【発明の詳細な説明】
表面波フィルタ結合付テレビジョン受信機
本発明は、所望信号に隣接した信号周波数を抑圧する表面波(SAW)フィル
タを備えた受信機に関するものである。表面波フィルタは、ほぼ一定の群遅延と
結合した良好な選択性を提供し、特に、テレビジョン受信機における使用に適し
ている。
本発明は、さらに、表面波フィルタおよび表面波フィルタに入力信号を供給す
る結合回路網を備えたフィルタ装置に関するものである。
特開平2−237,211号公報には、原理的にテレビジョン受信機に使用し
得るフィルタ装置が記載されており、この公報の添付図面は従来のフィルタ装置
を示し、本明細書の図1をなすものである。
この従来のフィルタ装置においては、結合回路網14が、入力電極12および
出力電極13を配置した圧電基板11よりなる表面波フィルタに直列に結合して
おり、この結合回路網14は、表面波フィルタの2入力端に並列に結合したイン
ダクタ16を備えている。このインダクタ16は、入力電極12の容量を打消す
ように選定される。さらに、インダクタ17および容量18からなる直列共振回
路が入力端の一方に直列に結合している。この引用公開公報においては、このフ
ィルタ装置を適切に構成して好ましい挿入損失が得られるようにすることを請求
してある。
しかしながら、実際には、従来技術によるテレビジョン受信機は、不満足な特
性のフィルタ装置しか得られていない。
本発明の目的は、従来技術によるフィルタ装置を備えた受信機より良好な特性
の受信機、特に、テレビジョン受信機を提供することにあり、かかる受信機は請
求項1および請求項2に規定してある。加うるに、本発明は、請求項5および請
求項6に規定したようなフィルタ装置を提供する。各従属項には好適な実施例を
請求してある。
簡単に言えば、本発明においては、表面波フィルタの入力端に並列に抵抗が結
合し、あるいは、その替わりに、直列共振回路に並列に抵抗が結合しており、か
かる手段の両方の組合わせ、すなわち、入力端に並列の抵抗と共振回路に並列の
抵抗との組合わせも可能である。
つぎの認識は、本発明の基盤をなすものである。従来技術のフィルタ装置を装
填したテレビジョン受信機の不満足な特性は、そのフィルタ装置によって生ずる
信号歪みに因るものであり、さらに、従来装置の表面波フィルタが信号歪に関係
する諸特性に束縛を加えることが認識されている。その諸特性はつぎのとおりで
ある。第1に、フィルタ装置の入力端に現われる電圧の結合回路網を介した表面
波フィルタの入力端への転送。第2に、表面波フィルタの入力端に現われる等価
電源インピーダンス。第3に、フィルタ装置の入力インピーダンス。
本発明により付加された抵抗は、上述した諸特性が歪みの観点からして満足な
ものに設定されるようにする自由度を提供するものである。そのうえに、本発明
は、さらなる利点をも提供する。さらなる利点は、上述した諸特性が成分の拡が
りにあまり敏感でないことであり、なおさらなる利点は、フィルタ装置の周波数
応答が、使用している表面波フィルタの諸条件にほぼ一致していることである。
従来技術のフィルタ装置に抵抗を付加することは、ノイズおよび挿入損失の観
点から愚かしいように見える。抵抗は、それ自身がノイズ源であり、さらに、抵
抗は、信号路に配置した際に信号電力を消費し、したがって、信号損失を起すこ
とが知られている。事実、本発明によるフィルタ装置は、従来技術より稍々劣っ
たノイズ指数を有している。しかしながら、これは、主として、通過帯域外の周
波数に適用されるものであり、したがって、通過帯域内の所望信号の信号対ノイ
ズ比は実質的に影響されない。これは、本発明により付加した抵抗のノイズは、
通過帯域内では効果的に短絡されるからであり、さらに、通過帯域内の所望信号
がその抵抗を効果的に側路するようにして抵抗を配置することが可能である。そ
の場合に、抵抗は、主として通過帯域外の不所望の信号の電力を消費し、その結
果、所望信号に関する挿入損失は、実質的に影響を受けない。
本発明のかかる諸面および利点は、以下に記載する実施例を参照して明らかに
されよう。
図面中:
図1は、従来技術のフィルタ装置を示す。
図2aは、従来技術のフィルタ装置における電圧利得を説明するものである。
図2bは、従来技術のフィルタ装置における群遅延を説明するものである。
図2cは、従来技術のフィルタ装置における表面波フィルタ入力端の等価源イ
ンピーダンスを説明するものである。
図2dは、従来技術のフィルタ装置の入力インピーダンスを説明するものであ
る。
図3は、本発明によるフィルタ装置の第1実施例を示す。
図4は、本発明によるフィルタ装置の第2実施例を示す。
図5は、本発明によるフィルタ装置の第3実施例を示す。
図6は、本発明によるテレビジョン受信機を示す。
図7a,8aおよび9aは、図3,4および5の実施例における電圧利得をそ
れぞれ説明するものである。
図7b,8bおよび9bは、図3,4および5の実施例における群遅延をそれ
ぞれ説明するものである。
図7c,8cおよび9cは、図3,4および5の実施例における表面波フィル
タ入力端の等価源インピーダンスをそれぞれ説明するものである。
図7d,8dおよび9dは、図3,4および5の実施例における入力インピー
ダンスをそれぞれ説明するものである。
各図を通して、同一参照記号は同一要素を示す。
まず、図1に示した従来技術のフィルタ装置の諸欠点を、図2a乃至2dに示
す諸特性を参照してさらに詳細に解析し、引続いて、かかる欠点に逆らう発明的
一般概念を個々に説明する。ついで、図3,4および5に示す本発明によるフィ
ルタ装置の3実施例を説明し、ついで、これらのフィルタ装置の図6に示すテレ
ビジョン受信機における個々の適用を考察する。つぎに、本発明が提供する利点
を、図7a乃至7d,図8a乃至8dおよび図9a乃至9dにそれぞれ示すかか
る3適用を説明する諸特性を参照して強調する。最後に、例示した実施例の若干
の変形に触れる。
ここで、図1に示した従来技術のフィルタ装置のテレビジョン受信機への適用
をさらに詳細に検討する。かかる適用においては、従来技術のフィルタ装置が、
テレビジョン受信機における中間周波(IF)信号の濾波に用いられる。テレビ
ジョンIF信号は、欧州諸国では、大抵、約40MHzであり、IF信号の帯域
幅は約6MHzである。適切なテレビジョン用表面波フィルタは、市販されてお
り、図1に示した電極12および13を備えた圧電材基盤11を含んでいる。か
かるテレビジョン用表面波フィルタは、典型的には、20ピコファラドの入力容
量CIと1キロオームの入力抵抗RIとの並列として模し得る入力インピーダン
スを有しており、したがって、入力容量CIは入力インピーダンスの虚数部を表
わし、並列に結合した入力抵抗RIは、その実数部を表わす。
テレビジョンへの適用においては、図1に示した結合回路網14を構成する個
々の電気的構成要素の値は、つぎのように選定される。インダクタ16の値Lp
は、791.6ナノヘンリであり、このインダクタ16と図1には示していない
入力容量CIとは、並列共振回路を構成し、したがって、40MHzに同調して
いる。その結果、テレビジョン用表面波フィルタ11,12,13の入力容量C
Iは、中間周波数IFでは実質的に消去されており、インダクタ17と容量18
とからなる直列共振回路も40MHzに同調している。
図2a乃至2dは、インダクタ17および容量18の値LsおよびCsの種々
な組合わせの諸特性をそれぞれ示す。かかる値の組合わせは、値LsおよびCs
をつぎのように規定するパラメータRによってそれぞれ特徴づけされる。
Ls=R・Lp;Cs=CI+R
例えば、R=10のとき、直列共振回路の各値は、Ls=7.91マイクロヘ
ンリおよびCs=2ピコファラドである。図2a乃至2dに示す諸特性を得るに
は、図1には示してない電圧源を従来技術のフィルタ装置の入力端子間に接続す
る。この電圧源は、従来技術のフィルタ装置にテレビジョンIF信号を供給する
駆動回路を表わす。
図2aおよび図2bは、電圧源からテレビジョン用表面波フィルタ11,12
,13の入力端への結合回路網14を介した信号転送の諸特性を説明するもので
あり、図2aは、周波数(F)に対するその信号転送の大きさのグラフであり、
図2bは、周波数(F)に対するその信号転送の群遅延(Tg)のグラフである
。図2cは、周波数(F)に対する、テレビジョン用表面波フィルタ11,12
,13の入力端で見た等価源インピーダンスZs(eq)のグラフである。この
等価源インピーダンスZs(eq)は、電圧源が結合した結合回路14の出力イ
ンピーダンスに対応するものである。図2dは、周波数(F)に対する従来技術
のフィルタ装置の入力インピーダンスZinの大きさのグラフである。この入力
インピーダンスZinは、図1に示した従来技術のフィルタ装置の入力端子間で
測ったインピーダンスである。
図2aは、約37〜43MHzの所望通過帯域内で、大きさ・周波数応答がパ
ラメータRの任意の値に対して平坦ではないことを示しており、さらに、より大
きいLsおよびCsでLpおよびCIをそれぞれ近似するほど、この応答におけ
るピークがそれだけ顕著になることが判る。最良の大きさ・周波数応答は、R=
40で得られるように見える。パラメータRが小さくなると、所望帯域の外側で
ピークが生じ、かかるピークは、表示画像に妨害を生ずる不所望信号のレベルを
高める。一方、パラメータRが40より高くなると、所望通過帯域は最早得られ
ない。これは、表示画像における輪郭の鮮鋭度が劣化する結果となる。
図2bは、比較的高い値のパラメータRに対してのみ、所望通過帯域内で群遅
延がほぼ一定であることを示しており、R=20およびR=40のときには、所
望の通過帯域に亘って群遅延がかなり変化し、これは、表示画像に歪みが生ずる
結果となる。比較的高い周波数内容を有する画像部分は、比較的低い周波数内容
を有する画像部分に対して遅延し、これは、表示画像上に、これらの画像部分相
互間のずれとして現われる結果となる。
図2cは、等価源インピーダンスZs(eq)が、テレビジョン用表面波フィ
ルタ11,12,13の入力端で見ると、特定の周波数で突起することを示して
おり、パラメータRの値が高いほど、ピークが通過帯域の中心周波数に近づく。
パラメータRが10を超えると、ピークは通過帯域内に落ち、これは、テレビジ
ョン用表面波フィルタ11,12,13内の反射により表示画像にゴースト像が
生ずる結果となり、その反射がフィルタの出力端に不所望のエコーを生ずること
になる。この現象は、つぎのように説明することができる。
表面波フィルタにおいては、電気信号が入力電極で超音波を発生させ、その超
音波が出力電極に伝搬して所望の出力信号を発生させる結果となる。しかしなが
ら、超音波エネルギーの一部が弾き返され、すなわち、入力電極に戻って来る。
理想的には、入力電極が短絡されて、その超音波が再度弾き返されて出力電極に
伝搬するのを防ぎ、不所望のエコーが発生しないようにすべきである。表面波フ
ィルタの入力端における終端インピーダンスが低いほど、反射超音波のエネルギ
ーがそれだけ多く吸収され、不所望のエコーがそれだけ多く抑圧される。
図2dは、従来技術のフィルタ装置の入力インピーダンスが、通過帯域の中心
周波数の周囲に対称に位置する落込みを呈することを示しており、R=40から
出発すると、その落込みは、パラメータRの値が低下したときに、それだけ顕著
になり、さらに、中心周波数から離れる。特に、通過帯域外の落込みは、表示画
像に妨害を生じ、これは、つぎのように説明することができる。
落込みの周波数領域には、不所望信号、例えば、隣接チャネル・テレビジョン
信号が起り得る。かかる不所望信号は、図1には示していない駆動回路により従
来技術のフィルタ装置に供給される。実際の駆動回路は、どれでも、出力電流容
量に制限がある。従来技術のフィルタ装置の入力インピーダンスは比較的低いの
で、隣接周波数の信号は、その駆動回路を過負荷にし易い。すなわち、その信号
は、出力電流の制限値でクリップされる。その場合に、隣接周波数の信号のみな
らず、所望のテレビジョン信号自身も歪むことになり、従来技術のフィルタ装置
の入力インピーダンスが低いほど、それだけ低いレベルの隣接周波数信号で顕著
な妨害が生ずることになる。
要するに、従来技術のフィルタ装置のテレビジョン適用においては、不満足な
妥協がなされなければならない。パラメータRの値が比較的大きい場合、例えば
R=40の場合には、図2bに示すように、群遅延が所望帯域内でかなり変化す
る。さらに、表面波フィルタ・入力終端インピーダンスは、図2cに示すように
、所望帯域内で突起する。他方、パラメータRの値が比較的小さい場合、例えば
R=5の場合には、結合回路網が、図2aに示すように、不所望の隣接周波数信
号に対して利得を提供し、さらに、従来技術のフィルタ装置の入力インピーダン
スが、図2dに示すように、かかる不所望信号が起り易い周波数領域において著
しく落込む。いずれの場合にも、従来技術のフィルタ装置を装着したテレビジョ
ン機器の特性は、有害な影響を受ける。
本発明は、つぎのことを考慮に入れている。図2a,2bおよび2dに示した
諸特性が、結合回路網14のみならず、テレビジョン用表面波フィルタ11,1
2,13の図1には示していない入力容量CIをも含んだ帯域通過フィルタの諸
特性を効果的になしており、この帯域通過フィルタが、図1には示してない入力
抵抗RIによって効果的に終端されている。したがって、図2a,2bおよび2
dに示した諸特性は、テレビジョン用表面波フィルタ11,12,13の入力イ
ンピーダンスに重く依存している。しかしながら、テレビジョン用表面波フィル
タ11,12,13の入力インピーダンスは、任意に固定することができず、こ
の入力インピーダンスは、所望のフィルタ特性が得られるようにするテレビジョ
ン用表面波フィルタ11,12,13の構成によって決まる。
単一の発明的一般概念は、表面波フィルタの入力端に並列に抵抗を効果的に配
置することによる図2a乃至2dに示した諸特性の設定に付加的自由度を導入す
ることであり、これは、図3,4および5にそれぞれ示す3実施例によって説明
するように種々の方法で実施することができる。図3,4および5に示す各実施
例は、2入力端子IS1およびIS2を有する表面波フィルタFSAWをそれぞ
れ備えており、結合回路網CNWは、入力端子IA1,IA2における入力信号
を表面波フィルタFSAWの入力端子IS1,IS2に転送するように結合して
いる。結合回路網CNWは、図1に示した結合回路網14に類似しており、入力
端子IS1,IS2間に効果的に結合したインダクタLPとインダクタLSおよ
び容量CSを備えた直列共振回路SRCとを備えている。表面波フィルタFSA
Wの入力容量CIおよび入力抵抗RIは、図3,4および5のそれぞれに示して
ある。
図3は、本発明によるフィルタ装置の第1実施例を示し、この実施例では、抵
抗RPが、表面波フィルタFSAWの入力端子IS1とIS2との間に結合して
いる。結合回路網CNWと入力容量CIとからなる帯域通過フィルタは、抵抗R
Pと並列の入力抵抗RIとに等価の抵抗で終端されている。
図4は、本発明によるフィルタ装置の第2実施例を示し、この実施例では、抵
抗RSが直列共振回路SRCに並列に結合している。電圧源が入力端子IA1と
IA2との間に接続されている場合には、入力端子IA1に接続された抵抗RS
の節点が仮想的に接地される。その結果、抵抗RSは、図3に示すような回路を
得るように置換することができる。電圧源が零インピーダンスを有する場合には
、結合回路網CNWと入力容量CIとからなる帯域通過フィルタは、抵抗RSと
並列の入力抵抗RIとに等価の抵抗によって効果的に終端され、電圧源が零イン
ピーダンスを有しない場合には、帯域通過フィルタの終端抵抗が抵抗RSの影響
を受ける、という効果が残っている。しかしながら、有利なことに、電圧源のイ
ンピーダンスは、抵抗RSの値より低い大きさの程度のものである。
図5は、本発明によるフィルタ装置の第3実施例を示し、この実施例は、本質
的に、上述した実施例の組合わせである。直列共振回路SRCおよび表面波フィ
ルタFSAWの入力端は、ともに、並列に結合した抵抗RSおよびRPをそれぞ
れ有している。図5の実施例は、図3における抵抗RPの分裂、あるいは、図4
における抵抗RSの分裂の結果と見ることができる。図3を参照するに、抵抗R
Pは、抵抗RPと同じ抵抗値を並列に提供する図示しない並列の2抵抗RP1と
RP2とに分裂させることができ、抵抗RP2は、直列共振回路SRCに並列に
結合するように置換することができる。実質的には、接地に接続されている抵抗
RP2の節点は、接地から切離して入力端子IA1に再接続する。入力端子IA
1は、端子IA1とIA2との間の電源インピーダンスが零に近似した場合には
、仮想の接地となる。図5における抵抗RSは、置換抵抗RP2として見ること
ができ、非置換抵抗RP1は図5における抵抗RPに等価となる。
図6は、図3,4および5の実施例のいずれをも適用し得るテレビジョン受信
機(TV)を示す。図6のテレビジョン受信機においては、チューナTUNが入
力端子RFにおける受信信号を中間周波(IF)信号に変換する。フィルタ装置
FARは、IF信号を濾波して濾波出力IF信号を得、IFおよび復調部IFD
に供給する。フィルタ装置FARは、図3,4および5に示したフィルタ装置の
何れともすることができ、IFおよび復調部IFDは、供給した濾波出力IF信
号からビデオおよびオーディオの各信号を引出す。ビデオおよびオーディオの各
信号は、ビデオ処理部VPPおよびオーディオ処理部APPでそれぞれさらに処
理して、画像表示器PDDおよび拡声装置LSAに対する駆動信号をそれぞれ得
る。
図7a乃至7d、図8a乃至8dおよび図9a乃至9dは、図3,4および5
によるフィルタ装置FARの図6のテレビジョン受信機に適用した場合の諸特性
をそれぞれ示し、これらの諸特性にはつぎのことが適用される。IF信号を提供
するチューナTUNの出力端における図6に示すインピーダンスZotは、1オ
ームである。表面波フィルタFSAWは、入力容量CIが20ピコファラドで、
入力抵抗RIが1キロオームの典型的なテレビジョン用表面波フィルタであり、
さらに、インダクタLPは791.6ナノヘンリの値を有している。したがって
、インダクタLPと容量CIとが形成する並列共振回路の共振周波数は40MH
zであり、直列共振回路SRCも40MHzに同調している。パラメータRは、
インダクタLSと容量CS、LsおよびCsとの値を、それぞれ、Ls=R・L
p,Cs=CI+Rと規定している。
なお特に、図3の実施例における抵抗RPの値は333オームであり、図4の
実施例における抵抗RSの値も333オームである。図5の実施例における抵抗
RSと抵抗RPとの値は、それぞれ、500オームと7000オームとであり、
効果的に並列に配置した場合に、これらの抵抗も333オームの抵抗値を提供す
る。
図7a,8aおよび9aは、図2aと同種のグラフであり、図7a,8aおよ
び9aは、図6に示したチューナ出力電圧Votのフィルタ装置FARにおける
表面波フィルタFSAWの入力端への転送の大きさ(MAG)対周波数(F)の
応答を示す。
図7b,8bおよび9bは、図2bと同種のグラフであり、図7b,8bおよ
び9bは、チューナ出力電圧Votのフィルタ装置FARにおける表面波フィル
タFSAWの入力端への転送の群遅延(Tg)対周波数(F)の応答を示す。
図7c,8cおよび9cは、図2cと同種のグラフであり、図7c,8cおよ
び9cは、表面波フィルタFSAWの入力端で見た、周波数(F)の関数として
の等価源インピーダンスZs(eq)を示す。等価源インピーダンスZs(eq
)は、チューナTUNに結合した場合における結合回路網CNWの出力インピー
ダンスに対応する。
図7d,8dおよび9dは、図2dと同種のグラフであり、これらの図は、フ
ィルタ装置FARの入力インピーダンスZinを示す。入力インピーダンスZi
nは、IF信号を提供する出力端でチューナTUNが見た負荷インピーダンスで
ある。
以下に特記するのは、本発明が提供する利点および付加的特徴であり、これは
、以上に提示した実施例を参照したものである。
図6のテレビジョン受信機においては、図3,4または5のフィルタ装置FA
Rのいずれかを装着した場合に、図6のテレビジョン受信機に図1に示した従来
技術のフィルタ装置を装着した場合よりもIF信号の歪みが少なくなり、これは
、つぎの特徴から理解することができる。
図7a,8aおよび9aに示した大きさ・周波数応答は、それぞれR=3,7
および4とした場合に、特に、通過帯域に亘ってほぼ平坦になる。また、群遅延
も、図7b,8bおよび9bから明らかなように、Rのかかる値に対して通過帯
域に亘ってほぼ一定となり、さらに、図7a,8aおよび9aにおける大きさ・
周波数応答は、選択度に影響し易い通過帯域外に顕著なピークを有していない。
図7c,8cおよび9cに示した等価源インピーダンスZs(eq)は、最大
333オームにピークを呈し、このピークは、従来技術に関する図2cにおける
ピークよりかなり小さい。333オームの最大値は、抵抗RPや抵抗RSによっ
て決まる。さらに、図7c,8cおよび9cにおけるピークは、6HMzの通過
帯域内にはないことに留意すべきである。
図6のテレビジョン受信機においては、図3,4または5のフィルタ装置FA
Rの何れを装着した場合にも、IFフィルタ特性が巧みに規定され、これは、表
面波フィルタFSAWの入力端における等価源インピーダンスが相対的に低いこ
とによるものである。製造者が特定する表面波フィルタ特性は、一般に、比較的
低いインピーダンスの電圧源で当該表面波フィルタを駆動する試験回路に適用さ
れる。したがって、表面波フィルタの如何なる実施においても、表面波フィルタ
の入力端における等価源インピーダンスは相対的に低過ぎるのが望ましく、そう
でない場合には、フィルタ特性は、製造者が特定したものからずらすことができ
る。
図6のテレビジョン受信機においては、図3,4または5のフィルタ装置のい
ずれを装着した場合においても、図6のテレビジョン受信機に従来技術のフィル
タ装置を装着した場合より成分値の拡がりに対するIFフィルタ特性の敏感さが
低く、これは、一方では図2aおよび2b、他方では図7a,7b,8a,8b
,9aおよび9bを比較することによって納得することができる。
図6のテレビジョン受信機においては、図5のフィルタ装置FARを適用した
場合に、信号処理特性を最良化することができ、信号処理特性は、就中、フィル
タ装置FARの入力インピーダンスZinに依存している。その点については、
図5の実施例がつぎのような利点を提供する。入力インピーダンスZin対周波
数(F)の応答は、抵抗RSおよびRPの選択により、これらの抵抗を並列にし
た抵抗値を一定に保っている間は、影響を及ぼすことができる。ある意味では、
図3および図4の実施例は、図5に示す実施例の二つの極端な場合と考えること
ができる。図3は、抵抗Rsの値を無限大にした場合の図5に相当し、図4は、
抵抗Rの値を無限大にした場合の図5に相当する。図3の実施例においては、通
過対域内での入力インピーダンスZinが図4の実施例におけるよりも低い。他
方、図3の実施例においては、入力インピーダンスZinが、通過帯域から十分
に離れた周波数では、図4の実施例におけるよりも高い。
図5の実施例によれば、帯域内と帯域外との大信号処理の間の妥協を計ること
ができる。入力インピーダンスZinの特性は、例えば、自動利得制御やRF選
択度に関係するチューナTUNの特性の観点から最良化することができる。例え
ば、図6におけるチューナTUNは、所望信号から10MHz以上離れた周波数
の不所望信号を著しく抑圧することができ、その場合に、IFから10MHz以
上離れた周波数でのフィルタ装置FARの入力インピーダンスは、比較的に低い
。チューナの選択度により、帯域外の不所望信号は、比較的弱く、チューナTU
Nの出力電流の過負荷を防いでいる。
図3,4および5の実施例における抵抗RSおよびRPは、通過帯域内でのノ
イズ指数および挿入損失にはほとんど影響を及ぼしていない。通過帯域において
は、抵抗RSのノイズは、直列共振回路SRCにより効果的に短絡されて、これ
は、入力端子IS1,IS2の間に低インピーダンス源を結合させた場合に、抵
抗RPのノイズにも同様に適用される。さらに、図4および5の実施例において
は、入力端子IS1,IS2に供給した通過帯域信号が、直列共振回路SRCを
介して抵抗RSをバイパスする。したがって、所望信号電力は、抵抗RSによっ
ては実質的に消費されず、したがって、抵抗RSは、図4および図5に示したフ
ィルタ装置の挿入損失には実質的に寄与していない。
個数に制限のある実施例を例として図示して説明したが、本発明の請求の範囲
内で幾多の他の実施例が当業者には考えられる。
テレビジョン用途の替わりに、本発明は、他の種類の受信機、例えば、ディジ
タル・オーディオ放送(DAB)受信機にも有利に適用することができ、典型的
なDAB受信機は、表面波フィルタを備えたIF部を有している。
本明細書で例に挙げた40MHzの中心周波数の替わりに、他の周波数を用い
ることができ、例えば、多くのアジア国では、テレビジョンIFがほぼ60MH
zであり、さらに、6MHz帯域幅の替わりに、他の帯域幅が一層適切であり、
例えば、衛星テレビジョン受信機には約25MHzの帯域幅が用いられる。
1個の直列共振回路の替わりに、表面波フィルタへの入力信号の伝送に多数の
直列共振回路を用いることができる。例えば、図3,4および5においては、他
の直列共振回路が直列共振回路SRCに直列に結合することができ、加うるに、
信号接地と直列共振回路SRCおよび前記他の直列共振回路(図示せず)の共通
節点との間に並列共振回路を配置することができ、したがって、帯域通過フィル
タが得られるが、この帯域通過フィルタは、表面波フィルタ入力容量CIを含ん
でおり、図3,4および5におけるものより高次のものとなる。したがって、本
発明の基本原理を逸脱せずに、図3,4および5に示した結合回路網CNWに他
の容量およびインダクタを付加することができる。
図3,4,5を参照するに、入力端子IA2と表面波フィルタ入力端IS2と
の間に他の直列共振回路を配置することも可能であり、その場合に、フィルタ装
置は、対称の出力端を有する駆動回路に結合するのに特に適切になる。したがっ
て、端子IA1からIS1へと端子IA2からIS2へとの信号路間に対称性が
存在する場合には、表面波フィルタ装置は対称な出力信号を提供することになり
、これらの信号路におけるインダクタが磁気的に相互結合していることは好都合
である。これは、差分出力信号とも呼ばれる対称な出力信号と、共通モード信号
とも呼ばれる比対称な信号とに対して異なった伝達特性が得られることである。
例えば、かかる対称な結合回路網は、表面網フィルタが実質的に差分信号によっ
て駆動されるような所望の通過帯域における共通モード信号を抑圧し得ることに
なる。
図6を参照するに、フィルタ装置FARの入力端および出力端の信号接地に対
する接続は、上述のような対称のフィルタ装置を適用した場合には、なしで済ま
す。その場合、対称な出力信号を提供するチューナTUNが用いられるとともに
、対称な入力端を有するIF復調部IFDが用いられる。
最後に、本発明による受信機においては、表面波フィルタに先行する結合回路
網の成分要素がチューナに含まれていることがあり得ることに留意すべきである
。例えば、直列共振回路は、チューナモジュール、即ち、チューナ回路を備えた
金属函の一部をなしているのに対し、表面波フィルタと入力端子間に結合シタイ
ンダクタとはチューナモジュールの外側に在る。したがって、図6の仕切りは物
理的より寧ろ機能的なものである。