を現す。
クローン化されそして機能的に特徴づけられたオピオイドレセプターの3つの
主要型であるδ、κ、およびμ(Evansら、1993;Kiefferら、1992;Yasudaら、
1993;およびChenら、1993)は、7つの貫膜に及ぶレセプターのDRY含有サブフ
ァミリーに属する。約60%のアミノ酸同一性が、δ、κ、およびμオピオイドレ
セプターの配列間にある。推定膜に及ぶセグメント(TM I-VII)およびこれらのセ
グメントを接続する3つの
細胞内ループの配列は、高度に保存されているが、細胞外NH2−末端セグメント
、第2および第3細胞外ループ、および細胞内COOH−末端の配列は、多様である
。これらの多様な細胞外領域は、δ、κ、およびμレセプターの異なるリガンド
結合プロフィールの要因となっているようである。本発明は、キメラオピオイド
レセプターの調製および特徴付けを説明する。キメラレセプターは、κ1-78/δ7 0-372
、δ1-69/κ79-380、κ1-74/δ65-372、およびδ1-64/κ75-380を含む。こ
のキメラレセプターの表記において、アミノ末端を最初に示し、カルボキシ末端
を2番目に示している。このように、κ1-78/δ70-372については、キメラのア
ミノ末端は、κレセプターのアミノ酸残基1〜78からなり、そしてカルボキシ末
端はδレセプターのアミノ酸残基70〜372からなっている。図7(C)および7(D)は
、それぞれκ1-78/δ70-372、およびδ1-69/κ79 -380
を図示している。これらのキメラのアゴニストおよびアンタゴニスト結合特
性、ならびにそのキメラのアデニリルシクラーゼ活性の阻害を仲介する能力も記
載する。
キメラの生成:
マウスのδおよびκオピオイドレセプター間のNH2−末端を通常の制限部位で
交換する。Spe Iを、第1貫膜ドメインをコードしている領域中のcDNAの同等の
位置に、どちらのレセプターもその他のアミノ酸配列を変更せずに生成した。Al
tered SitesTMインビトロMutagenesis System(Promega、Madiso
n、WI)、ならびに、Spe I部位であるδレセプターオリゴヌクレオチド−CTGGGC
AACGTACTAGTCATGTTTGGC(配列番号:42)およびκレセプターオリゴヌクレオチ
ド−GTGGGCAATTCACTAGTCATGTTTGTC(配列番号:43)を含有する27マーのオリゴ
ヌクレオチドを用いて、部位特異的変異誘発を行った。Spe Iおよび適切な5'お
よび/または3'酵素を用いて消化した後、δおよびκのNH2−およびCOOH−末端
をコードするcDNAフラグメントを、1.2%の低融点アガロースゲルから単離した
。δレセプターのNH2−末端およびκレセプターのCOOH−末端をコードするフラ
グメント、ならびにその逆を互いに連結し、そして哺乳類発現ベクターpCMV-6c
中にクローン化した。短縮型δおよびκレセプターを、COOH−末端をコードする
フラグメントを直接発現ベクター中に連結することによって生成した;これらの
構築物中のレセプター配列の翻訳は、Spe I部位のすぐ末端側の保存されたATGに
おいて開始すると予測された。
前述のように(Evansら、1993;Kiefferら、1992;Yasudaら、1993;およびCh
enら、1993)、野生型κレセプターは、κ−選択的アゴニスト[3H]U-69,593およ
びアンタゴニスト[3H]ナロキソンで標識され得、そして野生型δレセプターは、
δ−選択的アゴニストである[3H][D-Pen2,D-Pen5]−エンケファリン(DPDPE)およ
びアンタゴニストである[3H]ナルトリンドールで標識され得る。κ−選択的およ
びδ−選択的リガンドは、最小の交差反応性を有する。κ1-78/δ70-372および
δ1-69/κ79-380キメラオピオイドレセプターは、独自のアゴニ
ストおよびアンタゴニスト結合特性を示す。κ1-78/δ70-372レセプターは、ア
ンタゴニストである[3H]ナロキソン(これは野生型δレセプターをあまり標識し
ない)、ならびにそれぞれδ−選択的アゴニストおよびアンタゴニストである[3
H]DPDPEおよび[3H]ナルトリンドール(図*)を結合する。対照的に、δ1-69/κ79-380
レセプターは、κ−選択的アゴニストである[3H]U-69,593のみを結合する
が、46 fmol/mgタンパク質で結合する野生型κ−レセプターに比較すると低レベ
ルである。これらの結果は、κレセプターのアゴニストおよびアンタゴニスト結
合ドメインが分離可能であり、タンパク質の異なる領域中に位置していることを
示している。κのアンタゴニスト結合ドメインは、NH2末端細胞外ドメインを含
むアミノ酸1〜78の領域中に局在している。対照的に、δレセプターのアンタゴ
ニスト結合ドメインはこのレセプターの対応領域中に位置していない。
放射性リガンド結合アッセイ:
レセプター結合研究のために、レセプターを発現するCOS-7細胞を、1mMのEGTA
、5mMのMgCl2、10μg/mlのロイペプチン、10μg/mlのペプスタチン、200μg/ml
のバシトラシン、および0.5μg/mlのアプロチニンを含有する50nM Tris-HCl(pH
7.8)(緩衝液1)中でのトランスフェクションの72時間後に採取し、24,000×g
で7分間4℃にて遠心分離し、そしてペレットをポリトロンを用いて緩衝液1で
再懸濁した。ホモジネー
トを48,000×gで20分間4℃にて遠心分離し、ペレットを緩衝液1で再懸濁し、
放射性リガンド結合アッセイに使用した。細胞膜(10〜20μgのタンパク質)を
、[3H]U69,593(2 nM、比放射能47.4 Ci/mmol)、[3H]ナロキソン(6 nM、比放
射能72.1 Ci/mmol)、[3H]DPDPE(2 nM、比放射能34.3 Ci/mmol)、または[3H]
ナルトリンドール(1 nM、比放射能31.2 Ci/mmol)とともに、最終容量200μlで
25℃にて40分間、競合因子の存在下または非存在下でインキュベートした。全て
の放射性リガンドは、NEN/Dupont(Boston、MA)から得た。非特異的結合は、δ
−およびκ−選択的リガンドに対してそれぞれ1 μMのナルトリンドールまたは
ナロキソンの存在下で結合したときの残存放射活性として定義される。氷冷の50
mMのTris-HCL(pH 7.8)を添加すること、そして0.5%のポリエチレンイミンお
よび0.1%のウシ血清アルブミンで前処理したWhatman GF/B グラスファイバーフ
ィルターで素早く濾過することによって、結合反応を終了する。このフィルター
を、氷冷した緩衝液12mlで洗浄し、シンチレーション液体中に一晩浸した。結合
放射活性を、シンチレーションカウンターを用いて決定した。IC50値を、NIH型P
rophetシステム(NIH-based Prophet system)(PHOPHET Public Procedure Noteb
ook(Bolt,Berabek,and Newman,Inc.、Cambrige、MA、1988)中のH.Perryおよ
びP.McGonigle、pp.187〜197)の曲線適合プログラムFITCOMPを用いて得た。
κ1-78/δ70-372キメラの結合特性を、阻害研究によりさら
に検討した。図9に示すように、κ1-78/δ70-372キメラに結合する[3H]ナロキ
ソンは、κ−選択的アゴニストU-50,488によって阻害されなかった。κレセプタ
ーの内因性リガンドであるダイノルフィンは、[3H]ナロキソンのκ1-78/δ70-37 2
キメラへの結合を、IC50値40nMで阻害した。これは、野生型κレセプター(2)に
ついて観察される結合よりも約500倍少ない効力である。[3H]ナロキソン結合は
用量依存性であり、IC50値14nM(図*)でアンタゴニストであるナロキソンによ
って強力に阻害され、そしてIC50値0.14nMでκ−選択的アンタゴニストであるノ
ルビナルトルフィミン(norbinaltorphimine;nor-BNI)によっても阻害された。[3
H]ナルトリンドールのこのキメラへの結合は、用量依存的に、強力なδ−選択
的アゴニストである[D-Ser2]−Leu−エンケファリン−Thr(DSLET)およびDPDPE、
ならびにδ−選択的アンタゴニストであるナルトリンドールによって阻害された
。この結果は、δレセプター中のアゴニストおよびアンタゴニスト結合部位が残
基70〜372中に含まれていることを示している。
サイクリックAMP蓄積アッセイ:
野生型レセプターまたは変異レセプターを発現するCOS-7細胞中のcAMP蓄積を
、前述のように測定する(Yasudaら、1992)。簡潔に言えば、COS-7細胞を12ウ
ェルの培養プレート中で継代培養した。cAMP実験の72時間前に細胞をトランスフ
ェクトした。培養培地をウェルから除去し、0.5mMのイソブチルメチル
キサンチン(IBMX)を含有する新鮮な培地500μlと交換した。細胞を37℃にて20分
間インキュベートした。培地を除去し、0.5mMのIBMXを含有し、そして10μMフォ
ルスコリンならびに様々なオピオイドアゴニストおよびアンタゴニストを含有す
るあるいは含有していない、新鮮な培地と交換した。細胞を37℃にて30分間イン
キュベートした。培地を除去し、細胞を500μlの1 N HCl中のウェルの中で超音
波処理した。HClを真空下で除去し、DuPont−New England Nuclearのラジオイム
ノアッセイキットを用いてcAMPを定量した。
図10Aおよび10Bに示すように、κ1-78/δ70-372およびδ1-69/κ79-380キメラ
は機能的に活性であり、そしてフォルスコリン刺激したサイクリックAMP(cAMP)
蓄積の、選択的アゴニストによる阻害を仲介し得る(Yasudaら、1992)。cAMP蓄
積のU-50,488によるδ1-69/κ79-380キメラを介した阻害は、ナロキソンによっ
てブロックされなかった。U-50,488のcAMP形成阻害能力は、約1nMであり、これ
はその野生型κレセプターとの相互作用能力と同様である。さらに、ダイノルフ
ィンは、δ1-69/κ79-380キメラを介してcAMP形成を阻害し得、その効果はナロ
キソンによってブロックされなかった。従って、ナロキソン結合部位は、κレセ
プターのNH2−末端に存在している可能性が高い。κレセプターの短縮型であり
、細胞外NH2−末端ドメインが欠落しているκ79-380の発現もまた、ナロキソン
結合部位がアミノ末端に存在していることを示している。この短縮型κレセプタ
ーをコードする構築物でトランスフェ
クトされた細胞は、特異的な[3H]-U69,593結合をほとんど示さなかったが、フォ
ルスコリン刺激cAMP形成のU-50,488による阻害を仲介し得た(図10A)。この効
果は、κ−選択的アンタゴニストであるナロキソンによってブロックされなかっ
た。このことは、残基1〜78がアゴニスト認識に関与していないがナロキソンに
よるアンタゴニズムに必要であることと一致している。さらに、δ−選択的アゴ
ニストであるDSLETは、δ1-69/κ79-380キメラと同様に、短縮型κレセプターを
発現している細胞中でのcAMP形成に影響を及ぼさなかった。
キメラκ1-78/δ70-372または短縮型δレセプターであるδ70-372のCOS-7細胞
における発現は、野生型δレセプターと区別のつかない機能的特性を与えた(図
9B)。図10は、δ−選択的アゴニストであるDSLETが、ナルトリンドールによっ
てブロックされるフォルスコリン刺激cAMP形成を阻害したことを示している。こ
の結果は、δレセプターのアゴニストおよびアンタゴニスト結合ドメインが、残
基70〜372に局在していることを示している。κ−選択的アゴニストであるU-50,
488は、κ1-78/δ70-372レセプターまたは短縮型δレセプターであるδ70-372の
機能的特性になんら影響を及ぼさなかった。
本発明は、アゴニストおよびアンタゴニスト結合ドメインの局在に関するκお
よびδレセプター間の予期せぬ差異を示し、そして、κレセプターのNH2−末端
の78残基がアンタゴニスト結合において果たす重要な役割を示している。アゴニ
ストおよびアンタゴニストがκレセプターの異なる領域に結合
するという証明は、より選択性の高いκリガンドの開発を容易にするはずである
。これは、非常に興味深い領域である。κレセプター−選択的因子は限られた濫
用性および呼吸抑制効果を有しているため、κ選択的リガンドの開発は非常に興
味深い。オピオイドレセプターのリガンド結合ドメインの構造分析により、限ら
れた副作用を有する新世代の治療上有用な鎮痛剤を合理的に設計するための基礎
が提供される。実施例8:
変異δオピオイドレセプターポリペプチド
近年、オピオイドレセプターのクローニング(Evans,1992; Kiefferら,1992
; Yasudaら,1993; Chenら,1993)により、リガンド結合に含有されるレセプタ
ーのアミノ酸残基およびドメインの分析が可能になった。β-アドレナリン性レ
セプターに対する以前の研究により、第2および第3貫膜に及ぶ領域におけるア
スパラギン酸がリガンド結合に対して決定的であることが示唆されている(Stra
derら,1987)。β2−アドレナリン性レセプターの第3貫膜に及ぶ領域における
アスパラギン酸113がアスパラギンに変異することにより、アンタゴニスト結合
のレセプターに対する効力が大幅に低下する一方で、アデニリルシクラーゼの活
性を刺激するアゴニストのKactが増大する(Straderら,1987)。アスパラギン
酸113のカルボキシル基は、β-アドレナリンアゴニストおよびアンタゴニストの
カチオン基の対イオンとして機能する可能性が高い(Straderら,1987)。第2
貫膜に及ぶ領域におけるア
スパラギン酸79がアスパラギンに変異することにより、レセプターのアゴニスト
に対する親和性は低下するか、アンタゴニストに対する親和性は低下しない。し
たがって、おそらくこのアスパラギン酸は、β-アドレナリン性レセプターとの
アゴニスト結合に選択的に含有され、また、このレセプターのアゴニストおよび
アンタゴニスト結合ドメインは別個のものではあるが重複している部分もある。
最近の研究によれば、マウスδオピオイドレセプターの第2貫膜に及ぶドメイ
ンにおけるアスパラギン酸95がアスパラギンに変異することにより、このレセプ
ターのδ選択的アゴニストに対する親和性は低下するが、アンタゴニストに対す
る親和性は低下しないことが示されている(Kongら,1993)。この変異レセプタ
ーは、野生型δレセプターとして非選択的オピオイドアゴニストに対して同様の
親和性を発現した。このことは選択的δオピオイドアゴニストは、非選択的アゴ
ニストあるいはアンタゴニストとは異なる形態でδレセプターに結合されること
を示している。
すべてのオピオイドは、正に荷電された窒素を有しているのみならず、高親和
性リガンド結合には必須の芳香族環構造を有している(Gilmanら,1990; Simon
,1991)。ニューロキニン−1レセプターに対する最近の研究により、残基197
におけるヒスチジンの芳香族環構造はアンタゴニストと相互作用し、またヒスチ
ジンはタキキニンアンタゴニスト結合に必要なレセプターにおいて決定的な残基
であることが示されてい
る(Fongら,1993; Getherら,1993)。δレセプターの第6の貫膜に及ぶドメイ
ンにおける残基278のヒスチジンはアスパラギンに変異しており、また、オピオ
イドとのその相互作用も試験されている。
この結果により、アスパラギン酸128はオピオイドアゴニストがδレセプター
と高い親和性で結合するのには必要であるが、アンタゴニスト結合には含まれて
いないこと、およびヒスチジン278がリガンド結合には必須でないことが示され
る。D128N変異体およびH278N変異体による結果と併せて考えると、アゴニストお
よびアンタゴニストは、おそらく別個のリガンド結合ドメインと相互作用するこ
とにより、クローン化δレセプターと異なる形態で結合されることが証明される
。
[D-Pen2,D-Pen5]エンケファリン(DPDPE)、[D-Ser2,Leu5]エンケファリン-Th
r6(DSLET)、D-Ala2デルトルフィンIIおよびβ-エンドルフィンはPeninsula Labs
.(Belmont,CA)から入手した。また、アゴニストであるレボルファノールおよ
びブレマゾシン、ならびにアンタゴニストであるジプレノルフィンおよびナルト
リンドールは、Research Biochemicals Inc.(Natick,MA)から入手した。7−
スピロインジノ−オキシモルフォン(SIOM)、7−ベニリデンナルトレキソン(BNT
X)、ナルトリンドールのベンゾフランアナログ(NTB)はP.Portoghese博士(Univ
.Minn.)により提供された。3H-ナルトリンドール(比放射能28.8 Ci/mmol)はDup
ont/NEN(Boston,MA)から入手した。クローン化マウスδオピオイドレセプターの変異誘発
マウスδオピオイドレセプターcDNAをAltered SiteTMインビトロMutagenesis
Systems(Promega Corp.Madison WI)を用いて変異させた。アスパラギン酸128
とヒスチジン278とをアスパラギンに変異させるために、δレセプターcDNAをフ
ァージミドpALTERTMへとサブクローニングし、ヘルパーファージR408を用いて一
本鎖の鋳型を生成した。アスパラギン酸128を変異させるために、所望の変異(GA
CからAACへ)を含んでいる21マーのオリゴヌクレオチド(GCTCTCCATTAACTACTACAA)
(配列番号:44)を一本鎖の鋳型にアニールし、そしてT4 DNAポリメラーゼを用い
て伸長させた。ヒスチジン278の変異のために、所望の変異(CACからAACへ)を含
んでいる21マーのオリゴヌクレオチド(GGCGGCCCATCAACATCTTCGT)(配列番号:45)
を一本鎖の鋳型にアニールし、そして伸長させた。それぞれについて、修復マイ
ナスE.coli BMH 71-18 mut Sを形質転換するためにヘテロ二重鎖DNAを用いた。
形質転換体は、125μg/mlのアンピシリンを含んでいるLBプレート上で成長させ
て選択した。この変異をDNA配列決定により確認した。cDNAをEcoRIおよびSal I
を用いてpALTERから切り出し、哺乳類発現ベクターpCMV6c(Yasudaら,1929)にお
ける対応部位へとサブクローニングした。COS-7細胞におけるマウスδオピオイドレセプターcDNAの発現:
変異された野生型のcDNAを、リン酸カルシウム仲介法によりCOS-7細胞へとト
ランスフェクトした。レセプター結合を研究するために、このδレセプターを発
現するCOS-7細胞を、1mMのEGTA、5mMのMgCl2、10μg/mlのロイペプチン、10μg
/mlのペプスタチン、200μg/mlのバシトラシン、および0.5μg/mlのアプロチニ
ン(緩衝液1)を含有する50mMのTris-HCl(pH 7.8)においてトランスフェクショ
ンを行った48時間後に採取し、24,000×gで7分間、4℃で遠心分離した。この
ペレットをポリトロンを用いて緩衝液1中でホモジナイズした。このホモジネー
トを48,000×gで20分間、4℃で遠心分離し、そしてこのペレットを緩衝液1中
に再懸濁し、放射性リガンド結合アッセイに用いた。細胞膜(20〜30μgのタン
パク質)を、競合因子の存在あるいは非存在下に最終容量200μlとなるように40
分間、25℃でδ選択的アンタゴニストである3H-ナルトリンドール(Simon,1991
; Sofugluら,1991; Portogheseら,1992)(1nM)とともにインキュベートした。
非特異的結合を10μMのナロキソンの存在下で結合している放射活性として規定
した。50 mMの氷冷Tris-HCl(pH 7.8)を加え、かつ0.5%ポリエチレンイミンおよ
び0.1%ウシ血清アルブミンにより前処理したWhatman GF/Bグラスファイバーフィ
ルターにより急速に濾過することによって結合反応を終了させた。このフィルタ
を12 mlの氷冷緩衝液で洗浄し、液体シンチレーションカウンタを用いて結合放
射活性を測定した。放射性リガンド
結合の研究により得られたデータを用いて阻害曲線を作成した。FITCOMPプログ
ラム(Kongら,1993; Yasudaら,1992)により行われた曲線適合からIC50値を得
、式K2=IC500/(1+L/Kd)を用いてKi値に変換した。cAMP蓄積
簡単に言えば、COS-7細胞を12ウェルの培養プレートにおいて継代培養した。
これらの細胞をcAMP実験の48時間前にトランスフェクトした。これらのウェルか
ら培地を除去し、代わりに0.5 mMのイソブチルメチルキサンチン(IBMX)を含有す
る新鮮な培地500μlで満たした。細胞を20分間、37℃でインキュベートした。培
地を除去した後、10μMのフォルスコリンおよび様々なオピオイドアゴニストを
含めるかまたは含めずに、0.5 mMのIBMXを含有する新鮮な培地を満たした。これ
らの細胞を30分間、37℃でインキュベートした。培地を除去し、細胞を500μlの
1N HClでウェルにおいて超音波処理した。HClをSpeed-Vacにおいて揮発させ、NE
N/Dupont(Wilmington,DE)のラジオイムノアッセイキットを用いてcAMPを分析し
た。
野生型δオピオイドレセプター、ならびにD128NおよびH278N変異レセプターが
COS-7細胞において一時的に発現した。δレセプター選択的アンタゴニストであ
る3H-ナルトリンドールはこれら3つのレセプターのすべてと特異的に結合した
。3H-ナルトリンドールのCOS-7細胞膜におけるこれら3つのレセプターのすべて
との結合は飽和性で高い親和性を有するもの
であった。3H-ナルトリンドールの飽和性結合を図11a、図11b、および図
11cのグラフに示す。図11aは、3H-ナルトリンドールの野生型レセプター
に対する結合を示している(白四角)。図11bは、3H-ナルトリンドールのD12
8N変異体に対する結合を示しており(黒丸)、また図11cは、3H-ナルトリン
ドールのH278N変異体に対する結合を示している(白丸)。KdおよびBmaxの値
を以下の表4に示す。
これらの値は3回の別々の実験により得られた結果の平均値±SEMである。
野生型レセプター、D128N変異体、およびH278N変異体への3H-ナルトリンドー
ル結合を阻害する、δレセプター選択的アンタゴニストであるナルトリンドール
およびNTB、ならびに非選択的オピオイドアンタゴニストであるジプレノルフィ
ンの
効力を図12a、図12b、および図12cに示す。図12aは、δ選択的アン
タゴニストNTBの存在下における、野生型レセプター(白四角)、D128N(黒丸)
、およびH278N(白丸)を発現するCOS-7細胞由来の膜への3H-ナルトリンドール
結合を示す。これら3つのレセプター、すなわち野生型、D128N、およびH278Nの
すべてがδ選択的アンタゴニストであるNTBにより阻害された。図12bは、δ
選択的アンタゴニストDPDPEの存在下における、野生型レセプター(白四角)、D
128N(黒丸)、およびH278N(白丸)を発現するCOS-7細胞由来の膜への3H-ナル
トリンドール結合を示す。これら3つのレセプター、すなわち野生型、D128N、
およびH278Nのすべてがδ選択的アンタゴニストであるDPDPEにより阻害された。
図12cは、非選択的アゴニストであるレボルファノールの存在下における、野
生型レセプター(白四角)、D128N(黒丸)、およびH278N(白丸)を発現するCO
S-7細胞由来の膜への3H-ナルトリンドール結合を示す。これら3つのレセプター
、すなわち野生型、D128N、およびH278Nのすべてが非選択的アゴニストであるDP
DPEにより阻害された。これらの実験により得られたKi値を表5および表6に示
す。
これらの値は、各薬剤に対して少なくとも3回別々に測定を行って得られた値の
平均値である。各薬剤に対するSEMは、平均値の15%未満である。
これに対して、D128N変異レセプターへの3H-ナルトリンドール結合を阻害する
、ペプチド(DPDPE、DSLET、およびD-Ala2デルトルフィンII)および非ペプチド
(SIOM)のδレセプター選択的アゴニストおよび非選択的オピオイドアゴニスト
である、エトルフィン、レボルファノール、β-エンドルフィン、およびブレマ
ゾシンの効力は、野生型レセプターへの結合の場合に比べて低かった(表6)。
DPDPE、DSLET、およびβ-エンドルフィンの効力は、野生型レセプターに比べてD
128N変異体への結合において100倍以上低かった。
Ki値は、少なくとも3回別々に行われた測定により得られた値の平均値である
。各薬剤について、SEMは平均値の10%未満である。
D128N変異レセプターのアゴニストに対する親和性の低下は、このレセプター
のGタンパク質からの脱カップリングによるものではなかった。なぜなら、この
D128N変異レセプターは、フォルスコリン刺激によるcAMPの形成のアゴニストに
よる阻害、すなわちこのレセプターをGタンパク質にカップリングすることを必
要とする応答を仲介したからである。D128N変異
体を発現するCOS-7細胞においては、δアゴニストであるDSLETは、野生型レセプ
ターあるいはH278Nレセプターを発現する細胞における場合と同じくらいフォル
スコリン刺激によるcAMPの形成を最大限に阻害した。しかしながら、D128N変異
体を発現するCOS-7細胞においてフォルスコリン刺激によるcAMPの形成を阻害す
るDSLETおよびブレマゾシンの効力は、野生型レセプターを発現する細胞におけ
る効力を下回った(表7)。図13は、野生型レセプターおよび変異δオピオイ
ドレセプターを発現するCOS-7細胞において、フォルスコリン刺激によるcAMPの
蓄積がδアゴニストDSLETにより阻害されることを示す。cAMP蓄積を野生型(白
棒)、D128N変異体(黒棒)、およびH278N変異体(斜線棒)を発現するCOS-7細
胞において測定した。基底レベルおよび1μMのDSLET(DSLET)または1μMのナルト
リンドールを含む1μMのDSLET(DSLET+ナルトリンドール)が存在する場合または
しない場合(フォルスコリン)の10μMのフォルスコリンにより刺激されたレベ
ルを評価した。
これらの値は、3つの別々の実験により得られた値の平均値であり、ここでSEM
は平均値の20%未満であった。
これらの結果は、アゴニストに対するD128N変異体の親和性の低下を示すリガ
ンド結合研究の結果と一致する。したがって、アゴニストに対してD128N変異体
レセプターの親和性が低下したのは、Gタンパク質の脱カップリングに帰結する
コンホメーションの大幅な変化によるものであったのではなく、アゴニストがδ
オピオイドレセプターに対して結合される際にアスパラギン酸128が果たす必須
の役割によるものである。
H278N変異レセプターのアゴニストに対する親和性は、野生型δオピオイドレ
セプターの場合よりも大きかった(表6)。これに対して、H278N変異体および
野生型レセプターに対して結合するアンタゴニストの効力は比較的近似したもの
であった(表5)。野生型δレセプターと同様にH278N変異体もまた機能的に活
性であった。なぜなら、このレセプターを発現する細胞においては、δアゴニス
トがフォルスコリン刺激によるcAMPの蓄積を阻害したからである(表7)。
薬理学的研究により、効力を有するすべてのオピオイドアゴニストが疎水性芳
香族基に近接した位置にカチオン窒素を含有することが示されている(Gilmanら
,1990; Simon,1991)。正に荷電されたアミノ基をオピオイドレセプターにお
いて負に荷電された残基と会合させることが提案されており、この静電的相互作
用がオピオイドのレセプターへの結合の特
異性および高親和性にとって必須であると考えられている。マウスδオピオイド
レセプターにおける2つのアスパラギン酸はアゴニスト結合に影響を及ぼし、か
つオピオイドアゴニストのカチオン窒素に対して対イオンを供給し得るものであ
る。前述したように、δレセプターの第2貫膜に及ぶ領域におけるアスパラギン
酸95は、選択的アゴニストをδレセプターに対して高い親和性で結合するのに必
要であった。本願明細書に示しているように、アスパラギン酸128は、すべての
オピオイドアゴニストをδレセプターに対して高い親和性で結合するのに必須で
ある。
リガンド結合においてアスパラギン酸95およびアスパラギン酸128が別々に果
たす役割により、選択的アゴニストと非選択的アゴニストとは、δオピオイドレ
セプターに対して異なる形態で結合されることが示唆される。アデニリルシクラ
ーゼおよびGタンパク質に対する機能的カップリングを維持しながら、D128N変
異体がアゴニストに対する親和性を低下させる機構は、レセプターからアゴニス
トが解離する速度が、アゴニストが会合する速度を低下させることなしに、選択
的に増大することによるものと考えられる。これにより、結合の研究において検
出されたように、変異レセプターと相互作用するアゴニストの効力が低下する一
方で、このレセプターを介してcAMPの蓄積を阻害するアゴニストの能力が維持さ
れる理由が説明され得る。なぜなら機能的応答は、結合アッセイの場合に比べて
、アゴニストが解離する速度に依存する割合
が低いからである。さらに、δオピオイドレセプターにおけるアスパラギン酸12
8がアゴニスト結合を安定化させる対イオンとして機能するのならば、このアス
パラギンへの変異に引き続いて発生するように、この残基の電荷を除去すること
によって、アゴニスト結合の脱安定化とアゴニストの解離速度の増大が予想され
得る。D95N変異δレセプターの選択的アゴニストに対する親和性の低下を説明す
るために同様の提案がなされている(Kong,1993)。3H-DPDPEおよび125I-β-エ
ンドルフィンはいずれも、このD128N変異体に対して特異的に結合し得なかった
が、これらは野生型δレセプターに対しては有効かつ特異的に結合する(データ
は特に示さない)。このことは、D128N変異体に対する3H-ナルトリンドール結合
を阻害する効力が大幅に低下する結果と符合する。
δレセプターにおける残基95または128におけるアスパラギン酸の変異は、ア
ンタゴニスト結合に対して明らかな影響を及ぼしたわけではない。このことによ
り、オピオイドアンタゴニストのカチオン窒素がリガンド結合にとって必須では
ないか、あるいは、静電的相互作用に対して負の電荷を供給するレセプターにお
けるアミノ酸残基がレセプターの他の場所に存在しているかが暗示される。δレ
セプターにおいてアスパラギン酸128がアンタゴニスト結合に対して果たす必須
ではない役割は、β-アドレナリン性レセプターについて得られた結果とは対照
的である。Straderらは、β2-アドレナリン性レセプターの第3貫膜に及ぶ領域
におけるアスパラギン酸113の
アスパラギンへの変異が発生した結果、アンタゴニストおよびアゴニストに対す
るレセプターの親和性が低下したことを報告した(Straderら,1987)。Strader
らは、この残基がカテコールアミンアゴニストおよびアンタゴニストに対してβ
-アドレナリン性レセプターのリガンド結合ドメインの必須の認識部位であるこ
とを提案している。δおよびβ-アドレナリン性レセプターにおいて保持されて
いたアスパラギン酸の同様の変異に対して根本的に異なる結果が得られたという
ことは、リガンドがこれらのレセプターに対して異なる形態で結合していること
を示している。
ニューロキニンレセプターについての最近の部位特異的変異誘発の研究により
、親和性の高いアンタゴニストの結合を得るためには第5貫膜に及ぶ領域内のヒ
スチジン残基が必要であることが示されている(Fongら、1993)。これらの研究
の結果によれば、ヒスチジン残基の芳香族環構造がニューロキニンアンタゴニス
トの芳香族環構造と相互作用する。芳香族環はすべてのオピオイドリガンド内に
存在し、また、オピオイドがそれらのレセプターに高い親和性で結合するために
は必要であると提起されているため(Gilmanら、1990;Simon、1991)、278位の
ヒスチジン残基をアスパラギンに変異させた。なぜなら、これが、ニューロキニ
ンレセプターに比較されるδレセプターの類似の領域内における唯一のヒスチジ
ンであるからである。この変異体レセプターの発現レベルは、野生型またはD128
N変異体のいずれかより低かった。しかし、
レセプターのアゴニストに対する親和性は、野生型のδレセプターのこれら化合
物に対する親和性より高かった。アンタゴニストは同様の効能で両方のレセプタ
ーに結合した。一方、H278N変異体は、野生型のレセプターより僅かに高い親和
性で、3H-ナルトリンドールおよび他のオピオイドアンタゴニストと結合した。
ヒスチジンをアスパラギンに置換してもアゴニストおよびアンタゴニストに対す
るレセプターの親和性が減少しなかったという知見は、この残基がリガンドのδ
オピオイドレセプターへの結合にとって必須ではないことを示している。アゴニ
ストに対する変異体レセプターの親和性が向上したことは、その変異によって誘
発されるレセプター内の微妙な配座上の変化によるものであり得るか、またはヒ
スチジンが通常はアゴニストの結合を妨げていることを示し得る。
H278N変異体のアゴニストに対する親和性が選択的に大きく増加すると、D128N
変異体のアゴニストに対する親和性が選択的に失われるということは、アゴニス
トおよびアンタゴニストが、おそらくは別々のリガンド結合ドメインと相互作用
することによって、δレセプターに別々に結合するという、D95N変異体δレセプ
ターにおける我々(Kongら、1993)の以前得られた知見と一致する。さらに、ア
スパラギン酸95および128ならびにヒスチジン278のアスパラギンへの変異によっ
て、δオピオイドレセプターへのアンタゴニストの結合が減少しなかったという
知見は、β-アドレナリン性レセプターの(Straderら、1987)およびタキキニン
レセプター(Fongら、19
93)の同様の変異により得られる結果とは異なり、オピオイドアンタゴニストは
これらの他の神経伝達物質レセプターへのアンタゴニストの結合とは異なる方法
でδレセプターと相互作用することを示唆している。実施例9:
MOP2の分析
MOP2は、古典的オピオイドレセプターの薬理学的特性とは異なる薬理学的特性
を有するマウスレセプターである。MOP2は、例外的なリガンド結合特性を有する
オピオイドレセプターであると考えられる。アンタゴニストである3H-ナロキソ
ン、3H-ナルトリンドール、および3H-ジプレノルフィンはこのレセプター(MOP2
)に特異的に結合せず、また、アゴニストである3H-U-69,593、3H-DPDE、3H-DAG
O、3H-EKC、125I-β-エンドルフィン、およびσリガンド3H-ペンタゾシンもまた
このレセプターに特異的に結合しなかった。MOP2(配列番号6)の分析について
は、cDNA(配列番号5)をCOS-7細胞内で発現させ、まず、発現したタンパク質
をオピオイド放射性リガンドの結合について試験した。
潜在的な機能活性を試験するために、多数のオピオイドリガンドについて、MO
P2を発現するCOS-7細胞内にフォルスコリンの刺激によりcAMPが蓄積されるのを
阻害する能力を試験した。2つのオピオイド、エトルフィンおよびロフェンタニ
ルは、1μMの濃度で、フォルスコリン刺激によるcAMPの形成を、各々、63±11%
および52±7%(N=5)だけ阻害した。これらの
化合物は、ベクターのみでトランスフェクトされた細胞内において刺激によるcA
MPの蓄積を阻害しなかった。これら2つのオピオイドの効果は、最大効果の半分
が100 nMで生じる濃度依存型であった。100 nMの濃度では、これら2つのオピオ
イドの効果は、オピオイドアンタゴニストナロキソナジン(1μM)により完全に
ブロックされ、アンタゴニストナロキソンおよびB-FNAによって一部ブロックさ
れた。
さらに、MOP2を発現するCOS-7を、阻害Gタンパク質形態のアデニリルシクラ
ーゼをカップリングしていない百日咳毒素で前処理すると、エトルフィンおよび
ロフェンタニルによるcAMP形成の阻害が完全にブロックされた。1つの実験では
、ロフェンタニルに加えて、アナログのフェンタニルがフォルスコリン刺激によ
るcAMP形成を40%だけ減少させた。これに対して、1μMの濃度のモルフィン、メ
サドン、コデイン、EKC、レボルファノール、ブレマゾシン、およびβ-エンドル
フィンは、MOP2を発現するCOS-7細胞内でのフォルスコリン刺激によるcAMP形成
に何の影響も与えなかった。
MOP2がクローン化されたオピオイドレセプターとアミノ酸配列が非常に類似し
ていること、およびこの異常なレセプターがナロキソナジンおよびナロキソンの
感受性を有するような方法でエトルフィンおよびロフェンタニルのcAMP形成の阻
害を仲介する能力を有することは、このレセプターが新規のオピオイドレセプタ
ーであり得ることを示唆している。このレセプターの新規性は、多くのオピオイ
ドアゴニストがこの
レセプターと相互作用することができないことによってさらに示唆される。
エトルフィンは最も効能のある利用可能な鎮痛薬の1つである。事実、その呼
吸低下を誘発する能力およびその高い濫用性が、エトルフィンがスケジュール1
の薬剤であり、臨床において用いられない理由である。ロフェンタニルのような
フェンタニル誘導体は濫用性が極めて高い。作製されたフェンタニルの誘導体の
中では、ロフェンタニルが最も効能があり効果的な鎮痛薬である。濫用性ならび
に鎮痛の効能および効力が極めて高い薬剤がMOP2と選択的に相互作用するという
知見は、このレセプターが麻薬常習癖の治療に用いられ得る薬剤の開発にとって
重要な位置にあり得ることを示唆している。実施例10:
κレセプターの物理的に離れた細胞外ドメインがアゴニストおよび アンタゴニストの結合にとって必要であるという知見により、レセプター特異的 アゴニストのアッセイが可能となる
クローン化されたκおよびδレセプターは独特の薬理学的プロフィールを示す
。しかし、κおよびδレセプターのアミノ酸配列は約60%が同一である。最も多
様性のレセプターの領域はNH2およびCOOH末端ならびに細胞外ループである。発
明者らは、これらの細胞外ドメインはリガンドの識別および/または結合に1つ
の役割を有するという仮説をたてた。この仮
説を試験するために、発明者らは、NH2末端および第2細胞外ループが交換され
たκおよびδのキメラレセプターを構築した。これらの結果についてはスクリー
ニングアッセイについてのセクションで詳細に説明している。κレセプターのNH2
末端およびδレセプターの残りを含むキメラ(κ/δ)の研究により、κレセ
プターへのアゴニストおよびアンタゴニストの結合は異なるドメインで行われる
ことが明らかとなった。このキメラはκ選択的アンタゴニストには結合したがκ
選択的アゴニストには結合しなかった。
これらの薬理学的および機能的な結果により、κレセプターのNH2末端のため
にアンタゴニストの識別および結合が起こり、一方、選択的アゴニストが第2細
胞外ループに結合することが示唆される。U50,488、およびU69,593およびスピラ
ドリンのようなその誘導体、ならびにκレセプターでの内因性伝達物質、ダイノ
ルフィンおよびそのアナログ、ダイノルフィン(1-8)、ダイノルフィン(1-17
)のような選択的アゴニストは、キメラに結合しなかった。これらのκ選択的ア
ゴニストはδレセプターの第2細胞外ループには結合し得なかった。κ/δ2e
ループキメラのκ選択的アゴニストがフォルスコリン刺激によるcAMP蓄積を阻害
する能力は失われた。
これに対して、エチルケトシクラゾシン(EKC)、ブレマゾシン、およびレボ
ルファノールのようなより低い選択性のアゴニストは同様の親和性でκ/δ2e
ループキメラおよび野生型のレセプターに結合した。さらに、これらの非選択的
アゴ
ニストは、キメラレセプターを発現するCOS-7細胞内のcAMP形成を同様の程度で
阻害した。
κ/δ2eループキメラに結合するアンタゴニストと野生型のκレセプターと
は類似しており、これにより、キメラは野生型と同様のレベルで発現されること
、および第2細胞外ループはアンタゴニスト結合にとっては必要とされないこと
が示された。
これらの結果により、κ選択的アゴニストおよびアンタゴニストはκレセプタ
ーの物理的に離れた領域に結合することが明瞭に示される。κレセプターの第2
細胞外ループはκ選択的アゴニストのための結合ドメインを含む。EKCのような
非選択的アゴニストはκレセプターの他の領域に結合する。このような知見は、
オピオイドレセプターのアゴニスト結合ドメインの最初の同定であり、また、選
択的および非選択的アゴニストが同じレセプターの異なる領域に結合し得、アゴ
ニズムを引き起こすことの最初の実証である。
このような知見は重要な薬理学的な示唆を有する。EKCのような非選択的アゴ
ニストは不快および精神病を誘発するが、ダイノルフィンおよびκレセプターで
の内因性伝達物質のような選択的アゴニストは誘導しないことが知られている。
従って、これらの知見により、特異的であるダイノルフィンレセプターのアゴニ
ストの開発およびスクリーニングを可能する、治療に有用であって、かつ利用可
能な非特異的κアゴニストの副作用を回避し得る方法の基礎が提供される。
候補アゴニスト物質をスクリーニングする方法および条件については、上記の
スクリーニングアッセイについてのセクションで詳細に述べている。κ特異的お
よび非特異的オピオイドレセプターアゴニストの異なる結合部位に関する本出願
の教示が与えられれば、当業者であれば、これらの方法がκレセプター特異的ア
ゴニストのためのスクリーニングに用いられ得ることは理解され得る。
スクリーニングアッセイは、オピオイドレセプターポリペプチドを得る工程、
候補特異的κオピオイドレセプターアゴニストを得る工程、および候補物質がオ
ピオイドレセプターと相互作用する能力をアッセイする工程を包含する。候補物
質がκレセプターと相互作用する能力を、本出願の発明の詳細な説明のセクショ
ンで詳細に述べた方法を含むがこれらに限定されない多くの方法でアッセイし得
ることは、当業者であれば認識し得る。
スクリーニングアッセイで用いられるオピオイドレセプターポリペプチドは、
κオピオイドレセプターポリペプチドの少なくとも一部を含むべきである。より
詳細には、スクリーニングポリペプチドは、κレセプター特異的アゴニストのた
めの結合部位を有することが示されているκオピオイドレセプターポリペプチド
の第2細胞外ループの一部を含むべきである。κオピオイドレセプターの第2細
胞外ループの負に荷電された領域を含むオピオイドレセプターポリペプチドが、
これらのスクリーニング方法で用いるのに特に好適であると
予想される。なぜなら、κレセプター特異的アゴニスト−κレセプター結合は、
少なくとも部分的には、第2細胞外ループの負に荷電された部分とアゴニストの
正に荷電された部分との間の電荷相互作用に基づくと考えられるからである。
キメラオピオイドレセプターポリペプチドは、上記のアッセイに使用可能であ
る。実際、これらのアッセイの解明に関する研究は、キメラレセプターを用いて
行われた。ひとつのクラスとしては、オピオイドレセプターは、細胞外ループ、
貫膜領域、細胞内ループ、および細胞外アミノ末端を包含している。本発明の発
明者は、レセプターの細胞外部分、すなわち、第2および第3細胞外ループおよ
びアミノ末端が、オピオイドレセプターリガンドの結合部位となることを示して
いる。例えば、κレセプタについては、κ特異的アゴニストは第2細胞外ループ
に結合し、アンダゴニストはアミノ末端に結合することが示されている。本発明
の発明者は、非特異的アゴニストはκレセプターの第3細胞外ループに結合する
と強く考えており、このことを証明すべく研究が進められている。この知見があ
れば、特異的スクリーニング手段として非常に有効なキメラを設計することが可
能である。
好ましい実施態様においては、キメラレセプターはκオピオイドレセプターの
第2細胞外ループを含んでいる。κ第2細胞外ループは、κオピオイドレセプタ
ーポリペプチドのアミノ酸残基167-228の間に位置している。本発明の発明者の
研究の結果、κレセプターの残基1 -78はアンタゴニストと特異
的に結合することが示された。κレセプターの残基167-228は、選択的アゴニス
トと結合する。エチルケチンシクラゾシン(etylketin cyclazocine)などの非選
択的アゴニストは、これらの領域のいずれとも結合しない。独特のアミノ酸配列
を有するκレセプターの唯一の細胞外ドメインは、第3細胞外ループ(残基271-
318)である。これは、非選択的アゴニストと結合し易い領域である。δレセプ
ターの第3細胞外ループでなるキメラκレセプターは、選択的κアゴニストのみ
に結合し、非選択的アゴニストには結合しないと考えられる(キメラはκ1 -270
/δ258-300/K319-380である)。このキメラは、選択的κアゴニストをスクリ
ーニングするために用いられ得た。さらに、キメラδ1 -69/κ79-270/δ258-3
06/K319-380は、選択的アゴニストのみと結合すると考えられる。κ特異的ア
ゴニストをスクリーニングしたい場合は、κレセプターの第2細胞外ループを有
するキメラを用いるべきである。さらに、κレセプターの第2細胞外ループを有
するが第3細胞外ループを有していないキメラは、非特異的アゴニストを検出す
ることなくκ特異的アゴニストを検出するという利点を有し得た。もちろん、第
2細胞外ループ以外のκレセプターのすべての領域を有するキメラは、κ特異的
アゴニストについてのスクリーニングを行うように設計されたアッセイにおける
ネガティブコントロールとして用いられ得る。他の好ましいキメラは、κレセプ
ターの第2細胞外ループを有するが、第3細胞外ループを有さない。第3細胞外
ループは推定
非特異的アゴニスト結合領域を含有するので、この領域を有さないキメラは非特
異的アゴニスト活性を検出できないと考えられる。したがって、このようなキメ
ラについて見られるいかなるアゴニズムも、第2細胞外ループに結合するκ特異
的アゴニストの結果として生じるものでなければならない。第2細胞外ループを
有さないキメラは、ネガティブコントロールとして有効である。
本明細書の教示が与えられれば、当業者は、すべての形態のオピオイドレセプ
ターアゴニストおよびアンタゴニストのスクリーニングを可能にするキメラおよ
び制御されたスクリーニング戦略を考案することができる。本発明の発明者はそ
のようなキメラを多数構築しており、より多くのキメラの構築過程にある。標準
の遺伝子操作およびオピオイドレセプターのリガンド結合領域に関して本発明の
発明者が得た知見を用いて、ほとんど無限の多くのキメラを作製することが可能
である。そのようなキメラすべて、それらをコードするポリヌクレオチド、およ
びそれらをアッセイにおいて用いる方法が、本発明の範囲内と考えられる。スク
リーニングアッセイにおいて有用なキメラオピオイドレセプターの特定の実施例
は、κ1-78/δ70-372、δ1-69/κ79-380、κ1-74/δ65-372あるいはδ1-64/
κ75-380である。
短縮型オピオイドレセプターポリペプチドは、上記の候補スクリーニングアッ
セイにおいて有用である。κ−レセプター特異的アゴニスト結合を示す短いポリ
ペプチドは、長いポ
リペプチドに対してある利点を有する。好ましくは、短縮型オピオイドレセプタ
ーポリペプチドは、第2細胞外ループの少なくともアゴニスト結合部を含む短縮
型κオピオイドレセプターポリペプチドである。例えば、κオピオイドレセプタ
ーポリペプチドのアミノ酸残基79から380を含む短縮型オピオイドレセプターポ
リペプチドは、この点において有効であると考えられる。レセプターの第2細胞
外ループを含む短縮型κオピオイドレセプターは、これらのアッセイにおいて有
用である。例えば、アミノ酸残基167から228を含む短縮型κレセプターは、本発
明において有用である。
潜在的なκレセプター特異的アゴニストは、上記候補が正の電荷を有している
かを決定することによって上記のアッセイでテストされる前に、前もってスクリ
ーニングされ得る。電荷の関係は、κレセプター特異的アゴニスト結合機構に影
響を与え、負に荷電された結合領域は、正に荷電されたアゴニストに結合する。
もちろん、有効なアゴニストを正に荷電させないことも可能であるが、電荷を評
価することによって、テストされるアゴニストの範囲を狭くするためのある機構
が与えられる。
本発明の教示が与えられれば、当業者は本発明を実施することが可能になるで
あろう。
特定のκアゴニストの開発は、κレセプターの第2細胞外ループの独特な性質
の知見によって補助される。κレセプターの第2細胞外ループは、7つのアスパ
ラギン酸およびグル
タミン酸で強く負に荷電されている。反対に、δおよびμレセプターは、対応す
るループ中に負に荷電された残基を1つだけ有している。ダイノルフィンが正に
荷電され、κレセプターの第2細胞外ループが多数の負電荷を有しているので、
本発明の発明者は、負に荷電された残基を中性の保存された残基へ変異させ、こ
のレセプターへのダイノルフィンアナログの選択的結合に荷電がどの程度重要で
あるかを決定している。この作業は進行過程にあり、この結果は、κ特異的アゴ
ニストを解明しようとしているものにさらに指針を与えることになるだろう。実施例11:
クローニングされたκおよびμオピオイドレセプターは、マウスAt T-20細胞で発現されると、内向き整流カリウム電流(inward rectifier potassiu m current)とカップリングする
κ、δ、およびμオピオイドレセプターのクローニングによって、これらのレ
セプターの活性の細胞機構の研究に新しい技術を用いることが可能になる。内因
性オピオイドレセプターに焦点を当てた実験によって、イオンコンダクタンスの
調節は重要な機構であり、この機構によってこれらのレセプターは細胞における
事象を仲介していることが示された。本発明者は、PC-12細胞において安定に発
現されたクローニングされたκオピオイドレセプターがN型カルシウム電流を調
整することができることを観察した。オピオイドレセプターイ
オンチャンネルカップリングをさらに検討するために、本発明者はκおよびμレ
セプターを安定に発現するAtT-20細胞株を生じさせた。全細胞パッチクランプ記
録は、κおよびμレセプターは両方とも、この細胞株において以前記載された内
向き整流カリウム電流の活性化を調整することができることを示している。κお
よびμによって仲介される活性の両者が選択的アンタゴニストによってブロック
されるので、これらの効果は選択的である。同一細胞株において別々に発現され
たレセプターを両方有することによって、本発明者が、Gタンパク質のカップリ
ングおよび脱感作を含む、これら2つのレセプターの機能的特性を比較すること
が可能になる。実施例12:
δオピオイドレセプターの第3細胞内ループはアデニリルシクラー ゼへのカップリングに関連する
アデニリルシクラーゼへの結合における第3細胞内ループの役割を調査するた
めに、δオピオイドレセプターとソマトスタチンレセプターSSTR1の間のキメラ
レセプターを生成した。SSTR1は、アデニリルシクラーゼに結合しないソマトス
タチンレセプターである。キメラレセプターが生成し、ここではSSTR1の第3細
胞内ループがδレセプターの第3細胞内ループと置き換えられ、δレセプターの
第3細胞内ループがSSTR1の第3細胞内ループと置き換えられている。野生型SST
R1は、cAMP蓄積アッセイにおいてアデニリルシクラーゼへの結合を示さなかった
が、SSTR1δキメラレセプターは、アゴニストに応答
し、フォルスコリン刺激によるcAMPの増加の阻害を仲介することが可能であった
。アゴニストによるcAMP阻害は投与量に依存していた。逆に、野生型δレセプタ
ーはアデニリルシクラーゼ活性の阻害を仲介したが、δSSTR1キメラは、アゴニ
ストによるcAMPの蓄積を阻害する能力が減少することを証明した。これらの結果
は、δレセプターの第3細胞内ループは、Gタンパク質へのレセプターのカップ
リングに関係があることを示している。実施例13:
δオピオイドレセプターに対するペプチド特異的抗血清の開発
ペプチド特異的ポリクローナル抗血清を、クローニングしたδオピオイドレセ
プターのC末端に対して開発した。この抗血清を生じさせるために、クローニン
グされたδオピオイドレセプターのC末端におけるアミノ酸の13個の長さの残
基に対応する独特のペプチドAla-Thr-Thr-Arg-Glu-Arg-Val-Thr-Ala-Cys-Thr-Pr
o-Ser(配列番号:46)をウサギに注射した。次いで、抗血清を部分的に精製
し、δレセプターを特異的に認識する能力についてテストした。抗血清は、δレ
セプターを安定に発現するCHO細胞中でおおよそ70kDaのタンパク質を認識する。
この70kDaのタンパク質を35S−メチオニンで標識し、ペプチド特異的抗血清に
よって免疫沈降させることが可能である。70kDaのタンパク質の免疫沈降は、そ
れに対して抗血清が生じる過剰のペプチドによって特異的にブロック
され得る。このタンパク質のサイズは、クローニングされたδレセプターについ
て、125I−β-エンドルフィンを用いて行われた架橋試験の結果と一致している
。ペプチド特異的抗血清は、特異的125I−β-エンドルフィン結合活性を、δレ
セプターを安定に発現するCHO細胞から免疫沈降させることが可能であった。125
I−β-エンドルフィンの免疫沈降物への結合は、δ選択的アゴニストDPDPEによ
って阻害された。免疫前の血清は結合活性を免疫沈降させることができず、抗血
清による結合活性の免疫沈降を過剰のペプチドによってブロックした。抗血清は
、免疫ブロット法によりδレセプターを認識することができず、このことは、こ
の抗血清が認識するエピトープが変性されたか、あるいは、抗体に対して認識不
可能にされていることを示唆している。この抗血清は、δレセプターの物理的特
性およびδレセプターが受け得る翻訳後改変の調査に有効である。実施例14:
δ、κ、およびμオピオイドレセプターにおける保存残基の変異誘 発
オピオイドリガンドのこれらのレセプターへの結合における、推定第2および
第3貫膜に及ぶドメイン(TM2およびTM3)中のアスパラギン酸(D)残基の役割
を調査するために、本発明者は、TM2中のアスパラギン酸95、105および114なら
びにTM3中のアスパラギン酸128、138および147を、δ、κ、およびμのそれぞれ
についてアスパラギン(N)に変異させた。
本発明者がδTM2変異体については既に示しているように(Kong、1993、J.Biol
.Chem.)、各レセプターのTM2におけるDの変異は、選択的アゴニストの結合に
著しい効果をもたらし、それぞれのレセプターについてこれらの化合物の親和性
が一般的に100分の1未満に低減される。さらに、この変異によって、アゴニス
ト結合のNa+調節が終了した。これらのレセプターのTM3におけるDの変異によ
って、これらのレセプターに結合する選択的アゴニストも著しく減少し、非選択
的薬剤の親和性も低下した。興味深いことには、TM6に保存されているヒスチジ
ン残基278、291、および297の変異によって、レセプターに分岐効果が与えられ
た。δTM6変異体について効果が観察されないのに対して、変異μレセプターに
ついて幾つかのペプチドアゴニストの親和性が低下していることが観察された。
CTOPおよびSMS201-995のような、μ変異体に対して低下した親和性を示す、μレ
セプターに対するペプチドアンタゴニストという顕著な例外はあるが、これらの
変異はいずれもアンタゴニストの結合に対して際だった効果を有さない。それと
共に、これらの研究によって、クローニングされたオピオイドレセプターの各々
へのオピオイドアンタゴニストの結合において重要な残基が同定され、アゴニス
トおよびアンタゴニストがこれらのレセプターに識別可能に結合することが示さ
れる。実施例15:
クローン化ヒトμオピオイドレセプターの特徴付け
オピオイドをヒトにおいて臨床に用いると、呼吸低下、縮瞳、胃腸運動の低下
、鎮静、吐気、および嘔吐を含む望ましくない副作用が種々存在することによっ
てその効果が弱められる(JaffeおよびMartin、1990)。オピオイド投与に関し
て生じる他の不利な点は、耐性、依存性および濫用の可能性である。オピオイド
の効果は、種々のレセプターを介して仲介されるので、あるレセプター(サブ)
タイプは治療上の効果を仲介し得るが、異なるレセプター(サブ)タイプは望ま
しくない副作用を促進させ得る(Pasternack、1993)。従って、治療に関係のあ
るレセプターについてより多くの選択的因子を用いると、望ましくない副作用は
最小化あるいは除去され得る。モルヒネ、メサドン、コデイン、およびフェンタ
ニルを含む、治療上用いられるオピオイドの大半が、μレセプターと選択的に相
互作用する。このことは、最近クローニングされたラットμレセプターについて
の研究において直接示された(Raynorら、1994)。ヒトにおけるこれらの化合物
の活動の機構をより深く洞察するために、本発明者は、クローニングされたヒト
μオピオイドレセプターの薬理学的特性およびヒトの脳におけるμレセプターを
コードするメッセージの分配を調査した。
材料および方法
略称:
β−FNA β-フナルトレキシアミン
CTOP
D-Phe-Cys-Tyr-D-Trp-Orn-Thr-Pen-Thr-NH2
DAMGO [D-Ala2,MePhe4,Gly-o15]エンケファリン
GTPgS グアノシン-5’-O-(3-チオトリホスフェート)
IBMX イソブチルメチルキサンチン
PTX 百日咳毒素
クローニング:ヒトμオピオイドレセプターをクローニングするために、cDNA
ライブラリーをヒト尾状核mRNAから構築し、ラットμオピオイドレセプターcDNA
(Chenら、1993)を用いて、緊縮性を減少させた状態でスクリーニングした。1
個のcDNAの完全な配列分析は、1200 bpのオープンリーディングフレームを呈示
し、400個のアミノ酸のタンパク質が想定された。レセプター発現のために、レ
セプターのオープンリーディングフレームを含むcDNAを、哺乳類発現ベクターpc
DNA3(Invitrogen)中のヒトサイトメガロウイルスプロモーターの下流にクロー
ニングした。ヒトμオピオイドレセプターcDNAの単離に関する詳細は、他で報告
する(Mestekら、提出済)。cDNA配列はGenBank(受託番号第L29301号)に提出
済みである。
放射性リガンド結合の研究:先に記載したように(Raynorら、1994)トランス
フェクションから48時間後に、ヒトμレセプターを一時的に発現するCOS-7細胞
からの膜を用いて、レ
セプター結合アッセイを行った。放射性リガンド結合アッセイのために、1 mMエ
チレングリコールビス(b-アミノエチルエーテル)-N,N'-四酢酸、5 mM MgCl2、10
mg/mlロイペプチン、10 mg/mlペプスタチン、200 mg/mlバシトラシン、および0
.5mg/mlアプロチニンを含む50 mMトリス-HCl(pH 7.8)(緩衝液1)中で細胞を採
集し、4℃で7分間、24,000 × gで遠心分離した。Polytron(Brinkmann、設定
2.5、30秒)を用いて緩衝液1中でペレットをホモジナイズした。その後、ホモ
ジェネートを、次いで、4℃で20分間、48,000 × gで遠心分離した。緩衝液1
中でペレットをホモジナイズし、この膜調製物を用いて、放射性リガンド結合の
研究を行った。細胞膜(10-20 mgタンパク質)を、競合する因子の存在下または
不在下において25℃で40分間、最終容量200 mL中で、μアゴニスト[3H]DAMGO(2
nM、比放射能55 Ci/mmol)またはアンタゴニスト[3H]ナロキソン(4 nM、比放射
能55 Ci/mmol)(NEN/Dupont、Wilmington、DE)とインキュベートした。飽和実験
においては、細胞膜を、[3H]DAMGOの濃度を増加させながら(0.25-15 nM)インキ
ュベートした。非特異的結合を、1 mMナロキソンの存在下において残存結合して
いる放射活性として定義した。氷冷した50 mMトリス−HCl緩衝液(pH 7.8)を添加
し、0.5%ポリエチレンイミン/0.1% BSAで少なくとも1時間予備処理したWhatma
n GF/Bグラスファイバーフィルターで急速濾過を行うことにより、結合反応を終
了させた。その後、12 mLの氷冷したトリス-HCl緩衝液でフィルターを洗浄し、
結合した放射
活性をシンチレーションカウンターにおいて計数した。放射性リガンド結合研究
からのデータを用いて、阻止曲線を生成した。数学的モデリングプログラムFITC
OMP(PerryおよびMcGonigle、1988)により行った曲線適合からIC50値を得、Natio
nal Institutes of Health後援のPROPHETシステムにより入手可能なFITSAT(McGo
nigleら、1988)を用いて飽和データを分析した。Cheng-Prusoff式(ChengおよびP
rusoff、1973年)を用いてIC50値より、阻害結合定数(Ki)を計算した。
膜へのアゴニストの次の結合に対する、ヒトμレセプターを発現する細胞をモ
ルヒネまたは百日咳毒素で予備処理することの影響もまた調べた。放射性リガン
ド結合研究に先だって、1 mMモルヒネまたは100 ng/ml百日咳毒素のいずれかの
コントロール媒体を用いて、各々4時間または18時間、細胞を処理した。
cAMP蓄積の研究:フォルスコリン刺激によるアデニル酸シクラーゼ活性を阻止
する化合物の能力を調べる研究を、先に記載のように(Kongら、1993、J.Biol.
Chem.)行った。簡潔に言うと、cAMP蓄積の研究に用いた細胞を、12ウェルの培養
プレート中で継代培養した。翌日、細胞をトランスフェクトし、続いて48時間に
わたってcAMP実験を行った。培養培地をウェルから除去し、0.5 mMイソブチルメ
チルキサンチン(IBMX)を含む500 mLの新鮮な培地と交換した。37℃で20分間、細
胞をインキュベートした。その後、培地を除去し、10 mMフォルスコリンおよび
様々な濃度の薬剤の存在下または不在下に
おいて、0.5 mM IBMXを含む新鮮な培地と交換した。37℃で30分間、細胞をイン
キュベートした。その後、培地を除去し、250 mL 1M HCl中でウェル中で細胞を
超音波処理し、続いてRIAによるcAMP含有量の測定のために冷凍した。NEN/Dupon
t(Wilmington、DE)より市場入手可能なアッセイキットを用いてcAMP含有量の分
析を行う前に、サンプルを解凍し、cAMP RIA緩衝液中で希釈した。
RNAブロッティング分析:先に記載のように(Kongら、1994、Neuroscience;De
lfsら、印刷中)、RNAブロッティング分析を行った。CLONTECH laboratories(Pal
o Alto、CA)からヒト脳RNAブロットを得た。各レーンは2 mgのポリA選択mRNAを
含んでいた。EcoR VおよびXba Iによる消化後に単離された1.6キロベース(kB)フ
ラグメントに対応する、ランダムにプライムされた32P標識DNA(Prime-It、Strat
agene)と、ブロットを42℃で24時間ハイブリダイズした。このフラグメントは、
ヒトμオピオイドレセプターの全コーディング領域を含む。ブロットを、65℃で
、2 × SSC/0.5% SDS(0.3 M塩化ナトリウム/0.03 Mクエン酸ナトリウム)中で2
0分間、および0.2 × SSC/0.2% SDS中で20分間洗浄した後、シグナルを検出する
ために5〜7日間X線フィルムに露出した。
考察
クローン化ヒトμレセプターを薬理学的に特徴づけるために、発明者らは、先
に記載のように(Yasudaら、1993、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA、90:6736;Kongら、1993、J.Biol.Chem.;Raynorら、19
94)、COS-7細胞中でこのレセプターをコードするcDNAを一時的に発現させた。
比較のために、平行実験でラットμレセプターをも発現させた。ヒトμレセプタ
ーへの[3H]DAMGOの結合は飽和性であり、親和性が高かった(図14)。飽和実験
のスキャッチャード分析は、[3H]DAMGOは、1.0 nMのKDおよび232 fmol/mgのBmax
で、クローン化ヒトμレセプターに結合することを示した。全データは、単一部
位分析により最良に適合した。発明者らは以前に、[3H]DAMGOは、0.57 nMのKDお
よび444 fmol/mgタンパク質のBmax(Raynorら、1994)で、クローン化ラットμレ
セプターに結合すると報告した。トランスフェクトされていない、またはベクタ
ーでトランスフェクトされたCOS-7細胞においては、特異的放射性リガンド結合
は検出不能であった。
クローン化ヒトμオピオイドレセプターの薬理学的プロフィールを同定するた
めに、多くのオピオイドリガンドの、このレセプターへの[3H]DAMGOの結合を阻
害する能力についてテストした(表8)。
これらのリガンドは、ペプチドおよび非ペプチドの両方のアゴニストそしてア
ンタゴニスト(LutzおよびPfister、1992、GoldsteinおよびNaidu、1989;Rayno
rら、1994)を含む、先にμ-選択的であると特徴づけられている様々な化合物を
含ん
でいた。予想されたように、これらの化合物のほとんどは、低いnM範囲(表8)
におけるKi値で、クローン化μレセプターに結合した。内因性のオピオイドペプ
チドLeu-エンケファリンおよびβ−エンドルフィンはμレセプターに強力に結合
し、他方、des-Tyr1-β-エンドルフィンは結合しなかった。結合は、立体選択的
であり、(−)ナロキソン、(−)ブプレノルフィン、およびレボルファノール
により阻害されたが、各々の異性体である(+)ナロキソン、(+)ブプレノル
フィン、およびデキストロルファンによっては阻害されなかった。μ-選択的化
合物であるDAMGO、モルヒネ、メサドン、フェンタニル、およびスフェンタニル
は、低いナノモル範囲において親和性を有して結合し、他方、コデインの親和性
は多少低かった。μ-選択的ペプチドアンタゴニストCTOPおよびSMS201-995もま
た高い親和性で結合した。テストした他の比較的非選択的な化合物は、エトルフ
ィン、β-FNANナロルフィン、(+)ブレマゾシン、ナルトレキソン、およびジ
プレノルフィンであり、全て高い親和性で結合した。δ-選択的アゴニストDPDPE
およびD-Ala2デルトルフィンIIそしてκ-選択的化合物U-50,488およびU-69,593
は1 mM程度の濃度においてもヒトδレセプターに結合しなかった。これらの全リ
ガンドの、ヒトおよびラットμレセプターに対する親和性の比較は、これらの薬
剤の全てではないが大部分が類似の親和性でこれらのレセプターに結合すること
を示した。モルヒネ、メサドン、およびコデインの親和性は、ラットμレセプタ
ーに対してよ
りもヒトμレセプターに対して有意に高かった(表9)。テストした他の全ての
薬剤は、表9に例示するように、ヒトおよびラットμレセプターに対して識別不
可能なほどよく似た親和性を示した。
ヒトμレセプターとグアニン−ヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)
との会合を調べるために、発明者らは、GTPの加水分解不能なアナログおよび一
時的にレセプターを発現するCOS-7細胞の百日咳毒素処理の、レセプターに対す
る放射標識アゴニストの結合に対する影響を調べた。図15に示すように、[3H]DA
MGO結合アッセイ中における100 mM GTPgSの含有が、ヒトおよびラットμレセプ
ターの特異的標識化を、各々65 +/- 1.5%および55 +/- 7%減少させた。加えて、
レセプターを発現する細胞のPTX−予備処理は、ヒトおよびラットμ
レセプターの[3H]DAMGO標識化を、各々79 +/- 8%および42 +/- 5%実質的に減少
させた。これらの結果は、Gタンパク質に対するヒトおよびラットμレセプター
の両方のカップリングと一致する。
クローン化ラットμレセプターは、機能的にアデニル酸シクラーゼの阻害とカ
ップリングする(Chenら、1993)。ヒトμレセプターもまたアデニル酸シクラー
ゼとカップリングするか否かを決定するために、レセプターを発現する細胞中の
cAMP蓄積を減少するアゴニストの効果を調べた(図16)。フォルスコリン刺激に
よるcAMPの蓄積は、Leu-エンケファリンにより有意に減少し、そしてその効果は
(−)ナロキソンにより抑制された。効果は、レボルファノールもまたcAMP蓄積
を減少させるがデキストロルファンは効果を持たないという点で、立体選択的で
ある。
オピオイドに対する耐性の潜在的な細胞性許容機構は、これらの薬剤に対する
特異的レセプターの感度低下/調節低下に関係があり得る。アゴニストがμレセ
プターの調節を引き起こすか否かを決定するために、ヒトおよびラットμレセプ
ターを発現する細胞を4時間、1μMモルヒネに曝した。発明者らは以前に、ク
ローン化マウスδおよびκレセプターが、高濃度の選択的アゴニストに4時間曝
された後、有意な感度低下および/または調節低下を起こすことを示した(Rayn
orら、提出済;K.R.およびT.R.、未発表の考察)。図17に示すように、放射標
識されたアゴニストまたはアンタゴニスト
の結合のいずれにおいても有意な変化は検出不能であった。これらの結果は、μ
レセプターが、アゴニスト露出によって、δおよびκレセプターのようには容易
に調節されないことを示唆している。
ヒトμオピオイドレセプターの完全長コーディング領域に対してプローブを用
いてRNAブロッティングを行ったところ、約13.5 kBの優勢なmRNAを含む複数の転
写物(図18)が検出された。これは、発明者らおよびその他の研究者がラットμ
レセプターmRNA(Fukudaら、1993;Delfsら、1994)について報告したμオピオ
イドレセプターmRNAと類似のサイズである。11、4.3、および2.8の、より小さい
サイズのバンドもまた検出された。ヒト脳中のμオピオイドレセプターmRNAの最
高のレベルは、視床下部、視床、および視床下核(図18、レーン5、7、8)で
検出された。高レベルはまた扁桃および尾状核(図18、レーン1、2)において
も検出された。はるかに低いレベルは、海馬、脳梁、および黒質(図18、レーン
3、4、6)で検出された。11 kB RNAは扁桃体および視床下核において最も豊
富であり、他方、4.3 kB RNAは脳梁でも豊富に見つかった。
本実施例において、クローン化ヒトμレセプターの薬理学的プロフィール、調
節、および細胞のエフェクタカップリングを調べる。レセプターの特徴は、クロ
ーン化ラットμレセプターのそれに酷似しており、これらの種のレセプター間に
見られる高レベルの構造的相同性と一致する。ヒトμレセプ
ターの薬理学的プロフィールは、発明者らが以前にラットμレセプターについて
報告したもの(Chenら、1993)と類似であるが、モルヒネ、メサドン、およびコ
デインのような、いくつかの臨床的に使用されるオピオイドの親和性が顕著に異
なる。これらの化合物は、ラットμレセプターよりもヒトμレセプターに対して
高い親和性で結合する。ヒトおよびラットレセプターは、N末端において最も多
様であり、これらのアミノ酸置換は、ラットおよびヒトμレセプターの異なる薬
理学的特性に貢献し得る。興味深いことに、内因性オピオイドペプチドβ−エン
ドルフィンおよびLeu-エンケファリンは、μレセプターに高い親和性で結合し、
これらのペプチドがこのレセプターにおいて生理学的条件で作用し得ることを示
唆している。同様に、発明者らがラットμレセプターに関して見いだしたように
、本願の研究結果は、モルヒネ、フェンタニル、およびメサドンのような、悪用
される傾向のあるオピオイド因子は、ヒトμレセプターに対して高い親和性を有
し、他方、マウスδレセプターおよびκレセプター(Raynorら、1994)に対して
はほとんどまたは全く親和性を示さないことを示している。κ-またはδ-選択的
である鎮痛剤の開発は、μ選択的鎮痛剤に関するこうした懸念、および呼吸器圧
迫を含む他の深刻な副作用を回避し得る。
オピオイドの長期にわたる使用に関する他の問題点は、これらの因子に対する
耐性の発展である。この現象を引き起こす可能性のある機構としてオピオイドレ
セプターの感度低下
/調節低下が示唆されているが、多くの証拠が、長期にわたるインビボ露出にお
けるμオピオイドレセプターの場合はそうではないことを示唆している(Zukin
ら、1993において検討)。培養された細胞内で発現したヒトμオピオイドレセプ
ターに関する、これらの現在の研究結果は、レセプターレベルで調節低下はまた
、クローン化κおよびδレセプターにおけるようには容易に起こらないというこ
と(Raynorら、提出済;K.R.およびT.R.、未発表の考察)、そしてμ-選択的オ
ピオイドに対する耐性の発展には他の機構も関わっているに違いないということ
をも示唆している。
一般に、μオピオイドレセプターmRNAの分布は、ラットおよびヒト脳において
類似であり、最も高度なレベルが視床領域で検出され、より低いレベルが線条で
検出された。視床下部領域における高レベルのmRNA発現は珍しく、神経構造制御
に関わるこの重要なリレー核が高いμオピオイドレセプター発現を有し得ること
を示唆している。
RNAブロッティングは、ヒト脳で発現する複数のμレセプター転写物を示した
。最大転写物サイズ(〜13.5 kB)は、ラットμオピオイドレセプターmRNAに関し
て報告された(Fukudaら、1993;Delfsら、1994)ものと類似である。しかし、
ヒト脳で検出された、より小さい分離したRNA種は、ラット組織で検出されたも
のとは異なる。RNAブロットにより検出された複数のRNA種の同一性は明確でない
。これらは、異なるポリA+尾部、またはプロセシング中間部を有する同一のRNA
を表し得
る。薬理学的証拠は、μレセプターのサブタイプが、神経系で発現することを示
唆している。1つの興味深い可能性は、異なる転写物のいくつかがμレセプター
のサブタイプをコードすることである。
クローン化オピオイドレセプターのサブタイプの薬理学的特性を個々に研究す
る能力があれば、選択的相互作用を許容する、リガンドの構造的特徴の同定が可
能になる。薬剤の薬理学的相互作用を、個々のオピオイドレセプターで同定する
ことは、望ましくない副作用を生成する可能性がより少ない治療剤の同定につな
がる。
本発明の好適な実施態様を説明するために実施例を挙げた。以下の実施例のい
くつかの局面は、本発明の実施に際して、発明者らがうまくいくことを発見した
、またはうまくいくと考えた技術および手順で説明されている。これらの実施例
は、発明者の標準的な実験室での実施を用いることにより説明されている。本明
細書の開示内容および当該分野の一般的な水準に照らして、当業者は、以下の実
施例が例を示すためだけのものであり、本発明の精神および範囲から逸脱するこ
となく、多くの改変、修正、および変更が可能であることを理解する。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12Q 1/68 0276−2J G01N 33/53 D
G01N 33/53 0276−2J 33/566
33/566 9284−4C A61K 39/395 D
// A61K 38/00 AAB 9281−4B C12N 5/00 B
39/395 9051−4C A61K 37/02 AAB
(C12P 21/02
C12R 1:91)
(31)優先権主張番号 08/147,592
(32)優先日 1993年11月5日
(33)優先権主張国 米国(US)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,GE,HU,JP,KG,KP,KR,KZ,LK
,LU,LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,
NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SI,S
K,TJ,TT,UA,US,UZ,VN
(72)発明者 レイジーン,テリー
アメリカ合衆国 ペンシルバニア 19104,
フィラデルフィア,サウス 44 ストリー
ト 438
(72)発明者 安田 和基
東京都町田市金井町2134―65