【発明の詳細な説明】
再帰反射性シート材、その製法及び使用
説明
1.発明の背景
本発明は請求の範囲第1項に前提として定義されている再帰反射性シート材;
この再帰反射性シート材の製法;及び看板、標識及び装飾物の製造を目的とする
その使用に係わる。
技術分野
電磁スペクトルの可視光域を対象として、再帰反射性シート材は反射式の看板
や標識など広い用途に利用されているが、これらに限られない。これらの反射式
装置では再帰反射光が自動的に光源にむかって反射し、視野内に集束した、通常
の反射光よりも細い錐状を呈するから夜間においてミラー式や拡散式レフレクタ
よりもすぐれた視度を可能にする。
再帰反射性シート材の用途は電磁スペクトルの可視域に限られるものではない
。即ち、例えば航空機誘導光を再帰反射させるためスペクトルの赤外域にも利用
できる。従って、再帰反射性シート材は光を再帰反射的に反射させる再帰反射光
学系を構成するだけでなくもっと一般的に電磁放射線を再帰反射的に反射させる
再帰反射性電磁系をも構成することができる。
“微小ガラス球タイプの再帰反射性シート材”
公知の“開放面”タイプ再帰反射性シート材は透明な露出面が保護層で被覆さ
れていない微小ガラス球を基本としている。この材料
は屈折率が高く、直径が70〜 100μの透明な微小ガラス球を、低密度ポリエチレ
ンの熱軟化層で被覆された支持層上へカスケード散布し;支持層をトンネルオー
ブンに送入して微小ガラス球のその直径の約50%だけ熱沈下させ;微小ガラス球
の露出面を蒸着アルミ層で被覆することによって得られる。次いで、微小ガラス
球の露出部分を例えば布や接着紙のようなシート材上の高分子ビーズボンド中に
接合し、支持裏張りを剥離する。
機能的に、これらの再帰反射光学系は放射源から入射する電磁放射線を受光し
、合焦させる入射光透過光学要素、具体的には入射光を屈折させる透明球と組合
わせた適当に透明な固形カバーで構成される光学要素からなり、さらに、入射電
磁放射線を再び放射源にむかって反射させる反射光学要素、具体的にはバックリ
フレクタと組合わせた透明スペーサフィルムからなり;前記反射光学要素を入射
光透過光学要素の焦点またはその近傍に配置する。即ち、球とスペーサフィルム
の組合わせによって画定される焦点を反射性バインダに埋没させた球の背面また
はその近傍に、またはバックレフレクタまたはその近傍に位置させる。
一般に球タイプ再帰反射性シート材は入射角の大小にかかわらずすぐれた再帰
反射性を有する。ただし、最大再帰反射度はゼロに近い入射角に対して、即ち、
光線がシート材の平面に垂直に入射する場合に得られる。入射角が大きくなるに
従って再帰反射度は徐々に低下する。
球タイプ再帰反射光学系の欠点は球面収差のため反射光線の角度が著しく散乱
することにある。即ち、屈折率が 1.9の球タイプ再帰リフレクタの光線追跡によ
って得られるスポットダイヤグラムでは入射角ゼロに対して反射光線の角度が±
10°散乱するという結果が得られた。
理想的には、屈折率が2の透明な球体に入射する近軸光線でのみ球面収差のな
い完全な再帰反射が得られる。しかし、屈折率が 2.0の例えばガラスやプラスチ
ックから成る透明材料は容易に入手できない。
球タイプ再帰反射光学系に基づく再帰反射性シート材の他の欠点は色収差があ
るだけで再帰反射性は波長に関係なくほとんど同じであり、所与の波長の再帰反
射を白色光や拡散昼光で直接得ることが出来ない点にある。所与の波長の再帰反
射を得るには球体の透明なカバーの表面または扁平前面に透明なカラーフィルム
かコーティングを施すか、または個々の球体に透明なカラーフィルムまたはコー
ティングを施さねばならない。
また、異なる波長を対象として設計された複数の再帰反射光学系から成る再帰
反射性シート材を容易に製造できないことも欠点である。
球タイプ再帰反射光学系に基づく再帰反射性シート材のさらに他の欠点は球体
を高密度でパックすることができないため、シート材の再帰反射効率が球体のパ
ック密度によって制限されることにある。
さらなる欠点は球体の材料として透明材料、例えばガラスやプラスチックに高
い純度が要求されると共に球体の球形及び被覆用材中への固定についても精度が
要求され、いずれの条件も最終製品のコスト増につながる点にある。
また、最終製品としての再帰反射性シート材の製法は複雑であり、工程ごとに
手間のかかるノーハウと特殊な設備が必要であり、このことが最終製品のコスト
をさらに増大させる。
“マイクロプリズムエンボス式再帰反射性シート材”
タイプの異なる再帰反射性シート材として、密な間隔でかつ例えばポリエステ
ルやポリ塩化ビニルのようなプラスチックホイルの前面に平行な微小プリズムを
エンボスしたものがある。この材料は60°3面ピラミッドから成る再帰反射光学
系であり、入射角が小さければ完全な反射を可能にするが入射角が大きくなるに
従って反射効率が急激に低下する。
また、反射に回転対称性がないから、この材料から再帰反射されるエネルギー
パターンは不均一である。
さらに他の欠点として、高い反射効率を得るためにはエンボスされたプリズム
の形状角度が完全でなければならず、プラスチックホイルをエンボス加工開始時
の約 200℃の温度からエンボスを損傷することなく型を取除くことができるまで
段階的に冷却させるようにエンボス加工を行わない限り達成は困難である。
“正反射性裏面を有するフレネルゾーンプレートをエンボス加工した再帰反射性
シート材”
さらに別のタイプとして、透明媒体の表面にフレネルゾーンプレートをエンボ
スし、裏面に正反射コーティングを施した再帰反射性シート材がある。
この再帰反射性シート材は回折性の入射側光学要素としてのフレネルゾーンプ
レートと、透明媒体の裏面に形成した正反射ミラーとから成る。
その欠点は正反射によって反射電磁放射線の大きい部分が再帰反射の方向とは
異なる方向へ向けられるため、正反射ミラーが電磁放射線を著しく損失させるこ
とにある。
入射光はフレネルゾーンプレートによって正反射裏面に集束されるが、この正
反射裏面の反射法則に従って、この集束された入射光
は入射したフレネルゾーンプレートを再び通過せずおそらくは隣接のフレネルゾ
ーンプレートにむかって反射するであろう。原則的には入射したのと同じフレネ
ルゾーンプレートから射出される電磁放射線だけがこのフレネルゾーンプレート
によって放射源にむかって、即ち、再帰反射の方向に回折される。従って、この
再帰反射性シート材は光軸に極めて近い入射角でない限り効率が極めて低い。
公知技術の説明
米国特許第 2,354,018号及び第 2,354,049号は透明な球体と扁平なバックレフ
レクタに基づく基本的な公知レフレクタを開示している。
米国特許第 2,407,680号は光線が後方へ通過できるように後端を光学的に露出
させた多数の近接した微小透明球体と、前記球体の前端と一体化するように前記
球体を被覆し、扁平な表面を有する連続的な透明ソリッドカバーとで形成された
光反射層を含み、前記球体の屈折率が前記透明カバーの屈折率の少なくとも1.15
倍である反射面と協働して該反射面から反射光反射(reflex light reflection)
を発生させる光学的シートを開示している。
米国特許第 3,758,192号は最も外側の層が好ましくは25ないし 250μの直径と
少なくとも 1.8の屈折率を有するガラスビーズの単層膜である複数の層から成る
反射−反射構造(reflex-reflecting structure)を開示している。なお、ビーズ
は実質的に無色透明な樹脂などから成るバインダ材中にほぼ半球状を呈するまで
埋没させてある。反射材としてアルミニウムを使用した場合に得られる効率に近
づけ、同時に“色の悪さ”という欠点を回避するため、バインダは最大寸法が8
ないし30μ、ただしガラスビーズの直径よりは小さく、厚さが25ないし 200nmの
正反射真珠光沢ピグメントを含有し、好
ましくは基剤固形物総量の少なくとも約15重量%のピグメントを含有する。
米国特許第 4,244,683号;第 4,332,847号;第 5,171,624号;及び英国特許出
願第 2 245 194A号は再帰反射性マイクロプリズム材、及び例えば圧縮成形によ
るその製法と製造装置を開示している。ただし、回折光学要素を基本とする再帰
反射光学要素に関しては全く示唆していない。
米国特許第 3,993,401号は所与の焦点距離を有する位相変調フレネルゾーンプ
レート群をエンボス形成するためのスタンパを用意し;厚さが前記焦点距離に等
しい透明なコピー媒体の片面に位相変調フレネルゾーンプレートをエンボス形成
し;前記コピー媒体の反射面を正反射面で被覆するステップから成る再帰反射材
の製法を開示している。
2.発明の開示
発明の目的
本発明の目的は入射する放射線を選択的にほぼ入射角に等しい角度で反射させ
る一方、反射する放射線を反対方向に伝播させる再帰反射性電磁系;特に所与の
波長に対しては球面収差が小さい再帰反射光学系を含む再帰反射性シート材を提
供することにある。
本発明の他の目的は所要の入射面については反射率が最適化され、シート材に
垂直な角度については従来の再帰反射性シート材のように最適化を必要としない
再帰反射性シート材を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は異なる波長を対象に設計された複数の再帰反射光学
系から成る再帰反射性シート材を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は再帰反射光学系を位置制御することができ、従来の
球タイプ再帰反射性シート材よりも高いパック密度を達成できる再帰反射性シー
ト材を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は従来の再帰反射性シート材よりも低いコストで、し
かも容易に製造できる再帰反射性シート材を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は上記のような再帰反射性シート材の製法及び利用を
提供することにある。
その他の目的は以下の説明から明らかになるであろう。
A.再帰反射性シート材
目的の解決及び発明の有益な効果
本発明では請求の範囲第1項の前提部分に定義され、請求の範囲第1項の特徴
づけ部分に記載の構成要件を特徴とする再帰反射性シート材を提供することによ
って上記目的を達成する。
なお、“再帰反射光学系”という用語は、電磁スペクトルの可視域だけでなく
遠紫外及び遠赤外域における再帰反射電磁系を包含する広い意味で用いる。
驚ろくべきことに、球タイプ再帰反射性シート材の再帰反射光学系の球面収差
は屈折光学系の全部または一部を回折光学系で置換えることによって改善するこ
とができることがわかった。
本発明では、もし光学要素の少なくとも1つ、即ち、入射側透過光学要素、反
射光学要素、または双方が回折光学要素なら、再帰反射光学系の球面収差を入射
角が小さけれは完全に、入射角が大きくても著しく軽減することができる。
回折光学系の回折効率は所与の入射角に関して最適化できるから、少なくとも
1つの回折焦点合わせ光学要素を含む再帰反射光学系
を所与の入射角に対して最適化することができる。
反射光学要素は入射する電磁放射線の少なくとも一部を入射する主光線と同じ
方向に反射させるから、実質的に全ての入射角について再帰反射が得られる。
異なる波長に合わせて設計された複数の再帰反射光学系を同一のシート材に組
込むことによって同一の再帰反射シート材で多色の反射看板を提供することがで
きる;前記反射看板は所与の入射角において異なる色で反射させるか、または異
なる入射角において異なる色で反射させる。これは公知の再帰反射光学系によっ
ては達成できない。
また、再帰反射光学系を六角形、正方形または三角形にすることでパック密度
を高めることができる。
特に純回折式再帰反射光学系の場合、屈折光学要素の使用を避けることにより
、例えば、高屈折率及び高精度形状を有する微小ビーズという条件を回避できる
から、本発明のこの実施態様による再帰反射性シート材は従来の再帰反射性シー
ト材よりも低コストとなる。
好ましい実施例
本発明の好ましい実施例を従属請求の範囲第2−11項に定義する。
“入射側透過光学要素”
本発明では入射側透過光学系として、入射電磁放射線を受光し、これを反射光
学要素上に焦点合わせできるなら適当ないかなる透過光学要素でも利用すること
ができる。
本発明の特定の実施例では、入射側透過光学要素として屈折性球
面または非球面光学要素、または回折性焦点合わせ光学要素、例えば、フレネル
ゾーンプレート、フレネル位相プレート、回折格子溝のある(blazed)フレネル
位相プレートのようなフレネル回折構造体を使用することができる。
本発明の好ましい実施例では、入射側透過光学要素は焦点合わせ透過回折光学
要素である。
“反射光学要素”
本発明では、反射光学要素としてほとんどあらゆる入射角に対して入射電磁放
射線の少なくとも一部が主光線の方向に沿って反射するように入射電磁放射線を
放射源にむかって反射させることができるなら適当ないかなる反射光学要素でも
利用できる。
このような反射光学要素は基板に回折パターンを埋込むかまたは配置した回折
光学要素と、これに直接またはスペーサ材を介在させて取付けた反射層または反
射コーティングとから成る。
回折光学要素と反射層の間にスペーサ材を介在させる場合、回折光学要素から
反射層までの距離+反射層から入射側透過光学要素までの距離が回折光学要素の
有効焦点距離に等しくなるようにスペーサ材の厚さを選択することが好ましい。
本発明の好ましい実施例では、反射光学要素は裏面に反射光学コーティングを
施した回折光学要素から成る。
本発明の他の好ましい実施例では、反射光学要素はその裏面に反射光学コーテ
ィングを施した透過回折光学要素である。
本発明の他の実施例では、反射光学要素はすぐれた反射特性を有する透過回折
要素から成る回折光学要素であり;前記要素はその前面及び後面の屈折率とは異
なる屈折率を有する材料から成る。
本発明のさらに他の実施例では、反射光学要素は屈折性球面また
は非球面ミラー、またはフレネルゾーンプレート、フレネル位相プレート、また
は回折格子溝のあるフレネル位相プレートのような回折ミラーである。
好ましい実施例では、反射光学要素は拡散反射光学要素である。
均質な拡散反射光学要素には入射側透過光学要素を拡散反射光学要素と整列さ
せる必要がないという製造上の利点がある。スペーサ材の厚さが焦点合わせ入射
側透過光学要素の有効焦点距離に近似でさえあれば再帰反射が確実に得られる。
“回折光学要素”
本発明では、回折光学要素として例えば振幅もしくは位相ホログラム、または
表面レリーフホログラムのような公知の適当な回折光学要素を使用することがで
きるが、これらに限られない。
回折光学要素はまた、例えば下記のような公知の方法で形成された適当な回折
パターンを有することができるがこれらに限られない:
i)ハロゲン化銀フィルムのような写真フィルムに干渉を応用して漂白せずに
振幅ホログラムを形成する方法;
ii)ハロゲン化銀フィルムのような写真フィルムに漂白を伴なって、またはフ
ォトポリマーに、干渉を応用して位相ホログラムを形成する方法;または
iii)ポジ型またはネガ型のレジスト、例えば電子レジストまたはフォトレジ
ストのような適当な記録媒体にリソグラフで、または干渉計を利用して表面レリ
ーフ(位相)ホログラムを形成する方法。
最後に挙げた表面レリーフホログラム形成方法が概して好ましい。なぜなら、
表面レリーフホログラムは例えば電鋳(ニッケル)原板(ホログラム)から熱可
塑フィルムを熱機械的にエンボス加工す
るか、流動熱可塑またはUV−または熱硬化プラスチック、またはその適当な前駆
物質を鋳造することによって機械的に複製できるからである。また前記原板は成
形型の一部を形成する。R.A.Bartolini等の“Replication of Relief-Phase Hol
ograms for Prerecorded Video”,J.Electrochem.Soc.:Solid-State Scienc
e and Technology,Vol.120,No.10,October 1973,1408-1413 を参照されたい
。この記事の内容をここに引用して記載に含める。
マスターホログラムを支持するプレートには円筒形状を与え、例えばビニル、
ポリカーボネート、マイラーまたはセルロースエステルのような軟化した適当な
プラスチックへの連続エンボス加工を可能にするエンボスロールに装着すればよ
い。例えば、J.J.Cowan及びW.D.Slaferの“Holographic Embossing at Polaroid
:The Polaform Process”,SPIE Vol.100,Progress in Holographic Applicat
ion,1985,49-56を参照されたい。
マスターホログラムに円筒形状ではなく扁平形状を与え、半連続エンボス加工
を可能にするプレートプレスに装着してもよい。例えばマイクロプリズムタイプ
の再帰反射光学系を有する再帰反射性シートの圧縮成形装置を開示している米国
特許第 4,244,683号を参照されたい。
本発明の好ましい実施例では、回折光学要素が表面レリーフ回折パターンを含
む。
“反射光学要素に対する入射側透過光学要素の位置ぎめ”
本発明では、反射光学要素を透過光学要素の有効焦点またはその近傍に位置さ
せる。
従って、1対の光学要素、即ち、入射側透過光学要素と反射光学要素はシート
材の所要の厚さに応じた相互間隔を保つように設計さ
れる。
両光学要素はどんな適当な方向に配向されていてもよい。即ち、両光学要素の
中心軸の配向をどんな適当な方向を持つように設定してもよい。
本発明の好ましい実施例では焦点合わせ反射光学要素の中心軸の配向に対する
入射側透過光学要素の中心軸の配向を両中心軸が互いに非平行か、ほぼ平行か、
またはほぼ一致するかのいずれかの関係から選択する。
両中心軸はほぼ平行でしかも間隔が狭いこと、特にほぼ一致することが好まし
い。
“スペーサ材”
スペーサ材としては公知の適当なスペーサ材を使用できる。
本発明の好ましい実施例では光学要素間のスペース、または透過回折光学要素
と反射光学要素の反射コーティングとの間のスペース、またはこの双方を例えば
ガラス、硬質プラスチック、軟質プラスチック、空気、またはこれらの組合わせ
のような絶縁性またはほぼ絶縁性の材料から選択したスペーサ材で構成する。
“色素添加物”
再帰反射性シート材に適当な公知の色素を添加して着色することができる。
本発明の好ましい実施例では、入射側透過光学要素、反射光学要素、反射光学
コーティングを含む回折要素、反射光学コーティング、拡散反射光学要素、スペ
ーサ材の少なくとも1つが1種類または2種類以上の色素を含有する。
光学要素支持材及び/またはスペーサ材は透明色または蛍光透明
色にあらかじめ着色することができる。
多重カラーまたはイメージを形成したければ、シート材の表面をスクリーンプ
リントまたはフレクソプリントによってイメージ通りにプリントすればよい。保
護層を施す場合、この材料にあらかじめ所要のパターンをプリントすることがで
きる。
夜間に色が鮮かに反射するためにはインクが透明でなければならない。昼間だ
け目につく色でよいのなら、普通の非透明インクを使用すれはよい。
セリグラフ工業の分野で使用され、透明なものも非透明なものも市販されてい
る好ましいインクはシクロヘキサノン、1−メトキシ−2−プロピルアセテート
、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート
、及びC9−C10アロメートから成り、BargoscreenTM2K−6500の商標で市販さ
れている。
“保護層”
再帰反射性シート材はどんな適当な透明材料から成る保護層でカバーしてもよ
い。
本発明の好ましい実施例では入射側透過光学要素の前面または反射光学要素の
背面、または双方を保護材でコーティングする。
表面レリーフ回折光学要素に保護層を施す場合、回折パターンを保護層を施さ
ない場合よりも深くすることが好ましい。回折パターンの深さは当業者なら経験
で、またはM.G.Moharam 及びT.K.Gaylord の“Diffraction Analysis of Dielec
tric Surface Relief Gratings”,Journal of the American Optical Society
,Vol.72,No.1,Nov.1982,1385-92(これをここに引用してその内容を記載に
含める)に記載されている回折効率計算によって最適化することができる。
“支持材”
再帰反射光学系は布地や接着剤、場合によっては自己粘着性接着剤のような適
当な公知の支持材に支持すればよい。
多くの用途において、支持材はシート材自体である。
B.再帰反射性シート材の製法
他の態様において、本発明は再帰反射性シート材の製法にも係わる。
“2枚のシート基板の接合”
本発明の再帰反射性シート材の好ましい製法は請求の範囲第12−14項に記載し
た通りである。
光学要素は上述した公知の方法によって第1及び第2のシート基板にそれぞれ
設ければよい。
次いで第1及び第2基板を当技術分野で適当とされる接合技術によって接合す
る。
反射光学要素は回折光学要素または拡散反射光学要素であることが好ましい。
“1枚のシート基板の加工”
本発明の他の再帰反射性シート材製法は請求の範囲第15−19項に記載した通り
である。
この方法では、1枚のシート基板の第1面及びこれとは反対側の面に光学要素
を設ける。
反射光学要素は回折光学要素または拡散反射光学要素であることが好ましい。
“1枚のシート基板の両面への表面レリーフパターンのエンボス形成”
本発明のさらに他の好ましい再帰反射性シート材製法は請求の範囲第20−27項
に記載した通りである。
第2エンボスマトリックスの表面レリーフパターンは回折パターンまたは拡散
反射パターンであることが好ましい。
この方法では、公知のいずれかの適当な方法によって所要の光学要素に表面レ
リーフ回折パターンを設ける。詳しくは上記“回折光学要素”及び後述する“シ
ート基板材料”の説明を参照されたい。
表面レリーフ回折パターンのマスターホログラムのエンボスマトリックスは公
知の適当な方法、例えばニッケルのような適当な金属で電気メッキすることによ
ってエンボスマトリックス、例えば円筒状エンボスロールまたは扁平なエンボス
プレートプレスとして使用できる硬質の材料を得る。
シート材に入射側透過光学要素及び反射光学要素のレリーフ回折パターンをエ
ンボス形成する作業は同時に行うことも相前後して行うこともできる。
本発明の好ましい実施例ではエンボス加工工程はシート材の両面に1対ずつ表
面レリーフ回折パターンを同時に熱機械的にエンボスするというものである。
本発明の好ましい実施例では、エンボス工程は連続的なロール間プロセスから
成る。
シート材へのエンボス加工はシート材に応じた適当な温度において行えばよい
。
“位置ぎめ制御”
シート材の両面に2つの表面レリーフ回折光学要素を形成する際
には表面レリーフ回折パターンを相互に正確に位置ぎめすることが重要である。
直径が 340μm、エンボスのプロフィル深さが1μm、再帰反射性シートポリ
マーホイルの厚さが 100μmの1対の表面レリーフ回折光学要素の場合、精度は
10μmよりも高くなければならず、約5μmであることが好ましい。
この位置ぎめ精度を得るためには、公知のどんな位置制御方法を応用してもよ
い。
本発明の好ましい実施例では、位置ぎめ制御は下記ステップから成る:
a)シート基板に位置マーカーをエンボスし;
b)位置マーカーの所定の方向に沿った相対ずれを測定し;
c)測定された位置マーカーの相対ずれが所定の限界値を超える場合にはエン
ボスマトリックスまたはシート基板、または双方の位置を調整する。
本発明の好ましい実施例では、位置マーカーが三角形である。
本発明の他の好ましい実施例では前記エンボス加工用マトリックスが型の一部
を形成し、流動熱可塑材またはUV−または熱硬化プラスチック、またはこれらの
適当な前駆物質から成るシート基材が成形される。
“シート基材材料”
本発明ではシート基材材料として例えばUV−硬化ポリマーのような公知の適当
なシート材を使用することができる。
このような物質としては、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩
化ビニル、ポリカーボネートのほか、アクリレーテッドエポキシオリゴマー、ポ
リウレタン及びアクリレーテッドウレタ
ンなどのようなポリエステルなどが挙げられるが、これらに限られない。
適当なシート基板材料は例えば英国特許出願第 2,245,194A号及び米国特許第
4,576,850号に開示されている。これらをここに引用してこれらの内容を記載に
含める。
C.再帰反射性シート材の利用
本発明の更に他の態様は再帰反射、特に所与の波長については球面収差が軽減
され、所要の入射角については再帰反射が最適化される再帰反射を伴なう適当な
用途における本発明の再帰反射性シート材の使用である。
本発明の好ましい実施例においては、再帰反射シート材を道路標識のような標
識、ステッカーのような標識、または装飾物の製造に利用され、前記標識または
装飾物は照明されると再帰反射を発生させる。
その他の標識としてハイウエイ標識、交通標識、滑走路標識、ポスト及びタル
の標識;及び警告標識も含まれる。
表現の定義
この明細書において、“電磁放射線”という表現は適当な回折要素によって回
折させることができる電磁放射線、特に10nmないし 100μm、好ましくは 100な
いし1000nm、さらに好ましくは約 400ないし約 700nmの電磁スペクトル可視域の
波長を有し、所要の波長で機能するように設計された適当な回折光学要素によっ
て回折させることのできる電磁放射線を意味する。従って、“回折光学要素”と
いう概念は“光学的”範囲内と考えられる波長とは異なる波長の電磁放射線に好
適な回折要素をも含むものと広義に解釈すべきである
。
この明細書において、“再帰反射”という表現は、入射電磁放射線とはほぼ反
対の方向に入射電磁放射線が反射する現象を意味する;前記方向は入射方向と一
致するかまたはこれと平行である。従って、再帰反射は入射放射線を選択的にほ
ぼ入射角に等しい角度で反射させるか、反射する放射線は反対方向に伝播する。
電磁放射線が選択的に入射角で反射するこの現象は入射光を正反射させる、即ち
、入射角が反射角に等しいミラータイプのレフレクタの反射とは異なる。また、
この選択的な反射は入射放射線を全方向に反射させる拡散タイプのレフレクタの
反射とも異なる。
この明細書において、「球面収差」とは、全ての平行光が1つの特異点に集ま
らない、焦点合わせ上の欠陥を意味する。
この明細書において、入射角という表現は入射電磁放射線がシート基板表面に
対して垂直に伝播する場合は0°の角度を意味する。
この明細書において、“シート材”という表現は本発明の再帰反射光学系の光
学要素を支持するのに適した連続的な薄いシートまたはフィルム材を意味する。
この明細書において、“主放射線(chief ray)”という表現は照明源から放射
され、好ましい実施例では例外なく入射側透過光学要素の開口に相当する制限開
口の中心を通過する電磁放射線の幾何学的光線を意味する。
3.図面の簡単な説明
図1Aは公知の球タイプ再帰反射性シート材の断面簡略図であり;
図1Bは正反射ミラーを有する公知のフレネルゾーンプレートタイプの断面簡
略図であり;
図2は本発明の反射回折光学要素を有する球タイプ再帰反射シート材の好まし
い実施例の断面簡略図であり;
図3は本発明の純回折タイプの再帰反射シート材の他の好ましい実施例の断面
簡略図であり;
図4A−4Dは拡散反射光学要素を有する回折タイプ再帰反射シート材のさら
に他の好ましい実施例の断面簡略図であり;
図5はリソグラフ製法によって得られた入射側透過焦点合わせ回折光学要素断
面の走査電子顕微鏡画像であり;
図6は本発明のシート材の再帰反射光学系に組込まれる回折光学要素を干渉を
応用して記録する構成の簡略図であり;
図7は本発明のシート材の再帰反射光学系に組込まれる拡散回折光学要素を干
渉を応用して記録する構成の簡略図であり;
図8は連続的に移動するシート基板材のロール間エンボス加工の簡略図であり
;そして
図9は三角形の位置マーカーをエンボスされたシート基板材の断面を示す簡略
図である。
4.詳細な説明
A.再帰反射性シート材
“公知の再帰反射性シート材”
図1Aに、従来技術の球タイプ再帰反射性シート材 100の断面概略図を示す。
ガラス/プラスチック球 101は一部が反射層で被覆され、一部はシート材 103
に埋没されている。反射層 102で被覆されていない球の部分は任意に保護層 104
で被覆される。保護層 104に入射する入
射光 105は球 101を透過し、反射層 102で反射する。反射光 106は(理想的には
)入射光 105とは反対の方向に反射する。
明確さを期して球間に存在する不透明なまたは吸収性のバリヤコーティングの
図示を省いた。
図1Bには正反射コーティングを有するフレネルゾーンプレートタイプ再帰反
射性シート材 100bの断面概略図を示す。
入射光113,113bと対向する透明シート基板 112の前面にフレネルゾーンプレ
ート110,111をエンボス成形し、基板の裏面を正反射ミラー 114で被覆する;前
記基板はフレネルゾーンプレート110,111 の焦点距離に相当する厚さを有する。
図示の入射角では、入射光113,113bのうち、正反射ミラー 114によって入射
主光線 113bに沿ってそのまま再帰反射させられる光は皆無である。入射光 113
の一部は光線 115の形で反射する。
図から明らかなように、反射光 115bは入射した特定のフレネルゾーンプレー
ト 110から逸れるから再帰反射の方向とは異なる方向に反射する。
“本発明の再帰反射性シート材の好ましい実施例”
図2は本発明の再帰反射性シート材 200の好ましい実施例の断面の概略図を示
しており、これはシート基板 202に半球形レンズ 201を埋込んで入射側透過光学
要素とし、シート基板 202の裏側、即ち、入射光203,204の側とは反対の側にあ
って半球形レンズ 201と向き合う側に回折表面レリーフパターン 206及び反射性
コーティング 207を含む反射回折光学要素(または反射ホログラフ光学要素)か
ら成る反射光学要素を設け;前記反射コーティング 207がシート基板の裏面の全
部または一部を被覆するように構成されている。反射光208,209は反射回折光学
要素 205が入射電磁放射線の少なくとも
一部 208を入射主放射線 204の方向に沿って反射させることで放射源にむかって
反射する。半球体間または反射回折光学要素間のスペース 210には必要に応じて
(図示しないが)適当なバリヤまたは拡散反射コーティングを設けることができ
る。
図3は本発明の再帰反射シート材 300の好ましい実施例の断面概略図を示した
もので、シート基板 202の前面に設けた表面レリーフ回折パターン 302を含む透
過回折光学要素から成る入射側透過光学要素 301と、入射側透過光学要素 301と
は反対側のシート基板 202の裏面に設けた回折表面レリーフパターン 206及び反
射コーティング 207を含む反射回折光学要素 205から成る反射光学要素とで構成
されている。
図2から明らかなように、入射電磁放射線の一部 208は入射主放射線 204の方
向に沿って反射する。
図4A−4Dは本発明の再帰反射性シート材 400の好ましい実施例の断面の概
略図を示したもので、シート基板 202の前面に設けた表面レリーフ回折パターン
から成る入射側透過光学要素 301と、この入射側透過光学要素 301とは反対のシ
ート基板 202の裏側に設けた拡散反射光学要素 405とで構成されている。
再帰反射シート材の原理を2通りの入射角との関連で図示した。即ち、図4A
及び4Bではこの原理を比較的小さい入射角との関連で、図4C及び4Dではこ
の原理を比較的大きい入射角との関連で示した。入射側回折光学要素 301の焦点
合わせ効果を図4A及び4Cに図示し、拡散反射光学要素 405からの拡散反射を
図4B及び4Dに図示した。
図4B及び4C中の楕円は近ランバーティアン放射線分布を示す。この拡散非
正反射により、入射電磁放射線の少なくとも一部 208は入射主放射線 204の方向
に沿って反射する。
B.再帰反射性シート材の製法
本発明の純回折タイプ全再帰反射光学系の好ましい実施例は焦点合わせ透過回
折光学要素、スペーサ材/シート基板及び反射回折光学要素から成る。
1つの実施例では、第1シート基板上の焦点合わせ透過回折光学要素と第2シ
ート基板上の反射回折光学要素を別々に製造したのち、この2つのシート基板を
、場合によってはスペーサ材を介在させて、接合することにより全再帰反射光学
系を製造することができる。
本発明のシート材に組込まれる回折光学要素はどんな望みの波長をも対象とす
る再帰反射光学系の製造に有用なリソグラフ製法で製造できる。
400-500nmの波長を対象とする再帰反射光学系の最も簡単な製法である干渉応
用の製法で製造することも可能である。
垂直入射に対して最適の再帰反射を達成したい場合、2つの回折要素を(後述
するリソグラフ法の場合なら)同じ計算によって、(後述する干渉応用の方法な
ら)同じ幾何的構成によって製造できるから製法は極めて簡単である。2つの回
折要素における回折構造は表面プロフィルの深さまたは回折材料が異なる点を除
けば全く同じである。回折構造の最適深さは当業者なら経験的に、または M.G.M
oharam及び T.K.GaylordがJournal of Optical Society of America,Vol.72,N
o.10,November 1982,p.1385-1392に発表した“Diffraction Analysis of Diel
ectric Surface-Relief Gratings”に記述されている回折効率計算を利用するこ
とによって達成することができる。
従って、シート基板に組込まれる焦点合わせ透過回折光学要素及び反射回折光
学要素の双方を製造するのに、回折材料の最適深さが
双方の要素で異なることを除いて、後述する回折光学要素の製法を利用すること
ができる。
更に、反射回折光学要素には反射層を重ねることによって反射に伴なう回折次
数(reflection orders of diffraction)の回折効率を最大限に高めることが好
ましい。この反射層は例えばBio Rad Micro-Science Divisionの製品であるDiod
e Sputter Coater SC510のような装置を利用して金属層にスパッタリングするこ
とによって塗布することができる。
フォトレジスト面からシート基板への回折パターン転写方法は“回折光学要素
の複写”の項において後述する。
“試作要素”
純回折タイプ再帰反射性シート材の製造を説明するため、550nmの波長を用い
たときに最適の試作要素を設計した。屈折率1.46、厚さ 200μmの石英ガラス基
板を使用した。それぞれが約 300μm2の14×14回折フレネルゾーンパターン配
列を表裏両側の光学要素とし使用した。
リソグラフ手段によって製造された回折光学要素を走査電子顕微鏡で観察して
得た入射側焦点合わせ透過回折光学要素の画像を図5に示した。なお、回折光学
要素の中心付近の部分だけを示してある。1μmに相当する目盛単位 501は表面
レリーフ構造のサイズを示す。表面レリーフ構造 502も基板材料 503も石英ガラ
スである。
試作要素は複製を目的とするものではない。従って、試作の回折光学要素を双
方共に石英ガラス基板の両面にそれぞれ組込んだ。
“基板の加工”
次に行われる電子ビーム記録において必要な位置ぎめ精度を達成
するためには石英ガラス基板の前面と後面とを整列させる整列マークが必要であ
った。前面の回折光学要素配列を5μmの精度で後面の回折光学要素配列と整列
させることが好ましい。
先ず、ヒューレットパッカード社のLaser Jet IIIPでプリントした所要の整
列マークを有する簡易オーバーヘッドフィルムの1/10縮小コピーを作成するこ
とによって所要の整列マークのある標準フォトマスクを作成した。この縮小は標
準的な縮小レンズを利用する縮小カメラで実施した。露光はコダック社製の HDP
プレート上で実施し、コダックからの指示に従って現像し、定着した。
フォトマスクは約27mm間隔で配置された2つの十字を有する。十字を形成する
線は十字の中心付近で約5μm、中心から最も遠い端部では約1mmの太さに設定
した。これによって整列マークの検出が容易になったが、良い結果を得るための
必須条件ではない。マークは可視及びUV波長を透過したがマーク以外のフォトマ
スク部分は吸収した。
基板の前面をヘキスト社製のフォトレジスト5206で被覆した。この作業はフォ
トレジストのメーカーからの指示に従って洗浄、スピンコーティング及びベーキ
ング処理を行うことで実施した。このフォトレジストはポジ型及びネガ型のいず
れのレジストとしても使用できる。だだし、ここではポジ型レジストとして使用
する場合の指示に従った。
製のマスク整合装置 AL 6−2において2つの整列マークを有するフォトマスク
をマスクプレートとして、フォトレジストで被覆した基板をウェハーとしてそれ
ぞれ使用した。露光はメーカーからの指示に従って行った。厚さ 0.5μmのレジ
ストでは15秒の露光時間で最善の結果が得られることが判明した。露光後、Ship
ley社製の現
像装置Microposit 351を使用し、同社からの指示書に従って現像した。その結果
、整列マークのパターンが転写され、現像装置がレジスト材を取除くから、十字
はレジストの孔となる。
この段階で前面が露出した状態にある基板を、先ず薄い50ÅのCr層、次いで 2
00ÅのAu層を蒸着するためAVAC社製の蒸着装置内に配置した。Auを石英ガラスと
結合させるためにCrが必要であり、Auを使用することによって電子ビームライタ
ー(writer)の走査電子顕微鏡モードにおいて見ることのできる整列マークが得
られた。蒸着後、基板をアセトン中で超音波浴処理することによってフォトレジ
ストを溶解させ、露光された整列マークの十字だけをCr/Au被覆するリフトオフ
プロセスを得た。残りのCr及びAuは溶解したレジストと一緒にリフトオフした。
以上で前面の加工が完了した。後面にも同様の加工を施した。即ち、後面をマ
スク及び光源に向けてマスク整合装置において露光した。ただし、この場合には
マスクをこの段階では見ることのできる前面のCr/Auマークに整列させた。この
作業は前後方向整合システムを備えているマスク整合装置 AL 6−2で達成する
ことができた。AL 6−2はこの試作品の製造に不可欠であり、従来の整合装置
の多くはこの機能を具えていない。
基板の前後両面の整列マークを正しく整合させたら、次に電子ビーム及びエッ
チング処理への準備ができた。この処理では先ず基板前面を Novolak系のフォト
レジスト、例えばシップレイ社製の Microposit 1400シリーズでスピンコートし
たのち、45分間に亘って 225℃で基板をベーキングし、極めて硬く焼かれたフォ
トレジストを得た。この層は石英ガラスに回折構造をエッチングする際のエッチ
ングマスクとして機能することになる。硬く焼かれたフォトレジストの頂面に例
えばAVAC蒸着装置のような真空蒸着装置で 500ÅのGe
層を蒸着した。この層はあとで電子ビーム記録工程において導電層として機能し
、フォトレジストに回折構造をエッチングするためのエッチングマスクとしても
機能する。これの頂面に例えば SAL 601のような電子ビームレジストの 150nm層
をスピンコートした。この3層レジスト/Ge/レジストは石英ガラスへの深く小
さいサイズのエッチングを施す上で最良の結果をもたらしたが、他の材料も使用
できよう。後述のように、前面の露光及びエッチングが終了したら、今度は後面
に3層レジスト/Ge/レジストをコーティングし、蒸着した。次いで前面の露光
と同様に後面の露光及びエッチングを実施した。
“データの作成”
JEOL言語を使用して電子ビーム記録のためのフレネルゾーンパターンを作成し
た。指令でパターンを作成し、同心円状リングが得られた。フレネルゾーンパタ
ーンは石英ガラス−使用されるシート材−において石英ガラス基板の厚さに等し
い有効焦点距離を有するフレネルゾーン回析レンズが得られるように選択した。
この選択はEugene Hecht(Adelphi University)の“OPTICS”、第2版、ISBN 0
-201-11611-1,p.445+に記述されている標準フレネルゾーンプレート方程式に
従った計算によって行われた。
このフレネルゾーンパターンは実質的にあらゆる入射角に対して入射光の少な
くとも一部を入射主放射線(chief ray)の方向に沿って逆戻りさせる回析パター
ンである。
“電子ビーム加工”
電子ビーム装置に取付けたファイルサーバへ読込んだのち、メーカーからの指
示書に従って電子ビーム装置を校正した。データを露
光コンピュータシステムにロードし、次いで電子ビーム装置の走査電子顕微鏡モ
ードを利用して基板の前面(第1面)上に整列マークを検出した。電子装置のレ
ーザーステージコントロール上での整列マークの絶対位置を読取り、コンピュー
タシステムのメーカーのマニュアルに従ってこれをコンピュータに入力すること
により、露光コンピュータシステムが前面におけるパターンの正確な位置ぎめを
自動的に行うことができるようにした。露光を開始したが、5×5mm配列の回析
レンズの場合、約 5.5時間の露光時間が必要であった。露光後、110℃で20分間
に亘って基板をベーキングし、Novolak系電子ビームレジスト用のシップレイ社
製標準現像装置(商品名“ Developer”)で2分間現像処理した。その結果、非
露光レジストが除去され、露光された回析構造が石英ガラス上のフォトレジスト
/Ge/層の頂面に電子ビームレジストのリングとして残った。後述するようにエ
ッチングすることによってこれらの構造を石英ガラスに転写したのち、基板の第
2(後)面を3層(レジスト/Ge/レジスト)系でコーティングし、上述したの
と同じ方法でこの第2面で電子ビーム記録、ベーキング及び現像を実施した。次
いで第2面の回析構造を第1面の場合と同様、後述のように下方の石英ガラスに
転写した。
“パターンの転写”
露光された電子ビームレジストの回析構造を、反応イオンエッチングによって
下方のGe、フォトレジストそして最後に石英ガラス基板に転写した。反応イオン
エッチングはすべてCHF3,SF6及びO2ガスの供給されたVacu Tec Plasma System
において行われた。このシステムの圧力及び効果パラメータはすぐれた異方性エ
ッチを得るためには重要であり、最適パラメータは個々の装置に応じて全く異
なることがあり得ることにも留意しなければならない。個々の装置の最適パラメ
ータを得るため当業者は一連の試験を実施しなければならない。なお、エッチン
グされる構造の側壁が垂直なら、低い圧力と高い効果は極めて異方性の高いエッ
チングを可能にし、高い圧力と低い効果は極めて選択的なエッチングを可能にす
る。
先ず、6m Torr,20cm3/min の SF6及び効果87Wで20秒の反応イオンエッチ
ングにより電子ビームレジストから 500ÅのGe層へ回析構造を転写した。次いで
6m Torr,30cm3/min のO2及び効果 240Wで 250秒の反応イオンエッチング
により、Ge層と石英ガラスの間の硬く焼かれたフォトレジストをエッチングした
。最後に、30m Torr,30cm3/min のCHF3で反応イオンエッチングによって前記
構造を石英ガラスに転写した。構造の必要な深さが約1μmである前面では石英
ガラスに対するエッチング時間が39分間であったが、必要な深さが約 0.5μmで
ある後面ではエッチング時間を19.5分間とした。この石英ガラスのエッチングに
おいては残留Geもすべて除去された。
特別な工程として、前記要素から残留レジストを除去し、真空チェンバを洗浄
するため上記フォトレジストのエッチングに使用したのと同様の酸素エッチング
を3分間実施した。これは再帰レフレクタの使用に不可欠な工程ではないが、高
純度の硬質石英ガラス面を得るために採用した。
“後面反射”
製造の最終工程として後面を 500nmのアルミニウムでコーティングすることに
よって高い反射率を得た。この工程はAu及びCr蒸着に使用したのと同様の蒸着装
置を使用した。
“干渉応用による回析光学要素の記録”
本発明のもう1つの回析光学要素の製法は例えば P.Hariharanの“Optical Ho
lography”,Cambridge University Press,Cambridge 1984 ISBN 0 521 24348
3 のような一般的なホログラムに関する文献に概説されているような干渉応用の
記録システムを使用する製法である。明確な理解を期してこの方法をさらに詳細
に後述する。
焦点合わせ回析光学要素を記録するためのホログラフシステムを図6に示す。
光源として記録材に好適な波長を有するコヒーレントレーザー 601を使用する。
このシステムはほかに標準的な光学ミラー 602,603,604、ビームスプリッタ60
5,606、及び空間フィルタ607,608を含む。
ホログラフ記録材 609としてはシップレイ社製の Microposit 1400のようなフ
ォトレジストが好ましい。このフォトレジストに適したレーザーとしては Spect
ra Physics社製の波長 488または 457.8nmのArgon Ion Laser Model 2030がある
。このフォトレジストをメーカーの指示書に従ってスピンコーティングすること
によって扁平ガラス基板にコーティングすればよい。
図6に示すように、レーザー光はビームスプリッタ 605によって2本の別々の
ビーム601,611に分割される。ミラー603,604がビーム 611を誘導して空間フィ
ルタ 608を通過させ、ビームスプリッタ 605がビーム 610を誘導して空間フィル
タ 607を通過させる。いずれの空間フィルタ607,608も顕微鏡対物レンズと、レ
ーザー光をフィルタして2本のガウスビーム612,613を形成するピンホールを含
み、ピンホールからのガウスビーム612,613が点光源として作用する。これら2
本のガウスビーム612,613はいずれも記録材 609に入射し、レーザー光のコヒー
レント性により記録材の平面内に干渉パターンが発生する。この干渉パターンは
前記記録材中に潜像として
記録される。次いで記録材メーカーの指示書に従って記録材を現像することによ
り回析微小構造が記録される。
こうして得られる回析微小構造は記録スキーム(scheme)の幾何的構成(setup
)に応じて異なる形態を呈する。もし空間フィルタ 607から記録材 609までの距
離“a”+“b”が空間フィルタ 608から記録材 609までの距離“c”よりも大
きければ、空間フィルタ 607からの光は平面波と考えることができ、得られる焦
点合わせ回析光学要素の焦点距離は距離“c”に等しくなる。従って、こうして
得られた回析光学要素は平面波照度、屈折率及び波長に関して記録システムと同
様のシステムに使用した場合、焦点距離が“c”の球面レンズとして作用する。
従って、反射回析光学要素の回析パターンは実質的にあらゆる入射角に対して入
射光の少なくとも一部を入射主放射線の方向に沿って逆戻りさせることを確実に
する。
これらの特性を有する回析要素は入射透過回析光学要素としても反射回析光学
要素としても使用される。
フォトレジスト表面からシート基板への回析パターン転写方法を“回析光学要
素の複写”の項で後述する。
“干渉応用による拡散反射回析光学要素の記録”
拡散反射回析光学要素を記録するためのホログラフシステムを図7に示す。記
録材に適した波長のコヒーレントレーザーを光源として使用する。このシステム
はほかに標準的な光学ミラー、ビームスプリッタ、空間フィルタ、及び1770 Ket
tering Str,Irvine,California 92714に所在するMelles Griot社製の“13FSD0
03”のようなガラスディフューサ(diffuser)を含む。
ホログラフ記録材としてはシップレイ社製の Microposit 1400のようなフォト
レジストが好ましい。この記録材に好適なレーザーは
波長が 488または 457.8nmの Spectra Physics社製Model 2030 Argon Ion Laser
であろう。レジストのメーカーからの指示書に従ってスピンコーティングするこ
とによってこの記録材を扁平ガラス基板にコーティングすればよい。
図7は干渉応用による拡散回析光学要素の記録を行う幾何的構成を示す。図中
、701はレーザー、702はミラー、703はビームスプリッタ、704は空間フィルタ、
705は透明ディフューザ、706はコリメータレンズ、707は基板上にコーティング
されたホログラフ記録材、708はレーザービームである。
図7に示すように、レーザー光 708はビームスプリッタ 703によって2本の別
々のビームに分割される。ミラー 702がこれら2本のビームを誘導して空間フィ
ルタ 704を通過させ、空間フィルタ 704は顕微鏡対物レンズとピンホールを含み
、レーザー光をフィルタし、点光源として作用するピンホールから射出されて2
本のガウスビームを形成する。一方のガウスビームは記録材に直接入射して参照
波として作用する。他方のガウスビームはガラスディフューザ 705に入射して所
与の方向φから立体角Δφで記録材を拡散照射して物体波として作用する。レー
ザー光のコヒーレント性により記録材 707の平面内に複合干渉パターンが形成さ
れる。記録材メーカーからの指示書に従って露光ずみ記録材を現像することによ
って所要の複合拡散微小構造が得られる。
記録された微小構造パターンはディフューザガラス板の像ホログラムそのもの
である。従って、共役参照ビームを再生用照射光として利用することによって得
られたホログラムを再構成することができる。
こうして得られる回折ディフューザの特徴は特定の立体角Δφで特定方向にの
み拡散光を誘導することにある。即ち、不要な方向に
回折拡散光が分散することは全くないから、ディフューザのエネルギー利用効率
が高められる。ただし、ある程度のスペクトル収差が認められる。この製造に使
用される幾何学的構成は再帰反射性シート材の所要の構造(geometry)において
使用する最良のディフューザが得られるように設計しなければならない。このよ
うな設計ホログラフ技術に通じている当業者、又は P.Hariharanの“Optical Ho
lography”,Cambridge University Press,1984,ISBN 0 521 31163 2の指示及
び式に従って達成できる。
前記幾何学的構成は記録された回折ディフューザが入射光の一部を入射主光線
の方向に沿って送り返すように選択しなければならない。そのためには光学要素
の使用に際して記録システムからの異なった屈折率及び波長を補償するように幾
何的構成におけるφ及びΔφを制御すればよい。
好ましい実施例では“回折要素の複写”の項で述べるようにポリマーまたはプ
ラスチックのシート基板にエンボスすることによって回折ディフューザを複写す
ることができる。
“再帰反射性シート材の製造”
好ましい実施例では、入射透過回折要素の有効焦点距離に等しい間隔を保つ2
つの回折光学要素によって再帰反射特性を得る。従って、回折光学要素記録シス
テムの幾何的構造を、完成シート材における2つの回折光学要素の所要間隔に等
しい正確な焦点距離を有する回折光学要素が得られるように選択した。図6に関
連して述べたように、一方の空間フィルタから記録材までの距離が大きく、他方
の空間フィルタと記録材との間の距離に相当する所要の焦点距離を有する幾何的
構成によって上記条件を達成した。
不要の収差を避けるため、空間フィルタとホログラフ記録材との
間に介在する材料が完成シート材におけるスペーサ材と同じ屈折率を持つように
した。これに代えて、記録システムにおけるそれぞれの距離を調整することによ
って収差を最小限に抑制することもした。
記録システムに採用される波長は完成した再帰反射性シート材の用途に最適の
波長でもある。この波長に関してだけ収差が最小限に抑えられ、記録波長とは著
しく異なる波長で再帰反射性シート材を使用すれば著しい色収差が現われると考
えられる。可視域で使用するには可視スペクトルの中央に近い波長が好ましいが
、利用できる記録材の感度が選択の自由度を制約する。公知のフォトレジストで
は波長が 500nm以上になると感度が急激に低下するから、フォトレジストを使用
するとすれば 500nm以下の領域から最適波長を選択するしかない。2クロム酸ゼ
ラチンのような記録材またはAGFA8E75のようなホログラフ用ハロゲン化銀プレー
トを利用すれば波長の選択範囲は広がるがこれらの記録材を機械的に複写する適
当な方法は未だ知られていない。
個々の回折光学要素のアパーチュア(aperture)はアパーチュアからの有害な
回折効果を回避するのに充分な大きさでなければならない。2つの回折要素間の
距離が 100μm、スペーサ材の屈折率が 1.5ならば、個々の回折要素のアパーチ
ュアを約 150μmの大きさに設定することですぐれた成果が得られる。
“回折光学要素の複写”
個々の要素をホログラフまたはリソグラフ記録することが量産に向かないこと
は明らかである。上述した干渉応用法などでマスターを記録し、このマスターを
複写に使用する必要がある。好ましい実施例では反射回折光学要素も入射透過回
折要素も同種であってほと
んど同じであるから、複写に関する配慮も同じである。記録材としてフォトレジ
ストを使用したから、レジスト表面の微小構造によって回折パターンを得た。次
いで電鋳処理によってこれらの微小構造の硬質金属コピーを作成し、これをエン
ボス加工におけるマスターとして使用することで複写を達成した。
前後両面の回折要素の間隔を正しく確保するため、正確な厚さのシート材の両
面を同時にエンボス加工した。
他の複写技術として、2枚の別々のシート材をエンボス加工したのち、この2
枚のシート材を接合することによって両回折要素の正しい位置及び間隔を確保す
ることも可能である。
これに似たエンボス複写技術に関しては、James J.Cowanの“Aztec Surface-R
elief Volume Diffractive Structure”,Polaroid Corporation,Journal of t
he Optical Society of America,Vol.7,No.8,Aug.,1990,p.1529に記載され
ているが、エンボス加工における圧力及び温度に関する最適パラメータを見出す
ため、当業者は注意深い経験を要求される。
“シート基板両面への表面レリーフパターンのロール間エンボス加工”
図8には連続移動するシート基板 800のロール間エンボス加工を図解した。
透明プラスチックホイルの形態を呈するシート基板を、それぞれの表面レリー
フパターンの硬質マスターホログラムを有する1対のエンボスロール801,802間
に導入し、このホイル両面に同時に1対の回折パターンをエンボスする。
好ましい実施例ではエンボスロール801,802を半回転させることによって総エ
ンボスの50%だけを達成してロールを上昇させてシー
ト基板から離脱させ、ラインのずっと下流でエンボスロール803,804により、同
様にして残り50%のエンボスを行う。表面レリーフパターンが互いに整合するよ
うにロール805,806を介してエンボスマトリックスを調整することができる。
“位置ぎめ制御”
図9には透明ポリマーホイル 900に2列にエンボスした三角形 901−906 の形
態を呈する多数の位置マーカーを示してあり、三角形の垂直辺がポリマーホイル
のX−軸及びY−軸とそれぞれ一致するように三角形が配向されており;前記ホ
イルはX−軸の方向に移動する。
図にはポリマーホイルの一部分だけを示した。これを挟む表面レリーフ回折光
学要素は省略した。
各列(A)及び(B)にレーザーダイオート/検出器コンビネーション907,9
08を設けた。
レーザーダイオード/検出器コンビネーション 907からの光が例えば三角形 9
02の斜辺ABに入射するとY−タイマーが停止し、光が底辺ACに入射すると始動す
る。
ポリマーホイル 900の移動に伴なって次の位置マーカーの三角形 904の斜辺が
Y−タイマーを停止させる。もし測定された時間差が正しくホイルを移動させる
ための所定時間差よりも長ければ、ホイルは正Y−方向に移動したことになり、
短かければホイルが負Y−方向に移動したことになる。
時間差はエンボスマトリックスまたはポリマーホイルまたは双方の位置を、以
後の時間差が許容範囲内に収まるまでY−方向調整するための信号を出力するプ
ロセスコンピュータに入力される。
X−方向の調整に関しては、レーザーダイオード/検出器コンビ
ネーション 907からの光が三角形 902の底辺ACに入射するとX−タイマーが始動
し、レーザーダイオード/検出器コンビネーション 908からの光が三角形 903の
底辺ACに入射すると停止する。もし測定された時間差が正しくホイルを移動させ
るための所定時間差よりも長ければホイルウェブを構成する一方のホイルがX−
方向に遅すぎる速度で移動したことになり、もし時間差が短かければX−方向に
速過ぎる速度で移動したことになる。時間差はY−方向調整の場合と同様にX−
方向調整のための信号を出力するプロセスコンピュータに入力される。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年7月28日
【補正内容】
明細書
入射光はフレネルゾーンプレートによって正反射裏面に集束されるが、この正
反射裏面の反射法則に従って、たとえ入射角が小さくてもこの集束された入射光
は入射したフレネルゾーンプレートを再び通過せずおそらくは隣接のフレネルゾ
ーンプレートにむかって反射するであろう。原則的には入射したのと同じフレネ
ルゾーンプレートから射出される電磁放射線だけがこのフレネルゾーンプレート
によって放射源にむかって、即ち、再帰反射の方向に回折される。従って、この
再帰反射性シート材は光軸に極めて近い入射角でない限り効率が極めて低い。
公知技術の説明
米国特許第 2,354,018号及び第 2,354,049号は透明な球体と扁平なバックレフ
レクタに基づく基本的な公知レフレクタを開示している。
米国特許第 2,407,680号は光線が後方へ通過できるように後端を光学的に露出
させた多数の近接した微小透明球体と、前記球体の前端と一体化するように前記
球体を被覆し、扁平な表面を有する連続的な透明ソリッドカバーとで形成された
再帰反射層を含み、前記球体の屈折率が前記透明カバーの屈折率の少なくとも1.
15倍である反射面と協働して該反射面から再帰反射を発生させる光学的シートを
開示している。
米国特許第 3,758,192号は最も外側の層が好ましくは25ないし 250μの直径と
少なくとも 1.8の屈折率を有するガラスビーズの単層膜である複数の層から成る
再帰反射構造を開示している。なお、ビーズは実質的に無色透明な樹脂などから
成るバインダ材中にほぼ半球状を呈するまで埋没させてある。反射材としてアル
ミニウムを使用した場合に得られる効率に近づけ、同時に“色の悪さ”という欠
点を回避するため、バインダは最大寸法が8ないし30μ、ただしガラスビーズの
直径よりは小さく、厚さが25ないし 200nmの正反射真珠光沢ピグメントを含有し
、好ましくは基剤固形物総量の少なくとも約15重量%のピグメントを含有する。
米国特許第 4,244,683号;第 4,332,847号;第 5,171,624号;及び英国特許出
願第 2 245 194A号は再帰反射性マイクロプリズム材、及び例えば圧縮成形によ
るその製法と製造装置を開示している。ただし、回折光学要素を基本とする再帰
反射光学要素に関しては全く示唆していない。
米国特許第 3,993,401号及び 4,036,552号は、光干渉縞パターンを有する複数
の回析要素を含む透明媒体を含む再帰反射性材料、及び所与の焦点距離を有する
位相変調フレネルゾーンプレート群をエンボス形成するためのスタンパを用意し
;厚さが前記焦点距離に等しい透明なコピー媒体の片面に位相変調フレネルゾー
ンプレートをエンボス形成し;前記コピー媒体の反対面を正反射面で被覆するス
テップから成る再帰反射材の製法を開示している。
2.発明の開示
発明の目的
本発明の目的は入射する放射線を選択的にほぼ入射角に等しい角度で反射させ
る一方、反射する放射線を反対方向に伝播させる再帰反射性電磁系;特に微小ガ
ラス球タイプ再帰反射性シート材に関しては所与の波長に対しては球面収差が小
さく、正反射性裏面を有するフレネルゾーンプレートをエンボス成形した再帰性
反射シート材に関しては光軸から遠く離れた角度での再帰反射性が改善された再
帰反射光学系を含む再帰反射性シート材を提供することにある。
本発明の他の目的は所要の入射面については反射率が最適化され
、シート材に垂直な角度については従来の再帰反射性シート材のように最適化を
必要としない再帰反射性シート材を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は異なる波長を対象に設計された複数の再帰反射光学
系から成る再帰反射性シート材を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は再帰反射光学系を位置制御することができ、従来の
球タイプ再帰反射性シート材よりも高いパック密度を達成できる再帰反射性シー
ト材を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は従来の再帰反射性シート材よりも低いコストで、し
かも容易に製造できる再帰反射性シート材を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は上記のような再帰反射性シート材の製法及び利用を
提供することにある。
その他の目的は以下の説明から明らかになるであろう。
反射光学要素は、入射電磁放射線を非正反射により、入射側透過光学要素を通
って送り返すから、実質的に全ての入射角について再帰反射が得られる。
異なる波長に合わせて設計された複数の再帰反射光学系を同一のシート材に組
込むことによって同一の再帰反射シート材で多色の反射看板を提供することがで
きる;前記反射看板は所与の入射角において異なる色で反射させるか、または異
なる入射角において異なる色で反射させる。これは公知の再帰反射光学系によっ
ては達成できない。
また、再帰反射光学系を六角形、正方形または三角形にすることでパック密度
を高めることができる。
特に純回折式再帰反射光学系の場合、屈折光学要素の使用を避けることにより
、例えば、高屈折率及び高精度形状を有する微小ビーズという条件を回避できる
から、本発明のこの実施態様による再帰反射性シート材は従来の再帰反射性シー
ト材よりも低コストとなる。
好ましい実施例
本発明の好ましい実施例を従属請求の範囲第2−11項に定義する。
“入射側透過光学要素”
本発明では入射側透過光学系として、入射電磁放射線を受光し、これを反射光
学要素上に焦点合わせできるなら適当ないかなる透過光学要素でも利用すること
ができる。
本発明の特定の実施例では、入射側透過光学要素として屈折性球面または非球
面光学要素、または回折性焦点合わせ光学要素、例え
ば、フレネルゾーンプレート、フレネル位相プレート、回折格子溝のある(blaz
ed)フレネル位相プレートのようなフレネル回折構造体を使用することができる
。
本発明の好ましい実施例では、入射側透過光学要素が焦点合わせ透過回折光学
要素である。
“反射光学要素”
本発明では、反射光学要素としてほとんどあらゆる入射角に対して前記反射側
光学要素が、入射電磁放射線を非正反射により、入射側透過光学要素を通って送
り返すように入射電磁放射線を放射源にむかって反射させることができるなら適
当ないかなる反射光学要素でも利用できる。
このような反射光学要素は基板に回折パターンを埋込むかまたは配置した回折
光学要素と、これに直接またはスペーサ材を介在させて取付けた反射層または反
射コーティングとから成る。
図4B及び4C中の楕円は近ランバーティアン放射線分布を示す。この拡散非
正反射により、入射電磁放射線の少なくとも一部 208は入射主放射線 204の方向
に沿って入射側光学要素 301を通って送り返される。
B.再帰反射性シート材の製法
本発明の純回折タイプ全再帰反射光学系の好ましい実施例は焦点合わせ透過回
折光学要素、スペーサ材/シート基板及び反射回折光学要素から成る。
1つの実施例では、第1シート基板上の焦点合わせ透過回折光学要素と第2シ
ート基板上の反射回折光学要素を別々に製造したのち、この2つのシート基板を
、場合によってはスペーサ材を介在させて、接合することにより全再帰反射光学
系を製造することができる。
本発明のシート材に組込まれる回折光学要素はどんな望みの波長をも対象とす
る再帰反射光学系の製造に有用なリソグラフ製法で製造できる。
“シート基板両面への表面レリーフパターンのロール間エンボス加工”
図8には連続移動するシート基板 800のロール間エンボス加工を図解した。
透明プラスチックホイルの形態を呈するシート基板を、それぞれの表面レリー
フパターンの硬質マスターホログラムを有する1対のエンボスロール801,802間
に導入し、このホイル両面に同時に1対の表面レリーフパターンをエンボスする
。
好ましい実施例ではエンボスロール801,802を半回転させることによって総エ
ンボスの50%だけを達成してロールを上昇させてシート基板から離脱させ、ライ
ンのずっと下流でエンボスロール803,804により、同様にして残り50%のエンボ
スを行う。表面レリーフパターンが互いに整合するようにロール805,806を介し
てエンボスマトリックスを調整することができる。
“位置ぎめ制御”
図9には透明ポリマーホイル 900に2列にエンボスした三角形 901−906 の形
態を呈する多数の位置マーカーを示してあり、三角形の垂直辺がポリマーホイル
のX−軸及びY−軸とそれぞれ一致するように三角形が配向されており;前記ホ
イルはX−軸の方向に移動する。
請求の範囲
1.a)放射源から入射する電磁放射線を受光し、焦点合わせする入射側透過
光学要素(201 ,301)と、
b)入射した電磁放射線を放射源にむかって反射させる反射光学要素(205 ,4
05)を含み;
前記反射光学要素を透過光学要素の有効焦点またはその近傍に配置し;両光学
要素間のスペースを必要に応じてスペーサ材(202)によって構成し;そして前記
光学要素(205,301,405)の少なくとも1つが回析光学要素である
少なくとも1つの再帰反射光学系(200,300,400)を含む再帰反射性シート材に
おいて、
入射側透過光学要素(201,301)への小さな及び大きな入射角の両方について、
前記反射光学要素(205,405)が前記入射電磁放射線を非正反射によって前記入
射側透過光学要素(201,301)を通して送り出す、
ことを特徴とする再帰反射性シート材。
9.入射側透過光学要素、反射光学要素、反射光学コーティングを有する回折
光学要素、反射光学コーティング、拡散反射光学要素及びスペーサ材の少なくと
も1つが単一または複数の色素を含有することを特徴とする請求の範囲第1項か
ら第8項までのいずれか1項に記載のシート材。
10.入射側透過光学要素の前面または反射光学要素の後面、またはこの双方を
保護材でコーティングしたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のシート材
。
11.少なくとも1つの再帰反射光学系を支持材に固定したことを特徴とする請
求の範囲第1項に記載のシート材。
12.入射側透過光学要素が1つの回折光学要素から成る請求の範囲第1−11項
に記載の少なくとも1つの再帰反射光学系を含む、再帰反射性シート材の製法に
おいて、
a)第1シート基板に入射側焦点合わせ透過回折光学要素を設け
b)第2シート基板に反射光学要素を設け;
c)前記反射光学要素が前記入射側焦点合わせ透過光学要素の有効焦点または
その近傍に位置するように第1シート基板を第2シート基板と接合し;そして
d)必要に応じて、入射側透過光学要素の前面、または反射光学要素の後面、
またはこの双方を保護材でコーティングする、
ステップから成る前記製法。
13.前記反射光学要素が反射回折光学要素であることを特徴とする請求の範囲
第12項に記載の方法。
14.前記反射光学要素が拡散反射光学要素であることを特徴とする請求の範囲
第12項に記載の方法。
15.入射側透過光学要素が1つの回折光学要素から成る請求の範囲第1〜11項
に記載の少なくとも1つの再帰反射光学系を含む再帰反射性シート材の製法にお
いて、
a)シート基板の第1面に入射側焦点合わせ透過回折光学要素を設け;
b)シート基板の反対面に反射光学要素を設け;
前記反射光学要素が入射側焦点合わせ透過回折光学要素の有効焦点またはその
近傍に位置するようにし;
c)必要に応じて、入射側透過光学要素の前面、または反射光学要素の後面、
またはこの双方を保護材でコーティングする、
ステップから成る前記製法。
16.前記反射光学要素が回折光学要素であることを特徴とする請求の範囲第15
項に記載の方法。
17.前記反射光学要素が拡散反射光学要素であることを特徴とする請求の範囲
第15項に記載の方法。
18.前記シート材の第1面及び反対面に入射側焦点合わせ透過回折光学要素及
び反射光学要素をそれぞれ同時に設けることを特徴とする請求の範囲第15−17項
のいずれか1項に記載の方法。
19.前記シート材の厚さが入射側焦点合わせ透過回折光学要素の有効焦点距離
にほぼ等しいことを特徴とする請求の範囲第15−18項のいずれか1項に記載の方
法。
20.入射側透過光学要素及び反射光学要素がシート材の両面に設けた複数の表
面レリーフ光学要素から成る請求の範囲第1−11項に記載の少なくとも1つの再
帰反射光学系を含むシート材の製法において、
a)入射側透過光学要素の表面レリーフ回折パターンを含む第1エンボスマト
リックス(801,803)を作成し;
b)反射光学要素の表面レリーフパターンを含む第2エンボスマトリックス(
802,804)を作成し;
c)これら1対の表面レリーフパターンを同時にまたは順次シート材の両面に
エンボスする、
ステップを含むことを特徴とする前記製法。
21.前記第2エンボスマトリックスの表面レリーフパターンが回折パターンで
あることを特徴とする請求の範囲第20項に記載の方法。
22.前記第2エンボスマトリックスの表面レリーフパターンが拡散反射パター
ンであることを特徴とする請求の範囲第20項に記載の方法。
23.前記エンボスステップが1対の表面レリーフパターンをシート基板の両面
に同時に熱加工エンボスするステップであることを特徴とする請求の範囲第20〜
22項のいずれか1項に記載の方法。
24.前記エンボスステップが連続的なロール間エンボス工程であることを特徴
とする請求の範囲第20〜23項のいずれか1項に記載の製法。
25.入射側透過光学要素も反射光学要素も表面レリーフ回折光学要素である請
求の範囲第24項に記載の方法において、エンボスステップがエンボスマトリック
スまたはシート基板、またはこの双方の位置を制御するステップを更に含むこと
を特徴とする前記方法。
26.前記位置制御が、
a)シート基板に位置マーカ(901−906)をエンボスし;
b)位置マーカの所定方向相対すれを測定し;
c)測定された位置マーカ相対ずれが所定限界を超えるときはエンボスマトリ
ックス(801〜804)またはシート基板(800)、またこの双方の位置を調整する、
ことを含む請求の範囲第25項に記載の方法。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM,
AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C
N,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE
,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,
LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW,N
L,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SI,SK,TJ,TT,UA,US,UZ,VN
(72)発明者 ステンスボルク,ヤン
デンマーク国,デーコー―1620 コペンハ
ーゲン ベー,エステー.,ベステルブロ
ガゼ 112