【発明の詳細な説明】
新規な腫瘍抑制遺伝子
本出願は、1993年12月20日に出願された米国特許出願第08/170,586号の一部継
続出願であり、その内容は、本開示物に参考として援用されている。
発明の背景
本発明は、腫瘍抑制遺伝子(アンチオンコジーン)の分野にあり、そして一般的
に種々のヒトガンの広範囲な腫瘍抑制遺伝子治療の実施のための生成物および方
法に関する。特に、本発明は、腫瘍細胞を治療するため、(1)本明細書でH-NUC
と称される新規なタンパク質をコードする核酸配列を含むベクターを投与する方
法、または(2)この核酸配列によりコードされる有効量のタンパク質を投与する
方法に関する。
ガンおよび腫瘍は、アメリカ合衆国で第2番目に一般的な死因であり、1年間
で450,000人の死人が生じる。3人に1人のアメリカ人がガンにかかっており、
そして5人に1人がガンで死んでいる(Scientific American Medicine 12部、I,
1,節1987年付け)。実際の進歩が、それらしいいくつかの環境および遺伝的な
ガンの原因を明らかにすることで行われているが、ガン死亡率に関する統計値は
、ガンならびに関連疾病および疾患の治療を実質的に改善する必要性を示す。
多数のガン遺伝子と称される遺伝子、すなわち、ガンの原因に関連づけられる
遺伝子は、ガンの遺伝型との関連で、および多数の十分に研究された腫瘍細胞中
で同定された。ガン遺伝子の研究は、腫瘍形成プロセスのいくらかの理解を提供
する助けをした。ガン遺伝子について学ぶべき非常に多くの事項が残っているが
、現在公知のガン遺伝子は、腫瘍形成を理解する有用な方法として役に立つ。
ガン遺伝子は、「オンコジーン」(これが活性化する場合、腫瘍形成を促進す
る)および「腫瘍抑制遺伝子」(これが傷害を受けた場合、腫瘍形成の抑制をしな
くなる)に大きく分類される。これらの分類は、腫瘍形成を概念化する有用な方
法を提供するが、特定の遺伝子が、この遺伝子の特定な対立遺伝子型、その調節
要素、遺伝的背景、およびそれが作動する組織環境に依存しながら異なる役目を
果たし得ることもあり得る。
広く考えられるガンの作業仮定は、以下のとおりである:(1)ほとんど全ての
ヒトのガンは遺伝子病である、および(2)それらは、特定の遺伝子(すなわち、
正常な細胞成長調節遺伝子の変異体、または哺乳動物細胞におけるウイルスまた
は他の外来遺伝子であり、それらは、他のクラスの生命にかかわる成長調節遺伝
子の不適切な、時期の違う、または異所性の発現を起こす)が発現するおよび/
または発現しないために生じる。
新形成に関する生物学的基本の極度に単純化された見解は、2つの主要なクラ
スのオンコジーンが存在するということである。第一のクラスは、細胞成長また
は複製の制御に関与する正常な細胞遺伝子の変異した対立遺伝子または他の異常
型対立遺伝子からなる。これらの遺伝子は、細胞性プロトオンコジーンである。
変異された場合、それらは、正常な細胞成長および複製を破壊する新たな細胞機
能をコードし得る。これらの変化の結果、優勢に発現した腫瘍の表現型を生成す
る。この優勢に発現したオンコジーンのモデルにおいて(これは新形成に関する
遺伝的および変異的基本の概念の出現からずっと優勢である見解であるが)、一
つの野生型対立遺伝子の持続力が、細胞の発生プログラムまたは成長特性におけ
る新形成の変化を妨げるのに十分でないことが想像される。従って、これらのオ
ンコジーンの活性化を担う遺伝学的事象は、「シングルヒット」事象として想像
され得る。バーキットリンパ腫におけるmyeオンコジーンの腫瘍形成活性の活性
化、慢性骨髄性白血病の患者におけるbcr-ablキメラ遺伝子産物の発現、他の腫
瘍におけるH-rasおよびK-rasオンコジーンの活性化は、臨床的なヒトガンにおけ
るこのようなトランスフォーミングオンコジーンの関与のいくつかの証拠を表わ
す。優勢に発現した新形成疾病の遺伝子に基づく治療へのアプローチは、おそら
く、原因となる遺伝子の発現の特異的な停止または不活性化を必要とし得る。
腫瘍抑制遺伝子
さらに最近に発見されたガン関連遺伝子のファミリーは、腫瘍抑制遺伝子と称
され、時折アンチオンコジーン、成長抑制因子、またはガン抑制遺伝子と言われ
る。最近の研究は、そのファミリーが、高いパーセントのヒトガンの発達に関連
するようであるのはこのクラスの遺伝子における機能を喪失した変異であること
を強く示唆している;1ダース以上の好適な候補ヒト腫瘍抑制遺伝子が、いくつ
かのヒトガンで同定された。網膜芽腫(rb)、乳ガン、結腸ガン、および他のがん
腫(p53)、ウィルムス腫(wt)、ならびに結腸ガン腫(dcc)の病因に関連する腫瘍抑
制遺伝子が、同定されそしてクローン化された。ヒト腫瘍形成におけるそれらの
役割のいくつかの局面が解明された。
網膜芽腫遺伝子(RB)は、腫瘍抑制の先駆けである。この遺伝子の変異が、種々
のヒト腫瘍に見出された(BooksteinおよびLee,Crit.Rev.Oncog.,2:211-227(
1991); GoodrichおよびLee,Biochim.Biophys.Acta.,1155:43-61(1993); Ril
eyら、Annu.Rev.Cell Biol.,10:1-29(1994))。正常なRBの1つのコピーの腫
瘍細胞への再導入は、ヌードマウスに腫瘍を形成する腫瘍細胞の能力を抑制する
(Huangら、Science,242:1563-1566(1988); Sumegiら、Cell Growth Differ.,1
:247-250(1990); Booksteinら、Science,247:712-715(1990); Chenら、Cell Gr owth Differ.
,3:119-125(1992); Goodrichら、Can.Res.,52:1968-1973(1992)
; Takahashiら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:5257-5261(1991))。さらに、
非リン酸化Rbタンパク質の、細胞周期のG1期の初期の細胞へのマイクロインジ
ェクションは、S期への進行をブロックし、このことはRbタンパク質は細胞成長
の調節プロセスに基本的に関係することを示唆している(Goodrichら、Cell,67:
293-302(1991))。これらの結果は、さらに、操作されたマウスの系統での最近の
観察により確認された。ヒトRBトランスジーン由来のRbタンパク質の過剰発現に
より、生物レベルの成長の遅延を生じる(Bignonら、Genes Dev.,7:1654-1662(1
993))。さらに、RB遺伝子のホモ接合型の不活性化により、機能的なRb発現を完
全に排除したマウス胚において、発生が未成熟のうちに停止し、そしてその胚は
子宮内で死ぬ(Leeら、Nature,359:288-294(1992); Jacksら、Nature,359:295-
300(1992); Clarkeら、Nature,359:328-330(1992))。これらの実験は、インビ
ボでの細胞成長および分化におけるRbタンパク質の重要性を確立する基本的なデ
ータを提供する。
RB遺伝子は、細胞周期依存様式で、セリン残基およびスレオニン残基の両方で
リン酸化される核タンパク質をコードしている(Leeら、Nature,329:642-645(1
987); Buchkovichら、Cell,58:1097-105(1989); Chenら、Cell,58:1193-1198(
1989); DeCaprioら、Cell,58:1085-1095(1989))。細胞周期のG1期の間、つま
り、マイクロインジェクション実験によると、タンパク質が活性であるとき、Rb
は、過剰リン酸化状態である(Goodrichら、Cell,67:293-302(1991); Goodrich
およびLee,Nature,360:177-179(1992))。過剰リン酸化Rbはまた、G0期にも
存在する。それは細胞をこの静止期に維持する重大な役割を果たすようであり、
静止期では、細胞が外部のシグナルに応答するために待機し、そして細胞周期に
入るかまたは分化するかを決定する(GoodrichおよびLee,Biochem.Biophys.Ac ta.
,1155:43-61 (1993); Pardee,A.B.,Science,246:603-608(1989))。
後のG1期、S期、およびM期の間、Rbは、おそらくCDKファミリーのキナー
ゼのメンバーにより過剰リン酸化される(Leesら、EMBO J.,10:4279-4290(1991)
; Linら、EMBO J.,10:857-864(1991); Huら、Mol.Cell.Biol.,12:971-980(
1992))。Rbの特定の残基のリン酸化は、細胞を増殖に拘束させるようである。Rb
タンパク質のリン酸化パターンは、成長阻害でのその機能に関連しており、それ
ゆえ、リン酸化がこのタンパク質の成長抑制機能をネガティブに調節していると
いう仮定が、現在受け入れられている(Hollingsworthら、Cuur.Opin.Genet.D ev.
,3:55-62(1993); Sherr,C.J.,Trend Cell Biol.,4:15-18(1994))。Rbタ
ンパク質の脱リン酸化は、M期の中間で起こり、そして次の細胞周期の前に、こ
のタンパク質の再活性化を生じる。証拠により、タイプ1プロテインホスファタ
ーゼがこの脱リン酸化に重要であることが示唆されている(Albertsら、Proc.Na tl.Acad.Sci.USA
,90:388-392(1993); Durfeeら、Genes Dev.,7:555-569(19
93))。
Rbがこれらの細胞活性に関与することによる分子機構は、完全には解明されて
いない。現在のモデルは、Rbが多くの異なる細胞タンパク質と相互作用し、そし
てこれらの複合体を介してその機能を実行し得ると考える。Rbタンパク質の機能
が細胞をG0/G1ステージで維持することであるならば、Rbは、G1進行への
移行に活性かつ必須である他のタンパク質を「閉じ込め」そして不活性化しなけ
ればならない(Leeら、CSHSOB,LVI: 211-217(1991))。この「閉じ込め」仮定は
、最近の観察と一致し、その観察とは、重要な成長促進転写因子であるE2F-1が
ネ
ガティブな方法でRbにより厳しく調節されるということである(Helinら、Cell,
70:337-350(1992); Kaelinら、Cell,70:351-364(1992); Shanら、Mol.Cell.B iol.
,12:5620-5631(1992); Helinら、Mol.Cell.Biol.,13:6501-6508(1993);
Shanら、Mol.Cell.Biol.,14:229-309(1994))。ここで開示されるタンパク質
H-NUCは、Rbタンパク質に結合し、従って、有糸分裂の調節に関与する。
家族性乳ガン遺伝子BRCA-1は、連鎖分析により染色体17q21-22にマップされた
。この遺伝子が腫瘍抑制因子または優勢なオンコジーンとして働くかどうかは明
らかでない。しかし、ヒト家族性ガン症候群(例えば、Li-Fraumeni症候群)に関
与する遺伝子、p53は、明らかに、古典的な腫瘍抑制として作用する;同様に、R
B遺伝子の欠失は、遺伝的な網膜芽腫に関連する(Knudson,1993,前出)。
多数の工程およびオンコジーンの協同作用
トランスフォーミングオンコジーンおよび純粋に劣性な腫瘍抑制遺伝子のこれ
ら2つの極端な概念の間に、多くのヒト腫瘍の特徴である新形成の変化の発達に
明らかに関与する多数の付加的な機構が存在する。ほとんどのヒトガンが、多数
の相互作用遺伝子欠失から生じるようであり、腫瘍の発達が生じるためにはそれ
らの内の1つだけでは不十分であり、それら全てが必要であると長年の間仮定さ
れている。哺乳動物細胞の新形成における細胞性プロトオンコジーンおよび成長
調節腫瘍抑制遺伝子の両方の本当の役割は、これら2種類の遺伝子の間での相互
作用の複雑なセットを示すことであると考えられる。
発明の要旨
本発明は、腫瘍抑制能力を有する新規なタンパク質(H-NUC)をコードする核酸
分子の発見に基づいている。この核酸分子は、第17染色体のq21-22領域にマップ
されている。H-NUCの特性(完全長cDNA由来のアミノ酸配列;DNAを結合し、転写
を活性する能力;いくつかの乳腫瘍細胞株におけるコード配列の再配列または欠
失)は、核タンパク質および腫瘍抑制タンパク質としてのH-NUCの独自性と全て一
致する。この新たに開示された完全長のcDNAは、新規な824アミノ酸タンパク質
をコードする。この新規なタンパク質は、TPR(テトラトリコペプチド(tetratric
o peptide))タンパク質ファミリーの特徴である10個の34アミノ酸の反復を含む
。
この核酸およびタンパク質H-NUCを用いる診断方法が開示される。本発明はま
た、内因性野生型H-NUCタンパク質を有さない樹立されたガン細胞において、新
形成表現型を抑制、根絶、または逆転するための野生型H-NUC腫瘍抑制遺伝子ま
たはタンパク質の投与に関する。本発明は、野生型H-NUC遺伝子の樹立されたガ
ン細胞への投与が、野生型H-NUCタンパク質を欠いている樹立されたヒトガン細
胞の新形成表現型または特性を抑制または逆転することを初めて示した。次に、
新形成表現型のこの抑制は、このようなガン細胞の異常な塊(すなわち、腫瘍)を
抑制または根絶した。このことは次に、このような動物の腫瘍の負担を減少し得
、このことは次に、処理動物の生存を増加し得る。モニターおよび逆転される新
形成特性は、正常なH-NUCタンパク質を欠くガン細胞の形態、成長、および最も
重要な腫瘍形成を含む。従って、動物における「腫瘍細胞の負担の減少」は、野
生型H-NUC腫瘍抑制遺伝子の投与後の「新形成表現型の抑制」の結果である。「
新形成表現型」は、細胞の特徴(例えば、形態、成長速度(例えば、倍加時間)、
飽和密度、軟寒天コロニー形成、および腫瘍性(tumoricity))における表現型の
変化を意味すると理解される。
従って、本発明は、腫瘍またはガンの処置で使用するH-NUCをコードするベク
ターおよびH-NUCタンパク質、ならびに処置方法での使用に適切なH-NUCタンパク
質およびベクターを調製する方法を提供する。
本発明はまた、哺乳動物、例えば、ヒトの処置方法、およびガンまたは腫瘍細
胞の様な異常増殖細胞の処置方法、もしくは新形成表現型を抑制する方法を提供
する。広くは、本発明は、異常増殖細胞、または異常増殖細胞により特徴づけら
れる疾病を有する哺乳動物を、適切な方法により処置することを意図する。その
適切な方法は、宿主細胞適合性のH-NUCをコードするベクターまたはH-NUCタンパ
ク質を、処置されるべき細胞に入れ、そのために増殖の抑制が達成されることが
公知である。
1つの実施態様では、本発明は、哺乳動物における異常増殖細胞により特徴づ
けられる疾病を、異常増殖細胞により特徴づけられる疾病を有する哺乳動物に、
H-NUCをコードする発現ベクターを投与する工程、前記発現ベクターを異常増殖
細胞に挿入する工程、および前記異常増殖細胞においてH-NUCをこれらの細胞の
増殖の抑制に有効な量で発現させる工程により処置する方法を包含する。発現ベ
クターは、異常増殖細胞に、ウイルス感染または形質導入、リポソーム仲介トラ
ンスフェクション、ポリブレン(polybrene)仲介トランスフェクション、CaPO4仲
介トランスフェクション、およびエレクトロポレーションにより挿入される。処
置は、必要な場合繰り返される。
他の実施態様では、本発明は、H-NUCをコードする発現ベクターを異常増殖細
胞に挿入する工程、およびそこでH-NUCをこれらの細胞の増殖の抑制に有効な量
発現する工程により、哺乳動物の異常増殖細胞を処置する方法を包含する。処置
は、必要な場合繰り返される。
もう一つの他の実施態様では、本発明は、異常増殖細胞の成長を抑制し得るDN
A分子を提供する。DNA分子はRb結合タンパク質をコードし、このRb結合タンパク
質はC末端の9つのテトラトリコペプチド反復とその少なくとも60%相同性を有
する部分配列を含み、ここでDNA分子はまた、S.pombe酵母NUC2、Aspergillas n idulans
bimAおよびCDC27をコードしない。このようなRb結合タンパク質の例は
、実質的に配列番号2によるアミノ酸配列を有するH-NUCタンパク質である。さ
らに好ましい実施態様では、DNA分子は、配列番号1のDNA配列を有し、そして発
現ベクターにより発現される。発現ベクターは、任意の宿主細胞適合性ベクター
であり得る。ベクターは、好ましくは、レトロウイルスベクター、アデノウイル
スベクター、およびヘルペスウイルスベクターからなる群から選択される。
もう一つの他の実施態様では、本発明は、実質的に配列番号2によるアミノ酸
配列を有するH-NUCタンパク質およびその生物学的に活性なフラグメントを提供
する。
もう一つの他の実施態様では、本発明は、以下の工程によりH-NUCタンパク質
を生産する方法を提供する:H-NUCコード遺伝子を含む適合性発現ベクターを宿
主細胞に挿入する工程、および宿主細胞にH-NUCタンパク質を発現させる工程。
もう一つの他の実施態様では、本発明は、以下の工程によりエクスビボで哺乳
動物の異常増殖細胞を処置する方法を包含する:処置が必要な組織試料を哺乳動
物から除去する工程、この組織試料は異常増殖細胞を含む;処置が必要な組織試
料を有効用量のH-NUCをコードする発現ベクターと接触させる工程;異常増殖細
胞でH-NUCを異常増殖細胞の増殖の抑制に有効な量で発現させる工程。処置は、
必要な場合繰り返される;そして処置した組織試料は元のまたは他の哺乳動物に
戻される。好ましくは、エクスビボで処置した組織は、血液または骨髄組織であ
る。
もう一つの他の実施態様では、本発明は、哺乳動物における異常増殖細胞によ
り特徴づけられる疾病を、異常増殖細胞により特徴づけられる疾病を有する哺乳
動物にH-NUCタンパク質を投与する工程を包含するプロセスにより処置する方法
を包含し、こうしてH-NUCタンパク質は、異常増殖細胞に細胞の異常増殖の抑制
に有効な量で挿入される。好ましい実施態様では、H-NUCタンパク質は、処置さ
れるべき細胞への挿入のためにリポソームカプセル化されている。処置は、必要
な場合繰り返される。
もう一つの他の実施態様では、H-NUC遺伝子とハイブリダイズし得るオリゴヌ
クレオチドフラグメント、およびこのようなフラグメントを用いるアッセイが提
供される。これらのオリゴヌクレオチドは、少なくとも5ヌクレオチドを含み得
るが、約20〜約30のオリゴヌクレオチドからなるそれらが好ましい。これらのオ
リゴヌクレオチドは、任意に放射性同位元素(例えば、トリチウム、32リン、お
よび35硫黄)、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、および西洋ワサビペルオ
キシダーゼ)、蛍光化合物(例えば、フルオレセイン、エチジウム、テルビウム(t
erbium)キレート)、または化学発光化学物(例えば、アクリジニウムエステル、
イソルミノールなど)で任意に標識され得る。これらおよび他の標識(例えば、「
非放射性同位元素性DNAプローブ技法」、L.J.Kricka編、Academic Press,New Y
ork,1992,(本明細書中で参考として援用される)に示されるもの)が、本発明の
オリゴヌクレオチドとともに用いられ得る。それらは、サザンおよびノーザンブ
ロッティングのような従来の様式でのDNAプローブアッセイで使用され得る。こ
のような従来の様式の記載は、例えば、「核酸ハイブリダイゼーション−実用的
なアプローチ」、B.D.HamesおよびS.J.Higgins編、IRL ress,Washington,
D. C.,1985,(本明細書中に参考として援用される)に見出される。好ましくは
、これらのプローブはストリンジェントな条件下でH-NUC遺伝子とハイブリダイ
ズし得る。オリゴヌクレオチドはまた、ポリメラーゼ連鎖反応技法でプライマー
とし
て用いられ得、これらの技法は、例えば、「PCR工学」、H.A.Ehrlich編、Stock
ton Press,New York,1989,および同様の参考文献に記載されている。
図面の説明
図1Aおよび1Bは、RBの類似の領域がH-NUCおよびT抗原の結合に必要であ
ることを示す。図1Aは、結合ドメインを決定するために用いたGa14-RB融合物
の略図である。Ga14DNA結合ドメイン(アミノ酸1-147)は、種々のRB変異体に融合
されている。RBのT/E1A結合ドメインを斜線の箱として示す。変異により影響を
及ぼされたドメインを、斑点の箱として示す。図1Bは、インビボでH-NUCとRB
変異体との間の相互作用の検出を示す。Y153を、示されたGal4-RB変異体のパネ
ルで、およびGal4-(H-NUC)発現クローン(Gal4-(C-49))またはYIpPTG10のいずれ
かで同時形質転換した。β−ガラクトシダーゼ活性のクロロフェニル−レッド−
β−D−ガラクトピラノシド比色アッセイ(CPRG)定量を、各々の形質転換につい
て3点平行で、Durfeeら、Genes Devel. 7:555-569(1993)(本明細書に参考とし
て援用される)に記載されるとおり行った。
図2Aおよび2Bは、H-NUCが非リン酸化RBに結合することを示す。図2Aは
、GSTならびにH-NUCをコードするcDNAとのインフレームGST融合物(GST-491)およ
びSV40T抗原のアミノ末端の273アミノ酸とのインフレームGST融合物(GST-T)が、E. coli
で発現されたことを示す。GSTおよびGST融合物を、グルタチオン−セフ
ァロースビーズに結合し、そして十分に洗浄した。試料を、SDSポリアクリルア
ミドゲルのクマシーブルー染色により定量し、そして等量のタンパク質量を各レ
ーンで用いた。図2Bで示すものは、結合した試料と30分間室温で混合したWR2E
3細胞から作成した抽出物である。十分に洗浄した後、複合体をSDSポリアクリル
アミドゲルにより分離し、イムノブロッティングのために移した。WR2E細胞に存
在するRBタンパク質の量およびそのリン酸化の程度を、抗Rb mAb 11D7抗体との
免疫沈降により決定した(レーン1)。ブロットを、抗RB mAb 11D7でプローブし
、そしてフルオログラフィーにより可視化した。
図3は、完全長のH-NUC cDNAおよびタンパク質のヌクレオチド(配列番号1)配
列および推定アミノ酸(配列番号2)配列である。
図4Aおよび4Bは、完全長のH-NUCがテトラトリコペプチド反復(TPR)ファミ
リーのタンパク質のメンバーをコードすることを示す。図4Aは、H-NUCタンパ
ク質、Schizosaccharomyces S.pombe nuc2+タンパク質、およびAspergillus ni dulans
bimAタンパク質(配列番号4〜30)における10個の34残基ポリペプチド単
位の反復の位置を示す。nuc2+タンパク質、H-NUCタンパク質、およびbimAタンパ
ク質における10個(0-9)の34残基ポリペプチド単位の反復(TPR)の位置を示すスケ
ッチである。3つのポリペプチドの単位反復3(斜線の箱により示す)(34v-反
復と称される)は、保存モチーフを欠いている。図4Bは、nuc2+タンパク質、-H
-NUCタンパク質、およびbimAタンパク質における9TPR単位反復(1-9)(配列番号
4〜30)のアミノ酸配列のアラインメントてある。保存残基を箱で囲っている。
全ての3つのタンパク質のTPR単位反復6は、6位にグリシンを含む。nuc2の反
復6におけるGly6は、必須であると考えられている。
図5Aおよび5Bは、H-NUCのC末端TPR反復がRBタンパク質に結合することを
示す。図5Aは、結合ドメインを決定するために使用したGal4-H-NUC融合物の略
図である。Gal4トランス活性化ドメインは、種々のH-NUC欠失変異体に融合して
いる。-H-NUCのTPR単位反復を、斜線の箱として示す。図5Bは、インビボでのR
BとH-NUCの欠失変異体との間の相互作用の検出を示す。Y153を、示されたGal4-H
-NUC変異体のパネルで、およびGal4-RB2またはGal4-H209のいずれかで同時形質
転換した。β−ガラクトシダーゼ活性のCPRG定量を、各々の形質転換について3
点平行で行った。
図6Aおよび6Bは、640位のアミノ酸残基である必須なグリシンでの変異が
、非許容温度でRBへの結合を減少する温度感受性H-NUC変異体を生じることを示
す。図6Aは、H-NUC(640D)のアミノ酸置換を詳述している(配列番号31〜33)。n
uc2の必須なグリシン(G)(アミノ酸540)は、温度感受性変異体ではアスパラギン
酸(D)(配列番号34および35)で置換された。従って、H-NUCの640位のアミノ酸残
基であるグリシンを、アスパラギン酸(D)に変化させた。図6Bは、37℃でのRB
とH-NUC(640D)との間の相互作用を示す。Y153を、Gal4-RB2で、およびGal4-H-NU
CまたはGal4-H-NUC(640D)のいずれかで同時形質転換した。形質転換体を、液体
培地で28℃で24時間培養した。酵母一夜培養物を、新鮮な培地で希釈し、そして
37℃
で培養した。酵母培養物のアリコートを、様々な時点で採取し、酵母の成長(OD6
60)およびβ−ガラクトシダーゼ活性を測定した。β−ガラクトシダーゼ活性のC
PRG定量を、各々の形質転換について3点平行で行った。
図7Aおよび7Bは、H-NUCに対する抗血清の生成およびヒト細胞株におけるH
-NUCの検出を示す。図7Aでは、Gst-491融合タンパク質を、マウスを免疫化す
るために使用した。免疫前血清(レーン1)、免疫血清(レーン2)、Gstタンパク
質とともに予めインキュベートした免疫血清(レーン3)、およびGst-491タンパ
ク質とともに予めインキュベートした免疫血清(レーン4)を、免疫沈降のために
使用した。S35標識した細胞溶解物を、K-562細胞から調製した。等量の細胞溶解
物を、免疫沈降のために使用した。生じた免疫沈降物を、SDSポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動で分離した。図7Bでは、S35標識した細胞溶解物を、CV-1細胞
から調製した。等量の細胞溶解物を、免疫前血清(レーン1)または免疫血清(レ
ーン2および3)による免疫沈降のために使用した。生じた免疫沈降物を、200μ
lの2%SDS含有溶液中で煮沸することにより変性し(レーン3)、そして200μlの
NETN緩衝液で希釈した。免疫沈降物を、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で
分離した。矢印で示される90KDのタンパク質は、免疫血清により特異的に認識さ
れた。
図8は、H-NUCタンパク質が、DNA結合活性を有することを示す。S35メチオニ
ンで代謝的に標識したK562のタンパク質溶解物を、二本鎖仔ウシ胸腺DNAセルロ
ースカラムに通し、そして濃度が増加するNaClで溶出した。溶出物を、(A)RBタ
ンパク質を位置付けるためのmAb 11D7、または(B)H-NUCを位置付けるためのH-N
UCを認識する免疫血清のいずれかで免疫沈降した。(C)溶出物のアリコートをま
た、グルタチオンセファロースビーズとともにインキュベートするために使用し
た。
図9は、H-NUCをコードする遺伝子が染色体17q21-22に位置することを示す。
図10Aおよび10Bは、プローブとしてH-NUCを用いる乳腫瘍細胞DNAのサザ
ンブロッティング分析の結果である。DNAを細胞株から抽出しそしてEcoRIで切断
した。図10Aでは、プローブされた細胞株由来のブロットは、全て正常である
。図10Bでは、H-NUC遺伝子のホモ接合型欠失が、細胞株T47DおよびMB157で明
らかであった。細胞株MB231、BTO578-7、およびBT549に見られる遺伝子のヘテロ
接
合型欠失は、14kbpのEcoRIフラグメントへの減少したハイブリダイゼーションに
より示唆される。
図11は、AC-H-NUCがインビトロでT-47D乳腫瘍細胞における細胞成長を阻害す
ることを示す。上部左は、ACN(MOI 10)で3日間感染させ、クリスタルバイオ
レットて染色したMDA-MB-231細胞を示す。上部右は、ACN(MOI 10)で感染させ
たT-47D細胞を示す。下部左は、AC-H-NUC(MOI 10)で感染させたMDA-MB-231細
胞を示す。下部右はAC-H-NUCで感染させたT-47D細胞を示す。(+/-)は、MDA-MB
-231細胞がH-NUCについてヘテロ接合型であることを示す。(-/-)は、T-47D細
胞がH-NUCのホモ接合型欠失を含むことを示す(参考、Lee,W.H.)。AC-H-NUCは
、ヒトCMVプロモーターの制御下のH-NUC腫瘍抑制遺伝子を含む組換えヒトアデノ
ウイルスである。ACNは、H-NUC腫瘍抑制遺伝子を含まない同じ組換えヒトアデノ
ウイルスベクターである。
図12は、AC-H-NUCがT-47D腫瘍細胞成長をインビトロで抑制することを示す。T
47-D(H-NUCが欠失している)およびMDA-MB-231(H-NUCがヘテロ接合型である)
乳ガン細胞を96ウェルプレート中にプレーティングし、そしてAC-H-NUCまたはAC
Nを用いて10および100の感染多重度(4点平行)で処理した。細胞を5日間成長
させ、そして細胞の核酸に取り込まれた3H-チミジンを、増殖の尺度として使用
した。AC-H-NUCについてのデータ(平均±SD)を、対応するMOIにおけるACNコン
トロールの平均増殖の百分率としてプロットした。
図13は、AC-H-NUCがヌードマウスにおけるT-47D腫瘍成長を抑制することを示
す。T-47Dヒト乳ガン細胞を、ACNまたはAC-H-NUCを用いて感染多重度30(N=4
/群)でエクスビボで処理した。約107の細胞をヌードマウスの側腹部内に皮下
注射し、各々の動物は一方の側腹にACN処理細胞を、反対側の側腹にAC-H-NUC細
胞を受けた。腫瘍サイズをカリパスで測定し、腫瘍体積の概算を、球面幾何学を
仮定して算出した。平均(±SD)腫瘍体積を、ACNおよびAC-cBTSG細胞から生じた
腫瘍についてプロットする。非処理細胞由来の両側の腫瘍の平均(±SD)体積を比
較のためにプロットする。
発明の詳細な説明
本発明は、H-NUCと命名された新規な哺乳動物タンパク質を提供する。H-NUCは
824アミノ酸からなり(図3)、約95kDの分子量を有し、そして非リン酸化、完
全長網膜芽細胞腫(RB)タンパク質と相互作用することが見出されている。C末
端領域の最後の6つの「TPR」領域(「tetratricopeptide、34アミノ酸反復配列
」)を含む、言い換えるとアミノ酸番号559から770を含むH-NUC誘導体(例えば
、短縮型のH-NUCタンパク質)は、野生型Rbタンパク質に結合することが見出さ
れている。このタンパク質の網膜芽細胞腫結合機能を破壊する変異は、RB陰性細
胞(例えば、乳ガン細胞)の特徴である過剰増殖性病理に寄与し得る。
H-NUCタンパク質はヒトタンパク質であり、それゆえヒト組織から精製され得
る。「精製された」は、H-NUCタンパク質または核酸配列の状態を描写するため
に使用する場合、その天然環境においてH-NUCタンパク質またはH-NUCをコードす
るDNAに通常結合するまたはともに生じる他のタンパク質および分子がないタン
パク質またはH-NUCをコードするDNAを表す。本明細書中で用いる用語「天然」は
、自然から単離された、または内部にアミノ酸の改変(例えば、置換、欠失また
は付加)のないDNA、タンパク質、ポリペプチド、抗体、またはそれらのフラグ
メントの形態を言う。SDSゲルから精製された95 kd H-NUCタンパク質の回収は、
当業者に公知の方法を使用して達成され得る。例えば、以下でより詳細に記載す
るようにまずH-NUCを含有する細胞抽出物を抗H-NUC抗体と反応させて沈澱させる
。タンパク質抗体複合体を分離し、95 kd H-NUCタンパク質を、Fischerら、Tech niques in Protein Chemistry
,T.E.Hugli編、Academic Press,Inc.,pp.36-41
(1989)、本明細書で参考として援用する、に記載のようにSDSゲルから溶出によ
り回収する。
本明細書中で用いる用語「過剰増殖性細胞」は、自己成長能を有する(すなわ
ち正常な調節機構とは独立して存在し再生する)細胞を包含するが、これに限定
されない。過剰増殖性疾患は、病的(すなわち、正常細胞から逸脱する特性を表
すまたは構成する疾患)として類別され得、あるいは非病的(すなわち、正常か
ら逸脱しているが病状に関連していない)として類別され得る。病的な過剰増殖
性細胞は、以下の病状の特徴である。すなわち、甲状腺過形成(thyroid hyperp
lasia)−グレーヴス病、乾癬、良性前立腺肥大、Li-Fraumeni症候群、乳ガン、
肉腫および他の新生物、膀胱ガン、結腸ガン、肺ガン、種々の白血病およびリン
パ腫を含むガンなどである。非病的過剰増殖性細胞の例は、例えば、泌乳発達中
の乳管上皮細胞において、および創傷治癒に関連する細胞においても見出される
。病的過剰増殖性細胞は、接触阻止の損失および選択的に接着する能力の低下を
特徴的に示す。これらは、細胞の表面特性における変化および細胞内伝達のさら
なる崩壊を意味する。これらの変化は、分裂の刺激およびタンパク質分解酵素の
分泌能を包含する。さらに、H-NUCタンパク質またはこのタンパク質をコードす
る核酸の導入による損失したH-NUC機能の再導入または補充は、細胞を非過剰増
殖性状態に回復し得る。次いで細胞の悪性増殖を停止し得る。
当業者に公知なように、用語「タンパク質」は、ペプチド結合により特定の配
列で連結されたアミノ酸の直鎖状ポリマーを意味する。本明細書中で用いられる
用語「アミノ酸」は、特に命名しない限り、アミノ酸のDまたはLのいずれかの
立体異性体を言う。精製されたH-NUCタンパク質の生物学的活性を有する、H-NUC
短縮型タンパク質、ポリペプチド、またはH-NUCペプチドのようなH-NUC誘導体ま
たは等価物はまた、本発明の範囲に包含される。「H-NUC誘導体」は、自然に生
じるタンパク質またはポリペプチドの直線配列から離れるが、生じるH-NUC誘導
体がH-NUCの生物学的活性を保持するようにアミノ酸改変(すなわち、置換、欠
失、または挿入)を有する化合物を言う。「生物学的活性」または「生物学的に
活性な」は、非リン酸化網膜芽細胞腫タンパク質p110RBに結合する能力を有する
1つの局面を意味する。H-NUCのRbへの結合は、例えば高度に保存されるグリシ
ン(アミノ酸640)をアスパラギン酸に変化させると、37℃で失われる。これら
のH-NUC誘導体は、例えば同様に荷電したアミノ酸などの関連アミノ酸での1以
上のアミノ酸の置換または挿入、あるいは側鎖または官能基の置換または修飾に
より、天然の配列とは異なる。
制限された修飾をH-NUCの一次配列にその生物学的機能を破壊することなく作
製し得、そして活性をもたらすためには(その1つの局面はp110RBに結合する能
力である)全体の一次構造の一部分だけが要求され得ることがさらに理解される
。p110RBをコードする核酸配列は、Lee,W.-H.ら、Science 235:1394-1399(1987
)、本明細書中で参考として援用する、で公開されている。その生物学的機能の
別の
局面は、DNAに結合するH-NUCの能力である。DNAに結合する能力は、当業者によ
り、Lee,W.-H.ら、Nature(London)329:642-645(1987)、本明細書中で参考と
して援用する、に記載の方法を用いて測定し得る。1つの生物学的に活性なH-NU
C誘導体は、H-NUCのC末端の最後の6つのTPR領域を含むタンパク質および融合
タンパク質-Gal4-C49であり、それぞれを後述する。Gal4-C49誘導体は、図3に
示すアミノ酸559から配列の終点までの配列(配列番号3)を有する。TPR含有誘
導体は、図3に示すアミノ酸559から770の配列を有する。さらに、既に記載した
Gal4-C49融合タンパク質またはTPR誘導体に加えて、図3に示すアミノ酸配列の
フラグメントで、全体のタンパク質の機能を保持するフラグメントは、H-NUC誘
導体の定義の中に含まれる。これらのH-NUC誘導体は、図3の核酸分子の制限酵
素消化および生じたフラグメントの組換え発現により生成され得る。一次アミノ
酸配列のマイナーな修飾が、図3に記載される配列と比較して実質的に等価なま
たは増強された機能を有するタンパク質を生じ得る。これらの修飾は、部位特異
的変異導入によるように故意であり得、またH-NUC産生体である宿主中での突然
変異のように偶発的であり得る。これらすべての修飾は、H-NUCの生物学的な機
能が保持される限り含まれる。
「阻害的に活性な」はまた、それによってタンパク質の正常な機能を阻害し、
それによって宿主細胞分裂および/または宿主細胞増殖を仲介するべきH-NUCの
生物学的役割を阻害する、優勢の負の様式で作用するH-NUCタンパク質のフラグ
メントおよび変異体(「ムテイン」)を意味する。これらのタンパク質およびフ
ラグメントは、当業者に周知の化学的方法で作製し得る。ムテインおよび阻害的
に活性なフラグメントは、治療的に細胞の過剰増殖を促進するためおよび抗体の
ような診断試薬を生成するために有用である。
これらの薬剤は、細胞の成長または増殖を、下記の方法によりインビトロまた
はインビボで細胞とこの薬剤とを接触させることにより促進または阻害するため
に有用である。従って、本発明はまた、乳ガン細胞などの過剰増殖性細胞のよう
な細胞の成長または増殖を、細胞と薬剤とを接触させることにより阻害する方法
を提供する。また、乳ガンなどの過剰増殖性細胞成長によって特徴付けられる病
理を、これらの薬剤を適切な被験体に細胞増殖が阻害されるために有効な濃度で
投与することにより治療する方法を提供する。この方法のために適切な被験者は
、脊椎動物、サル、マウス、およびヒト患者を包含するがこれらに限定されない
。
本発明はまた、上記の物質の任意の組成物および1以上の薬学的に受容可能な
キャリアを含有する薬学的組成物を提供する。薬学的に受容可能なキャリアは当
該分野に周知であり、生理学的緩衝化食塩水のような水溶液または他の溶媒また
はグリコール、グリセロール、植物油(例えば、オリーブ油)または注射可能な
有機エステルのようなベヒクルを包含する。薬学的に受容可能なキャリアは、H-
NUCまたはその前駆体を細胞にインビトロでまたは被験体にインビボで投与する
ために使用され得る。
薬学的に受容可能なキャリアは、例えば、タンパク質またはポリペプチドを安
定化するためにあるいは薬剤の吸収を増加または減少させるために作用する生理
学的に受容可能な化合物を含有し得る。生理学的に受容可能な化合物は、例えば
、グルコース、スクロース、またはデキストランのような炭水化物、アスコルビ
ン酸のような抗酸化剤、キレート剤、低分子量タンパク質あるいは他の安定化剤
または賦形剤を包含し得る。他の生理学的に受容可能な化合物は、湿潤剤、乳化
剤、分散剤、または保存剤(これらは微生物の成長または作用の防止するために
特に有用である)を包含する。種々の保存剤が周知であり、例えばフェノールお
よびアスコルビン酸を包含する。当業者は、薬学的に受容可能なキャリア(生理
学的に受容可能な化合物を包含する)の選択が、ポリペプチドの投与経路および
特定のポリペプチドの特定の生理化学的(physio-chemical)特徴によることを
知るであろう。例えば、アルミニウムモノステレートまたはゼラチンのような生
理学的に受容可能な化合物は、遅延剤(これは被験体に投与された薬学的な組成
物の吸収速度を延長する)として特に有用である。キャリア、安定化剤、または
アジュバントのさらなる例は、Martin,Remington's Pharm.Sci.,第15版(Mac
k Publ.Co.,Easton,1975)、本明細書中で参考として引用する、に見出され
得る。薬学的化合物はまた、所望される場合は、リポソーム、ミクロスフェア、
または他のポリマーマトリックスに取り込まれ得る(Gregoriadis,Liposome Te chnology
,第1巻(CRC Press,Boca Raton,Florida 1984)、本明細書中で参考
として引用する)。例えば、リン脂質または他の脂質からなるリポソームは、製
造およ
び投与が比較的簡単な非毒性な、生理学的に受容可能な、そして代謝可能なキャ
リアである。
精製されたH-NUC(タンパク質)またはH-NUC(核酸)の薬学的組成物は、乳ガ
ン細胞のような細胞の成長を、精製されたH-NUC、または活性なフラグメント、
またはこれらのポリペプチドもしくはタンパク質を含有する組成物と細胞とを接
触させることにより阻害するために有用である。
本発明の目的のためには、接触はインビトロで、エクスビボで、またはインビ
ボでもたらされ得る。細胞がインビトロで阻害される場合、接触は本発明の核酸
またはタンパク質の組成物と細胞培養培地を混合し、次いで細胞を供給するある
いは培地に核酸組成物またはタンパク質を直接添加することによりもたらされ得
る。有効量を決定する方法は、当業者に周知である。
本方法はまた、被験体中の異常増殖細胞に関連する病理をインビボで処置また
は防止するために有用である。従って、接触がインビボでもたらされる場合は、
本発明の組成物の有効量は、被験体中の細胞の増殖を阻害するために有効な量で
被験体に投与される。本発明の目的のためには、「被験体」は、動物、哺乳動物
、ヒト、またはラットのような任意の脊椎動物を意味する。本方法は、非機能的
H-NUCタンパク質産生を有する患者中の乳ガンを処置または防止するために特に
有用である。
薬品の投与方法は、当該分野に周知であり、経口投与、静脈内投与、筋肉内投
与、または腹腔内投与を包含するが、これらに限定されない。投与は連続的また
は断続的にもたらされ得、他の治療的な組換えタンパク質の場合のように被験体
により変化する(Landmannら、J.Interferon Res. 12(2):103-111 (1992); Aul
itzkyら、Eur.J.Cancer 27(4):462-467(1991); Lantzら、Cytokine 2(6):402-
406(1990); Supersaxoら、Pharm.Res. 5(8):472-476(1988); Demetriら、J.Cl in.Oncol.
7(10):1545-1553(1989); およびLeMaistreら、Lancet 337:1124-112
5(1991))。
精製された哺乳動物H-NUCタンパク質、H-NUC誘導体、ムテイン、その活性なフ
ラグメント、および抗H-NUC抗体に対応するアミノ酸配列をコードする単離され
た核酸分子が、本発明によりさらに提供される。本明細書中で用いられる「核
酸」は、一本鎖および二本鎖のDNA、cDNA、およびmRNAを意味する。1つの実施
態様において、H-NUCタンパク質およびフラグメントをコードするこの核酸分子
は、図3に示す配列またはその部分を有する。核酸分子またはその相補物(例え
ば、図3に示される配列)にストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸
分子はまた、本発明の範囲に含まれる。そのようなハイブリダイズする核酸分子
またはプローブは、例えば図3の核酸分子のニックトランスレーションにより調
製し得、この場合ハイブリダイズする核酸分子は、その配列が図3に示される分
子のランダムなフラグメントであり得る。そのようなフラグメントの調製のため
の方法論については、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual C
old Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)、本明細書中で参
考として引用する、を参照のこと。少なくとも10ヌクレオチドの核酸フラグメン
トが、ハイブリダイゼーションプローブとして有用である。単離された核酸フラ
グメントはまた、新規なペプチドを生成するために有用である。これらのペプチ
ドはまた、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の生成のための免疫原
として有用である。プローブおよび免疫原の調製法および使用法は当該分野に周
知である。
核酸配列はまた、細胞分裂および細胞増殖を阻害するために有用である。核酸
分子を細胞に挿入し、この細胞を、核酸にコードされるH-NUCタンパク質が、細
胞の成長を阻害するために有効な濃度になるような条件で成長させる。本発明の
目的のためには、核酸をリポソームまたは脂質化(lipidated)DNAによりまたは
Sambrookら、上記、本明細書中で参考として引用する、で開示されるウイルスベ
クターのような他の遺伝子キャリアーにより挿入し得る。変異H-NUCタンパク質
産生を有する乳ガン細胞は、本方法により利益を受ける細胞である。
遺伝子移入によるヒトの疾患の治療は、現在では理論上の範囲から実用上の範
囲に移行している。最初のヒト遺伝子治療試行は、1990年9月に開始され、アデ
ノシンデアミナーゼ(ADA)遺伝子の患者のリンパ球への移入に関しており、こ
の患者は、免疫不全を生じる致死的なこの酵素の欠損を有していた。この最初の
試行の結果は非常に励みになり、さらなる臨床的試行を刺激することを助けた(
Culver,K.W.,Anderson,W.F.,Blease,R.M.,Hum.Gene.Ther.,1991 2:1
07)。
今までのところ、ヒトにおける承認された遺伝子移入試行のほとんどは、遺伝
子形質導入のためのレトロウイルスベクターに依存している。この情況でのレト
ロウイルスベクターは、ベクターで感染させられた細胞中でウイルスタンパク質
が生成されないようにすべてのウイルス遺伝子が取り除かれているかまたは改変
されているレトロウイルスである。ウイルスの複製機能は、すべてのウイルスタ
ンパク質を産生するが感染性ウイルスを産生しないレトロウイルス「パッケージ
ング」細胞の使用により提供される。レトロウイルスベクターDNAのパッケージ
ング細胞への導入は、ベクターRNAを有し、標的細胞に感染し得るが、感染後さ
らなるウイルス伝播を生じないビリオンの産生を生じる。このプロセスを、ウイ
ルスが複製および伝播をし続ける自然のウイルス感染と区別するために、用語「
形質導入」が、感染よりむしろしばしば用いられる。
例示のみの目的のためでは、核酸の挿入のための送達システムの1つには、複
製不能レトウイルスベクターがある。本明細書中で用いられる用語「レトロウイ
ルス」は、分裂中の細胞に核酸を選択的に標的して導入する能力を有するベクタ
ーまたは送達ベヒクルを包含するが、これに限定されない。本明細書中で用いら
れる用語「複製不能」は、感染された宿主細胞におけるベクターの伝播を予め排
除する、ウイルスタンパク質の産生不能として定義される。
複製不能レトロウイルスベクターの別の例はLNL6である(Miller,A.D.ら、Bi oTechniques
7:980-990(1989))、本明細書中で参考として援用される。遺伝子
マーカーのレトロウイルス仲介遺伝子移入のための複製不能レトロウイルスの使
用方法論は、十分に確立されている(Correll,P.H.ら、PNAS USA 86:8912(1989
); Bordignon, C.ら、PNAS USA 86:8912-52(1989);Culver, K.ら、PNAS USA88:3
155(1991); Rill,D.R.ら、Blood 79(10):2694-700(1991))、それぞれを本明細
書中で参考として援用する。臨床研究は、ウイルスベクターに関連する悪影響は
ほとんどまたは全くないことを示す(Anderson,Sience,256:808-13)。
レトロウイルスベクターの遺伝子治療のための主要な有利性は、その複製中の
細胞への遺伝子移入の高効率、移入された遺伝子の細胞DNA内への正確な組み込
み、および遺伝子形質導入後のさらなる配列の伝播がないことである(Miller,
A.D.,Nature,1992,357:455-460)。
レトロウイルスベクター産生中の複製可能(ヘルパー)ウイルス産生の潜在性
は懸念を残すが、実用目的のためには、この問題は解決されている。今までのと
ころ、すべてのFDA承認レトロウイルスベクターは、PA317両種性レトロウイルス
パッケージング細胞を使用して作製されている(Miller,A.D.,およびButtimor
e,C.,Molec.Cell Biol.,1986 6:2895-2902)。PA317細胞内のウイルス配列
と重複をほとんどまたは全く有さないベクターの使用は、そのような事象を増幅
させる厳密なアッセイによるヘルパーウイルス産生さえも排除する(Lynch,C.M
.,およびMiller,A.D.,J.Viral.,1991,65:3887-3890)。他のパッケージング
細胞が利用可能である。例えば、異なるレトロウイルスコード領域を異なるプラ
スミド上に分離するために設計された細胞株は、組換えによるヘルパーウイルス
産生の可能性を減少させるはずである。このようなパッケージング細胞株により
産生されるベクターはまた、ヒト遺伝子治療のための効率的なシステムを提供し
得る(Miller,A.D.,1992 Nature,357:455-460)。
非レトロウイルスベクターが、遺伝子治療における使用について考慮されてい
る。そのような代替物の1つはアデノウイルスである(Rosenfeld,M.A.,ら、19
92, Cell,68:143-155; Jaffe,H.A.ら、1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,8
9:6482-6486)。アデノウイルスベクターの主要な有利性は、その大きなDNAのセ
グメント(36 kbゲノム)を運ぶ潜在性、非常に高い力価(1011/ml)、インサイ
チュで組織(特に肺)に感染する能力である。今までのところ最もめざましいこ
のベクターの使用は、コットンラットの気道上皮に気管内点滴によりヒト膵嚢胞
性線維症膜貫通型コンダクタンスレギュレーター(CFTR)遺伝子を送達したこと
であった(Rosenfeld,M.A.ら、Cell,1992,63:143-155)。同様に、ヘルペス
ウイルスはまた、ヒト遺伝子治療に有益であると判明し得る(Wolfe,J.H.ら、1
992,Nature Genetics,1:379-384)。もちろん、任意の他の適切なウイルスベ
クターをまた、本発明の遺伝子治療に使用し得る。
ヒトにおける使用のためにFDAにより承認されている他の遺伝子移入法は、リ
ポソーム中のプラスミドDNAのインサイチュでのヒト細胞への直接移入である(N
abel,E.G.ら、1990 Science,249:1285-1288)。プラスミドDNAは、ヒト遺伝子
治療における使用のために容易に証明するはずである。なぜなら、プラスミドDN
Aはレトウイルスベクターと違って均質に精製され得るからである。リポソーム
仲介DNA移入に加えて、プラスミドDNAをタンパク質と複合体化させることにより
細胞上のレセプターにDNAを標的する方法のような、いくつかの他の物理的DNA移
入法が、ヒト遺伝子治療における見込みを示している(Wu,G.Y.ら、1991,J.B iol.Chem.
,266:14338-14342; Curiel,D.T.ら、1991,Proc.Natl.Acad.Sci .USA
,88:8850-8854)。
本発明のH-NUCをコードする遺伝子を、当該分野に周知の方法により、プラス
ミド発現ベクターまたはウイルス発現ベクターのような発現ベクター内に設置し
得る。プラスミド発現ベクターを、リン酸カルシウムトランスフェクション、リ
ポソーム(例えば、LIPOFECTIN)仲介トランスフェクション、DEAEデキストラン
仲介トランスフェクション、ポリブレン仲介トランスフェクション、エレクトロ
ポレーション、および任意の他のDNAを細胞に導入する方法により、細胞に導入
し得る。
ウイルス発現ベクターを、感染または形質導入により発現可能な形態で標的細
胞に導入し得る。そのようなウイルスベクターは、以下を包含するが、それらに
限定されない: レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、およびア
ビポックスウイルス。H-NUCが任意の異常増殖細胞中で発現される場合、細胞複
製周期は停止し、それによって老化および細胞死および最終的に異常組織(すな
わち、腫瘍またはガン)塊の減少を生じる。標的細胞に遺伝子構築物を導入し得
、そしてその中でH-NUCを細胞増殖を抑制する量で発現し得るベクターを、任意
の有効な方法で投与し得る。
例えば、活性なベクターの有効濃度を含有する生理学的に適切な溶液を、局所
的に、眼内に、非経口で、経口で、鼻内に、静脈内に、筋肉内に、皮下に、また
は任意の他の有効な方法で投与し得る。特に、ベクターを、針により標的組織の
腫瘍細胞を処置するために有効な量で、標的のガンまたは腫瘍組織内に直接注射
し得る。
あるいは、体腔内(例えば、眼、胃腸管、尿生殖器管(例えば、膀胱)、肺お
よび気管支系など)に存在するガンまたは腫瘍は、活性なベクターの有効濃度を
含有する生理学的に適切な組成物(例えば、生理食塩水またはリン酸緩衝液のよ
うな溶液、懸濁液、またはエマルジョン、これらはベクターを除いて無菌である
)を、ガンまたは腫瘍を被るくぼんだ器官内に設置した針またはカテーテルある
いは他の送達管を用いた直接注射により受け得る。X線、ソノグラム、または光
ファイバー可視化システムのような有効なイメージングデバイスを、標的組織の
位置を捜し当て、針またはカテーテル管を誘導するために使用し得る。
別の代替法では、活性なベクターの有効濃度を含有する生理学的に適切な溶液
を、直接到達できないか解剖学的に単離できないガンまたは腫瘍を処置するため
に、血液循環中に全身投与し得る。
さらに別の代替法では、標的腫瘍またはガン細胞を、H-NUCタンパク質を細胞
内に任意の公知の方法で導入することにより処置し得る。例えば、リポソームは
、薬物、タンパク質、およびプラスミドベクターを、インビトロまたはインビボ
の両方で(Mannino,R.J.ら、1988,Biotechniques,6:682-690)、標的細胞中
に送達するために利用可能である、人工膜小胞である(Newton,A.C.およびHues
tis,W.H.,Biochemistry,1988,27:4655-4659; Tanswell,A.K.ら、1990,Bio chmica et Biophysica Acta
,1044:269-274; およびCeccoll,J.ら、Journal of Investigative Dermatology
,1989,93:190-194)。従って、H-NUCタンパク質
を、リポソーム小胞を用いて高効率でカプセル化して哺乳動物細胞中にインビト
ロまたはインビボで送達し得る。
リポソームカプセル化H-NUCタンパク質を、局所的に、眼内に、非経口で、鼻
内に、気管内に、気管支内に、筋肉内に、皮下に、または任意の他の有効な方法
により標的組織の異常増殖細胞を処置するために有効な用量で投与し得る。リポ
ソームを、カプセル化したH-NUCタンパク質の有効量を含有する生理学的に適切
な組成物中で投与し得る。
他のベクターが本発明における使用に適切であり、そしてH-NUC遺伝子をコー
ドする核酸の有効な送達のために選択される。核酸は、DNA、cDNA、またはRNAで
あり得る。
別の実施態様では、本発明の単離された核酸分子がRNA転写のプロモーターに
作動可能に連結される。これらの核酸分子は、H-NUCタンパク質およびポリペプ
チドの組換え生産に有用であり、または遺伝子治療への使用のためのベクターと
して有用である。
本発明はまた、上記の単離された核酸分子が挿入されているベクターを提供す
る。例えば、適切なベクターは、プラスミド、コスミド、またはウイルスベクタ
ーであり得るが、これらに限定されない。適切なベクターの例としては、Sambro
okら、前出、およびZhuら、Science 261:209-211(1993)を参照のこと。これらは
参考として本明細書中に援用されている。適切な宿主細胞(例えば、原核生物細
胞、真核生物細胞)中に挿入されると、H-NUCは組換えにより生産され得る。適
切な宿主細胞としては、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、および細菌細胞が
挙げられ得る。Sambrookら、前出を参照のこと。これは参考として本明細書中に
援用されている。
核酸がコードするH-NUCまたはそのフラグメントが発現されるために適切な条
件下で上記の宿主細胞を増殖させることにより、組換えH-NUCまたはその誘導体
を生産する方法が、本発明により提供される。適切な条件は、当業者に周知の方
法を用いて決定され得る。例えば、Sambrookら、前出を参照のこと。これは参考
として本明細書中に援用されている。このようにして生産されたタンパク質およ
びペプチドもまた本発明により提供される。
本発明により、H-NUCタンパク質またはそのフラグメントと特異的に複合体を
形成し得る抗体もまた提供される。「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体
およびモノクローナル抗体を包含する。抗体には、マウス、ラット、ウサギ、ま
たはヒトのモノクローナル抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられる「抗体またはポリクローナル抗体」とは、抗原またはレ
セプターでの免疫に応答して産生されるタンパク質をいう。「モノクローナル抗
体」という用語は、細胞の単一のクローン由来の免疫グロブリンをいう。このク
ローン由来のモノクローナル抗体はすべて化学的および構造的に同一であり、そ
して唯一の抗原決定基に特異的である。
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を産生する実験方法は当業者に
公知である。HarlowおよびLane、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spri
ng Harbor Laboratory、New York(1988)(本明細書中に参考として援用されて
いる)を参照のこと。本発明のモノクローナル抗体は、動物(例えば、マウスま
たはウサギ)にH-NUCまたはそのフラグメントを導入することにより生物学的に
産生され得る。動物中の抗体産生細胞は、単離され、そしてミエローマ細胞また
はヘテロミエローマ細胞と融合されて、ハイブリッド細胞またはハイブリドーマ
を生成する。したがって、本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドー
マ細胞もまた提供される。このようにして産生されるモノクローナル抗体には、
下述のモノクローナル抗体が含まれるが、それらに限定されない。
このように、H-NUCタンパク質またはその誘導体、および周知の方法を用いて
、当業者は、H-NUCを結合する能力を有する抗体について、本発明のハイブリド
ーマ細胞および抗体を産生かつスクリーニングし得る。
本発明はまた、上記のポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の生物学
的に活性なフラグメントを提供する。これらの「抗体フラグメント」は、その抗
原または免疫原と選択的に結合するいくらかの能力を保持する。このような抗体
フラグメントには、以下のものが含まれるが、それらに限定されない:
(1)Fab、完全な軽鎖および1つの重鎖の一部を得るための酵素パパインで
の消化によって産生される抗体分子の一価抗原結合フラグメントを含むフラグメ
ント;
(2)Fab'、完全な軽鎖および重鎖の一部を得るための、ペプシンでの処理、
次いで還元により得られる抗体分子のフラグメント;2つのFab'フラグメントが
1抗体分子につき得られる;
(3)(Fab')2、続いての還元をしない、酵素ペプシンでの処理により得られ
る抗体のフラグメント;(Fab')2は2つのジスルフィド結合によりともに保持さ
れる2つのFab'フラグメントのダイマーである;
(4)Fv、2つの鎖として発現される、軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域
を含む遺伝子操作されたフラグメントとして定義される;および
(5)SCA、遺伝子的に融合された一本鎖分子として適切なポリペプチドリン
カーにより連結された、軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含む遺伝子操作され
たフラグメントとして定義される。
これらのフラグメントを作成する方法は当該技術分野で公知であり、例えば、
HarlowおよびLane、前出(本明細書中に参考として援用されている)を参照のこ
と。
「生物学的に活性な抗体フラグメント」の特定の例には、抗体のCDR領域が含
まれる。
抗体またはその生物学的に活性なフラグメントと特異的に反応する抗イディオ
タイプペプチドもまた本発明により提供される。本明細書で用いる「抗イディオ
タイプペプチド」は、遠類の種に注入されて外来抗原として認識され、そして強
い体液性免疫応答を誘起する、ある種に由来する精製された抗体である。一般的
な方法の議論については、HarlowおよびLane、前出(本明細書中に参考として援
用されている)を参照のこと。
組換えにより産生され、生化学的に合成され、化学的に合成され、または化学
的に改変されており、対応する天然のポリクローナルまたはモノクローナル抗体
としてのH-NUCまたはそのフラグメントを結合する能力を保持している、タンパ
ク質またはポリペプチドもまた、本発明により提供される。抗原または免疫原と
結合する能力は、抗体捕獲アッセイのような当該技術分野で公知の抗原結合アッ
セイにより測定される。例えば、HarlowおよびLane、前出(本明細書中に参考と
して援用されている)を参照のこと。
1つの実施態様において、抗体または核酸は、HarlowおよびLane、前出(本明
細書中に参考として援用されている)に記載されているような、または「Princi
ples and Practice of Immunoassays」、C.J.PriceおよびD.J.Newman編、Sto
ckton Press、New York(1991)(本明細書中に参考として援用されている)に
議論されているような、免疫組織化学などの標準的な免疫化学的技法を用いて、
サンプル中のH-NUCタンパク質およびフラグメントを検出するために有用な、検
出可能な試薬に連結される。
別の実施態様では、抗体は、H-NUCに結合しそして細胞内でその機能を変える
ために投与される。抗体は、当業者に周知の方法により、そしてH-NUC機能が回
復されるような有効濃度で投与される。抗体はまた、網膜芽腫タンパク質に結合
する能力を失っているH-NUCへの結合により、細胞の成長または増殖を阻害する
ために、治療的に使用され得る。この抗体は、活性な立体構造への再折り畳みを
生じるH-NUCに結合する。言い換えれば、薬剤はH-NUCの天然の生物学的活性を回
復させる。
本発明の抗体および核酸分子は、H-NUCタンパク質、あるいは、患者から得ら
れた細胞またはサンプル中の改変H-NUC遺伝子の存在または非存在を検出および
決定するために有用である。このように、乳ガンまたは乳ガンの罹病性が診断さ
れ得る。
上記の同定されたタンパク質、ポリペプチド、核酸、抗体、およびそれらのフ
ラグメントは、上で概説したように、治療用医薬品の調製に有用である。
本発明は、現在、以下の実施例で言及することにより非常に詳細に記載されて
いる。これらの実施例は本発明を例示することを意図しており、限定するもので
はない。
実験方法および結果
酵母のツーハイブリッドシステムを用いて、RB(p56-RB)のC末端領域と相互
作用する25クローンを単離した。これらの1つはクローンC49である。(Durfee
ら、Gene Devel.、7:555-569(1993))。RBタンパク質のC末端部分は、いくつか
のDNA腫瘍ウイルスのガンタンパク質に結合するために必要な2つの非隣接ドメ
インおよびDNA結合活性に関連するC末端領域を有する。本明細書では、RB関連
タンパク質の1つが、S.pombe酵母のnuc2タンパク質および真菌のAspergillus
属のbimAに類似の一次配列および生化学的特性を有すると特徴づけられている。
低級真核生物細胞におけるこれらの後者の2つの遺伝子の変異は、中期における
細胞を停止し、このことは有糸分裂の正常なプロセスにおけるこれらのタンパク
質の重要な役割を示す。これらの2つのタンパク質は、TRPモチーフと呼ばれる
、34残基のモチーフでの新規な繰り返しのアミノ酸を含む。これらの反復の機能
は知られていないが、これらがタンパク質−タンパク質相互作用を原則としてさ
せ得る両親媒性のα-ヘリックスを形成すると仮定されている。本明細書で報告
されるタンパク質は、最初に単離されて報告されたヒトTRPタンパク質である。
cDNAライブラリーのスクリーニングおよび配列決定分析。
全長H-NUC cDNAの単離のために、Durfeeら(同上)の方法を用いて上記のよう
に単離したC-49の1.5Kb BglIIフラグメントを、ニックトランスレーションによ
り標識し、プラークハイブリダイゼーションによりヒト繊維芽細胞cDNAライブラ
リーをスクリーニングするために用いた。cDNAインサートをpBSK+ベクター(Str
atagene、San Diego、Ca.)のEcoRI部位にサブクローニングして、DNA配列決定
を容易にした。配列決定を、ジデオキシ-NTPおよびSequenase 2.0を製造者の仕
様書(US Biochemicals)に従って用いることにより行った。配列分析および相
同性検索を、DNASTARソフトウエア(DNASTAR,Inc.、Madison、WI)を用いて行
った。
GST融合物の構築、タンパク質の調製、およびインビトロ結合。
GST-491を構築するために、プラスミドC-49をBglIIで消化し、そして1.3Kbイ
ンサートフラグメントをpGEX-3X(Pharmacia、Piscataway、N.J.)のBamHI部位
にサブクローニングした。GST-Tを、HindIIIでY62-25-2を切断し、Klenowで末端
平滑化し、そしてSmaIで切断したpGEX-3Xに823bpフラグメントをサブクローニン
グすることにより生成した。E.coliにおけるGST融合タンパク質の発現(Smith
およびJohnson、Gene、67:31-40(1988))を、0.1mM IPTGで誘導した。細胞を10K
で5分間遠心分離し、そして得られたペレットをLysis 250緩衝液(250mM NaCl
、5mM EDTA、50mM Tris(pH 8.0)、0.1% NP40、1mM フェニルメチルスルホニ
ルフルオリド(PMSF)、8μgロイペプチン、8μgアンチパイン)中に再懸濁し
た。4mgのリゾチームを加え、そして細胞を4℃で30分間置き、そして細胞を音
波処理により溶解した。細胞デブリを遠心分離(10K、30分間)により除去し、
そして上清をグルタチオンでコートしたビーズに添加した。
インビトロ結合アッセイを以下のように行った。2×106の2E3細胞(Chenら、
1992、下記、本明細書中に参考として援用されている)から作成した抽出物を、
2〜3μgのGSTまたはGST融合タンパク質を含むビーズとともに、Lysis 150緩衝
液(50mM Tris(pH7.4)、150mM NaCl、5mM EDTA、0.1% NP-40、50mM NaF、1mM
PMSF、1μg/ml ロイペプチン、1μg/ml アンチパイン)中で室温にて30分間
インキュベートした。複合体を、溶解(lysis)150緩衝液で十分に洗浄し、ロ
ーディング緩衝液中で煮沸し、そして7.5%SDS-PAGEゲル上で泳動した。ゲルを
イモビロン(immobilon)膜に移し、そして抗RBモノクローナル抗体11D7でイムノ
ブロットした。アルカリホスファターゼ結合二次抗体の添加後、結合したRBタン
パク質を5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェートトルイジニウムおよびニ
トロブルーテトラゾリウム(BCIP、NBT;Promega、Madison、WI)を用いて可視
化した。
抗体産生およびタンパク質の同定。
当業者に周知の方法を用いて、抗H-NUC抗体を産生した。HarlowおよびLane、A ntibodies: A Laboratory Manual
、Cold Spring Harbor Laboratory(1988)、本
明細書中に参考として援用されている。簡単にいえば、約100μgのGST-491融合
タンパク質を用いてマウスを免疫し、そして3回追加免疫した。免疫したマウス
から血清を採取し、そして免疫沈降実験に直接使用した。各細胞株由来の約1×
107細胞を(35S)-メチオニンで2時間代謝的に標識し、続いて氷冷したLysis 250
緩衝液中で溶解した。澄明になった溶解物を種々の抗体とともに4℃で1時間イ
ンキュベートし、次いでプロテインAセファロースビーズを加えて、4℃でさら
に30分間インキュベートした。溶解緩衝液で十分に洗浄した後、ビーズをSDSサ
ンプル緩衝液中で煮沸し、そして免疫沈降物を7.5%SDS-PAGEで分離した。二重
免疫沈降のために、得られた免疫複合体を200μlの解離緩衝液I(20mM Tris-Cl
、pH 7.4、50mM NaCl、1% SDS、および5mM DTT)中で煮沸してタンパク質を
変性させた。変性したタンパク質を200μlの解離緩衝液II(20mM Tris-Cl、pH 7
.4、50mM NaCl、1% NP40、および1% デオキシコール酸ナトリウム)で希釈
し、そして抗体と再免疫沈降させた。
細胞分画手順。
膜、核、および細胞質画分を分離する手順を、Lee,H.-W.ら、Nature、(1987)
、前出(本明細書中に参考として援用されている)から適応した。次いで、3つ
の全ての画分を、上記のように免疫沈降によりRBタンパク質およびH-NUC含量に
ついてアッセイし、そして各画分のアリコートをまた、各画分の組成を確認する
た
めにグルタチオンビーズとインキュベートした。
DNA結合アッセイ。
約1×107のK562ヒト慢性骨髄性白血病細胞(ATCC)を35S-メチオニンで標識
し、次いでLysis 250緩衝液中で溶解した。溶解物を遠心分離により澄明にし、
2容量のローディング緩衝液(10mM KH2PO4、pH 6.2、1mM MgCl2、0.5% NP40
、1mM DTT、10% グリセロール)で希釈した。次いで、希釈した抽出物をDNA-セ
ルロースカラム(天然仔ウシ胸腺DNA、Pharmacia、Piscataway、NJ)にかけ、穏
やかに振盪しながら40℃で1時間インキュベートした。次に、カラムを5ベッド
容量のローディング緩衝液で洗浄し、次いで、NaClの漸増した濃度を含む同じ緩
衝液で溶出した。画分を上記のように抗RB抗体または抗H-NUC抗体のいずれかで
の免疫沈降により分析した。各画分のアリコートもまた、グルタチオントランス
フェラーゼを検出するためにグルタチオンビーズとともにインキュベートした。
H-NUC酵母発現プラスミド;欠失変異体
H-NUC cDNA由来のDNAフラグメントをpSE1107(Durfeeら、1993、前出)中にサ
ブクローニングした:クローン491は酵母ツーハイブリッドスクリーニングによ
り単離されたオリジナルのクローンである。改変したpSE1107中に3.3kbのXhoIフ
ラグメントを挿入してインフレーム融合タンパク質を生成することにより、H-NU
Cを構築した。RVはN-末端XhoI-EcoRVフラグメントを含む。BR208、BR207、B5、
およびB6は、Sau3A部分消化産物である。これらの構築物由来のGal4融合タンパ
ク質は、それぞれ、H-NUCについてはアミノ酸1〜824、491についてはアミノ酸5
59〜824、RVについてはアミノ酸-1〜663、BR2-8についてはアミノ酸699〜824、B
R2-7についてはアミノ酸797〜824、B5についてはアミノ酸559〜796、およびB6に
ついてはアミノ酸597〜796を含む。ts変異体を、H-NUCのNsiIフラグメントをア
ニールしたプライマーで置換することにより生成した。プライマーは以下のとお
りであった:
プライマー1:
プライマー2:
全ての構築物はDNA配列決定分析により確認されている。
酵母形質転換およびβ-ガラクトシダーゼ活性の定量。
酵母形質転換を、既報(Durfeeら、1993、前出、本明細書中に参考として援用
されている)のようにLiOAC法を用いることにより行った。形質転換後、プラス
ミドの存在について選択するために、トリプトファンおよびロイシンを含まない
合成ドロップアウト培地上に細胞を播いた。30℃での2〜3日の増殖の後、各形
質転換のシングルコロニーを適切な選択培地に接種した。2.5mlの培養物を、適
切な選択培地中でOD600が1.0〜1.2になるまで増殖させた。次いで記載されてい
るように(Guarente,L.、Methods Enzymol. 101:181-191(1983)、本明細書中に
参考として援用されている)、細胞を調製し、そして浸透化した。クロロフェニ
ル-レッド-β-D-ガラクトピラノシド(CPRG;Boehringer Mannheim)を用いる定
量については、標準的条件を用いた(Durfee、1993、前出、本明細書中に参考と
して援用されている)。
H-NUCはSV40 T-抗原結合領域に類似の領域で非リン酸化RBに結合する。
RBタンパク質の欠失変異体のパネルを構築した。これらの変異体は、元来、T-
結合ドメインの輪郭を描くために用いられており、そしてこれらをGal-4 DNA結
合ドメインを含むプラスミドpAS1中に既報(Durfeeら、1993、前出、本明細書中
に参考として援用されている)のようにサブクローニングした。これらのDNA構
築物の2つ、Gal-4活性化ドメイン-C-49融合発現プラスミド(オリジナルクロー
ン化C-49)およびYI pPTG10(β-ガラクトシダーゼを含む指示プラスミド)、を
用いて、酵母Y153株(Durfeeら、1993、前出)を同時形質転換した。各RB融合タ
ンパク質の発現レベルをSambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual
、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989)、本明細書中
に参考として援用されている)の方法を用いてウエスタンブロット分析により測
定し、そして2〜3倍を超える変化はなかった。次いで、得られた形質転換体を
上
記のようにβ-ガラクトシダーゼ活性についてアッセイした。図1に示すように
、C-49融合タンパク質のGal-4-RBへの結合は、RBタンパク質の多くの同じ変異に
より減弱し、これはSV40 T-抗原結合を除去するアミノ酸706 CysのPheへの点変
異を含む。C-49は、RBタンパク質のC-末端の160アミノ酸を欠くSsp変異体を結合
できないが、T-抗原は低減した親和性ではあるが結合し得るという1つの例外が
ある。2つの結合サブドメイン間のリンカー領域の部分を欠失しているM1欠失(
アミノ酸612〜632)は、H-NUCおよびT-抗原の両方を結合し得る唯一の変異体で
ある。明らかに、RBタンパク質の同様であるが同一でない領域がT-抗原およびC-
49の両方を結合するために必要とされる。
次に、インビトロでp110RBに結合するC-49融合タンパク質の能力を検査した。
p110RBのアミノ酸配列はLee,W.-H.ら、Science、235:1394-1399(1987)(本明
細書中に参考として援用されている)に開示されている。1.3kbのcDNAクローン
(図3)を、E.coli中でグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)融合タンパ
ク質として発現した(SmithおよびJohnson、Gene、67:31-40(1988)、本明細書中
に参考として援用されている)。等量のGST-C-49タンパク質ならびに2つの追加
のコントロール、GST単独、およびGST-T抗原(図2A)を含むグルタチオンビー
ズを、RB遺伝子を用いて再構成したヒト網膜芽腫細胞株(WERI RB27)からの全
細胞抽出物とインキュベートした(Chenら、Cell Growth Differ. 3:119-125(19
92))。標準的培養条件において、これらのWERI(RB+)細胞は、図2B(レーン
2)に示すように、異なるリン酸化状態を示すRBタンパク質の異なるイソ型を発
現する。十分に洗浄した後、ビーズに結合しているタンパク質を、Sambrookら(
前出、本明細書中に参考として援用されている)に開示される方法に従ってSDS-
PAGEおよびウエスタンブロティングにより分析した。示されるブロットは、抗RB
抗体11D7をプローブとした(Shanら、Mol.Cell.Biol. 12:5620-5631(1992)、
本明細書中に参考として援用されている)。これらの条件下、H-NUCはポジティ
ブコントロールとして用いたGst-Tと同様の親和性で非リン酸化p110RBのみを結
合し得た。GST単独ではいずれのRbタンパク質をも結合しない(図1A、レーン
2〜4を参照のこと)。これらの結果は、H-NUCタンパク質が非リン酸化の天然
の全長RBタンパク質とのみ複合化し得ることを示す。
全長cDNAおよびその配列。
新規タンパク質をさらに綿密に特徴づけするために、1.3kb cDNAをプローブと
して用いて、ヒト繊維芽細胞cDNAライブラリーをスクリーニングした。単離した
1ダースのクローンから、最長のcDNAクローン(約3.3kb)を完全に配列決定し
た。オープンリーディングフレームは824アミノ酸のタンパク質をコードする(
図3)。タンパク質は2つの公知のタンパク質、S.pombe酵母nuc2およびAsperg illus nidulano
bimAに35%の全体の相同性を有する。これらの2つの遺伝子の
温度感受性変異体が中期において細胞を停止させるので、下等真核生物タンパク
質の両方とも有糸分裂に関連することが知られている。Nuc2およびbimAタンパク
質は、図4に示すように、1つがN-末端領域にありそして9つがC-末端領域に集
束するように編制された、10個の34アミノ酸反復を含む。同様の反復配置はまた
新規RB関連タンパク質で見られる。3つのタンパク質の9個の反復領域のみを比
較すると、配列の同一性は60%である(図4B)。しかし、nuc2およびbimAの第
1と第2の反復間の配列は非常に低い相同性を有する。この低い相同性もまたク
ローンC-49由来のタンパク質について確かに保持される。配列の相同性に基づく
と、単離したクローンは、酵母Nuc2およびAspergillus bimAのヒトホモログであ
るようである。したがって、C-49クローンをH-NUCと命名した。
H-NUCのC-末端反復はRBタンパク質に結合する。
このH-NUCタンパク質は、T-抗原およびアデノウイルスE1AがRBを結合するため
に用いる公知のL-X-C-X-Eモチーフも、RBを結合するために重要であることが示
されているE2Fの18アミノ酸配列も含まない。この所見は、H-NUCタンパク質がRB
を結合するために異なるモチーフを用い得ることを示唆する。このような結合モ
チーフを定義することを助けるために、H-NUC cDNAの異なる領域をそれぞれ含む
系列欠失変異体を構築し、そして図5に示すようにGal-4融合タンパク質を発現
させた。既報の酵母ツーハイブリッドシステム(Durfee、1993、前出)のインビ
ボ結合アッセイを用いて結合モチーフを含むタンパク質の領域を決定した。全長
のタンパク質およびオリジナルクローン(6つの反復を含む)は、RBに同じくら
いよく結合する。しかし、第1の反復を含むN-末端領域はRBに結合しない。オリ
ジナルクローンの種々の部分由来の欠失変異体はすべてRBと相互作用しない。こ
れらのデータは、H-NUCが新規な方法で、おそらく特定の二次構造を持つタンパ
ク質のより大きな領域を用いることにより、RBに結合し得ることを示唆する。
アミノ酸640のGlyのAspへの変化は非許容温度におけるRBへの結合を減少させる
温度感受性H-NUC変異体を生成する。
RBへのH-NUCの結合が生理学的に重要であることを確認することを助けるため
に、アミノ酸640での単一点変異(GlyからAsp)をH-NUCタンパク質の部位特異的
変異誘発により生成した。nuc2におけるGly504のAspへの同様の変化は温度感受
性表現型の原因であり、S.pombe酵母の中期進行を停止させる(Hirano,T.、Y.
Hiraoka、およびM.Yanagida.J.Cell Biol 106:1171-1183(1988))。Gly残基
がH-NUCタンパク質で保存されるので、酵母ホモログと同様に、GlyからAspへの
変異の生成は、このH-NUCタンパク質が非許容温度でのRBへの結合を欠損してい
るかどうかをテストする。図6に示すように、Gly-640変異を含むH-NUCタンパク
質は、酵母が37℃(非許容温度)で増殖するときはRBと相互作用しないが、酵母
が22℃(許容温度)で増殖するときはRBに結合する能力を保持する。このデータ
は、Rb結合特性に対する推定される中期停止の温度感受性(ts)表現型間の連結
を証明する。
H-NUC抗体の調製およびH-NUCタンパク質の同定。
タンパク質ゲルおよびウエスタンブロットでのこの新規なH-NUCタンパク質の
同定を可能にするために、それに対するマウス抗体を調製した。Gst-C-49をE.c oli
中で発現し(SmithおよびJohnson、1988、前出、およびShanら、1992、前出
、それぞれ本明細書中に参考として援用されている)、グルタチオンビーズを用
いて精製し、そしてマウスで抗体応答を誘起するための抗原として用いた。次い
で、ポリクローナル抗H-NUC抗体を含む血清を採取した。抗体を得た後、35S-メ
チオニンで代謝的に標識した赤白血病細胞株(K562)を用いて細胞溶解物を調製
し、既報のようにポリクローナル抗体で免疫沈降した。図6Aに示すように、約
95kd
の分子量を有する特定のタンパク質が免疫血清(レーン2)により沈降したが、
免疫前血清によっては沈降しなかった。複合体はゲル上で分離する。95kDaタン
パク質のみが、35S-メチオニンでK562タンパク質を特異的に標識されているため
見られる。この95kdタンパク質は、免疫沈降の競合物としてGSTタンパク質を用
いる場合にも検出された。これはポリクローナル抗体がGST単独を認識しないこ
とを示す。一方、オリジナル抗原は、内因性細胞性タンパク質と競合し得、そし
て95kdバンドは検出されなくなる(レーン3および4)。この抗体の特異性は一
次免疫沈降物が変性されそして再免疫沈降されるとき、さらに確認された。図6
B(レーン3)に示すように、95kdタンパク質は検出された唯一のバンドであり
、そしてバックグラウンドはきれいである。そうして、全ての免疫学的証拠は、
95kdタンパク質がH-NUC遺伝子産物であることを示唆する。
H-NUCタンパク質はDNA結合活性を有する。
約1×107細胞を35S-メチオニンで標識し、次いでLysis 250緩衝液(250mM Na
Cl、5mM EDTA、50mM Tris(pH8.0)、0.1% NP40、1mM フェニルメチルスルホニ
ルフルオリド(PMSF)、8μg/mlのロイペプチン、および8μg/mlのアンチパイ
ン)中に溶解した。溶解物を遠心分離により澄明にし、2容量のローディング緩
衝液(10mM KH2PO4、pH 6.2、1mM MgCl2、0.5% NP40、1mM DTT、10%グリセ
ロール)で希釈した。次いで、上記のように、希釈した抽出物をDNA-セルロース
カラム(天然仔ウシ胸腺DNA、Pharmacia、Piscataway、NJ)にかけ、そして混合
物を穏やかに振盪しながら4℃で1時間インキュベートした。カラムを5ベッド
容量のローディング緩衝液で洗浄し、次いで、NaClの漸増した濃度を含む同じ緩
衝液で溶出した。
溶出物の各画分を(上記のように)網膜芽腫タンパク質に対する抗体(11D7、
図7A)、H-NUCに対する抗体(図7B)、またはGSTビーズ(図7C)に対する
抗体での免疫沈降により分析した。各画分のアリコートもまた、グルタチオント
ランスフェラーゼを検出するためにグルタチオンビーズとともにインキュベート
した。RBタンパク質はDNA結合活性を有し、そしてポジティブコントロールとし
て用いられる。H-NUCタンパク質は同様のDNA結合活性を有するが、グルタチオン
トランスフェラーゼ単独ではこのような活性を有さない。配列相同性分析は、H-
NUCのDNA結合領域がTRP領域の外側に位置することを示す。
H-NUCは染色体17q21-22にマップされる。
3H標識した3.3kbのH-NUC cDNAプローブのヒト染色体に対するインサイチュハ
イブリダイゼーションは、図9に示すように、第17染色体のq21-22領域に特異的
な標識を示した。スコアされた150の細胞由来の320のグレイン(grain)のうち
、42(13.1%)は17q21-22に見出された。他の部位はバックグラウンド以上には
標識されていなかった。用いられるプローブの一部がその偽遺伝子に相同な配列
を含むので、末端動原体の染色体の短腕への多数のハイブリダイゼーションが検
査したすべての細胞に検出され、そして分析から除外した。同様のマッピングの
結果を、第17染色体にH-NUCをまたマップする体細胞−ハイブリッド法により得
た。H-NUCの位置は、家族性乳ガン遺伝子が同じ領域にマップされているので興
味深い。
H-NUCの腫瘍抑制活性。
H-NUCの腫瘍抑制活性を、インビトロ細胞培養条件およびヌードマウス動物モ
デルの両方で評価した。H-NUC腫瘍抑制活性を評価するために用いた細胞株は、H
-NUCの1つの機能的対立遺伝子を含むMDA-MB-231、およびH-NUC遺伝子座のホモ
接合型変異体であるT-47Dであった。
簡単にいえば、上記の2つの細胞株の増殖におけるH-NUCの効果をアデノウイ
ルス発現ベクターを用いるH-NUC発現で評価した。ACNはcDNAインサートを欠くコ
ントロールのアデノウイルスベクターであるが、AC-H-NUCはヒトCMVプロモータ
ーの制御下でH-NUCを発現するアデノウイルスベクターである。
H-NUCを含むアデノウイルスベクター。
アデノウイルス発現ベクターを構築するために、H-NUCについての全長cDNAを
含む2520塩基対フラグメントを、Quick Clone二本鎖胎盤cDNA(Clontech)から
のPCRにより増幅した。H-NUCの増幅に用いたプライマーは、pBluescript II KS+
のマルチプルクローニング部位に方向性をもったクローニングをさせるために、
フラグメントの5'末端のKpn I制限部位および3'末端のXho I部位を追加した(5
プライムオリゴ5'CGCGGTACCATGACGGTGCTGCAGGAA3’;3プライムオリゴ5'ATCGGC
TCGAGCAGAAGTTAAAATTCATC3')。PCRサイクルは以下のとおりであった:94℃1分
て1サイクル;94℃1分、53℃1.5分、72℃2分で30サイクル;および72℃7分
で1サイクル。クローンを、TnT Coupled Reticulocyte Lysate System(Promeg
a)中で95KDタンパク質を生成する能力についてスクリーニングした。Bluescrip
tベクター中のT3プロモーターは、ウサギ網状赤血球によるH-NUCコーディング配
列の転写および翻訳を可能にする。TnT網状赤血球反応につき1μgのミニ溶解物
DNAを加え、そして30℃で1時間インキュベートした。10μlの反応物をローディ
ング緩衝液と混合し、10%ポリアクリルアミドゲル(Novex)で165Vにて1.5時間
泳動した。ゲルを乾燥させ、そしてフィルムに一晩曝した。全長のタンパク質を
生成する4つのクローンを配列決定した。H-NUCインサートを、Kpn IおよびHind
IIでの消化後のベクターから回収し、そしてpAdCMVb-ベクターのKpnI-BgIII部
位にサブクローニングした(BgIIIを、平滑末端を生成するためにフィルインし
た)。4つのクローンはすべていくつかの変異を含んでいた。従って、正しい野
生型配列を含むクローンを2つのクローン由来のフラグメントを連結することに
より生成した。
組換えアデノウイルスを構築するために、上記プラスミドをNru Iで直線にし
、そしてCapO4トランスフェクションキット(Stratagene)を用いて、Cla I消化
したdl309変異体(JonesおよびShenk、Cell、17:683-689(1979)、これは本明細
書中に参考として援用されている)の大フラグメントと同時トランスフェクトし
た。ウイルスプラークを単離し、そして制限消化分析とH-NUC cDNA配列に対する
プライマーを用いるPCRとの両者により組換え体を同定した。組換えウイルスを
限定希釈によりさらに精製し、そしてウイルス粒子を精製し、そして標準的方法
により力価検定した(Grahamおよびvan der Erb、Virology、52:456-457(1973
);Grahamおよびprevec、アデノウイルスベクターの操作、Methods in Molecul ar Biology 7巻:GeneTransfer and kExpression Protocols
、Murray E.J.編 Th
e Humana Press Inc.、Clifton N.J.、7:109-128(1991)、両方とも本明細書中に
参考
として援用されている)。
上記のH-NUCベクターが適切なサイズのタンパク質を発現したことを確認する
ために、T-47 D細胞を、漸増した感染多重度(MOI)のウイルスのプラーク形成
単位/細胞で、コントロールまたはH-NUC含有組換えアデノウイルスのいずれか
で24時間にわたり感染する。次いで、細胞をPBSで1回洗浄し、そして溶解緩衝
液(50mM Tris-HCl pH7.5、250mM NaCl、0.1% NP40、50mM NaF、5mM EDTA、10
μg/ml アプロチニン、10μg/ml ロイペプチン、および1mM PMSF)中で採取す
る。細胞性タンパク質を10%SDS-PAGEにより分離し、そしてニトロセルロースに
移す。膜を、抗H-NUC抗体、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼと結合したヒツ
ジ抗マウスIgGとともにインキュベートする。H-NUCタンパク質の正確な発現を、
Kodak XAR-5フィルムでの化学発光(ECLキット、Amersham)により可視化する。
インビトロ。
乳腫瘍細胞株であるMDA-MB-231およびT-47Dを、T-47D細胞については10%FBS
および0.2IUインスリン(Sigma)を加えた、Kaighn's F12/DME培地(Irvine Sci
entific)中で100mmプレート当たり1×106細胞で播種した。プレートを7%CO2
で37℃にて一晩インキュベートした。次の日に、細胞に10mlの培養培地を再補充
し、そして細胞をACNコントロールウイルス溶解物(MOI 10)またはAC-H-NUCウ
イルス溶解物(MOI 10)のいずれかで感染し、そして37℃でインキュベートした
。3日後、培地を除去し、そして細胞を1:5の酢酸−メタノール溶液で固定し
た。細胞を20%メタノール-0.5%クリスタルバイオレット溶液で30分間染色し、
そして過剰の染色を除くために水道水ですすいだ。
AC-H-NUCでのT-47D細胞の感染により、発現したH-NUCタンパク質によるこれら
の細胞の増殖阻害を生じた(図11)。クリスタルバイオレットで染色されたAC
-H-NUC感染したT-47D細胞の可視観察は、ACNコントロール細胞と比較すると細胞
数の減少を示す(約50%)。さらに、T-47D細胞の形態の変化が生じた。細胞は
凝縮したようになり、その正常な増殖特性を失うようであった。T-47D細胞をコ
ントロールACNウイルスでチャレンジした場合、変化は見られなかった。反対に
、ヘテロ接合型細胞であるMDA-MB-231はインビトロでACNまたはAC-H-NUCによる
影
響を受けないようであった。
チミジンの取り込みをまた、細胞増殖におけるH-NUCの効果を評価するために
用いた。簡単にいえば、約3×103MDA-MB-231およびT-47D細胞を、96ウエルプレ
ート(Costar)の各ウエルにプレートし、そして一晩インキュベートした(37℃
、7% CO2)。ACNまたはAC-H-NUCの系列希釈を、DME:F12/15% FBS/1%グル
タミンを用いて作成し、そして細胞を各アデノウイルスで10および100の感染多
重度(MOI)(各MOIで4つの複製ウエル)で感染した。細胞培地容量の半分を感
染の24時間後および採取するまで48時間毎に交換した。採取の18時間前に、1μ
Ciの3H-チミジン(Amersham)を各ウエルに加えた。細胞を感染の5日後にガラ
ス繊維フィルター上に採取し、そして細胞の核酸中に取り込まれた3H-チミ
した。各MOIでの細胞増殖(cpm/ウエル)を未処理のコントロール細胞の平均増
殖のパーセントとして表した。
得られた結果は、MDA-MB-231細胞(H-NUCについてヘテロ接合型)の増殖がACN
またはAC-H-NUCのいずれかの処理後に同様であったことを示した(図12を参照
のこと)。反対に、AC-H-NUCに対する特異的応答を、T-47D細胞(H-NUCについて
欠失されている)について観察し、これはより高いMOIで増強した。これらのデ
ータは、H-NUC改変細胞におけるH-NUC遺伝子のアデノウイルス仲介遺伝子移入の
抗増殖効果を証明する。
エクスビボ遺伝子治療。
腫瘍形成性におけるH-NUC発現の効果を評価するために、上記の腫瘍細胞株を
ヌードマウスモデルでの腫瘍を生成する能力ついてテストした。約2×107 T-47
D細胞をT225フラスコ中にプレートし、そして細胞をACNまたはAC-H-NUCを含むス
クロース緩衝液で、3または30のMOIにて処理した。一晩の感染の後、細胞を採
取し、そして約107細胞を、予め17β-エストラジオールの皮下ペレットを受けて
いるBALB/cヌードマウス(4匹/群)の左脇腹および右脇腹に皮下注射した。一
方の脇腹にACN処理細胞を注射し、逆側の脇腹にAC-H-NUC細胞を注射し、各マウ
スをそれ自身のコントロールとして用いた。未処理細胞の両側での注射を受けた
動物を腫瘍増殖についての追加のコントロールとして用いた。次いで、腫瘍の寸
法(dimensions)(長さ、幅、高さ)および体重を週に2回測定した。腫瘍の体
積を各動物について推定し、ここで測定した腫瘍の寸法の平均の半分に等しい半
径を有する球面幾何学を仮定した。
この実験の結果は図13に示され、そしてH-NUCを発現する細胞の腫瘍増殖に
おける著しい減少を示す。簡単にいえば、細胞接種の21日後、腫瘍はすべての動
物の両側で測定可能であった。AC-H-NUC(MOI=30)で処理した細胞から生じた腫
瘍は、4匹中4匹のマウスにおいて、ACN(MOI=30)で処理した細胞由来の逆側
の腫瘍よりも小さかった。AG-H-NUC処理細胞(MOI=30)由来の平均腫瘍サイズは
、21日の期間にわたりACN処理細胞(MOI=30)由来の平均腫瘍サイズよりも小さ
いままであった(図3を参照のこと)。これらのデータはさらに、本明細書に開
示されたH-NUCタンパク質の腫瘍抑制活性を示す。
インビボ腫瘍抑制H-NUC。
ヒト乳ガン細胞株T-47D細胞を雌BALB/c無胸腺ヌードマウスに皮下注射する。
腫瘍を32日間発達させる。この時点で、ACN(コントロール)またはAC-H-NUC(H
-NUC遺伝子を含む)のいずれかのアデノウイルスベクターの単回注射を、腫瘍を
取り囲む腫瘍周辺スペースに注射する。次いで、腫瘍を、アデノウイルス注射後
2日目または7日目のいずれかに切り出し、そしてポリA+ RNAを各腫瘍から単離
する。次いで、H-NUC特異的プライマーを用いる逆転写PCRを用いて処理した腫瘍
におけるH-NUC RNAを検出する。アクチンプライマーでの増幅はRT-PCR反応につ
いてのコントロールとして用い、一方、組換え(H-NUC)配列を含むプラスミド
は組換え(H-NUC)特異的バンドのポジティブコントロールとして用いる。
別の実験において、T-47D細胞をマウスの右脇腹の皮下スペースに注射し、そ
して腫瘍を2週間成長させる。マウスは、週に2回、合計8用量の緩衝液または
組換えウイルスの腫瘍周辺への注射を受ける。腫瘍成長は、ACNおよび緩衝液を
与えられているコントロール動物ならびにAC-H-NUCを与えられている動物で処理
期間全体にわたりモニターされる。体重および生存時間もモニターされる。
乳ガン細胞株T-47D細胞における外因性H-NUCの発現。
遺伝子のホモ接合型変異により、内因性H-NUCを含まない乳ガン細胞株T-47D由
来の乳ガン細胞は、H-NUCの機能的研究のためのきれいなバックグラウンドを提
供する。T-47D細胞を、AC-H-NUCベクターまたはコントロールACNベクターのいず
れかの同等の力価で感染する。ほとんどのコロニーを個別に大量培養に増殖させ
る。
感染させた細胞を35Sで代謝的に標識し、これを用いて生成したタンパク質の
量を求めるための細胞溶解物を調製した。AC-AH-NUC感染培養物を、測定される
形態学、増殖速度(例えば、倍加時間)、飽和密度、軟寒天コロニー形成、およ
びヌードマウスにおける腫瘍形成性について、コントロール細胞と比較する。
本発明は現在の好適な実施態様の参考として記載されているが、種々の改変が
本発明の意図から逸脱することなく行われ得ることが理解されるべきである。従
って、本発明は以下の請求の範囲によってのみ限定される。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07H 21/04 9356−4H C07K 14/47
C07K 14/47 9356−4H 16/18
16/18 9637−4B C12P 21/02 C
C12N 5/10 9637−4B 21/08
C12P 21/02 7823−4B C12Q 1/68 A
21/08 0276−2J G01N 33/574 A
C12Q 1/68 9284−4C A61K 39/395 D
G01N 33/574 9284−4C N
// A61K 39/395 9282−4B C12N 5/00 C
9051−4C A61K 37/02
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM,
AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,CZ,F
I,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ
,LK,LT,LV,MD,MG,MN,MW,NO,
NZ,PL,RO,RU,SD,SI,SK,TJ,T
T,UA,UZ,VN
(72)発明者 チェン,ファン−ラン
アメリカ合衆国 テキサス 78245,サン
アントニオ,オミクロン ドライブ ナ
ンバー201 14825