【発明の詳細な説明】
3段階プレターゲティング方法及び化合物技術的分野
本発明は、リガンド/アンチリガンド対の一方に結合しているターゲティング
(標的指向)部分をターゲット(標的)部位にデリバリーするために有用な方法
、化合物、組成物及びキットに関する。ターゲティング部分抱合体の局在化(ロ
ーカリゼーション)及びクリアランス後に、診断薬抱合体または治療薬抱合体を
直接または間接にターゲット部位に結合させる。ビオチン並びに関連化合物を、
放射性金属で標識する方法及び放射性ハロゲン化する改良された方法も開示され
る。発明の概要
本発明は、3段階プレターゲティング診断及び治療方法について記載するもの
である。3段階プレターゲティングプロトコルは、ターゲティング部分−リガン
ド抱合体を投与し、それをターゲット部位に局在化させ、循環中では希釈するこ
とを特徴とする。後に投与されるアンチリガンドは、血液中及びターゲット部位
の両方でターゲット部分−リガンド抱合体に結合し、血中から結合していない抗
体−リガンド抱合体をクリアする。迅速な全身からのクリアランスを示す診断ま
たは治療薬−リガンド抱合体を次に投与し、ターゲット部位に局在化されたター
ゲティング部分−リガンド−アンチリガンドに結合させ、これによりプロトコル
における第3のターゲット部位局在化成分が構成される。
本発明の好ましい3段階プレターゲティング方法は、ビオチン/アビジンをリ
ガンド/アンチ−リガンド結合対として用いる。これらの好ましい3段階プレタ
ーゲティング方法は、治療または診断用放射性核種または化学療法薬のようなそ
の他の活性薬剤、サイトカインのような抗腫瘍剤等に結合されたビオチンの投与
を含む。Y-90-DOTA-ビオチン抱合体が本発明の実施に特に好ましい。図面の簡単な説明
図1はアビジンの静脈内投与後のビオチン化抗体の血中クリアランスを示す。
図2は、3段階プレターゲティングプロトコルにおける放射性レニウムの腫瘍
内取込みを、放射性標識抗体の投与(従来から使用されているキレート化放射性
レニウムに共有結合した抗体)と比較して示す。発明の詳細な説明
本発明を説明する前に、本文中で使用したいくつかの用語を定義しておくのが
有用であろう。
ターゲティング部分:所定の細胞集団に結合する分子。ターゲティング部分は
、レセプター、酵素基質、抗原決定基、またはターゲット細胞集団上に存在する
他の結合部位に結合し得る。本明細書の記載ではターゲティング部分の典型例と
して抗体を使用している。
リガンド/アンチリガンド対:一般に比較的高い親和性の特異的結合を示す相
補性/アンチ相補性分子対。典型的なリガンド/アンチリガンド対としては、ジン
クフィンガータンパク質/dsDNAフラグメント、酵素/阻害物質、ハプテン/抗体、
リガンド/レセプター、及びビオチン/アビジンがある。本明細書の記載ではリガ
ンド/アンチリガンド対の典型例としてビオチン/アビジンを使用している。
アンチリガンド:本文中に定義された「アンチリガンド」は、相補性リガンド
と高親和性結合、好ましくは多価結合する分子を意味する。急激な腎クリアラン
スを防止するようにアンチリガンドが十分に大きく、また、ターゲティング部分
-リガンド抱合体の架橋及び凝集を得るために十分な高価数のものが好ましいが
、一価のアンチリガンドも本発明には有用である。
アビジン:本文中で定義された「アビジン」なる用語は、アビジン、ストレプ
トアビジン、または、ビオチンと高親和性の多価結合または一価結合を生じ得る
その誘導体もしくは類似体を包含する。
リガンド:本文中で定義された「リガンド」なる用語は、動物またはヒトに静
脈内投与されたとき迅速な血清、血中及び/または全身クリアランスを示す比較
的小さい可溶性分子を意味する。
活性薬剤:放射性核種、薬物、抗腫瘍剤、毒素などのような診断薬または治療
薬(「ペイロード」)。
NxSyキレート:本文中で定義された「NxSyキレート」なる用語は、(i)金属
または放射性金属と配位結合することができ、且つ、(ii)ターゲティング部分
に共有結合し得る二官能キレート化剤を意味する。特に好ましいNxSyキレートは
N2S2及びN3Sコアを有している。代表的なNxSyキレートは、例えばFritzberg et
al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:4024-29,1988;Weber et al.,Bioconj.Ch em.
1:431-37,1990;及びこれらの引用文献に記載されている。
プレターゲティング:本文中で定義されたプレターゲティングなる用語は、リ
ガンド/アンチリガンド対の一方に結合したターゲティング部分をターゲット部
位に局在化させることを意味する。このターゲティング部分抱合体の最適のター
ゲット対非ターゲット蓄積比が生じる十分な時間が経過した後、リガンド/アン
チリガンド対の他方に結合した活性薬剤を投与し、ターゲット部位においてター
ゲティング部分抱合体に(直接または間接的に)結合させる(2段階プレターゲ
ティング)。本発明によれば3段階プレターゲティングプロトコルも提供され、
これは例えばターゲティング部分−リガンドを投与し、アンチリガンドを投与し
て循環しているターゲティング部分−リガンドをクリアし、その前にターゲット
に局在化させたターゲティング部分リガンドに局在化させ、活性薬剤−リガンド
を投与することを含む。
抱合体:抱合体は、化学的抱合体(共有結合または非共有結合)、融合タンパ
ク質などを包含する。
造影または治療のためのターゲティング部分一放射性同位元素抱合体のin viv o
投与に関して判明した欠点は、結合させた放射性薬剤が非ターゲット部位及び
ターゲット部位の双方に局在化することである。投与された放射性標識抱合体が
循環からクリアされるまでに、正常な器官及び組織が結合させた放射性物質によ
って一時的に被曝される。例えば、in vivoで投与された放射性標識完全抗体は
、比較的緩慢な血中クリアランスを示す。最大のターゲット部位局在化は通常は
投与の1〜3日後に生じる。概して、抱合体の血中クリアランス時間が長い程、
非ターゲット器官の放射能被曝が大きい。
これらの特性はヒトの放射線免疫療法で特に問題となる。ヒトの臨床試験では
、
完全抗体に結合した放射性同位元素の循環半減期が長いと、全身にデリバリーさ
れる放射線量が比較的大きくなる。特に、極めて放射線感受性の高い骨髄は非特
異的毒性の用量制限器官である。
非ターゲット組織の放射性同位元素被曝を少なくするために、可能性のあるタ
ーゲティング部分を広くスクリーニングして、非ターゲット反応性が最小であり
しかもターゲット特異性及び反応性を維持しているものを同定した。非ターゲッ
トの被曝(及び非ターゲットへの局在化及び/または毒性などの副作用)を抑制
することによって、放射線治療用抱合体の投与量を増加し得る。さらに、放射線
診断用抱合体の非ターゲット蓄積が減少するのでバックグラウンドとターゲット
とのコントラストが向上する。
単独で投与されるかまたはターゲティング部分との抱合体として投与される治
療薬も同様の欠点を有している。この場合にも目的は、(非ターゲット組織の被
曝に起因する)正常器官の毒性を許容可能限界値未満に維持しながら、(ターゲ
ット組織を最大に照射する)最大可能濃度の薬剤を投与することである。しかし
ながら、放射性同位元素と違って治療薬は、細胞毒性効果を発揮するためにはタ
ーゲット細胞に取込まれなければならない。ターゲティング部分-治療薬抱合体
の場合、比較的ターゲット特異的なターゲティング部分と、ターゲティング部分
-薬剤抱合体のターゲット細胞内インターナリゼーションを増進させる手段とを
組み合わせるのが有利であろう。
これに対し、診断薬-ターゲティング部分抱合体を投与する場合には、ターゲ
ット細胞内インターナリゼーションの増進は好ましくない。診断用抱合体のイン
ターナリゼーションにより、抱合体の細胞性異化及び分解が生じる。このような
分解が生じると、診断薬の小さい付加化合物または診断薬自体が細胞から放出さ
れ、従って、ターゲット特異的に抱合体を検出する能力が失われる。
非ターゲット組織の診断薬または治療薬への曝露を減少させる1つの方法は、
ターゲティング部分をターゲット部位に「プレターゲティング」し、次いで、タ
ーゲット部位に「プレターゲッティングされた」ターゲティング部分に結合し得
るクリアランスの速い診断薬または治療薬抱合体を投与することである。いくつ
かのプレターゲティング方法の実施態様が米国特許第4,863,713号(Goodwin et
al.)に記載されている。
代表的なプレターゲティング方法(「3段階」)を以下に概略的に示す。
簡単にいうと、この3段階プレターゲティングプロトコルは、ターゲット部位
に局在化させ循環中では希釈されることが可能な抗体-リガンド抱合体を投与す
ることを特徴とする。その後に投与されるアンチリガンドが抗体-リガンド抱合
体に結合し、未結合の抗体-リガンド抱合体を血中からクリアする。好ましいア
ンチリガンドは、循環する抗体-リガンド抱合体の架橋及び凝集が得られるよう
に十分に大きくまた十分に高い価数を有する。アンチリガンドによるクリアリン
グはおそらく、血液中に循環する抗体-リガンド抱合体がアンチリガンドと架橋
及び/または凝集し、その結果としてレシピエントのRESによる複合体/凝集物ク
リアランスが生じるためであろう。リガンド-アンチリガンド対が比較的高親和
性の結合を示すことが好ましい。
次に、迅速な全身クリアランスを示す診断薬-または治療薬-リガンド抱合体を
投与する。循環によって活性薬剤-リガンド抱合体がターゲット細胞結合抗体-リ
ガンド-アンチリガンド複合体の近傍に運ばれると、アンチリガンドが循環中の
活性薬剤-リガンド抱合体に結合し、ターゲット部位に抗体-リガンド:アンチリ
ガンド:リガンド-活性薬剤の「サンドイッチ」を生じさせる。診断薬または治
療薬は、(抗体、抗体フラグメントまたは他の緩慢にクリアされるターゲティン
グ部分よりも)迅速にクリアされるリガンドに結合しているので、この方法では
非ターゲットの活性薬剤に対する暴露が抑制される。
代替的なプレターゲティング方法では、アンチリガンドクリアリング剤の非経
口投与段階が削除される。これらの「2段階」手順は、ターゲティング部分-リ
ガンドまたはターゲティング部分-アンチリガンドを投与し、次いでリガンド-ア
ンチリガンド対の他方と抱合体を形成している活性薬剤を投与することを特徴と
する。
本発明により、テクネチウム-99m、レニウム-186及びレニウム-188によりビオ
チンを放射性標識する方法が提供される。従来のビオチン誘導体は、プレターゲ
ティングされたイムノシンチグラフィーで使用するためにインジウム-111で放射
性標識されていた(例えばVirzi et al.,Nucl.Med.Biol. 18:719-26;Kalofono
s et al.,J.Nucl.Med.31:1791-96,1990;Paganelli et al.,Canc.Res. 51:5
960-66,1991)。しかしながら、99mTcは、(i)廉価であること、(ii)供給の
便がよいこと、及び(iii)有利な核特性により特に好ましいイムノシンチグラ
フィー用放射性核種である。レニウム-186は99mTcに極めて類似した
キレート化学を示し、優れた治療用放射性核種であると考えられている(即ち、
半減期3.7日及び131Iと同様の1.07MeV最大粒子)。従って、請求の範囲に記載さ
れたビオチンのテクネチウム及びレニウムによる放射性標識方法は多数の利点を
与えるものである。
本発明はまた、イットリウム-90、ルテチウム-177、サマリウム-153及びその
他の適当な+3金属により放射活性標識することにも関する。Y-90は、高い比活性
、組織中の放射能蓄積についての長い行路長、高い平衡線量定数及び好ましい半
減期特性を含む好ましい核特性を示すため、ベータ粒子を放射する特に好ましい
治療用放射性核種である。より具体的には、Y-90のベータ放射(βav=0.937MeV
)は、全てのベータエミッタの中で最もエネルギーの高いものの一つである。Y-
90のX90値は5.34mmである(即ち、点源から放射されたエネルギーの90%は、半径
5.34mmの球範囲内で吸収される)。Y-90は、高い平衡線量定数または平均エネル
ギー/核遷移、Δ=1.99Rad-g/マイクロキュリー-時間、及びターゲット療法に
適した64時間の半減期を持つ。Y-90は高い比活性で製造することができ、発生生
成物として利用することができる。Y-90に特有な利点は、(1)プレターゲティン
グされたターゲティング部分−リガンドまたはターゲティング部分−アンチリガ
ンド抱合体により、直接ターゲットされていない隣接したターゲット細胞を殺す
能力を有し、(2)(十分に大きなターゲット容量が利用できることを前提として
)より低い平均粒子エネルギーを有する他のベータエミッタよりも、局在化させ
た放射性物質のマイクロキューリー当たりさらに多い放射能が蓄積することであ
る。
Lu-177は、適度なエネルギーのベータ放射(βav=0.140MeV)を有し;高い比
活性で利用でき;その放射化学生成が効率的であり;画像形成に理想的なエネル
ギーで、十分な二種類のガンマー線を放射し(208keV,11%及び113keV,7%);比
較的長い半減期(161時間)を持つことから、ターゲティングされた核の療法で
特に好ましい放射性核種である。Lu-177のX90は0.31mm、すなわち、点源から放
射されたエネルギーの90%が半径0.31mmの球範囲で吸収されるものである。Lu-1
77は、0.31Rad-g/マイクロキュリー-時間の平衡線量定数または平均エネルギー
/核遷移を有し、ターゲティングされた治療用放射性核種として役立つ適
切な半減期を有する。Lu-177に特有な利点は、(1)その放射されたエネルギーが
、転移腫瘍病巣またはそれに含まれるリンパ節のようなより小さいターゲット腫
瘍中に効率的に吸収され、(2)その長い物理的半減期が、プレターゲティングデ
リバリー法の腫瘍保持特性を最適に利用することを可能とすることである。Lu-1
77にはさらに、通常利用できる核医学カメラにより画像形成できるという別の利
点もある。
本発明の「ターゲティング部分」は、腫瘍細胞のような所定のターゲット細胞
集団に結合する。この意味で有用な好ましいターゲティング部分としては、抗体
、抗体フラグメント、ペプチド及びホルモンがある。既知の細胞表面レセプター
に対応するタンパク質(低密度リポタンパク質、トランスフェリン及びインスリ
ン等)、繊維素溶解酵素、抗-HER2、アネキシンのような血小板結合タンパク質
、生物学的応答調節剤(インターロイキン、インターフェロン、エリスロポエチ
ン及びコロニー形成刺激因子等)も好ましいターゲティング部分である。また、
レセプターに結合後にインターナリゼーションを受け核に達する抗-EGFレセプタ
ー抗体は、オージェ電子エミッタ及び核結合薬剤をターゲット細胞核に容易にデ
リバリーするために本発明で使用される好ましいターゲティング部分である。オ
リゴヌクレオチド、例えばターゲット細胞核酸(DNAまたはRNA)の部分に相補的な
アンチセンスオリゴヌクレオチドも本発明を実施するためのターゲティング部分
として有用である。細胞表面に結合するオリゴヌクレオチドも有用である。所定
のターゲット細胞集団に結合する能力を維持している上記に挙げたターゲティン
グ部分の類似体も請求の範囲に記載の発明の範囲内で使用され得る。さらに、合
成ターゲティング部分も設計できる。
上記分子の機能的等価物も本発明のターゲティング部分として有用である。タ
ーゲティング部分の機能的等価物の一例は「模倣」化合物、即ちターゲティング
部分-ターゲット細胞結合のための適正な立体配置及び/または配向を模倣するよ
うに設計された有機化学的構築物である。別のターゲティング部分の機能的等価
物は、コンピューター支援分子モデリング及び改変された結合親和性を有する突
然変異体を用いて構築した「最小」ポリペプチドと呼ばれる短いポリペプチドで
ある。この最小ポリペプチドはターゲティング部分の結合親和性を示す。
本発明の好ましいターゲティング部分は抗体(ポリクローナルまたはモノクロ
ーナル)、ペプチド、オリゴヌクレオチド等である。本発明の実施に有用なポリ
クローナル抗体はポリクローナル(Vial and Callahan,Univ.Mich.Med.Bull.
,20:284-6,1956)、アフィニティ精製ポリクローナルまたはそのフラグメント(Ch
ao et al.,Res.Comm.in Chem.Path. & Pharm.,9:749-61,1974)である。
本発明の実施に有用なモノクローナル抗体は完全抗体及びそのフラグメントを
包含する。このようなモノクローナル抗体及びフラグメントは、ハイブリドーマ
合成、組換えDNA法及びタンパク質合成のような慣用の方法によって産生できる
。有用なモノクローナル抗体及びフラグメントは、任意の種(ヒトを含む)に由
来することができ、あるいは2以上の種からの配列を使用するキメラタンパク質
として形成されてもよい。概要に関しては、Kohler and Milstein,Nature256:4
95-97,1975;Eur.J.Immunol. 6:511-19,1976を参照。
ヒトモノクローナル抗体及び「ヒト化」ネズミ抗体も本発明のターゲティング
部分として有用である。ヒトモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術等を使
用して、ヒト血清、機能的にヒトの免疫系を有するハイブリッドマウスあるいは
その他の哺乳動物から得られる。また、例えば欧州特許出願第0,411,893A2号に
開示されたものと同様の方法で、例えばネズミFv領域(即ち、抗原結合部位を含
有する領域)またはその相補性決定領域をコードするヌクレオチド配列を、ヒト
定常ドメイン領域及びFc領域で遺伝子組換えすることによってネズミモノクロー
ナル抗体を「ヒト化」することができる(このような抗体はキメラ抗体としても
知られる)。適正なターゲット部位結合特性を確保するためにいくつかの別のネ
ズミ残基をヒト可変領域フレームワークドメインに維持してもよい。ヒト化した
ターゲティング部分は、宿主レシピエント中の抗体またはポリペプチドの免疫反
応性を減少させ、半減期を延長させ、且つ、不都合な免疫反応の可能性を減少さ
せるものと認識される。
本発明で有用な活性薬剤(診断用または治療用)の種類には、毒素、薬物、抗
腫瘍薬及び放射性核種がある。本発明で使用できる有効な毒素のいくつかは、A
鎖及びB鎖からなる。A鎖は細胞障害性部分であり、B鎖は在来毒素分子(ホロ
トキシン)のレセプター結合部分である。毒素B鎖は非ターゲット細胞結合を媒
介するので、毒素A鎖だけをターゲティングタンパク質に結合させるのが有利な
場合が多い。しかし、毒素B鎖の除去は非特異的細胞毒性を減少させることはで
きるが、一般的な傾向として、対応するホロトキシン-ターゲティングタンパク
質抱合体と比較して毒素A鎖-ターゲティングタンパク質抱合体の効力の減少を
招く。
この点に関して好ましい毒素は、アブリン、リシン、モデシン(modeccin)、シ
ュードモナス(Pseudomonas)外毒素A、ジフテリア(Diphtheria)毒素、百日咳毒
素及び志賀毒素のようなホロトキシン;リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA
鎖、シュードモナス外毒素Aの酵素部分、ジフテリア毒素A鎖、百日咳毒素の酵
素部分、志賀毒素の酵素部分、ゼロニン(gelonin)、アメリカヤマゴボウ抗ウイ
ルスタンパク質、サポリン(saporin)、トリチン(tritin)、大麦毒素及びヘビ毒
ペプチドのようなA鎖または「A鎖様」分子である。リボソーム不活性化タンパ
ク質(RIP)、転位及び細胞結合能力の欠如した天然タンパク質合成阻害物質も本
発明に適宜使用し得る。パリトキシン(palytoxin)のような極めて毒性の高い毒
素も本発明の実施に有用であると考えられる。
タンパク質ターゲティング部分、及びそのようなターゲティング部分及び診断
または治療用活性薬剤を含む抱合体の電荷調節は、公表された欧州特許出願EP32
9,184号で論じられている。本発明による好ましい電荷調節は、アニオン形成剤
によりタンパク質活性薬剤を処理して等電点が酸性側へシフトした電荷調節した
部分または抱合体を得ることを含む。等電点のシフトは、pH単位の10分の1以上
であることが好ましい。一般的に、電荷調節したタンパク質は、元のタンパク質
の半減期より少なくとも10%大きい血清半減期を示す。タンパク質の電荷調節後
の半減期の50%以上の増加も珍しくない。
本発明の実施において有用なアニオン形成剤は、電荷調節されるタンパク質の
官能基と反応するように構成され、負に電荷した基を組み入れ、荷電調節される
タンパク質のpIを酸性側にシフトする。本発明の実施において有用な好ましいア
ニオン形成剤は、電荷調節されるタンパク質のリシン残基の1級アミンと反応す
るように構成される。そのようなアニオン形成剤は、活性エステル(カルボン酸
及びイミド)、マレイイミド及び無水物を含む。好ましい活性エステルは、N-ヒ
ドロキシスクシンイミジルエステル、チオフェニルエステル、2,3,5,6-テトラフ
ルオロフェニルエステル及び2,3,5,6-テトラフルオロチオフェニルエステルを含
む。その他のタンパク質残基の誘導化も本発明の実施に用いることができる(例
えば、グリオキサール、フェニルグリオキサールまたはシクロヘキサンジオンに
よるアルギニン残基の誘導化)。タンパク質活性薬剤に酸性側へのシフトを与え
るために使用できる負に電荷した基は、ホスフェート、ホスホネート、スルフェ
ート、ニトレート、ボレート、シリケート、カーボネート、及び本来のカルボキ
シル基またはアニオン形成剤とタンパク質の反応中に無水物から生成されたカル
ボキシル基のようなカルボキシル基を含む。
有用なアニオン形成剤は、無水コハク酸、その他の環状酸無水物、無水フタル
酸、無水マレイン酸、カルボキシル基で置換されたN-エチルマレイミド、脂肪酸
無水物(例えば無水酢酸)、芳香族無水物、pH−可逆性無水物(例えば無水シト
ラコン酸及び無水ジメチルマレイン酸)、ブロモ酢酸及びヨード酢酸のようなα
ハロ酸、及び電荷調節されるタンパク質のアミノ酸と反応する官能基で置換され
た二塩基酸または三塩基酸のような、無水物及び/または少なくとも一つのCOOH
基を導入する化合物を含む。
例えば無水コハク酸を、DMSOまたはその他の無水有機溶剤中に、200マイクロ
リットル当たり40mgの濃度で溶解する。この無水コハク酸溶液(即ち無水DMSO中
2.5mlまでのその希釈物、1.73×10-2M)をタンパク質(例えばホロトキシンまた
はトキシンドメインまたは一以上のこれらの化合物を含む抱合体)の溶液(例え
ば炭酸塩/重炭酸塩バッファー中3〜5mg/ml、pH8.9〜9.0)に、無水コハク酸とタ
ンパク質のモル比1:5、1:10及び1:25(より高いモル比の方が好ましい)で添加
する。反応を室温で15〜30分間行う。反応終了後、コハク酸を超遠心分離または
ゲルろ過で除去する。等電点シフトの程度を等電点電気泳動で決定する。電荷調
節した活性薬剤の毒性は、既知の毒性試験法により分析する。
本発明に適宜使用し得る好ましい薬物は、慣用の化学療法剤、例えば、ビンブ
ラスチン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、メトトレキセート、5-フルオロウ
ラシル、6-チオグアニン、シタラビン、シクロホスファミド、及びシスプラチナ
ムのような化学療法剤、並びに、Cancer:Principles and Practice of Oncolog y,
2d ed.,V.T.DeVita,Jr.,S.Hellman,S.A.Rosenberg,J.B.Lippincott
Co.,Philadelphia,PA,1985,Chapter14に記載されたような他の慣用の化学療
法剤である。本発明の範囲内の特に好ましい薬物はトリコテセン(trichothecene
)である。
トリコテセンは、不完全菌類種(Fungi imperfecti)の土壌菌類によって産生さ
れるかまたはBaccharus megapotamicaから単離された薬物である(Bamburg,J.R.Proc.Molec.Subcell.Biol
.8:41-110,1983;Jarvis & Mazzola,Acc.Chem.Re s.15
:338-395,1982)。これらは炭素と水素と酸素とだけを含有する最も毒性の
分子であると考えられる(Tamm,C.Fortschr.Chem.Org.Naturst.31:61-117,1
974)。これらはすべて、タンパク質合成を開始、延長及び終結期に阻害する物質
としてリボソームのレベルで作用すると報告されている。
トリコテセンは2つの大きなクラス、即ち中心セスキテルペノイド構造だけを
有するものと付加的な巨大環を有するものとに分類できる(それぞれ単純トリコ
テセン及び巨大環状トリコテセンと呼ぶ)。単純トリコテセンは、米国特許第4,7
44,981号及び第4,906,452号(引用によって本明細書に含まれるものとする)に
記載されているように3つのグループ(即ち、グループA、B及びC)に細分さ
れる。グループAの単純トリコテセンの代表例としては、シルペン(Scirpen)、
ロリジンC、ジヒドロトリコテセン、シルペン-4,8-ジオール、ベルカロール、
シルペントリオール、T-2テトラオール、ペンタヒドロキシシルペン、4-デアセ
チルネオソラニオール、トリコデルミン、デアセチルカロネクトリン、カロネク
トリン、ジアセチルベルカロール、4-モノアセトキシシルペノール、4,15-ジア
セトキシシルペノール、7-ヒドロキシジアセトキシシルペノール、8-ヒドロキシ
ジアセトキシシルペノール(ネオソラニオール)、7,8-ジヒドロキシジアセトキ
シシルペノール、7-ヒドロキシ-8-アセチルジアセトキシシルペノール、8-アセ
チルネオソラニオール、NT-1、NT-2、HT-2、T-2及びアセチルT-2毒素がある。グ
ループBの単純トリコテセンの代表例としては、トリコテコロン、トリコテシン
、デオキシニバレノール、3-アセチルデオキシニバレノール、5-アセチルデオキ
シニバレノール、3,15-ジアセチルデオキシニバレノール、ニバレ
ノール、4-アセチルニバレノール(フサレノン-X)、4,15-ジアセチルニバレノ
ール、4,7,15-トリアセチルニバレノール及びテトラ-アセチルニバレノールがあ
る。グループCの単純トリコテセンの代表例としては、クロトコール及びクロト
シンがある。巨大環状トリコテセンの代表例としては、ベルカリンA、ベルカリ
ンB、ベルカリンJ(サトラトキシンC)、ロリジンA、ロリジンD、ロリジン
E(サトラトキシンD)、ロリジンH、サトラトキシンF、サトラトキシンG、
サトラトキシンH、ベルチスポリン、ミトキシンA、ミトキシンC、ミトキシン
B、ミロトキシンA、ミロトキシンB、ミロトキシンC、ミロトキシンD、ロリ
トキシンA、ロリトキシンB及びロリトキシンDがある。さらに、一般的な「ト
リコテセン」セスキテルペノイド環構造は、高等植物Baccharis megapotamicaか
ら単離された「バッカリン」と呼ばれる化合物中にも存在する。これらは文献に
記載されており、例えばJarvis et al.によって開示されている(Chemistry of A
lleopathy,ACS Symposium Series No.268:ed.A.C.Thompson,1984,pp.149-1
59)。
実験的薬剤、例えばメルカプトプリン、N-メチルホルムアミド、2-アミノ-1,3
,4-チアジアゾール、メルファラン、ヘキサメチルメラミン、硝酸ガリウム、3%
チミジン、ジクロロメトトレキセート、ミトグアゾン、スラミン、ブロモデオキ
シウリジン、ヨードデオキシウリジン、セムスチン、1-(2-クロロエチル)-3-(2,
6-ジオキソ-3-ピペリジル)-1-ニトロソウレア、N,N'-ヘキサメチレン-ビス-アセ
タミド、アザシチジン、ジブロモダルシトール、エルウィニアアスパラギナーゼ
、イホスファミド、2-メルカプトエタンスルホネート、テニポシド、タキソール
、3-デアザウリジン、可溶性ベーカーアンチフォル、ホモハリントニン、シクロ
シチジン、アシビシン、ICRF-187、スピロムスチン、レバミソール、クロロゾト
シン、アジリジニルベンゾキノン、スピロゲルマニウム、アクラルビシン、ペン
トスタチン、PALA、カルボプラチン、アムサクリン、カラセミド、イプロプラチ
ン、ミソニダゾール、ジヒドロ-5-アザシチジン、4'-デオキシ-ドキソルビシン
、メノガリル、リン酸トリシリビン、ファザラビン、チアゾフリン、テロキシロ
ン、エチオホス、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-1H-イミダゾール-1-アセタ
ミド、ミトキサントロン、アコダゾール、アモナフィド、リン酸フル
ダラビン、ピベンジモール、ジデムニンB、メルバロン、ジヒドロレンペロン、
フラボン-8-酢酸、オキサントラゾール、イポメアノール、トリメトレキセート
、デオキシスペルグアリン、エチノマイシン及びジデオキシシチジン等も好まし
い(NCI Investigational Drugs, Pharmaceutical Data 1987,NIH Publication
No.88-2141,Revised November 1987 参照)。
本発明に有用な放射性核種としては、ガンマ-エミッタ、ポジトロン-エミッタ
、オージェ電子-エミッタ、X-線エミッタ及び蛍光-エミッタがあり、治療用には
ベータ-エミッタ及びアルファ-エミッタが好ましい。放射性核種は当業界で公知
であり、123I、125I、130I、131I、133I、135I、47Sc、72As、72Se、90Y、88Y、97
Ru、100Pd、101mRh、119Sb、128Ba、197Hg、211At、212Bi、153Sm、169Eu、21 2
Pb、109Pd、111In、67Ga、68Ga、67Cu、75Br、76Br、77Br、99mTc、11C、13N、15
O及び18Fがある。好ましい治療用放射性核種としては188Re、186Re、203Pb、2 12
Pb、212Bi、109Pd、64Cu、67Cu、90Y、125I、131I、77Br、211At、97Ru、105R
h、198Au、177Lu及び199Agがある。
他の抗腫瘍剤、例えば細胞増殖の抑制活性をもつ薬剤も本発明に従って投与し
得る。抗腫瘍剤の例としては、IL-2、腫瘍壊死因子等のサイトカイン類、L-セレ
クチン、E-セレクチン、P-セレクチンなどのレクチン炎症応答促進剤(セレクチ
ン類)、並びに同様の分子がある。
本発明で使用される適当なリガンドとしては、ビオチン、ハプテン類、レクチ
ン類、エピトープ、dsDNAフラグメント、酵素阻害物質及びその類似体及び誘導
体がある。有用な相補的アンチリガンドとしては、アビジン(対ビオチン)、糖
質(対レクチン類)、抗体及びそのフラグメントまたは模倣体を含むその類似体
(対ハプテン類及びエピトープ)、ジンクフィンガータンパク質(対dsDNAフラ
グメント)並びに酵素(対酵素阻害物質)がある。リガンドとアンチリガンドと
は少なくとも約kD≧10-9Mの親和性で互いに結合するのが好ましい。
以下に示す1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N",N"'-テトラ酢酸(DOT
A)-ビオチン抱合体(DOTA-LC-ビオチン)は、望ましいin vivo生体分布を有してお
り主として腎排泄によってクリアリングされると報告されている。
また、本発明の実施においてはDOTAを他のリガンドまたはアンチリガンドと結合
してもよい。
DOTAはY-90及び他の放射性核種に強力に結合するので、放射性免疫療法に使用
することが提案されてきた。治療に使用する場合、放射性核種がDOTAキレート内
部に安定に結合し、DOTAキレートがリガンドまたはアンチリガンドに安定に結合
することが極めて重要である。具体例としてはDOTA-ビオチン抱合体を説明する
。これらの2つの特性を有する放射性標識DOTA-ビオチン抱合体だけが標的に放
射性核種を有効にデリバリーし得る。DOTAキレートから放射性核種が遊離する抱
合体または血清中もしくは非標的部位でビオチン-DOTA抱合体の成分が開裂する
抱合体は治療に適していない。
上記に示したDOTA-LC-ビオチン(ここでLCはビオチン-DOTA抱合体の成分間の
アミノカプロイルスペーサー等の「長鎖(long chain)」リンカーを意味する)の
血清安定度は良好であると文献に報告されているが、問題があることが判明した
。実験によれば、以下に示すように、DOTA-LC-ビオチンは血液から迅速にクリア
されフラグメントとして尿中に排泄され、DOTA-アミド結合ではなくビオチンア
ミド結合が開裂されることが判明した。
PIP-ビオシチン抱合体を用いた別の実験は、以下に示すような同等の結果を生
じた。
血清中に検出可能量のヨード安息香酸が存在しないことから証明されたように
ベンズアミドの開裂は観察されなかった。
開裂は血清ビオチニダーゼの作用の結果であると考えられる。ビオチニダーゼ
はビオチニルペプチドからのビオチンの開裂を触媒する加水分解酵素である。例
えば、Evangelatos et al.,“Biotinidase Radioassay Using an I-125-Biotin
Derivative,Avidin and Polyethylene Glycol Reagents,”Analytical Bioche mistry,
196:385-89,1991を参照。
構造的にビオチニルペプチドに類似している薬物-ビオチン抱合体は血漿ビオ
チニダーゼによって開裂可能な基質の候補である。従って、薬物-ビオチン抱合
体を治療用途に使用することはin vivo安定性の不足によって制限される。ペプ
チド治療薬の安定性の不足を克服するためにペプチド代替物を使用することが熱
心な研究開発の1つの分野になっている。例えば、Spatola,Peptide Backbone
Modification:A Structure-Activity Analysis of Peptide Containing Amide
Bond Surrogates,“Chemistry and Biochemlstry of Amino Aclds,Peptides a nd Proteins
,”vol.7,Weinstein,ed.,Marcel Dekker,New York,1983;及びK
im et al.,“A New Peptide Bond Surrogate:2-Isoxazoline in Pseudodipept
ide Chemistry,”Tetrahedron Letters, 45:6811-14,1991参照。
DOTA-LC-ビオチンのアミノカプロイルスペーサーを除去するとDOTA-SC-ビオチ
ン(ここでSCはDOTA-ビオチン抱合体の成分間の「短鎖(short chain)」リンカー
を示す)が得られる。この分子は以下の式で示される。
DOTA-SC-ビオチンはDOTA-LC-ビオチンと比較して有意に改善された血清安定性
を示す。この結果は、ビオチニダーゼ活性のみに基づいて説明することはできな
いと考えられる。この結論に導いた実験を以下の表に要約する。
DOTA-LC-ビオチンとDOTA-SC-ビオチンとの血清安定性が違っている理由は、SC
誘導体は芳香族アミド結合を含むがLC誘導体は脂肪族アミド結合を含み、脂肪族
アミド結合のほうが酵素によってその基質として認識され易いからであると説明
できるかもしれない。しかしながら、この理論はビオチニダーゼには適用できな
い。その理由は、ビオチニダーゼが芳香族アミドを極めて効率よく開裂させるか
らである。実際、最も単純で最も繁用のビオチニダーゼ活性測定方法は、N-(d-
ビオチニル)-4-アミノベンゾエート(BPABA)を基質として使用することであると
認識されており、BPABAの加水分解の結果としてビオチンと4-アミノベンゾエー
ト(PABA)とが遊離される。例えば、B.Wolf et al.,“Methods in
Enzymology,”pp.103-111,Academic Press Inc.,1990参照。従って、DOTA-SC-
ビオチンは対応するLC抱合体と同様にビオチニダーゼ基質となり得ると予想され
る。DOTA-SC-ビオチンは血清安定性を示すので、血清で安定な抱合体はもあるが
安定でない抱合体もあることの理由をビオチニダーゼ活性だけによって説明する
ことはできない。従って本発明の発明者らは、どの構造的特徴が抱合体に血清安
定性を与えるのかを判断するために、一連のDOTA-ビオチン抱合体を合成した。
酵素作用に対するペプチドの血清安定性を改善するための一般的な戦略として
は以下のようなD-アミノ酸、N-メチルアミノ酸及びアルファ-置換アミノ酸の組
込みがある。
本発明の実施にはin vivoで安定なビオチン-DOTA抱合体が有用である。in viv o
安定性は以下の利点を与える:
(1)予め局在化させたターゲティング部分-ストレプトアビジンに対して向けられ
る放射性同位元素の量が増加するので腫瘍取込みが増加する。
(2)ビオチンと放射性同位元素との結合がより安定であるならば腫瘍滞留が増加
する。
さらに、DOTAとビオチンとの結合も生体分布(正常器官への取込み、ターゲッ
トへの取込み等)及び薬物動力学に有意なインパクトを与え得る。
本発明のDOTA-含有分子及び抱合体の設計戦略では主として以下の3つの特性
に配慮した:
(1)in vivo安定性(ビオチニダーゼ及び汎用のペプチダーゼ活性に対する抵抗性
を含む)。当初許容基準は100%安定性が1時間維持されることである。
(2)腎排泄、及び、
(3)合成の容易性。
本発明のDOTA-ビオチン抱合体は以下の戦略を1つまたはそれ以上の実行を反
映するものである:
(1)開裂されやすいアミド窒素に隣接する炭素の置換、
(2)開裂されやすいアミド窒素のアルキル化、
(3)アルキルアミノ基によるアミドカルボニルの置換、
(4)D-アミノ酸並びにその類似体または誘導体の組込み、または、
(5)チオウレア結合の組込み。
本発明のDOTA-ビオチン抱合体は一般的に以下のように特徴付けられる。即ち
、その構造中にビオチンカルボキシ基を保持している抱合体及び保持していない
抱合体(即ち、ビオチンの末端カルボキシ基が還元されているかまたは他の方法
で化学的に修飾されている。以下の一般式:
(式中、Lはあるいは、DOTA構造の-CH2-COOH分枝の1つにおいて、-CH(L)-COOH
または-CH2COOLまたは-CH2COLのいずれかの形態で置換され得る)によって示さ
れるそのような抱合体の構造を製造した)である。これらの代替的構造を使用す
るとき、DOTA抱合体成分と結合するための官能基を保有するリンカーの部分は、
DOTA構造の分枝部分の炭素またはカルボキシと相互作用する能力に基づいて選択
され、また、リンカー構造の血清安定性を与える部分は以下に記載するように選
択される。
上記のようにDOTA構造のコアに結合が形成される場合、Lは以下の基準に従っ
て選択され、DOTA抱合体成分に結合するように設計されたリンカーの部分は、ア
ミンに対する結合能力に基づいて選択される。
A.本発明の1つの実施態様は、上記のようにDOTAアニリンアミンとビオチンカ
ルボキシ基との間にD-アミノ酸スペーサーを組込んだリンカーを包含する。本発
明のこれらの実施態様には置換アミノ酸が好ましい。これはα-置換も酵素開裂
耐性を与えるからである。本発明のこの実施態様のL部分の例は、以下の式:
(式中、R1は低級アルキル、親水性基(好ましくは、(CH2)n-OH、(CH2)n-
OSO3、(CH2)n-SO3、(CH2)n-OP(O)(OH)2であり、nは1または2である)で置換さ
れた低級アルキル、グルクロニド置換アミノ酸または他のグルクロニド誘導体か
ら選択され、
R2は水素、低級アルキル、置換低級アルキル(例えば、ヒドロキシ、スルフェ
ート、ホスホネートまたは親水性基(好ましくはOH)から選択される)で示され
る。
本明細書において、「低級アルキル」なる用語は、炭素原子数1〜5個のアル
キル基を示す。また、「置換された」なる用語は、1つまたは複数の置換基を含
むことを意味するが、1つの置換基を含むことが好ましい。
本発明のこの実施態様の好ましいL基は、式中のR1及びR2が以下のごとく定義
されるものを包含する:
R1=CH3及びR2=H(D-アラニン誘導体、その合成スキームを実施例XIに示す)、
R1=CH3及びR2=CH3(N-メチル-D-アラニン誘導体)、
R1=CH2-OH及びR2=H(D-セリン誘導体)、
R1=CH2OSO3及びR2=H(D-セリン-O-スルフェート誘導体)、及び
R1=CH2-OP(O)(H)(OH)及びR2=H(D-セリン-O-ホスホネート誘導体)。
本発明のこの実施態様の他の好ましい部分としては、R1が水素であり、R2=-(C
H2)nOHまたはその硫酸塩もしくはホスホン酸塩誘導体であり、nが1または2の
分子があり、また、R1が
D-リシンのグルクロニド及びアミノピメレートのグルクロニドを組込んだ好ま
しい部分をそれぞれ以下のI及びIIに示す。
本発明のこの実施態様の特に好ましいリンカーは上記に示したD-アラニン誘導
体である。
B.1つまたはそれ以上のアミド窒素にアルキル置換を組込んだリンカーも本発
明に包含され、このようなリンカーのいくつかの実施態様はL-アミノ酸から調製
できる。置換アミン基を有するアミド結合は酵素開裂の作用を受け難い。このよ
うなリンカーは以下の一般式:
(式中、R4は、水素、低級アルキル、ヒドロキシ、スルフェート、ホスホネート
等によって置換された低級アルキル基、及び
から選択され、
R3は、水素、アミン、低級アルキル、アミノ-またはヒドロキシ-、スルフェー
ト-もしくはホスホネート-置換低級アルキル、グルクロニドまたはグルクロニド
-誘導体化アミノ基から選択され、
nは0〜4の範囲である)によって示される。
本発明のこの実施態様の好ましいリンカーは、式中のR3及びR4が以下のごとく
定義されるものを包含する:
R3=H及びR4=CH3でn=4の場合実施例XIで記載のように合成できるもの、
R3=H及びR4=CH3でn=0の場合実施例XIで記載のようにN-メチル-グリシ
ン(サルコシンという通称をもつ)から合成できるもの、
R3=NH2及びR4=CH3でn=0のもの、
でn=4の場合(ビス-DOTA-LC-ビオチン)実施例XIに記載のようにブロモヘキサン
酸から合成できるもの、及び
でn=0(ビス-DOTA-SC-ビオチン)でありイミノジ酢酸から合成できるもの。
R3がH及びR4が-CH2CH2OHでnが0であるリンカーを含む抱合体の合成も実施例XI
に記載されている。nが0、R3がH及びR4が-CH2-COOHである本発明のこの実施態様
の抱合体の合成を以下に概略的に示す。
例えば、ビス-DOTA-LC-ビオチンは以下の利点を与える。
(1)1つのビオチン基に2個のDOTA分子が組込まれているのでビオチン抱合体の
全体的な親水性が増加し、in vivo分布後に尿として排泄される。
(2)ビオチンのカルボキシル基に隣接するアミド窒素の置換がこの部位のペプチ
ド及び/またはビオチニダーゼ開裂をブロックする。
ビス-DOTA-LC-ビオチン、グリシンを主成分とするリンカー及びR3=H、R4=CH3
、n=4のN-メチル化リンカーは本発明のこの実施態様の特に好ましいリンカー
である。
C.別のリンカーの実施態様はその内部にチオウレア部分を組込んでいる。本発
明のチオウレア付加物の例は以下の一般式:
(式中、R5は、Hまたは低級アルキルから選択され、
R6はH及び親水性部分から選択され、
nは0〜4の範囲である)によって示される。
本発明のこの実施態様の好ましいリンカーは以下のものを包含する:
R5=H及びR6=Hでn=5のもの、
R5=H及びR6=COOHでn=5のもの、及び
R5=CH3及びR6=COOHでn=5のもの。
上記の2番目の好ましいリンカーはL-リシンまたはD-リシンを用いて調製でき
る。同様に、3番目の好ましいリンカーはN-メチル-D-リシンまたはN-メチル-L-
リシンを用いて調製できる。
最小の親水性をもつ別のチオウレア付加は、式:
で示すことができ、ビオチンヒドラジド(Sigma Chemical Co.,St.Louis,
Missouriから市販される)及びDOTA-ベンジル-イソチオシアナート(DOTA-アニリ
ンから1段階で合成される公知化合物)の付加によって形成され得、チオウレア
含有化合物は以下のように形成される。
D.開裂しやすいアミドに隣接する炭素が置換された本発明のアミノ酸由来リン
カーは以下の一般式:
(式中、Zは-(CH2)2-でありグルタミン酸から有利に合成され得、または、
Zは-CH2-S-CH2-でありシステイン及びヨード酢酸から合成され得、または、
Zは-CH2-でありアスパラギン酸から有利に合成され得、または、
Zは-(CH2)n-CO-O-CH2-で、nは1〜4の範囲でありセリンから合成される)で
示される。
E.本発明の別のリンカーの実施態様の例は一般式:
(式中のnは1〜5の範囲である)で示される。
F.別の実施態様はジスルフィド含有リンカーに関し、このリンカーは、ビオチ
ン-DOTA抱合体が非ターゲットに滞留することを抑制する代謝的開裂可能部分(-S
-S-)を提供する。この種のリンカーの例は式:
(式中のn及びn'は好ましくは0〜5の範囲である)で示される。
条件により開裂可能なリンカーの使用によって得られる利点は、活性薬剤のタ
ーゲット/非ターゲット局在化比の改善である。条件により開裂可能なリンカー
としては、酵素開裂可能リンカー、酸性条件下で開裂可能なリンカー、塩基性条
件下で開裂可能なリンカー等がある。より具体的には、非ターゲット組織には存
在するがターゲット組織には少量しか存在しないかまたは全く存在しない酵素に
よって開裂されるリンカーを使用すると、活性薬剤のターゲット細胞滞留を非タ
ーゲット細胞滞留に比べて増加させ得る。このような条件により開裂可能なリン
カーは例えば、治療用放射性核種をターゲット細胞にデリバリーするために有用
である。これは、リンカーがターゲット細胞表面で安定であるかまたはターゲッ
ト細胞分解から保護されている限り、このような活性薬剤は薬効を発揮するのに
インターナリゼーションを要しないからである。
開裂可能なリンカーはまた、ターゲット部位で活性薬剤をターゲット部位選択
的に放出するために有用である。本発明の開裂可能なリンカーの実施態様に好適
な活性薬剤は、リガンドまたはアンチリガンドに結合したときに実質的に細胞毒
性でないものである。従って、このような活性薬剤が十分な薬効を発揮するため
にはリガンドまたはアンチリガンド含有の抱合体から放出される必要がある。例
えばこのような活性薬剤は抱合体の形態であるとき、細胞表面レセプターに結合
することも、能動的にもしくは受動的にインターナリゼーションされることも、
または可溶性の(細胞内または細胞間)結合タンパク質または酵素の結合基質と
して作用することもできないものであり得る。この種の活性薬剤含有抱合体の例
は、化学治療薬-シス-アコニチル-ビオチンである。シス-アコニチルリンカーは
酸感受性である。本発明の開裂可能なリンカーの実施態様として有用な他の酸感
受性リンカ−はエステル、チオエステル等である。活性薬剤とリガンドまた
はアンチリガンドとが開裂可能なリンカーによって結合されている抱合体を使用
すると、活性薬剤が例えば腫瘍細胞ターゲット部位で選択的に放出される。これ
は、腫瘍組織の細胞間環境が一般に正常細胞の細胞間環境よりも低いpH(より酸
性が強い)を有するからである。
G.エーテル、チオエーテル、エステル及びチオエステルリンカーも本発明の実
施に有用である。エーテル及びチオエーテルリンカーは酸性条件及び塩基性条件
で安定であり、従って、放射性核種等のような結合形態で薬効を生じる活性薬剤
をデリバリーするために有用である。エステル及びチオエステルは酸性条件もし
くは塩基性条件下で加水分解的に開裂されるかまたはエステラーゼ等の酵素によ
って開裂可能であり、従ってターゲット:非ターゲットの滞留比を容易に改善す
る。この種のリンカーの例は一般式:
(式中、
XはOまたはS、
Qは結合、メチレン基、-CO-基または-CO-(CH2)n-NH-、
nは1〜5の範囲である)で示される。
この種の他のリンカーは一般式:
-CH2-X-Qで示すことができ、式中のQ及びXは前記と同義である。
H.本発明の別のアミノ-含有リンカーは以下の構造:
(式中、R7は低級アルキル、好ましくはメチルである)を有している。この場合
、アミン上のアルキル置換によって酵素開裂に対する耐性が与えられる。
I.高分子リンカーも本発明に包含される。デキストラン及びシクロデキストラ
ンは、ポリマーの親水性の結果としてそれを含む抱合体を有利に排泄させるので
本発明のこの実施態様に有用な好ましいポリマーである。デキストランポリマー
の使用によって得られる他の利点は、このようなポリマーが実質的に無毒であり
また免疫原性でないこと、多様な寸法の市販品として入手できること、他の適当
な分子に容易に結合すること等である。また、デキストランに結合した抱合体は
、デキストランポリマーをより小さいユニットに開裂し得る酵素であるデキスト
ラナーゼに対してターゲット部位が接近可能であり、非ターゲット部位が接近可
能でないときに利点を示す。
本発明の他のリンカーは、DOTAとの結合前及びビオチンカルボキシ部位の還元
後に製造される。本発明のこれらのリンカーは下記一般式:
を有している。
本発明のこの形態のリンカーの実施態様には以下のものがある:
J.以下に示すエーテル結合を下記の手順に従ってDOTA-ビオチン抱合体中に形
成し得る。
L'=-NH-CO-(CH2)n-O-
(式中、nは1〜5の範囲であり、好ましくは1である)。
このリンカーは(DOTA-SC-ビオチン構造中におけるように)DOTAアニリンに直接結
合したアミド基を1つだけ有している。さらに、エーテル結合は腎排泄を容易に
するための重要な要因である親水性を与える。
K.還元ビオチン(ヒドロキシビオチンまたはアミノビオチン)から形成された
アミンリンカーを、例えば実施例XIに記載の手順に従って形成されたこのような
リンカーを含む抱合体と共に以下に示す。
L'=-NH-
このリンカーはアミド部分を全く含有せず、非アルキル化アミンが有利な生体分
布特性を与え得る。これは、非アルキル化DOTAアニリンが優れた腎クリアランス
を示すからである。
L.アミノ-ビオチン中間体を介して抱合体を形成し得る置換アミンリンカーを
以下に示す:
L'=-(CH2)q-N(R8)H-CO-CH2-N-R9
(式中、R8はH、-(CH2)2-OHまたはそのスルフェートもしくはホスホネート誘導
体、または
等を示し、R9は結合または-(CH2)n-CO-NH-を示し、nは0〜5の範囲であり、好
ましくは1であり、qは0または1を示す)。
これらの部分はDOTA-アニリンに唯一直接に結合するアミド、そしてリンカーにi n vivo
正電荷を与える非アミドアミンまたはN-アルキル化グルクロニド親水性基
の利点を示し、いずれも腎排泄に有利である。
M.アミノビオチンもまた、式:
L'=-NH-CS-NH-
のチオウレア-含有リンカーのような有利な特性を有するリンカーによって結合
された抱合体を製造するための中間体として使用され得る。
このチオウレアリンカーを含有する抱合体は、開裂不可能なアミドであり、腎排
泄に有利なかなり極性の高い短いリンカーであるという利点を有している。
また、アミノ-ビオチンから以下の式:
(式中、nは1〜5の範囲であり、1及び5が好ましい)のビス-DOTA誘導体も形
成することができる。この分子は、先に説明したビス-DOTA誘導体の利点と、そ
れに加えて開裂可能でないアミドの利点も与える。
還元ビオチンカルボキシ部分を有することを特徴とする抱合体の調製に使用さ
れる本発明のリンカーとしてさらに以下のリンカーがある。
L=-(CH2)4-NH-(式中、アミン基は還元ビオチンカルボキシ部分に対応するメ
チレン基に結合しており、メチレン鎖はDOTA環のコア炭素に結合している)。こ
のようなリンカーはリシンから好適に合成され得る。
L=-(CH2)q-CO-NH-(式中、qは1または2、アミン基は還元ビオチンカルボキ
シ部分に対応するメチレン基に結合しており、(1つまたは複数の)メチレン基は
DOTA環のコア炭素に結合している)。この部分はアミノ-ビオチンから合成され
得る。
上記に挙げたリンカーは以下の利点を1つ以上有する抱合体を調製するために
有用である。
−遊離ビオチンと同じまたは実質的に同じ親和性でアビジンまたはストレプト
アビジンと結合する、
−高い動力学的安定性で効率的に金属M+3イオンに結合する、
−主として腎臓から尿に排泄される、
−体液アミダーゼに対して安定である、
−組織に速やかに浸透し、プレターゲットされたアビジンまたはストレプトア
ビジンに結合する、
−速やかに排泄され全身の滞留半減期は約5時間未満である。
上記に示したDOTA-ビオチン抱合体の中間体、ニトロベンジル-DOTAの合成経路
も提案されている。しかしながらこれらの提案された合成経路は、中間化合物を
最適収率で合成できない。例えば、Renn and Meares,“Large Scale Synthesls
of Bifunctional Chelating Agent Q-(p-nitrobenzyl)-1,4,7,10-tetraazacycl
ododecane-N,N',N",N"'-tetra acetic acid,and the Determination of its En
antiomeric Purity by Chiral Chromatography”,Bioconj.Chem.,3:563-9,19
92は、低収率で進行するかまたは面倒な変換もしくは精製を用いる反応段階を含
むニトロベンジル-DOTAの9段階合成を記載している。より具体的には、第6段
階は僅か26%という低収率で進行し、分取HPLCによる生成物の精製を要する。ま
た、第8段階は良好な収率で進行するが、プロセ
スに大量の反応助剤を使用する。
従来技術による合成経路の段階6〜8のこれらの難点は、該段階に代替して以
下の合成手順を用いる本発明の実施によって克服される。
従来技術の合成手順の第6段階において以下に示すテトラアミンアルコールか
らテトラ-トルエンスルホンアミドトルエンスルホネートへの変換効率がよくな
い理由は、O-トルエンスルホネート官能基の早期形成(全部のアミン基がそれぞ
れの対応するスルホンアミドに変換される前に生じる)に起因すると推定される
。
このような一連の事象の結果、非保護アミン基による反応性O-トルエンスルホネ
ートの好ましくない分子内置換または分子間置換が生じ、これによって多くの好
ましくない副生物が生成するものと考えられる。
この問題は、テトラ-アミンアルコールをトリフルオロ酢酸無水物と反応させ
る上記に示した本発明の代替的な合成スキームによって克服される。トリフルオ
ロアセテートは、トルエンスルホネートよりもはるかに弱い脱離基なので同様の
副反応を生じ難い。実際、Greene and Wuts,“Protecting Groups in Organic Synthesis
,”John Wiley and Sons,Inc.,New York,p.94,1991に報告されて
いるように、トリフルオロアセテート基が容易に加水分解することは、アミンの
完全な消費後に反応混合物にメタノールを添加すると、テトラ-フルオロアセタ
ミドアルコールが実質的に唯一の生成物として生じることを示唆するものである
。テトラ-フルオロアセタミドアルコールから対応するトルエンスルホネートへ
の変換によって得られる物質は、従来技術のテトラ-トルエンスルホンアミドト
ルエンスルホネートと同様に環化すると予想される。テトラ-フルオロアセタミ
ドアルコールのトルエンスルホネートを、メタノール性水酸化ナトリウム中で15
〜25℃で1時間環化させることによって生成する環状テトラ-アミド生成物は、
ニトロ-ベンジル-DOTAを実質的に唯一の生成物として生じる。その結果、トリフ
ルオロアセタミド保護基を使用することにより、極めて安定なトルエンスルホン
アミド保護基の開裂に関連する難点、即ち大過剰の硫酸で加熱し次いで大量の水
酸化バリウムで中和する処理を要するという難点を回避する。
ニトロ-ベンジル-DOTAを得るための別の代替経路を以下に示す。
この代替的手順では、ジエチルシアノホスフェートのようなカップリング剤を
用いてp-ニトロフェニルアラニルトリグリシンを環化して環状テトラアミドを与
える。次いでボラン還元すると、上記に引用したRenn and Mearesの論文に発表
されたDOTAへの経路で使用される常用の前駆物質2-(p-ニトロベンジル)-1,4,7,1
0-テトラアザシクロドデカンが得られる。本発明のこの代替的手順は、p-ニトロ
フェニルアラニルトリグリシンからテトラアミンまでにRenn and Meares経路の
ような4段階でなく2段階しか要しないので従来技術よりもかなり短縮された合
成経路を提供する。また本発明の手順では、生成効率が悪くしかもその除去に厳
しい条件を要するトシルアミノ保護基を使用しなくて済む。また本発明の手順で
は、重要な環化段階が分子間でなく分子内で行われるのでGansow et al.,米国特
許第4,923,985号に発表された経路よりも優れている。分子内反応は概してより
高い収率で進行し、十分な分子間反応を得るために必要な高い希釈技術が不要で
ある。
本発明の別の形態は、NR-LU-10抗体によって認識される抗原に局在化し得るモ
ノクローナル抗体またはそのフラグメントのターゲティング部分を使用すること
に関する。このようなモノクローナル抗体またはフラグメントは、ネズミまたは
他のヒト以外の哺乳類に由来の抗体でもよく、キメラもしくはヒト化抗体でもよ
くまたはヒト由来抗体でもよい。
NR-LU-10は、多くの癌腫で発現される約40キロダルトンの糖タンパク質抗原を
認識する分子量150キロダルトンのIgG2bモノクローナル抗体である。NR-LU-10抗
原に特異的な抗体を用いたマウスにおけるin vivo試験から、このような抗体が
速やかにインターナリゼーションを受けないこと、後で投与される活性薬剤含有
抱合体のターゲット部位局在化を妨害することが判明した。
NR-LU-10は、ヒト臨床試験で565人以上の患者に安全に投与された十分に特性
決定された汎癌腫抗体である。ヒト小細胞肺癌の完全形(intact)細胞で免疫した
マウス脾臓細胞とP3×63/Ag8UIネズミミエローマ細胞とを融合させろことによっ
てNR-LU-10を分泌するハイブリドーマを得た。シードロットを樹立した後、ハイ
ブリドーマをin vitro細胞培養法で増殖させ、精製し、純度及び不稔性を確認し
た。
ラジオイムノアッセイ、免疫沈降反応及び蛍光活性化セルソーター(FACS)分析
を使用し、NR-LU-10の反応性プロフィルを作成した。NR-LU-10ターゲット抗原は
、固定化培養細胞中または種々の癌細胞の界面活性剤抽出物中に存在した。NR-L
U-10抗原は例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、結腸癌、乳癌、腎臓癌、卵巣癌
、膵臓癌または他の癌組織中で観察される。NR-LU-10抗体の腫瘍反応性を表Aに
示し、NR-LU-10の正常組織反応性を表Bに示す。表Bの値は後述する手順で得ら
れた。NR-LU-10の組織反応性が陽性であることは、このような組織によってNR-L
U-10抗原が発現されていることを示す。NR-LU-10抗原に関しては、Varki et al.
,“Antigens Associated with a Human Lung Adenocarcinoma Defined by Mono
clonal Antibodies”Cancer Research, 44:681-687,1984、及びOkabe et al.,
“Monoclonal Antibodies to Surface Antigens of Small Cell Carcinoma of t
he Lung,”Cancer Research, 44:5273-5278,1984により詳細に記載されている。
3つの反応性パラメーター、即ち、(1)反応の強さ、(2)同細胞型における反応
の均一性、及び、(3)抗体に対して反応性である細胞のパーセンテージ、に従っ
て組織標本を評価した。これらの3つの値を合わせて0から500までの1つの重み
付けした比較値で表す。500は反応性が最強であることを示す。この比較値によ
って種々の組織を容易に比較し得る。表Bは、要約した反応性の値、検査し
た組織標本の数、NR-LU-10との反応が陽性を示した標本の数を示す。
NR-LU-10抗原のエピトープに結合する抗体の調製方法は米国特許第5,084,396
号に記載されている。簡単に説明すると、このような抗体は以下の手順で調製す
ることができる。
−多価抗原の第1のエピトープに対する第1のモノクローナル抗体を、免疫グ
ロブリンと結合し得る不活性不溶性マトリックスに吸収させて免疫吸着体を形成
し、
−免疫吸着体を多価NR-LU-10抗原含有抽出物と合わせ、第1のモノクローナル
抗体によって第1のエピトープが遮蔽された不溶化免疫複合体を形成する、
−不溶化免疫複合体によって動物を免疫し、
−免疫動物から採取した脾細胞をミエローマ細胞に融合させて、多価抗原の第
2のエピトープに対する第2のモノクローナル抗体を産生し得るハイブリドーマ
を形成し、
−ハイブリドーマを培養して第2のモノクローナル抗体を産生し、
−第2のモノクローナル抗体をハイブリドーマ産物として収集する。
従って、上記特許に記載の手順に従って調製されたモノクローナル抗体NR-LU-01
NR-LU-02及びNR-LU-03は本発明のこの形態に有用なターゲティング部分の例であ
る。
ハイブリドーマ産生及びスクリーニングの標準的な手順によってNR-LU-10抗原
と反応性を有する別の抗体を調製することができる。このように産生され同定さ
れたハイブリドーマクローンはさらに、抗原及び組織反応性を確認するために上
述のようにスクリーニングすることができる。
以下、実施例により本発明をさらに説明する。これらの実施例は単なる例示で
あり、これによって発明を制限するものではない。
実施例I
キレート-ビオチン抱合体の合成
N3Sキレート核を含むキレート化合物をアミド結合によりビオチンと結合した
。キレート-ビオチン抱合体の1例の放射性金属による標識化を下記に示す。
スペーサー基“X”は、抱合体のビオチン部分をアビジン結合に立体的に使用
可能にする。“R1”がカルボン酸置換基(例えばCH2COOH)であるとき、抱合体
は改善された水溶性を示し、さらに放射性標識ビオチン抱合体のin vivo排泄を
肝胆道性ではなく腎性のクリアランスに向かわせる。
簡単にいうと、N-α-Cbz-N-Σ-t-BOC保護リシンをNHS及びDCCでスクシンイミ
ジルエステルに変換した後、アスパラギン酸β-t-ブチルエステルと縮合した。
得られたジペプチドをNHS及びDCCで活性化した後、グリシンt-ブチルエステルと
縮合した。Cbz基を水添分解により除去し、テトラヒドロピラニルメルカプト酢
酸スクシンイミジルエステルを用いてアミンをアシル化し、S-(テトラヒドロピ
ラニル)メルカプトアセチルリシンを得た。N-t-BOC基とt-ブチルエステルのトリ
フルオロ酢酸開裂後、LC-ビオチン-NHSエステルと縮合し、(Σ-カプロイ
ルアミドビオチン)アスパルチルグリシンを得た。この合成方法を下記に示す。
1H NMR:(CD3OD,200 MHz Varian):1.25-1.95(m,24H),2.15-2.25(広幅t,4H)
,2.65-3.05(m,4H),3.30-3.45(dd,2H),3.50-3.65(ddd,2H),3.95(広幅s,2H
),4.00-4.15(m,1H),4.25-4.35(m,1H),4.45-4.55(m,1H),4.7-5.05(HODと
オーバーラップするm)。
元素分析:C35H57N7O11S2・H2OのC,H,N
計算値:50.41,7.13,11.76
実測値:50.13,7.14,11.40。
実施例II
テクネチウム又はレニウムで放射性標識した
キレート-ビオチン抱合体の調製
実施例Iのキレート-ビオチン抱合体を99mTc過テクネチウム酸塩又は186Re過
レニウム酸塩で放射性標識した。簡単にいうと、99mTc過テクネチウム酸塩をグ
ルコン酸ナトリウムの存在下に塩化第一錫で還元し、中間体のTc-グルコン酸錯
体を形成した。実施例Iのキレート-ビオチン抱合体を加え、pH約1.8〜約3.3で1
0分間で100℃まで加熱した。溶液をpH約6〜約8まで中和し、N3S配位99mTc-キレ
ート-ビオチン抱合体を得た。1%酢酸中5〜60%アセトニトリルを用いるC-18 HPLC
勾配溶出の結果、δ検出により97%以上の放射化学収率で2種のアノマーが検出
された。
別法として、186Re過レニウム酸塩を冷過レニウム酸アンモニウムでスパイク
し、塩化第一錫で還元し、クエン酸塩と錯化した。実施例Iのキレート-ビオチ
ン抱合体を加え、pH約2〜3で30分間に90℃まで加熱した。溶液をpH約6〜約8
まで中和し、N3S配位186Re-キレート-ビオチン抱合体を得た。1%酢酸中5〜60%ア
セトニトリルを用いるC-18 HPLC勾配溶離の結果、85〜90%の放射化学収率であっ
た。次いでC-18逆相疎水性カラムで精製し、99%純度の物質を得た。
実施例III
放射性標識キレート-ビオチン抱合体のin vitro分析
99mTc-及び186Re-キレート-ビオチン抱合体の両者をin vitro評価した。
過剰のアビジン(約100倍モル過剰)を加えると、どちらの放射性標識ビオチン
抱合体も100%がアビジンと結合した。
99mTc-ビオチン抱合体を種々の化学的負荷条件にかけた。簡単にいうと、99mT
c-キレート-ビオチン抱合体にアビジンを加え、5cmサイズ排除ゲル濾過カラムに
通した。放射性標識ビオチン-アビジン複合体を種々の化学的負荷(表1参照)に
かけ、インキュベーション混合物をサイズ排除フィルターを通して遠心分離した
。保持された放射能の百分率(アビジン-ビオチンに結合した放射性標識を表す)
を表1に示す。このように、化学的負荷をかけても放射性金属は高分子複合体と
結合したままであった。
さらに、各放射性標識ビオチン抱合体を約50μg/mlで血清と共にインキュベー
トし、インキュベーションの完了後、サンプルを80%メタノール中で瞬時薄層ク
ロマトグラフィー(ITLC)にかけた。放射能の2〜4%のみが起点に残留(即ちタ
ンパク質と結合)し、この百分率は外来ビオチンの添加の影響を受けなかった。
0.2Mリン酸塩を移動相としてサイズ排除H-12 FPLCによりサンプルを分析したと
ころ、放射能と血清高分子の結合は全く観察されなかった。
競合ビオチン結合アッセイにより各放射性標識ビオチン抱合体をさらに試験し
た。簡単にいうと、種々の比のD-ビオチンと放射性標識ビオチン抱合体を含有す
る溶液に一定の合計ビオチン:アビジン比で制限量のアビジンを加えた。各放射
性標識ビオチン抱合体のアビジン結合をITLCにより測定し、理論的最大化学量論
結合量(Green,Biochem.J. 94:23c-24c,1965のHABA分光光度アッセイにより測定
)と比較した。各放射性標識ビオチン抱合体とD-ビオチンの間にアビジン結合の
有意差は観察されなかった。
実施例IV
抗体プレターゲティング後に投与した
放射性標識キレート-ビオチン抱合体のin vivo分析
実施例Iの186Re-キレート-ビオチン抱合体を3段階抗体プレターゲティング
プロトコルの動物モデルで試験した。一般にこのプロトコルは(i)ビオチン化モ
ノクローナル抗体の予備的局在化、(ii)ターゲット部位における「サンドイッチ
」の形成と残留循環ビオチン化抗体のクリアランスのためのアビジンの投与、及
び(iii)ターゲット部位局在化及び迅速な血中クリアランスのための186Re-ビオ
チン抱合体の投与を含む。
A.ビオチン化抗体の調製及び特性決定
ビオチン化NR-LU-10を下記手順のいずれかに従って調製した。第1の手順はリ
シンε-アミノ基を介する抗体の誘導化を用いた。クロラミンTと125I又は131I
ヨウ化ナトリウムのいずれかを使用してNR-LU-10をチロシンで放射性ヨウ素化し
た。次に、下記式に従って5%DMSOを含有する炭酸緩衝液(pH8.5)中のビオチンア
ミドカプロン酸NHSエステルを用いて放射性ヨウ素化抗体(5〜10mg/ml)をビオチ
ン化した。
リシンビオチン化が抗体免疫反応性に及ぼす影響を試験した。ビオチン:抗体
の供給モル比が5:1から40:1に増加すると、ビオチン取り込みは予想通り増加し
た(HABAアッセイ及びプロナーゼ消化生成物を用いて測定)(下記表2)。天然抗体
と比較したビオチン化抗体免疫反応性の百分率を制限量の抗原でのELISAアッセ
イで調べた。免疫反応性百分率は11.1:1の測定誘導化で70%未満に低下したが、
この誘導化レベルで抗原陽性細胞結合(抗原過剰のLS-180腫瘍細胞で実施)の減少
は観察されなかった。その後の実験では10:1のビオチン:抗体比で誘導化した抗
体を用いた。
別法として、システインの還元により生成されたチオール基を用いてNR-LU-10
をビオチン化した。チオール基の誘導化は抗体免疫反応性をさほど悪化させない
と仮定された。p-アリール錫フェニラートNHSエステル(PIP-NHS)と125Iまたは1 31
Iヨウ化ナトリウムのいずれかを用いてNR-LU-10を放射性ヨウ素化した。放射
性ヨウ素化NR-LU-10を25mMジチオトレイトールと共にインキュベートし、サイズ
排除クロマトグラフィーを用いて精製した。次に、5%DMSO(v/v)を含有するリン
酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.5)中の10〜100倍モル過剰のN-ヨードアセチル-N'-
ビオチニルヘキシレンジアミンと還元抗体(遊離チオール基を含む)を反応させた
。
表3に示すように、ビオチン:抗体供給モル比が50:1以上では1抗体当たり6個
のビオチンしか取り込まれなかった。免疫反応性に対する有意影響は観察されな
かった。
リシン及びチオール誘導化ビオチン化抗体(それぞれ「抗体(リシン)」及び
「抗体(チオール)」)を比較した。サイズ排除FPLCで分子サイジングの結果、
どちらのビオチン化プロトコルでも単分子IgGを生じることが立証された。ビオ
チン化抗体(リシン)は見かけの分子量が160kDであり、ビオチン化抗体(チオール
)は見かけの分子量が180kDであった。内在スルフヒドリル(即ちジスルフィド)を
チオール基に還元した後、ビオチンと結合すると、多少折り畳みがもとに戻った
高分子が得られる。その場合には、抗体(チオール)はより大きい流体力学的半径
を示し、クロマトグラフィー分析によると分子量の見かけ上の増加を示し得る。
どちらのビオチン化抗体種も固定化アビジン-アガロースと98%の特異結合を示し
た。
4%スタッキングゲルと5%分解ゲルを用いて非還元性SDS-PAGEによりビオチン化
抗体種をさらに比較した。ビオチン化サンプルを放射性標識するかまたは標識せ
ずに、放射性標識または未標識アビジンまたはストレプトアビジンに加えた。サ
ンプルはSDS-PAGE分析前は煮沸しなかった。天然抗体とビオチン化抗体(リシン)
は類似の移動を示し、ビオチン化抗体(チオール)は50〜75kD範囲で2種を生成し
た。これらの種はチオールキャップをもつ2種に相当し得る。これらのSDS-PAGE
条件下で、放射性標識ストレプトアビジンは60kDテトラマーとして移動する。40
0μg/mlの放射性標識ストレプトアビジンに50μg/mlのビオチン化抗体
を加えると(in vivo「サンドイッチ」条件と同様)、どちらの抗体種も分子量の
大きい複合体を形成した。他方、ビオチン化抗体(チオール)-ストレプトアビジ
ン複合体のみがスタッキングゲルから分解ゲルへと移動し、ビオチン化抗体(リ
シン)-ストレプトアビジン複合体に比較して低分子量であることが判明した。
B.ビオチン化抗体種の血中クリアランス
放射性ヨウ素化ビオチン化NR-LU-10(リシンまたはチオール)を非腫瘍ヌードマ
ウスに用量100μgで静脈内投与した。放射性ヨウ素化ビオチン化NR-LU-10の投与
から24時間後に、マウスに生理食塩水またはアビジン400μgを静脈内注射した。
生理食塩水を投与した場合には、両者ビオチン化抗体種の血中クリアランスは二
相性であり、天然NR-LU-10抗体のクリアランスに類似していた。
24時間後にアビジンを静脈内投与した動物では、ビオチン化抗体(リシン)はア
ビジン投与(アビジン:ビオチン=10:1)から15分以内に(注射用量の5%のレベル
まで)クリアされた。ビオチン化抗体(チオール)ではアビジン投与(10:1または25
:1)の結果、2時間後に注射用量の約35%まで循環抗体レベルが低下した。アビジ
ン投与後の循環中の残留放射性標識抗体活性を固定化ビオチンによりin vitro試
験した。この分析の結果、ビオチン化抗体の85%がアビジンと結合していること
が判明した。これらのデータは、形成されたビオチン化抗体(チオール)-アビジ
ン複合体をRESによりクリアするには架橋が不十分であることを示唆している。
アビジンまたは生理食塩水投与から2時間後のビオチン化抗体(リシン)の血中
クリアランス及び生体内分布試験を実施した。アビジン投与は血液中のビオチン
化抗体濃度を有意に低下させ(図1参照)、肝臓及び脾臓中のビオチン化抗体濃度
を増加させた。腎臓中のビオチン化抗体濃度は変わらなかった。
実施例V
3段階プレターゲティングプロトコルによる
186Re-キレート-ビオチン抱合体のin vivo特性決定
実施例Iの186Re-キレート-ビオチン抱合体(MW≒1000;比活性=1〜2mCi/mg)
を動物モデルにおいて3段階プレターゲティングプロトコルで試験した。
より具体的には、18〜22gの雌ヌードマウスにLS-180ヒト結腸腫瘍異種移植片を
皮下移植し、移植から10日以内に100〜200mgの腫瘍を生成した。
(上記実施例IV.Aに記載したように)NR-LU-10(MW≒150kD)を125I/クロラミンT
で放射性標識し、リシン残基を介してビオチン化した。アビジン(MW≒66kD)を(
上記実施例IV.AでNR-LU-10の放射性ヨウ素化について記載したように)131I/PIP-
NHSで放射性標識した。実験プロトコルは以下の通りであった。
グループ1:時刻0で100μgの125I標識ビオチン化NR-LU-10を注射。
24時間後に400μgの131I標識アビジンを注射。
26時間後に60μgの186Re-キレート-ビオチン抱合体を注射。
グループ2:時刻0で400μgの131I標識アビジンを注射。
(対照) 2時間後に60μgの186Re-キレート-ビオチン抱合体を注射。
グループ3:時刻0で60μgの186Re-キレート-ビオチン抱合体を注射。
(対照)
このプロトコルで使用する3種の放射性標識は相互の存在下で検出ことができる
。使用する3成分の寸法が対数的に異なり、抗体≒150,000、アビジン≒66,000
、ビオチン≒1,000である点にも着目すべきである。186Re-キレート-ビオチン抱
合体の投与から2、6、24、72及び120時間後に生体内分布分析を実施した。
3段階プレターゲティングプロトコルで186Re-キレート-ビオチン抱合体を分
析する前に動物モデルで所定の予備試験を実施した。まず最初に、アビジンの血
中クリアランスに及ぼすビオチン化抗体の効果を試験した。これらの実験の結果
、アビジンクリアランス速度及び程度はビオチン化抗体の有無に拘わらず同様で
あった。2番目に、186Re-キレート-ビオチン抱合体の血中クリアランスに及ぼ
すビオチン化抗体とアビジンの効果を試験した。血中クリアランスはビオチン化
抗体とアビジンの有無に拘わらず同様であった。
第3に、時刻0で投与したビオチン化抗体と24時間後に投与したアビジンの腫
瘍取り込みを試験した。25時間で約350pmol/gのビオチン化抗体が腫瘍に存在し
、32時間で濃度は約300pmol/gであり、48時間で約200pmol/g、120時間で約100pm
ol/gであった。同一時点でのアビジン取り込みはそれぞれ約250、150、50及び0p
mol/gであった。同一の実験からビオチン化抗体とアビジンとについて
腫瘍対血液比を測定した。32時間から120時間では、腫瘍対血液比は非常によく
似ていた。
次に(上記グループ1について記載した)3段階プレターゲティングプロトコ
ルを試験した。より具体的には、ビオチン化抗体とアビジンの存在下または不在
下の186Re-キレート-ビオチン抱合体の腫瘍取り込みを測定した。ビオチン化抗
体とアビジンの不在下では、186Re-キレート-ビオチン抱合体は注射から2時間
後にかすかなピークを示し、約5時間までに腫瘍から実質的にクリアされた。こ
れに対してビオチン化抗体とアビジン(特異的)の存在下では、注射から2時間後
に186Re-キレート-ビオチン抱合体はビオチン化抗体とアビジンの不在下で観察
されるものの約7倍の腫瘍におけるピークに達した。さらに、特異的に結合した186
Re-キレート-ビオチン抱合体は50時間を上回る時間にわたって有意レベルで
腫瘍に保持された。同一の実験で腫瘍対血液比を測定したところ、経時的に有意
に増加した(即ち30時間でT:B≒8、100時間で≒15、140時間で≒35)。
186Re-キレート-ビオチン抱合体の腫瘍取り込みはさらにビオチン化抗体の投
与量に依存することが判明した。ビオチン化抗体0μgでは投与から2時間後に
腫瘍に約200pmol/gの186Re-キレート-ビオチン抱合体が存在し、抗体50μgでは
約500pmol/gの186Re-キレート-ビオチン抱合体、抗体100μgでは約1,300pmol/g
の186Re-キレート-ビオチン抱合体が存在した。
3段階プレターゲティングプロトコルによるレニウム腫瘍取り込みを、抗体に
共有結合したキレートを介して放射性標識した同一抗体の腫瘍取り込み(従来の
手順)と比較した。この比較の結果を図2に示す。キレートで直接標識したレニ
ウム抗体抱合体と3段階でプレターゲティングしたサンドイッチについて血中ク
リアランスと腫瘍取り込みを比較した。曲線下の面積(AUC)とAUCtumor/AUCblood
の比を測定した。キレートで直接標識したレニウム抗体抱合体ではAUCtumor/AUCblood
の比=24055/10235、3段階でプレターゲティングしたサンドイッチではAU
Ctumor/AUCbloodの比=46764/6555であった。
実施例VI
改善された生体内分布特性をもつキレートービオチン抱合体の調製
lllIn標識ビオチン誘導体の生体内分布はキレート及び結合基の構造変化によ
って大幅に変化する。このような構造変化はテクネチウム-及びレニウム-ビオチ
ン抱合体の生体内分布にも影響し得る。従って、正常組織からの最適なクリアラ
ンスを示すテクネチウム-及びレニウム-ビオチン抱合体を調製する方法が有利で
ある。
A.中性MAMAキレート/抱合体
下記式に従って中性MAMAキレート-ビオチン抱合体を調製する。
得られたキレート-ビオチン抱合体は優れた腎臓排泄を示す。抱合体の正味総電
荷は中性であるが、分子のポリカルボキシレート性により親水性と疎水性の領域
を生じる。抱合体内のカルボキシレート基の数及び種類を変えることにより、排
泄を腎臓から胃腸経路に移すことができる。例えば、中性化合物は腎臓によりク
リアされ、アニオン性化合物は胃腸系を介してクリアされる。
B.ポリリシン誘導化
ポリリシンを含む抱合体も有益な生体内分布特性を示し得る。完全抗体をポリ
リシンで誘導化すると、抱合体の生体内分布は肝臓取り込みに向かう傾向がある
。これに対してFabフラグメントをポリリシンで誘導化すると、肝臓及び腎臓両
者の低い取り込みレベルを生じ、これらの抱合体の血中クリアランスはキレート
に共有結合したFabに類似する。ポリリシン誘導化キレート-ビオチン抱合体の例
を下記に示す。
従って、放射性金属-キレート-ビオチン抱合体にポリリシンを加えると、抱合体
の良好な肝臓及び腎臓クリアランスを維持しながらRES金属イオン封鎖を最小限
にするか消失させるために有用である。ポリリシン誘導体はさらに、(1)放射性
金属-キレート-ビオチン抱合体の比活性を増加し、(2)ポリリシンポリマーの分
子量を変えることにより血中クリアランス速度及び経路を調節することができ、
(3)最適な腫瘍相互作用のために抱合体の循環半減期を増加するといった利点も
提供する。
ポリリシン誘導化は標準的な方法により達せられる。簡単にいうと、ポリ-L-
リシンを標準的なアミノ基アシル化手順(pH8の水性重炭酸緩衝液にビオチン-NHS
エステル、次いでキレート-NHSエステルを加える)に従ってアシル化する。別法
としては、DMSO及びトリエチルアミン中でニトロフェニルエステルを用いる無水
条件もある。得られた抱合体をUV及びNMRスペクトルにより特性決定する。
ポリリシンに結合したビオチンの数をHABAアッセイにより測定する。分光光度
滴定を用いてアミノ基誘導化の程度を評価する。放射性金属-キレート-ビオチン
抱合体をサイズ排除により特性決定する。
C.開裂可能な結合
放射性金属-キレート-ビオチン抱合体のキレート及びビオチン部分間に開裂可
能なリンカーを挿入することにより、正常組織よりも腫瘍への抱合体の保持を増
強することができる。より具体的には、正常組織中に存在するが腫瘍組織中には
不足または不在の酵素により開裂されるリンカーは腫瘍保持を増加できる。例と
して、腎臓は高いγグルタミルトランスフェラーゼ濃度をもち、他の正常組織は
γグルタミルプロドラッグのin vivo開裂を示す。これに対して、腫瘍は一般に
酵素ペプチダーゼを欠失している。下記に示すグルタミル結合ビオチン抱合体は
正常組織中で開裂され、腫瘍中で維持される。
D.O-極性置換基をもつセリンリンカー
N3Sキレートを糖置換すると、このようなキレートは水溶性になる。生理的pH
で完全にイオン化されるスルホン酸塩は下記キレート-ビオチン抱合体の水溶性
を改善する。
この化合物は標準的な反応手順に従って合成される。簡単にいうと、ビオシチン
をN-t-BOC-(O-スルホン酸またはO-グルコース)セリンNHSエステルと縮合させ、N
-t-BOC-(O-スルホン酸またはO-グルコース)セリンビオシチンアミドを生成する
。次いでN-t-BOC基をTFAで開裂し、トリエチルアミンを含むDMF中でリガンドNHS
エステルと縮合させると、リガンドアミドセリン(O-スルホン酸またはO-
グルコース)ビオシチンアミドが得られる。
実施例VII
PIP放射性ヨウ素化ビオチンの製造及び特性決定
ポリ-L-リシンを過剰のNHS-LC-ビオチン、次いでDMSO中のボルトン-ハンター(
Bolton-Hunter)N-ヒドロキシスクシンイミドエステルに曝露して調製した放射性
ヨウ素化ビオチン誘導体が報告されている。精製後、この生成物はヨウ素産生体
法により放射性標識されたものである(例えばDel Rosario et al.,J.Nucl.Med .32
:5,1991,993(abstr.))。得られた放射性ヨウ素化ビオチン誘導体は高分子
量であるため、制限された生成物の特性決定(即ち放射性HPLC及び固定化ストレ
プトアビジンとの結合)しかできなかった。
本発明により放射性ヨウ素化ビオチンを調製するといくつかの利点がある。ま
ず第1に、放射性ヨードビオチン誘導体は低分子量であるため、完全な化学的特
性決定が可能である。第2に、本発明の製造方法は1段階であり、精製段階が不
要である。
簡単にいうと、下記式に従ってビオシチン(R=COOH)及びビオチンアミドペンチ
ルアミン(R=H)に対応するヨードベンズアミド誘導体を調製した。下記式中、“X
”は任意の放射性ハロゲンでよく、125I、131I、123I、211At等を含む。
1の製造はトリブチル錫中間体を用いてWilbur et al.,J.Nucl.Med.30:216-2
6,1989に概ね従った。NHSエステル1はDCUと共に処理しにくい混合物を形成し
たので、上記反応では水溶性カルボジイミドを使用した。NHSエステルはクロマ
トグラフィーに適合せず、有機溶剤及び水性溶剤に不溶性であり、DMFまたは緩
衝水性アセトニトリル中でビオシチンと反応しなかった。1とビオシチンまたは
5-(ビオチンアミド)ペンチルアミンの反応は塩基に感受性であった。1とビオシ
チンまたはペンチルアミンの反応を熱DMSO中でトリエチルアミンの存在下に実施
すると、2種以上のビオチン化生成物が形成された。これに対して1とビオシチ
ン(4mg/ml)またはペンチルアミン(4mg/ml)の懸濁液をDMSO中で約5〜約10分間11
7℃に加熱したところ、反応は極めて清浄且つ完全であった。この結果、125I-ビ
オチン誘導体が94%の放射化学収率で得られた。場合によっては、C-18 HPLC 及
び逆相疎水性カラムを使用して放射性ヨウ素化生成物を精製してもよい。以下の
文中では、得られた放射性ヨウ素化生成物2をPIP-ビオシチン(R=COOH)及びPIP-
ペンチルアミン(R=H)と呼ぶ。
ヨードビオチン誘導体2の両者は固定化アビジンに対して≧95%の結合を示し
た。生成物2をマウス血清と共にインキュベートしたところ、2は固定化アビジ
ンと結合する能力を失わなかった。雄性BALB/cマウスで2の生体内分布試験を行
ったところ、(上記186Reキレート-ビオチン抱合体と同様に)血液からの迅速なク
リアランスが示された。放射性ヨードビオチン2は186Re-キレート-ビオチン抱
合体と比較して肝胆道性排泄が減少し、186Re-キレート-ビオチン抱合体と比較
して尿排泄が増加した。2の尿代謝物の分析によると、脱ヨウ素化及びビオチン
アミド結合の開裂が判明し、代謝物は固定化アビジンとの結合を示さなかった。
これに対して、186Re-キレート-ビオチン抱合体の代謝物は無傷のビ
オチン抱合体として尿中に排泄されると思われる。2の腸内取り込みは186Re-キ
レート-ビオチン抱合体の<50%である。2のこれらの生体内分布特性は放射性
同位体の全身クリアランスを増強し、プレターゲティングプロトコルにおける2
の使用の利点を示す。
腫瘍をもつマウスで131I-PIP-ビオシチンを2段階プレターゲティング手順で
評価した。簡単にいうと、雌性ヌードマウスにLS-180腫瘍細胞を皮下注射すると
、7日後にマウスは50〜100mgの腫瘍異種移植片を示した。t=0でPIP-NHSを使用
して125Iで標識(実施例IV.A.参照)したNR-LU-10-アビジン抱合体200μgをマ
ウスに注射した。t=36hでマウスに131I-PIP-ビオシチン42μgを投与した。デー
タはアビジン1分子当たり約(≒)1.5個の131I-PIP-ビオシチン分子に対応する即
時の特異的腫瘍局在化を示した。
記載する放射性ハロゲン化ビオチン化合物は、上記実施例VIで186Re-キレート
-ビオチン抱合体について記載したのと同一の種類の修飾が可能である。特に、
ポリリシンを125I-PIPで痕跡標識した後、ポリリシンを十分にビオチン化するこ
とにより下記PIP-ポリリシン-ビオチン分子が製造される。
固定化アビジンに対する125I結合を測定することにより、全放射性ヨウ素化種
は少なくとも1当量のビオチンも含むことが確認される。
実施例VIII
内在抗体スルフヒドリル基またはスルフヒドリル生成化合物を介する
ビオチン化抗体(チオール)の調製
反応に使用可能な内在的なスルフヒドリル基をもつ抗体もある。ビオチン化し
ようとする抗体が内在的なスルフヒドリル基を含む場合には、このような抗体を
(上記実施例IV.Aに記載したように)N-ヨードアセチル-n'-ビオチニルヘキシレン
ジアミンと反応させる。1個以上の内在的なスルフヒドリル基を使用できるので
、ビオチン化抗体に他の有害な影響を及ぼし得るDTT等の還元剤に抗体を曝す必
要がなくなる。
あるいは、末端スルフヒドリル基を含む化合物またはリンカーを使用すること
により1個以上のスルフヒドリル基をターゲティング部分に結合する。この目的
の化合物の1例はイミノチオランである。こうして(上記の)内在的スルフヒド
リル基によるのとと同様に、抗体に及ぼす還元剤の有害な作用が回避される。
実施例IX
インターナリゼーションを誘発しない2段階プレターゲティング法
以下のようにしてNR-LU-13-アビジン抱合体を調製する。まず最初にアビジン
をN-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレ
ート(SMCC)で誘導化する。次にSMCC誘導アビジンをNR-LU-13と共に1:1モル比
でpH8.5において16時間インキュベートする。分取サイズ排除HPLCを用いて未反
応NR-LU-13及びSMCC誘導アビジンを混合物から除去する。主産物として所望の1:
1 NR-LU-13-アビジン抱合体及び副次的産物として完全に特性決定されていない
成分の2種の抱合体が生成物として得られる。
上記実施例IIのように99mTc-キレート-ビオチン抱合体を調製する。NR-LU-13
−アビジン抱合体をレシピエントに投与し、循環から排出させる。放射免疫シン
チグラフィー分野の通常の技術者はNR-LU-13−アビジン抱合体の腫瘍局在化及び
循環からのクリアランスに最適な時間を容易に決定することができる。そのよう
な時点で99mTc-キレート-ビオチン抱合体をレシピエントに投与する。99mTc-キ
レート-ビオチン抱合体は≒1,000の分子量を有するので、腫瘍細胞の表
面上のNR-LU-13-アビジン分子の架橋は劇的に減少するかまたは消失する。その
結果、99mTc診断薬は腫瘍細胞表面に長時間保持される。従って、画像形成技術
による診断薬の検出が最適なものとなり、さらにより低い線量の放射性同位体を
用いて典型的な3段階プレターゲティングプロトコルで得られると同等の画像が
得られる。
場合によっては、プラズマフェレシスをビオチンアフィニティーカラムと組み
合わせて循環からのNR-LU-13-アビジンのクリアランスを促進することができる
。このようなカラムを用いることにより、循環NR-LU-13-アビジンは体外に保持
され、レシピエントの免疫系が大きいタンパク性免疫原(即ちアビジン)になるべ
く曝されないようにする。
インターナリゼーションを誘発せずに循環からNR-LU-13-アビジンをクリアす
る別の方法としては、リポソーム、IgM及び腫瘍部位に容易に透過できない寸法
のその他の分子等のビオチン化高分子量分子を投与する方法がある。このような
ビオチン化高分子量分子がNR-LU-13-アビジンと凝集すると、凝集複合体はRESを
介して循環から容易にクリアされる。
実施例X
アビジン架橋による治療薬インターナリゼーションの増強
多価アビジンが2個以上のビオチン分子(またはキレート-ビオチン包合体)
と架橋する能力を使用して治療薬のデリバリーを改善すると有利である。より具
体的には、アビジン架橋はターゲット細胞表面に架橋複合体のインターナリゼー
ションを誘発する。
ビオチン化NR-CO-04(リシン)を上記実施例IV.Aに記載した方法に従って調製す
る。ドキソルビシン-アビジン抱合体は標準的な抱合化学により調製する。ビオ
チン化NR-CO-04をレシピエントに投与し、循環からクリアさせる。放射免疫療法
の通常の技術者であれば、ビオチン化NR-CO-04の腫瘍局在化及び循環からのクリ
アランスに最適な時間を容易に決定することができる。そのような時点でドキソ
ルビシン-アビジン抱合体をレシピエントに投与する。ドキソルビシン-アビジン
抱合体のアビジン部分は細胞表面上でビオチン化NR-CO-04と架橋し、複合体
のインターナリゼーションを誘発する。こうしてドキソルビシンはより有効にタ
ーゲット細胞にデリバリーされる。
第1の代替的なプロトコルでは、標準的な3段階プレターゲッティング方法を
使用して腫瘍ターゲット細胞への薬剤の細胞内デリバリーを増強する。前記と同
様に、ビオチン化NR-LU-05に次いで(血中クリアランスのためと、ターゲット細
胞結合ビオチン化抗体にサンドイッチの中間層を形成するために)アビジンを投
与する。その直後のビオチン化NR-LU-05-アビジン複合体のインターナリゼーシ
ョン前にメトトレキセート-ビオチン抱合体を投与する。
第2の代替的なプロトコルでは、ビオチン化NR-LU-05をさらにメトトレキセー
トと共有結合させる。次いでアビジンを投与して複合体のインターナリゼーショ
ンを誘発し、腫瘍ターゲット細胞への薬剤の細胞内デリバリーを増強する。
第3の代替的なプロトコルでは、NR-CO-04-アビジンをレシピエントに投与し
、循環からクリアさせ、ターゲット部位に局在化させる。その後、ポリビオチン
化種(例えば上記実施例IV.Bに記載したようなビオチン化ポリ-L-リシン)を投
与する。このプロトコルでは、デリバリーすべき薬剤を抗体-アビジン成分また
はポリビオチン化種のどちらに共有結合してもよい。ポリビオチン化種は(薬剤)
-抗体-アビジン-ポリビオチン-(薬剤)複合体のインターナリゼーションを誘発す
る。
実施例XI
DOTA-ビオチン抱合体の合成
A.ニトロベンジル-DOTAの合成
アミノベンジル-DOTAの合成は、実質的にMcMurry et al.,BioconjugateChem.
,3: 108-117,1992の手順に従って実施した。この従来技術の合成の必須段階は
、ジスクシンイミジルN-(tert-ブトキシカルボニル)イミノジアセテートとN-(2-
アミノエチル)-4-ニトロフェニルアラニンアミドの分子間環化により、1-(tert-
ブトキシカルボニル)-5-(4-ニトロベンジル)-3,6,11-トリオキソ-1,4,7,10-テト
ラアザシクロドデカンを調製する段階である。換言するならば、必須段階はビス
-NHSエステルとジアミンの分子間環化により、環化ドデカンを得る段
階である。McMurry et al.は140mmol規模で環化段階を実施し、DMF100mlにそれ
ぞれの試薬を溶解し、ジオキサン4リットルを入れた反応釜にシリンジポンプに
より48時間かけて加えた。
McMurry et al.の手順の5倍スケールアップは反応容量、添加速度及び反応時
間の点で実際的ではなかった。プロセス化学試験の結果、所望の環化産物を同等
の収率で獲得しながら、反応添加速度を実質的に増加し且つ溶剤容量を大幅に低
減できることが判明した。そこで、30mmol規模でそれぞれの試薬をDMF500mlに溶
かし、ジオキサン3リットルを入れた反応釜に27時間かけて添加漏斗で加えた。
使用した方法は添加速度5.18mmol/時で反応濃度は0.047Mであった。
B.D-アラニンと結合し、保存されたビオチンカルボキシ部分をもつ抱合体の合 成
下式の化合物を形成するための反応スキームを以下に説明する。
まずD-アラニン(Sigma Chemical Co.)をビオチン-NHSエステルと結合すること
により、D-アラニンと結合した抱合体を調製した。得られたビオチニル-D-アラ
ニンを次に1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI
)とN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化した。このNHSエステルをDOTA-ア
ニリンとその場で反応させて所望の生成物を得、分取HPLCにより精製した。
より具体的には、DMF(4ml)中のD-アラニン(78mg,0.88mmol,1.2当量)、ビオ
チン-NHSエステル(250mg,0.73mmol,1.0当量)、トリエチルアミン(0.30ml,2.19
mmol,3.0当量)の混合物を110℃に30分間加熱した。溶液を23℃まで冷却し、蒸
発させた。生成物固体を氷酢酸で酸性化し、再蒸発させた。白色固体生成物ビオ
チニル-D-アラニンを水40mlに懸濁し、過剰の未反応D-アラニンを除去し、濾取
した。ビオチニル-D-アラニンを白色固体(130mg,0.41mmol)として得た
(収率47%)。
NHS(10mg,0.08mmol)とEDCI(15mg,0.07mmol)をビオチニル-D-アラニン(27mg
,0.08mmol)のDMF(1ml)溶液に加えた。溶液を23℃で60時間撹拌し、この時点でT
LC分析したところ、カルボキシル基がN-ヒドロキシスクシンイミジルエステルに
変換されたことが判明した。ピリジン(0.8ml)、次いでDOTA-アラニン(20mg,0.0
4mmol)を加えた。混合物を一旦約100℃に加熱した後、23℃まで冷却し、蒸発さ
せた。生成物DOTA-アニリン-D-アラニル-ビオチンアミドを分取HPLCにより精製
した。
C.N-ヒドロキシエチルと結合した抱合体の合成
イミノ二酢酸ジメチルエステルをビオチン-NHS-エステルと縮合し、ビオチニ
ルジメチルイミノジアセテートを得る。水酸化ナトリウム1当量で加水分解し、
低加水分解生成物及び高加水分解生成物から精製後にモノメチルエステルが得ら
れる。カルボキシル基をボランで還元するとヒドロキシエチルアミドが得られる
。ヒドロキシル基をt-ブチルジメチルシリルクロリドで保護する。メチルエステ
ルを加水分解し、EDCIで活性化し、DOTA-アニリンと縮合し、最終生成物抱合体
を形成する。
D.N-Me-LC-DOTA-ビオチンの合成
反応経路を以下に示す。
メタノール性HClを用いて6-アミノカプロン酸(Sigma Chemical Co.)のエステ
ル化を行った。無水トリフルオロ酢酸を用いてアミノ基をトリフルオロアセチル
化し、N-6-(メチルカプロイル)トリフルオロアセトアミドを得た。アミド窒素を
テトラヒドロフラン中で水素化ナトリウム及びヨードメタンを用いてメチル化し
た。トリフルオロアセチル保護基を酸性メタノール中で開裂し、メチル6-メチル
アミノカプロエート塩酸塩を得た。アミンをビオチン-NHSエステルと縮合し、メ
チルN-メチルカプロイルアミド-ビオチンを得た。鹸化すると対応する酸が得ら
れ、これをEDCI及びNHSで活性化し、DOTA-アニリンとその場で縮合してDOTA-ベ
ンジルアミド-N-メチルカプロイルアミド-ビオチンを得た。
1.メチル6-アミノカプロエート塩酸塩の調製。メタノール250ml中の6-アミノ
カプロン酸20.0g(152mmol)の溶液に2〜3分間急速にバブリングして塩化水素(ガ
ス)を加えた。混合物を15〜25℃で3時間撹拌した後、濃縮し、生成物27.5gを白
色固体(99%)として得た。H-NMR(DMSO)9.35(1H,広幅t),3.57(3H,s),3.14(2H,
4重項),2.28(2H,t),1.48(4H,多重項),及び1.23ppm(2H,多重項)。
2.N-6-(メチルカプロイル)トリフルオロアセトアミドの調製。ジクロロメタ
ン250ml中のメチル6-アミノカプロエート塩酸塩20.0g(110mmol)の溶液にトリエ
チルアミン31.0ml(22.2mmol)を加えた。混合物を氷浴中で冷却し、15〜20分間か
けて無水トリフルオロ酢酸(18.0ml,127mmol)を加えた。混合物を0〜10℃で1時
間撹拌し、濃縮した。残渣を酢酸エチル300mlで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム
水溶液(3×100ml)で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し
、濃縮して生成物26.5gを淡黄色油状物(100%)として得た。H-NMR(DMSO)3.57(3H
,s),3.37(2H,t),3.08(1.9H,4重項,N-CH3),2.93(1.1H,s,N-CH3),2.30(
2H,t),1.52(4H,多重項),及び1.23ppm(2H,多重項)。
3.メチル6-N-メチルアミノカプロエート塩酸塩の調製。無水テトラヒドロフラ
ン 125ml中のN-6-(メチルカプロイル)トリフルオロアセトアミド7.01g(29.2mm
ol)の溶液に鉱油中60%水素化ナトリウム1.75g(43.8mmol)をゆっくりと加えた。
混合物を15〜25℃で30分間撹拌した後、ヨードメタン6.2g(43.7mmol)を加えた。
混合物を15〜25℃で17時間撹拌した後、セライトで濾過した。固形分をテトラヒ
ドロフラン50ml で濯いだ。濾液をあわせて濃縮した。残渣を酢酸エチル150mlで
希釈し、まず5%亜硫酸ナトリウム水溶液(2×100ml)、次いで1N塩酸水溶液100ml
で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して黄色い
油状残渣を得た。残渣をメタノール250mlで希釈した後、塩化水素(ガス)を混合
物に2〜3分間急速にバブリングした。得られた混合物を18時間還流し、冷却及び
濃縮した。残渣をメタノール150mlで希釈し、ヘキサン(3×150ml)で洗浄し、先
にNaHと共に導入した鉱油を除去した。メタノール相を濃縮し、生成物4.91gを黄
色油状物(86%)として得た。H-NMR(DMSO)8.80(2H,広幅s),3.58(3H,s),2.81(2
H,多重項),2.48(3H,s),2.30(2H,t),1.52(4H,多重項),及び1.29ppm(2H,多重
項)。
4.メチル6-(N-メチルカプロイル)アミド-ビオチンの調製。DMF(4.0ml)及びト
リエチルアミン(0.18ml,1.28mmol)中のメチル6-(N-メチル)アミノカプロエート
塩酸塩(250mg,1.28mmol)の溶液にN-ヒドロキシスクシンイミジルビオチン(398m
g,1.16mmol)を加えた。混合物を100℃の油浴中で10分間加熱した。溶液を蒸発
させ、氷酢酸で酸性化し、再蒸発させた。シリカ(EM Science,Gibbstown,New J
ersey、粒度0.40〜0.63mm)50gを充填したAce Glass製25mmフラッシュクロ
マトグラフィーカラム上で15%MeOH/EtOAcで溶出して残渣をクロマトグラフィー
にかけた。生成物は黄色油状物(390mg)として得られた(収率79%)。
5.6-(N-メチル-N-ビオチニル)アミノカプロン酸の調製。メチル6-(N-メチル
カブロイル)アミド-ビオチン(391mg,1.10mmol)のメタノール(2.5ml)溶液に0.95
N NaOH溶液(1.5ml)を加えた。この溶液を23℃で3時間撹拌した。1.0MHCl(1.6ml)
を加えて溶液を中和させ、蒸発させた。残渣を水に溶解し、1.0MHCl(0.4ml)でさ
らに酸性化し、蒸発させた。ガム状固体残渣を水に懸濁し、白色粉末に変わるま
でスパチュラで撹拌した。粉末を濾取した(収量340mg)。
6.DOTA-ベンジルアミド-N-メチルカプロイルアミド-ビオチンの調製。6-(N-
メチル-N-ビオチニル)アミノカプロン酸(29mg,0.08mmol)とN-ヒドロキシスクシ
ンイミド(10mg,0.09mmol)のDMF(0.8ml)中の懸濁液を固形分の溶解に必要な短い
時間だけヒートガン上で加熱した。この加熱溶液にEDCI(15mg,0.08mmol)を加え
た。得られた溶液を23℃で20時間撹拌した。この撹拌溶液にアミノベンジル-DOT
A(20mg,0.04mmol)及びピリジン(0.8ml)を加えた。混合物をヒートガン上で1分
間加熱した。生成物を分取HPLCにより単離した(収量3mg)
E.保存されたビオチンカルボキシ基をもつビス-DOTA抱合体の合成
反応経路を以下に示す。
1.メチル6-ブロモカプロエート(メチル6−ブロモヘキサノエート)の調製。メ
タノール250ml中の6-ブロモカプロン酸5.01g(25.7mmol)の溶液に塩化水素(ガス)
を2〜3分間激しくバブリングして加えた。混合物を15〜25℃で3時間撹拌した後
、濃縮し、生成物4.84gを黄色油状物として得た(90%)。H-NMR(DMSO)3.58(3H,s
),3.51(2H,t),2.29(2H,t),1.78(2H,5重項),及び1.62-1.27ppm(4H,m)。
2.N,N-ビス-(メチル6-ヘキサノイル)アミン塩酸塩の調製。無水テトラヒドロ
フラン125ml中の(本明細書D.2.に従って調製した)N-(メチル6-ヘキサノイル)ト
リフルオロアセトアミド4.01g(16.7mmol)の溶液に鉱油中60%水素化ナトリウム1
.0g(25mmol)を加えた。混合物を15〜25℃で1時間撹拌した後、メチル6-ブロモカ
プロエート3.50g(16.7mmol)を加え、混合物を加熱還流した。混合物を還流温度
で22時間撹拌した。アリコートのNMRアッセイによると反応は不完全であった。
そこで、さらに1.00g(4.8mmol)のメチル6-ブロモカプロエートを加え、混合物を
還流温度で26時間撹拌した。アリコートのNMRアッセイによると反応は不完全で
あった。さらに1.0gのメチル6-ブロモカプロエートを加え、混合物を還流温度で
24時間撹拌した。アリコートのNMRアッセイは反応がほぼ完了したことを示した
。混合物を冷却した後、セライトで直接濾過した。固形分をテトラヒドロフラン
100mlで濯いだ。濾液をあわせて濃縮した。残渣をメタノール100mlで希釈し、ヘ
キサン(3×100ml)で洗浄し、水素化ナトリウムと共に導入した鉱油を除去した。
メタノール相をI0N水酸化ナトリウム水溶液6mlで処理し、15〜25℃
で3時間撹拌した。混合物を濃縮した。残渣を脱イオン水100mlで希釈し、濃HCl
でpH2まで酸性化した。混合物をエーテル(3×100ml)で洗浄した。水相を濃縮し
、無水メタノール200mlで希釈した後、塩化水素ガスを混合物に2〜3分間バブリ
ングした。混合物を15〜25℃で3時間撹拌した後、濃縮した。残渣を無水メタノ
ール50mlで希釈し、濾過して無機塩を除去した。濾液を濃縮し、生成物1.98gを
白色固体として得た(38%)。H-NMR(DMSO)8.62(2H,m),3.58(6H,s),2.82(4H,m
),2.30(4H,t),1.67-1.45(8H,m)及び1.38-1.22ppm(4H,m)。
3.N,N'−ビス(メチル6−ヘキサノイル)ビオチンアミドの調製。無水ジメチル
ホルムアミド15ml中のN-ヒドロキシスクシンイミジルビオチン500mg(1.46mmol)
の溶液にN,N-ビス(メチル6-ヘキサノイル)アミン塩酸塩600mg(1.94mmol)、次い
でトリエチルアミン1.0mlを加えた。混合物を80〜85℃で3時間撹拌した後、冷却
し、濃縮した。残渣を20%メタノール/酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマ
トグラフィーにかけ、生成物620mgをほぼ無色の油状物として得た(85%)。
H-NMR(CDCl3)5.71(1H,s),5.22(1H,s),4.52(1H,m),4.33(1H,m),3.60(3H
,s),3.58(3H,s),3.34-3.13(5H,m),2.92(1H,dd),2.75(1H,d),2.33(6H
,m)及び1.82-1.22ppm(18H,m);TLC-Rf0.39(20:80 メタノール/酢酸エチル)。
4.N,N-ビス-(6-ヘキサノイル)ビオチンアミドの調製。メタノール35ml中のN,
N-ビス(メチル6−ヘキサノイル)ビオチンアミド610mg(0.819mmol)の溶液に1N水
酸化ナトリウム水溶液5.0mlを加えた。混合物を15〜25℃で4.5時間撹拌した後、
濃縮した。脱イオン水50mlで残渣を希釈し、4℃で1N塩酸水溶液でpH2まで酸性化
した。白色固体として析出した生成物を減圧濾過により単離し、減圧乾燥し、48
2mg(84%)を得た。H-NMR(DMSO)6.42(1H,s),6.33(1H,s),4.29(1H,m),4.12(
1H,m),3.29-3.04(5H,m),2.82(1H,dd),2.57(1H,d),2.21(6H,m)及び1.70
-1.10 ppm(18H,m)。
5.N’,N'-ビス(N-ヒドロキシスクシンイミジル6-ヘキサノイル)ビオチンアミ
ドの調製。無水ジメチルホルムアミド3ml中のN,N-ビス-(6-ヘキサノイル)ビオチ
ンアミド220mg(0.467mmol)の溶液にN-ヒドロキシスクシンイミド
160mg(1.39mmol)、次いでジシクロヘキシルカルボジイミド210mg(1.02mmol)を加
えた。混合物を15〜25℃で17時間撹拌した後、濃縮した。残渣を0.1:20:80酢酸/
メタノール/酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、生成
物148mgを泡状オフホワイト固体として得た(48%)。H-NMR(DMSO)6.39(1H,s),6
.32(1H,s),4.29(1H,m),4.12(1H,m),3.30-3.03(5H,m),2.81(9H,dd及びs
),2.67(4H,m),2.57(1H,d),2.25(2H,t),1.75-1.20(18H,m);TLC-Rf 0.37
(0.1:20:80酢酸/メタノール/酢酸エチル)。
6.N,N-ビス-(6-ヘキサノイルアミドベンジル-DOTA)ビオチンアミドの調製。
無水ジメチルホルムアミド1.0ml中のDOTA-ベンジルアミン15mgとN',N'-ビス(N-
ヒドロキシスクシンイミジル6-ヘキサノイル)ビオチンアミド6.0mgの混合物に無
水ピリジン0.5mlを加えた。混合物を45〜50℃で4.5時間、次いで15〜25℃で12時
間撹拌した。混合物を濃縮し、流速13ml/分で0.1:95:5→0.1:40:60トリフルオロ
酢酸:水:アセトニトリルの20分間勾配プロフィルで溶出する2.1×2.5cmオクタデ
シルシリル(ODS)逆相分取HPLCカラム上のクロマトグラフィーに残渣をかけ、所
望の生成物を得た。4.6mm×25cm ODS分析用HPLCカラム上で1.0ml/分の流速で上
記勾配を使用した保持時間は15.97分間であった。
F.N-メチルグリシンと結合した抱合体の合成
この合成のスキームを以下に示す。
D-アラニンと結合したDOTA-ビオチン抱合体を調製するのに用いたのと同様の
方法により、N-メチルグリシンと結合したDOTA-ビオチン抱合体を調製した。N-
メチルグリシン(慣用名サルコシン、Sigma Chemical Co.より入手可能)をDMF中
でビオチン-NHSエステル及びトリメチルアミンと縮合し、N-メチルグリシルビオ
チンを得た。次にN-メチルグリシルビオチンをEDCI及びNHSで活性化した。形成
されたNHSエステルを単離せずにDOTA-アニリン及び過剰のピリジンとその場で縮
合させた。反応溶液を60℃に10分間加熱した後、蒸発させた。残渣を分取HPLCに
より精製し、[(N-メチル-N-ビオチニル)-N-グリシル]アミノベンジル-DOTAを
得た。
1.(N-メチル)グリシルビオチンの調製。DMF(8.0ml)及びトリメチルアミン(0.
61ml,4.35mmol)を固体N-メチルグリシン(182mg,2.05mmol)及びN-ヒドロキシス
クシンイミジルビオチン(500mg,1.46mmol)に加えた。混合物を85℃の油浴中で1
時間加熱すると、この間に固体は溶解し、無色透明溶液となった。次に溶剤を蒸
発させた。黄色い油状残渣を氷酢酸で酸性化し、蒸発させ、シリカ50gを充填し
た27mmカラム上で30%MeOH/EtOAc 1% HOAcで溶出するクロマトグラフィーにかけ
、生成物を白色固体(383mg)として得た(収率66%)。H-NMR(DMSO):1.18-1.25(m
,6H,(CH2)3),2.15,2.35(2t,2H,CH2CO),2.75(m,2H,SCH2),2.80,3.00(
2s,3H,NCH3),3.05-3.15(m,1H,SCH),3.95,4.05(2s,2H,CH2N),4.15,4.
32(2m,2H,2CHN),6.35(s,NH),6.45(s,NH)。
2.[(N-メチル-N-ビオチニル)グリシル]アミノベンジル-DOTAの調製。N-ヒ
ドロキシスクシンイミド(10mg,0.08mmol)とEDCI(15mg,6.08mmol)を(N-メチル
グリシルビオチン(24mg,0.08mmol)のDMF(1.0ml)溶液に加えた。溶液を23℃で64
時間撹拌した。ピリジン(0.8ml)とアミノベンジル-DOTA(20mg,0.04mmol)を加え
た。混合物を63℃の油浴中で10分間加熱した後、23℃で4時間撹拌した。溶液を
蒸発させた。残渣を分取HPLCにより精製し、生成物をオフホワイト固体(8mg,0.
01mmol)として得た(収率27%)。H-NMR(D2O):1.30-1.80(m,6H),2.40,2.55(2t
,2H,CH2CO),2.70-4.2(複雑な多重項),4.35(m,CHN),4.55(m,CHN),7.30(m
,2H,ベンゼン水素),7.40(m,2H,ベンゼン水素)。
G.短鎖アミンと結合し、還元ビオチンカルボキシ基をもつ抱合体の合成
2つの部分からなるスキームを以下に示す。
ビオチンカルボキシル基をTHF中でジボランで還元し、1級アルコールを得る
。アルコールをピリジン中で塩化トシルでトシル化し、1級トシレートを得る。
アミノベンジルDOTAをピリジン中で無水トリフルオロ酢酸でアシル化し、(N-ト
リフルオロアセチル)アミノベンジル-DOTAを得る。水素化ナトリウム5.0当量で
脱プロトン化した後、ビオチントシレートを置換し、(N−トリフルオロアセト
アミド-N-デスカルボキシルビオチニル)アミノベンジル-DOTAを得る。N-トリフ
ルオロアセトアミド基をメタノール中でHCl(ガス)で酸開裂し、アミンと結合し
たDOTA-ビオチン抱合体を得る。
実施例XII
ヒト臨床試験:3段階プレターゲティング
患者は種々の基準に基づいて選択した。そのような患者が受けた3段階プレタ
ーゲティングプロトコルは次のように行った。
ステップ1−患者に実施例IVに記載された手順により調製した10mg完全NR-LU-
10-LC-ビオチン抱合体を投与した。いくつかの場合では、先にNR-LU-10 Fabの放
射性標識について記載した手順により抱合体をTc-99mで放射性標識し、in vivo
で容易に抱合体をモニターできるようにした。放射性標識してあるかまたは放射
性標識していないNR-LU-10-LC-ビオチン抱合体を、30MLの通常の生理食塩水中に
希釈し、3〜5分にわたる静脈注射により投与した。抱合体は放射性標識手順の
完了後4時間以内に投与し、投与時には20〜25mCiの活性を示した。
ステップ2−NR-LU-10-LC-ビオチン抱合体の投与の24〜36時間後、アビジンを
静脈内投与した。アビジン投与は、急速に全量を投与できる5mL生理食塩水中の
3〜5mgと、30分後の100mL生理食塩水中40〜80mgの2段階で行った。何人かの
患者に放射性標識したアビジン(投与時10〜15mCi活性)を投与し、3段階プレ
ターゲティング系のこの成分をin vivoで容易にモニターできるようにした。ア
ビジンも上記にNR-LU-10 Fab放射性標識について記載した手順により有意に放射
性標識した。
ステップ3−ジエチレントリアミン五酢酸−α,W−ビス(ビオシチンアミド)
(DTPA−ビスビオチン、Sigma Chemical Company,St.Louis,Missouriより入
手可能)を以下に説明するようにIn-111で放射性標識した。DTPA−ビオチンをPB
S pH7.4 中2μg/μlの濃度に希釈した。溶液を0.22mmミリポアろ過により滅菌
した。111InCl3をクエン酸バッファー(0.02M,pH6.5)中で740 kBq/μlに希釈
した。これらの二つの試薬を混合し、室温で10分間反応させた。全体として
DTPA-ビオチンに対するIn-111の98%キレート化が得られたことがペーパークロ
マトグラフィーにより確認された。アビジン投与の24時間後に、5mLの生理食塩
水中に希釈したIn-111-DTPA-ビオチンの2〜5mg(5〜10mCi活性)を1分間で静脈
内投与した。In-111-DTPA-ビオチン投与後、24時間患者を検査した。
66歳の男性は、上行結腸に大きな初期病変を、横行結腸に小さい病変(ポリプ
)を示していた。この患者に次のような3段階プレターゲティングプロトコルに
かけた。
t=0; 10mg モノクロナル抗体−ビオチン;
t=25時間; 10mgアビジン;
t=25.3時間; 90mgアビジン;及び
t=24時間; 6mCi In-111-DTPA−ビオチン。
付き添った医師が画像を撮り分析した。大きな病変を2時間SPECT画像で可視
化した。
実施例XIII
Y-90を用いた3段階プレターゲティング
卵巣癌を有する患者。例えば、NR-LU-10である卵巣癌細胞抗原に対するモノク
ローナル抗体(MAb)をビオチンに抱合させてMAb-ビオチン抱合体を形成する。タ
ーゲットで利用できる抗原部位を実質的に飽和するのに十分な量のMAb-ビオチン
抱合体を患者に投与する(その量は、少なくともターゲットにおいて治療上有効
な放射線量が捕獲されるのに十分なものであり、モノクローナル抗体−キレート
−放射性核種抱合体の投与のような、ターゲティングされたキレート−標識分子
によるプロトコル中で投与できる抱合体の最大許容量の過剰量でよい)。上記の
ように投与したMAb-ビオチンをターゲット癌細胞に24〜28時間局在化させる。次
に、ターゲティングされていないMAb-ビオチン抱合体をクリアし、ターゲティン
グされたビオチンに結合するために十分な量のアビジンを投与する。
先の実施例XI(F)に記載した種類のビオチン−放射性核種キレート抱合体を、
以下に説明するようにY-90で放射性標識する。0.05 N HCl中20〜200μlのキャリ
アを有しない90YCl3(NEN-DuPont,Wilmington,Delawareから入手可能)を、
酢酸アンモニウムバッファー(0.5M,pH 5)で総量0.4mlに希釈した。アスコルビ
ン酸の50μl(500mg/ml)及びDOTA−ビオチンの50〜100μl(10mg/ml)をバッファー
化した90YCl3溶液に添加した。混合物を80℃で1時間インキュベートした。イン
キュベーション完了後に100mM DTPAの55μlを混合物に添加し、結合していない9 0
Yのすべてをキレート化した。最終的な調製物を0.9% NaClで10mlに希釈した。
治療上有効な量の放射性標識したDOTA-ビオチン抱合体を患者に投与した。ビ
オチン−放射性核種キレート抱合体は、ターゲティングされたMAb-ビオチン−ア
ビジン部分に局在化するか、または腎経路により患者から実質的に除去される。
上記成分の1種以上を含むキットも本発明に含まれる。例えば、放射性ハロゲ
ン化ビオチンを滅菌容器に入れてプレターゲティング方法で使用することができ
る。滅菌容器に入れたキレート-ビオチン抱合体はユーザーによるラジオメタレ
ーションに適しており、このようなキットは特にプレターゲティングプロトコル
で向いている。あるいは、放射性ハロゲン化ビオチンとキレート-ビオチン抱合
体を非滅菌条件下でバイアルに収容し、研究用試薬として用いることができる。
以上、説明の目的で本発明の特定の態様について記載したが、本発明の概念及
び範囲内で種々の変形が可能であることが上記から理解されよう。従って、本発
明は添付の請求の範囲のみにより限定されるものである。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
A61K 48/00 8615−4C C07H 13/06
51/00 9454−4C A61K 49/02 A
C07H 13/06 9051−4C 37/02
(72)発明者 ガスタフソン リンダ エム
アメリカ合衆国、ワシントン州 98155、
シアトル、サーティーファースト ストリ
ート エヌ イー 19809