【発明の詳細な説明】
新規な置換ベンズイミダゾール
発明の分野
本発明は光学純度の高い新規な化合物、医薬におけるその使用、その製造方法
および薬学的調製物の製造におけるその使用に関する。本発明はまた、本発明の
化合物の製造における新規な中間体に関する。
発明の背景
化合物5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニ
ル)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾールおよび治療上許容される
その塩はEP 90 901 079.5に相当するUS-A5 008 278号に記載されている。この化
合物および治療上許容される塩は効果的な胃酸分泌抑制剤であり、抗潰瘍剤とし
て有用である。スルホキシドである化合物は、イオウ原子に不斉中心を有し、即
ち、2つの光学異性体(エナンチオマー)として存在する。進歩した治療特性を
示すような進歩した薬物動態および代謝特性を有する化合物を得ることが望まし
い。本発明は、そのような化合物を提供するものであり、それらは、5‐フルオ
ロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メチル〕スルフ
ィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾールの単一のエナンチオマーの新規な塩並びにこ
の化合物の中性形態の新規な単一のエナンチオマーである。
分析規模における置換ベンズイミダゾール、例えばオメプラゾール(5‐メト
キシ‐2‐〔〔(4‐メトキシ‐3,5−ジメチル‐2‐ピリジニル)メチル〕ス
ルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾール)のような治療的に活性のスルホキシド
のエナンチオマーの分離は、
例えばJ.Chromatography,532(1990),305-19に記載されている。スルホキシド
剤Ro 18-5364の単一のエナンチオマーの単離は、Euro.J.Biochem.166(1987
)453-459に記載されている。更に、製造規模におけるオメプラゾールのエナン
チオマーの分離はDE4 035 455に記載されている。後者は分離され、後に酸性溶
液中で加水分解されたジアステレオマーエーテルを用いることにより行なわれて
いる。連結された基の加水分解のために必要な酸性条件下では、活性化合物オメ
プラゾールは極めて反応しやすく、酸反応性化合物の分解を避けるためには塩基
により酸を急速に中和しなければならない。上記した特許出願においては、これ
は濃水酸化ナトリウム溶液に濃硫酸を含有する反応混合物を添加することにより
行われている。これは局所的にpH値が1〜6となり、化合物を破壊する危険性が
大きいため、不都合である。更に、即時に行う中和は発熱を伴い、大規模製造で
は取り扱いが困難である。
別の態様において本発明は大規模で本発明の新規な化合物を製造するための新
規な方法を提供する。即ち、この新規な方法は、中性形態並びに治療上許容され
る塩の形態で本発明の化合物の単一のエナンチオマーを得るために大規模で用い
ることができる。
本発明の新規な化合物はスルホキシドであり、中性pH並びに塩基
Chemica Scandinavica 43(1989)p536-547を参照されたい。意外にも我々は今
回5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メ
チル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾールの新規な単一のエナンチオマー
並びに治療上許容されるその塩がラセミ化に対して安定であることを発見した。
単離された、または、特徴が記述された、本発明の化合物の単一のエナンチオ
マーの知られた例は従来存在しない。更に我々は請求項に記載した単一のエナン
チオマーの単離された塩を記載した文献を知らない。
発明の詳細な説明
本発明は化合物IaおよびIb:
の5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メ
チル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾールの新規な単一のエナンチオマー
および治療上許容されるその塩を記載するものである。このような塩は、例えば
、上記した化合物の単一のエナンチオマーのNa+、Mg2+、Ca2+、Li+、K+およびN+
(R)4塩(Rは炭素原子1〜4個を有するアルキル基)、即ち、(+)‐5‐フルオ
ロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メチル〕スルフ
ィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾールおよび(−)‐5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐
シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベン
ズイミダゾール並びに単一のエナンチオマーのNa+、Mg2+、Ca2+、Li+、K+および
N+(R)4塩(Rは炭素原子1〜4個を有するアルキル基)である。
本発明の化合物の特に好ましい塩は、5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプ
ロピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダ
ゾールの単一のエナンチオマーのNa+、Mg2+およびCa2+塩である。
本発明の最も好ましい化合物は、化合物IIaおよびIIb:
の5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メ
チル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾールの光学的に純粋なNa+塩および
下記式IIIaおよびIIIb:
を有する前述の化合物の光学的に純粋なマグネシウム塩である。
「本発明の光学的に純粋な化合物」という表現は、それぞれ相当する(−)‐エ
ナンチオマーを実質的に含有しない上記化合物の(+)
‐エナンチオマーおよび相当する(+)‐エナンチオマーを実質的に含有しない(
−)‐エナンチオマーを指す。即ち、本発明のどの単一の化合物も高い光学純度
で得られる。単一のエナンチオマーを製造するための本発明の1つの態様による
新規な特定の方法により、本発明の化合物は容易に得られる。更に、上記したと
おり、新規な光学的に純粋な化合物は中性pH並びに塩基性pHでラセミ化に対して
安定である。前者の特徴は、この種のスルホキシド(オメプラゾール類縁体)の
中性pHでの分解反応の機序がアキラルの中間体を介した
等,Acta Chemica Scandinavica 43(1989)p536-547,特にp538参照)。アキラ
ル中間体からスルホキシドに戻るこのような可逆反応がラセミ生成物の形成の原
因であることは明らかである。更に、新規な光学的に純粋な化合物は塩基性pHで
ラセミ化に対して安定であり、このことはピリジン環とキラルイオウ原子との間
の炭素原子における既知の脱プロトン化がアルカリ条件下ではラセミ化の原因と
なることが予測されることを考慮すると、意外であった。中性pHと塩基性pHの両
方においてこのようにラセミ化に対して高い安定性を有することにより、中性形
態並びに塩の形態で本発明の単一のエナンチオマー化合物を治療に用いることが
可能になるのである。
本発明の化合物の単一のエナンチオマーの特定の製造方法は、上記したとおり
本発明の更に別の態様であり、これを用いることにより、中性形態並びにその塩
の形態で単一のエナンチオマー化合物を得ることができる。
本発明の単一のエナンチオマー化合物並びにラセミ体は極めて高い生物利用性
を示し、これらの化合物はなお、胃酸分泌抑制剤とし
て極めて効果的であり、中性pHの溶液中で高い化学安定性を示す。
本発明の化合物は哺乳類および人間において、胃酸分泌を抑制するために用い
てよい。より一般的な意味において、本発明の単一のエナンチオマー化合物は、
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎および胃炎のような、哺乳類および人間に
おける、胃酸関連疾患および胃腸炎症性疾患の治療のために用いてよい。更に化
合物は抗胃酸分泌作用が望ましいような胃腸障害の治療のために、例えばNSAID
療法患者、ガストリノーマ患者、急性上部胃腸出血患者で用いてよい。これらは
また、集中治療状況下の患者、および術前術後の患者において酸吸引とストレス
性潰瘍を防止するために用いてよい。更に、本発明の化合物はヒトを含む哺乳類
の炎症症状、特にリゾチーム酵素の関与する症状の治療または予防のために用い
てよい。特に例示される症状は慢性関節リューマチと痛風である。本発明の化合
物はまた、乾癬の治療並びにヘリコバクター感染症の治療にも有用である。
更に別の本発明の態様は、式IVの部分異性体混合物のジアステレオマー混合物
であり、これはベンズイミダゾール部分のフルオロ置換基が5位または6位に存
在するような特定の製造方法において用いる中間体である。
製造
本発明の光学的に純粋な化合物、即ち単一のエナンチオマーは、以下の種類、
5‐および6‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジ
ニル)メチル〕‐(R/S)‐スルフィニル〕‐1‐〔(R)‐アシルオキシメチル〕
‐1H‐ベンズイミダゾール、即ち下記式V:
〔式中ベンズイミダゾール部分のフルオロ置換基は5位または6位に存在し、Ac
yl基は以下に定義するものである〕の化合物の部分異性体混合物のジアステレオ
マー混合物の立体異性体を分離し、その後、アルカリ溶液中で分離されたジアス
テレオマー各々をソルボリシスに付すことにより製造する。次に、形成された中
性形態の本発明の単一のエナンチオマー化合物を、酸またはメチルホルメートの
ようなエステルであることのできる中和剤を用いて上記化合物の塩の水溶液を中
和することにより単離する。
ジアステレオマーエステルのAcyl部はマンデロイルのようなキラルアシル基で
あってよく、キラルアシル基の不斉中心はR型およびS型のいずれであることも
できる。
ジアステレオマーエステルはクロマトグラフィーまたは分別結晶の何れかによ
り分離できる。
ソルボリシスは通常はアルコールまたは水のようなプロトン性溶媒中の塩基と
ともに;またはアセトニトリルおよび水の混合物中の塩基とともに行うが、アシ
ル基はまたジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドのような非プロト
ン性溶媒中の塩基により加水分解除去してもよい。反応塩基はOH-またはR1がア
ルキルまたはアリール基であるR1O-であることができる。
光学的に純粋な本発明のNa+塩、即ち、本発明の単一のエナンチオマー化合物
のNa+塩を得るためには、中性形態で形成された化合物を水性または非水性媒体
中の水酸化ナトリウムまたは、R2が炭素原子1〜4個を有するNaOR2またはNaNH2
のような塩基で処理する。カチオンがLi+またはK+であるようなアルカリ塩もま
た、上記した塩基のリチウムまたはカリウム塩を用いることにより製造してよい
。Na+塩の単一のエナンチオマーの結晶形態を得るためには、Na+塩の光学的に純
粋な不定形の粉末に2‐ブタノンおよびトルエンの混合物を添加する。Na+塩の
単一のエナンチオマーの結晶形態はまた、中性形態の本発明の単一のエナンチオ
マー化合物と、2‐ブタノンおよびトルエンの混合物のような非水性媒体との混
合物に水酸化ナトリウムを添加することによって製造してもよい。
光学的に純粋な本発明のMg2+塩を得るためには、中性形態の本発明の光学的に
純粋な化合物を、アルコール(アルコレートの場合のみ)、例えばROHのような非
水性溶媒中、またはテトラヒドロフランのようなエーテル中で、R3が炭素原子1
〜4個を有するアルキル基であるMg(OR3)2のような塩基で処理する。光学的に純
粋なMg2+塩はまた、MgCl2のような無機マグネシウム塩の水溶液でナトリウム塩
として本発明の単一のエナンチオマー化合物を処理し、その後、
Mg2+塩を沈殿させることにより製造してよい。同様の方法でカチオンがCa2+であ
るようなアルカリ塩もCaCl2のような無機カルシウム塩の水溶液を用いて製造で
きる。
本発明の単一のエナンチオマーのアルカリ塩は、上記したとおり、ナトリウム
塩(化合物IIaおよびIIb)およびマグネシウム塩(化合物IIIaおよびIIIb)の他は
、Li+、K+、Ca2+およびRが炭素原子1〜4個を有するアルキル基であるようなN+
(R)4との塩を例として挙げることができる。
臨床使用のためには本発明の単一のエナンチオマー、即ち光学的に純粋な化合
物を経口、直腸、非経腸またはその他の投与方法のための薬学的製剤に調製する
。薬学的製剤は、薬学的に許容される担体と通常は組み合わせて本発明の単一の
エナンチオマーを含有する。担体は固体、半固体または液体希釈剤またはカプセ
ルの形態であってよい。これらの薬学的製剤は本発明の更に別の目的である。通
常は活性化合物の量は製剤の0.1〜95重量%、非経腸用途の場合は0.2〜20重量%
、そして、経口投与用製剤では1〜50重量%である。水に対する溶解度の高い形
態の活性化合物が非経腸製剤のためには望まれ、一部の経口投与用製剤の場合は
、低い溶解度の形態の活性化合物が適している。
経口投与のための投与単位の形態の薬学的製剤の調製においては、純粋なエナ
ンチオマー化合物を、固体、粉末の担体、例えば乳糖、サッカロース、ソルビト
ール、マンニトール、殿粉、アミロペクチン、セルロース誘導体、ゼラチンまた
はその他の適当な担体、安定化物質、例えばアルカリ化合物、例えばナトリウム
、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の炭酸塩、水酸化物および酸化物、並
び
に滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ナトリ
ウムステアリルフマレートおよびポリエチレングリコールワックスと混合してよ
い。次に混合物を加工して顆粒化するか、または圧縮成形して錠剤とする。顆粒
および錠剤は、投与形態が胃内に留まる間酸触媒分解から活性成分を保護するよ
うな腸溶性コーティングでコートしてよい。腸溶性コーティングは薬学的に許容
される腸溶性コーティング物質、例えば蜜蝋、シェラックまたはアニオン性フィ
ルム形成重合体などから選択し、好ましい場合は、適当な可塑剤と組み合わせる
。異なる量の活性成分を含有する錠剤や顆粒を判別するために、コーティングに
は、種々の染料を添加してよい。
ソフトゼラチンカプセルは活性化合物、植物性油、脂肪またはその他の適当な
ゼラチンカプセル用ビヒクルの混合物を含有するカプセルを用いて調製してよい
。ソフトゼラチンカプセルは上記したような腸溶性のコーティングをしてもよい
。
ハードゼラチンカプセルは活性化合物の顆粒または腸溶性コーティング顆粒を
含有してよい。ハードゼラチンカプセルはまた、乳糖、サッカロース、ソルビト
ール、マンニトール、ポテトスターチ、アミロペクチン、セルロース誘導体また
はゼラチンのような固体粉末担体と組み合わせて活性化合物を含有してよい。カ
プセルはまた前記した腸溶性のコーティングをしてよい。
直腸投与のための投与単位は、中性脂肪基剤と混合した活性物質を含有する坐
薬の形態で調製してよく、また、植物性油、パラフィン油またはその他のゼラチ
ン直腸カプセルのための適当なビヒクルとの混合物として活性物質を含有するゼ
ラチン直腸カプセルの形態
で調製してよく、また、調製済みのミクロ浣腸の形態で調製してもよく、また投
与直前に適当な溶媒で溶解調製するための乾燥ミクロ浣腸製剤の形態で調製して
もよい。
経口投与のための液体製剤は、シロップまたは懸濁液、例えば、活性成分0.2
〜20重量%を含有し、残りの部分は糖または糖アルコールおよびエタノール、水
、グリセロール、プロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコール
の混合物よりなるような溶液または懸濁液の形態で調製してよい。所望により、
このような液体製剤は、着色料、着香剤、サッカリンおよびカルボキシメチルセ
ルロースまたはその他の増粘剤を含有してよい。経口投与のための液体製剤はま
た、使用前に適当な溶媒で溶解調製する乾燥粉末の形態で調製してもよい。
非経腸投与のための溶液は、好ましくは0.1〜10重量%の濃度で、薬学的に許
容される溶媒中の本発明の光学的に純粋な化合物の溶液として調製してよい。こ
れらの溶液はまた、安定化剤および/または緩衝剤を含有してよく、そして異な
る単位用量アンプルまたはバイアル中に製造してよい。非経腸投与のための溶液
はまた、使用直前に適当な溶媒で溶解調製する乾燥製剤として調製してもよい。
活性化合物の典型的な一日当たり用量は各患者の個人的要求量、投与経路およ
び疾患などのような種々の要因に応じて変化する。一般的に、経口および非経腸
用量は、活性物質5〜500mg/日の範囲である。
以下に示す実施例により本発明を説明する。
実施例1
(+)‐5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2
‐ピリジニル)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾールの製造
2つの部分異性体マンデル酸エステル、即ち、5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐
シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メチル〕‐(R/S)‐スルフィニル
〕‐1‐〔(R)‐マンデロイルオキシメチル〕‐1H‐ベンズイミダゾールおよび
6‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メチ
ル〕‐(R/S)‐スルフィニル〕‐1‐〔(R)‐マンデロイルオキシメチル〕‐1H‐
ベンズイミダゾールの混合物のジアステレオマー粗生成物(5.0g、9.8ミリモル)
を5分割し、ジアステレオマーを分離するために各々を逆相カラム上でクロマト
グラフィー(HPLC,Kromasil C8)に付した。立体異性体は水性0.1M酢酸アンモニ
ウムおよびアセトニトリルの混合物(67.5/32.5)で溶離することにより容易に
分離した。しかしながら、各々の分離したジアステレオマーは2種類の部分異性
体の混合物よりなるものであった。これらの中間体は加水分解段階でその溶液と
して直接用いた。より親油性の高いジアステレオマーのアセトニトリル/水溶液
に、pHがおよそ12〜13となるまで、水酸化ナトリウムの1M水溶液を添加した。
5分後、溶液を塩化アンモニウムの3.0M水溶液で中和し、その後、各調製で得
られた溶液を合わせて塩化メチレンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾
燥し、膜蒸発により溶媒を除去した。アセトニトリル30mlを添加することにより
、生成物が結晶化し、濾過した後、白色結晶として標題化合物260mg(16%)を得
た。融点152〜154℃。キラルカラムクロマトグラフィーで分析した光学純度(e.
e.)は、99.2%であった。〔α〕20 D=+208.6°(c=0.5%、クロロホルム)。N
MRデータは後に
示す。
実施例2
(−)‐5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニ
ル)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾールの製造
5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メ
チル〕‐(R/S)‐スルフィニル〕‐1‐〔(R)‐マンデロイルオキシメチル〕‐1H
‐ベンズイミダゾールおよび6‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメト
キシ‐2‐ピリジニル)メチル〕‐(R/S)‐スルフィニル〕‐1‐〔(R)‐マンデ
ロイルオキシメチル〕‐1H‐ベンズイミダゾールの親油性の低いジアステレオマ
ーのアセトニトリル/水溶液(実施例1に記載した逆相クロマトグラフィー調製
と同様にして得たもの)に、pHがおよそ12〜13になるまで1.0M水酸化ナトリウ
ムを添加した。5分後、溶液を塩化アンモニウムの3.0M水溶液で中和した。各
調製で得られた溶液を合わせて塩化メチレンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウ
ム上で乾燥し、膜蒸発により溶媒を除去した。アセトニトリル50mlを添加するこ
とにより、生成物が結晶化し、濾過した後、白色結晶として標題化合物460mg(28
%)を得た。融点152〜154℃。キラルカラムクロマトグラフィーで分析した光学
純度(e.e.)は、99.0%であった。〔α〕20 D=−208.7°(c=0.5%、クロロホル
ム)。NMRデータは後に示す。
実施例3
凍結乾燥(+)‐5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピ
リジニル)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾールナトリウム塩の製
造
(−)‐5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニ
ル)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾール(100mg、0.29ミリモル
)の塩化メチレン溶液(5ml)に、0.2M水酸化ナトリウム水溶液(1.4ml、0.28
ミリモル)を添加した。混合物を30分間撹拌し、次に層を分離した。水層を凍結
乾燥することにより、不定形の白色粉末として生成物83mg(78%)を得た。〔α〕20 D
=+47.2°(c=1.0%、水)。NMRデータは後に示す。
実施例4
結晶形態の(+)‐5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐
ピリジニル)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾールナトリウム塩の
製造
実施例3で製造した凍結乾燥(+)‐5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロ
ピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾ
ールナトリウム塩(61mg)を2‐ブタノン(1ml)に溶解した。トルエン(2ml
)を撹拌しながらゆっくり添加し、白色結晶を析出させた。生成物を濾過し、少
量のジエチルエーテルで洗浄した。結晶生成物として標題化合物50mg(82%)を
得た。融点(分解)230〜240℃。NMRデータは後に示す。
実施例5
凍結乾燥(−)‐5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピ
リジニル)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾールナトリウム塩の製
造
(+)‐5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニ
ル)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾール(100mg、0.29ミリモル
)の塩化メチレン溶液(5ml)に、0.2M
水酸化ナトリウム水溶液(1.4ml、0.28ミリモル)を添加した。混合物を30分間撹
拌し、次に層を分離した。水層を凍結乾燥することにより、白色の不定形粉末と
して生成物89mg(84%)を得た。〔α〕20 D=−46.4°(c=1.0%、水)。NMRデ
ータは後に示す。
実施例6
結晶形態の(−)‐5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐
ピリジニル)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾールナトリウム塩の
製造
実施例5で製造した凍結乾燥(−)‐5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロ
ピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾ
ールナトリウム塩(75mg)を2‐ブタノン(1ml)に溶解した。トルエン(2ml
)を撹拌しながらゆっくり添加し、白色結晶を析出させた。生成物を濾過し、少
量のジエチルエーテルで洗浄した。結晶生成物として標題化合物60mg(82%)を
得た。融点(分解)230〜240℃。NMRデータは後に示す。
実施例7
(+)‐5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル
)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾールマグネシウム塩の製造
マグネシウム(7.1mg、0.29ミリモル)を溶解し、触媒量の塩化メチレンと共に4
0℃でメタノールと反応させた。反応は窒素下に行ない、2時間後に終了した。
マグネシウムメトキシド溶液が室温にまで冷却された後に(+)‐5‐フルオロ‐
2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メチル〕スルフィニ
ル〕‐1H‐ベンズイミダゾール(200mg、0.58ミリモル)を添加した。混合物を2
時間撹拌した後、少量の水(0.05ml)を添加した。更に1時間撹拌した後、少量
の無機塩を濾過した。2mlとなるまで溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し
た。冷却し、撹拌しながら、水を滴下添加し、これにより生成物を沈殿させた。
濾過後、生成物を少量の水で洗浄し、次に真空下に乾燥した。白色粉末として標
題化合物97mg(47%)を得た。〔α〕20 D=+191.3°(c=1.0%、DMSO)。
実施例8
(−)‐5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル
)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾールマグネシウム塩の製造
マグネシウム(7.1mg、0.29ミリモル)を溶解し、触媒量の塩化メチレンと共に4
0℃でメタノールと反応させた。反応は窒素下に行ない、2時間後に終了した。
マグネシウムメトキシド溶液が室温にまで冷却された後に(−)‐5‐フルオロ‐
2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メチル〕スルフィニ
ル〕‐1H‐ベンズイミダゾール(200mg、0.58ミリモル)を添加した。混合物を2
時間撹拌した後、少量の水(0.05ml)を添加した。更に1時間撹拌した後、少量
の無機塩を濾過した。2mlとなるまで溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し
た。冷却し、撹拌しながら、水を滴下添加し、これにより生成物を沈殿させた。
濾過後、生成物を少量の水で洗浄し、次に真空下に乾燥した。白色粉末として標
題化合物84mg(41%)を得た。旋光度は(−)として測定された。化合物を多くの
溶媒に溶解することが困難であったため、旋光度の代表的値は得られなかった。
本発明による合成中間体の製造は以下の実施例に記載する。
実施例9
5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メチ
ル〕‐(R/S)‐スルフィニル〕‐1‐〔(R)‐マンデロイルオキシメチル〕‐1H‐
ベンズイミダゾールおよび6‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキ
シ‐2‐ピリジニル)メチル〕‐(R/S)‐スルフィニル〕‐1‐〔(R)‐マンデロ
イルオキシメチル〕‐1H‐ベンズイミダゾールの製造
水8ml中の水酸化ナトリウム1.6g(40ミリモル)の溶液を硫酸水素テトラブチル
アンモニウム6.8g(20ミリモル)および(R)‐(−)‐マンデル酸3.0g(20ミリモル
)の混合物に添加した。クロロホルム(200ml)および5‐フルオロ‐2‐〔〔(
4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メチル〕‐スルフィニル〕‐1
‐(クロロメチル)‐1H‐ベンズイミダゾールおよび6‐フルオロ‐2‐〔〔(
4‐シクロプロピルメトキシ‐2‐ピリジニル)メチル〕スルフィニル〕‐1‐
(クロロメチル)‐1H‐ベンズイミダゾールの混合物(ラセミ体として)を添加
し、混合物を1時間還流した。反応混合物を冷却し、次に酢酸エチルと水との間
に分配した。層を分離させ、有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥した
。溶媒を除去し、2種類の部分異性体マンデル酸エステルのジアステレオマー混
合物を得た。粗生成物をクロマトグラフィー段階に直接用い、ジアステレオマー
を分離した(実施例1および2)。収量:9.2g、88%。NMRデータを以下に示す
。
現時点で知られている本発明を実施するための最良の様式は、本発明の光学的
に純粋な化合物のマグネシウム塩、即ち、実施例7および8の化合物を用いる方
法である。
活性成分として本発明の化合物を含有する薬学的調製物を以下の製剤において
説明する。
シロップ
活性物質1%(w/v)を含有するシロップを以下の成分から調製した。
実施例4の化合物 1.0g
粉糖 30.0g
サッカリン 0.6g
グリセロール 5.0g
着香剤 0.05g
エタノール96% 5.0g
蒸留水 最終液量を100mlとする量
糖とサッカリンを温水60gに溶解した。冷却後、活性化合物を糖溶液に添加し
、グリセロールおよびエタノール中に溶解した着香剤の溶液を添加した。混合物
を水で希釈し、最終液量100mlとした。
腸溶性コーティング錠剤
活性化合物50mgを含有する腸溶性コーティング錠剤を以下の成分から調製した
。
I.実施例7の化合物 500g
乳糖 700g
メチルセルロース 6g
架橋ポリビニルピロリドン 50g
ステアリン酸マグネシウム 15g
炭酸ナトリウム 6g
蒸留水 十分量
II.セルロースアセテートフタレート 200g
セチルアルコール 15g
イソプロパノール 2000g
塩化メチレン 2000g
I.実施例7の化合物の粉末を乳糖と混合し、メチルセルロースおよび炭酸ナト
リウムの水溶液と共に顆粒化した。湿潤した塊を強制的にふるいを通過させ、オ
ーブン中で顆粒を乾燥させた。乾燥後、顆粒をポリビニルピロリドンおよびステ
アリン酸マグネシウムと混合した。乾燥混合物を直径7mmのパンチを用いて錠剤
成形機中で各錠が活性物質50mgを含有するように圧縮成形して錠剤コア(10000錠
)とした。
II.イソプロパノール/塩化メチレン中のセルロースアセテートフタレートおよ
びセチルアルコールの溶液をAccela CotaR,Manestyコーティング装置で錠剤I
に噴霧した。最終錠剤重量は110mgとなった。
静脈内投与用の溶液
活性化合物4mg/mlを含有する静脈内投与用の非経腸製剤を以下の成分から調
製した。
実施例6の化合物 4mg
滅菌水 最終液量を1000mlとする量
活性化合物を水に溶解し、最終液量を1000mlとした。溶液を0.22μmフィルタ
ーで濾過し、即座に10ml容の滅菌アンプルに分注した。アンプルを密封した。
カプセル
活性化合物30mgを含有するカプセルを以下の成分から調製した。
実施例4の化合物 300mg
乳糖 700g
微結晶セルロース 40g
低置換ヒドロキシプロピルセルロース 62g
リン酸水素二ナトリウム 2g
精製水 十分量
活性化合物を乾燥成分と混合し、リン酸水素二ナトリウム溶液と共に顆粒化し
た。湿潤した塊を強制的に押出し機に通し、球状化し、流動床乾燥機中で乾燥し
た。
上記したペレット500gをまず流動床コーティング装置を用いて水750g中のヒド
ロキシプロピルメチルセルロース30gの溶液でコートした。乾燥後、ペレットを
下記の第2のコーティングでコートした。
コーティング溶液:
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート 70g
セチルアルコール 4g
アセトン 200g
エタノール 600g
最終コーティングペレットをカプセルに充填した。
坐薬
溶接方法を用いて下記の成分から坐薬を調製した。各坐薬は活性化合物を40mg
含有するようにした。
実施例4の化合物 4g
Witepsol H-15 180g
活性化合物を41℃でWitepsol H-15と均質に混合した。溶融した塊を正味重量1
.84gとなるように調製済みの坐薬パッケージに充填した。冷却後、パッケージを
ヒートシールした。各坐薬は活性化合物40mgを含有するようにした。
種々のpH値におけるラセミ化への安定性
ラセミ化に対する本発明の光学的に純粋な化合物の安定性をpH7およびp11で
水性緩衝溶液中37℃で低濃度(10-5M)で測定した。立体化学安定性は、溶解直
後と数時間後の緩衝液中の5‐フルオロ‐2‐〔〔(4‐シクロプロピルメトキ
シ‐2‐ピリジニル)メチル〕スルフィニル〕‐1H‐ベンズイミダゾールの(+)
‐異性体の光学純度を比較することにより測定した。本発明の化合物の中性並び
にアルカリ性条件での意外なほど高い立体化学安定性が28時間後においてさえpH
7およびpH11の何れにおいても被験化合物のラセミ化が起こらなかったことによ
り裏付けられた。しかしながらpH7では、化合物の化学分解は28時間後にはより
明確であった。
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(72)発明者 ヴオン・ウンゲ,ペル・オスカル・スヴエ
ルケル
スウエーデン国エス―430 33 フイエロ
ース.アルヴエイエン4